幾何学的多結晶成型シリコンの製造方法および装置および光電変換用多結晶成型シリコン本体
光電変換セルおよびその他の用途のためのシリコンを成型する方法および装置が提供される。このような方法および装置により、半径方向に分布する不純物や欠陥がないかまたは実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型本体を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(特記事項)
本発明は、エネルギ省(DOE)の契約第DE−AC36−98GO10337号の下において、DOEが裁定した、国家更新可能エネルギ実験(NREL:National Renewable Energy Laboratory)下請け契約第ZDO−2−30628−03号の下における米国政府支援を受けて行われた。米国政府は、本発明において、一定の権利を有する。
(関連出願)
本願は、2006年1月20日に出願した米国仮特許出願第60/760,453号、2006年5月30日に出願した米国仮特許出願第60/808,954号、2006年8月24日に出願した米国仮特許出願第60/839,672号、および2006年8月24日に出願した米国仮特許出願第60/839,670号の優先権の恩恵を主張する。これらは、ここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
(技術分野)
本発明は、一般的には、光電変換の分野、ならびに光電変換用途のための成型シリコンの製造方法および装置に関する。更に、本発明波、光電変換セルやその他の半導体デバイスのようなデバイスを製造するために用いることができる成型シリコンの新しい形態に関する。新しいシリコンは、幾何学的に揃った多結晶構造を有することができ、成型プロセスで製造することができる。
【背景技術】
【0002】
光電変換セルは、光を電流に変換する。光電セルの最も重要な尺度の1つは、光エネルギを電気エネルギに変換する際におけるその効率である。光電変換セルは種々の半導体材料から製作することができるが、一般にシリコンが用いられている。それは、シリコンが安価で容易に入手可能であるため、そして光電変換セルを製造する際に用いるのに適した電気的、物理的、および化学的特性のバランスを有するからである。
【0003】
光電変換セルを製造するための既知の手順では、シリコン供給原料を、正または負の導電性のいずれかを誘発する材料(即ち、ドーパント)と混合し、溶融し、次いで、個々のシリコン粒子の粒子サイズに応じて、結晶化したシリコンを溶融帯から単結晶シリコンのインゴットに引き上げることによって(チョクラルスキ(CZ)または浮遊帯(FZ)方法によって)、または多結晶シリコン即ちポリクリスタル・シリコンのブロック即ち「ブリック」(brick)に成型することのいずれかによって結晶化する。前述の手順では、既知のスライシングまたはソーイング方法によって、ウェハとも呼ばれている、インゴットまたはブロックを薄い基板に切断する。
【0004】
光電変換セルの製造に用いる単結晶シリコンは、一般に、CZまたはFZ方法によって生産され、双方は、結晶シリコンの円筒状ブールを生産するプロセスである。CZプロセスでは、ブールを溶融シリコンのプールからゆっくりと引き上げる。FZプロセスでは、個体材料を溶融帯を介して供給し、溶融帯の他方側において再度固化する。単結晶シリコンのブールは、これらの方法で製造した場合、半径方向に分布する不純物や欠陥を内包する。欠陥とは、酸素誘発積層欠陥(OSF)および格子間または空位クラスタの「スワール」欠陥等である。これらの不純物や欠陥があっても、単結晶シリコンは、一般に、光電変換セルを生産するには好ましいシリコン源である。何故なら、これは高効率の太陽電池を生産するために用いることができるからである。しかしながら、単結晶シリコンは、前述したような既知の技法を用いると、従来の多結晶シリコンよりも生産に多くの費用がかかる。
【0005】
光電変換セルの製造に用いるための従来の多結晶シリコンは、一般に、成型プロセスによって生産する。従来の多結晶シリコンを準備する成型プロセスは、光電変換技術の技術分野では周知である。端的に言うと、このようなプロセスでは、クオーツ坩堝のような坩堝に溶融シリコンを収容し、中に収容したシリコンの結晶化を可能とするように制御しながら冷却する。その結果得られた多結晶シリコンのブロックは、通常、ブリックに切断される。ブリックの断面積は、光電変換セルを製造するために用いられるウェハのサイズと同じか、またはこれに近く、ブリックを鋸引きするかまたはそれ以外の方法で切断して、このようなウェハとする。このようにして生産される多結晶シリコンは、結晶粒子の凝集であり、これから作られるウェハの中では、粒子の互いに対する方位は、事実上ランダムである。
【0006】
従来の多結晶またはポリクリスタル・シリコンのいずれにおいても、粒子のランダムな方位により、得られるウェハの表面に模様を織り込む(texture)のが困難にある。模様の折り込みは、光電変換セルの効率を高めるために用いられ、光の反射を低減し、セルの表面を通じた光エネルギの吸収を改善する。加えて、従来の多結晶シリコンの粒子間の境界に形成する「ねじれ」(kink)が、クラスタまたは転位線(lines of dislocation)の形態の構造的欠陥の中核となる傾向がある。これらの転位、およびこれらによって引き寄せられる傾向がある不純物は、従来の多結晶シリコンで作られた機能光電変換セルにおいて、電荷キャリアの速い再結合の原因になると考えられている。これは、セルの効率低下の原因となる可能性がある。このような多結晶シリコンで作られる光電変換セルは、一般に、単結晶シリコンで作られた同等の光電変換セルと比較すると、既知の技法によって生産する単結晶シリコンにおいて欠陥の半径方向分布があることを考慮しても、効率が低い。しかしながら、従来の多結晶シリコンは製造が比較的簡単であり、コストも低いため、更にセル処理における有効な欠陥パシベーションのために、多結晶シリコンの方が広く用いられる光電変換セルを製造するシリコンの形態となっている。
【0007】
以前の成型技法の中には、結晶成長のために「冷壁」坩堝の使用を伴う場合がある。「冷壁」という用語は、坩堝の壁上または壁内にある誘導コイルを水冷し、更に細長い隙間を付けることによって、全体的に100゜C未満に留まるようにすることができるという事実を指す。坩堝の壁は、コイルと供給原料との間に近接して配置することができる。坩堝の壁の材料は、特に熱絶縁されておらず、したがって、冷却されたコイルと熱平衡の状態を保つことができる。したがって、シリコンの加熱は、坩堝の壁からの放熱に根拠があることにはならない。何故なら、坩堝におけるシリコンの誘導加熱は、シリコンを、その中を流れるように誘発された電流によって直接加熱することを意味するからである。このように、坩堝の壁はシリコンの融点未満に留まり、溶融シリコンと比較すると「冷たい」と見なされる。誘導加熱によって溶融したシリコンの固化の間、坩堝のこれら冷壁はヒート・シンクとして作用する。インゴットは素早く冷却し、冷壁への放熱によって決定される。したがって、初期固化前面(initial solidification front)は大きく湾曲し、インゴットの側面に結晶核形成が生じ、インゴットの中心に向かって対角線状に成長し、垂直で幾何学的に揃ったシーディング・プロセス(seeding process)、または実質的に平坦な固化前面を維持しようとするいずれの試みをも粉砕する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことに鑑み、光電変換セルを製造するために用いることができるシリコンを改良した形態が求められている。また、これまで単結晶シリコンを生産するために用いられてきたプロセスよりも高速でしかも費用がかからないプロセスにおいて製造することができるシリコンも求められている。本発明は、このようなシリコンおよびこのようなプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで用いる場合、「単結晶シリコン」という用語は、全体的に一貫した1つの結晶方位を有する単結晶シリコンの本体のことを言う。更に、従来の多結晶シリコンは、cm単位の(cm-scale)粒子サイズ分布を有し、多数のランダムな方向を向いた結晶がシリコン本体内にある結晶シリコンのことを言う。
【0010】
更に、ここで用いる場合、「多結晶シリコン」という用語は、ミクロン級粒子サイズを有し、多数の粒子方位が所与のシリコン本体内にある結晶シリコンのことを言う。例えば、粒子は、通例、サイズがミクロン未満からミリメートル未満であり(例えば、個々の粒子は裸眼では見えない場合もある)、粒子の方位は全体的にランダムに分布している。
【0011】
更に、ここで用いる場合、「準単結晶シリコン」(near-monocrystalline silicon)という用語は、本体の体積の50%よりも多い領域全体に1つの一貫した結晶方位を有する結晶シリコンの本体のことを言い、例えば、このような準単結晶シリコンは、多結晶領域に隣接した単結晶シリコンの本体を備えている場合があり、あるいは大きな連続して一貫性のあるシリコン結晶と、その中に部分的にまたは全体的に含まれる他の結晶方位の小さなシリコン結晶とを備えることができ、小さい結晶は体積全体の50%よりも多い領域を構成しない。好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の25%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。更に好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の10%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。更に一層好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の5%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。
【0012】
しかしながら、ここで用いる場合、「幾何学的に揃った多結晶シリコン」(以下「幾何学的多結晶シリコン」と呼ぶ)という用語は、本発明の実施形態によれば、幾何学的に揃ったcm単位の粒子サイズ分布を有し、多数の揃った結晶がシリコンの本体内にある結晶シリコンのことを言う。例えば、幾何学的多結晶シリコンでは、核粒子は、通例、約0.25cm2から約2,500cm2のサイズの平均断面積と、シリコン本体と同程度とすることができる高さとを有し、断面は、粒子の高さまたは長さに対して垂直な平面内にあり、例えば、高さは断面に対して垂直なシリコン本体の寸法と同程度とすることができ、幾何学的多結晶シリコン本体内における粒子方位を、所定の方位にしたがって制御する。幾何学的多結晶シリコンの粒子の高さまたは長さに垂直な粒子の断面の形状は、通例、それが形成されたシード結晶またはシード結晶の一部の形状と同一である。好ましくは、粒子の断面の形状は多角形である。好ましくは、多角形粒子の過度は、3つの異なる粒子の接合部に対応する。幾何学的多結晶シリコンの本体内にある各粒子は、当該粒子全体において連続的に一貫した1つの結晶方位を備えていることが好ましいが、1つ以上の粒子が、少量の方位が異なるシリコンの更に小さな結晶を含有することもできる。例えば、このような粒子は、各々、部分的または全体的に、結晶方位が別のシリコンの更に小さい結晶を含有することができる。この場合、このような更に小さい結晶は、粒子の全体積の25%よりも大きい領域を構成せず、好ましくは、粒子の全体積の10%よりも大きい領域を構成せず、更に好ましくは、粒子の全体積の5%よりも大きい領域を構成せず、更に一層好ましくは、粒子の全体積の1%よりも大きい領域を構成せず、その上更に一層好ましくは、粒子の全体積の0.1%よりも大きい領域を構成しない。
【0013】
本発明によれば、具体化し広義に記載すると、成型シリコンの製造方法を提供し、該成型シリコンの製造方法は、少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝における少なくとも1つの表面上に、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、溶融シリコンと少なくとも1つの冷却用の壁との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、を備えている。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも2つの表面上に、所定のパターンで複数の単結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、単結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために坩堝の少なくとも2つの表面から溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶から成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、坩堝における溶融シリコンと単結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、を備えている。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、少なくとも1つの表面において複数のシリコン・シード結晶を接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、シリコン供給原料および複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、少なくとも1つのシリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、加熱を制御するステップであって、該ステップは、坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、一旦複数のシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、を備えている。
【0016】
本発明の更に別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも2つの表面に、複数の単結晶シリコン・シード結晶を所定のパターンで配列するステップと、少なくとも2つの表面において、複数の単結晶シリコン・シード結晶と接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、シリコン供給原料および複数の単結晶シリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、複数の単結晶シリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、加熱を制御するステップであって、該ステップは、坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、一旦少なくとも1つのシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、を備えている。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも1つの表面に、少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、少なくとも1つのシリコン・シード結晶と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、坩堝における溶融シリコンと少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップとを備えている。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝内の少なくとも1つの表面に複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップであって、複数の単結晶シリコン・シード結晶を、坩堝における少なくとも1つの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するように溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シリコンから成る固体本体を形成するステップとを備えている。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、1つ以上の側面が少なくともシリコンの融点に加熱されているベッセルにおいて、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップであって、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶を、ベッセルの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、結晶化を制御するように溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シシリコンから成る固体本体を形成するステップとを備えている。
【0020】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有する、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体も提供し、この本体は、任意に、各々、少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する。
【0021】
本発明の更にまた別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、連続成型し幾何学的に揃った多結晶シリコンの本体も提供する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコン・ウェハも提供する。
【0023】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0024】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0025】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0026】
本発明の更に別の実施形態によれば、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から成り、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、この本体が、更に、各々、任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する、ウェハも提供する。
【0027】
本発明の更に別の実施形態によれば、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から形成したシリコンから成り、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、この本体が、更に、各々任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハも提供する。
【0028】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直である、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハから成り、更に、各々少なくとも約50mmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハも提供する。
【0029】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0030】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0031】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を5体積%まで含有することができる。好ましくは、本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を1体積%まで含有することができる。更に一層好ましくは、本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を0.1体積%まで含有することができる。
【0033】
本発明の更に別の特徴および利点は、以下に続く説明に明記されており、説明から明白であるか、または本発明の実施形態の実用化によって習得できよう。本発明の特徴およびその他の利点は、記載した説明および特許請求の範囲、ならびに添付図面において特定的に指摘した、半導体デバイス構造、ならびに製造方法および装置によって実現および達成する。
【0034】
尚、以上の概略的な説明、および以下の詳細な説明の双方は、一例で説明のためのものであり、特許請求する発明を更に詳しく説明することを意図していることは理解されるべきである。また、本発明は、ここに記載し特許請求する方法によって作られたシリコン、ならびにこのようなシリコンから作られたウェハおよび太陽電池も含むものとする。
【0035】
添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成するが、本発明の実施形態を例示し、更に記載と共に、本発明の特徴、利点、および原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
これより、本発明の実施形態について詳細に見ていくことにする。その例を添付図面に示す。可能なときはいつでも、同じまたは同様の部分に言及する際に、同じまたは同様の参照番号を図面全体において用いることとする。
【0037】
本発明に係る実施形態では、溶融シリコンの結晶化は、1つ以上のシード結晶を用いた成型プロセスによって行われる。ここで開示するように、このような成型プロセスは、結晶化シリコンの成型本体における結晶粒子のサイズ、形状、および方位を制御するように実施することができる。ここで用いる場合、「成型」という用語は、溶融シリコンを保持するために用いる型またはベッセルにおいて溶融シリコンを冷却することによって、シリコンを形成することを意味する。溶融シリコンのような液体は、それが流し込まれた容器の形状となるので、ここでは、溶融シリコンの冷却は、単に型やベッセルにおけるだけではく、いずれの手段によって溶融シリコンを閉じ込めている間でも、溶融シリコンの冷却を遂行できることも想定している。一例として、シリコンは、坩堝における固化によって形成することができ、固化は坩堝の少なくとも1つの壁から開始し、溶融物(melt)に混入した冷たい異物によってではない。坩堝は、カップ、円筒、またはボックスのような、適した形状であればいずれをなしてもよい。つまり、本発明による溶融シリコン結晶化プロセスは、ブールまたはリボンを「引き上げる」ことによって制御するのではない。更に、本発明の実施形態にしたがえば、型、ベッセル、または坩堝は、溶融シリコンと接触する少なくとも1つの「熱い側壁」を含む。ここで用いる場合、「熱い側壁」とは、それが接触する溶融シリコンと等温度のまたはそれよりも熱い表面を言う。好ましくは、熱い側面は、シリコンの処理中固定されたままである。
【0038】
本発明の実施形態にしたがえば、結晶化シリコンは、連続単結晶、準単結晶シリコン、または粒子方位を制御した連続幾何学的多結晶のいずれかとすることができる。ここで用いる場合、「連続単結晶シリコン」という用語は、シリコンの本体が単結晶シリコンの1つの同質体であり、互いに接合して大きなシリコン片を形成する小さなシリコン片ではない、単結晶シリコンのことを言う。更に、ここで用いる場合、「連続的幾何学的多結晶シリコン」という用語は、シリコンの本体が幾何学的多結晶シリコンの1つの同質体であり、互いに接合して大きなシリコン片を形成する小さなシリコン片ではない、幾何学的多結晶シリコンのことを言う。
【0039】
本発明の実施形態にしたがえば、結晶化は、結晶シリコン「シード」の所望の集合体を、例えば、溶融シリコンを保持することができるクオーツ坩堝のようなベッセルの底面に配置することによって行うことができる。ここで用いる場合、「シード」という用語は、所望の結晶構造を有する、好ましくは幾何学的形状のシリコン片のことを言い、好ましくは、少なくとも1つの断面が幾何学的形状、好ましくは多角形状を有し、好ましくはその一側面が、シリコン片を収容しようとするベッセルの表面と一致する。このようなシードは、単結晶シリコン片、または幾何学的に揃った多結晶シリコン片のいずれかとすることができ、例えば、単結晶シリコンのインゴットから切断した、またはそれ以外の方法で得たスラブ、即ち、水平断片である。本発明にしたがえば、シードの上面はその底面と平衡であるとよいが、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、シードは、サイズが約2mmから約3000mmまで変動するシリコン片とすることができる。例えば、シードは、約10mmから約300mmまでとすることができる。シリコン片の厚さは、約1mmから約1000mm、好ましくは、約5mmから約50mmとするとよい。シードの適したサイズおよび形状は、都合に合わせて、そしてタイリングに合わせて選択すればよい。タイリングについては、以下で更に詳しく説明するが、例えば、坩堝の底面または側面および底面の1つ以上にわたって、所定の幾何学的方位またはパターンでシリコン・シード結晶を配列する。1つまたは複数のシードが坩堝の表面全体を覆い、それに隣接してこれらを配することにより、シードされた結晶の成長固化前面をシードから遠ざけるように移動させるときに、坩堝の断面積の最大サイズが、一貫した幾何学的結晶として維持できるようにすることが好ましい。
【0040】
次いで、溶融シリコンを冷却し、シードが存在する中で結晶化することができる。好ましくは、溶融シリコンの冷却は、溶融シリコンの結晶化が固体シードの元の上面の高さ以下で開始し、シードから、好ましくは、上に向かって進んでいくようにする。溶融シリコンの縁端における固体−液体界面は、好ましくは、溶融シリコンを成型している坩堝の表面のような、ベッセルの冷却面に、最初は一致することが好ましい。本発明の実施形態によれば、溶融シリコンと結晶化シリコンとの間の液体−固体体界面は、成型プロセスの一部、例えば、固化段階の初期部分、またはその全てにわたって実質的に平坦に維持することができる。本発明の一実施形態では、溶融シリコンの縁端の各々における固体体−液体界面を、好ましくは固体−液体界面を実質的に平坦に維持しつつ、溶融シリコンと坩堝の冷却面との間の距離が増大する方向に移動するように冷却中に制御する。
