説明

多孔質シリコンを多孔質金属またはセラミックスに変換することによってマイクロ構造を作製するための方法

マイクロ構造(100)を作製するための方法が提案される。この方法は、主面を有するシリコン基板(102)を設けるステップで始まる。次に、主面からシリコン基板の中へ延びる多孔質シリコン層(103)が形成される。この方法は、多孔質シリコン層を選択的にエッチングすることによって継続し、多孔質シリコンの突出マイクロ素子(112)のセットを得る。各突出マイクロ素子は、シリコン基板(106)の残りの部分から突き出し、それによって、対応する外面を露出させる。次に、突出マイクロ素子を処理して、対応する導電性(115)または絶縁性(115’)マイクロ素子のセットを得る。各導電性または絶縁性マイクロ素子は、(対応する突出素子の中へ外面から延びる)多孔質シリコンの少なくとも主要部分を多孔質金属またはセラミックスにそれぞれ変換することによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態による解決法は、マイクロ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ構造(導電性または絶縁性)は、無数の用途でよく用いられる。典型的な例は、半導体材料のチップ(ここに集積回路が形成される)をパッケージ化するための回路付き基板である。一般的に、基板は、導電性接続要素を支持するための絶縁性基体で作製される。例えば、ボールグリッドアレイ(BGA)型の電子デバイスでは、チップは、基板の上面に実装される。次に、チップの端子が、対応する接点(パッドなど)に接合されるが、これらの接点は、(フリップチップ技術などを用いて)基板の同じ上面に設けられる。スルービアホール(または単にビア)が、基板を横断して、基板の上面のパッドを、基板の下面に設けられた対応する導電性ボールに接続するようにする。次に、このようにして得られた構造は、(例えばプラスチック材料の)保護カバー内に囲まれるが、この保護カバーは、(電子デバイスの外部端子を実現する)基板下面のボールだけを露出させておく。
【0003】
この文脈では、チップの端子用のより高密度な接点に対する要求ゆえの問題がある。実際には、集積回路における複雑さの増大によって、(特にマルチプロセッサコンポーネント用の)チップにおける非常に多数の端子が、それらのピッチの対応する減少と共に必要とされる。しかしながら、シーケンシャルビルドアップ(SBU)または高密度相互接続(HDI)としてもまた知られているマイクロビア技術に基づいたプロセスなどの非常に精巧な作製プロセスによっても、50〜80μm未満の直径を備えたビアを得ることは可能にはならない。
【0004】
また、チップの端子密度の増加は、チップによって生成される熱の放散のために大きな問題を引き起こす。これは、特にチップの熱が集中する特定の領域(ホットスポット)において非常に重大なことになる可能性がある。
【0005】
周知の基板における別の問題は、対応するビアを介した、チップの端子と電子デバイスの端子との間における接続部の非常に低い抵抗の要求である。例えば、ほとんど全ての機能が少数のチップで実現される携帯電話用など、複雑なシステムオンチップ(SOC)では、各接続部の抵抗は70〜80mΩを超えるべきでない。
【0006】
他方で、いくつかの用途(例えば、電子デバイスが高周波で動作する場合)では、接続部の結合浮遊容量を低減するために、基板の絶縁性基体の低誘電率が必要とされる。さらに、電力用途では、絶縁性基体が、高破壊電圧を示すべきことがまた必要とされる。
【0007】
さらなる問題は、電子デバイスの信頼性に関する。実際には、チップの熱膨張係数(TCE)と基板の熱膨張係数(TCE)との間のどんな差も、(特に、フリップチップ技術では基板とチップの接合部において)チップに機械的応力を引き起こす可能性がある。この問題は、超低誘電率の誘電体材料を用いることによってさらに悪化される。なぜなら、これらの材料は、基板が事実上チップに対して応力を引き起こさないことを要求するからである。
【0008】
同様の考察が、2以上の電子デバイス(各デバイスは、対応する基板を備えている)が上下に実装されるパッケージオンパッケージ(POP)構造に当てはまる。
【0009】
マイクロ構造の別の適用例は、マイクロ電気機械システム(MEMS)である。この場合には、複雑な形状の(導電性または絶縁性)マイクロ構造を作製する能力が必要とされる。これらのマイクロ構造の望ましい特性は、高い機械的剛性、低重量および/または極端な温度(例えば、−100℃までもしくは+1,500℃まで)に対する耐久性であり得る。
【0010】
さらに、マイクロ構造はまた、(例えば、時計における)精密マイクロメカニカル用途で用いてもよい。これには、温度に対して非常に安定し、低い慣性を備え、かつ/または過酷な環境における使用に適した(例えば、耐腐食性である)(導電性または絶縁性)マイクロ構造が必要とされる可能性がある。
【0011】
また、マイクロ構造の使用を必要とする他の技術分野において、同等の、追加的な、および/または異なる問題に遭遇する。例えば、これは、(電磁気アンテナで使用するためなどの)磁性誘電体材料、(マイクロ構造の寸法を考慮した、マイクロ波管またはそれ以上のテラHz周波数領域の管などの)真空電子デバイス等の場合である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般的な言い方をすると、本発明の実施形態による解決法は、多孔質シリコンからマイクロ構造を作製するという考えに基づいている。
【0013】
特に、本発明の様々な態様は、独立請求項に述べられているような解決法を提供する。本発明の有利な実施形態が、従属請求項に述べられている。
【0014】
より具体的には、本発明の実施形態による解決法の態様によって、マイクロ構造を作製するための方法が提案される。この方法は、(主面を有する)シリコン基板を設けるステップで始まる。次に、主面からシリコン基板の中へ延びる多孔質シリコン層が形成される。この方法は、多孔質シリコン層を選択的にエッチングすることによって継続し、多孔質シリコンの突出マイクロ素子のセットを得る。各突出マイクロ素子は、シリコン基板の残りの部分から突き出し、それによって、対応する外面を露出させる。次に、突出マイクロ素子を処理して、対応する導電性または絶縁性マイクロ素子のセットを得る。各導電性または絶縁性マイクロ素子は、(対応する突出マイクロ素子の中へ外面から延びる)多孔質シリコンの少なくとも主要部分を多孔質金属またはセラミックスにそれぞれ変換することによって得られる。
【0015】
本発明の特定の実施形態による解決法の他の態様が、磁性誘電体構造、相互接続構造、パッケージ化電子デバイス、パッケージツーパッケージ電子デバイス、電力電子デバイス、真空電子デバイス、およびマイクロメカニズムを作製するための方法を提案する。
【0016】
本発明の実施形態による解決法は、本発明のさらなる特徴および利点と同様に、添付の図面と共に読むべき、純粋に非限定的な指摘として提供される以下の詳細な説明に関連して最もよく理解されるであろう。この点において、図が、必ずしも縮尺通りに作成されていないこと、および別段の指摘がなければ、図が、本明細書で説明する構造および手順を単に概念的に示すためのものであることが、明らかに意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図1B】本発明の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図1C】本発明の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図1D】本発明の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図1D−1】本発明の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2A】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2B】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2C】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2D】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2E】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2F】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図2G】本発明の別の実施形態に従ってマイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階を示す。
【図3A】本発明の実施形態に従って相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3B】本発明の実施形態に従って相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3C】本発明の実施形態に従って相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3D】本発明の実施形態に従って相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3A−1】本発明の別の実施形態に従って同じ相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3B−1】本発明の別の実施形態に従って同じ相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3C−1】本発明の別の実施形態に従って同じ相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図3D−1】本発明の別の実施形態に従って同じ相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4A】本発明の実施形態に従ってパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4B】本発明の実施形態に従ってパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4C】本発明の実施形態に従ってパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4A−1】本発明の別の実施形態に従って同じパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4B−1】本発明の別の実施形態に従って同じパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図4C−1】本発明の別の実施形態に従って同じパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5A】本発明の実施形態に従って異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5B】本発明の実施形態に従って異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5C】本発明の実施形態に従って異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5A−1】本発明の別の実施形態に従って、同じ異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5B−1】本発明の別の実施形態に従って、同じ異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図5C−1】本発明の別の実施形態に従って、同じ異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図6】本発明の実施形態による解決法で取得可能なさらに例示的なパッケージ化電子デバイスである。
