説明

塗布システムおよび塗布方法

【課題】複数の吐出口からの流動性材料の吐出により基板上に塗布された流動性材料の複数のラインの乾燥後の断面形状を均一化する。
【解決手段】塗布システムの塗布装置では、それぞれの吐出口から有機EL液を連続的に吐出する複数のノズルを主走査し、当該主走査毎に基板9を副走査することにより、基板9上に有機EL液の複数のラインが塗布されて有機EL材料が仮定着する。そして、ガス付与装置3において、基板9上に仮定着している有機EL材料に溶媒ガスを付与して流動性を増大させた上で均一に乾燥させることにより、塗布装置1における塗布の進行方向と複数のノズルの位置との関係により生じる塗布ムラ(すなわち、基板9上に仮定着した有機EL材料による複数の線状要素の断面形状の不均一)を解消し、複数の吐出口からの有機EL液の吐出により基板9上に塗布された有機EL液の複数のラインの乾燥後における断面形状を均一化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に流動性材料を塗布する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体の基板上にレジスト液等の流動性材料を塗布する装置として、特許文献1に開示されるように、流動性材料を連続的に吐出するノズルを基板上で走査することにより、複数の平行線状に流動性材料を塗布する塗布装置が知られている。当該塗布装置では、複数の平行線状に塗布された流動性材料が広がって互いに接触することにより、基板の主面全域に流動性材料が塗布される。
【0003】
特許文献1では、レジスト塗布装置により塗布液が塗布された半導体の基板を、レジスト塗布装置とは別に設けられた溶剤雰囲気装置において塗布液の溶剤雰囲気に曝すことにより、溶剤を塗布液表面に付着させて塗布液表面の粘性を低下させ、その後、基板が収容されている容器内を減圧することにより気流を形成して当該気流により塗布液の表面を平坦化する(すなわち、基板上の塗布液の膜厚の均一性を向上する)とともに当該塗布液を乾燥する技術が開示されている。
【0004】
ところで、流動性材料を吐出するノズルを走査することにより基板に流動性材料を塗布する塗布装置は、平面表示装置用のガラス基板に対して画素形成材料を含む流動性材料を塗布する際にも応用が検討されている。典型的な例では、基板上に形成された隔壁に沿ってノズルを繰り返し走査することにより、流動性材料が所定のピッチにてストライプ状に塗布される。
【0005】
このとき、基板上では、流動性材料の各ラインから溶媒成分が蒸発し、これらのラインが塗布された順に乾燥していく。流動性材料の各ラインでは、乾燥するまでの間に画素形成材料が十分に分散して基板上にほぼ均一に定着するが、塗布から乾燥終了までの時間が短いと、画素形成材料の分散の程度が他の領域と異なる状態で流動性材料の乾燥が終了してしまうこととなる。
【0006】
基板上の塗布の開始端側のラインおよび終端側のラインでは、塗布領域の中央部に比べて、周囲の流動性材料から蒸発する溶媒成分の量が少ないため、雰囲気中の溶媒成分の濃度が低くなる。このため、流動性材料の乾燥時間が他の領域に比べて短くなり、画素形成材料の分散状態が中央部と異なってしまう。そこで、特許文献2では、基板上の塗布の開始端側および終端側のそれぞれにおいて、塗布領域の外側の非塗布領域に流動性材料を塗布する(ダミーラインを形成する)ことにより、流動性材料の乾燥時間が他の領域よりも短くなることを抑制する手法が開示されている。
【0007】
一方、特許文献3では、塗布装置において基板が載置されるステージにヒータを設けることにより、基板に塗布された処理液の溶剤の乾燥、蒸発を促進させ、処理液を流動しない程度に硬化させる手法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−17402号公報
【特許文献2】特開2007−144240号公報
【特許文献3】特開2006−164905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、塗布装置における塗布効率の向上を図るために、複数のノズルの走査、および、走査方向に垂直な方向への基板のステップ移動を繰り返すことにより、ガラスの基板上に流動性材料をストライプ状に塗布する場合、基板のステップ移動方向の後側には流動性材料が塗布されていないため、複数のノズルのうち、ステップ移動方向に関して最も後側に位置するノズルにより塗布された流動性材料のラインの周囲では、他のノズルにより塗布された流動性材料のラインの周囲に比べて雰囲気中の溶媒成分の濃度が低くなってしまう。
【0009】
このため、最も後側のノズルにより塗布された流動性材料のラインが、他のノズルにより塗布された流動性材料のラインよりも早く乾燥し、これにより、画素形成材料の分散状態が他のラインと異なってしまう。