【0041】
このため、本発明にしたがえば、固化前面は、ベッセルの冷却面の形状と平行とすることができる。例えば、底面が平坦な坩堝を用いると、固化前面は実質的に平坦のままであり続けることができ、固体−液体界面の横断面(profile)が制御される。固体−液体界面は、縁端から中央に移動すると、その曲率半径が減少するように制御することができる。あるいは、固体−液体界面は、ベッセルの幅の少なくとも半分の平均曲率半径を維持するように制御することができる。更に、固体−液体界面は、ベッセルの幅の少なくとも2倍の平均曲率半径を維持するように制御することができる。固体は、多少凸状の界面を有する可能性があり、曲率半径は少なくともベッセルの幅の4倍となる。例えば、固体−液体界面の曲率半径は、一般に、0.7mの正方形坩堝では2mよりも大きく、坩堝の横寸法の2倍よりも大きく、好ましくは、坩堝の横寸法の約8倍から約16倍とすることができる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cm、例えば、一辺が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cm、例えば、一辺が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも10cmで形成することができる。更に好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、例えば、一辺が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも10cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cm、例えば、一辺が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cm、例えば、一辺が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cm、例えば、一辺が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cm、例えば、一辺が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。本発明の実施形態によれば、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。更に好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。
【0043】
本発明の実施形態によって作成した成型シリコンのインゴットの横サイズの上限は、成型および坩堝製作技術のみによって決められ、本発明の方法自体によって決まるのではない。本発明によれば、断面積が少なくとも1m2から4〜8m2までのインゴットを製造することができる。同様に、インゴットの高さの上限は、成型プロセスの基礎的事項ではなく、サイクル時間の長さに関係すると考えられる。約50cmから約80cmまでの高さのインゴットが可能である。つまり、本発明にしたがえば、連続単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの本体は、断面が約66cm×66cmに首尾良く成長することができ、連続単結晶シリコンの矩形固体片の体積は、少なくとも33,750cm3となる。更に、本発明にしたがえば、成型連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさであり、第3寸法がインゴットと同じ高さとなるように形成することができる。例えば、単結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0044】
同様に、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。つまり、本発明にしたがえば、連続幾何学的多結晶シリコンの本体は、断面が約66cm×66cmに首尾良く成長することができ、連続幾何学的多結晶シリコンの矩形固体片の体積は、少なくとも33,750cm3となる。更に、本発明にしたがえば、成型幾何学的多結晶シリコンは、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさとなるように形成することができる。例えば、幾何学的多結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0045】
本発明の実施形態にしたがった様式で溶融シリコンの結晶化を行うことにより、ランダムではなく特定の粒子境界および特定の粒子サイズを有する成型シリコンを作成することができる。加えて、全てのシードを互いに対して同じように向けさせるようにシードを整列することによって、例えば、(100)極方向を坩堝の底面に対して垂直とし、(110)極方向を矩形または正方形断面の坩堝の辺の1つに対して平行とすることによって、成型シリコンの大きな温帯を得ることができ、これは、このような成型シリコンの極方向がシードのそれと同じとなっている、単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンである。同様に、他の極方向も坩堝の底面に対して垂直としてもよい。更に、本発明の一実施形態にしたがえば、シードは、いずれの共通極方向も坩堝の底面に対して垂直となるように配列することもできる。
【0046】
円筒状に形成されたブールを溶融シリコンのプールから引き上げる従来の方法、例えば、CZまたはFZ方法によって単結晶シリコンを作成すると、得られる単結晶シリコンは、半径方向に分布する不純物、およびスワール欠陥(空乏や自己格子間原子のような内在的な欠陥から形成される)のような、欠陥、ならびにOSF環状欠陥を含有する。スワール欠陥は、格子間シリコン原子または空乏であり、単独または群生形態のいずれかとなる。このようなスワール欠陥は、x線トポグラフィによって検出することができ、シリコンにおいて「スワール」(渦巻き)のように見える。また、これらは、欠陥描写に好ましいシリコンの酸エッチングの後に検出することができる。
【0047】
従来のCZまたはFZ方法によれば、シリコン内部における酸素原子の分布、およびこのような酸素原子によって生ずるシリコン内の欠陥は、半径方向に位置する。これが意味するのは、これらは、中心軸に対して対称なリング、螺旋、または条線状に並ぶ傾向があるということである。OFSリング欠陥は、これの特定的な例であり、ナノメートル単位の酸素が、引き上げた単結晶インゴットまたはシリコンのブール内にある円筒状帯域における有核積層不良(nucleate stacking fault)を突然引き起こし、このようなシリコンから作られるウェハ上に円形の欠陥帯域が生ずる。このような帯域は、好ましい酸エッチング(preferential acid etching)の後に、シリコンのサンプルにおいて観察することができる。
【0048】
スワール欠陥およびOSFリング欠陥の双方は、例えば、従来のCZまたはFZ方法によって、溶融シリコンのプールから円筒形状のブールを引き上げることによって、引き上げプロセスの回転対称、軸方向熱勾配、およびプロセスに内在する回転のために、単結晶シリコンのブールに発生する。対照的に、本発明の実施形態による成型プロセスでは、このようなスワール欠陥やOSFリング欠陥を呈しないシリコンを作成することができる。これは、円筒対称性(cylindrical symmetry)を有さないシリコン本体において、そして固化および冷却プロセス全体にわたってインゴットの全てにおいて等温線が本質的に平坦であるプロセスにおいて、成型プロセス中における欠陥の組み込みが、回転の影響を受けない成長界面において本質的にランダムに分散することができるからである。
【0049】
異なる方法によって成長したシリコンにおける軽い元素の不純物濃度に関して、表1に示す以下のレベルが、広く考慮される特性である。
【0050】
【表1】
【0051】
CZインゴットの一部は、5×1017原子/cm3という低さの酸素濃度で生産することができるが、これより低くはならない。炭素および窒素の濃度は、FZおよびCZインゴットでは、意図的なドーピングによって増大させることができるが、ドーピングはこれらの技法では固体の溶解度の限界を超過することはなく(成型物質でも同様)、ドープしたインゴットは、直径20cmよりも大きいサイズでは作成されたことはない。対照的に、成型インゴットは、通例、剥離剤塗布およびファーネス・ホット・ゾーンの設計により、炭素および窒素が過飽和となる。その結果、液相核形成(liquid phase nucleation)および成長のために、凝結した窒素および炭素が至る所に発生する。更に、本発明の実施形態によれば、先に報告した不純物レベルで、そして50×50×20cm3および60×65×5cm3というサイズで、成型単結晶インゴットが製造されている。これらの寸法は一例に過ぎず、本発明の成型プロセスの上限と見なしてはならない。
【0052】
例えば、不純物レベルに関して、本発明によって成型されたシリコンでは、約1〜5×1017原子/cm3(約1×1017原子/cm3から約5×1017原子/cm3に対する表記)の溶解炭素濃度、約2〜3×1017原子/cm3の溶解酸素濃度、および約1〜5×1015原子/cm3の溶解窒素濃度が好ましい。本発明の実施形態によれば、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cm、例えば、一辺が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cm、例えば、一辺が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、例えば、一辺が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cm、例えば、一辺が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cm、例えば、一辺が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cm、例えば、一辺が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cm、例えば、一辺が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。
【0053】
本発明の実施形態によって作成し、先に参照した不純物濃度を有する成型シリコンのインゴットの横サイズの上限は、成型および坩堝製作技術のみによって決められ、本発明の方法自体によって決まるのではない。つまり、本発明にしたがえば、先に参照した不純物濃度を有する成型連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさであり、第3寸法がインゴットと同じ高さとなるように形成することができる。例えば、単結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0054】
本発明の実施形態にしたがえば、成型プロセスに用いられるシードは、所望のサイズおよび形状であればいずれでも可能であるが、正方形、矩形、六角形、菱形、または八角形の形状としたシリコン辺のように、適した幾何学的形状とした単結晶シリコン片、準単結晶シリコン、または幾何学的に揃った多結晶シリコンである。これらは、その縁辺同士を合わせて配置する、即ち、「敷設する」ことができ、所望のパターンで坩堝の底面に一致させることができるように、タイリングに適した形状とすることができる。また、本発明の実施形態にしたがえば、坩堝の側面の、全てを含む、1つ以上に、シードを置くことができる。このようなシードは、単結晶シリコンのブールのような、結晶シリコン源を鋸引きして、所望の形状を有する片とすることによって得ることができる。また、シードは、本発明の実施形態によるプロセスによって作成した連続単結晶、準単結晶シリコン、または連続幾何学的多結晶シリコンのいずれかのサンプルからこれらを切断することによって形成し、後続の成型プロセスにおいて用いるシードを、初期成型プロセスから作ることができるようにすることもできる。つまり、例えば、連続単結晶または準単結晶シリコンのいずれかのスラブを、連続単結晶または準単結晶シリコンのインゴットから切断するまたはそれ以外の方法で得れば、後続の連続単結晶または準単結晶シリコンの成型のためのテンプレートとして機能することができる。このようなシード結晶は、シードを配置する坩堝またはその他のベッセルの底辺のような、一側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。単結晶成型のためには、欠陥の組み込みを回避するために、できるだけ少ないシードで坩堝の底面を覆うことが好ましい。つまり、1つまたは複数のシードは、本発明による成型方法を実行するために1つ以上のシードを配置する坩堝またはその他のベッセルの底面のような、1つ以上の側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。
【0055】
これより、本発明のある種の実施形態によってシリコンを用意するプロセスおよび装置について説明する。しかしながら、これらは、本発明の原理に沿ってシリコンを形成する唯一の方法ではないことは言うまでもない。
【0056】
図1を参照すると、クオーツ坩堝のような、底面および壁のある坩堝110の底面にシード100が配置されており、これらは大きな連続的に方位付けられたスラブ120を形成するように、密接して同じ方位に突き合わされている。あるいは、これらは、特定的な粒子境界が生じ、結果的に生産されるシリコンにおいて、故意に選択した粒子サイズが得られるように、予め選択した誤方位(misorientation)に密接して突き合わせる。即ち、幾何学的多結晶シリコンの成型では、得られる結晶化幾何学的多結晶シリコンの断面粒子サイズ、および、好ましくは、断面形状は、シードのそれと等しいか、または近似することになり、粒子の高さは、断面に対して垂直なシリコンの寸法と同じ長さとすることができる。幾何学的多結晶シード結晶、例えば、幾何学的多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはその他の方法で得た幾何学的多結晶シリコンのスラブを、幾何学的多結晶シリコンを成型するための1つまたは複数のシード結晶として用いる場合、得られる幾何学的多結晶シリコンの粒子の断面粒子サイズ、および、好ましくは、断面形状は、1つまたは複数の幾何学的多結晶シードにおける粒子に近似する。つまり、幾何学的多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはそれ以外の方法で得た幾何学的多結晶シリコンのスラブは、「幾何学的多結晶シリコン・シード結晶」(「幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶」とも呼ぶ)となることができ、後続の幾何学的多結晶シリコンの成型のためのテンプレートとして機能することができる。このようなシード結晶は、シードを配置する坩堝またはその他のベッセルの、底面のような、一側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。このようなシード結晶を本発明の方法において用いると、その結果得られる幾何学的多結晶シリコンが有する結晶粒子は、好ましくは、シードの中にある粒子と同じまたは実質的に同じ断面サイズおよび形状を有する。
【0057】
図2を参照すると、シード100は、坩堝110の1つ以上の側面130、140上に配置することもできる。シード100は坩堝110の4つの側面全てに配置することができるが、例示の目的のみのために、壁130、140上だけにシード100を示す。好ましくは、坩堝110の4つの壁のいずれに配置するシードも、結晶が成長し易くするために、柱状となっている。好ましくは、坩堝110の4つの壁のいずれに配置した柱状シードの各々も、坩堝110の底面上でその直下に置かれたシードと同じ粒子方位を有する。幾何学的多結晶シリコンの成長の場合、このように柱状のシードを配置することにより、坩堝110の高さと同じまで幾何学的多結晶シリコン粒子を成長するのを促進する。
【0058】
更に図2を参照すると、シード110のこの配列の利点は、シリコンを成型するための自己伝搬プロセス(self-propagating process)が一層素早く、単純となり、結晶性が高くなり、成長速度も高くなることである。例えば、シリコンは、互いに積層した多数のシードから成る、シリコン「カップ」の中で溶融し、坩堝110の内側に空洞、例えば、底面および4つの壁を形成することができる。代替例では、この受け入れる「カップ」を最初にシリコンの融点まで加熱するが固体状態を維持し、次いで溶融シリコンを注ぎ込み、熱平衡に到達させる。次いで、前述の例のいずれにおいても、例えば、熱を周囲に放射する固体ヒート・シンク材料(図示せず)によって、坩堝110を冷却することによって、坩堝110の底面および側面から熱を除去しつつ、熱を坩堝110の開放上面に加え続ける。このように、得られたシリコンの成型インゴットは、単結晶または幾何学的多結晶のいずれにもなることができ(用いるシード100の種類およびその方位に左右される)、結晶化は既知の多結晶成型プロセスよりも速く進む。このプロセスを繰り返すために、既知の技法を用いて、結晶化したシリコン・インゴットの側面および底面の一部を除去し、後続の成型プロセスにおいて再利用することができる。好ましくは、複数のシード結晶、例えば、シード100は、シード100間における共通極方向が坩堝110の底面および側面の各々に対して垂直となるように配列し、坩堝110の底面と側面との間に粒子境界が形成されないようにする。
【0059】
図3Aから図3Cは、坩堝110において幾何学的多結晶シリコンを成型するためのタイリングの一例を示す。注意深いシードの作成、方位決定、配置、および結晶の成長によって、結晶粒子技術を達成することができる。例えば、図3Aおよび図3Bは、2つの単結晶シリコン・スラブ155、165を示し、その上に異なる(110)方向が示されている。双方のスラブは、その表面に対して垂直な共通の(100)方向を有する。次いで、単結晶シリコン155、165の各スラブを切断して多数のシリコン片を形成する。これらがシード150、160となる。表面の形式(type)は、模様の形成(texturing)の理由により均一にすることができ、あるいは自由に選択することができる。粒子の形状およびサイズは、図3Bに示すように、単結晶シリコン155および165のスラブからのタイルの切断に基づいて選択することができる。片150、160の隣接するタイル間の相対的方位角度によって、得られる成型幾何学的多結晶シリコンにおける粒子境界形式(例えば、高角度、低角度、または二重)が決定する。図3Aでは、例えば、(100)極方向の2つの粒子方位が示されている。
【0060】
ここで、図3Cに示すシードは、敷き詰めた単結晶シリコン片150、160で構成されており、単結晶シリコン片150、160は、それらの隣接タイルと、特定的に選択した方位関係を有する。次いで、図3Cに示すように、シリコン片150、160を、坩堝110の底面に敷き詰め、片150、160上に描いた矢印で示すように、2つの(110)方向が交互するようにする。尚、片150、160は、図示の目的のみのために、大まかに正方形のブロックとして描いたが、以下で論ずる理由のために、他の形状も可能であることを注記しておくのは重要である。
【0061】
図3Cには示さないが、シードは、図2におけるように、坩堝の側面上に配置してもよい。この場合、シリコン供給材料(図示せず)は片150、160の上から坩堝110の中に導入し、次いで溶融させることができる。あるいは、溶融シリコンを坩堝110に注ぎ込むこともできる。代替例では、坩堝110をシリコンの融点に非常に近い温度または融点まで加熱し、次いで溶融シリコンを注ぎ込む。本発明の実施形態にしたがえば、固化が始まる前に、シードの薄い層を溶融させることができる。
【0062】
次いで、前述の例のいずれにおいても、例えば、熱を周囲に放射する固体ヒート・シンク材料(図示せず)によって、坩堝110を冷却することによって、坩堝110の底面(およびシードが側面にも並べられる場合にのみ側面)から熱を除去しつつ、熱を坩堝110の開放上面に加え続ける。つまり、溶融シリコンは、シードが固体に維持されている間に導入され、溶融物の固化に指向性があるために、柱状粒子が上に向かって成長することになる。このように、得られた幾何学的多結晶シリコンの成型インゴットは、敷き詰めたシリコン・シード150、160の粒子方位を模倣する(mimic)ことができる。一旦この技法を適正に実施したなら、得られたインゴットを切断して、例えば、水平スラブとし、他の成型プロセスのためのシード層として作用することができる。スラブは、例えば、成型に用いられる坩堝またはその他のベッセルの底面のような、表面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状を有することができる。例えば、このようなスラブを1つだけ、成型プロセスに用いることができる。
【0063】
図4は、図3Cに示したタイリングの変形を示す。成型幾何学的多結晶シリコンに対する粒子方位の一例として、シード片150、160は、共通極方向(001)が坩堝110の底面に対して垂直となるように、敷き詰められている。図4では、(110)方向群の全てのばらつきを、方向矢印で示すように、片150、160のタイリングにおいて表現している。この特定的な図には示さないが、シードは坩堝110の1つ以上の側面上にあることも可能である。
【0064】
このように、シリコンを形成するために用いられる坩堝におけるシード結晶の方位は、特定の粒子境界が成型幾何学的多結晶シリコンにおいて形成されるように選択することができ、このような粒子境界は幾何学的形状を包囲する。本発明の実施形態とは対照的に、既知の成型プロセスでは、完全に溶融したシリコンの塊からの直接固化によって、制御せずに、多結晶粒子を成型することを伴う。その結果得られる粒子は、基本的にランダムな方位およびサイズの分布を有する。粒子方位がランダムであると、シリコン表面に効果的に模様を形成することが困難になる。更に、典型的な成長技法の自然生成物である、粒子境界におけるねじれが、転位の群発または線状の転位を伴う構造的欠陥を凝集させる傾向があることが示されている。これらの転位、およびこれらが引き付ける傾向がある不純物は、電子キャリアの速い再結合、および光電変換材料としての性能劣化の原因となる。したがって、本発明の一実施形態にしたがえば、単結晶または幾何学的多結晶シリコンのいずれの成型についても、規則的な粒子境界網を注意深く計画し、植え付けて、構造的欠陥を最少に抑えつつ、少数キャリアの寿命および不純物ゲッタリングが最大となるように、粒子のサイズ、形状、および方位を明示的に選択するようにする。
【0065】
粒子境界は、成長中にその垂直方向を維持しつつ、転位の凝集を最少に抑えるために、平面となるように選択することができる。粒子境界の形式は、不純物のゲッタリングおよび応力解放が最大となるように選択する。粒子方位(そして、特に表面方位)は、模様の形成が可能となり、表面のパシベーションを改良し、粒子強度を高めるように選択する。粒子のサイズは、効果的なゲッタリング距離と大きな吸収面積との間のバランスを最適化するように選択する。例えば、幾何学的多結晶シリコンの成型は、幾何学的多結晶シリコンの平均最少粒子断面サイズが少なくとも約0.5cmから約10cmとなり、共通極方向が、例えば、図3Cおよび図4に示すような、成型幾何学的多結晶シリコンの表面に対して垂直となるように遂行することができる。平均結晶粒子断面サイズは、約0.5cmから約70cm、またはそれ以上とすることができる。前述のように、断面サイズとは、粒子の高さまたは長さに対して垂直な粒子の断面における最大寸法と見なすこととする。
【0066】
本発明の一実施形態にしたがえば、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列は、坩堝の少なくとも1つの表面、例えば、坩堝の底面上に行うことができ、ここで、幾何学的配列は密接に詰め込んだ多角形を含む。あるいは、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列は、幾何学的配列が、密接に詰め込んだ多角形、あるいは、例えば、図5および図6に示すように、菱形または三角形の隙間を有する多角形の形状を含むように、行うこともできる。更に別の代替案では、複数の単結晶シード結晶を用いる代わりに、単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの事前成型において生産したインゴットから切断またはそれ以外の方法で得たシリコンの一部(section)またはスラブを、本発明による単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンを成型するための単独シード結晶として用いることができる。このような単独シード結晶は、成型を行うために用いる坩堝またはその他のベッセルの表面と同じサイズおよび形状、または実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。更に具体的には、図5は六角形170を密接に詰め込んだアレイの一例を示す。対照的に、図6は、菱形または三角形の隙間180、190を有する多角形のアレイの一例を示す。双方のアレイについて、以下で更に詳しく説明する。先に論じた配列のいずれでも、単結晶シリコンの固体本体、準単結晶シリコンの固体本体、または幾何学的多結晶シリコンの固体本体のいずれを成型するためであっても、一実施形態に適用することができ、この場合、坩堝の底面および側面の双方に、シード結晶を配置する。
【0067】
本発明の実施形態にしたがって、幾何学的多結晶シリコンの本体を成型することによって生産するシリコン結晶粒子は、柱状に成長させることができる。更に、このような結晶粒子の断面は、それを形成した元であるシードの形状、またはそれに近い形状とすることができる。このように特定的に選択した粒子境界を有するシリコンを作成する際、好ましくは、粒子境界接合は、角毎に3つだけの粒子境界を有する。図5に示すように、シード結晶170の六角形状配列は、水平面内における原子が、シリコンに対する(111)のように、三重(three-fold)または六重(six-fold)対称規則性を有するような結晶方位となる、シードのタイリングに望ましい。つまり、図5は、図1および図2に示したような、適した坩堝の底面に配列するための、六角形状シードの集合体の一部の平面図を示す。矢印は、シードにおけるシリコン結晶の(110)方向の向きを示す。
