説明

好中球依存性炎症性疾患の治療におけるキラルアリールケトン

式(I)の化合物:
【化1】


式中、Arは芳香環であり、Ra及びRbは明細書中に定義した通りである、
は、IL−8で誘導される好中球浸潤に介在される乾癬、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの疾患、並びに虚血及び再灌流によって起こる障害の治療薬として、治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、炎症部位における多型核好中球の動員激化による組織障害の予防及び治療に有用なキラルアリールケトン、その製造方法、及びそれを含有する医薬組成物に関する。
より詳細には、本発明は、一般式Iのキラルアリールケトンに関する:
【0002】
【化1】

式中:
Arはアリール基であり;
Ra及びRbは独立して、水素、直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキル、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜C−アルキルフェニル、C〜C−アルキル(α−又はβ−ナフチル)、C〜C−アルキル(2,3,4−ピリジル)、シアノ(−CN)、カルボキシアミド、式COR”のカルボキシル又はカルボキシエステル、ここでR”は直鎖又は分岐鎖C〜C脂肪族アルコールの残基である、ホスホネートPO(OR”)、ここでR”は上で定義した通りである、式ジ−X−(CH−Zの基、ここでXはCO基、SO基、SO基であり;ZはH、tert−ブチル、イソプロピル、COR”、CN、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜Cシクロアルキル、NH−BOC、NHであり;nは0又は1〜3の整数である、の群から選択されるか、あるいはRa及びRbはそれらが結合している炭素原子とともに式IIの環状残基4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサニル−2,2−二置換体を形成する:
【0003】
【化2】

式中、R’はメチル又はエチルであり、あるいは2つのR’基はシクロヘキサン環又はシクロペンタン環を形成する。
【0004】
アリール基は、好ましくは場合により1〜3の置換基で置換されているフェニルを意味し、置換基は互いに同一又は異なっており、ハロゲン原子、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロゲン−C〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルコキシ、ベンゾイルから選択されるか、又はアリール基はイブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、スルプロフェン(surprofen)、カルプロフェン、ピルプロフェン、及びフェノプロフェンのような公知の抗炎症性2−アリール−プロピオン酸のアリール部分である。
【0005】
2−アリール−プロピオン酸の好ましい残基は:4−イソブチル−フェニル、3−ベンゾイルフェニル、5−ベンゾイル−2−アセトキシ−フェニル、3−フェノキシ−フェニル、5−ベンゾイル−2−チオフェニル、4−チエノイル−フェニル、1−オキソ−2−イソインドリニル−フェニル、3−クロロ−4−(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)フェニル、6−メトキシ−β−ナフチル、1−ヒドロキシ−フェニル−1−メチルであるか、又は式IIIの残基である:
【0006】
【化3】

式中、Aはベンジル、フェノキシ、ベンゾイル、ベンゾイルオキシム、1−ヒドロキシ−フェニル−1−メチルであり、Bはヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、又は式−O−C(=S)−N(CH;−S−C(=O)−N(CHの基である。
【0007】
Rは、好ましくは上で定義したような公知の抗炎症性2−アリール−プロピオン酸のアリール残基である;より好ましくは、Rは:4−(2−メチル−プロピル)−フェニル、3−フェノキシ−フェニル、3−ベンゾイルフェニル、2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]、5−ベンゾイル−チエン−2−イル、4−チエノイル−フェニルを表す。
【0008】
好ましい直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキル及びC〜C脂肪族アルコールの残基は、メチル及びエチルである;C〜Cアルキルはイソブチルが好ましい;C〜C−アシルオキシはアセチルオキシが好ましい。
【0009】
本発明の特に好ましい式Iの化合物は、R残基が結合している炭素原子の立体配置が、(R)立体配置に相当する化合物である。
以下の化合物:
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−[4−(2−メチルプロピル)フェニル](CAS No.64758−90−3);
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−(3−フェノキシフェニル)(CAS No.108671−27−8);
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−(3−ベンゾイルフェニル)(CAS No.79868−87−4);
(R,S)(±)−4−(3−ベンゾイル−フェニル)−3−オキソ−ペンタン酸エチル(CAS No.145927−45−3);
(R,S)(±)−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン−,5−[2−(3−ベンゾイルフェニル−1−オキソプロピル)]−2,2−ジメチル(CAS No.154023−15−1);
は、2−アリールプロピオン酸[JP03024023(1991年1月2日);JP52108949(1991年12月9日);JP52083426(1977年1月7日);JP56097249(1981年5月8日);Tetr.Lett.27.4175、1986]、及びチアゾール[EP511021;(1992年10月28日);JP0528902(1993年2月11日)]を調製するためのラセミ中間体として知られている。
【0010】
式(I)の化合物は、式IVの活性化2−アリールプロピオン酸:
【0011】
【化4】

式中:
Arは上で定義したようなアリールであり、Yはカルボニルを活性化する残基であり、好ましくは塩素などのハロゲン、1−イミダゾリル、ピバロイル、C〜C−アルコキシカルボニル、スクシニルオキシ、ベンゾ−トリアゾール−1−イルオキシである、
を、式Vのカルバニオン:
【0012】
【化5】

式中:
− R’aがカルボキシルとマグネシウムエトキシドとの複合体の残基である場合は、R’bはCOR”、CONH、CN、PO(OR”)又は−X−(CH−Z’であり、ここでXは先に定義した通りである;RcはH又は−(CH−Z’であり、ここでZ’はH、tert−ブチル、イソプロピル、COR”、CN、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜Cシクロアルキル、NH−BOCである;
− R’aが水素であり、Rcは水素又は上で定義したような−(CH−Z’ラジカルである場合は、R’bはホスホネートPO(OR”)、COR”であるか、又はR’a及びR’bは、それらが結合している炭素原子とともに、式Vaのラジカル2,4−ジオキソ−1,3−ジオキサニルのC炭素原子でカルバニオンを形成する:
【0013】
【化6】

式中、R’は上で示した意味を有する、
と反応させることにより得られ、式(Ia)の化合物を生ずる:
【0014】
【化7】

式中、R’a、R’b及びRcは、上記の意味を有するが、R’a及びR’bが、それらが結合している炭素原子とともに、式Ibのメルドラム付加体としても知られる式(II)の4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサニルを形成する場合は、Rcは水素であることを条件とする:
【0015】
【化8】

式中、Ar及びR’は上記の意味を有する。所望により、メルドラム付加体は、直鎖又は分岐鎖C〜Cアルコール中でボイルすることにより、式Icの対応するβ−ケトエステルに変換される。
【0016】
【化9】