【図7】本発明の実施形態による解決法で取得可能な例示的なパッケージオンパッケージ電子デバイスである。
【図8】本発明の実施形態による解決法で取得可能な例示的な電力電子デバイスである。
【図9A】本発明の実施形態に従って真空電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図9B】本発明の実施形態に従って真空電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図9C】本発明の実施形態に従って真空電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図9D】本発明の実施形態に従って真空電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10A】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10B】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10C】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10D】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10E】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【図10F】本発明の実施形態に従ってマイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に図1A〜1D−1を参照すると、本発明の実施形態に従って、(図1Dにおいて参照符号100で、かつ図1D−1において参照符号100’でそれぞれ示された)導電性または絶縁性マイクロ構造を作製するための作製プロセスにおける様々な段階が示されている。
【0019】
図1Aに示すように、作製プロセスは、(例えば、単結晶シリコンのウエハからなる)シリコン基板102で始まる。単一のマイクロ構造が全ウエハ上に形成されてもよく、または同じマイクロ構造は、ウエハにおけるいくつかの同一の面積に再現されてもよく、次に、このウエハが、プロセスの終わりにダイシングされる。多孔質シリコン層103が、シリコン基板102中に形成される。多孔質シリコン層103は、シリコン基板102の前(上)面から延びて、シリコン基板102における非多孔質すなわち緻密なシリコンの残部(参照符号106で示されている)を残しておくようにする。
【0020】
この目的のために、シリコン基板102は、(その前面に作用する)陽極プロセスにさらされる。特に、シリコン基板102は、(フッ化水素酸すなわちHFが豊富な電解液を含む)電気化学セルにおける陽極として用いられる。陽極プロセスの電流密度が、(多数の実験的要因に依存して)臨界値JPSより低い場合には、電解液は、シリコン基板102の前面に達する正孔とだけ反応する(その結果、反応は、正孔の供給によって制限され、電解液へのそのイオン拡散によっては制限されない)。もちろん、これは、シリコン基板102の前面における(自由)正孔の利用可能性を必要とする。正孔の利用可能性は、シリコン基板102がP型である場合には明白である。反対に、シリコン基板102がN型である場合には、シリコン−電解液の界面は、逆バイアスをかけられたショットキー接合部(すなわち、シリコン基板102における不純物濃度が増加するにつれて幅が減少する空乏領域を備えた)として動作する。シリコン基板102が、高い不純物濃度(N+)を有する場合には、シリコン基板102における自由正孔は、量子力学的トンネル効果によって、この接合部のポテンシャル障壁を通過することができる。逆に言えば、例えばシリコン基板102の前面および/または裏(下)面でシリコン基板102を照明することによって、正孔がポテンシャル障壁を通過できるようにするためのエネルギーを、正孔に供給することが必要である。
【0021】
多孔質シリコン(PS)は、その孔の直径に従ってナノPS(またはマイクロPS)、メソPSおよびマクロPSとして分類される。特に、孔の直径は、ナノPSでは2nm未満であり、メソPSでは2nm〜50nmであり、マクロPSでは50nmを超える。原則として、ナノPSは、シリコン基板のドーピングと無関係に、全てのシリコン基板に形成される。しかしながら、純粋なナノPSは、不純物濃度が低いP型のシリコン基板においてのみ得ることができる。その代りに、ナノPSおよびメソPSの混合が、不純物濃度が高い(N型またはP型のいずれかの)シリコン基板で得られる。最後に、マクロPSは、不純物濃度が低いシリコン基板で得ることができる(シリコン基板がN型である場合に孔を被覆することが分かっているナノPSを伴って)。
【0022】
多孔質シリコンの特性は、その形態に依存するが、形態は、今度は、様々なパラメータ(例えば、シリコンの長さ、不純物の濃度およびタイプ、電流密度、電解液のタイプ等)によって定義される陽極プロセスのレジーム(regime)の関数である。この文脈では、多孔質シリコンの関連特性は、その多孔度(P%)であり、それは、(緻密な)シリコンに対して、
【数1】


として定義される。ここで、ρPSが多孔質シリコンの密度であり、ρSiが、緻密なシリコンの密度(すなわち2.3g/cm)である。多孔質シリコンの密度ρPSは、次の式を適用することによって測定することができる。
【数2】


ここで、値PSi(陽極プロセス前のシリコン基板の初期重量)、PPS(陽極プロセス後のシリコン基板の終了重量)およびDPS(多孔質シリコン層の厚さ)は、測定できるのに対して、値SPS(陽極プロセスにさらされているシリコン基板の前面の拡張)は周知である。
【0023】
特に、多孔度PPS%は、電解液濃度が減少するにつれて、かつ/または電流密度が増加するにつれて増加する。いくつかの用途では、(例えば、均一なマイクロ構造を得るために)多孔質シリコン層103全体において多孔度PPS%を同一に維持することが好ましい。この目的のために、多孔質シリコン層103の厚さDPSが薄い(例えば、50μm以下)場合には、プロセスパラメータを経時的に一定に維持することで十分である。しかしながら、多孔質シリコン層103の厚さDPSが比較的厚い(例えば、50μm超)場合には、多孔質シリコン層103の下部における電解液濃度は、そのイオン拡散における限界のために減少する。しかしながら、それに応じて経時的に電流密度を(例えば、線形則で)減少させることによって、均一な多孔度を得ることがやはり可能である。これに反して、他の用途では、多孔質シリコン層103の全体にわたって多孔度PPS%を変えることが好ましい。例えば、(孔を塞ぐプロセスなどの追加的な作業を回避するために)多孔質シリコン層103の内側に向かって増加する多孔度PPS%を有することが好ましくなり得る。上記のことを考慮すると、かかる結果は、それなりにプロセスパラメータを変えることによって(例えば、経時的に線形則で電流密度を増加させることによって)か、または多孔質シリコン層103の厚さDPSが厚い(例えば、50μm超)場合であっても一定のプロセスパラメータを用いることによって、得ることができる。
【0024】
例えば、次の実験結果は、0.01〜0.02Ωcmの抵抗を有するN+型のシリコン基板で得られたが、このシリコン基板は、HF:COH=3:1の電解液に浸漬された。陽極プロセスは、次のレジームの電流密度を印加することによって室温で実行された。
【0025】
【表1】

【0026】
陽極プロセスのレジームは、多孔質シリコン層102の所望の厚さDPSおよび多孔度PPS%を得るために、問題なく変更することができる。例えば、厚さDPSは、1μm〜500μmに及ぶことができる。多孔度PPS%は、代わりに、10%(マクロPSの場合)または20%(ナノPSまたはメソPSの場合)から85〜95%に及ぶことができる。
【0027】
以下で説明するように、いくつかの用途において、(残りの)シリコン基板106が除去されることになる場合には、均一な多孔度PPS%を備えた多孔質シリコン層の(より厚い)外側部分(103eで示されている)、およびより高い多孔度PPS%(例えば、外側部分103eの多孔度の1.2〜2.0倍に等しい)を備えた(より薄い)多孔質シリコン層の内側部分(103iで示されている)を有することが好ましい。内側部分103iは、陽極酸化プロセスの終わりに電流密度を増加させることによって得てもよい。例えば、上記の表におけるサンプルNo.4(外側部分103eの厚さ200μmおよび多孔度PPS%=64.80%)を提供する陽極プロセスの後に、120mA/cmの定電流密度を備えたパルスを30秒間印加することによって、1.5〜1.8μmの厚さおよび多孔度PPS%=85%を備えた内側部分103iを得ることが可能である。
【0028】
図1Bに進むと、エッチングマスク109が、多孔質シリコン層103の前面に形成される。マスク109は、(例えば、10〜50nmの厚さを備えた)材料の薄層からなるが、この層は、次のエッチングプロセス中に多孔質シリコン層103を保護するように構成される。例えば、マスク109は、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス用のNi、Au、Pt、Ti、AlおよびCrのような金属、およびボッシュ法に基づいたディープRIE(DRIE)プロセス用のSiOまたはフォトレジストのような誘電体で作製してもよい。マスク109は、最終マイクロ構造の(導電性または絶縁性)機能マイクロ素子が望ましい、多孔質シリコン層103の露出エリアを残すようにパターン化される。この結果は、フォトリソグラフィプロセスで達成してもよい。この目的のために、マスキング層が、多孔質シリコン層103上に堆積される。今度は、フォトレジスト層が、マスキング層上に堆積され、かつエッチングプロセスを介して除去されるべきマスキング層の部分を露出させておくようにフォトリソグラフィで形作られる。代替として、同じ結果はまた、リフトオフプロセスで達成してもよい。この場合には、フォトレジスト層が、多孔質シリコン層103上に堆積され、かつ機能マイクロ素子のエリアから除去されるようにフォトリソグラフィで形作られる。次に、マスキング層が、フォトレジスト層、および多孔質シリコン層103の露出したエリアに堆積される。ここでフォトレジスト層が除去され、その上に形成されたマスキング層を取り去る。したがって、マスキング層は、機能マイクロ素子のエリアの上だけに残る。しかしながら、この場合に、ポジ型フォトレジスト材料(その現像用にアルカリ溶液を必要とする)が用いられるときには、多孔質シリコン層103を前もって保護する(多孔質シリコン層103の多孔性ゆえのその望ましくないエッチングを回避するために)ことが必要である。この目的のために、薄膜プロセスによって多孔質シリコン層103上に堆積される、0.5μm未満の厚さ(例えば、100nm)などを備えたSiOまたはポリシリコンの薄層(図示せず)で、多孔質シリコン層103を保護することが可能である。
