安全性が改善された円柱形の二次電池
カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製された電極アッセンブリと電解質とが円筒缶の内側に設けられた円柱形の充電可能な電池であって、前記円筒缶の開口した上部に取り付けられたキャップアッセンブリが、前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、を備えており、前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20から50%の大きさを持っている、円柱形の電池を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱形の二次電池に関する。より具体的には、本発明は、カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製された電極アッセンブリと電解質とが円筒缶の内側に設けられ、前記円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリが、前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、を備えており、前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20%から50%の大きさを持っている、円柱形の電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式機器の技術開発及び需要増加は、エネルギー源としての二次電池の需要の急増につながっている。これらの二次電池のうちで、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池に関連する多くの研究が進行中であり、そのようなリチウム二次電池は市販されていると共に広く使用されている。
【0003】
電池ケースの形状に応じて、二次電池は、円柱状の電池と角形の電池とパウチ型の電池とに分類されており、前記円柱形の電池及び角形の電池では、円筒または角形の金属缶の中に電極アッセンブリが取り付けられており、前記パウチ型の電池では、アルミラミネートシートで作られたパウチ型ケースの中に電極アッセンブリが取り付けられている。これらのうち、円柱形の電池は、比較的に大容量であると共に構造が安定性しているという利点がある。
【0004】
電池ケースに取り付けられた電極アッセンブリは、充電及び放電が可能な発電デバイスであり、カソード/セパレータ/アノードの積層構造を有している。電極アッセンブリは、活物質が適用された長いシート形状のカソードとアノードとの間にセパレータを介在させて続いて巻くことにより作製されたジェリー・ロール型の電極アッセンブリと、所定の大きさの複数のカソードと所定の大きさの複数のアノードとを、各カソードと各アノードとの間にセパレータが介在されるように順次積層させることにより作製された積層型の電極アッセンブリと、に分類されている。これらのうち、ジェリー・ロール型の電極アッセンブリは、製造が容易であると共に重量当たりのエネルギー密度が高いという利点がある。
【0005】
これに関連して、図1は一般的な円柱形の電池を示す斜視断面図である。
【0006】
図1を参照すると、円柱形の二次電池100は、円筒状のケース130内にジェリー・ロール型の電極アッセンブリを設置し、円筒状のケース130の中に電解質を注入し、そして、電極端子(例えば、図示しないカソード端子)を備えた上蓋140をケース130の開口した上部に接続することによって作製されている。
【0007】
電極アッセンブリ120は、カソード121、アノード122、及びそれらの間に介在したセパレータ123が巻かれていると共に、その巻き中心(ジェリー・ロールの中心)の中に円筒状の中心ピン150が挿入された構造を有している。一般的に、中心ピン150は、所定の強度をもたらすために金属材料からなると共に、シート材が円形に曲げられた中空の円筒形状の構造を有している。中心ピン150は、電極アッセンブリを固定及び支持しており、充電又は放電の際の内部反応によって生じたガスの放出を可能にする通路としての機能を果たす。
【0008】
一方では、リチウム二次電池は、安定性が低いという欠点がある。例えば、電池が約4.5V以上に過充電された場合には、カソード活物質が分解され、アノードの表面にリチウムのデンドライトが成長し、電解質が分解される。これらのプロセスは、熱及び分解反応を引き起こし、ひいては複数の副反応が急速に進む。最終的には、電池の燃焼や爆発が発生する可能性がある。
【0009】
したがって、これらの問題を解決するために、一般的な円柱形の二次電池には、電池の異常動作時に電流を遮断すると共に電極アッセンブリと上蓋との間に設けられた空間の内圧を低減させるための電流遮断デバイス(CID)及び安全ベントが備えられている。
【0010】
この機構について、図2−4を参照しながら説明する。
【0011】
図面を参照すると、上蓋10は、突起状のカソード端子を形成していると共に、孔あきベントが設けられている。上蓋10の下方には、電池の内部温度が上昇したときに電池の抵抗を大幅に増大させて、それにより電流を遮断する正温度係数(positive temperature coefficient:PTC)素子20と、通常の状態で下向きに突出しているが電池の内部圧力が増加したときに突出するのと同時に破断してガスの排出をもたらす安全ベント30と、上部の一方側で安全ベント30に接続されて底部の他方側で電極アッセンブリ40のカソードに接続された接続プレート50と、がこの順番で配置されている。
【0012】
したがって、電極アッセンブリ40のカソードは、通常の動作状態のもとで、電気を適用するために、リード42、接続プレート50、安全ベント30及びPTC素子20の順番で通って上蓋10に接続されている。
【0013】
しかしながら、図3に示すように、例えば過充電によって電極アッセンブリ40からガスが発生すると共に内部圧力が増加したとき、安全ベントの形状が反転して上向きに突出する。同時に、安全ベント30が接続プレート50から分離され、それによって電流が遮断される。したがって、さらなる過充電を防止するように安全性が確保されている。それにも関わらず、図4に示すように、内部圧力が増加し続けるときには、安全ベント30が破断し、圧縮ガスが破断した領域を通過し、それから上蓋10のベントを通って排出され、その結果、電池の爆発が防止される。
【0014】
このような動作プロセスは、電極アッセンブリで発生するガス量と安全ベントへのガスの搬送の効率性とに依存している。例えば、多量のガスが発生するもののガスが安全ベントに効率的に移送されない場合には、望ましい安全な動作プロセスを続行することができない。さらに、多量のガスが短時間のうちに発生してガスが安全ベントまで到達すると共に所定の動作プロセスを引き起こさない限り、電池の内部圧力が急激に増大して爆発を引き起こす。
【0015】
さらに、ガスの発生は、高温の熱による電解質の分解によって引き起こされる。電池から発生する熱が短時間のうちに急激に高くなると、熱暴走が発生する可能性がある。電池が連続的な電気利用の状態にあるときに、熱暴走現象が発生する。前記現象がさらに進行すると、電池が燃焼又は爆発する可能性がある危険性が相当増加し、その結果、重大な安全上の不都合な問題が発生する。
【0016】
したがって、異常動作状態でより安定して電池の内部ガスを電池内で引き起こすことができると共にガスを電池の外部に急速に排出することができる円柱形の二次電池を開発する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明は、上記した問題及び未だ解決されていない他の技術的問題を解決するために発明されたものである。
【0018】
本発明の1つの目的は、特定の構造を有するキャップアッセンブリを通って発生ガスを安全部材に効率良く移動させることができると共に、続行するための所定の安全なプロセスを可能にし、それによって最終的に電池の安全性を向上させる二次電池を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を引き起こし、電池の内部圧力の急激な増加を抑制し、それによって安全部材が効率良く動作することを可能にする二次電池を提供することである。
【0020】
さらに、本発明の別の目的は、発熱を最小限に抑えながら電解質の連続的な分解反応を引き起こして、熱暴走の発生を抑制する二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明に係る円柱形の二次電池は、カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製されたジェリー・ロール型の電極アッセンブリと電解質とが円筒缶の内側に設けられた円柱形の二次電池であって、前記円筒缶の開口した上部に取り付けられたキャップアッセンブリが、前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、を備えており、前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20から50%の大きさを持っている、円柱形の二次電池である。
【0022】
したがって、円柱形の電池では、発生ガスが特有の構造を有するキャップアッセンブリを通って安全部材に直接作用することができ、所望の電気の遮断が引き起こされ、前記安全ベントが断裂することによって前記ガスが迅速に排出されることが可能になり、それにより、電池の安全性が確保される。
【0023】
前記電流遮断デバイスは、電池の内部圧力が上昇したときに破断されることにより電流を遮断する部材であり、その中央に、上向きに突出していると共に前記安全ベントの凹部の前記底部に溶接された突起部が設けられ、且つ、前記ジェリー・ロールの前記カソードに接続されたカソードリードが、前記突起部以外の領域の前記底部を介して電気的に接続されている構造を有することができる。
【0024】
このように、電流遮断デバイスが安全部材に接続されているので、前記安全ベントの形状反転によって電流遮断デバイスとカソードとの間の接続領域が破断され、その結果、電流の遮断が生じる。具体的な例では、前記突起部の外周部の表面にノッチが形成されており、前記突起部が前記安全ベントに接続されたまま、該ノッチが前記安全ベントの形状反転によって破断すると共に、前記電流遮断デバイスと前記カソードとの間の接続領域から前記突起部が容易に分離される。
【0025】
さらに、前記電流遮断デバイスには、電池の内部ガスの増加が生じることにより前記安全ベントが反転するように、ガスを上昇させる2つ以上の貫通孔が備えられている。
【0026】
しかしながら、本願の発明者は、電流遮断デバイスに設けられた貫通孔の面積が20%未満である場合には、高圧ガスが電池内に発生すると電池の燃焼や爆発の比率が増加することを確認した。これは、貫通孔を通過するガスの量が少ないことにより電流が効率的に遮断されないということ、又は、ガスの上昇流路の遮断又は変化により電流を遮断するのに時間がかかるということが原因であると考えられる。一方で、貫通孔が過度に大きいサイズを持つことは、要素の所望の強度及びねじれを確保するのが難しくなると共に構成要素の捩れが加工時に生じるという観点から好ましくない。
【0027】
したがって、本発明の円柱形の電池では、上昇(排出)されるガス量を改善するために、電流遮断デバイスがガスを排出させる2つ以上の貫通孔を備えていると共に、該貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20%から50%、より好ましくは30から40%の面積を有しており、それにより、ガスの迅速な上昇(排出)が引き起こされる。
【0028】
好ましくは、前記貫通孔が、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている。貫通孔がこのように放射状に対称な位置で形成されている場合、一方向におけるガス排出の集中を防止できると共に電流遮断デバイスの強度を確保できるという点で有利である。
【0029】
この時点において、貫通孔の数は特に限定されるものではなく、好ましくは2から4つである。
【0030】
好ましい実施形態では、3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて50から80度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されることができる。
【0031】
一方で、前記突起部には、前記突起部の中心に基づいて同心状に形成された3から5つの貫通孔と隣接する貫通孔に接続するノッチとが設けられたブリッジ部が設けられている。前記貫通孔は、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて、前記貫通孔に対応する位置で40から55度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されることができる。
【0032】
安全ベントは、電池の内部圧力が上昇したときにガスを排出し、それにより電池の安全性を確保する要素である。例えば、ガスが電池の内部に発生して内部圧力が臨界水準以上まで上昇すると、破断領域から排出されたガスを、上蓋に設けられた1つ以上のガス排出口を通して排出させることができる。
【0033】
好ましくは、前記安全ベントは、下向きの凹部状の中央部を有している。このような構造では、電池の内部圧力が上昇すると、下向きの凹部が上向きの凹部に反転され、電流遮断デバイスから分離され、電気的接続が遮断される。
【0034】
当該構造を有する安全ベントの動作プロセスを考慮すると、電池の内側で発生したガスは、貫通孔を通過して安全ベントに対して上向きの圧力を作用させ、安全ベントの下向きの凹部は、所望の圧力(以下、単に「第一臨界圧力」という。)以上で反転され、前記凹部に接着された突起部が電流遮断デバイスから分離されると共に、電流遮断デバイスから安全ベントへの電気の適用を遮断する。
【0035】
前記凹部は、例えば、上側の屈曲部と下側の屈曲部を備えており、好ましくは上側の屈曲部に第一ノッチが設けられている。従来の方法では、下側の屈曲部だけが切断される構造が示唆されている。しかしながら、下側の屈曲部は、狭域であり、それ故に効率的なガス排出には不適当であった。一方、本発明によれば、切断のためのノッチが上側の屈曲部に設けられており、それ故に、切断領域が増加すると共に、多量のガスを外部へ迅速に放出することが可能になる。
