説明

導電性ローラ及びそれを備えた画像形成装置

【課題】製造に長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を有する上、耐久性が改善された導電性ローラを提供する。
【解決手段】シャフト部材2と、該シャフト部材2の半径方向外側に配設された弾性層3と、該弾性層3の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層4とを備え、少なくとも前記弾性層3に隣接する塗膜層4が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた、弾性率が100MPa以下である紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする導電性ローラ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性層及び塗膜層を有する導電性ローラ並びに該導電性ローラを備えた画像形成装置に関し、特に耐久性が改善された導電性ローラ及び該導電性ローラを備え、良好な画像を形成することが可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ(LBP)等の電子写真方式の画像形成装置においては、現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として、ロール形状の導電性弾性部材、即ち、導電性ローラが多用されており、該導電性ローラは、通常、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された一層以上の弾性層とを備えている。また、該導電性ローラは、該ローラの硬度の向上、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、更に塗膜層を備える場合がある。
【0003】
上記導電性ローラのシャフト部材には、鉄やステンレス等の金属の他、エンジニアリングプラスチック等の種々の樹脂が用いられる。また、上記導電性ローラの弾性層には、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーが用いられており、該弾性層はエラストマー原料を所望のキャビティー形状を有するモールドに注入し、加熱硬化させることにより製造されている。更に、上記塗膜層は、シャフト部材と弾性層とからなるローラ本体を、樹脂を含有する溶剤系若しくは水系の塗工液中にディップ又は該塗工液をローラ本体にスプレーした後に、熱又は熱風で乾燥硬化して形成されている。ここで、塗膜層の形成には長時間の乾燥が必要なため、その量産には長い乾燥ラインが必要であり、また、塗膜層は、その用途から微妙な導電性及び表面状態を有することが要求されるが、乾操ライン内の温度分布及び風量等のバラツキが塗膜層の性能に大きく影響するため、品質上の問題があった。
【0004】
これに対し、長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を形成する手法として、ローラの弾性層の表面に紫外線硬化性の樹脂原料を塗布し、該樹脂原料を硬化させて、弾性層の表面に紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を形成する技術が提案されている(特開2002−310136号公報参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−310136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紫外線硬化性の樹脂原料を紫外線硬化させて形成された塗膜層は、通常、弾性層に比べて硬度が高いので、かかる塗膜層を有する導電性ローラを画像形成装置に使用した場合、使用中に塗膜層の割れや削れが発生し、ローラの耐久性が低下する問題があった。また、塗膜層の硬度が高すぎると、感光体等の隣接部材が削れる問題もあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造工程に長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を有する上、耐久性が改善された導電性ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる導電性ローラを用いて良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、弾性層の表面に塗膜層を配設した導電性ローラにおいて、該塗膜層に(メタ)アクリレートオリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含む原料組成物を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂を用い、該塗膜層の弾性率を一定値以下に制御することで、優れた耐久性を有する導電性ローラが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の導電性ローラは、シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備え、
少なくとも前記弾性層に隣接する塗膜層が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた、弾性率が100MPa以下である紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の導電性ローラにおいて、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層がこの紫外線硬化型樹脂から形成されていればよく、導電性ローラが塗膜層を二層以上有している場合、他の塗膜層はこれに限定されるものではない。
【0011】
本発明の導電性ローラは、前記塗膜層の厚さの合計が5μm以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の導電性ローラの好適例においては、前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、官能基数が2〜4である。
【0013】
本発明の導電性ローラにおいて、前記(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及びケイ素又はフッ素を含む(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、上記の導電性ローラを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弾性層の表面に一層以上の塗膜層を配設した導電性ローラにおいて、少なくとも前記弾性層に隣接する塗膜層に、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む原料混合物を紫外線照射で硬化させた、弾性率が100MPa以下である紫外線硬化型樹脂を用いることで、削れ、割れに対する耐久性が改善された導電性ローラを提供することができる。また、かかる導電性ローラを備え、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<導電性ローラ>
以下に、本発明の導電性ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の導電性ローラの一例の断面図である。図示例の導電性ローラ1は、シャフト部材2と、該シャフト部材2の半径方向外側に配設された弾性層3と、該弾性層3の半径方向外側に配設された塗膜層4とを備える。なお、図1に示す導電性ローラ1は、塗膜層4を一層のみ有するが、本発明の導電性ローラは、塗膜層を二層以上有していてもよい。
【0017】