式Ia及びIcのβ−ケトエステルは、場合により、非プロトン性溶媒(好ましくはジメチルスルホキシド)中、少量の水、及び場合により少量のNaCl、NaCN、LiCl、LiIなどの電解質の存在下で単に加熱することにより、脱アルコキシ脱カルボキシル化して、対応する式Iのアリールケトンにすることができる(本明細書中に援用されるJ.P.Krapcho、Synthesis 805及び893、1982による)。同様に、周知の方法を用いて、保護基が存在する場合はそれを除去することにより、又はカルボキシル基を鹸化することにより、又はニトリルのカルボキシアミドへの変換により、式Iaの化合物を式Iの他の化合物へ変換することができる。
【0017】
式IVの化合物は、慣用の方法で、式IVaの2−アリール−プロピオン酸の個々のエナンチオマーから出発して、鏡像異性の完全性を保存したまま得られる。
【0018】
【化10】

前記エナンチオマーは公知化合物であり、個々のラセミ化合物から公知の光学分割法を用いて得ることができる。
【0019】
式Vのカルバニオンの調整は、実質的に中性条件におけるC−アシル化法にあり、文献に完全に記載されている(例えばD.W.Brooksら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.18、72、1979を参照されたい)。マロン酸のモノエステル及び1置換マロン酸のモノエステル、並びにスルフィニル酢酸、スルホニル酢酸及びホスホノ酢酸についても同様である。これらの酸は全て文献にて知られており、又はマロン酸及びその1置換アナログのジエステルのモノ鹸化若しくはホスホノ酢酸及びその2置換アナログの鹸化のような公知の方法を用いて調製することができる;スルフィニル酢酸及びスルホニル酢酸は、チオグリコール酸のエーテルを酸化することによって得ることができる。あるいは、リチウムアルキルと、ホスホン酸アルキルの公知のアルキルエステル(例えばN.Mongelliら、Synthesis、310、1988を参照されたい)又は酢酸のエステル(D.H.Harrisら、Tetrah.Lett.28、2837、1987による)との反応によって得られる、式Vのリチウム・エノラートを用いることが可能である。
【0020】
式Vaのエノラートの調整に関し、及びより一般的にはマロン酸の環状アルキリデンエステル(メルドラム酸としても知られる)の、式IVのカルボキシルの活性化種とのアシル化の手順に関し、Y.Oikawaら、J.Org.Chem.43、2087(1978);R.P.Houghton及びD.J.Lapham、Synthesis 451(1982)、並びにC.C.Chan及びX.Hung、前記、452(1982)に記載の方法を用いる。
【0021】
ジアルコキシホスホノ酢酸及びそのエステルの調製は、US4151172(1979年4月24日)に例示されており、又はR.A.Malevannayaら、Zh.Obshch.Khim.41、1426(1971)に記載されている。
【0022】
本発明の化合物の具体例は以下の通りである:
(R)(−)−4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル;
(S)(+)−4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル;
(R,S)4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸;
(R)(−)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル;
(R)(−)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オン;
(S)(+)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オン;
(R)(−)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オン;
(R)(−)−3−(4−イソブチル)−2−オキソブタン−1−ホスホン酸ジメチル;
(S)(±)−3−(3’−フェノキシ−フェニル)−2−オキソ−ブチル−1−ホスホン酸ジメチル;
(R)(−)−2−(4−イソブチルフェニル)−ペンタン−3−オン;
(S)(+)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸エチル;
(S)(+)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オン;
(R)(−)−2−(4−イソブチルフェニル)−4−フェニル−ブタン−3−オン;
(R)(−)−2−(4−イソブチルフェニル)−5−フェニル−ペンタン−3−オン;
(R)(−)−2−(4−イソブチルフェニル)−5−(ピリド−3−イル)−ペンタン−3−オン;
(R)(−)4−[(4’−ベンゾイルオキシ)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル;
(R)(−)−4−[(4’−イソプロピルスルホニルオキシ)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル;
(R)(−)−4−{[4’−(2”−エチル)フェニルスルホニルアミノ]フェニル}−3−オキソペンタン酸メチル;
(R,S)5−(4’−イソブチルフェニル)−ヘキサン−2,4−ジオン;
(R,S)1−フェニル−5−(4’−イソブチルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン;
(R,S)1−(ピリド−2−イル)−4−(4’−イソブチルフェニル)−1,3−ペンタジオン;
(R)(−)2−(4−イソブチルフェニル)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘプタン−3−オン;
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホキシド;
(R,S)2−(3’−ベンゾイルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホキシド;
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン;
(R,S)2−(3’−ベンゾイルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン;
(R,S)2−(3’−フェノキシフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン;
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,フェニル−スルホン;
(R)(−)−4−(4’−ピリジル)−2−[(4”−イソブチル)フェニル]ブタン−3−オン;
(R)−2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレルアミド;
(R)−2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレロニトリル;
(R)(+)−5−[2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン−1−イル]−2,2−ジメチル1,3−ジオキサン−4,6−ジオン;
(R)(−)−5−[2−(3’−ベンゾイル−フェニル)−プロピオン−1−イル]−2,2−ジメチル1,3−ジオキサン−4,6−ジオン。
【0023】
式Iの化合物は、IL−8で誘導される好中球走化性に対する強力な阻害剤であり、リポ多糖によって及び過酸化水素によって刺激されるTNF−α産生の増幅を阻害する。過酸化水素産生の激化は、周知の通り、走化性刺激の結果、好中球が活性化することの最終結果である。
【0024】
式Iのβ−ケトエステルの例は、R(−)−4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル及びR(−)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチルであり、これらはヒト好中球の走化性を、10−8Mの濃度で対照値と比較して50%高い範囲で阻害する。
【0025】
2−アリール−アルカン−3−オンの典型例は、R(−)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オンであり、このIC50 5×10−10Mは、同一のin vitro阻害アッセイにおいて算出されている。
【0026】
本発明の化合物について評価するため、健常な成人ボランティアのヘパリン添加血液からデキストラン沈降により得た多型核血液細胞を用いた。単核細胞をフィコール/ハイパークで除去し、赤血球は低張液で処理して除去した。多型核白血球(PMN)の生細胞率をTurk及びトリパンブルーを用いた排除によって算出し、一方、Diff Quick染色後、細胞遠心分離物のPM核率を測定した(用いた実験技術の詳細に関しては、W.J.Mingら、J.Immunol.138、1469、1987を参照されたい)。
【0027】
各in vitro実験では、PMNを本発明の化合物とインキュベーションする時間を10分間とし、37℃で操作した。
走化性実験及び細胞内Ca2+イオンレベルを測定するために設計した実験では、ヒト組換えIL−8(Pepro Tech.)を刺激物質として用いた:凍結乾燥したタンパク質を100ng/mLの濃度でHBSS(ハンクス平衡塩類溶液)に溶解し、HBSSで10ng/mLの濃度に希釈後、走化性実験に用いた。[Ca2+]変化の評価には25〜50ng/mLの濃度で用いた。
【0028】
走化性アッセイ(W.Falketら、J.Immunol.Methods、33、239、1980による)では、空隙率5μmのPVPフィルター、及び48回複製するのに好適なプレキシグラスマイクロチャンバーを用いた。マイクロチャンバーは、48ウェルを含有するプレキシグラスのブロックから成り、各ウェルの容量は25μLである。フタが付いていて、このフタには48個の穴があり、フタを定位置にセットして下部にねじで取り付けると、マイクロチャンバーの上部を形成するように配置されており、それぞれの容量は50μLとなる。
【0029】
PMN懸濁液を含有する上部のウェル、及びIL−8(又は異なる刺激物質)を添加したか又は添加していない媒体を含有する下部のウェルに試験化合物を同一濃度で加える。
細胞内[Ca2+変化の測定には、C.Bizzarriら(Blood、86、2388、1995)によって記載された実験モデルを採用し、1μMのFura−2 AMを添加した接着PMNを含有するスライドを用いて、[Ca2+変化をリアルタイムで評価した。続いて、PMNの細胞遠心分離物を5%FCS(ウシ胎仔血清)を添加したRPMI 1640培地に3×10/mLの濃度で再懸濁し、直径25mmの丸いガラススライドに蒔き、これを37℃のインキュベーターに30分間入れた。平衡化塩溶液(BSS)で連続して3回洗浄し、非接着細胞を除去した後、Fura−2 AMを添加する前に、更に接着細胞のセットについて最大4時間インキュベーションを行なった。
【0030】
本発明の化合物は、IL−8で誘導される細胞内Ca2+濃度の上昇を妨げる。
本発明の化合物は、「単球由来好中球活性化タンパク質」(NAP/IL−8又はより単純にはIL−8)としても知られるインターロイキン8で刺激されるヒトPMN白血球(PMN)の走化性をin vitroで阻害するその能力を特徴とする。前記阻害は用量依存性であり、IC50値(作用を50%阻害する用量)を10−7〜10−9Mの範囲で有する;阻害作用は選択的であり、IL−8で誘導される走化性刺激に対して特異的である。in vitroで他の走化因子(C5a、細菌由来又は合成由来のホルミルペプチド、例えばf−LMP)によって刺激される走化性を阻害するには1桁又は2桁高い濃度が必要とされる。本発明の化合物の特異性は、ヒトPMNにおける細胞内[Ca2+濃度の上昇を阻害するその能力によって更に証明され、この上昇はIL−8によるヒトPMN自体の活性化に関連する[J.H.Liuら、J.Infect.Dis.166、1089(1992)]。
【0031】
絶対配置と関係なく、本発明の化合物は、シクロオキシゲナシス(cyclooxygenasis)及びPG産生に対して顕著な効果をもたない。
実際、LPS(1μg/mL)で刺激したマウスマクロファージでは、本発明の化合物(10−5〜10−7Mの濃度範囲で評価した)は、PGE産生の阻害を示すが、しばしば統計的有意差の限界であるにもかかわらず、決して基底値の10〜15%を超えない。
【0032】