【0029】
プロセスは、図1Cに進む。図1Cでは、多孔質シリコン層103は、マスク109を通してエッチングプロセスにさらされる。エッチングプロセスは、マスク109によって画定された所望の形状を備えた機能マイクロ素子を得るために、異方性タイプ(すなわちその水平エッチング速度および垂直エッチング速度間の非常に低い比率を伴う)である。この目的のために、適切なガス(例えば、SFに対して高濃度のCHF)、高無線周波数(RF)電力、および/または低圧を伴うRIEタイプのプラズマエッチングプロセスを用いることが可能である。例えば、250WのRF電力および20mTorrの圧力を用いたRIEプロセスは、ガスSFまたはCHF:SF=17:3を用いて、1:10または1:65に等しい水平/垂直比をそれぞれ提供する。代わりに、より低い水平/垂直比(1:500まで)は、ボッシュ法に基づいたDRIEタイプのプラズマエッチングプロセスを用いて得ることができる。同時に、垂直エッチング速度(55%までの多孔度の値に対して多孔度PPS%と共に増加する)は、望ましいレベルの精度でエッチングの範囲(下方へシリコン基板106までの)を制御できるようにするために、比較的低く保つべきである。典型的には、垂直エッチング速度の適切な値は、1〜7μm/分である。非常に厳密な精度要件が適用される場合には、代わりに、はるかに低い垂直エッチング速度(100nm/分まで)を用いることが必要である。例えば、この結果は、単にRF電力を低減することによるDRIEプロセスにおいて(なぜなら、水平/垂直比がいずれにせよ低いままであるので)か、またはガスの変更(CHF濃度を増加させるか、もしくはOの混合物と共にNF、CFを用いることなど)によるRIEプロセスにおいて達成して、許容可能な水平/垂直比を維持してもよい。
【0030】
エッチングプロセスは、所望の機能マイクロ素子に対応する(多孔質シリコンの)突出マイクロ素子112を生成する。特に、各突出マイクロ素子112は、(側面で、およびマスク109より下方の上部で)対応する外面を露出するように、シリコン基板106から上方へ突き出る。次に、マスク109は、(例えば、ウェットエッチングプロセスで)除去される。
【0031】
図1Dに進むと、次に、突出マイクロ素子(図1Cの112)は、対応する導電性(機能)マイクロ素子115を得るように処理される。特に、突出マイクロ素子の中へ(それらの外面から)延びる多孔質シリコンは、多孔質金属に変換される。かかる多孔質金属の例は、Cu、Ni、Au、Pt、Ru、Agなどである。この目的のために、構造は、適切な溶液に浸漬される。溶液のタイプが、得られる多孔質金属およびその形態(これは、多孔質シリコンの形態と同じか、または異なってもよい)を決定し、一方でプロセスの長さが、変換の範囲(これは、突出マイクロ素子全体またはその一部だけを含んでもよい)を決定する。例えば、0.025M CuSo・5HO+0.01M HFの溶液を用いて、(200μmの高さ、50μmの幅、および多孔度PPS%=50%を備えた)突出マイクロ素子を、(多孔度PPM%=64.80%を備えた)多孔質銅の対応する導電性マイクロ素子115に、30分で完全に変換した。同じプロセスを用いて、25μmまたは10μmの厚さを備えた突出マイクロ素子の一部だけを25分または7分でそれぞれ変換した。例えば、Xi Zhang, King−Ning Tu, “Preparation of hierarchically porous nickel from macroporous silicon” J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 15036−15037、M. Hayase et al. “Formation of porous ruthenium layer on porous silicon template” Electrochem. Soc. 2006, 153, C741、H. Bandarenka, M. Balucani, R. Crescenzi, A. Ferrari, “Formation of composite nanostructures by corrosive deposition of copper into porous silicon” Superlattices and Microstructures, In Press, Corrected Proof, Available online 24 January 2008、M. Hayase et al. “Miniature 250μm thick full cell with monolithically fabricated silicon electrodes”, Electrochemical and Solid State Letters, 7 (8) A231−A234 (2004)、F.A.Harraz et al. “Immersion plating of nickel onto a porous silicon layer from fluoride solutions” Phys. Stat. Sol. (a), 2003, 197, 51−56、またはJ. G. A. Brito−Neto et al. “Porous gold structures built on silicon substrates” 211th ECS Meeting Abstracts, N° 877(2007)に説明されているように、(置換または腐食堆積としてもまた知られている)同様のプロセスが、完全に異なる用途、すなわち均一なタイプの多孔質シリコン層を、燃料電池(セルまたはバッテリ)における触媒として用いられる連続タイプの多孔質金属膜に変換するためだけの用途において、研究者によって既に報告されており、これらの文献の開示全体が、参照によって本明細書に援用されている。
【0032】
オプションとして、導電性素子115はまた、(導電性マイクロ素子115の多孔質金属と同じタイプかまたは異なるタイプの)(緻密な)金属層115pで被覆してもよい。例えば、この結果は、(電解または無電解)めっきプロセスで達成してもよい。このようにして、導電性マイクロ素子115の抵抗を低減すること、および/またはそれらの機械的安定性(それらの形状に実質的に影響することなく)を向上させることが可能である。その結果として、(以下でより詳細に説明するように)無数の用途において使用可能な所望の導電性マイクロ構造100が得られる。
【0033】
代替として、図1D−1に示すように、突出マイクロ素子(図1Cの112)は、代りに、対応する(機能)絶縁性マイクロ素子115’を得るように処理される。特に、突出マイクロ素子の中へ(それらの外面から)延びる多孔質シリコンは、多孔質または緻密なセラミックスに変換される。これらのセラミックスの例は、SiO、SiO、SiON、SiOCN、SiC、SiOCなどである。この目的のために、構造は、適切な熱プロセスにさらされる。熱プロセスの雰囲気(ガスまたは蒸気)が、得られるセラミックスを決定し、熱プロセスのレジームが、セラミックスが多孔質である場合には、セラミックスの形態を決定し(その形態は、多孔質シリコンの形態と同じかまたは異なってもよい)、一方で熱プロセスの長さが、変換の範囲(それは、突出マイクロ素子全体またはその一部だけを含んでもよい)を決定する。例えば、(100μmの高さ、および多孔度PPS%=50〜65%、好ましくはPPS%=55〜60%を備えた)ナノPSまたはマイクロPSの突出マイクロ素子を有する構造が、炉に入れられ、不活性雰囲気(例えば、窒素)中で1時間にわたって300℃に予熱された。次に、炉の温度は、1時間で300℃から900℃まで上昇される。この時点で、酸素が、1〜10リットル/分のフロー(例えば、5リットル/分)で炉に供給され、30分にわたって温度を900℃に維持する。次に、温度は、30分で1000〜1,100℃に上昇される。この温度は、突出マイクロ素子の所望の厚さを酸化させるために必要な期間にわたって維持される。温度の関数としての酸化時間の値は、様々なタイプの多孔質シリコン用に文献で周知である(例えば、ナノPSタイプの多孔質シリコン用には1時間程度、マクロPSタイプの多孔質シリコン用には10〜12時間程度)。緻密なセラミックスのマイクロ素子を得ることが望ましい場合には、構造は、(多孔質セラミックスを緻密なセラミックスに変換するために)高密度化プロセスにさらにさらされる。この目的のために、温度は、1時間で1,200〜1,300℃まで上昇され、少なくとも1時間にわたってかかる温度に維持される。いずれにせよ、ここで構造は、例えば炉のスイッチを切り、炉の内部に構造を残しておくことによって、(機械的応力を構造にもたらさないように)ゆっくりと冷却される。同様の熱プロセスが、突出マイクロ素子を炭化または酸素炭化するために適用される。この場合に、使用されるガスは、(炭化用の)COもしくはCO、または(酸素炭化用に)アンモニア溶液中で泡立つようにされた窒素とすることができ、一方で問題の温度は、より高い(約1,400〜1,550℃程度)。
【0034】
さらなる改善として、熱プロセスの前に、構造は、(C、Ni、Ti、Alなどの)いくつかのタイプのナノ粒子を含む溶液に浸漬してもよい。これらのナノ粒子は、多孔質シリコンのタイプ、ナノ粒子のタイプ、および浸漬時間に依存する量および深さで、(多孔質シリコンの)突出マイクロ素子内に浸透する。次に、その溶液は、蒸発させられ、その結果、ナノ粒子は、突出マイクロ素子内に留まる。このようにして、次の熱プロセス中に、これらのナノ粒子は、使用されたガスまたは蒸気と反応し、それによって、シリコンの原子、ガスまたは蒸気を作る元素の原子、およびナノ粒子の原子から構成されたセラミックスを形成する。この技術を用いれば、(例えば、機械的強度および/または熱伝導率が改善された)今まで未知の合成セラミックスを得ることができる。
【0035】
別の技術は、高分子材料(例えば、ポリメチルメタクリレートまたはPMMA)を用いて、突出マイクロ素子をその表面で処理することであってもよく、この高分子材料は、所望の深さまで突出マイクロ素子に浸透させられる。(酸素を用いた)次の熱プロセス中に、高分子材料は燃焼され、それによって、炭素の原子を放出する。このようにして、(非整数化学量論値さえ備えた)SiOCの外層、およびSiOの内層を有する、複合構造を備えた絶縁性マイクロ素子115’を得ることが可能である。
【0036】
オプションとして、絶縁性マイクロ素子115’およびシリコン基板106の自由面はまた、(例えば、薄膜または厚膜プロセスを用いて)金属層115p’で被覆してもよい。金属115p’のかかる層によって、後で電気めっきプロセスを実行することが可能になる(図示せず)。その結果、(以下でより詳細に説明するように)無数の用途で使用可能な所望の絶縁性マイクロ構造100’が得られる。
【0037】
