説明

干渉変調器ディスプレイ用の一体型タッチスクリーン

干渉変調器(“IMOD”)ディスプレイが、周辺光を利用し、MEMS変調器に到達する周辺光の量を低減させることおよび任意の光学的歪みまたは性能の損失を生じることなく、接触感知を組み込む。接触感知のための電極が、干渉ディスプレイの裏面ガラスに位置され、第一の機能が接触を感知するためにMEMSディスプレイのピクセルを駆動することである電極とともに使用される。接触が、IMOD層を歪め、ディスプレイの後部のさまざまなディスプレイ層を介して感知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
微小電気機械システム(MEMS)が、微小機械素子と、アクチュエータと、電子機器とを備える。
【背景技術】
【0002】
堆積、エッチング、および/または他のマイクロマシニングプロセスを使用し、微小機械素子が、形成されてよく、該他のマイクロマシニングプロセスが、基板および/または堆積された材料層の部分をエッチングして取り除き、または電気および電気機械デバイスを形成するための層を追加する。MEMSデバイスの一種が、干渉変調器と呼ばれる。本明細書で使用されているように、干渉変調器または干渉光変調器という用語は、光学的な干渉の原理を使用して光を選択的に吸収し、および/または反射するデバイスを指す。ある実施形態において、干渉変調器が、一対の伝導プレートを備え、その一方または両方が、全部または一部が透明性および/または反射性であり、適切な電気信号が印加されると相対運動を行うことができるものでありうる。特定の実施形態では、一方のプレートが、基板上に堆積された固定層を備え、他方のプレートが、エアギャップにより固定層から分離された金属膜を備えうる。本明細書でさらに詳しく説明されるように、一方のプレートの他方のプレートに対する位置が、干渉変調器に入射する光の光学的な干渉を変化させることが可能である。このようなデバイスが、幅広い用途を有し、それらの特性が、既存製品の改善および未だ開発されていない新製品の製作に活用されることが可能となるように、当技術分野において、これらの種類のデバイスの特徴を利用しおよび/または修正することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
干渉変調器(“IMOD”)ディスプレイが、周辺光を利用し、周辺光の量を低減させることおよび任意の光学的歪みまたは性能の損失を生じることなく、接触感知を組み込む。接触感知のための電極が、干渉ディスプレイの背面基板または“裏面ガラス”に位置され、第一の機能が接触を感知するためにMEMSディスプレイのピクセルを駆動することである電極とともに使用される。接触が、IMOD層を歪め、ディスプレイの後部のさまざまなディスプレイ層を介して感知される。
【0004】
一態様が、干渉表示装置を製造および操作する方法に関連する。該方法が、:ディスプレイの前面に前面基板を設けるステップであって、該前面基板が、実質的に透明である、ステップと、;ディスプレイの背面に背面基板を設けるステップであって、該背面基板が、実質的に透明である、ステップと、;前面基板と背面基板との間に配置された干渉変調素子のアレイを設けるステップとを含む。アレイが、ディスプレイの前面の前面基板上に配置され、干渉変調素子が、キャビティを画定する2つの壁を備え、広範な位置にわたって、一方の壁が、他方に対して移動可能であり、壁が、キャビティの少なくとも1つの位置における干渉的な動作を引き起こし、可視光に対する所定の光学的応答を生じる。本方法が、第一軸に沿って配向され、かつ干渉変調素子のアレイに対して電気信号を伝導するように構成される第一の複数の電極を設けるステップであって、該第一の複数の電極が、背面基板と接触する、ステップと、;第一軸と実質的に直交する第二軸に沿って配向された第二の複数の電極を設けるステップと、;タッチスクリーンのプレートとして、第一または第二の複数の電極の一方または両方を利用し、第一および第二の複数の電極間の交点における接触により生成されたパラメーターの変化を感知するステップと、さらにを含む。
【0005】
ある実施形態において、パラメーターが、キャパシタンスの値を含み、本方法が、キャパシタンス変化の重心をコンピューターで算出するステップをさらに含む。また、本方法が、重心キャパシタンス変化対交点データの記憶されたマップを参照するステップと、接触位置を決定するステップと、を含みうる。
【0006】
他の態様が、装置に関連し、該装置が、第一の実質的に透明な基板と、;該第一の実質的に透明な基板上に配置された干渉変調素子のアレイと、を備え、該干渉変調素子が、キャビティを画定する2つの壁を備え、広範な位置にわたって、一方の壁が、他方に対して移動可能であり、壁が、キャビティの少なくとも1つの位置における干渉的な動作を引き起こし、可視光に対する所定の光学的応答を生じる。本装置が、干渉変調素子のアレイに対して電気信号を伝導するように構成された第一の複数の電極と、;該第一の複数の電極を介して干渉変調素子のアレイを制御するために電気信号を印加するように構成された第一制御回路と、;第二基板と、;該第二基板上に配置された第二の複数の電極と、;第一の複数の電極と第二の複数の電極との間のキャパシタンス変化を検知し、かつ少なくとも一つにはキャパシタンス変化に基づいて第一の実質的に透明な基板の歪み領域を決定するように構成された第二制御回路と、をさらに備える。
【0007】
明細書の残りの部分および図面を参照することにより、本発明の特性および利点のさらなる理解が得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の干渉変調器の可動反射層が緩和位置にあり、第2の干渉変調器の可動反射層が作動位置にある干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を示す等角図である。
【図2】3×3干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスの一実施形態を図示するシステムブロック図である。
【図3】図1の干渉変調器の例示的な一実施形態について可動鏡位置と印加電圧の図である。
【図4】干渉変調器ディスプレイを駆動するために使用されうる一組の行電圧および列電圧の図である。
【図5A】ディスプレイデータのフレームを図2の3×3干渉変調器ディスプレイに書き込むために使用されうる行および列の信号に対する1つの例示的なタイミング図を示す。
【図5B】ディスプレイデータのフレームを図2の3×3干渉変調器ディスプレイに書き込むために使用されうる行および列の信号に対する1つの例示的なタイミング図を示す。
【図6A】複数の干渉変調器を備えた画像表示デバイスの実施形態を図示するシステムブロック図である。
【図6B】複数の干渉変調器を備えた画像表示デバイスの実施形態を図示するシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】干渉変調器の代替的実施形態の断面図である。
【図7C】干渉変調器の他の代替的実施形態の断面図である。
【図7D】干渉変調器のさらに他の代替的実施形態の断面図である。
【図7E】干渉変調器の付加的な代替的実施形態の断面図である。
【図8A】干渉変調器の付加的な代替的実施形態の断面図である。
【図8B】干渉変調器の付加的な代替的実施形態の断面図である。
【図8C】干渉変調器の付加的な代替的実施形態の断面図である。
【図8D】干渉変調器の2つの状態の実施形態の断面図である。