上記PGEの合成の軽微な阻害は、ある種の2−アリール−プロピオン酸について起こるものとは異なり、(いったんLPSで刺激されたならば)マウスマクロファージ自体によってTNF−α合成を増幅する恐れのある刺激を構成しないという利点を包含する。TNF−α合成の増幅は、好中球の活性化及び走化性並びにIL−8合成において順に起こると考えられる。一方、TNF−α合成を増幅しないこれらの効果は、過酸化水素で刺激されるTNF−α合成に関しても示されている。
【0033】
インターロイキン8(IL−8)及び相関があるサイトカインは、乾癬(B.J.Nickoloffら、Am.J.Pathol.138、129、1991)、関節リウマチ(M.Selzら、J.Clin.Invest.87、463、1991)、潰瘍性大腸炎(Y.R.Mahklaら、Clin.Sci.82、273;Nickoloffら、Am.J.Pathol.138、129、1991)、関節リウマチ(M.Selzら、J.Clin.Invest.87、463、1991)、潰瘍性大腸炎(YR.Mahklaら、Clin.Sci.82、273、1992)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性線維症(P.C.Carreら、J.Clin.Invest.88、1802、1991;及びE.J.Millerら、Am.Rev.Respir.Dis.上で引用)、糸球体腎炎(T.Wadaら、J.Exp.Med.180、1135、1994)、及び水疱性類天疱瘡のような疾患において、好中球浸潤の最も重要なモジュレーターであることが知られている。したがって、本発明の化合物は、慣用の技術及び賦形剤を用いて簡便に医薬組成物に製剤化されて、前記疾患の治療に用いられる。
【0034】
本発明の化合物は、虚血及び再灌流、特に臓器移植に関連して起こる障害の予防及び治療にも簡便に用いられる。
本発明の組成物は、筋肉注射で、静注経路で、ボーラスとして、外皮用製剤(クリーム、ローション、スプレー及び軟膏)で、並びにカプセル、錠剤、シロップ、放出制御製剤などの形態で経口経路により、投与することができる。
【0035】
平均日用量は、疾病の重篤度及び患者の状態(年齢、性別及び体重)などのさまざまな要因に依存するであろう。用量は、一般に、1日当たり化合物1mg又は数mg〜1500mgまで変化し、場合により、複数回投与に分けられるであろう。本発明の化合物の毒性は低いため、高用量で、及びより長期の治療期間、投与することもできる。
【0036】
本発明の例として以下の実施例を提供する。実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0037】
(R)(−)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オン
(R)(−)−イブプロフェン(2g、9.69ミリモル)を塩化チオニル(4mL)に溶解し、得られる溶液を4時間還流する。
【0038】
室温まで冷却後、溶媒を減圧で蒸発させ、残渣をジオキサンで2回溶解して溶媒を高真空で蒸発させることによって過剰量の塩化チオニルを除去する。得られるオイル状黄色残渣(2.34g;9.34ミリモル)を、乾燥ジクロロメタン(3mL)に溶解し、不活性ガス雰囲気中、ゆっくりしたドリッピングで、水/氷浴で前もって0〜5℃まで冷却した乾燥ジクロロメタン(7.5mL)中の2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−2,5−ジオン(メルドラム酸)(1.35g;9.34ミリモル)とピリジン(1.83mL;22.9ミリモル)との溶液に加える。添加終了後、産物をこの温度で1時間放置し、次に室温で更に1時間放置する。ジクロロメタンで希釈した混合物を、30分間の激しい撹拌下、2N HClとクラッシュ・アイスで分離させる。相分離後、有機相を2N HCl(2×10mL)及びNaCl飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させる。減圧で溶媒を蒸発させた後、2.69gのR(+)−5−[2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン−1−イル]−2,2−ジメチル1,3−ジオキサン−4,6−ジオンをオイルとして得る([α]=+61.7°;c=1%CHCl)。これを、更に精製することなく、ジオキサン(10mL)に溶解する。氷酢酸(0.84mL)及び水(0.13mL)を加え、得られる溶液を還流温度まで3時間加熱する。冷却し、溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製すると(溶出液:n−ヘキサン/エチルエーテル 9:1)、(R)(−)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オンが黄白色オイルとして生ずる(0.97g;4.75ミリモル)。
【0039】
[α]=−216.1°(c=1;CHCHOH);H−NMR(CDCl):δ6.95(s,4H);3.61(q,1H,J=8Hz);2.3(d,3H,J=7Hz);1.93(s,3H);1.75(m,1H);1.26(d,2H,J=8Hz);0.85(d,6H,J=7Hz)。
【実施例2】
【0040】
(S)(+)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オン;
(R)(−)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オン;
実施例1の手順にしたがい、0.3g(1.33ミリモル)のS(+)−イブプロフェンを用いて、S(+)−3−[(4’−イソブチル)フェニル]ブタン−2−オンを黄白色オイルとして得る(0.13g、0.63ミリモル);[α]=+210.5(c=1;CHCHOH);H−NMR(CDCl);δ7.10(s,4H);3.75(q,1H,J=8Hz);2.45(d,3H,J=7Hz);2.05(s,3H);1.85(m,1H);1.32(d,2H,J=8Hz);0.92(d,6H,J=7Hz)。
【0041】
同様に、0.74g(2.9ミリモル)の(R)(−)−ケトプロフェンから出発して、0.46g(1.79ミリモル)のR(−)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オンを黄色オイルとして得る;[α]=−103°(C=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.85(m,2H);7.75(m,2H);7.60(m,1H);7.55−7.40(m,4H);3.85(q,1H,J=8Hz);2.1(s,3H);1.45(d,3H,J=8Hz)。
【実施例3】
【0042】
(R)(−)−4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル
4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸
(R)(−)−イブプロフェン(1.2g、5.8ミリモル)をジオキサン(5mL)に溶解する;塩化チオニル(2.36mL)を加え、得られる溶液を還流し、還流したまま3時間放置する。室温まで冷却後、溶媒を減圧で蒸発させ、残渣をジオキサンで2回溶解して溶媒を高真空下で除去しながら過剰量の塩化チオニルを除去する。オイル状の黄色残渣(1.3g;5.79ミリモル)を得、これを乾燥ジクロロメタン(2mL)に溶解し、不活性ガス雰囲気中、ゆっくりとしたドリッピングで、水/氷浴で前もってT=+5℃まで冷却した乾燥ジクロロメタン(5mL)中の2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−2,5−ジオン(メルドラム酸)(0.83g;5.79ミリモル)とピリジン(1.12mL;14ミリモル)との溶液に加える。添加終了後、混合物をこの温度で1時間放置し、更に1時間室温で放置する。ジクロロメタンで希釈した混合物を、およそ30分間の激しい撹拌下、2N HCl溶液とクラッシュ・アイスで再分離させる。相分離後、有機相を2N HCl(2×10mL)及びNaCl飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させる。減圧で溶媒を蒸発させた後、(R)(+)−5−[2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン−1−イル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン([α]=+62°;c=1.1%CHCl)の残渣を更に精製することなく、メタノール(14mL)に溶解する;溶液を還流温度まで3時間再加熱する。冷却して溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製すると(溶出液:n−ヘキサン/エチルエーテル 8:2)、純粋な(R)(−)−4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸のメチルエステルが無色オイルとして生ずる(0.6g;2.28ミリモル);[α]=−192.5°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.1(s,4H);3.88(q,1H,J=8Hz);3.67(s,3H);3.47−3.28(q,2H,J=8Hz);2.45(d,2H,J=8Hz);1.85(m,1H);1.40(d,3H,J=8Hz);0.95(d,6H,J=7Hz)。
【0043】
メタノール(2mL)中の0.15g(0.57ミリモル)の前記エステルの溶液に、1N NaOH溶液(1mL)を加える;混合物を室温で一晩撹拌する。次に溶媒を減圧で蒸発させる;残渣を水(3mL)に溶解し、2N HClをドリッピングでpH=1になるまで加え、混合物をエチルエーテル(3×10mL)で抽出する;次に有機相をNaCl飽和溶液(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧で蒸発させると、0.12g(0.48ミリモル)の純粋な(+)4−[(4’−イソブチル)フェニル]−3−オキソペンタン酸が無色のオイルとして生ずる;
H−NMR(CDCl):δ7.1(m,4H);3.88(q,1H,J=8Hz);3.45(m,2H);2.48(d,2H,J=8Hz);1.90(m,1H);1.45(d,3H,J=8Hz);0.90(d,6H,J=7Hz)。
【実施例4】
【0044】
(R)(−)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル。
R−イブプロフェンを0.74g(2.9ミリモル)のR(−)−ケトプロフェンに置き換えることにより、実施例3の方法で、0.81gの(R)(−)−5−[2−(3’−ベンゾイル−フェニル)−プロピオン−1−イル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを得る([α]=−39.5°;c=1%CHCl)。これをメタノール中でボイルし、フラッシュクロマトグラフィで精製後(溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル 8:2)、0.49g(1.56ミリモル)の純粋な(R)(−)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチルが無色オイルとして生ずる。[α]=−135°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.85−7.40(m,9H);4.0(q,1H,J=8Hz);3.70(s,3H);3.50−3.30(q,2H,J=8Hz);1.45(d,3H,J=8Hz)。
【実施例5】
【0045】
(S)(+)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸エチル
(S)(+)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オン
