説明

局所的曲率分布パターンの分析方法

複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法を提供する。この方法は、画像中の曲面を識別し(101)、曲面中のそれぞれのポイントに関して、第1曲率測度を計算し(102)、曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれのポイントが1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれのポイントを中心に1組のリングを形成し(103)、それぞれのリングに関して、第1曲率測度の標準偏差を計算し(104)、第1曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択する(105)ステップを含む。選択されたリングに関して、第1曲率勾配を計算し(107)、曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去する(108)。

【発明の詳細な説明】
【関連米国出願の相互参照】
【0001】
本願は、その一部として引用する、2003年8月13日付Anna Jerebkoの仮特許出願第60/494,909号「局所的曲率分布パターンの分析」に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
最新の撮像システムによって収集されるデータから利用できる診断に有益な情報は、早期且つ治療可能な段階での問題部位検出を可能にする。撮像システムによって収集できる厖大な量の詳細データに基づき、効率よく且つ正確に画像データを処理するには種々のアルゴリズムを開発しなければならない。
【0003】
ディジタル画像を作成するためのディジタル収集システムとしては、ディジタルX-線フィルム写真術、コンピュータ断層撮影(“CT”)、磁気共鳴撮像(“MRI”)、超音波(“US”)のほか、核医学撮像技術、例えば、陽電子放出断層撮影(“PET”)や単光子放出コンピュータ断層撮影(“SPECT”)などがある。ディジタル画像は、例えば、典型的なx-線フィルムのようなアナログ画像をディジタル化形式で走査することによって、アナログ画像からディジタル画像を作成することができる。しかし、人間、例えば、医師がディジタル画像中の多量のデータを手作業で解釈することは困難且つ煩雑である。コンピュータ援用診断(“CAD”)システムは特に可視化、分割、検出、位置合わせ、病理報告書作成において人間を助ける上で重要な役割を演ずる。
【0004】
ディジタル画像は特定の数値配列箇所によって示される解剖学的部位と関連する(グレー・スケール値または磁場強さのような)特性を表わす数値配列から形成される。解剖学的部位は画像の特定領域から成る。2Dディジタル画像またはスライス断面において、不連続配列箇所を画素と呼称する。3次元ディジタル画像は2D画像の画素から成る、ボクセルとも呼称される不連続ボリューム・エレメントで構成される。画素またはボクセルの特性を処理することによって、これらの画素またはボクセルと関連する患者の解剖学的部位に関する種々の特性を確認することができる。
【0005】
画素及び/またはボクセルを分析することによって解剖学的部位及び構造が構成され、評価されたら、関連領域の局部的な特性及び特徴を処理し、分析することによって撮像システムの精度及び有効性を高める。
【0006】
より重要なCADタスクの1つはボリューム・データ(例えば、CTボリューム・データ)から種々のタイプの癌を選別し、早期検出することである。例えば、結腸癌のような癌は癌性腫瘍の早期検出及び除去の結果として死亡率の低下を示している。病変部位は幾何学形状が球形または半球形を呈するのが典型的である。多くの場合、これらの球形病変部位は線形または部分的に線形の面に付着している。例えば、結腸ポリープは結腸壁及び襞から内腔へ突出する。残念ながら、既存の方法では病状が進行した段階になるまで種々の癌の特徴的な症状を検出することはできない。従って、予防的な癌選別を進歩させるための第1のゴールは特徴的な病状の早期検出を可能にすることである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は1つの実施例として、複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法を提供する。この方法は、前記画像中の曲面を識別し、曲面中のそれぞれのポイントに関して、第1曲率測度を計算し、曲面中のそれぞれのポイントに関してそれぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し、それぞれのリングに関して、第1曲率測度の標準偏差を計算し、第1曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し、選択されたリングに関して、第1曲率勾配を計算し、曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去するステップを含む。
