説明

応力に起因する変形を最小限に抑えるように構成された支持構造を有するMEMSデバイス、およびその製造方法

【課題】応力関連の変形を最小限に抑えるように構成された支持構造を有するMEMSデバイス、およびその製造方法。
【解決手段】MEMSデバイスの実施形態は、上位の支持構造によって支持される移動可能層を含み、更に、下位の支持構造を含むことができる。1つの実施形態では、上位の支持構造内の残留応力と、移動可能層内の残留応力とが、実質的に等しい。別の実施形態では、上位の支持構造内の残留応力と、下位の支持構造内の残留応力とが、実質的に等しい。特定の実施形態では、実質的に等しい残留応力は、同じ厚さを有する同じ材料で形成される層の使用を通じて得られる。更なる実施形態では、実質的に等しい残留応力は、互いの鏡像である支持構造および/または移動可能層の使用を通じて得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2005年8月19日出願の米国仮出願第60/710,019号の優先権を主張する。この出願は、参照により全体を本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、微小機械要素、アクチュエータ、および電子機器を含む。微小機械要素は、堆積プロセス、エッチングプロセス、ならびに/あるいは基板および/もしくは堆積された材料層を部分的にエッチング除去するかまたは層を追加するかによって電気デバイスおよび電気機械デバイスを形成するその他のマイクロマシニングプロセスを使用して作成することができる。MEMSデバイスの1つのタイプは、インターフェロメトリックモジュレータと称される。本明細書において使用されるインターフェロメトリックモジュレータまたはインターフェロメトリック光モジュレータという用語は、光干渉の原理を利用して光を選択的に吸収するおよび/または反射させるデバイスを意味する。特定の実施形態において、インターフェロメトリックモジュレータは、一対の伝導板を備えてよく、それらの板の一方または両方は、全体もしくは一部が透明および/もしくは反射性であってよくかつ適切な電気信号の印加によって相対運動することができる。具体的な一実施形態において、一方の板は、基板上に堆積された静止層を備えてよく、他方の板は、エアギャップによって静止層から分離された金属膜を備えてよい。本明細書において更に詳述されるように、他方の板に対する一方の板の位置は、インターフェロメトリックモジュレータに入射する光の光干渉を変化させることができる。このようなデバイスは、非常に広範な用途を有しており、当該分野においては、これらのタイプのデバイスの特徴を既存製品の改良およびまだ開発されていない新製品の製造に生かせるように、これらのタイプのデバイスの特性を利用および/または変更すると有益だと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの実施形態において、MEMSデバイスを製造する方法が提供される。該方法は、基板を提供することと、基板の上に電極層を堆積することと、電極層の上に犠牲層を堆積することと、開口を形成するために、犠牲層をパターン形成することと、犠牲層の上に移動可能層を堆積することと、移動可能層に隣接して、かつ少なくとも部分的に犠牲層内の開口内に、支持構造を形成することと、を備え、支持構造は、支持構造が移動可能層に対して相対的に横方向に変形する傾向を最小限に抑えるように選択された材料を含む。
【0004】
別の一実施形態において、MEMSデバイスが提供される。該MEMSデバイスは、基板と、基板の上に位置する電極層と、電極層の上に位置する移動可能層であって、通常、エアギャップによって電極層から隔てられる移動可能層と、移動可能層に隣接してかつ少なくとも部分的に移動可能層内のくぼみ内に形成される剛性の支持構造と、を備え、剛性の支持構造は、支持構造が移動可能層に対して相対的に横方向に変形する傾向を最小限に抑えるように選択された材料を含む。
【0005】
別の一実施形態において、MEMSデバイスを製造する方法が提供される。該方法は、基板を提供することと、基板の上に電極層を堆積することと、電極層の上に犠牲層を堆積することと、開口を形成するために、犠牲層をパターン形成することと、少なくとも部分的に開口内に、下位の(underlying:下にある、下に位置するという意味。以下では「下位の」または「下位にある」と称する)支持構造を形成することと、下位の支持構造の上に移動可能層を形成することと、移動可能層の上位に(overlying:上にある、上に位置するという意味。以下では「上位の」または「上位にある」と称する)、かつ少なくとも部分的に犠牲層内の開口内に、上位の支持構造を形成することと、を備え、支持構造は、上位の支持構造が下位の支持構造に対して横方向に膨張または収縮する傾向によってもたらされるたわみを最小限に抑えるように構成される。
【0006】
別の一実施形態において、MEMSデバイスが提供される。該MEMSデバイスは、基板と、基板の上に位置する電極層と、電極層の上に位置する移動可能層であって、通常、エアギャップによって電極層から隔てられる移動可能層と、移動可能層の下に形成される下位の支持構造と、移動可能層の上に形成される上位の支持構造と、を備え、上位の支持構造の少なくとも一部は、移動可能層の下の下位の支持構造の上位にあり、支持構造は、上位の支持構造が下位の支持構造に対して横方向に膨張または収縮する傾向によってもたらされるたわみを最小限に抑えるように構成される。
【0007】
別の一実施形態において、MEMSデバイスが提供される。該MEMSデバイスは、電気伝導のための第1の手段と、電気伝導のための第2の手段と、第1の伝導手段の上に第2の伝導手段を支持するための手段と、を備え、第2の伝導手段は、第1の伝導手段と第2の伝導手段との間における静電ポテンシャルの生成に応えて、第1の伝導手段に対して相対的に移動可能であり、支持手段は、支持領域内の構成要素が互いに対して横方向に膨張または収縮する傾向によってもたらされるたわみを最小限に抑えるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】インターフェロメトリックモジュレータディスプレイの1つの実施形態の一部分を描いた等角図であり、第1のインターフェロメトリックモジュレータの移動可能反射層が解放位置にあり、第2のインターフェロメトリックモジュレータの移動可能反射層が作動位置にある。
【図2】3x3インターフェロメトリックモジュレータディスプレイを組み込んだ電子デバイスの1つの実施形態を示したシステムブロック図である。
【図3】図1のインターフェロメトリックモジュレータの1つの代表的実施形態について、移動可能なミラーの位置と印加される電圧との関係を示した図である。
【図4】インターフェロメトリックモジュレータディスプレイを駆動するために使用することができる行電圧および列電圧のセットを示した説明図である。
【図5A】図2の3x3インターフェロメトリックモジュレータディスプレイにおけるディスプレイデータの、1つの代表的なフレームを示した図である。
【図5B】図5Aのフレームの書き込みに使用することができる行信号および列信号に関する1つの代表的なタイミング図である。
【図6A】複数のインターフェロメトリックモジュレータを含むビジュアルディスプレイデバイスの一実施形態を示した図である
【図6B】複数のインターフェロメトリックモジュレータを含むビジュアルディスプレイデバイスの一実施形態を示したシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】インターフェロメトリックモジュレータの代替の一実施形態の断面図である。
【図7C】インターフェロメトリックモジュレータの別の代替の一実施形態の断面図である。
【図7D】インターフェロメトリックモジュレータの更に別の代替の一実施形態の断面図である。
【図7E】インターフェロメトリックモジュレータの更なる代替の一実施形態の断面図である。
【図8】個々の素子が支持構造を有しているインターフェロメトリックモジュレータ素子の配列の平面図である。
【図9A】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9B】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9C】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9D】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9E】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9F】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9G】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9H】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9I】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図9J】移動可能層の上に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図10A】移動可能層の下に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図10B】移動可能層の下に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図10C】移動可能層の下に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図10D】移動可能層の下に位置する支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を製造するための方法を示した概略断面図である。
【図11】上位のリベット構造が移動可能層の鏡像であるインターフェロメトリックモジュレータ素子の一実施形態を示した概略断面図である。
【図12】上位のリベット構造が下位の柱構造と実質的に同一の材料および厚さであるインターフェロメトリックモジュレータ素子の一実施形態を示した概略断面図である。
【図13】移動可能層が互いに対称的な複数の層で形成される図12のモジュレータ素子などのインターフェロメトリックモジュレータ素子の概略断面図である。
【図14】上位のリベット構造が移動可能層と実質的に同一の材料および厚さであるインターフェロメトリックモジュレータ素子の一実施形態を示した概略断面図である。
