説明

基板用搬送除塵装置の使用方法および基板用搬送除塵装置

【課題】
基板の先端が除塵ユニットに導入される際の撓みや振動が生じないようにするとともに、ベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増加するようにして、薄く柔軟性を有する基板であっても安定した搬送や、塵埃等の吸引の増加を実現するような基板用搬送除塵装置の使用方法、および、基板用搬送除塵装置を提供する。
【解決手段】
下側除塵ユニット210のエア吸引室211,213の吸引スリットの長手方向が基板搬送方向aに対して略直角となるように配置するとともに、基板Gの一辺方向が基板搬送方向aの略垂直方向に対して所定の交差角αで傾斜した状態であって基板Gの突端が先頭となるように下側除塵ユニット210に搬送されつつ除塵を受けるような基板用搬送除塵装置およびその使用方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板、合成樹脂板、または、金属板などの基板を搬送し、その基板表面に付着する塵や埃等(以下、これらを総称して塵埃という)を単なる清浄エアや超音波周波数で振動する超音波エア(以下、これらを総称して洗浄エアという)により塵埃を飛散させて吸引除去するための基板用搬送除塵装置の使用方法、および、このような基板用搬送除塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板を対象とする基板用搬送除塵装置について図を参照しつつ説明する。図18,図19は、従来技術の基板用搬送除塵装置の説明図である。図20は、基板のたわみを説明する説明図であり、図20(a)は基板の先端のたわみを説明する説明図、図20(b)は基板の中間箇所のたわみを説明する説明図である。
【0003】
基板Gは、図18,図19で示すように、搬送ローラ100上を基板搬送方向(矢印a方向)に搬送され、除塵ユニット200により除塵される。除塵ユニット200は下側除塵ユニット210および上側除塵ユニット220を備え、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220により基板Gの表裏面で除塵される。
下側除塵ユニット210は、基板搬送方向(矢印a方向)に沿って、エア吸引室211、エア噴出室212、エア吸引室213が並べられて構成されており、搬送ローラ100側(下側)に配置されている。エア吸引室211,213は、図示しない吸気ポンプへ、また、エア噴出室212は図示しない送風ポンプへ、それぞれ接続されるものとする。エア吸引室211、エア噴出室212、エア吸引室213はそれぞれ吸引スリット214、噴出スリット215’、吸引スリット216を備える。
【0004】
同様に、上側除塵ユニット220は、基板搬送方向(矢印a方向)に向かって、エア吸引室221、エア噴出室222、エア吸引室223となるように並べられて構成されており、搬送ローラ100のない側(上側)に配置されている。エア吸引室221,223は図示しない吸気ポンプへ、また、エア噴出室222は図示しない送風ポンプへ、それぞれ接続されるものとする。エア吸引室221、エア噴出室222、エア吸引室223はそれぞれ吸引スリット224、噴出スリット225’、吸引スリット226を備える。
【0005】
下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220は、図18でも明らかなように、上下で対向して配置されており、これら下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間を基板Gが搬送される。基板Gが下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間で挟まれるとき、基板Gの裏面から下側除塵ユニット210までの間隔と、基板Gの表面から上側除塵ユニット220までの間隔と、は略等しくなるように配置される。
このような基板Gの先端の一辺は、図18,図19で示すように、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の吸引スリット214,216,224,226および噴出スリット215’,225’の長手方向に対して略平行、つまり基板搬送方向aに対して略垂直な状態で搬送される。
【0006】
下側除塵ユニット210では、エア噴出室212から洗浄エアが噴出され、洗浄エアによって剥離した塵埃をエア吸引室211,213で吸引除去する。下側除塵ユニット210による基板Gの除塵対象面は、下側除塵ユニット210と対向している基板面(図18では裏面)となる。
同様に上側除塵ユニット220では、エア噴出室222から洗浄エアが噴出され、洗浄エアによって剥離した塵埃をエア吸引室221,223で吸引除去する。上側除塵ユニット220による基板Gの除塵対象面は、上側除塵ユニット220と対向している基板面(図18では表面)となる。
【0007】
この基板用搬送除塵装置1000では、基板Gの上面(上側除塵ユニット220側)を流れるエアによりベンチュリ効果による上側への吸引力が発生し、さらに基板Gの下面(下側除塵ユニット210側)を流れるエアによりベンチュリ効果による下側への吸引力が発生するが、下側への吸引力を大きくするようなベンチュリ効果のバランスとなるように調整することで基板Gが安定して搬送されるものであった。
【0008】
なお、このような基板用搬送除塵装置の先行技術としては、本出願人による前の出願が出願公開されており、例えば、特許文献1(特開2003−332401号公報)に開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−332401号公報 (段落番号0027〜0036,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
基板Gとして近年では、TFT(薄膜トランジスタ)液晶パネル、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、または、LCD(液晶ディスプレイ)等に用いられるガラス基板の需要が増している。
このようなガラス基板では破損を防ぐためガラス基板に柔軟性を持たせることで対処している。この柔軟性を確保するためガラス基板の厚みが薄くなる傾向にある。ガラス基板が薄くなるにともないガラス基板の重量も減少しつつある。このようにガラス基板が薄くなるにつれて、新たな問題が生じていた。以下、この点について説明する。
【0011】
(1)空転の問題
図18で示す基板用搬送除塵装置1000では、基板Gの重量の減少に伴い、搬送ローラ100と基板Gとの間の摩擦力が減少し、基板Gを搬送する搬送ローラ100は空転し易いという事象が散見されるようになった。そこで、安定した搬送を実現するため、ベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増大したいという要請がある。
【0012】
(2)除塵能力の増大
除塵能力の増大も求められている。除塵能力を増大させるためには、エア噴出室212,222からの噴出量を多くし、それに伴い基板Gに働かせるエア吸引室211,221やエア吸引室213,223の吸引力も多くする必要がある。こうすればベンチュリ効果のバランスを維持したまま、噴出圧力の増大により塵埃を確実に除去できるようになる。上記の(1)の事情も考慮すると、噴出圧力・吸引圧力を大きくしつつベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増大することが考えられる。
【0013】
(3)振動の問題
特に、図20(a)のような撓みの発生から、基板Gに振動が生じるという問題があった。この振動について説明する。なお、ここでは説明の簡略化のため、吸引スリット214,224をV1スリットと、噴出スリット215’,225’をPスリットと、吸引スリット216,226をV2スリットと、として説明する。
