説明

封止用液状樹脂組成物、及びこれを用いた電子部品装置

【課題】封止樹脂組成物に半導体素子と基板の熱膨張差に起因する反りを反対方向に抑制する効果を付加させた、室温及び半田付け工程での反りが少ない封止用液状樹脂組成物、及びこれにより封止された電気的接合信頼性に優れた電子部品装置を提供する。
【解決手段】(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材としてアルミナとシリカの混合物を含有する封止用液状樹脂組成物であって、アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4<A/(A+S)≦1.0である(C)無機充填材が全樹脂組成物中に44〜75体積%含まれ、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下の配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した電子部品の封止に用いられる封止用液状樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用液状樹脂組成物、及びこの封止用液状エポキシ樹脂組成物で封止した半導体素子を備えた電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、より多ピン化・高速化が可能なBGA(ボールグリッドアレイ)やCSP(チップサイズパッケージ)のエリア実装パッケージが広く用いられようになってきており、これらのパッケージ構造は、回路を形成した有機基板の片面上に半導体素子を搭載し、その素子搭載面、即ち基板の片面のみが封止樹脂組成物で成形、封止されている。また、基板の半導体素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、パッケージを実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。また近年、更なる高密度実装に対応するパッケージとしてSiP(システムインパッケージ)やPoP(パッケージオンパッケージ)といった3次元実装パッケージが種々考案されている。PoPは、基板上の半導体素子搭載面と非搭載面の両側に接続端子を有したBGAやCSPを高さ方向に接続させ、平面的な実装から3次元的な実装を可能としている(図1参照)。
【0003】
このようなパッケージにおける半導体素子は、主に固形の封止樹脂組成物を用いたトランスファー成型により封止されるが、ゲートと呼ばれる注入口から樹脂を射出成型するため、ゲート付近で薄型半導体素子にダメージが発生したり、樹脂の流入時に、接続ワイヤーを押し流してワイヤー同士が接触したりするという不具合が問題とされている。一方、封止用液状樹脂組成物を用いたコンプレッション成型では、半導体素子上にあらかじめ封止用液状樹脂組成物を塗布し加圧成型させるため、射出成型のような半導体素子へのダメージやワイヤー同士の接触の不具合を低減させたりすることができる。また、封止用液状樹脂組成物は流動性に優れるため、狭い封止領域を封止することも可能となり、薄型パッケージの分野、特に図1の封止材2に適用される封止樹脂組成物には、封止用液状樹脂組成物を用いたコンプレッション成型方式が適用され始めている。
【0004】
これらPoPに用いられるBGAやCSPでは、パッケージを多層に積層していくため、積層する1つ1つのパッケージは年々薄くなる傾向にある。そのため、使用される有機基板、半導体素子、半導体素子を封止する封止樹脂層及びバンプ高さの薄型化が加速され、総厚1mm以下の超極薄パッケージも数多く提案され、特にPoPにおいては、積層高さをなるべく低くするために、封止厚Ehと基板厚Shの比がEh/Sh≦1となるような封止厚の薄型化が進んでいる。
【0005】
基板の半導体素子搭載面のみを封止樹脂組成物で封止する片面封止構造では、基板と半導体素子及び封止樹脂組成物の熱膨張差に起因して反りが発生し、半導体素子を基板に搭載した時点で、基板と半導体素子との熱膨張差に起因して反りは発生する。例えば、非特許文献1のような図1の半導体装置1のような構造では、封止面を上、基板面を下とした場合、室温で凹反り(スマイル反り)となりやすいため、一般に基板が薄くなるほど基板の剛性が低下し,また封止樹脂の厚みが大きくなればなるほど封止樹脂の熱収縮の影響が大きくなり、パッケージ反りは大きく(凹反り:スマイル反り)なるが、図1の半導体装置2のような構造では、封止面を上、基板面を下とした場合、室温で凸反り(クライ反り)となりやすいため、BGA薄型パッケージでは、有機基板や封止樹脂の薄型化に伴う影響で剛性が低下し、発生する反りはますます増大(凸反り:クライ反り)する傾向にある。
【0006】
発生する反りを低減させる1つの方法として、一般的に、封止樹脂組成物の無機充填材として含まれる球状シリカの含有量を調整し、弾性率や熱膨張係数の調整を行うことが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】中村 正志 他 著、松下電工技報(Feb. 2004)p.62
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年提案されているPoP等の薄型半導体装置構造では、シリカの含有量を増やすと高弾性にはなるが熱膨張が小さくなり、シリカの含有量を減らすと高熱膨張にはなるが低弾性になるため、発生する反りを低減させることが困難であり、また、反りを抑制するためにシリカの含有量を減らすと信頼性の低下の懸念があることから、シリカの配合だけでEh/Sh≦1となるような半導体装置の反りを低減させる封止樹脂組成物の硬化物特性を実現することは困難であった。
【0009】
さらに、半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、200℃以上の加熱工程を経るが、この際に半導体装置の反りが発生し、多数の半田ボールが平坦とならず、半導体装置を実装する回路基板やパッケージから浮き上がってしまい、電気的接合信頼性が低下する問題もあった。
【0010】
また、半導体装置を平面的な実装から3次元的な実装にすることで、実装密度の向上を図り、かつ、信号配線長の短縮により高速化が期待されている。しかし、従来のBGA、CSPのような性能を保持したまま小型化、薄型化が進むと、配線の高密度化、狭ピッチ化が進み、それによる発熱のためにデータ伝達速度が低下することが懸念されており、封止樹脂組成物に現状以上の放熱特性が要求されている。
