説明

後方視認装置

【課題】障害物の確認がより的確に可能になる後方視認装置を提供する。
【解決手段】 視認範囲算出部72は、眼位置検出装置3が検出した運転者の眼位置と、各角度センサ42,44,45,52,54,55,62,63の検出信号に基づいて、ルームミラー6で視認できる範囲を左サイドミラー4及び右サイドミラー5へ表示するための視認範囲算出、及び左サイドミラー4及び右サイドミラー5で視認できる範囲をルームミラー6へ表示するための視認範囲を算出する。表示処理部75は、視認範囲を表示信号に変換して、左ミラー表示器46、右ミラー表示器56,ルームミラー表示器64へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方を視認するための後方視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
障害物が車両の周辺領域に侵入したときに運転者の意識を後方視認装置に誘導する技術として、障害物がルームミラーの視認範囲に侵入したことを検出すると、ルームミラーに設けられたLEDを点滅させ、あるいは、障害物がサイドミラーの視認範囲に侵入したことを検出した場合には、スピーカから警告音を発生させて、運転者に障害物の存在を認識させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−299050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、ルームミラーで視認される車両後方領域と、サイドミラーで視認される車両後方領域とが異なるため、例えば、複数の障害物がサイドミラーとルームミラーの視認範囲に存在し、その障害物がそれぞれの視認範囲を出入りしたり、それぞれの視認範囲が重なる範囲に存在する場合は、それぞれの障害物の位置を誤解しやすく、サイドミラーとルームミラーとのいづれか一方から他方へ視線を移すことによって、障害物を見失う虞があるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてされたものであり、それぞれ異なる車両後方領域を映し出す複数の後方視認手段を備えた後方視認装置において、運転者に障害物の確認がより的確に可能になる後方視認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両後方及び側方を視認する複数の後方視認手段を備えた後方視認装置において、第1の後方視認手段で視認できる範囲を第2の後方視認手段内に表示する視認範囲表示手段を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の後方視認手段で視認できる範囲を第2の後方視認手段内に表示することで、第1の後方視認手段に映っている障害物が第2の後方視認手段に映っている障害物と同一であるか否かが容易に分かるため、運転者は第1の後方視認手段から第2の後方視認手段に視線を移した場合や第2の後方視認手段から第1の後方視認手段に視線を移した場合に、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る後方視認装置1の実施例の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、後方視認装置1は、障害物検出装置2と、眼位置検出装置3と、左サイドミラー4と、右サイドミラー5と、ルームミラー6と、信号処理ECU7(電子制御ユニット、Electronic Control Unit )と、車両後方を撮影する後方カメラ8と、ディスプレイ9とを備えている。左サイドミラー4と右サイドミラー5とは、それぞれ車両の後側方を視認できるものであれば、フェンダーミラーでもドアミラーでもよい。
【0008】
障害物検出装置2は、車両後方及び側方の障害物を検出する装置である。眼位置検出装置3は、運転者の眼の位置を検出する装置である。
【0009】
左サイドミラー4は、格納駆動用ユニットの展開角度、ミラーの上下角度、ミラーの左右角度をそれぞれ検出する角度センサ42,44,45と、ルームミラー6の視認範囲及び障害物位置を左ミラーに重畳して表示する左ミラー表示器46と、視認範囲を拡大して障害物が映るようにミラーを変形させる左ミラー表示部変形装置47とを備える。
【0010】
右サイドミラー5は、格納駆動用ユニットの展開角度、ミラーの上下角度、ミラーの左右角度をそれぞれ検出する角度センサ52,54,55と、ルームミラー6の視認範囲及び障害物位置を右ミラーに重畳して表示する右ミラー表示器56と、視認範囲を拡大して障害物が映るようにミラーを変形させる右ミラー表示部変形装置57とを備える。
【0011】
ルームミラー6は、ミラーの上下角度、ミラーの左右角度をそれぞれ検出する角度センサ62,63と、左右のサイドミラーの視認範囲及び障害物位置をルームミラーに重畳して表示するルームミラー表示器64とを備える。
【0012】
なお、左右のサイドミラー4,5及びルームミラー6の視認範囲を表示するとは、例えば、左サイドミラー4にルームミラー6の視認範囲を表示する場合、ルームミラー6でも左サイドミラー4でも両方から見える領域の景色が、左サイドミラー4内のどの部分なのかわかるように、左サイドミラー4にルームミラー6の形状の一部を枠状に表示して、左サイドミラー4に映される景色に重ねて表示するということである。
【0013】
信号処理ECU7は、視認範囲算出部72と、ミラー内障害物位置算出部73と、表示処理部75と、駆動角度算出部76とを備える。
【0014】
