説明

変性ポリイミド樹脂を含有するプリプレグ

【課題】メッキにより密着強度に優れる導体層が簡便に形成可能な、フレキシブル回路基板等の絶縁材料として有用なプリプレグを提供することを目的とする。
【解決手段】(A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板の製造に好適なプリプレグ、および該プリプレグを用いた多層プリント配線板の製造方法に関する。本発明は、フレキシブル回路基板に好適なプリプレグ、並びに該プリプレグにより製造されるフレキシブル回路基板等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より薄型かつ軽量で実装密度の高い半導体部品への要求が高まり、フレキシブル回路基板を半導体部品に用いるサブストレート基板として利用することが注目されている。フレキシブル回路基板は、リジッド回路基板と比べて薄くかつ軽量にすることができ、更に柔軟で変形可能であるという特徴があるため折り曲げて実装することが可能である。従って、フレキシブル回路基板は、ICの高密度実装、モジュールのコンパクト化に有利であり、TCP(Tape Carrier Package)やCOF(Chip On FlexibleまたはFilm)等に利用され、各種メディア機器の小型化には必要不可欠なものとなっている。
【0003】
フレキシブル回路基板は、一般には、ポリイミドフィルム、銅箔及び接着剤よりなる3層フィルム又はポリイミドフィルム及び導体層よりなる2層フィルムを作製し、サブトラクティブ法に従って導体層をエッチングして回路を形成することにより製造されている。フィルムとしては、比較的安価に作製できる3層フィルムが多く使用されてきたが、接着剤の耐熱性や電気絶縁性の問題により、高密度配線を有する回路基板では2層フィルムが使用されるようになってきている。
【0004】
2層フィルムは、その製造方法によりスパッタタイプ、キャストタイプ、ラミネートタイプの3種類に分類することができる。キャストタイプは、圧延または電解銅箔にポリアミック酸ワニスをコートし、これを熱イミド化させることで製造される。ラミネートタイプは、熱可塑性ポリイミドを介して銅箔とポリイミドフィルムを接着させることで製造される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。スパッタタイプは、まず、ポリイミドフィルム上にスパッタを行って導体層を薄く形成し、続いてこのスパッタ層に電気メッキを行って導体層を厚くしていくことで製造される(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
銅箔により導体層を形成する場合、通常サブトラクティブ法により回路形成を行なうが、ファインピッチな配線を形成するためには、導体層を薄くすることが重要である。しかし、銅箔を用いて製造される3層フィルム、キャストタイプ2層フィルム、ラミネートタイプ2層フィルムでは、製造工程におけるハンドリングの問題から、極薄銅箔(例えば、厚みが12μm未満)を使用することは難しい。銅箔のハンドリングの問題を解消するため、剥離性支持フィルム付きの極薄銅箔を用いる方法や、厚みの厚い銅箔を用いて3層、あるいは2層フィルムを製造した後、導体層をハーフエッチングして薄くする方法なども行われているが、これら方法ではコストが高くなり、必ずしも好適な方法とはいえない。
【0006】
電気メッキを用いるスパッタタイプ2層フィルムは、比較的容易に導体層を薄くすることができ、ファインピッチな配線を形成するのに適している。しかし、スパッタの実施には、高価で精密な真空装置を必要とするため、コスト及び生産性に問題がある。
【0007】
ところで、リジッド回路基板においては、絶縁層を化学的に粗化し無電解および電解メッキを行って導体層を形成する方法が広く用いられている。この方法は生産性が高く、フレキシブル回路基板で用いられるポリイミド等の絶縁材料に応用できれば、ファインピッチ配線を有するフレキシブル回路基板をより容易に製造することが可能になると考えられる。
【0008】
また、両面又は多層のフレキシブル回路基板を製造する場合、層間の導通を図るためにスルーホールが形成され、スルーホールの形成方法としてはレーザーを用いる方法が汎用されているが、銅箔により導体層を導入する場合、レーザー加工する部分の導体層を予めエッチングにて除去しておく必要があり、複雑な工程をとることとなる。しかし無電解及び電解メッキにより導体層を形成できれば、レーザー加工後に導体層を形成することで工程がより簡便となると考えられる。
【0009】
しかし、従来、ポリイミド等のフレキシブル回路基板用の絶縁材料においては、化学的粗化を経て、メッキにより、十分な密着強度を有する導体層を絶縁層上に形成させることが難しく、多層化も困難であった。従って、メッキにより密着強度に優れる導体層が簡便に形成可能なフレキシブル回路基板用の絶縁材料の開発が望まれていた。
【0010】
他方、このように簡便な方法によりメッキ可能で、かつ柔軟性を有する材料は、リジッド回路基板が使用される半導体部品にも有用である。半導体部品は、サブストレート基板と半導体を接続させて成るものであるが、基板と半導体は熱膨張係数が大きく違うため、その接続部に熱により応力が加わり、それが原因で接続不良等の問題が起こりやすい。そこで、半導体とサブストレート基板間に柔軟性の高い絶縁材料を応力緩和材として用いることが注目されている。現在使用されている半導体部品の応力緩和材としては、シリコンゴム系材料(特許文献4参照)やテフロン多孔質体系のシート材料などが挙げられる。しかし、これらの材料は化学的粗化を経て、無電解および電解メッキにより、十分な密着強度を有する導体層を形成させることが難しかった。
【0011】
特許文献5には、ポリブタジエン骨格を有するポリイミド樹脂が開示されており、該ポリイミド樹脂とポリブタジエンポリオール及びポリブロックイソシアネートを配合した樹脂組成物をフレキシブル回路のオーバーコート剤として使用した例が開示されている。
【0012】
特許文献6には、ポリブタジエン骨格及びポリシロキサン骨格を有するポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂を配合した樹脂が開示されており、該樹脂が電子部品用オーバーコート材、液状封止材、エナメル線用ワニス、電気絶縁用含浸ワニス、注型ワニス、マイカ、ガラスクロス等の基材と組み合わせたシート用ワニス、MCL積層板用ワニス、摩擦材料用ワニス、プリント基板分野などにおける層間絶縁膜、表面保護膜、ソルダレジスト層、接着層などや、半導体素子などの電子部品に好適に用いられることが記載されている。しかしながら該ポリアミドイミド樹脂の原料として用いられるポリシロキサン樹脂は一般に低分子の揮発性の高いシロキサン成分を含むため、乾燥や熱硬化工程において該成分が揮発し、プリント配線板等の表面を汚染し、封止樹脂等の接着不良等の不具合を引き起こしやすい。また、原料にカルボン酸末端のポリブタジエン化合物を使用しているため、高温での反応が必要であり、ブタジエン骨格の酸化により分子内架橋を引き起こし、樹脂がゲル化する可能性があるため、より高度な反応制御が要求される。
【0013】
特許文献7には、プリント配線基板の層間絶縁材料、ビルドアップ材料、半導体の絶縁材料、耐熱性接着剤等の分野に有用な熱硬化性樹脂組成物として、ポリブタジエン骨格を有するポリイミド樹脂とエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物が開示されている。特許文献7記載尾のポリイミド樹脂は分子骨格中にイソシアヌレート環を有しており、枝分かれ構造となるため、その硬化物は架橋点が多くなり、低弾性の硬化物を得るのが困難である。更に、ポリイミド中のポリブタジエン構造の含有量が低いため、硬化物の弾性率が高くなる傾向にあり、柔軟性の観点から必ずしも十分ではなく、また実施例から分かるように、該ポリイミド樹脂硬化物の破断伸度は15%以下であり、耐折り曲げ性の観点からも必ずしも十分なものとは言えなかった。
【0014】
【特許文献1】特開平4−33847号公報
【特許文献2】特開平4−33848号公報
【特許文献3】特開平2−98994号公報
【特許文献4】特開2000−336271号公報
【特許文献5】特開平11−199669号公報
【特許文献6】特開平11−246760号公報
【特許文献7】特開2003−292575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、柔軟性および耐折り曲げ性に優れ、更にメッキにより密着強度に優れる導体層が簡便に形成可能な、フレキシブル回路基板及び半導体装置の絶縁材料として有用なプリプレグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸二無水物の3成分を反応させて得られる特定の線状変性ポリイミド樹脂と、特定の熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグが、柔軟性、機械強度に優れる絶縁層形成に好適であり、かつ絶縁層表面にメッキにより容易に密着力に優れる導体層が形成可能であることを見出した。このような知見に基づき本発明者らは、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1](A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