【0008】
本発明の方法の他の実施例は前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し、それぞれのクラスタに関して第1曲率勾配の極値を計算し、それぞれのクラスタに関して、最大の第1曲率勾配極値を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し、問題の病変部位の支持下面を補間するステップを含む。支持下面は前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する。
【0009】
本発明はさらに他の実施例として、複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法を提供する。この方法は前記画像中の曲面を識別し、曲面中のそれぞれのポイントに関して、ガウス曲率及び平均曲率を計算し、曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し、それぞれのリングに関して、ガウス曲率の標準偏差及び平均曲率の標準偏差を計算し、ガウス曲率及び平均曲率の標準偏差が最小であるリングを選択し、選択されたリングに関して、ガウス曲率勾配及び平均曲率勾配を計算し、ガウス曲率勾配がゼロ以上であるか、または平均曲率勾配がゼロ以下であるポイントを曲面から削除するステップを含む。
【0010】
本発明の方法のさらに他の実施例は、前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し、それぞれのクラスタに関して、最小のガウス曲率勾配及び最大の平均局率勾配を計算し、最小のガウス曲率勾配及び最大の平均曲率勾配を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し、前記病変部位の支持下面を補間する。支持下面は前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する。
【0011】
本発明はさらに他の実施例として、複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法ステップを実施するための、コンピュータによって実行可能な命令プログラムを記憶させたコンピュータ可読プログラム記憶装置を提供する。前記方法は前記画像中の曲面を識別し、曲面中のそれぞれのポイントに関して、第1曲率測度を計算し、曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し、それぞれのリングに関して、第1曲率測度の標準偏差を計算し、第1曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し、選択されたリングに関して、第1曲率勾配を計算し、曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去するステップを含む。
【0012】
本発明のさらに他の実施例として、上記方法は前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し、それぞれのクラスタに関して、第1曲率勾配の極値を計算し、それぞれのクラスタに関して、最大の第1曲率勾配極値を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し、前記病変部位の支持下面を補間するステップを含む。前記支持下面は前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の図示例を以下に説明する。本願明細書では煩雑になるのを避けるため、細部の説明を省く。当然のことながら、発明の実施態様を開発する際には、それぞれの開発者の目的を達成する、例えば、それぞれの実施態様に応じて異なるシステム及び業務に関連する基準を満たすように、実施態様に固有の種々の判断を下さねばならない。さらにまた、このような開発努力は複雑であり、多大の時間を要するが、本発明の開示内容の恩恵を受ける当業者が当然取り組まねばならない仕事である。
【0014】
本発明の実施態様は多様であるが、ここでは特定の実施態様を例に取り、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に説明する特定の実施態様が発明の範囲を制限するものではなく、本発明は添付の請求項が定義する本発明の思想と範囲を逸脱しない限り、あらゆる変更実施態様及びなど価実施態様をも包含するものである。
【0015】
