説明

密閉容器の非破壊検査方法及び非破壊検査装置

【課題】密閉容器においても、非破壊で、被検体の内容物と内容物表示物に記載の内容物との整合性の評価が可能な密閉容器の非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供すること。
【解決手段】検査対象物が密閉容器に収容された被検体に放射線を側面から照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号を得る第1の信号取得工程と、前記第1の信号取得工程により得られた前記強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成工程と、前記第1の画像情報生成工程により得られた前記画像情報に基づいて、前記被検体の検査対象物と前記被検体の検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性を判断する判断工程と、を有することを特徴とする密閉容器の非破壊検査方法を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を用いた検査対象物を収容した密閉容器の非破壊検査方法及び非破壊検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アルミニウム、鉄、ペットボトル、あるいはゴミなどに代表されるように種類ごとに分別して容器に収容されて回収するいわゆる分別回収が行われている。このように所定の種類ごとに分別回収されて、それぞれの種類ごとに再生処理や埋設処理などが行われる。
【0003】
一方、発電所、再処理工場、濃縮工場など放射性物質取り扱い施設で発生する廃棄物を収納したドラム缶やカートンボックスは、いわばブラックボックスとしてそのままの状態で保管されているが、物量の増大に伴い内容物の再確認、分別、減容のニーズ、さらには保管期間の長期化に伴い廃棄物容器そのものの健全性を確認するニーズが高まっている。
これらの廃棄物は通常、可燃物や難燃物であれば焼却処理、金属であればインゴット化するなどの処置がなされるため、事前に内容物によって分類する必要がある。また、これら容器の量は膨大な数にのぼり、長期に渡る保管が余儀なくされている。保管時の容器の破損や内容物の漏れを防ぐためには、容器の劣化を早期に発見し詰め替え等の対策を行う必要がある。このような問題は放射性廃棄物のみならず、含PCB廃棄物等の有害廃棄物にも当てはまる。これらのドラム缶やカートンボックスについても、その内容物を記載したラベルとの整合性が判断できる場合には、より迅速な処理を行うことができる。また、これらのドラム缶やカートンボックスの内容物についても、例えば、経時的な変化により内容物が変化する場合などもあり、内容物の詳細な検査を行なう必要がある場合がある。
【0004】
このような状況下、現在、廃棄物容器の内容物と内容物表示物に記載された内容物の整合性の評価及び内容物の内容の検査においては、現状では人手で開梱し、目視で確認・選別する手段がとられている。この方法では、内容物をいちいち開梱しなければならないため作業性が悪い。例えば、内容物が放射性廃棄物の場合には、作業時の汚染や被ばくのおそれがあり、開梱をせずに、廃棄物容器の内容物と内容物表示物(ラベル)に記載された内容物との整合性を評価すること、また、容器の健全性や内容物の判別を行うことにより、これらを低減し安全性の向上をはかることができる。
これらのニーズを満たす有力な確認手法として、X線透過検査手法が考えられる。しかし、単純に透過撮影しただけで被検体の内容物と内容物表示物に記載の内容物との整合性の評価や、被検体の健全性評価や内容物の分別ができるわけではなく、被検体のどの内容物の整合性を評価するのか、また、被検体をどう分類したいかによってどのような透過画像を撮影し、その画像を用いて何を基準に判定するかが変わってくる。また、適用先によっては多くの検査対象を迅速に処理しなくてはならない場合もある。従って、分別処理したい廃棄物に応じて測定方法や判定基準を最適化したシステムが必要となる。
【0005】
廃棄物容器の内容物の材質を簡便に判別する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法はX線管電圧と透過X線強度の関係を示す特性関数を材質と厚みが決まった基準サンプルから予め求めておき、材質判定したい対象物について予め実測した特性関数と比較することにより材質と厚みを判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−319192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この方法の場合、特性関数を求める為に管電圧を細かく振って多くのデータを取得する必要があり、また評価がポイント毎になる為に、多くの内包物を含む場合には膨大なデータ処理が必要となる。また、測定条件によってはハレーションなどの影響により、輝度変化が予め求めた特性関数に必ずしも従わないこともあり、その場合には整合性の評価や、内容物の判定が難しくなる。さらに、内容物が液体である場合の判定や容器の健全性の評価などは行うことができない。
【0008】
本発明は上述した事情を考慮してなされたものであって、密閉容器においても、非破壊で、被検体の内容物と内容物表示物に記載の内容物との整合性の評価が可能な密閉容器の非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による密閉容器の非破壊検査方法は、検査対象物が密閉容器に収容された被検体に放射線を側面から照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号を得る第1の信号取得工程と、前記第1の信号取得工程により得られた前記強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成工程と、前記第1の画像情報生成工程により得られた前記画像情報に基づいて、前記被検体の検査対象物と前記被検体の検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性を判断する判断工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の一態様による密閉容器の非破壊検査装置は、検査対象物が密閉容器に収容された被検体に放射線を照射する第1の線源と、前記被検体を透過した放射線を検出する第1のイメージセンサとを含む第1の非破壊検査部と、前記第1のイメージセンサから出力される放射線の強度に応じた強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成手段と、前記第1の前記画像情報生成手段により生成された前記画像情報に基づいて、前記被検体の検査対象物と前記被検体の検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性を判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の密閉容器の非破壊検査方法及び非破壊検査装置によれば、密閉容器においても、非破壊で、被検体の内容物と内容物表示物に記載の内容物との整合性が評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非破壊検査方法の手順を示すフロー図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る非破壊検査装置の一例の要部構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る非破壊検査装置の一例として、検査対象物を収容した密閉容器としてドラム缶を用いた構成の概略を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る非破壊検査方法による被検体の流れの概略を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る被検体の容器(ドラム缶)の健全性を判定する方法の