室温で、不活性ガス雰囲気中、撹拌下、6mLの無水THF中のマグネシウムエチレート(0.57g)の懸濁液に、3mLのTHF中のマロン酸のモノエチルエステル(1.3g)の溶液を加える。試薬を完全に溶解させた後、マグネシウム−マロン酸エチルエステル複合体の混合物に、0.43gの1,1’−カルボニルジイミダゾールをS(+)2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸(0.66g)のTHF溶液に加えることによりその場で調製した、10mLの無水THF中のS(+)2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオニルイミダゾリド(0.83g)の溶液を、速いドリッピングで加える。混合物を4時間撹拌し、50%AcOH水溶液(1.2mL)を添加して酸性にし、真空下で少量に濃縮し、水で希釈する。酢酸エチルで繰り返し抽出後、有機相を併せ、NaCl飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固し、シリカゲルで精製後、0.82gの(S)(+)−4−[(3’−ベンゾイル)フェニル]−3−オキソペンタン酸エチルが生ずる;
[α]=+129°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.82−7.45(m,9H);4.1(q,1H,J=8Hz);3.75(s,3H);3.50−3.25(q,2H,J=8Hz);1.48(d,3H,J=8Hz)。
【0046】
上記したのと同一の手順にしたがい、対応するアリールプロピオン酸から出発して、以下の3−オキソエステルが合成されている:
(R)(−)4−[(4’−ベンゾイルオキシ)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル
H−NMR(CDCl):δ8.02(m,2H);7.51(m,1H);7.35(m,2H);7.27(s,1H);7.22(m,2H);3.85(m,2H);3.74(s,3H);3.42−3.37(q,2H,J=8Hz);2.78(q,2H,J=8Hz);1.25(t,3H,J=8Hz)。
【0047】
(R)(−)−4−[(4’−イソプロピルスルホニルオキシ)フェニル]−3−オキソペンタン酸メチル
[α]=−184.2°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.32(d,2H,J=7Hz);7.21(d,2H,J=7Hz);4.1(q,1H,J=8Hz);3.81(m,1H);3.70(s,3H);3.50−3.30(q,2H,J=8Hz);1.75(d,6H,J=7Hz);1.45(d,3H,J=8Hz)。
【0048】
(R)(−)−4−{[4’−(2”−エチル)フェニルスルホニルアミノ]フェニル}−3−オキソペンタン酸メチル
[α]=−81.3°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.32(d,2H,J=7Hz);7.20(m,6H);6.84(bs,1H,SONH);4.05(q,1H,J=8Hz);3.72(s,3H);3.55−3.35(q,2H,J=8Hz);2.75(q,2H,J=8Hz);1.45(d,3H,J=8Hz);1.22(t,3H,J=8Hz)。
【0049】
1.5mLのジメチルスルホキシド中の0.4gの化合物の溶液に、2滴のNaCl飽和水溶液を加え、140〜145℃の湯浴中、撹拌下で4時間加熱する;冷却して水で希釈後、混合物を酢酸エチルで繰り返し抽出する。併せた有機相から、通常の処理後、オイル状残渣を得る。これをフラッシュクロマトグラフィで精製後、0.24gのS(+)−3−[(3’−ベンゾイル)フェニル]ブタン−2−オンが黄色オイルとして生ずる;[α]=+101°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.83(m,2H);7.77(m,2H);7.65(m,1H);7.50−7.45(m,4H);3.85(q,1H,J=8Hz);2.3(s,3H);1.40(d,3H,J=8Hz)。
【実施例6】
【0050】
(R)(−)−3−(4−イソブチルフェニル)−2−オキソブタン−1−ホスホン酸ジメチル
(R)(−)−イブプロフェン(3.45g)のエチルエーテル溶液を5℃まで冷却し、エチルエーテル中の0.6Mジアゾメタン溶液で持続的な黄色になるまで1滴ずつ処理する。溶媒を真空下で除去する;残留オイルをフラッシュクロマトグラフィで精製すると、3.3gの(R)(−)2−(4’−イソブチルフェニル)−プロピオン酸メチルが生ずる。
【0051】
あるいは、2.6gのカルボニルジイミダゾールを、撹拌下で、10mLのTHF中のR(−)イブプロフェン(3.45g)の溶液に加える。混合物を1時間撹拌し、溶媒を真空下で蒸発させ、残留オイルをフラッシュクロマトグラフィで精製すると、4.05gの(R)(−)2−(4’−イソブチルフェニル)−プロピオニルイミダゾリドが生ずる。
【0052】
不活性ガス雰囲気中、ブチルリチウム(1.56M;13.3mL、0.027モル)のヘキサン溶液を、無水THF(10mL)中のメチルホスホン酸ジメチル(3.69g;0.03モル)溶液に滴下し、−70℃まで冷却する。混合物を15分間撹拌し、先に記載したように調製した無水THF(10mL)中のメチルエステル又はイミダゾリドの溶液を滴下する。
【0053】
ドリッピング工程終了後、反応混合物を撹拌下に、−70℃で1時間そして室温で1時間維持する。混合物を−10℃まで冷却し、1.8mLの氷酢酸を滴下する。溶媒を真空下に除去し、残渣を水で希釈し、混合物をジクロロメタン(4×50mL)で繰り返し抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる;溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルで精製し、AcOEtで溶出し、無色オイルとして3.02gの(R)(−)−3−(4−イソブチル)−2−オキソブタン−1−ホスホン酸ジメチルが生ずる。
【0054】
[α]=−171°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl):δ7.03(s,4H);4.1−3.9(dd,2H,J=15Hz,J=8Hz);3.8(s,3H);3.70(m,1H);3.65(s,3H);2.55(d,2H,J=8Hz);1.75(m,1H);1.50(d,3H,J=8Hz);0.85(d,6H,J=7Hz)。
【実施例7】
【0055】
(R)(−)2−(4−イソブチルフェニル)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘプタン−3−オン。
3mLのメタノール中の5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エトキシカルボニル−ペンタン酸エチル(WO94/10127)(1.59g)の溶液を、水/メタノール(1:1)中の8mLの0.63N LiOH.HO溶液に加える;混合物を室温で12時間撹拌する。混合物を10mLのリン酸1ナトリウム飽和溶液で希釈し、過剰量のメタノールを真空下で除去する。混合物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出する;有機抽出物を併せ、硫酸ナトリウムで溶媒を蒸発させることによって乾燥させ、1.4g(4.8ミリモル)の5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エトキシカルボニル−ペンタン酸を得る。
【0056】
8mLの無水THF中の前記酸(2.4ミリモル)の溶液に、0.27g(2.4ミリモル)の市販のマグネシウムエチレートを加え、懸濁液を室温で試薬が完全に溶解するまで撹拌し、マグネシウム複合体を形成させる。
【0057】
次に0.3gの(R)(−)2−(4’−イソブチルフェニル)−プロピオニルイミダゾリドの溶液を加え、混合物を室温で4時間撹拌する。混合物に数mLの50%AcOH水溶液を加えて酸性にし、溶媒を真空下で蒸発させる。残渣を水と酢酸エチルで再分離させ、通常の処理後、(0.42g)の(R,S)−2−[R−2−(4−イソブチル)−プロピオニル]−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタン酸エチルの粗生成物を生じ、これをフラッシュクロマトグラフィで精製する。
【0058】
次にDMSO/NaCl/HO中の0.15gの−ケトエステルの溶液を、135〜145℃まで加熱することによって脱アルコキシ脱カルボキシル化すると、0.08gの(R)(−)2−(4−イソブチルフェニル)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘプタン−3−オンが生ずる。
【0059】
[α]=−25°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl);δ7.25(s,4H);6.35(bs,1H,CON);3.70(q,1H,J=8Hz);3.40(m,2H);2.45(d,2H,J=7Hz);2.31(m,2H);1.85(m,1H);1.75−1.62(m,4H);1.60(d,3H,J=7Hz);1.45(s,9H);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【実施例8】
【0060】
実施例7の手順にしたがい、しかし出発物質として以下の群:
2−カルボキシ−プロピオン酸メチル;
2−カルボキシ−2−フェニル酢酸メチル;
2−カルボキシ−3−フェニルプロピオン酸メチル;
2−カルボキシ−3(−ピリド−3−イル)プロピオン酸メチル;
2−カルボキシ−3−シクロペンチルプロピオン酸メチル、
から選択される1置換マロン酸のモノエステルを用いて、以下のβ−ケトエステル:
(R’,S’)−2−[R−2−(4−イソブチルフェニル)−プロピオニル]プロピオン酸メチル;
(R’,S’)−2−[R−2−(4−イソブチルフェニル)−プロピオニル]−2−フェニル酢酸メチル;
(R’,S’)−2−[R−2−(4−イソブチルフェニル)−プロピオニル]−3−フェニル プロピオン酸メチル;
(R’,S’)−2−[R−2−(4−イソブチルフェニル)−プロピオニル]−3−(ピリド−3−イル)プロピオン酸メチル;
(R’,S’)−2−[R−2−(4−イソブチルフェニル)−プロピオニル]−3−シクロペンチル プロピオン酸メチル、
を得、DMSO/NaCl中で脱炭酸後、以下の対応するケトンを得る:
R(−)2−(4−イソブチルフェニル)−ペンタン−3−オン
[α]=−36°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl);S7.20(d,2H,J=7Hz);7.10(d,2H,J=7Hz);3.70(q,1H,J=8Hz);2.47(d,2H,J=7Hz);2.40(q,2H,J=7Hz);1.82(m,1H);1.55(d,3H,J=7Hz);0.98(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【0061】
R(−)2−(4−イソブチルフェニル)−4−フェニル−ブタン−3−オン
[α]=−48.5°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl);δ7.35−7.18(m,5H);7.15(d,2H,J=7Hz);7.05(d,2H,J=7Hz);3.72(q,1H,J=8Hz);3.65(s,2H);2.42(d,2H,J=7Hz);1.80(m,1H);1.60(d,3H,J=7Hz);0.93(d,6H,J=7Hz)。
【0062】
R(−)2−(4−イソブチルフェニル)−5−フェニル−ペンタン−3−オン
[α]=−40°(c=1.5;CHOH);H−NMR(CDCl);δ7.37−7.20(m,5H);7.10(d,2H,J=7Hz);7.00(d,2H,J=7Hz);3.70(q,1H,J=8Hz);2.88(m,2H);2.75(m,2H);2.45(d,2H,J=7Hz);1.82(m,1H);1.63(d,3H,J=7Hz);0.95(d,6H,J=7Hz)。
【0063】
R(−)2−(4−イソブチルフェニル)−5−(ピリド−3−イル)−ペンタン−3−オン
[α]=−89°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl);δ8.62(m,2H);7.80(m,1H);7.35(m,1H);7.15(d,2H,J=7Hz);7.08(d,2H,J=7Hz);5.35(t,2H,J=8Hz);5.05(t,2H,J=8Hz);3.72(q,1H,J=8Hz);2.42(d,2H,J=7Hz);1.80(m,1H);1.63(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【実施例9】
【0064】
(R,S)1−フェニル−4−(4’−イソブチルフェニル)−l,3−ペンタジオン