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、Eh/Sh≦1となるようなエリア実装用薄型半導体装置、主に総厚1mm以下の図1の半導体装置2に示すような薄型半導体装置に関し、従来の図1に示す半導体装置1のような厚型半導体装置の反りを抑制する方法とは異なり、封止樹脂組成物に半導体素子と基板の熱膨張差に起因する反りを反対方向に抑制する効果を付加させた、室温及び半田付け工程での反りが少ない封止用液状樹脂組成物、及びこれにより封止された電気的接合信頼性に優れた電子部品装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の通りである。
(1)(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材としてアルミナとシリカの混合物を含有する封止用液状樹脂組成物であって、アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4<A/(A+S)≦1.0である(C)無機充填材が全樹脂組成物中に44〜75体積%含まれ、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下の配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した電子部品の封止に用いられる封止用液状樹脂組成物に関する。
(2)前記の無機充填材が、平均粒径1〜30μmのアルミナと平均粒径0.1〜30μmのシリカの混合物に、さらに平均粒径0.1μm未満の超微粉無機充填材を含有することを特徴とする前記(1)に記載の封止用液状樹脂組成物に関する。
(3)配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した半導体素子を、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下となるように、前記(1)又は(2)に記載の封止用液状樹脂組成物により封止した電子部品装置に関する。
(4)総厚が1mm以下で、配線基版の片面上に搭載された後に封止用液状組成物により封止された半導体素子と前記配線基板の反対面にバンプとを有し、かつ、前記封止された半導体素子の搭載面と同じ面にあって、前記封止された半導体素子の周辺に半田接続用の配線導体を配置したことを特徴とする前記(3)に記載の電子部品装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
PoPに用いられるBGAやCSPでの低反り性が要求される電子部品装置に適用しても室温及び半田付け工程での反りが小さく抑えられた封止用液状樹脂組成物、及びこの封止用液状樹脂組成物で封止した素子を備えた電子部品装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PoP(パッケージオンパッケージ)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の封止用液状樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材としてアルミナとシリカの混合物を含有しており、好ましくは、平均粒径1〜30μmの球状アルミナ、又は平均粒径が1〜30μmの球状アルミナと平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカの混合物を含有する封止用液状樹脂組成物であって、アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4〜1.0であり、好ましくは球状アルミナA質量%と球状シリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.5〜1.0で、全樹脂組成物中に(C)無機充填材が44〜75体積%、好ましくは50〜75体積%で、より好ましくは60〜73体積%である。
【0016】
アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.1〜0.4では、目的とした効果は得られるが、シリカのみを含有している系と比較して反り低減効果が少ないため、発生する反りを大きく抑制するまでに至らないこともあり、無機充填材が44体積%より少ない場合は、成型方法上、取り扱いに難しくなること、また、信頼性の低下につながる懸念がある。
【0017】
さらに、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下の配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した電子部品の封止に用いられ、主に総厚1mm以下の半導体装置で発生する反りを低減することができる封止用液状樹脂組成物である。また、本発明は、前記の封止用液状樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置である。具体的には、図1の半導体装置2に示すように、総厚が1mm以下で、配線基版の片面上に搭載された後に封止用液状組成物により封止された半導体素子と前記配線基板の反対面にバンプとを有し、かつ、前記封止された半導体素子の搭載面と同じ面にあって、前記封止された半導体素子の周辺に半田接続用の配線導体を配置した電子部品装置である。
【0018】
本発明において用いられる(A)液状エポキシ樹脂は、硬化可能な1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に制限はなく、電子部品封止用液状樹脂組成物に一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができ、組成物が液状であれば固形、液状のどちらか一方を用いても両者を併用しても良い。たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、シクロヘキセン環の二重結合を過酢酸等の過酸で酸化してエポキシ化した環状脂肪族エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、低粘度化と硬化物特性のバランスの観点からは、ビスフェノール型液状エポキシ樹脂、グリシジルアミン型液状エポキシ樹脂、シリコーン変性液状エポキシ樹脂が好ましい。また、これらのエポキシ樹脂は、十分に精製されたもので、イオン性不純物が少ないものが好ましい。例えば、遊離Naイオン及び遊離Clイオンは500ppm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる(B)硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として一般に使用されているものを用いることができる。