説明

情報出力装置

【課題】データ検索に係る処理時間を短縮すると共にユーザーの操作フィーリングを向上させた情報出力装置を提供すること。
【解決手段】ユーザーにより入力されたテキストデータに該当する情報をデータベース20から抽出する抽出手段50と、抽出手段50により抽出された情報を出力する出力手段30と、を備える情報出力装置であって、抽出手段50は、入力されたテキストデータにおける置換可能な特定キーワードを特定キーワードに対応付けられた置換キーワードに置換可能な手段であると共に、入力されたテキストデータ、又は特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータ、のいずれかに該当する情報をデータベース20から抽出する手段であり、出力手段30は、ユーザーにより入力されたテキストデータと共に抽出手段50により抽出された情報を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車載ナビゲーション装置に適用されて好適な、ユーザーにより入力されたテキストデータに該当する情報をデータベースから抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された情報を出力する出力手段と、を備える情報出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なナビゲーション装置では、目的地に対応付けられた位置情報などが記憶された地図データベースを備え、ユーザー(運転者や乗員)が入力した目的地に該当するデータを地図データベースから検索した後に、ユーザーにより確定された目的地に応じて経路案内を行なう等の処理が行なわれている。この際に、地図データベースのデータ量を低減することにより、データ検索に係る処理時間を短縮することができる。
【0003】
入力された検索キーワードを用いてデータベースからデータを検索する装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この装置では、略語や固有名詞以外の部分を他の言葉に変換して検索を行なっている。
【0004】
この装置の如く、置換可能な言葉(例えば、ナビゲーション装置の場合は、「百貨店」と「デパート」等)を検索処理において適宜置換可能な構成とすると、データベース上にこれら(上記の例では、「A百貨店」と「Aデパート」)の双方を記憶する必要が無くなるため、データベースのデータ量を低減することができる。
【特許文献1】特開平10−162008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の装置では、当初入力された検索キーワードをデータラベルとしてそのまま出力しない場合が想定され、これにより、ユーザーが違和感を覚える場合がある。従って、仮に上記従来の装置がナビゲーション装置に適用されたとすると、データ検索に係る処理時間を短縮することはできるものの、ユーザーにより目的地を確定する操作が比較的時間を要するものとなる場合が生じる。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、データ検索に係る処理時間を短縮すると共にユーザーの操作フィーリングを向上させた情報出力装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ユーザーにより入力されたテキストデータに該当する情報をデータベースから抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された情報を出力する出力手段と、を備える情報出力装置であって、抽出手段は、入力されたテキストデータにおける置換可能な特定キーワードを特定キーワードに対応付けられた置換キーワードに置換可能な手段であると共に、入力されたテキストデータ、又は特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータ、のいずれかに該当する情報をデータベースから抽出する手段であり、出力手段は、ユーザーにより入力されたテキストデータと共に抽出手段により抽出された情報を出力することを特徴とするものである。ここで、入力されたテキストデータとは、キーボード等の入力機器により文字列として入力されたテキストデータはもとより、音声により入力されてテキストデータに変換されたもの等を含む。
【0008】
この本発明の一態様によれば、ユーザーにより入力されたテキストデータから置換可能な特定キーワードを抽出し、入力されたテキストデータ、又は特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータ、のいずれかに該当する情報をデータベースから抽出して、且つ、入力されたテキストデータと共にデータベースから抽出された情報を出力するから、ユーザーが出力に対して違和感を覚えることを抑制することができ、データ検索に係る処理時間を短縮すると共に、ユーザーの操作フィーリングを向上させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様において、特定キーワード及び前記置換キーワードは、好ましくは、地名に含まれる非固有名詞部分に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データ検索に係る処理時間を短縮すると共にユーザーの操作フィーリングを向上させた情報出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0012】
以下、図1〜3を用いて、本発明に係る情報出力装置の一実施例について説明する。図1は、本発明の情報出力装置が適用された一実施例に係るナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。ナビゲーション装置1は、主要な構成として、GPS(Global Positioning System)受信機10と、地図データベース20と、入力・表示装置30と、スピーカー40と、ナビゲーション装置用電子制御ユニット(以下、ナビゲーション装置用ECUと称する)50と、を備える。なお、以下の説明における機器間の通信は、CAN(Controller Area Network)等の適切な通信プロトコルを用い行なわれる。
【0013】
