説明

形状測定装置および方法、並びにプログラム

【課題】より簡単に測定精度を向上させる。
【解決手段】測定部21は、被検物12にパタン光を投光し、被検物12において反射したパタン光の観察画像を撮像する。撮像画像の撮像は、投光されるパタン光の焦点面Sと被検物12との相対的な位置を変化させながら行われる。合焦測度算出部23は、観察画像上のパタン光の像であるパタンについて、パタンの位置を示すパタン位置情報を生成するとともに、合焦測度を算出する。パタン移動角度算出部24は、各パタンの焦点面Sごとの合焦測度およびパタン位置情報に基づいて、各パタンについて、パタン光の主光線のCCD41への入射角度を、被検物12の形状の測定結果の信頼度を示すパラメータとして算出する。本発明は、3次元形状測定装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形状測定装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、より簡単に測定精度を向上させることができるようにした形状測定装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合焦点法により、被検物の形状を測定する形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような形状測定装置では、被検物に対してパタン光を投光し、被検物において反射したパタン光の像に基づいて、パタン光の合焦点位置を計測することにより、被検物の形状が測定される。
【0003】
形状測定装置においては、被写体からのパタン光を撮像する撮像部は、要求される測定精度に見合った浅い焦点深度を有している必要がある。そのため、撮像部の有効なNA(Numerical Aperture)(開口数)が充分にあって、特に被検物の表面が鏡面である場合には、さらにパタン光を投光する投光部にも、撮像部と同等な大きさのNAが必要となる。
【0004】
【特許文献1】特許第3321866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した技術では、被検物の表面が鏡面であり、その表面(の法線)が形状測定装置の撮像部等の光学系の光軸に対して傾いている場合には、被検物の表面から反射した反射光の光束のうちの一部の光束しか結像光学系に入射しないため、撮像部の実質的なNAが制限されてしまう。それゆえ、被検物の形状を充分な精度で測定することができなかった。すなわち、被検物の表面が傾斜している場合、撮像部の実質的なNAが小さくなって焦点深度が深くなるため、撮像されたパタン光の像からパタン光の合焦点位置を検出することが困難となる。
【0006】
また、被検物の表面が不規則に傾斜していると、被検物に投光された光のパタン、つまり撮像部により撮像されたパタン光による像が、複数のパタンのうちのいずれであるかを特定することができなくなる。また、被検物の表面形状によっては投影されたパタンのいくつかが撮像部によって撮影することができず、いくつかのパタンが欠落してしまったりすることがある。そのため、パタンの誤認識が生じたり、被検物のいくつかの部位の位置を測定できなかったりして、さらに測定精度が低下してしまう。
【0007】
したがって、充分な測定精度が得られるように測定を行おうとすると、測定者には、被検物の表面の傾斜角度の特定や、形状測定装置の撮像部や投光部からなる測定系を被検物に対して傾ける等の作業が必要となり、測定の設定に手間がかかってしまう。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡単に測定精度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の形状測定装置は、合焦点法により被検物の形状を測定する形状測定装置であって、個々に区別可能な複数のパタンの像を前記被検物に投影する投光手段と、対物レンズを有し、前記対物レンズを介して結像された前記パタンが投影された前記被検物の画像を撮像する撮像手段と、前記被検物に投影される前記パタンが結像する焦点面と、前記被検物との相対的な位置関係を変化させながら前記撮像手段により撮像された複数の前記観察画像に基づいて、前記被検物の表面の各部の位置を取得する位置演算手段と、異なる焦点面で撮像された前記複数の観察画像に基づいて、前記被検物に対する前記焦点面の位置を変化させたときの前記観察画像上における前記パタンの像の動き量を演算する動き量演算手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の形状測定方法またはプログラムは、合焦点法により被検物の形状を測定する形状測定方法またはプログラムであって、個々に区別可能な複数のパタンの像を前記被検物に投影する投光ステップと、対物レンズを介して結像された前記パタンが投影された前記被検物の画像を撮像する撮像ステップと、前記被検物に投影される前記パタンが結像する焦点面と、前記被検物との相対的な位置関係を変化させながら前記撮像手段により撮像された複数の前記観察画像に基づいて、前記被検物の表面の各部の位置を取得する位置演算ステップと、異なる焦点面で撮像された前記複数の観察画像に基づいて、前記被検物に対する前記焦点面の位置を変化させたときの前記観察画像上における前記パタンの像の動き量を演算する動き量演算ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より簡単に測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【0014】
形状測定装置11は、測定対象の被検物12の表面の形状を測定する3次元形状測定装置であり、測定部21、ステージ22、合焦測度算出部23、パタン移動角度算出部24、駆動部25、選択部26、および駆動ユニット27から構成される。