【図9A】接触感知に使用された電極の実施形態の図である。
【図9B】接触感知に使用された電極の実施形態の図である。
【図9C】接触感知に使用された電極の実施形態の図である。
【図9D】接触感知に使用された電極の実施形態の図である。
【図10A】干渉変調器の裏面ガラスにおいて支柱を組み込んだ実施形態の断面図である。
【図10B】干渉変調器の裏面ガラスにおいて支柱を組み込んだ実施形態の断面図である。
【図11】デバイス製造の概略を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(干渉変調器)
以下の詳細な説明は、ある特定の実施形態を対象とするものである。しかしながら、本明細書の教示は、数多くの異なる方法に適用されることが可能である。この説明では、全体を通して、類似の部分が、類似の番号を用いて指定される図面が参照される。本実施形態は、動いている状態(例えば、ビデオ)であろうと、静止している状態(例えば、静止画)であろうと、またテキストであろうと画像であろうと、画像を表示するように構成されている任意のデバイスにおいて実装されうる。より具体的には、本実施形態は、限定されるものではないが、携帯電話、無線デバイス、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドまたはポータブルコンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレイヤー、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、置き時計、電卓、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピューター用モニタ、自動車用ディスプレイ(例えば、走行距離計ディスプレイなど)、コックピット制御装置類および/またはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(例えば、自動車内のリアビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電子看板または標識、プロジェクタ、建築構造物、パッケージング、および美的構造物(例えば、1つの宝石の画像のディスプレイ)など、さまざまな電子デバイスで実装されうるか、または関連付けられうることが予期される。本明細書で説明されているものと似た構造のMEMSデバイスも、電子交換デバイスなど、非−ディスプレイ用途で使用されることが可能である。
【0010】
干渉変調器(“IMOD”)ディスプレイが、周辺光を利用し、MEMS変調器に達する周辺光の量を低減させることなく、かつ、任意の光学的歪みまたは性能の損失を発生させることなく、接触感知を内蔵する。接触感知のための電極が、干渉ディスプレイの裏面ガラスに配置され、接触を感知するために、その第一の機能がMEMSディスプレイのピクセルを駆動することである電極とともに使用される。接触が、IMOD層を歪め、ディスプレイの背面のさまざまなディスプレイ層を介して感知される。このようなディスプレイの実施形態が、以下において説明される。
【0011】
干渉MEMSディスプレイ素子を備えた1つの干渉変調器ディスプレイの実施形態が図1に図示される。これらのデバイスでは、ピクセルは、明状態か暗状態かのいずれかである。明(「緩和」または「開」)状態では、ディスプレイ素子が、入射可視光の大部分をユーザーに対して反射する。暗(「作動」または「閉」)状態の場合、ディスプレイ素子が、入射可視光をほとんどユーザーに対して反射しない。実施形態に応じて、「オン」および「オフ」状態の光反射特性が逆転されうる。MEMSピクセルが、主に選択された色で反射するように構成されることが可能であり、白黒に加えてカラーでの表示を可能にする。
【0012】
図1が、画像表示の一連のピクセル中の2つの隣接するピクセルを示す等角図であり、各ピクセルが、MEMS干渉変調器を備える。いくつかの実施形態では、干渉変調器ディスプレイが、これらの干渉変調器の行/列のアレイを備える。各干渉変調器が、互いから可変の制御可能な距離のところに位置決めされた一対の反射層を備え、少なくとも1つの可変の寸法を有する共鳴光学ギャップを形成する。一実施形態では、反射層の1つが2つの位置の間で移動されうる。本明細書では緩和位置と称される、第1の位置において、可動反射層が、固定された部分反射層から比較的大きな距離のところに位置決めされる。本明細書では作動位置と称される、第2の位置において、可動反射層が、部分反射層のより近くに隣接して位置決めされる。2つの層から反射する入射光が、可動反射層の位置に応じて建設的にまたは破壊的に干渉し、各ピクセルについて全反射または非反射のいずれかの状態を引き起こす。
【0013】
図1のピクセルアレイの示されている部分が、2つの隣接する干渉変調器12aおよび12bを備える。左の干渉変調器12aにおいて、可動反射層14aが、部分反射層を含む、光学スタック16aから所定の距離のところの緩和位置に図示されている。右の干渉変調器12bでは、可動反射層14bが、光学スタック16bに隣接する作動位置に図示されている。
【0014】
光学スタック16aおよび16b(まとめて光学スタック16と総称する)が、本明細書で参照されているように、典型的には、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分反射層、および透明誘電体を含むことが可能である、複数の融合層を備える。したがって、光学スタック16が、導電性、部分的透明性、および部分的反射性を有し、例えば、上記の層の1つまたは複数を透明基板20上に堆積することにより製造されうる。部分反射層が、さまざまな金属、半導体、および誘電体などの部分的反射性であるさまざまな材料から形成されることが可能である。部分反射層が、1つまたは複数の材料層から形成され、それらの層のそれぞれが、単一材料または複合材料から形成されることが可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、光学スタック16の層が、平行なストリップにパターン化され、以下でさらに説明されるように表示デバイス内の行電極を形成しうる。可動反射層14a、14bが、支柱18の上部上に堆積された列を形成するために(16a、16bの行電極に対し直交する)1つまたは複数の堆積された金属層と支柱18の間に堆積された介在犠牲材料との一連の平行なストリップとして形成されうる。犠牲材料がエッチングで取り除かれると、可動反射層14a、14bが、画定されたギャップ19によって光学スタック16a、16bから分離される。アルミニウムなどの導電性および反射性の高い材料が、反射層14に使用され、これらのストリップが、表示デバイス内に列電極を形成しうる。図1は縮尺通りでない可能性があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、支柱18の間の間隔が、10〜100μm程度であり、ギャップ19が、1000オングストローム未満程度でありうる。
【0016】
電圧が印加されない場合、ギャップ19が、可動反射層14aと光学スタック16aとの間に残り、可動反射層14aが、図1のピクセル12aによって図示されているように機械的に緩和した状態にである。しかしながら、電位(電圧)差が、選択された行および列に印加される場合、対応するピクセルにおける行電極と列電極の交点に形成されるキャパシタが、充電され、静電気力が電極を引き寄せる。電圧が十分に高い場合、可動反射層14が変形され、光学スタック16に押し付けられる。光学スタック16内の誘電体層(この図には示されていない)が、図1の右の作動ピクセル12bによって図示されているように、ショートするのを防ぎ、層14と16との間の分離距離を制御しうる。この挙動が、印加される電位差の極性に関係なく同じである。