たとえば、無水フタル酸、無水マレイン酸、メチルハイミック酸無水物、ハイミック酸無水物、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸マレイン酸付加物、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物、複数のアルキル基を有するトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸等の各種環状酸無水物等の酸無水物化合物、アリル化フェノール樹脂等の液状フェノール樹脂、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン混合物、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルトルエンジアミン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタンなどのアミン化合物などが挙げられる。アミン化合物の中では、一液タイプの樹脂組成物にした場合にポットライフが低下しにくいため、芳香族アミン硬化剤が好ましい。
【0020】
なかでも、低粘度化、成型性及び硬化物特性のバランスの観点からは、酸無水物化合物が好ましい。これら硬化剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤として酸無水物化合物との当量比は特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂に対して硬化剤を0.5〜1.2当量の範囲に設定することが好ましい。0.5〜1.2当量の範囲からはずれた場合、硬化反応が不充分となり信頼性が低下する傾向がある。ここで、当量とは反応当量であり、たとえば、酸無水物の当量はエポキシ基1個に対し酸無水物基1個が反応するものとして計算される。
【0022】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤として液状フェノール樹脂やアミン硬化剤との当量比は、それぞれの未反応分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂に対して硬化剤を0.7〜1.4当量の範囲に設定することが好ましく、0.9〜1.2当量がより好ましい。0.7〜1.4当量の範囲からはずれた場合、未反応のフェノール性水酸基やアミノ基が存在したり、硬化反応が不十分となったりして信頼性が低下する傾向がある。ここで、液状フェノール樹脂や芳香族アミンの当量はエポキシ基1個に対しフェノール性水酸基1個又はアミノ基の活性水素1個が反応するものとして計算される。
【0023】
本発明の封止用液状樹脂組成物に用いられる(C)無機充填材は、通常、アルミナ又はアルミナとシリカの混合物を含有する。シリカは溶融シリカ、結晶シリカなどがある。また、アルミナ及びシリカ以外の無機充填材も、本発明の効果が得られる範囲内で併用することができ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等を例示できる。無機充填材は、線膨張係数低減の観点からはシリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。充填材の形状は高充填化及び液状エポキシ樹脂組成物の微細間隙への流動性・浸透性の観点から球状が好ましい。必要に応じてカップリング剤で表面処理された充填材を用いることもできる。
【0024】
本発明において用いられる封止用液状樹脂組成物に、無機充填材としてアルミナ単独、又はシリカとアルミナを混合して用いることにより、無機充填材としてシリカのみを用いた封止材と比較して、熱膨張係数は同程度であるが弾性率が高くなる傾向にある。そのため、図1の半導体装置1に用いられるような従来のBGAやCSP等の封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以上の半導体装置にこれを用いると、封止樹脂組成物にて半導体素子を封止した面を上、基板面を下とした場合、半導体装置の反りは凹方向に増大する傾向にあった。これを図1の半導体装置2に用いられるような封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下の薄型半導体装置に用いると、発生する凸反りが低減する傾向にある。
【0025】
本発明において用いられる(C)無機充填材は、一般的に用いられる粒径を使用できる。封止用液状樹脂組成物の流動性などの観点から、平均粒径は1〜30μmが好ましい。
平均粒径が1μm以上であると、封止用液状樹脂組成物への無機充填材の分散性が向上する。30μm以下であると微細間隙への充填性が向上し、ワイヤ流れ等を防ぐ効果が向上する。好ましい粒径は、充填材の形状等にも依存し、具体的には、1μm未満の球状アルミナ及び平均粒径が0.1μm未満の球状シリカなどの無機充填材では、封止用液状樹脂組成物へ充填材を高濃度に分散することが困難になる傾向があり、また、封止用液状樹脂組成物の粘度が増加することによって成型性が低下する傾向がある。成型性の観点から平均粒径が1〜30μmの無機充填材に更に平均粒径が0.1μm未満の無機充填材を混合して用いることもある。また、平均粒径が30μmを超える球状アルミナ及び平均粒径が30μmを超える球状シリカなどの無機充填材では粗粒成分が多くなり、微細間隙への充填性が低下したり、半導体素子上の封止樹脂厚が100μm以下に薄くなる場合に成型性が低下したりする傾向がある。アルミナとシリカの混合比率は、本発明の効果を達成するために、アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4〜1.0であり、好ましくは0.5〜1.0である。混合比率を0.4より大きくすることにより、充分な反り低減の効果を得ることができる。具体的には、平均粒径が1〜30μmの球状アルミナA質量%と平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0である。
【0026】
さらに、本発明では、必要に応じて、難燃剤、顔料、染料、離型剤等を添加することができる。
【0027】
(C)無機充填材の量は、本発明の効果を達成するために、全封止用液状樹脂組成物中の無機充填材は44〜75体積%である。配合量が44体積%以上では弾性率が増大するため反りが低減される傾向があり、75体積%以下であることにより樹脂粘度が低減し、一般的に、成形が容易になる傾向がある。
【0028】