以下に述べる方法は、例えば、CTまたはMRI画像のような3D医療体積画像からの異常構造発見に係わる。この方法は人体の空洞臓器、例えば、気道、結腸、泌尿器、胆嚢などの表面におけるポリープまたはその他の病変部位の検出及び特徴付け、動脈内のプラーク形成などに応用できる。本発明の適用に先立って、問題器官の表面を検出するため、3D体積画像を予備処理されている。この予備処理には、空洞臓器組織と空気または流動体またはその他の物質(例えば、結腸内の排泄物)との境界である器官表面を検出する任意の方法、例えば、3Dキャニー・エッジ抽出方法を利用すればよい。
【0016】
結腸ポリープの曲率及び形状を分析する既存の方法は球形または楕円形を呈するポリープまたはポリープ表面の部分を考慮する。しかし、ポリープが結腸壁から突出する境界に沿って曲率が変化する。ここに開示する方法は推測されるポリープ曲面中心から側地学的に等距離の線に沿って、ポリープが周囲の組織と融合する曲面部分に向かって現れる曲率分布の分析に基づく。これらの方法は、病変部位面のポリープ中心近傍のボクセルが最大曲率を有し、病変部位中心から遠くなるに従って曲率が小さくなるという想定に基づいている。
【0017】
ガウス曲率、主曲率、平均曲率、最小曲率、最大曲率などのような種々の曲率測度、及びそのパターンを組み合わせて、または個別に考慮することができる。例えば、ガウス曲率はポリープ面中心からの側地学的距離が大きくなるに従って小さくなり、ポリープが周囲組織と融合する位置で負またはゼロになる。平均曲率はこれとは逆のパターンを辿る。
【0018】
本発明の方法では、好ましくは曲面のすべてのポイント(ボクセル)における平均曲率及びガウス曲率の少なくとも一方を計算し、より好ましくは平均曲率及びガウス曲率の双方を計算する。尚、本発明の範囲を逸脱しない限り、上記以外の曲面曲率測度を使用してもよい。本発明の方法をガウス及び平均曲率に関連して説明するが、本発明の方法はこの2つの曲率測度に制限されるものではない。病変部位の曲率及び形状を分析する既存の方法は球形または楕円形を呈する病変部位またはその表面の部分を考慮する。ここでは、問題の病変部位が器官表面から突出し、多少とも対称的な形状を呈すると想定し、対称性を強調している。病変部位の頂部中心スポットと整合する病変部表面における同心リングの曲率はリング内で微妙な変化を示し、特殊なパターンを辿る:即ち、曲率は病変部位の頂部から病変部位が周囲組織と融合する曲面部分に向かって徐々に変化する。これらの方法は器官表面内の空洞、例えば、結腸憩室の発見にも利用でき、この場合、曲率は逆のパターンを辿る。
【0019】
ポリープが周囲組織と融合する曲面部分を含めて、推測される病変部位中心から半径方向に沿って曲率分布の分析を行う。病変部位面のポリープ中心の近傍ではボクセルが最大のガウス曲率を有し、ポリープ中心から遠ざかるに従ってガウス曲率が小さくなり、ポリープが周囲組織と融合する位置では負またはゼロに近くなる(図1)。平均曲率は逆のパターンを辿る。
【0020】
ガウス曲率を考察する場合、中心からあらゆる方向に半径に沿った曲率分布の最も一般的なパターンはほぼ余弦関数で表わすことができる:中心スポットにおける最大曲率は中心から遠ざかるに従って次第に小さくなり、屈曲帯状域において負となり、次いで再び上昇する。余弦形状の曲率変化パターンは多少とも丸みを帯びたポリープ・キャンディデートの存在を示唆する。余弦形状曲率分布の例を図2に示す。結腸ポリープ及び気道病変部位のような非扁平病変部位が結腸壁及び正常な面の襞から内腔へ突出している。突出部の境界に沿って曲率の変化が観察される。不均一な病変面、例えば、扁平または細長いまたは不規則なポリープ形状及び付着した襞状構造の場合、理想的な挙動を提供してくれない。曲面が理想的な半球形状とは程遠い形状になれば、曲率のパターンは次第に余弦形状から崩れてゆく。実際の曲率値はかなり広い角度に亘って散布することになる。しかし、病変部位の多くは同じ器官内の健康な構造とは異なる“余弦”パターンの曲率分布を辿る。真球度または曲率そのもの、例えば、ガウス曲率、平均曲率、主曲率にだけ依存する方法とは異なり、屈曲帯状域における曲率の標準偏差と組合わせた曲率勾配は病変部位の真円度及び対称性を不変スケールで示す測度である。
【0021】
本発明の好ましい方法では、器官内壁に沿ったすべてのポイントにおける曲率の強さを計算する。それぞれの場所において、選択された位置の半径内での曲率分布の散布図を算出し、分析する。図1に示すように、先ずステップ101において、問題のボリュームに対して3Dエッジ抽出方法を適用することによって器官内壁の面ボクセルを発見する。エッジ抽出方法の1例として、細い、切れ目のないエッジを生成するCannyエッジ抽出方法がある。
【0022】
曲面が識別されたら、ステップ102において、それぞれの面ボクセルに関し、平均曲率(H)及び/またはガウス曲率(K)を計算する。グレー・スケール画像I(x、y、z)に関してガウス曲率(K)及び平均曲率(H)を下記式:


式(1)及び(2)において、I(x、y、z)は曲面(x、y、z)∈ Rのボクセル強さを表わし、Iはxに関する画像データの偏導関数を表わし、Ixzはx及びz、などに関する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iである。
【0023】
ステップ103において、中心から側地学的に等距離にあるボクセルによってそれぞれの面ボクセルの周りにリングを形成し、個々のリング内のすべての面ボクセルについて平均曲率(H)及びガウス曲率(K)を計算する。例えば、距離として整数を使用することによってリングを形成する:第1(中央)リングは中央ボクセルから1mmまでの距離D(D≦1mm)に位置するボクセルによって形成し、次のリングを距離1mm<D≦2mmにおけるボクセルによって形成し、以下同様に順次形成する。図3aは結腸ポリープをこのポリープの面上に重なり合うリングと共に示す。次いで、ステップ104において、それぞれのリング内のガウス曲率及び平均曲率の標準偏差を計算する。ステップ105において、曲率の標準偏差が最小であるリングを選択する。このリング群の中から、曲率の値が極値であるリング、即ち、最小ガウス曲率(Kmin)または最大平均曲率(Hmax)、または双方を選択することによって、中心が問題の構造の中心を画定する1組の同心リングを得る。
【0024】
最小ガウス曲率(Kmin)または最大平均曲率(Hmax)を有する1組のリングが得られたら、ステップ107において、下記式から曲率勾配を計算する:

【0025】
上記式において、
はガウス曲率勾配;
は平均曲率勾配;
は中央リングにおけるガウス曲率;
minは最小ガウス曲率を有するリングの曲率;
は中央リングにおける平均曲率;
maxは最大平均曲率を有するリングの曲率;
Kminは最小ガウス曲率を有するリングに相当する距離;
Kmaxは最大平均曲率を有するリングに相当する距離。
【0026】
図3bは曲率計算の半径方向を、計算の中心及び負曲率屈曲帯状域と一緒に示すグラフである。図4は曲率ポイントを、S及びS曲率勾配と一緒に示す散布グラフである。中央リングがポリープ状構造の頂部に位置すれば、曲率の極値、例えば、最小ガウス曲率及び/または最大平均曲率を有するリングは病変部位の屈曲帯状域に相当する可能性がある。負のガウス曲率勾配及び/または正の平均曲率勾配を有するボクセルは曲面上のポリープまたはその他の隆起に相当する可能性がある。襞またはその他の円筒状オブジェクトも同様の特性を有する可能性があるが、最小ガウス曲率及び/または最大平均曲率を有するリング内における曲率標準偏差はポリープ(またはその他の楕円形曲面ポイント)におけるよりも襞において著しく高い。このような想定の下に、ステップ108において、病変部位ではなく、むしろ扁平面または凹部に属するようなS≧0及び/またはS≦0である面ボクセルをすべて削除する。その上で、S及びSの閾値を設定することによって残余の曲面構造から病変部位をさらに明確にする。
【0027】
ステップ109において、残余の面ボクセルに関してグループ分けを行う。次いでステップ110において、クラスタ毎に曲率勾配、最小S及び/または最大Sの極値を計算する。所与の問題サブボリューム内で、すべてのクラスタの中から最小Sまたは最大Sを有するクラスタを問題の病変部位に該当するクラスタとして選択する。病変部位面は選択されたこのクラスタに属するボクセルによって表わされる。ステップ112において、病変ボリュームをその下方に位置する組織から分離する支持下面を補間によって決定する。前記選択されたクラスタと補間された切断面との間のボクセルは病変部位に属すると考えられる。
【0028】
以上に述べた好ましい方法は結腸に限らず、CT、MR、US、PETなどのような種々の撮像方法による気道やその他の器官の病変部位検出にも応用できる。
【0029】
尚、本発明は種々の形態のハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、専用プロセッサ、またはこれらの組み合わせとして実施することができる。少なくとも1つの実施例として、本発明をプログラム記憶装置に記憶させたアプリケーション・プログラムのようなソフトウエアとして実施することができる。このアプリケーション・プログラムを、計算可能な、且つ適切な構造を有するマシーンにアップロードし、実行させればよい。
【0030】
図5に示す本発明の実施例において、本発明を実行するコンピュータ・システム501は、主要な構成部分として、中央演算処理装置(CPU)502、メモリ503及び入/出力(I/O)インターフェース504を含む。コンピュータ・システム501は一般にI/Oインターフェース504を介してディスプレイ505及び種々の入力装置506、例えば、マウスやキーボードと接続する。サポート回路としては、キャッシュ回路、電源回路、クロック回路、コミュニケーションバス等が考えられる。メモリ503としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、等、またはこれらの組み合わせが考えられる。本発明はメモリ503に記憶させ、CPU502によって実行することによって信号源508からの信号を処理するルーチン507として実施することができる。即ち、コンピュータ・システム501は、本発明のルーチン507を実行する時には専用コンピュータ・システムとなる汎用コンピュータ・システムである。
【0031】
コンピュータ・システム501はオペレーション・システム及びマイクロ命令コードをも含む。ここに述べる種々のプロセス及び機能はオペレーション・システムによって実行されるマイクロ命令コードの一部またはアプリケーション・プログラムの一部(または両者の組合わせの一部)であると考えることができる。さらに、補助データ・メモリやプリンタのような種々の周辺機器をコンピュータ・システムに接続することも可能である。
【0032】
尚、添付の図面に示すシステム・コンポーネント及び方法ステップの幾つかはソフトウエアの形態で実施することができるから、システム・コンポーネント(またはプロセス・ステップ)間の実際の接続は、本発明がどのようにプログラムされるかに応じて異なる。当業者ならば、本発明の教示内容に基づいて本発明の上述した通りの、及びそれに類似の実施態様または構成を案出することができるであろう。
【0033】
以上に述べた具体例はあくまでも説明の便宜上選んだ実施例であり、本願明細書の開示内容から恩恵を受ける当業者なら、異なる、但し等価の態様で本発明を変更し、実施することができるであろう。また、添付の請求項に記載する事項以外の細部であれば、本発明は以上に述べた構成または設計の細部に制限されるものではない。従って、以上に述べた特定の実施例に変更を加えることは可能であり、そのような変更実施態様がすべて本発明の範囲及び思想に包含されることはいうまでもない。従って、本願が求める特許権は添付の請求項の記載内容によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の好ましい方法のフローチャートである。
【図2】余弦形状の曲率分布の例を示すグラフである。
【図3a】重なり合うリングと共に結腸ポリープを示す。
【図3b】重なり合う中心、屈曲帯状域及び曲率計算のラジアル方向と共に結腸ポリープを示す。
【図4】S及びSに関して計算された曲率勾配と共に曲率ポイントを示す散布グラフである。
【図5】本発明の好ましい実施例を実行するためのコンピュータ・システムの1例を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法において、前記方法が、
前記画像中の曲面を識別し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、第1曲率測度を計算し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し;
それぞれのリングに関して、第1曲率測度の標準偏差を計算し;
第1曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し;
選択されたリングに関して、第1曲率勾配を計算し;
曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去するステップを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記方法が、
前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し;
それぞれのクラスタに関して、第1曲率勾配の極値を計算し;
それぞれのクラスタに関して、最大の第1曲率勾配極値を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し;
前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する病変部位支持下面を補間するステップをも含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1曲率測度が式:
【数1】