【0017】
図2から5が、ディスプレイ用途において干渉変調器のアレイを使用するための一つの例示的なプロセスおよびシステムを図示している。
【0018】
図2が、干渉変調器を組み込みうる電子デバイスの一実施形態を図示するシステムブロック図である。この電子デバイスが、ARM(登録商標)、Pentium(登録商標)、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、またはALPHA(登録商標)などの任意の汎用のシングルチップまたはマルチチップのマイクロプロセッサ、またはデジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくはプログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサとされうるプロセッサ21を備える。当分野では通例のことであるが、プロセッサ21が、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成されうる。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサが、Webブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または任意の他のソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されうる。
【0019】
一実施形態では、プロセッサ21が、アレイドライバ22と通信するようにも構成される。一実施形態では、アレイドライバ22が、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を送る行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を備える。図1に図示されているアレイの断面が、図2において直線1−1によって示されている。明確性のために、図2、が干渉変調器の3×3アレイを図示しているが、ディスプレイアレイ30が、非常に数多くの干渉変調器を含み、行と列とで異なる数の干渉変調器を有しうることに留意されたい(例えば、行当たり300ピクセル×列当たり190ピクセル)。
【0020】
図3が、図1の干渉変調器の例示的な一実施形態について可動鏡位置対印加電圧の図である。MEMS干渉変調器では、行/列作動プロトコルが、図3に図示されているようなこれらのデバイスのヒステリシス特性をうまく利用しうる。干渉変調器が、例えば、可動層を緩和状態から作動状態に変形させるのに10ボルトの電位差を必要としうる。しかしながら、電圧が、その値から下がると、電圧が低下し10ボルト未満に戻ると、可動層が、その状態を維持する。図3の例示的な実施形態では、可動層が、電圧が2ボルトより低くなるまで完全に緩和しない。したがって、デバイスが緩和状態または作動状態のいずれかにおいて安定している印加電圧のウィンドウが存在する、図3に図示されている例では約3から7Vまでである範囲の電圧がある。これが、本明細書では“ヒステリシスウィンドウ”または“安定性ウィンドウ”と称される。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイでは、行/列作動プロトコルが、行のストロービングの間に、作動されるストローブされた行内のピクセルが約10ボルトの電圧差に曝され、緩和されるピクセルがゼロボルトに近い電圧差に曝されるように設計されることが可能である。ストローブの後、ピクセルが、行ストローブで何らかの状態に入るが、その状態のままになるように約5ボルトのバイアス電圧の差または定常状態に曝される。書き込みが行われた後、各ピクセルに、この例では3〜7ボルトの“安定性ウィンドウ”内の電位差が現れる。この特徴により、図1に図示されているピクセル設計は、作動または緩和のいずれかの既存状態において同じ印加電圧条件の下で安定する。干渉変調器の各ピクセルが、作動状態であろうと緩和状態であろうと、本質的に、固定および移動反射層によって形成されたキャパシタであるので、この安定状態が、ほとんど電力消費のないままヒステリシスウィンドウ内の電圧に維持されることが可能である。印加電位が固定されている場合には、ピクセル内に電流は本質的に流れ込まない。
【0021】
以下でさらに説明されているように、典型的な用途において、画像のフレームが、第1の行内の所望の一組の作動ピクセルに従って一組の列電極にわたって一組のデータ信号(それぞれ特定の電圧レベルを有する)を送信することにより形成されうる。次いで、行パルスが、第1の行電極に印加され、その一組のデータ信号に対応するピクセルを作動する。次いで、その一組のデータ信号が、第2の行内の所望の一組の作動ピクセルに対応するように変更される。次いで、パルスが、第2の行電極に印加され、データ信号に従って第2の行内の適切なピクセルを作動する。ピクセルの第1の行が、第2の行パルスの影響を受けず、第1の行パルスの間に設定された状態のままである。これが、フレームを生成するために一連の行全体について順次的に繰り返されうる。一般に、フレームが、いくつかの所望の毎秒フレーム数でこのプロセスを継続的に繰り返すことにより新しい画像データを用いてリフレッシュされ、および/または更新される。画像フレームを生成するためにピクセルアレイの行および列電極を駆動するためのさまざまなプロトコルが使用されうる。
【0022】
図4および5が、図2の3×3アレイ上にディスプレイフレームを作成するために可能な1つの作動プロトコルを図示する。図4が、図3のヒステリシス曲線を示すピクセルに使用されうる可能な一組の行と列の電圧レベルを図示する。図4の実施形態では、ピクセルを作動するステップが、適切な列を−Vbiasに設定し、適切な行を+ΔVに設定するステップを含むが、これらは、各々、−5ボルトおよび+5ボルトに対応しうる。ピクセルを緩和するステップが、適切な列を+Vbiasに設定し、適切な行を同じ+ΔVに設定することにより達成され、ピクセルにわたってゼロボルトの電位差を生じる。行電圧がゼロボルトに維持されるそれらの行では、ピクセルは、列が+Vbiasであろうと−Vbiasであろうと関係なく元々置かれていた状態で、その状態が何であれ、安定する。また図4にも図示されているように、上述のそれらとは反対の極性の電圧を使用することができ、例えば、ピクセルを作動させるステップが、適切な列を+Vbiasに設定し、適切な行を−ΔVに設定するステップを含むことが可能である。この実施形態では、ピクセルをリリースするステップが、適切な列を−Vbiasに設定し、適切な行を同じ−ΔVに設定することにより達成され、ピクセルにわたってゼロボルトの電位差を生じる。
【0023】
図5Bは、作動ピクセルが非−反射性である場合に、結果として図5Aに図示されているディスプレイ配列を生じる図2の3×3アレイに印加される一連の行および列の信号を示すタイミング図である。図5Aに図示されているフレームを書き込む前に、ピクセルが任意の状態をとることが可能であり、この例では、すべての行が最初に0ボルトであり、すべての列が+5ボルトである。これらの印加電圧では、すべてのピクセルが、その既存の作動または緩和状態において安定している。