本発明の導電性ローラは、少なくとも弾性層3に隣接する塗膜層4が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなり、該紫外線硬化型樹脂は、弾性率が100MPa以下であることを特徴とする。ここで、塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂の弾性率を100MPa以下にすると、該塗膜層の硬度を低減することができる。このため、導電性ローラの耐久性は向上し、塗膜層の割れ・削れの発生を防ぐことができる。また、一般に導電性ローラは、印字の際に感光体等の隣接部材と直接接触し、適度にニップしながら回転するため、塗膜層の弾性率が高すぎると、感光体等の隣接部材が削れることになる。しかしながら、本発明の導電性ローラは、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂の弾性率が100MPa以下であるので、感光体等の隣接部材の削れを抑制することができる。また、本発明の導電性ローラが複数枚の塗膜層を有する場合においては、さらに最外層の塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂の弾性率を100MPa以下にすることで、感光体等の隣接部材の削れを更に抑制することができる。
【0018】
また、本発明の導電性ローラは、上記した通り、塗膜層を一層のみ有してもよいし、二層以上の塗膜層を有することもできるが、いずれの場合も、塗膜層の厚さの合計は5μm以上であることが好ましく、5〜50μmであることが更に好ましい。塗膜層の厚さの合計が5μm以上であれば、ニップ時の塗膜層の変形を十分に確保できるため、塗膜層の削れを抑制する。また、塗膜層の厚さの合計が5μm未満では、塗膜層を配設する効果が小さい。
【0019】
上記塗膜層用原料に用いる(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を1つ以上有するオリゴマーである。(メタ)アクリレートオリゴマー(A)としては、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー、フッ素系(メタ)アクリレートオリゴマー、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε-カプロラクトンの付加物等と、(メタ)アクリル酸との反応により、或いはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。なお、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
上記ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。また、上記エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し且つグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が更に好ましい。更に、上記エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
【0021】
上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、特に制限されないが、重量平均分子量が4500以上であることが好ましく、6000以上であることが更に好ましく、そして、かかる重量平均分子量が40000以下であることが好ましい。ここで、該重量平均分子量が4500以上であれば、塗膜層に伸び特性を付与することができ、ローラの耐久性が改善される。一方、重量平均分子量が40000を超えると、塗膜層の粘着性が低下し、作業性が低下してしまう場合がある。
【0022】
上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、特に制限されないが、官能基数が2〜4であることが好ましく、2〜3であることが更に好ましい。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基を指し、官能基数とは、平均官能基数を指す。(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の官能基数が上記特定範囲にあれば、紫外線硬化型樹脂の架橋密度が低下し、その弾性率を低減することができる。また、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の官能基数が2未満では、反応速度が低下するだけでなく、反応点が減少するために、未反応物が増加し、感光体等の隣接部材への汚染物質の付着等が起こる場合がある。一方、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の官能基数が4を超えると、硬度が高くなり過ぎるだけでなく、脆くなってしまい、塗膜層の削れが発生する場合がある。
【0023】
上記塗膜層用原料に用いる(メタ)アクリレートモノマー(B)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を1つ以上有するモノマーであり、反応性希釈剤として作用し、即ち、紫外線で硬化する上、塗膜層用原料の粘度を低下させることが可能である。なお、(メタ)アクリレートモノマー(B)の分子量は、特に制限されないが、70〜2000であることが好ましい。また、(メタ)アクリレートモノマー(B)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
上記(メタ)アクリレートモノマー(B)は、官能基数が1〜4であることが好ましい。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基を指し、官能基数とは、平均官能基数を指す。(メタ)アクリレートモノマー(B)の官能基数が4を超えると、紫外線硬化型樹脂中の架橋密度が増加するため、その弾性率を上昇させるおそれがある。
【0025】
上記(メタ)アクリレートモノマー(B)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の他、嵩高い置換基又は極性基を有するものが好ましい。(メタ)アクリレートモノマーが嵩高い置換基又は極性基を有することで、重合後の高分子鎖は立体的に嵩高くなり、又は高分子鎖内の極性基相互作用が強くなる結果、高分子の結晶性が低下する。一般に、非晶性高分子は、結晶性高分子より伸び特性が良好である傾向があるため、嵩高い置換基又は極性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、紫外線硬化型樹脂の弾性率の低下に有効であると考えられる。かかる(メタ)アクリレートモノマー(B)として、具体的には、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が好適に挙げられる。なお、(メタ)アクリレートモノマーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
また、上記(メタ)アクリレートモノマー(B)は、分子内にケイ素又はフッ素を含有することもできる。(メタ)アクリレートモノマーが分子内にケイ素又はフッ素を有することで、紫外線硬化型樹脂の表面の摩擦係数を増加させることなく、該樹脂の柔軟性を高めることができる。これは、ケイ素又はフッ素が持つ撥水性、撥油性に起因していると考えられる。これにより、紫外線硬化型樹脂の弾性率を低減することができる。
【0027】
上記ケイ素を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好ましい。ここで、両末端反応性シリコーンオイル類及び片末端反応性シリコーンオイル類とは、反応性末端としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を末端に導入したものを指す。
【0028】