【0068】
あるいは、4重対称規則性を有する方位では、シードの異なる幾何学的構成を用いて、多数の粒子を跨いで安定した対称粒子境界を維持しつつも、三粒子境界角規則を満たすことができる。例えば、図6に示すように、θが(110)方向と(100)極を有する八角形の主要辺(primary side)との間における誤方位とし、アルファが隙間の菱形の頂角とすると、全ての結晶粒子は、α=90゜−θであれば、(110)方向に対して対称的な粒子境界を有することになる。この例では、全ての結晶粒子は、図6を描いた紙面に対して垂直な(100)極を有する。つまり、図6は、図1および図2に示すような、適した坩堝の底面上の配列に合わせた、菱形状シード180、190と共に、八角形状のシードの集合体の一部の平面図である。矢印は、シードの中にあるシリコン結晶の(110)方向の向きを示す。
【0069】
図7は、本発明にしたがってシリコンを作成する方法例を示すフローチャートである。図7にしたがえば、方法700は、開始すると、単結晶または幾何学的多結晶シリコン成長のために、単結晶シリコン・シード結晶を選択し、この単結晶シリコン・シード結晶を坩堝の中に配列する(ステップ705)。あるいは、単結晶シリコンまたは幾何学的に揃った多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはそれ以外の方法で得た単一のスラブを、単一のシード結晶として用いることもできる。次に、シリコン供給原料を坩堝に追加することができる(ステップ710)。次いで、坩堝を上から加熱しながら、坩堝の底面を下から冷却する(受動的または能動的に、ステップ715参照)。溶融の間、シリコンの溶融段階を監視して、固体−液体界面の位置を追跡し制御する(ステップ720)。シリコンの溶融段階は、単結晶シリコン・シード結晶の一部が溶融するまで、継続することが許される(ステップ725)。一旦単結晶シリコン・シード結晶の所望の部分が溶融したなら、溶融段階を終了し、結晶成長段階が開始する(ステップ730)。結晶の成長は、シリコンの結晶化が完了するまで、坩堝内において単一方向にそして垂直に連続することができる(ステップ735)。幾何学的多結晶シリコン成長に合わせてシードを配列している場合、ステップ735の結晶化によって、柱状の粒子を有する幾何学的多結晶シリコン・インゴットが生産される(ステップ740)。あるいは、単結晶シリコン成長に合わせてシードを配列している場合、ステップ735の結晶化によって、単結晶シリコン・インゴットが生産される(ステップ745)。最後に、ステップ740または745のいずれかで生産されたインゴットを、その後の処理のために、取り出す(ステップ750)。
【0070】
図8Aに示すように、シリコン供給原料200を、シード220を収容している坩堝210に、例えば、2つの方法の内1つで導入することができる。最初の方法では、都合のよい大きさにしたチャンク(chunk)の形態で、坩堝210に固体シリコン供給原料200を最大容量まで装荷し、成型場(図示せず)に、装荷した坩堝210を配置する。
【0071】
図8Bに示すように、坩堝110内に充填したシリコンの上面が融点まで加熱され、一方底面を能動的または受動的に冷却して坩堝210の底面においてシード220の固相を維持するように、即ち、供給原料200を溶融するときにこれらが浮動しないように、坩堝210内における熱的特性を設定する。固体のヒート・シンク材料230が、水冷壁に熱を放射するために、坩堝210の底面に接触している。例えば、ヒート・シンク材料230は、グラファイトの固体ブロックとすることができ、好ましくは、坩堝の底面と同じ位またはそれよりも大きい寸法を有することができる。本発明にしたがえば、例えば、ヒート・シンク材料は、底面が66cm×66cmの坩堝と共に用いる場合、66cm×66cm×20cmとすることができる。シード220を坩堝210の底面上のみに配置するのであれば、坩堝210の側壁は、好ましくは、いずれにしても冷却しない。シード220を坩堝210の底面および側面上に配置する場合、所望の熱的特性を維持するために、坩堝210の底面および側面の双方に、ヒート・シンク材料230を配置する。
【0072】
シリコン供給原料200の溶融局面(melting phase)を注意深く監視して、溶融シリコンとシードとの間の界面位置を追跡する。好ましくは、溶融240(図8Bに示す)は、シード220を除く供給原料シリコン200の全てが完全に溶融するまで続き、その後シード220が部分的に溶融する。加熱を注意深く制御して、例えば、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.1゜C/分以下に維持することにより、シード220が完全に溶融しないようにする。好ましくは、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.05゜C/分以下に維持することにより、加熱を注意深く制御することができる。例えば、本発明にしたがえば、ΔTは、坩堝とグラファイトの大きなブロックとの間にある坩堝の外面上で測定することができ、既に溶融したシード220の部分を計算するために、ジプロッド(diprod)を溶融物240の中に挿入して溶融物の深さを測定するとよい。
【0073】
図8Cに示すように、部分250は、溶融物240の下にあるシード220の溶融した部分の全ての厚さを示す。シード220の部分250が、溶融物240の下で溶融した後、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始し、坩堝210の上面における加熱を減少させ、および/またはヒート・シンク材料230の底面の冷却を増大させる。このプロセスの一例として、図8Dに示すチャートは、時間の関数としてシード220の部分250の溶融を示す。図8Dに示すように、初期厚さが5および6cmの間であるシードの部分を、固体シードが2cm未満だけ残るまで、徐々に溶融させる。例えば、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後、坩堝の外面で測定して(例えば、冷却ブロック内に取り付けた熱電対によって)、ΔTを約0.1゜C/分以下に維持することにより、シード220が完全に溶融しないように、加熱を注意深く制御することができる。好ましくは、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.05゜C/分以下に維持することにより、加熱を注意深く制御することができる。この時点で、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始する。これは、チャートの縦軸上で測定した固体の厚さの相対的な上昇によって示される。
【0074】
次いで、図8Eに示すように、シリコンの結晶化が完了するまで、シードした結晶の成長が単一方向に、そして垂直に、坩堝210内において継続する。成型サイクルが終了するのは、坩堝210内における上面から底面までの熱勾配がなくなった(evented out)ときである。次いで、インゴット260全体をゆっくりと室温まで冷却する。図8Eに示すように、幾何学的多結晶シリコンの成型では、このシード単一方向成長によって生成される柱形状粒子270は、概略的に、それが形成された個々のシード220の形状と同じ水平断面を有する。このように、成型幾何学的多結晶シリコンの粒子境界は、予め選択することができる。既に論じたシード・パターン/タイリングのいずれでも、この成型プロセスに適用することができる。
【0075】
あるいは、単結晶シリコンの成型では、シード220の配列を、粒子境界が全く有さないように行い、その結果成型単結晶シリコンが得られるようにすることもできる。図8Fに示すように、部分250は、溶融物240の下において溶融したシード220の全体的な厚さを示す。溶融物240の下においてシード220の部分250が溶融した後、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始し、坩堝210の上面における加熱を減少させ、および/またはヒート・シンク材料230における底面の冷却を増大させる。次いで、図8Gに示すように、シードした結晶の成長が、坩堝210内部において、シリコンの結晶化が完了するまで、単一方向にそして垂直に継続する。好ましくは実質的に平面の固体−液体界面285が、上に向かって、坩堝210の底面から離れるように伝搬する。成型サイクルが終了するのは、結晶成長の完了後、坩堝210内における上面から底面までの熱勾配がなくなった(evened out)ときである。次いで、インゴット280全体をゆっくりと室温まで冷却する。単結晶シリコンの成型では、図8Gに示すように、このシード単一方向成長によって、成型単結晶シリコン290の連続固体本体が得られる。
【0076】
図9に示す別のプロセスでは、シリコン供給原料200を最初に別個の区画室または別個の溶融ベッセル300において溶融させてもよい。シード220は、溶融した供給原料305を溶融管310を通じて坩堝210に供給または注入する前に、上位から部分的に溶融してもしなくてもよく、その後図8Bから図8Gを参照して説明したように、冷却および成長が進む。別の実施形態では、シリコン・シード結晶を坩堝210(図示せず)の壁に取り付け、シード成長は、既に説明したように、坩堝210の底面だけでなく側面からも進むことができる。あるいは、シリコン供給原料200を、坩堝210とは別個の溶融ベッセル300において溶融し、同時に坩堝210をシリコンの融点まで加熱し、シード220が完全に溶融しないように加熱を制御する。シード220が部分的に溶融したときに、溶融供給原料305を溶融ベッセル300から坩堝210に移し、冷却および結晶化を開始することができる。このように、本発明の一実施形態にしたがえば、結晶化シリコンの固体本体の一部はシード220を含むことができる。あるいは、溶融物の導入前では、シードを完全に固体のまま保持することもできる。この場合、溶融ベッセル300の中にある溶融シリコンを融点を超えて加熱し、過熱液体を導入したときに、この過熱液体にシードの一部を溶融させる。
【0077】
図9に示すような二段階成型場では、溶融供給原料305は、溶融ベッセル300から注ぎ込まれ、シード220上に落下し、固化の間にその結晶性を帯びる。あるいは、溶融は、中央溶融ベッセル300において行われてもよく、中央溶融ベッセル300は、坩堝210(図示せず)の1つ以上のコピーのような、固化坩堝の分散配列を備えている(feed)。本発明の実施形態にしたがえば、固化坩堝には、坩堝の側面および底面のいずれかまたは双方において、シード220をぎっしり並べることができる。この手法の利点の一部には、各成型行程の最適化向上を可能にする、溶融および固化システムの分離、坩堝の供給を維持するために必要となる、新たな材料の溶融を規則的に行うことができる、シリコンの半連続溶融、溶融物の中央から固化場に供給しつつ、最上部(および潜在的な底面の排出)のシリコンのスラギング(slagging)による、開始シリコン材料の純度向上、および溶融ベッセル300が溶融供給原料305と平衡状態となり、重大な不純物源ではなくなることが含まれる。
【0078】
このように、インゴット260または280を前述した方法の1つによって成型した後、例えば、本発明にしたがって、インゴットの最下部またはその他の区間を切除し、それを後続の成型行程において単結晶シードとして用いて単結晶シリコン、準単結晶シリコン、または幾何学的多結晶シリコンの本体を形成することによって、得られる成型インゴットを更に処理することができ、この場合、このような単結晶シードのサイズおよび形状は、後続の成型行程において用いられる坩堝の底面と同じサイズおよび形状となり、インゴットの残り部分を切断してブリックおよびウェハとし、これらを処理して光電変換セルを得る。あるいは、インゴット全体を切断して、例えば、水平スラブを得て、今後の成型行程のために多数の成型場においてシード結晶として用いることができる。
【0079】
本発明の実施形態にしたがうプロセスにおいて用いられるシリコン供給原料は、硼素、アルミニウム、リチウム、ガリウム、燐、アンチモニ、砒素、およびビスマスを含むリストから選択したドーパントのような、1つ以上のドーパントを含有することができる。このようなドーパントの総量は、原子%で約0.01ppm(ppma)から約2ppmaまでとすることができる。好ましくは、シリコンにおけるドーパントの量は、このシリコンから作られるウェハの抵抗率が約0.1から約50オーム−cm、好ましくは、約0.5から約5.0オーム−cmとなるような量である。
【0080】
このように、本発明にしたがえば、シリコンは、成型連続単結晶シリコン、成型準単結晶シリコン、または成型連続幾何学的多結晶シリコンの本体とすることができ、OSFおよび/またはスワール欠陥のような、半径方向に分布する欠陥が本質的にない、またはこれらがないことが好ましく、更に好ましくは、本体の少なくとも2つの寸法が、好ましくは、少なくとも約10cmであり、好ましくは少なくとも約20cm、であり、更に好ましくは少なくとも30cmであり、更に一層好ましくは少なくとも40cmであり、更に一層好ましくは少なくとも50cmであり、更に一層好ましくは少なくとも60cmであり、最も好ましくは少なくとも70cmである。更に好ましくは、このようなシリコン本体の第3の寸法は、少なくとも約5cmであり、好ましくは少なくとも約15cmであり、最も好ましくは少なくとも約20cmである。シリコン本体は、単一本体のような別個の一片とすることができ、あるいは他のシリコンの中に完全にまたは部分的に内蔵される、または包囲されることも可能である。シリコンの本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、溶融ベッセルの内寸と同じ大きさを有するように形成することができる。ここで開示したように、本発明の実施形態は、単結晶シリコン、準単結晶シリコン、または幾何学的多結晶シリコンの大きな本体を、単純で価格効率的な成型プロセスによって生産するために用いることができる。
【0081】
以下に、本発明の実施形態にしたがった実験結果の一例を示す。これらの例は、単に、本発明の実施形態の例を上げて図示するために紹介するのであり、いかようにも本発明の範囲を限定するように解釈してはならない。
例1
シードの準備。0.3ppmaの硼素を有する純粋なチョクラルスキ(CZ)シリコン(単結晶)のブールをMEMCから得て、その長さに沿って、ダイアモンド被膜帯鋸を用いて切断し、1辺当たり14cmの正方形断面を有するようにした。得られた単結晶シリコンのブロックを、その断面に沿って、同じ鋸を用いて切断し、厚さが約2cmから約3cmのスラブを得た。これらのスラブを、単結晶シリコン・シード結晶、即ち、「シード」として用いた。シリコン・ブールの(100)結晶極方位(crystallographic pole orientation)を維持した。次に、得られた単結晶シリコン・スラブを、クオーツ坩堝の底面に配列し、スラブの(100)方向が上を向き、(110)方向を坩堝の1つの側面に対して平行を維持するようにした。クオーツ坩堝は、1辺が68cmの正方形断面を有し、深さが約40cm、壁の厚さが約1.8cmである。スラブは、その長手寸法が坩堝の底面に平行となり、その側面が接触して、坩堝の底面上にこのようなスラブの単一の完全な層を形成するように、坩堝の底面に配列した。
【0082】
成型。次いで、室温において総質量265kgの固体シリコン供給原料を坩堝に充填した。次いで、充填した坩堝を、多結晶シリコンを成型するために用いられる、現場溶融/指向性固化(directional solidification)成型場に装填する。抵抗性ヒータを約1550゜Cまで過熱することによって、溶融プロセスを実行し、絶縁体を合計で6cm開放することにより、熱を底面から放射させつつ、過熱が上から行われるように、ヒータを構成した。この構成により、溶融が上下方向に坩堝の底面まで進んだ。シード結晶を融点において固体状態に維持させる受動冷却を底面を介して行い、熱電対によって監視した。クオーツ・ディップ・ロッド(quartz dip rod)を10分毎に溶融物の中に突っ込んで、これによって溶融の範囲を測定した。ディップ・ロッド高さを、場における空の坩堝で取った測定値と比較して、残留する固体材料の高さを判定した。ディップ・ロッド測定によって、最初に供給原料の溶融、次いで溶融局面を、シード結晶が約1.5cmの高さだけ残るまで、継続させた。この時点で、加熱電力を落として、温度を1500゜Cに設定しつつ、絶縁体を12cmまで開くことによって、底面からの放射を増大させた。固化が開始する前に、シード結晶が更に1または2ミリメートル余分に溶融したことが、ディップ・ロッド測定によって観察された。固化行程の終了まで、シード単結晶成長が続いた。成長段階および成型サイクルの残りを、通常のパラメータで実行した。ここでは、上面から底面までの熱勾配がなくなり、次いでインゴット全体を室温までゆっくりと冷却した。成型シリコン生産物は、66cm×66cm×24cmのインゴットであり、その中央部分は、50cm×50cmの正方形断面を有し、上面から下面まで単結晶シリコンであった。単結晶シリコン構造は、インゴットの表面を視覚的に検査することによって明白であった。加えて、結晶境界を描写することができる苛性配合(caustic formula)によるシリコンのエッチングで、更に、物質における粒子境界の欠如を確認した。全ドーピング平均は1.2オーム−cmであり、このシリコンから製造した光電変換セルの電気的効率は16.0%であった。
【0083】
この例にしたがって実行した他の成型工程では、成型シリコン生産物は、シリコンの連続一貫結晶であり、含有する他の結晶方位のシリコン結晶は少なく、あるいは多結晶シリコンの隣接領域を有する単結晶シリコンの本体であったことが観察された。
例2
シードの準備。シードの半分については、(110)方向が正方形シードの辺から45度の角度をなし、他方の半分は約20度の角度をなすように、単結晶シリコン・シードを切断したことを除いて、シーディングは例1におけると同様に行った。2つの異なるシード方位が交互する市松模様状に、正方形片を坩堝の底面に敷設した。即ち、(110)方向は坩堝の側面の方位から45度および20度の角度をなした。互いに対して、シードは25度または155度の誤方位を有した。しかしながら、正方形状シードのサイズの不一致により、シーディング層における一部の間隙は、被覆されないまま残された。坩堝は、正方形の辺の各々が約33cmであり、高さが約22cmであった。
【0084】
成型。シードを収容した坩堝、および合計で56kgの原料供給シリコン・チャンクを収容した別個の坩堝を、遍在成型プロセス(UCP)二段階成型場に装填した。受容坩堝(内部にシードが入っている)をシリコンの融点まで加熱するが、完全に溶融するエネルギは与えなかった。他方の坩堝におけるシリコンは、シリコンの融点よりも少なくとも50゜C高い温度で、抵抗性グラファイト・ヒータによって溶融させ、次いで受容坩堝に注ぎ込んだ。この時点において、固化が直ちに始まり、指向性固化およびシード結晶成長を行うために、受容坩堝の底面から熱を抽出した。シードが構成する既に固化した物質の質量を考慮して、標準的な成長サイクルを短縮した。このように、冷却プロセスが開始する前に66kg全て(10kgのシードおよび56kgの供給原料シリコン)が固化する時間を許す代わりに、加熱エネルギの浪費を回避するために、56kgの溶融シリコンのための時間だけを与えた。このプロセスの生産物は、大きく全体的に柱状の粒子のシリコン・インゴットであり、粒子は正方形断面を有し、その形状および寸法は、これらが形成された元のシード結晶の上面に近い寸法のままであった。横方向の粒子境界位置は、成長が進むに連れて、場合によっては浮動した。
【0085】
例3
シードの準備。坩堝の底面に敷設するために用いられる23kgの正方形(100)板によってシーディングを行い、63cm×63cmの被覆領域(coverage area)、および側面において中心における3cmから1.8cmの範囲の厚さが得られた。全ての板は、その(110)方向が坩堝の壁から45゜の角度をなすように配列した。
【0086】
成型。シードを収容した坩堝に、真性シリコン、以前のインゴットからリサイクルしたシリコン、およびp−型抵抗率が9オーム−cmよりも大きい二重成型シリコン(double-cast silicon)の混合を表す、合計242kgの追加供給原料シリコン・チャンクを充填した。シリコンを充填した坩堝を、一段階指向性固化炉に装填した。坩堝(シードが内部に入っている)を1550゜Cに加熱しつつ、絶縁体を12cmまで開放して底面を冷却した。固体−液体界面は、溶融の間中実質的に平坦のままであり、溶融の終了時に、シードのいずれの部分も溶融しなかった。シリコンの厚さを、クオーツ・ディップ・ロッドを用いて監視した。中心の厚さが2.5cmと測定されたときに、溶融段階を停止し、ヒータの温度を1440゜Cまで低下させ、絶縁体の高さを15cmまで増大させた。溶融局面変化の開始から、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの溶融温度に達した後温度の上昇率を、坩堝の外面上で測定して、0.1゜C/分以下に維持した。次いで、固化プロセスの残りを進ませ、結晶成長の終了が観察されるまで、ヒータにほぼ一定の電力を維持した。成長の終了後、結晶化シリコン・インゴットの温度は一定となり、次いで均一に室温まで低下した。坩堝からインゴットを取り出した後、インゴットの底部を切断して大きな一片を得た。これは、後に、別の後続の成型プロセスにおいてシードとして再利用するためである。インゴットの残りは、続く処理のために、12.5cmの正方形ブリックに切断した。このプロセスは、実質的にシード層断面全域において単結晶の成長を生じ、インゴットの上端まで進んだという点において成功であった。切断したシリコンの検査から、単結晶性は明白であった。
【0087】
この例にしたがって実行した他の成型工程では、成型シリコン生産物がシリコンの連続一貫結晶であり、含有する他の結晶方位のシリコン結晶は少なく、あるいは多結晶シリコンの隣接領域を有する単結晶シリコンの本体であったことが観察された。
【0088】
本発明の実施形態にしたがったシリコンから作成したウェハは、適度に薄く、光電変換セルに用いることができる。更に、ウェハは、n−型でもp−型でも可能である。例えば、ウェハは、厚さが約10ミクロンから約700ミクロンまで可能である。更に、光電変換セルに用いるウェハは、好ましくは、ウェハの厚さ(t)よりも大きな拡散長(Lp)を有する。例えば、Lpのtに対する比率は、少なくとも0.5であることが相応しい。例えば、少なくとも約1.1、または少なくとも約2とすることができる。拡散長は、多数キャリア(p−型物質における正孔)と再結合する前に、少数キャリア(p−型物質における電子のような)が拡散することができる平均距離である。Lpは、関係Lp=(Dτ)1/2によって、少数キャリアの寿命τに関係がある。ここで、Dは拡散定数である。拡散長は、光子−光線−誘発電流技法または表面光電変換技法というような、多数の技法によって測定することができる。どのようにして拡散長を測定することができるかの説明に関しては、例えば、FahrenbruchおよびR. Bubbeによる"Fundamentals of Solar Cells"(太陽電池の基礎)、Accademic Press, 1983, pp.90-102を参照のこと。
【0089】
ウェハは、約100ミリメートルから約600ミリメートルの幅を有することができる。好ましくは、ウェハは、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmである。本発明のシリコンから作成したウェハ、したがって本発明によって作成した光電変換セルは、例えば、約50から約3600平方センチメートルの表面積を有することができる。ウェハの表面には、模様を形成することが好ましい。例えば、化学的エッチング、プラズマ・エッチング、あるいはレーザまたは機械的スクライビングを用いると、相応しい模様を形成することができる。(100)極方位を有するウェハを用いる場合、水酸化ナトリウムのような塩基の水溶液において、高温、例えば、約70゜Cから約90゜Cで約10から約120分間ウェハを処理することによって、異方性の模様の表面を形成するように、ウェハをエッチングすることができる。水溶液は、イソプロパノールのような、アルコールを含有してもよい。
【0090】
このように、本発明の実施形態による成型シリコン・インゴットから生産したウェハを用いて、成型シリコンの固体本体をスライスして少なくとも1つのウェハを形成し、任意にウェハの表面上で洗浄手順を実行し、任意に表面上で模様形成工程を実行し、例えば、表面にドーピングすることによってp−n接合を形成し、任意に表面上に反射防止被膜を被着させ、例えば、アルミニウム焼結工程によって、任意に裏面電界(back surface field)またはパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を形成し、ウェハ上に導電性コンタクトを形成することによって、太陽電池を製造することができる。パシベーション層は、表面原子のダングリング・ボンドと連結する剥きだしのウェハ表面との界面を有する層である。シリコン上のパシベーション層の例には、窒化シリコン、二酸化シリコン、およびアモルファス・シリコンが含まれる。この層は、一般に、1ミクロンよりも薄く、光に対して透過性があるか、または反射防止層として作用する。
【0091】
例えば、p−型シリコン・ウェハを用いる光電変換セルを準備する典型的なそして一般的なプロセスでは、ウェハの一面を適したn−ドーパントに露出して、表面、即ち、ウェハの受光面上にエミッタ層およびp−n接合を形成する。通例、n−型層またはエミッタ層を形成するには、最初に化学的または物理的堆積のような当技術分野において慣例的に用いられている技法を用いてn−ドーパントをp−型ウェハの表面上に堆積し、このような堆積の後に、n−ドーパント、例えば、燐をシリコン・ウェハの表面から内部に打ち込んで、更にn−ドーパントをウェハ表面内に拡散させる。この「打ち込み」工程は、慣例的に、ウェハを高温に晒すことによって行われる。これによって、n−型層とp−型シリコン・ウェハ基板との間にある境界領域に、p−n接合が形成される。ウェハの表面は、エミッタ層を形成するための燐またはその他のドーピングの前に、模様を形成することができる。吸光度を更に高めるために、窒化シリコンのような任意の反射防止被膜を、通例、ウェハの表面に被着することができ、同時に表面上のパシベーションおよび/または大量のパシベーションが得られる場合もある。
【0092】
p−n接合を光エネルギに晒すことによって発生する電気ポテンシャルを利用するために、光電変換セルには、ウェハの表面上に導電性前面コンタクトと、ウェハの背面に導電性背面コンタクトとが備えられているが、双方のコンタクトがウェハの背面上にあることも可能である。このようなコンタクトは、通例、導電性が高い1種類以上の金属で作られ、したがって不透明であるのが通例である。