[2]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基に対するジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1を超える比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、上記[1]に記載のプリプレグ。
[3]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1:1.5〜1:2.5となる比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、上記[1]に記載のプリプレグ。
[4]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1:1.5〜1:2.5となる比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量X、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基の官能基当量W及び四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量Yが、Y>X−W≧Y/5(W>0、X>0、Y>0)の関係を満たす比率で反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、上記[1]に記載のプリプレグ。
[5]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の線状変性ポリイミド樹脂に、更に新たなイソシアネート化合物を、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量X、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基官能基当量W、四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量Y及び新たに反応させるイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量Zが、Y−(X−W)>Z≧0(W>0、X>0、Y>0、Z>0)の関係を満たす比率で反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のプリプレグ。
[6](A)分子内に下式(1−a)で表されるポリブタジエン構造及び下式(1−b)で表されるポリイミド構造を有する線状変性ポリイミド樹脂、
【化1】

[式中、R1は2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示し、R2は四塩基酸二無水物の酸無水物基を除いた残基を示し、R3はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基を示す。]
及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
[7]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が45質量%以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のプリプレグ。
[8]成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が60質量%以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のプリプレグ。
[9]R1が、数平均分子量800〜10000である2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示す、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のプリプレグ。
[10]成分(A)と成分(B)の配合割合が質量比で100:1〜1:1であり、熱硬化樹脂組成物中の成分(A)及び成分(B)の合計含量が70質量%以上である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のプリプレグ。
[11]更に充填材を含有する上記[1]〜[10]のいずれかに記載のプリプレグ。
[12]成分(B)の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である上記[1]〜[11]のいずれかに記載のプリプレグ。
[13]更にエポキシ硬化剤を含有する上記[12]記載のプリプレグ。
[14]シート状繊維基材の厚さが50μm以下であることを特徴とする、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]上記[1]〜[14]のいずれかに記載のプリプレグの硬化物により絶縁層の一部又は全部が形成されている多層プリント配線板。
[16]上記[1]〜[14]のいずれかに記載のプリプレグの硬化物上に回路が形成されているフレキシブル回路基板回路基板。
[17]半導体とサブストレート基板が上記[1]〜[14]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を介して接着されている半導体装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプリプレグは、柔軟性、機械強度に優れる絶縁層を形成することができ、また絶縁層表面にメッキにより、簡便に、密着性に優れる導体層が形成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明における成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂は、[a]2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、[b]ジイソシアネート化合物、及び[c]四塩基酸二無水物の3成分を反応して得られる線状変性ポリイミド樹脂である。線状変性ポリイミド樹脂は、その分子内に下式(1−a)で表されるポリブタジエン構造と、式(1−b)で表されるポリイミド構造の双方を含む。線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率は45質量%以上であるのが好ましく、さらには60質量%以上であるのが好ましい。線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が45質量%未満の場合、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が柔軟性に欠ける傾向にある。線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造部分の含有率[質量%]は、反応に用いる上記[a]〜[c]の3成分の質量の合計値に対する2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン[a]の質量割合として定義することができる。
【化1】

【0021】
式中、R1は2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示し、R2は四塩基酸二無水物の酸無水物基を除いた残基を示し、R3はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基を示す。2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとしては、数平均分子量が800〜10000である2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンが好ましい。また式(1−a)のポリブタジエン構造としては、式中のR1が、数平均分子量が800〜10000の2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示す場合が好ましい。2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンの数平均分子量が800以下の場合、変性ポリイミド樹脂が柔軟性に欠ける傾向にあり、10000以上の場合、変性ポリイミド樹脂の熱硬化性樹脂との相溶性に欠ける傾向があり、また耐熱性にも欠ける傾向にある。なお本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定した値である。GPC法による数平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルムを用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0022】