上記両末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(I):
【化1】

(式中、mは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイルが挙げられる。該両末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X-22-164A」(粘度25mm2/s、官能基当量860g/mol)、品名「X-22-164B」(粘度55mm2/s、官能基当量1630g/mol)、品名「X-22-164C」(粘度90mm2/s、官能基当量2370g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16-152B」(粘度40cs/25℃、メタクリル基当量1300g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BY16-152」(粘度85cs/25℃、メタクリル基当量2800g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BX2-152C」(粘度330cs/25℃、メタクリル基当量5100g/mol、25℃での比重0.97)等を用いることができる。
【0029】
また、上記片末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(II):
【化2】

(式中、R1は、メチル基又はブチル基であり、nは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイル及び下記式(III):
【化3】

で表されるシリコーンオイルが挙げられる。該片末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X-24-8201」(粘度25mm2/s、官能基当量2100g/mol)、品名「X-22-174DX」(粘度60mm2/s、官能基当量4600g/mol)、品名「X-22-2426」(粘度180mm2/s、官能基当量12000g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16-122A」(粘度5cs/25℃、屈折率1.417、25℃での比重0.92)等を用いることができる。
【0030】
更に、上記(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、3-メタクリロキシプロピルジクロロメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl2CH3]、3-アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)2CH3]、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3]、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)2CH3]、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3]、3-メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC25)2CH3]、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC25)3]等が挙げられる。該(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品番「LS-2080」、「LS-2826」、「LS-2827」、「LS-3375」、「LS-3380」、「LS-4548」、「LS-5118」等を用いることができる。
【0031】
一方、上記フッ素を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、水素原子の1つ以上がフッ素で置換された炭素数5〜16のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート[CF3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率37質量%]、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート[CF3CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率47質量%]、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[CF3(CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率54質量%]、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率49質量%]、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[CF3(CF2)5CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、3-(パーフルオロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率55質量%]、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率62質量%]、3-(パーフルオロオクチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、2-(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[CF3(CF2)9CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率65質量%]、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57質量%]、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率52質量%]、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率61質量%]、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57質量%]、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率64質量]、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率60質量%]、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルアクリレート[CHF2CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率41質量%]、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート[CHF2(CF2)3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率53質量%]、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルアクリレート[CHF2(CF2)5CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[CHF2(CF2)7CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率63質量%]、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CF3)2