GPS受信機10は、自車両の現在位置(緯度、経度、及び高度等)を検出するための受信装置である。GPS受信機10による検出データは、ナビゲーション装置用ECU50に随時送信される。
【0014】
地図データベース20は、例えば、ハードディスクやDVD、CD−ROM等の記憶媒体上に地図データが保有されたデータベースである。この地図データは、いわゆる地点情報(POI:Point Of Interest)、すなわち、目的地に対応付けられた情報の形式を採用している。本実施例では、データラベルを兼ねる目的地、及び目的地の位置(緯度及び経度)、電話番号等が、一連のデータセットとして記憶されている。
【0015】
入力・表示装置30は、例えば、グラフィックシステムとしてVGA(Video Graphics Array)を採用して動画を含む画像表示を行なうと共に、タッチパネルとしてユーザーによる各種の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置である。入力・表示装置30は、その表面にユーザーがタッチ操作したことによる電圧の変化を検出して、タッチ操作された位置を認識する。また、入力・表示装置30は、後述する目的地検索のための文字入力に際しては、画面上の仮想入力キーになされるタッチ操作を検出する。なお、目的地検索のための文字入力の方法はこれに限られず、リモコンキーや音声認識装置等の他のデバイスを用いてもよい。入力・表示装置30になされた入力操作はナビゲーション装置用ECU50に送信され、入力・表示装置30の表示内容はナビゲーション装置用ECU50により決定される。
【0016】
ナビゲーション装置用ECU50は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等がバスを介して接続されたコンピューターユニットであり、タイマーやカウンター、通信ポート等を備える。また、図2に示す如くナビゲーション装置用ECU50は、このようなハードウエア構成を用いて実現される主要な機能ブロックとして、例えば、現在位置特定部52と、目的地検索部54と、経路案内部56と、を備える。
【0017】
現在位置特定部52は、基本的にはGPS受信機10から入力される入力信号に基づいて自車両の現在位置(緯度及び経度)を特定するが、必要に応じて、車速センサーやヨーレートセンサーのセンサー出力値により、適宜補正を行なっている。また、ビーコン受信機やFM多重放送受信機を備え、自車両の現在位置を検出するものとしてもよい。
【0018】
目的地検索部54は、ユーザー(運転者や乗員)により入力・表示装置30等を用いて入力された目的地(テキストデータ)をラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在するか否かを検索し、存在する場合は、ユーザーによる確定操作を経てこれを最終目的地に設定する。
【0019】
また、入力された目的地をラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在しない場合は、入力された目的地から置換可能な特定キーワードを抽出し、この特定キーワードが特定キーワードに対応付けられた置換キーワードに置換されたテキストデータをラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在するか否かを検索し、存在する場合は、同様にこれを最終目的地に設定する(以下、この特定キーワードを置換キーワードに置換して検索を行なう機能を、置換機能と称する)。この際に、目的地として表示される情報のラベルは、入力された目的地が用いられる。
【0020】
置換可能な特定キーワードと、これに対応付けられた置換キーワードの組み合わせは、例えば、ナビゲーション装置用ECU50のROMに予め記憶されてよい。この組み合わせは、本装置が用いられる国の言語によって種々のものが考えられる。例えば、日本国内において用いられる場合は、「**百貨店」と「**デパート」、「**駅」と「**ステーション」、「**高速道路」と「**ハイウエイ」、「**公園」と「**パーク」等が考えられる。なお、これらは地図データベース20における記憶態様に応じて、いずれが特定キーワードであり、いずれが置換キーワードであるかが決定されてよい。また、双方向に置換可能としてもよい。
【0021】
一方、欧米において用いられる場合は、「**Street」と「**St」、「**Avenue」と「**Av」、「**Parkway」と「**Pky」等が考えられる。
【0022】
こうすることにより、同一ラベルに対して異なるバリエーションでなされた入力操作(例えば、「A百貨店」と「Aデパート」等)のそれぞれに対応することができる。ところで、仮に、異なるバリエーションに対応するラベルをそれぞれ地図データベース20上に記憶するものとすると、地図データベース20の容量負担が大きくなり、また、データ検索に係る処理時間が長くなってしまう。そこで、本実施例のナビゲーション装置1では、こうした置換機能を備えることにより、地図データベース20の容量負担を軽減すると共にデータ検索に係る処理時間の短縮を図っている。特に、欧米の場合は、通りに関する地名が省略形で格納されていることが多く、ユーザーがフルスペルで入力した場合に目的地として出力されない場合が多いため、こうした置換機能の実益が大きい。
【0023】
また、本発明に係る置換機能は、地名に含まれる非固有名詞部分に限定してよい。地図データベース20上の各ラベル間で言葉が部分的に重複する場合は、上記の如く地名に含まれる非固有名詞部分が換言された場合が主であり、その他の重複例については、置換キーワードを用意する実益(上記の如く、地図データベース20の容量負担、及びデータ検索に係る処理時間の低減効果)が小さいからである。こうすることにより、過剰に特定キーワードと置換キーワードの組み合わせを用意して上記ROMの容量負担が大きくなることを、抑制することができる。
【0024】
経路案内部56は、現在位置特定部52により特定される自車両の現在位置から目的地検索部54により設定された最終目的地に至る最適な経路を選択し、入力・表示装置30及びスピーカー40を用いた経路案内を行なう。なお、本機能ブロックに関しては当業者には周知であり、詳細な説明を省略する。
【0025】
以下、ナビゲーション装置用ECU50が最終目的地を設定する際の具体的動作について説明する。図3は、ナビゲーション装置用ECU50の目的地検索部54が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローは、ユーザーにより目的地が入力された度に実行される。
