説明

感光性樹脂組成物及びその製造方法、シリカ系被膜の形成方法、並びにシリカ系被膜を備える装置及び部材

【課題】塗布性に優れ、層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ形成されるシリカ系被膜が耐熱性、解像性及び透明性に優れる感光性樹脂組成物及びそれを用いたシリカ系被膜の形成方法を提供すること。
【手段】(a)成分:第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して得られる第2のシロキサン樹脂と、(b)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物とを含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びその製造方法、シリカ系被膜の形成方法、並びに当該方法により形成されるシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の平面表示装置や半導体装置の製作においては、層間絶縁膜が用いられている。一般に層間絶縁膜は、気相からの堆積又は塗布により形成した膜に対し、フォトレジストを介してエッチングすることによりパターン形成されている。そして、微細なパターンを形成する場合には、通常気相エッチングが用いられている。しかしながら、気相エッチングは装置コストが高く、かつ処理速度が遅いという問題がある。
【0003】
そこで、コスト低減を目的として、層間絶縁膜用感光性材料の開発が行われるようになった。特に、液晶表示装置においては、画素電極とゲート/ドレイン配線との間の絶縁及びデバイス平坦化のために用いられる層間絶縁膜に、コンタクトホールを形成する必要があるため、ポジ型の感光特性を有する層間絶縁膜用感光性材料が求められている。さらに、液晶表示装置における層間絶縁膜には、透明性が求められる。また、パターン化された膜を層間絶縁膜として残留させて使用する場合には、誘電率の小さい膜であることが望まれる。
【0004】
特許文献1には、ポジ型の感光性層間絶縁膜材料として、ポリシラザンと光酸発生剤とを含む感光性ポリシラザン組成物を用いた層間絶縁膜の形成方法が開示されている。また、特許文献2には、アクリル樹脂とキノンジアジド化合物とを含むポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−181069号公報
【特許文献2】特開2001−281861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の膜を層間絶縁膜として用いる場合には、ポリシラザンを加水分解して、ポリシラザン構造をポリシロキサン構造に転化させる必要がある。この際、膜中の水分が不足すると加水分解が十分に進行しないという問題がある。さらに、ポリシラザンの加水分解においては、揮発性が高いアンモニアが発生することから、製造装置の腐食等が問題となる。
【0007】
特許文献2に記載の、アクリル樹脂とキノンジアジド化合物とを含む組成物から形成された層間絶縁膜は、耐熱性が十分でないという問題がある。また、特許文献1及び特許文献2に記載される感光性層間絶縁膜材料は、塗布後、溶媒が蒸発した後にスジ状のストリエーションやうねり状のムラが発生することがあり、液晶表示装置の表示ムラが生じて画質を低下させることがある。
【0008】
そこで本発明は、塗布性に優れ、層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ形成されるシリカ系被膜が耐熱性、解像性及び透明性に優れる感光性樹脂組成物及びその製造方法、並びにそれを用いたシリカ系被膜の形成方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該方法により形成されたシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)成分:下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、下記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して得られる第2のシロキサン樹脂と、(b)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物とを含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
【化1】


[式(1)中、Rは有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】


[式(2)中、Rは、H原子、F原子、有機基、又は、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子のうち少なくとも1種の原子を含む基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2であるとき、同一分子内の複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
【0011】
かかる感光性樹脂組成物によれば、シロキサン樹脂を用いているため、特許文献1に記載の方法では必須のポリシラザン構造をポリシロキサン構造に転化させる工程を省略することができることから、比較的容易にシリカ系被膜を形成することができる。
【0012】
上記感光性樹脂組成物では、耐熱性に優れるシロキサン樹脂を(a)成分として用いているため、耐熱性に優れるシリカ系被膜を形成することができる。第1のシロキサン樹脂を調製した後、得られた第1のシロキサン樹脂と第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理しているため、塗布性に優れたシリカ系被膜を形成することができる。第1のシロキサン樹脂と第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合することにより、第2のシラン化合物の加水分解縮合反応が進行すると共に、第2のシラン化合物やその加水分解物と、第1のシロキサン樹脂との加水分解縮合反応が進行することとなる。また、加熱処理して第2のシロキサン樹脂を調製することで、第2のシロキサン樹脂の分子量を目的の範囲に調整することが容易となるため、厚膜化が可能であり、アルカリ水溶液への溶解速度の調整が可能なシリカ系被膜を形成することができる。
【0013】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(b)成分としてフェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物を含有することで良好なポジ型感光性を発現することができ、シリカ系被膜を形成する際の露光後の現像時に優れた現像性を得ることができる。
【0014】
上記感光性樹脂組成物は、以下の方法により作製することができる。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を溶媒中で加水分解縮合して第1のシロキサン樹脂の溶液を得る工程と、第1のシロキサン樹脂の溶液と、下記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物とを混合した混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して第2のシロキサン樹脂の溶液を調製する工程と、第2のシロキサン樹脂の溶液と、フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物とを混合する工程とを備える感光性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0015】
【化3】