1.61gのベンゾイル酢酸の溶液中の0.55gのマグネシウムエチレート懸濁液を、不活性ガス雰囲気中、室温で試薬が完全に溶解するまで撹拌する。0.6gの(R,S)−2−(4’−イソブチルフェニル)−プロピオニルイミダゾリドの溶液を加え、撹拌を室温で一晩継続する。数滴の50%AcOH水溶液を加えて混合物を中性にし、真空下で蒸発乾固させる。残渣を水と酢酸エチルで再分離させる。併せた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製し、0.78gの(R,S)1−フェニル−4−(4’−イソブチルフェニル)−1,3−ペンタジオンを得る。
【0065】
H−NMR(CDCl);δ7.90(m,2H);7.65(m,1H);7.52(m,2H);7.20(d,2H,J=7Hz);7.12(d,2H,J=7Hz);3.77(s,2H);3.68(q,1H,J=8Hz);2.41(d,2H,J=7Hz);1.82(m,1H);1.60(d,3H,J=7Hz);0.95(d,6H,J=7Hz)。
【実施例10】
【0066】
実施例9の手順にしたがい、ベンゾイル酢酸の代わりに、アセチル酢酸、4−フェニル−3−オキソ−酪酸又はニコチノイル酢酸の群から選択されるβ-ケト酸を用いて、以下を得る:
(R,S)5−(4’−イソブチルフェニル)−ヘキサン−2,4−ジオン
H−NMR(CDCl);δ7.20(d,2H,J=7Hz);7.12(d,2H,J=7Hz);3.75(s,2H);3.65(q,1H,J=8Hz);2.40(d,2H,J=7Hz);2.10(s,3H);1.82(m,1H);1.62(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【0067】
(R,S)1−フェニル−5−(4’−イソブチルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン
H−NMR(CDCl);δ7.35−7.20(m,5H);7.15(d,2H,J=7Hz);7.05(d,2H,J=7Hz);3.75(s,2H);3.68(q,1H,J=8Hz);3.63(s,2H);2.41(d,2H,J=7Hz);1.80(m,1H);1.64(d,3H,J=7Hz);0.95(d,6H,J=7Hz)。
【0068】
(R,S)1−(ピリド−2−イル)−4−(4’−イソブチルフェニル)−1,3−ペンタジオン
H−NMR(CDCl);δ8.60(m,2H);7.81(m,1H);7.37(m,1H);7.18(d,2H,J=7Hz);7.10(d,2H,J=7Hz);3.70(q,1H,J=8Hz);3.65(s,2H);2.40(d,2H,J=7Hz);1.81(m,1H);1.65(d,3H,J=7Hz);0.95(d,6H,J=7Hz)。
【実施例11】
【0069】
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホキシド
乾燥メチルスルホキシド(5mL)中の水素化ナトリウム(21ミリモル)の溶液を不活性ガス雰囲気中、60℃で1時間加熱する。乾燥メチルスルホキシド中の2.2g(10ミリモル)の2−(4’−イソブチルフェニル)−プロピオン酸メチルの溶液を滴下し、撹拌を60℃で2時間継続する。混合物を室温で冷却し、AcOH(0.25mL)を加えて中性にし、ジエチルエーテルで希釈する。1N HClをpH=2になるまで添加し、CHCl及び水を加える。2相を分離させる;併せた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製し、0.350gの(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホキシドを得る。
【0070】
H−NMR(CDCl);δ7.14(s,4H);3.85(m,2H);3.52(m,1H);2.65+2.54(s,3H);2.47(d,2H,J=7Hz);1.87(m,1H);1.43(d,3H,J=7Hz);0.92(d,6H,J=7Hz)。
【0071】
上記したのと同一の手順にしたがい、ケトプロフェンの対応するメチルエステルを用いて以下の化合物を得る:
(R,S)2−(3’−ベンゾイルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホキシド
H−NMR(CDCl);δ7.85−7.60(m,4H);7.52−7.40(m,5H);3.80(m,2H);3.55(m,1H);2.62+2.55(s,3H);2.47(d,2H,J=7Hz);1.85(m,1H);1.40(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【0072】
上記したのと同一の手順にしたがい、対応するアリールプロピオン酸のメチルエステル、及びメチルスルホキシドの代わりにメチルスルホン(又はフェニルスルホン)を用いて、以下の化合物を得る:
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン
H−NMR(CDCl);δ7.18(s,4H);4.18(m,2H);3.90(m,1H);3.10(s,3H);2.40(d,2H,J=7Hz);1.80(m,1H);1.52(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【0073】
(R,S)2−(3’−ベンゾイルフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン
H−NMR(CDCl);δ7.85−7.60(m,4H);7.52−7.40(m,5H);4.20(m,3H);3.95(m,1H);3.18(s,3H);1.55(d,3H,J=7Hz)。
【0074】
(R,S)2−(3’−フェノキシフェニル)−3−オキソ−ブチル,メチル−スルホン
H−NMR(CDCl);δ7.25−7.38(m,2H);7.15−7.05(m,2H);7.02(m,2H);6.70−6.60(m,2H);6.55(s,1H);4.21(m,3H);4.15(m,1H);3.20(s,3H);1.58(d,3H,J=7Hz)。
【0075】
(R,S)2−(4’−イソブチルフェニル)−3−オキソ−ブチル,フェニル−スルホン
H−NMR(CDCl);δ8.05(m,2H);7.75(m,1H);7.60(m,2H);7.15(s,4H);4.15(m,2H);3.95(m,1H);2.40(d,2H,J=7Hz);1.80(m,1H);1.52(d,3H,J=7Hz);0.94(d,6H,J=7Hz)。
【実施例12】
【0076】
(R)(−)−4−(4’−ピリジル)−2−[(4”−イソブチル)フェニル]ブタン−3−オン
ジイソプロピルアミン(0.17mL;1.21ミリモル)及び水素化ナトリウム(ミネラルオイル中の60%溶液、0.106mg;2.66ミリモル)を窒素雰囲気下で乾燥THF(20mL)に溶解させる;4−ピリジル酢酸(0.166g;1.21ミリモル)を混合物に少しずつ加え、混合物を15分間還流する。氷水浴を用いてT=0〜4℃で冷却後、ブチルリチウム(ヘキサン中の1.6M溶液、0.75mL;1.21ミリモル)を混合物に加え、30分後、乾燥THF(10mL)中のR(−)−2−(4’−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド(0.27g;1.21ミリモル)の溶液を滴下する。添加終了後、氷水浴を取り外し、溶液を室温で一晩撹拌したまま放置する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(20mL)で希釈し、水(3×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて、暗赤色オイルを得、これを6N HCl(5mL)に溶解させる。溶液を還流温度で2時間加熱する;室温で冷却後、真空下で溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製し、純粋なR(−)−4−(4’−ピリジル)−2−[(4”−イソブチル)フェニル]ブタン−3−オン(0.25g;0.88ミリモル)を黄白色オイルとして得る。
【0077】
[α]=−148°(c=1;CHCl)。H−NMR(CDCl):δ8.54(m,2H);7.15−6.90(m,6H);3.85(m,1H);3.72(q,2H,J=8Hz);2.51(d,3H,J=8Hz);1.87(m,1H);1.45(d,2H,J=7Hz);0.92(d,6H,J=7Hz)。
【実施例13】
【0078】
(S)(+)3−(3’−フェノキシ−フェニル)−2−オキソ−ブタン−1−ホスホン酸ジメチル。
カルボニルジイミダゾール(0.18g)を、無水THF(5mL)中の(S)2−(3’−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸(0.24g)の溶液に加え、少なくとも1時間撹拌し、対応するイミダゾリド(溶液A)を形成させる。
【0079】
別に、無水THF(25mL)中のジメチルホスホノ酢酸(1.7g)の溶液に、マグネシウムエチレート(0.5g)を加え、混合物を3時間混合し、イミダゾリド溶液(溶液A)をすばやく加える。反応混合物を25℃で18時間撹拌する。
【0080】
真空下で溶媒を蒸発させた後、残渣を酢酸エチルと0.5N HCl水溶液で分離させる。有機相を水、5%重炭酸ナトリウム水溶液及び水で中性になるまでで洗浄する。NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィによって精製した後、0.26gの(S)(+)3−(3’−フェノキシ−フェニル)−2−オキソ−ブチル−1−ホスホン酸ジメチルを得る。
【0081】
[α]=+125°(c=1;CHOH);H−NMR(CDCl);δ7.25−7.32(m,2H);7.15−7.05(m,2H);7.03(m,2H);6.70−6.65(m,2H);6.50(s,1H);4.15−3.9(dd,2H,J=15Hz,J=8Hz);3.82(s,3H);3.70(m,1H);3.62(s,3H);1.50(d,3H,J=8Hz)。
【実施例14】
【0082】
(R)2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレルアミド
カルボニルジイミダゾール(1.7g)を、15mLの(無水)THF中の2.8gの(R)−インドプロフェンの溶液に加え、室温で2時間撹拌し、インドプロフェンイミダゾリド(溶液A)を形成させる。
【0083】
別に、マグネシウムエチレート(2.3g)を、撹拌下、15mLのTHF中の4.2gのマロン酸のモノアミドの溶液を加える。試薬を完全に溶解させた後、イミダゾリド溶液を加え、混合物を室温で24時間撹拌する。
【0084】
真空下で溶媒を蒸発させた後、残渣を酢酸エチルと0.5N HCl水溶液で分離させる。有機相を水、5%重炭酸ナトリウム水溶液及び水で中性になるまで洗浄する。NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィによって精製した後、2.4gの(R)2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレリアン酸アミドを得る。
【0085】
[α]=−46°(c=1;CHOH);H−NMR(DMSO−d);δ7.70−7.55(m,3H);7.45−7.30(m,3H);7.15(d,2H,J=8Hz);5.55(bs,2H,CON);4.67(s,2H);3.75(m,1H);3.52(s,2H);1.60(d,3H,J=8Hz)。
【実施例15】
【0086】
(R)2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレロニトリル。
実施例14の手順にしたがい、マロン酸のモノアミドを等分子量のシアン酢酸に置き換えて、(R)2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]−3−オキソ−バレロニトリルを得る。
【0087】
[α]=−21°(c=1;CHOH);H−NMR(DMSO−d);δ7.71−7.50(m,3H);7.45−7.30(m,3H);7.18(d,2H,J=8Hz);4.65(s,2H);3.72(m,1H);3.63(s,2H);1.55(d,3H,J=8Hz)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの(R,S)−1−アリールエチルケトン化合物、並びにその単一の(R)及び(S)エナンチオマー:
【化1】