【0093】
このように、前述の実施形態にしたがった太陽電池は、半径方向に分布する欠陥がないまたは実質的にない、連続単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの本体から形成したウェハを備えており、本体は、先に説明したように、例えば、少なくとも2つの寸法が、各々、約25cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、ウェハ上にp−n接合を有し、ウェハの表面上に、裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を有することが好ましい任意の反射防止被膜を有し、更にウェハ上に導電性コンタクトを有することができる。本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更にOSF欠陥もないかまたは実質的になくすることができる。
【0094】
また、前述の実施形態にしたがった太陽電池は、連続幾何学的多結晶シリコンの本体から形成したウェハを備えることもでき、本体は、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくは、共通極方向が本体の表面に対して垂直であり、本体は、好ましくは、各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法と、ウェハの表面上に、裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を有することが好ましい任意の反射防止被膜を有し、ウェハ上に導電性コンタクトとを更に有する。幾何学的多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmのシリコン粒子を含み、本体はスワール欠陥がないかまたは実質的になく、更にOSF欠陥もないかまたは実質的になくすることができる。
【0095】
尚、開示した構造および方法には、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、種々の変更や変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、開示したプロセスおよび方法は、単結晶シリコンの形成に関するが、準単結晶シリコン、幾何学的多結晶シリコン、またはその組み合わせの形成にも適用することができる。更に、シリコンの成型についてここでは説明したが、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、その他の半導体材料および非金属結晶性材料も成型することができる。例えば、本発明者は、砒化ガリウム、シリコン・ゲルマニウム、酸化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、砒化ガリウム・インディウム、アンチモン化インディウム、ゲルマニウム、酸化イットリウム硼素、酸化ランタン、酸化マグネシウム、およびその他の半導体、酸化物、ならびに液相を有する合金(intermetallics)のような、本発明の実施形態にしたがったその他の材料の成型も想定している。本発明の他の実施形態は、ここに開示した本発明の仕様および実用の考慮から、当業者には明白であろう。本明細書および例は、単なる一例と見なし、本発明の真の範囲および主旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による坩堝の底面上におけるシリコン・シードの配置例を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による坩堝の底面および側面上におけるシリコン・シードの別の配置例を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の別の例を示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による六角形シード・タイルの密閉アレイの一例を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による菱形または三角形の隙間を有する多角形のアレイの一例を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による方法例を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8B】図8Bは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8C】図8Cは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8D】図8Dは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8E】図8Eは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8F】図8Fは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8G】図8Gは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【技術分野】
【0001】
(特記事項)
本発明は、エネルギ省(DOE)の契約第DE−AC36−98GO10337号の下において、DOEが裁定した、国家更新可能エネルギ実験(NREL:National Renewable Energy Laboratory)下請け契約第ZDO−2−30628−03号の下における米国政府支援を受けて行われた。米国政府は、本発明において、一定の権利を有する。
(関連出願)
本願は、2006年1月20日に出願した米国仮特許出願第60/760,453号、2006年5月30日に出願した米国仮特許出願第60/808,954号、2006年8月24日に出願した米国仮特許出願第60/839,672号、および2006年8月24日に出願した米国仮特許出願第60/839,670号の優先権の恩恵を主張する。これらは、ここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
(技術分野)
本発明は、一般的には、光電変換の分野、ならびに光電変換用途のための成型シリコンの製造方法および装置に関する。更に、本発明波、光電変換セルやその他の半導体デバイスのようなデバイスを製造するために用いることができる成型シリコンの新しい形態に関する。新しいシリコンは、幾何学的に揃った多結晶構造を有することができ、成型プロセスで製造することができる。
【背景技術】
【0002】
光電変換セルは、光を電流に変換する。光電セルの最も重要な尺度の1つは、光エネルギを電気エネルギに変換する際におけるその効率である。光電変換セルは種々の半導体材料から製作することができるが、一般にシリコンが用いられている。それは、シリコンが安価で容易に入手可能であるため、そして光電変換セルを製造する際に用いるのに適した電気的、物理的、および化学的特性のバランスを有するからである。
【0003】
光電変換セルを製造するための既知の手順では、シリコン供給原料を、正または負の導電性のいずれかを誘発する材料(即ち、ドーパント)と混合し、溶融し、次いで、個々のシリコン粒子の粒子サイズに応じて、結晶化したシリコンを溶融帯から単結晶シリコンのインゴットに引き上げることによって(チョクラルスキ(CZ)または浮遊帯(FZ)方法によって)、または多結晶シリコン即ちポリクリスタル・シリコンのブロック即ち「ブリック」(brick)に成型することのいずれかによって結晶化する。前述の手順では、既知のスライシングまたはソーイング方法によって、ウェハとも呼ばれている、インゴットまたはブロックを薄い基板に切断する。
【0004】
光電変換セルの製造に用いる単結晶シリコンは、一般に、CZまたはFZ方法によって生産され、双方は、結晶シリコンの円筒状ブールを生産するプロセスである。CZプロセスでは、ブールを溶融シリコンのプールからゆっくりと引き上げる。FZプロセスでは、個体材料を溶融帯を介して供給し、溶融帯の他方側において再度固化する。単結晶シリコンのブールは、これらの方法で製造した場合、半径方向に分布する不純物や欠陥を内包する。欠陥とは、酸素誘発積層欠陥(OSF)および格子間または空位クラスタの「スワール」欠陥等である。これらの不純物や欠陥があっても、単結晶シリコンは、一般に、光電変換セルを生産するには好ましいシリコン源である。何故なら、これは高効率の太陽電池を生産するために用いることができるからである。しかしながら、単結晶シリコンは、前述したような既知の技法を用いると、従来の多結晶シリコンよりも生産に多くの費用がかかる。
【0005】
光電変換セルの製造に用いるための従来の多結晶シリコンは、一般に、成型プロセスによって生産する。従来の多結晶シリコンを準備する成型プロセスは、光電変換技術の技術分野では周知である。端的に言うと、このようなプロセスでは、クオーツ坩堝のような坩堝に溶融シリコンを収容し、中に収容したシリコンの結晶化を可能とするように制御しながら冷却する。その結果得られた多結晶シリコンのブロックは、通常、ブリックに切断される。ブリックの断面積は、光電変換セルを製造するために用いられるウェハのサイズと同じか、またはこれに近く、ブリックを鋸引きするかまたはそれ以外の方法で切断して、このようなウェハとする。このようにして生産される多結晶シリコンは、結晶粒子の凝集であり、これから作られるウェハの中では、粒子の互いに対する方位は、事実上ランダムである。
【0006】
従来の多結晶またはポリクリスタル・シリコンのいずれにおいても、粒子のランダムな方位により、得られるウェハの表面に模様を織り込む(texture)のが困難にある。模様の折り込みは、光電変換セルの効率を高めるために用いられ、光の反射を低減し、セルの表面を通じた光エネルギの吸収を改善する。加えて、従来の多結晶シリコンの粒子間の境界に形成する「ねじれ」(kink)が、クラスタまたは転位線(lines of dislocation)の形態の構造的欠陥の中核となる傾向がある。これらの転位、およびこれらによって引き寄せられる傾向がある不純物は、従来の多結晶シリコンで作られた機能光電変換セルにおいて、電荷キャリアの速い再結合の原因になると考えられている。これは、セルの効率低下の原因となる可能性がある。このような多結晶シリコンで作られる光電変換セルは、一般に、単結晶シリコンで作られた同等の光電変換セルと比較すると、既知の技法によって生産する単結晶シリコンにおいて欠陥の半径方向分布があることを考慮しても、効率が低い。しかしながら、従来の多結晶シリコンは製造が比較的簡単であり、コストも低いため、更にセル処理における有効な欠陥パシベーションのために、多結晶シリコンの方が広く用いられる光電変換セルを製造するシリコンの形態となっている。
【0007】
以前の成型技法の中には、結晶成長のために「冷壁」坩堝の使用を伴う場合がある。「冷壁」という用語は、坩堝の壁上または壁内にある誘導コイルを水冷し、更に細長い隙間を付けることによって、全体的に100゜C未満に留まるようにすることができるという事実を指す。坩堝の壁は、コイルと供給原料との間に近接して配置することができる。坩堝の壁の材料は、特に熱絶縁されておらず、したがって、冷却されたコイルと熱平衡の状態を保つことができる。したがって、シリコンの加熱は、坩堝の壁からの放熱に根拠があることにはならない。何故なら、坩堝におけるシリコンの誘導加熱は、シリコンを、その中を流れるように誘発された電流によって直接加熱することを意味するからである。このように、坩堝の壁はシリコンの融点未満に留まり、溶融シリコンと比較すると「冷たい」と見なされる。誘導加熱によって溶融したシリコンの固化の間、坩堝のこれら冷壁はヒート・シンクとして作用する。インゴットは素早く冷却し、冷壁への放熱によって決定される。したがって、初期固化前面(initial solidification front)は大きく湾曲し、インゴットの側面に結晶核形成が生じ、インゴットの中心に向かって対角線状に成長し、垂直で幾何学的に揃ったシーディング・プロセス(seeding process)、または実質的に平坦な固化前面を維持しようとするいずれの試みをも粉砕する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことに鑑み、光電変換セルを製造するために用いることができるシリコンを改良した形態が求められている。また、これまで単結晶シリコンを生産するために用いられてきたプロセスよりも高速でしかも費用がかからないプロセスにおいて製造することができるシリコンも求められている。本発明は、このようなシリコンおよびこのようなプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで用いる場合、「単結晶シリコン」という用語は、全体的に一貫した1つの結晶方位を有する単結晶シリコンの本体のことを言う。更に、従来の多結晶シリコンは、cm単位の(cm-scale)粒子サイズ分布を有し、多数のランダムな方向を向いた結晶がシリコン本体内にある結晶シリコンのことを言う。
【0010】
更に、ここで用いる場合、「多結晶シリコン」という用語は、ミクロン級粒子サイズを有し、多数の粒子方位が所与のシリコン本体内にある結晶シリコンのことを言う。例えば、粒子は、通例、サイズがミクロン未満からミリメートル未満であり(例えば、個々の粒子は裸眼では見えない場合もある)、粒子の方位は全体的にランダムに分布している。
【0011】
更に、ここで用いる場合、「準単結晶シリコン」(near-monocrystalline silicon)という用語は、本体の体積の50%よりも多い領域全体に1つの一貫した結晶方位を有する結晶シリコンの本体のことを言い、例えば、このような準単結晶シリコンは、多結晶領域に隣接した単結晶シリコンの本体を備えている場合があり、あるいは大きな連続して一貫性のあるシリコン結晶と、その中に部分的にまたは全体的に含まれる他の結晶方位の小さなシリコン結晶とを備えることができ、小さい結晶は体積全体の50%よりも多い領域を構成しない。好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の25%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。更に好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の10%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。更に一層好ましくは、準単結晶シリコンは、体積全体の5%よりも多い領域を構成しない小さな結晶を含有するとよい。
【0012】
しかしながら、ここで用いる場合、「幾何学的に揃った多結晶シリコン」(以下「幾何学的多結晶シリコン」と呼ぶ)という用語は、本発明の実施形態によれば、幾何学的に揃ったcm単位の粒子サイズ分布を有し、多数の揃った結晶がシリコンの本体内にある結晶シリコンのことを言う。例えば、幾何学的多結晶シリコンでは、核粒子は、通例、約0.25cm2から約2,500cm2のサイズの平均断面積と、シリコン本体と同程度とすることができる高さとを有し、断面は、粒子の高さまたは長さに対して垂直な平面内にあり、例えば、高さは断面に対して垂直なシリコン本体の寸法と同程度とすることができ、幾何学的多結晶シリコン本体内における粒子方位を、所定の方位にしたがって制御する。幾何学的多結晶シリコンの粒子の高さまたは長さに垂直な粒子の断面の形状は、通例、それが形成されたシード結晶またはシード結晶の一部の形状と同一である。好ましくは、粒子の断面の形状は多角形である。好ましくは、多角形粒子の過度は、3つの異なる粒子の接合部に対応する。幾何学的多結晶シリコンの本体内にある各粒子は、当該粒子全体において連続的に一貫した1つの結晶方位を備えていることが好ましいが、1つ以上の粒子が、少量の方位が異なるシリコンの更に小さな結晶を含有することもできる。例えば、このような粒子は、各々、部分的または全体的に、結晶方位が別のシリコンの更に小さい結晶を含有することができる。この場合、このような更に小さい結晶は、粒子の全体積の25%よりも大きい領域を構成せず、好ましくは、粒子の全体積の10%よりも大きい領域を構成せず、更に好ましくは、粒子の全体積の5%よりも大きい領域を構成せず、更に一層好ましくは、粒子の全体積の1%よりも大きい領域を構成せず、その上更に一層好ましくは、粒子の全体積の0.1%よりも大きい領域を構成しない。
【0013】
本発明によれば、具体化し広義に記載すると、成型シリコンの製造方法を提供し、該成型シリコンの製造方法は、少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝における少なくとも1つの表面上に、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、溶融シリコンと少なくとも1つの冷却用の壁との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、を備えている。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも2つの表面上に、所定のパターンで複数の単結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、単結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために坩堝の少なくとも2つの表面から溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶から成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、坩堝における溶融シリコンと単結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、を備えている。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、少なくとも1つの表面において複数のシリコン・シード結晶を接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、シリコン供給原料および複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、少なくとも1つのシリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、加熱を制御するステップであって、該ステップは、坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、一旦複数のシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、を備えている。
【0016】
本発明の更に別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝の少なくとも2つの表面に、複数の単結晶シリコン・シード結晶を所定のパターンで配列するステップと、少なくとも2つの表面において、複数の単結晶シリコン・シード結晶と接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、シリコン供給原料および複数の単結晶シリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、複数の単結晶シリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、加熱を制御するステップであって、該ステップは、坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、一旦少なくとも1つのシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、を備えている。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも1つの表面に、少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、少なくとも1つのシリコン・シード結晶と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するために溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、坩堝における溶融シリコンと少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、冷却中に溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップとを備えている。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、坩堝内の少なくとも1つの表面に複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップであって、複数の単結晶シリコン・シード結晶を、坩堝における少なくとも1つの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、結晶化を制御するように溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シリコンから成る固体本体を形成するステップとを備えている。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、成型シリコンの製造方法も提供し、該成型シリコンの製造方法は、1つ以上の側面が少なくともシリコンの融点に加熱されているベッセルにおいて、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップであって、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶を、ベッセルの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、結晶化を制御するように溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シシリコンから成る固体本体を形成するステップとを備えている。
【0020】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有する、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体も提供し、この本体は、任意に、各々、少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する。
【0021】
本発明の更にまた別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、連続成型し幾何学的に揃った多結晶シリコンの本体も提供する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコン・ウェハも提供する。
【0023】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0024】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0025】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0026】
本発明の更に別の実施形態によれば、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から成り、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、この本体が、更に、各々、任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する、ウェハも提供する。
【0027】
本発明の更に別の実施形態によれば、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から形成したシリコンから成り、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、この本体が、更に、各々任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハも提供する。
【0028】
本発明の更に別の実施形態によれば、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直である、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハから成り、更に、各々少なくとも約50mmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハも提供する。
【0029】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0030】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、本体が、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0031】
本発明の更に別の実施形態によれば、太陽電池も提供し、該太陽電池は、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくはその共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、p−n接合と、ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、ウェハ上にある導電性コンタクトとを備えている。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を5体積%まで含有することができる。好ましくは、本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を1体積%まで含有することができる。更に一層好ましくは、本発明の別の実施形態によれば、本発明にしたがって作成した準単結晶シリコンは、他の結晶方位のシリコンの更に小さい結晶を0.1体積%まで含有することができる。
【0033】