[式(1)中、Rは有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【化4】


[式(2)中、Rは、H原子、F原子、有機基、又は、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子のうち少なくとも1種の原子を含む基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2であるとき、同一分子内の複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
【0016】
本発明はまた、上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、塗膜の露光された所定部分を除去する除去工程と、所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程と、所定部分が除去された塗膜を加熱する加熱工程とを有するシリカ系被膜の形成方法を提供する。かかる形成方法によれば、上述の感光性樹脂組成物を用いているため、耐熱性及び解像性に優れるシリカ系被膜を得ることができる。可視光領域に光学吸収を有する(b)成分が第2露光工程で分解され、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。よって、得られるシリカ系被膜の透明性が向上する。
【0017】
本発明はさらに、基板と、該基板上に上述した本発明の形成方法により形成されたシリカ系被膜とを備える、半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供する。これらの半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材は、上述した本発明の感光性樹脂組成物から形成されるシリカ系被膜を層間絶縁膜として備えているため、優れた性能を発揮する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、塗布性に優れ、層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ形成されるシリカ系被膜が耐熱性、解像性及び透明性に優れる感光性樹脂組成物及びその製造方法、並びにそれを用いたシリカ系被膜の形成方法を提供することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物から形成されるシリカ系被膜は、クラック耐性、絶縁特性及び低誘電性にも優れる。さらに、本発明は、上記シリカ系被膜の形成方法により形成されるシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の電子部品の一実施形態におけるメモリセルキャパシタを示す模式断面図である。
【図2】本発明の平面表示装置の一実施形態におけるアクティブマトリクス基板の1画素部分の構成を示す平面図である。
【図3】図2のアクティブマトリクス基板におけるIII−III’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定され、かつ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算されたものである。
【0022】
ここで、重量平均分子量(Mw)は、例えば、以下の条件で、GPCを用いて測定することができる。
(条件)
試料:10μL
標準ポリスチレン:東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器:株式会社日立製作所製RI−モニター、商品名「L−3000」
インテグレーター:株式会社日立製作所製GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名「L−6000」
デガス装置:昭和電工株式会社製、商品名「Shodex DEGAS」
カラム:日立化成工業株式会社製、商品名「GL−R440」、「GL−R430」、「GL−R420」をこの順番で連結して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:23℃
流速:1.75mL/分
測定時間:45分
【0023】
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)成分及び(b)成分を含有する。以下、各成分について説明する。
【0024】
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、上記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して得られる第2のシロキサン樹脂である。第2のシロキサン樹脂の溶液は、まず、上記第1のシラン化合物を溶媒中で加水分解縮合して第1のシロキサン樹脂の溶液を調製し、次いで、第1のシロキサン樹脂の溶液と第2のシラン化合物とを混合した混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理することにより得ることができる。
【0025】
式(1)中、Rで示される有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の直鎖状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の基が挙げられる。分枝状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基等の基が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチレン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の基が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基、n−プロピル基等の炭素数1〜5の直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、原料入手容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
【0026】
式(1)中、Aで示される2価の有機基としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基及び2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、原料入手容易性等の観点から、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の2価の炭化水素基が好ましい。
【0027】
炭素数1〜20の直鎖状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等の基が挙げられる。炭素数1〜20の分枝状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、イソプロピレン基、イソブチレン基等の基が挙げられる。炭素数1〜20の環状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルナン骨格を有する基、アダマンタン骨格を有する基等の基が挙げられる。これらの中で、メチレン基、エチレン基、プロピレン基のような、炭素数1〜7の直鎖状の2価の炭化水素基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基のような、炭素数3〜7の環状の2価の炭化水素基、ノルボルナン骨格を有する環状の2価の炭化水素基が特に好ましい。
【0028】
式(1)中、Xで示される加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基及びヒドロキシル基が挙げられる。これらの中で、感光性樹脂組成物自体の液状安定性や塗布特性等の観点から、アルコキシ基が好ましい。なお、上記一般式(2)及び後述する一般式(3)でそれぞれ表される化合物についても、Xで示される加水分解性基としては、一般式(1)で表される化合物におけるXと同様な基が具体例として挙げられる。
【0029】
また、第1のシラン化合物は、下記一般式(3)で表される化合物を更に含むことが好ましい。これにより、得られるシリカ系被膜の耐熱性がさらに向上する。
【0030】
【化5】


式(3)中、Rは有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nは0〜2の整数を示し、nが2であるとき、同一分子内の複数のRは同一でも異なっていてもよい。
【0031】
式(3)中、Rで示される有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の直鎖状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の基が挙げられる。分枝状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基等の基が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチレン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の基が挙げられる。これらの中で、熱的安定性及び原料入手容易性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
【0032】
また、芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20であるものが好ましい。その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基等の基が挙げられる。これらの中で、熱的安定性及び原料入手容易性の観点から、フェニル基及びナフチル基がより好ましい。
【0033】
なお、上記第1のシラン化合物が一般式(3)で表される化合物を含む場合、その含有割合は、第1のシラン化合物全体に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
【0034】
上記第1のシラン化合物を加水分解縮合する際には、一般式(1)で表される化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。同様に、一般式(3)で表される化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
一般式(1)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物とを含むシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂(シルセスキオキサン)の構造の具体例を下記一般式(4)に示す。なお、この具体例は、1種の一般式(1)で表される化合物(Rはメチル基)と、2種の一般式(3)で表される化合物(Rはそれぞれフェニル基とメチル基)とを加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂の構造である。また、添え字の「3/2」は、1個のSi原子に対して、3/2個の割合でO原子が結合していることを示す。
【0036】
【化6】