【0024】
図5Aのフレームでは、ピクセル(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)、および(3,3)が作動される。これを達成するために、行1に対する“ライン時間”の間において、列1および2は−5ボルトに設定され、列3は+5ボルトに設定される。すべてのピクセルが3〜7ボルトの安定性ウィンドウ内に留まるので、これが、どのピクセルの状態も変化させない。次いで、行1が、0から最大5ボルトまで進み、そしてゼロに戻るパルスによりストローブされる。これが、(1,1)および(1,2)ピクセルを作動させ、(1,3)ピクセルを緩和させる。アレイ内の他のピクセルは影響を受けない。要求通りに行2を設定するために、列2が、−5ボルトに設定され、列1および3が、+5ボルトに設定される。次いで、行2に印加される同じストローブが、ピクセル(2,2)を作動させ、ピクセル(2,1)および(2,3)を緩和させる。ここでもまた、アレイの他のピクセルは影響を受けない。行3も、同様に、列2および3を−5ボルトに設定し、例1を+5ボルトに設定することにより設定される。行3のストローブが、図5Aに示されているように行3のピクセルを設定する。フレームを書き込んだ後、行電位がゼロであり、列電位が+5または−5ボルトのいずれかのままであることが可能であり、次いで、ディスプレイが、図5Aの配列において安定する。数十または数百の行および列のアレイに対し同じ手順が使用されることが可能である。行および列の作動を実行するために使用される電圧のタイミング、シーケンス、およびレベルが、上で概要を述べた一般原理の範囲内で大きく変更することができ、上記の実施例は例示されたものにすぎず、本明細書で説明されているシステムおよび方法とともに任意の作動電圧法が使用されることが可能である。
【0025】
図6Aおよび6Bが、表示デバイス40の一実施形態を図示するシステムブロック図である。例えば、表示デバイス40が、セルラー方式電話または携帯電話であることが可能である。しかしながら、また、表示デバイス40の同じコンポーネントまたはそのわずかに異なる変更形態が、テレビおよびポータブルメディアプレイヤーなどのさまざまな種類の表示デバイスの実例である。
【0026】
表示デバイス40が、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカー45、入力デバイス48、およびマイクロホン46を備える。ハウジング41が、一般に、射出成形および真空成形を含む、さまざまな製造プロセスのどれかで形成される。それに加えて、ハウジング41が、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはこれらの組み合わせを含む、任意のさまざまな材料で作られうる。一実施形態では、ハウジング41が、異なる色の、または異なるロゴ、画像、もしくはシンボルを含む、他の取り外し可能な部分と交換されうる取り外し可能な部分(図示せず)を備える。
【0027】
例示的な表示デバイス40のディスプレイ30が、本明細書で説明されているような、双安定ディスプレイを含む、さまざまなディスプレイのうちのいずれかでありうる。他の実施形態では、ディスプレイ30が、上で説明されているようなプラズマ、EL、OLED、STN LCD、またはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTもしくは他の真空管デバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含む。しかしながら、本実施形態を説明することを目的とするため、ディスプレイ30が、本明細書で説明されているような、干渉変調器ディスプレイを含む。
【0028】
例示的な表示デバイス40の一実施形態のコンポーネントが、図6Bに概略的に図示されている。図示された例示的な表示デバイス40が、ハウジング41を備え、少なくともその中に部分的に封入されている追加のコンポーネントを備えることができる。例えば、一実施形態では、例示的な表示デバイス40が、送受信機47に結合された、アンテナ43を備えるネットワークインターフェース27を備える。送受信機47が、プロセッサ21に接続され、該プロセッサ21は調整用ハードウェア52に接続される。調整用ハードウェア52が、信号を調整するように構成されうる(例えば、信号のフィルタリングを行う)。調整用ハードウェア52が、スピーカー45およびマイクロホン46に接続される。プロセッサ21が、さらに、入力デバイス48およびドライバコントローラ29にも接続される。ドライバコントローラ29が、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合され、該アレイドライバ22が、順に、ディスプレイアレイ30に結合される。電源50が、特定の例示的な表示デバイス40の設計により必要に応じてすべてのコンポーネントに電力を供給する。
【0029】
ネットワークインターフェース27が、アンテナ43および送受信機47を備え、例示的な表示デバイス40が、ネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができる。一実施形態では、また、ネットワークインターフェース27が、プロセッサ21の要件を緩和するいくつかの処理能力を有しうる。アンテナ43が、信号を送信し、受信するための任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナが、IEEE 802.11(a)、(b)、または(g)を含む、IEEE 802.11規格に従ってRF信号を送信および受信する。他の実施形態では、アンテナが、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送信および受信する。セルラー方式電話の場合、アンテナが、CDMA、GSM、AMPS、W−CDMA、または無線携帯電話ネットワーク内での通信に使用される他の周知の信号を受信するように設計される。送受信機47が、プロセッサ21によって受信され、さらに操作されうるようにアンテナ43から受信された信号を前処理する。また、送受信機47が、アンテナ43を介して例示的な表示デバイス40から送信されうるようにプロセッサ21から受信された信号を処理する。
【0030】
代替的実施形態では、送受信機47が受信機によって置き換えられることが可能である。さらに他の代替的実施形態では、ネットワークインターフェース27が、プロセッサ21に送信される画像データを格納または生成することができる、画像ソースによって置き換えられることが可能である。例えば、画像ソースが、デジタルビデオディスク(DVD)または画像データを含むハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールであることが可能である。
【0031】
プロセッサ21が、一般に、例示的な表示デバイス40の全体的動作を制御する。プロセッサ21が、ネットワークインターフェース27または画像ソースから圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを処理して、未加工画像データに、または未加工画像データに容易に処理されるフォーマットにする。次いで、プロセッサ21が、処理されたデータをドライバコントローラ29に、またはフレームバッファ28に送信して、格納する。未加工データは、典型的には、画像内の各位置における画像特性を識別する情報のことを言う。例えば、このような画像特性が、色、彩度、およびグレースケールレベルを含むことが可能である。