【0036】
安全ベントが電流を遮断するが圧力が上昇し続けて所望の水準(以下、単に「第二臨界圧力」という。)に到達すると、第一ノッチが切断され得る。このため、圧縮された内部ガスが、上蓋に設けられたガス排出口を通って外部に円滑に放出される。
【0037】
一方、上側の屈曲部全体が安全ベントから分離されるのを防止するために、第一ノッチを、その一方側が開かれた開曲線状にすることができる。つまり、一方側の開いている部分が、その残りの部分に安全ベントの凹部を連結するためのブリッジとしての役割を果たす。
【0038】
第一ノッチの大きさは特に限定されず、好ましくは、貫通孔の中心線を接続する仮想線の大きさと一致させることができ、それにより、電流遮断デバイスから上昇したガスが第一ノッチに圧力を直接作用させることができる。
【0039】
さらに、第一ノッチの開いている領域は、上述したように第一ノッチが切断されたときに凹部が完全に切断されることを防止する大きさを有しており、好ましくは、安全ベントの中心に対して20から50度、さらに好ましくは25から40度の角度に対応する円弧状の長さを有している。
【0040】
好ましい実施形態では、第二ノッチが下側の屈曲部に形成されているが、内部圧力が上昇したときに上側の屈曲部だけが切断されることを可能にするために、第二ノッチは、互いに向かい合う両端が開いている開曲線構造を有している。両端が開いた当該構造は、下側の屈曲部が切断されることを防止し、上側の屈曲部の切断によって開口をより効率的に生じさせる。
【0041】
好ましくは、第二ノッチにおいて開いている両端は、第一ノッチの開いている領域と対応していない領域に形成されている。さらに好ましい実施形態では、第二ノッチの開いている2つの両端は、約±90度の角度で形成されている。
【0042】
好ましい実施形態では、第一ノッチが第二ノッチの前に切断されるように第一ノッチは第二ノッチ以上の深さに形成されている。
【0043】
安全ベントは特に限定されるものではなく、内部圧力が臨界水準以上まで上昇したときにノッチを切断させることができる強度を備えるために、0.15から0.4mmの厚さを有するアルミニウム板で製作されてもよい。
【0044】
本発明に係る円柱形の電池のキャップアッセンブリは、前記電池の内部温度が上昇したときに電池抵抗を大幅に増大させることにより電流を遮断する正温度係数(PTC)素子のような部材をさらに備えていてもよい。
【0045】
前記キャップアッセンブリは、電流遮断デバイスと、電流遮断デバイス用ガスケットと、安全ベントと、PTC素子と、1つ以上のガス排出口が形成された上蓋と、からなる積層構造を有している。さらに、前記積層構造の外周部にガスケットが追加されてもよい。前記PTC素子は、それが上蓋と安全ベントとの間に設けられた領域に接着するように前記上蓋と安全ベントとの間に介在されてもよい。
【0046】
さらに、電流遮断デバイス用ガスケットは、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる。好ましい実施形態では、前記ガスケットには、そこの中央に開口部が設けられている。圧縮ガスは、好ましくは、内部ガスを効率的に上昇させるために直線的に移動する。したがって、前記中央開口部は、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔を遮蔽しない形状を有している。
【0047】
従来技術では、前記ガスケットが前記電流遮断デバイスの前記貫通孔を遮蔽しているので、貫通孔を通過する圧縮ガスが前記ガスケットによって干渉され、その結果、排出量が減少すると共に流路が変化し、それにより、それが前記安全ベントの即時動作を引き起こすことを困難にしている。しかしながら、上述したように前記ガスケットが前記貫通孔を遮蔽しない構造では、高圧ガス全体が前記安全ベントに真直ぐに到達するので、電池の安定性を確保することができる。
【0048】
好ましい実施形態では、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔、前記電流遮断デバイス用ガスケットの前記中央開口部、及び前記安全ベントの前記ノッチは、それらが互いに直線的に連通するように形成されている。
【0049】
したがって、電池内に発生した高圧ガスが、前記中央開口部を介して電流遮断デバイスの貫通孔を通って安全ベントのノッチまで移動する間、ガス流路を直線状に維持することができ、それにより、安全ベントの即時動作が引き起こされ、電池の安全性が確保される。
【0050】
好ましい実施形態では、円柱形の電池は、熱安定性を向上させるために添加剤(電解質添加剤)を含む電解質を備えてもよい。
【0051】
前記電解質添加剤は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を介してガスを発生させることができ、例えば、150℃以上の温度で反応することが可能である。
【0052】
したがって、下記の実験例で示すように、本発明に係る円筒形の電池は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を引き起こし、それにより、熱暴走及び電池の内部圧力の急激な増加を抑制する。このような電解質の連続的な分解反応の誘発は、多量のガスが安全要素に移送されたときに、一種のボトルネック現象の発生を防止する。したがって、電解質添加剤は、特有のキャップアッセンブリの構造と相まって相乗効果を発揮する。
【0053】
好ましい実施形態では、電解質添加剤は、150から250℃で一次電解質分解を生じさせ、250から300℃で二次電解質分解を生じさせる材料である。例えば、電解質添加剤は、一次電解質分解反応において分解反応全体の約3分の2を生じさせ、その後、一次電解質分解温度よりも高い温度での二次電解質分解反応において分解反応全体の約3分の1を生じさせる。
【0054】
したがって、温度が上昇するにつれてガスが連続的に発生するので、電流遮断デバイスと安全ベントの動作が可能となる。このため、短期間のうちにガスが多量に発生することに関連する問題を解決することができ、上述したように、連続的なガスの発生にもかかわらず、発生したガスが特徴的なキャップアッセンブリの構造を介して直接作用して所望の電気の遮断を引き起こす。前記ガスを安全ベントの切断によって電池の外部に迅速に放出することができ、最終的に、電池の燃焼や爆発を効率的に防ぐことができる。
【0055】
電解質添加剤の好ましい例としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)であるが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
本発明の発明者は、上述したように、電解質添加剤が、温度が上昇するにつれて連続的な電解質分解を引き起こすと共にカソードの表面に保護膜を形成してカソード接点での抵抗を増大させること、及び、この抵抗の増加は、短絡時に適用される電気の量を減少させ、電池の安定性を向上させる結果となることを実験により確認した。
【0057】
電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて、好ましくは11から40重量%、より好ましくは15から35重量%の量が含まれている。
【0058】
電解質の含有量が過度に少ないと、高温時の連続的なガスの発生と短絡時の電流減少効果が達成することができず、一方、電解質の含有量が過度に多いと、電池容量が不利に減少する。
【0059】
好ましくは、電解質添加剤は、例えば4.3Vから4.35Vの充電/放電電圧などのような高電圧のセルに使用される。この場合、電解質添加剤の含有量は、好ましくは20から35重量%である。
【0060】
電解質は、通常、この技術分野で公知の非水性有機溶媒のリチウム塩を含んでいる。
【0061】
本発明で使用することができる非水系電解液を挙げると、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの非プロトン性有機溶媒、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ‐ブチロラクトン、1,2‐ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3‐ジメチル‐2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸、およびプロピオン酸エチルメチルがある。
これらのうち好ましいのは、鎖状カーボネート化合物、環状カーボネート化合物、又はそれらの組み合わせから成るカーボネート系溶媒である。
【0062】
リチウム塩は、上記の非水電解質に容易に可溶な材料であり、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、リチウムテトラフェニルホウ酸、及びイミドを含むことができる。
【0063】
さらに、充電/放電の特性及び難燃性を向上させるため、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、N‐グライム、ヘキサホスホリックトリアミド(hexaphosphoric triamide)、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン色素、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノール、塩化アルミニウム等が非水電解質に添加することができる。必要に応じて、不燃性を付与するために、非水電解質は四塩化炭素及び三フッ化エチレン等のハロゲン含有溶媒をさらに含んでよい。さらに、高温保存特性を向上させるために、非水電解質は、二酸化炭素ガス及びプロペンスルトン(PRS)をさらに含んでもよい。
【0064】
また、本発明は、電極アッセンブリと電解質とが円筒缶内に設けられた電池におけるキャップアッセンブリであって、円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリを提供する。具体的には、電池の電解質は、電解質の重量に基づいて150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を経てガスを発生させる添加剤を11から40重量%含んでいる。キャップアッセンブリでは、プレート型の絶縁部材がジェリー・ロールの上端部に取り付けられており、絶縁部材の中央には、ガスを排出させることができると共に電極端子に接続させることができる穿孔された開口部と、前記開口部の周りに配置された1つ以上の貫通孔と、が設けられている。
【0065】
好ましい実施形態では、プレート型の絶縁部材の貫通孔は、電流遮断デバイス用ガスケットの中央開口部及び電流遮断デバイスの貫通孔と直線的に連通するような位置にすることができる。プレート型の絶縁部材の貫通孔は、プレート型の絶縁部材の総面積の20から50%の大きさを有する。
【0066】
任意の絶縁部材であっても、それが絶縁材料で作られる限り、如何なる制限もなく使用することが可能であり、例えばポリプロピレン樹脂であってもよい。これらのうちで特に好ましいのは、一定の厚さで優れた機械的強度を発揮すると共に強力な外部衝撃が作用したときにジェリー・ロールの動きと分離を防止する高強度のポリプロピレン樹脂である。
【0067】
上記から明らかなように、本発明は、比較的広い面積を有する複数の貫通孔が設けられた電流遮断デバイスを備え、それにより、内部の高圧ガスを効率的に放出する円柱形の電池を提供する。さらに、安全ベントにおいて切断が生じるノッチが貫通孔と一致するように形成された場合、高圧ガスが直線的に放出され、高圧ガスが発生したときに迅速な電気の遮断が引き起こされ、ガス排出が迅速に起こり、電池の安全性を大幅に向上させることができる。
【0068】
さらに、特定の電解質添加剤が電解質に添加された場合、添加剤は、ガスを安定的に発生させるために温度上昇を伴う連続的な電解質分解を生じさせると共に、発熱によって引き起こされる燃焼又は爆発の可能性を大幅に低減させるために短絡回路電流を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本願発明の上記並びに他の目的、特徴及び他の利点は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0070】
【図1】図1は、一般的な円柱形の電池を示す断面斜視図である。
【図2】図2は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図3】図3は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図4】図4は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る円柱形の電池を示す概略断面図である。
【図6】図6は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの斜視図を示している。
【図7】図7は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの平面図を示している。
【図8】図8は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイスを示す斜視図である。
【図9】図9は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイスを示す平面図である。
【図10】図10は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス用のガスケットを示す斜視図である。
【図11】図11は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス用のガスケットを示す平面図である。
【図12】図12は、図5の円柱形の電池に使用されるプレート型の絶縁部材を示す斜視図である。
【図13】図13は、図5の円柱形の電池に使用されるプレート型の絶縁部材を示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係るプレート型の絶縁部材と電流遮断デバイス用のガスケットと電流遮断デバイスとを積層するためのプロセスを示す模式図である。