【0037】
ここで、式(4)中、a、b、cは、それぞれ各部位に対応する原料のモル比(モル%)を示し、aは0.5〜99、bは0.5〜99、cは0.5〜99である。ただし、a、b及びcの合計は100である。また、式(4)中のAは、2価の有機基を示す。
【0038】
上述の第1のシラン化合物の加水分解縮合は、例えば、次のような条件で行うことができる。
【0039】
まず、加水分解縮合の際に用いる水の量は、一般式(1)で表される化合物1モル当たり0.01〜1000モルであることが好ましく、0.05〜100モルであることがより好ましい。この水の量が0.01モル以上であれば加水分解縮合反応が十分に進行する傾向にあり、水の量が1000モル以下であれば加水分解中又は縮合中にゲル化物を生じにくい傾向にある。
【0040】
また、加水分解縮合の際には、触媒を使用してもよい。触媒としては、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属キレート化合物を用いることができる。これらの中で、一般式(1)で表される化合物におけるアシロキシ基の加水分解を防止する観点から、酸触媒が好ましい。
【0041】
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0042】
このような触媒の使用量は、一般式(1)で表される化合物1モルに対して、0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。この使用量が0.0001モル以上であれば反応が進行する傾向にあり、1モル以下であれば加水分解縮合時にゲル化が抑制される傾向にある。
【0043】
なお、加水分解縮合において上述の触媒を用いたときには、得られる感光性樹脂組成物の安定性が悪化する可能性や、触媒を含むことにより他の材料への腐食等の影響が懸念される可能性がある。このような悪影響は、例えば、加水分解縮合後に、触媒をシロキサン樹脂から取り除いたり、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させたりすることにより解消することができる。これらの操作を実施する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。触媒を取り除く方法としては、例えば、水洗浄法やイオンクロマトカラム法等が挙げられる。また、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させる方法としては、例えば、触媒が酸触媒の場合、塩基を添加して酸塩基反応により中和する方法が挙げられる。
【0044】
また、かかる加水分解縮合の際には、アルコールが副生する。このアルコールは、プロトン性溶媒であり、感光性樹脂組成物の物性に悪影響を与える恐れがあることから、エバポレータ等を用いて除去することが好ましい。
【0045】
このようにして得られる第1のシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性や、成形性等の観点から、重量平均分子量が、500〜100000であることが好ましく、500〜50000であることがより好ましく、500〜10000であることが更に好ましく、500〜5000であることが特に好ましい。この重量平均分子量が500以上であればシリカ系被膜の成膜性が充分得られる傾向にあり、この重量平均分子量が100000以下であれば、溶媒と充分な相溶性を有する傾向にある。
【0046】
上記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物は、上記第1のシロキサン樹脂の溶液中で加水分解縮合される。この成分は、形成されるシリカ系被膜の基板に対する、接着性の向上や被膜の耐熱性及び強度を向上させることができる。なお、一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物とはその化学構造が異なるものである。また、第2のシラン化合物は、一般式(1)で表される化合物を含まないものである。
【0047】
式(2)中、Rで示される有機基としては、例えば、芳香族基、アミノ基又はエポキシ基を有する基、脂環式炭化水素基及び炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、接着性の観点から、アミノ基又はエポキシ基を有する基及び炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、アミノ基又はエポキシ基を有する基及びメチル基がより好ましい。
【0048】
式(2)中、Xで示される加水分解性基がアルコキシ基である上記一般式(2)で表される化合物(アルコキシシラン)としては、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシランが挙げられる。
【0049】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランが挙げられる。
【0050】
トリアルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリイソブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリイソブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリイソブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリイソブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリイソブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリイソブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0051】
ジオルガノジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシランが挙げられる。
【0052】
また、Xがアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜20のアルキル基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、上記のものの他、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリイソプロポキシシリル)プロパン等のビスシリルアルカンが挙げられる。
【0053】
Xがアルコキシ基であり、Rが芳香環を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、上記のものの他、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、ビス(トリイソプロポキシシリル)ベンゼン等のビスシリルベンゼンが挙げられる。
【0054】
Xがアルコキシ基であり、Rがアミノ基を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−アジドスルフォニルヘキシルトリエトキシシランが挙げられる。
【0055】
Xがアルコキシ基であり、Rがエポキシ基を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0056】
上述したような一般式(2)で表される化合物の中で、接着性の観点から、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルトリエトキシシラン及びメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0057】
第2のシラン化合物を加水分解縮合する際には、一般式(2)で表される化合物について、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
第2のシラン化合物の加水分解縮合は、加水分解の際に用いる水の量、触媒の種類、添加量等を上述した第1のシロキサン樹脂の加水分解縮合と同様な条件で行うことができる。
【0059】
また、シロキサン樹脂を調製する際には、シロキサン樹脂が溶解する溶媒を使用する。その具体例としては、非プロトン性溶媒及びプロトン性溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート系溶媒;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの中で、塗布性が良好であり、形成されるシリカ系被膜の厚膜化が可能となり、かつ感光性樹脂組成物の溶液安定性が向上する観点から、エーテル系溶媒、エーテルアセテート系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。これらの中でも、塗布ムラやはじきを抑える観点から、エーテルアセテート系溶媒が最も好ましく、エーテル系溶媒が次に好ましく、ケトン系溶媒がその次に好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒が挙げられる。これらの中で、保管安定性の観点から、アルコール系溶媒が好ましい。さらに、塗布ムラやはじきを抑える観点からは、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールプロピルエーテルが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
上述の第1のシロキサン樹脂の溶液及び第2のシラン化合物を混合して加水分解縮合し加熱処理を行い、(a)成分として用いられる第2のシロキサン樹脂が得られる。加熱処理によって、第1のシロキサン樹脂と加水分解縮合された第2のシラン化合物とが反応するため、基板に対する塗布性に優れる感光性樹脂組成物を作製することができる。また、加熱処理によりシロキサン樹脂の分子量が増加するため、その分子量を調整することによって、所望のアルカリ水溶液濃度に対する溶解速度を適宜調整することが可能となる。これにより、塗膜の未露光部と露光部との溶解速度を調整できるため、良好な解像性を得ることができる。
【0063】
上記加熱処理の方法は、公知の方法で行うことができる。具体的には、第1のシロキサン樹脂の溶液及び第2のシロキサン樹脂の溶液の混合溶液を入れた容器を温浴やオイル浴中で加熱処理することができる。
【0064】
加熱処理する温度は、分子量の制御と溶液への安定性の観点から、40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃であることがより好ましく、60〜100℃であることが更に好ましい。この加熱処理温度が40℃以上であれば、分子量を上げるために長い時間が必要としない傾向にあり、150℃以下であれば、分子量の制御がし易くなりゲル化を防ぐ傾向にある。
【0065】
第1のシロキサン樹脂及び第2のシラン化合物の配合割合は、耐熱性及び溶液への安定性の観点から、第1のシロキサン樹脂の固形分100質量部に対して、第2のシラン化合物が5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることが更に好ましく、30〜50質量部であることが特に好ましい。この配合割合が5質量部以上であれば、耐熱性が向上する傾向にあり、60質量部以下であれば、溶液の安定性が向上する傾向にある。
【0066】
また、第1のシロキサン樹脂及び第2のシラン化合物を混合した場合の溶液濃度は、分子量の制御の観点から、シロキサン樹脂の固形分全体を基準として、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが更に好ましい。この溶液濃度が5質量%以上であれば、分子量を上げるために長い時間が必要としない傾向にあり、50質量%以下であれば、分子量の制御がし易くなる傾向にある。
【0067】
また、第1のシロキサン樹脂と第2のシラン化合物とを混合して加熱処理する場合、酸触媒を更に添加して、高分子量化を促進することができる。
【0068】
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0069】
酸触媒の添加量は、シロキサン樹脂の固形分全体を基準として、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることが更に好ましい。この添加量が0.01質量%以上であれば、分子量を上げるために長い時間が必要としなくなる傾向にあり、5質量%以下であれば、短時間で分子量が上昇することがないためゲル化が抑制される傾向にある。
【0070】
<(b)成分>
(b)成分は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物であって、フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物である。この成分は、感光性樹脂組成物に、ポジ型感光性を付与するものである。ポジ型感光性は、例えば次のようにして発現する。
【0071】
すなわち、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物に含まれるナフトキノンジアジド基は、本来アルカリ現像液に対する溶解性を示さず、さらにシロキサン樹脂のアルカリ現像液への溶解を阻害する。しかし、紫外線又は可視光を照射することにより、ナフトキノンジアジド基は、インデンカルボン酸構造へと変化してアルカリ現像液に高い溶解性を示すようになる。よって、(b)成分を配合することにより、露光部がアルカリ現像液により除去されるポジ型感光性が発現する。
【0072】
(b)成分としてのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は、ナフトキノンジアジドスルホン酸と、フェノール類又はアルコール類とのエステル化合物であり、上記(a)成分との相溶性、形成されるシリカ系被膜の透明(感度)性の観点から、フェノール類又は1つ以上のアリール基を有するアルコール類と、ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物を含むことが好ましい。
【0073】
ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、例えば、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0074】
アルコール類は、1価又は多価アルコール類であり、1つ以上のアリール基を有しているものが好ましい。
【0075】
アリール基を3つ以上有するアルコール類としては、2価以上のアルコール類であることが好ましい。これは、アリール基を3つ以上有する場合には、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物分子中のナフトキノンジアジド部位の占める割合が小さいため、感光特性が低下する可能性があるからである。
【0076】
フェノール類及びアルコール類の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、メシトール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、o−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、3−メトキシ−5−メチルフェノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソプロピル、サリチル酸イソブチル、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、フェネチルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、1−(2−メチルフェニル)エタノール、1−(4−メチルフェニル)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−メチルフェニル)エタノール、2−(p−トリル)エタノール、1−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、p−キシレン−α,α’−ジオール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、6−tert−ブチル−m−クレゾール、2−tert−ブチル−p−クレゾール、o−シクロヘキシルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、o−アリルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2−メチルフェノール、2−tert−ブチル−6−メチルフェノール、カテコール、レソシノール、ヒドロキノン、2,3−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエン、3,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、サリシルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、m−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−m−クレゾール、2,4,6−トリス(ヒドロキシメチル)、1−ナフトール、2−ナフトール、(1,3)−ジヒドロキシナフタレン、(1,4)−ジヒドロキシナフタレン、(1,5)−ジヒドロキシナフタレン、(1,6)−ジヒドロキシナフタレン、(2,3)−ジヒドロキシナフタレン、(2,6)−ジヒドロキシナフタレン、(2,7)−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンメタノール、7−メトキシ−2−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、1−(1−ナフチル)エタノール、1−(2−ナフチル)エタノール、2−(1−ナフチル)エタノール、1,4−ナフタレンジメタノール、2,3−ナフタレンジメタノール、2−(2−ナフトキシ)エタノール、2−ヒドロキシビフェニル、3−ヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシビフェニル、2−ビフェニルエタノール、4−ビフェニルメタノール、2−ベンジルフェノール、ベンズヒドロール、2−メチル−3−ビフェニルメタノール、1,1−ジフェニルエタノール、2,2−ジフェニルエタノール、1−(4−ビフェニリル)エタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ)プロパン、1,3−ジフェノキシプロパン−2−オール、p−クミルフェノール、2−(4−ビフェニリル)−2−プロパノール、4−(4−ビフェニル)−2−ブタノール、(2,3)−ビフェニルジオール、(2,2’)−ビフェニルジオール、(4,4’)−ビフェニルジオール、3−フェノキシベンジルアルコール、4−4’−メチレンジフェノール、2−ベンジルオキシフェノール、4−ベンジルオキシフェノール、1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール、4,4’−エチリデンジフェノール、4−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、4,4’−ジメトキシベンズヒドロール、1’−ヒドロキシ−2’−アセトナフトン、1−アセトナフトール、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルメタン、4−ヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4’−プロポキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシビフェニル、ジフェニルメタン−2,4−ジオール、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’−(1−(p−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エチリデン)ジフェノール、4,4’−(2−ヒドロキシベンジリデン)ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)p−クレゾール、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0077】
また、フェノール類としては、以下の化合物も挙げられる(いずれも本州化学工業(株)製、商品名)。
【0078】
【化7】

