説明

封緘検査装置

【課題】 封筒媒体の搬送状態、或いはフラップのよじれ等の影響を受けることなく、封緘状態を確実に判別できるようにする。
【解決手段】 封筒本体Paに一体的に形成されるフラップPbを折り曲げて接着することにより封緘される封筒Pをそのフラップ側を先頭にして搬送する搬送機構3と、この搬送機構3によって搬送される封筒PにそのフラップPb側から後端側に向かってレーザ光を走査し、フラップPbと封筒本体Paから反射されるレーザ光を受光することにより、封筒Pの搬送方向に沿う厚さ方向の形状を検出する検出部5と、この検出部5が検出した形状に基づいて封緘状態を判別する判別部とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、郵便物処理機に適用される封緘検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒はその本体の開口端側にフラップを一体的に形成し、このフラップが折り曲げられて接着剤で封筒本体に接着されることにより封緘されるようになっている。
【0003】
ところで、この封筒は封緘検査装置において、フラップが確実に密封された状態にあるか否かが検査されるようになっている。
【0004】
この検査方法としては、例えば、封筒をその封緘部を内側にして円弧状に屈曲させて接着不良部のフラップを浮き上がらせ、このフラップにセンサーからレザー光を照射してその浮き上がり高さを検出することにより、封緘状態の良否を判別するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−062795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、フラップのみにレーザ光を照射してその浮き上がりを検出していたため、封筒の搬送時にフラップが位置ずれしたり、よじれ変形した場合などには、レーザ光をフラップに照射することができなくなり、封緘状態を確実に判別できないという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、フラップの位置ずれや、よじれ変形等があっても、封筒の封緘状態を確実に判別できるようにした封緘検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、封筒本体に一体的に形成されるフラップを折り曲げて接着することにより封緘される封筒をそのフラップ側を先頭にして搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される前記封筒のフラップ側から後端側に向かってレーザ光を走査し、前記封筒から反射されるレーザを受光することにより、前記封筒の搬送方向に沿う厚さ方向の形状を検出する検出手段と、この検出手段が検出した形状に基づいて前記封筒の封緘状態を判別する判別手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送手段によってフラップ側を先頭にして搬送される封筒にそのフラップ側から後端側に向かってレーザ光を走査するため、封筒のフラップ位置が多少ずれたり、よじれ変形していた場合でも、レーザ光を確実にフラップに照射でき、封緘状態の判別が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である封緘検査装置1を示す全体構成図である。
【0010】
封緘検査装置1は封筒の搬送方向上流側の封緘装置(図示しない)で封緘された封筒を搬送路2に沿って搬送する搬送機構3を備えている。また、搬送路2中には搬送されてくる封筒にレーザ光を照射し、封筒から反射されるレーザ光を受光することにより、封筒の搬送方向に沿う厚さ方向の外形状を波形として検出する検出手段としての検出部5が設けられている。搬送路2の搬出端部側には封緘状態が良好な封筒を集積する集積部6と、封緘状態が不良で排除される封筒を集積する排除用集積部7が配設されている。
【0011】
図2は上記した検出部5を示す側面図で、図3はその斜視図である。
【0012】
検出部5はベースローラ10a,10bを備え、これらベースローラ10a,10bの上部側略中央部には押込みローラ11a,11bがそれぞれ転接されている。ベースローラ10aの両端側上方部には、封筒の搬送方向に沿う厚さ方向の外形状を波形として検出するためのレーザ変位計13a,13bがそれぞれ配設されている。なお、図3に示すように封筒Pは封筒本体Paと、この封筒本体Paの開口端側に一体的に形成され、折曲されて接着されることにより封緘するフラップPbとによって構成されている。封筒PはそのフラップPb側を先頭として搬送されるようになっている。
【0013】
レーザ変位計13a,13bは封筒Pにレーザを照射する発光素子(図示しない)と、封筒Pから反射される反射光を受光する受光素子(図示しない)とを備え、封筒Pが検出位置に搬送されてきたときには、例えば、図4(a)に示すように、一定高さの波形Ha、或いは図4(b)に示すようにな局部的に高い立下り波形部Hcを有する波形Hbを検出するようになっている。封筒Pが検出位置に搬送されてこない状態では、検出波形は高さが無い状態、即ちベースローラ10aの位置で安定している。なお、図4中の縦軸Lは封筒Pの厚さ寸法を示し、横軸Tは時間を示す。
【0014】
レーザ変位計13a,13bには、図5に示すように判別手段としての判別部4が送信回路を介して接続され、判別部4には制御回路を介して切替部8が接続されている。
【0015】
判別部4は図4(a)に示すように高さが一定な波形Haが送信されてきたときには、封筒Pの厚さがその搬送方向先端から後端に亘って一定、即ち、フラップPbが密封状態であると判別するようになっている。また、判別部4は図4(b)に示すような局部的に高い立下り波形部Hcを有する波形Hbが送信されてきたときには、フラップPbが開封状態であると判別するようになっている。