【図15】下位の柱構造が移動可能層と実質的に同一の材料および厚さであるインターフェロメトリックモジュレータ素子の一実施形態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本発明の特定の具体的実施形態に関する。しかしながら、本発明は、多くの異なるかたちで実現することができる。この説明では、図面が参照にされ、図中、類似の構成要素は一貫して類似の符号を使用して示される。以下の説明から明らかなように、これらの実施形態は、動いているもの(例:ビデオ)であれ静止しているもの(例:静止画像)であれ、テキスト形式であれ映像形式であれ、画像を表示するように構成された任意のデバイスにおいて実現可能である。より具体的に言うと、これらの実施形態は、携帯電話、ワイヤレス機器、携帯情報端末(PDA)、手持ちサイズの、すなわち携帯用のコンピュータ、GPSレシーバ/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、時計、計算機、テレビ用モニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータ用モニタ、自動車用ディスプレイ(例:走行距離計等など)、コックピットのコントロールパネルおよび/もしくはディスプレイ、カメラ視野のディスプレイ(例:車の後方確認用カメラのディスプレイ)、電子写真、電光の掲示板もしくはサイン、プロジェクタ、建造物、パッケージング、ならびに美的構造物(例:宝石の画像のディスプレイ)を非限定的に含む、様々な電子デバイスにおいて実現可能である、またはそのような電子デバイスに関連付けることが可能であると考えられる。また、本明細書において説明されるものと類似の構造のMEMSデバイスを、電子的切り替えデバイスなどの非ディスプレイ用途に使用することも可能である。
【0010】
インターフェロメトリックモジュレータ素子などの個々のMEMS素子には、個々の素子の内部または縁の両方に支持構造を設けることができる。特定の実施形態では、これらの支持構造は、移動可能層の上位にある「リベット」構造および移動可能層の下位にある「柱」構造の両方または一方を含むことができる。移動可能層は、堆積された際の層の残留応力および動作条件の変動に起因する応力(例えば熱膨張係数の差異によって発生する応力または内部ひずみ)の両方の変動によって、望ましくない形でたわみ、MEMSデバイスの動作を変化させる可能性がある。このような望ましくない応力は、例えば、移動可能層または下位の支持構造のいずれかと材料および厚さが同じ支持構造を用意するなど、材料の選択および支持構造の対称的配置を通じて最小限に抑えるあるいは排除することができる。更なる実施形態では、MEMSデバイス内の2枚の層間の応力不整合は、それらの層を互いの鏡像にした場合に最小限に抑えることができる。
【0011】
インターフェロメトリックMEMSディスプレイ素子を含むインターフェロメトリックモジュレータディスプレイの1つの実施形態が、図1に示されている。これらのデバイスにおいて、ピクセルは、明るい状態または暗い状態のいずれかにある。明るい(「オン」または「開」)状態では、ディスプレイ素子は、入射する可視光の大半をユーザへと反射させる。暗い(「オフ」または「閉」)状態では、ディスプレイ素子は、入射する可視光をほとんどユーザへと反射させない。「オン」状態および「オフ」状態における光反射特性は、実施形態に応じて逆転可能である。MEMSピクセルは、主に選択された色で反射するように構成することができる。これは、白黒に加えてカラーの表示を可能にする。
【0012】
図1は、ビジュアルディスプレイの一連のピクセルのなかの2つの隣接するピクセルを示した等角図である。図中、各ピクセルは、MEMSインターフェロメトリックモジュレータを含む。実施形態によっては、インターフェロメトリックモジュレータディスプレイは、これらのインターフェロメトリックモジュレータの行列からなる配列を含む。各インターフェロメトリックモジュレータは、少なくとも1つの可変次元をともなう共振光キャビティを形成するために、互いから可変でかつ制御可能な距離に配置された一対の反射層を含む。1つの実施形態において、反射層の一方は、2つの位置の間で移動可能である。本明細書において解放位置と称される第1の位置では、この移動可能層は、固定の部分反射層から比較的大きな距離を隔てて配置されている。本明細書において作動位置と称される第2の位置では、この移動可能層は、部分反射層に対してより近くに隣接して配置されている。これらの2層から反射される入射光は、移動可能な反射層の位置に応じて建設的または相殺的に干渉することによって、ピクセル毎に全反射または非反射のいずれかの状態を生じる。
【0013】
図1に示された部分のピクセル配列は、2つの隣接するインターフェロメトリックモジュレータ12a,12bを含む。左側のインターフェロメトリックモジュレータ12aでは、移動可能な反射層14aは、部分反射層を含む光学スタック16aから所定の距離にある解放位置で示されている。右側のインターフェロメトリックモジュレータ12bでは、移動可能な反射層14bは、光学スタック16bに隣接する作動位置で示されている。
【0014】
本明細書において言及される光学スタック16a,16b(光学スタック16として総称される)は、通常、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層と、クロムなどの部分反射層と、透明な誘電体と、を含むことができる何枚かの溶融層を含む。光学スタック16は、したがって、導電性であり、部分的に透明であり、かつ部分的に反射性であり、例えば、上記の層の1枚または2枚以上を透明基板20上に堆積することによって作成することができる。部分反射層は、各種の金属、半導体、および誘電体など、部分的に反射性である様々な材料で形成することができる。部分反射層は、1枚または2枚以上の材料層で形成することができ、これらの各層は、単一の材料または複数の材料の組み合わせで形成することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、光学スタック16のこれらの層は、平行な帯状片となるようにパターン形成され、後ほど詳述されるように、ディスプレイデバイスにおける行電極を形成することができる。移動可能な反射層14a,14bは、支柱18の上、および支柱18間に堆積された介在犠牲材料の上に堆積された、1枚または2枚以上の金属層からなる一連の平行な帯状片(行電極16a,16bに直交する)となるように、形成することができる。犠牲材料がエッチング除去されると、移動可能な反射層14a,14bは、定められたエアギャップ19によって光学スタック16a,16bから分離される。反射層14としては、アルミニウムなどの高伝導性でかつ反射性の材料が使用されてよく、これらの帯状片は、ディスプレイデバイスにおける列電極を形成することができる。
【0016】
電圧を印加されていないとき、キャビティ19は、移動可能な反射層14aと光学スタック16aとの間に維持され、移動可能な反射層14aは、図1のピクセル12aによって示されるように、機械的に解放された状態にある。しかしながら、選択された行および列に電位差が印加されると、対応するピクセルにおいて行電極と列電極との交差位置に形成されたコンデンサは、帯電状態となり、静電力が、これらの電極を引き合わせる。もし電圧が十分に高いと、移動可能な反射層14は、変形され、光学スタック16に押し付けられる。図1の右側のピクセル12bによって示されるように、光学スタック16内の誘電層(不図示)が、短絡を阻止し、層14と層16との間の分離距離を制御することができる。この挙動は、印加された電位差の極性にかかわらず同じである。このように、反射と非反射との間でピクセルの状態を制御する行/列作動は、従来のLCD技術およびその他のディスプレイ技術で使用されるものと、多くの意味で類似している。
【0017】
図2〜5Bは、ディスプレイの用途においてインターフェロメトリックモジュレータの配列を使用するための、代表的なプロセスおよびシステムの1つを示している。
【0018】
図2は、本発明の態様を組み込むことができる電子デバイスの1つの実施形態を示したシステムブロック図である。この代表的な実施形態において、電子デバイスは、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium II(登録商標)、Pentium III(登録商標)、Pentium IV(登録商標)、Pentium(登録商標) Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などの任意の汎用のシングルチップマイクロプロセッサもしくはマルチチップマイクロプロセッサ、またはデジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、もしくはプログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサでありうるプロセッサ21を含む。当該分野において常であるように、プロセッサ21は、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成することができる。オペレーティングシステムの実行に加えて、プロセッサは、Webブラウザ、テレフォンアプリケーション、電子メールプログラム、もしくはその他の任意のアプリケーションソフトを含む、1つまたは複数のアプリケーションソフトを実行するように構成することができる。
【0019】
1つの実施形態において、プロセッサ21は、また、配列ドライバ22と通信するようにも構成される。1つの実施形態において、配列ドライバ22は、ディスプレイ配列すなわちパネル30に信号を提供する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含む。図1に示された配列の断面は、図2において線1−1で示されている。MEMSインターフェロメトリックモジュレータについて、行/列作動プロトコルは、図3に示された、これらのデバイスのヒステリシス特性を上手く活用することができる。例えば、移動可能層を解放状態から作動状態へと変形させるために、10ボルトの電位差が必要とされる。しかしながら、この値から電圧が減少する際に、移動可能層は、自身の状態を、電圧が10ボルト未満に降下するあいだ維持する。図3の代表的な実施形態において、移動可能層は、電圧が2ボルト未満に降下するまで完全には解放されない。したがって、デバイスが解放状態または作動状態のいずれかで安定する印加電圧のウィンドウが存在し、これは、図3に示された例では、例えば約3〜7ボルトの範囲である。これは、本明細書において、「ヒステリシスウィンドウ」または「安定性ウィンドウ」と称される。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイ配列に対しては、行/列作動プロトコルは、行ストローブ中、ストローブされた行にある作動対象のピクセルは約10ボルトの電圧差をかけられ、解放対象のピクセルは0ボルトに近い電圧差をかけられるように設計することができる。ストローブ後、ピクセルは、その行ストローブによって置かれた状態に留まるように、約5ボルトの定常状態電圧差をかけられる。書き込み後の各ピクセルは、この例では3〜7ボルトの「安定性ウィンドウ」内の電位差をかけられている。この特徴は、図1に示されたピクセル設計を、既存の作動状態または解放状態のいずれでも、同じ印加電圧条件下で安定させる。インターフェロメトリックモジュレータの各ピクセルは、作動状態であれ解放状態であれ、本質的に、固定の反射層と移動可能な反射層とによって形成されるコンデンサであるので、この安定状態は、ほとんど電力損失を生じることなく、ヒステリシスウィンドウ内の電圧で維持することができる。印加電圧が固定されている間は、基本的に、ピクセルに電流は流れない。