【0079】
【化8】

【0080】
上述のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は、従来公知の方法により得ることが可能であり、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸塩化物と、フェノール類又はアルコール類とを塩基存在下で反応させることにより得ることができる。
【0081】
この反応に用いる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の第三級アルキルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
【0082】
また、反応溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセート等のエーテルアセテート系溶媒、アセトン、イソブチルケトン等のケトン系溶媒、ヘキサン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0083】
上述のフェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
(b)成分の配合割合は、感光特性等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが更に好ましい。(b)成分の配合割合が0.5質量%以上の場合には、アルカリ現像液への溶解阻害作用が向上し、感光性が向上する傾向にある。また、(b)成分の配合割合が40質量%以下の場合には、塗膜を形成する際に(b)成分が析出しにくく、塗膜が均一となる傾向にある。さらに、このような場合には、感光剤としての(b)成分の濃度が高すぎず、形成される塗膜の表面近傍でのみ光の吸収が起こるということがないため、塗膜の下部まで露光時の光が到達し感光特性が向上する傾向にある。
【0085】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、塗布後、溶媒が蒸発した後に観察されるスジ状のストリエーションやうねり状のムラ等(以下、「塗布ムラ」という)の発生をより一層抑制するために界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、炭化水素基、シリコン基及びパーフルオロアルキル基等の疎水基を含有するノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又は両性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類等の炭化水素系ノニオン界面活性剤、シリコンのポリエチレンオキサイド付加物類、ポリプロピレンオキサイド付加物類等のポリエーテル変性シリコン系ノニオン界面活性剤、パーフルオロアルキルグリコール類等のフッ素系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0087】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、脂肪族又は芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イオダゾリウム等の複素環第4級アンモニウム塩類、及び脂肪族若しくは複素環を含むホスホニウム塩類又はスルホニウム塩類等の炭化水素系カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0088】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類等の炭化水素系アニオン界面活性剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩類、パーフルオロアルキルカルボン酸塩類等のフッ素系アニオン界面活性剤が挙げられる。
【0089】
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等の炭化水素系両性界面活性剤、パーフルオロアルキルスルホンアミド類、パーフルオロアルキルカルボン酸アミド類等のフッ素系両性界面活性剤が挙げられる。
【0090】
これらの界面活性剤の中でも、シリコン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が少ない添加量で塗布ムラの発生を抑制する効果が高いため有効である。さらに、シリコン系界面活性剤は、(a)成分との相溶性に優れるために、うねり状のムラの発生を抑制する効果が特に高い。感光性樹脂組成物を電子部品用途に使用する場合は、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0091】
界面活性剤の配合割合は、塗布性の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.05〜10質量%であることが更に好ましい。界面活性剤の配合割合が0.01質量%以上であれば、塗布ムラの発生を抑制する効果がより向上する傾向にある。また、(d)成分の配合割合が30質量%を以下であれば、界面活性剤が塗膜中に析出することなく、均一な塗膜が得られる傾向にある。
【0092】
また、感光性樹脂組成物を電子部品用途に使用する場合は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましく、含まれる場合でも組成物中のそれらの金属イオン濃度が、1000ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましい。これらの金属イオン濃度が、1000ppmを超えると、組成物から得られるシリカ系被膜を有する電子部品に金属イオンが流入し易くなって、電気性能そのものに悪影響を与えるおそれがある。したがって、必要に応じて、例えば、イオン交換フィルター等を使用して、アルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。ただし、光導波路や他の用途等に用いる際は、その目的を損なわないのであれば、この限りではない。
【0093】
また、上述の感光性樹脂組成物は、必要に応じて水を含んでいてもよいが、目的とする特性を損なわない範囲であることが好ましい。
【0094】
(シリカ系被膜の形成方法)
本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上述した感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、塗膜の露光された所定部分を除去する除去工程と、所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程と、所定部分が除去された塗膜を加熱する加熱工程とを有する。以下、各工程について説明する。
【0095】
<塗布工程>
まず、感光性樹脂組成物を塗布するための基板を用意する。基板としては、表面が平坦なものであっても、電極等が形成され凹凸を有しているものであってもよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、金属板、金属箔、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びトリアセチルセルロース等の有機高分子が挙げられる。また、この有機高分子が、フィルム状になっているものを、基板として用いることもできる。
【0096】
感光性樹脂組成物は、このような基板上に従来公知の方法によって塗布することが可能である。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、回転法、スリット塗布法が挙げられる。これらの中で、一般に成膜性及び膜均一性に優れるスピンコート法及びスリット法により感光性樹脂組成物を塗布することが好ましい。
【0097】
スピンコート法を用いる場合には、好ましくは300〜3000回転/分、より好ましくは400〜2000回転/分で、基板上に感光性樹脂組成物をスピンコートして塗膜を形成する。この回転数が、300回転/分以上であれば膜均一性が向上する傾向があり、3000回転/分以下であれば成膜性が向上する傾向がある。
【0098】
このようにして形成される塗膜の膜厚は、例えば次のようにして調整することができる。まず、スピンコートの際に、回転数と塗布回数を調整することにより塗膜の膜厚を調整することができる。すなわち、スピンコートの回転数を下げたり塗布回数を増やしたりすることで、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、スピンコートの回転数を上げたり塗布回数を減らしたりすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
【0099】
さらに、上述の感光性樹脂組成物において、(a)成分の濃度を調整することにより、塗膜の膜厚を調整することもできる。例えば、(a)成分の濃度を高くすることにより、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、(a)成分の濃度を低くすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