によって定義されるガウス曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(K−Kmin)/DKmin
によって定義されるガウス曲率であり、この式において、
はガウス曲率勾配であり、
cは中心リングにおけるガウス曲率であり、
minはガウス曲率が最小であるリングの曲率であり、
Kminはガウス曲率が最小であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位ではガウス曲率勾配がゼロ未満であり、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最小曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最小のガウス曲率勾配であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1曲率測度が式:
【数2】

によって定義される平均曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(H−Hmax)/DKmax
によって定義される平均曲率勾配であり、この式において、
は平均曲率勾配であり、
cは中心リングにおける平均曲率であり、
maxは平均曲率が最大であるリングの曲率であり、
Kmaxは平均曲率が最大であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロよりも大きく、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最大曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最大の平均曲率勾配であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
曲面中のそれぞれのポイントに関して、第2曲率測度を計算し;
曲面中のそれぞれのリングに関して、第2曲率測度の標準偏差を計算し;
第2曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し;
選択されたリングに関して、第2曲率勾配を計算し;
第1曲率勾配及び第2曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去し;
それぞれのクラスタに関して、第2曲率勾配極値を計算し;
第1曲率勾配極値も第2曲率勾配極値も共に最極値であるクラスタを選択することによって、選択されたクラスタが問題の病変部位であることを識別するステップをも含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1曲率測度が式:
【数3】

によって定義されるガウス曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(K−Kmin)/DKmin
によって定義されるガウス曲率勾配であり、この式において、
はガウス曲率勾配であり、
cは中心リングにおけるガウス曲率であり、
minはガウス曲率が最小であるリングの曲率であり、
Kminはガウス曲率が最小であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロ未満であり、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最小曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最小のガウス曲率勾配であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2曲率測度が式:
【数4】

によって定義される平均曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第2曲率勾配が式:
=(H−Hmax)/DKmax
によって定義される平均曲率勾配であり、この式において、
は平均曲率勾配であり、
cは中心リングにおける平均曲率であり、
maxは平均曲率が最大であるリングの曲率であり、
Kmaxは平均曲率が最大であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロよりの大きく、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最大曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最大の平均曲率勾配であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法において、前記方法が、
前記画像中の曲面を識別し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、ガウス曲率及び平均曲率を計算し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し;
それぞれのリングに関して、ガウス曲率の標準偏差及び平均曲率の標準偏差を計算し;
ガウス曲率及び平均曲率の標準偏差が最小であるリングを選択し;
選択されたリングに関して、ガウス曲率勾配及び平均曲率勾配を計算し;
ガウス曲率勾配がゼロ以上であるか、または平均曲率勾配がゼロ以下であるポイントを曲面から削除する
ステップを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項9】
前記方法が、
前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し;
それぞれのクラスタに関して、最小のガウス曲率勾配及び最大の平均局率勾配を計算し;
最小のガウス曲率勾配及び最大の平均曲率勾配を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し;
前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する病変部位支持下面を補間するステップをも含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガウス曲率が式:
【数5】

によって定義され、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈ Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、ガウス曲率勾配が式:
=(K−Kmin)/DKmin
によって定義され、この式において、
はガウス曲率勾配であり、
cは中心リングにおけるガウス曲率であり、
minはガウス曲率が最小であるリングの曲率であり、
Kminはガウス曲率が最小であるリングに相当する距離であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平均曲率が式:
【数6】

によって定義され、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈ Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、平均曲率勾配が式:
=(H−Hmax)/DKmax
によって定義され、この式において、
は平均曲率勾配であり、
cは中心リングにおける平均曲率であり、
maxは平均曲率が最大であるリングの曲率であり、
Kmaxは平均曲率が最大であるリングに相当する距離であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
複数の3Dボリューム・ポイントを含むディジタル画像中の病変部位及びポリープを検出する方法ステップを実施するための、コンピュータによって実行可能な命令プログラムを記憶させたコンピュータ可読プログラム記憶装置において、前記方法が、
前記画像中の曲面を識別し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、第1曲率測度を計算し;
曲面中のそれぞれのポイントに関して、それぞれの前記ポイントが前記1組のリングの中心点となり、それぞれのリングがこのリングの中心点から測地学的に等距離であるようにそれぞれの前記ポイントを中心に1組のリングを形成し;
それぞれのリングに関して、第1曲率測度の標準偏差を計算し;
第1曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し;
選択されたリングに関して、第1曲率勾配を計算し;
曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去するステップを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項13】
前記方法が、
前記曲面上の残余のポイントをグループ分けして1つまたは2つ以上のクラスタを形成し;
それぞれのクラスタに関して、第1曲率勾配の極値を計算し;
それぞれのクラスタに関して、最大の第1曲率勾配極値を有するクラスタを選択し、選択されたクラスタを問題の病変部位として識別し;
前記病変部位をその下方に位置する組織から分離する病変部位支持下面を補間するステップをも含むことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。
【請求項14】
前記第1曲率測度が式:
【数7】