信号処理ECU7は、障害物検出装置2,眼位置検出装置3,角度センサ42,44,45,52,54,55,62,62及び後方カメラ8の出力信号を入力する。信号処理ECU7の視認範囲算出部72は、入力された信号を処理して、ルームミラー6で視認できる範囲を左サイドミラー4及び右サイドミラー5へ表示するための視認範囲算出、及び左サイドミラー4及び右サイドミラー5で視認できる範囲をルームミラー6へ表示するための視認範囲算出を行う。また障害物検出装置2が障害物を検出した際には、ミラー内障害物位置算出部73は、左サイドミラー4、右サイドミラー5及びルームミラー6に映る障害物の位置を算出する。
【0015】
表示処理部75は、視認範囲算出部72及びミラー内障害物位置算出部73の算出結果を、それぞれのミラー内に設けられた左ミラー表示器46,右ミラー表示器56及びルームミラー表示器64へ表示する信号に変換する処理を行う。
【0016】
また駆動角度算出部76は、障害物検出装置2により障害物が検出されたときに、この障害物が左サイドミラー4または右サイドミラー5に映っていない場合、左ミラー表示部変形装置47または右ミラー表示部変形装置57を駆動する駆動角度を算出して出力する。この駆動角度信号を受信した左ミラー表示部変形装置47または右ミラー表示部変形装置57は、障害物が映るようにそれぞれのミラーを変形させて視認範囲を拡大する。
【0017】
図1の構成要素と特許請求の範囲の構成要素との対応は、以下の通りである。左サイドミラー4と、右サイドミラー5と、ルームミラー6とは、それぞれ後方視認手段である。信号処理ECU7と、左ミラー表示器46または右ミラー表示器56とは、ルームミラー範囲表示手段及び障害物位置表示手段である。信号処理ECU7とルームミラー表示器64とは、サイドミラー範囲表示手段及び障害物位置表示手段である。眼位置検出装置3は、眼位置検出手段である。障害物検出装置2は、障害物検出手段である。信号処理ECU7と、左ミラー表示部変形装置47または右ミラー表示部変形装置57とは、サイドミラー視認範囲拡大手段である。後方カメラ8は、車両後方撮影手段である。
【0018】
図2は、障害物検出装置2及び眼位置検出装置3の構成例を示すブロック図である。図2(a)に示すように障害物検出装置2は、たとえば左側方レーダ21、左後方レーダ22、右側方レーダ23、右後方レーダ24とそれら4つのレーダからの情報を統合して障害物の位置や速度などを認識するレーダ情報統合ECU25を備える。レーダ情報統合ECU25は、障害物の有無、障害物の大きさ、障害物の相対速度、障害物までの距離、障害物の相対加速度等を信号処理ECU7へ出力する。
【0019】
障害物検出装置2は、レーダだけでなく、超音波センサやレーザレーダやカメラから構成されてもよいし、その個数や検出範囲もシステムの目的や仕様に合わせたものでよい。
【0020】
図2(b)に示すように、眼位置検出装置3は、たとえば運転席の乗員の顔画像を撮影する乗員撮影カメラ31と、顔画像から眼の位置を算出する眼位置算出ECU32からなり、運転者の眼の位置を検出するために用いる。乗員撮影カメラ31は、単眼カメラやステレオカメラ、TOF方式カメラなど、運転者の眼の位置を撮影できるセンサであればよい。
【0021】
図3は、左サイドミラー4,右サイドミラー5及びルームミラー6の角度センサの配置の詳細を説明するブロック図である。左サイドミラー4は、ミラーの格納/展開のための格納用駆動ユニット41とミラーの上下左右の角度を調整する角度調整用駆動ユニット43を備える。同様に、右サイドミラー5は、格納用駆動ユニット51と角度調整用駆動ユニット53を備える。ルームミラー6は、角度調整用駆動ユニット61を備える。
【0022】
格納用駆動ユニット41,51は、それぞれ展開角度センサ42,52を備える。展開角度センサ42,52は、ミラー格納軸回りの角度を検出する。
【0023】
角度調整用駆動ユニット43,53,61は、それぞれミラーの車体上下方向に対する角度を検出する上下角度センサ44,54,62と、それぞれミラーの車体左右方向に対する角度を検出する左右角度センサ45,55,63とを備える。上下角度センサ44,54,62と、左右角度センサ45,55,63とは、乗員がミラーの角度を変更した場合でもこれに追随して変更後の角度を検出する。そして、各角度センサ42,44,45,52,54,55,62,62の出力信号は、信号処理ECU7の視認範囲算出部72及びミラー内障害物位置算出部73の計算に使用される。
【0024】
このように、乗員がミラーの角度調整して、ルームミラーやサイドミラーの向きが変わった場合にも、角度センサが検出したミラーの角度に応じて実際に運転者が視認できる範囲と、サイドミラー又はルームミラーに表示される範囲がずれることなく表示されるので、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0025】
図4は信号処理ECU7の詳細構成例を示すブロック図である。信号処理ECU7は、危険度判定部71と、視認範囲算出部72と、ミラー内障害物位置算出部73と、ミラー内後方映像処理部74と、表示処理部75と、駆動角度算出部76と、を備える。
【0026】
表示処理部75は、左ミラー表示器46へ出力する信号を処理する左サイドミラー表示処理部75aと、右ミラー表示器56へ出力する信号を処理する右サイドミラー表示処理部75bと、ルームミラー表示器64へ出力する信号を処理するルームミラー表示処理部75cとを備える。
【0027】
駆動角度算出部76は、左ミラー表示部変形装置47を駆動する駆動角度を算出して出力する左サイドミラー駆動角度算出部76aと、右ミラー表示部変形装置57を駆動する駆動角度を算出して出力する右サイドミラー駆動角度算出部76bとを備える。