【0032】
一実施形態では、プロセッサ21が、マイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを備え、例示的な表示デバイス40の動作を制御する。調整用ハードウェア52が、一般に、信号をスピーカー45に送り、マイクロホン46から信号を受信するための増幅器およびフィルタを備える。調整用ハードウェア52が、例示的な表示デバイス40内の別個のコンポーネントであるか、または、プロセッサ21もしくは他のコンポーネント内に組み込まれうる。
【0033】
ドライバコントローラ29が、プロセッサ21から、またはフレームバッファ28から直接的にプロセッサ21によって生成された未加工画像データを受け取り、その未加工画像データを適宜再フォーマットして、アレイドライバ22への送信を高速化する。具体的には、ドライバコントローラ29が、未加工画像データを、ラスター方式と同様のフォーマットを有するデータフローに再フォーマットし、ディスプレイアレイ30にわたる走査に適した時間順序を有するようにする。次いで、ドライバコントローラ29が、フォーマット化された情報をアレイドライバ22に送信する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29が、スタンドアローンの集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21にしばしば関連付けられるが、そのようなコントローラが、多くの方法で実装されうる。これらが、ハードウェアとしてプロセッサ21内に組み込まれるか、またはソフトウェアとしてプロセッサ21内に組み込まれるか、またはアレイドライバ22とともにハードウェアに完全に一体化されうる。
【0034】
典型的には、アレイドライバ22が、ドライバコントローラ29からフォーマット化された情報を受け取り、ビデオデータを、毎秒何回もディスプレイのピクセルのx−yマトリクスから来る数百および数千ものリードに適用される並列の一組の波形に再フォーマットする。
【0035】
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書で説明されている種類のディスプレイのどれにも適している。例えば、一実施形態では、ドライバコントローラ29が、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(例えば、干渉変調器コントローラ)である。他の実施形態では、アレイドライバ22が、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(例えば、干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29が、アレイドライバ22と一体化される。このような実施形態は、セルラー方式電話、腕時計、および他の小面積のディスプレイなどの集積度の高いシステムにおいて一般的である。さらに他の実施形態では、ディスプレイアレイ30が、典型的なディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(例えば、干渉変調器のアレイを備えるディスプレイ)である。
【0036】
入力デバイス48によって、ユーザーは例示的な表示デバイス40の動作を制御することができる。一実施形態では、入力デバイス48が、QWERTYキーボードまたは電話用キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチセンサー式スクリーン、または感圧もしくは感熱メンブレンを含む。一実施形態では、マイクロホン46が、例示的な表示デバイス40のための入力デバイスである。マイクロホン46が、データをデバイスに入力するために使用される場合、例示的な表示デバイス40の動作を制御するために、音声コマンドがユーザーによって提供されうる。
【0037】
電源50が、当技術分野でよく知られているようなさまざまなエネルギー蓄積デバイスを含むことが可能である。例えば、一実施形態では、電源50が、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。他の実施形態では、電源50が、再生可能エネルギー源、キャパシタ、またはプラスチック太陽電池および太陽電池塗料を含む太陽電池である。他の実施形態では、電源50が、壁コンセントから電力を供給されるように構成される。
【0038】
いくつかの実装では、電光表示システム内の複数の場所に配置されることが可能であるドライバコントローラに、上述のように制御プログラム機能が備えられる。いくつかの場合において、アレイドライバ22に、制御プログラム機能が備えられる。上述の最適化が、多数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントで、ならびにさまざまな構成により実装されうる。
【0039】
上述の原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細が大きく異なりうる。例えば、図7A〜7Eが、可動反射層14とその支持構造物の5つの異なる実施形態を図示している。図7Aが、図1の実施形態の断面図であり、金属材料ストリップ14が直交する方向に延びる支持材18上に堆積される。図7Bでは、各干渉変調器の可動反射層14が、正方形または矩形の形をしており、テザー32上のコーナーでのみ支持材に取り付けられる。図7Cでは、可動反射層14が、正方形または矩形の形であり、柔軟性金属を含みうる、可変層34から吊り下げられている。可変層34が、直接的にまたは間接的に、可変層34の周囲で基板20に接続する。これらの接続部が、本明細書では支持支柱と称される。図7Dに図示されている実施形態は、可変層34が載る支持支柱プラグ42を有する。可動反射層14が、図7A〜7Cのように、ギャップの上にぶら下がったままであるが、可変層34が、該可変層34と光学スタック16との間の孔を埋めることにより支持支柱を形成しない。正しくは、支持支柱が、支持支柱プラグ42を形成するために使用される、平坦化材料から形成される。図7Eに図示されている実施形態が、図7Dに示されている実施形態に基づいているが、図7A〜7Cに図示されている実施形態と、さらには図示されていない追加の実施形態とのいずれかとも、連携するように適合されうる。図7Eに示されている実施形態では、金属または他の導電材料の付加的な層が、バス構造44を形成するために使用されている。これにより、信号を干渉変調器の背後に沿ってルーティングし、さもなければ基板20上に形成されなければならなかったであろう多数の電極をなくすことができる。
【0040】
図7に示されているそれらのような実施形態では、干渉変調器が、直視型デバイスとして機能し、画像が、変調器が配列されているのと反対の側の、透明基板20の正面から見られる。これらの実施形態では、反射層14が、可変層34を含む、基板20と反対の反射層の側で干渉変調器の部分を光学的に遮蔽する。これにより、遮蔽された領域が、画質に悪影響を及ぼすことなく、構成され、動作されることが可能である。例えば、このような遮蔽では、アドレッシングおよびそのアドレッシングの結果生じる移動など、変調器の光学的特性を変調器の電気機械特性から隔てる能力を提供する、図7Eのバス構造44を可能にする。この分離可能な変調器アーキテクチャにより、変調器の電気機械的側面および光学的側面に使用される構造設計および材料が選択され、互いに独立して機能するようにできる。さらに、図7C〜7Eに示されている実施形態が、可変層34によって実施されるその機械的特性から反射層14の光学的特性を切り離すことで得られる付加的な利点を有する。これにより、反射層14に使用される構造設計および材料を光学的特性に関して最適化し、可変層34に使用される構造設計および材料を所望の機械的特性に関して最適化することができる。