下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間に基板Gがない場合、図18で示すように噴出スリット215’,225’は上下方向に伸びるものであるため、上下のPスリットから出た洗浄エアはぶつかり合い、エアが乱れた状態となっている。このような状況下、基板Gが進行して、図18,図19で示すようにエア吸引室211,221の直下まで来ると、図19の基板Gの先端の斜線部が上下のV1スリットの間に介在して上下のV1スリットへエアが流入しにくくなって、反対側の上下のPスリット−V2スリット間のエア流量が増加し、Pスリット−V2スリット間とPスリット−V1スリット間に圧力差が生じる(Pスリット−V2スリット間の圧力がPスリット−V1スリット間に比較し低くなる。)。このため、ベンチュリ効果のバランスが乱れることとなる。
【0014】
本来ならば基板Gの上面と下面とを流れる洗浄エアにより両面でベンチュリ効果による吸引力が発生し、さらにベンチュリ効果のバランスにより基板Gが安定して搬送されるものであるが、図18,図19の状況では下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220ともにPスリット−V1スリットの流量が少ないためベンチュリ効果のバランスが狂っている。このような状況下で搬送がさらに進んで図20(a)のようにPスリットまで先端が到達すると、基板Gが上下のPスリットから出たエアを表裏面で受け、基板Gの先端(図19の基板Gの先端の斜線部を参照)で線状の噴射力が上下から加わって、その基板Gの先端が上下方向に振動する。そして、基板Gは柔軟性が増したために振動量は大きくなっている。
【0015】
基板Gの先端が下方向に動く場合、搬送ローラ100により抗力が働くが、基板Gの先端が上方向に働く場合、拘束するものがないため基板Gは上方向に持ち上げられる力が加わる。ここでも、基板Gの重量の減少に伴い、実際に持ち上がりやすいというおそれがあった。そこで、このような振動を影響したいという要請がある。
【0016】
(4)撓みの問題
薄くなった基板Gは、柔軟性を持つようになったことから撓みやすくなっている。例えば、図20(a)で示すように、基板Gの先端が吸引されて撓むと、下側除塵ユニット210の直近の搬送ローラ100に加わる力が大きくなって制動力となる車輪抵抗が大きくなり、さらに外側の搬送ローラ100では逆に基板Gが浮いてしまって回転力が伝わりにくくなり、これら作用が相乗的に相俟って空転に繋がるという問題があった。
なお、図20(b)で示すように、撓みは搬送途中でも常に起こりうる問題であるが、この場合は両側の搬送ローラ100で基板Gを支持していることから撓み量は少なくなっており、図20(a)のように先端の撓みのみ考慮すればよい。先に(1)〜(3)の課題解決のためベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増加することを検討していたが、下側への吸引力を増加する場合は、逆に撓みが増大するという問題もあった。 そこで、撓みの抑制も実現したいという要請がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板の先端が除塵ユニットに導入される際の撓みや振動が生じないようにするとともに、ベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増加するようにして、薄く柔軟性を有する基板であっても安定した搬送や、塵埃等の吸引の増加を実現するような基板用搬送除塵装置の使用方法、および、基板用搬送除塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に係る基板用搬送除塵装置の使用方法は、
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向に対して一辺方向が所定の交差角で傾斜するように配置された略四角形の基板とし、この基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項2に係る基板用搬送除塵装置の使用方法は、
請求項1に記載の基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
吸引スリットおよび噴出スリットの長手方向が基板搬送方向に対して略垂直であるとともに、略四角形の基板の一辺方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項3に係る基板用搬送除塵装置の使用方法は、
請求項1に記載の基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
略四角形の基板の一辺方向が基板搬送方向に対して略垂直であるとともに、吸引スリットおよび噴出スリットの長手方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜することを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項4に係る基板用搬送除塵装置は、
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向が略平行であり、かつそれぞれ基板搬送方向に対して略垂直となるように配置するとともに、
略四角状の基板の一辺方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜した状態であって基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項5に係る基板用搬送除塵装置は、
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向が略平行であって基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜するように配置するとともに、
略四角状の基板の搬送先端の一辺が基板搬送方向に対して略垂直であり、かつ基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項6に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項4記載の基板用搬送除塵装置において、
前記搬送手段は、棒状の搬送ローラを含み、
棒状の搬送ローラの軸方向は、除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向と略平行であり、かつそれぞれ搬送方向に対して略垂直となるように配置することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項7に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項5記載の基板用搬送除塵装置において、
前記搬送手段は、傾斜した配列方向に並べて配置された複数の円板状の搬送ローラを含み、