提案された解決法は、非常に柔軟である。なぜなら、それによって、広範囲な(電気的および/または機械的)特性を備えた(導電性または絶縁性)機能マイクロ素子を得ることが可能になるからである。特に、機能マイクロ素子は、任意の種類の形状を有することが可能である。例えば、機能マイクロ素子は、円形、正方形もしくは任意の他の断面を備えた柱形状、壁形状(直線、断続的もしくは曲線など、開もしくは閉など、および均一もしくは(中央か端部で拡大する)可変幅など)、または複雑な3次元(3D)構造の形状であってもよい。機能マイクロ素子の形状は、それらの画定のために利用される上記のエッチングプロセスの技術的な限界、および(多孔質金属または多孔質セラミックスの多孔度PPM%に同様に依存する)所望の機械的安定性によってのみ制約される。一般的に、20〜30までの(高さおよび幅間の)アスペクト比を備えた機能マイクロ素子は、問題なしに任意の形状および多孔度PPM%で作製することができる。例えば、200〜300μmの高さおよび8〜12μmの幅を備えた柱形状で機能マイクロ素子を作製することが可能である(もちろん、より高い、かつ/またはより薄い機能マイクロ素子が、他の形状で可能である)。(多孔質金属または多孔質セラミックスの)多孔度PPM%および/または多孔質シリコンからの変換の範囲によってまた、機能マイクロ素子の重量および剛性を制御することが可能になる(多孔度PPM%がより高く、かつ変換の範囲がより低ければ、重量および剛性はそれだけ低くなる)。また、同じパラメータを用いて、導電性マイクロ素子の抵抗を制御してもよい(この抵抗は、多孔度PPM%および変換の範囲とともに減少する)。この点で、多孔質金属の多孔度PPM%の関数として多孔質金属の電気抵抗率を表す一意的な数式は、科学界によってまだ研究中である(なぜなら、それは、得られる多孔質金属のタイプ、すなわち発泡金属、焼結粉末金属等に依存するからである。いずれにせよ、多孔質銅に関する実験データが、(NASA topical report “Thermal conductivity and electrical resistivity of porous material” CR−I20854 − October 1971において初めて提案された)以下の式とほぼ一致することが分かった。
【数3】


ここで、ρPMおよびρは、それぞれ多孔質銅および緻密な銅の電気抵抗率であり、Kは、(焼結粉末によって得られた多孔質銅用のNASA報告書におけるように)11に等しく設定された、実験的に得られたフィッティングパラメータである。
【0038】
ここで図2A〜2Gに進むと、本発明の別の実施形態に従って、(図2Gにおいて参照符号200で示された)導電性または絶縁性マイクロ構造を作製するための作製プロセスの様々な段階が示されている(下記では、先行する図に示された要素に対応する要素は、単にそれらの先頭番号を変更することによって得られた類似の参照符号で示され、対応する説明は、説明を簡潔にするために省略される)。
【0039】
図2Aに示すように、多孔質シリコン層203が、上記のようにシリコン基板206上に形成される。次に、複数のN個のエッチングマスク(N≧2)が、多孔質シリコン層203の前面に形成されて、シリコン基板206からの機能マイクロ素子の拡張に沿ってN−1の層を備えた対応する3D(導電性または絶縁性)機能マイクロ素子を得るようにする(各層は、機能マイクロ素子の拡張に対して横方向に異なる幅を有する)。特に、問題の例では、5つのマスク209a、209b、209c、209dおよび209eが示されている。マスク209a〜209eは、多孔質シリコン層203上に直接配置される最も低いマスク209aから始まって、他の上に重ねられる(マスク209a〜209eは、明確にするために図では分離されているが、実際には、それらが直接接していることを理解されたい)。マスク209a〜209eの非平面性は、ほぼ無視することができ(なぜなら、マスク209a〜209eは、非常に薄い、すなわち10〜100nmだからである)、その結果、それは、対応するフォトリソグラフィプロセス中にどんな問題も引き起こさない。マスク209a〜209eは、異なる材料で作製してもよく、これらは、(その個別的除去を可能にするために)他に対して1つを選択的にエッチングしてもよい。例えば、マスク209a、209b、209c、209dおよび209eは、Pt、Au、Ti、NiおよびAlでそれぞれ作製してもよい。各マスク209a〜209eは、機能マイクロ素子の対応する層の所望の形状に従ってパターン化される(結果としての機能マイクロ素子は、上下が逆転されたマスクの複合体によって全体として画定される)。
【0040】
プロセスは図2Bに進み、そこにおいて多孔質シリコン層203は、マスク209a〜209eを通して(すなわち、より下のマスク209a〜209dを被覆する最も上のマスク209eを通して)上記のようにエッチングされる。エッチングは、対応する部分的な厚さDe(多孔質シリコン層203の最初の厚さDPSより薄い)用に実行される。
【0041】
図2Cに進むと、最も上のマスク(図2Bでは209e)が除去される。例えば、この結果は、10%KFe(CN)の溶液におけるウェットエッチングプロセスで達成してもよく、これは、より下のマスク209a〜209dに影響しない。多孔質シリコン層203は、対応する部分的な厚さDd用に、マスク209a〜209dを通して(すなわち、最も上のマスク209dを通して)同様にエッチングされる。
【0042】
ここで図2Dを参照すると、最も上のマスク(図2Cの209d)が除去される。例えば、この結果は、FeClの溶液におけるウェットエッチングプロセスで達成してもよく、これは、より下のマスク209a〜209cに影響しない。多孔質シリコン層203は、対応する部分的な厚さDc用に、マスク209a〜209cを通して(すなわち、最も上のマスク209cを通して)同様にエッチングされる。
【0043】
プロセスは、図2Eに進み、そこにおいて最も上のマスク(図2Dの209c)が除去される。例えば、この結果は、HSOの溶液におけるウェットエッチングプロセスで達成してもよく、これは、より下のマスク209a〜209bに影響しない。多孔質シリコン層203は、対応する部分的な厚さDb用に、マスク209a〜209bを通して(すなわち、最も上のマスク209bを通して)同様にエッチングされる。
【0044】
最後に、図2Fに示すように、最も上のマスク(図2Dの209b)が除去される。例えば、この結果は、I:KI:HO=1:2:10の溶液におけるウェットエッチングプロセスで達成してもよく、これは、より下のマスク209aに影響しない。多孔質シリコン層203は、対応する部分的な厚さDa用に、残りのマスク209aを通して同様にエッチングされる。その結果、所望の機能マイクロ素子に対応する(多孔質シリコンの)突出マイクロ素子212が得られる。
【0045】
図2Gに進むと、最後のマスク(図2Fの209a)が、例えばHCl:HNO=3:1の溶液におけるウェットエッチングプロセスで除去される。次に、突出マイクロ素子(図2Fの212)を上記のように処理して、多孔質金属または多孔質セラミックスの対応する機能マイクロ素子215を得るようにする。これによって、所望の(導電性または絶縁性)マイクロ構造200が提供される。
【0046】
本発明のこの実施形態によって、任意の種類の形状を備えた3D機能マイクロ素子215を得ることが可能になる。
【0047】
上記で指摘したようにして得られる(導電性または絶縁性)マイクロ構造の用途におけるいくつかの例を、ここで詳細に説明する。
【0048】
例えば、図3A〜3Dは、本発明の実施形態に従って、(図3Dでは参照符号300で示された)相互接続構造を作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【0049】
図3Aから始まって、導電性マイクロ素子315が、上記のようにシリコン基板306上に形成される。次に、誘電体材料が、シリコン基板306上に施されて、導電性マイクロ素子315を埋め込むようにする。誘電体材料は、任意の熱可塑性樹脂(ナイロンまたは液晶高分子など)、熱硬化性樹脂、セラミックス前駆体等であってもよい。誘電体材料は、キャスティング、射出成形、ディスペンシング、ステンシル印刷、積層等のような任意の適切な技術によって施すことができる。次に、誘電体材料を処理して、(相互接続構造の絶縁性基体およびビアをそれぞれ画定するために)導電性マイクロ素子315を埋め込む、対応する誘電体層318を得るようにする。例えば、誘電体材料は、硬化、焼結および/または熱分解プロセスにさらしてもよい。この点で、(シリコン基板309から自由に突き出る)導電性マイクロ素子315のオープン構造が、この作業を非常に容易にすることに留意されたい。シリコン基板306上に施された誘電体材料次第で、誘電体層318は、弾性または剛性であってもよい。
【0050】
プロセスは図3Bに進み、そこにおいて誘電体層318は、(例えば、研削、研磨またはラッピングプロセスを用いて)導電性素子315のレベルで平坦化される。
【0051】
ここで図3Cを参照すると、接点321uが、誘電体層318の上面に形成される。例えば、(金属で作製された)接点321uは、接合パッドおよびルーティングトラックからなり、これらは、導電性マイクロ素子315に接続される。例えば、この結果は、薄膜および/または厚膜プロセスで達成してもよい。
【0052】
図3Dに進むと、シリコン基板(図3Cの306)は、(例えば、研削および/またはXeF気相エッチングプロセスで)除去される。さらなる接点要素321dが、(導電性マイクロ素子315に接続される接合パッドおよびルーティングトラックを設ける薄膜および/または厚膜プロセスを用いて上記のように)誘電体層318の下面に同様に形成される。
【0053】
提案された解決法によって、(例えば、200k〜400k接点/cm程度の)非常に高い接点密度を達成することが可能になる。同時に、導電性マイクロ素子315の多孔質構造は、多孔質金属への誘電体材料の浸透のおかげで、誘電体層318との非常に高い接着性をもたらす。
【0054】
また、(上部および下部接点を形成するステップのない)上記と同じプロセスを用いて、磁性誘電体構造を作製してもよい。この目的のために、導電性マイクロ素子は、1よりはるかに高い比透磁率μを有する多孔質の磁性金属(例えば、NiまたはFe)である。同時に、誘電体層は、1よりはるかに高い比誘電率εを有する。例えば、この結果は、対応する誘電体材料を、(ε=310を備えた)チタン酸ストロンチウムのナノ粒子で満たすことによって達成してもよい。(シリコン基板を除去した後で)このようにして得られた構造は、磁性誘電体材料として動作するが、この材料は、任意の電磁(EM)波がそれを横断して伝播することによって、(高い比透磁率μおよび高い比誘電率εを備えた)均一な材料と見なされる。例えば、この磁性誘電体材料を用いて、サイズが低減されたEMアンテナを作製してもよい。
【0055】
図3A−1〜3D−1を参照すると、絶縁性マイクロ素子に基づいた(図3D−1では参照符号300’で示された)相互接続構造を作製するための作製プロセスの場合に、同様の考察が当てはまる。
【0056】
図3A−1から始まって、絶縁性マイクロ素子315’が、上記のようにシリコン基板306上に形成される。次に、導電性材料(磁性にすることが可能である)が、シリコン基板306上に施されて、絶縁性マイクロ素子315’中に埋め込まれる導電性マイクロ素子318’を形成する(相互接続構造の絶縁性基体およびビアをそれぞれ画定するようにする)。例えば、緻密な金属の導電性マイクロ素子318’を得るために、ステンシル印刷プロセスによって、かつ次に構造を焼成プロセスにさらすことによって、(DuPontにより商品名PV135で作製されたペーストなど、Agで作製されたか、またはCu、Al、Pt、Ag合金等で作製された)導電性ペーストを施すことが可能である。代替として、金属射出成形(MIM)技術を用いて、98%までの密度を備えた(例えば、鋼または磁性金属の)導電性マイクロ素子318’を得てもよい。導電性マイクロ素子318’を得るための別の代替は、導電性材料の化学蒸着プロセスまたは薄膜蒸着プロセスを用い、ガルバニックプロセスを後に続けることである。