【0041】
(一体化タッチ)
図8Aが、接触前の歪んでいない(平衡)位置におけるIMODディスプレイ100のコンポーネントを図示する。図8Bが、指などのオブジェクトによって接触された場合の歪んだ状態におけるディスプレイ100を図示する。
【0042】
このようなIMODディスプレイの利点は、これが、さまざまな照明状況において容易に読み取られることである。例えば、いくつかのディスプレイは、色あせて、明るい日光下で読み取られることが困難または不可能になりうるが、IMODディスプレイは、反射型であり、明るい日光下で容易に読み取られる。典型的には、光源が、ディスプレイの側に一体化されうるが、IMODディスプレイ100が、周辺光に依存する。典型的には、ディスプレイが、周辺光に依存するため、タッチセンサー式スクリーン素子をディスプレイの前側(ユーザに最も近く、接触が可能である)に配置することが、ディスプレイのピクセルに到達し、ユーザーに反射される光の量を少なくする。さらに、光線が、素子を介して、反射ピクセルに通過するまたは、反射ピクセルから通過するにつれて、このようなタッチスクリーン素子が、ある量の光学的歪みを取り込みうる。電極を一体化し、接触位置を決定するためのIMODディスプレイの他の素子とともに該電極を使用することにより、ディスプレイ100の実施形態が、これらの欠点を回避する。
【0043】
図8Aおよび8Bを参照すると、ディスプレイ100が、裏面ガラス102とも称される背面基板102と、裏面ガラス102の表面と接触する電極104と、機械層の電極108と、を備える。電極108が、「(干渉変調器)」という題目の先の段落において上述されたような、ディスプレイのパターン化された電極層のいずれかでありうる。電極108と他の関連した層とが、以下において“機械層”と記載されうる。それがディスプレイの機械層の電極108のパターンに実質的に直交するような方法で、電極104がパターン化される。例えば、図8Cにおいて確認されるように、裏面ガラス上の電極104が、行にパターン化されてよく、一方、機械層の電極が、列にパターン化される。当然のことながら、電極104と108とが、垂直または水平方向とされる必要はなく、電極の交点が、認容可能な接触認識および分解能のために十分に限定された領域内に存在する限り、垂直から任意の角度であってよく、直線から経路がずれていてよい。説明目的のため、接触を感知するために使用される電極が、ディスプレイとの関連で説明されるが、MEMSデバイスの裏面プレートに電極(104)を追加することにより、接触感知が、任意のMEMSデバイスにおいて達成されることが可能である。本発明が、ディスプレイデバイスに制限されないことが理解されるべきである。
【0044】
また、接触による歪みが、機械層と電極104との接触をもたらしうる実施形態では、ディスプレイ100が、機械層とその電極108と電極104との間に、絶縁体106を備えうる。ディスプレイ100が、以下においてIMOD基板と称される前面(透明)基板112と、シール110と、例えば、行もしくは列または他の配向にパターン化されうる吸収体/酸化物層114と、をさらに備える。基板112が、装置および用途に応じて、透明であっても、または透明でなくてもよい。例えば、ディスプレイ以外のMEMSデバイスでは、基板112が、透明でなくてよい。
【0045】
図8Bにおいて確認されるように、指などのオブジェクトが、IMOD基板112と接触した場合、吸収体酸化物114と機械層/電極108とがともに歪むことになる。この歪み、および機械層電極108または吸収体/酸化物層114と電極層104との間の関連するギャップの変化が、接触位置を決定するために感知されることが可能な電気的パラメーターの変化をもたらす。また、このような歪みが、キャパシタンスまたは他のパラメーターの変化をもたらすため、裏面ガラスにおいて生成された歪みも感知されうることに留意すべきである。図8において、また、接触がなされ、裏面基板102を介して感知され、機械層108が、層106と接触しなくてもよいことに留意すべきである。指、スタイラス、またはさらには局部的圧力によってなされた接触が、感知されうる。
【0046】
図8Dが、干渉変調器の2つの状態の実施形態の断面である。機械層108の鏡が、裏面ガラス102またはIMOD基板112のいずれかに向かって駆動されうる(例えば、引き付けられる)ため、この実施形態が“2つの状態”として参照される。このような実施形態では、上部電極/プレート116によって、鏡が、裏面ガラス102に向かって駆動される。上部電極116が、行もしくは列に、または電極104のパターンに実質的に直交する他の角度にパターン化され、従って、また、接触位置を決定するために使用されうる。
【0047】
一実施形態において、列および行の交点または他の直交して配向された電極におけるキャパシタンスの変化を測定することにより、システムが、接触位置を感知する。システムのプロセッサを利用し、実施形態が、さまざまな位置でキャパシタンスを測定することにより歪められた基板の形状またはプロファイルをコンピューターで計算し、次いで、接触位置をコンピューターで計算するためにモデルとその形状とを比較する。このようなディスプレイが、予測された容量または表面容量特性のものでありうる。図9A〜Dに示された実施形態が、対象の接触領域を感知するために使用され、該対象の接触領域が、サブ−ピクセル変調器スケールから、スクリーンの全体またはその一部に変化しうる。一つの予測された容量性の実施形態において、図9Aにおいて確認されるように、接触を分解するための空間分解能の要求が、ディスプレイ(従って、機械層または他の層の電極)の分解能よりも著しく低いため、多数の隣接する機械的ラインが、ともに結合され、同時に感知されうる。他の実施形態では、図9Bにおいて確認されるように、裏面ガラス上のタッチセンサーのマトリックスが使用されるが、機械層電極が、共通基準電圧を供給するためにのみ使用される。表面容量性の実施形態では、図9Cにおいて確認されるように、裏面ガラス層が、パターン化されるよりもむしろ、単一の導体(電極)であり、n−プローブ測定が、使用されうる。例えば、nが4でありうるものであり、従って、4つのプローブ測定法が、採用される。このような実施形態では、基準電圧を供給するために、機械層のパターン化されたライン電極が、使用される。さらに、IMODディスプレイが、3つの状態または三次元アナログIMODデバイス(例えば、図8Dにおけるような多数の組の駆動電極を備える)である実施形態では、図9Dにおいて確認されるように、基準電圧を供給するために、デバイスの上部プレートが、使用されうる。
【0048】
また、接触感知分解能を改善し、また、マルチタッチ(例えば、2つまたはそれ以上の指または他のオブジェクトを同時に)の感知を可能にするために、キャパシタンス変化の重心が、測定されたキャパシタンスデータからコンピューターで計算されうる。キャパシタンス変化の重心が、接触位置と一致する必要はない。マルチタッチに対して、形状の重ね合わせが、個々の接触から生じる形状の線形結合である。重心と接触位置との間のマッピングが、メモリに記憶され、必要に応じて参照されうる。マッピングデータが、数学的(すなわち、理論的)計算、または、特定の製品ラインもしくは個々のディスプレイに対する実際の校正値に基づくことが可能である。