CHOCOCH=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルアクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率48質量%]、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート[CF3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率34質量%]、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率44質量%]、2-(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)3CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率47質量%]、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)5CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、3-(パーフルオロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率53質量%]、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61質量%]、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、2-(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)9CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率63質量%]、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率55質量%]、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59質量%]、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率56質量%]、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率62質量%]、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルメタクリレート[CHF2CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート[CHF2(CF2)3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[CHF2(CF2)5CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[CHF2(CF2)7CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61質量%]、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CF3)2CHOCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率48質量%]、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率46質量%]等が挙げられる。
【0032】
上記塗膜層用原料において、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)及び(メタ)アクリレートモノマー(B)の合計に占める(メタ)アクリレートモノマー(B)の割合は、10〜60質量%の範囲が好ましい。上記(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有率が10質量%未満では、紫外線硬化膜にタック感があるため、摩擦による摩耗が発生するおそれがあり、一方、60質量%を超えると、紫外線硬化膜に未反応のモノマーが残り易く、未硬化成分のブリードが問題となる。
【0033】
上記塗膜層用原料に用いる光重合開始剤(C)は、紫外線を照射されることによって、上述した(メタ)アクリレートオリゴマー(A)及び(メタ)アクリレートモノマー(B)の重合を開始させる作用を有する。該光重合開始剤(C)としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記塗膜層用原料における光重合開始剤(C)の配合量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲が好ましい。
【0034】
上記塗膜層用原料においては、光重合開始剤(C)による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン系光重合促進剤、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系光重合促進剤、チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤等を更に塗料に添加してもよい。これら光重合促進剤の添加量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0035】
なお、本発明の塗膜層は、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなるが、弾性層に隣接する塗膜層以外の塗膜層は、特に限定されず、弾性層に隣接する塗膜層と同様であっても、異なってもよい。なお、弾性層に隣接する塗膜層用の原料は、上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)の他に、導電剤、微粒子、重合禁止剤等を含有することが好ましい。
【0036】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、導電性を付与するために、導電剤を含有してもよく、該導電剤としては、後述の弾性層に用いることができる導電剤と同様のものが挙げられる。
【0037】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、更に、微粒子を含有してもよい。塗膜層用原料に微粒子を含ませることで、導電性ローラの表面に適度な微小凹凸を形成することができる。該微粒子としては、ゴム、ウレタン又は合成樹脂製の微粒子やカーボン製の微粒子およびシリカ系微粒子等の無機微粒子が好ましく、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ガラス状カーボン製の微粒子およびシリカ微粒子が特に好ましい。これら微粒子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、該微粒子の含有量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0038】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、更に、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を添加することで、紫外線照射前の熱重合を防止することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシチオフェノール、α-ニトロソ-β-ナフトール、p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-キノン等が挙げられる。また、該重合禁止剤の含有量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.001〜0.2質量部の範囲が好ましい。