【0028】
危険度判定部71は、障害物検出装置2のレーダ情報統合ECU25が出力する障害物の位置、障害物の相対速度、障害物までの距離、障害物の相対加速度等の出力に基づいて障害物が自車両に及ぼす危険性を判定する。危険度判定部71は、障害物の位置、障害物の相対速度、障害物までの距離、障害物の相対加速度等に障害物の危険度を付加して、視認範囲算出部72とミラー内障害物位置算出部73へ出力する。
【0029】
視認範囲算出部72は、眼位置検出装置3の眼位置算出ECU32が算出した運転者の眼位置と、各角度センサ42,44,45,52,54,55,62,63の検出信号に基づいて、ルームミラー6で視認できる範囲を左サイドミラー4及び右サイドミラー5へ表示するための視認範囲算出、及び左サイドミラー4及び右サイドミラー5で視認できる範囲をルームミラー6へ表示するための視認範囲算出を行う。
【0030】
これらの視認範囲算出には、運転者の眼位置と、各角度センサの検出信号の他に、予め判明している、左サイドミラー4、右サイドミラー5及びルームミラー6のそれぞれの取付位置情報、及び各ミラーのミラー面の形状情報を使用して、幾何学的計算により行うことができる。この視認範囲の算出結果は、表示処理部75で処理される。
【0031】
このように、検出した運転者の眼の位置に応じて視認範囲を計算しているので、運転者の姿勢や顔の向きが変わった場合にも、実際に視認できる範囲と、サイドミラー又はルームミラーに表示される範囲がずれることなく表示されるので、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0032】
ミラー内障害物位置算出部73は、障害物検出装置2が障害物を検出したときに、左サイドミラー4、右サイドミラー5及びルームミラー6内へ表示される障害物の位置を算出する。この計算は、レーダ情報統合ECU25が出力する障害物の位置と、眼位置検出装置3の眼位置算出ECU32が算出した運転者の眼位置と、各角度センサ42,44,45,52,54,55,62,63の検出信号に基づいて、視認範囲と同様に幾何学的に行われる。このミラー内障害物位置の計算結果は、表示処理部75へ出力され、障害物位置を左ミラー表示器46,右ミラー表示器56及びルームミラー表示器64へ出力する障害物位置表示のための信号生成に使用される。
【0033】
また、ミラー内障害物位置算出部73は、障害物位置検出装置2が検出した障害物の速度又は距離又は進行方向を左サイドミラー4,右サイドミラー5,或いはルームミラー6へ表示させるための速度情報、距離情報、或いは進行方向情報を算出してもよい。この場合、これらの情報は、表示処理部75で処理されて、各ミラーの表示器46,56,64へ出力される。
【0034】
この結果、検出した障害物の位置がサイドミラー又はルームミラーに表示され、且つ検出した障害物の速度又は距離又は進行方向がサイドミラー又はルームミラーに表示されるので、運転者は障害物が自車両に対しての相対的な位置関係や、その障害物が自車両に接近してきているかどうか等を容易に認識でき、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0035】
さらに、ミラー内障害物位置算出部73は、障害物位置検出装置2が複数の障害物を検出した場合、それぞれの障害物毎に、固有の色又は記号又は形状により、障害物を識別可能なように障害物位置表示するように、表示処理75に処理させるようにしてもよい。
【0036】
このように検出した障害物が複数ある場合に、それぞれの障害物が識別できるような、障害物に固有の色又は記号又は形状等により、障害物を表示するので、運転者はサイドミラー又はルームミラー又は後方映像に映った障害物が、サイドミラーからルームミラーに移動した場合等に、移動した障害物が同一のものであるか否かを運転者が容易に認識でき、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0037】
ミラー内後方映像処理部74は、後方カメラ8で撮影可能な範囲を算出したり、後方カメラ8で撮影した画像を左サイドミラー4、右サイドミラー5及びルームミラー6に表示するための処理を行う。後方カメラ8で撮影された後方映像は、直接左ミラー表示器46及び右ミラー表示器56に表示されるのではなく、ミラー内後方映像処理部74により、あたかも左サイドミラー4または右サイドミラー5を介して後方視認したように映像処理したものが表示される。
【0038】
表示処理部75の左サイドミラー表示処理部75aと、右サイドミラー表示処理部75bと、ルームミラー表示処理部75cとは、それぞれ視認範囲算出部72が出力する視認範囲と、ミラー内障害物位置算出部73が出力するミラー内障害物位置と、ミラー内後方映像処理部74が出力する後方カメラ8で撮影可能な範囲を入力する。そして入力した視認範囲、障害物位置、撮影可能範囲を、左ミラー表示器46、右ミラー表示器56、及びルームミラー表示器64へそれぞれ表示するための表示信号を生成する。
【0039】
ここで、障害物位置を表示するための表示信号は、危険度判定部71が判定した障害物の危険度に応じて、強調して表示することが好ましい。例えば、危険度が閾値未満の場合に緑色で表示し、危険度が閾値以上であれば、橙色で強調表示することができる。或いは、危険度が閾値未満の場合に障害物位置を一重線で表示し、危険度が閾値以上の場合に障害物位置を二重線で表示するという線種を変更してもよい。
【0040】