【0015】
測定部21は、パタン光を被検物12に投光(照射)するとともに、パタン光が投影された被検物12の像を撮像する。
【0016】
すなわち、測定部21には、光源31が設けられており、光源31から射出された光は、コンデンサレンズ32を介して、適切な焦点深度を与えるために光束の径を調整する瞳絞り33に入射する。瞳絞り33を通過したコンデンサレンズ32からの光は、リレーレンズ34により、被検物12に投光される光の焦点面Sと像共役な面に集光され、そこに配置された視野絞り35に入射する。
【0017】
視野絞り35は、リレーレンズ34からの光の一部を通過させる。視野絞り35を通過した光はリレーレンズ36により再びコリメートされ、ハーフプリズム37に入射する。視野絞り35の位置には、大きさの異なる複数の開口が不等間隔に並べられて設けられたマスクを備えており、被検物12の表面にその開口と同形状のパタンが投影される。
【0018】
ハーフプリズム37は、リレーレンズ36でコリメートされた光を反射して対物レンズ38に入射させるとともに、被検物12において反射され、対物レンズ38から入射した光の一部を透過させてハーフプリズム39に入射させる。対物レンズ38は、視野絞り35に備えられたマスクのパタン像を焦点面Sに結像して、パタン像を被検物12に投影する。これにより、不等間隔に並んだ、大きさの異なる複数のパタン像が被検物12に投光される。
【0019】
なお、視野絞り35から対物レンズ38までの光学系は、テレセントリック光学系の特性を備えた光学系である。
【0020】
被検物12に投影されたパタン像を形成する光は、被検物12の表面において反射して、対物レンズ38およびハーフプリズム37を介してハーフプリズム39に入射する。そして、その光の一部がハーフプリズム39を透過し、残りの光はハーフプリズム39において反射する。
【0021】
ハーフプリズム39を透過した光は、結像レンズ40を介してCCD(Charge Coupled Device)センサ41に入射する。このとき結像レンズ40の作用によりパタンが投影された被検物12の像が、CCDセンサ41の受光面で結像する。また、ハーフプリズム39において反射した光は、ミラー42および結像レンズ43を介してCCDセンサ44に入射する。このとき、結像レンズ43の作用によりパタンが投影された被検物12の像が、CCDセンサ44の受光面で結像する。なお、ハーフプリズム37およびハーフプリズム39は、ハーフミラー、またはハーフミラープリズムでもよい。
【0022】
ここで、被検物12からCCDセンサ41までの光路長と、被検物12からCCDセンサ44までの光路長は予め定められた所定の長さδzだけ異なるようになされている。したがって、CCDセンサ41と共役な位置である焦点面とCCDセンサ44との共役な位置である焦点面とは、被検物12上では対物レンズ38の光軸方向に沿ってδzだけ異なる位置になる。それゆえ、CCDセンサ41が被検物12のある位置で合焦状態である場合には、CCDセンサ44はボケた画像を取得している。CCDセンサ41およびCCDセンサ44は、パタン像が投影された被検物12の画像を撮像する。撮像された画像信号は、CCDセンサ41およびCCDセンサ44から合焦測度算出部23に供給される。
【0023】
このように、測定部21には、形状測定装置11の測定系を構成する光源31乃至CCDセンサ44が設けられており、測定部21は、パタン像を被検物12に投影するとともに、パタン像が投影された被検物12の像を撮像する。このとき、焦点面Sと被検物12との相対的な位置関係が変化するように、測定部21が対物レンズ38の光軸方向に移動する。そして測定部21は、焦点面Sの位置ごとに被検物12の観察画像を撮像し、合焦測度算出部23に供給する。
【0024】
合焦測度算出部23は、CCDセンサ41およびCCDセンサ44から供給された観察画像から、各々の開口の像(以下、単にパタンと称する)を識別し、各パタン像のパタン位置を検出する。より詳細には、観察画像におけるパタンの重心の位置が検出され、その位置がパタン位置とされる。また、合焦測度算出部23は、各観察画像について、パタンごとの合焦測度を算出する。ここで、合焦測度とは、パタン像のピントの合い具合を示す値であり、その値が大きいほどパタン像のピントが合っていることを示している。
【0025】
各観察画像に対して合焦測度の算出が行われると、各パタン像について、CCDセンサ41と共役な位置とCCDセンサ44と共役な位置の両方の焦点面Sの位置ごとの合焦測度が求められたことになる。合焦測度算出部23は、各パタン像について求めた、焦点面Sの位置ごとの合焦測度と、焦点面Sの位置ごとのパタン像の位置を示すパタン位置情報とを、パタン移動角度算出部24に供給する。
【0026】
パタン移動角度算出部24は、合焦測度算出部23から供給された合焦測度およびパタン位置情報に基づいて、各パタン像の合焦点位置を検出する。パタン像の合焦点位置を検出することで、そのパタン像が被検物12の表面に投影したときの焦点面Sの光軸方向の位置が分かり、合焦点位置は、所定の基準面に対する被検物12上のパタン光が投影された部位の高さ、より詳細には対物レンズ38の光軸方向の高さを示している。この合焦点位置は、合焦測度が最大となるときの位置とされる。
【0027】
また、パタン移動角度算出部24は、各パタン像について、合焦測度が最大となるときのパタン位置情報と、合焦測度を小さくしたときのパタン位置情報に基づいて、各パタンの像の主光線の入射角度を示すパタン移動角度を算出する。すなわち、CCDセンサ41により撮像された観察画像から得られる各パタンのパタン位置情報と、CCDセンサ44により撮像された観察画像から得られる各パタンのパタン位置情報とから、同じパタンの像におけるCCDセンサ41とCCDセンサ44での結像位置の差(動き量)が求められ、求めた動き量と所定の距離δzからパタン移動角度が算出される。