【0057】
プロセスは図3B−1に進み、そこにおいて導電性マイクロ素子318’は、(例えば、研削、研磨またはラッピングプロセスを用いて)絶縁性マイクロ素子315’のレベルで平坦化される。
【0058】
上記のように、接点321u’が、絶縁性マイクロ素子315’(図3C−1)の上面に形成される。次に、シリコン基板が除去され、さらなる接点321d’が、絶縁性マイクロ素子315’の下面に形成される(図3D−1)。
【0059】
ここで図4A〜4Cを参照すると、本発明の実施形態に従って、(図4Cにおいて参照符号400で示された)パッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階が示されている。
【0060】
図4Aから始まって、上部接点421uを有する絶縁性基体418を横断するビア415を備えた(剛性)相互接続構造で作製された回路付き基板が、図3A〜3Dに説明するように得られる。
【0061】
図4Bに進むと、下部座ぐりを備えたスルーホール422が、(例えば、誘電体層418が熱可塑性材料である場合には、ホットプレスプロセスによって)誘電体層418を通して形成される。
【0062】
図4Cに示すように、(対応する回路を統合した)半導体材料のチップ424が、ホール422を通して対応する端子(図示せず)を露出するように、ホール422の座ぐり内に実装される。チップ424の端子は、ワイヤ427を介して、接点421uの対応するパッドに接合される。次に、接点421uのルーティングトラックが、これらのパッドを対応するビア415に接続する。バンプ下地金属化(UBM)を備えた導電性ボールの形状をした、電子デバイス400の外部端子430が、絶縁性基体418の下面において導電性マイクロ素子415に接続される。(例えば、プラスチック材料の)保護カバー433が、チップ424およびワイヤ427を埋め込み、外部端子430だけを露出させておくようにする。
【0063】
提案された解決法は、(所望の高密度、低抵抗性および高い熱散逸を備えた)回路付き基板が得られるようにするが、この回路付き基板は、シリコンのTCEと非常に似たTCEを示す。このようにして、チップ424に対するどんな機械的応力も回避すること(少なくとも実質的に低減すること)が可能になる。例えば、多孔度PPM%=55%を備えた多孔質銅の導電性素子は、TCE=8.0ppm/℃を有し、これは、緻密な銅のTCE=17ppm/℃より、シリコンのTCE=2〜5ppm/℃にはるかに似ており(同時に、15.7μΩcmの非常に低い抵抗を提供する)。
【0064】
図4A−1〜4Cは、代りに、本発明の別の実施形態に従って、(図4C−1において参照符号400’で示された)同じパッケージ化電子デバイスを作製するための代替作製プロセスの追加的な段階を示す。
【0065】
図4A−1から始まって、この場合にはシリコン基板406’上に、(図2A〜2Gに説明されているような)3D絶縁性マイクロ素子415’および(図3A−1〜3D−1に説明されているような)導電性マイクロ素子418’が作製される。特に、絶縁性マイクロ素子415’は、導電性マイクロ素子418’によって形成されたビアによって横断される(上部座ぐりを有するスルーホール422’を備えた)剛性絶縁性基体を画定するように形作られる。
【0066】
図4B−1に進むと、シリコン基板(図4A−1における406’)は除去され、接点421d’が、(ビア418’に接続された)絶縁性基体415’の下面に形成される。
【0067】
図4C−1に示すように、このようにして得られた(上下が逆転された)回路付き基板が、上記のように用いられて、所望の電子デバイス400’(同様にチップ424’、ワイヤ427’、外部端子430’および保護カバー433’を含む)を作製する。
【0068】
図5A〜5Cを参照すると、本発明の実施形態に従って、(図5Cにおいて参照符号500で示された)異なるパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階が示されている。
【0069】
図5Aから始まって、シリコン基板506上に、(図3A〜3Dに説明されているように)誘電体層518に埋め込まれた(図2A〜2Gに説明されているような)3D導電性マイクロ素子515が作製され、それらが、絶縁性基体を横断するビアをそれぞれ画定する。
【0070】
図5Bに進むと、エンボスメント523が、(例えば、絶縁性基体518が熱可塑性材料である場合には、再びホットプレスプロセスによって)絶縁性基体518の上面に形成される。
【0071】
図5Cに示すように、半導体材料のチップ524が、エンボスメント523内に実装され、その端子(図示せず)が、ワイヤ527を介して、(エンボスメント523において露出された)対応するビア515に接合される。今度は、ビア515が、ワイヤ527を、絶縁性基体518の下面における、(UBMを備えた導電性柱の形状をした)電子デバイス500の対応する外部端子530に接続する。保護カバー533が、チップ524およびワイヤ527を埋め込み、外部端子530だけを露出させておくようにする。
【0072】
図5A−1〜5C−1は、代りに、本発明の別の実施形態に従って、(図5C−1において参照符号500’で示された)同じパッケージ化電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【0073】
図5A−1から始まって、この場合にはシリコン基板506’上に、(図2A〜2Gに説明されているような)3D絶縁性マイクロ素子515’および(図3A−1〜3D−1に説明されているような)導電性マイクロ素子518’が作製される。特に、絶縁性マイクロ素子515’は、導電性マイクロ素子518’によって形成されたビアによって横断される、(エンボスメント523’を備えた)剛性絶縁性基体を画定するように形作られる。
【0074】
図5B−1に進むと、シリコン基板(図5A−1における506’)は除去される。(さらなる誘電体材料に埋め込まれた)接点521d’が、ビア518’の対応するペアを互いに接続するように、絶縁性基体515’の下面に形成される。
【0075】
図5C−1に示すように、このようにして得られた回路付き基板を上記のように用いて、(同様にチップ524’、ワイヤ527’、外部端子530’および保護カバー533’を含む)所望の電子デバイス500’を作製する。
【0076】
ここで図6を検討すると、本発明の実施形態による解決法で取得可能な、さらなる例示的なパッケージ化電子デバイス600が示されている。電子デバイス600には、下部接点621dを有する絶縁性基体618を横断するビア615を備えた(剛性)相互接続構造で作製された回路付き基板が含まれるが、この相互接続構造は、(図3A〜3Dまたは図3A−1〜3D−1に関連して)上記のようにして得られる。半導体材料のチップ624が、フリップチップ技術を用いて、絶縁性基体618の上に実装される。この場合には、接合ボール627を用いて、上下が逆転されたチップ624の端子(図示せず)を、対応するビア615に接続する。ビア615は、ボール627を、接点621dの対応するルーティングトラックに接続する。UBMを備えた導電性柱の形状の、電子デバイス600の外部端子630が、今度は、接点621dのルーティングトラックに接続される。必要な場合には、保護カバー633が、チップ624およびボール627を埋め込み、端子630だけを露出させておくようにする。
【0077】
図7に示すように、本発明の実施形態による解決法を用いて取得可能な例示的なパッケージオンパッケージ電子デバイスが、参照符号700で示されている。電子デバイス700には、複数の回路付き基板(問題の例では4つ)が含まれ、各回路付き基板は、下部接点721da〜721ddおよび(UBMを備えた導電性柱の形状をした)外部端子730a〜730dを有する絶縁性基体718a〜718dを横断するビア715a〜715dを備えた(剛性)相互接続構造で作製されるが、この相互接続構造は、上記(図6)のように得られる。この場合にも同様に、半導体材料のチップ724a〜724dが、対応する(中央)ビア715a〜715d、接点721da〜721ddのルーティングトラックおよび外部端子730a〜730dに接続された接合ボール727a〜727dによって、フリップチップ技術を用いて絶縁性基体718a〜718dの上に実装される。
【0078】
回路付き基板は、他の上へと積み重ねられる。各回路付き基板には、さらなる(側部)ビア715a〜715dが含まれ、それらは、その上に配置された、回路付き基板の外部端子730b〜730dに接続される。特に、側部ビア715a〜715dは、(上部の)隣接する回路付き基板の外部端子730b〜730dに直接接続され、かつそれらは、間に置かれた各回路付き基板の側部ビア715a〜715cを通して、他の(遠く離れた)回路付き基板の外部端子730b〜730dに接続される。スタックにおける最も下の回路付き基板には、さらなる外部端子730aが含まれ、それらは、この基板の側部ビア715aに接続され、(次に他のチップ724b〜724dに接続される)。保護カバーが、全てのチップ724a〜724dおよび対応するボール727a〜727dを(個別にかまたは一緒に)埋め込み、(それぞれのチップ724aおよび他のチップ724b〜724dの両方にアクセスするために)最も下の回路付き基板の全ての外部端子730aを露出させておくようにする。
【0079】
図8に進むと、本発明の実施形態による解決法に従って取得可能な例示的な電力電子デバイス800が示されている。電子デバイス800は、上記のように、導電性マイクロ素子815をシリコン基板806上に形成することによって作製される。(IGBTなどの)1つまたは複数の電力コンポーネント836が、シリコン基板806において(その下面から)統合される。この場合には、導電性マイクロ素子815は、動作中に電力コンポーネント836によって生成される熱を放散するためのヒートシンクを実現する。
【0080】
提案された解決法によって、(どんな追加的な接合作業を必要とすることもなく)ヒートシンク815をシリコン基板806と直接統合することが可能になる。これは、対応する作製プロセスを非常に単純化し、熱放散を改善する。
【0081】
代りに図9A〜9Dは、本発明の実施形態に従って、図9Dにおいて参照符号900で示された真空電子デバイスを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【0082】
図9Aの平面図から始まって、導電性マイクロ素子が、上記のようにシリコン基板906上に形成される。特に、この場合には、(例えば、柱の形状をした)複数の(動作)導電性マイクロ素子915oが、(例えば、矩形フレームの形状をした)(保護)導電性マイクロ素子に915pによって囲まれる。
【0083】
プロセスは、(図9Aの平面A−Aに沿った断面を示す)図9Bに進み、そこにおいて、(例えば、金属で作製されるかまたは金属/誘電体構造を備えた)保護プレート939が、(例えば、半田プロセスを用いて)導電性マイクロ素子915o、915pの上部自由端に接合される。
【0084】
図9Cに進むと、シリコン基板(図9Bの906)は、上記のように除去される。
【0085】