円板状の搬送ローラの配列方向は、除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向と略平行であって、基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜するように配置することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項8に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項4〜請求項7の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項9に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットへの吸引圧力と上側除塵ユニットへの吸引圧力とを同じにするとともに下側除塵ユニットからの噴出圧力を上側除塵ユニットからの噴出圧力よりも大きくすることで、下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項10に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットからの噴出圧力と上側除塵ユニットからの噴出圧力とを同じにするとともに下側除塵ユニットへの吸引圧力を上側除塵ユニットへの吸引圧力よりも大きくすることで、下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項11に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットから基板面までの間隔を、上側除塵ユニットから基板面までの間隔よりも下回る長さとするように調整することで、 下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の請求項12に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項9に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットおよび上側除塵ユニットからの噴出圧力を計測して、上側除塵ユニットからの噴出圧力が下側除塵ユニットからの噴出圧力よりも大きい場合に基板を除塵ユニットへの搬送を停止するように制御することを特徴とする。
【0030】
また、本発明の請求項13に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項4〜請求項12の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットは、搬送される基板に当接して回動する補助ローラを備えることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の請求項14に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項13に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記補助ローラは下側除塵ユニットの搬入側の外側部に配置されることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の請求項15に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項13または請求項14に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記補助ローラは下側除塵ユニットのエア吸引室の吸引スリット内に配置されることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の請求項16に係る基板用搬送除塵装置は、
請求項4〜請求項15の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記下側除塵ユニットおよび前記上側除塵ユニットは、エア噴出室とこれを挟む二個のエア吸引室とが基板搬送方向に沿って並べて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
以上のような本発明によれば、基板の先端が除塵ユニットに導入される際の撓みや振動が生じないようにするとともに、ベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増加するようにして、薄く柔軟性を有する基板であっても安定した搬送や、塵埃等の吸引の増加を実現するような基板用搬送除塵装置の使用方法、および、基板用搬送除塵装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
続いて、本発明を実施するための最良の形態(第1形態)の基板用搬送除塵装置およびその使用方法について図を参照しつつ説明する。図1は基板用搬送除塵装置およびその使用方法について説明する説明図である。図2は基板用搬送除塵装置の構造図である。図3は基板搬送方向から見た搬送ローラの構造図であり、図3(a)は第1構造図、図3(b)は第2構造図である。図4は除塵ユニットの断面図である。図5は基板搬送の説明図であり、図5(a)は突端が手前の吸引スリットに到達した状態の説明図、図5(b)は突端が噴出スリットに到達した状態の説明図、図5(c)は突端が奥の吸引スリットに到達した状態の説明図である。
【0036】
本形態の基板用搬送除塵装置1は、図1,図2で示すように、搬送ローラ100,除塵ユニット200を備える。この除塵ユニット200はさらに下側除塵ユニット210および上側除塵ユニット220を備え、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220により基板Gの表裏面が除塵される。
【0037】
搬送ローラ100は、搬送手段の一具体例であり、基板Gを支持・搬送するローラである。搬送ローラ100は、基板Gを搬送する駆動力を与えるように構成されるか、または、他の駆動源により搬送される基板Gに従動するように回動自在に構成されている。
搬送ローラ100は、図3(a)で示すように、基板Gの両側を渡される長いロッド状の搬送ローラ100とする場合と、図3(b)で示すように基板Gの一部のみ当接する複数個(図3(b)では四個)の短い棒状の搬送ローラ100とする場合と、二通りの態様がある。このような態様は適宜選択される。本形態の搬送ローラ100は、図3(a)で示すような長尺の搬送ローラ100であるものとして以下、説明する。
【0038】
下側除塵ユニット210は、図4で示すように、基板搬送方向(矢印a方向)に沿って、エア吸引室211、エア噴出室212、エア吸引室213が並べられて構成されており、搬送ローラ100側(下側)に配置されている。エア吸引室211,213は、図示しない吸気ポンプへ、また、エア噴出室212は図示しない送風ポンプへ、それぞれ接続されるものとする。エア吸引室211、エア噴出室212、エア吸引室213はそれぞれ吸引スリット214、噴出スリット215、吸引スリット216を備える。
【0039】
同様に、上側除塵ユニット220は、基板搬送方向(矢印a方向)に向かって、エア吸引室221、エア噴出室222、エア吸引室223となるように並べられて構成されており、搬送ローラ100のない側(上側)に配置されている。エア吸引室221,223は図示しない吸気ポンプへ、また、エア噴出室222は図示しない送風ポンプへ、それぞれ接続されるものとする。エア吸引室221、エア噴出室222、エア吸引室223はそれぞれ吸引スリット224、噴出スリット225、吸引スリット226を備える。
【0040】
下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220は、図2でも明らかなように、上下で対向して配置されており、さらに、吸引スリット214、噴出スリット215、吸引スリット216、吸引スリット224、噴出スリット225、吸引スリット226の長手方向は略平行である。特に吸引スリット214,224、噴出スリット215,225、吸引スリット216,226は真上から見ると一本の線に見えるように形成される。これら下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間を基板Gが搬送される。基板Gが下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間で挟まれるとき、基板Gの裏面から下側除塵ユニット210までの間隔と、基板Gの表面から上側除塵ユニット220までの間隔と、は略等しくなるように配置される。さらに本形態では下側除塵ユニット210のエア噴出室212からの噴出圧力は、上側除塵ユニット220のエア噴出室222からの噴出圧力よりも大きくして、ベンチュリ効果によるバランスを取って下側へ吸引されるようにしている。