【0028】
ここで、パタン移動角度は、被検物12のパタン光が投光された部位の合焦点位置、つまり、基準面から部位までの高さの測定の信頼度を示すパラメータである。パタン移動角度は、その角度が小さいほど、パタン光が投影された被検物12の部位の表面の法線と、対物レンズ38の光軸とのなす角が小さいことを示している。したがってパタン移動角度が小さいほど、被検物12から反射、散乱された光束の開口角NAが大きいと推定でき、部位の高さの測定精度が高いことになる。
【0029】
パタン移動角度算出部24は、測定精度が充分にあると判断されないときには求めた各パタンのパタン移動角度を駆動部25に供給する。駆動部25は、パタン移動角度算出部24から供給されたパタン移動角度に基づいて、駆動ユニット27を駆動し、被検物12の表面(の法線)が対物レンズ38(の光軸)に対して傾斜していると推測される分だけ測定部21、つまり測定系を傾斜させる。測定部21が傾斜され、測定系の被検物12に対する傾斜角度が変更されると、新たに観察画像の撮像が行われるとともに、合焦測度やパタン移動角度の算出も行われる。
【0030】
パタン移動角度算出部24は、測定系の被検物12に対する傾斜角度の変更前および変更後のパタンごとに、各パタンのパタン位置情報、合焦点位置、およびパタン移動角度を選択部26に供給する。なお、以下、パタンごとのパタン位置情報、合焦点位置、およびパタン移動角度を測定情報とも称する。
【0031】
選択部26は、各パタン像のパタン位置情報、合焦点位置について、パタン移動角度算出部24から供給されたパタン移動角度に基づいて、測定系の傾斜角度の変更前および変更後の測定情報のうち、パタン移動角度が小さい方の測定情報を、より信頼性の高い測定結果を示す情報として選択する。そして、選択部26は、パタンごとに選択した測定情報からなる点群データを、被検物12の3次元形状の測定結果として出力する。
【0032】
ところで、視野絞り35には、例えば、図2に示すように大きさの異なる複数の開口が不等間隔で並べられて設けられたマスクを備えている。図2では、1つの正方形が1つの開口を表している。このように、大きさの異なる開口を不等間隔に設けることで、観察画像において各パタンの位置が移動しても各パタンを個々に識別することができる。つまり、観察画像において所定のパタンを、そのパタン近傍の他のパタンと確実に区別することができる。
【0033】
一方、被検物12が鏡面の場合、被検物12に投影されたパタン像からの各点の光束は、対物レンズ38から被検物12へ投影される際の開口角を保ちながら、反射される。
【0034】
ところが、例えば図3に示すように、被検物12の表面が鏡面であり、その表面の法線が対物レンズ38の光軸に対して傾いている場合には、光束の一部が欠落する。
【0035】
図3では、被検物12の表面が対物レンズ38から射出した光束の開口角の半分の角度分、対物レンズ38の光軸に対して傾いている場合を示す。光源31からハーフプリズム37に入射するパタン光の図中、上側半分の光束Laおよび下側半分の光束Lbのうち、光束Lbは対物レンズ38でけられてしまい、CCDセンサ41には入射しない。
【0036】
すなわち、光束Laは、対物レンズ38から被検物12の表面に入射し、その表面で反射すると、対物レンズ38乃至結像レンズ40を介してCCDセンサ41に入射する。一方、光束Lbは、対物レンズ38から被検物12の表面に入射し、その表面において反射すると、対物レンズ38の入射瞳には入射しないので、光束Lbはハーフプリズム37には入射しない。したがって、被検物12に投影されるパタン光のうち、光束Lbの部分が欠落することになる。
【0037】
一方、被検物12が傾斜していない場合には、被検物12において反射した光束Laおよび光束Lbは、対物レンズ38から被検物12に入射するときの光路を逆方向に通って、被検物12から対物レンズ38に入射する。そのため、CCDセンサ41に入射するパタン光の主光線の方向は、対物レンズ38(結像レンズ40)の光軸の方向と平行、つまり互いに平行な面SP1乃至面SP3に垂直であるため、被検物12と共役な位置にある面SP2に形成されたパタン像の中心の位置と、その共役な面からわずかに光軸方向にずれた面SP1および面SP3に形成されたパタン像の中心の位置は、同じとなる。違いは、面SP2に形成された像に対して、面SP1および面SP3に形成された像がボケているだけとなる。
【0038】
ここで、面SP2は、CCDセンサ41の受光面が配置されている面であり、面SP1は、面SP2よりも、被検物12からより近い位置にある面である。また、面SP3は、面SP2よりも、被検物12からより遠い位置にある面であり、CCDセンサ44の受光面が位置する面に相当する。
【0039】
一方、被検物12が傾斜しており、パタン像の一点から反射された光束の一部が欠落する場合には、面SP1乃至面SP3のそれぞれで、異なる位置に同じパタン像の中心が位置する。
【0040】
例えば、被検物12が傾斜している場合には、光束Lbが欠落するため、CCDセンサ41に入射するパタン光の主光線の方向は、面SP1乃至面SP3に対して垂直とはならず、面SP1乃至面SP3のそれぞれにおいて、パタン像の中心位置が異なる。具体的には、面SP2ではパタン像の中心位置は、被検物12が傾斜していない場合と同じ位置であるが、面SP1上では、パタンは面SP2上の位置よりも図中、左側に位置し、面SP3上では、パタンは面SP2上の位置よりも右側に位置することになる。
【0041】
このように、被検物12が傾斜していると、パタン光の主光線の方向が変化し、観察画像における各パタン像の位置が撮像する面の光軸方向における位置によって移動する。したがって、このパタン像の中心の位置の偏差を求めることで、測定精度が充分にあるかどうかを推定することができる。