線状変性ポリイミド樹脂における、1分子当たりのポリブタジエン構造(1−a)の存在数は、通常1〜10,000、好ましくは1〜100であり、ポリイミド構造(1−b)の存在数は、通常1〜100、好ましくは1〜10である。
【0023】
線状変性ポリイミド樹脂の数平均分子量は特に限定されないが、通常5000〜200000、好ましくは10000〜100000とすることができる。
【0024】
また線状変性ポリイミド樹脂の原料となる各成分[a]〜[c]は、順に以下の各式(a)〜(c)で表すことができる。
【化2】

各式中の記号は前記と同義である。線状変性ポリイミド樹脂は上記2官能性モノマーのみから合成されるため、線状構造の変性ポリイミド樹脂となる。すなわち本発明における線状変性ポリイミド樹脂とは、2官能性モノマーを原料として製造される線状構造の変性ポリイミド樹脂を意味する。このように本発明における変性ポリイミドが線状構造となることにより、より柔軟性に優れた熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0025】
本発明における線状変性ポリイミド樹脂を効率的に得るには以下の手順に依るのが好ましい。
【0026】
まず成分[a]のポリブタジエンと成分[b]のジイソシアネート化合物を該ポリブタジエンのヒドロキシル基に対するジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量が1を超える比率で反応させポリブタジエンジイソシアネートを含有する組成物を得る。該ポリブタジエンジイソシアネートは下記式(a−b)で表すことができる。
【化3】

【0027】
式中、R1は2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示し、R3はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基を示し、nは1以上100以下(1≦n≦100)の整数を示す。nは好ましくは1以上10以下(1≦n≦10)の整数を示す。式(a−b)で表されるポリブタジエンイソシアネートにおいては、式中のR1が、800〜10000の2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示す場合が好ましい。
【0028】
ポリブタジエンとジイソシアネート化合物の反応割合は、該ポリブタジエンのヒドロキシル基に対するジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1:1.5〜1:2.5となる比率で反応させるのが好ましい。
【0029】
次に、該ポリブタジエンジイソシアネート組成物に四塩基酸二無水物を反応させる。四塩基酸二無水物の反応割合は特に限定されないが、組成物中にイソシアネート基を極力残さないようにするのが好ましく、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量をX、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基の官能基当量をW、四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量をYとすると、Y>X−W≧Y/5(W>0、X>0、Y>0)の関係を満たす比率で反応させるのが好ましい。
【0030】
このようにして得られる線状変性ポリイミド樹脂は、前述したように、その分子内に式(1−a)で表されるポリブタジエン構造と、式(1−b)で表されるイミド構造の双方を含むものである。また本発明における線状変性ポリイミド樹脂は、下式(a−b−c)で表される構造を含む線状変性ポリイミドを主成分とするものが好ましい。
【化4】

式中、R1は2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示し、R2は四塩基酸二無水物の酸無水物基を除いた残基を示し、R3はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基を示し、n及びmは1以上100以下(1≦n≦100)の整数を示す。n及びmは好ましくは1以上10以下(1≦n≦10)の整数を示す。式(a−b−c)で表されるポリブタジエンイソシアネートにおいては、式中のR1が、800〜10000の2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示す場合が好ましい。
【0031】
組成物中のイソシアネート基を極力残さないようにするために、反応中において、FT−IR等でイソシアネート基の消失を確認するのが好ましい。このようにして得られる変性ポリイミド樹脂の末端基は下式(1−c)又は下式(1−d)で表すことができる。
【化5】

各式中の記号は前記と同義である。
【0032】
線状変性ポリイミド樹脂の製造において、ポリブタジエンジイソシアネート組成物と四塩基酸二無水物を反応させた後、更にジイソシアネート化合物と反応させることにより、より高分子量の線状変性ポリイミド樹脂を含有する組成物を得ることができる。この場合のイソシアネート化合物の反応割合は特に限定されないが、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量をX、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基官能基当量をW、四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量をY、新たに反応させるイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量をZとすると、Y−(X−W)>Z≧0(W>0、X>0、Y>0、Z>0)の関係を満たす比率で反応させるのが好ましい。
【0033】
本発明における変性ポリイミド樹脂は、上記式(1−a)で表されるポリブタジエン構造及び上記式(1−b)で表されるポリイミド構造の2つの化学構造単位を含む。通常、樹脂組成物に柔軟性を付与するためには、ポリブタジエン樹脂のようなゴム系樹脂を樹脂組成物に直接混合することが一般的であるが、非極性のゴム系樹脂は、極性の高い熱硬化性樹脂組成物中で相分離を起こしやすく、特にゴム系樹脂の含有割合が高い場合は、安定した組成物を得ることが難しい。また、ゴム系樹脂を含有する樹脂組成物は、十分な耐熱性が得られないことが多い。一方、ポリイミド樹脂は耐熱性を有しているとともに、極性が高いために熱硬化性樹脂組成物との相溶性が比較的良好である。本発明の線状変性ポリイミド樹脂は、このポリイミド構造と柔軟性を付与するポリブタジエン構造の双方をひとつの分子内に有するため、柔軟性と耐熱性の両方の特性に優れた材料となり、さらに熱硬化性樹脂との相溶性も良好なため、安定した熱硬化性樹脂組成物を得るのに適した材料となる。
【0034】
本発明における変性ポリイミド樹脂中の、ポリブタジエン構造とポリイミド構造の構成比は、原料の反応比率を調整することにより、変化させることができる。ポリブタジエン構造の割合が多い場合は、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、より柔軟性に優れた材料となり、ポリイミド構造の割合が多い場合は、より耐熱性に優れた材料となる。なお上述したように、線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が45質量%未満の場合、線状変性ポリイミド樹脂の柔軟性が低下する傾向にあるため、フレキシブル回路基板用等、柔軟性が求められる用途へ使用する場合、ポリブタジエン構造の含有率が45質量%以上とするのが好ましい。またポリブタジエン構造、またはポリイミド構造を有する化合物は誘電率及び誘電正接が低い値を示す傾向にあることが知られており、本発明における線状変性ポリイミド樹脂は両骨格を有するため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は誘電特性にも優れた絶縁材料となる。特に線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の割合が多い場合は、より誘電特性に優れた材料となる。
【0035】
本発明における変性ポリイミド樹脂の原料となる成分[a]2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンにおける2官能性ヒドロキシル基末端とは、ポリブタジエンの両末端がヒドロキシル基であることを意味する。該ポリブタジエンとしては、分子内の不飽和結合が水素化されたものでもよい。2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンの具体例としては、例えば、G−1000、G−3000、GI−1000、GI−3000(以上、日本曹達(株)社製)、R−45EPI(出光石油化学(株)社製)などが挙げられる。
【0036】