【0100】
以上のようにして塗膜の膜厚を調整することにより、最終生成物であるシリカ系被膜の膜厚を調整することができる。シリカ系被膜の好適な膜厚は使用用途により異なる。例えば、シリカ系被膜の膜厚は、LSI等の層間絶縁膜に使用する際には0.01〜2μm、パッシベーション層に使用する際には2〜40μm、液晶用途に使用する際には0.1〜20μm、フォトレジストに使用する際には0.1〜3μm、光導波路に使用する際の膜厚は1〜50μmであることが好ましい。一般的に、このシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜3μmであることが更に好ましく、0.05〜3μmであることが特に好ましく、0.1〜3μmであることが極めて好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、0.5〜3.0μmの膜厚のシリカ系被膜に好適に用いることができ、0.5〜2.0μmの膜厚のシリカ系被膜に特に好適に用いることができる。
【0101】
上述のようにして基板上に塗膜を形成した後に、塗膜を乾燥して、塗膜中の有機溶媒を除去する。乾燥には、従来公知の方法を用いることができ、例えば減圧乾燥装置やホットプレートを用いて乾燥することができる。これらの乾燥は、併用してもよい。ホットプレートを用いて乾燥する場合の乾燥温度は、50〜150℃であることが好ましく、70〜140℃がより好ましく、80℃〜120℃が更に好ましい。この乾燥温度が50℃以上であれば、有機溶媒の除去が十分に行われる傾向がある。また、乾燥温度が150℃以下であれば膜中の感光剤が分解して透過率が低下することや、塗膜の硬化が進行することにより現像液に対する溶解性が低下することが抑制されるため、露光感度や解像度が向上する傾向にある。
【0102】
また、塗布工程により基板上に塗膜を形成した後で、ホットプレート等で膜中の溶媒を除去する前に、減圧乾燥工程を行ってもよい。この減圧乾燥により、成膜したときの面内膜厚ばらつきが小さくなる効果や現像後の膜厚ばらつきが小さくなる効果がある。減圧乾燥する場合の減圧度は、150Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましく、50Pa以下が更に好ましく、20Pa以下が極めて好ましい。また、減圧乾燥の温度は、0℃〜120℃が好ましく、10℃〜100℃がより好ましく、20℃〜80℃が更に好ましい。減圧度が150Pa以下であれば溶媒を十分に除去できる傾向がある。また、温度が120℃以下であれば面内の膜厚ばらつきが小さくなる傾向があり、0℃以上であると溶媒の除去が十分になる傾向がある。
【0103】
<第1露光工程>
次に、得られた塗膜の所定部分を露光する。塗膜の所定部分を露光する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、所定のパターンのマスクを介して塗膜に放射線を照射することにより、所定部分を露光することができる。ここで用いられる放射線としては、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線又はg線、h線及びi線が混合された紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線、h線及びi線が好ましい。露光量としては、通常10〜2000mJ/cm、好ましくは20〜200mJ/cmである。
【0104】
<除去工程>
続いて、塗膜の露光された所定部分(以下、「露光部」とも言う。)を除去して、所定のパターンを有する塗膜を得る。塗膜の露光部を除去する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、現像液を用いて現像処理して露光部を除去することにより、所定のパターンを有する塗膜を得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩又はピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また、現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や、界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに本発明の感光性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒も、現像液として使用することができる。
【0105】
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等の適宜な方法を利用することができる。現像処理後に、パターニングされた膜に対し、例えば流水洗浄によるリンス処理を行ってもよい。
【0106】
<第2露光工程>
さらに、除去工程後に残った残存塗膜の全面を露光する。これにより、可視光領域に光学吸収を有する(b)成分が分解して、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。よって、最終生成物であるシリカ系被膜の透明性が向上する。露光には、第1露光工程と、同様の放射線を用いることができる。露光量としては、(b)成分を完全に分解する必要があるため、通常100〜10000mJ/cm、好ましくは200〜2000mJ/cmである。
【0107】
<加熱工程>
最後に、除去工程後に残った塗膜を加熱して最終硬化を行う。この加熱工程により、最終生成物であるシリカ系被膜が得られる。加熱温度は、例えば、100〜500℃であることが好ましく、150〜400℃であることがより好ましい。この加熱温度が100℃以上であれば、十分に塗膜を硬化される傾向にあり、500℃以下であれば、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じ難くなる。
【0108】
なお、加熱工程は、大気中で行うことも可能であるが、金属配線層がある場合は、配線金属の劣化を抑制するため、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が、1000ppm以下であるとより好ましい。また、加熱時間は2〜180分が好ましく、2〜60分であるとより好ましい。この加熱時間が2分以上であれば、十分に塗膜が硬化される傾向にあり、180分以下であれば、入熱量の過度な増大による配線金属の劣化が生じ難くなる。
【0109】
さらに、加熱のための装置としては、石英チューブ炉、その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置又は電子線(EB)、紫外線(UV)を併用した加熱処理装置を用いることができる。
【0110】
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、例えば、350℃の加熱処理を行っても十分に高い耐熱性、高い透明性を有すると共に、耐溶剤性に優れる。なお、従来知られているノボラック樹脂等のフェノール系樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する組成物、あるいはアクリル系樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する組成物から形成される被膜は、一般的に230℃程度が耐熱温度の上限であり、この温度を超えて加熱処理を行うと、黄色や褐色に着色し、透明性が著しく低下する。
【0111】
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、有機EL、フィールドエミッションディスプレイ等の平面表示装置の層間絶縁膜として好適に使用できる。また、かかるシリカ系被膜は、半導体素子等の層間絶縁膜としても好適に使用できる。さらに、かかるシリカ系被膜は、半導体素子のウエハコート材料(表面保護膜、バンプ保護膜、MCM(multi−chip module)、層間保護膜、ジャンクションコート)、パッケージ材(封止材、ダイボンディング材)等の電子デバイス用部材としても好適に使用することができる。
【0112】
上述のシリカ系被膜を備える本発明の電子部品の具体例としては、図1に示すメモリセルキャパシタが挙げられ、上述のシリカ系被膜を備える本発明の平面表示装置の具体例としては、図2及び3に示すアクティブマトリクス基板を有する平面表示装置が挙げられる。
【0113】
図1は、本発明の電子部品の一実施形態としてのメモリセルキャパシタを示す模式断面図である。図1に示すメモリセルキャパシタ10は、その表面に拡散領域1A及び1Bが形成されたシリコンウェハ1(基板)と、シリコンウェハ1上の拡散領域1A及び1Bの間の位置に設けられたゲート絶縁膜2Bと、ゲート絶縁膜2B上に設けられたゲート電極3と、ゲート電極3の上方に設けられた対向電極8Cと、ゲート電極3と対向電極8Cとの間にシリコンウェハ1側から順に積層された層間絶縁膜5及び7(絶縁被膜)とを有する。
【0114】
拡散領域1A上には、ゲート絶縁膜2B及びゲート電極3の側壁と接する側壁酸化膜4Aが形成されている。拡散領域1B上には、ゲート絶縁膜2B及びゲート電極3の側壁と接する側壁酸化膜4Bが形成されている。拡散領域1Bのゲート絶縁膜2Bとは反対側において、素子分離のためのフィールド酸化膜2Aが、シリコンウェハ1と層間絶縁膜5の間に形成されている。