【0042】
ところで、被検物12は、場合によっては、対物レンズ38の光軸方向とほぼ平行な傾斜面を持っていることがある。この場合、そのような傾斜面に投影されたパタン像は、CCD41やCCD44では撮像できない。そのため、視野絞りの開口の大きさが同じであり、各開口が等間隔に並べられていると、観察画像上で個々のパタンを識別できなくなる。そこで、図2に示したように、視野絞り35に、大きさの異なる開口を不等間隔に設けることで、被検物12の表面が傾斜している場合であっても、観察画像上において個々のパタンを簡単に識別(区別)することができるようになる。これにより、パタンの誤認識を防止することがで、被検物12の形状の測定精度を向上させることができる。
【0043】
なお、視野絞り35に設けられる開口は、観察画像上の各パタン像が個々に識別可能であれば、大きさだけでなく、向きや形状が異なるようなものであってもよい。また、パタンの移動によらず観察画像上において各パタンを識別できる程度に、互いに隣接する開口の間隔が離れている場合には、視野絞り35上に開口が等間隔で設けられていてもよい。さらに、CCDセンサ41およびCCDセンサ44がカラーCCDセンサである場合には、観察画像上のパタンが異なる色となるように、視野絞り35の開口にカラーフィルタが設けられるようにしてもよい。
【0044】
次に、図4のフローチャートを参照して、形状測定装置11が被検物12の形状を測定する処理である、形状測定処理について説明する。なお、説明を簡単にするため、測定部21の測定系(光学系)は、像側とテレセントリック光学系であるものとする。
【0045】
ステップS11において、測定部21は、測定系の被検物12、より詳細には被検物12が載置されているステージ22の面に対する仰角θおよび回転角φを0度として、被検物12を撮像する。
【0046】
ここで、測定系のステージ22に対する仰角θとは、対物レンズ38の光軸がステージ22に対してどの程度傾いているかを示す角度であり、ステージ22(の表面)の法線と垂直な直線を軸とした、測定系の回動方向の角度を示している。
【0047】
また、測定系のステージ22に対する回転角φとは、測定系がステージ22に対してどの程度回転しているかを示す角度であり、ステージ22の法線と仰角の回転中心軸に対して垂直な直線を軸とした測定系の回転方向の角度を示している。したがって、適切な仰角θおよび回転角φとなるように測定系を傾けることで、測定系の光軸、つまり対物レンズ38の光軸と、被検物12の表面の法線とが平行となるようにすることができる。
【0048】
図5に本実施の形態における形状測定装置の概略斜視図を示した。なお、図5において図1と同じ符号が付されているものは、図1の部材と同一部材なので、説明を省略する。本実施の形態における形状測定装置は、測定部21がカラム71に支持されたビーム72に駆動ユニット27を介して保持されている。この駆動ユニット27には、Z軸駆動軸73が保持されており、Z軸駆動軸73の下端側に、測定部21が保持されている。駆動ユニット27は、駆動ユニット27自身をビーム72に沿って、図中X方向に移動させることができる。また、駆動ユニット27にはZ軸駆動軸73をZ方向に移動させ、かつZ軸駆動軸73を仰角θと回転角φの方向に回転移動させることができる。
【0049】
なお、カラム71の下端部には、図示していないカラム駆動ユニットが備えられており、カラム71を図中Y方向に移動させることができる。
【0050】
まず、駆動部25は、測定系の仰角および回転角が、それぞれ0度となるように必要に応じて駆動ユニット27を駆動し、測定系を傾斜させる。次に、光源31は光を射出し、その光を瞳絞り33およびリレーレンズ34を介して視野絞り35に入射させる。また、視野絞り35は、図2に示すマスクが配置されておりリレーレンズ34からの光のうち、マスクの開口に入射した光を、リレーレンズ36およびハーフプリズム37を介して対物レンズ38により、被検物12の表面にマスクのパタンが投影される。
【0051】
被検物12において反射したパタン像からの光は、対物レンズ38およびハーフプリズム37を介してハーフプリズム39に入射する。そしてハーフプリズム39は、入射したパタン光の一部を、結像レンズ40を介してCCDセンサ41に入射させるとともに、残りのパタン光を、ミラー42および結像レンズ43を介してCCDセンサ44に入射させる。
【0052】
CCDセンサ41およびCCDセンサ44は、結像レンズ40および結像レンズ43により結像された被検物12上に投影された、マスクからのパタンの像を同時に受光し、光電変換することで観察画像を撮像する。この観察画像は、CCDセンサ41およびCCDセンサ44から合焦測度算出部23に供給される。また、観察画像の撮像時において、駆動ユニット27は、対物レンズ38の光軸方向への走査を行う。つまり、被検物12と焦点面Sとの相対的な位置関係(距離)が変化するように、対物レンズ38の光軸方向に所定の距離ずつ移動する。これにより、被検物12を基準とする焦点面Sの位置ごとの観察画像が得られる。
【0053】
ステップS12において、合焦測度算出部23は、CCDセンサ41およびCCDセンサ44から供給された観察画像に基づいて、各パタン像のパタン位置を検出し、合焦測度を求める。すなわち、合焦測度算出部23は、パターンマッチングなどにより各観察画像上のパタンを識別して各パタン像のパタン位置を検出し、そのパタン位置を示すパタン位置情報を生成する。例えば、パタン位置情報は、観察画像の中心を原点とするxy座標系におけるパタン位置の画素の座標(x,y)とされる。
【0054】