ここで図9Dを参照すると、(プレート939と等しいかまたは異なる)さらなる保護プレート942が、(例えば、10cmを超える粒子用の平均自由行程を提供する10−3hPa未満の圧力を備えた)ほぼ真空条件下で、導電性マイクロ素子915o、915pの下部自由端に同様に接合される。その結果、(保護)マイクロ素子915p、プレート939およびプレート942は、導電性マイクロ素子915oを気密封止して、所望の電子デバイス900を提供するようにする。このようにして、導電性マイクロ素子915oおよび/または915pのジオメトリに依存して、特にテラHz領域の周波数を動作させるための(3極管、5極管などの)電界放出デバイスすなわちFED)、マイクロ波マイクロガイド、マイクロ波線形ビーム管(例えば、クライストロンもしくは進行波管)、またはマイクロ波クロスフィールド管(例えば、マグネトロン発振器、前進波クロスフィールド増幅管など)を得ることが可能である。
【0086】
最後に、図10A〜10Fは、本発明の実施形態に従って、(図10Fにおいて参照符号1000で示された)マイクロメカニズムを作製するための作製プロセスの追加的な段階を示す。
【0087】
図10Aから始まって、マイクロ構造1000aが、シリコン基板1006aから延びる(3D)導電性または絶縁性機能マイクロ素子を得るために、(図2A〜2Gに説明するように)作製される。特に、機能マイクロ素子1015aは、それぞれのハブH1を備えた歯車W1、それぞれのハブH2を備えた別の歯車W2a、および単なるハブH3を画定する。別のマイクロ構造1000bが、シリコン基板1006bから延びる導電性または絶縁性機能マイクロ素子を得るために、(図1A〜1D−1に説明するように)作製される。この場合には、機能マイクロ素子1015bは、(ハブH2用の)歯車W2b、および(ハブH3用の)別の歯車W3を画定する。マイクロ構造1000bは、(上下が逆転された)マイクロ構造1000aと整列され、その結果、(図において一点鎖線で示された)ハブH2および歯車W2bの軸、ならびにハブH3および歯車W3の軸は、一致する。
【0088】
図10Bに進むと、2つのマイクロ構造1000aおよび1000bは、機能マイクロ素子1015aが機能マイクロ素子1015bに必要なところで接触するまで、互いの近くへ移動される。次に、接触した機能マイクロ素子1015aおよび1015bは、互いに、すなわちハブH2と歯車W2bとの間、およびハブH3と歯車W3との間で、接合される。例えば、導電性機能マイクロ素子の場合には、この結果は、熱圧着技術で達成可能であるのに対して、絶縁性機能マイクロ素子の場合には、この結果は、陽極接合技術で達成可能である。接合が必要でない場合には、(例えば、基板1006bに達しないハブH1の場合のように)各マイクロ構造の機能マイクロ素子が、他のマイクロ構造の機能マイクロ素子および基板から離間されて維持されることを理解されたい。
【0089】
この時点において、図10Cに示すように、下部シリコン基板(図10Bの1006b)は除去される。このようにして、(参照符号1000abで示された)新しいマイクロ構造が得られるが、このマイクロ構造は、以前の機能マイクロ素子の接合からもたらされた、(参照符号1015abで示された)新しい機能マイクロ素子によって形成され、その新しい機能マイクロ素子は、残っているシリコン基板1006aから延びる。
【0090】
上記と同じ接合プロセスは、機能マイクロ素子の所望の形状に従って何度も繰り返してもよい。一般的に、接合プロセスの反復回数は、機能マイクロ素子の所望の厚さおよび精度によってのみ制限される。例えば、標準的な接合機によって、3σで0.5μmの精度で6〜8mmまでの厚さを管理することが可能になる。したがって、この場合には、3σで7.5〜10μmの総合精度で、400μmの厚さを有する15〜20の機能マイクロ素子までを互いに接合することが可能である。
【0091】
ここで、(簡略化のために、マイクロ構造1000abに関して接合プロセスが完了したと仮定する)図10Dを参照すると、方法は、下部ハーフシェル1050dをマイクロ構造1000abの下に取り付けることによって進む。特に、(例えば、機能マイクロ素子1015abと同じ材料で作製された)ハーフシェル1050dには、機能マイクロ素子1015abの1つよりわずかに低い範囲を有する基体Bdが含まれる。3つのハーフシャフトのS1d、S2dおよびS2dが、基体Bdから上方に延びる。ハーフシャフトS1d、S2d、およびS3dは、ハブH1、H2およびH3が、ハーフシャフトS1d、S2dおよびS3dから横に突き出た対応する停止柱に接するまで、ハブH1、H2およびH3にそれぞれ嵌合される(ハーフシャフトS1d、S2dおよびS3dは、ハブH1、H2およびH3のほぼ中間に達する)。側壁Ldは、(基体Bdのエッジから)基板1006a近くまで上方へ垂直に延びる。側壁Ldには、歯車W3の外側部分によって交差される凹部が設けられる。
【0092】
図10Eに進むと、残っていたシリコン基板(図10Dの1006b)は除去される。ここで上部ハーフシェル1050uが、(ハーフシェル1050dに載っている)機能マイクロ素子1015abの上に取り付けられる。特に、(ハーフシェル1050aと同じ材料で作製された)ハーフシェル1050uには、同様の基体Buが含まれる。3つのさらなるハーフシャフトS1u、S2uおよびS3uが、基体Buから下方に延びる。ハーフシャフトS1u、S2uおよびS3uは、それらが、(ハブH1、H2およびH3と、ハーフシャフトS1u、S2uおよびS3uから横に突き出た対応する停止柱との間に小さなギャップを残して)ハーフシャフトS1d、S2dおよびS3dにそれぞれ接するまで、同様にハブH1、H2およびH3にそれぞれ取り付けられる。歯車W1の外側部分によって交差される凹部が設けられた側壁Luは、(基体Buのエッジから)下方へ垂直に延びる。側壁Luは、歯車W1およびW3用の2つのスリットをそれぞれ画定する対応する凹部を伴って、側壁Ldに達する。次に、接しているハーフシャフトS1d、S2d、S3dおよびS1u、S2u、S3u、ならびに側壁LdおよびLuは、上記のように互いに接合される。
【0093】
図10Eの前面断面図および図10Fの上部断面図を共に参照すると、このようにして、ハーフシェル1050uおよび1050dの接合によって形成されたシェル内に囲まれた(結合)マイクロメカニズムが得られる。マイクロメカニズムは、ハブH1、H2およびH3によって画定されるが、これらのハブは、(対応する停止柱間に保持された)ハーフシャフトS1d−S1u、S2d−S2u、およびS3d−S3uの接合によってそれぞれ形成されるシャフトに実装される。特に、(シェル1050u、1050dの右側のスリットから突き出た)歯車W3は、歯車W2bと対にされる。今度は、歯車W2bと統合された歯車W2aが、(シェル1050u、1050dの左側のスリットから突き出た)歯車W1と対にされる。
【0094】
提案された解決法によって、非常に高い精度のどんなマイクロメカニズムでも作製することが可能になる。さらに、(重量および剛性などの)そのいくつかの機械的特性を自由に制御することが可能である。例えば、これによって、ヒンジ、ジョイント、プライヤ、医療機器、機械式時計などを作製することが可能になる。
【0095】
当然、局所的および特定の要件を満たすために、当業者は、多くの論理的および/または物理的な修正および変更を上記の解決法に適用してもよい。より具体的には、この解決法は、その好ましい1つまたは複数の実施形態に関連してある程度の特殊性を用いて説明されたが、他の実施形態と同様に、形状および詳細における様々な省略、置換および変更が可能であることを理解されたい。特に、同じ解決法は、そのより完全な理解を提供するために前述の説明において述べた(数値例などの)特定の詳細なしに実行してもよい。反対に、周知の特徴は、不必要な細目で説明を曖昧にしないように、省略または単純化したかもしれない。さらに、開示された解決法の任意の実施形態に関連して説明した特定の要素および/または方法ステップが、一般的な設計選択の問題として任意の他の実施形態に組み入れられてもよいことが明らかに意図されている。
【0096】
特に、提案された解決法は、(同様のステップを用いること、本質的でないいくつかのステップを除去すること、またはさらなるオプションのステップを加えることにより)同等の方法でそれ自体を実現させやすい。さらに、ステップは、異なる順序で、同時に、または(少なくとも部分的に)差し込まれた(interleave)方法で実行してもよい。
【0097】
出発材料が、他のシリコン基板である場合(たとえポリシリコンで作製されていても)には、同様の考察が当てはまる。さらに、多孔質シリコン層は、異なる厚さおよび/または多孔度を有してもよい。上記のエッチングプロセスは、単に実例であって、同等の結果は、(ガス、RF電力および/または圧力などの)異なるパラメータを伴うプラズマエッチングプロセスを用いることによってか、またはより一般的には(スパッタリング、イオンミリングもしくはレーザアブレーションなどの)どんなドライエッチングプロセスでも用いて達成してもよい。さらに、機能素子(それらの全ては導電性であるか、それらの全ては絶縁性であるか、または部分的に導電性であり部分的に絶縁性である)は、(多孔質、緻密、またはそれらの組み合わせにおける)任意の他の形状および/または構造を有してもよい。いずれにせよ、(多孔質金属またはセラミックスの外側部分、および多孔質シリコンの内部コアを備えた)複合機能マイクロ素子を有することがまた可能である。
【0098】
当然、同等のプロセスを用いて、多孔質シリコンを、どんな金属にも、またはより一般的には導電性材料に変換してもよい。
【0099】
同様に、同等のプロセスを用いて、多孔質シリコンを、どんな(多孔質および/または緻密な)セラミックスに変換してもよい。特に、多孔質シリコンを多孔質セラミックスに変換するために用いられる熱プロセスは、異なるパラメータ(例えば、雰囲気、レジームおよび/または長さ)を有してもよい。
【0100】
同様の考察は、多孔質シリコンを緻密なセラミックスに変換するための熱プロセスに当てはまる。いずれにせよ、この作業は、多孔質セラミックスの外層だけに影響してもよく、またはそれは、全く省略してもよい。
【0101】
熱プロセスにおける他のガスまたは蒸気の使用を妨げるものはない。
【0102】
代替として、構造は、ナノ粒子を多孔質シリコンに完全にまたは単に部分的に浸透させるのに十分な時間にわたって、熱プロセスの前に任意の他のタイプのナノ粒子を含む溶液に浸漬してもよい(たとえこのステップが、単にオプションであっても)。
【0103】
類似の考察は、1つまたは複数の異なる元素(例えば、内側の炭素および外側の酸素)にそれぞれ基づいた多孔質セラミックスの2以上の層を得るために、任意の他の材料を用いた突出マイクロ素子の処理に当てはまる。さらに、(たとえ高分子タイプでなくても)他の材料および処理時間の使用を妨げるものはない。いずれにせよ、この処理は、ナノ粒子を含む溶液への前述の浸漬と組み合わせてもよく、またはそれは、全く省略してもよい。
【0104】
代替として、異なる規則(例えば、放物線、双曲線またはステップ減少、多数の一定パルスとそれに続く任意の減少等)を用いて経時的に電流密度を変更することが可能である。より一般的には、多孔質シリコン層の所望の構造は、さらには(電解液濃度など)陽極プロセスの追加的かつ/または異なる1つまたは複数のパラメータに基づいて動作することにより、陽極プロセスの任意の他のレジームを用いて取得してもよい。いずれにせよ、多孔度は、(例えば、シリコン基板に向かってか、または異なるゾーンで減少または増加する)別の仕方で変えてもよい。