【0041】
このベンチュリ効果によるバランスについて説明する。まず、ベンチュリ効果による吸引現象について説明する。まず、上側除塵ユニット220単体のみを考える。エア噴出室222から噴出された洗浄エアは、例えば、光のように反射してエア吸引室221,223へ向かうというものではなく、基板Gの表面に沿って流れるという特性がある。さらに、上側除塵ユニット220の直下では流路が狭く、上側除塵ユニット220の両外側では流路が広い構造となっている。
【0042】
このような状況下では、ベンチュリ効果により、流路が狭い上側除塵ユニット220の直下では圧力が低い状態になろうとするため、上側除塵ユニット220と基板Gとが吸引されるという吸引現象が発生する。
この場合、上側除塵ユニット220は機械的に固定されているが、基板Gは搬送ローラ100上に載置されているのみであるため、基板Gが搬送ローラ100から離れて上昇する。
このようにベンチュリ効果により、基板Gが上側除塵ユニット220へ吸引される。
【0043】
そこで、下側除塵ユニット210でも同様に噴出圧力を加えて、下側へ吸引するベンチュリ効果を加える。この際、先に説明したように、下側除塵ユニット210のエア吸引室211、エア吸引室213への吸引圧力と、上側除塵ユニット220のエア吸引室221、エア吸引室223への吸引圧力と、を同じにするとともに、下側除塵ユニット210のエア噴出室212からの噴出圧力は、上側除塵ユニット220のエア噴出室222からの噴出圧力よりも大きくして、ベンチュリ効果によるバランスを取って下側へ吸引されるようにしている。
これにより下側除塵ユニット210のベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニット220のベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板Gを搬送ローラ100に当接させる。
【0044】
基板Gは、例えば、TFT(薄膜トランジスタ)液晶パネル、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)またはLCD(液晶ディスプレイ)等に用いられるガラス基板である。図1〜図5で示す基板Gは長尺な基板Gの一部のみが図示されている。本明細書において、基板Gの上面を表面と、下面を裏面として定義する。
特に、本実施形態では薄くして柔軟性を有するようになった、TFT液晶パネル用のガラス基板を対象としている。
【0045】
続いて、本形態による除塵について説明する。
複数の基板Gが、所定の間隔を隔てて設けられた搬送ローラ100上を順次搬送されるものとする。
この際、基板Gは、図1,図2で示すように、搬送ローラ100により支持されて搬送平面上を移動するものであり、さらに略四角形の基板Gの一辺方向と、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220のエア吸引室211,213,221,223の吸引スリット214,216,224,226およびエア噴出室212,222の噴出スリット215,225の長手方向と、が所定の交差角で傾斜して交差しつつ搬送される。基板搬送方向aを基準に取れば、吸引スリット214,216,224,226および噴出スリット215,225の長手方向が基板搬送方向aに対して略垂直であるとともに、略四角形の基板の一辺方向が基板搬送方向aの略垂直方向に対して所定の交差角αで傾斜する。この交差角は図1(a)で示すように、角度αをなすように配置される。この交差角αについては後述する。
【0046】
このような傾斜した状態の基板Gが下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220に搬送されて除塵が行われるものとする。この場合、除塵ユニット200は、エア噴出室212,222による洗浄エアの噴出、および、エア吸引室211,213,221,223による塵埃の吸引を常時行っているものとする。つまり、基板Gにおいて、表裏両面が除塵対象面となる。
【0047】
まず、除塵される基板Gが、下側除塵ユニット210の直上を、矢印a方向に搬送される。
基板Gの突端G1は先端の一部であり、図5(a)で示すように突端G1がエア吸引室211,221の吸引スリット214,216の間に進入する。この場合、基板Gの突端G1の斜線部のみに吸引圧力が加わっているため吸引圧力は小さく、従来技術のような先端全体に吸引圧力が加わらないため(図19参照)、撓みが発生するおそれを著しく低減している。
【0048】
また、振動についても抑制される。この点について説明する。なお、ここでも説明の簡略化のため、吸引スリット214,224をV1スリットと、噴出スリット215,225をPスリットと、吸引スリット216,226をV2スリットと、として説明する。図4で示すように、上下のPスリットは、基板搬送方向aと反対側に傾斜しており、基板Gは、これらPスリットへ向かうように進行する。
【0049】
このような状況下で図5(a)で示す状態になると、基板Gの進行によりV1スリットへのエアの流入は妨げられるが、その遮蔽領域は狭く、直ちに上下のV1スリットへ洗浄エアが流入しにくくなるという事態は回避され、洗浄エアの流れが乱れるような事態はおこらない。加えて、Pスリットの傾斜により洗浄エアは強制的にP−V1間の方向に送られるため、エアの多くは変わりなくP−V1間を流れる。
このため、Pスリット−V1スリット間のエア流量と、反対側のPスリット−V2スリット間のエア流量とは均衡して、Pスリット−V1スリット間とPスリット−V2スリット間に圧力差がほぼ0(Pスリット−V1スリット間の圧力がPスリット−V2スリット間の圧力とほぼ同じである。)という状態を維持し、この点でも洗浄エアの流れが乱れるような事態はおこらない。したがってこれら作用が相俟ってベンチュリ効果のバランスが維持される。
【0050】
続いて、図5(b),図5(c)で示すように、基板Gが基板搬送方向aに沿って搬送される。
この際も吸引圧力・噴出圧力等が加わる。しかしながら、搬送ローラ100から基板Gが突出する量(以下オーバハング量という)は基板Gの全長よりも充分小さいことに加え、先に説明した原理により、噴射・吸引により加わる圧力を斜線領域で示すように従来よりも少なくし、かつベンチュリ効果のバランスも維持されるため、撓み・振動等を抑制しつつそのまま搬入が続いて、下側除塵ユニット210の両側の搬送ローラ100により支持される。その後は、基板Gは、吸引力と自重とが相俟って搬送ローラ100へ強固に当接するため、基板Gが搬送ローラ100から離脱するという事態は発生しない。
【0051】
続いて先に説明した交差角αについて説明する。この交差角αは、0°から45°までの鋭角であり、好ましくは1°〜30°程度が好ましい。このような交差角αの具体的な値であるが、基板Gにより適宜決定されるが、例えば、ガラス400mm×500mm×厚さ0.7mmである基板Gを用いて交差角αを変更させた場合の噴出圧力の上限(これ以上の噴出圧力では振動・撓みが生じる)を次表に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
このように交差角αを増加させるにつれて噴出圧力の上限が増大する傾向が見て取れる。これは、交差角αを増大させるにつれて、噴出圧力による面積(図5の斜線部)が低下して加わる力が減少するためと推察される。
【0054】