本発明の封止用液状樹脂組成物には、必要に応じて(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分を含む硬化剤の反応を促進する硬化促進剤を用いることができる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、及びこれらの誘導体、トリフェニルホスフィントリフェニルボロン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のフェニルボロン塩等などが挙げられる。また、硬化促進剤としては硬化性とポットライフを両立するためには潜在性硬化促進剤が好ましい。潜在性硬化促進剤の例としては常温固体のアミノ基を有する化合物をコアとして、常温固体のエポキシ化合物のシェルを被覆してなるコア−シェル粒子が挙げられ、市販品としてアミキュア(味の素株式会社製、商品名)や、マイクロカプセル化されたアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたノバキュア(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)などが使用できる。さらには封止用液状樹脂組成物系に不溶な固体粒子で加熱成形時に解離して硬化促進作用を発現するアミン化合物またはリン化合物の塩類及びこれらにπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物が潜在性硬化促進剤として使用できる。これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0029】
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。0.1質量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、40質量%を超えると硬化速度が速すぎて制御が困難になったりポットライフ、シェルライフ等の保存安定性が劣ったりする傾向がある。
【0030】
本発明の封止用液状樹脂組成物には、弾性率を著しく低減させない範囲でエポキシ樹脂硬化物の強靭化を図るために、公知の各種ゴム粒子を配合できる。該ゴム粒子はエポキシ樹脂と非相溶性のものが硬化物のガラス転移温度(耐熱性)を下げないのに有効である。
具体的には例えば、ブタジエン・アクリロニトリル・スチレン系共重合体や該重合体の末端または側鎖にエポキシ基,アミノ基,カルボキシル基,水酸基等を有する変性共重合体、末端または側鎖にエポキシ基,アミノ基,カルボキシル基,水酸基などを有する変性シリコーン系エラストマー等がある。該ゴム粒子は取り扱い性や樹脂成分との分散性の点から微粉末状で、予めエポキシ樹脂や硬化剤に細かく分散させたものを用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明の封止用液状樹脂組成物には、必要に応じて下記組成式(I)、(II)で表されるイオントラップ剤をIC等の半導体素子の耐マイグレーション性、耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から含有することができる。
Mg1−XAl(OH)(COX/2・mHO ・・・ (I)
(0<X≦0.5、mは正の数。)
BiO(OH)(NO ・・・ (II)
(9≦x≦1.1、 0.6≦y≦0.8、 0.2≦z≦0.4)
【0032】
これらイオントラップ剤の添加量としては0.1〜3.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。イオントラップ剤の平均粒径は0.1〜3.0μmが好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。なお、上記式(I)の化合物は市販品として協和化学工業株式会社製商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、上記式(II)の化合物は市販品として東亜合成株式会社製商品名IXE500として入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の封止用液状樹脂組成物には、その他の添加剤として、染料、顔料、カーボンブラック等の着色剤、リン酸エステル、メラミン、メラミン誘導体、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等の燐窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン等の金属化合物、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、ブロム化エポキシ樹脂などの従来公知の難燃剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用液状樹脂組成物は、上記各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分を秤量し、三本ロール、らい潰機、プラネタリーミキサー、ホモミキサー等によって分散混練を行う方法を挙げることができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例1〜6によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
【0035】
以下の成分をそれぞれ表1及び表2に示す質量部で配合し、三本ロール、次いで、らい潰機にて混練分散した後、真空脱泡して、実施例1〜6及び比較例1〜9の封止用液状エポキシ樹脂組成物を作製した。
(A)液状エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名YDF8170C)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、商品名R140P)及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名E630)を使用した。
(B)硬化剤として酸無水物(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名YH307)を使用した。
(C)無機充填剤として、平均粒径0.6μmの球状シリカ1、平均粒径25μmの球状シリカ2、平均粒径9μmの球状アルミナを使用した。