【図15】図15は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図16】図16は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図17】図17は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図18】図18は、実施例1、4、5及び比較例1、2で作製された電池のカソード界面抵抗の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明するが、これは本発明の範囲及び精神を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0072】
図5は、本発明の一実施形態に係る円柱形の電池のキャップアッセンブリ構造を示している。図6及び7は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの平面図である。
【0073】
図5を参照すると、円柱形の電池100は、円筒缶200の中にジェリー・ロール110を挿入し、そこに電解質を注入し、ジェリー・ロール110の上端にプレート型の絶縁部材800を装着し、円筒缶200の開口した上部にキャップアッセンブリ300を取り付けることにより作製されている。
【0074】
電解質には、発熱を最小限に抑えるための添加剤が含まれており、電解質の連続的な分解反応を引き起こす。
【0075】
キャップアッセンブリ300は、内圧を低減させるための上蓋310、PTC素子350及び安全ベント320が、円筒缶200の上側のビーディング部材(beading member)210に取り付けられた気密用ガスケット400の内側に接着されている構造を有している。
【0076】
電池の内圧が増大したときに破断して電流を遮断する電流遮断デバイス600は、の安全ベント320の底部に溶接によって連結されており、電流遮断デバイス用ガスケット700は、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる。
【0077】
PTC素子350は、上蓋310と安全ベント320との間にPTC素子350が付着するように、上蓋310と安全ベント320との間に介在しており、電池の内部温度が上昇したときに電池の抵抗を大幅に増大させて、それにより電流を遮断させる。
上蓋310は、上向きの中央突出部を有しており、ひいては、外部回路への連結によりカソード端子として機能する。
円筒缶200内に存在する圧縮ガスを排出するための複数のガス排出口312が、前記突起部の外周部に沿って形成されている。
【0078】
当該構造を有するキャップアッセンブリ300の安全ベント320について、図6及び7を参照しながらより詳細に説明する。
【0079】
安全ベント320は、その中央の位置に下方に向かって凹んだ凹部322が設けられた導電性薄膜構造を有していると共に、その上側の屈曲部の位置に第一ノッチ324が設けられ、さらに、その下側の屈曲部の位置に第二ノッチ326が設けられている。
【0080】
安全ベント320の平面を示す図7に示すように、上側の屈曲部に配置された第一ノッチ324は、その一方側が開かれた開曲線状になっている。
この開いている領域は非ノッチ領域330であり、当該非ノッチ領域330は、ノッチが形成された領域が高圧ガスによって切断されるにも関わらず第一ノッチの全部が分離することを阻止する。
【0081】
さらに、第二ノッチ326は下側の屈曲部に形成されていると共に、互いに向かい合う両端が開いた開曲線構造を有している。
2つの非ノッチ領域340は第二ノッチ326の両側の開いた端部に配置されている。
非ノッチ領域340は、切断により第二ノッチ326が分離することを阻止している。
第二ノッチ326の分離をより確実に阻止するために、好ましくは非ノッチ領域340が、非ノッチ領域330に対応しない領域に配置されており、より好ましくは、図示するように、非ノッチ領域340が第一ノッチ324の非ノッチ領域330の中心線に基づいて約±90度の角度で形成されていると共に、2つの非ノッチ領域340が互いに向かい合うように配置され得る。
【0082】
図8及び9は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス600を示している。
【0083】
図5と共に図8及び9を参照すると、上向きに突出した突起部620は、安全ベント320の凹部の底面322(図6を参照)に溶接によって接着されており、この突起部620は、電流遮断デバイス600の中央の位置に形成されており、そして、ジェリー・ロール110のカソードに接続されたカソードリード420は、電流遮断デバイス600の底部における突起部620以外の領域に電気的に接続されている。
【0084】
突起部620には、ブリッジ部640が設けられており、該ブリッジ部640には、突起部620の中心に基づいて同心状に形成された3つの貫通孔630と隣接する貫通孔630に接続するノッチ650とが設けられている。
【0085】
さらに、ガス排出用の3つの貫通孔610は、電流遮断デバイス600の外周部において中心軸線に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている。
複数の貫通孔610は、電流遮断デバイス600の総面積の30%の大きさを持っており、電池内部に存在する高圧ガスの排出量を増加しており、これにより、確実な電流遮断を発揮することができる。
複数の貫通孔610は、約120度の角度で互いに離間されていると共に、その形状および大きさが共に同じであり、それらの間の間隔は、実質的に均一である。
当該構造に基づき、電流遮断デバイス600は、ガス排出を最大限に高めると共に高い機械的強度を維持する。
【0086】
このとき、好ましくは、貫通孔610の中心線に接続する仮想線(鎖線を参照)のサイズは、安全ベント320(図6及び7を参照)の第一ノッチ324のサイズと実質的に等しい。
したがって、内部圧力が所定の水準以上になった場合に、貫通孔610を通過する高圧ガスが直線的な通路を通じて第一ノッチ324を押圧して第一ノッチ324の切断を促進し、それにより、迅速なガス排出が可能になる。
【0087】
図10及び11は、電流遮断デバイス600を取り囲んでいる電流遮断デバイス用のガスケット700を示している。
図示の便宜上、電流遮断デバイス用のガスケットは開口部の形状だけを表すように簡潔に示されている。
【0088】
図5と共に図10及び11を参照すると、電流遮断デバイス用のガスケット700には、その中央に開口部710が設けられており、中央開口部710は、電流遮断デバイス600の貫通孔610を遮蔽しない形状を有している。
すなわち、電流遮断デバイス用のガスケット700の形状は、電流遮断デバイス600における開口が形成されていない領域の外周部の形状と実質的に一致している。
【0089】
一方、図12及び13は、図5に係る対称な電池100においてジェリー・ロール110の上端に取り付けられたプレート型の絶縁部材800の例を示している。
図2と共にそれらの図面を参照すると、プレート型の絶縁部材800は、その中央に、ガス排出及び電極端子の接続を可能にする穿孔された開口部820が設けられていると共に、開口部820の周りに配置された1つ以上の貫通孔810が設けられている。
プレート型の絶縁部材800の貫通孔810は、電流遮断デバイス600の貫通孔610に一致する形状、大きさ、及び位置で形成され、且つ、プレート型の絶縁部材800の総面積の30%の大きさを持つことができる。
【0090】
図14は、プレート型の絶縁部材800、電流遮断デバイス用のガスケット700、電流遮断デバイス600、及び安全ベント320がこの順番で円筒缶に取り付けられる積層を概略的に示している。
【0091】
上で示した図2から図6と共に図14を参照すると、プレート型の絶縁部材800の貫通孔810、電流遮断デバイス用のガスケット700の中央開口部710、電流遮断デバイス600の貫通孔610、及び安全ベント320の第一ノッチ324は、電池内部の圧縮ガスを外部に効率的に排出させるために、それらが互いに直線的に連通するように形成されている。
【0092】
図15から17は、電池の内部圧力が異常に上昇した場合においてガスが排出される過程を概略的に示している。
【0093】
前記図面を参照すると、電池の内部圧力が異常に上昇すると、圧縮ガスが電流遮断デバイス600の貫通孔610及び貫通孔630を通過し、安全ベント320に上向きの圧力をかける。
【0094】
図16に示すように、当該圧力は、安全ベントの下向きの凹部322を上昇させるのと同時に、第一臨界圧力以上において、下向きの凹部322に溶着した突起部620を電流遮断デバイス600から分離させ、それによって、電流遮断デバイス600から安全ベント320への電気の適用を遮断する。
【0095】
図17に示すように、当該電流を遮断しているにもかかわらず、圧力が上昇し続けて第二臨界圧力以上に達した場合には、安全ベント320の第一ノッチ324が断裂し、それと同時に、内部の圧縮ガスがガス排出口312を通って外部に排出される。
【0096】
本発明によれば、大径の第一ノッチ324が切断される場合、小径の第二ノッチが切断される場合と比較して多いガス排出量を示し、それにより、高圧ガスの迅速な排出を引き起こす。
【0097】
これより、本発明について、以下の実施例を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためだけに提供されており、本発明の範囲及び精神を限定するものと解釈されるべきではない。
【0098】
[実施例1]
円柱形の二次電池は、下記の方法で作製される。
【0099】
1−1.カソード及びアノードの作製
LiCoO2を含有するカソード活物質がアルミニウム製の集電体に塗布されると共に、カソードを作製するためにカソードタップが上向きに突出するように前記集電体の端部に接着される。
人造黒鉛を含有するアノード活物質が銅製の集電体に塗布されると共に、アノードを作製するためにアノードタップが上向きに突出するように前記集電体(the anode collector)の端部に接着される。
【0100】
1−2.電解質の調製
リチウム二次電池用の電解質は、1.0MのLiPF6を含有する電解質としての非水溶媒に、添加剤としてのフルオロエチレンカーボネートを電解質の総重量の11重量%だけ添加し、エチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/ジメチルカーボネート(DMC)=30/5/65(体積比)の割合で構成することによって調製される。
【0101】
1−3.中心ピンを用いたラミネートのローリング
ジェリー・ロールを製造するために、項目1−1で得られたカソードとアノードとの間にセパレータが介在しているシート型のラミネートが、中心ピンの内側に挿入された後、350g/cm2の圧力で巻かれる。
それにより製造されたジェリー・ロールは、円筒形のケース内に収納され、リード線に接続されると共に、1−2の項目で調合された電解質がそこに注入される。
【0102】
1−4.円柱形の二次電池の作製
図7に示すように、直径8.0mm及び幅0.06mmの第一ノッチは、直径16mm及び幅0.3mmのアルミニウム製の板材のうちの30度の角度をもつ円弧以外の領域に形成されており、下向きに突出した深さ0.65mmの凹部が設けられた安全ベントが製造される。
【0103】
さらに、図9に示すように、後記する3つの貫通孔の総面積が後記の板材の総面積の約30%になるように、外径11mm及び厚さ0.5mmのアルミニウム製の板材に3つの貫通孔が放射状に形成される。
次に、電流遮断デバイスを製造するために、前記板材の中央に直径1.53mm及び高さ0.20mmの突起部が形成されると共に、幅0.6mm及び円周長さ2.61mmの3つの貫通孔が中央の突起部の中心から1.5mmの距離をおいて穿孔され、さらに、貫通孔を接続する各ブリッジ部に幅約70μmのノッチが形成される。
【0104】
さらに、図11に示すように、電流遮断デバイスの貫通孔を遮蔽しない電流遮断デバイス用のガスケットが、ポリプロピレン製の板材から外径12mm及び幅0.5mmで製造される。
【0105】
電流遮断デバイスの外周部は、電流遮断デバイス用のガスケットの内側に挿入され、安全ベントの屈曲部の底部は、レーザ溶接によって電流遮断デバイスの突起部の上端に接着されている。
【0106】
電池を作製するために、プレート型の絶縁部材は、項目1−3の円筒形のケースの開口している上端部に取り付けられており、缶の上端は、PTC素子及び上蓋が挿入されるビーディング(beading)によって固定されており、電流遮断デバイス及びガスケットと共に設けられた安全ベントは、ビーディング部分の中に挿入されており、ガスケットは缶の上端部を内向きにプレスすることによって締め付けられている。
【0107】
[実施例2]
電池は、安全ベントの製造工程において第一ノッチの幅が0.1mmであると共に第二ノッチの幅が0.06mmであることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0108】
[実施例3]
電池は、安全ベントの製造工程において第一ノッチの幅が7mmであると共に第二ノッチの幅が0.06mmであることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0109】
[実施例4]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の20重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0110】
[実施例5]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の30重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0111】
[実施例6]
電池は、電解質の調製において、体積比が8:92であるプロピレンカーボネート(PC)とメチルプロピオネート(MP)とからなる非水溶媒が用いられていることを除いて実施例4と同様の方法で作製されている。
【0112】
[実施例7]
