説明

張力制御ユニット、フィラメントワインディングシステム、圧力容器の製造方法

【課題】複数のプリプレグ繊維をそれぞれ適切な張力が保持された状態で並行してライナに巻き付けることができ、かつ、設置スペースの増大を抑制することが可能なフィラメントワインディングシステムを提供する。
【解決手段】張力制御ユニット52は、プリプレグ繊維ガイド44aから送り出されるプリプレグ繊維10の張力を制御するための張力制御機構50aを備える。張力制御機構50aは、プリプレグ繊維10に張力を付与する張力ローラ56と、張力ローラ56に張架されたプリプレグ繊維10から受ける荷重を測定するための荷重センサ60と、荷重センサ60で測定された荷重に応じて、ライナの軸に対して垂直方向に伸縮するアーム58とを有し、ライナの軸に対して垂直方向に配置されるように複数設けられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力制御ユニット、フィラメントワインディングシステム、圧力容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素や窒素など、常温常圧状態における容積の大きな気体を高密度、小容量にて貯蔵するための容器として、所定の圧力により圧縮させて液体または気体として貯蔵する、圧力容器が使用されている。従来、耐圧性を有する鋼鉄製その他の金属製圧力容器が使用されてきたが、近年、天然ガスや水素ガスなどを貯蔵した圧力容器を車両などの移動体に搭載し、燃料として使用する技術に適用するため、圧力容器に対して要求される性能として、高密度化可能な耐圧性、耐久性はもちろんのこと、容器の軽量化も重要な課題となっていた。
【0003】
一方、例えば炭素繊維強化樹脂(CFRP)やガラス繊維強化樹脂(GFRP)などの繊維強化樹脂(FRP)を用いた圧力容器が知られている。FRP製の圧力容器は一般に、金属製圧力容器よりも軽量であるため、車両などの移動体への搭載には有利であり、また、水素用圧力容器として使用する場合における、従来の鋼鉄製容器の課題であった水素脆化その他の懸念も少ないため、特に注目されている。
【0004】
図4は、一般的なFRP製圧力容器の構成の概略を説明するための図である。図4に示す圧力容器30は例えば、6−ナイロン(ナイロン6とも称する)、6,6−ナイロン(ナイロン66とも称する)などのナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂などの高いガスバリア性を有する熱可塑性樹脂に、必要に応じてエラストマーを添加して構成された中空形状のライナ32と、ライナ32の外周部分を被覆する繊維強化樹脂層(FRP層)34とを備え、構成されている。圧力容器30にはまた、少なくとも一つの口金36を有する。口金36は、図示しないバルブを接続可能に構成されており、このバルブ操作により圧力容器30の内外への高圧流体の流通を調節することができる。
【0005】
繊維強化樹脂層34は一般に、例えばガラス繊維、炭素繊維、ケブラ繊維などからなる、長く連続した糸状の繊維を複数束ねた繊維束(フィラメント)に、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる、流動性を有する樹脂を含浸させ、必要に応じて乾燥および/または半硬化させたいわゆるプリプレグ繊維をライナの外周表面に巻きつけて(フィラメントワインディング(FW)工程)、その後該樹脂を硬化させることにより形成することができる。このとき、ライナ32の材質および/または厚みの他、例えば、繊維強化樹脂層34を構成する繊維または繊維束の太さや巻き数を調整し、繊維強化樹脂層34の厚みを調整することにより、圧力容器30の耐圧性能その他の設計強度を制御することができる。
【0006】
図5は、一般的なフィラメントワインディングシステムの構成の概略を例示する図である。図5に示すフィラメントワインディングシステムは、巻出しボビン12a,12b,12c,12dからそれぞれ巻き出されるプリプレグ繊維10a,10b,10c,10dを並行するように搬送させる搬送部14と、プリプレグ繊維10a,10b,10c,10dに適切な圧力を加えて挟み込み、拡幅させる拡幅ローラ16,17と、プリプレグ繊維10a,10b,10c,10dを送り出す幅および方向を調整し、図示しないライナの適切な位置にガイドするためのプリプレグ繊維ガイド18と、を含み、構成されている。搬送部14には、テンションローラ20やアクティブダンサー22、図示しないアキュームレータなどの張力緩和機構その他の搬送補助機構が含まれ得て、必要に応じて各装置または機構を適切な箇所に配設することができる。
【0007】
このように、圧力容器の性能を向上させる等のために、フィラメントワインディング(FW)工程において、搬送されるプリプレグ繊維の張力を調整させながらライナに巻きつけることにより、巻き付けムラの少ない、緊密なフィラメントワインディングを行うことが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【0008】