【0105】
例えば、異なる多孔度を備えた3つ以上の多孔質シリコン層を有することが可能である。反対に、多孔質シリコンは、完全に均一であってもよい。
【0106】
他のプロセスを用いて、導電性マイクロ素子および/または絶縁性マイクロ素子ならびにシリコン基板の自由面(もしくはその一部)を、どんな材料で被覆してもよい(たとえこのステップが、単にオプションであっても)。
【0107】
提案された解決法は、任意の種類の3Dマイクロ素子を得るために任意の数のマスクを用いて、それ自体を実現させやすい。同様に、マスクは、異なる形状を有してもよく、かつ/またはそれらは、異なる材料であってもよい。
【0108】
任意の他の磁性および/または誘電体材料を用いて磁性誘電体材料を作製することを妨げるものはない。さらに、磁性材料は、誘電体材料から突き出てもよく、またはそれは、誘電体材料に完全に埋め込んでもよい。当然、磁性誘電体材料の言及した適用例は、単に実例であり、それらは、限定的な形で解釈してはならない。
【0109】
ここで相互接続構造の分野における上記の解決法の用途に関し、任意の他の技術を用いて、(導電性マイクロ素子を埋め込むための)誘電体材料または(絶縁性マイクロ素子中に埋め込まれる)導電性材料を施して、誘電体材料または絶縁性マイクロ素子をそれぞれ横断する所望のビアを得るようにしてもよい。さらに、この誘電体または導電性材料は、異なるタイプであってもよく、それは、任意の他の範囲を有してもよい。上記のように、シリコン基板は、任意の他の技術で除去してもよい。より一般的には、相互接続構造の対向する両面にまたは片面だけに任意のタイプの接点を備えた、または(例えば、弾性インターポーザとして相互接続構造を用いるために)接点さえない相互接続構造(たとえ多層構造を備えていても)を作製することが可能である。
【0110】
上記のパッケージ化電子デバイスは、網羅的ではなく、提案された回路付き基板は、シングルチップモジュール(SCM)またはマルチチップモジュール(MCM)タイプの電子デバイスにおける任意の種類の外部端子にどんな方法でも接続される1つまたは複数のチップを実装するために用いてもよい。
【0111】
同様にパッケージツーパッケージ電子デバイスには、任意の数および/またはタイプのコンポーネント(たとえ互いに異なっても)を含んでもよく、これらのコンポーネントは、提案された基板を通して任意の他の方法で(例えば、導電性ボールを介して)接続される。
【0112】
同様の考察は、(電力MOSまたはCMOSなどの)任意の他のコンポーネントが、提案されたヒートシンクとシリコン基板において統合される場合にも当てはまる。
【0113】
さらに、様々な保護プレートもしくは(例えば、金属/誘電体で作製された)任意の同等の要素を備えた真空電子デバイスを形成すること、および(例えば、多孔質シリコンで作製された)任意の他の保護要素を備えた(動作)導電性マイクロ素子を囲むことの可能性が、排除されない。さらに、真空電子デバイスは、(たとえ異なる真空条件下で得られた)他の形状および/またはタイプであってもよい。
【0114】
同様の考察は、(どんな数の接合プロセスを用いても、またはたとえスタンドアロンのマイクロ構造の機能マイクロ素子から直接に得られても)他のタイプのマイクロメカニズムに当てはまる。さらに、接合プロセスは、様々なタイプ(例えば、溶融、接着、半田付け等)であってもよい。いずれにせよ、同じ技術は、マイクロモータおよびマイクロリアクタ等を作製するために適用してもよい。
【0115】
いずれにせよ、提案された解決法の用途における上記の例が網羅的ではないことが強調される。より一般的には、同じ技術は、受動素子(例えば、インダクタ、コンデンサ、変圧器およびバラン)、磁気ハードディスク用の読み出しおよび/または書き込みヘッド、バイオ技術要素(生物フィルタなど)、圧力センサ用のセラミック膜、医療用放出装置など、任意の電子および/または機械マイクロ構造を作製するために用いてもよい。
【0116】
また、マイクロ構造の設計をプログラミング言語で作成してもよいことが、容易に明らかになるはずである。さらに、設計者がマイクロ構造を作製しない場合には、設計は、物理的手段で他に送信してもよい。いずれにせよ、結果としてのマイクロ構造は、ベアダイとして生ウエハの形態で、またはパッケージで、そのメーカが配布してもよい。さらに、提案されたマイクロ構造は、他のコンポーネントと統合してもよく、またはそれらは、(マザーボードなどの)中間生成物に実装してもよい。いずれにせよ、マイクロ構造は、(コンピュータなどの)複合システムで用いるのに適している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0117】
【非特許文献1】Xi Zhang, King−Ning Tu, “Preparation of hierarchically porous nickel from macroporous silicon” J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 15036−15037
【非特許文献2】M. Hayase et al. “Formation of porous ruthenium layer on porous silicon template” Electrochem. Soc. 2006, 153, C741
【非特許文献3】H. Bandarenka, M. Balucani, R. Crescenzi, A. Ferrari, “Formation of composite nanostructures by corrosive deposition of copper into porous silicon” Superlattices and Microstructures, In Press, Corrected Proof, Available online 24 January 2008
【非特許文献4】M. Hayase et al. “Miniature 250μm thick full cell with monolithically fabricated silicon electrodes”, Electrochemical and Solid State Letters, 7 (8) A231−A234 (2004)
【非特許文献5】F.A.Harraz et al. “Immersion plating of nickel onto a porous silicon layer from fluoride solutions” Phys. Stat. Sol. (a), 2003, 197, 51−56
【非特許文献6】J. G. A. Brito−Neto et al. “Porous gold structures built on silicon substrates” 211th ECS Meeting Abstracts, N° 877(2007)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造(100)を作製するための方法であって、
シリコン基板(102)を設けるステップであって、前記シリコン基板が主面を有するステップと、
前記主面から前記シリコン基板の中へ延びる多孔質シリコン層(103)を形成するステップと、
前記多孔質シリコン層を選択的にエッチングして、多孔質シリコンの突出マイクロ素子(112)のセットを得ることであって、各突出マイクロ素子が、前記シリコン基板(106)の残りの部分から突き出し、それによって、対応する外面を露出させるステップと、
前記突出マイクロ素子を処理して対応する導電性(115)または絶縁性(115’)マイクロ素子のセットを得るステップであって、各導電性または絶縁性マイクロ素子が、前記対応する前記突出素子の中へ前記外面から延びる前記多孔質シリコンの少なくとも主要部分を、多孔質金属またはセラミックスにそれぞれ変換することによって得られるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記突出マイクロ素子を処理して、対応する導電性マイクロ素子(115)のセットを得る前記ステップが、
前記突出マイクロ素子(112)を、少なくとも1つの金属元素を含む溶液に浸漬すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突出マイクロ素子を処理して、対応する絶縁性マイクロ素子(115’)のセットを得る前記ステップが、
前記突出マイクロ素子(112)を第1の温度で第1の熱プロセスにさらして、前記多孔質シリコンの前記少なくとも主要部分を多孔質セラミックスに変換すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記突出マイクロ素子を処理して、対応する絶縁性マイクロ素子(115’)のセットを得る前記ステップが、
前記突出マイクロ素子(112)を、前記第1の温度より高い第2の温度で第2の熱プロセスにさらして、前記多孔質セラミックスの少なくとも一部を緻密なセラミックスに変換すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各熱プロセスが、酸素、炭素および/または窒素を含む雰囲気において実行される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記突出マイクロ素子を処理して、対応する絶縁性マイクロ素子(115’)のセットを得る前記ステップが、前記突出マイクロ素子(112)を前記第1の熱プロセスにさらす前に、
ナノ粒子を含む溶液に前記突出マイクロ素子を浸漬して、前記溶液を前記多孔質シリコンの中に少なくとも部分的に浸透させることと、
前記浸透した溶液を蒸発させて、前記浸透した溶液の前記ナノ粒子の少なくとも一部を前記多孔質シリコン内に残すことと、
をさらに含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記突出マイクロ素子を処理して、対応する絶縁性マイクロ素子(115’)のセットを得る前記ステップが、前記マイクロ素子(112)を、少なくとも1つの第1の元素を含む雰囲気において前記第1の熱プロセスにさらす前に、
前記多孔質シリコンを、少なくとも1つの第2の元素に基づいた材料で表面的に処理し、前記多孔質シリコンの前記少なくとも主要部分の外層に前記材料を浸透させるが、前記多孔質シリコンの残りの内層には浸透させず、前記第1の熱プロセスが、前記外層を、前記少なくとも1つの第1の元素および前記少なくとも1つの第2の元素に基づいた多孔質セラミックスに変換し、前記内層を、前記少なくとも1つの第1の元素に基づいた多孔質セラミックスに変換すること
をさらに含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
多孔質シリコン層(103)を形成する前記ステップが、
前記多孔質シリコン層(103)の多孔度を変えるように適合されたレジームに対して、前記シリコン基板(102)を少なくとも1つの陽極プロセスにさらすこと
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコン基板(102)を少なくとも1つの陽極プロセスにさらす前記ステップが、
前記シリコン基板を第1のレジームに対して第1の陽極プロセスにさらし、第1の多孔度を備えた、前記多孔質シリコン層の外側部分(103e)を得ることと、