なお本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定した値である。GPC法による数平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルムを用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0037】
本発明における変性ポリイミド樹脂の原料となる成分[b]ジイソシアネート化合物としては、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。
【0038】
本発明における変性ポリイミド樹脂の原料となる成分[c]四塩基酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。
【0039】
本発明における変性ポリイミド樹脂の製造において、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物の反応は、有機溶媒中、反応温度が80℃以下、反応時間が通常1〜8時間の条件で行うことができる。また必要により触媒存在下に行ってもよい。ポリブタジエンジイソシアネート組成物と四塩基酸二無水物の反応は、上記反応後に得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物を含む溶液を室温まで冷却した後、これに四塩基酸二無水物を添加し、反応温度120〜180℃、反応時間2〜24時間の条件で反応を行うことができる。反応は通常触媒存在下に行われる。また有機溶媒を更に添加して行ってもよい。得られた反応溶液は、必要により不溶物を除くため濾過を行ってもよい。このようにして、本発明における線状変性イミド樹脂組成物をワニス状で得ることができる。ワニス中の溶媒量は、反応時の溶媒量を調整する、又は反応後に溶媒を添加するなどして適宜調整することができる。また、ポリブタジエンジイソシアネート組成物と四塩基酸二無水物の反応の後、更にジイソシアネートを反応させて、より高分子量体である線状変性ポリイミド樹脂を得ることもできる。この場合ポリブタジエンジイソシアネート組成物と四塩基酸二無水物の反応物にジイソシアネート化合物を滴下により添加し、反応温度120〜180℃、反応時間2〜24時間の条件で反応を行うことができる。
【0040】
上記各反応に使用される有機溶媒としては、例えば、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチルウレア、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、ジグライム、トリグライム、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの極性溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。また、必要により芳香族炭化水素などの非極性溶媒を適宜混合して用いることもできる。
【0041】
上記各反応に使用される触媒としては、例えば、テトラメチルブタンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペリジン、α−メチルベンジルジメチルアミン、N−メチルモルホリン、トリエチレンジアミン等の三級アミンや、ジブチル錫ラウレート、ジメチル錫ジクロライド、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の有機金属触媒などを挙げることができる。これらの触媒は2種以上を混合して用いてもよい。触媒としては、特に、トリエチレンジアミンを使用するのが最も好ましい。
【0042】
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、前述した成分(A)変性ポリイミド樹脂と成分(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を主成分とするものである。特に、最も低温で硬化が可能なエポキシ樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールとフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等などの1分子中に2つ以上の官能基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
エポキシ樹脂を使用する場合には通常エポキシ硬化剤が必要となる。エポキシ硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの等を挙げることができる。特に樹脂組成物をワニスにしたときの粘度安定性などの観点からアミン系硬化剤およびイミダゾール系硬化剤が好ましい。エポキシ硬化剤は2種以上を混合して用いてもよい。また、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア等の硬化促進剤を併用して用いてもよい。
【0045】
エポキシ硬化剤の具体例としては、例えば、アミン系硬化剤としてジシアンジアミド、イミダゾール系硬化剤として2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、フェノール系硬化剤としてトリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(例えば、フェノライト7050シリーズ:大日本インキ化学工業(株)社製)などを挙げることができる。
【0046】
ビスマレイミド樹脂としては、4,4’−フェニルメタンビスマレイミドである「BMI−S」(三井化学(株)社製)、ポリフェニルメタンマレイミドである「BMI−M−20」(三井化学(株)社製)などが挙げられる。
【0047】
シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂である「プリマセット(Primaset) BA200」(ロンザ(株)社製)、「プリマセット(Primaset) BA230S」(ロンザ(株)社製)、ビスフェノールH型シアネートエステルである「プリマセット(Primaset) LECY」(ロンザ(株)社製)、「アロシー(Arocy)L10」(バンティコ(株)社製)、ノボラック型シアネートエステルである「プリマセット(Primaset) PT30」(ロンザ(株)社製)、「アロシー(Arocy)XU371」(バンティコ(株)社製)、ジシクロペンタジエン型シアネートエステルである「アロシー(Arocy)XP71787.02L」(バンティコ(株)社製)などが挙げられる。
【0048】
ビスアリルナジイミド樹脂としては、ジフェニルメタン−4,4’−ビスアリルナジックイミドである「BANI−M」(丸善石油化学(株)社製)などが挙げられる。
【0049】
ビニルベンジルエーテル樹脂としては、V−1000X(昭和高分子(株)社製)、米国特許第4116936号明細書、米国特許第4170711号明細書、米国特許4278708号明細書、特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報、特開2001−253992号公報、特開2003−277440号公報、特開2003−283076号公報、国際公開第02/083610号パンフレット記載のビニルベンジルエーテル樹脂等が挙げられる。
【0050】
ベンゾオキサジン樹脂としては、四国化成(株)社製「B−a型ベンゾオキサジン」、「B−m型ベンゾオキサジン」などが挙げられる。
【0051】
熱硬化性樹脂であるビスマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物としては、例えば、(株)プリンテック社製の「テクマイトE2020」などが挙げられる。
【0052】
本発明における熱硬化性樹脂組成物において、成分(A)と成分(B)の割合が質量比で(A):(B)=100:1〜1:1の範囲であるものが好ましい。また熱硬化樹脂組成物中の成分(A)と成分(B)の合計含量が全樹脂中の70質量%以上であるものが好ましい。これらの範囲外であると、本発明の効果が十分に得られない場合がある。
【0053】
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、必要により、更に充填材を含有していてもよい。充填材は有機充填材および無機充填材のいずれでもよい。充填材は2種以上を混合して用いることもできる。無機充填材の配合量は特に限定されないが、好ましくは、熱硬化性樹脂組成物中、50質量%以内の範囲で添加することができる。50質量%を超えると、レーザー加工性が悪くなるばかりでなく、更に硬化物の弾性率も高くなり、硬く脆い材料となるため、フレキシブル回路基板用として好ましくない。
【0054】
無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。特にシリカが好ましい。無機充填材は平均粒径が5μm以下のものが好ましい。有機充填材としては、アクリルゴム粒子、シリコン粒子などが挙げられる。有機充填材も平均粒径が5μm以下のものが好ましい。なお平均粒径は、株式会社 堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−500により測定することができる。