このように、障害物検出装置が検出した障害物が自車両にとって危険である場合には、障害物の位置を強調して表示することにより、運転者は危険な障害物の位置を容易に認識することができるという効果がある。
【0041】
駆動角度算出部76の左サイドミラー駆動角度算出部76aと、右サイドミラー駆動角度算出部76bとは、それぞれ、障害物があると判定され、且つ、障害物がサイドミラーに映っていないと判定される場合に、障害物が映るようにミラーをモータ等で変形させて視認範囲を広げるための駆動角度を算出する。
【0042】
次に、図5〜図8を参照して、左サイドミラー4の構造例を説明する。左サイドミラー4と右サイドミラー5は左右対称形である。ルームミラー6は、格納用駆動ユニット、展開角度センサ及びミラー表示部変形装置を備えないだけで、それ以外の構造は、形状が異なるだけで左サイドミラー4と同様である。
【0043】
図5に示すように、左サイドミラー4は、ハウジング121内の格納用駆動ユニット122にて、サイドミラーの格納及び展開が可能となっている。格納用駆動ユニット122には、角度調整用駆動ユニット123が取り付けられ、運転席近傍に配置されたミラー調整スイッチにより、ミラー面の上下左右の角度調整が可能となっている。角度調整用駆動ユニット123にはミラーユニットケーシング124が取り付けられ、その中にミラーユニット125が取り付けられている。
【0044】
ミラーユニット125の背面側の構造図を図6に示す。ミラー表示部分131はミラー表示部分固定部132を介してミラーユニットケーシング124に取り付けられる。ミラー表示部分固定部132の、車両に対して外側の位置には、ミラー表示部変形装置133が設けられている。図6のミラー表示部変形装置133は、図1の左ミラー表示部変形装置46に相当する。
【0045】
ミラー表示部変形装置133は、例えばモータを内蔵し、信号処理ECU7の駆動角度算出部76が算出した角度に駆動軸133aを回動することができる。駆動軸133aには、リンク機構133bの一端部が接続され、リンク機構133bの他端部は、固定部材133cにより、ミラー表示部分131の車体外側部が接続されている。そして、駆動軸133aを時計回りに回動させることにより、ミラー表示部分131の車体外側部を車両前方へ移動させることができる。これにより、可撓性を有するミラー表示部分131を車両後方に対して凸となるように湾曲させて、サイドミラーの視認範囲を拡大することができる。
【0046】
ミラー表示部分131の構造図を図7に示す。ハーフミラー143の背面に表示器142が設置され、表示器142で表示された内容はハーフミラー143を透過して情報を運転者へ提示する。表示器142とハーフミラー143は表示器ケーシング141に収められ、ミラー表示部分固定部132へ取り付けられる。表示器142は、LED(発光ダイオード)を格子状に配したものでもよいし、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や液晶ディスプレイなどの映像表示デバイスでもよい。
【0047】
図8にサイドミラーの構造を模式的に表した水平方向断面図を示す。表示器ケーシング141の外側の端部をミラー表示部変形装置133で車両前方へ引っ張ることで表示器ケーシング141と一体のハーフミラー143が湾曲し、サイドミラーの視認範囲が車両外側へ拡大する。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。左サイドミラー、右サイドミラー及びルームミラーの視認範囲と障害物検出装置2の検出範囲例を図9に示す。サイドミラー及びルームミラーの視認範囲は、ミラーの角度や運転者の姿勢で変化する。また、障害物検出装置の検出範囲は、本実施形態より広くてもよいし、狭くてもよい。
【0049】
領域a及びiはサイドミラー及びルームミラーでは視認できず、障害物検出装置のみで障害物を検出できる領域を示す。領域bは右サイドミラーやルームミラーでは視認できず、左サイドミラーでも通常時は視認できず、左サイドミラーを変形させて視認範囲を拡大したときに視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。領域cは左サイドミラーでのみ視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。領域dは、左サイドミラーとルームミラーの両方で視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。
【0050】
領域eは、ルームミラーのみで視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。領域fは、右サイドミラーとルームミラーの両方で視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。領域gは右サイドミラーでのみ視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。領域hは右サイドミラーを変形させて視認範囲を拡大したときのみに視認でき、障害物検出装置で検出できる領域である。以上の領域の説明をまとめて図10の表に示す。なお、障害物検出装置を利用しない場合でも、前述の領域の区分は同様である。
【0051】
次に、図11、12のフローチャートを参照して、本実施の形態の後方視認装置の動作を説明する。車両の電源が投入される、若しくはエンジンが起動することで、後方視認装置1が起動し、図11のフローチャートに従って作動する。
【0052】