特許文献1には、フィラメントワインディング(FW)工程において、繊維束に付与される圧力を調整し、ほぼ一定に保持するために、昇降可能に配置された張力付与ローラを適用することについて開示されている。
【0009】
特許文献2には、パウダーブレーキや、渦電流により支軸に負荷を加える構成のパーマトルクを使用して樹脂含浸繊維束の張力を調整することについて開示されている。
【0010】
特許文献3には、樹脂含浸繊維を外周に張って適当な張力を与える張力ローラと、張力ローラに張られた樹脂含浸繊維が張力ローラに与える反力を測定する荷重測定器と、を含むフィラメントワインディング装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−188869号公報
【特許文献2】特開2004−148777号公報
【特許文献3】特開2007−190697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のフィラメントワインディングは概ね、ライナに一度に巻きつけることができるプリプレグ繊維が一本のいわゆる単給糸設備により実施されている。これに対し、フィラメントワインディングに要する時間の短縮のために、一度に複数本のプリプレグ繊維をライナに巻きつけることができる、いわゆる多給糸設備の開発が進められている。
【0013】
しかしながら、単給糸設備に適用されるフィラメントワインディングシステムで多給糸設備を作製しようとすると、同時に巻きつけるプリプレグ繊維に対応するように各構成について複数配置する必要があるため、設置スペースが増大する懸念があった。
【0014】
本発明は、複数のプリプレグ繊維をそれぞれ適切な張力が保持された状態で並行してライナに巻き付けることができ、かつ、設置スペースの増大を抑制することが可能な多給糸系のフィラメントワインディングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0016】
(1)連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維の送り出し方向を、中空形状のライナの外周表面に巻き付けるようにガイドするためのプリプレグ繊維ガイドが、前記ライナの軸に対して垂直方向に、前記ライナから間隔をあけて配置されるように複数設けられたプリプレグ繊維ガイドユニットを備えるフィラメントワインディングシステムにおいて、前記プリプレグ繊維ガイドから送り出されるプリプレグ繊維の張力を制御するための張力制御機構を備える張力制御ユニットであって、前記張力制御機構が、搬送されるプリプレグ繊維に張力を付与する張力ローラと、前記張力ローラに張架されたプリプレグ繊維から受ける荷重を測定するための荷重センサと、前記荷重センサで測定された荷重に応じて、前記ライナの軸に対して垂直方向に伸縮するアームとを有し、前記ライナの軸に対して垂直方向に配置されるように複数設けられてなる、張力制御ユニット。
【0017】
(2)中空形状のライナの外周表面に、連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維を巻き付けるフィラメントワインディングシステムであって、搬送されるプリプレグ繊維の送り出し方向を、前記ライナに巻き付けるようにガイドするためのプリプレグ繊維ガイドが、前記ライナの軸に対して垂直方向に、前記ライナから間隔をあけて配置されるように複数設けられたプリプレグ繊維ガイドユニットと、搬送されるプリプレグ繊維に張力を付与する張力ローラと、前記張力ローラに張架されたプリプレグ繊維から受ける荷重を測定するための荷重センサと、前記荷重センサで測定された荷重に応じて前記ライナの軸に対して垂直方向に伸縮するアームとを有し、前記プリプレグ繊維ガイドから送り出される前記プリプレグ繊維に付与される張力を制御するための張力制御機構が、前記プリプレグ繊維ガイドに対応するように、前記ライナの軸に対して垂直方向に複数設けられ、前記プリプレグ繊維ガイドユニットと同軸配置された張力制御ユニットと、を備える、フィラメントワインディングシステム。
【0018】
(3)前記プリプレグ繊維ガイドユニットが、前記ライナの軸を中心に回転するように支持された前記ライナに対し、前記ライナの軸に対して傾斜させて前記プリプレグ繊維を巻き付けるための、前記ライナの軸方向に進退可能なヘリカルユニットである、上記(2)に記載のフィラメントワインディングシステム。
【0019】
(4)連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維を、中空形状のライナの外周表面に巻きつけるフィラメントワインディング工程と、前記樹脂を硬化させて繊維強化樹脂層を形成する硬化工程と、を含み、前記フィラメントワインディング工程には、上記(2)または(3)に記載のフィラメントワインディングシステムが適用される、圧力容器の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