一例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法における放射線(X線)透過画像と輝度分布の測定例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法の測定の原理を説明する図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法の測定方法を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法により被検体を測定する概念を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法により被検体を測定する手順を示すフロー図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に用いられる非破壊検査部の要部構成を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る非破壊検査の方法の流れの概要を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施態様に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第8の実施形態に用いられる非破壊検査部の要部構成を示す図である。
【図16】本発明の第9の実施形態に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第10の実施形態に用いられる非破壊検査部の要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る非破壊検査方法の手順を示すフロー図である。図2は、この実施形態に係る非破壊検査装置の一例の要部構成を模式的に示す図である。この非破壊検査装置は、被検体のX線又はγ線透過画像を撮影し、被検体を分別(弁別)する非破壊検査部が2つの系統から構成される場合の構成例である。図3は、この実施形態に係る非破壊検査装置の一例として、検査対象物を収容した密閉容器としてドラム缶を用いた構成の概略を示す斜視図である。図4は、この実施形態に係る非破壊検査方法による被検体の流れの概略を示す図である。この実施形態において、非破壊検査の対象となる被検体は、検査対象物(内容物)を収容した密閉容器である。
非破壊検査装置1は、被検体9,9a〜9eを搬入する搬入部2と、非破壊検査部3,3a,3bと、画像取得部(データ取得部)4,4a,4bと、判定部(データ処理部)5,5a,5bと、判定部5aでスクリーニングされた(被検体の内容物表示物の記載の整合性がないと判断された)被検体9を搬出する搬出部6と、判定部5bで判別(分別)された被検体9を種類に応じてA、B、Cのようなそれぞれ別々の処理ライン(工程)へと搬出する被検体の分別搬出部7とを備える。なお、判定部5aで被検体の内容物表示物の記載内容と整合性があると評価(判断)された被検体が、この評価に基づいて、後処理のための処理ライン(工程)のいずれかへ移送するか判断できる場合には、判定部5bを介さずに分別搬出部7へと移送され、所定の処理ラインへと送られる。例えば、密閉容器の内容物が可燃物(例えば、紙)であり、内容表示物に表示された記載内容と整合性がある場合には、分別搬出部7から焼却処理ラインへと送られる。また、図2では、非破壊検査装置1は、判定部5bで評価(分別)された被検体9が、さらに別の設定条件による非破壊検査を行なうために非破壊検査後の被検体を一時保管する一時保管場所8を有する。なお、非破壊検査部3,3a,3bは、放射線を照射する線源10,10a,10bと被検体を透過した放射線を検出するセンサ(イメージセンサ)11,11a,11bと、遮光カバー12,12a,12bを有する。また、非破壊検査装置1は、表示装置13及び分別装置14を備える。
【0015】
この実施形態に係る非破壊検査方法について図1ないし図4を参酌して説明する。まず、図4に示すように、搬入部2から搬入された被検体9bは、9cのように非破壊検査部3aに導入される(図1、ステップ1、以下「S1」のように称する。)。被検体9cは放射線源10aにより放射線(例えば、X線)を照射され、被検体9cを透過したX線は、イメージセンサ11aにより検出されて、放射線(X線)透過画像が撮影される(図1、S2)。イメージセンサ11aにより検出されたX線透過画像、すなわち電気信号は、画像取得部(データ取得部)4aにおいて、例えば後述の判定部5aで判定しやすいようにX線透過画像(電気信号)を処理して、輝度データ(デジタルデータ)に変換する(図1、S3)。
一方、被検体の内容物表示物(例えば、ラベル)に記載の内容物の透過画像を撮影し(図1、S21)、得られたX線透過画像(電気信号)を輝度データ(デジタルデータ)に変換する(図1、S22)。この輝度データは、予めデータ蓄積部(データ保存部)(図示せず)に蓄積(保存)されたデジタルデータを使用することもできる。
【0016】
これらの輝度データから、被検体(密閉容器中)の内容物(検査対象物)と被検体の内容物表示物に記載の内容物との整合性を判断する判定指標を導出し(図1、S4)、判定指標に基づいて被検体の内容物と被検体の内容物表示物に記載の内容物との整合性を判断する(図1、S5)。このような判定指標としては、例えば、重金属、可燃物(例えば、紙、木材)、金属(例えば、鉄、銅)、液体(例えば、放射性廃棄物を含有する液体)、気体(例えば、放射線吸収性ガス)などが挙げられる。例えば、整合性を判断する被検体の内容物が銅である場合には、被検体の内容物を透過した後の放射線の輝度値が、被検体の内容物表示物(例えば、ラベル)に記載の内容物(銅)の放射線の輝度値と、一致するかどうかを判断することにより、被検体の内容物と被検体の内容物表示物(例えば、ラベル)に記載の内容物との整合性を判断することができる。他の内容物についても同様に整合性を判断することができる。
なお、整合性を判断する被検体の内容物が重金属、例えば鉛である場合には、鉛は放射線を非常に多く吸収するので、内容物(鉛)を透過した後の放射線の輝度値が非常に小さくなる。また、整合性を判断する被検体の内容物が可燃物、例えば紙などの場合には放射線をほとんど吸収しないので、内容物(可燃物)を透過した後の放射線の輝度値が非常に高くなる(透過強度がほとんど減少しない)。そのため、このような内容物については、これらの放射線の輝度値に基づいて、内容物表示物(例えば、ラベル)に記載の内容物の輝度値との対比を行わなくても迅速に整合性の判断をすることが可能である。
【0017】
判定部5aにおいて、整合性がないと判断された場合には、被検体9cは、搬出部6により搬出され(図1、S23)、被検体9dはその後の処処理工程(ライン)に運ばれて、それぞれ処理(例えば、被検体の返却、内容物の詰め替え又は別の容器で被検体容器をさらに包む2重の処理)を行なう(図1、S24)。
判定部(データ処理部)5aにおいて、整合性があると判断された場合には、被検体が上記の判定指標により種別の分別(弁別)が可能な場合には(図1、S6)、被検体9は搬出部7へ移送され(図1、S12)、それぞれの後処理工程で、それぞれ処理される。このような判定指標により種別の分別(弁別)が可能な場合の例としては、例えば、内容物が重金属であるかどうかの整合性や可燃物であるかどうかの整合性を判断する場合が考えられる。例えば、被検体である内容物が重金属(例えば鉛)である場合には、鉛は放射線を非常に多く吸収するので、内容物(鉛)を透過した後の放射線の輝度値が非常に小さくなる。そのためこのような内容物については、これらの放射線の輝度値に基づいて種別の分別が可能となるので被検体9は分別搬出部7へ移送される。なお、整合性があると判断された被検体9を搬出部6へ移送し、整合性がないと判断された被検体9を分別搬出部7へ移送することも可能である。
【0018】