【0020】
代表的な用途では、第1の行における所望の作動ピクセルセットに応じて列電極セットをアサートすることによって、表示フレームを作成することができる。次いで、行1の電極に行パルスが印加され、アサートされた列ラインに対応するピクセルが作動される。アサートされた列電極セットは、次いで、第2の行における所望の作動ピクセルセットに対応するように変化される。次いで、行2電極にパルスが印加され、アサートされた列電極に応じて行2における適切なピクセルが作動される。行1のピクセルは、行2パルスによって影響されず、行1パルス中に設定された状態に留まる。これは、フレームを生成するために、一連の全ての行に対して順次繰り返すことができる。概して、フレームは、このプロセスをいくらかの所望の毎秒フレーム数で絶えず繰り返すことによって、リフレッシュされる、かつ/または新しい表示データに更新される。この他にも、ピクセル配列の行電極および列電極を駆動して表示フレームを生成するための様々なプロトコルがよく知られており、これらもまた、本発明に関連して使用することができる。
【0021】
図4、図5A、および図5Bは、図2の3×3配列上に表示フレームを作成するための、考えられる1つの作動プロトコルを示している。図4は、図3のヒステリシス曲線を呈しているピクセルに対して使用可能な列電圧レベルおよび行電圧レベルとして考えられるセットを示している。図4の実施形態において、ピクセルの作動は、適切な列を−Vバイアスに設定するとともに適切な行を+ΔVに設定することをともない、これらは、−5ボルトおよび+5ボルトにそれぞれ対応することができる。ピクセルの解放は、適切な列を+Vバイアスに設定するとともに適切な行を+ΔVに設定することによって達成され、これは、そのピクセルの両端に0ボルトの電位差を生成する。行電圧を0ボルトに保持されている行では、ピクセルは、その列が+Vバイアスまた−Vバイアスはのいずれであるかにかかわらず、もとからの状態に安定して維持される。やはり図4に示されるように、上述された場合と逆の極性の電圧も使用可能であることが理解される。例えば、ピクセルの作動は、適切な列を+Vバイアスに設定するとともに適切な行を−ΔVに設定することをともなうことができる。この実施形態では、ピクセルの解放は、適切な列を−Vバイアスに設定するとともに適切な行を−ΔVに設定することによって達成され、これは、そのピクセルの両端に0ボルトの電位差を生成する。
【0022】
図5Bは、図2の3×3配列に印加される一連の行信号および列信号を示したタイミング図であり、その結果、作動ピクセルが非反射となる図5Aに示されたディスプレイ構成が得られる。図5Aに示されたフレームの書き込みに先立って、ピクセルは、任意の状態にあることが可能である。この例では、全ての行は0ボルトに、そして全ての列は+5ボルトにある。これらの信号を印加された状態で、全てのピクセルは、自身の既存の作動状態または解放状態で安定している。
【0023】
図5Aのフレームでは、ピクセル(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)、および(3,3)が作動されている。これを達成するため、行1用の「ライン時間」中、列1および列2が−5ボルトに設定され、列3が+5ボルトに設定される。これは、いずれのピクセルの状態も変化させない。なぜならば、全てのピクセルは、3〜7ボルトの安定性ウィンドウ内に留まるからである。次いで、0から5ボルトに上昇して再び0に戻るパルスによって、行1がストローブされる。これは、(1,1)ピクセルおよび(1,2)ピクセルを作動させ、(1,3)ピクセルを解放させる。配列内の他のピクセルは、いずれも影響されない。行2を望むとおりに設定するため、列2は−5ボルトに設定され、列1および列3は+5ボルトに設定される。次いで、行2に対しても同じストローブを印加すると、ピクセル(2,2)が作動され、ピクセル(2,1)およびピクセル(2,3)が解放される。やはり、配列内の他のピクセルは影響されない。行3も、列2および列3を−5ボルトに、そして列1を+5ボルトに設定することによって、同様に設定される。行3ストローブは、行3のピクセルを、図5Aに示されるように設定する。フレームの書き込み後、行の電位はゼロであり、列の電位は+5ボルトまたは−5ボルトのいずれかに留まることができる。そして、ディスプレイは、図5Aの構成で安定する。数十または数百もの行および列を有する配列にも、同様の手続きが利用可能であることが理解される。また、行および列の作動を実施するために使用されるタイミング、順序、および電圧レベルは、上記に概略を記された一般的原理の範囲内で様々に可変であること、上記の実施例は、例示を目的としたものに過ぎないこと、そして、任意の作動電圧方法が、本明細書において説明されるシステムおよび方法とともに使用可能であることが理解される。
【0024】
図6Aおよび図6Bは、ディスプレイデバイス40の1つの実施形態を示したシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、例えば、セルラー式電話、すなわち携帯電話であることが可能である。しかしながら、ディスプレイデバイス40と同じ構成要素、またはそれらを僅かに変更した形態は、テレビおよびポータブルメディアプレーヤなどの様々なタイプのディスプレイデバイスを示すこともできる。
【0025】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力デバイス48、およびマイクロフォン46を含む。ハウジング41は、概して、射出成形および真空成形を含む、当該分野の当業者にとって周知の様々な製造プロセスのうちの任意のプロセスによって形成される。また、ハウジング41は、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはそれらの組み合わせを非限定的に含む、様々な材料のうちの任意の材料で作成することができる。1つの実施形態において、ハウジング41は、取り外し可能部分(不図示)を含み、これらの部分は、異なる色の、または異なるロゴ、絵、もしくはマークを含む、他の取り外し可能部分と交換することができる。
【0026】
代表的ディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、本明細書において説明されるように、双安定ディスプレイを含む様々なディスプレイのうちの任意のディスプレイであることが可能である。その他の実施形態では、ディスプレイ30は、上述のような、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、もしくはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、または当業者に良く知られているような、CRTもしくは他の管デバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含む。ただし、本実施形態の説明のため、ディスプレイ30は、本明細書において説明されるように、インターフェロメトリックモジュレータディスプレイを含むものとする。
【0027】
代表的ディスプレイデバイス40の1つの実施形態の構成要素が、図6Bに概略を示されている。図示されている代表的ディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、更に、ハウジング41に少なくとも部分的に囲まれた追加の構成要素を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、代表的ディスプレイデバイス40は、トランシーバ47に結合されたアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。トランシーバ47は、プロセッサ21に接続され、プロセッサ21は、調整ハードウェア52に接続される。調整ハードウェア52は、信号を調整する(例:信号をフィルタリングする)ように構成することができる。調整ハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロフォン46に接続される。プロセッサ21は、また、入力デバイス48およびドライバコントローラ29に接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28および配列ドライバ22に結合され、配列ドライバ22は、更に、ディスプレイ配列30に結合される。電源50は、特定の代表的ディスプレイデバイス40の設計要件に応じて全ての構成要素に電力を供給する。
【0028】
ネットワークインターフェース27は、代表的ディスプレイデバイス40がネットワークを通じて1つまたは複数のデバイスと通信することができるように、アンテナ43およびトランシーバ47を含む。1つの実施形態において、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21の要件を軽減するために、いくらかの処理能力を有することもできる。アンテナ43は、当業者に知られている任意の信号送受信用アンテナである。1つの実施形態において、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)、または(g)を含むIEEE 802.11標準にしたがってRF信号の送受信を行う。別の一実施形態では、アンテナは、Bluetooth標準にしたがってRF信号の送受信を行う。セルラー式電話の場合、アンテナは、CDMA信号、GSM信号、AMPS信号、またはワイヤレスセルフォンネットワーク内における通信に使用されるその他の既知の信号を受信するように設計される。トランシーバ47は、アンテナ43から受信される信号に前処理を施すことによって、それらをプロセッサ21によって受信して更なる操作を行うことを可能にする。トランシーバ47は、また、プロセッサ21から受信される信号を処理することによって、それらをアンテナ43を介して代表的ディスプレイデバイス40から送出することを可能にする。
【0029】
代替の一実施形態において、トランシーバ47は、レシーバで置き換えることができる。更に別の代替の一実施形態において、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送られるべき画像データを格納または生成することができる画像ソースで置き換えることができる。例えば、画像ソースは、画像データを含むデジタルビデオディスク(DVD)もしくはハードディスクドライブなどのメモリデバイス、または画像データを生成するソフトウェアモジュールであることが可能である。