式中:
Arはアリール基であり;
Ra及びRbは独立して、水素、直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキル、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜C−アルキルフェニル、C〜C−アルキル(α−又はβ−ナフチル)、C〜C−アルキル(2,3,4−ピリジル)、シアノ(−CN)、カルボキシアミド、式COR”のカルボキシル又はカルボキシエステル、ここでR”は直鎖又は分岐鎖C〜C脂肪族アルコールの残基である、ホスホネートPO(OR”)、ここでR”は上で定義した通りである、式ジ−X−(CH−Zの基、ここで:XはCO基、SO基、SO基であり;ZはH、tert−ブチル、イソプロピル、COR”、CN、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜Cシクロアルキル、NH−BOC、NHであり;nは0又は1〜3の整数である、の群から選択されるか、あるいはRa及びRbは、それらが結合している炭素原子とともに式IIの環状残基4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサニル−2,2−二置換体を形成する:
【化2】

式中、R’はメチル又はエチルであり、あるいは2つのR’基は以下を除いてシクロヘキサン環又はシクロペンタン環を形成する:
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−[4−(2−メチルプロピル)フェニル];
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−(3−フェノキシフェニル);
(R,S)(±)−2−ブタノン,3−(3−ベンゾイルフェニル);
(R,S)(±)−4−(3−ベンゾイル−フェニル)−3−オキソ−ペンタン酸エチル;
(R,S)(±)−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン−5−[2−(3−ベンゾイルフェニル)−1−オキソプロピル]−2,2−ジメチル。
【請求項2】
Arは、場合により1〜3の置換基で置換されているフェニルを表し、置換基は互いに同一又は異なっており、以下:
ハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロゲン−C〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルコキシ、ベンゾイル、又は4−イソブチル−フェニル、3−ベンゾイルフェニル、5−ベンゾイル−2−アセトキシ−フェニル、3−フェノキシ−フェニル、5−ベンゾイル−2−チオフェニル、4−チエノイル−フェニル、1−オキソ−2−イソインドリニル−フェニル、3−クロロ−4−(2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)フェニル、6−メトキシ−β−ナフチル、1−ヒドロキシ−フェニル−1−メチルの残基、又は式IIIの残基:
【化3】