以上、説明した基板用搬送除塵装置およびその使用方法によれば、基板Gの安定した搬送は基板G上面と下面を流れるエアにより発生するベンチュリ効果のバランスにより得られるが、下側除塵ユニット210、上側除塵ユニット220を基板Gが進入通過する最中でもベンチュリ効果のバランスが得られるようにしたため、安定した搬送を得ることができる。特に傾斜したV1スリット,Pスリット,V2スリットを採用することでエア噴出室201P,301Pからの噴出圧力を今まで程度とすることができ除塵能力を確保しつつ基板Gの撓みを少なくし、安定した搬送(基板Gが噴出スリットの近くで浮き上がらない、また、下側に引き付ける力が弱いため基板Gの撓みによる搬送トラブルが起こりづらい、という搬送。)が可能になる。さらに交差角αを最大限に大きくすれば噴出圧力も増加でき、ベンチュリ効果のバランスを維持しつつ吸引力や除塵能力の改善も見込める。
【0055】
続いて、本発明の基板用搬送除塵装置およびその使用方法の第2形態について図を参照しつつ説明する。なお、先に説明した従来技術や第1形態と同じ構成については、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。図6は第2形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
本形態の基板用搬送除塵装置は、図6で示すように、搬送ローラ100、除塵ユニット200、搬送制御部300を備えている。図2に示す第1形態の構成にさらに搬送制御部300を追加した構成である。この基板用搬送除塵装置1では矢印a方向に基板Gが搬送される。
搬送ローラ100、除塵ユニット200は、第1形態と同じであり、その重複する説明を省略する。
搬送制御部300は、図6で示す二個の圧力導入部301、差圧センサ302、駆動制御部303からなるものである。
【0056】
圧力導入部301は、エア噴出室212,222の室内に設置され、エア噴出室212,222におけるエアを導入するようになされている。
差圧センサ302は、二個の圧力導入部301からのエアを入力し、これらエアの差圧を計測して差圧信号を出力する。
駆動制御部303は、差圧センサ302から出力される差圧信号に応じて、搬送ローラ100の駆動制御を行う。
【0057】
なお、搬送制御部300は、上記した構成に限定されるというものではなく、例えば、図示しないが、エア噴出室212,222の室内にそれぞれ圧力検出センサ(トランスデューサ)が設置され、エア噴出室212,222における噴出圧力を計測してそれぞれが圧力信号を出力し、これら二箇所から送信される圧力信号に基づいて差圧信号を演算し、この差圧信号に応じて、駆動制御部303が搬送ローラ100の駆動制御を行うようにしても良い。
これら構成は適宜選択されるが、例えば、小規模な装置では、図4で示すような差圧センサ302を用いる形態がコスト等の観点から好ましい。
【0058】
続いて、本形態による除塵について説明する。
複数の基板Gが、所定の間隔を隔てて順次搬送され、除塵が行われるものとする。この場合下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220は、エア噴出室212,222による洗浄エアの噴出、および、エア吸引室211,213,221,223による塵埃の吸引が常時行われているものとする。
【0059】
まず、除塵される基板Gが、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間を、矢印a方向に搬送される。この基板Gは表裏両面が除塵対象面となる。
この場合、下側除塵ユニット210のエア噴出室212(下側)から噴出される洗浄エアの噴出圧力は、上側除塵ユニット220のエア噴出室201P(上側)から噴出される洗浄エアの噴出圧力より大きい値としており、先に説明したように下側へ吸引されるように調整されている。
また、基板Gが下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間で挟まれている場合、基板Gの裏面から下側除塵ユニット210までの間隔と、基板Gの表面から上側除塵ユニット220までの間隔と、は略等しくなるように配置される。
【0060】
そして、洗浄エアの噴出中では、二個の圧力導入部301を介してエアが差圧センサ302へ導入され、差圧センサ302から差圧信号を駆動制御部303へ出力している。
駆動制御部303は、上側から噴出される洗浄エアの噴出圧力が、下側から噴出される洗浄エアの噴出圧力より大きい値であるならば異常状態と、それ以外は正常状態と判定する。
駆動制御部303は、噴出圧力が正常状態であると判断したならば、搬送ローラ100を回転するように制御して、基板Gを下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220の間に進入させる。一方、異常状態では搬送ローラ100を停止するように制御する。
【0061】
これにより、噴出圧力が変動して上側除塵ユニット220の吸引力が下側除塵ユニット210の吸引力よりも大きいという異常状態では基板Gを停止させ、その一方で、正常状態では基板Gは搬送ローラ100に搬送されるように構成したため、基板Gが搬送ローラ100から浮き上がって離脱するおそれをさらに小さくし、基板Gは搬送ローラ100に確実に当接した状態で除塵される。
【0062】
このため、基板Gが損傷するおそれを低減させるとともに、搬送機構としては最小限の搬送ローラ100のみで済むため、広大な設備スペースや複雑、高価な装置構成が不要になる。特に、基板両面の洗浄が必要な場合には好適である。
【0063】
続いて、本発明の基板用搬送除塵装置およびその使用方法の第3形態について図を参照しつつ説明する。なお、従来技術、第1,2形態と同じ構成については、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。図7は本形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。図8は補助ローラの構成図であり、図8(a)は第1構造図、図8(b)は第2構造図である。図9は改良形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
本形態の基板用搬送除塵装置は、図2で示す第1形態に対し、さらに補助ローラ102を設けた形態である。
【0064】
搬送ローラ100、除塵装置200は第1形態と同じであるため、その重複する説明を省略し、相違点のみ説明する。
図7で示すように、下側除塵ユニット210の搬入側と搬出側との両外側部に補助ローラ102が配置される。補助ローラ102は、例えば、図8(a)で示すように側面から見て一輪の構成としたり、図8(b)で示すように二輪(あるいは三以上の複数輪)の構成としてもよい。本形態では図8(b)の複数輪であるものとして説明する。
【0065】
続いて、本形態による除塵について、第1形態との相違点に重点をおいて説明する。
複数の基板Gが、所定の間隔を隔てて順次搬送され、除塵が行われるものとする。この場合除塵ユニット200で、エア噴出室212,222による洗浄エアの噴出、および、エア吸引室211,213,221,223による塵埃の吸引が常時行われているものとする。
【0066】
まず、除塵される基板Gが、除塵ユニット200に向けて、矢印a方向に搬送される。
基板Gは、ベンチュリ効果により下側除塵ユニット210がある下側へ吸引される。しかしながら、搬送ローラ100に加え補助ローラ102が基板Gを支持しているため、従来よりオーバハング量を減少させており、基板Gは補助ローラ102・搬送ローラ100に当接したまま搬入され、下側除塵ユニット210の両側にある補助ローラ102・搬送ローラ100に支持される。その後は、吸引力と相俟って基板Gが補助ローラ102・搬送ローラ100に確実に当接するため、基板Gが搬送ローラ100から離脱するという事態は発生しない。
【0067】