【0030】
プロセッサ21は、概して、代表的ディスプレイデバイス40の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像ソースからの圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを処理することによって、生画像データ、または処理によって容易に生画像データにすることができるフォーマットにする。プロセッサ21は、次いで、処理されたデータを、ドライバコントローラ29に送信する、または格納のためにフレームバッファ28に送信する。生データは、通常、画像内の各位置における画像特性を識別する情報を表している。例えば、このような画像特性は、色、彩度、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0031】
1つの実施形態において、プロセッサ21は、代表的ディスプレイデバイス40の動作を制御するためのマイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを含む。調整ハードウェア52は、概して、スピーカ45に信号を伝送するための、およびマイクロフォン46からの信号を受信するための、増幅器とフィルタとを含む。調整ハードウェア52は、代表的ディスプレイデバイス40内における個別の構成要素であってもよいし、またはプロセッサ21もしくはその他の構成要素の中に組み込まれてもよい。
【0032】
ドラバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された生画像データを、プロセッサ21から直接取得し、またはフレームバッファ28から取得し、その生画像データを、配列ドライバ22への高速伝送に適するように再フォーマットする。具体的に言うと、ドライバコントローラ29は、生画像データを、ラスタ状のフォーマットを有するデータフローに再フォーマットすることによって、データに、ディスプレイ配列30の走査に適した時間順序を付与する。次いで、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報を配列ドライバ22に送信する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、独立型の集積回路(IC)の形でシステムプロセッサ21と関連付けられることが多いが、このようなコントローラは、様々な形で実現することができる。例えば、ハードウェアの形でプロセッサ21に埋め込まれてもよいし、ソフトウェアの形でプロセッサ21に埋め込まれてもよいし、または配列ドライバ22をともなう形でハードウェアにまるごと組み込まれてもよい。
【0033】
通常、配列ドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信し、そのビデオデータを平行波長のセットに再フォーマットする。これらの平行波長のセットは、ディスプレイのx−yピクセル行列から引かれる何百本もの、ときには何千本ものリードに1秒当たり多数回印加される。
【0034】
1つの実施形態において、ドライバコントローラ29、配列ドライバ22、およびディスプレイ配列30は、本明細書において説明される任意のタイプのディスプレイに適している。例えば、1つの実施形態において、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(例:インターフェロメトリックモジュレータコントローラ)である。別の一実施形態において、配列ドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(例:インターフェロメトリックモジュレータディスプレイ)である。1つの実施形態では、ドライバコントローラ29が、配列ドライバ22に統合されている。このような一実施形態は、セルラー式電話、腕時計、およびその他の小面積型ディスプレイなどの高度に集積されたシステムでよく見られる。更に別の一実施形態では、ディスプレイ配列30は、通常のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(例:インターフェロメトリックモジュレータの配列を含むディスプレイ)である。
【0035】
入力デバイス48は、ユーザが、代表的ディスプレイデバイス40の動作を制御することを可能にする。1つの実施形態において、入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチセンサ式画面、感圧式または感熱式の膜などを含む。1つの実施形態において、マイクロフォン46は、代表的ディスプレイデバイス40のための入力デバイスである。デバイスに対するデータの入力にマイクロフォン46が使用される場合は、代表的ディスプレイデバイス40の動作を制御するためにユーザによって音声命令を提供することができる。
【0036】
電源50は、当該分野において周知であるように、様々なエネルギ蓄積デバイスを含むことができる。例えば、1つの実施形態において、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の一実施形態において、電源50は、再生可能なエネルギ源、コンデンサ、またはプラスチック太陽電池および太陽電池塗装を含む太陽電池である。別の一実施形態において、電源50は、壁コンセントから電力を受け取るように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、上述のとおり、電子ディスプレイシステム内の複数個所に配置可能なドライバコントローラ内に、制御のプログラム可能性が備わっている。いくつかの実施形態では、配列ドライバ22内に、制御のプログラム可能性が備わっている。当業者ならば、上述された最適化が、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント、ならびに様々な構成において実装可能であることを認識できる。
【0038】
上記の原理にしたがって動作するインターフェロメトリックモジュレータの構造の詳細は、様々に可変である。例えば、図7A〜7Eは、移動可能な反射層14およびその支持構造の、5つの異なる実施形態を示している。図7Aは、図1の実施形態の断面図であり、帯状の金属材料14が、直交する支持18上に堆積されている。図7Bにおいて、移動可能な反射層14は、その角部のみを、接続線32を介して支持18に取り付けられている。図7Cにおいて、移動可能な反射層14は、可撓性材料を含むことができる変形可能層34から吊り下げられている。変形可能層34は、その外周付近において、基板20に直接的にまたは間接的に接続している。これらの接続は、本明細書において支持構造と称され、隔離された支えもしくは柱、および/または連続した壁もしくはレールの形態をとることができる。図7Dに図示された実施形態は、変形可能な層34を上に載せた支持プラグ42を有する。移動可能な反射層14は、図7A〜7Cの場合と同様に、キャビティの上に吊り下げられた状態にとどまるが、変形可能層34は、自身と光学スタック16との間のホールを埋めることによる支柱の形成は行わなず、その代わり、支柱18は、支柱プラグ42の形成に使用される平坦化材料で形成される。図7Eに示された実施形態は、図7Dに示された実施形態に基づくが、図7A〜7Cの任意の図に示された実施形態はもちろん図示されていないその他の実施形態でも機能するように適合させることができる。図7Eに示された実施形態では、バス構造44を形成するために、金属またはその他の導電性材料の追加層が使用されている。これは、インターフェロメトリックモジュレータの背後に沿った信号のルーティングを可能にする。これは、そうでない場合に基板20上に形成されなければならないはずの多くの電極を排除することができる。
【0039】
図7に示されたような実施形態では、インターフェロメトリックモジュレータは、モジュレータを配置される側と反対の側である透明基板20の前面から画像を見る直視型デバイスとして機能する。これらの実施形態では、反射層14は、自身を挟んで基板20と反対の側にある、変形可能層34を含む部分のインターフェロメトリックモジュレータを光学的に遮蔽する。これは、遮蔽された領域を、画質に悪影響を及ぼすことなく構成すること、および動作させることを可能にする。このような遮蔽は、アドレッシングおよびアドレッシングの結果として生じる移動などのモジュレータの電気機械的特性からモジュレータの光学特性を分離する能力を提供する図7Eのバス構造44を可能にする。この可分離式のモジュレータアーキテクチャは、モジュレータの電気機械的側面および光学的側面に使用される構造設計と構造材料とを、互いに独立に選択することおよび機能させることを可能にする。更に、図7C〜7Eに示された実施形態は、変形可能層34によって反射層14の機械的特性から反射層14の光学的特性が切り離されることによる更なるメリットを有する。これは、反射層14に使用される構造設計および構造材料を、光学的特性に関して最適化することを可能にするとともに、変形可能層34に使用される構造設計および構造材料を、所望の機械的特性に関して最適化することを可能にする。
【0040】
特定の実施形態では、図7Aに示された移動可能な反射層14、または図7C〜7Eに示された機械層34と移動可能な反射層14との組み合わせなどの移動可能層に対し、追加の支持を提供すると望ましい場合がある。インターフェロメトリックモジュレータなどの光学的MEMSデバイスでは、移動可能層は、後ほど更に詳述されるように、反射性副層および機械的副層を含むことができる。このような支持は、個々のモジュレータ素子の縁に沿ってかつ/またはこのようなモジュレータ素子の内部に位置しうる一連の支持構造によって提供することができる。様々な実施形態において、これらの支持構造は、移動可能層の上または下のいずれかに位置することができる。代替の実施形態では、支持構造は、機械層の上方および下方の両方から支持を提供できるように、機械層内に形成された開口を通って伸びることができる。本明細書において使用される「リベット」という用語は、一般に、機械層に対して機械的支持を付与するために、通常は柱すなわち支持の領域の凹所内すなわちくぼみ内において、MEMSデバイスの機械層の上位にくるような、パターン形成された層を意味する。機械層の動きに安定性および予測可能性を加えるため、リベットは、常ではないものの、機械層の上位の羽を含むことが好ましい。同様に、機械層に対して機械的支持を付与するために、MEMSデバイス内の機械層の下位にくる支持構造は、本明細書において、通常、支「柱」と称される。本明細書の多くの実施形態において、好ましい材料は、有機レジスト材料に対する安定性のため、無機質である。
【0041】