次に、判定部5aにおいて、整合性があると判断された場合であって、被検体9が上記の判定指標により種別の分別(弁別)ができない場合には、被検体9は、非破壊検査部3bに移送される(図1、S7)。非破壊検査部3bにおいて、非破壊検査部3aにおいて照射されたのとはエネルギー及び種類の少なくとも1つが異なる放射線が被検体9eに照射され、被検体9eを透過したX線は、イメージセンサ11bにより検出されて、放射線(X線)透過画像が撮影される(図1、S8)。センサ11bにより検出されたX線透過画像、すなわち電気信号は、画像取得部4bにおいて、例えば後述の判定部5bで判定しやすいようにX線透過画像(電気信号)を処理して、輝度データ(デジタルデータ)に変換する(図1、S9)。一方、検出したい物質の正常なサンプル(物質)の透過画像を撮影し(図1、S31)、得られたX線透過画像(電気信号)を輝度データに変換する(図1、S32)。この輝度データは、予めデータ蓄積部(図示せず)に蓄積されたデジタルデータを使用することもできる。
これらの輝度データから、被検体の内容物と正常サンプルとの対比を行なう判定指標の導出を行なう(図1、S10)。このような判定指標としては、後述するように、例えば被検体の内容物の材質が特定の金属、例えばアルミミウム、銅、鉛、鉄、或いは重金属、例えば鉛であるか、内容物が液体(例えば、放射性廃棄物を含む液体)を有するか、あるいは気体(例えば、放射線吸収性ガス、具体的には塩素ガス)などを有するかなどを判定指標とすることができる。なお、これらの判定指標に基づく輝度データの対比により被検体9の内容物(検査対象物)の有無を判断することができる。
【0019】
このように判定部5bにより種別ごとに分別された被検体9は、搬送部7に移送され(図1、S12)、その後に行なわれる処理に応じてそれぞれのライン(工程)に送られる(図1、S13)。なお、種類ごとの分別のために、さらなる検査が必要な場合には、分別装置14により被検体9を一時保管場所8に一時保管し、非破壊検査部3b、画像取得部4b及び判定部5bの設定などを変更して、更なる検査を行った後、種類ごとに分別することもできる。このような、被検体の内容物の整合性の評価、被検体の評価(分別)、被検体の分別搬送などは、すべで電気データにより制御することが可能である。
【0020】
この実施形態に係る非破壊検査方法において、(第1の)非破壊検査部3aと(第2の)非破壊検査部3bは、それぞれ同じ構成のものを使用することができる。この場合、(第1の)非破壊検査部3aと(第2の)非破壊検査部3bを切り替え、それぞれ逆にして非破壊検査部3bで整合性の評価を、非破壊検査部3bで検査対象物(内容物)の評価(検査)を行なうこともできる。また、上記の場合には、例えば図2の破線で示すように、他方の非破壊検査部3を用いて被検体9の整合性の評価及び内容物の評価の両方を行なうことができる。例えば、非破壊検査部3bないし判定部5bにおいて被検体9eの整合性を評価した後、整合性のないものは搬出部6へ移送し、整合性のあるものは一時保管場所8へ一時保管し、非破壊検査部3bないし判定部5bの設定などを変更した後、検査対象物(内容物)の評価(検査)を行なう。なお、データ取得部4a及び4b、判定部5a及び5bは、それぞれ同一のデータ取得部4(4a又は4b)及び判定部5(5a又は5b)を使用することができる。なお、非破壊検査装置1は、非破壊検査部を3つ以上有していてもよい。例えば、一方の非破壊検査部3が、例えば故障や定期点検などで使用できない場合に特に有効である。
【0021】
次に、この実施形態に係る非破壊検査装置1について説明する。 この実施形態に用いられる搬入部2は、被検体9を非破壊検査部3a(又は3b)に搬入する。非破壊検査部3a,3bは、それぞれ放射線を被検体9に照射する放射線源10a,10bとこれらの放射線源10a,10bに対向して配置されたイメージセンサ11a,11bと、遮光カバー12a,12bとをそれぞれ備える。放射線源10a,10bから被検体9に照射される放射線は、被検体を透過し、イメージセンサ11a,11bが透過画像を得ることができるものであればいずれの放射線も使用することができる。放射線としては、例えば電磁波、粒子線を挙げることができる。電磁波としてはX線又はγ線が挙げられる。粒子線としてはα線、β線、中性子線などが挙げられる。また、放射線源3は、放射線の方向を決定するコリメータ(図示せず)を備える。
放射線源10a,10bとしては、例えば、X線源を用いることができ、その管電圧は適宜決めることができ、例えば300kVpである。また、イメージセンサ11a,11bとしては、例えば被検体を透過したX線又はγ線を検出することが可能な二次元センサを用いることができ、例えばX線を検出できるカラーイメージインテンシファイア(カラーI.I.(登録商標))以下、「カラーI.I.」と称する。)、すなわちX線カラーI.I.を用いることができる。
【0022】
通常、放射線、例えばX線又はγ線が被検体を透過するときには、その被検体の材質の吸収係数や厚みに応じて透過量が変化する。X線又はγ線の被検体中の透過は、被検体に入射する前の強度をIとし、透過後の強度をIとすると、
I=I−μρt (1)
で表される。ここで、μ(cm/g)はX線又はγ線のエネルギーに依存した質量エネルギー吸収係数、ρ(g/cm)は透過した物質の比重、t(cm)はX線又はγ線が透過する厚さを示している。したがって、μやρが大きい材質、又は吸収長tが長い物質を検査する場合にはIが低くなるため、強いX線又はγ線(I)を照射する必要があり、被検体や検査内容に応じて最適な照射条件に設定する必要がある。被検体9を透過する放射線(例えばX線又はγ線)の透過量が少ない場合には、例えば放射線源10からの放射線(X線又はγ線)の照射量を増加させる等により調整することができる。
【0023】
被検体9を透過した放射線(例えばX線又はγ線)の透過画像を測定するためのイメージセンサ11a,11bは、例えば医療診断や工業用非破壊検査などに利用されるX線又はγ線の撮影を用いる場合には、撮影系の感度を向上させるために、X線フィルム又はγ線フィルムを放射線増感紙と組み合わせたものが使用できる。この場合には、被検体9を透過したX線又はγ線が増感紙で光子あるいは電子に変換され、その光子あるいは電子によりX線又はγ線用フィルム上の銀粒子を黒化させることによって被検体9の透過画像を得ることができる。また、例えば、ラインセンサを用いて、被検体9の通過と同期してラインセンサをスキャンし、そのデータを処理し、再構成することによって透過画像を撮影することも可能である。このように、イメージセンサ11a,11bはセンサアレイを用いることもできる。
【0024】
画像情報生成手段を実現する画像取得部(データ取得部)4a,4bは、イメージセンサ11a,11bで得られた放射線透過画像データ(電気信号、例えばNTSC信号)を輝度データ(画像情報データ、すなわちデジタルデータ)に変換する信号変換手段を含んで構成される。信号変換手段としては、例えば画像処理ボードなどが挙げられる。画像取得部4a,4bは、判定部5a,5bでの判定を容易にするために、イメージセンサ11a,11bから得られた放射線透過画像データ(電気信号)のコントラストの強調や、輝度データ(画像情報データ)のコントラストの強調などのデータの前処理をするデータ調整手段を備えることもできる。データ調整手段としては、例えばX線カラーI.I.コントローラが挙げられる。
【0025】
評価手段、すなわち被検体の内容物の整合性の評価を行なう評価手段及び/又は内容物の評価(判断)を行なう評価手段を実現し、演算処理部として機能する判定部(データ処理部)5a,5bは、データ取得部4a,4bで取得された輝度情報データから被検体9を評価する信号処理手段である。判定部5a,5bでは、導出される判定指標に基づいて被検体の検査対象部分と内容物表示物の記載内容との整合性を評価することができる。また、内容物の種類に応じた分別をすることができる。具体的には、被検体9について取得した放射線透過画像データ(強度信号)又は輝度データ(デジタル画像データ)と内容物表示物に記載された内容物若しくは正常なサンプルの放射線透過画像データ(強度信号)又は輝度データ(デジタル画像データ)との比較、例えばサブトラクション等の処理を行って、その結果から被検体と内容物表示物との整合性の評価又は内容物の評価を行うことができる。内容物表示物に記載の内容物若しくは正常なサンプル(検査対象物)の画像情報データ(強度信号)又は輝度データは、予め測定され、判定部5a,5bのデジタルデータメモリ部(図示せず)に保存された放射線透過画像情報データ(強度信号)又は輝度データ(デジタルデータ)などを用いることも可能である。また、判定部5a,5bの評価結果を表示部14に示すこともできる。