本発明の更に別の特徴および利点は、以下に続く説明に明記されており、説明から明白であるか、または本発明の実施形態の実用化によって習得できよう。本発明の特徴およびその他の利点は、記載した説明および特許請求の範囲、ならびに添付図面において特定的に指摘した、半導体デバイス構造、ならびに製造方法および装置によって実現および達成する。
【0034】
尚、以上の概略的な説明、および以下の詳細な説明の双方は、一例で説明のためのものであり、特許請求する発明を更に詳しく説明することを意図していることは理解されるべきである。また、本発明は、ここに記載し特許請求する方法によって作られたシリコン、ならびにこのようなシリコンから作られたウェハおよび太陽電池も含むものとする。
【0035】
添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成するが、本発明の実施形態を例示し、更に記載と共に、本発明の特徴、利点、および原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
これより、本発明の実施形態について詳細に見ていくことにする。その例を添付図面に示す。可能なときはいつでも、同じまたは同様の部分に言及する際に、同じまたは同様の参照番号を図面全体において用いることとする。
【0037】
本発明に係る実施形態では、溶融シリコンの結晶化は、1つ以上のシード結晶を用いた成型プロセスによって行われる。ここで開示するように、このような成型プロセスは、結晶化シリコンの成型本体における結晶粒子のサイズ、形状、および方位を制御するように実施することができる。ここで用いる場合、「成型」という用語は、溶融シリコンを保持するために用いる型またはベッセルにおいて溶融シリコンを冷却することによって、シリコンを形成することを意味する。溶融シリコンのような液体は、それが流し込まれた容器の形状となるので、ここでは、溶融シリコンの冷却は、単に型やベッセルにおけるだけではく、いずれの手段によって溶融シリコンを閉じ込めている間でも、溶融シリコンの冷却を遂行できることも想定している。一例として、シリコンは、坩堝における固化によって形成することができ、固化は坩堝の少なくとも1つの壁から開始し、溶融物(melt)に混入した冷たい異物によってではない。坩堝は、カップ、円筒、またはボックスのような、適した形状であればいずれをなしてもよい。つまり、本発明による溶融シリコン結晶化プロセスは、ブールまたはリボンを「引き上げる」ことによって制御するのではない。更に、本発明の実施形態にしたがえば、型、ベッセル、または坩堝は、溶融シリコンと接触する少なくとも1つの「熱い側壁」を含む。ここで用いる場合、「熱い側壁」とは、それが接触する溶融シリコンと等温度のまたはそれよりも熱い表面を言う。好ましくは、熱い側面は、シリコンの処理中固定されたままである。
【0038】
本発明の実施形態にしたがえば、結晶化シリコンは、連続単結晶、準単結晶シリコン、または粒子方位を制御した連続幾何学的多結晶のいずれかとすることができる。ここで用いる場合、「連続単結晶シリコン」という用語は、シリコンの本体が単結晶シリコンの1つの同質体であり、互いに接合して大きなシリコン片を形成する小さなシリコン片ではない、単結晶シリコンのことを言う。更に、ここで用いる場合、「連続的幾何学的多結晶シリコン」という用語は、シリコンの本体が幾何学的多結晶シリコンの1つの同質体であり、互いに接合して大きなシリコン片を形成する小さなシリコン片ではない、幾何学的多結晶シリコンのことを言う。
【0039】
本発明の実施形態にしたがえば、結晶化は、結晶シリコン「シード」の所望の集合体を、例えば、溶融シリコンを保持することができるクオーツ坩堝のようなベッセルの底面に配置することによって行うことができる。ここで用いる場合、「シード」という用語は、所望の結晶構造を有する、好ましくは幾何学的形状のシリコン片のことを言い、好ましくは、少なくとも1つの断面が幾何学的形状、好ましくは多角形状を有し、好ましくはその一側面が、シリコン片を収容しようとするベッセルの表面と一致する。このようなシードは、単結晶シリコン片、または幾何学的に揃った多結晶シリコン片のいずれかとすることができ、例えば、単結晶シリコンのインゴットから切断した、またはそれ以外の方法で得たスラブ、即ち、水平断片である。本発明にしたがえば、シードの上面はその底面と平衡であるとよいが、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、シードは、サイズが約2mmから約3000mmまで変動するシリコン片とすることができる。例えば、シードは、約10mmから約300mmまでとすることができる。シリコン片の厚さは、約1mmから約1000mm、好ましくは、約5mmから約50mmとするとよい。シードの適したサイズおよび形状は、都合に合わせて、そしてタイリングに合わせて選択すればよい。タイリングについては、以下で更に詳しく説明するが、例えば、坩堝の底面または側面および底面の1つ以上にわたって、所定の幾何学的方位またはパターンでシリコン・シード結晶を配列する。1つまたは複数のシードが坩堝の表面全体を覆い、それに隣接してこれらを配することにより、シードされた結晶の成長固化前面をシードから遠ざけるように移動させるときに、坩堝の断面積の最大サイズが、一貫した幾何学的結晶として維持できるようにすることが好ましい。
【0040】
次いで、溶融シリコンを冷却し、シードが存在する中で結晶化することができる。好ましくは、溶融シリコンの冷却は、溶融シリコンの結晶化が固体シードの元の上面の高さ以下で開始し、シードから、好ましくは、上に向かって進んでいくようにする。溶融シリコンの縁端における固体−液体界面は、好ましくは、溶融シリコンを成型している坩堝の表面のような、ベッセルの冷却面に、最初は一致することが好ましい。本発明の実施形態によれば、溶融シリコンと結晶化シリコンとの間の液体−固体体界面は、成型プロセスの一部、例えば、固化段階の初期部分、またはその全てにわたって実質的に平坦に維持することができる。本発明の一実施形態では、溶融シリコンの縁端の各々における固体体−液体界面を、好ましくは固体−液体界面を実質的に平坦に維持しつつ、溶融シリコンと坩堝の冷却面との間の距離が増大する方向に移動するように冷却中に制御する。
【0041】
このため、本発明にしたがえば、固化前面は、ベッセルの冷却面の形状と平行とすることができる。例えば、底面が平坦な坩堝を用いると、固化前面は実質的に平坦のままであり続けることができ、固体−液体界面の横断面(profile)が制御される。固体−液体界面は、縁端から中央に移動すると、その曲率半径が減少するように制御することができる。あるいは、固体−液体界面は、ベッセルの幅の少なくとも半分の平均曲率半径を維持するように制御することができる。更に、固体−液体界面は、ベッセルの幅の少なくとも2倍の平均曲率半径を維持するように制御することができる。固体は、多少凸状の界面を有する可能性があり、曲率半径は少なくともベッセルの幅の4倍となる。例えば、固体−液体界面の曲率半径は、一般に、0.7mの正方形坩堝では2mよりも大きく、坩堝の横寸法の2倍よりも大きく、好ましくは、坩堝の横寸法の約8倍から約16倍とすることができる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cm、例えば、一辺が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cm、例えば、一辺が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも10cmで形成することができる。更に好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、例えば、一辺が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも10cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cm、例えば、一辺が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cm、例えば、一辺が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cm、例えば、一辺が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した、単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cm、例えば、一辺が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。本発明の実施形態によれば、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。更に好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、第3の寸法が少なくとも約10cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。更に一層好ましくは、連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの本体は、半径方向に分布する欠陥および/または不純物がなく、または実質的になく、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmで形成することができる。
【0043】
本発明の実施形態によって作成した成型シリコンのインゴットの横サイズの上限は、成型および坩堝製作技術のみによって決められ、本発明の方法自体によって決まるのではない。本発明によれば、断面積が少なくとも1m2から4〜8m2までのインゴットを製造することができる。同様に、インゴットの高さの上限は、成型プロセスの基礎的事項ではなく、サイクル時間の長さに関係すると考えられる。約50cmから約80cmまでの高さのインゴットが可能である。つまり、本発明にしたがえば、連続単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの本体は、断面が約66cm×66cmに首尾良く成長することができ、連続単結晶シリコンの矩形固体片の体積は、少なくとも33,750cm3となる。更に、本発明にしたがえば、成型連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさであり、第3寸法がインゴットと同じ高さとなるように形成することができる。例えば、単結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0044】
同様に、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。更に一層好ましくは、成型幾何学的多結晶シリコンの固体本体は、少なくとも2つの寸法の各々が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmで形成することができる。つまり、本発明にしたがえば、連続幾何学的多結晶シリコンの本体は、断面が約66cm×66cmに首尾良く成長することができ、連続幾何学的多結晶シリコンの矩形固体片の体積は、少なくとも33,750cm3となる。更に、本発明にしたがえば、成型幾何学的多結晶シリコンは、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさとなるように形成することができる。例えば、幾何学的多結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0045】
本発明の実施形態にしたがった様式で溶融シリコンの結晶化を行うことにより、ランダムではなく特定の粒子境界および特定の粒子サイズを有する成型シリコンを作成することができる。加えて、全てのシードを互いに対して同じように向けさせるようにシードを整列することによって、例えば、(100)極方向を坩堝の底面に対して垂直とし、(110)極方向を矩形または正方形断面の坩堝の辺の1つに対して平行とすることによって、成型シリコンの大きな温帯を得ることができ、これは、このような成型シリコンの極方向がシードのそれと同じとなっている、単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンである。同様に、他の極方向も坩堝の底面に対して垂直としてもよい。更に、本発明の一実施形態にしたがえば、シードは、いずれの共通極方向も坩堝の底面に対して垂直となるように配列することもできる。
【0046】
円筒状に形成されたブールを溶融シリコンのプールから引き上げる従来の方法、例えば、CZまたはFZ方法によって単結晶シリコンを作成すると、得られる単結晶シリコンは、半径方向に分布する不純物、およびスワール欠陥(空乏や自己格子間原子のような内在的な欠陥から形成される)のような、欠陥、ならびにOSF環状欠陥を含有する。スワール欠陥は、格子間シリコン原子または空乏であり、単独または群生形態のいずれかとなる。このようなスワール欠陥は、x線トポグラフィによって検出することができ、シリコンにおいて「スワール」(渦巻き)のように見える。また、これらは、欠陥描写に好ましいシリコンの酸エッチングの後に検出することができる。
【0047】
従来のCZまたはFZ方法によれば、シリコン内部における酸素原子の分布、およびこのような酸素原子によって生ずるシリコン内の欠陥は、半径方向に位置する。これが意味するのは、これらは、中心軸に対して対称なリング、螺旋、または条線状に並ぶ傾向があるということである。OFSリング欠陥は、これの特定的な例であり、ナノメートル単位の酸素が、引き上げた単結晶インゴットまたはシリコンのブール内にある円筒状帯域における有核積層不良(nucleate stacking fault)を突然引き起こし、このようなシリコンから作られるウェハ上に円形の欠陥帯域が生ずる。このような帯域は、好ましい酸エッチング(preferential acid etching)の後に、シリコンのサンプルにおいて観察することができる。
【0048】
スワール欠陥およびOSFリング欠陥の双方は、例えば、従来のCZまたはFZ方法によって、溶融シリコンのプールから円筒形状のブールを引き上げることによって、引き上げプロセスの回転対称、軸方向熱勾配、およびプロセスに内在する回転のために、単結晶シリコンのブールに発生する。対照的に、本発明の実施形態による成型プロセスでは、このようなスワール欠陥やOSFリング欠陥を呈しないシリコンを作成することができる。これは、円筒対称性(cylindrical symmetry)を有さないシリコン本体において、そして固化および冷却プロセス全体にわたってインゴットの全てにおいて等温線が本質的に平坦であるプロセスにおいて、成型プロセス中における欠陥の組み込みが、回転の影響を受けない成長界面において本質的にランダムに分散することができるからである。
【0049】
異なる方法によって成長したシリコンにおける軽い元素の不純物濃度に関して、表1に示す以下のレベルが、広く考慮される特性である。
【0050】
【表1】
【0051】
CZインゴットの一部は、5×1017原子/cm3という低さの酸素濃度で生産することができるが、これより低くはならない。炭素および窒素の濃度は、FZおよびCZインゴットでは、意図的なドーピングによって増大させることができるが、ドーピングはこれらの技法では固体の溶解度の限界を超過することはなく(成型物質でも同様)、ドープしたインゴットは、直径20cmよりも大きいサイズでは作成されたことはない。対照的に、成型インゴットは、通例、剥離剤塗布およびファーネス・ホット・ゾーンの設計により、炭素および窒素が過飽和となる。その結果、液相核形成(liquid phase nucleation)および成長のために、凝結した窒素および炭素が至る所に発生する。更に、本発明の実施形態によれば、先に報告した不純物レベルで、そして50×50×20cm3および60×65×5cm3というサイズで、成型単結晶インゴットが製造されている。これらの寸法は一例に過ぎず、本発明の成型プロセスの上限と見なしてはならない。
【0052】
例えば、不純物レベルに関して、本発明によって成型されたシリコンでは、約1〜5×1017原子/cm3(約1×1017原子/cm3から約5×1017原子/cm3に対する表記)の溶解炭素濃度、約2〜3×1017原子/cm3の溶解酸素濃度、および約1〜5×1015原子/cm3の溶解窒素濃度が好ましい。本発明の実施形態によれば、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約20cm、例えば、一辺が少なくとも約20cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約30cm、例えば、一辺が少なくとも約30cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約35cm、例えば、一辺が少なくとも約35cmであり、第3の寸法が少なくとも約10cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約40cm、例えば、一辺が少なくとも約40cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約50cm、例えば、一辺が少なくとも約50cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約60cm、例えば、一辺が少なくとも約60cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。更に一層好ましくは、好ましくは成型した単結晶シリコンの固体本体、または準単結晶シリコンは、少なくとも2つの寸法が、各々、約70cm、例えば、一辺が少なくとも約70cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、溶解炭素濃度が約1〜5×1017原子/cm3、溶解酸素濃度が約2〜3×1017原子/cm3、および溶解窒素濃度が約1〜5×1015原子/cm3で形成することができる。
【0053】
本発明の実施形態によって作成し、先に参照した不純物濃度を有する成型シリコンのインゴットの横サイズの上限は、成型および坩堝製作技術のみによって決められ、本発明の方法自体によって決まるのではない。つまり、本発明にしたがえば、先に参照した不純物濃度を有する成型連続単結晶シリコン、または準単結晶シリコンの固体本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法の各々が、成型ベッセルの内部寸法と同じ大きさであり、第3寸法がインゴットと同じ高さとなるように形成することができる。例えば、単結晶シリコンの成型本体は、正方形状または矩形状固体であり、前述の寸法は、このような本体の長さ、幅、および高さのことである。
【0054】
本発明の実施形態にしたがえば、成型プロセスに用いられるシードは、所望のサイズおよび形状であればいずれでも可能であるが、正方形、矩形、六角形、菱形、または八角形の形状としたシリコン辺のように、適した幾何学的形状とした単結晶シリコン片、準単結晶シリコン、または幾何学的に揃った多結晶シリコンである。これらは、その縁辺同士を合わせて配置する、即ち、「敷設する」ことができ、所望のパターンで坩堝の底面に一致させることができるように、タイリングに適した形状とすることができる。また、本発明の実施形態にしたがえば、坩堝の側面の、全てを含む、1つ以上に、シードを置くことができる。このようなシードは、単結晶シリコンのブールのような、結晶シリコン源を鋸引きして、所望の形状を有する片とすることによって得ることができる。また、シードは、本発明の実施形態によるプロセスによって作成した連続単結晶、準単結晶シリコン、または連続幾何学的多結晶シリコンのいずれかのサンプルからこれらを切断することによって形成し、後続の成型プロセスにおいて用いるシードを、初期成型プロセスから作ることができるようにすることもできる。つまり、例えば、連続単結晶または準単結晶シリコンのいずれかのスラブを、連続単結晶または準単結晶シリコンのインゴットから切断するまたはそれ以外の方法で得れば、後続の連続単結晶または準単結晶シリコンの成型のためのテンプレートとして機能することができる。このようなシード結晶は、シードを配置する坩堝またはその他のベッセルの底辺のような、一側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。単結晶成型のためには、欠陥の組み込みを回避するために、できるだけ少ないシードで坩堝の底面を覆うことが好ましい。つまり、1つまたは複数のシードは、本発明による成型方法を実行するために1つ以上のシードを配置する坩堝またはその他のベッセルの底面のような、1つ以上の側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。
【0055】
これより、本発明のある種の実施形態によってシリコンを用意するプロセスおよび装置について説明する。しかしながら、これらは、本発明の原理に沿ってシリコンを形成する唯一の方法ではないことは言うまでもない。
【0056】
図1を参照すると、クオーツ坩堝のような、底面および壁のある坩堝110の底面にシード100が配置されており、これらは大きな連続的に方位付けられたスラブ120を形成するように、密接して同じ方位に突き合わされている。あるいは、これらは、特定的な粒子境界が生じ、結果的に生産されるシリコンにおいて、故意に選択した粒子サイズが得られるように、予め選択した誤方位(misorientation)に密接して突き合わせる。即ち、幾何学的多結晶シリコンの成型では、得られる結晶化幾何学的多結晶シリコンの断面粒子サイズ、および、好ましくは、断面形状は、シードのそれと等しいか、または近似することになり、粒子の高さは、断面に対して垂直なシリコンの寸法と同じ長さとすることができる。幾何学的多結晶シード結晶、例えば、幾何学的多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはその他の方法で得た幾何学的多結晶シリコンのスラブを、幾何学的多結晶シリコンを成型するための1つまたは複数のシード結晶として用いる場合、得られる幾何学的多結晶シリコンの粒子の断面粒子サイズ、および、好ましくは、断面形状は、1つまたは複数の幾何学的多結晶シードにおける粒子に近似する。つまり、幾何学的多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはそれ以外の方法で得た幾何学的多結晶シリコンのスラブは、「幾何学的多結晶シリコン・シード結晶」(「幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶」とも呼ぶ)となることができ、後続の幾何学的多結晶シリコンの成型のためのテンプレートとして機能することができる。このようなシード結晶は、シードを配置する坩堝またはその他のベッセルの、底面のような、一側面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状とすることができる。このようなシード結晶を本発明の方法において用いると、その結果得られる幾何学的多結晶シリコンが有する結晶粒子は、好ましくは、シードの中にある粒子と同じまたは実質的に同じ断面サイズおよび形状を有する。
【0057】
図2を参照すると、シード100は、坩堝110の1つ以上の側面130、140上に配置することもできる。シード100は坩堝110の4つの側面全てに配置することができるが、例示の目的のみのために、壁130、140上だけにシード100を示す。好ましくは、坩堝110の4つの壁のいずれに配置するシードも、結晶が成長し易くするために、柱状となっている。好ましくは、坩堝110の4つの壁のいずれに配置した柱状シードの各々も、坩堝110の底面上でその直下に置かれたシードと同じ粒子方位を有する。幾何学的多結晶シリコンの成長の場合、このように柱状のシードを配置することにより、坩堝110の高さと同じまで幾何学的多結晶シリコン粒子を成長するのを促進する。
【0058】
更に図2を参照すると、シード110のこの配列の利点は、シリコンを成型するための自己伝搬プロセス(self-propagating process)が一層素早く、単純となり、結晶性が高くなり、成長速度も高くなることである。例えば、シリコンは、互いに積層した多数のシードから成る、シリコン「カップ」の中で溶融し、坩堝110の内側に空洞、例えば、底面および4つの壁を形成することができる。代替例では、この受け入れる「カップ」を最初にシリコンの融点まで加熱するが固体状態を維持し、次いで溶融シリコンを注ぎ込み、熱平衡に到達させる。次いで、前述の例のいずれにおいても、例えば、熱を周囲に放射する固体ヒート・シンク材料(図示せず)によって、坩堝110を冷却することによって、坩堝110の底面および側面から熱を除去しつつ、熱を坩堝110の開放上面に加え続ける。このように、得られたシリコンの成型インゴットは、単結晶または幾何学的多結晶のいずれにもなることができ(用いるシード100の種類およびその方位に左右される)、結晶化は既知の多結晶成型プロセスよりも速く進む。このプロセスを繰り返すために、既知の技法を用いて、結晶化したシリコン・インゴットの側面および底面の一部を除去し、後続の成型プロセスにおいて再利用することができる。好ましくは、複数のシード結晶、例えば、シード100は、シード100間における共通極方向が坩堝110の底面および側面の各々に対して垂直となるように配列し、坩堝110の底面と側面との間に粒子境界が形成されないようにする。
【0059】
図3Aから図3Cは、坩堝110において幾何学的多結晶シリコンを成型するためのタイリングの一例を示す。注意深いシードの作成、方位決定、配置、および結晶の成長によって、結晶粒子技術を達成することができる。例えば、図3Aおよび図3Bは、2つの単結晶シリコン・スラブ155、165を示し、その上に異なる(110)方向が示されている。双方のスラブは、その表面に対して垂直な共通の(100)方向を有する。次いで、単結晶シリコン155、165の各スラブを切断して多数のシリコン片を形成する。これらがシード150、160となる。表面の形式(type)は、模様の形成(texturing)の理由により均一にすることができ、あるいは自由に選択することができる。粒子の形状およびサイズは、図3Bに示すように、単結晶シリコン155および165のスラブからのタイルの切断に基づいて選択することができる。片150、160の隣接するタイル間の相対的方位角度によって、得られる成型幾何学的多結晶シリコンにおける粒子境界形式(例えば、高角度、低角度、または二重)が決定する。図3Aでは、例えば、(100)極方向の2つの粒子方位が示されている。
【0060】
