説明

弁内の弾性構成要素を固定する方法

弁は可撓性部材を含む。可撓性部材は、スリットおよび第一のハウジングを含む。スリットは、可撓性部材の中央部分上に形成される。第一のハウジングは第一の管腔を規定する。第一の管腔は、第一のハウジングを通り延在する。第一のハウジングは、第一の接触表面を含む。可撓性部材のスリットが第一の管腔と一列に並んだ場合、第一の接触表面は、可撓性部材の第一の側面に接触するように適合されている。第一のハウジングは、緩衝域を規定する。緩衝域は、第一の接触表面の周縁部の周りに、第一の管腔の長手方向軸に対して半径方向に中央部分の外側に第二のハウジングと共に延在するように適合され、第二のハウジングは、第一のハウジングと嵌合するように適合されている。第二の管腔は、第二のハウジングによって規定される。第二の管腔は、第一の管腔と整列され、第一の管腔から可撓性部材によって分離される。第二のハウジングは、第二の接触表面を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
圧力作動安全弁は、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)、ポート、透析カテーテルおよび脈管系などへの長期アクセスを提供するトンネル型中心静脈カテーテルのような医療デバイスの中へ組み込まれてきた。これらの弁は、一般的に、デバイスを通る流れおよび/または圧力を制御することによってデバイスが使用されていない場合に、デバイスを通る流れを妨げる弾性構成要素を含む。弾性構成要素は、管腔にわたり延在するスリットを開けられた可撓性膜であり得る。スリットを開けられた可撓性膜は、少なくとも閾値の大きさの流体圧力に晒されたときに、スリットの縁が互いに分離されることによって管腔を通る流れを許容するように一般的に構築される。膜に適用された圧力が閾値レベルの下に落ちた場合、スリットは、再密閉して、デバイスからのまたはデバイスの中への漏出を妨げる。膜の所望の流れ制御特性を維持する一方で、高圧および/または高流量中に可撓性ディスクを適所に保つことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(発明の概要)
本発明は、可撓性部材を含む弁に関する。可撓性部材は、可撓性部材の中央部分上に形成されたスリットと第一の管腔を規定する第一のハウジングとを含む。第一の管腔は、第一のハウジングを通り延在する。第一のハウジングは、第一の接触表面を含む。可撓性部材のスリットが第一の管腔と一列に並べられた場合、第一の接触表面は、可撓性部材の第一の側面に接触するように適合されている。第一のハウジングは、緩衝域を規定する。緩衝域は、第一の接触表面の周縁部の周りに、第一の管腔の長手方向軸に対して放射状に中央部分の外側に第二のハウジングと共に延在する。第二のハウジングは、第一のハウジングに嵌合するように適合されている。第二の管腔は、第二のハウジングによって規定される。第二の管腔は、第一の管腔と一列に並べられ、第一の管腔から可撓性部材によって分離される。第二のハウジングは、第二の接触表面を含む。第一のハウジングおよび第二のハウジングが互いに動作構成において嵌合され、可撓性部材が第一のハウジングと第二のハウジングとの間にピンチされた場合、第二の接触表面は、可撓性部材の第一の側面と反対の可撓性部材の第二の側面に長手方向軸に沿って接触する。第二の接触表面の半径方向外側の部分は、突出部を含む。突出部は、第一のハウジングおよび第二のハウジングが動作構成において嵌合された場合、緩衝域と一列に並び、緩衝域の中へ延在する。突出部は、可撓性部材の周辺部分を第一の接触表面の半径方向外側の縁の周りにおいて緩衝域の中へ湾曲させることによって可撓性部材を所望の位置に維持し、第一の管腔および第二の管腔が少なくとも所定の大きさの流体圧力に晒された場合、可撓性部材のスリットが開いて、第一の管腔と第二の管腔との間の流体移動を可能にし、所定の大きさより小さい流体圧力に晒された場合、可撓性部材のスリットが閉じたまま留まり、第一の管腔と第二の管腔との間の流体移動を妨げるように第一の管腔および第二の管腔を分離させる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】図1は、本発明の例示的実施形態に従うデバイスの長手方向断面図を示す。
【図2】図2は、図1のディスク部分の長手方向断面図を示す。
【図3】図3は、図2において示されたデバイスのディスク部分の縁の部分の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
(詳細な説明)