【0026】
搬出部6は、判定部5a,5bからの信号(判定信号)に基づいて、被検体の検査対象物と内容物表示物の記載との整合性がないと判断された被検体9dを搬出する。このように搬出された被検体9dは、例えば被検体の検査対象物との整合性があるように、内容物表示物の変更等を行うために前工程などに返却されるか、内容物を詰め替えるか、又は別の容器で被検体をさらに包むいわゆる二重包装にするなどの処理をすることができる。
【0027】
分別搬出部7は、判定部5a又は5bからの信号(判定信号)に基づいて、例えば種類ごとにA,B,Cと分別された被検体9f,9g,9hをそれぞれの(後)処理工程へと搬出する。後処理工程においては、例えば、被検体が可燃物である場合には、被検体は焼却工程へと搬送される。
【0028】
この実施形態による非破壊検査で評価される被検体は、検査対象物を収容した密閉容器をいう。すなわち、検査対象物を収容した密閉容器が非破壊検査方法により評価される。被検体は、放射線(例えばX線又はγ線)を用いて放射線の透過画像を得ることができる全ての被検体である。また、本発明の密閉容器における密閉とは、内容物が外に出ないように密閉されたことを意味し、特には、厳密に閉鎖したことを意味する。この密閉容器としては、具体的には、ドラム缶、カートンボックスなどが挙げられる。
また、検査対象物としては、例えば、紙、木材などの可燃物、アルミニウム、銅、鉄などの金属、鉛などの重金属、プラスチック、塩素などの放射線を吸収する気体(ガス)若しくはこれらの化合物などが挙げられる。なお、検査の対象としては、容器の健全性(例えば、密閉容器の壁部)も含まれる。
【0029】
この実施形態によれば、密閉容器においても、非破壊で、被検体の内容物と内容物表示物に記載の内容物との整合性をを迅速に判断できる。また、さらに被検体の内容物を評価して処理目的に応じて分別することを、特に安価かつ簡便に行うことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5に基づいて説明する。第1の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図5は、被検体の評価として、密閉容器(ドラム缶)の健全性を容器の管壁の厚さに基づいて評価する方法の一例を示す図である。この実施形態においては、放射線源10a,10bとして、300kVpX線源を、イメージセンサ10a,10bにX線カラーI.I.を用いるものとする。
【0031】
例えば図5(a)は、被検体容器をドラム缶として、ドラム缶の横壁の部分にX線を照射して撮影した透過画像の例である。この中の四角で囲んだ部分の、輝度を示すデジタル値を縦方向に平均値を取って横方向の分布をプロットしたものをラインプロファイルといい、図5(b)に示す通りになる。ドラム缶の外壁部まではX線の透過率が最も高いので輝度が高くなり、ドラム缶の内壁部ではX線の透過率が最も低いので輝度が低くなる。そのため、図5(b)における最も輝度が高い所から、最も低い所までの距離がドラム缶壁の肉厚(T)に相当する。この距離、すなわち肉厚(T)が所定の閾値以上である場合には、被検体容器は健全であると判断でき、また所定の閾値未満である場合には、被検体容器は健全でないと判断できる。また、このラインプロファイルは通常欠陥がないドラム缶であれば図5(c)における実線(21a)のような形となるが、ドラム缶の内壁に腐食や酸化膜の付着などがあると、例えば破線(21b)のように波形に変化が生じる。このような変化によっても被検体容器の健全性を判断でき、その結果、被検体を評価(判断)できる。
【0032】
また、上述のように、質量エネルギー吸収係数(μ)や物質の比重(ρ)が大きい材質、又は吸収長tが長い物質を検査する場合にはIが低くなるため、強いX線又はγ線(I)を照射する必要があり、被検体や検査内容に応じて最適な照射条件に設定する必要がある。例えば被検体容器の健全性を評価する場合、着目すべき部位は壁面であるため、被検体が円筒状容器であれば照射するX線又はγ線のエネルギーは比較的少なくてすむ。続いて、検査対象物である内容物の判定を行なう場合には、容器の中心部まで完全に透過させる必要があるため、被検体容器の健全性の評価に比べてエネルギーの高いX線又はγ線が必要になる。従って、被検体容器の健全性の評価は、同じ構成の非破壊検査部3bないし判定部5bであっても、照射するX線又はγ線のエネルギーや照射する部位を変えることにより異なる項目としての測定が可能である。
【0033】
本実施の形態によれば、漏洩が発生する前の状態で容器の欠陥を発見し処置を行うことができるとともに、内部に危険物を含む場合でも開梱せず分別できるため、検査の安全性を向上させることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図6ないし図10に基づいて説明する。第1及び第2の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図6は、この実施形態に係る非破壊検査方法における放射線(X線)透過画像と輝度分布の測定例を示す図である。図7はこの実施形態に係る非破壊検査方法の測定の原理を説明する図である。図8はこの実施形態に係る非破壊検査方法の測定方法を説明する図である。図9はこの実施形態に係る非破壊検査方法により被検体を測定する概念を示す図である。図10は、この実施形態に係る非破壊検査方法により被検体を測定する手順を示すフロー図である。
【0035】
この実施形態では、放射線源10bとして被検体の内部を透過させることが可能なエネルギ―のX線源又はγ線源と、被検体を透過したX線又はγ線を検出することが可能な二次元センサ11bから構成され、センサにはX線イメージインテンシファイア(X線I.I.)を用いるものとする。このように構成されたこの実施形態では、例えば被検体のX線透過画像から、被検体の検査対象部分としてある特定の決まった材質部分のみを抽出するものとする。
【0036】
その原理を、図6及び図7を用いて模式的に説明する。例えば図6(a)はアルミニウム(Al)のステップゲージ31をX線撮影した透過画像である。この画像におけるピクセル毎の輝度を256段階にわけ、ヒストグラムで表示したものが図6(b)である。図6(b)において31aはスリットで遮断され黒く表示された部分であり、31bはのAlステップゲージ31を透過した部分に対応する。X線のエネルギーを変えて撮影した場合でも、輝度の範囲は変化するものの、分布形状は変化しない。
例えば異なる二種類の材質を含む試料をX線撮影した場合に得られた透過画像の、輝度のヒストグラムを評価したものを図7(a)とする。図7(a)において、32aと33aは異なる材質に対応する部分の分布を示している。この場合、32aの輝度の領域は33aと重なっていることから、透過画像上では同じ輝度として表されており、寸法形状の情報無しに両者の材質を区別することは難しい。続いて、異なるエネルギーでX線透過画像を撮影し、同様のヒストグラムを評価すると、例えば図7(b)のようになる。この理由は、所定の材質の物質32と、32とは異なる他の所定の材質の物質33とでは材質の違いによりX線のエネルギーによって吸収特性が変わるためである。図7(a)における33aの分布に、図7(b)における33bの分布が重なるように照射するX線源の管電流やカメラの感度特性を変え、撮影された画像同士の差分を取ると、33の材質に対応する部分の輝度だけが0に近くなる。そこで、元の透過画像と差分を取った画像を比較或いは重ね合わせて表示することにより、33の材質部分だけを抽出することができる。
【0037】