このような支持構造の代表的な配置が、図8に示されている。図8は、MEMS素子の配列を図示したものである。特定の実施形態では、MEMS素子の配列は、インターフェロメトリックモジュレータの配列であってよいが、代替の実施形態では、MEMS素子は、移動可能層を有する任意のMEMSデバイスを含むことができる。図示された実施形態では上位のリベット構造であるが他の実施形態では下位の柱構造を含むことが可能である支持構造62は、移動可能層66の縁に沿ってと、この実施例ではインターフェロメトリックモジュレータ素子60であるMEMS素子の内部と、の両方に位置することがわかる。特定の支持構造は、隣り合う2枚の移動可能層66間のギャップ65にまたがるレール構造64を含むことができる。移動可能層66は、同じ列内の隣り合う複数の素子60を通って伸びる帯状の変形可能材料を含むことがわかる。レール構造64は、帯状の移動可能層66によって定められた電極に交差する行を定める下部電極と平行に走ることができる。支持構造62は、素子内すなわちピクセル60内において移動可能層66を補強する働きをする。
【0042】
これらの支持構造62は、モジュレータ素子60の周辺領域と比べて小さく作成されると有利である。支柱は、移動可能層66のたわみを抑制し、なおかつ一般に不透明であってよいので、支持構造62の下にあるとともに支持構造62を直に取り囲む領域は、ディスプレイのアクティブ領域として使用するのに不適切である。なぜならば、これらの領域内の移動可能層は、完全に作動された位置(例えば、図7Aの移動可能層14の下面の一部が光学スタック16の上面と接触する位置)へと移動することができないからである。これは、柱を取り囲む領域において望ましくない光学的効果を生じる可能性があるので、意図する色を褪せさせる可能性があるこれらの領域で過剰な反射を回避するためには、支持構造と視聴者との間に暗いすなわち「黒い」マスク層を提供すると有利である。
【0043】
特定の実施形態では、これらの支持構造は、移動可能層の上方および/または下方にある形状維持に有用な実質的に剛性の構造とともに、移動可能層内のくぼみを含むことができる。このような支持構造は、高分子材料で形成されてよいが、好ましくは、より剛性の大きい無機材料を使用することによって、高分子材料を含む類似の構造に勝る利点を提供することができる。
【0044】
例えば、高分子支持構造は、広い範囲の動作温度にわたって所望レベルの剛性を維持することができず、デバイスの寿命期間中に徐々に変形または機械的障害を生じる可能性がある。このような障害は、移動可能層と光学スタックとの間の距離に影響を及ぼす可能性があり、この距離は、インターフェロメトリックモジュレータ素子によって反射される波長を少なくとも部分的に決定するので、このような障害は、時間の経過または作動温度の変化とともに、反射される色のズレを生じる可能性がある。高分子材料で支持が形成される場合は、その他のMEMSデバイスも、時間の経過とともに類似の劣化を経験する。
【0045】
上位のリベット支持構造を含むインターフェロメトリックモジュレータ素子を形成するための1つのプロセスが、図9A〜9Jに関連して説明される。図9Aでは、透明なすなわち光透過性の基板70が提供されることがわかる。これは、例えば、ガラスまたは透明な高分子材料を含むことができる。次いで、透明な基板の上に、インジウムスズ酸化物(ITO)を含みうる導電層72が堆積され、導電層72の上に、クロムを含みうる部分反射層74が堆積される。1つの実施形態では、導電層72は、ITOを含んでよく、本明細書の以下の様々な箇所でそのように言及されるが、層72は、任意の適切な導電性材料を含んでよいこと、そして非光学的MEMS構造の場合は透明である必要がないことが理解される。同様に、部分反射層74は、ときにクロム層として言及されるが、任意の適切な部分反射層を含んでよく、非光学的MEMS構造の場合は省くことが可能である。
【0046】
導電層72および部分反射層74は、次いで、底部電極を形成するためにパターン形成およびエッチングを施される。底部電極は、行電極とも称され、図8の移動可能層66に交差するように(例えば垂直に)走るとともに、MEMS素子の行をアドレス指定するために使用される。導電層72および部分反射層74は、また、特定の実施形態では、支柱構造を配置される領域の下位のITOおよびクロムを除去するためにパターン形成およびエッチングを施され、図9Bに示されるように、開口76を形成することもできる。このパターン形成およびエッチングは、行電極を形成する場合と同じプロセスによってなされることが好ましい。支持構造の下位のITOおよびクロム(またはその他の導電性材料)の除去は、移動可能層などの上位の導電層と、底部電極との間における短絡のリスクを最小限に抑えるのに有用である。このため、図9Bおよび後続の図は、層72および層74によって形成されかつ隔離開口76をエッチングされた連続的な行電極を、これらの開口を通る線に沿って図示した断面図である。開口76を形成するための導電層72および部分反射層74のエッチングを施されなかったその他の実施形態では、後ほど説明される誘電層によって、底部電極と移動可能層との間の短絡に対抗する十分な保護を提供することができる。
【0047】
導電層72および部分反射層74は、フォトリソグラフィを通じてパターン形成するとともに、例えば市販のウェットエッチングを通じてエッチングすることができる。クロムのウェットエッチングは、酢酸(C2H4O2)の溶液および硝酸アンモニウムセリウム[Ce(NH4)2(NO3)6]の溶液を含む。ITOのウェットエッチングは、HCl、HClとHNO3との混合、または75%/3%/22%の割合のFeCl3/HCl/DIとH2Oとの混合を含む。開口76が形成されると、図9Cに見られるように、導電層72および部分反射層74の上に誘電層78が堆積され、光学スタック16が形成される。誘電層としては、多岐にわたる様々な適切な材料が使用されてよいものの、特定の実施形態では、誘電層は、SiO2またはSiNxを含むことができる。
【0048】
本明細書において開示される各種の実施形態に関連して述べられるパターン形成プロセスおよびエッチングプロセスを実施するために、様々な方法を使用することができる。使用されるエッチングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれであってもよく、等方性または異方性であることが可能である。適切なドライエッチングは、SF6/O2、CHF3/O2、SF2/O2、CF4/O2、およびNF3/O2を含むが、これらに限定されない。一般に、これらのエッチングは、SiOx、SiNx、SiOxNy、スピンオンガラス、Nissan(商標)ハードコート、およびTaOxのうちの1つまたは複数をエッチングするのに適しているが、その他の材料もまた、このプロセスによってエッチングすることができる。これらのエッチングの1つまたは複数に対して耐性を持ち、このためエッチング障壁層として使用することができる材料は、Al、Cr、Ni、およびAl2O3を含むが、これらに限定されない。また、本明細書で説明されるプロセスでは、PADエッチング、BHF、KOH、およびリン酸を含むがこれらに限定されないウェットエッチングが用いられてよく、一般に、金属材料をエッチングするために使用することができる。一般に、これらのエッチングは、等方性であってよいが、エッチング化学剤をイオン化してそれらのイオンを基板にぶつけることによる反応性イオンエッチング(RIE)の使用を通じて異方性にすることもできる。パターン形成は、フォトレジスト(PR)層(ポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジストのいずれか)の堆積を含み、該層は、次いで、マスクを形成するために使用される。あるいは、ハードマスクを用いることができる。いくつかの実施形態において、ハードマスクは、金属またはSiNxを含んでよいが、ハードマスクの組成は、エッチングされる下位の材料と、使用されるエッチングの選択性とに依存することが理解される。ハードマスクは、通常、PR層を使用してパターン形成される。PR層は、次いで除去され、ハードマスクは、下位の層をエッチングするためのマスクとして使用される。ハードマスクの使用は、ウェットエッチングが使用される場合において、またはPRマスクを扱えないような条件下(高温下である場合、もしくは酸素をベースにしたエッチングを使用する場合など)でマスクを通して行われる処理のあらゆる時点において、とりわけ好都合である。あるいは、アッシングエッチングプロセスまたはリフトオフプロセスなどの、層除去のための代替の方法を用いることも可能である。
【0049】
光学スタック16を形成する層の厚さおよび配置は、インターフェロメトリックモジュレータ素子が作動され(潰され)、移動可能層66を光学スタックと接触させたときに、該素子によって反射される色を決定する。特定の実施形態では、光学スタックは、移動可能層が作動位置にあるときに、インターフェロメトリックモジュレータ素子がほとんど可視光を反射させない(暗く見える)ように構成される。誘電層78の所望の厚さは、材料の屈折率と、潰された状態下でインターフェロメトリックモジュレータによって反射される所望の色と、の両方に基づいて可変であることが理解されるが、通常、誘電層78の厚さは、約450Åである。簡単のため、図中では平面的(誘電層78がスピンオンガラスである場合に実現可能である)なものとして描かれているが、誘電層78は、通常、層72,74で形成されたパターン形成された下部電極の上に形状的に合致する。
【0050】
図9Dに見られるように、次いで、誘電層78の上に、犠牲材料の層82が堆積される。特定の実施形態では、この犠牲層82は、具体的にはXeF2などフッ素をベースにしたエッチャントよってエッチング可能な材料で形成される。例えば、犠牲層82は、モリブデンまたは非晶質シリコン(a−Si)で形成することができる。他の実施形態では、犠牲層は、タンタルまたはタングステンを含むことができる。犠牲材料として有用なその他の材料には、シリコン窒化物、特定の酸化物、および有機材料が含まれる。堆積される犠牲層82の厚さは、光学スタック16と移動可能層66との間の距離を決定し、したがって、インターフェロメトリックギャップ19(図7Aを参照せよ)のサイズを定める。ギャップ19の高さは、非作動位置にあるときのインターフェロメトリックモジュレータ素子によって反射される色を決定するので、犠牲層82の厚さは、インターフェロメトリックモジュレータの所望の特性に依存して異なる。例えば、非作動位置にあるときに緑を反射するモジュレータ素子が形成される一実施形態では、犠牲層82の厚さは、およそ2000Åである。更なる実施形態では、異なる色を生成するために異なるサイズのインターフェロメトリックギャップが使用されるマルチカラーディスプレイシステムなどのように、MEMSデバイスの配列上の場所によって犠牲層の厚さが異なることが可能である。
【0051】