電池は、電解質の調製において、体積比が8:92であるプロピレンカーボネート(PC)とメチルプロピオネート(MP)とからなる非水溶媒が用いられていることを除いて実施例4と同様の方法で作製されている。
【0113】
[比較例1]
パウチ型の単セルは、電解質の調製において添加剤が添加されないことを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0114】
[比較例2]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の5重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0115】
[比較例3]
電池は、電流遮断デバイスの総面積が電流遮断デバイスの総面積の18%であることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0116】
[実験例1]
実施例1、4、及び5及び比較例1及び2において作製された電池が用意され、そのカソード界面抵抗が測定された。
実験結果を図18に示す。
【0117】
図18を参照すると、電気化学的インピーダンス分光(EIS)装置を用いて周波数(frequency)当たりの抵抗値が測定されると共に、結果として生じる特性がグラフにおいて半円状に示されている。
フルオロエチレンカーボネートが電解質に添加された実施例1の電池は、添加剤が添加されていない電池(比較例1)及び添加剤を5重量%含有する電池(比較例2)と比較して相対的増加を示したことが分かる。
特に、添加剤を20重量%含有する電池(実施例4)と添加剤を30重量%含有する電池(実施例5)は、カソード界面抵抗において大幅増加を示したことが分かる。
【0118】
[実験例2]
実施例1、及び4から7、並びに比較例1及び2において作製された各電池がそれぞれ2つずつ用意され、完全に充電された電池に外部短絡が引き起こされ、その回路電流が測定される。
このようにして得られた実験結果は、表1に示されている。
【0119】
【表1】
【0120】
上記した表1から分かるように、フルオロエチレンカーボネートが電解質に添加された実施例1の電池は、添加剤が電解質に添加されていない比較例1の電池及び5重量%の添加剤が電解質に添加された比較例2の電池と比較して短絡時の低電流を示した。
【0121】
さらに、添加剤を20重量%含有する実施例4の電池と添加剤を30重量%含有する実施例5の電池は、添加剤を11重量%含有する実施例1の電池と比較してかなり低い短絡回路電流を示した。
この性質は、実施例4及び5とは異なる非水電解質組成を有する実施例6及び7にも同様に示されている。
【0122】
したがって、短絡時の発熱は電流量に比例して増加することを考慮すると、本発明に係る電池は発熱量が少ないので比較的に安定している。
【0123】
[実験例3]
実施例1、及び4から7において作製された電池を、熱安定性に関して比較例1及び2の電池と比較した。こうして得られた結果を下記の表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
上記表2において、「開始温度」は熱分解の初期温度を示しており、「熱容量」は熱解析におけるピーク面積を示している。
熱安定性は、これらの値を比較することにより評価した。
【0126】
実験から分かるように、フルオロエチレンカーボネートを含有しない比較例1の電池では電解質の分解が約210℃で1回引き起こされるが、フルオロエチレンカーボネートを含有する実施例1の電池では電解質の分解が約225℃と約275℃とで2回引き起こされる。
したがって、ガス発生が1度に集中することが抑制されることが分かる。
【0127】
さらに、表2から分かるように、実施例1の電池は、比較例1の電池の比熱容量の約50%に相当する比熱容量(specific heat capacity)を示しており、これは、高温の発生による安全性の問題がより軽減されることを意味している。
特に、20重量%の電解質添加剤を含有する実施例4の電池、及び30重量%の電解質添加剤を含有する実施例5の電池は、それぞれ、実施例1の電池と比べて相当に低い比熱容量を示しており、これは、実施例4及び5の電池が優れた安定性を示すことを意味している。
発熱がかなり減少するこの現象は、PC及びMPからなる非水溶媒を用いている実施例6及び7に示されている。
【0128】
その一方で、5重量%の電解質添加剤を含有する比較例2の電池は、11重量%の電解質添加剤を含有する実施例1の電池と比較して、比熱容量が70%以上の増加を示した。
すなわち、フルオロエチレンカーボネートが添加されるものの、その量が10重量%未満である場合、添加によって得られる効果は相当に低い。
【0129】
[実験例4]
実施例1及び3、並びに比較例3において作製された電池は釘刺し試験(nail test)が行われた。
こうして得られた結果を下記の表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
上記した表3から分かるように、30%の面積比の貫通孔を有する電流遮断デバイスが使用される場合、電池は爆発も変形も生じない。
【0132】
一方で、18%の面積比の貫通孔を有する電流遮断デバイスを用いた比較例3の電池は、釘刺し試験中に爆発した。
さらに、実施例2及び3に示すように、第二ノッチが切断され、且つガスが安全ベントから円滑に排出されない場合、電池は爆発しないが変形し得る。
【0133】
大容量の電池では、安全ベントの切断部分の大きさ及び電流遮断デバイスの貫通孔の大きさが十分でない場合、ガスがこれらの要素を十分に通過することができなかったことが認められた。
さらに、安全ベントの切断部分が電池の内側に配置された第二ノッチの場合には、ノッチの直径が拡大されるが、切断後の安全ベントの傾いた内側のノッチによって、ガス排出に対する抵抗が不利に発生する可能性があることが認められた。
【0134】
前述から明らかなように、ガスを電池から効果的に放出するために、電流遮断デバイスの貫通孔の面積が増加すると共に、第一ノッチのように安全ベントの切断部分を用いた構造が電池の安定性の改善効果を発揮する。
【0135】
本発明の好ましい実施形態は例示目的のために開示されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に開示されているように、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更、追加及び置換が可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0136】
100・・・電池
200・・・円筒缶
110・・・ジェリー・ロール
800・・・絶縁部材
300・・・キャップアッセンブリ
310・・・上蓋
350・・・PTC素子
320・・・安全ベント
400・・・気密用ガスケット
600・・・電流遮断デバイス
700・・・電流遮断デバイス用ガスケット
312・・・ガス排出口
322・・・凹部
324・・・第一ノッチ
326・・・第二ノッチ
330・・・非ノッチ領域
340・・・非ノッチ領域
620・・・突起部
420・・・カソードリード
640・・・ブリッジ部
630・・・貫通孔
650・・・ノッチ
610・・・貫通孔
710・・・中央開口部
820・・・開口部
810・・・貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱形の二次電池に関する。より具体的には、本発明は、カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製された電極アッセンブリと電解質とが円筒缶の内側に設けられ、前記円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリが、前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、を備えており、前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20%から50%の大きさを持っている、円柱形の電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式機器の技術開発及び需要増加は、エネルギー源としての二次電池の需要の急増につながっている。これらの二次電池のうちで、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池に関連する多くの研究が進行中であり、そのようなリチウム二次電池は市販されていると共に広く使用されている。
【0003】
電池ケースの形状に応じて、二次電池は、円柱状の電池と角形の電池とパウチ型の電池とに分類されており、前記円柱形の電池及び角形の電池では、円筒または角形の金属缶の中に電極アッセンブリが取り付けられており、前記パウチ型の電池では、アルミラミネートシートで作られたパウチ型ケースの中に電極アッセンブリが取り付けられている。これらのうち、円柱形の電池は、比較的に大容量であると共に構造が安定性しているという利点がある。
【0004】
電池ケースに取り付けられた電極アッセンブリは、充電及び放電が可能な発電デバイスであり、カソード/セパレータ/アノードの積層構造を有している。電極アッセンブリは、活物質が適用された長いシート形状のカソードとアノードとの間にセパレータを介在させて続いて巻くことにより作製されたジェリー・ロール型の電極アッセンブリと、所定の大きさの複数のカソードと所定の大きさの複数のアノードとを、各カソードと各アノードとの間にセパレータが介在されるように順次積層させることにより作製された積層型の電極アッセンブリと、に分類されている。これらのうち、ジェリー・ロール型の電極アッセンブリは、製造が容易であると共に重量当たりのエネルギー密度が高いという利点がある。
【0005】
これに関連して、図1は一般的な円柱形の電池を示す斜視断面図である。
【0006】
図1を参照すると、円柱形の二次電池100は、円筒状のケース130内にジェリー・ロール型の電極アッセンブリを設置し、円筒状のケース130の中に電解質を注入し、そして、電極端子(例えば、図示しないカソード端子)を備えた上蓋140をケース130の開口した上部に接続することによって作製されている。
【0007】
電極アッセンブリ120は、カソード121、アノード122、及びそれらの間に介在したセパレータ123が巻かれていると共に、その巻き中心(ジェリー・ロールの中心)の中に円筒状の中心ピン150が挿入された構造を有している。一般的に、中心ピン150は、所定の強度をもたらすために金属材料からなると共に、シート材が円形に曲げられた中空の円筒形状の構造を有している。中心ピン150は、電極アッセンブリを固定及び支持しており、充電又は放電の際の内部反応によって生じたガスの放出を可能にする通路としての機能を果たす。
【0008】
一方では、リチウム二次電池は、安定性が低いという欠点がある。例えば、電池が約4.5V以上に過充電された場合には、カソード活物質が分解され、アノードの表面にリチウムのデンドライトが成長し、電解質が分解される。これらのプロセスは、熱及び分解反応を引き起こし、ひいては複数の副反応が急速に進む。最終的には、電池の燃焼や爆発が発生する可能性がある。
【0009】
したがって、これらの問題を解決するために、一般的な円柱形の二次電池には、電池の異常動作時に電流を遮断すると共に電極アッセンブリと上蓋との間に設けられた空間の内圧を低減させるための電流遮断デバイス(CID)及び安全ベントが備えられている。
【0010】
この機構について、図2−4を参照しながら説明する。
【0011】
図面を参照すると、上蓋10は、突起状のカソード端子を形成していると共に、孔あきベントが設けられている。上蓋10の下方には、電池の内部温度が上昇したときに電池の抵抗を大幅に増大させて、それにより電流を遮断する正温度係数(positive temperature coefficient:PTC)素子20と、通常の状態で下向きに突出しているが電池の内部圧力が増加したときに突出するのと同時に破断してガスの排出をもたらす安全ベント30と、上部の一方側で安全ベント30に接続されて底部の他方側で電極アッセンブリ40のカソードに接続された接続プレート50と、がこの順番で配置されている。
【0012】
したがって、電極アッセンブリ40のカソードは、通常の動作状態のもとで、電気を適用するために、リード42、接続プレート50、安全ベント30及びPTC素子20の順番で通って上蓋10に接続されている。
【0013】
しかしながら、図3に示すように、例えば過充電によって電極アッセンブリ40からガスが発生すると共に内部圧力が増加したとき、安全ベントの形状が反転して上向きに突出する。同時に、安全ベント30が接続プレート50から分離され、それによって電流が遮断される。したがって、さらなる過充電を防止するように安全性が確保されている。それにも関わらず、図4に示すように、内部圧力が増加し続けるときには、安全ベント30が破断し、圧縮ガスが破断した領域を通過し、それから上蓋10のベントを通って排出され、その結果、電池の爆発が防止される。
【0014】
このような動作プロセスは、電極アッセンブリで発生するガス量と安全ベントへのガスの搬送の効率性とに依存している。例えば、多量のガスが発生するもののガスが安全ベントに効率的に移送されない場合には、望ましい安全な動作プロセスを続行することができない。さらに、多量のガスが短時間のうちに発生してガスが安全ベントまで到達すると共に所定の動作プロセスを引き起こさない限り、電池の内部圧力が急激に増大して爆発を引き起こす。
【0015】
さらに、ガスの発生は、高温の熱による電解質の分解によって引き起こされる。電池から発生する熱が短時間のうちに急激に高くなると、熱暴走が発生する可能性がある。電池が連続的な電気利用の状態にあるときに、熱暴走現象が発生する。前記現象がさらに進行すると、電池が燃焼又は爆発する可能性がある危険性が相当増加し、その結果、重大な安全上の不都合な問題が発生する。
【0016】
したがって、異常動作状態でより安定して電池の内部ガスを電池内で引き起こすことができると共にガスを電池の外部に急速に排出することができる円柱形の二次電池を開発する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明は、上記した問題及び未だ解決されていない他の技術的問題を解決するために発明されたものである。