本発明は、以下の説明および添付の図面を参照することによってさらに理解され得る。類似の要素は、同じ参照数字によって指示される。本発明は、医療デバイスを通る流体の流れを制御する装置に関し、特に、身体内の適所に留まることによって脈管系への長期アクセスを提供するデバイスを密閉する装置に関する。圧力作動安全弁の性能を改善するために、本発明の例示的実施形態は、弾性構成要素を固定し、弾性構成要素の内部ストレスを制御する、くさびまたは他の類似形状形体を説明する。
【0005】
図1〜3において示されるように、本発明の例示的実施形態に従うデバイス100は、第一のハウジング102、第二のハウジング104および弾性構成要素106を含む。図1において示されるように、第一のハウジング102および第二のハウジング104は、互いに連結され得ることによって弾性構成要素106をそれらの間に固定する。明確には、弾性構成要素106は、最終的な位置へピンチされる前に、第一のハウジング102と第二のハウジング104との間に示される。第一のハウジング102は、デバイス100の遠位端部108を形成し得、第一の導管へ接続する第一の接続134を含む。第一の導管は、例えば、目標身体構造体へ延在する。目標身体構造体へおよび/または目標身体構造体から、流体を移動させることが望ましい。第二のハウジング104は、デバイス100の近位端部110において、第二の導管へ接続する第二の接続136を含む。第二の導管は、身体の外部に留まる。弾性構成要素106は、第一のハウジング102と第二のハウジング104との間に固定され、それらの間を通る流体の流れを制御する。
【0006】
弾性構成要素106は、例えば、シリコーンディスクのような(例えば、ディスク形態の)任意の可撓性膜であり得、その間を通る流体の流れを制御するスリット(示されていない)を含む。弾性構成要素106は、双方向弁として動作し得、流体がデバイス100を通り、弁が少なくとも閾値の流体圧力に晒された場合には、どちらかの方向に流れることを可能にする。あるいは、弾性構成要素106は、一定方向弁として動作し得、流体が一方向のみに流れることを可能にするか、または、弾性構成要素106を通る流れの2つの方向の各々に対して異なる閾値を有する。弾性構成要素106は、弾性構成要素106に対して及ぼされた流体圧力が所定の閾値の大きさに達した場合にのみ開くように構成されている。スリットは、互いから離れて動くスリットの縁による弾性構成要素106の変形を介して開き、流体がそこを通り流れることを可能にする。流体圧力が閾値の大きさの下に落ちると、スリットは再密閉し、流体がスリットを通って流れるのを妨げる。弾性構成要素106は、弾性構成要素106を通り延在する2つ以上のスリットを含み得ることが当業者によって理解される。
【0007】
図2〜3において示されるように、第一のハウジング102は、第一のハウジングを通り延在する管腔112と、弾性構成要素106に接触するディスク対面表面114とを含む。ディスク対面表面114は、実質的に平面な中央部分128を含む。平面な中央部分128は、平面な中央部分128の(第一のハウジング102および第二のハウジング104の長手方向軸に対して)外側に管腔112および緩衝域120を放射状に囲む。緩衝域120は、凹所として形成され得る。凹所は、弾性構成要素106の外の周縁部132を収容するためにディスク対面表面114の半径方向外側の縁の周りに延在する。緩衝域120は、縁122をさらに含み、縁122に対して、弾性構成要素106の外の周縁部132は湾曲し得る。緩衝域120は、ディスク対面表面114の周縁部の周りの連続的な凹所としてか、ディスク対面表面114の円周の周りに互いから一定の距離を置かれた一連の凹所としてのどちらかとして形成され得ることが当業者によって理解される。好ましい実施形態において、緩衝域120は、ディスク対面表面114の円周の周りにリング形状凹所を形成する。
【0008】
第二のハウジング104は、第二のハウジング104を通り延在する管腔116と、弾性構成要素106に接触するディスク対面表面118とを含む。ディスク対面表面118は、管腔116を囲む実質的に平面な中央部分130と、平面な中央部分130を囲む突出部124とを含む。突出部124は、ディスク対面表面118の半径方向外側の縁の周りに平面な中央部分130から離れて遠位に延在する。突出部124は、例えば、斜めの表面126を含むくさび形状であり得る。斜めの表面126は、弾性構成要素106の半径方向外側の部分に接触し、半径方向外側の部分を縁122に対して緩衝域120の中へ遠位に湾曲する。突出部124は、ディスク対面表面118の外の周縁部の周りに連続的に延在し得るか、またはディスク対面表面118の外の周縁部の周りに円周方向に、一連の凹所またはギャップによって互いから分離された一連の突出部として形成され得ることが当業者によって理解される。好ましい実施形態において、突出部124は、実質的にリング形状であり、ディスク対面表面118の円周の周りに連続的に延在する。