【0055】
本発明における熱硬化性樹脂組成物には本発明の効果が発揮される範囲において、各種樹脂添加剤や成分(A)及び(B)以外の樹脂成分等を配合することができる。樹脂添加剤の例としては、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコン系、フッ素系又はアクリル系の消泡剤、レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等の密着付与剤、シランカップリング剤等の表面処理剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤、リン含有化合物、臭素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等難燃剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を挙げることができる。
【0056】
本発明のプリプレグは、本発明における熱硬化性樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明における熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。また、後述するような熱硬化性樹脂組成物からなる接着フィルムをシート状補強基材の両面からラミネートすることで調製することもできる。
【0057】
ワニスを調製するための有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
乾燥条件は特に限定されないが、回路基板にラミネートして用いる場合などはプリプレグの接着能力を保持するため、乾燥時に熱硬化性樹脂組成物の硬化をできる限り進行させないことが重要となる。また、プリプレグ内に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、熱硬化性樹脂組成物中への有機溶剤の含有割合が通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下となるように乾燥させる。具体的な乾燥条件は、熱硬化性樹脂組成物の硬化性やワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスにおいては、通常80〜120℃で3〜13分程度乾燥させることができる。当業者は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
【0059】
繊維からなるシート状補強基材としては、例えばガラスクロスやアラミド不織布、液晶ポリマー不織布等、プリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。特に、厚さが0.05mm以下の薄型のものが好適に用いられる。繊維からなるシート状補強基材の具体的な例としては、ガラスクロス基材として旭シュエーベル社(株)製スタイル1027MS(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚み19μm)や1037MS(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚み28μm)、アラミド不織布基材としてデュポン帝人アドバンスドペーパー(株)製APTF(坪量12〜29g/m)、液晶ポリマー不織布として(株)クラレ製の芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法によるベクルス(目付け量6〜15g/m)やベクトランなどが挙げられる。
【0060】
ホットメルト法は、樹脂を有機溶剤に溶解することなく、樹脂を樹脂と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
【0061】
このようにして製造されるプリプレグは、熱硬化性樹脂組成物が含浸したシート状補強基材部分と、シート状補強基材の両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層から構成される。回路基板への積層時には、熱硬化性樹脂組成物が回路基板方向に流動し、回路基板との接着が行なわれる。ここで、熱硬化性樹脂組成物の流動性が比較的高い場合は、回路基板に接しない面の熱硬化性樹脂組成物層はラミネート時にシート状補強基材方向に流動することにより、ラミネート後にシート状補強基材が剥き出しになり、絶縁層の平滑性が損なわれる場合がある。従って、この場合、このような問題が起こらない程度に、回路基板に接しない熱硬化性樹脂組成物層の層厚を十分に厚くしておくのが好ましい。一方、樹脂流動性が比較的低い場合は、回路表面の樹脂被覆に問題が起きない程度に、回路基板に接する熱硬化性樹脂組成物層を十分厚くするのが好ましい。なお、一方、プリプレグの厚さが大きすぎると、多層基板等を製造する場合の薄型化に不都合となる場合がある。この場合、いずれか片面の熱硬化性樹脂組成物層の厚さを厚くしたい場合、別の面の厚さは薄くすることで調整することができる。
【0062】
シート状補強基材の厚さは好ましくは50μm以下、より好ましくは10〜30μmである。熱硬化性樹脂組成物層の層厚は熱硬化性樹脂組成物の流動性によっても異なるが、通常5〜135μm、好ましくは10〜100μmの間で選択される。プリプレグ全体の厚みは好ましくは30〜150μm、より好ましくは40〜100μmの間で選択される。本発明における熱硬化性樹脂組成物とシート状補強基材とが組み合わさることにより、形成される絶縁層の機械強度をより優れたものとすることができ、また絶縁層の柔軟性も維持されるため、多層プリント配線板、フレキシブル回路基板、半導体装置における半導体とサブストレート基板間の接着用絶縁材料等、絶縁層形成用材料として好適に使用することができる。
【0063】
回路基板に接する熱硬化性樹脂組成物層の層厚が、回路基板に接しない熱硬化性樹脂組成物層の層厚よりも大きい構造を有するプリプレグは、例えば、本発明における熱硬化性樹脂組成物のワニスを支持フィルムに塗工、乾燥させて接着フィルムとし、これをホットメルト法、ソルベント法等により製造したプリプレグの片面にラミネートした後、支持フィルムを剥離することで製造することができる。乾燥条件はプリプレグの調製と同様である。支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネートなどを挙げることができる。支持フィルムはマット(mat)処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよいが、剥離性を考慮すると離型処理が施されている方がより好ましい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。ラミネート条件は後述するプリプレグの真空ラミネーターによるラミネートと同様である。
【0064】
本発明のプリプレグは特に多層フレキシブル回路基板の製造に好適に使用することができる。以下に、多層フレキシブル回路基板を製造する方法について説明する。本発明のプリプレグは真空ラミネーターにより好適にフレキシブル回路基板にラミネートすることができる。ここで使用するフレキシブル回路基板は、主として、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ポリアミドイミド基板、液晶ポリマー基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)はもちろん、回路と絶縁層が交互に層形成され、片面又は両面が回路形成されている多層フレキシブル回路基板を更に多層化するために使用することもできる。なお回路表面は過酸化水素/硫酸、メックエッチボンド(メック(株)社製)等の表面処理剤により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
【0065】
回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートを挟み加圧・加熱条件下でプレス積層する。圧力は好ましくは5〜40kgf/cm、温度は好ましくは120〜200℃で20〜100分の範囲で成型するのが好ましい。また真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することによっても製造可能である。その後、前に記載した方法と同様、酸化剤により硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をめっきにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
【0066】
市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、日立テクノエンジニアリング(株)製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0067】