その結果、基板上に塗布された流動性材料の複数のラインの乾燥後の形状が不均一となって塗布ムラが発生し、製品となった後の平面表示装置における表示の質が低下してしまう場合がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数の吐出口からの流動性材料の吐出により基板上に塗布された流動性材料の複数のラインの乾燥後の形状を均一化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、揮発性の溶媒および基板上に付与する塗布材料を含む流動性材料を前記基板の主面に平行な副走査方向に関して等間隔にて配列された複数の吐出口から前記基板の前記主面に向けて連続的に吐出する吐出機構、および、前記吐出機構を前記副走査方向に垂直かつ前記主面に平行な主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記副走査方向に相対的に移動する移動機構を備え、前記基板上にて前記主走査方向に伸びるとともに前記副走査方向に一定のピッチにて配列された前記流動性材料の複数のラインを形成する塗布装置と、前記流動性材料の前記溶媒または前記溶媒と同等の揮発性材料のガスを前記基板に供給することにより、前記塗布装置により塗布された前記基板上の前記流動性材料に前記ガスを付与して前記流動性材料の流動性を増大させるガス供給機構、および、前記ガスが付与された前記流動性材料を乾燥することにより前記流動性材料の前記塗布材料を前記基板上に定着させる乾燥機構を備えるガス付与装置とを備える。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗布システムであって、前記ガス付与装置が、前記ガス供給機構により供給される前記ガスを加熱するガス加熱部をさらに備える。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の塗布システムであって、前記ガス付与装置が、密閉された内部空間に前記基板が収容されるチャンバをさらに備え、前記ガス供給機構により、前記ガスが前記チャンバの前記内部空間に供給される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の塗布システムであって、前記乾燥機構が、前記チャンバの前記内部空間を減圧雰囲気とする減圧機構を有する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の塗布システムであって、前記乾燥機構が、前記基板を加熱する基板加熱機構を有する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布システムであって、前記流動性材料の前記塗布材料が平面表示装置用の画素形成材料である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布方法であって、a)揮発性の溶媒および基板上に付与する塗布材料を含む流動性材料を前記基板の主面に平行な副走査方向に関して等間隔にて配列された複数の吐出口から前記基板の前記主面に向けて連続的に吐出しつつ、前記複数の吐出口を前記副走査方向に垂直かつ前記主面に平行な主走査方向に前記基板に対して相対的に移動する工程と、b)前記基板を前記副走査方向に前記複数の吐出口に対して相対的に移動する工程と、c)前記a)工程および前記b)工程を繰り返すことにより、前記基板上にて前記主走査方向に伸びるとともに前記副走査方向に一定のピッチにて配列された前記流動性材料の複数のラインを形成する工程と、d)前記流動性材料の前記溶媒または前記溶媒と同等の揮発性材料のガスを前記基板に供給することにより、前記基板上の前記流動性材料に前記ガスを付与して前記流動性材料の流動性を増大させる工程と、e)前記ガスが付与された前記流動性材料を乾燥することにより前記流動性材料の前記塗布材料を前記基板上に定着させる工程とを備える。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の塗布方法であって、前記d)工程よりも前に、前記基板に供給される前記ガスを加熱する工程をさらに備える。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の塗布方法であって、前記c)工程と前記d)工程との間に、前記流動性材料が塗布された前記基板をチャンバの密閉された内部空間に収容する工程をさらに備え、前記d)工程における前記ガスの供給が、前記チャンバの前記内部空間内の前記基板に対して行われる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の塗布方法であって、前記e)工程において、前記チャンバの前記内部空間が減圧される。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の塗布方法であって、前記e)工程において、前記基板が加熱される。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、複数の吐出口からの流動性材料の吐出により基板上に塗布された流動性材料の複数のラインの乾燥後の形状を均一化することができる。また、請求項2および8の発明では、基板上の流動性材料の流動性をより向上することができる。さらに、請求項3および9の発明では、基板上の流動性材料にガスを均一かつ効率良く付与することができる。請求項4および5、並びに、請求項10および11の発明では、基板上の流動性材料の複数のラインを均一かつ迅速に乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る塗布システム5の構成を示す図である。塗布システム5は、基板上に流動性材料を塗布するシステムであり、本実施の形態では、平面表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)に、平面表示装置用の画素形成材料を塗布材料として含む流動性材料が塗布される。
【0024】