【0018】
本発明の1つの目的は、特定の構造を有するキャップアッセンブリを通って発生ガスを安全部材に効率良く移動させることができると共に、続行するための所定の安全なプロセスを可能にし、それによって最終的に電池の安全性を向上させる二次電池を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を引き起こし、電池の内部圧力の急激な増加を抑制し、それによって安全部材が効率良く動作することを可能にする二次電池を提供することである。
【0020】
さらに、本発明の別の目的は、発熱を最小限に抑えながら電解質の連続的な分解反応を引き起こして、熱暴走の発生を抑制する二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明に係る円柱形の二次電池は、カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製されたジェリー・ロール型の電極アッセンブリと電解質とが円筒缶の内側に設けられた円柱形の二次電池であって、前記円筒缶の開口した上部に取り付けられたキャップアッセンブリが、前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、を備えており、前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20から50%の大きさを持っている、円柱形の二次電池である。
【0022】
したがって、円柱形の電池では、発生ガスが特有の構造を有するキャップアッセンブリを通って安全部材に直接作用することができ、所望の電気の遮断が引き起こされ、前記安全ベントが断裂することによって前記ガスが迅速に排出されることが可能になり、それにより、電池の安全性が確保される。
【0023】
前記電流遮断デバイスは、電池の内部圧力が上昇したときに破断されることにより電流を遮断する部材であり、その中央に、上向きに突出していると共に前記安全ベントの凹部の前記底部に溶接された突起部が設けられ、且つ、前記ジェリー・ロールの前記カソードに接続されたカソードリードが、前記突起部以外の領域の前記底部を介して電気的に接続されている構造を有することができる。
【0024】
このように、電流遮断デバイスが安全部材に接続されているので、前記安全ベントの形状反転によって電流遮断デバイスとカソードとの間の接続領域が破断され、その結果、電流の遮断が生じる。具体的な例では、前記突起部の外周部の表面にノッチが形成されており、前記突起部が前記安全ベントに接続されたまま、該ノッチが前記安全ベントの形状反転によって破断すると共に、前記電流遮断デバイスと前記カソードとの間の接続領域から前記突起部が容易に分離される。
【0025】
さらに、前記電流遮断デバイスには、電池の内部ガスの増加が生じることにより前記安全ベントが反転するように、ガスを上昇させる2つ以上の貫通孔が備えられている。
【0026】
しかしながら、本願の発明者は、電流遮断デバイスに設けられた貫通孔の面積が20%未満である場合には、高圧ガスが電池内に発生すると電池の燃焼や爆発の比率が増加することを確認した。これは、貫通孔を通過するガスの量が少ないことにより電流が効率的に遮断されないということ、又は、ガスの上昇流路の遮断又は変化により電流を遮断するのに時間がかかるということが原因であると考えられる。一方で、貫通孔が過度に大きいサイズを持つことは、要素の所望の強度及びねじれを確保するのが難しくなると共に構成要素の捩れが加工時に生じるという観点から好ましくない。
【0027】
したがって、本発明の円柱形の電池では、上昇(排出)されるガス量を改善するために、電流遮断デバイスがガスを排出させる2つ以上の貫通孔を備えていると共に、該貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20%から50%、より好ましくは30から40%の面積を有しており、それにより、ガスの迅速な上昇(排出)が引き起こされる。
【0028】
好ましくは、前記貫通孔が、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている。貫通孔がこのように放射状に対称な位置で形成されている場合、一方向におけるガス排出の集中を防止できると共に電流遮断デバイスの強度を確保できるという点で有利である。
【0029】
この時点において、貫通孔の数は特に限定されるものではなく、好ましくは2から4つである。
【0030】
好ましい実施形態では、3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて50から80度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されることができる。
【0031】
一方で、前記突起部には、前記突起部の中心に基づいて同心状に形成された3から5つの貫通孔と隣接する貫通孔に接続するノッチとが設けられたブリッジ部が設けられている。前記貫通孔は、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて、前記貫通孔に対応する位置で40から55度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されることができる。
【0032】
安全ベントは、電池の内部圧力が上昇したときにガスを排出し、それにより電池の安全性を確保する要素である。例えば、ガスが電池の内部に発生して内部圧力が臨界水準以上まで上昇すると、破断領域から排出されたガスを、上蓋に設けられた1つ以上のガス排出口を通して排出させることができる。
【0033】
好ましくは、前記安全ベントは、下向きの凹部状の中央部を有している。このような構造では、電池の内部圧力が上昇すると、下向きの凹部が上向きの凹部に反転され、電流遮断デバイスから分離され、電気的接続が遮断される。
【0034】
当該構造を有する安全ベントの動作プロセスを考慮すると、電池の内側で発生したガスは、貫通孔を通過して安全ベントに対して上向きの圧力を作用させ、安全ベントの下向きの凹部は、所望の圧力(以下、単に「第一臨界圧力」という。)以上で反転され、前記凹部に接着された突起部が電流遮断デバイスから分離されると共に、電流遮断デバイスから安全ベントへの電気の適用を遮断する。
【0035】
前記凹部は、例えば、上側の屈曲部と下側の屈曲部を備えており、好ましくは上側の屈曲部に第一ノッチが設けられている。従来の方法では、下側の屈曲部だけが切断される構造が示唆されている。しかしながら、下側の屈曲部は、狭域であり、それ故に効率的なガス排出には不適当であった。一方、本発明によれば、切断のためのノッチが上側の屈曲部に設けられており、それ故に、切断領域が増加すると共に、多量のガスを外部へ迅速に放出することが可能になる。
【0036】
安全ベントが電流を遮断するが圧力が上昇し続けて所望の水準(以下、単に「第二臨界圧力」という。)に到達すると、第一ノッチが切断され得る。このため、圧縮された内部ガスが、上蓋に設けられたガス排出口を通って外部に円滑に放出される。
【0037】
一方、上側の屈曲部全体が安全ベントから分離されるのを防止するために、第一ノッチを、その一方側が開かれた開曲線状にすることができる。つまり、一方側の開いている部分が、その残りの部分に安全ベントの凹部を連結するためのブリッジとしての役割を果たす。
【0038】
第一ノッチの大きさは特に限定されず、好ましくは、貫通孔の中心線を接続する仮想線の大きさと一致させることができ、それにより、電流遮断デバイスから上昇したガスが第一ノッチに圧力を直接作用させることができる。
【0039】
さらに、第一ノッチの開いている領域は、上述したように第一ノッチが切断されたときに凹部が完全に切断されることを防止する大きさを有しており、好ましくは、安全ベントの中心に対して20から50度、さらに好ましくは25から40度の角度に対応する円弧状の長さを有している。
【0040】
好ましい実施形態では、第二ノッチが下側の屈曲部に形成されているが、内部圧力が上昇したときに上側の屈曲部だけが切断されることを可能にするために、第二ノッチは、互いに向かい合う両端が開いている開曲線構造を有している。両端が開いた当該構造は、下側の屈曲部が切断されることを防止し、上側の屈曲部の切断によって開口をより効率的に生じさせる。
【0041】
好ましくは、第二ノッチにおいて開いている両端は、第一ノッチの開いている領域と対応していない領域に形成されている。さらに好ましい実施形態では、第二ノッチの開いている2つの両端は、約±90度の角度で形成されている。
【0042】
好ましい実施形態では、第一ノッチが第二ノッチの前に切断されるように第一ノッチは第二ノッチ以上の深さに形成されている。
【0043】
安全ベントは特に限定されるものではなく、内部圧力が臨界水準以上まで上昇したときにノッチを切断させることができる強度を備えるために、0.15から0.4mmの厚さを有するアルミニウム板で製作されてもよい。
【0044】
本発明に係る円柱形の電池のキャップアッセンブリは、前記電池の内部温度が上昇したときに電池抵抗を大幅に増大させることにより電流を遮断する正温度係数(PTC)素子のような部材をさらに備えていてもよい。
【0045】
前記キャップアッセンブリは、電流遮断デバイスと、電流遮断デバイス用ガスケットと、安全ベントと、PTC素子と、1つ以上のガス排出口が形成された上蓋と、からなる積層構造を有している。さらに、前記積層構造の外周部にガスケットが追加されてもよい。前記PTC素子は、それが上蓋と安全ベントとの間に設けられた領域に接着するように前記上蓋と安全ベントとの間に介在されてもよい。
【0046】
さらに、電流遮断デバイス用ガスケットは、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる。好ましい実施形態では、前記ガスケットには、そこの中央に開口部が設けられている。圧縮ガスは、好ましくは、内部ガスを効率的に上昇させるために直線的に移動する。したがって、前記中央開口部は、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔を遮蔽しない形状を有している。
【0047】
従来技術では、前記ガスケットが前記電流遮断デバイスの前記貫通孔を遮蔽しているので、貫通孔を通過する圧縮ガスが前記ガスケットによって干渉され、その結果、排出量が減少すると共に流路が変化し、それにより、それが前記安全ベントの即時動作を引き起こすことを困難にしている。しかしながら、上述したように前記ガスケットが前記貫通孔を遮蔽しない構造では、高圧ガス全体が前記安全ベントに真直ぐに到達するので、電池の安定性を確保することができる。
【0048】
好ましい実施形態では、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔、前記電流遮断デバイス用ガスケットの前記中央開口部、及び前記安全ベントの前記ノッチは、それらが互いに直線的に連通するように形成されている。
【0049】
したがって、電池内に発生した高圧ガスが、前記中央開口部を介して電流遮断デバイスの貫通孔を通って安全ベントのノッチまで移動する間、ガス流路を直線状に維持することができ、それにより、安全ベントの即時動作が引き起こされ、電池の安全性が確保される。
【0050】
好ましい実施形態では、円柱形の電池は、熱安定性を向上させるために添加剤(電解質添加剤)を含む電解質を備えてもよい。
【0051】
前記電解質添加剤は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を介してガスを発生させることができ、例えば、150℃以上の温度で反応することが可能である。
【0052】
したがって、下記の実験例で示すように、本発明に係る円筒形の電池は、温度上昇を伴う電解質の連続的な分解反応を引き起こし、それにより、熱暴走及び電池の内部圧力の急激な増加を抑制する。このような電解質の連続的な分解反応の誘発は、多量のガスが安全要素に移送されたときに、一種のボトルネック現象の発生を防止する。したがって、電解質添加剤は、特有のキャップアッセンブリの構造と相まって相乗効果を発揮する。
【0053】
好ましい実施形態では、電解質添加剤は、150から250℃で一次電解質分解を生じさせ、250から300℃で二次電解質分解を生じさせる材料である。例えば、電解質添加剤は、一次電解質分解反応において分解反応全体の約3分の2を生じさせ、その後、一次電解質分解温度よりも高い温度での二次電解質分解反応において分解反応全体の約3分の1を生じさせる。
【0054】
したがって、温度が上昇するにつれてガスが連続的に発生するので、電流遮断デバイスと安全ベントの動作が可能となる。このため、短期間のうちにガスが多量に発生することに関連する問題を解決することができ、上述したように、連続的なガスの発生にもかかわらず、発生したガスが特徴的なキャップアッセンブリの構造を介して直接作用して所望の電気の遮断を引き起こす。前記ガスを安全ベントの切断によって電池の外部に迅速に放出することができ、最終的に、電池の燃焼や爆発を効率的に防ぐことができる。
【0055】
電解質添加剤の好ましい例としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)であるが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
本発明の発明者は、上述したように、電解質添加剤が、温度が上昇するにつれて連続的な電解質分解を引き起こすと共にカソードの表面に保護膜を形成してカソード接点での抵抗を増大させること、及び、この抵抗の増加は、短絡時に適用される電気の量を減少させ、電池の安定性を向上させる結果となることを実験により確認した。
【0057】
電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて、好ましくは11から40重量%、より好ましくは15から35重量%の量が含まれている。
【0058】
電解質の含有量が過度に少ないと、高温時の連続的なガスの発生と短絡時の電流減少効果が達成することができず、一方、電解質の含有量が過度に多いと、電池容量が不利に減少する。
【0059】
好ましくは、電解質添加剤は、例えば4.3Vから4.35Vの充電/放電電圧などのような高電圧のセルに使用される。この場合、電解質添加剤の含有量は、好ましくは20から35重量%である。