設置スペースを増大させることなく、適切な張力が保持された複数のプリプレグ繊維をライナに巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態におけるフィラメントワインディングシステムの一例について、その構成の概略を説明するための図である。
【図2A】図1のプリプレグ繊維ガイドユニット46をA方向から見た図である。
【図2B】図1の張力制御ユニット52をB方向から見た図である。
【図3】張力制御機構50aによる、プリプレグ繊維の張力制御の一例を示す図である。
【図4】圧力容器の構成の概略を示す図である。
【図5】単給糸設備によるフィラメントワインディングの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態におけるフィラメントワインディングシステムの構成の概略を説明するための図である。図1に示すフィラメントワインディングシステム100は、ライナ32の外周部分に巻き付けられるプリプレグ繊維の巻き出し方向をガイドするためのプリプレグ繊維ガイドユニット46と、プリプレグ繊維ガイドユニット46から巻き出されるプリプレグ繊維の張力を制御する張力制御ユニット52と、を備える。なお、図5に例示するようなプリプレグ繊維を巻き出すための巻出しボビンや、必要に応じて適用することができる拡幅ローラなどは、従来と同様の構成とすることができるが、図示せずに省略している。
【0024】
ライナ32は、断面径がほぼ均一な円筒状の直胴部38と、直胴部38の両端に接続され、その頂部に口金36,37を有するドーム部40,41と、を有する。フィラメントワインディングシステム100には、ライナ32の両端部を支持するための支持部(図示せず)が設けられている。支持部は、ライナ32の両端部、例えば、口金36,37に対して着脱可能に構成されており、ライナ32の軸70を中心に回転可能に、ライナ32を支持することができる。支持部には、モータ(図示せず)が接続されており、このモータの回転により、ライナ32を、軸70を中心に一方向に回転させることができる。
【0025】
プリプレグ繊維ガイドユニット46は、支持部(図示せず)に支持されたライナ32の軸70に対してほぼ垂直となるように配置されている。図2Aに示すように、プリプレグ繊維ガイドユニット46は、ライナ32から間隔をあけて配置された複数のプリプレグ繊維ガイド44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44h(以下44a〜44hのように示す)と、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hを固定し、保持するための保持部材42とを備える。実施の形態において、保持部材42は、その周方向に間隔をあけて、より具体的には、ほぼ等間隔となるようにプリプレグ繊維ガイド44a〜44hを保持する環状の部材として構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hの配置箇所を頂点とする多角形状であってもよい。
【0026】
プリプレグ繊維ガイド44a〜44hは、図示しない巻き出しボビン(図5参照)から搬送されたプリプレグ繊維10をライナ32の適切な箇所に巻きつけるためにその送り出し方向をそれぞれ独立して調整することができるよう構成されている。また、プリプレグ繊維ガイドユニット46は、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hから送り出されたプリプレグ繊維10をそれぞれ、回転するライナ32に対し、より適切に案内し、巻き付けることができるよう、軸70に沿って進退可能に構成されている。このため、本実施の形態のプリプレグ繊維ガイドユニット46は、ライナ32の軸70に対して傾斜させた方向にプリプレグ繊維10を巻き付けるヘリカル巻きを実施することができるいわゆるヘリカルユニットとして好適に適用することができる。他の実施の形態として、軸70に対して垂直な方向にプリプレグ繊維10を巻き付けるフープ巻きを実施することができるフープユニットをヘリカルユニットに代えて適用することも可能である。
【0027】
実施の形態において、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hはそれぞれ、保持部材42の外周部分に配置されているが、その配置箇所に制限はなく、例えば、保持部材42の内周部分に配置されていてもよい。また、図2Aに例示するように8個のプリプレグ繊維ガイド44a〜44hに限定されるものではなく、7個以下または9個以上とすることも可能である。