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)101において、各ECUの初期化や、各センサや各ECUの自己診断を行う。次いで、S102において、障害物検出装置2により、車両の周囲の障害物の検出を行う。障害物検出装置2は、車両の周囲の障害物の有無、障害物があれば、障害物の大きさ、障害物の相対速度、障害物までの距離、障害物の相対加速度等を出力する。
【0053】
次いでS103において、信号処理ECU7に障害物検出装置2の出力を取り込み、自車両の周囲に障害物があるか否かを判定する。S103の判定で障害物がなければ、何も表示することなく、処理を終了する。
【0054】
このように、障害物を検出したとき以外は、ルームミラー範囲表示手段又は障害物位置表示手段又は後方映像表示手段が作動しないので、運転者は前記表示手段が作動することに鬱陶しさを感じずに済むという効果がある。また、前記表示手段が作動した場合には、障害物が新たに前記表示手段に映っていることをすばやく認識することができるという効果がある。
【0055】
尚、S103の判定において、単に障害物の有無を判定するのではなく、危険度判定部71により自車両の周囲に危険な障害物があるか否かを判定するように変更してもよい。即ち、障害物があると判定したときに、さらに危険度判定部71により障害物の危険度を判定し、危険度が閾値以上の場合に、S104へ進み、危険度が閾値未満の場合に処理を終了する。
【0056】
この危険度の判定には、例えば、後方の障害物と自車との車間時間を危険度としてもよく、車間時間に、障害物と自車両との相対加速度を加味してもよい。車間時間は、障害物と自車両との距離を自車両の速度で除した値であり、この車間時間が短いほど危険度が高いと判定する。危険度を閾値で判定する場合には、通常、安全車間時間とされている2秒を閾値としてもよい。
【0057】
S103の判定で、障害物がある場合には、S104において、眼位置検出装置2によって運転者の眼の位置を検出する。
【0058】
次いでS105において、運転者の眼の位置信号を信号処理ECU7に取り込み、視認範囲算出部72が、各ミラーの角度と運転者の眼の位置に基づいて、ルームミラー6で視認できる範囲を左サイドミラー4及び右サイドミラー5へ表示するための視認範囲算出と、左サイドミラー4及び右サイドミラー5で視認できる範囲をルームミラー6へ表示するための視認範囲算出とを行う。
【0059】
次いでS106において、表示処理部75の左サイドミラー表示処理部75aと、右サイドミラー表示処理部75bと、ルームミラー表示処理部75cとは、視認範囲を表示するための表示信号を生成し、各表示信号を、左ミラー表示器46、右ミラー表示器56、及びルームミラー表示器64が表示する。
【0060】
これにより、ルームミラー6で視認できる範囲を左サイドミラー4及び右サイドミラー5へ表示し、左サイドミラー4及び右サイドミラー5で視認できる範囲をルームミラー6へ表示することができる。このため、運転者がサイドミラーに映っている障害物がルームミラーに映っている障害物と同一であるか否かが容易に分かるため、運転者はルームミラーからサイドミラーに視線を移した場合やサイドミラーからルームミラーに視線を移した場合に、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0061】
次いで、S107において、ミラー内障害物位置算出部73は、障害物の存在する領域が図9に示した領域a〜iの何れの領域であるかを算出する。次いでS108にて、障害物の位置が領域b〜hであるか否かの判断を行う。領域b〜h以外に障害物がある場合(領域a又はiの場合)には、本装置の作動は終了するか、又はS102へ戻る。
【0062】
S108の判定で、領域b〜hに障害物がある場合には、S109において、ミラー内障害物位置算出部73が各ミラー上の障害物の位置を算出した上で、障害物がある領域ごとに決められた作動を行うために、領域b,c,d,e,f,g,hの区別に従って、S110,S112,S114,S117,S119,S122,S123の7方向へ分岐する。
【0063】
S110の領域bに障害物がある場合には、S111に進み、左サイドミラー駆動角度算出部76aが障害物を左サイドミラー4へ映すための駆動角度を算出して、左ミラー表示部変形装置47へ出力する。これにより左ミラー表示部変形装置47が作動して障害物が左サイドミラー4に映り、さらにS113へ進む。
【0064】
S112の領域cに障害物がある場合には、S113に進む。S113では、左ミラー表示器46によって障害物の位置を左サイドミラー上に重畳表示を行う。
【0065】
S114の領域dに障害物がある場合には、S115において、左サイドミラー4とルームミラー6のそれぞれの視認範囲表示を強調表示し、S116において、左ミラー表示器46とルームミラー表示器64で障害物位置を表示させ、左サイドミラー4とルームミラー6のそれぞれにおいて、障害物位置を重畳して表示させる。
【0066】
S117の領域eに障害物がある場合には、S118において、ルームミラー表示器64に障害物位置を表示させる。
【0067】
S119の領域fに障害物がある場合には、S120において、右サイドミラー5とルームミラー6のそれぞれの視認範囲表示を強調表示し、S121において、右ミラー表示器56とルームミラー表示器64で障害物位置を表示させ、右サイドミラー5とルームミラー6のそれぞれにおいて、障害物位置を重畳して表示させる。
【0068】