【0115】
層間絶縁膜5は、ゲート電極3、シリコンウェハ1及びフィールド酸化膜2Aを覆って形成されている。層間絶縁膜5のシリコンウェハ1とは反対側の面は、平坦化されている。層間絶縁膜5は、拡散領域1A上に位置する側壁を有しており、この側壁と拡散領域1Aとを覆うと共に、層間絶縁膜5のシリコンウェハ1とは反対側の面の一部を覆うように延在するビット線6が、形成されている。層間絶縁膜5上に設けられた層間絶縁膜7は、ビット線6を覆うように延びて形成されている。層間絶縁膜5及び層間絶縁膜7によって、ビット線6が埋め込まれたコンタクトホール5Aが形成されている。
【0116】
層間絶縁膜7のシリコンウェハ1とは反対側の面は、平坦化されている。拡散領域1B上の位置において、層間絶縁膜5及び層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール7Aが形成されている。コンタクトホール7A内には蓄積電極8Aが埋め込まれ、蓄積電極8Aは更に、層間絶縁膜7のシリコンウェハ1とは反対側の面のうちコンタクトホール7Aの周囲の部分を覆うように延在している。対向電極8Cは蓄積電極8A及び層間絶縁膜7を覆って形成されており、対向電極8Cと蓄電電極8Aとの間には、キャパシタ絶縁膜8Bが介在している。
【0117】
層間絶縁膜5及び7は、上述の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜である。層間絶縁膜5及び7は、例えば、感光性樹脂組成物を、スピンコート法により塗布する工程を経て形成される。層間絶縁膜5及び7は、同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
【0118】
図2は、本発明の平面表示装置の一実施形態におけるアクティブマトリクス基板の1画素部分の構成を示す平面図である。図2において、アクティブマトリクス基板20には、複数の画素電極21がマトリクス状に設けられており、これらの画素電極21の周囲を通り、互いに直交するように、走査信号を供給するための各ゲート配線22と表示信号を供給するためのソース配線23が設けられている。これらのゲート配線22とソース配線23とは、その一部が画素電極21の外周部分とオーバーラップしている。また、これらのゲート配線22とソース配線23との交差部分において、画素電極21に接続されるスイッチング素子としてのTFT24が設けられている。このTFT24のゲート電極32には、ゲート配線22が接続され、ゲート電極32に入力される信号によってTFT24が駆動制御される。また、TFT24のソース電極にはソース配線23が接続され、TFT24のソース電極に、データ信号が入力される。さらに、TFT24のドレイン電極36bは、接続電極25さらにコンタクトホール26を介して画素電極21と接続されると共に、接続電極25を介して付加容量の一方の電極である付加容量電極(図示せず)と接続されている。この付加容量の、他方の電極である付加容量対向電極27は、共通配線に接続されている。
【0119】
図3は、図2のアクティブマトリクス基板におけるIII−III’断面図である。図3において、透明絶縁性基板31上に、ゲート配線22に接続されたゲート電極32が設けられ、その上を覆ってゲート絶縁膜33が設けられている。その上にはゲート電極32に重畳するように半導体層34が設けられ、その中央部上にチャネル保護層35が設けられている。このチャネル保護層35の両端部及び半導体層34の一部を覆い、チャネル保護層35上で分断された状態で、ソース電極36a及びドレイン電極36bとなるn+Si層が設けられている。一方のn+Si層であるソース電極36aの端部上には、透明導電膜37aと金属層38aとが設けられて、2層構造のソース配線23となっている。また、他方のn+Si層であるドレイン電極36bの端部上には、透明導電膜37bと金属層38bとが設けられ、透明導電膜37bは延長されて、ドレイン電極36bと画素電極21とを接続すると共に、付加容量の一方の電極である付加容量電極(図示せず)に接続される接続電極25となっている。更に、TFT24、ゲート配線22及びソース配線23、接続電極25の上部を覆うように層間絶縁膜39が設けられている。この層間絶縁膜39上には、画素電極21となる透明導電膜が設けられ、層間絶縁膜39を貫くコンタクトホール26を介して、接続電極25によりTFT24のドレイン電極36bと接続されている。
【0120】
本実施形態のアクティブマトリクス基板は以上のように構成され、このアクティブマトリクス基板は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0121】
まず、ガラス基板等の透明絶縁性基板31上に、ゲート電極32、ゲート絶縁膜33、半導体層34、チャネル保護層35、ソース電極36a及びドレイン電極36bとなるn+Si層を順次成膜して形成する。ここまでの作製プロセスは、従来のアクティブマトリクス基板の製造方法と同様にして行うことができる。
【0122】
次に、ソース配線23及び接続電極25を構成する透明導電膜37a、37b及び金属層38a、38bを、スパッタ法により順次成膜して所定形状にパターニングする。
【0123】
さらに、その上に、層間絶縁膜39となる上述の感光性樹脂組成物をスピンコート法により例えば2μmの膜厚で形成する。形成された塗膜に対して、マスクを介して露光し、アルカリ性の溶液によって現像処理することにより、層間絶縁膜39が形成される。この際、露光された部分のみが、アルカリ性の溶液によってエッチングされ、層間絶縁膜39を貫通するコンタクトホール26が形成されることになる。
【0124】
その後、画素電極21となる透明導電膜をスパッタ法により形成し、パターニングする。これにより画素電極21は、層間絶縁膜39を貫くコンタクトホール26を介して、TFT24のドレイン電極36bと接続されている透明導電膜37bと接続されることになる。このようにして、上述のアクティブマトリクス基板を製造することができる。
【0125】
したがって、このようにして得られたアクティブマトリクス基板は、ゲート配線22、ソース配線23及びTFT24と、画素電極21との間に厚い膜厚の層間絶縁膜39が形成されているので、ゲート配線22、ソース配線23及びTFT24に対して、画素電極21をオーバーラップさせることができると共にその表面を平坦化させることができる。このため、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に液晶を介在させた平面表示装置の構成とした時に、開口率を向上させることができると共に、ゲート配線22及びソース配線23に起因する電界を画素電極21でシールドしてディスクリネーションを抑制することができる。
【0126】
また、層間絶縁膜39となる上述の感光性樹脂組成物は、比誘電率の値が、3.0〜3.8と、無機膜(窒化シリコンの比誘電率8)の比誘電率に比べて低く、また、その透明度も高く、スピン塗布法により容易に厚い膜厚にすることができる。このため、ゲート配線22と画素電極21との間の容量及び、ソース配線23と画素電極21との間の容量を低くすることができて時定数が低くなり、ゲート配線22及びソース配線23と、画素電極21との間の容量成分が、表示に与えるクロストーク等の影響をより低減することができて良好で明るい表示を得ることができる。また、露光及びアルカリ現像によってパターニングを行うことにより、コンタクトホール26のテーパ形状を良好にすることができ、画素電極21と接続電極25との接続を良好にすることができる。さらに、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、スピンコート法を用いて薄膜が形成できるので、数μmという膜厚の薄膜を容易に形成でき、パターニングにフォトレジスト工程も不要であるので、生産性の点で有利である。ここで、層間絶縁膜39として用いた上述の感光性樹脂組成物は、塗布前に着色しているものであるが、パターニング後に全面露光処理を施してより透明化することができる。このように、樹脂の透明化処理は、光学的に行うことができるだけではなくて、化学的にも行うことが可能である。
【0127】
本実施形態で層間絶縁膜39として用いた上述の感光性樹脂組成物の露光には、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の輝線を含む水銀灯の光線を用いるのが一般的である。感光性樹脂組成物としては、これらの輝線の中で最もエネルギーの高い(波長の最も短い)i線に感放射線性(吸収ピーク)を有する感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。コンタクトホールの加工精度を高くすると共に、感光剤に起因する着色を、最小限に抑制することができる。また、エキシマレーザーからの短波長紫外線を用いてもよい。
【実施例】
【0128】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0129】
[シロキサン樹脂の合成]
(1)シロキサン樹脂A(下記一般式(5)で表される化合物;(a)成分の第1のシロキサン樹脂に相当)の合成
【0130】
【化9】