【0028】
張力制御ユニット52は、ライナ32の軸70に対してほぼ垂直となるように、つまりプリプレグ繊維ガイドユニット46に対してほぼ平行となるように配置されている。図1、図2Bに示すように、張力制御ユニット52は、ライナ32の軸70から間隔をあけて配置された複数の張力制御機構50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h(以下50a〜50hのように示す)と、張力制御機構50a〜50hを固定し、保持するための保持部材48とを備える。実施の形態において、保持部材48は、その周方向に間隔をあけて、より具体的には、ほぼ等間隔となるように張力制御機構50a〜50hを保持する環状の部材として構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、張力制御機構50a〜50hの配置箇所を頂点とする多角形状であってもよい。
【0029】
張力制御ユニット52の保持部材48は、プリプレグ繊維ガイドユニット46の保持部材42と同軸に配置されている。また、張力制御機構50a〜50hは、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hとそれぞれ対応するように、同数だけ設けられている。
【0030】
張力制御機構50a〜50hは、巻き出しボビン(図示せず)とプリプレグ繊維ガイド44a〜44hとの間に配置されており、プリプレグ繊維ガイド44a〜44hから巻き出されるプリプレグ繊維10の張力を適切に制御することができるように構成されている。実施の形態において、張力制御ユニット52の保持部材48は、巻き出しボビン(図示せず)とライナ32との間の所定の位置に固定させることが可能であるが、他の実施の形態として、プリプレグ繊維ガイドユニット46の移動に連動して、軸70に沿って移動する可動部材とすることもできる。
【0031】
次に、張力制御機構によるプリプレグ繊維の張力制御の一例について説明する。図3は、図2Aに示すプリプレグ繊維ガイド44a〜44hのうち、特にプリプレグ繊維ガイド44aから送り出されるプリプレグ繊維10を、プリプレグ繊維ガイド44aに対応する張力制御機構50aを用いて張力制御する様子について例示したものである。図3に示す張力制御機構50aは、張力ローラ56と、アーム58と、荷重センサ60と、を備える。
【0032】
張力ローラ56は、搬送されるプリプレグ繊維10に対し、張力を付与するとともに、プリプレグ繊維10から受ける荷重を反力として受け取ることができるように構成されている。また、荷重センサ60は、張力ローラ56に張架されたプリプレグ繊維10から受ける反力に基づいてプリプレグ繊維10が受ける張力を測定することができるように構成されている。このような構成を有する荷重センサ60として、例えば、ロードセルを適用することができる。
【0033】
アーム58は、荷重センサ60により測定された、プリプレグ繊維10が受ける張力に応じて、ライナ32の軸70(図1参照)に対して垂直方向に伸縮し、プリプレグ繊維ガイド44aから送り出されるプリプレグ繊維10を制御することができるように構成されている。プリプレグ繊維10が受ける張力が所定値よりも増大した時には、図3(a)に示すようにアーム収容部54にアーム58の一部または全部を収容してプリプレグ繊維ガイド44aと張力ローラ56との距離を短くし、プリプレグ繊維10が受ける張力を緩和することができる。一方、プリプレグ繊維10が受ける張力が所定値よりも低減した時には、図3(b)に示すように、適切な長さとなるようにアーム58を延伸させることによりプリプレグ繊維ガイド44aと張力ローラ56との距離を長くし、プリプレグ繊維10に張力を付加することができる。
【0034】
このようなアーム58を含む張力制御機構50aとして、例えば、油圧式またはエア式などの周知の方法により伸縮可能な伸縮シリンダを適用することができる。アーム58の構造としては、荷重センサ60からの出力信号に応じて速やかに伸縮することができる高い応答性を有するものであればいかなるものであってもよいが、例えば、エアシリンダーなどが好適である。
【0035】
図3では、プリプレグ繊維ガイド44aから送り出されるプリプレグ繊維10の張力を張力制御機構50aにより制御する態様について説明したが、別の張力制御機構50b〜50hによっても同様に、ライナ32の軸70に対して垂直方向に伸縮可能なアームを調整し、張力ローラを移動させることで、プリプレグ繊維ガイド44b〜44hからそれぞれ送り出されるプリプレグ繊維10の張力を適切に制御することができる。
【0036】
このように、本発明の実施の形態によれば、プリプレグ繊維10が受ける張力に応じて、プリプレグ繊維ガイドと張力制御機構との位置関係を変化させることにより、プリプレグ繊維ガイドから送り出されるプリプレグ繊維10の張力を適切に調整し、ライナ32の適切な箇所に巻き付けることができる。