【0049】
実施例として、3.5インチパネルおよび機械層電極と裏面ガラス電極との間の6マイクロメートルのギャップに対して、パネル全体からのキャパシタンスが、約6ナノファラッドである。接触の結果として2マイクロメートルの歪みが生じると仮定すれば、説明された実施形態によって十分に検知される1ナノファラッドよりも大きな総キャパシタンス変化が結果として生じうる。
【0050】
また、機械層の電極および/または裏面ガラス電極、または吸収体/酸化物層、またはそれに接続される電気回路にわたる抵抗などの他の電気的パラメーターが、使用されうる。このような実施形態では、電極間の絶縁層が、好ましくは存在しない。
【0051】
図10Aおよび10Bを参照すると、支柱130の群が、裏面ガラス102内に形成されうる。支柱間の凹部120が、乾燥剤で充填される。多数の異なる幾何学的形状およびパターンが、支柱および結果として得られる凹部のために使用されうる。例えば、六角形のアレイが、図10Bに示されるようにパターン化されうる。他の幾何学的形状が、円形、三角形、矩形、五角形、八角形のカラム等を含みうる。裏面ガラス電極104が、支柱の上に適合するようにパターン化され、行もしくは列または他の配向に相互接続されうる。また、密度が、中央から検知に役立つ端部およびディスプレイの中央部におけるよりも分解がしばしばより困難であるパネル端部に向かって変化されうる。
【0052】
ある実施形態において、キャパシタンス検知に役立ち、および機械層の摩耗を防ぐために、適当な絶縁体が、裏面ガラス電極104の上部上に配置されうる。絶縁層の実施例が、二酸化ケイ素、液晶ポリマーおよびテフロン(登録商標)等を含みうる。
【0053】
図11が、デバイス製造の概略を表現するフローチャートである。以下のステップが、必ずしも、説明された順ではない。ステップ204において、干渉変調器のアレイが、形成される。次いで、ステップ208において、吸収体層が形成され、上部電極/プレートを有する実施形態では、ステップ21において、上部電極/プレートが形成される。ステップ216において、裏面ガラス内の支柱が形成され、ステップ220において、支柱間または他の領域に存在する乾燥剤が、提供される。ステップ224において、裏面ガラス電極が形成され、ステップ228において、シールが形成され、アレイ基板が裏面ガラス(対向基板)に取り付けられる。
【0054】
本発明が、その特定の実施形態を参照して、具体的に示され、説明されたが、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、開示された実施形態の形状および詳細の変更がなされうることを当業者は理解するだろう。
【0055】
さらに、本明細書において、さまざまな実施形態を参照して、本発明のさまざまな利点、態様、および目的が、議論されたが、本発明の範囲が、このような利点、態様、および目的を参照することにより制限されるべきではないことが理解されるだろう。正しくは、本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
100 ディスプレイ
102 裏面ガラス
104 電極
106 絶縁体
108 電極
110 シール
112 基板
114 吸収体/酸化物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と;
前記第一基板上に配置された微小電気機械素子のアレイと;
前記微小電気機械素子のアレイに電気信号を伝えるように構成された第一の複数の電極と;
前記第一の複数の電極を介して前記微小電気機械素子のアレイを制御するための電気信号を印加するように構成された第一制御回路と;
第二基板と;
前記第二基板上に配置された第二の複数の電極と;
前記第一の複数の電極と前記第二の複数の電極との間のキャパシタンス変化を検知し、少なくとも一部は前記キャパシタンス変化に基づいて前記第一基板の歪んだ領域を決定するように構成された第二制御回路と
を備える装置。
【請求項2】
前記微小電気機械素子のアレイが、干渉変調素子を備え、
前記干渉変調素子が、キャビティを画定する2つの壁を備え、
広範な位置にわたって、前記壁の一方が、他方の壁に対して移動可能であり、
前記壁が、前記キャビティの少なくとも1つの位置における干渉的な動作を引き起こし、可視光に対する所定の光学的応答を生じる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一基板が、実質的に透明である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第二制御回路が、さらに、前記キャパシタンス変化の重心をコンピューターで計算するように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第二制御回路が、さらに、重心キャパシタンス変化対交点データの記憶されたマップを参照し、接触位置を決定するように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第二制御回路が、さらに、マルチポイントタッチの重心をコンピューターで計算するように構成された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第一の複数の電極が、前記第一基板上に配置された光学スタックの一部である、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第一の複数の電極が、前記第一基板と隣接している、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第一の複数の電極が、前記微小電気機械素子のアレイと前記第一基板との間に位置する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
多数の隣接する前記第一の複数の電極が、互いに接続され、同時に感知される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ディスプレイと;
前記ディスプレイと通信するように構成され、画像データを処理するように構成されたプロセッサと;
前記プロセッサと通信するように構成されたメモリデバイスと
を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの信号を、前記ディスプレイに送信するように構成されたドライバ回路をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記画像データの少なくとも一部を、前記ドライバ回路に送信するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記画像データを、前記プロセッサに送信するように構成された画像ソースモジュールをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記画像ソースモジュールが、受信機、送受信機、および送信機の少なくとも1つを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