によって定義されるガウス曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(K−Kmin)/DKmin
によって定義されるガウス曲率であり、この式において、
はガウス曲率勾配であり、
cは中心リングにおけるガウス曲率であり、
minはガウス曲率が最小であるリングの曲率であり、
Kminはガウス曲率が最小であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位ではガウス曲率勾配がゼロ未満であり、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最小曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最小のガウス曲率勾配であることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。
【請求項15】
前記第1曲率測度が式:
【数8】

によって定義される平均曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(H−Hmax)/DKmax
によって定義される平均曲率勾配であり、この式において、
は平均曲率勾配であり、
cは中心リングにおける平均曲率であり、
maxは平均曲率が最大であるリングの曲率であり、
Kmaxは平均曲率が最大であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロよりも大きく、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最大曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最大の平均曲率勾配であることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。
【請求項16】
前記方法が、
曲面中のそれぞれのポイントに関して、第2曲率測度を計算し;
曲面中のそれぞれのリングに関して、第2曲率測度の標準偏差を計算し;
第2曲率測度の標準偏差が最小のリングを選択し;
選択されたリングに関して、第2曲率勾配を計算し;
第1曲率勾配及び第2曲率勾配がポリープまたは病変部位として予測されるパターンから逸脱しているポイントを曲面から消去し;
それぞれのクラスタに関して、第2曲率勾配極値を計算し;
第1曲率勾配極値も第2曲率勾配極値も共に最極値であるクラスタを選択することによって、選択されたクラスタが問題の病変部位であることを識別するステップをも含むことを特徴とする請求項13に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。
【請求項17】
前記第1曲率測度が式:
【数9】

によって定義されるガウス曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第1曲率勾配が式:
=(K−Kmin)/DKmin
によって定義されるガウス曲率勾配であり、この式において、
はガウス曲率勾配であり、
cは中心リングにおけるガウス曲率であり、
minはガウス曲率が最小であるリングの曲率であり、
Kminはガウス曲率が最小であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロ未満であり、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最小曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最小のガウス曲率勾配であることを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。
【請求項18】
前記第2曲率測度が式:
【数10】

によって定義される平均曲率であり、上記式においてIは座標が(x、y、z)∈Rの前記曲面上のポイントに応じた強さを表わし、Iの単一下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する偏導関数を表わし、Iの二重下付き文字は前記下付き文字によって示される座標に対する混合偏導関数を表わし、h=I+I+Iであり、
第2曲率勾配が式:
=(H−Hmax)/DKmax
によって定義される平均曲率勾配であり、この式において、
は平均曲率勾配であり、
cは中心リングにおける平均曲率であり、
maxは平均曲率が最大であるリングの曲率であり、
Kmaxは平均曲率が最大であるリングに相当する距離であり、
ポリープまたは病変部位では平均曲率勾配がゼロよりの大きく、所与のクラスタでは曲率勾配の極値が最大曲率勾配であり、それぞれの極値の最極値が最大の平均曲率勾配であることを特徴とする請求項16に記載のコンピュータ可読プログラム記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−502172(P2007−502172A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523422(P2006−523422)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026423
【国際公開番号】WO2005/017836
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】