塗布システム5は、図1に示すように、塗布装置1、搬送機構2およびガス付与装置3を備える。塗布システム5では、塗布装置1において、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用の基板に、揮発性の溶媒、および、一の色の発光材料として基板上に付与される画素形成材料(以下、「有機EL材料」という。)を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)が塗布される。本実施の形態では、RGBの3色のうち2色の有機EL液の塗布が終了した基板に対して、残り1色の有機EL液の塗布が行われるものとして説明する。
【0025】
塗布装置1により有機EL液が塗布された基板は、搬送機構2により塗布装置1から搬出されてガス付与装置3に搬入される。塗布装置1から搬出された基板では、基板上の有機EL液は、溶媒がある程度蒸発した半乾燥状態となっている。ガス付与装置3では、基板上の半乾燥状態の有機EL液に対して有機EL液の溶媒のガス(以下、「溶媒ガス」という。)が付与されて有機EL液の流動性が増大された後、有機EL液を乾燥することにより、有機EL液に含まれる有機EL材料が基板上に定着する。
【0026】
次に、塗布装置1の構造について説明する。図2は、塗布装置1を示す平面図であり、図3は塗布装置1の正面図(すなわち、図2中の(−Y)側から(+Y)方向を向いてみた図)である。
【0027】
塗布装置1は、図3に示すように、基板9の(−Z)側の主面に当接して基板9を保持する基板保持部11を備え、図2および図3に示すように、基板保持部11を基板9の(+Z)側の主面90に平行な所定の方向(すなわち、図2および図3中のY方向であり、以下、「副走査方向」という。)に水平移動するとともに垂直方向(すなわち、Z方向)に向く軸を中心として回転する基板移動機構12を備える。
【0028】
基板9の(+Z)側の主面90(以下、「上面90」という。)上の塗布領域91(図2中において細線の矩形にて示す。)には、それぞれが図2中のX方向に伸びる複数の隔壁がY方向に一定のピッチ(例えば100〜150マイクロメートル(μm)のピッチ)にて配列形成されている。
【0029】
塗布装置1は、また、図2および図3に示すように、基板9上に形成されたアライメントマーク(図示省略)を撮像して検出するアライメントマーク検出部13、基板保持部11(図2参照)に保持された基板9の上面90に向けて流動性材料を連続的に吐出する吐出機構である塗布ヘッド14、塗布ヘッド14を基板9の上面90に平行かつ副走査方向に垂直な方向(すなわち、図2および図3中のX方向であり、以下、「主走査方向」という。)に水平移動するヘッド移動機構15、および、塗布ヘッド14の移動方向(すなわち、X方向)に関して基板保持部11の両側に設けられるとともに塗布ヘッド14からの有機EL液を受ける2つの受液部16を備え、図2に示すように、塗布ヘッド14に流動性材料を供給する流動性材料供給部18、および、塗布装置1の各構成を制御する制御部19を備える。
【0030】
塗布装置1では、ヘッド移動機構15および基板移動機構12が、塗布ヘッド14を基板9に対して主走査方向に相対的に移動する(すなわち、主走査する)とともに基板9を塗布ヘッド14に対して副走査方向に相対的に移動する(すなわち、副走査する)移動機構となる。
【0031】
図2および図3に示すように、塗布ヘッド14は複数(本実施の形態では、4本)のノズル17を備える。各ノズル17の(−Z)側の端面には吐出口(図3中では2つのノズル17の吐出口のみに符号171を付している。)が形成され、複数の吐出口171から同一種類の有機EL液が連続的に吐出される。4本のノズル17は、X方向(すなわち、主走査方向)に略直線状に配列されるとともにY方向(すなわち、副走査方向)に僅かにずれて配置される。塗布装置1では、複数のノズル17のY方向の位置が個別に調整可能とされており、4本のノズル17の吐出口171は副走査方向に関して等間隔にて配列される。互いに隣接する2本のノズル17の吐出口171の副走査方向の中心間距離は、基板9上の隔壁のY方向のピッチの3倍に等しくされる。
【0032】
図4は、主走査方向に垂直な基板9の断面を示す図である。基板9の上面90に有機EL液が塗布される際には、塗布ヘッド14の各ノズル17(図2および図3参照)から、基板9の上面90上において互いに隣接する2つの隔壁92間の領域93(すなわち、主走査方向に伸びる領域であり、以下、「線状領域93」という。)に有機EL液が吐出されて有機EL液の線状要素94(すなわち、1つのノズル17の吐出口171に対応する有機EL液のライン)が形成される。なお、図4では、図の理解を容易にするために、塗布装置1により塗布される1色の有機EL液の線状要素94のみを図示し、既に他の塗布装置により基板9に塗布されている他の2色の有機EL液については図示を省略している(後述する図7.Aないし図7.Cにおいても同様)。
【0033】
塗布装置1では、副走査方向に一定のピッチ(隔壁のピッチに等しいピッチであり、以下、「領域ピッチ」という。)にて配列される複数の線状領域93において、副走査方向に2つおきに存在する線状領域93に有機EL液が塗布される。すなわち、塗布装置1にて有機EL液が塗布される2つの線状領域93の間には、他の塗布装置により他の種類の有機EL液が塗布される2つの線状領域93が挟まれている。
【0034】
次に、ガス付与装置3の構造について説明する。図5は、ガス付与装置3の構成を示す図である。図5に示すように、ガス付与装置3は、密閉された内部空間30を有するチャンバ31、チャンバ31の内部空間30に配置されて基板9が載置されるステージ32、配管331を介してチャンバ31の内部空間30に有機EL液の溶媒ガスを供給するガス供給機構33、配管331を加熱することによりガス供給機構33により供給される溶媒ガスを加熱するガス加熱部34、チャンバ31の内部空間30からガスを排出して内部空間30を減圧雰囲気とする減圧機構35、および、ステージ32内部に設けられるとともにステージ32を介して基板9を加熱する基板加熱機構36を備える。なお、図5では、図示の都合上、チャンバ31を断面にて描いている。