硬化促進剤としてマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名ノバキュアHX−3941HP)、超微粉シリカとしてアエロジル(平均粒径0.05μm、日本アエロジル株式会社製商品名)、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM403)、着色剤としてカーボンブラック、イオントラップ剤としてIXE500(東亞合成株式会社製商品名)を使用した。
(実施例1〜3)
【0036】
基板として、Cu配線を含む14mm×14mm×0.32mmt(コア材E−679FG−0.06mm×4ply:日立化成製商品名、ソルダレジストSR7200G:日立化成製商品名)を用い、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.32mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.9の割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材(フィラ)が44、62、73体積%のいずれかの割合で含有された封止用液状樹脂組成物を用い、室温(25℃)での半導体装置の反り量、熱伝導率、成形性について評価した。
(実施例4〜6)
【0037】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.2mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが0.6となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.5、0.9、1.0のいずれかの割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材が73体積%のいずれかの割合で含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例1〜4)
【0038】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.32mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカのみが、全樹脂組成物中に無機充填材として34、44、62、73体積%のいずれかの割合で含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例5)
【0039】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.2mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが0.6となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカのみが、全樹脂組成物中に無機充填材として73体積%の割合で含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例6)
【0040】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.32mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.9の割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材が34体積%の割合で含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例7)
【0041】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.38mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.2となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.9の割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材として73体積%含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例8)
【0042】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.45mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.4となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.9の割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材として73体積%含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
(比較例9)
【0043】
実施例1〜3と同様の基板に、封止エリア:10.9mm×10.9mm、封止サイズ:0.2mmt、半導体素子:7.3mm×7.3mm×0.1mmt、接着シート:7.3mm×7.3mm×0.025mmtである封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが0.6となる半導体装置の封止材に、平均粒径が0.1〜30μmの球状シリカS質量%と球状アルミナA質量%の混合比率A/(A+S)が0.4の割合で、全樹脂組成物中に、無機充填材として73体積%含有された封止用液状樹脂組成物を用い、実施例1〜3と同様な評価を行った。
<半導体素子の封止方法と成型性評価>
【0044】
半導体装置は、ペルチェ方式温調ユニット(武蔵エンジニアリング製)を取り付けたスクリュー式ディスペンサー(武蔵エンジニアリング製)を用いて、25℃にて封止用液状樹脂組成物を半導体素子上に必要量のみ吐出し、液状樹脂封止装置(アピックヤマダ製マニュアルプレス)を用いて加圧成型を行った。成型性については、封止用液状樹脂の作業性(吐出性、形状維持性等)に優れるもの、かつ成型後の外観に異常がないものに○、作業性に劣る、または成型後の外観に異常があるものに×を表示した。
<半導体装置の反り評価>
【0045】
封止用液状樹脂組成物で半導体素子を封止した半導体装置を、シャドウモアレ測定装置(Thermoire:Akrometrix製)を用いて、基板側の14mm×14mmの平面上をJEITA ED−7306に従って測定し、最大と最小との差(Coplanarity)を反り量とした。反りの符号は、封止面を上、基板面を下とした場合、半導体装置が凸に反っている状態を正、凹に反っている状態を負とした。半導体装置の反りについては、室温(25℃)で反り目標値(±50um>)を満たすものに○、満たさないものに×を表示した。