S122の領域gに障害物がある場合には、S125に進む。S123の領域hに障害物がある場合にはS124に進み、右サイドミラー駆動角度算出部76bが障害物を右サイドミラー5へ映すための駆動角度を算出して、右ミラー表示部変形装置57へ出力する。これにより右ミラー表示部変形装置57が作動して障害物が右サイドミラー5に映り、さらにS125へ進む。S125では、右ミラー表示器56によって障害物の位置を右サイドミラー上に重畳表示を行う。
【0069】
上記のS113,S116、S118、S121,S125では、障害物の位置がルームミラー又はサイドミラー上に表示されるので、運転者が障害物に気がついていない場合でも、ルームミラー又はサイドミラーに映っている障害物の位置を容易に認識することができるという効果がある。
【0070】
また、上記のS115,S120では、障害物検出装置で検出した障害物の位置がルームミラーとサイドミラーとの両方で視認できる場合に、視認範囲を強調して表示するので、ルームミラーで視認できる障害物とサイドミラーで視認できる障害物が同一物体であるか否かが容易に分かる。
【0071】
次に図13〜18を参照して、各領域に障害物がある場合におけるルームミラーと右サイドミラーの視認範囲及び障害物位置の具体的な表示例を説明する。
【0072】
図13に、領域gに障害物がある場合の、ルームミラー171と右サイドミラー173の表示状態を説明する。ルームミラー171のミラー上には左サイドミラーの視認範囲の表示172aと右サイドミラーの視認範囲の表示172bがある。つまり、枠状の点線の表示172aで囲まれた部分に映る景色は、ルームミラー171でも左サイドミラー172でも見える領域の景色ということになる。また、右サイドミラー173のミラー上にはルームミラーの視認範囲の表示174aと障害物の位置表示175aがある。つまり、枠状の点線の表示174aで囲まれた部分に映る景色は、ルームミラー171でも右サイドミラー173でも見える領域の景色ということになる。
【0073】
領域fに障害物がある場合には、障害物の位置がルームミラーと右サイドミラーとの両方で視認できる場合であるので、視認範囲を強調して表示する。即ち、図14に示すように、ルームミラー171に右サイドミラーの視認範囲を表示172cのように表示し、ルームミラー171でも右サイドミラー173でも見える領域に位置する障害物の周りを更に表示175bで強調表示する。また右サイドミラー173にルームミラーの視認範囲を表示174bのように表示し、ルームミラー171でも右サイドミラー5でも見える領域に位置する障害物の周りを更に表示175cで強調表示する。尚、図示しないが領域dに障害物がある場合は、障害物の位置がルームミラーと左サイドミラーとの両方で視認できる場合であるので、左右が入れ替わるだけで、領域fの処理と同様に視認範囲の強調表示を行う。
【0074】
このように、ルームミラー171でも右サイドミラー173でも見える領域を、ルームミラー171および右サイドミラー173に表示するため、例えば、複数の障害物がルームミラー171と右サイドミラー173の視認範囲に存在し、その障害物がそれぞれの視認範囲を出入りしたり、それぞれの視認範囲が重なる範囲に存在する場合に、それぞれの障害物の位置を把握しやすく、ルームミラー171と右サイドミラー173とのいづれか一方から他方へ視線を移すことによって、障害物を見失うことを抑制することができ、延いては、運転者に障害物の確認がより的確に可能になる。
【0075】
また、障害物検出装置で検出した障害物の位置がルームミラーとサイドミラーとの両方で視認できる場合に、視認範囲を強調して表示するので、ルームミラーで視認できる障害物とサイドミラーで視認できる障害物が同一物体であるか否かが容易に分かるので、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0076】
領域eに障害物がある場合には、図15のように、ルームミラー171に表示される右サイドミラーの表示は通常の表示172aに、右サイドミラー173に表示されるルームミラーの表示も通常の表示174aになる。
【0077】
図16には領域gに障害物がある場合の右サイドミラーの表示の状態を示す。右サイドミラー173に表示されるルームミラーの視認範囲の表示は通常の表示174aになる。また右サイドミラーには障害物の位置表示175aを表示する。
【0078】
図17には領域hに障害物がある場合の右サイドミラーの表示状態を示す。右サイドミラー173に表示されるルームミラーの視認範囲の表示は通常の表示174aになる。また右サイドミラーには障害物の位置表示175aを表示する。図16の状態より右サイドミラーの視認範囲が広がっている。
【0079】
さらに、領域h又はbに障害物がある場合には、領域g又はcに障害物がある場合より視認範囲が広がったことを運転者に分かりやすく知らせるために、図18に示すように、距離を表すグリッド176をサイドミラー上に表示する。図18の広範囲表示時の図では通常時の図よりグリッド176の線の間隔が狭まっていて、視認範囲が広がったことが運転者に容易に分かる。
【0080】
このように、サイドミラー内に距離に応じたグリッドを表示し、サイドミラーを変形させてサイドミラー視認範囲を拡大させた場合には、サイドミラーの変形度合いに応じてグリッドの表示を変えるので、運転者はサイドミラーの変形度合いや、サイドミラーに映っている障害物の位置を容易に認識することができるという効果がある。
【0081】
図19、図20には、車両後退時などに、車両後方にとりつけらた後方カメラ8により撮影された後方映像を表示する場合の右サイドミラーの表示例を示す。サイドミラーに後方映像を表示する場合には、表示分解能の点から、左ミラー表示器46及び右ミラー表示器56は、マトリクス状のLEDではなく、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイが好ましい。