[式(5)中、20,50,30は、それぞれ各部位に対応する原料のモル比を示す。]
【0131】
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、トルエン55.8g及び水35.7gを仕込み、35%塩酸3.12g(0.03モル)を加えた。次に、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン13.5g(0.0605モル)、フェニルトリメトキシシラン30.0g(0.151モル)及びメチルトリメトキシシラン12.4g(0.0908モル)のトルエン27.9g溶液を20〜30℃で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成させた。このときの反応溶液をGC(ガスクロマトグラフィー)で分析した結果、原料は残っていないことが確認された。次に、反応溶液にトルエンと水を加えて生成物を有機相に抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後に、水で溶液が中性になるまで洗浄した。その後、有機相を回収し、トルエンを除去して、粘性液体状の目的のシロキサン樹脂A34.5gを得た。さらに、得られたシロキサン樹脂Aをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調整されたシロキサン樹脂Aの溶液を得た。また、GPC法によりシロキサン樹脂Aの重量平均分子量を測定すると、1010であった。
【0132】
(2)シロキサン樹脂B(下記一般式(6)で表される化合物;(a)成分の第1のシロキサン樹脂に相当)の合成
【0133】
【化10】


[式(6)中、20,50,30は、それぞれ各部位に対応する原料のモル比を示す。]
【0134】
フェニルトリメトキシシラン30.0g(0.151モル)を、2−ノルボルニルトリエトキシシラン39.0g(0.151モル)に変更した以外は、上記シロキサン樹脂Aの合成方法と同様の操作で、目的のシロキサン樹脂B38.5gを得た。さらに、得られたシロキサン樹脂Bをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調整されたシロキサン樹脂Bの溶液を得た。また、GPC法によりシロキサン樹脂Bの重量平均分子量を測定すると、1000であった。
【0135】
(3)シロキサン樹脂C((a)成分に相当)の合成
撹拌機、環流冷却器及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、第1のシロキサン樹脂としてシロキサン樹脂A30.0g、第2のシラン化合物としてテトラエトキシシラン15.8g、メチルトリエトキシシラン20.3g及びジメチルジエトキシシラン5.6g並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.7gを仕込み、室温で溶解した。そこへ、マレイン酸水溶液11.7gを滴下して2〜3時間かけて加水分解縮合反応を行った。反応終了後、反応溶液を入れたナスフラスコを温浴中で加温し、エバポレーターを用いてエタノールと水及び溶媒の一部を留去した。次に、固形分濃度が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し調整したシロキサン樹脂溶液83.3gを得た。次いで、オイルバス中でシロキサン樹脂溶液を80〜85℃で2時間、加熱処理を行った。反応終了後室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し調整して30質量%のシロキサン樹脂Cの溶液99.8gを得た。得られたシロキサン樹脂Cの重量平均分子量を測定すると、3500であった。また、この溶液をシリコンウエハの基板上に1000回転で30秒間塗布し、100℃の温度で溶媒を除去した被膜の2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)への溶解速度は3.0nm/秒であった。
【0136】
(4)シロキサン樹脂D((a)成分に相当)の合成
第1のシロキサン樹脂としてシロキサン樹脂B30.0gを用いた以外は、シロキサン樹脂Dの合成との同様の操作を行い、30質量%の加熱処理したシロキサン樹脂Dの溶液83.1gを得た。得られたシロキサン樹脂Dの重量平均分子量を測定すると、3100であった。また、この溶液をシリコンウエハの基板上に1000回転で30秒間塗布し、100℃の温度で溶媒を除去した被膜の2.38%TMAHへの溶解速度は4.0nm/秒であった。
【0137】
[(b)成分の合成]
(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成)
(1)ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA((b)成分に相当)の合成;
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、m−クレゾール5.41gとテトラヒドロフラン50gとを仕込み、さらに室温(25℃)条件で、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリド13.43g、トリエチルアミン5.06gを加え、室温(25℃)条件で4時間反応を行った。反応終了後、析出した固形分をろ別した。ろ別した固形分にメチルイソブチルケトン300gを添加して溶解させた後、イオン交換水50gで2回水洗を行い、減圧下、温浴中で溶媒を除去して、固体物(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA)14.7gを得た。
【0138】
(2)ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB((b)成分に相当)の合成;
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1000mL4つ口フラスコ中で、乾燥窒素気流下、TrisP−PA(本州化学工業株式会社製、商品名)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)とを1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温(25℃)にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下終了後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿物を濾過で集めた。この沈殿物を真空乾燥機で乾燥させ、固形物(ナフトキノンスルホン酸エステルB)48.36gを得た。
【0139】
(感光性樹脂組成物の調製)
[実施例1]
シロキサン樹脂Cの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.075g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート1.0gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、実施例1の感光性樹脂組成物を調製した。
【0140】
[実施例2]
シロキサン樹脂Dの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.075g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート1.0gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、実施例2の感光性樹脂組成物を調製した。
【0141】
[実施例3]
シロキサン樹脂Cの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB0.075g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート1.0gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、実施例3の感光性樹脂組成物を調製した。
【0142】
[実施例4]
シロキサン樹脂Dの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB0.075g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート1.0gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、実施例4の感光性樹脂組成物を調製した。
【0143】
[比較例1]
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.125g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.4gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、比較例1の感光性樹脂組成物を調製した。
【0144】
[比較例2]
シロキサン樹脂Bの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.125g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.4gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、比較例2の感光性樹脂組成物を調製した。
【0145】
[比較例3]
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB0.125g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.4gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、比較例3の感光性樹脂組成物を調製した。
【0146】
[比較例4]
シロキサン樹脂Bの溶液5.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB0.125g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.4gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、比較例4の感光性樹脂組成物を調製した。
【0147】
[比較例5]
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、テトラエトキシシラン1.1g、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.178g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート:8.1gをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、比較例5の感光性樹脂組成物を調製した。
【0148】
なお、実施例1〜4及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物の組成(単位:g)を下記表1に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
<シリカ系被膜の製造>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた感光性樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のフィルターでろ過した。これをシリコンウェハ又はガラス基板上に、溶媒除去した後の膜厚が2.0μmになるような回転数で30秒間スピンコートした。
【0151】
その後、ホットプレートを用いて80℃〜120℃で2分間乾燥させ、溶媒を除去した。得られた塗膜に対し、所定のパターンマスクを介してキャノン株式会社製の投影露光機(商品名「PLA−600F」)を用い、露光量100mJ/cm(i線換算)にて露光を行った。続いて、2.38質量%のTMAH水溶液を用いて、25℃で、2分間揺動浸漬法で現像処理を行った。これを純水で流水洗浄し、乾燥してパターンを形成した。次いで、パターン部分を投影露光機「PLA−600F」を用い、露光量1000mJ/cmで膜全体を全面露光した。次いで、O濃度が1000ppm未満にコントロールされている石英チューブ炉にて350℃で30分間かけてパターンを最終硬化し、シリカ系被膜を得た。
【0152】
<被膜評価>
上述の方法により、実施例1〜4及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜に対して、以下の方法で膜評価を行った。
【0153】
[塗布性の評価]
塗布性の評価は、ガラス基板上に形成されたシリカ系被膜について、裏面からナトリウムランプを照射し、被膜表面の塗布ムラを目視によって確認した。塗布ムラ(スジ状のストリエーションやムラ)が認められず良好な塗布性であった場合をA、わずかに塗布ムラが認められた場合をB、全面に塗布ムラが認められた場合をCとした。また、段差計(日本真空技術株式会社製、商品名「Dektak3ST」)を用い、被膜表面を5gfの荷重で1000μmスキャンし、表面の凹凸を測定した。凹凸の測定値が最大値と最小値の差で0.2μm未満の場合をA、0.2μm以上の場合をBとした。
【0154】
[解像性の評価]
解像性の評価は、ガラス基板上に形成されたシリカ系被膜について、5μm角のスルーホールパターンが抜けているかどうかで評価した。すなわち、電子顕微鏡「S−4200」(株式会社日立計測器サービス製、商品名)を用いて観察し、露光部の5μm角のスルーホールパターンが抜けている場合はA、抜けていない場合をBと評価した。
【0155】
[耐熱性の評価]
耐熱性の評価は、ガラス基板上に形成されたシリカ系被膜について、5μm角のスルーホールパターンの現像後と、350℃で30分間の最終硬化後のパターン形状変化で評価した。すなわち、電子顕微鏡「S−4200」(株式会社日立計測器サービス製、商品名)を用いて観察し、硬化後の5μm角のスルーホールパターン形状が現像後と変化していない場合はA、変化している場合をBと評価した。
【0156】
[透過率の測定]
可視光領域に吸収がないガラス基板上に塗布されたシリカ系被膜について、株式会社日立製作所製、商品名「UV3310」装置によって、波長300〜800nmの透過率を測定し、波長400nmの値を透過率とした。
【0157】
<評価結果>
実施例1〜4及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜の評価結果を、下記の表2に示した。
【0158】
【表2】