【0060】
電解質は、通常、この技術分野で公知の非水性有機溶媒のリチウム塩を含んでいる。
【0061】
本発明で使用することができる非水系電解液を挙げると、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの非プロトン性有機溶媒、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ‐ブチロラクトン、1,2‐ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3‐ジメチル‐2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸、およびプロピオン酸エチルメチルがある。
これらのうち好ましいのは、鎖状カーボネート化合物、環状カーボネート化合物、又はそれらの組み合わせから成るカーボネート系溶媒である。
【0062】
リチウム塩は、上記の非水電解質に容易に可溶な材料であり、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、リチウムテトラフェニルホウ酸、及びイミドを含むことができる。
【0063】
さらに、充電/放電の特性及び難燃性を向上させるため、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、N‐グライム、ヘキサホスホリックトリアミド(hexaphosphoric triamide)、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン色素、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノール、塩化アルミニウム等が非水電解質に添加することができる。必要に応じて、不燃性を付与するために、非水電解質は四塩化炭素及び三フッ化エチレン等のハロゲン含有溶媒をさらに含んでよい。さらに、高温保存特性を向上させるために、非水電解質は、二酸化炭素ガス及びプロペンスルトン(PRS)をさらに含んでもよい。
【0064】
また、本発明は、電極アッセンブリと電解質とが円筒缶内に設けられた電池におけるキャップアッセンブリであって、円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリを提供する。具体的には、電池の電解質は、電解質の重量に基づいて150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を経てガスを発生させる添加剤を11から40重量%含んでいる。キャップアッセンブリでは、プレート型の絶縁部材がジェリー・ロールの上端部に取り付けられており、絶縁部材の中央には、ガスを排出させることができると共に電極端子に接続させることができる穿孔された開口部と、前記開口部の周りに配置された1つ以上の貫通孔と、が設けられている。
【0065】
好ましい実施形態では、プレート型の絶縁部材の貫通孔は、電流遮断デバイス用ガスケットの中央開口部及び電流遮断デバイスの貫通孔と直線的に連通するような位置にすることができる。プレート型の絶縁部材の貫通孔は、プレート型の絶縁部材の総面積の20から50%の大きさを有する。
【0066】
任意の絶縁部材であっても、それが絶縁材料で作られる限り、如何なる制限もなく使用することが可能であり、例えばポリプロピレン樹脂であってもよい。これらのうちで特に好ましいのは、一定の厚さで優れた機械的強度を発揮すると共に強力な外部衝撃が作用したときにジェリー・ロールの動きと分離を防止する高強度のポリプロピレン樹脂である。
【0067】
上記から明らかなように、本発明は、比較的広い面積を有する複数の貫通孔が設けられた電流遮断デバイスを備え、それにより、内部の高圧ガスを効率的に放出する円柱形の電池を提供する。さらに、安全ベントにおいて切断が生じるノッチが貫通孔と一致するように形成された場合、高圧ガスが直線的に放出され、高圧ガスが発生したときに迅速な電気の遮断が引き起こされ、ガス排出が迅速に起こり、電池の安全性を大幅に向上させることができる。
【0068】
さらに、特定の電解質添加剤が電解質に添加された場合、添加剤は、ガスを安定的に発生させるために温度上昇を伴う連続的な電解質分解を生じさせると共に、発熱によって引き起こされる燃焼又は爆発の可能性を大幅に低減させるために短絡回路電流を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本願発明の上記並びに他の目的、特徴及び他の利点は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0070】
【図1】図1は、一般的な円柱形の電池を示す断面斜視図である。
【図2】図2は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図3】図3は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図4】図4は、従来の円柱形の電池において、安全要素の動作により電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る円柱形の電池を示す概略断面図である。
【図6】図6は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの斜視図を示している。
【図7】図7は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの平面図を示している。
【図8】図8は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイスを示す斜視図である。
【図9】図9は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイスを示す平面図である。
【図10】図10は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス用のガスケットを示す斜視図である。
【図11】図11は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス用のガスケットを示す平面図である。
【図12】図12は、図5の円柱形の電池に使用されるプレート型の絶縁部材を示す斜視図である。
【図13】図13は、図5の円柱形の電池に使用されるプレート型の絶縁部材を示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係るプレート型の絶縁部材と電流遮断デバイス用のガスケットと電流遮断デバイスとを積層するためのプロセスを示す模式図である。
【図15】図15は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図16】図16は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図17】図17は、図5の円柱形の電池において安全要素の動作によって電流が遮断されると共に高圧ガスが放出される一連のプロセスを示す断面図である。
【図18】図18は、実施例1、4、5及び比較例1、2で作製された電池のカソード界面抵抗の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明するが、これは本発明の範囲及び精神を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0072】
図5は、本発明の一実施形態に係る円柱形の電池のキャップアッセンブリ構造を示している。図6及び7は、図5のキャップアッセンブリ構造に使用される安全ベントの平面図である。
【0073】
図5を参照すると、円柱形の電池100は、円筒缶200の中にジェリー・ロール110を挿入し、そこに電解質を注入し、ジェリー・ロール110の上端にプレート型の絶縁部材800を装着し、円筒缶200の開口した上部にキャップアッセンブリ300を取り付けることにより作製されている。
【0074】
電解質には、発熱を最小限に抑えるための添加剤が含まれており、電解質の連続的な分解反応を引き起こす。
【0075】
キャップアッセンブリ300は、内圧を低減させるための上蓋310、PTC素子350及び安全ベント320が、円筒缶200の上側のビーディング部材(beading member)210に取り付けられた気密用ガスケット400の内側に接着されている構造を有している。
【0076】
電池の内圧が増大したときに破断して電流を遮断する電流遮断デバイス600は、の安全ベント320の底部に溶接によって連結されており、電流遮断デバイス用ガスケット700は、前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる。
【0077】
PTC素子350は、上蓋310と安全ベント320との間にPTC素子350が付着するように、上蓋310と安全ベント320との間に介在しており、電池の内部温度が上昇したときに電池の抵抗を大幅に増大させて、それにより電流を遮断させる。
上蓋310は、上向きの中央突出部を有しており、ひいては、外部回路への連結によりカソード端子として機能する。
円筒缶200内に存在する圧縮ガスを排出するための複数のガス排出口312が、前記突起部の外周部に沿って形成されている。
【0078】
当該構造を有するキャップアッセンブリ300の安全ベント320について、図6及び7を参照しながらより詳細に説明する。
【0079】
安全ベント320は、その中央の位置に下方に向かって凹んだ凹部322が設けられた導電性薄膜構造を有していると共に、その上側の屈曲部の位置に第一ノッチ324が設けられ、さらに、その下側の屈曲部の位置に第二ノッチ326が設けられている。
【0080】
安全ベント320の平面を示す図7に示すように、上側の屈曲部に配置された第一ノッチ324は、その一方側が開かれた開曲線状になっている。
この開いている領域は非ノッチ領域330であり、当該非ノッチ領域330は、ノッチが形成された領域が高圧ガスによって切断されるにも関わらず第一ノッチの全部が分離することを阻止する。
【0081】
さらに、第二ノッチ326は下側の屈曲部に形成されていると共に、互いに向かい合う両端が開いた開曲線構造を有している。
2つの非ノッチ領域340は第二ノッチ326の両側の開いた端部に配置されている。
非ノッチ領域340は、切断により第二ノッチ326が分離することを阻止している。
第二ノッチ326の分離をより確実に阻止するために、好ましくは非ノッチ領域340が、非ノッチ領域330に対応しない領域に配置されており、より好ましくは、図示するように、非ノッチ領域340が第一ノッチ324の非ノッチ領域330の中心線に基づいて約±90度の角度で形成されていると共に、2つの非ノッチ領域340が互いに向かい合うように配置され得る。
【0082】
図8及び9は、図5の円柱形の電池に使用される電流遮断デバイス600を示している。
【0083】
図5と共に図8及び9を参照すると、上向きに突出した突起部620は、安全ベント320の凹部の底面322(図6を参照)に溶接によって接着されており、この突起部620は、電流遮断デバイス600の中央の位置に形成されており、そして、ジェリー・ロール110のカソードに接続されたカソードリード420は、電流遮断デバイス600の底部における突起部620以外の領域に電気的に接続されている。
【0084】
突起部620には、ブリッジ部640が設けられており、該ブリッジ部640には、突起部620の中心に基づいて同心状に形成された3つの貫通孔630と隣接する貫通孔630に接続するノッチ650とが設けられている。
【0085】
さらに、ガス排出用の3つの貫通孔610は、電流遮断デバイス600の外周部において中心軸線に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている。
複数の貫通孔610は、電流遮断デバイス600の総面積の30%の大きさを持っており、電池内部に存在する高圧ガスの排出量を増加しており、これにより、確実な電流遮断を発揮することができる。
複数の貫通孔610は、約120度の角度で互いに離間されていると共に、その形状および大きさが共に同じであり、それらの間の間隔は、実質的に均一である。
当該構造に基づき、電流遮断デバイス600は、ガス排出を最大限に高めると共に高い機械的強度を維持する。
【0086】
このとき、好ましくは、貫通孔610の中心線に接続する仮想線(鎖線を参照)のサイズは、安全ベント320(図6及び7を参照)の第一ノッチ324のサイズと実質的に等しい。
したがって、内部圧力が所定の水準以上になった場合に、貫通孔610を通過する高圧ガスが直線的な通路を通じて第一ノッチ324を押圧して第一ノッチ324の切断を促進し、それにより、迅速なガス排出が可能になる。
【0087】
図10及び11は、電流遮断デバイス600を取り囲んでいる電流遮断デバイス用のガスケット700を示している。
図示の便宜上、電流遮断デバイス用のガスケットは開口部の形状だけを表すように簡潔に示されている。
【0088】
図5と共に図10及び11を参照すると、電流遮断デバイス用のガスケット700には、その中央に開口部710が設けられており、中央開口部710は、電流遮断デバイス600の貫通孔610を遮蔽しない形状を有している。
すなわち、電流遮断デバイス用のガスケット700の形状は、電流遮断デバイス600における開口が形成されていない領域の外周部の形状と実質的に一致している。
【0089】
一方、図12及び13は、図5に係る対称な電池100においてジェリー・ロール110の上端に取り付けられたプレート型の絶縁部材800の例を示している。
図2と共にそれらの図面を参照すると、プレート型の絶縁部材800は、その中央に、ガス排出及び電極端子の接続を可能にする穿孔された開口部820が設けられていると共に、開口部820の周りに配置された1つ以上の貫通孔810が設けられている。
プレート型の絶縁部材800の貫通孔810は、電流遮断デバイス600の貫通孔610に一致する形状、大きさ、及び位置で形成され、且つ、プレート型の絶縁部材800の総面積の30%の大きさを持つことができる。
【0090】
図14は、プレート型の絶縁部材800、電流遮断デバイス用のガスケット700、電流遮断デバイス600、及び安全ベント320がこの順番で円筒缶に取り付けられる積層を概略的に示している。