真空ラミネートにおいて、プリプレグを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。また、ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。
【0068】
プリプレグを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却し、次いで、回路基板にラミネートされたプリプレグを加熱硬化させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
【0069】
プリプレグの硬化物である絶縁層が形成された後、必要に応じて回路基板にドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらの組み合わせ等の方法により穴開けを行いビアホールやスルーホールを形成してもよい。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
【0070】
次いで絶縁層の表面処理を行う。表面処理はデスミアプロセスで用いられる方法を採用することができ、デスミアプロセスを兼ねた形で行うことができる。デスミアプロセスに用いられる薬品としては酸化剤が一般的である。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルドアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて処理を行うのが好ましい。酸化剤で処理する前に、膨潤剤による処理を行うこともできる。また酸化剤による処理の後は、通常、還元剤による中和処理が行われる。
【0071】
表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。導体層形成は無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で実施することができる。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール(anneal)処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
【0072】
導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。サブトラクティブ法の場合、無電解銅メッキ層の厚みは0.1乃至3μm、好ましくは0.3乃至2μmである。その上に電気メッキ層(パネルメッキ層)を3乃至35μm、好ましくは5乃至20μmの厚みで形成した後、エッチングレジストを形成し、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液でエッチングすることにより導体パターンを形成した後、エッチングレジストを剥離することにより、回路基板を得ることが出来る。また、セミアディティブ法の場合には、無電解銅メッキ層の厚みを0.1乃至3μm、好ましくは0.3乃至2μmで無電解銅メッキ層を形成後、パターンレジストを形成し、次いで電気銅メッキ後に剥離することにより、回路基板を得ることができる。
【0073】
また本発明のプリプレグは、フレキシブル回路基板のベース基板として使用できる。まずプリプレグを加熱硬化させ、絶縁層を形成させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。ドリル、レーザー、プラズマ等の方法により穴開けし、両面の導通のためのスルーホールを形成する。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
【0074】
次いで絶縁層の表面処理を行う。表面処理については、前述した場合と同様である。表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。メッキによる導体層形成については、前述した場合と同様である。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
【0075】
次に、導体層をパターン加工し回路形成しフレキシブル回路基板とする。回路形成の方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。詳細は前述の場合と同様である。
【0076】
このようにして得られた片面又は両面フレキシブル回路基板(ベース基板)は、例えば、本発明のプリプレグ等により更に多層化することで、多層フレキシブル回路基板を製造することもできる。
【0077】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は半導体とサブストレート基板間の応力緩和層を形成するための材料としても有用である(特許文献4参照)。例えば、前記と同様にして、本発明の接着フィルムによりサブストレート基板の最も上部の絶縁層の全部または一部を形成し、半導体を接続することにより、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物を介して半導体とサブストレート基板が接着された半導体装置を製造することができる。この場合、接着フィルムの熱硬化性樹脂組成物層の厚みは10〜1000μmの範囲で適宜選択される。本発明の熱硬化性樹脂組成物はメッキにより導体層の形成が可能であり、サブストレート基板上に設けた応力緩和用の絶縁層上にも簡便にメッキにより導体層を形成し回路パターンを作製することも可能である。
【0078】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中、部は質量部を意味する。
【0079】
[製造例1]
<線状変性ポリイミド樹脂の製造(線状変性ポリイミド樹脂ワニスA)>
反応容器にG−3000(2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、数平均分子量 =5047(GPC法)、ヒドロキシル基当量=1798g/eq.、固形分100w%:日本曹達(株)製)50gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)23.5g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン−2,4−ジイソシアネート(イソシアネート基当量=87.08g/eq.)4.8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量=161.1g/eq.)8.96gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)社製)40.4gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して線状変性ポリイミド樹脂(線状変性ポリイミド樹脂ワニスA)を得た。
線状変性ポリイミド樹脂ワニスAの性状:粘度=7.5Pa・s(25℃、E型粘度計)、酸価=16.9mgKOH/g、固形分=50w%、数平均分子量=13723。
ポリブタジエン構造部分の含有率=50*100/(50+4.8+8.96)=78.4質量%。
【0080】
[製造例2]
<線状変性ポリイミド樹脂の製造(線状変性ポリイミド樹脂ワニスB)>
反応容器にG−3000(2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、数平均分子量=5047(GPC法)、ヒドロキシル基当量=1798g/eq.、固形分100w%:日本曹達(株)製)50gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)23.5g、ジブチル錫ラウレート0.007gを混合し、均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン−2,4−ジイソシアネート(イソシアネート基当量=87.08g/eq.)4.8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量=161.1g/eq.)8.83gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)社製)74.09gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失が確認された時点でさらに、トルエン−2,4−ジイソシアネート(イソシアネート基当量=87.08g/eq.)1.43gを添加し、再び130℃で2〜6時間攪拌反応を行いながらFT−IRによりNCOピーク消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、これを室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過し、変性ポリイミド樹脂(線状変性ポリイミド樹脂ワニスB)を得た。
線状変性ポリイミド樹脂ワニスBの性状:粘度=7.0Pa・s(25℃、E型粘度計)、酸価=6.9mgKOH/g、固形分=40w%、数平均分子量=19890。
ポリブタジエン構造部分の含有率=50*100/(50+4.8+8.83+1.43)=76.9質量%。
【実施例1】