<熱伝導率の測定方法と評価>
【0046】
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρおよび比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/m・K)
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(kg/m
Cp:比熱(J/kg・K)
熱拡散率αは熱拡散率測定装置LFA447 Nanoflash(ネッチゲレイテバウ製)を用いレーザーフラッシュ法にて、密度ρは電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて、また比熱Cpについては示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で、板状に硬化した封止用液状樹脂組成物を適時加工して測定した。熱伝導率の評価については、熱伝導率が0.7W/m・K以上を満たすものに○、満たさないものに×を表示した。
【0047】
表1に、実施例の封止用液状樹脂組成物の配合表及びその評価結果を、表2に、比較例の封止用液状樹脂組成物の配合表及びその評価結果を示した。
【0048】
【表1】





















【0049】
【表2】

【0050】
実施例1〜3と比較例1〜4を比較すると、Eh/Sh=1.0の半導体装置構成において、無機充填材として球状シリカのみを含む(A/(A+S)=0)封止用液状樹脂組成物では、成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たす物が無いのに対し、球状アルミナを含む(A/(A+S)=0.9)封止用液状樹脂組成物では、成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たすことができた。
【0051】
実施例1〜3と比較例6を比較すると、Eh/Sh=1.0の半導体装置構成において、無機充填材として球状アルミナを含み(A/(A+S)=0.9)、フィラ含有量が44体積%以下である34体積%の封止用液状樹脂組成物では成型性に不良が発生したが、球状アルミナを含み(A/(A+S)=0.9)、フィラ含有量が44体積%以上の封止用液状樹脂組成物では成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たすことができた。
【0052】
実施例3、4と比較例7、8を比較すると、無機充填材として球状アルミナを含み(A/(A+S)=0.9)、フィラ含有量が73体積%の封止用液状樹脂組成物を用いて半導体素子を封止したところ、Eh/Sh=1.2、1.4の半導体装置構成においては成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たす物が無いのに対し、Eh/Sh=0.6、1.0の半導体装置構成においては成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たすことができた。
【0053】
実施例3、4と比較例4、5を比較すると、無機充填材として球状シリカのみを含み(A/(A+S)=0)フィラ含有量が73体積%である封止用液状樹脂組成物では、Eh/Sh=0.6、1.0の半導体装置構成において成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たす物が無いのに対し、無機充填材として球状アルミナを含み(A/(A+S)=0.9)、フィラ含有量が73体積%である封止用液状樹脂組成物では、Eh/Sh=0.6、1.0の半導体装置構成において成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たすことができた。
【0054】
実施例4〜6と比較例9を比較すると、Eh/Sh=0.6の半導体装置構成において、無機充填材として球状アルミナをA/(A+S)=0.4含み、フィラ含有量が73体積%の封止用液状樹脂組成物を用いて半導体素子を封止したところ、成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たさなかったのに対し、無機充填材として球状アルミナをA/(A+S)=0.5、0.9、1.0含み、フィラ含有量が73体積%の封止用液状樹脂組成物では、成型性、反り、熱伝導率のすべてを満たすことができた。
【符号の説明】
【0055】
a:封止材1、b:封止材2、c:基板、d:半田ボール、e:半導体素子、A:半導体装置1、B:半導体装置2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材としてアルミナとシリカの混合物を含有する封止用液状樹脂組成物であって、アルミナA質量%とシリカS質量%の混合比率A/(A+S)が0.4<A/(A+S)≦1.0である(C)無機充填材が全樹脂組成物中に44〜75体積%含まれ、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下の配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した電子部品の封止に用いられる封止用液状樹脂組成物。
【請求項2】
前記の無機充填材が、平均粒径1〜30μmのアルミナと平均粒径0.1〜30μmのシリカの混合物に、さらに平均粒径0.1μm未満の超微粉無機充填材を含有することを特徴とする特許請求1に記載の封止用液状樹脂組成物。
【請求項3】
配線基板上にワイヤーボンディング又は直接バンプ接続した半導体素子を、封止厚Ehと基板厚Shの比率Eh/Shが1.0以下となるように、請求項1又は請求項2に記載の封止用液状樹脂組成物により封止した電子部品装置。
【請求項4】
総厚が1mm以下で、配線基版の片面上に搭載された後に封止用液状組成物により封止された半導体素子と前記配線基板の反対面にバンプとを有し、かつ、前記封止された半導体素子の搭載面と同じ面にあって、前記封止された半導体素子の周辺に半田接続用の配線導体を配置したことを特徴とする請求項3に記載の電子部品装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−118649(P2010−118649A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233637(P2009−233637)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】