【0039】
本発明の導電性ローラにおいて、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが50%以上であることが好ましく、80〜800%であることが更に好ましい。該紫外線硬化型樹脂の破断伸びが50%未満では、塗膜層の伸びが損なわれ、ローラの耐久性が低下するおそれがある。
【0040】
また、本発明の導電性ローラにおいて、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂は、摩擦係数が0.5以下であることが好ましく、0.1〜0.5であることが更に好ましい。該紫外線硬化型樹脂の摩擦係数が0.5を超えると、トナーや他の隣接部材等との接触部に強い摩擦力が働くため、ローラの耐久性が低下するおそれがある。
【0041】
更に、本発明の導電性ローラにおいて、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂は、ガラス転移点(Tg)が-30℃以上であることが好ましく、-10〜80℃であることが更に好ましい。上記した紫外線硬化型樹脂の摩擦係数を低く抑える手段としては、紫外線硬化型樹脂のガラス転移点(Tg)を高めることが有効である。また、ガラス転移点(Tg)が-30℃未満では、表面摩擦が高くなり、トナー劣化が起き易くなる。
【0042】
本発明の導電性ローラのシャフト部材としては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体や高剛性樹脂製の円筒体等が挙げられる。なお、シャフトに高剛性の樹脂を使用する場合、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0043】
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーから形成され、必要に応じて導電剤等の他の成分を含むことができる。該弾性層に用いるエラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ポリノルボルネンゴム、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、ポリウレタンが好ましい。該弾性層には、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用いてもよい。具体的には、エラストマー原料、好ましくはウレタン原料を機械攪拌により発泡させたものを、予めシャフト部材2が配置された円筒状のモールドに注入し、反応硬化させることで、シャフト部材2の半径方向外側に弾性層3を有するローラ本体を得ることができる。また、本発明の導電性ローラの弾性層は、上述した塗膜層に用いる(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマー等を含む原料を紫外線硬化させて形成した紫外線硬化型樹脂から構成されていてもよい。
【0044】
上記弾性層に用いる導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤等が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。
【0045】
本発明の導電性ローラは、例えば、塗膜層を構成する各成分を含む塗膜層用原料(塗料)を調製し、シャフトの外周に弾性層を形成してなるローラ本体の外表面に塗布した後、紫外線照射して塗膜層を形成することで作製できる。また、塗膜層を二層以上有する導電性ローラにおいては、同様の手順を繰り返し行うことで作製できる。この場合、本発明の導電性ローラは、製造に長い乾燥ラインを必要とせず、また、安定した品質の塗膜層を有する。なお、塗膜層用原料(塗料)を弾性層及び塗膜層の外表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、各種原料に含まれる成分及び塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
【0046】
上述した本発明の導電性ローラは、画像形成装置の現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として用いることができる。
【0047】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述した導電性ローラを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記導電性ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0048】
以下に、図を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム5と、感光ドラム5の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム5を帯電させるための帯電ローラ6と、トナー7を供給するためのトナー供給ローラ8と、トナー供給ローラ8と感光ドラム5との間に配置された現像ローラ9と、現像ローラ9の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード10と、感光ドラム5の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ11と、感光ドラム5に隣接して配置されたクリーニングローラ12とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0049】
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム5に帯電ローラ6を当接させて、感光ドラム5と帯電ローラ6との間に電圧を印加して、感光ドラム5を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム5上に形成する。次に、感光ドラム5と、トナー供給ローラ8と、現像ローラ9とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ8上のトナー7が現像ローラ9を経て感光ドラム5に送られる。現像ローラ9上のトナー7は、成層ブレード10により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ9と感光ドラム5とが接触しながら回転することにより、トナー7が現像ローラ9から感光ドラム5の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー7は、転写ローラ11で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム5上に残留するトナー7は、クリーニングローラ12によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、例えば、帯電ローラ6、トナー供給ローラ8、現像ローラ9、転写ローラ11及びクリーニングローラ12の少なくともいずれかに、例えば上述した弾性層3と塗膜層4とを備え、優れた耐久性を有する導電性ローラ1を用いることで、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
【実施例】
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0051】
まず、実施例1〜26及び比較例1〜6に共通した仕様の弾性層を有するローラ本体を以下の処方に基づき作製した。
【0052】
(ローラ本体の作製)