前記シリコン基板を第2のレジームで第2の陽極プロセスにさらし、前記第1の多孔度より高い第2の多孔度を備えた、前記多孔質シリコン層の内側部分(103i)を得ることと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各導電性マイクロ素子(115)を緻密な金属の層(115p)で被覆し、かつ/または各絶縁性マイクロ素子(115’)、および前記絶縁性マイクロ素子が突き出る起点となる、前記シリコン基板(106)の残りの部分の自由面を、導電層(115p’)で被覆するステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔質シリコン層を選択的にエッチングする前記ステップが、
複数の積み重ねられたエッチングマスク(209a〜209e)を前記主面上に設けることと、
前記多孔質シリコン層の最初の厚さより薄い対応する部分的な厚さに、前記多孔質シリコン層(203)の一部を前記マスクを介してエッチングするステップ、および
前記スタックにおける最も外側のマスクを除去するステップを、全ての前記マスクが除去されるまで反復することと、
を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
磁性誘電体構造(300、300’)を作製するための方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによってマイクロ構造(100、100’)を作製するステップと、
前記シリコン基板(306)の前記残りの部分に誘電体材料(318)を施して、多孔質磁性金属で作製された前記導電性マイクロ素子(115)の少なくとも一部を埋め込むステップか、または前記シリコン基板の前記残りの部分に磁性材料(318’)を施して、前記磁性材料の各部分の少なくとも一部を前記絶縁性マイクロ素子(115’)中に埋め込むステップと、
前記シリコン基板(306)の前記残りの部分を除去するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
相互接続構造(300、300’)を作製するための方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによってマイクロ構造(100、100’)を作製するステップと、
前記シリコン基板(306)の前記残りの部分に誘電体材料(318)を施して、前記導電性マイクロ素子(115)を埋め込むステップか、または前記シリコン基板の前記残りの部分に導電性材料(318’)を施して、前記導電性材料の各部分を前記絶縁性マイクロ素子(115’)中に埋め込み、それによって、前記誘電体材料または前記絶縁性マイクロ素子を横断する対応するビアをそれぞれ得るステップであって、各ビアが、前部接点および後部接点を露出させるステップと、
前記シリコン基板(306)の前記残りの部分を除去するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
パッケージ化電子デバイス(400、400’、500、500’、600)を作製するための方法であって、
請求項13に記載の方法の前記ステップを実行することによって相互接続構造(300、300’)を作製するステップと、
集積回路(424、424’、524、524’、624)を含む少なくとも1つのチップを前記相互接続構造に実装するステップであって、前記チップが、内部端子のセットを有し、各内部端子が、前記ビア(415、418’、515、518’、615)における対応する第1のビアの前記前部接点に接続されるステップと、
前記相互接続構造上の前記パッケージ化電子デバイスにアクセスするための外部端子(430、430’、530、530’、630)のセットを形成するステップであって、各外部端子が、対応する第1のビアの前記後部接点に接続されるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
パッケージツーパッケージ電子デバイス(700)を作製するための方法であって、
請求項14に記載の方法の前記ステップを実行することによって、複数のパッケージ化電子デバイス(400、400’、500、500’、600)を作製するステップと、
前記パッケージ化電子デバイスをスタックに実装するステップであって、前記スタックにおける最後のパッケージ化電子デバイスと異なる各パッケージ化電子デバイスが、前記ビア(715a、715b、715c)における第2のビアのセットを有し、前記前部接点を備えた各ビアが、対応する外部端子(730b、730c、730d)か、または前記スタックにおける先行する電子パッケージ化デバイスの対応する第2のビアの前記後部接点に接続され、前記第1の電子パッケージ化デバイスが、前記他のパッケージ化電子デバイスのチップにアクセスするためのさらなる外部端子(730a)を含み、各外部端子が、対応する第2のビアの前記後部接点に接続されるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
電力電子デバイス(800)を作製するための方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによって、導電性マイクロ素子を備えたマイクロ構造(100)を作製するステップと、
少なくとも1の電力コンポーネント(836)を前記シリコン基板(806)の前記残りの部分に統合するステップであって、前記導電性マイクロ素子(815)が、前記少なくとも1つの電力コンポーネント用のヒートシンクを画定するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
真空電子デバイス(900)を作製するための方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによって、導電性マイクロ素子を備えたマイクロ構造(100)を作製するステップと、
前記シリコン基板(906)の前記残りの部分に側部保護要素(915p)を形成するステップであって、前記側部保護要素が、前記導電性マイクロ素子(915o)を囲むステップと、
前記側部保護要素の、および前記シリコン基板の前記残りの部分と反対側における各導電性マイクロ素子の、第1の自由端に、第1の保護要素(939)を接合するステップと、
前記シリコン基板の前記残りの部分を除去するステップと、
ほぼ真空条件下で、前記側部保護要素の、および各導電性マイクロ素子の前記第1の自由端と反対側における各導電性マイクロ素子の、さらなる自由端に、第2の保護要素(942)を接合するステップであって、前記側部保護要素、前記第1の保護要素、および前記第2の保護要素が、前記導電性マイクロ素子を封止するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
マイクロメカニズム(1000)を作製するための方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによって、開始マイクロ構造(1000a)を作製するステップと、
接合プロセスを少なくとも一回反復するステップであって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行することによって、さらなるマイクロ構造(1000b)を作製することと、
前記さらなるマイクロ構造の前記導電性または絶縁性マイクロ素子(1015b)の少なくとも一部を、前のマイクロ構造の前記導電性または絶縁性マイクロ素子(1015a)の少なくとも一部と接合することであって、前記前のマイクロ構造が、前記接合プロセスの第1の反復における前記開始マイクロ構造(1000a)からなるか、または、前記接合プロセスの先行する反復から結果として得られる複合マイクロ構造(1000ab)からなることと、
前記さらなるマイクロ構造または前記前のマイクロ構造の前記シリコン基板(1006b)の前記残りの部分を除去することと、を含むステップと、
前記接合プロセスの最後の反復後に、前記前のマイクロ構造の前記シリコン基板(1006a)の前記残りの部分を除去するステップと、
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1D−1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3A−1】
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【図3B】
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【図3B−1】
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【図3C】
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【図3C−1】
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【図3D】
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【図3D−1】
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【図4A】
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【図4A−1】
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【図4B】
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【図4B−1】
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【図4C】
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【図4C−1】
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【図5A】
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【図5A−1】
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【図5B】
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【図5B−1】
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【図5C】
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【図5C−1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【公表番号】特表2011−517850(P2011−517850A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500213(P2011−500213)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053197
【国際公開番号】WO2009/115551
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(507208439)ライズ・テクノロジー・エッセ・アール・エル (3)
【Fターム(参考)】