以上説明したように、本形態では、基板Gが搬送ローラ100上を離れることなく搬送されるという効果に加え、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220への進入時に補助ローラ102によりオーバハング量を減少させることで基板Gの先端が吸引されるというおそれをさらに小さくしている。
このため、基板Gが損傷するおそれを除くと共に、搬送機構としては最小限の搬送ローラ100・補助ローラ102のみで済むので、広大な設備スペースや複雑、高価な装置構成が不要になる。
【0068】
なお、図9で示すように第2形態に補助ローラ102を加えた改良形態を採用しても、この第3形態と同様の効果も奏しうるようになる。
【0069】
続いて、本発明の基板用搬送除塵装置およびその使用方法の第4形態について図を参照しつつ説明する。なお、従来技術、第1,2,3形態と同じ構成については、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。図10は本形態の基板用搬送除塵装置の構成図、図11は補助ローラ構造の説明図である。図12は改良形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。本形態の基板用搬送除塵装置は、第1形態に対し、さらに補助ローラを設けた形態であるが、第3形態とは異なる位置に補助ローラを配置した点が相違している。
【0070】
本形態では、図10で示すように、下側除塵ユニット210のエア吸引室211,213の上側に補助ローラ103が配置される。補助ローラ103は、例えば、図11で示すように、エア吸引室211,213の吸引スリット214,216内に配置されている。なお、この補助ローラ103は、例えば、図8(a)で示すような基板搬送方向から見て一輪であったり、図8(b)で示すような側面から見て複数輪(図8(b)で示すように少なくとも二輪)の構成である。このような補助ローラ103の存在に拘わらず、塵埃の吸引には影響がないような充分大きい吸引スリット214,216を確保すれば、除塵能力に問題は生じない。
【0071】
以上説明したように、本形態では、基板Gが搬送ローラ100上を離れることなく搬送されるという効果に加え、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220への進入時に補助ローラ103によりオーバハング量を減少させることで基板Gの先端が吸引されるというおそれも小さくしている。
このため、基板Gが損傷するおそれを除くと共に、搬送機構としては最小限の搬送ローラ100・補助ローラ103のみで済むので、広大な設備スペースや複雑、高価な装置構成が不要になる。
【0072】
なお、図12で示すように第2形態に補助ローラ103を加えた改良形態を採用しても、この第4形態と同様の効果も奏しうるようになる。
【0073】
続いて、本発明の基板用搬送除塵装置およびその使用方法の第5形態について図を参照しつつ説明する。なお、従来技術、第1,2,3,4形態と同じ構成については、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。図13は本形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。図14は本形態の基板用搬送除塵装置による基板搬送の説明図である。図15は本形態の基板用搬送除塵装置による基板搬送の説明図であり、図15(a)は突端が手前の吸引スリットに到達した状態の説明図、図15(b)は突端が噴出スリットに到達した状態の説明図、図15(c)は突端が奥の吸引スリットに到達した状態の説明図である。図16は、搬送ローラの支軸の説明図である。図17は、補助ローラの説明図である。
【0074】
本形態の基板用搬送除塵装置1は、先に説明した第1,第2,第3,第4形態の何れかと同一の構成を有するものであるが、相違する点は、基板Gを傾斜させる代わりに下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220を傾斜させるようにした。この場合、下側除塵ユニット210の前段・後段に配列方向が傾斜した搬送ローラ104を配置している。この搬送ローラ104は、図13で示すように、円板状であって複数個が斜め方向に並んで配置されている。これにより、下側除塵ユニット210を傾斜して配置することができる。
【0075】
また、除塵ユニット200が斜めになっても、吸引スリット214,224、噴出スリット215,225、吸引スリット216,226は真上から見ると一本の線に見えるように形成される。
そして、略四角形の基板Gの一辺方向に対して、下側除塵ユニット210および上側除塵ユニット220のエア吸引室212,222の線状の吸引スリット215,225の長手方向、および、エア噴出室211,213,221,223の線状の噴出スリット214,216,224,226の長手方向は所定の交差角で傾斜するように構成されている。なお、基板搬送方向aを基準にとれば、略四角形の基板Gの一辺方向が基板搬送方向aに対して略垂直であるとともに、吸引スリット215,225および噴出スリット214,216,224,226の長手方向が基板搬送方向aの略垂直方向に対して所定の交差角αで傾斜する。このような基板Gの突端G1が先頭となるように除塵ユニット200に搬送されつつ除塵を受ける。この交差角は図14で示すように、角度αをなすように構成される。
【0076】
続いて、本形態による除塵について説明する。
複数の基板Gが、所定の間隔を隔てて設けられた搬送ローラ100,104上を順次搬送されるものとする。
このような傾斜した状態の基板Gが下側除塵ユニット210および上側除塵ユニット220に入って、除塵が行われるものとする。この場合、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220は、エア噴出室212,222による洗浄エアの噴出、および、エア吸引室211,213,221,223による塵埃の吸引を常時行っているものとする。つまり基板Gにおいて、表裏両面が除塵対象面となる。
【0077】
まず、除塵される基板Gが、下側除塵ユニット210の直上を、矢印a方向に搬送される。
基板Gの突端G1の一部は、図15(a)で示すようにエア吸引室211,221の間に進入する。この場合、基板Gの斜線部のみに吸引圧力が加わっているため吸引圧力は小さく、従来技術のような先端全体に吸引圧力が加わらないため(図19参照)、撓みが発生するおそれを著しく低減している。
【0078】
また、振動についても図4を用いて説明したように、Pスリット−V1スリット間のエア流量と、反対側のPスリット−V2スリット間のエア流量とは均衡して、Pスリット−V1スリット間とPスリット−V2スリット間に圧力差がほぼ0(Pスリット−V1スリット間の圧力がPスリット−V2スリット間の圧力とほぼ同じである。)という状態を維持する。したがってベンチュリ効果のバランスが維持される。
【0079】
以下続いて、図15(b),図15(c)で示すように、基板Gが基板搬送方向へ搬送される。この際、斜線部のような吸引圧力・噴出圧力が加わるが、搬送ローラ104(または補助ローラ102や補助ローラ103)から基板Gが突出する量(以下オーバハング量という)は基板Gの全長よりも充分小さい一部のみであることに加え、先に説明した原理によりベンチュリ効果のバランスが維持されるため、撓み・振動等を抑制しつつそのまま搬入が続いて、下側除塵ユニット210の両側の搬送ローラ104(または補助ローラ102や補助ローラ103)により支持される。その後は、基板Gは、吸引力と自重とが相俟って搬送ローラ100,104へ強固に当接するため、基板Gが搬送ローラ100,104から離脱するという事態は発生しない。
【0080】