また、合焦測度算出部23は、光軸方向への走査中にCCDセンサ41により撮像された観察画像ごとに、検出した各パタン像について、パタン周辺の画素の画素値の最大値と最小値の差分(コントラスト成分)から合焦測度を求める。そして、合焦測度算出部23は、各パタンについてCCDセンサ41とCCDセンサ44からの観察画像を基に焦点面Sの位置ごとの合焦測度およびパタン位置情報を、パタン移動角度算出部24に供給する。
【0055】
ステップS13において、パタン移動角度算出部24は、合焦測度算出部23からの合焦測度およびパタン位置情報に基づいて、各パタン像について合焦点位置およびパタン移動角度を求める。例えば、パタン移動角度算出部24は、CCDセンサ41からの観察画像において着目しているパタン像の合焦測度が最大となる焦点面Sの位置を、そのパタンの合焦点位置とする。例えば、合焦点位置は、合焦測度が最大となったときの観察画像の撮像時における、対物レンズ38の光軸の方向に対する、基準位置からのステージ22の移動距離とされる。
【0056】
なお、合焦測度が最大となる焦点面Sの位置は、実際に観察画像の撮像が行われた焦点面Sの位置のなかから選ばれるようにしてもよいし、補間処理により求められるようにしてもよい。
【0057】
合焦点位置が求められると、パタン移動角度算出部24は、各パタンについて、CCDセンサ41とCCDセンサ44の2つの観察画像から得られた各パタン像のパタン位置情報から、各々のパタンのパタン移動角度を求める。
【0058】
例えば、図6に示すように、CCDセンサ41により撮像された、着目しているパタンP1の合焦測度が最大となるときの観察画像を観察画像IM1とし、観察画像IM1と同時にCCDセンサ44により撮像された観察画像を観察画像IM2とする。そして、観察画像IM1上のある1つのパタンP1の重心を原点とするXYZ座標系を考える。
【0059】
このとき、パタンP1の重心と同じ位置にある観察画像IM2上の画素の座標は、(0,0,δz)とされ、パタンP1と同じ特徴を持つパタン像である観察画像IM2上のパタンP2の座標が(X,Y、δz)であるとする。ここで、δzは、被検物12からCCDセンサ41までの光路長と、被検物12からCCDセンサ44までの光路長との差を示している。
【0060】
例えば、パタンP1の重心とパタンP2の重心とを通る直線を直線P1P2とすると、XY平面上における直線P1P2およびY軸がなす角度θと、直線P1P2およびZ軸を含む平面上における、直線P1P2およびZ軸がなす角度φとからなる角度のセットがパタン移動角度とされる。つまり、パタン移動角度は、Z軸を中心とした回転角度を示す角度θと、Z軸に垂直な直線を中心とした回転角度を示す角度φとから定義される。
【0061】
パタン移動角度算出部24は、パタンP1およびパタンP2の撮像時のパタン位置情報と、予め定められた光路長の差δzとからパタンP1の動き量、つまりパタンP2の座標(X,Y,δz)を求める。さらに、パタン移動角度算出部24は、求めた動き量に基づいて式(1)および式(2)を計算することで、角度θおよび角度φをパタン移動角度として求める。
【0062】
【数1】

【0063】
【数2】

【0064】
なお、式(1)および式(2)において、atan()は、正接関数の逆関数を示している。
【0065】
求められたパタン移動角度(θ,φ)により定まる直線P1P2は、パタンの移動方向、つまりCCDセンサ41に入射するパタン光の主光線の方向を示している。したがって、パタン移動角度(θ,φ)が求まると、パタン光が投光される被検物12の表面の法線が、測定系(対物レンズ38)の光軸に対してどれだけ傾いているか、つまり光軸と法線とのなす角度を求めることができる。
【0066】
各パタンのパタン移動角度(θ,φ)が求められると、例えば図7に示すように、各パタンについて、合焦測度が最大となるときのパタン位置情報、合焦点位置、およびパタン移動角度が得られる。なお、図7において、(x,y,z)−(θ,φ)におけるx,y,z,θ,φは、パタン位置情報としてのx座標およびy座標、合焦点位置、角度θ、並びに角度φを示している。ここで、パタン位置情報としてのx座標およびy座標は、CCD41により撮像された観察画像上のパタンの位置を示している。
【0067】
図7の例では、4つのパタンについて、パタン位置情報、合焦点位置、およびパタン移動角度が示されている。例えば、(0,10,−5)−(0,0)は、パタン位置情報としての座標が(0,10)であり、合焦点位置が−5であり、パタン移動角度としての角度θおよび角度φが0度であることを示している。
【0068】
各パタンについて、合焦点位置およびパタン移動角度が求まると、パタン移動角度算出部24は、求めた各パタンのパタン移動角度を駆動部25に供給する。
【0069】
ステップS14において、形状測定装置11は、測定系の仰角θおよび回転角φを変化させて被検物12を撮像する。
【0070】
すなわち、駆動部25は、パタン移動角度算出部24から供給されたパタン移動角度に基づいて、被検物12の表面が測定系(対物レンズ38)に対して傾斜している角度を推測する。例えば、駆動部25は、供給された各パタンのパタン移動角度(θ,φ)のうち、パタン移動角度(0,0)を除いて最も多いパタン移動角度(θ,φ)から、被検物12の表面が傾斜している角度を推測する。
【0071】
より具体的には、パタン移動角度(0,0)を除いて、最も多いパタン移動角度(θ,φ)が(1,10)であったとする。この場合、パタン移動角度(1,10)のパタンにおいては、CCDセンサ41の画素に到達するパタン像の主光線の入射角は、角度θ方向の入射角が1度であり、角度φ方向の入射角が10度である。また、主光線の入射角(θ,φ)が(1,10)であり、パタン光の投光と撮像のNAが同じである場合、被検物12の表面は、測定系(対物レンズ38)、つまりステージ22に対して回転角方向に約0度、仰角方向に5度だけ傾いていると推定される。
【0072】