ここで、図3Cに示すシードは、敷き詰めた単結晶シリコン片150、160で構成されており、単結晶シリコン片150、160は、それらの隣接タイルと、特定的に選択した方位関係を有する。次いで、図3Cに示すように、シリコン片150、160を、坩堝110の底面に敷き詰め、片150、160上に描いた矢印で示すように、2つの(110)方向が交互するようにする。尚、片150、160は、図示の目的のみのために、大まかに正方形のブロックとして描いたが、以下で論ずる理由のために、他の形状も可能であることを注記しておくのは重要である。
【0061】
図3Cには示さないが、シードは、図2におけるように、坩堝の側面上に配置してもよい。この場合、シリコン供給材料(図示せず)は片150、160の上から坩堝110の中に導入し、次いで溶融させることができる。あるいは、溶融シリコンを坩堝110に注ぎ込むこともできる。代替例では、坩堝110をシリコンの融点に非常に近い温度または融点まで加熱し、次いで溶融シリコンを注ぎ込む。本発明の実施形態にしたがえば、固化が始まる前に、シードの薄い層を溶融させることができる。
【0062】
次いで、前述の例のいずれにおいても、例えば、熱を周囲に放射する固体ヒート・シンク材料(図示せず)によって、坩堝110を冷却することによって、坩堝110の底面(およびシードが側面にも並べられる場合にのみ側面)から熱を除去しつつ、熱を坩堝110の開放上面に加え続ける。つまり、溶融シリコンは、シードが固体に維持されている間に導入され、溶融物の固化に指向性があるために、柱状粒子が上に向かって成長することになる。このように、得られた幾何学的多結晶シリコンの成型インゴットは、敷き詰めたシリコン・シード150、160の粒子方位を模倣する(mimic)ことができる。一旦この技法を適正に実施したなら、得られたインゴットを切断して、例えば、水平スラブとし、他の成型プロセスのためのシード層として作用することができる。スラブは、例えば、成型に用いられる坩堝またはその他のベッセルの底面のような、表面のサイズおよび形状、または実質的にそのサイズおよび形状を有することができる。例えば、このようなスラブを1つだけ、成型プロセスに用いることができる。
【0063】
図4は、図3Cに示したタイリングの変形を示す。成型幾何学的多結晶シリコンに対する粒子方位の一例として、シード片150、160は、共通極方向(001)が坩堝110の底面に対して垂直となるように、敷き詰められている。図4では、(110)方向群の全てのばらつきを、方向矢印で示すように、片150、160のタイリングにおいて表現している。この特定的な図には示さないが、シードは坩堝110の1つ以上の側面上にあることも可能である。
【0064】
このように、シリコンを形成するために用いられる坩堝におけるシード結晶の方位は、特定の粒子境界が成型幾何学的多結晶シリコンにおいて形成されるように選択することができ、このような粒子境界は幾何学的形状を包囲する。本発明の実施形態とは対照的に、既知の成型プロセスでは、完全に溶融したシリコンの塊からの直接固化によって、制御せずに、多結晶粒子を成型することを伴う。その結果得られる粒子は、基本的にランダムな方位およびサイズの分布を有する。粒子方位がランダムであると、シリコン表面に効果的に模様を形成することが困難になる。更に、典型的な成長技法の自然生成物である、粒子境界におけるねじれが、転位の群発または線状の転位を伴う構造的欠陥を凝集させる傾向があることが示されている。これらの転位、およびこれらが引き付ける傾向がある不純物は、電子キャリアの速い再結合、および光電変換材料としての性能劣化の原因となる。したがって、本発明の一実施形態にしたがえば、単結晶または幾何学的多結晶シリコンのいずれの成型についても、規則的な粒子境界網を注意深く計画し、植え付けて、構造的欠陥を最少に抑えつつ、少数キャリアの寿命および不純物ゲッタリングが最大となるように、粒子のサイズ、形状、および方位を明示的に選択するようにする。
【0065】
粒子境界は、成長中にその垂直方向を維持しつつ、転位の凝集を最少に抑えるために、平面となるように選択することができる。粒子境界の形式は、不純物のゲッタリングおよび応力解放が最大となるように選択する。粒子方位(そして、特に表面方位)は、模様の形成が可能となり、表面のパシベーションを改良し、粒子強度を高めるように選択する。粒子のサイズは、効果的なゲッタリング距離と大きな吸収面積との間のバランスを最適化するように選択する。例えば、幾何学的多結晶シリコンの成型は、幾何学的多結晶シリコンの平均最少粒子断面サイズが少なくとも約0.5cmから約10cmとなり、共通極方向が、例えば、図3Cおよび図4に示すような、成型幾何学的多結晶シリコンの表面に対して垂直となるように遂行することができる。平均結晶粒子断面サイズは、約0.5cmから約70cm、またはそれ以上とすることができる。前述のように、断面サイズとは、粒子の高さまたは長さに対して垂直な粒子の断面における最大寸法と見なすこととする。
【0066】
本発明の一実施形態にしたがえば、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列は、坩堝の少なくとも1つの表面、例えば、坩堝の底面上に行うことができ、ここで、幾何学的配列は密接に詰め込んだ多角形を含む。あるいは、複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列は、幾何学的配列が、密接に詰め込んだ多角形、あるいは、例えば、図5および図6に示すように、菱形または三角形の隙間を有する多角形の形状を含むように、行うこともできる。更に別の代替案では、複数の単結晶シード結晶を用いる代わりに、単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの事前成型において生産したインゴットから切断またはそれ以外の方法で得たシリコンの一部(section)またはスラブを、本発明による単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンを成型するための単独シード結晶として用いることができる。このような単独シード結晶は、成型を行うために用いる坩堝またはその他のベッセルの表面と同じサイズおよび形状、または実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。更に具体的には、図5は六角形170を密接に詰め込んだアレイの一例を示す。対照的に、図6は、菱形または三角形の隙間180、190を有する多角形のアレイの一例を示す。双方のアレイについて、以下で更に詳しく説明する。先に論じた配列のいずれでも、単結晶シリコンの固体本体、準単結晶シリコンの固体本体、または幾何学的多結晶シリコンの固体本体のいずれを成型するためであっても、一実施形態に適用することができ、この場合、坩堝の底面および側面の双方に、シード結晶を配置する。
【0067】
本発明の実施形態にしたがって、幾何学的多結晶シリコンの本体を成型することによって生産するシリコン結晶粒子は、柱状に成長させることができる。更に、このような結晶粒子の断面は、それを形成した元であるシードの形状、またはそれに近い形状とすることができる。このように特定的に選択した粒子境界を有するシリコンを作成する際、好ましくは、粒子境界接合は、角毎に3つだけの粒子境界を有する。図5に示すように、シード結晶170の六角形状配列は、水平面内における原子が、シリコンに対する(111)のように、三重(three-fold)または六重(six-fold)対称規則性を有するような結晶方位となる、シードのタイリングに望ましい。つまり、図5は、図1および図2に示したような、適した坩堝の底面に配列するための、六角形状シードの集合体の一部の平面図を示す。矢印は、シードにおけるシリコン結晶の(110)方向の向きを示す。
【0068】
あるいは、4重対称規則性を有する方位では、シードの異なる幾何学的構成を用いて、多数の粒子を跨いで安定した対称粒子境界を維持しつつも、三粒子境界角規則を満たすことができる。例えば、図6に示すように、θが(110)方向と(100)極を有する八角形の主要辺(primary side)との間における誤方位とし、アルファが隙間の菱形の頂角とすると、全ての結晶粒子は、α=90゜−θであれば、(110)方向に対して対称的な粒子境界を有することになる。この例では、全ての結晶粒子は、図6を描いた紙面に対して垂直な(100)極を有する。つまり、図6は、図1および図2に示すような、適した坩堝の底面上の配列に合わせた、菱形状シード180、190と共に、八角形状のシードの集合体の一部の平面図である。矢印は、シードの中にあるシリコン結晶の(110)方向の向きを示す。
【0069】
図7は、本発明にしたがってシリコンを作成する方法例を示すフローチャートである。図7にしたがえば、方法700は、開始すると、単結晶または幾何学的多結晶シリコン成長のために、単結晶シリコン・シード結晶を選択し、この単結晶シリコン・シード結晶を坩堝の中に配列する(ステップ705)。あるいは、単結晶シリコンまたは幾何学的に揃った多結晶シリコンのインゴットから切断したまたはそれ以外の方法で得た単一のスラブを、単一のシード結晶として用いることもできる。次に、シリコン供給原料を坩堝に追加することができる(ステップ710)。次いで、坩堝を上から加熱しながら、坩堝の底面を下から冷却する(受動的または能動的に、ステップ715参照)。溶融の間、シリコンの溶融段階を監視して、固体−液体界面の位置を追跡し制御する(ステップ720)。シリコンの溶融段階は、単結晶シリコン・シード結晶の一部が溶融するまで、継続することが許される(ステップ725)。一旦単結晶シリコン・シード結晶の所望の部分が溶融したなら、溶融段階を終了し、結晶成長段階が開始する(ステップ730)。結晶の成長は、シリコンの結晶化が完了するまで、坩堝内において単一方向にそして垂直に連続することができる(ステップ735)。幾何学的多結晶シリコン成長に合わせてシードを配列している場合、ステップ735の結晶化によって、柱状の粒子を有する幾何学的多結晶シリコン・インゴットが生産される(ステップ740)。あるいは、単結晶シリコン成長に合わせてシードを配列している場合、ステップ735の結晶化によって、単結晶シリコン・インゴットが生産される(ステップ745)。最後に、ステップ740または745のいずれかで生産されたインゴットを、その後の処理のために、取り出す(ステップ750)。
【0070】
図8Aに示すように、シリコン供給原料200を、シード220を収容している坩堝210に、例えば、2つの方法の内1つで導入することができる。最初の方法では、都合のよい大きさにしたチャンク(chunk)の形態で、坩堝210に固体シリコン供給原料200を最大容量まで装荷し、成型場(図示せず)に、装荷した坩堝210を配置する。
【0071】
図8Bに示すように、坩堝110内に充填したシリコンの上面が融点まで加熱され、一方底面を能動的または受動的に冷却して坩堝210の底面においてシード220の固相を維持するように、即ち、供給原料200を溶融するときにこれらが浮動しないように、坩堝210内における熱的特性を設定する。固体のヒート・シンク材料230が、水冷壁に熱を放射するために、坩堝210の底面に接触している。例えば、ヒート・シンク材料230は、グラファイトの固体ブロックとすることができ、好ましくは、坩堝の底面と同じ位またはそれよりも大きい寸法を有することができる。本発明にしたがえば、例えば、ヒート・シンク材料は、底面が66cm×66cmの坩堝と共に用いる場合、66cm×66cm×20cmとすることができる。シード220を坩堝210の底面上のみに配置するのであれば、坩堝210の側壁は、好ましくは、いずれにしても冷却しない。シード220を坩堝210の底面および側面上に配置する場合、所望の熱的特性を維持するために、坩堝210の底面および側面の双方に、ヒート・シンク材料230を配置する。
【0072】
シリコン供給原料200の溶融局面(melting phase)を注意深く監視して、溶融シリコンとシードとの間の界面位置を追跡する。好ましくは、溶融240(図8Bに示す)は、シード220を除く供給原料シリコン200の全てが完全に溶融するまで続き、その後シード220が部分的に溶融する。加熱を注意深く制御して、例えば、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.1゜C/分以下に維持することにより、シード220が完全に溶融しないようにする。好ましくは、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.05゜C/分以下に維持することにより、加熱を注意深く制御することができる。例えば、本発明にしたがえば、ΔTは、坩堝とグラファイトの大きなブロックとの間にある坩堝の外面上で測定することができ、既に溶融したシード220の部分を計算するために、ジプロッド(diprod)を溶融物240の中に挿入して溶融物の深さを測定するとよい。
【0073】
図8Cに示すように、部分250は、溶融物240の下にあるシード220の溶融した部分の全ての厚さを示す。シード220の部分250が、溶融物240の下で溶融した後、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始し、坩堝210の上面における加熱を減少させ、および/またはヒート・シンク材料230の底面の冷却を増大させる。このプロセスの一例として、図8Dに示すチャートは、時間の関数としてシード220の部分250の溶融を示す。図8Dに示すように、初期厚さが5および6cmの間であるシードの部分を、固体シードが2cm未満だけ残るまで、徐々に溶融させる。例えば、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後、坩堝の外面で測定して(例えば、冷却ブロック内に取り付けた熱電対によって)、ΔTを約0.1゜C/分以下に維持することにより、シード220が完全に溶融しないように、加熱を注意深く制御することができる。好ましくは、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの融点に達した後は、坩堝の外面で測定して、ΔTを約0.05゜C/分以下に維持することにより、加熱を注意深く制御することができる。この時点で、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始する。これは、チャートの縦軸上で測定した固体の厚さの相対的な上昇によって示される。
【0074】
次いで、図8Eに示すように、シリコンの結晶化が完了するまで、シードした結晶の成長が単一方向に、そして垂直に、坩堝210内において継続する。成型サイクルが終了するのは、坩堝210内における上面から底面までの熱勾配がなくなった(evented out)ときである。次いで、インゴット260全体をゆっくりと室温まで冷却する。図8Eに示すように、幾何学的多結晶シリコンの成型では、このシード単一方向成長によって生成される柱形状粒子270は、概略的に、それが形成された個々のシード220の形状と同じ水平断面を有する。このように、成型幾何学的多結晶シリコンの粒子境界は、予め選択することができる。既に論じたシード・パターン/タイリングのいずれでも、この成型プロセスに適用することができる。
【0075】
あるいは、単結晶シリコンの成型では、シード220の配列を、粒子境界が全く有さないように行い、その結果成型単結晶シリコンが得られるようにすることもできる。図8Fに示すように、部分250は、溶融物240の下において溶融したシード220の全体的な厚さを示す。溶融物240の下においてシード220の部分250が溶融した後、溶融段階を素早く終わらせて、結晶成長段階を開始し、坩堝210の上面における加熱を減少させ、および/またはヒート・シンク材料230における底面の冷却を増大させる。次いで、図8Gに示すように、シードした結晶の成長が、坩堝210内部において、シリコンの結晶化が完了するまで、単一方向にそして垂直に継続する。好ましくは実質的に平面の固体−液体界面285が、上に向かって、坩堝210の底面から離れるように伝搬する。成型サイクルが終了するのは、結晶成長の完了後、坩堝210内における上面から底面までの熱勾配がなくなった(evened out)ときである。次いで、インゴット280全体をゆっくりと室温まで冷却する。単結晶シリコンの成型では、図8Gに示すように、このシード単一方向成長によって、成型単結晶シリコン290の連続固体本体が得られる。
【0076】
図9に示す別のプロセスでは、シリコン供給原料200を最初に別個の区画室または別個の溶融ベッセル300において溶融させてもよい。シード220は、溶融した供給原料305を溶融管310を通じて坩堝210に供給または注入する前に、上位から部分的に溶融してもしなくてもよく、その後図8Bから図8Gを参照して説明したように、冷却および成長が進む。別の実施形態では、シリコン・シード結晶を坩堝210(図示せず)の壁に取り付け、シード成長は、既に説明したように、坩堝210の底面だけでなく側面からも進むことができる。あるいは、シリコン供給原料200を、坩堝210とは別個の溶融ベッセル300において溶融し、同時に坩堝210をシリコンの融点まで加熱し、シード220が完全に溶融しないように加熱を制御する。シード220が部分的に溶融したときに、溶融供給原料305を溶融ベッセル300から坩堝210に移し、冷却および結晶化を開始することができる。このように、本発明の一実施形態にしたがえば、結晶化シリコンの固体本体の一部はシード220を含むことができる。あるいは、溶融物の導入前では、シードを完全に固体のまま保持することもできる。この場合、溶融ベッセル300の中にある溶融シリコンを融点を超えて加熱し、過熱液体を導入したときに、この過熱液体にシードの一部を溶融させる。
【0077】
図9に示すような二段階成型場では、溶融供給原料305は、溶融ベッセル300から注ぎ込まれ、シード220上に落下し、固化の間にその結晶性を帯びる。あるいは、溶融は、中央溶融ベッセル300において行われてもよく、中央溶融ベッセル300は、坩堝210(図示せず)の1つ以上のコピーのような、固化坩堝の分散配列を備えている(feed)。本発明の実施形態にしたがえば、固化坩堝には、坩堝の側面および底面のいずれかまたは双方において、シード220をぎっしり並べることができる。この手法の利点の一部には、各成型行程の最適化向上を可能にする、溶融および固化システムの分離、坩堝の供給を維持するために必要となる、新たな材料の溶融を規則的に行うことができる、シリコンの半連続溶融、溶融物の中央から固化場に供給しつつ、最上部(および潜在的な底面の排出)のシリコンのスラギング(slagging)による、開始シリコン材料の純度向上、および溶融ベッセル300が溶融供給原料305と平衡状態となり、重大な不純物源ではなくなることが含まれる。
【0078】
このように、インゴット260または280を前述した方法の1つによって成型した後、例えば、本発明にしたがって、インゴットの最下部またはその他の区間を切除し、それを後続の成型行程において単結晶シードとして用いて単結晶シリコン、準単結晶シリコン、または幾何学的多結晶シリコンの本体を形成することによって、得られる成型インゴットを更に処理することができ、この場合、このような単結晶シードのサイズおよび形状は、後続の成型行程において用いられる坩堝の底面と同じサイズおよび形状となり、インゴットの残り部分を切断してブリックおよびウェハとし、これらを処理して光電変換セルを得る。あるいは、インゴット全体を切断して、例えば、水平スラブを得て、今後の成型行程のために多数の成型場においてシード結晶として用いることができる。
【0079】
本発明の実施形態にしたがうプロセスにおいて用いられるシリコン供給原料は、硼素、アルミニウム、リチウム、ガリウム、燐、アンチモニ、砒素、およびビスマスを含むリストから選択したドーパントのような、1つ以上のドーパントを含有することができる。このようなドーパントの総量は、原子%で約0.01ppm(ppma)から約2ppmaまでとすることができる。好ましくは、シリコンにおけるドーパントの量は、このシリコンから作られるウェハの抵抗率が約0.1から約50オーム−cm、好ましくは、約0.5から約5.0オーム−cmとなるような量である。
【0080】
このように、本発明にしたがえば、シリコンは、成型連続単結晶シリコン、成型準単結晶シリコン、または成型連続幾何学的多結晶シリコンの本体とすることができ、OSFおよび/またはスワール欠陥のような、半径方向に分布する欠陥が本質的にない、またはこれらがないことが好ましく、更に好ましくは、本体の少なくとも2つの寸法が、好ましくは、少なくとも約10cmであり、好ましくは少なくとも約20cm、であり、更に好ましくは少なくとも30cmであり、更に一層好ましくは少なくとも40cmであり、更に一層好ましくは少なくとも50cmであり、更に一層好ましくは少なくとも60cmであり、最も好ましくは少なくとも70cmである。更に好ましくは、このようなシリコン本体の第3の寸法は、少なくとも約5cmであり、好ましくは少なくとも約15cmであり、最も好ましくは少なくとも約20cmである。シリコン本体は、単一本体のような別個の一片とすることができ、あるいは他のシリコンの中に完全にまたは部分的に内蔵される、または包囲されることも可能である。シリコンの本体は、好ましくは、少なくとも2つの寸法が、各々、溶融ベッセルの内寸と同じ大きさを有するように形成することができる。ここで開示したように、本発明の実施形態は、単結晶シリコン、準単結晶シリコン、または幾何学的多結晶シリコンの大きな本体を、単純で価格効率的な成型プロセスによって生産するために用いることができる。
【0081】
以下に、本発明の実施形態にしたがった実験結果の一例を示す。これらの例は、単に、本発明の実施形態の例を上げて図示するために紹介するのであり、いかようにも本発明の範囲を限定するように解釈してはならない。
例1
シードの準備。0.3ppmaの硼素を有する純粋なチョクラルスキ(CZ)シリコン(単結晶)のブールをMEMCから得て、その長さに沿って、ダイアモンド被膜帯鋸を用いて切断し、1辺当たり14cmの正方形断面を有するようにした。得られた単結晶シリコンのブロックを、その断面に沿って、同じ鋸を用いて切断し、厚さが約2cmから約3cmのスラブを得た。これらのスラブを、単結晶シリコン・シード結晶、即ち、「シード」として用いた。シリコン・ブールの(100)結晶極方位(crystallographic pole orientation)を維持した。次に、得られた単結晶シリコン・スラブを、クオーツ坩堝の底面に配列し、スラブの(100)方向が上を向き、(110)方向を坩堝の1つの側面に対して平行を維持するようにした。クオーツ坩堝は、1辺が68cmの正方形断面を有し、深さが約40cm、壁の厚さが約1.8cmである。スラブは、その長手寸法が坩堝の底面に平行となり、その側面が接触して、坩堝の底面上にこのようなスラブの単一の完全な層を形成するように、坩堝の底面に配列した。
【0082】
成型。次いで、室温において総質量265kgの固体シリコン供給原料を坩堝に充填した。次いで、充填した坩堝を、多結晶シリコンを成型するために用いられる、現場溶融/指向性固化(directional solidification)成型場に装填する。抵抗性ヒータを約1550゜Cまで過熱することによって、溶融プロセスを実行し、絶縁体を合計で6cm開放することにより、熱を底面から放射させつつ、過熱が上から行われるように、ヒータを構成した。この構成により、溶融が上下方向に坩堝の底面まで進んだ。シード結晶を融点において固体状態に維持させる受動冷却を底面を介して行い、熱電対によって監視した。クオーツ・ディップ・ロッド(quartz dip rod)を10分毎に溶融物の中に突っ込んで、これによって溶融の範囲を測定した。ディップ・ロッド高さを、場における空の坩堝で取った測定値と比較して、残留する固体材料の高さを判定した。ディップ・ロッド測定によって、最初に供給原料の溶融、次いで溶融局面を、シード結晶が約1.5cmの高さだけ残るまで、継続させた。この時点で、加熱電力を落として、温度を1500゜Cに設定しつつ、絶縁体を12cmまで開くことによって、底面からの放射を増大させた。固化が開始する前に、シード結晶が更に1または2ミリメートル余分に溶融したことが、ディップ・ロッド測定によって観察された。固化行程の終了まで、シード単結晶成長が続いた。成長段階および成型サイクルの残りを、通常のパラメータで実行した。ここでは、上面から底面までの熱勾配がなくなり、次いでインゴット全体を室温までゆっくりと冷却した。成型シリコン生産物は、66cm×66cm×24cmのインゴットであり、その中央部分は、50cm×50cmの正方形断面を有し、上面から下面まで単結晶シリコンであった。単結晶シリコン構造は、インゴットの表面を視覚的に検査することによって明白であった。加えて、結晶境界を描写することができる苛性配合(caustic formula)によるシリコンのエッチングで、更に、物質における粒子境界の欠如を確認した。全ドーピング平均は1.2オーム−cmであり、このシリコンから製造した光電変換セルの電気的効率は16.0%であった。
【0083】
この例にしたがって実行した他の成型工程では、成型シリコン生産物は、シリコンの連続一貫結晶であり、含有する他の結晶方位のシリコン結晶は少なく、あるいは多結晶シリコンの隣接領域を有する単結晶シリコンの本体であったことが観察された。
例2
シードの準備。シードの半分については、(110)方向が正方形シードの辺から45度の角度をなし、他方の半分は約20度の角度をなすように、単結晶シリコン・シードを切断したことを除いて、シーディングは例1におけると同様に行った。2つの異なるシード方位が交互する市松模様状に、正方形片を坩堝の底面に敷設した。即ち、(110)方向は坩堝の側面の方位から45度および20度の角度をなした。互いに対して、シードは25度または155度の誤方位を有した。しかしながら、正方形状シードのサイズの不一致により、シーディング層における一部の間隙は、被覆されないまま残された。坩堝は、正方形の辺の各々が約33cmであり、高さが約22cmであった。
【0084】
成型。シードを収容した坩堝、および合計で56kgの原料供給シリコン・チャンクを収容した別個の坩堝を、遍在成型プロセス(UCP)二段階成型場に装填した。受容坩堝(内部にシードが入っている)をシリコンの融点まで加熱するが、完全に溶融するエネルギは与えなかった。他方の坩堝におけるシリコンは、シリコンの融点よりも少なくとも50゜C高い温度で、抵抗性グラファイト・ヒータによって溶融させ、次いで受容坩堝に注ぎ込んだ。この時点において、固化が直ちに始まり、指向性固化およびシード結晶成長を行うために、受容坩堝の底面から熱を抽出した。シードが構成する既に固化した物質の質量を考慮して、標準的な成長サイクルを短縮した。このように、冷却プロセスが開始する前に66kg全て(10kgのシードおよび56kgの供給原料シリコン)が固化する時間を許す代わりに、加熱エネルギの浪費を回避するために、56kgの溶融シリコンのための時間だけを与えた。このプロセスの生産物は、大きく全体的に柱状の粒子のシリコン・インゴットであり、粒子は正方形断面を有し、その形状および寸法は、これらが形成された元のシード結晶の上面に近い寸法のままであった。横方向の粒子境界位置は、成長が進むに連れて、場合によっては浮動した。