図9Eでは、テーパ開口86を形成するために、犠牲層82がパターン形成されエッチングされたことがわかる。開口86は、ITOの層72およびクロムの層74の中に切り込まれた開口76の上位に位置する。これらの開口86は、フォトリソグラフィを使用してマスクで犠牲層を覆い、次いで、ウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれかを実施して犠牲材料の一部を除去することによって形成することができる。適切なドライエッチングは、SF6、CF4、およびCl2、あるいはこれらのガスと、O2、またはHeもしくはArなどの希ガスとの任意の混合を含むが、これらに限定されない。Moのエッチングに適したウェットエッチングは、リン酸、酢酸、硝酸、および脱イオン水の16:1:1:2の割合での混合であるPANエッチングを含む。非晶質シリコンは、KOHおよびHF硝酸塩を含むウェットエッチングによってエッチングすることができる。しかしながら、ドライエッチングは、テーパ開口86の形状をより良く制御することを可能にするので、犠牲層82のエッチングには、ドライエッチングが使用されることが好ましい。
【0052】
図9Fでは、エッチングされた犠牲層82の上に、移動可能層66(例えば、図7Aの移動可能な反射層14を参照せよ)を形成する構成要素が堆積され、テーパ開口86を縁取りすることがわかる。図9Fの実施形態では、先ず、ミラーまたはミラー層とも称される高反射性の層90が堆積され、次いで、機械層92が堆積される。高反射層90は、広い波長スペクトル領域において高い反射性を有するというその特性ゆえに、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成することができる。機械層92は、NiおよびCrなどの金属を含んでよく、残留引っ張り応力を含有するように形成されることが好ましい。残留引っ張り応力は、モジュレータが非作動状態にある、すなわち「解放されている」ときに移動可能層66を光学スタック16から引き離す、機械的な力を提供する。便宜のため、高反射性の層90と機械層92との組み合わせは、移動可能層66として総称される。ただし、本明細書において使用される移動可能層という用語は、図7Cの機械層34および移動可能な反射層14など、部分的に分離された機械層および反射層をも範囲に含むことが理解される。
【0053】
犠牲層をXeF2エッチングによってエッチングする一実施形態では、反射層90および機械層92の両方がXeF2エッチングに対して耐性を持つことが好ましい。もしこれらの層のいずれかが耐性を持たない場合は、その非耐性の層を保護するために、エッチング停止層を使用することができる。また、テーパ開口86のテーパ形状は、反射層90および機械層92の形状合致式の堆積を容易にすることがわかる。このテーパ形状がないと、開口86の外の表面上および開口86の内部において実質的に均一の厚さを有するようにこれらの層を堆積することは困難であろう。
【0054】
代替の一実施形態では、移動可能層66は、高反射性であるとともに所望の機械的特性を有する単一の層を含むことができる。しかしながら、2枚の別々の層を堆積すれば、移動可能層66内の唯一の材料としての使用には不適切であるかもしれないが反射性は高いような材料を選択することが可能になり、同様に、反射特性にこだわることなく適切な機械層を選択することも可能になる。更なる実施形態では、移動可能層は、曲がらずに垂直に平行移動可能であるように機械層から大きく切り離された反射性副層を含むことができる(例えば、図7C〜7E、およびそれらの付随の説明を参照せよ)。このような一実施形態を形成するための方法の1つは、犠牲層の上に反射層を堆積し、次いで、この反射層を、個々の反射副層を形成するためにパターン形成することを含む。次いで、反射層の上に、第2の犠牲材料層が堆積され、パターン形成される。これは、第2の犠牲材料層を通して機械的副層と反射性副層との間に接続を形成すること、および支持構造のためのテーパ開口の形成を可能にするために実施される。
【0055】
形成されるMEMSデバイスが非光学的MEMSデバイス(例えばMEMSスイッチ)を含むような他の実施形態では、移動可能層66は、反射性材料を含む必要がないことが理解される。例えば、本明細書で述べられた支持構造を含むMEMSスイッチなどのMEMSデバイスが形成される実施形態では、移動可能層66の下面は、反射性である必要がなく、機械的特性またはその他の所望の特性のみに基づいて選択された単一の層を有利に含むことができる。
【0056】
図9Gでは、リベット層とも称される剛性の層96が、機械層92の上に堆積される。リベット層96は、下位の機械層92に対する支持を提供する構造を形成する一方で、モジュレータの作動中はほとんど変形されないので、リベット層96を形成する材料は、機械層92を形成する材料ほど可撓性である必要はない。リベット層96での使用に適した材料は、アルミニウム、AlOx、シリコン酸化物、SiNx、ニッケル、およびクロムを含むが、これらに限定されない。リベット構造を形成するために使用されうる代替の材料には、他の金属、セラミック、および高分子が含まれる。リベット層96の厚さは、使用される材料の機械的特性に応じて異なる。
【0057】
機械層および反射層に関連して述べられたように、リベット層96としては、特定の実施形態で犠牲層をエッチングするために使用されうるXeF2エッチングに対して耐性の材料を選択することが望ましいであろう。また、移動可能層66を影響を受けない状態にとどめたままリベット層96のエッチングを可能にするため、リベット層96は、図示された実施形態では機械層92である下位の移動可能層66の上面に対して選択的にエッチング可能であることが好ましい。しかしながら、もし、リベット層96が移動可能層66に対して選択的にエッチング可能でない場合は、リベット層96と移動可能層66との間にエッチング停止層(不図示)を提供することができる。
【0058】
図9Hにおいて、リベット層96は、フォトリソグラフィを通じてパターン形成され、開口86から離れて位置する部分のリベット層96が除去されるようにエッチングされることによって、移動可能層66に隣接して位置する、リベット構造とも称される支持構造62を形成する。支持構造は、たとえ、支持構造と移動可能層との間にエッチング障壁層などの介在層が配置される場合でも、移動可能層に隣接していると見なすことができる。リベット層96のエッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれかによって実施することができる。リベット層96がアルミニウムを含む実施形態では、適切なウェットエッチングは、リン酸、またはKOH、TMAH、およびNaOHなどの塩基を含み、適切なドライエッチングは、Cl2を使用する。リベット層96がSiO2を含む他の実施形態では、ドライエッチングとして、フッ素をベースにしたガスと、O2または希ガスのいずれかとの混合を使用することができ、適切なウェットエッチングは、HFまたは緩衝酸化物エッチング(BOE)である。
【0059】
やはり図9Hに示されるように、支持構造62は、支持構造62がテーパ開口86の外まで伸びて機械層92の上面を覆うリップ領域98を含みうることがわかる。このリップは、下位の機械層のたわみを抑制し、インターフェロメトリックモジュレータ素子のアクティブ領域を減少させるので、リップの大きさは、最小限に抑えることが有利である。しかしながら、特定の実施形態では、支持を提供するために、いくらかのごく小さいリップ部分98が望まれる。図示された実施形態からわかるように、支持構造62は、また、傾斜した側壁部分97と、実質的に平坦な基底領域99とを含むことができる。
【0060】
次に、図9Iでは、犠牲層のエッチングを容易にするために、フォトリソグラフィを使用することによって、犠牲層82の一部を露出させるエッチングホール100を形成するための機械層92のパターン形成ならびに移動可能層66(すなわち機械層92および反射層90)のエッチングを行う。特定の実施形態では、犠牲層を露出させるために、複数のエッチングが用いられる。例えば、もし機械層92がニッケルを含み、反射層90がアルミニウムを含む場合は、機械層92をエッチングするためにHNO3を使用し、反射層90をエッチングするためにリン酸、またはNH4OH、KOH、THAM、もしくはNaOHなどの塩基を使用することができる。このパターン形成およびエッチングは、また、帯状の移動可能層66間にギャップ65(図8を参照せよ)をエッチングし、MEMSデバイスの列どうしを互いに分離することによって、図8に見られるような帯状電極を定めるためにも使用することができる。
【0061】
最後に、図9Jでは、犠牲層を除去し、移動可能層66が中で移動することができるインターフェロメトリックギャップ19を形成するために、リリースエッチングが実施されることがわかる。特定の実施形態では、犠牲層82を除去するために、XeF2エッチングが使用される。XeF2は、犠牲材料をよくエッチングし、上述されたプロセスで使用されるその他の材料に対して極めて選択性であるので、XeF2エッチングの使用は、周囲の構造にほとんど影響を及ぼすことなく有利に犠牲材料の除去を可能にする。
【0062】
このため、図9Jは、図8のインターフェロメトリックモジュレータ素子60の1つなどのインターフェロメトリックモジュレータ素子の一部を、線9J−9Jに沿って示したものである。この実施形態では、移動可能層66は、移動可能層66内のくぼみ86の上に形成された支持構造62によって、ギャップ19の全範囲にわたって支持されている。上述されたように、下位の光学スタック16は、光学スタック16の導電性部分と移動可能層66内の導電層との間における短絡のリスクを最小限に抑えるために、その一部をエッチングされていると有利である。しかしながら、このステップは、必ずしも全ての実施形態で実施される必要はない。
【0063】
別の一実施形態では、支持構造は、移動可能層の下位にある柱、好ましくは無機質の柱の形態をとることができる。無機支柱を含むインターフェロメトリックモジュレータを製造するための代表的な一プロセスは、図9A〜9Eのステップを含み、図10A〜10Dに関連して説明される。便宜のため、層72,74,78の組み合わせは、本明細書において光学スタック16と称され、以降の図面では、便宜のため、単一の層として示される。上述されたように、光学スタック16の組成は、層の枚数およびこれらの層の成分の両方に関して可変であること、そして上述された層は、単なる代表的なものであることが理解される。
【0064】