【0035】
ガス付与装置3では、ガス供給機構33においてバブリング法や気化ノズル等により生成された溶媒ガスが、配管331を通過する際にガス加熱部34により加熱され、チャンバ31の内部空間30に収容されている基板9に対して供給される。ガス加熱部34および基板加熱機構36としては、温水が循環する流路や電気式のヒータ等が利用される。
【0036】
次に、塗布システム5による有機EL液の塗布について説明する。図6.Aおよび図6.Bは、有機EL液の塗布の流れを示す図である。図2および図3に示す塗布装置1では、基板9が基板保持部11に載置されて保持され、アライメントマーク検出部13からの出力に基づいて基板移動機構12が駆動されて基板9が移動および回転し、図2中に実線にて示す塗布開始位置に位置する(ステップS11)。
【0037】
既述のように、基板9の上面90上には互いに平行な複数の隔壁92(図4参照)が配列形成され、上面90上の隔壁92間に線状領域93(図4参照)が規定されている。そして、基板9が塗布開始位置に配置されることにより、塗布装置1において、それぞれが主走査方向に伸びる複数の線状領域93が主走査方向に垂直な副走査方向に一定の領域ピッチにて上面90上に配列設定された状態で、処理対象の基板9が準備されることとなる。このとき、塗布ヘッド14は、副走査方向に関して基板9の(+Y)側の端部近傍であり、主走査方向において、図2および図3中に実線にて示す待機位置(すなわち、図2および図3中の(−X)側の受液部16の上方)に予め配置されている。
【0038】
続いて、制御部19により塗布ヘッド14が制御されて、4本のノズル17から有機EL液の吐出が開始され(ステップS12)、さらに、ヘッド移動機構15が制御されて塗布ヘッド14の主走査方向の移動(すなわち、図2中の(−X)側から(+X)側への主走査)が開始される。これにより、複数の吐出口171のそれぞれから基板9の上面90に向けて有機EL液を一定の流量にて連続的に(途切れることなく)吐出しつつ、塗布ヘッド14(すなわち、複数の吐出口171)が主走査方向に連続的に一定の速度にて移動し、図4に示すように、基板9の塗布領域91の4個の線状領域93に有機EL液がストライプ状に塗布されて4つの線状要素94が形成される(ステップS13)。
【0039】
そして、塗布ヘッド14が、図2および図3中に二点鎖線にて示す待機位置(すなわち、(+X)側の受液部16の上方)まで移動することにより、有機EL液によるストライプ状のパターンが形成される。なお、図2中における塗布領域91の(+X)側および(−X)側の非塗布領域(並びに、必要に応じて(+Y)側および(−Y)側の非塗布領域)は、図示省略のマスクにより覆われているため、基板9上の非塗布領域に有機EL液は塗布されない。
【0040】
塗布ヘッド14が待機位置まで移動すると、基板移動機構12が駆動され、基板9が基板保持部11と共に(+Y)方向(すなわち、副走査方向)に領域ピッチの12倍に等しい距離だけ移動する(ステップS14)。このとき、塗布ヘッド14では、4本のノズル17から受液部16に向けて有機EL液が連続的に吐出されている。
【0041】
副走査方向における基板9のステップ移動が終了すると、基板9および基板保持部11が図2中に二点鎖線にて示す塗布終了位置まで移動したか否かが制御部19により確認される(ステップS15)。そして、塗布終了位置まで移動していない場合には、ステップS13に戻って塗布ヘッド14が4本のノズル17から有機EL液を吐出しつつ基板9の(+X)側から(−X)方向(すなわち、主走査方向)に移動することにより、基板9上の線状領域93(図4参照)に有機EL液が塗布される(ステップS13)。その後、基板9が副走査方向にステップ移動し、塗布終了位置まで移動したか否かの確認が行われる(ステップS14,S15)。
【0042】
塗布装置1では、基板保持部11および基板9が塗布終了位置に位置するまで、塗布ヘッド14の主走査方向における移動、および、基板9の(+Y)側へのステップ移動が交互に繰り返される(すなわち、塗布ヘッド14の複数の吐出口171の主走査方向への移動が行われる毎に、基板9が塗布ヘッド14の複数の吐出口171に対して副走査方向に相対的に移動される。)(ステップS13〜S15)。これにより、基板9上にて主走査方向に伸びるとともに副走査方向に一定のピッチ(すなわち、領域ピッチの3倍に等しいピッチ)にて配列された有機EL液の複数のラインが形成される。
【0043】
塗布装置1では、上記有機EL液の塗布と並行して基板9上の有機EL液の各ライン(すなわち、線状要素)から溶媒成分がある程度蒸発し、これらの線状要素が塗布された順に乾燥して有機EL材料が基板9に仮定着する(すなわち、有機EL液が半乾燥状態となる。)。そして、基板9が塗布終了位置まで移動すると、4本のノズル17からの有機EL液の吐出が停止され(ステップS16)、塗布装置1による基板9に対する有機EL液の塗布が終了する。なお、塗布装置1では、副走査方向に関し、基板9上において有機EL液の塗布が進行する方向(すなわち、塗布ヘッド14の基板9に対する相対移動方向)は、基板移動機構12による基板9の移動方向とは反対向きとなっている。
【0044】