以上のように、抽出したい材質を透過画像から選ぶこともできるが、通常は何が入っているか分からない状態が主である。この場合、内容物の中でどれとどれが同じ材質であるという相対的な結論しか得られない。そこで、材質と大きさが予め分かっている既知の基準サンプル34を同時に撮影し、画像から基準サンプルを消去する条件を求めることにより未知の内容物の中から基準サンプルと同じ材質のみを抽出する方法もある。例えば図8では、図8(a)と図8(b)は異なるエネルギーで既知の基準サンプルを撮影したものとする。図8(b)における34bの輝度範囲を図8(a)における34aに一致するように照射するX線源の管電流やカメラの感度特性を調整することにより、既知の基準物質34に対応する被検体9中の検査対象物のうち基準物質34に対応する部分も同時に消去され、基準サンプルと同じ物質であることが確かめられる。
【0038】
実際の処理の例を、図9を用いて説明する。X線管電圧をPkVpとした時に、得られる透過画像を例えば図9(a)とする。図9(a)における36は被検体容器(検査対象物を収容した密閉容器)であり、37a及び38a及び39aは検査対象物(内容物)である。40は抽出したい材質の基準サンプルとする。ここでは、37,38,39の材質のうち、38だけが材質が異なるのだが、37と38は吸収長(すなわち、厚さ)が異なっていて、たまたまX線吸収量が同じになってしまった場合を仮定する。この場合、PkVpのエネルギーでの撮影結果のみではどの材質が異なるのか分からない。
続いて、被検体にPkVpのようなエネルギーの低いX線又はγ線を被検体容器36に照射するものとする。すると得られる透過画像は例えば図9(b)のようになる。符号40の基準サンプルの画像から分かるように、X線のエネルギーが低くなることにより、輝度が全体的に低下している。ここで符号40の基準サンプルの輝度が図9(a)の基準サンプルの輝度と同じになるように、管電流を調節するか、或いはゲインを上げる等により調節する。そして、図9(a)の基準サンプル40の輝度データから図9(b)の基準サンプル40の輝度データの差分を取ったものが図9(c)である。図9(c)より、同じ材質同士であれば、輝度の変化率もほぼ同じになると考えられるため、同じ材質である符号37の物質と符号39の物質の差は0に近くなる。しかし符号38の物質は材質が異なる為、エネルギーによる輝度の変化率も異なることから0にはならない。この0になった部分のみを例えば輪郭抽出などにより取り出し、PkVp或いはPkVpの透過画像と比較することにより、符号37の物質と符号39の物質は基準サンプルの材質と同じであると見極めることが出来る。
【0039】
これを被検体9の内容物検査に適用した場合の流れを図10に示す。まず初めに被検体9を非破壊検査部3bへ導入する(図10、S31)。非破壊検査部3bにおけるX線照射部(X線源)10bには判別したい材質で出来たステップゲージ等の基準サンプルを同時に撮影できるように設置してあるものとする。続いて初めに予め定められたX線管電圧をPkVpに、X線管電流をImAに設定し(図10、S32)、透過画像を撮影する(図10、S33)。次に、X線管電圧をPkVpに、X線管電流をImAに設定し(図10、S34)、透過画像を撮影する(図10、S35)。これらの条件は予め、判別したい基準サンプルに応じて最適な値が求められているものとする。
続いて、得られた二つの画像の差分を取る。この時、撮影条件によっては管電流管電圧の設定のみでは輝度を一致させられない場合も考えられるので、その場合は適切なファクターを掛け算して画像の中で除去したい部分の輝度値を揃えてから差分処理する必要がある(図10、S36)。差分処理をするために、上記の適切なファクターを掛け算して画像の中で除去したい部分の輝度値を揃える方法は、具体的には、例えばこれら2つの関数の対数logをとることにより、Y=ax+bの直線式でそれぞれ表し、これらの傾き(a)を一致させる係数を掛け、さらに定数(b)が一致するように、所定の値を加算又は減算することにより、これらの2つの関数を一致させることができる。なお、このような差分をとる方法(処理)は、いわゆるエネルギーサブトラクション法と呼ばれる方法である。
【0040】
差分処理(図10、S37)して得られた画像では基準サンプルと同じ材質のみが消去された状態となる。これを輪郭抽出などの強調処理によって抽出し(図10、S38)、PkVp或いはPkVpで得られた元の画像と重ね合わせて表示させる(図10、S39)。その結果、基準物質と同じ材質でできたものであるかを判定することができる(図10、S40)。被検体9の検査対象物(内容物)が基準物質と同じ材質でできたものを判断(判定)される場合には、例えば被検体9を開梱し(図10、S42)、所定の処理、例えば検査対象物(内容物)の減容処理などを行うことができる。また、被検体9の検査対象物(内容物)が基準物質と同じ材質でできたものを判断されない場合には、例えば、他の材質の基準物質と同じ材質でできたものを判断する、次の非破壊検査の工程に移送される(図10、S41)。
【0041】
本実施の形態によれば、複雑で時間の掛かるデータ処理をすることなしに、簡便に、内容物(の検査対象部分)の材質の判別をすることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図11を用いて説明する。第1ないし第3の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図11(a)はこの実施形態に用いられる非破壊検査部3bの要部構成を示す図である。図11(b)及び図11(c)は、この実施形態において、ある所定の管電圧に設定した場合に発生するX線のスペクトルを示す図である。図11(b)はフィルターを入れない場合のX線のスペクトルである。低エネルギー側に立っているピークは、例えばターゲットの特性X線等である。図11(c)はX線源10bを構成するX線発生装置の照射口にフィルター41を挿入した場合のX線のスペクトルを示している。通常、制動放射X線は図11(b)のように広いエネルギー幅を持っているが、フィルターを入れることにより短波長側をカットすることができる。フィルター41の材質については、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)、鉛(Pb)などが挙げられるが、フィルター41としてのこれらの材質及び厚さは、カットしたいエネルギー帯域によって適宜決めることができる。
【0043】
例えば線形加速器のようなX線源ではX線のエネルギーを自由に変化させることができない場合がある。その場合には第3の実施形態に示される材質判定手法が適用できない場合がある。このような場合に、この実施形態に示すようにフィルターの存在の有り無しでスペクトルが変化することを利用して、X線の管電圧を変えることができない場合でも、照射するX線のエネルギー分布を変えた条件を設定し、それぞれの条件で透過画像を撮影し、輝度調整して差分を取ることにより、第3の実施形態に示されるような材質判別が可能になる。
【0044】
本実施の形態によれば、管電圧の設定を変えられない線源を使用する場合でも、エネルギーの異なる透過画像の差分を取る事により材質を判別する手法が適用できる。
【0045】
(第5の実施形態)
続いて本発明の第5の実施形態について図12を用いて説明する。第1ないし第4の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図12は、この実施形態に係る非破壊検査の方法の流れの概要を示す図である。この実施形態においては、非破壊検査部3b,3c,3dは、全て別の検査項目を評価(検査)する構成である。また、データ取得部4b,4c,4dは省略している。
【0046】
例えば、判定部5aで検査対象物(内容物)の整合性がありと判断された被検体9は、初めに非破壊検査部3bないし判定部5bにて評価(検査)される。非破壊検査部3bには材質Aの基準サンプル51が搭載され、X線を照射するX線源のX線の管電圧と管電流は差分処理により材質Aを消去できる条件に設定されているものとする。
本発明の第3の実施形態に係る方法に基づいて、非破壊検査部3bないし判定部5bでは材質Aの有無を判定し、材質Aが無しと判定されたものは非破壊検査部3cへ移送される。材質Aが有りと疑われるものはグローブボックス52にて開梱される。グローブボックス52にて開梱された結果、材質Aが存在することが確認されたものは、後工程で材質Aの処理をするために分別排出される。材質Aが存在しないことが確認されたものは、別の後工程で処理をするために分別搬出されるか、又は非破壊検査部3cに移送しさらなる検査を行なうこともできる。