図10Aでは、無機柱層84がテーパ開口86の側壁および基底も覆うように、パターン形成された犠牲層82の上に、無機柱材料の層84が堆積される。特定の実施形態では、無機柱層84は、犠牲層82より薄く、犠牲層82の上に形状的に合致する。特定の実施形態では、無機柱層84は、シリコン窒化物(SiNx)またはSiO2を含むことができるが、多岐にわたる他の様々な材料も使用することができ、その一部は後ほど詳述される。図10Bにおいて、無機柱層84は、無機柱88を形成するために、パターン形成されエッチングされる。図10Bでは、無機柱88の縁が、好ましくは、開口86のテーパ側壁、すなわち傾斜した側壁と同様にテーパ形状になることによって、上位の層の連続式でかつ形状合致式の堆積を容易にすることがわかる。図示された実施形態の柱構造88は、犠牲層82より薄い厚さを有しており、実質的に平坦な基底部分89と、傾斜した側壁部分87と、犠牲材料の一部の上に広がる実質的に水平な羽部分85とを含むことがわかる。このため、柱88は、上位の移動可能層66(図10Dを参照せよ)を支持するために、実質的に平坦な表面を柱の縁に提供することによって、もし移動可能層66がより平坦でない縁の上に堆積された場合に生じるであろう応力、およびその結果としての望ましくないたわみを、有利に最小限に抑えることができる。
【0065】
1つの実施形態では、無機柱層84およびその結果としての柱88は、ダイヤモンド状炭素(DLC)を含む。DLCの無機柱層84は、極めて硬質で堅い(SiO2のおよそ10倍の硬さである)だけでなく、O2ドライエッチングでエッチングすることができる。O2ドライエッチングは、Moおよびa−Siの犠牲材料ならびに上述されたその他の犠牲材料を含むがこれらに限定されない多岐にわたる様々な犠牲材料に対して高選択性である点で有利である。このため、DLCを含む無機柱は、多岐にわたる様々な材料に対して比較的害のないエッチングの使用を可能にする一方で、非常に堅い柱を提供することによって、上位の移動層または機械層がMEMS動作中に下方に引っ張られた際に支柱88の縁が下方にたわむ可能性および量を低減させる。
【0066】
図10Cでは、無機柱88と、犠牲層82の露出部分との上に、高反射層90が堆積される。次いで、高反射層90の上に、機械層92が堆積される。便宜のため、上記のように、高反射層90および機械層92は、後続の図面において移動可能層66(図10Dを参照せよ)として言及されかつ図示され、より具体的に言うと、高反射層90の上に機械層92が直接堆積される場合は変形可能な反射層として常に言及されかつ図示される。代替の実施形態では、移動可能層66は、所望の光学的特性および機械的特性を有する単一の層を含むことができる。例えば、MEMS機械スイッチのための機械層または移動層は、反射層を含む必要がない。更に別の実施形態では、既に述べられたように、移動可能層は、図7Cの層14および層34のように、実質的に分離された機械層および反射層を含むことができる。図10Dでは、インターフェロメトリックモジュレータ素子60によって反射される色を変化させるべく移動可能層66が中を移動することができるインターフェロメトリックギャップ19を有するインターフェロメトリックモジュレータ素子60が形成される。リリースエッチングに先立って、移動可能層66は、列(不図示)を形成するためにパターン形成されることが好ましく、リリースエッチングによる犠牲層へのアクセスを容易にするエッチングホール(たとえば図9Jのエッチングホール100を参照せよ)を形成するために、更にパターン形成されると有利である。
【0067】
支持構造および機械層は、柱構造内の層、より具体的には支持構造内の層と移動可能層とが、これらの層の長さに沿った横方向に、他の層に対して相対的に膨張または収縮する傾向の結果として、望ましくないたわみを生じる。いくつかの状況では、これらの傾向は、支持構造および移動可能層を形成する材料内の固有応力の結果であり、これらの層を形成する材料およびこれらの層を堆積する方式の関数である。このような相対的変形の傾向のもととなる追加の要因は、層の熱膨張の差異であり、これは、2種類の異なる材料間における熱膨張係数の不一致と、MEMSデバイスの動作温度と、材料の弾性係数と、材料の堆積条件と、の関数である。隣り合うまたはその他の形で統合された複数の層が異なる熱膨張係数を有する場合は、統合された層の大きさの相対的変化によってたわみが引き起こされるのみならず、動作温度の結果として全体的なたわみが変動する可能性もある。このようなたわみは、インターフェロメトリックキャビティの高さを変化させ、そうして、インターフェロメトリックモジュレータ素子によって反射される色に影響を及ぼすので、このようなたわみは、可能な限り排除するまたは最小限に抑えることが望まれる。同様の問題は、非光学的MEMSでも生じる可能性がある。本明細書において、「膨張または収縮する傾向」という用語、およびそれに類似する用語は、影響される領域(支柱領域など)内における残留応力の不均衡の結果としてもたらされる相対的変形の傾向と、例えば統合されたまたは隣り合う層間の熱膨張係数の差異の結果としてもたらされる変形に起因する応力と、の両方を意味することが理解される。
【0068】
1つの実施形態では、支持構造の材料および厚さは、支持構造の領域内において特定の層が互いに対して横方向に膨張または収縮する傾向が最小限に抑えられるように選択されるので、支持構造の縁のたわみは、最小限に抑えられるまたは排除される。図11に示された具体的な一実施形態では、インターフェロメトリックモジュレータ素子は、あわせて移動可能層66を形成する機械層92および反射層90の上に形成されるリベット構造62を含む。リベット62の縁における、このような材料内の相対的変形の傾向を回避するため、リベット62は、移動可能層66の実質的鏡像となるように、機械層92および反射層90とほぼ同じ内部応力、好ましくは同じ材料および厚さを有する層で形成される。対応する層どうしの厚さは、好ましくは互いの5%以内である。したがって、本実施形態では、リベット62は、機械層92と同じ厚さおよび材料の第1の副層110を含み、更に、反射層90と同じ厚さおよび材料の第2の副層112を含む。リベット62と変形可能な移動可能層66とは、同じ材料66で形成されるので、対応する層どうしの熱膨張係数は、有利に等しい。熱膨張係数の差異ゆえに、副層110は、副層112と異なる速度で膨張または収縮する可能性があるものの、この格差によってもたらされるいかなる応力も、対称的な下位層内における逆の応力によって実質的に打ち消される。
【0069】
リベット構造62を形成するために、副層110は、機械層92に対して選択的にエッチングされることが望ましいものの、機械層124と同じ材料で形成されているので、図示されるように、副層110と機械層92との間には、エッチング停止層114を堆積することができる。エッチング停止層114内の残留応力は、その他のいかなる層内における応力とも釣り合わない一方で、この実施形態の対称性は、エッチング停止層114を、構造の中立軸に沿ってまたは構造の中立軸の極めて近くに配置する。したがって、エッチング停止層114内のいかなる応力も、またはその他の層に対する層114の相対的な熱膨張に起因するいかなる応力も、構造に対して大きなモーメントを作用させることはなく、上向きにも下向きにも大きなたわみをもたらすことはない。特定の実施形態では、エッチング停止層114は、化学気相成長(CVD)またはプラズマCVDのいずれかによって堆積された、SiO2、TEOS、炭素をドープされた酸化物、またはSiNxを含むがこれらに限定されない材料を含むことができる。シリコン酸化物をベースにした材料は、リベット層および機械層がNi、Cr、またはNiCr合金を含む場合に適切なエッチング停止層として機能する。これらのエッチング停止層は、200〜2000オングストロームの厚さを有してよいが、より厚いまたはより薄いことも可能である。その他のエッチング障壁層を使用することも可能である。特定のリベット層(例えばNi、Cr、またはNiCr合金)をエッチング停止層(シリコン酸化物またはシリコン窒化物の形態をとる)に対してエッチングするのに適したエッチングの1つは、硝酸(HNO3)エッチングである。このようなエッチング障壁層をリベット層/機械層に対して選択的に除去するのに適したエッチングは、フッ素をベースにした(例えば反応性イオンエッチング)エッチングまたは緩衝酸化物エッチング(BOE)ウェットエッチングを含むがこれらに限定されない。
【0070】
上記の構造について、複数の変更形態が可能である。リベット構造62に使用する材料として、移動可能層66内の材料と同じではないが移動可能層66内と類似のもしくは同一の正味残留応力を含む1種または複数種の材料を選択することによって、所望の効果を提供することが可能である。これらの材料のいくつかは、機械層92に対して選択的にエッチング可能であることによって、エッチング障壁層114を有利に排除することができる。同様に、構造構成層の熱膨張の差異の結果として構造全体のたわみを排除するまたは最小限に抑える材料を選択することが可能である。
【0071】
更なる一実施形態では、無機柱88の上位にリベット構造62がある実施形態において、支持構造の、とりわけ縁におけるたわみを排除するまたは最小限に抑えるように、上記の構造を変更することができる。図12に示された具体的な一実施形態では、リベット62と無機柱88とは、実質的に同一の材料によって、実質的に同じ厚さを有する層となるように形成される。リベット62および無機柱88が複数の層を含む場合は、これらは、(層として見て)リベット62が無機柱88の鏡像となるように、対称的に形成されることが好ましい。図11の実施形態に関して上述されたのと同様に、リベット62内の残留応力と、無機柱88内の残留応力とは、互いに相殺される。移動可能層66内の残留応力は、いずれも相殺されないが、これらの応力は、支持構造の中立軸に近い線に沿って作用するので、これらの応力の結果として生じるいかなる変形も、最小限に抑えられるまたは排除される。無機柱88およびリベット62が移動可能層66より厚く形成されるまたは移動可能層66より堅い材料で形成される実施形態では、あらゆるたわみを更に最小限に抑えることができる。
【0072】
更なる一実施形態では、図13に示されるように、移動可能層66自体を対称的に作成することができる。基板70側から見るインターフェロメトリックモジュレータなどの光学的MEMSデバイスでは、移動可能層66の上面が反射性である必要はないものの、MEMSデバイスの上面への反射層の追加が、光学的MEMSデバイスの特定の実施形態に悪影響を及ぼすことはない。このため、図13の実施形態は、上部副層120を含む移動可能層66を含み、この上部副層120は、1つの実施形態では反射層90と同じ材料を含む。柱88とリベット62とが対称的であるのに加えて、移動可能層66自体も対称的に構成すれば、反射層90内の残留応力と上部副層120内の残留応力とが互いに打ち消しあい、機械層92内のあらゆる応力が実質的に構造の中立軸に沿って作用するので、これらの応力によって大きなモーメントが働くことはない。上部副層120は、更に、エッチング障壁層としても機能することによって、機械層に対して選択的にエッチング可能でないようなリベット材料および柱材料を使用する(例えば、別々にパターン形成された機械層、柱、およびリベットのそれぞれについて、ニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金を使用する)ことを有利に可能にする。
【0073】