【0091】
上で示した図2から図6と共に図14を参照すると、プレート型の絶縁部材800の貫通孔810、電流遮断デバイス用のガスケット700の中央開口部710、電流遮断デバイス600の貫通孔610、及び安全ベント320の第一ノッチ324は、電池内部の圧縮ガスを外部に効率的に排出させるために、それらが互いに直線的に連通するように形成されている。
【0092】
図15から17は、電池の内部圧力が異常に上昇した場合においてガスが排出される過程を概略的に示している。
【0093】
前記図面を参照すると、電池の内部圧力が異常に上昇すると、圧縮ガスが電流遮断デバイス600の貫通孔610及び貫通孔630を通過し、安全ベント320に上向きの圧力をかける。
【0094】
図16に示すように、当該圧力は、安全ベントの下向きの凹部322を上昇させるのと同時に、第一臨界圧力以上において、下向きの凹部322に溶着した突起部620を電流遮断デバイス600から分離させ、それによって、電流遮断デバイス600から安全ベント320への電気の適用を遮断する。
【0095】
図17に示すように、当該電流を遮断しているにもかかわらず、圧力が上昇し続けて第二臨界圧力以上に達した場合には、安全ベント320の第一ノッチ324が断裂し、それと同時に、内部の圧縮ガスがガス排出口312を通って外部に排出される。
【0096】
本発明によれば、大径の第一ノッチ324が切断される場合、小径の第二ノッチが切断される場合と比較して多いガス排出量を示し、それにより、高圧ガスの迅速な排出を引き起こす。
【0097】
これより、本発明について、以下の実施例を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためだけに提供されており、本発明の範囲及び精神を限定するものと解釈されるべきではない。
【0098】
[実施例1]
円柱形の二次電池は、下記の方法で作製される。
【0099】
1−1.カソード及びアノードの作製
LiCoO2を含有するカソード活物質がアルミニウム製の集電体に塗布されると共に、カソードを作製するためにカソードタップが上向きに突出するように前記集電体の端部に接着される。
人造黒鉛を含有するアノード活物質が銅製の集電体に塗布されると共に、アノードを作製するためにアノードタップが上向きに突出するように前記集電体(the anode collector)の端部に接着される。
【0100】
1−2.電解質の調製
リチウム二次電池用の電解質は、1.0MのLiPF6を含有する電解質としての非水溶媒に、添加剤としてのフルオロエチレンカーボネートを電解質の総重量の11重量%だけ添加し、エチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/ジメチルカーボネート(DMC)=30/5/65(体積比)の割合で構成することによって調製される。
【0101】
1−3.中心ピンを用いたラミネートのローリング
ジェリー・ロールを製造するために、項目1−1で得られたカソードとアノードとの間にセパレータが介在しているシート型のラミネートが、中心ピンの内側に挿入された後、350g/cm2の圧力で巻かれる。
それにより製造されたジェリー・ロールは、円筒形のケース内に収納され、リード線に接続されると共に、1−2の項目で調合された電解質がそこに注入される。
【0102】
1−4.円柱形の二次電池の作製
図7に示すように、直径8.0mm及び幅0.06mmの第一ノッチは、直径16mm及び幅0.3mmのアルミニウム製の板材のうちの30度の角度をもつ円弧以外の領域に形成されており、下向きに突出した深さ0.65mmの凹部が設けられた安全ベントが製造される。
【0103】
さらに、図9に示すように、後記する3つの貫通孔の総面積が後記の板材の総面積の約30%になるように、外径11mm及び厚さ0.5mmのアルミニウム製の板材に3つの貫通孔が放射状に形成される。
次に、電流遮断デバイスを製造するために、前記板材の中央に直径1.53mm及び高さ0.20mmの突起部が形成されると共に、幅0.6mm及び円周長さ2.61mmの3つの貫通孔が中央の突起部の中心から1.5mmの距離をおいて穿孔され、さらに、貫通孔を接続する各ブリッジ部に幅約70μmのノッチが形成される。
【0104】
さらに、図11に示すように、電流遮断デバイスの貫通孔を遮蔽しない電流遮断デバイス用のガスケットが、ポリプロピレン製の板材から外径12mm及び幅0.5mmで製造される。
【0105】
電流遮断デバイスの外周部は、電流遮断デバイス用のガスケットの内側に挿入され、安全ベントの屈曲部の底部は、レーザ溶接によって電流遮断デバイスの突起部の上端に接着されている。
【0106】
電池を作製するために、プレート型の絶縁部材は、項目1−3の円筒形のケースの開口している上端部に取り付けられており、缶の上端は、PTC素子及び上蓋が挿入されるビーディング(beading)によって固定されており、電流遮断デバイス及びガスケットと共に設けられた安全ベントは、ビーディング部分の中に挿入されており、ガスケットは缶の上端部を内向きにプレスすることによって締め付けられている。
【0107】
[実施例2]
電池は、安全ベントの製造工程において第一ノッチの幅が0.1mmであると共に第二ノッチの幅が0.06mmであることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0108】
[実施例3]
電池は、安全ベントの製造工程において第一ノッチの幅が7mmであると共に第二ノッチの幅が0.06mmであることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0109】
[実施例4]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の20重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0110】
[実施例5]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の30重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0111】
[実施例6]
電池は、電解質の調製において、体積比が8:92であるプロピレンカーボネート(PC)とメチルプロピオネート(MP)とからなる非水溶媒が用いられていることを除いて実施例4と同様の方法で作製されている。
【0112】
[実施例7]
電池は、電解質の調製において、体積比が8:92であるプロピレンカーボネート(PC)とメチルプロピオネート(MP)とからなる非水溶媒が用いられていることを除いて実施例4と同様の方法で作製されている。
【0113】
[比較例1]
パウチ型の単セルは、電解質の調製において添加剤が添加されないことを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0114】
[比較例2]
電池は、電解質の調製工程において電解質の総重量の5重量%の量のフルオロエチレンカーボネートが含有されていることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0115】
[比較例3]
電池は、電流遮断デバイスの総面積が電流遮断デバイスの総面積の18%であることを除いて実施例1と同様の方法で作製されている。
【0116】
[実験例1]
実施例1、4、及び5及び比較例1及び2において作製された電池が用意され、そのカソード界面抵抗が測定された。
実験結果を図18に示す。
【0117】
図18を参照すると、電気化学的インピーダンス分光(EIS)装置を用いて周波数(frequency)当たりの抵抗値が測定されると共に、結果として生じる特性がグラフにおいて半円状に示されている。
フルオロエチレンカーボネートが電解質に添加された実施例1の電池は、添加剤が添加されていない電池(比較例1)及び添加剤を5重量%含有する電池(比較例2)と比較して相対的増加を示したことが分かる。
特に、添加剤を20重量%含有する電池(実施例4)と添加剤を30重量%含有する電池(実施例5)は、カソード界面抵抗において大幅増加を示したことが分かる。
【0118】
[実験例2]
実施例1、及び4から7、並びに比較例1及び2において作製された各電池がそれぞれ2つずつ用意され、完全に充電された電池に外部短絡が引き起こされ、その回路電流が測定される。
このようにして得られた実験結果は、表1に示されている。
【0119】
【表1】
【0120】
上記した表1から分かるように、フルオロエチレンカーボネートが電解質に添加された実施例1の電池は、添加剤が電解質に添加されていない比較例1の電池及び5重量%の添加剤が電解質に添加された比較例2の電池と比較して短絡時の低電流を示した。
【0121】
さらに、添加剤を20重量%含有する実施例4の電池と添加剤を30重量%含有する実施例5の電池は、添加剤を11重量%含有する実施例1の電池と比較してかなり低い短絡回路電流を示した。
この性質は、実施例4及び5とは異なる非水電解質組成を有する実施例6及び7にも同様に示されている。
【0122】
したがって、短絡時の発熱は電流量に比例して増加することを考慮すると、本発明に係る電池は発熱量が少ないので比較的に安定している。
【0123】
[実験例3]
実施例1、及び4から7において作製された電池を、熱安定性に関して比較例1及び2の電池と比較した。こうして得られた結果を下記の表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
上記表2において、「開始温度」は熱分解の初期温度を示しており、「熱容量」は熱解析におけるピーク面積を示している。
熱安定性は、これらの値を比較することにより評価した。
【0126】
実験から分かるように、フルオロエチレンカーボネートを含有しない比較例1の電池では電解質の分解が約210℃で1回引き起こされるが、フルオロエチレンカーボネートを含有する実施例1の電池では電解質の分解が約225℃と約275℃とで2回引き起こされる。
したがって、ガス発生が1度に集中することが抑制されることが分かる。
【0127】
さらに、表2から分かるように、実施例1の電池は、比較例1の電池の比熱容量の約50%に相当する比熱容量(specific heat capacity)を示しており、これは、高温の発生による安全性の問題がより軽減されることを意味している。
特に、20重量%の電解質添加剤を含有する実施例4の電池、及び30重量%の電解質添加剤を含有する実施例5の電池は、それぞれ、実施例1の電池と比べて相当に低い比熱容量を示しており、これは、実施例4及び5の電池が優れた安定性を示すことを意味している。
発熱がかなり減少するこの現象は、PC及びMPからなる非水溶媒を用いている実施例6及び7に示されている。
【0128】
その一方で、5重量%の電解質添加剤を含有する比較例2の電池は、11重量%の電解質添加剤を含有する実施例1の電池と比較して、比熱容量が70%以上の増加を示した。
すなわち、フルオロエチレンカーボネートが添加されるものの、その量が10重量%未満である場合、添加によって得られる効果は相当に低い。
【0129】
[実験例4]
実施例1及び3、並びに比較例3において作製された電池は釘刺し試験(nail test)が行われた。
こうして得られた結果を下記の表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
上記した表3から分かるように、30%の面積比の貫通孔を有する電流遮断デバイスが使用される場合、電池は爆発も変形も生じない。
【0132】
一方で、18%の面積比の貫通孔を有する電流遮断デバイスを用いた比較例3の電池は、釘刺し試験中に爆発した。
さらに、実施例2及び3に示すように、第二ノッチが切断され、且つガスが安全ベントから円滑に排出されない場合、電池は爆発しないが変形し得る。
【0133】
大容量の電池では、安全ベントの切断部分の大きさ及び電流遮断デバイスの貫通孔の大きさが十分でない場合、ガスがこれらの要素を十分に通過することができなかったことが認められた。
さらに、安全ベントの切断部分が電池の内側に配置された第二ノッチの場合には、ノッチの直径が拡大されるが、切断後の安全ベントの傾いた内側のノッチによって、ガス排出に対する抵抗が不利に発生する可能性があることが認められた。
【0134】
前述から明らかなように、ガスを電池から効果的に放出するために、電流遮断デバイスの貫通孔の面積が増加すると共に、第一ノッチのように安全ベントの切断部分を用いた構造が電池の安定性の改善効果を発揮する。
【0135】
本発明の好ましい実施形態は例示目的のために開示されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に開示されているように、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更、追加及び置換が可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0136】
100・・・電池
200・・・円筒缶
110・・・ジェリー・ロール
800・・・絶縁部材
300・・・キャップアッセンブリ
310・・・上蓋
350・・・PTC素子
320・・・安全ベント
400・・・気密用ガスケット
600・・・電流遮断デバイス
700・・・電流遮断デバイス用ガスケット
312・・・ガス排出口
322・・・凹部
324・・・第一ノッチ
326・・・第二ノッチ
330・・・非ノッチ領域
340・・・非ノッチ領域
620・・・突起部
420・・・カソードリード
640・・・ブリッジ部
630・・・貫通孔
650・・・ノッチ
610・・・貫通孔
710・・・中央開口部
820・・・開口部
810・・・貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製された電極アッセンブリ(ジェリー・ロール)と電解質とが円筒缶の内側に設けられた円柱形の電池であって、
前記円筒缶の開口した上部に取り付けられたキャップアッセンブリが、
前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、
前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、
前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、