式中、Aはベンジル、フェノキシ、ベンゾイル、ベンゾイルオキシム、1−ヒドロキシ−フェニル−1−メチルであり、Bはヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、又は式−O−C(=S)−N(CH若しくは−S−C(=O)−N(CHの基である、
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは、4−(2−メチル−プロピル)−フェニル、3−フェノキシ−フェニル、3−ベンゾイルフェニル、−2−[4−(1−オキソ−イソインドリニル)フェニル]、5−ベンゾイル−チエン−2−イル又は4−チエノイル−フェニルの残基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar残基が結合している炭素原子の立体配置が(R)エナンチオマーに相当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための、式Iの(R,S)−1−アリールエチルケトン化合物、並びにその単一の(R)及び(S)エナンチオマー:
【化4】

式中:
Arはアリール基であり;
Ra及びRbは独立して、水素、直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキル、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜C−アルキルフェニル、C〜C−アルキル(α−又はβ−ナフチル)、C〜C〜アルキル(2,3,4−ピリジル)、シアノ(−CN)、カルボキシアミド、式COR”のカルボキシル又はカルボキシエステル、ここでR”は直鎖又は分岐鎖C〜C脂肪族アルコール残基である、ホスホネートPO(OR”)、ここでR”は上で定義した通りである、式ジ−X−(CH−Zの基、ここで:XはCO、SO、SO基であり;ZはH、tert−ブチル、イソプロピル、COR”、CN、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C〜Cシクロアルキル、NH−BOC、NHであり;nは0又は1〜3の整数である、の群から選択されるか、あるいはRa及びRbは、それらが結合している炭素原子とともに式IIの環状残基4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサニル−2,2−二置換体を形成する:
【化5】