【0026】
まず、目的地検索部54は、ユーザーにより入力された目的地を上記RAM等の記憶手段に記憶する(S100)。
【0027】
次に、ユーザーにより入力された目的地をラベルとするデータセットを地図データベース20上で検索し(S110)、これが存在するか否かを判定する(S120)。
【0028】
ユーザーにより入力された目的地をラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在する場合は、当該データセットをそのままユーザーに表示するように入力・表示装置30を制御して(S130)、本フローの1ルーチンを終了する。
【0029】
ユーザーにより入力された目的地をラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在しない場合は、入力された目的地から特定キーワードを抽出すると共に、特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータをラベルとするデータセットを地図データベース20上で検索し(S140)、これが存在するか否かを判定する(S150)。
【0030】
当該置換されたテキストデータをラベルとするデータセットが地図データベース20上に存在する場合は、当該データセットのラベルをS100において記憶された目的地に置換した、表示用データセットを作成し(S160)、作成した表示用データセットをユーザーに表示するように入力・表示装置30を制御して(S130)、本フローの1ルーチンを終了する。この際に、表示用データセットを作成するワーキングエリアとして、ナビゲーション装置用ECU50のRAMが用いられてよい。
【0031】
このように、特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータによりデータセットが検索された場合であっても、当初入力された目的地がラベルとして表示される。従って、ユーザーが違和感を覚えることを抑制することができる。この結果、置換機能によりデータ検索に係る処理時間の短縮を実現したにも拘らず、ユーザーにより目的地を確定する操作が比較的時間を要するものとなるような事態を抑制することができる。
【0032】
ユーザーにより入力された目的地をラベルとするデータセットも、置換されたテキストデータをラベルとするデータセットも、地図データベース20上に存在しない場合は、「該当なし」とのメッセージを表示して(S170)、本フローの1ルーチンを終了する。
【0033】
本実施例のナビゲーション装置1によれば、上記置換機能を備えることにより、地図データベース20の容量負担を軽減すると共に、データ検索に係る処理時間の短縮を実現することができる。
【0034】
また、置換機能を地名に含まれる非固有名詞部分に限定することが可能であるため、過剰に特定キーワードと置換キーワードの組み合わせを用意して上記ROMの容量負担が大きくなることを、抑制することができる。
【0035】
さらに、置換機能により情報が検索された場合であっても、当初入力された目的地がラベルとして表示されるから、ユーザーが違和感を覚え、置換機能によりデータ検索に係る処理時間の短縮を実現したにも拘らず、ユーザーにより目的地を確定する操作が比較的時間を要するものとなるような事態を抑制することができる。
【0036】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0037】
例えば、ナビゲーション装置1のハードウエア構成については、地図データベース、検索機能や置換機能を有する処理主体、一時記憶手段、及び出力装置を備えるものであれば、如何なるハードウエア構成のものでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、少なくともナビゲーション装置に利用できる。これが搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の情報出力装置が適用された一実施例に係るナビゲーション装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置用ECU50が実現する主要な機能ブロックの一例を示す図である。
【図3】ナビゲーション装置用ECU50の目的地検索部54が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 ナビゲーション装置
10 GPS受信機
20 地図データベース
30 入力・表示装置
40 スピーカー
50 ナビゲーション装置用電子制御ユニット
52 現在位置特定部
54 目的地検索部
56 経路案内部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより入力されたテキストデータに該当する情報をデータベースから抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出された情報を出力する出力手段と、を備える情報出力装置であって、
前記抽出手段は、前記入力されたテキストデータにおける置換可能な特定キーワードを該特定キーワードに対応付けられた置換キーワードに置換可能な手段であると共に、前記入力されたテキストデータ、又は該特定キーワードが置換キーワードに置換されたテキストデータ、のいずれかに該当する情報をデータベースから抽出する手段であり、
前記出力手段は、前記ユーザーにより入力されたテキストデータと共に前記抽出手段により抽出された情報を出力することを特徴とする、情報出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報出力装置であって、
前記特定キーワード及び前記置換キーワードは、地名に含まれる非固有名詞部分に関する、
情報出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−249749(P2007−249749A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74164(P2006−74164)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】