【0016】
押込みローラ11bの両端側上方部には封筒PのフラップPbに対し、エアーを吹き付けて浮かせるためのエアー吹付け手段としてのエアー吹付けノズル14a,14bがそれぞれ配設されている。
【0017】
次に、上記したように構成される封緘検査装置1の動作について説明する。
【0018】
上流側の封緘装置(図示しない)で封筒PのフラップPbが折曲されて接着剤で接着されることにより封緘された封筒Pは、図6に示すように搬送機構3によって搬送路2に沿って搬送されて検出部5に至ると、押込みローラ11a,11bによってベースローラ10a,10b側に押し込められるとともに、エアー吹付けノズル14a、14bによりエアーが吹き付けられ、さらに、レーザ変位計13a,13bの発光素子からレーザ光Rが照射される。このレーザ光Rの照射により、封筒Pの搬送方向に沿ってフラップPb側から後端側までレーザ光Rが走査され、フラップPb及び封筒本体Paから反射される反射光がレーザ変位計13a,13bの受光素子によって受光される。この受光により、例えば、図4(a)、或いは図4(b)に示すような波形Ha,Hbが検出され、判別部4に送信される。
【0019】
判別部4では、図4(a)に示すように高さが一定な波形Haが送信されてきた場合には、封筒Pの厚さがその搬送方向先端側から後端側まで一定で、封筒PのフラップPbが密閉状態であると判別する。また、図4(b)に示すように局部的に高くなる立下りは波形部Hcを有する波形Hbが送信されてきた場合には、封筒PのフラップPbが開封された状態であると判別する。
【0020】
フラップPbが密閉状態であると判別された封筒Pは、切替部8を介して集積部6へ集積され、フラップPbが開封状態であると判別された封筒Pは排除用集積部7へと搬送されて集積されることになる。
【0021】
上記したように、この実施の形態によれば、封筒Pに対してその先端側のフラップPbから封筒本体Paの後端部に亘ってレーザ光Rを走査して封筒Pの封緘状態を判別するため、フラップPbが多少位置ずれしたり、よじれ変形していた場合でも、レーザ光を確実にフラップPbと封筒本体Paに走査でき、封緘状態の判別が可能となる。
【0022】
また、検出波形はフラップPbの開封量によって変化するため、立下り波形部Hcの高さが一定高さ以上のもの、即ち、フラップPbが一定量以上開封する封筒のみを検出するように設定することも可能である。
【0023】
さらに、封筒Pの厚さに関係なく、フラップPbの開封量を検出できるため、封筒Pの厚さに応じてレーザ変位計13a,13bの位置を調整する必要がなく、手間を省くこともできる。
【0024】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態である封緘検査装置を示す構成図。
【図2】図1の封緘検査装置の検査部を拡大して示す図。
【図3】図2の検査部を示す斜視図。
【図4】図2の検査部によって検出される検出波形を示すもので、(a)は封筒のフラップ密閉時の検出波形を示す図、(b)は封筒のフラップ開封時の検出波形を示す図。
【図5】図2の検査部の検出に基づいて封筒の封緘状態を判別するための回路を示すブロック図。
【図6】図2の検査部による検出動作を示す図。
【符号の説明】
【0026】
P…封筒媒体、Pa…封筒本体、Pb…フラップ、Ha、Hb…波形、Hc…立下り波形部(高い部分)、3…搬送機構(搬送手段)、5…検出部(検出手段)、4…判別部(判別手段)、14a,14b…エアー吹付ノズル(エアー吹付手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒本体に一体的に形成されるフラップを折り曲げて接着することにより封緘される封筒をそのフラップ側を先頭にして搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送される前記封筒にそのフラップ側から後端側に向かってレーザ光を走査し、前記封筒から反射されるレーザを受光することにより、前記封筒の搬送方向に沿う厚さ方向の形状を検出する検出手段と、
この検出手段が検出した形状に基づいて前記封筒の封緘状態を判別する判別手段と
を具備することを特徴とする封緘検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記封筒の厚さ方向の形状に応じた波形を検出し、
判別手段は、前記検出手段で検出される波形の高さが一定であるのに基づいて前記フラップが密閉状態であると判別し、前記検出手段で検出される波形に局部的に高い部分が存在するのに基づいて前記フラップが開封状態であると判別することを特徴とする請求項1記載の封緘検査装置。
【請求項3】
前記検出手段に搬送されてくる前記封筒のフラップにエアーを吹き付けて浮かせるエアー吹付手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の封緘検査装置。
【請求項4】
前記検出手段及びエアー吹付手段は、前記封筒の搬送方向に対し交差する方向に所定間隔を存して一対配設されることを特徴とする請求項3記載の封緘検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−107671(P2009−107671A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282248(P2007−282248)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】