説明

感光性樹脂組成物及び積層体

【課題】350〜450nmの波長を有する露光光源に対する感度、解像度、密着性、及びサンドブラスト耐性に優れ、スカム発生量の少ない、アルカリ現像性感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基を分子内に共に有する化合物より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)特定のピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ性水溶液によって現像可能な感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を支持体上に積層した感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基材上にレジストパターンを形成する方法、及び該レジストパターンの用途に関する。さらに詳しくは、プラズマディスプレイパネルや表面電界ディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイの製造、有機ELのガラスキャップの製造、及びサンドブラスト工法によって基材を加工する際の保護マスク部材として好適なレジストパターンを与える感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年フォトリソグラフィー技術及びサンドブラスト技術の進歩に伴い、ガラスや低融点ガラス、セラミックを微細なパターンに加工することが可能になってきた。特にガラスや低融点ガラスをサンドブラストで加工して、格子状やストライプ状、ワッフル形状に隔壁を形成することが必要なプラズマディスプレイパネルの製造においては、画素ピッチの狭幅化に伴い、最近150μmピッチ以下のパターン形成が要求されるようになってきた。
このような微細なプラズマディスプレイパネルの隔壁パターンを歩留り良く製造する為に、支持体となるフィルム上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層し、更に必要に応じ保護層を積層した感光性樹脂積層体が多用されている。
【0003】
感光性樹脂積層体を用いて、プラズマディスプレイパネルの隔壁を形成する方法の一例を説明する。(1)感光性樹脂積層体に保護層が有る場合にはこれを剥がしながら、ガラス基板または低融点ガラス基板(以下単純に基板と略記する)上にホットロールラミネーターを用いて密着させるラミネート工程、(2)所望の微細パターンを有するフォトマスクを支持体上に密着させた状態で、或いは数十〜数百μm離した状態で活性光線源を用いて露光を施す露光工程、(3)支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去し、微細なレジストパターンを基板上に形成する現像工程、(4)形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け、基板を目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、(5)レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する剥離工程の各工程を経てプラズマディスプレイパネルの隔壁を形成することができる。
【0004】
また、露光方式も用途に応じ多様化しており、レーザーによる直接描画等のフォトマスクを不要とするマスクレス露光が近年急激な広がりを見せている。マスクレス露光の光源としては波長350〜410nmの光、とくにi線またはh線(405nm)が用いられる場合が多い。従って、これらの波長域の光源に対して高感度、かつ高解像度のレジストパターンを形成できることが重要視されている。
特許文献1には、特定のピラゾリン化合物及びトリアリールイミダゾール二量体を含有し、350〜450nmの波長を有する光源に対して、画像形成性に優れ、かつ溶解性及び保存安定性の良好な感光性樹脂組成物の開示が有る。
【0005】
特許文献2には、特定のポリウレタンプレポリマーを含有する感光性樹脂組成物を用いたサンドブラスト用感光性樹脂積層体の開示が有る。
しかしながら、350〜450nmの波長を有する露光光源に対する感度、解像度、密着性、及びサンドブラスト耐性に優れ、現像液中でのスカム発生量の少ない、アルカリ性水溶液によって現像しうるという全ての特性を満足する感光性樹脂組成物の開示はなかった。
【特許文献1】特開2005−215142号公報
【特許文献2】特開2002−214779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ドライフィルム作成時の相溶性が良好で、350〜450nmの波長を有する露光光源に対する感度、解像度、密着性、及びサンドブラスト耐性に優れ、現像液中でのスカム発生量の少ない、アルカリ性水溶液によって現像しうる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂積層体、該感光性樹脂積層体を用いて基材上にレジストパターンを形成する方法、該レジストパターンを形成した基材をサンドブラストによって加工する工程を含む凹凸パターンを有する基材の製造方法、及び被加工基材がプラズマディスプレイパネルや表面電界ディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイ用基材または有機ELのガラスキャップ用基材等である表面加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明の次の構成によって達成することができる。
(1) (a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0008】
【化1】

(式中A、B及びCは、それぞれ独立に、アリール基、複素環基、炭素数3以上の直鎖または分枝鎖のアルキル基、及びNR(Rは水素原子、またはアルキル基)からなる群から選ばれる置換基を表す。a, b及びcの夫々は0〜2の整数であるが、a+b+cの値は1以上15以下である。)
(2)(a)熱可塑性共重合体の共重合成分として、メタクリル酸、メチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを含有することを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂組成物。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物を支持体上に積層してなる感光性樹脂積層体。
(4)基材上に、(3)記載の感光性樹脂積層体を用いて感光性樹脂層を形成するラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む、レジストパターン形成方法。
(5)前記露光工程において、直接描画して露光する事を特徴とする(4)に記載のレジストパターン形成方法。
(6)(4)又は(5)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基材を、サンドブラストによって加工する工程を含む凹凸パターンを有する基材の製造方法。
(7)前記基材が、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電界ディスプレイパネル用基材、または有機ELのガラスキャップ用基材である(6)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルムレジスト作成時の相溶性が良好で、350〜450nmの波長を有する露光光源に対して感度が高い。また、本発明の感光性樹脂積層体は、露光時の感度、ならびに現像後のレジストパターンの解像性、密着性及びサンドブラスト耐性に優れ、現像液中でのスカムの発生量が少ない。本発明のレジストパターン形成方法は、感度、解像性、密着性及びサンドブラスト耐性に優れるレジストパターンを提供し、プラズマディスプレイや有機ELのガラスキャップ等の製造に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について具体的に説明する。
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を必須成分として含む。
【0012】
【化2】