【0009】
第一のハウジング102および第二のハウジング104のそれぞれ緩衝域120および突出部124は、弾性構成要素106の保持を向上させ、弾性構成要素106に第一のハウジング102および第二のハウジング104のそれぞれ長手方向軸へ放射状に内側方向へ圧縮を適用することによって緊張を和らげる。弾性構成要素106は、第一のハウジング102と第二のハウジング104との間にピンチされた場合、この緊張に晒され、緩衝域120の中へ伸ばされる。まず、弾性構成要素106が第一のハウジング102と第二のハウジング104との間にピンチされており、弾性構成要素106の外の縁が縁122の周りにおいて緩衝域120の中へ湾曲された場合、弾性構成要素106の中央部分は、半径方向外側側方向へ伸ばされ、スリットの縁を互いから引き離し、弾性構成要素の中央部分をすぼめる。次いで、第一のハウジング102および第二のハウジング104が互いの方へさらに動かされた場合、弾性構成要素106は、突出部124と縁122との間にピンチされ、弾性構成要素106のこの部分の厚さを減少させ、ピンチされた材料をこの域からスリットの方へ促す。つまり、弾性構成要素106を放射状に圧縮し、スリットの縁に弁を密閉させる。ディスク対面表面118の平面な部分130は、弾性構成要素106の中央部分を実質的に平坦に保ち、弾性構成要素106は、すぼまず、圧縮の間にスリットの縁を一列に並べる。さらに、縁122に対する緩衝域120の中への弾性構成要素106の周辺の外の部分の湾曲は、弾性構成要素106が過剰な圧力に晒された場合、第一のハウジング102と第二のハウジング104との間の位置から引き抜かれる可能性を減少させる。つまり、弾性構成要素106の外の周縁部132は、放射状に縁122の外側方向へ緩衝域120において延在し、外の周縁部132は、弾性構成要素106を適所に支える支えとして作用する。
【0010】
スリットを閉じる圧縮力は、斜めの表面126の角度および突出部124の位置を縁122に対して変えることによって制御され得ることが当業者によって理解される。好ましい実施形態において、斜めの表面126は、約40Eと50Eとの間から斜めにされ得、より好ましくは、約45Eの角度において斜めにされ得る。縁122の場所は、斜めの表面126によって決定され得、斜めの表面126は、可撓性部材106の周辺に位置決めされる。したがって、圧縮力は、必要に応じて制御され得る。スリットおよび/または弾性構成要素106に対する圧縮の量は、スリットを開閉するために必要な圧力勾配を決定する要因のうちの1つであることも当業者によって理解される。他の要因は、例えば、弾性構成要素106の可撓性、厚さおよび材料を含み得る。
【0011】
さまざまな改変およびバリエーションが本発明の構造体および方法において発明の精神または範囲から逸脱せずに成され得ることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、添付の請求項および均等物の範囲に該当する場合、この発明の改変およびバリエーションを含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の内部構造体と該生体の外との間に延在する導管を通る流体の流れを制御する弁であって、
該弁は、
可撓性部材であって、該可撓性部材は、該可撓性部材の中央部分上に形成されたスリットを含む、可撓性部材と、
第一のハウジングであって、該第一のハウジングは、該第一のハウジングを通り延在する第一の管腔を規定し、該第一のハウジングは、第一の接触表面を含み、該第一の接触表面は、該可撓性部材の第一の側面に接触するように適合されており、該第一のハウジングは、緩衝域を規定し、該緩衝域は、該第一の接触表面の周縁部の周りに延在する、第一のハウジングと、
第二のハウジングであって、該第二のハウジングは、該第一のハウジングと嵌合するように適合されており、該第二のハウジングは、第二の管腔を規定し、該第一のハウジングから該可撓性部材によって分離されており、該第二のハウジングは、第二の接触表面を含み、該第二の接触表面は、該第一のハウジングおよび該第二のハウジングが互いに動作構成において該第一のハウジングと該第二のハウジングとの間に配置された可撓性部材によって嵌合された場合、該可撓性部材の第二の側面に接触し、該第二の接触表面の半径方向外側の部分は、突出部を含み、該突出部は、該第一のハウジングおよび該第二のハウジングが動作構成において嵌合された場合、該緩衝域と整列され、該緩衝域の中へ延在し、該突出部は、該可撓性部材の周辺部分が該緩衝域の中へ延在するように該可撓性部材に接触する、第二のハウジングと