なお、ここでは、角度θは1度であり、充分に小さいので回転角方向への傾きは0とされている。また、ここで、回転角方向φおよび仰角方向θとは、測定系のステージ22に対する回転角方向および仰角方向と同様に、被検物12の表面の測定系(ステージ22)に対する回転角方向および仰角方向をいう。
【0073】
したがって、ステージ22の法線に垂直な直線を軸として、測定系を仰角方向に5度だけ傾ければ、測定系の光軸と、被検物12の表面の法線とが平行になり、パタン光が被検物12の表面に対して垂直に入射するようになる。そこで、駆動部25は、仰角方向に5度だけ測定系が傾斜するように、測定部21を傾ける。
【0074】
測定系が傾斜されると、測定部21は、ステップS11における場合と同様に、測定系が傾斜された状態で、被検物12にパタン光を投影するとともに、各焦点面Sの位置に対して観察画像を撮像する。このとき、測定部21は、被検物12と焦点面Sとの相対的な位置関係(距離)が変化するように、傾斜された測定系の光軸と平行な方向に所定の距離ずつ移動する。CCDセンサ41およびCCDセンサ44は、撮像した観察画像を、順次、合焦測度算出部23に供給する。
【0075】
ステップS15において、合焦測度算出部23は、CCDセンサ41およびCCDセンサ44から供給された観察画像に基づいて、各パタンのパタン位置を検出し、合焦測度を求める。そして、合焦測度算出部23は、パタン位置情報および合焦測度をパタン移動角度算出部24に供給する。
【0076】
ステップS16において、パタン移動角度算出部24は、合焦測度算出部23からの合焦測度およびパタン位置情報に基づいて、合焦点位置およびパタン移動角度を求める。すなわち、ステップS15およびステップS16において、ステップS12およびステップS13と同様の処理が行われる。
【0077】
これにより、測定系の仰角および回転角を0度として撮像された観察画像についてのパタンごとの測定情報と、測定系の仰角および回転角を変更して撮像された観察画像、例えば、仰角を5度として撮像された観察画像についてのパタンごとの測定情報とが得られる。パタン移動角度算出部24は、これらの測定情報に含まれるパタン位置情報および合焦点位置を、ステージ22上の所定の点を基準とする座標系における位置を示す情報に変換し、パタン位置および合焦点位置が座標変換された測定情報を選択部26に供給する。
【0078】
ステップS17において、選択部26は、パタン移動角度算出部24から供給された測定情報に基づいて、観察画像の画素ごとに点群データを選択する。すなわち、選択部26は、パタン(パタン位置情報)ごとに、測定系の傾斜前(仰角および回転角が0度)の測定情報と、測定系の傾斜後(例えば、仰角が5度)の測定情報とのうち、パタン移動角度が小さい方の測定情報を選択する。
【0079】
ここで、選択される測定情報は、測定時における被検物12の表面の測定系に対する傾斜角度がより小さいものであるので、2つの測定情報のうち、より測定精度の高い測定情報となる。このようにしてパタンごとに測定情報が選択されると、パタンごとに選択された測定情報からなる点群データが得られる。
【0080】
ステップS18において、選択部26は、得られた点群データを被検物12の3次元形状の測定結果として出力し、形状測定処理は終了する。
【0081】
このようにして、形状測定装置11は、個々に区別可能なパタン光を被検物12に投光して観察画像を撮像し、測定情報を求める。そして、形状測定装置11は、測定情報に基づいて測定部21を傾斜させ、再び観察画像を撮像して測定情報を求め、求められた測定情報のうち、より信頼度の高い測定情報からなる点群データを出力する。
【0082】
このように、被検物12に区別可能なパタン像を投影することで、パタンの誤認識をなくし、より簡単に測定精度を向上させることができる。
【0083】
また、被検物12の表面が傾斜している場合には、対物レンズ38におけるパタン光の結像に寄与するNAが小さくなるので、焦点深度が深くなり、被検物12の形状の測定精度が低下するが、パタン移動角度により、測定精度の信頼度と被検物12の傾斜の度合いとを知ることができる。したがって、パタン移動角度に基づいて、被検物12が傾斜している分だけ測定系を傾斜させ、より測定精度の高い測定情報を得ることができるだけでなく、測定系の傾斜角度ごとの測定情報のうち、より信頼度の高い方の測定情報を選択して出力することができる。
【0084】
また、CCDセンサ44を設けずに、CCDセンサ41だけにより観察画像を撮像するようにしてもよい。そのような場合、合焦測度が最大となる観察画像と、その観察画像の焦点面Sと焦点面Sとは光軸上の異なる位置の焦点面Sの観察画像とから、パタン移動角度が算出される。
【0085】
さらに、各パタンのパタン移動角度に基づいて、測定系を傾斜しての観察画像の撮像を行うか否かの判定を行ったり、パタン移動角度の大きいパタンの測定情報を出力しないようにしたりしてもよい。すなわち、例えば、観察画像の撮像を行うか否かの判定を行う場合、予め定められた閾値以下であるパタン移動角度の数が所定数以上あるときには、測定系を傾斜しての観察画像の撮像を行わないと判定される。また、例えば、パタン移動角度が予め定められた閾値以上であるパタンについては、充分な精度での測定が行われなかったとして、測定情報が出力されない。
【0086】
さらに、以上においては、各パタン像について、パタン像ごとの合焦点位置の測定の信頼度を示すパラメータとして、パタン移動角度以外に、光軸方向の異なる位置で撮像した画像のボケ具合を比較して信頼度を推定してもよい。
【0087】
例えば、信頼度を示すパラメータとして、各パタンについて、合焦測度が最大となる観察画像におけるパタンの重心の位置の画素の画素値、つまりその画素に入射したパタン光の光量を光軸方向の異なる位置で撮像した画像同士で比較し、その差分を算出してもよい。また、パタンの重心の周辺の画素の画素値の積分値を同様に光軸方向の異なる位置で撮像された観察画像同士で比較し、その差分を信頼度を示すパラメータとしてもよい。