【0081】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)8部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のメチルエチルケトン(以下、MEKと記す)ワニス(大日本インキ化学工業(株)製「フェノライトLA−7054」)6.5部を添加してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に離型処理ポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下PETと略す)上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥し熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを製造した。次いで熱硬化性樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)し、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、この接着フィルムからポリプロピレンフィルムを剥離した後、熱硬化性樹脂組成物層をガラスクロス側にして(株)名機製作所製真空ラミネーターにより、温度130℃、圧力7kgf/cm2、気圧5mmHg以下の条件で両面にラミネートした。次いで離型処理PETフィルムを剥離してプリプレグを得た。
【実施例2】
【0082】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)3部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量290、日本化薬(株)製「NC−3000−H」)9.1部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製「フェノライトLA−7054」)6.5部、さらにMEK3.9部を添加してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルム得た。次いで熱硬化性樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【実施例3】
【0083】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)4部、テトラメチルタイプのビフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX−4000」)4.5部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製「フェノライトLA−7054」)6.5部を添加してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを得た。次いで熱硬化性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【実施例4】
【0084】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)4部、トリフェニルメタン型多官能エポキシ樹脂(エポキシ当量170、日本化薬(株)製「EPPN−502H」)4部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製「フェノライトLA−7054」)6.5部、さらにMEK1部を添加して熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを得た。次いで熱硬化性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【実施例5】
【0085】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)8部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製「フェノライトLA−7054」)6.5部、さらに球形シリカ(平均粒径1.1μm)8部、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)4部を添加して熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを得た。次いで熱硬化性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【実施例6】
【0086】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)8部、イミダゾール系硬化剤(四国化成工業(株)製、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物「キュアゾール2MA−OK」)0.5部、さらに球形シリカ(平均粒径1.1μm)10部、「イプゾール150」(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)4部を添加して熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを得た。次いで熱硬化性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【実施例7】
【0087】
成分(A)として製造例1で得られた線状変性ポリイミド樹脂ワニスA40部、成分(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」)8部、ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピキュアDICY7」)0.5部、さらに球形シリカ(平均粒径1.1μm)10部、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)4部を添加して熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に実施例1と同様に離型処理PET上に、その熱硬化性樹脂組成物を、乾燥後の樹脂厚みが20μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥して熱硬化性樹脂組成物層(残留溶媒量約1質量%)を形成し接着フィルムを得た。次いで熱硬化性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合せながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。続いて、旭シュエーベル(株)製1027MSガラスクロスを中央に介し、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0088】
実施例1〜7で得られたプリプレグおよび接着フィルムを180℃で90分加熱硬化した。各実施例におけるプリプレグの硬化物及び接着フィルムのみの硬化物の特性値を表1に示す。また比較例1として、エポキシ樹脂製の層間絶縁材料(味の素ファインテクノ(株)社製ABF−SHcode9K)を170℃で90分加熱硬化させた硬化物及び実施例1と同様にして調製されたプリプレグの硬化物の特性値を合わせて表1に示す。なお、引張り破断強度測定は日本工業規格(JIS)K7127に準拠して行った。測定温度水準は室温、150℃の2水準を用いた。また硬化物を屈曲させ折り曲げ性を評価したところ、実施例の硬化物は屈曲性が良好でクラックの発生も見られなかったが、比較例の硬化物は屈曲性に欠け、折り曲げを複数回繰り返すとクラックが発生した。
【0089】
【表1】

【実施例8】
【0090】
多層フレキシブル回路基板の製造(その1)
銅箔12μm、ポリイミドフィルム25μmよりなる両面2層CCLを回路形成し回路基板を調製した(径0.2mmのスルーホールあり)。これを中央に介し実施例1で得られたプリプレグを回路面にして、更に最外層に離型処理PETを配置して(株)名機製作所製真空ラミネーターにより、温度130℃、圧力7kgf/cm、気圧5mmHg以下の条件で両面にラミネートした。次いで離型処理PETフィルムを剥離し、180℃で30分加熱硬化させ絶縁層を形成した後、レーザーにより穴開けを行いビアホールを形成させた。デスミアプロセスを兼ねた絶縁層の表面処理プロセスは、アトテックジャパン社製の以下の薬液を使用した。
酸化剤「コンセントレイト・コンパクト CP(Concentrate Compact CP)」(過マンガン酸アルカリ溶液)
還元剤「リダクション・ソルーション・セキュリガンス P−500(Reduction solution Securiganth P-500)」