式中、R’はメチル又はエチルであり、あるいは2つのR’基はシクロヘキサン環又はシクロペンタン環を形成する。
【請求項6】
ヒトPMNのIL−8誘導走化性阻害剤として使用するための、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
混合物中に請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物をその好適な担体とともに含有する医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の、乾癬、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性線維症、糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡の治療のため、並びに虚血及び再灌流によって起こる障害の予防及び治療のための医薬の製造における使用。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって、式(IV)の活性化2−アリールプロピオン酸:
【化6】

式中:
Arはアリール基であり、Yは、ハロゲン、1−イミダゾリル、ピバロイル、C〜C−アルコキシカルボニル、スクシニルオキシ、ベンゾ−トリアゾール−1−イルオキシなどのカルボニルを活性化する残基である、
と、式Vのカルバニオン:
【化7】

式中:
− R’aが、カルボキシルとマグネシウムエトキシドとの複合体の残基である場合は、R’bはCOR”、CONH、CN、PO(OR”)又は−X−(CH−Z’であり、ここでXは先に定義した通りである;RcはH又は−(CH−Z’であり、ここでZ’はH、tert−ブチル、イソプロピル、COR”、CN、フェニル、α−又はβ−ナフチル、2,3,4−ピリジル、C−Cシクロアルキル、NH−BOCである;
− R’aが水素であり、Rcが水素又は上で定義したような−(CH−Z’ラジカルである場合は、R’bはホスホネートPO(OR”)、COR”であるか、あるいはR’a及びR’bは、それらが結合している炭素原子とともに式Vaの2,4−ジオキソ−1,3−ジオキサニルのカルバニオンを形成する:
【化8】

式中、R’はメチル又はエチルであり、あるいは2つのR’基はシクロへキサン環又はシクロペンタン環を形成する、
との反応を含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−509022(P2006−509022A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558041(P2004−558041)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013946
【国際公開番号】WO2004/052830
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501165813)ドムペ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (8)
【Fターム(参考)】