【0159】
上記表2に示した結果から、実施例1〜4の感光性樹脂組成物によれば、塗布性に優れ、解像性、耐熱性及び透過率が十分に高いシリカ系被膜を得ることができることが明らかである。
【符号の説明】
【0160】
1…シリコンウェハ、1A,1B…拡散領域、2A…フィールド酸化膜、2B…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4A,4B…側壁酸化膜、5,7…層間絶縁膜、5A,7A…コンタクトホール、6…ビット線、8A…蓄積電極、8B…キャパシタ絶縁膜、8C…対向電極、10…メモリセルキャパシタ、20…アクティブマトリクス基板、21…画素電極、22…ゲート配線、23…ソース配線、24…TFT、25…接続電極、26…コンタクトホール、27…付加容量対向電極、31…透明絶縁性基板、32…ゲート電極、33…ゲート絶縁膜、34…半導体層、35…チャネル保護層、36a…ソース電極、36b…ドレイン電極、37a,37b…透明導電膜、38a、38b…金属層、39…層間絶縁膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分:下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、下記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物との混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して得られる第2のシロキサン樹脂と、
(b)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物と、
を含有する感光性樹脂組成物。
【化1】


[式(1)中、Rは有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】


[式(2)中、Rは、H原子、F原子、有機基、又は、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子のうち少なくとも1種の原子を含む基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2であるとき、同一分子内の複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を溶媒中で加水分解縮合して第1のシロキサン樹脂の溶液を得る工程と、
前記第1のシロキサン樹脂の溶液と、下記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物とを混合した混合物を加水分解縮合し、更に加熱処理して第2のシロキサン樹脂の溶液を調製する工程と、
前記第2のシロキサン樹脂の溶液と、フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化合物とを混合する工程と、
を備える感光性樹脂組成物の製造方法。
【化3】


[式(1)中、Rは有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【化4】


[式(2)中、Rは、H原子、F原子、有機基、又は、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子のうち少なくとも1種の原子を含む基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2であるとき、同一分子内の複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項3】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、
前記塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、
前記塗膜の露光された前記所定部分を除去する除去工程と、
前記所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程と、
前記所定部分が除去された塗膜を加熱する加熱工程と、
を有する、シリカ系被膜の形成方法。
【請求項4】
基板と、該基板上に請求項3記載の形成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える半導体装置。
【請求項5】
基板と、該基板上に請求項3記載の形成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える平面表示装置。
【請求項6】
基板と、該基板上に請求項3記載の形成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える電子デバイス用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−262133(P2010−262133A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112740(P2009−112740)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】