ところで、上記の有機EL液の塗布動作では、複数の(4本の)ノズル17のうち中央近傍の2本のノズル17により塗布された有機EL液の線状要素の周囲において、雰囲気中の有機EL液の溶媒成分の濃度が高くなり、(+Y)側のノズル17により塗布された有機EL液の線状要素の周囲においても、直前の塗布ヘッド14の主走査にて最も(−Y)側のノズル17により塗布された有機EL液の線状要素の影響により、雰囲気中の有機EL液の溶媒成分の濃度が高くなる。
【0045】
しかしながら、(−Y)側のノズル17(すなわち、副走査方向における基板の相対移動方向後側のノズルであり、以下、「後側ノズル」という。ただし、塗布ヘッド14の相対移動方向に着目した場合、前側のノズルとなる。)により塗布された有機EL液の線状要素(以下、後側ノズルにより形成される線状要素を「後側線状要素」という。)の(−Y)側には、他の有機EL液の線状要素は形成されておらず、(+Y)側にのみ、他のノズル17により並行して塗布された有機EL液の線状要素が配置されることとなる。
【0046】
このため、(−Y)側の後側ノズルにより塗布された後側線状要素の周囲では、他の3本のノズル17により塗布された線状要素の周囲と比べて有機EL液の溶媒成分の濃度が低くなる。正確には、後側線状要素の周囲では、後側線状要素の(−Y)側における雰囲気中の有機EL液の溶媒成分の濃度が、後側線状要素の(+Y)側における濃度よりも低くなる。
【0047】
その結果、後側線状要素の(−Y)側の部位が(+Y)側の部位よりも大幅に早く乾燥してしまい、図7.Aに示すように、半乾燥状態の有機EL材料にて形成される(−Y)側の後側線状要素94aにおいて、(−Y)側の部位(角状の突起を含む部位。(+Y)側の部位において同様。)の膜厚と(+Y)側の部位の膜厚との差D1(以下、「縁部膜厚差」という。)が、縁部膜厚差がほぼ0となっている他の線状要素94に比べて大きくなり、複数の線状要素94において主走査方向に垂直な断面の形状である有機EL材料の分散状態が一定ではなくなる。
【0048】
仮に、このように厚さに偏りがある有機EL材料の後側線状要素94aが、塗布領域に周期的に(すなわち、4本毎に)形成された状態の塗布ムラを有する基板9を、そのまま後工程において焼結処理して製品に使用すると、製品となった後の有機EL表示装置における表示の質が低下してしまう場合がある。なお、後側線状要素では、必ずしも同時に形成される他の線状要素側の部位の膜厚が当該部位とは反対側の部位の膜厚よりも小さくなる訳ではなく、塗布に用いられる有機EL液の種類によっては、同時に形成される他の線状要素側の部位の膜厚が当該部位とは反対側の部位の膜厚よりも大きくなることもある。
【0049】
本実施の形態に係る塗布システム5では、塗布装置1による有機EL液の塗布が終了した基板9は、図1に示す搬送機構2のロボットアーム21により塗布装置1から搬出され、ガス付与装置3に搬入されて図5に示すチャンバ31の内部空間30に収容される。そして、チャンバ31の内部空間30が密閉される(ステップS17,S18)。
【0050】
続いて、ガス供給機構33によりチャンバ31の内部空間30に向けて溶媒ガスが送出され、ガス加熱部34により加熱された後、チャンバ31の内部空間30に供給される(ステップS19)。チャンバ31では、内部空間30のエアが外部へと排出され、内部空間30に溶媒ガスが充填される。
【0051】
ガス付与装置3では、ガス加熱部34により加熱された溶媒ガスがチャンバ31内の基板9に供給されることにより、基板9上に塗布されて仮定着している有機EL材料(本実施の形態では、塗布装置1により塗布されて半乾燥状態となっている図7.Aに示す1色の有機EL液の線状要素94,94a、および、図7.Aにおいて図示を省略する半乾燥状態の他の2色の有機EL液の線状要素)に溶媒ガスが付与されて有機EL液の流動性が増大する(ステップS20)。換言すれば、ガス供給機構33により供給される溶媒ガスにより、基板9上に仮定着している有機EL材料に対してリフロー処理が施される。これにより、図7.Bに示すように、基板9上の複数の線状要素94がそれぞれ、互いに隣接する隔壁92間において重力や表面張力と釣り合う同様の形状となる。
【0052】
このように、溶媒ガスによるリフローにより、4本のノズル17(図2および図3参照)のうち後側ノズルにより形成された後側線状要素が、他の3本のノズル17によりそれぞれ形成された線状要素と同様の断面形状となると、図5に示すガス供給機構33による溶媒ガスの供給が停止されるとともに、減圧機構35により、チャンバ31の内部空間30から溶媒ガスが排出される。内部空間30では、基板9の上面90の周囲の溶媒ガス濃度が均一に低下して減圧雰囲気とされることにより、図7.Bに示す複数の線状要素94から溶媒ガスが均一に蒸発し、複数の線状要素94が均一に乾燥する(ステップS21)。
【0053】
図5に示すチャンバ31の内部空間30が所定の圧力まで減圧されると、内部空間30の圧力を一定に維持した状態で、基板加熱機構36によりステージ32を介して基板9が加熱される。これにより、基板9上の線状要素94から溶媒ガスがさらに蒸発し、図7.Cに示すように、複数の線状要素94が乾燥して有機EL材料が基板9に均一に定着する(ステップS22)。換言すれば、図5に示す減圧機構35および基板加熱機構36が、溶媒ガスが付与された線状要素94を乾燥する乾燥機構として働くことにより、基板9上の複数の線状要素94において、主走査方向に垂直な断面の形状である有機EL材料の分散状態がおよそ等しくなる。
【0054】
その後、チャンバ31の内部空間30にエアが導入されて常圧とされ、基板9がガス付与装置3から搬出されて他の装置にて基板9上の有機EL材料に対して焼結処理が行われる。なお、塗布システム5では、ガス付与装置3による基板9に対する溶媒ガスの供給および乾燥と並行して、塗布装置1において他の基板に対する有機EL液の塗布が行われる。