【0047】
非破壊検査部3cには材質Bの基準サンプル53が搭載され、X線を照射するX線源の管電圧と管電流は差分処理により材質Bを消去できる条件に設定されているものとする。本発明の第3の実施形態に係る方法に基づいて同様に、非破壊検査部3cないし判定部5cでは材質Bの有無を判定し、材質Bが無しと判定されたものは非破壊検査部3dへ移送される。材質Bが有りと疑われるものはグローブボックス52にて開梱される。上記と同様に、グローブボックス52にて開梱された結果、材質Bが存在することが確認されたものは、後工程で材質Bの処理をするために分別搬出される。材質Bが存在しないことが確認されたものは、別の後工程で処理をするために分別搬出されるか、又は非破壊検査部3dに移送しさらなる検査を行なうこともできる。
非破壊検査部3dでは、例えば被検体を上下左右に移動させたり或いは斜めにしたり回転させることが可能な駆動装置54を搭載しており、被検体9の内部に液体などが入っていないかを確認する。液体が無いことが確認できた場合は被検体9を焼却処分するための一時保管場所55へ移動し、入っていることが確認できた場合はグローブボックス52へ移送される。グローブボックス52での開梱での結果により、後工程でそれぞれ目的に応じた処理を行うために分別搬出される。なお、各非破壊検査部3b〜3dで検査された結果はグローブボックス52へ移動する際に被検体情報として一緒に伝達されるものとする。また、グローブボックス52での開梱は、開梱装置を用いて行なうこともできる。
【0048】
なお、非破壊検査部3b,3c,3dは、別々の構成であってもよく、1つの非破壊検査部3において、非破壊検査を行った後、設定を変更して別の検査に用いてもい。これらのうち、非破壊検査部3b,3c,3dを別々の構成としたほうが、非破壊検査部3などの設定の変更などをせずに、別々の検査項目を検査できるため好ましい。同様に、画像取得部4b〜4d及び判定部5b〜5dは、別々の構成であってもよく、同じものを設定を変更して使用してもよい。また、非破壊検査部3aないし判定部5aを、非破壊検査部3b,3c,3dないし判定部5b,5c,5dと同様に用いてもよい。なお、この実施形態では、他の非破壊検査部3eないし判定部5eをさらに用いてもよい。
【0049】
本実施の形態によれば、煩雑な分別作業の省力化が出来る。
【0050】
(第6の実施形態)
続いて本発明の第6の実施形態について図13を用いて説明する。第1ないし第5の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図13は、この実施形態に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。この非破壊検査装置1は、本発明の第1の実施形態に用いられる非破壊検査部3bが、さらに、放射線検出器61aと放射線検出器61aからのデータを処理するデータ処理装置61bを具備する構成である。この非破壊検査装置1は、分別後の処理工程において被検体9が放射性物質を含有する場合に外部への汚染を防止しながら開封できるグローブボックス62を備える構成をとることもできる。
【0051】
このように構成されたこの実施形態に係る非破壊検査装置1は、被検体9のX線又はγ線透過画像を撮影するだけでなく、被検体9から放出される放射線の存在及びその強度も測定できる。続いて判定部5bにおいては、検査装置3b及び画像取得部4bを介して得られた内容物情報の他に、データ処理装置61bからのデータにより放射線の有無及びその強度も評価し、放射線が検出された被検体9iは、例えばグローブボックス62のような外部雰囲気と隔離され、かつ負圧管理された密閉装置にて開封し、内容物の確認を行うことができる。その確認の結果に応じて、後工程での処理、例えば放射線の処理などのために分別排出される。放射線が検出されなかった被検体7j及び7kは、分別排出部7を介して分別条件に従って、例えばB及びCのラインへ搬送され処理される。
【0052】
本実施の形態によれば、被検体が放射性物質を含む場合でも安全に評価(検査)を行うことができる。
【0053】
(第7の実施形態)
続いて本発明の第7の実施形態について図14を用いて説明する。この実施形態では、被検体9が放射線吸収性のガス(特に、有毒ガス)を含むかどうかを判断する。第1ないし第6の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図14は、この実施形態に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。図14では、非破壊検査装置1は、判定部5bにおける評価(判定)の後の処理工程において被検体9lが放射線吸収性のガスを含有する場合に外部への汚染を防止しながら開封できる排気処理装置71を有する密閉装置72を備える構成とする。この実施形態に係る非破壊検査装置1では、被検体のX線又はγ線透過画像を撮影し、被検体容器9の内部における空間部分、例えば被検体容器9中の上部における空間部分のX線又はγ線の輝度を評価するものとする。続いて空間部分のX線又はγ線の輝度から、判定部5bにおいて放射線吸収性のガスの存在の有無及び/又はその濃度を評価し、前記ガスの存在が有りと判定された被検体9lはAのラインへ搬送され、例えばスクラバーのような排気処理設備71を備えた密閉装置72内にて開封し内容物の確認を行う。排気処理設備71を備えた密閉容器72での開封の結果に応じて、後工程でそれぞれ目的に応じた処理を行うために分別搬出される。一方、ガスが検出されなかった被検体9m及び9nは分別条件に従って分別排出部7においてB及びCのラインへ搬送され処理される。
【0054】
この実施形態では、放射線を吸収し、少なくともその存在の有無、好ましくはその濃度を検出することができるガスを対象とすることができる。このような放射線吸収性のガスとしては、例えば、塩素ガス、ヨウ素ガス、臭素、などのハロゲン物質、又はこれらの化合物、例えばハロゲン化物、ハロゲン化有機化合物、或いはネオン、アルゴンなどの希ガスなどが挙げられる。これらのうち、塩素ガス、ヨウ素ガス、臭素、などのハロゲン物質、又はこれらの化合物、例えばハロゲン化物、ハロゲン化有機化合物は、いわゆる有害物質(ガス)であるので、これらを検出することが好ましい。
【0055】
本実施の形態によれば、被検体が有害ガスを含む場合でも安全に評価(検査)を行うことができる。
【0056】
(第8の実施形態)
続いて本発明の第8の実施形態について図15を用いて説明する。この実施形態では、被検体9の内容物に液体を含むか否かを評価する。第1ないし第7の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図15は、この実施形態に用いられる非破壊検査部3bが、被検体9を振動させる振動装置(加振台)81を具備しており、振動装置81により被検体9を振動させながらX線又はγ線透過画像をイメージセンサ11bにて動画で撮影する構成となっている。図15(b)は振動させた被検体82のX線又はγ線透過画像を動画で表示させたものとし、被検体82の中で封入された溶液83の液面が揺れている様子が観測される。このように構成された非破壊検査装置1では、液面が揺れる様子が動画で撮影できるため、被検体82の内部に液体があるか否かを評価(判定)でき、被検体を分別できる。
【0057】
本実施の形態によれば、内容物に液体が含まれるか否かを簡便に判定することができる。
【0058】
(第9の実施形態)