【0082】
図19は、ミラーの向きが通常時の後方映像の表示方法を示す。後方映像が表示されていない通常時には、自車両の車体181がサイドミラー上に映っている。後方映像表示時には、この車体181に重畳して後方カメラ8による後方映像182が表示される。後方カメラ8で撮影された映像は、そのまま左ミラー表示器46及び右ミラー表示器56に表示されるのではなく、ミラー内後方映像処理部74により、あたかも左サイドミラー4または右サイドミラー5を介して、車体に隠れた部分を後方視認したように映像処理したものを表示するのが好ましい。
【0083】
このように、後方カメラにて撮影された映像のうち、サイドミラー又はルームミラーで視認できる範囲の映像を、サイドミラー又はルームミラー上に重畳して表示するので、後方映像に映っている障害物とミラーに映っている障害物が同一であるか否かが容易に分かり、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0084】
また後退時などには、サイドミラーを後傾させて路面を見やすくする場合があり、その場合のサイドミラーの状態を図20に示す。この場合にもサイドミラー173には、後方カメラ8による後方映像182を表示させるが、後方カメラ8でも撮影できない範囲が存在するため、その範囲は自車両部分であることを示す表示184を表示する。
【0085】
後方カメラで撮影することができる範囲をサイドミラー又はルームミラーに表示するので、たとえば後退する場合に、後方カメラを用いて車両の後方確認を行う場合にも、後方映像に映っている障害物とミラーに映っている障害物が同一であるか否かが容易に分かり、障害物を見失うことなく車両周辺の障害物の位置を認識することができるという効果がある。
【0086】
尚、後退時に、自車両の進行方向や予想進路をルームミラーやサイドミラーに表示してもよい。この場合、ステアリングホイールの回転角度を入力して、操向輪の転舵角を計算し、転舵角と車両のホイールベースに基づいて、後退時の進行方向や予想進路を算出し、表示処理部75を介して、左ミラー表示器46,右ミラー表示器56及びルームミラー表示器64に表示することができる。
【0087】
このように後退時に自車両の進行方向や予想進路がルームミラー上又はサイドミラー上に表示されるため、ミラーに映っている障害物が自車両の進路上にあるか否かを容易に認識することができるため、後退するときの運転負荷を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る後方視認装置の実施形態の全体構成を示す構成図である。
【図2】(a)図1における障害物検出装置の構成例を示すブロック図、(b)図1における眼位置検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1における左サイドミラー、右サイドミラー及びルームミラーの各角度センサ配置を示すブロック図である。
【図4】図1における信号処理ECUの構成例を示す詳細ブロック図である。
【図5】サイドミラーの構造図である。
【図6】ミラーユニット背面の構造図である。
【図7】ミラー表示部分の構造図である。
【図8】サイドミラー構造を説明する模式断面図である。
【図9】ミラー視認範囲及び障害物検出装置の検出範囲の領域分類を示す図である。
【図10】車両の後方及び側方の領域分割例を示す平面図である。
【図11】後方視認装置の動作内容の前半を説明するフローチャートである。
【図12】後方視認装置の動作内容の後半を説明するフローチャートである。
【図13】領域gに車両がある場合のルームミラー及びサイドミラーの表示例を示す図である。
【図14】領域fに車両がある場合のルームミラー及びサイドミラーの表示例を示す図である。
【図15】領域eに車両がある場合のルームミラー及びサイドミラーの表示例を示す図である。
【図16】領域gに車両がある場合のサイドミラーの表示例を示す図である。
【図17】領域hに車両がある場合のサイドミラーの表示例を示す図である。
【図18】グリッド表示の例である(領域hに車両がある場合)。
【図19】後方映像のミラー表示例を示す図である。
【図20】サイドミラー下降時の後方映像のミラー表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1:後方視認装置
2:障害物検出装置
3:眼位置検出装置
4:左サイドミラー
5:右サイドミラー
6:ルームミラー
7:信号処理ECU
8:後方カメラ
9:ディスプレイ
46:左ミラー表示器
47:左ミラー表示部変形装置
56:右ミラー表示器
57:右ミラー表示部変形装置
64:ルームミラー表示器
71:危険度判定部
72:視認範囲算出部
73:ミラー内障害物位置算出部
74:ミラー内後方映像処理部
75:表示処理部
76:駆動角度算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方及び側方を視認する複数の後方視認手段を備えた後方視認装置において、
第1の後方視認手段で視認できる範囲を第2の後方視認手段内に表示する視認範囲表示手段を備えたことを特徴とする後方視認装置。
【請求項2】
第1の後方視認手段は、ルームミラーであり、
第2の後方視認手段は、右又は左のサイドミラーであって、
前記視認範囲表示手段は、ルームミラーで視認できる範囲を、サイドミラー内に表示するルームミラー範囲表示手段であることを特徴とする請求項1に記載の後方視認装置。
【請求項3】