【0055】
以上に説明したように、塗布システム5では、塗布装置1において、複数のノズル17の吐出口171から有機EL液を連続的に吐出しつつ複数のノズル17の主走査と基板9の副走査とを交互に繰り返すことにより、基板9に対する有機EL液の塗布を迅速に行うことができる。
【0056】
また、ガス付与装置3において、基板9上に仮定着している有機EL材料に溶媒ガスを付与して流動性を増大させた上で均一に乾燥させることにより、塗布装置1における塗布の進行方向(すなわち、基板9の移動方向)と複数のノズル17の位置との関係により生じる塗布ムラ(すなわち、基板9上に仮定着した有機EL材料による複数の線状要素の断面形状の不均一)を解消し、複数の吐出口171からの有機EL液の吐出により基板9上に塗布された有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状(すなわち、主走査方向に垂直な断面形状)を均一化することができる。
【0057】
ところで、平面表示装置用の画素形成材料を含む流動性材料の基板に対する塗布では、塗布ムラが発生すると、製品となった後の平面表示装置の表示の質が低下する恐れがある。本実施の形態に係る塗布システム5では、上述のように、塗布ムラを解消して流動性材料の複数のラインの乾燥後における形状を均一化することができるため、塗布システム5は、平面表示装置用の画素形成材料を含む流動性材料の塗布に特に適しているといえる。
【0058】
ガス付与装置3では、ガス加熱部34により加熱された溶媒ガスを基板9に供給することにより、基板9上において溶媒ガス付与後の有機EL液の温度を高くして粘性を低下させることができる。その結果、溶媒ガスが付与された基板9上の有機EL液の流動性がより増大し、有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状の均一性が向上される。
【0059】
また、基板9に対する溶媒ガスの供給(すなわち、有機EL液に対する溶媒ガスの付与)が、密閉されたチャンバ31の内部空間30内に収容された基板9に対して行われるため、基板9上の有機EL液に溶媒ガスを均一かつ効率良く付与することができる。その結果、有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状の均一性がより向上されるとともに有機EL液のラインの形状の均一化が迅速に行われる。
【0060】
ガス付与装置3では、減圧機構35によりチャンバ31の内部空間30を減圧雰囲気とすることにより、リフロー処理が施された基板9上の有機EL液の複数のラインが均一かつ迅速に乾燥される。これにより、有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状の均一性がさらに向上されるとともに有機EL液のラインの形状の均一化がより迅速に行われる。また、減圧機構35による減圧乾燥に加えて、基板加熱機構36により基板9の加熱を行うことにより、基板9上の有機EL液のラインをより迅速に乾燥することができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施の形態に係る塗布システム5では、ガス付与装置3において基板9に供給されるガスは、必ずしも塗布装置1において塗布される有機EL液の溶媒のガスである必要はなく、有機EL液の溶媒と同等の揮発性材料のガスであればよい。この場合も、上記実施の形態と同様に、基板9上に塗布された有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状を均一化することができる。
【0063】
有機EL液の溶媒と同等の揮発性材料とは、半乾燥状態の有機EL液に付与されることにより有機EL液の流動性を増大させることができる揮発性材料であり、好ましくは、有機EL液の溶媒と共通する成分、あるいは、類似の成分を含むものを意味する。例えば、有機EL液の溶媒としてメシチレンが使用されている場合には、有機EL液の溶媒と同等の揮発性材料として、アニソール(メトキシベンゼン)、トルエン、キシレン等の芳香族の有機溶媒が利用される。
【0064】
ガス付与装置3では、基板9は必ずしも密閉されたチャンバ31内に収容される必要はなく、開放空間に載置された基板9の上面90に対して溶媒ガスが吹き付けられることにより、基板9上の有機EL液に対する溶媒ガスの付与が行われてもよい。
【0065】
上記実施の形態では、ガス付与装置3においてリフロー処理が施された有機EL液に対して、まず減圧乾燥が開始され、その後、減圧乾燥と並行して基板加熱による乾燥が行われるが、ガス付与装置3では、例えば、有機EL液の減圧乾燥と基板加熱による乾燥とがほぼ同時に開始されてもよい。また、先に基板加熱による乾燥が開始され、その後、減圧乾燥が行われてもよく、減圧乾燥のみ、または、基板加熱のみによりリフロー後の有機EL液の乾燥が行われてもよい。さらには、乾燥に要する時間は多少長くなる可能性はあるが、チャンバ31の内部空間30内の雰囲気を徐々に、かつ、均一に加熱したり、内部空間30内の溶媒ガスを徐々にエアと置換する等、他の様々な方法によりリフロー後の有機EL液の乾燥が行われてもよい。
【0066】
上記実施の形態に係る塗布装置1では、例えば、塗布ヘッド14に3本のノズル17が設けられ、これらのノズル17から赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と互いに色が異なる3種類の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液が同時に吐出されて基板9に塗布されてもよい。また、塗布ヘッド14では、流動性材料を吐出するノズル17は2本以上とされるのであれば、他の本数とされてもよい。