ポリエーテルポリオールによりプレポリマー化されたNCO含有率6.7%のポリオール変性トリレンジイソシアネートであるイソシアネート成分100質量部と、導電性カーボンブラック2.0質量部、水酸基価37.0mgKOH/gで平均官能基数3のポリエーテルポリオール21質量部、水酸基価388mgKOH/gで平均官能基数3のポリエーテルポリオール19質量部、水酸基価34mgKOH/gの反応性シリコーン整泡剤(ポリジメチルシロキサン/ポリエチレンオキサイド共重合体)5質量部、過塩素酸ナトリウム0.3質量部及びジブチルスズジラウレート0.2質量部とを混合し、ポリウレタン原料を調製した。このポリウレタン原料をメカニカルフロス法により発泡させた。この発泡ポリウレタン原料を、金属軸がセットされた金型に注型することにより、軸の周囲にウレタン発泡体の弾性層を有するローラ本体を作製した。なお、得られたウレタン発泡体の発泡倍率は1.6倍であった。
【0053】
<実施例1〜26及び比較例1〜6>
次に、上記ローラ本体の表面に、表1〜3に示す配合処方の塗膜層用塗工液をロールコーターにて塗布し、UV照射強度1500mW/cm2で5秒間UV照射して、表面にUV塗膜[厚さ:20μm]を有する導電性ローラを得た。得られた導電性ローラにおいて、ローラ耐久性試験を下記の方法で評価した。また、塗膜層用塗工液を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂の弾性率、破断伸び、ガラス転移点及び摩擦係数についても、下記の方法で測定した。結果を表1〜3に示す。
【0054】
(1)ローラ耐久性試験
導電性ローラを現像ローラとして画像形成装置に組み込み、5000枚印刷した後、導電性ローラにおけるローラ削れの度合いを、目視にて下記基準で判断した。
ローラの表面に線が見えないか、見えても段差が確認できないものを「○」、ローラの表面に段差がはっきり確認できるものを「×」とした。
【0055】
(2)紫外線硬化型樹脂の破断伸び及び弾性率
JIS法プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法(JIS K 7127−1989)で評価した。具体的には、樹脂塗料をガラスモールド中でUV硬化させ、樹脂プレートを作製し、全長20cm、幅1〜2.5cmの短冊状に切り、サンプルとした。このサンプルについて、チャック間距離10cmとし、引っ張り試験機[(株)オリエンテック製STA−1150]にて、破断時の伸び率を記録した。また、弾性率は、上記サンプルの5%伸びにおける応力から計算した。
【0056】
(3)紫外線硬化型樹脂のガラス転移点(Tg)
塗膜層用塗工液を用いて、厚さ0.5mmの膜を作製し、温度可変粘弾測定器によって算出した。
【0057】
(4)紫外線硬化型樹脂の摩擦係数
導電性ローラを水平に固定し、トナー封止に使用されているフェルトを貼り付けた摩擦計により静止摩擦係数の3点平均を測定した。なお、該摩擦計として、新東科学(株)製HEIDON トライボギアミューズ TYPE:941を使用した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
*1 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本化薬(株)製,官能基数=2,重量平均分子量=11500.
*2 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,官能基数=2,重量平均分子量=18000.
*3 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,官能基数=2,重量平均分子量=10000.
*4 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,官能基数=2,重量平均分子量=5000.
*5 ウレタンアクリレートオリゴマー,共栄社化学(株)製,官能基数=2,重量平均分子量=4500.
*6 ウレタンアクリレートオリゴマー,第一工業製薬(株)製,官能基数=3,重量平均分子量=5000以上.
*7 極性基含有アクリレートモノマー,アクリロイルモルホリン,新中村化学工業(株)製.
*8 嵩高い置換基含有アクリレートモノマー,イソボルニルアクリレート,共栄社化学(株)製.
*9 嵩高い置換基含有アクリレートモノマー,フェノキシエチルアクリレート,共栄社化学(株)製.
*10 アクリレートモノマー,ラウリルアクリレート,共栄社化学(株)製.
*11 アクリレートモノマー,ジイソプロピルメトキシアクリレート,共栄社化学(株)製.
*12 2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート,共栄社化学(株)製.
*13 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート,共栄社化学(株)製.
*14 シリコーンアクリレート,片末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*15 シリコーンアクリレート,片末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*16 シリコーンアクリレート,側鎖両末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*17 シリコーンアクリレート,両末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*18 シリコーンアクリレート,片末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*19 シリコーンアクリレート,片末端反応性シリコーンオイル,信越シリコーン(株)製.
*20 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製.
【0062】
表1〜3から、実施例の導電性ローラは、弾性率が100MPa以下の紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を用いたことで、比較例の導電性ローラよりも耐久性が良好であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の導電性ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 導電性ローラ
2 シャフト部材
3 弾性層
4 塗膜層
5 感光ドラム
6 帯電ローラ
7 トナー
8 トナー供給ローラ
9 現像ローラ
10 成層ブレード
11 転写ローラ
12 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備える導電性ローラにおいて、
少なくとも前記弾性層に隣接する塗膜層が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた、弾性率が100MPa以下である紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記塗膜層の厚さの合計が、5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、官能基数が2〜4であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレートモノマー(B)が、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及びケイ素又はフッ素を含む(メタ)アクリレートモノマーよりなる郡から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ローラを用いた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−145798(P2009−145798A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325546(P2007−325546)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】