絶縁層を温度80℃で10分間酸化剤溶液により表面処理を行った。次いで、温度40℃で5分間還元剤溶液により中和処理行った。次に絶縁層表面に無電界銅メッキの触媒付与を行なった後、無電界銅メッキ液に32℃で30分浸漬して、1.5μmの無電界銅メッキ皮膜を形成させた。これを、150℃30分で乾燥後、酸洗浄し、含リン銅板をアノードとし、陰極電流密度2.0A/dm2で12分間電気銅メッキを行ない、銅メッキ皮膜を形成させた。その後、更に180℃で30分アニール処理を行った。得られた導体層のピール強度は1.2kgf/cmであった。またピール強度測定はJIS C6481に準じて評価し、導体メッキ厚は約30μmとした。得られた多層フレキシブル回路基板は良好な屈曲性を有していた。
【実施例9】
【0091】
多層フレキシブル回路基板の製造(その2)
実施例5で得られたプリプレグを用いて実施例8と同様にして4層プリント配線板を得た。また得られた導体層のピール強度は0.8kgf/cmであった。実施例8と同様に得られた多層フレキシブル回路基板は良好な屈曲性を有していた。
【実施例10】
【0092】
多層フレキシブル回路基板の製造(その3)
実施例6で得られたプリプレグを用いて実施例8と同様にして4層プリント配線板を得た。また得られた導体層のピール強度は1.0kgf/cmであった。実施例8と同様に得られた多層フレキシブル回路基板は良好な屈曲性を有していた。
【実施例11】
【0093】
多層フレキシブル回路基板の製造(その4)
実施例7で得られたプリプレグを用いて実施例8と同様にして4層プリント配線板を得た。また得られた導体層のピール強度は0.9kgf/cmであった。実施例8と同様に得られた多層フレキシブル回路基板は良好な屈曲性を有していた。
【0094】
<比較例2>
エポキシ樹脂製の層間絶縁材料(味の素ファインテクノ(株)社製ABF−SHcode9K)(厚さ20μm)を実施例1と同様にガラスクロスの両面からラミネートすることにより作成したプリプレグを用い、実施例8と同様にして4層プリント配線板を得た。得られた多層板は屈曲性を有していなかった。デスミアプロセスを兼ねた絶縁層の表面処理プロセスは、アトテックジャパン社製の以下の薬液を使用した。膨潤剤「スウェリング・ディップ・セキュリガンス P(Swelling Dip Securiganth P)」、酸化剤「コンセントレイト・コンパクト CP(Concentrate Compact CP)」(過マンガン酸アルカリ溶液)、還元剤「リダクション・ソルーション・セキュリガンス P−500(Reduction solution Securiganth P-500)」
温度80℃で5分間膨潤剤溶液で表面処理し、次いで温度80℃で10分間酸化剤で表面処理し、最後に40℃で5分間還元剤溶液で中和処理を行った。また得られた導体層のピール強度は1.0kgf/cmであった。
【実施例12】
【0095】
実施例1と同様にして樹脂厚が10μmと30μmの接着フィルムを作成した。続いて樹脂厚の異なる接着フィルムをそれぞれガラスクロスの片側面に配置し、実施例1と同様の操作を行い、両面の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが異なるプリプレグを得た。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は柔軟性、機械強度及び誘電特性に優れ、また硬化物表面にメッキにより、簡便に、密着性に優れる導体層が形成可能であり、フレキシブル回路基板、特に多層フレキシブル回路基板の絶縁材料として好適に使用することができる。また、該硬化物表面に凹凸面が形成されなくとも高いピール強度を有する導体層形成が可能であるため、特にファインパターンの回路形成が必要なフレキシブル回路基板に好適に用いることができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項2】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基に対するジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1を超える比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1:1.5〜1:2.5となる比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項4】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンとジイソシアネート化合物を、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量比が1:1.5〜1:2.5となる比率で反応させて得られるポリブタジエンジイソシアネート組成物に、四塩基酸二無水物を、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基当量X、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基の官能基当量W及び四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量Yが、Y>X−W≧Y/5(W>0、X>0、Y>0)の関係を満たす比率で反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項5】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の線状変性ポリイミド樹脂に、更に新たなイソシアネート化合物を、原料であるジイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量X、原料である2官能ヒドロキシル末端ポリブタジエンのヒドロキシル基官能基当量W、四塩基酸二無水物の酸無水物基の官能基当量Y及び新たに反応させるイソシアネート化合物のイソシアネート官能基当量Zが、Y−(X−W)>Z≧0(W>0、X>0、Y>0、Z>0)の関係を満たす比率で反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項6】
(A)分子内に下式(1−a)で表されるポリブタジエン構造及び下式(1−b)で表されるポリイミド構造を有する線状変性ポリイミド樹脂、
【化1】

[式中、R1は2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示し、R2は四塩基酸二無水物の酸無水物基を除いた残基を示し、R3はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基を示す。]
及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項7】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が45質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項8】
成分(A)の線状変性ポリイミド樹脂中のポリブタジエン構造の含有率が60質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項9】
R1が、数平均分子量800〜10000である2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエンのヒドロキシル基を除いた残基を示す、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項10】
成分(A)と成分(B)の配合割合が質量比で100:1〜1:1であり、熱硬化樹脂組成物中の成分(A)及び成分(B)の合計含量が70質量%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項11】
更に充填材を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項12】
成分(B)の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1〜11のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項13】
更にエポキシ硬化剤を含有する請求項12記載のプリプレグ。
【請求項14】
シート状繊維基材の厚さが50μm以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のプリプレグの硬化物により絶縁層の一部又は全部が形成されている多層プリント配線板。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のプリプレグの硬化物上に回路が形成されているフレキシブル回路基板。
【請求項17】
半導体とサブストレート基板が請求項1〜14のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を介して接着されている半導体装置。



【公開番号】特開2007−169454(P2007−169454A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368905(P2005−368905)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】