【0067】
さらには、これらのノズル17から吐出される有機EL液は、隔壁が設けられていない塗布領域91にストライプ状に塗布されてもよい。この場合、主走査方向に伸びる複数の線状領域が、最終製品である表示装置の画素の間隔に従って副走査方向に一定の領域ピッチにて仮想的に基板9の上面90上に配列設定されていると捉えた上で、塗布装置による流動性材料の塗布が行われる。
【0068】
塗布装置1では、塗布材料として正孔輸送材料を含み、かつ、揮発性の溶媒として水等を含む流動性材料が基板9に塗布されてもよい。ここで、「正孔輸送材料」とは、有機EL表示装置の正孔輸送層を形成する材料であり、「正孔輸送層」とは、有機EL材料により形成された有機EL層へと正孔を輸送する狭義の正孔輸送層のみを意味するのではなく、正孔の注入を行う正孔注入層も含む。
【0069】
また、塗布装置1では、基板移動機構12による基板9および基板保持部11の移動に代えて、塗布ヘッド14が副走査方向に移動することにより、副走査方向における基板9の塗布ヘッド14に対する相対移動が行われてもよい。また、ヘッド移動機構15による塗布ヘッド14の移動に代えて、基板9および基板保持部11が主走査方向に移動することにより、主走査方向における塗布ヘッド14の基板9に対する相対移動が行われてもよい。
【0070】
上記実施の形態に係る塗布システム5では、塗布装置1、搬送機構2およびガス付与装置3が、図1に示すように、平面視において直線状に配置されているが、これらの装置の配置は適宜変更されてよい。図8.Aおよび図8.Bは、塗布システムにおける塗布装置1、搬送機構2およびガス付与装置3の他の配置例を示す平面図であり、図8.Cは塗布装置1、搬送機構2およびガス付与装置3の他の配置例を示す正面図である。図8.Aに示す塗布システム5aでは、塗布装置1、搬送機構2およびガス付与装置3がL字状に配置される。また、図8.Bに示す塗布システム5bでは、隣接して配置された塗布装置1およびガス付与装置3に対向する位置に搬送機構2aが配置される。搬送機構2aでは、搬送ロボット22が、塗布装置1に対向する位置とガス付与装置3に対向する位置との間を(すなわち、図8.B中において実線にて示す位置と二点鎖線にて示す位置との間を)ガイドレール23に沿って水平移動する。図8.Cに示す塗布システム5cでは、塗布装置1がガス付与装置3の上方に配置される。塗布システム5cの搬送機構2bでは、搬送ロボット22が、塗布装置1に対向する位置とガス付与装置3に対向する位置との間を(すなわち、図8.C中において実線にて示す位置と二点鎖線にて示す位置との間を)ガイドレール23に沿って昇降する。
【0071】
上記塗布システム5では、基板9に対する流動性材料の塗布が塗布装置1において行われ、基板9上の流動性材料に対するリフロー処理および乾燥が、塗布装置1とは別のガス付与装置3において行われることにより、2枚の基板に対して2つの異なる処理を並行して行うことが可能となり、基板に対する処理効率が向上されるが、基板9上に塗布された有機EL液の複数のラインの乾燥後における形状を均一化するという観点からは、流動性材料の塗布、並びに、流動性材料に対するリフロー処理および乾燥が一の装置において順次行われてもよい。
【0072】
塗布システム5は、1枚の基板から複数の有機EL表示装置を製造する(いわゆる、多面取りを行う)場合にも利用できる。また、塗布システム5は、必ずしも有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料を含む流動性材料の塗布のみに利用されるわけではなく、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置等の他の平面表示装置用の基板に対し、着色材料や蛍光材料等の他の種類の画素形成材料を含む流動性材料を塗布する場合に利用されてもよい。さらには、塗布システム5は、平面表示装置用の基板以外に、半導体基板等の様々な基板に対する様々な種類の流動性材料の塗布に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】塗布システムの構成を示す図である。
【図2】塗布装置を示す平面図である。
【図3】塗布装置を示す正面図である。
【図4】基板の断面を示す図である。
【図5】ガス付与装置の構成を示す図である。
【図6.A】有機EL液の塗布の流れを示す図である。
【図6.B】有機EL液の塗布の流れを示す図である。
【図7.A】基板の断面を示す図である。
【図7.B】基板の断面を示す図である。
【図7.C】基板の断面を示す図である。
【図8.A】塗布システムの他の例を示す図である。
【図8.B】塗布システムの他の例を示す図である。
【図8.C】塗布システムの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 塗布装置
3 ガス付与装置
5,5a〜5c 塗布システム
9 基板
12 基板移動機構
14 塗布ヘッド
15 ヘッド移動機構
30 内部空間
31 チャンバ
33 ガス供給機構
34 ガス加熱部
35 減圧機構
36 基板加熱機構
90 上面
171 吐出口
S11〜S22 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