なお、搬送ローラ104は複数あるが、他と比較して高さが高い搬送ローラ104が一つある場合、その搬送ローラ104のみに基板Gが乗るため、その箇所に力が集中し、基板Gに歪み等悪影響を与えるおそれがある。そこで、図16は、搬送ローラ104の支軸105に板バネ106を介在させて高さを調整できるようにしている。こうすれば、基板Gの一カ所で力が集中する事態を回避できる。また、位置決めの関係から搬送ローラの配列方向の最外では、板ばね106を外して支軸105のみとすれば位置決めが確保できる。
【0081】
また、図17で示すように、下側除塵ユニット210のエア吸引室211,213の吸引スリット215,225の上側に補助ローラ103が配置される(図10,図11で示すような構造となる)ようにしてもよい。円板状の補助ローラの配列方向は、下側除塵ユニットのエア吸引室211,213の吸引スリット215,225の長手方向と一致するものである。このような補助ローラ103の存在に拘わらず、塵埃の吸引には影響がないような充分大きい吸引口を確保すれば、除塵能力に問題は生じない。
【0082】
このように、本形態では、上記した第1〜第4形態と同様の効果を得ることができる点に加え、基板Gを斜め方向にして搬送ローラ100に載置する作業がなくなり、基板搬送方向aに対して基板Gの一辺方向が垂直になるような通常の配置を行えば、交差角αも自動的に設定できるようになって、予め設計された吸引力を付与することができる。また、作業員に交差角αだけ斜めにする作業を不要として、作業性も高めることができる。
【0083】
以上第1〜第5形態について説明したが、さらに各種の変形形態も可能である。第1〜第5形態において、下側除塵ユニット210,上側除塵ユニット220は2個のエア吸引室の間に1個のエア噴出室を配置した例(V−P−V構造)であるものとして説明したが、これ以外に2個のエア噴出室の間に1個のエア吸引室を配置した例(P−V−P構造)、1個のエア吸引室と1個のエア噴出室を並べて配置した例(P−V構造やV−P構造)としてもよい。これら構成が適宜選択される。
【0084】
また、第1〜第5形態ではベンチュリ効果の調整として上下の噴出圧力を変更させたものであったが、他の調整も可能である。
例えば、下側除塵ユニット210からの噴出圧力と上側除塵ユニット220からの噴出圧力とを同じにするとともに、下側除塵ユニット210への吸引圧力を上側除塵ユニット220への吸引圧力よりも大きくすることで、下側除塵ユニット210のベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニット220のベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板Gを搬送ローラ100,104や補助ローラ102,103へ押圧する力を付与するようにしても良い。なお、この場合、図6,図9,図12の形態の搬送制御部は採用できない。
【0085】
また、下側除塵ユニット210から基板Gの裏面までの間隔を、上側除塵ユニット220から基板Gの表面までの間隔よりも下回る長さとするように調整することで、 下側除塵ユニット210のベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニット220のベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板Gを搬送ローラ100,104や補助ローラ102,103へ手段へ押圧する力を付与するようにしても良い。なお、この場合、図6,図9,図12の形態の搬送制御部は採用できない。
【0086】
また搬送手段として搬送ローラ100,104や補助ローラ102,103を考慮した構成について説明したが、搬送手段の他の例として、例えば、高さ方向の位置決め手段を確保するとともに、エアが噴出する無数の噴出孔を形成した搬送面とし、この搬送面の上に基板Gを配置してエアにより搬送するような構成としても良い。この場合でも基板搬送方向と各スリットの長手方向とで所定の交差各αを確保しておけば上記のような効果を奏しうる。
また、図7の補助ローラ102と図10の補助ローラ103とを共に備えるような搬送手段としても良い。
【0087】
以上本形態の基板用搬送除塵装置およびその使用方法について説明した。このような基板用搬送除塵装置およびその使用方法によれば、上記した(1)空転の問題、(2)除塵能力の増大、(3)振動の問題、(4)撓みの問題問題が解決する。
まず、図4で示す傾斜スリットによりエアが乱れないようにしてベンチュリ効果のバランスが崩れないようにできるため(3)振動の問題、(4)撓みの問題が解消された。
また、図1,図14で示すような略四角形の基板の一辺方向と、除塵ユニットのエア吸引室の吸引スリットおよびエア噴出室の噴出スリットの長手方向と、が所定の交差角で交差しつつ搬送・除塵されるようにしたため、オーバハングされる基板Gへの圧力を減少させて、この点でも(3)振動の問題、(4)撓みの問題が解消された。
そして、振動や撓みが起こりにくくなったため、噴出圧力や吸引圧力を増大させるとともにベンチュリ効果のバランスを調整して下側への吸引力を増大させることも可能となり、(1)空転の問題、(2)除塵能力の増大がそれぞれ解消された。
これらが相乗的に相俟って信頼性を高めた基板用搬送除塵装置およびその使用方法とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】基板用搬送除塵装置およびその使用方法について説明する説明図である。
【図2】基板用搬送除塵装置の構造図である。
【図3】基板搬送方向から見た搬送ローラの構造図であり、図3(a)は第1構造図、図3(b)は第2構造図である。
【図4】除塵ユニットの断面図である。
【図5】基板搬送の説明図であり、図5(a)は突端が手前の吸引スリットに到達した状態の説明図、図5(b)は突端が噴出スリットに到達した状態の説明図、図5(c)は突端が奥の吸引スリットに到達した状態の説明図である。
【図6】第2形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図7】第3形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図8】補助ローラの構成図であり、図8(a)は第1構造図、図8(b)は第2構造図である。
【図9】改良形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図10】第4形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図11】補助ローラ構造の説明図である。
【図12】改良形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図13】第5形態の基板用搬送除塵装置の構成図である。
【図14】第5形態の基用搬送除塵装置による基板搬送の説明図である。
【図15】第5形態の基板用搬送除塵装置による基板搬送の説明図であり、図15(a)は突端が手前の吸引スリットに到達した状態の説明図、図15(b)は突端が噴出スリットに到達した状態の説明図、図15(c)は突端が奥の吸引スリットに到達した状態の説明図である。
【図16】搬送ローラの支軸の説明図である。
【図17】補助ローラの説明図である。
【図18】従来技術の基板用搬送除塵装置の説明図である。
【図19】従来技術の基板用搬送除塵装置の説明図である。
【図20】基板のたわみを説明する説明図であり、図20(a)は基板の先端のたわみを説明する説明図、図20(b)は基板の中間箇所のたわみを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1:基板用搬送除塵装置
100:搬送ローラ
101:支軸
102,103:補助ローラ
104:搬送ローラ
105:支軸
106:板バネ
200:除塵ユニット
210:下側除塵ユニット
211,213:エア吸引室
212:エア噴出室
214,216:吸引スリット