続いて本発明の第9の実施形態について図16を用いて説明する。第1ないし第8の実施形態においてすでに説明した重複説明は省略する。図16は、この実施形態に係る非破壊検査装置の要部構成を模式的に示す図である。この実施形態では、非破壊検査装置1は、非破壊検査部3として、被検体9o、9p、9qを一定速度で移動させるベルトコンベア91と、3方向に設置された放射線源92a、92b、92cと、それらに対向して設置されたセンサアレイ93a、93b、93cとで構成される放射線検査部94を備えた構成となっている。被検体が一定速度で放射線源92a、92b、92cとセンサアレイ93a、93b、93cの間を通過した時、各センサアレイ93a、93b、93cからの信号を再構成することで被検体9の透過画像を得ることができる。これらは3系統あるため、方向の異なる3枚の透過画像が得られ、3枚の透過画像から内容物の三次元形状や位置関係などの情報が得られる。具体的には、これらの3枚の透過画像データから、例えば3角測量の原理(人間の眼の立体視の原理)を応用した三次元写真撮影手法として知られるステレオ撮影方法を用いて、立体的な画像(すなわち、ステレオ画像)を得ることができる。ステレオ撮影法は、具体的には、例えば2枚の画像に対していわゆるステレオマッチング処理を行って、距離(奥行き)値を有する画像、すなわち距離画像(3次元画像情報)を取得する。
なお、上記の放射線検査部94は、同様に、整合性を判断する非破壊検査部3aにも用いることができる。
【0059】
本実施の形態によれば、被検体を非破壊検査部内でいちいち停止させずに迅速に透過画像が得られるため、整合性の判断及び/又は分別作業の迅速化を図ることができる。
【0060】
(第10の実施形態)
続いて本発明の第10の実施形態について図17を用いて説明する。図17は、この実施形態において用いられる非破壊検査部3bの要部構成を示す図である。図17では、非破壊検査部3bにおけるイメージセンサ11bにX線カラーI.I.を使用する。X線カラーI.I.は通常のX線I.I.における出力蛍光体部分にカラー発光をするシンチレータを用いて、その画像をカラーカメラなどのイメージングデバイスで撮影するものである。出力蛍光体の例としてはGdS(Eu)、YS(Eu)等がある。イメージングデバイスとしてはCCDカメラやCMOSカメラ等を使用する。このような構成のカラーI.I.では、シンチレータの発光特性とカメラの感度特性を適切に組み合わせることによって色の3原色である赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の成分毎にX線又はγ線に対する感度を変えることが可能になり、RGB三つの成分を用いて同時に表示させることにより広いダイナミックレンジが得られる特徴を持つ。
例えば、GdS(Eu)を用いたX線カラーI.I.では、同じエネルギー及び強度のX線又はγ線を照射した時、通常のシンチレータに比べ赤から青の広帯域に渡って発光する。これを赤緑青三つの成分をもつカラーカメラで撮影する際に、シンチレータの発光特性と、カメラの感度特性を調整することにより、赤色領域で感度が最も高く、次に緑色領域、青色領域では最も感度が低いセンサができる。このセンサにより、X線又はγ線の吸収量が多いものを赤色成分で、X線又はγ線の吸収量が少ないものを青色成分で撮影することにより、一度の撮影でダイナミックレンジの広い撮影が可能になる。
【0061】
ここで、例えば金属のようなX線が透過し難い材質と、プラスチックのような透過しやすい材質を撮影することを考える。これらを同時に一つのセンサで撮影しようとすると、プラスチックを見やすくするためにはX線の強度を抑える必要があるが、その場合には金属は透過しにくくなり、金属を見やすくするためにX線を強くするとプラスチック部分が飽和してしまう。従って多くの材質を含む被検体のX線透過画像を撮影する際には、着目する材質によって、X線の強度や露光時間等の条件を変えて撮影する必要がある。従ってX線吸収特性の異なる材質の判別を行う場合には、一つの条件で撮影した結果から一度に判別するのは難しい。
ここで、イメージセンサ11bにダイナミックレンジの広いX線カラーI.I.を用い、例えば感度の高い赤成分では金属を、中間の緑成分では軽金属を、感度の低い青成分でプラスチック等を評価するというように、成分毎に評価対象を変えることにより、一つの撮影条件で精度良く材料の判別を行うことが可能になる。なお、このX線カラーI.I.は、同様に、他の非破壊検査部3a,3c〜3eなどにおけるイメージセンサ11a,11c〜11eにおいても用いることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、通常のモノクロX線I.I.では評価が困難な複数種類の材料判別において、X線カラーI.I.を用いれば三つの成分を感度領域によって評価対象を変えることにより判別の精度を向上できる。
【符号の説明】
【0063】
1…非破壊検査装置、2…搬入部、3,3a,3b…非破壊検査部、4,4a,4b…画像取得部(データ取得部)、5,5a,5b…判定部(データ処理部)、6…搬出部、7…分別搬送部、8…一時保管場所、9,9a,9b,9c,9d,9e,36,82…被検体、10,10a,10b…放射線源、11,11a,11b…イメージセンサ、12,12a,12b…遮光カバー、13…表示装置、14…分別装置、15…移動装置、21a…正常な被検体のラインプロファイル、21b…酸化膜が付着した被検体のラインプロファイル、31…アルミニウム(Al)のステップゲージ、31a,31b…アルミニウム(Al)のステップゲージの輝度分布、32a,32b…特定の材質の物質の輝度分布、33a,33b…(32とは異なる)特定の材質の物質の輝度分布、34a,34b…特定の材質の物質の輝度分布、35a,35b…(34とは異なる)特定の材質の物質の輝度分布、37,37a,37b,37c…検査対象物(内容物)A、38,38a,38b,38c…検査対象物(内容物)B、39,39a,39b,39c…検査対象物(内容物)C、40,40a,40b,40c…(抽出したい)既知の基準物質のステップゲージ、51…材質Aの基準サンプル、52…グローブ部ボックス、54…振動装置、55…一時保管場所、61a…放射線検出器、61b…データ処理装置61b、62…グローブボックス、71…排気処理装置、72…密閉装置、81…振動装置、83…溶液の液面、91…ベルトコンベア、92a、92b、92c…放射線源、93a、93b、93c…センサアレイ、94…放射線検査部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物が密閉容器に収容された被検体に放射線を側面から照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号を得る第1の信号取得工程と、
前記第1の信号取得工程により得られた前記強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成工程と、
前記第1の画像情報生成工程により得られた前記画像情報に基づいて、前記被検体の検査対象物と前記被検体の検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性を判断する判断工程と、
を有することを特徴とする密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項2】
前記判断工程により前記検査対象物と検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性があると判断された被検体に、前記被検体に照射された放射線と同じ又はエネルギー及び種類のうち少なくとも1つが異なる放射線を側面から照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号をさらに取得する第2の信号取得工程と、
前記第2の信号取得工程により取得された前記強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第2の画像情報生成工程と、
前記透過画像情報生成工程により生成された前記検査対象物の画像情報に基づいて、前記被検体を分別する分別工程と
を有することを特徴とする請求項1記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項3】
前記第2の信号取得工程が、前記検査対象物を収容する密閉容器の管壁部に前記放射線を側面から照射して前記管壁部を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号を取得し、
前記第2の画像情報生成工程が、前記第2の信号取得工程により取得された前記強度信号を処理して前記管壁部の画像情報を生成し、