揮発性の溶媒および基板上に付与する塗布材料を含む流動性材料を前記基板の主面に平行な副走査方向に関して等間隔にて配列された複数の吐出口から前記基板の前記主面に向けて連続的に吐出する吐出機構、および、前記吐出機構を前記副走査方向に垂直かつ前記主面に平行な主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記副走査方向に相対的に移動する移動機構を備え、前記基板上にて前記主走査方向に伸びるとともに前記副走査方向に一定のピッチにて配列された前記流動性材料の複数のラインを形成する塗布装置と、
前記流動性材料の前記溶媒または前記溶媒と同等の揮発性材料のガスを前記基板に供給することにより、前記塗布装置により塗布された前記基板上の前記流動性材料に前記ガスを付与して前記流動性材料の流動性を増大させるガス供給機構、および、前記ガスが付与された前記流動性材料を乾燥することにより前記流動性材料の前記塗布材料を前記基板上に定着させる乾燥機構を備えるガス付与装置と、
を備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布システムであって、
前記ガス付与装置が、前記ガス供給機構により供給される前記ガスを加熱するガス加熱部をさらに備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布システムであって、
前記ガス付与装置が、密閉された内部空間に前記基板が収容されるチャンバをさらに備え、
前記ガス供給機構により、前記ガスが前記チャンバの前記内部空間に供給されることを特徴とする塗布システム。
【請求項4】
請求項3に記載の塗布システムであって、
前記乾燥機構が、前記チャンバの前記内部空間を減圧雰囲気とする減圧機構を有することを特徴とする塗布システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の塗布システムであって、
前記乾燥機構が、前記基板を加熱する基板加熱機構を有することを特徴とする塗布システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布システムであって、
前記流動性材料の前記塗布材料が平面表示装置用の画素形成材料であることを特徴とする塗布システム。
【請求項7】
基板に流動性材料を塗布する塗布方法であって、
a)揮発性の溶媒および基板上に付与する塗布材料を含む流動性材料を前記基板の主面に平行な副走査方向に関して等間隔にて配列された複数の吐出口から前記基板の前記主面に向けて連続的に吐出しつつ、前記複数の吐出口を前記副走査方向に垂直かつ前記主面に平行な主走査方向に前記基板に対して相対的に移動する工程と、
b)前記基板を前記副走査方向に前記複数の吐出口に対して相対的に移動する工程と、
c)前記a)工程および前記b)工程を繰り返すことにより、前記基板上にて前記主走査方向に伸びるとともに前記副走査方向に一定のピッチにて配列された前記流動性材料の複数のラインを形成する工程と、
d)前記流動性材料の前記溶媒または前記溶媒と同等の揮発性材料のガスを前記基板に供給することにより、前記基板上の前記流動性材料に前記ガスを付与して前記流動性材料の流動性を増大させる工程と、
e)前記ガスが付与された前記流動性材料を乾燥することにより前記流動性材料の前記塗布材料を前記基板上に定着させる工程と、
を備えることを特徴とする塗布方法。
【請求項8】
請求項7に記載の塗布方法であって、
前記d)工程よりも前に、前記基板に供給される前記ガスを加熱する工程をさらに備えることを特徴とする塗布方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の塗布方法であって、
前記c)工程と前記d)工程との間に、前記流動性材料が塗布された前記基板をチャンバの密閉された内部空間に収容する工程をさらに備え、
前記d)工程における前記ガスの供給が、前記チャンバの前記内部空間内の前記基板に対して行われることを特徴とする塗布方法。
【請求項10】
請求項9に記載の塗布方法であって、
前記e)工程において、前記チャンバの前記内部空間が減圧されることを特徴とする塗布方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の塗布方法であって、
前記e)工程において、前記基板が加熱されることを特徴とする塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6.A】
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【図6.B】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図7.C】
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【図8.A】
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【図8.B】
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【図8.C】
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【公開番号】特開2009−119395(P2009−119395A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297726(P2007−297726)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】