(式中A、B及びCは、それぞれ独立に、アリール基、複素環基、炭素数3以上の直鎖または分枝鎖のアルキル基、NR(Rは水素原子、またはアルキル基)からなる群から選ばれる置換基を表す。a, b及びcの夫々は0〜2の整数であるが、a+b+cの値は1以上15以下である。)
(a)熱可塑性共重合体
本発明の感光性樹脂組成物において、(a)熱可塑性共重合体としては、α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000のものを用いる。
熱可塑性共重合体中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液からなる現像液や剥離液に対して、現像性や剥離性を有するために必要である。酸当量は、100〜600が好ましく、より好ましくは200〜400である。溶媒または組成物中の他の成分、特に後述する(b)ポリウレタンプレポリマーや(c)付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上であり、また、現像性や剥離性を維持するという観点から600以下である。ここで、酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する熱可塑性共重合体の質量(グラム)をいう。なお、酸当量の測定は、平沼レポーティングタイトレーター(COM−555)を用い、0.1mol/LのNaOH水溶液で電位差滴定法により行われる。
【0013】
重量平均分子量は、5000から500000であることが好ましい。ドライフィルムレジストの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5000以上であり、また、現像性を維持するという観点から500000以下である。より好ましくは、重量平均分子量は、20000から100000である。この場合の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンの検量線を用いて測定した重量平均分子量のことである。該重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して、以下の条件で測定することができる。
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−980−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−8025、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF
【0014】
熱可塑性共重合体は、後述する第一の単量体の少なくとも1種以上からなる共重合体であるか、該第一の単量体の少なくとも1種以上と後述する第二の単量体の少なくとも一種以上からなる共重合体であることが好ましい。
第一の単量体は、分子中にα,β−不飽和カルボキシル基を含有する単量体である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルがあげられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。中でも、特にメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量は、20〜70質量%の範囲であり、好ましくは、30〜60質量%の範囲である。この量は、アルカリ現像性を維持するという観点から20質量%以上であり、また、露光によって形成されるレジストパターンがサンドブラスト耐性を十分に発揮するという観点から70質量%以下である。
【0015】
(b)ポリウレタンプレポリマー
本発明の感光性樹脂組成物において、(b)ポリウレタンプレポリマーとしては、末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基を分子内に共に有する化合物を反応させて得られる、重量平均分子量が2000〜40000のものを用いる。重量平均分子量は、2000〜40000が好ましく、より好ましくは5000〜30000である。サンドブラスト耐性を発揮するという観点から2000以上であり、また、現像性や相溶性を維持するという観点から40000以下である
末端に水酸基を有するポリマーとしては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリオールや、末端水酸基を有する1、4−ポリブタジエン、水添または非水添1、2−ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、末端に水酸基を有するモノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類や、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などの分子内にカルボキシル基を有するジオール等が挙げられる。
【0016】
ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、O−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、α、α'―ジメチル−O−キシリレンジイソシアネート、α、α'―ジメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α'―ジメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'―トリメチル−O−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'―トリメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'―トリメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'、α'―テトラメチル−O−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'、α'―テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α'、α'―テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネート化合物の芳香環を水添化した化合物、例えばm−キシリレンジイソシアネートの水添化物(三井武田ケミカル製タケネート600)なども挙げられる。
【0017】
活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量は、10〜70質量%の範囲であり、好ましくは、20〜60質量%の範囲である。この量は、サンドブラスト耐性を十分に発揮するという観点から10質量%以上であり、また、現像性や相溶性を維持するという観点から70質量%以下である。
【0018】
(c)付加重合性モノマー
本発明の感光性樹脂組成物に用いる(c)付加重合性モノマーとしては、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する公知の化合物を使用できる。
例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学製、商品名OE-A 200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、2,2−ビス[{4−(メタ)アクリロキシポリエトキシ}フェニル]プロパン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、及びイソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】