【0037】
また、本発明の実施の形態によれば、複数の張力制御機構を備える張力制御ユニットを適用することにより、設置スペースを増大させることなく、複数のプリプレグ繊維を並行して張力制御しつつ、ライナに巻き付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、プリプレグ繊維を巻き付けるFW工程を含むFRP製の圧力容器の作製に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10,10a,10b,10c,10d プリプレグ繊維、12a,12b,12c,12d 巻き出しボビン、14 搬送部、16,17 拡幅ローラ、18,44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44h プリプレグ繊維ガイド、20 テンションローラ、22 アクティブダンサー、30 圧力容器、32 ライナ、34 繊維強化樹脂層、36,37 口金、38 直胴部、40,41 ドーム部、42,48 保持部材、46 プリプレグ繊維ガイドユニット、50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h 張力制御機構、52 張力制御ユニット、54 アーム収容部、56 張力ローラ、58 アーム、60 荷重センサ、70 軸、100 フィラメントワインディングシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維の送り出し方向を、中空形状のライナの外周表面に巻き付けるようにガイドするためのプリプレグ繊維ガイドが、前記ライナの軸に対して垂直方向に、前記ライナから間隔をあけて配置されるように複数設けられたプリプレグ繊維ガイドユニットを備えるフィラメントワインディングシステムにおいて、前記プリプレグ繊維ガイドから送り出されるプリプレグ繊維の張力を制御するための張力制御機構を備える張力制御ユニットであって、
前記張力制御機構が、搬送されるプリプレグ繊維に張力を付与する張力ローラと、前記張力ローラに張架されたプリプレグ繊維から受ける荷重を測定するための荷重センサと、前記荷重センサで測定された荷重に応じて、前記ライナの軸に対して垂直方向に伸縮するアームとを有し、前記ライナの軸に対して垂直方向に配置されるように複数設けられてなることを特徴とする張力制御ユニット。
【請求項2】
中空形状のライナの外周表面に、連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維を巻き付けるフィラメントワインディングシステムであって、
搬送されるプリプレグ繊維の送り出し方向を、前記ライナに巻き付けるようにガイドするためのプリプレグ繊維ガイドが、前記ライナの軸に対して垂直方向に、前記ライナから間隔をあけて配置されるように複数設けられたプリプレグ繊維ガイドユニットと、
搬送されるプリプレグ繊維に張力を付与する張力ローラと、前記張力ローラに張架されたプリプレグ繊維から受ける荷重を測定するための荷重センサと、前記荷重センサで測定された荷重に応じて前記ライナの軸に対して垂直方向に伸縮するアームとを有し、前記プリプレグ繊維ガイドから送り出される前記プリプレグ繊維に付与される張力を制御するための張力制御機構が、前記プリプレグ繊維ガイドに対応するように、前記ライナの軸に対して垂直方向に複数設けられ、前記プリプレグ繊維ガイドユニットと同軸配置された張力制御ユニットと、
を備えることを特徴とするフィラメントワインディングシステム。
【請求項3】
前記プリプレグ繊維ガイドユニットが、前記ライナの軸を中心に回転するように支持された前記ライナに対し、前記ライナの軸に対して傾斜させて前記プリプレグ繊維を巻き付けるための、前記ライナの軸方向に進退可能なヘリカルユニットであることを特徴とする請求項2に記載のフィラメントワインディングシステム。
【請求項4】
連続した糸状の繊維を複数束ねて構成される繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグ繊維を、中空形状のライナの外周表面に巻きつけるフィラメントワインディング工程と、
前記樹脂を硬化させて繊維強化樹脂層を形成する硬化工程と、
を含み、
前記フィラメントワインディング工程には、請求項2または3に記載のフィラメントワインディングシステムが適用されることを特徴とする圧力容器の製造方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245780(P2011−245780A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122492(P2010−122492)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】