入力データを受信し、該入力データを、前記プロセッサに通信するように構成された入力デバイスをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前面表示側と背面表示側とを有するディスプレイを備えた装置であって、
第一の実質的に透明な基板と;
前記第一の実質的に透明な基板上に配置された干渉変調素子のアレイであって、該干渉変調素子が、キャビティを画定する2つの壁を備え、広範な位置にわたって、一方の前記壁が、他方の前記壁に対して移動可能であり、前記壁が、前記キャビティの少なくとも1つの位置における干渉的な動作を引き起こし、可視光に対する所定の光学的応答を生じる、干渉変調素子のアレイと;
前記干渉変調素子のアレイに対して電気信号を伝導するように構成された第一の複数の電極と;
前記第一の複数の電極を介して、前記干渉変調素子のアレイを制御するための電気信号を印加するように構成された第一制御回路と;
前記背面表示側の第二基板と;
前記背面表示側に位置する平面感知手段であって、接触および前記第一の複数の電極と前記平面感知手段の一部との間の関連する電気的パラメータの変化を感知する平面感知手段と
を備える装置。
【請求項18】
前記干渉変調素子のアレイに対して電気信号を伝導するように構成された第二の複数の電極をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記背面表示側に位置する前記平面感知手段が、前記第二の複数の電極と前記平面感知手段の一部との間の関連する電気的パラメータの変化を感知するようにさらに構成された、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
干渉表示装置を製造するおよび動作させる方法であって、
ディスプレイの前面に前面基板を設けるステップであって、前記前面基板が、実質的に透明である、ステップと;
前記ディスプレイの背面に背面基板を設けるステップであって、前記背面基板が、実質的に透明である、ステップと;
前記前面基板と前記背面基板との間に配置される干渉変調素子のアレイを設けるステップであって、前記アレイが、前記ディスプレイの前面の前面基板上に配置され、前記干渉変調素子が、キャビティを画定する2つの壁を備え、広範な位置にわたって、一方の前記壁が、他方の前記壁に対して移動可能であり、前記壁が、前記キャビティの少なくとも1つの位置における干渉的な動作を引き起こし、可視光に対する所定の光学的応答を生じさせる、ステップと;
第一軸に沿って配向され、かつ前記干渉変調素子のアレイに対して電気信号を伝導するように構成される第一の複数の電極を設けるステップであって、前記第一の複数の電極が、前記背面基板と接触する、ステップと;
前記第一軸と実質的に直交する第二軸に沿って配向された第二の複数の電極を設けるステップと;
タッチスクリーンのプレートとして、前記第一の複数の電極または前記第二の複数の電極の一方または両方を利用し、前記第一の複数の電極および前記第二の複数の電極の間の交点における接触により生成されるパラメーターの変化を感知するステップと
を含む方法。
【請求項21】
前記接触により生成されるパラメーターの変化を感知するステップが、前記第一の複数の電極および前記第二の複数の電極の間の交点におけるキャパシタンスの変化を感知するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接触により生成されるパラメーターの変化を感知するステップが、前記第一の複数の電極および前記第二の複数の電極の間の交点における抵抗の変化を感知するステップを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
キャパシタンスの変化の重心をコンピューターで計算するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
キャパシタンスの変化の重心対交点データの記憶されたマップを参照するステップと、接触位置を決定するステップと、をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
マルチポイントタッチの重心をコンピューターで計算するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記背面基板内に複数の支柱を設けるステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記第一の複数の電極が、支柱の上に配置される、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記基板内の複数の支柱の間に乾燥剤を提供するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
干渉表示装置を製造するおよび動作させる方法であって、
アレイ基板上に干渉変調器のアレイを形成するステップと;
吸収体層を形成するステップと;
前記アレイ基板と対向する第二基板を設けるステップと;
前記第二基板に電極を形成するステップと;
シールを形成し、前記アレイ基板と前記対向する第二基板とを結合させるステップと
を含む方法。
【請求項30】
上部プレート電極を形成するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第二基板内に支柱を形成するステップと、前記支柱の間に乾燥剤を提供するステップと、をさらに含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記第二基板に電極を形成するステップが、前記支柱の上の前記電極をパターニングするステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記上部プレート電極に基準電圧を供給するステップと、前記上部プレートと前記干渉表示装置の導体との間のキャパシタンス変化を検知することにより、接触位置を決定するステップと、をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記第二基板の電極が、前記第二基板上のタッチセンサーのマトリックスを提供することをさらに備え、
前記干渉変調器のアレイの電極に基準電圧を供給するステップと、
前記タッチセンサーのマトリックスの1つと、前記アレイの電極との間のキャパシタンスの変化を検知するステップと、
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記第二基板に電極を形成するステップが、単一のパターン化されていない伝導プレートを形成するステップを含み、
前記干渉変調器のアレイのパターン化ライン電極に基準電圧を提供し、前記パターン化ライン電極と前記パターン化されていない伝導プレートとの間のキャパシタンス変化を測定することにより、接触位置を決定するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−515323(P2013−515323A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546050(P2012−546050)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060584
【国際公開番号】WO2011/087699
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】