を含む、弁。
【請求項2】
前記突出部の半径方向に内側にある前記接触表面の一部は、実質的に平面であり、前記第二の管腔の周りに環状に延在する、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記第一のハウジングおよび前記第二のハウジングは、前記動作構成において嵌合された場合、前記周辺部分を前記緩衝域に屈曲することによって適用される半径方向外側の張力に対応する量で前記可撓性部材を長手方向軸に向けて圧縮するように適合される、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記第一の接触表面は、実質的に平面な環状域として形成され、該実質的に平面な環状域は、前記第一の管腔を囲み、該第一の接触表面および前記第二の接触表面は、前記可撓性部材の第一の表面および第二の表面を実質的に平面に維持する、請求項3に記載の弁。
【請求項5】
前記突出部は、実質的にくさび形状である、請求項1に記載の弁。
【請求項6】
前記突出部は、実質的に連続的に前記第二の接触表面の周縁部の周りに延在する、請求項1に記載の弁。
【請求項7】
前記突出部は、一連の非連続的隆起域として形成され、該一連の非連続的隆起域は、前記第二の接触表面の周縁部の周りのギャップによって互いから円周方向に分離されている、請求項1に記載の弁。
【請求項8】
前記所定の圧力は、前記弁が流体連結される目標身体構造体内の流体圧力における自然な変動に起因して、該弁が晒される圧力より大きくなるように選択される、請求項1に記載の弁。
【請求項9】
前記可撓性部材は、ディスク形状膜として形成され、該可撓性部材が形成される材料は、前記所定の流体圧力より小さい流体圧力に晒された場合、前記スリットの近くに付勢される、請求項1に記載の弁。
【請求項10】
前記可撓性部材は、該可撓性部材の近位側面から遠位側面へ該可撓性部材を通る流れに対して第一の所定の圧力を有し、該可撓性部材の遠位側面から近位側面へ該可撓性部材を通る流れに対して該第一の所定の圧力とは異なる第二の所定の圧力を有する、請求項1に記載の弁。
【請求項11】
前記可撓性部材は、2つのスリットを含み、該2つのスリットは、該可撓性部材を通り延在する、請求項1に記載の弁。
【請求項12】
生体内の目標身体構造体と外部流体導管との間の流体移動のための弁を形成する方法であって、
該方法は、
スリットを開けられた可撓性部材を第一のハウジングと第二のハウジングとの間に設置するステップであって、該スリットを開けられた部材のスリットは、該第一のハウジングの第一の管腔と、該第二のハウジングの第二の管腔とに一列に並べられ、該第一のハウジングは、第一の部材接触表面および緩衝域を規定し、該第一の部材接触表面は、中央部分を含み、該中央部分は、該第二のハウジングの対応する第二の部材接触表面に実質的に平行であり、該緩衝域は、該第一の部材接触表面の周縁部の周りに延在し、該第二の部材接触表面は、半径方向外側の部分を含み、該半径方向外側の部分は、突出部を含み、該突出部は、該緩衝域と一列に並び、該緩衝域の中へ延在する、ステップと、
該第一の部材接触表面と該第二の部材接触表面との間に該可撓性部材をピンチするために該第一のハウジングと該第二のハウジングを係合するステップであって、該突出部は、該可撓性部材の半径方向外側の部分を該第二の部材接触表面から離して該緩衝域の中へ湾曲させ、該突出部および該緩衝域の設置は、該可撓性部材を該可撓性部材のスリットの方へ圧縮することが該可撓性部材上の緊張に対応し、該緊張が該可撓性部材の半径方向外側の部分を該緩衝域の中へ湾曲させることから生じるように選択される、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記第一の部材接触表面および該第二の部材接触表面の中央部分は、実質的に平面であり、互いに平行である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−532738(P2012−532738A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520699(P2012−520699)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/041698
【国際公開番号】WO2011/008689
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(509051576)ナビリスト メディカル, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】