前記分別工程が、前記管壁部の画像情報に基づいて、前記検査対象物が前記密閉容器に収容された被検体を分別する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項4】
前記第2の信号取得工程が、前記被検体に複数のエネルギーの異なる放射線を照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた複数の強度信号を取得し、
前記第2の画像情報生成工程が、前記複数の強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の複数の画像情報を生成し、
前記分別工程が、前記複数の強度信号又は前記複数の画像情報に基づいて、前記複数の強度信号又は前記複数の画像情報の差分処理を行うことにより特定の材質の検査対象物を強調又は消去した強調又は消去画像情報を取得して、この強調又は消去画像情報により前記検査対象物が収容された被検体を分別する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項5】
前記第2の信号取得工程が、前記被検体と、材質及び厚さが既知の基準物質とに、同時に、複数のエネルギーの異なる放射線を照射して前記被検体及び前記基準物質を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた複数の前記被検体及び前記基準物質の強度信号を取得し、
前記第2の画像情報生成工程が、前記第2の信号取得工程により得られた前記複数の前記被検体及び前記基準物質の強度信号を処理して複数の被検体及び基準物質の画像情報を生成し、
前記分別工程が、前記複数の被検体及び基準物質の強度信号又は画像情報に基づいて、前記複数の前記基準物質の強度信号又は画像情報のいずれかの輝度又は感度を調整し、差分処理を行うことにより、前記被検体の検査対象物のうち前記基準物質と同じ材質である部分を強調又は消去した強調又は消去画像情報を取得して、この強調又は消去画像情報により前記検査対象物が収容された被検体を分別する
ことを特徴とする請求項4記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項6】
前記第2の信号取得工程が、広波長帯域の放射線を照射可能な線源及び特定の波長帯域を遮断可能なフィルタを用いて、前記被検体に複数のエネルギーの異なる放射線を照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた複数の強度信号を取得する
ことを特徴とする請求項4記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項7】
前記分別工程により分別された被検体に、前記被検体に照射された放射線と同じ又はエネルギー及び種類のうち少なくとも1つが異なる放射線を側面から照射して前記被検体を透過した放射線をイメージセンサにより検出することにより放射線の強度に応じた強度信号をさらに取得する第3の信号取得工程と、前記第3の信号取得工程により取得された前記強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第3の画像情報生成工程と、前記第3の画像情報生成工程により生成された前記被検体の検査対象物の画像情報に基づいて、前記被検体を分別する第3の分別工程と
を有することを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項8】
前記分別工程が、前記被検体の検査対象物からの放射線を検出する放射線検出器により前記検査対象物中の放射線の存在の有無及び/又は該放射線の強度を判定し、その判定結果に基づいて前記被検体を分別する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項9】
前記分別工程が、前記被検体の検査対象物の気体を含む部分の画像情報の放射線の透過強度に基づいて、前記検査対象物中の放射線吸収性ガスの存在の有無又は該放射性吸収ガスの濃度を判定し、その判定結果により前記被検体を分別する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項10】
前記分別工程が、前記被検体を収容する密閉容器を振動可能な機構によって振動させることにより、前記第2の画像情報生成手段により生成される画像情報の輝度値の変動により、前記被検体中の流動体の存在の有無を判断し、前記被検体を分別する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項11】
前記第2の信号取得工程が、前記被検体を一定速度で移動させる移動手段、放射線を照射する線源及び該線源に対向して設置されたセンサアレイとで構成され、前記被検体が通過する中心点が一致するように、それぞれ方向を変えて配置された複数の放射線検出装置を用いて、前記被検体が前記複数の放射線検出装置の前記中心点に位置するときに、前記所定の方向から複数の信号を同時に取得する
ことを特徴とする請求項2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項12】
前記第1の信号取得工程及び/又は前記第2の信号取得工程におけるイメージセンサは、放射線によりカラー発光をする蛍光体とカラーカメラを含むカラーイメージセンサであることを特徴とする請求項1又は2記載の密閉容器の非破壊検査方法。
【請求項13】
検査対象物が密閉容器に収容された被検体に放射線を照射する第1の線源と、前記被検体を透過した放射線を検出する第1のイメージセンサとを含む第1の非破壊検査部と、
前記第1のイメージセンサから出力される放射線の強度に応じた強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成手段と、
前記第1の前記画像情報生成手段により生成された前記画像情報に基づいて、前記被検体の検査対象物と前記被検体の検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性を判断する判断手段と、
を有することを特徴とする密閉容器の非破壊検査装置。
【請求項14】
前記判断手段により前記検査対象物と前記検査対象表示物に表示された検査対象物との整合性があると判断された被検体に、前記被検体に照射された放射線と同じ又はエネルギー及び種類のうち少なくとも1つが異なる放射線を側面から照射する第2の線源と、前記被検体を透過した放射線を検出する第2のイメージセンサとを含む第2の非破壊検査部と、
前記第2のイメージセンサから出力される放射線の強度に応じた強度信号を処理して前記被検体の検査対象物の画像情報を生成する第2の画像情報生成手段と、
前記第2の画像情報生成手段により生成された前記画像情報に基づいて、前記検査対象物が収容された被検体を分別する分別手段とを含む
ことを特徴とする請求項13記載の密閉容器の非破壊検査装置。
【請求項15】
前記第2の非破壊検査部における、前記第2の線源が複数のエネルギーの異なる放射線を照射可能であり、
前記第2の画像情報取得手段が、放射線の強度に応じてセンサから出される出力信号を画像情報に変換する変換機構と、前記出力信号又は前記画像情報のいずれかの状態で輝度又は感度を調整できる調整機構と、エネルギーの異なる放射線の照射条件で得られた前記出力信号又は前記画像情報を互いに差分処理できる差分処理手段と、前記差分処理により得られる、特定の材質を示す部分の出力信号又は画像情報を強調又は消去して表示する表示手段とを有し、
前記判断手段が、前記表示手段により表示された結果に基づいて、所定の判断基準に基づいて評価して前記被検体を分別する
ことを特徴とする請求項14記載の密閉容器の非破壊検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−243369(P2010−243369A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93345(P2009−93345)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】