215:噴出スリット
220:上側除塵ユニット
221,223:エア吸引室
222:エア噴出室
224,226:吸引スリット
225:噴出スリット
300:搬送制御部
301:圧力導入部
302:差圧センサ
303:駆動制御部
G:基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向に対して一辺方向が所定の交差角で傾斜するように配置された略四角形の基板とし、この基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする基板用搬送除塵装置の使用方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
吸引スリットおよび噴出スリットの長手方向が基板搬送方向に対して略垂直であるとともに、略四角形の基板の一辺方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜することを特徴とする基板用搬送除塵装置の使用方法。
【請求項3】
請求項1に記載の基板用搬送除塵装置の使用方法であって、
略四角形の基板の一辺方向が基板搬送方向に対して略垂直であるとともに、吸引スリットおよび噴出スリットの長手方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜することを特徴とする基板用搬送除塵装置の使用方法。
【請求項4】
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向が略平行であり、かつそれぞれ基板搬送方向に対して略垂直となるように配置するとともに、
略四角状の基板の一辺方向が基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜した状態であって基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項5】
基板の下側から支持力を付与し、所定の基板搬送方向へ基板を搬送する搬送手段と、
少なくとも各1個のエア吸引室およびエア噴出室を有する上側除塵ユニットおよび下側除塵ユニットを基板の表裏面両側に二個一組で対向させつつ配置するとともに、エア噴出室の線状のスリットを介して基板表面に向けて洗浄エアを噴出し、飛散する塵埃をエア吸引室の線状のスリットを介して吸引するようにした除塵ユニットと、
を備える基板用搬送除塵装置であって、
除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向が略平行であって基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜するように配置するとともに、
略四角状の基板の搬送先端の一辺が基板搬送方向に対して略垂直であり、かつ基板の突端が先頭となるように除塵ユニットに搬送されつつ除塵を受けることを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項6】
請求項4記載の基板用搬送除塵装置において、
前記搬送手段は、棒状の搬送ローラを含み、
棒状の搬送ローラの軸方向は、除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向と略平行であり、かつそれぞれ搬送方向に対して略垂直となるように配置することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項7】
請求項5記載の基板用搬送除塵装置において、
前記搬送手段は、傾斜した配列方向に並べて配置された複数の円板状の搬送ローラを含み、
円板状の搬送ローラの配列方向は、除塵ユニットのエア吸引室の線状の吸引スリットの長手方向およびエア噴出室の線状の噴出スリットの長手方向と略平行であって、基板搬送方向の略垂直方向に対して所定の交差角で傾斜するように配置することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項8】
請求項4〜請求項7の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項9】
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットへの吸引圧力と上側除塵ユニットへの吸引圧力とを同じにするとともに下側除塵ユニットからの噴出圧力を上側除塵ユニットからの噴出圧力よりも大きくすることで、下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項10】
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットからの噴出圧力と上側除塵ユニットからの噴出圧力とを同じにするとともに下側除塵ユニットへの吸引圧力を上側除塵ユニットへの吸引圧力よりも大きくすることで、下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項11】
請求項8記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットから基板面までの間隔を、上側除塵ユニットから基板面までの間隔よりも下回る長さとするように調整することで、 下側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力を、上側除塵ユニットのベンチュリ効果による吸引力よりも大きい力とし、基板を搬送手段へ押圧する力を付与することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項12】
請求項9に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットおよび上側除塵ユニットからの噴出圧力を計測して、上側除塵ユニットからの噴出圧力が下側除塵ユニットからの噴出圧力よりも大きい場合に基板を除塵ユニットへの搬送を停止するように制御することを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項13】
請求項4〜請求項12の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
下側除塵ユニットは、搬送される基板に当接して回動する補助ローラを備えることを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項14】
請求項13に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記補助ローラは下側除塵ユニットの搬入側の外側部に配置されることを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記補助ローラは下側除塵ユニットのエア吸引室の吸引スリット内に配置されることを特徴とする基板用搬送除塵装置。
【請求項16】
請求項4〜請求項15の何れか一項に記載の基板用搬送除塵装置において、
前記下側除塵ユニットおよび前記上側除塵ユニットは、エア噴出室とこれを挟む二個のエア吸引室とが基板搬送方向に沿って並べて配置されることを特徴とする基板用搬送除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−14846(P2007−14846A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196981(P2005−196981)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(591252781)ヒューグルエレクトロニクス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】