【0085】
例3
シードの準備。坩堝の底面に敷設するために用いられる23kgの正方形(100)板によってシーディングを行い、63cm×63cmの被覆領域(coverage area)、および側面において中心における3cmから1.8cmの範囲の厚さが得られた。全ての板は、その(110)方向が坩堝の壁から45゜の角度をなすように配列した。
【0086】
成型。シードを収容した坩堝に、真性シリコン、以前のインゴットからリサイクルしたシリコン、およびp−型抵抗率が9オーム−cmよりも大きい二重成型シリコン(double-cast silicon)の混合を表す、合計242kgの追加供給原料シリコン・チャンクを充填した。シリコンを充填した坩堝を、一段階指向性固化炉に装填した。坩堝(シードが内部に入っている)を1550゜Cに加熱しつつ、絶縁体を12cmまで開放して底面を冷却した。固体−液体界面は、溶融の間中実質的に平坦のままであり、溶融の終了時に、シードのいずれの部分も溶融しなかった。シリコンの厚さを、クオーツ・ディップ・ロッドを用いて監視した。中心の厚さが2.5cmと測定されたときに、溶融段階を停止し、ヒータの温度を1440゜Cまで低下させ、絶縁体の高さを15cmまで増大させた。溶融局面変化の開始から、坩堝におけるいずれかの部位でシリコンの溶融温度に達した後温度の上昇率を、坩堝の外面上で測定して、0.1゜C/分以下に維持した。次いで、固化プロセスの残りを進ませ、結晶成長の終了が観察されるまで、ヒータにほぼ一定の電力を維持した。成長の終了後、結晶化シリコン・インゴットの温度は一定となり、次いで均一に室温まで低下した。坩堝からインゴットを取り出した後、インゴットの底部を切断して大きな一片を得た。これは、後に、別の後続の成型プロセスにおいてシードとして再利用するためである。インゴットの残りは、続く処理のために、12.5cmの正方形ブリックに切断した。このプロセスは、実質的にシード層断面全域において単結晶の成長を生じ、インゴットの上端まで進んだという点において成功であった。切断したシリコンの検査から、単結晶性は明白であった。
【0087】
この例にしたがって実行した他の成型工程では、成型シリコン生産物がシリコンの連続一貫結晶であり、含有する他の結晶方位のシリコン結晶は少なく、あるいは多結晶シリコンの隣接領域を有する単結晶シリコンの本体であったことが観察された。
【0088】
本発明の実施形態にしたがったシリコンから作成したウェハは、適度に薄く、光電変換セルに用いることができる。更に、ウェハは、n−型でもp−型でも可能である。例えば、ウェハは、厚さが約10ミクロンから約700ミクロンまで可能である。更に、光電変換セルに用いるウェハは、好ましくは、ウェハの厚さ(t)よりも大きな拡散長(Lp)を有する。例えば、Lpのtに対する比率は、少なくとも0.5であることが相応しい。例えば、少なくとも約1.1、または少なくとも約2とすることができる。拡散長は、多数キャリア(p−型物質における正孔)と再結合する前に、少数キャリア(p−型物質における電子のような)が拡散することができる平均距離である。Lpは、関係Lp=(Dτ)1/2によって、少数キャリアの寿命τに関係がある。ここで、Dは拡散定数である。拡散長は、光子−光線−誘発電流技法または表面光電変換技法というような、多数の技法によって測定することができる。どのようにして拡散長を測定することができるかの説明に関しては、例えば、FahrenbruchおよびR. Bubbeによる"Fundamentals of Solar Cells"(太陽電池の基礎)、Accademic Press, 1983, pp.90-102を参照のこと。
【0089】
ウェハは、約100ミリメートルから約600ミリメートルの幅を有することができる。好ましくは、ウェハは、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmである。本発明のシリコンから作成したウェハ、したがって本発明によって作成した光電変換セルは、例えば、約50から約3600平方センチメートルの表面積を有することができる。ウェハの表面には、模様を形成することが好ましい。例えば、化学的エッチング、プラズマ・エッチング、あるいはレーザまたは機械的スクライビングを用いると、相応しい模様を形成することができる。(100)極方位を有するウェハを用いる場合、水酸化ナトリウムのような塩基の水溶液において、高温、例えば、約70゜Cから約90゜Cで約10から約120分間ウェハを処理することによって、異方性の模様の表面を形成するように、ウェハをエッチングすることができる。水溶液は、イソプロパノールのような、アルコールを含有してもよい。
【0090】
このように、本発明の実施形態による成型シリコン・インゴットから生産したウェハを用いて、成型シリコンの固体本体をスライスして少なくとも1つのウェハを形成し、任意にウェハの表面上で洗浄手順を実行し、任意に表面上で模様形成工程を実行し、例えば、表面にドーピングすることによってp−n接合を形成し、任意に表面上に反射防止被膜を被着させ、例えば、アルミニウム焼結工程によって、任意に裏面電界(back surface field)またはパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を形成し、ウェハ上に導電性コンタクトを形成することによって、太陽電池を製造することができる。パシベーション層は、表面原子のダングリング・ボンドと連結する剥きだしのウェハ表面との界面を有する層である。シリコン上のパシベーション層の例には、窒化シリコン、二酸化シリコン、およびアモルファス・シリコンが含まれる。この層は、一般に、1ミクロンよりも薄く、光に対して透過性があるか、または反射防止層として作用する。
【0091】
例えば、p−型シリコン・ウェハを用いる光電変換セルを準備する典型的なそして一般的なプロセスでは、ウェハの一面を適したn−ドーパントに露出して、表面、即ち、ウェハの受光面上にエミッタ層およびp−n接合を形成する。通例、n−型層またはエミッタ層を形成するには、最初に化学的または物理的堆積のような当技術分野において慣例的に用いられている技法を用いてn−ドーパントをp−型ウェハの表面上に堆積し、このような堆積の後に、n−ドーパント、例えば、燐をシリコン・ウェハの表面から内部に打ち込んで、更にn−ドーパントをウェハ表面内に拡散させる。この「打ち込み」工程は、慣例的に、ウェハを高温に晒すことによって行われる。これによって、n−型層とp−型シリコン・ウェハ基板との間にある境界領域に、p−n接合が形成される。ウェハの表面は、エミッタ層を形成するための燐またはその他のドーピングの前に、模様を形成することができる。吸光度を更に高めるために、窒化シリコンのような任意の反射防止被膜を、通例、ウェハの表面に被着することができ、同時に表面上のパシベーションおよび/または大量のパシベーションが得られる場合もある。
【0092】
p−n接合を光エネルギに晒すことによって発生する電気ポテンシャルを利用するために、光電変換セルには、ウェハの表面上に導電性前面コンタクトと、ウェハの背面に導電性背面コンタクトとが備えられているが、双方のコンタクトがウェハの背面上にあることも可能である。このようなコンタクトは、通例、導電性が高い1種類以上の金属で作られ、したがって不透明であるのが通例である。
【0093】
このように、前述の実施形態にしたがった太陽電池は、半径方向に分布する欠陥がないまたは実質的にない、連続単結晶シリコンまたは準単結晶シリコンの本体から形成したウェハを備えており、本体は、先に説明したように、例えば、少なくとも2つの寸法が、各々、約25cmであり、第3の寸法が少なくとも約20cmであり、ウェハ上にp−n接合を有し、ウェハの表面上に、裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を有することが好ましい任意の反射防止被膜を有し、更にウェハ上に導電性コンタクトを有することができる。本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更にOSF欠陥もないかまたは実質的になくすることができる。
【0094】
また、前述の実施形態にしたがった太陽電池は、連続幾何学的多結晶シリコンの本体から形成したウェハを備えることもでき、本体は、粒子方位の所定の配列を有し、好ましくは、共通極方向が本体の表面に対して垂直であり、本体は、好ましくは、各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法と、ウェハの表面上に、裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を有することが好ましい任意の反射防止被膜を有し、ウェハ上に導電性コンタクトとを更に有する。幾何学的多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmのシリコン粒子を含み、本体はスワール欠陥がないかまたは実質的になく、更にOSF欠陥もないかまたは実質的になくすることができる。
【0095】
尚、開示した構造および方法には、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、種々の変更や変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、開示したプロセスおよび方法は、単結晶シリコンの形成に関するが、準単結晶シリコン、幾何学的多結晶シリコン、またはその組み合わせの形成にも適用することができる。更に、シリコンの成型についてここでは説明したが、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、その他の半導体材料および非金属結晶性材料も成型することができる。例えば、本発明者は、砒化ガリウム、シリコン・ゲルマニウム、酸化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、砒化ガリウム・インディウム、アンチモン化インディウム、ゲルマニウム、酸化イットリウム硼素、酸化ランタン、酸化マグネシウム、およびその他の半導体、酸化物、ならびに液相を有する合金(intermetallics)のような、本発明の実施形態にしたがったその他の材料の成型も想定している。本発明の他の実施形態は、ここに開示した本発明の仕様および実用の考慮から、当業者には明白であろう。本明細書および例は、単なる一例と見なし、本発明の真の範囲および主旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による坩堝の底面上におけるシリコン・シードの配置例を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による坩堝の底面および側面上におけるシリコン・シードの別の配置例を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の一例を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にしたがって、坩堝において幾何学的に整えられた多結晶シリコンを成型するためのタイリング(tiling)の別の例を示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による六角形シード・タイルの密閉アレイの一例を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による菱形または三角形の隙間を有する多角形のアレイの一例を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による方法例を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8B】図8Bは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8C】図8Cは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8D】図8Dは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8E】図8Eは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8F】図8Fは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図8G】図8Gは、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態による単結晶または幾何学的に揃った多結晶シリコンの成型プロセス例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝における少なくとも1つの表面上に、複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、
前記単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記溶融シリコンと前記少なくとも1つの冷却用の壁との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項2】
太陽電池の製造方法であって、
請求項1記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項3】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも2つの表面上に、所定のパターンで複数のシリコン・シード結晶を配列するステップと、
前記複数の単結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記坩堝の少なくとも2つの表面から前記溶融シリコンを冷却するによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記坩堝における前記溶融シリコンと単結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において前記固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項4】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、
前記少なくとも1つの表面において前記複数のシリコン・シード結晶を接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、
前記シリコン供給原料および前記複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、
前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、前記加熱を制御するステップであって、該ステップは、前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、
一旦前記複数のシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、前記シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項5】
太陽電池の製造方法であって、
請求項4記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項6】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝の少なくとも2つの表面に、複数のシリコン・シード結晶を所定のパターンで配列するステップと、
前記少なくとも2つの表面において、前記複数のシリコン・シード結晶と接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、
前記シリコン供給原料および前記複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、
前記複数のシード結晶が完全に溶融しないように、前記加熱を制御するステップであって、該ステップは、前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、
一旦前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、前記シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項7】
太陽電池の製造方法であって、
請求項6記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項8】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも1つの表面に、少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、
前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記坩堝における前記溶融シリコンと少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項9】
太陽電池の製造方法であって、
請求項8記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項10】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝内の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップであって、前記複数のシリコン・シード結晶を、前記坩堝における少なくとも1つの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、
前記シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するように前記溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シリコンから成る固体本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
太陽電池の製造方法であって、
請求項8記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項12】
成型シリコンの製造方法であって、
1つ以上の側面が少なくともシリコンの融点に加熱されているベッセルにおいて、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップであって、前記少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶を、前記ベッセルの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、
結晶化を制御するように前記溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シシリコンから成る固体本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項13】
太陽電池の製造方法であって、
請求項12記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項14】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、ディップ・ロッドを用いることによって、溶融の進展を監視するステップを備えている、方法。
【請求項15】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法にしたがって製造した太陽電池。
【請求項16】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法において、前記冷却するステップは、熱を水冷壁に放射するために、ヒート・シンク材料を用いることを含む、方法。
【請求項17】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥(fault defect)も実質的にない前記本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項18】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmであるウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項19】
請求項2、5、7、9、11、または13記載の方法であって、更に、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmとなるようにウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥も実質的にないように、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンの固体本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥も実質的にない前記ウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項22】
請求項1、3、4、6、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記複数のシード結晶を含むように、前記本体の一部を形成するステップを備えている、方法。
【請求項23】
請求項8記載の方法であって、前記少なくとも1つのシード結晶を含むように、前記固体本体の一部を形成するステップを備えている、方法。
【請求項24】
請求項1、3、または10のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝とは別個の溶融容器においてシリコン供給原料を溶融するステップ、前記坩堝およびシリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、前記坩堝における複数のシード結晶が完全に溶融しないように前記加熱を制御するステップ、及び前記溶融シリコンを前記溶融容器から前記坩堝に移すステップ、を含む、方法。
【請求項25】
請求項8または12のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝とは別個の溶融容器においてシリコン供給原料を溶融するステップ」、前記坩堝およびシリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、前記坩堝における少なくとも1つのシード結晶が完全に溶融しないように前記加熱を制御するステップ、及び前記溶融シリコンを前記溶融容器から前記坩堝に移すステップ、を含む、方法。
【請求項26】
請求項1、3、4、6、または10のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記シード結晶間における共通極方向が前記坩堝の底面に対して垂直となるように、前記複数のシード結晶を配列するステップを含む、方法。
【請求項27】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法において、前記形成するステップは、共通極方向が前記幾何学的に揃った多結晶シリコンの表面に対して垂直となるように、平均粒子サイズが約0.5cmから約50cmである幾何学的に揃った多結晶シリコンを形成するステップから成る、方法。
【請求項28】
請求項1、3、4、6、8、または10のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記方法にしたがって既に成型してある幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から得たシード結晶を用いて、幾何学的に揃った多結晶シリコンの別の固体本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項29】
請求項1、3、または10のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝および前記シリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、及び前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するように前記加熱を制御するステップ、を含む、方法。
【請求項30】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記坩堝の少なくとも2つの表面の間に粒子境界が形成されないように、前記シード結晶間の共通極方向が前記坩堝の少なくとも2つの表面の1つに対して垂直となるように、前記複数のシード結晶を配列するステップを備えている、方法。
【請求項31】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、最大で3つのシード結晶縁端が前記所定のパターンのいずれかの角において一致するように、前記複数のシード結晶を配列するステップを備えている、方法。
【請求項32】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記坩堝の前記少なくとも1つの表面に沿って、前記所定のパターンを六角形または八角形方位に配列するステップを備えている、方法。
【請求項33】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法において、前記坩堝の少なくとも2つの表面は垂直である、方法。
【請求項34】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、ディップ・ロッドを用いることによって、溶融の進展を監視するステップを備えている、方法。
【請求項35】
請求項1または4のいずれか1項に記載の方法において、前記複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップは、前記坩堝の表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように、前記シード結晶を配列するステップから成る、方法。
【請求項36】