【0088】
パタンの重心の画素の画素値(光量)に基づいて、信頼度を示すパラメータを算出すれば、被検物12におけるパタン光が投影される部位が凹凸の頂部であり、測定系が頂部から反射された光束のうち光束中心部だけに制限されてCCDセンサに受光しているような特殊な場合であっても、確実に信頼度を知ることができる。
【0089】
さらに、各パタンについて、合焦測度の変化に対する焦点面Sの位置の変化量、すなわち所定の合焦測度の値の範囲に対する焦点面Sの位置の値の幅が信頼度を示すパラメータとして算出されるようにしてもよい。
【0090】
そのような場合、例えば、図8に示すように、焦点面Sの位置の変化量を示す値として、合焦測度が所定の値以上となる焦点面Sの位置の幅Rが、信頼度を示すパラメータとして算出される。なお、図8において、縦軸は合焦測度を示しており、横軸は焦点面Sの位置を示している。
【0091】
図8の例では、合焦測度の最大値はDpとされている。パタン移動角度算出部24は、この合焦測度Dpの所定の比率の値、例えば、合焦測度Dpの90%の大きさの値Dqを求める。次に、パタン移動角度算出部24は、合焦測度がDqとなる焦点面Sの位置の幅Rを求め、その幅Rを、信頼度を示すパラメータとする。この場合、合焦測度がDqである焦点面Sの位置は、Zq1およびZq2であるので、位置Zq1から位置Zq2までの幅Rが信頼度を示すパラメータとされる。
【0092】
被検物12の形状の測定は、測定系の焦点深度が浅いほど精度が高くなるので、焦点面Sの位置の幅Rの値が小さいほど、測定精度は高いということができる。
【0093】
このように、パタン移動角度とは別に、信頼度を示すパラメータが算出される場合には、例えば、形状測定処理において、その信頼度を示すパラメータに基づいて、測定系を傾斜させるか否かが判定されたり、点群データとしての測定情報が選択されたりする。また、この信頼度を示すパラメータ(例えば、焦点面Sの位置の幅R)は、点群データとして、パタン位置情報に付加されて出力される。
【0094】
このような新たな信頼度を示すパラメータを算出することでも、被検物12の傾斜により、測定系の瞳(NA)が実質的に制限されている場合に、測定の信頼度の指標をパタン位置情報に付加することができる。
【0095】
さらに、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、一連の処理を行うために形状測定装置11に実行させるプログラムは、予め形状測定装置11内の図示せぬ記録部に記録されているか、または形状測定装置11と接続されているサーバなどの外部装置から形状測定装置11の記録部にインストールすることができる。
【0096】
また、一連の処理を行うために形状測定装置11に実行させるプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディアから形状測定装置11により取得されて、形状測定装置11の記録部に記録されてもよい。
【0097】
なお、上述した一連の処理を実行させるプログラムは、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を介して形状測定装置11にインストールされるようにしてもよい。
【0098】
また、形状測定装置11等のコンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0099】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】視野絞りの構成例を示す図である。
【図3】パタン光の欠落について説明する図である。
【図4】形状測定処理について説明するフローチャートである。
【図5】形状測定装置の概略斜視図である。
【図6】パタン移動角度の算出について説明する図である。
【図7】被検物の形状の測定結果の例を示す図である。
【図8】測定の信頼度を示すパラメータの他の例について説明する図である。
【符号の説明】
【0101】
11 形状測定装置, 12 被検物, 21 測定部, 22 ステージ, 23 合焦測度算出部, 24 パタン移動角度算出部, 25 駆動部, 26 選択部, 31 光源, 35 視野絞り, 38 対物レンズ, 41 CCDセンサ, 44 CCDセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合焦点法により被検物の形状を測定する形状測定装置であって、
個々に区別可能な複数のパタンの像を前記被検物に投影する投光手段と、
対物レンズを有し、前記対物レンズを介して結像された前記パタンが投影された前記被検物の画像を撮像する撮像手段と、
前記被検物に投影される前記パタンが結像する焦点面と、前記被検物との相対的な位置関係を変化させながら前記撮像手段により撮像された複数の前記観察画像に基づいて、前記被検物の表面の各部の位置を取得する位置演算手段と、
異なる焦点面で撮像された前記複数の観察画像に基づいて、前記被検物に対する前記焦点面の位置を変化させたときの前記観察画像上における前記パタンの像の動き量を演算する動き量演算手段と
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記位置演算手段は、合焦測度に基づいて、前記パタンの像の各々が投影された前記被検物の表面の前記対物レンズの光軸方向に沿った位置を演算し、