第1の後方視認手段は、右又は左のサイドミラーであり、
第2の後方視認手段は、ルームミラーであって、
前記視認範囲表示手段は、サイドミラーで視認できる範囲を、ルームミラー内に表示するサイドミラー範囲表示手段であることを特徴とする請求項1に記載の後方視認装置。
【請求項4】
運転者の眼の位置を検出する眼位置検出手段を備え、
前記ルームミラー範囲表示手段又は前記サイドミラー範囲表示手段は、
前記眼位置検出手段が検出した運転者の眼の位置に応じて、ルームミラー又はサイドミラーで視認できる範囲の表示位置を変化させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の後方視認装置。
【請求項5】
前記ルームミラー範囲表示手段又は前記サイドミラー範囲表示手段は、
ルームミラー又はサイドミラーのミラー面の調整角度に応じて、ルームミラー又はサイドミラーで視認できる範囲の表示位置を変化させることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項6】
後方の障害物を検出する障害物検出手段と、
該障害物検出手段が検出した障害物の位置をルームミラー又はサイドミラー上に重畳して表示する障害物位置表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項7】
前記障害物検出手段が検出した障害物の位置がルームミラーとサイドミラーの両方で視認できる場合には、ルームミラー又はサイドミラーで視認できる範囲を強調して表示することを特徴とする請求項6に記載の後方視認装置。
【請求項8】
前記障害物検出手段が検出した障害物が自車両にとって危険である場合には、
前記障害物位置表示手段は、障害物の位置を強調して表示することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の後方視認装置。
【請求項9】
前記障害物検出手段が検出した障害物がサイドミラーの視認範囲の外にある場合に、サイドミラーの視認範囲を広げるサイドミラー視認範囲拡大手段を備えたことを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項10】
車両の後方を撮影する車両後方撮影手段と、
該車両後方撮影手段で撮影可能な範囲をサイドミラー又はルームミラー上に表示する後方映像範囲表示手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項9の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項11】
前記車両後方撮影手段で撮影した映像をサイドミラー又はルームミラーに重畳して表示する後方映像表示手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の後方視認装置。
【請求項12】
前記障害物検出手段が検出した障害物の速度又は距離又は進行方向を表示することを特徴とする請求項6乃至請求項11の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項13】
前記障害物検出手段が障害物を検出したときのみ、前記ルームミラー範囲表示手段、前記障害物位置表示手段、前記後方映像表示手段の何れか一つ又は複数が作動することを特徴とする請求項6乃至請求項12の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項14】
前記障害物検出手段が検出した障害物が、自車両にとって危険であると判断されたときにのみ、前記ルームミラー範囲表示手段、前記障害物位置表示手段、前記後方映像表示手段の何れか一つ又は複数が作動することを特徴とする請求項6乃至請求項12の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項15】
前記障害物位置表示手段は、前記障害物検出手段が検出した障害物の距離又は速度又は危険性に応じて、障害物の表示方法を変えて表示することを特徴とする請求項6乃至請求項12の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項16】
自車両が後退するときには、自車両の進行方向をルームミラー上又はサイドミラー上に表示する自車両進行方向表示手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項15の何れか1項に記載の後方視認装置。
【請求項17】
前記サイドミラー上に、所定の間隔で表示される前後左右の格子状の線からなるグリッド表示をし、前記サイドミラー視認範囲拡大手段によるサイドミラーの視認範囲の拡大にともなって、その線の間隔を広げるグリッド表示手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の後方視認装置。
【請求項18】
前記障害物検出手段が検出した障害物が複数ある場合に、それぞれの障害物に固有の色又は記号又は形状により、障害物を識別可能なように表示することを特徴とする請求項6乃至請求項17の何れか1項に記載の後方視認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−143250(P2010−143250A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319249(P2008−319249)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】