図14に示された別の一実施形態は、図11の実施形態において、副層110の位置と副層112の位置とを逆転させた変更形態である。このため、1つの実施形態では、反射層90とほぼ同じ材料および厚さの第2の副層112が、機械層92の上に堆積され、機械層92とほぼ同じ材料および厚さの第1の副層110が、第2の副層112の上に堆積される。したがって、リベット62は、変形可能な反射層(機械層と反射層とを含む)と同じ構造を有するが、図11の実施形態と異なり、変形可能な反射層の鏡像ではなく、単に対称性である。第2の副層112は、それ自体がエッチング障壁層として機能してもよいし、あるいは別のエッチング障壁層(不図示、図13のそれと同様)の上に堆積されてもよい。具体的な一実施形態では、反射層はAlを含み、機械層はNiを含む。Alは、様々なエッチング停止層に対してNiよりもよく接着し、リベットと変形可能な反射層との対称性は、たとえ互いの鏡像どうしでない場合でも、望ましくないたわみを最小限に抑える。
【0074】
別の一実施形態では、上述された構造を、リベット構造ではなく柱構造に適用することができる。図15は、柱構造88が機械層92と実質的に同じ厚さでかつ実質的に同じ材料を含む一実施形態を示している。反射層90は、基本的に、柱構造の中央部分に沿って走るので、横方向に変形するいかなる傾向も、結果として、支持構造の縁におけるたわみをたとえあるにせよごく小さく抑えられることが理解される。図示された実施形態の柱層は、機械層92と実質的に同じ材料を含むので、このような柱は、ニッケルまたはクロムなどの金属を含むように形成されることが好ましい。
【0075】
上記の構造は、図7C〜7Eに図示されかつ関連して説明されたインターフェロメトリックモジュレータなどのように、実質的に分離された機械層および反射層を有するMEMS素子について、その支持構造領域内における相対的変形の傾向を最小限に抑えるように変更可能であることが理解される。支柱領域内に位置する部分の機械層から反射層が切り離されているような一実施形態では、ミラー層内におけるいかなる変形の傾向も、結果として支持構造のたわみをもたらさない。このため、1つの実施形態では、柱構造またはリベット構造などの隣接する支持構造を、機械層と同じ材料でかつ機械層と同じ厚さに形成し、これらの支持構造と機械層との間にエッチング停止層を形成することによって、支持構造または機械層のいずれか一方を、選択的にエッチング可能にすることができる。別の一実施形態では、機械層の両側に、実質的に対称的な柱構造およびリベット構造を形成し、必要に応じて、支持構造と機械層との間にエッチング停止層を形成することができる。
【0076】
上記の実施形態は、様々に組み合わせ可能であることが理解される。上述された支持構造の様々な組み合わせが考えられ、発明の範囲内に含まれる。また、上記のどの方法によって形成された支持構造も、これらの支持構造の剛性および耐久性を向上させるために、または支持構造内の層が互いに対して横方向に変形する傾向を最小限に抑えるために、支持構造を形成するその他の方法と組み合わせて用いられてよいことが理解される。
【0077】
また、上記の実施形態において、これらの層の順番およびこれらの層を形成する材料は、例示的なものに過ぎないことが認識される。更に、いくつかの実施形態では、MEMSデバイスの部分を形成するために、または基板上のその他の構造を形成するために、図示されていない他の層の堆積および処理を行うことが可能である。当業者には知られているように、他の実施形態では、これらの層は、堆積、パターン形成、およびエッチングに関して代替の材料およびプロセスを使用して形成したり、異なる順序で堆積したり、または異なる材料で構成したりすることが可能である。
【0078】
また、文言によって具体的に明記されていない限り、本明細書に記載されたどの方法の行為または実施も、実施形態に応じて、他の順序で実施したり、追加したり、まとめたり、または完全に省略したりすることが可能である(例えば、必ずしも全ての行為または実施が方法の実施に必要であるとは限らない)。
【0079】
上記の詳細な説明は、本発明の新規の特徴を、様々な実施形態に照らして図示、説明、および指摘してきたが、当業者ならば、例示されたデバイスまたはプロセスの形態および詳細について、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な省略、置換、および変更をなせることが、理解されるであろう。特徴のいくつかは、他の特徴と別個に使用または実施することができるので、本発明は、本明細書に明記された特徴およびメリットの全てを提供するのではない形態の範囲内で実現可能であることがわかる。
【符号の説明】
【0080】
16 光学スタック
19 ギャップ
62 リベット
66 移動可能層
70 基板
90 高反射層
92 機械層
110 第一の副層
112 第二の副層
114 エッチング停止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に位置する電極層と、
前記電極層の上に位置する移動可能層であって、通常、エアギャップによって前記電極層から隔てられる移動可能層と、
前記移動可能層の下位にある少なくとも一つの下位の支持構造と、
を備えた電気機械デバイスであって、
前記移動可能層が、
前記電極層に面した側の前記移動可能層上の反射性副層と、
機械的副層と、
前記反射性副層と反対の側の前記機械的副層上の上部副層と、
を含む、電気機械デバイス。
【請求項2】
前記移動可能層内の応力が、実質的に前記機械的層の中立軸に沿って作用する、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項3】
前記機械的層内の応力が、前記移動可能層に対して大きなモーメントを与えない、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項4】
前記反射性副層の厚さが、前記上部副層の厚さと異なる、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項5】
前記反射性副層の厚さが、前記上部副層の厚さの5%以内である、請求項4に記載の電気機械デバイス。
【請求項6】
前記反射性副層と前記上部副層とが、実質的に同じ材料を含む、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項7】
前記反射性副層の熱膨張係数が、前記上部副層の熱膨張係数と実質的に等しい、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項8】
前記移動可能層の上位にある少なくとも一つの上位の支持構造をさらに備え、
前記上位の支持構造が、実質的に前記下位の支持構造の上位にあり、
前記上位の支持構造内の残留応力が、前記下位の支持構造内の残留応力と実質的に釣り合う、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項9】
前記上位の支持構造と前記下位の支持構造とが、実質的に同じ材料を含む、請求項8に記載の電気機械デバイス。
【請求項10】
前記電極層と同じ側の前記エアギャップ上に位置する部分反射性層をさらに備える、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項11】
前記電気機械デバイスが、インターフェロメトリックモジュレータを含む、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項12】
前記電極層および前記移動可能層の少なくとも一方と通信するように構成されたプロセッサであって、画像データを処理するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと通信するように構成されたメモリデバイスと、
をさらに備える、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項13】
前記電極層および前記移動可能層の少なくとも一方に少なくとも1つの信号を送信するように構成されたドライバ回路と、
前記ドライバ回路に前記画像データの少なくとも一部を送信するように構成されたコントローラと、
をさらに備える、請求項12に記載の電気機械デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサに前記画像データを送信するように構成された画像ソースモジュールをさらに備え、
前記画像ソースモジュールが、レシーバ、トランシーバ、およびトランスミッタの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の電気機械デバイス。
【請求項15】
入力データを受信して、前記入力データを前記プロセッサに通信するように構成された入力デバイスをさらに備える、請求項12に記載の電気機械デバイス。
【請求項16】
電気機械デバイスを製造する方法であって、
基板を提供する段階と、
前記基板の上に電極層を堆積する段階と、
前記電極層の上に犠牲層を堆積する段階と、
開口を形成するために、前記犠牲層をパターン形成する段階と、
少なくとも部分的に前記開口内に位置する少なくとも一つの支持構造を形成する段階と、
前記少なくとも一つの支持構造の上に移動可能層を形成する段階と、
を備え、
前記移動可能層を形成する段階が、
反射性副層を堆積する段階と、
前記反射性副層の上に機械的副層を堆積する段階と、
前記機械的副層の上に上部副層を堆積する段階と、
を含む、方法。
【請求項17】
前記犠牲層を除去するために前記犠牲層をエッチングし、これによって、前記移動可能層と前記電極層との間にキャビティを形成する段階をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反射性副層と前記上部副層とが、実質的に同じ材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記反射性副層の厚さが、前記上部副層の厚さと異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記反射性副層の厚さが、前記上部副層の厚さの5%以内である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−68959(P2013−68959A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−251991(P2012−251991)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2008−527197(P2008−527197)の分割
【原出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.GSM
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】