前記動き量演算手段は、前記パタンの像の動き量に基づいて、前記位置の演算結果の信頼度を示す値として、前記パタンの像の主光線の方向を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記主光線の方向に基づいて、前記投光手段および前記撮像手段からなる測定系を前記被検物に対して傾斜させる傾斜手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記測定系の前記被検物に対する傾斜角度が第1の角度である状態で撮像された前記観察画像から得られた前記位置の演算結果と、前記傾斜角度が第2の角度である状態で撮像された前記観察画像から得られた前記位置の演算結果とのうち、前記方向により示される前記信頼度の高い方の演算結果を選択する選択手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記動き量演算手段は、前記合焦測度に基づいて、前記信頼度を示す値として、さらに前記合焦測度の変化に対する前記焦点面の位置の変化量を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記動き量演算手段は、前記複数の観察画像および前記合焦測度に基づいて、前記信頼度を示す値として、さらに前記パタンの前記合焦測度が最大となる前記観察画像における前記パタン近傍の画素の画素値の積分値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記焦点面の位置の異なる第1の観察画像および第2の観察画像を同時に撮像し、
前記動き量演算手段は、前記第1の観察画像および前記第2の観察画像と、前記合焦測度とに基づいて、前記方向を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項8】
合焦点法により被検物の形状を測定する形状測定方法であって、
個々に区別可能な複数のパタンの像を前記被検物に投影する投光ステップと、
対物レンズを介して結像された前記パタンが投影された前記被検物の画像を撮像する撮像ステップと、
前記被検物に投影される前記パタンが結像する焦点面と、前記被検物との相対的な位置関係を変化させながら前記撮像手段により撮像された複数の前記観察画像に基づいて、前記被検物の表面の各部の位置を取得する位置演算ステップと、
異なる焦点面で撮像された前記複数の観察画像に基づいて、前記被検物に対する前記焦点面の位置を変化させたときの前記観察画像上における前記パタンの像の動き量を演算する動き量演算ステップと
を含むことを特徴とする形状測定方法。
【請求項9】
合焦点法により被検物の形状を測定する形状測定装置に、
個々に区別可能な複数のパタンの像を前記被検物に投影する投光ステップと、
対物レンズを介して結像された前記パタンが投影された前記被検物の画像を撮像する撮像ステップと、
前記被検物に投影される前記パタンが結像する焦点面と、前記被検物との相対的な位置関係を変化させながら前記撮像手段により撮像された複数の前記観察画像に基づいて、前記被検物の表面の各部の位置を取得する位置演算ステップと、
異なる焦点面で撮像された前記複数の観察画像に基づいて、前記被検物に対する前記焦点面の位置を変化させたときの前記観察画像上における前記パタンの像の動き量を演算する動き量演算ステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記位置演算ステップにおいて、合焦測度に基づいて、前記パタンの像の各々が投影された前記被検物の表面の前記対物レンズの光軸方向に沿った位置を演算し、
前記動き量演算ステップにおいて、前記パタンの像の動き量に基づいて、前記位置の演算結果の信頼度を示す値として、前記パタンの像の主光線の方向を演算する
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記形状測定装置に、
前記主光線の方向に基づいて、前記パタン光を投光する投光手段と、前記撮像手段とからなる測定系を前記被検物に対して傾斜させる傾斜ステップをさらに実行させる
ことを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記形状測定装置に、
前記測定系の前記被検物に対する傾斜角度が第1の角度である状態で撮像された前記観察画像から得られた前記位置の演算結果と、前記傾斜角度が第2の角度である状態で撮像された前記観察画像から得られた前記位置の演算結果とのうち、前記方向により示される前記信頼度の高い方の演算結果を選択する選択ステップをさらに実行させる
ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記動き量演算ステップにおいて、前記合焦測度に基づいて、前記信頼度を示す値として、さらに前記合焦測度の変化に対する前記焦点面の位置の変化量を演算する
ことを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項14】
前記動き量演算ステップにおいて、前記複数の観察画像および前記合焦測度に基づいて、前記信頼度を示す値として、さらに前記パタンの前記合焦測度が最大となる前記観察画像における前記パタン近傍の画素の画素値の積分値を演算する
ことを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項15】
前記撮像ステップにおいて、前記焦点面の位置の異なる第1の観察画像および第2の観察画像を同時に撮像し、
前記動き量演算ステップにおいて、前記第1の観察画像および前記第2の観察画像と、前記合焦測度とに基づいて、前記方向を演算する
ことを特徴とする請求項10に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−216536(P2009−216536A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60493(P2008−60493)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】