粒子方位の所定の配列を有する、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体であって、該本体は、任意に、各々、少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを更に有する、連続多結晶シリコンの本体。
【請求項37】
請求項36記載の本体において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、本体。
【請求項38】
請求項36記載の本体において、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、本体。
【請求項39】
粒子方位の所定の配列を有し、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、連続成型し幾何学的に揃った多結晶シリコンの本体。
【請求項40】
請求項39記載の本体において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約50cmであるシリコン粒子を含む、本体。
【請求項41】
請求項39記載の本体において、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、本体。
【請求項42】
粒子方位の所定の配列を有し、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハ。
【請求項43】
請求項42記載のウェハにおいて、前記ウェハは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約50cmであるシリコン粒子を含む、ウェハ。
【請求項44】
請求項39記載のウェハにおいて、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、ウェハ。
【請求項45】
請求項36または39のいずれか1項に記載の本体において、前記粒子方位は、前記本体の表面に対して垂直である共通極方向を有する、本体。
【請求項46】
請求項42記載のウェハにおいて、前記粒子方位は、前記ウェハの表面に対して垂直である共通極方向を有する、ウェハ。
【請求項47】
請求項36または39のいずれか1項に記載のシリコンの本体からのシリコンを備えている、太陽電池。
【請求項48】
請求項42記載のウェハからのシリコンを備えている太陽電池。
【請求項49】
太陽電池であって、
幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、前記本体が粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項50】
請求項49記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項51】
請求項49記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項52】
太陽電池であって、
幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項53】
請求項52記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項54】
請求項52記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項55】
太陽電池であって、
粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項56】
請求項55記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項57】
請求項55記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項58】
ウェハであって、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から成り、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、各々、任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する、ウェハ。
【請求項59】
ウェハであって、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から形成したシリコンから成り、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、各々任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハ。
【請求項60】
ウェハであって、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直である、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハから成り、更に、更に、各々少なくとも約50mmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハ。
【請求項1】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝における少なくとも1つの表面上に、複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、
前記単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記溶融シリコンと前記少なくとも1つの冷却用の壁との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項2】
太陽電池の製造方法であって、
請求項1記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項3】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも2つの表面上に、所定のパターンで複数のシリコン・シード結晶を配列するステップと、
前記複数の単結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記坩堝の少なくとも2つの表面から前記溶融シリコンを冷却するによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記坩堝における前記溶融シリコンと単結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において前記固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項4】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップと、
前記少なくとも1つの表面において前記複数のシリコン・シード結晶を接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、
前記シリコン供給原料および前記複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、
前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶が完全に溶融しないように、前記加熱を制御するステップであって、該ステップは、前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、
一旦前記複数のシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、前記シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項5】
太陽電池の製造方法であって、
請求項4記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項6】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝の少なくとも2つの表面に、複数のシリコン・シード結晶を所定のパターンで配列するステップと、
前記少なくとも2つの表面において、前記複数のシリコン・シード結晶と接触するように、シリコン供給原料を配置するステップと、
前記シリコン供給原料および前記複数のシリコン・シード結晶をシリコンの融点まで加熱するステップと、
前記複数のシード結晶が完全に溶融しないように、前記加熱を制御するステップであって、該ステップは、前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するステップを含む、ステップと、
一旦前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶が部分的に溶融したなら、前記シリコンを冷却することによって、単結晶シリコンから成るシリコン本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項7】
太陽電池の製造方法であって、
請求項6記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項8】
成型シリコンの製造方法であって、
少なくともシリコンの融点まで加熱した1つ以上の側面と、少なくとも1つの冷却用の壁とを有する坩堝の少なくとも1つの表面に、少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶を配列するステップと、
前記少なくとも1つのシリコン・シード結晶と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するために前記溶融シリコンを冷却することによって、幾何学的に揃った多結晶シリコンから成り、任意に各々約10cmの少なくとも2つの寸法を有する固体本体を形成するステップであって、該ステップは、前記坩堝における前記溶融シリコンと少なくとも1つの幾何学的多結晶シリコン・シード結晶との間の距離が増大する方向に移動するように、前記冷却中に前記溶融シリコンの縁端において固体−液体界面を制御するステップを含む、ステップと、
を備えている、方法。
【請求項9】
太陽電池の製造方法であって、
請求項8記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項10】
成型シリコンの製造方法であって、
坩堝内の少なくとも1つの表面に複数のシリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップであって、前記複数のシリコン・シード結晶を、前記坩堝における少なくとも1つの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、
前記シリコン・シード結晶の幾何学的配列と接触するように、溶融シリコンを配置するステップと、
結晶化を制御するように前記溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シリコンから成る固体本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
太陽電池の製造方法であって、
請求項8記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項12】
成型シリコンの製造方法であって、
1つ以上の側面が少なくともシリコンの融点に加熱されているベッセルにおいて、少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶と接触するように溶融シリコンを配置するステップであって、前記少なくとも1つの幾何学的に揃った多結晶シリコン・シード結晶を、前記ベッセルの表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように配列する、ステップと、
結晶化を制御するように前記溶融シリコンを冷却することによって、任意に各々少なくとも約10cmの少なくとも2つの寸法を有する幾何学的に揃った多結晶シシリコンから成る固体本体を形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項13】
太陽電池の製造方法であって、
請求項12記載の成型シリコンの本体を用意するステップと、
前記本体から少なくとも1つのウェハを形成するステップと、
前記ウェハの表面上において、任意に清浄手順を実行するステップと、
任意に、前記表面上において模様形成ステップを実行するステップと、
p−n接合を形成するステップと、
任意に前記表面上に反射防止被膜を堆積するステップと、
裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層を任意に形成するステップと、
前記ウェハ上に導電性コンタクトを形成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項14】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、ディップ・ロッドを用いることによって、溶融の進展を監視するステップを備えている、方法。
【請求項15】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法にしたがって製造した太陽電池。
【請求項16】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法において、前記冷却するステップは、熱を水冷壁に放射するために、ヒート・シンク材料を用いることを含む、方法。
【請求項17】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥(fault defect)も実質的にない前記本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項18】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmであるウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項19】
請求項2、5、7、9、11、または13記載の方法であって、更に、少なくとも1つの寸法が少なくとも約50mmとなるようにウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥も実質的にないように、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンの固体本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、更に、スワール欠陥が実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥も実質的にない前記ウェハを形成するステップを備えている、方法。
【請求項22】
請求項1、3、4、6、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記複数のシード結晶を含むように、前記本体の一部を形成するステップを備えている、方法。
【請求項23】
請求項8記載の方法であって、前記少なくとも1つのシード結晶を含むように、前記固体本体の一部を形成するステップを備えている、方法。
【請求項24】
請求項1、3、または10のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝とは別個の溶融容器においてシリコン供給原料を溶融するステップ、前記坩堝およびシリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、前記坩堝における複数のシード結晶が完全に溶融しないように前記加熱を制御するステップ、及び前記溶融シリコンを前記溶融容器から前記坩堝に移すステップ、を含む、方法。
【請求項25】
請求項8または12のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝とは別個の溶融容器においてシリコン供給原料を溶融するステップ」、前記坩堝およびシリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、前記坩堝における少なくとも1つのシード結晶が完全に溶融しないように前記加熱を制御するステップ、及び前記溶融シリコンを前記溶融容器から前記坩堝に移すステップ、を含む、方法。
【請求項26】
請求項1、3、4、6、または10のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記シード結晶間における共通極方向が前記坩堝の底面に対して垂直となるように、前記複数のシード結晶を配列するステップを含む、方法。
【請求項27】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法において、前記形成するステップは、共通極方向が前記幾何学的に揃った多結晶シリコンの表面に対して垂直となるように、平均粒子サイズが約0.5cmから約50cmである幾何学的に揃った多結晶シリコンを形成するステップから成る、方法。
【請求項28】
請求項1、3、4、6、8、または10のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記方法にしたがって既に成型してある幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から得たシード結晶を用いて、幾何学的に揃った多結晶シリコンの別の固体本体を形成するステップを備えている、方法。
【請求項29】
請求項1、3、または10のいずれか1項に記載の方法において、前記溶融シリコンを配置するステップは、更に、前記坩堝および前記シリコンをシリコンの融点まで加熱するステップ、及び前記坩堝におけるいずれかの部位においてシリコンの融点に達した後、前記坩堝の外面において測定して、約0.1゜C/分以下のΔTを維持するように前記加熱を制御するステップ、を含む、方法。
【請求項30】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記坩堝の少なくとも2つの表面の間に粒子境界が形成されないように、前記シード結晶間の共通極方向が前記坩堝の少なくとも2つの表面の1つに対して垂直となるように、前記複数のシード結晶を配列するステップを備えている、方法。
【請求項31】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、最大で3つのシード結晶縁端が前記所定のパターンのいずれかの角において一致するように、前記複数のシード結晶を配列するステップを備えている、方法。
【請求項32】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記坩堝の前記少なくとも1つの表面に沿って、前記所定のパターンを六角形または八角形方位に配列するステップを備えている、方法。
【請求項33】
請求項3または6のいずれか1項に記載の方法において、前記坩堝の少なくとも2つの表面は垂直である、方法。
【請求項34】
請求項1、3、4、6、8、10、または12のいずれか1項に記載の方法であって、更に、ディップ・ロッドを用いることによって、溶融の進展を監視するステップを備えている、方法。
【請求項35】
請求項1または4のいずれか1項に記載の方法において、前記複数の単結晶シリコン・シード結晶の幾何学的配列を配置するステップは、前記坩堝の表面の区域全体または実質的に区域全体を覆うように、前記シード結晶を配列するステップから成る、方法。
【請求項36】
粒子方位の所定の配列を有する、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体であって、該本体は、任意に、各々、少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを更に有する、連続多結晶シリコンの本体。
【請求項37】
請求項36記載の本体において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、本体。
【請求項38】
請求項36記載の本体において、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、本体。
【請求項39】
粒子方位の所定の配列を有し、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、連続成型し幾何学的に揃った多結晶シリコンの本体。
【請求項40】
請求項39記載の本体において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約50cmであるシリコン粒子を含む、本体。
【請求項41】
請求項39記載の本体において、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、本体。
【請求項42】
粒子方位の所定の配列を有し、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハ。
【請求項43】
請求項42記載のウェハにおいて、前記ウェハは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約50cmであるシリコン粒子を含む、ウェハ。
【請求項44】
請求項39記載のウェハにおいて、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、ウェハ。
【請求項45】
請求項36または39のいずれか1項に記載の本体において、前記粒子方位は、前記本体の表面に対して垂直である共通極方向を有する、本体。
【請求項46】
請求項42記載のウェハにおいて、前記粒子方位は、前記ウェハの表面に対して垂直である共通極方向を有する、ウェハ。
【請求項47】
請求項36または39のいずれか1項に記載のシリコンの本体からのシリコンを備えている、太陽電池。
【請求項48】
請求項42記載のウェハからのシリコンを備えている太陽電池。
【請求項49】
太陽電池であって、
幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、前記本体が粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmであり、第3の寸法が少なくとも約5cmである、ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項50】
請求項49記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項51】
請求項49記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項52】
太陽電池であって、
幾何学的に揃った連続成型多結晶シリコンの本体から形成したウェハであって、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約10cmである、ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項53】
請求項52記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項54】
請求項52記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項55】
太陽電池であって、
粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、更に、少なくとも2つの寸法が、各々、少なくとも約50mmである、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハと、
p−n接合と、
前記ウェハの表面上にある任意の反射防止被膜と、
任意に裏面電界およびパシベーション層から選択した少なくとも1つの層と、
前記ウェハ上にある導電性コンタクトと、
を備えている、太陽電池。
【請求項56】
請求項55記載の太陽電池において、前記幾何学的に揃った多結晶シリコンは、平均結晶粒子断面サイズが約0.5cmから約30cmであるシリコン粒子を含む、太陽電池。
【請求項57】
請求項55記載の太陽電池において、前記本体は、スワール欠陥がないかまたは実質的になく、更に酸素誘発積層障害欠陥もないかまたは実質的にない、太陽電池。
【請求項58】
ウェハであって、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から成り、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、各々、任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法と、少なくとも約5cmである第3の寸法とを有する、ウェハ。
【請求項59】
ウェハであって、幾何学的に揃った連続多結晶シリコンの本体から形成したシリコンの本体から形成したシリコンから成り、前記本体が、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直であり、前記本体は、更に、各々任意に少なくとも約10cmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハ。
【請求項60】
ウェハであって、粒子方位の所定の配列を有し、その共通極方向が当該本体の表面に対して垂直である、幾何学的に揃った連続多結晶シリコン・ウェハから成り、更に、更に、各々少なくとも約50mmである少なくとも2つの寸法を有する、ウェハ。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9】
【公表番号】特表2009−523694(P2009−523694A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551522(P2008−551522)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/060663
【国際公開番号】WO2007/084936
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/060663
【国際公開番号】WO2007/084936
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】
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