を備えており、
前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20から50%の大きさを持っている、円柱形の電池。
【請求項2】
前記電流遮断デバイスは、その中央に、上向きに突出していると共に前記安全ベントの凹部の前記底部に溶接された突起部が設けられ、且つ、前記突起部以外の領域の前記底部を介して前記ジェリー・ロールの前記カソードに接続されたカソードリードが電気的に接続される構造と、前記突起部の中心に基づいて同心状に形成された3から5つの貫通孔と隣接する貫通孔に接続するノッチとが設けられたブリッジ部と、を有する、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記電流遮断デバイスの総面積の30から40%の面積を有する、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項5】
前記3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて50から80度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されている、請求項2に記載の円柱形の電池。
【請求項6】
前記3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて40から55度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されている、請求項2に記載の円柱形の電池。
【請求項7】
前記安全ベントは、下向きの凹部状の中央部を有しており、前記凹部を構成する上側の屈曲部に第一ノッチが設けられ、前記凹部を構成する下側の屈曲部に第二ノッチが設けられ、
上側領域に設けられた前記第一ノッチが、その一方側が開いている開曲線状になっている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項8】
前記第二ノッチは、互いに向かい合う両端が開いている開曲線構造を有している、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項9】
前記第一ノッチは、前記貫通孔の中心線を接続する仮想線の大きさと等しい大きさを有する、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項10】
前記第一ノッチの前記開いている領域は、前記第一ノッチが切断されたときに前記凹部が完全に切断されることを防止するために、前記安全ベントの中心に対して20から50度の角度に対応する円弧状の長さを有している、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項11】
前記第二ノッチにおいて開いている前記両端は、前記第一ノッチの前記開いている領域と対応していない領域に形成されている、請求項8に記載の円柱形の電池。
【請求項12】
前記キャップアッセンブリは、電流遮断デバイスと、電流遮断デバイス用ガスケットと、安全ベントと、PTC素子と、1つ以上のガス排出口が形成された上蓋と、からなる積層構造を有しており、前記積層構造の外周部にガスケットが取り付けられている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項13】
前記ガスケットには、その中央に開口部が設けられており、該開口部は、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔に連通されている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項14】
前記電流遮断デバイスの前記貫通孔、前記電流遮断デバイス用ガスケットの前記中央開口部、及び前記安全ベントの前記ノッチは、それらが互いに直線的に連通するように形成されている、請求項13に記載の円柱形の電池。
【請求項15】
熱安定性を向上させるために添加剤(電解質添加剤)を含む電解質を備える、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項16】
前記電解質添加剤は、ガスを発生させるために150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を生じさせる、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項17】
前記電解質添加剤は、150から250℃で一次電解質分解を生じさせ、250から300℃で二次電解質分解を生じさせる材料である、請求項16に記載の円柱形の電池。
【請求項18】
前記電解質添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)である、請求項16に記載の円柱形の電池。
【請求項19】
前記電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて11から40重量%の量が含まれている、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項20】
前記電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて15から35重量%の量が含まれている、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項21】
電極アッセンブリと電解質とが円筒缶内に設けられた電池におけるキャップアッセンブリであって、前記円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリにおいて、
前記電池の電解質は、前記電解質の重量に基づいて150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を経てガスを発生させる添加剤を11から40重量%含んでおり、
プレート型の絶縁部材がジェリー・ロールの上端部に取り付けられており、前記絶縁部材の中央には、ガスを排出させることができると共に電極端子に接続させることができる穿孔された開口部と、前記開口部の周りに配置された1つ以上の貫通孔と、が設けられており、前記プレート型の絶縁部材の前記貫通孔は、前記プレート型の絶縁部材の総面積の20から50%の大きさを有する、キャップアッセンブリ。
【請求項22】
前記プレート型の絶縁部材の前記貫通孔は、電流遮断デバイス用ガスケットの中央開口部及び電流遮断デバイスの貫通孔と直線的に連通するような位置にある、請求項21に記載のキャップアッセンブリ。
【請求項1】
カソード/セパレータ/アノードを巻くことによって作製された電極アッセンブリ(ジェリー・ロール)と電解質とが円筒缶の内側に設けられた円柱形の電池であって、
前記円筒缶の開口した上部に取り付けられたキャップアッセンブリが、
前記電池の高圧ガスによって切断可能な所定のノッチを備えた安全ベントと、
前記安全ベントの底部に溶接された、電流を遮断する電流遮断デバイスと、
前記電流遮断デバイスの外周部を取り囲んでいる電流遮断デバイス用ガスケットと、
を備えており、
前記電流遮断デバイスがガスを排出させるための2つ以上の貫通孔を備えており、前記貫通孔が前記電流遮断デバイスの総面積の20から50%の大きさを持っている、円柱形の電池。
【請求項2】
前記電流遮断デバイスは、その中央に、上向きに突出していると共に前記安全ベントの凹部の前記底部に溶接された突起部が設けられ、且つ、前記突起部以外の領域の前記底部を介して前記ジェリー・ロールの前記カソードに接続されたカソードリードが電気的に接続される構造と、前記突起部の中心に基づいて同心状に形成された3から5つの貫通孔と隣接する貫通孔に接続するノッチとが設けられたブリッジ部と、を有する、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記電流遮断デバイスの総面積の30から40%の面積を有する、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて放射状に対称な位置で円弧形状に形成されている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項5】
前記3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて50から80度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されている、請求項2に記載の円柱形の電池。
【請求項6】
前記3つの貫通孔が、それらが、前記電流遮断デバイスの中心に基づいて40から55度の角度に対応する長さを有する円弧状の形で、所望の間隔で互いに離間されるように配置されている、請求項2に記載の円柱形の電池。
【請求項7】
前記安全ベントは、下向きの凹部状の中央部を有しており、前記凹部を構成する上側の屈曲部に第一ノッチが設けられ、前記凹部を構成する下側の屈曲部に第二ノッチが設けられ、
上側領域に設けられた前記第一ノッチが、その一方側が開いている開曲線状になっている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項8】
前記第二ノッチは、互いに向かい合う両端が開いている開曲線構造を有している、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項9】
前記第一ノッチは、前記貫通孔の中心線を接続する仮想線の大きさと等しい大きさを有する、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項10】
前記第一ノッチの前記開いている領域は、前記第一ノッチが切断されたときに前記凹部が完全に切断されることを防止するために、前記安全ベントの中心に対して20から50度の角度に対応する円弧状の長さを有している、請求項7に記載の円柱形の電池。
【請求項11】
前記第二ノッチにおいて開いている前記両端は、前記第一ノッチの前記開いている領域と対応していない領域に形成されている、請求項8に記載の円柱形の電池。
【請求項12】
前記キャップアッセンブリは、電流遮断デバイスと、電流遮断デバイス用ガスケットと、安全ベントと、PTC素子と、1つ以上のガス排出口が形成された上蓋と、からなる積層構造を有しており、前記積層構造の外周部にガスケットが取り付けられている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項13】
前記ガスケットには、その中央に開口部が設けられており、該開口部は、前記電流遮断デバイスの前記貫通孔に連通されている、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項14】
前記電流遮断デバイスの前記貫通孔、前記電流遮断デバイス用ガスケットの前記中央開口部、及び前記安全ベントの前記ノッチは、それらが互いに直線的に連通するように形成されている、請求項13に記載の円柱形の電池。
【請求項15】
熱安定性を向上させるために添加剤(電解質添加剤)を含む電解質を備える、請求項1に記載の円柱形の電池。
【請求項16】
前記電解質添加剤は、ガスを発生させるために150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を生じさせる、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項17】
前記電解質添加剤は、150から250℃で一次電解質分解を生じさせ、250から300℃で二次電解質分解を生じさせる材料である、請求項16に記載の円柱形の電池。
【請求項18】
前記電解質添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)である、請求項16に記載の円柱形の電池。
【請求項19】
前記電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて11から40重量%の量が含まれている、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項20】
前記電解質添加剤は、電解質の総重量に基づいて15から35重量%の量が含まれている、請求項15に記載の円柱形の電池。
【請求項21】
電極アッセンブリと電解質とが円筒缶内に設けられた電池におけるキャップアッセンブリであって、前記円筒缶の開口している上端部に取り付けられたキャップアッセンブリにおいて、
前記電池の電解質は、前記電解質の重量に基づいて150℃以上の温度で温度上昇を伴う連続的な電解質分解を経てガスを発生させる添加剤を11から40重量%含んでおり、
プレート型の絶縁部材がジェリー・ロールの上端部に取り付けられており、前記絶縁部材の中央には、ガスを排出させることができると共に電極端子に接続させることができる穿孔された開口部と、前記開口部の周りに配置された1つ以上の貫通孔と、が設けられており、前記プレート型の絶縁部材の前記貫通孔は、前記プレート型の絶縁部材の総面積の20から50%の大きさを有する、キャップアッセンブリ。
【請求項22】
前記プレート型の絶縁部材の前記貫通孔は、電流遮断デバイス用ガスケットの中央開口部及び電流遮断デバイスの貫通孔と直線的に連通するような位置にある、請求項21に記載のキャップアッセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−502035(P2013−502035A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524651(P2012−524651)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005338
【国際公開番号】WO2011/019237
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005338
【国際公開番号】WO2011/019237
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】
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