また、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリエトキシ)フェニル}プロパンまたは2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリエトキシ)フェニル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリエトキシ基は、モノエトキシ基、ジエトキシ基、トリエトキシ基、テトラエトキシ基、ペンタエトキシ基、ヘキサエトキシ基、ヘプタエトキシ基、オクタエトキシ基、ノナエトキシ基、デカエトキシ基、ウンデカエトキシ基、ドデカエトキシ基、トリデカエトキシ基、テトラデカエトキシ基、及びペンタデカエトキシ基からなる群から選択されるいずれかの基である化合物が好ましい。また、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリアルキレンオキシ)フェニル}プロパンまたは2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリアルキレンオキシ)フェニル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリアルキレンオキシ基としては、エトキシ基とプロピルオキシ基の混合物が挙げられ、オクタエトキシ基とジプロピルオキシ基のブロック構造の付加物またはランダム構造の付加物、及びテトラエトキシ基とテトラプロピルオキシ基のブロック構造の付加物またはランダム構造の付加物が好ましい。これらの中でも、2,2−ビス{(4−メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル}プロパンが最も好ましい。
【0020】
さらには、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリエトキシ) シクロヘキシル}プロパンまたは2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリエトキシ) シクロヘキシル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリエトキシ基は、モノエトキシ基、ジエトキシ基、トリエトキシ基、テトラエトキシ基、ペンタエトキシ基、ヘキサエトキシ基、ヘプタエトキシ基、オクタエトキシ基、ノナエトキシ基、デカエトキシ基、ウンデカエトキシ基、ドデカエトキシ基、トリデカエトキシ基、テトラデカエトキシ基、及びペンタデカエトキシ基からなる群から選択されるいずれかの基である化合物が好ましい。また、2,2−ビス{(4−アクリロキシポリアルキレンオキシ)シクロヘキシル}プロパンまたは2,2−ビス{(4−メタクリロキシポリアルキレンオキシ)シクロヘキシル}プロパンが挙げられる。該化合物が有するポリアルキレンオキシ基としては、エトキシ基とプロピルオキシ基の混合物が挙げられ、オクタエトキシ基とジプロピルオキシ基のブロック構造の付加物またはランダム構造の付加物、及びテトラエトキシ基とテトラプロピルオキシ基のブロック構造の付加物またはランダム構造の付加物が好ましい。これらの中でも、2,2−ビス{(4−メタクリロキシペンタエトキシ)シクロヘキシル}プロパンが最も好ましい。
これらは、単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される(c)付加重合性モノマーの量は、3〜70質量%の範囲であり、より好ましい範囲は10〜60質量%である。この量は、硬化不良、及び現像時間の遅延を抑えるという観点から3質量%以上であり、また、コールドフロー、及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下である。
【0021】
(d)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物には、(d)光重合開始剤が含まれ、ヘキサアリールビスイミダゾール(以下、トリアリールイミダゾリル二量体、とも言う。)を必須成分とする。
本発明の感光性樹脂組成物に含有される(d)光重合開始剤の量は、0.01〜30質量%の範囲であり、より好ましい範囲は0.05〜10質量%である。十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上が好ましく、また、レジスト底面にまで光を充分に透過させ、良好な高解像性および密着性を得るという観点から30質量%以下が好ましい。
【0022】
上述のトリアリールイミダゾリル二量体の例としては、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体(以下、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’ ,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビスイミダゾール、とも言う)、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等が挙げられる。特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体は解像性や硬化膜の強度に対して高い効果を有する光重合開始剤であり、好ましく用いられる。
これらは単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物に含有されるヘキサアリールビスイミダゾールの量は、0.01〜30質量%であり、好ましくは、0.05〜10質量%であり、最も好ましくは0.1〜5質量%である。この量は、十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上必要であり、また、高解像性を維持するという観点から30質量%以下である。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、ヘキサアリールビスイミダゾール以外の光重合開始剤を併用することも可能である。このような光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、及びN−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。なお、上述のチオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせとしては、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、及びイソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせがあげられる。
【0024】
ヘキサアリールビスイミダゾール以外に本発明の感光性樹脂組成物に添加する光重合開始剤の好ましい例としては、ジエチルチオキサントン、及びクロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9−フェニルアクリジン、N−フェニルグリシン類、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。この中でも、ミヒラーズケトンまたは4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンがとくに好ましい。
【0025】
(e)ピラゾリン化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)ピラゾリン化合物としては、下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物を必須成分とする。
【0026】
【化3】

(式中A、B及びCは、それぞれ独立に、アリール基、複素環基、炭素数3以上の直鎖または分枝鎖のアルキル基、及びNR(Rは水素原子、またはアルキル基)からなる群から選ばれる置換基を表す。a, b及びcの夫々は0〜2の整数であるが、a+b+cの値は1以上15以下である。)
【0027】
上記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物としては、例えば、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−エトキシ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(2,4−ジブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(3,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチルスチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−アミノ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N−エチル−フェニル)−ピラゾリン、及び1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N,N−ジエチル−フェニル)−ピラゾリン、が挙げられる。
【0028】
前記の一般式(I)で示されるピラゾリン化合物の中でも、式中、B又はC、及びBとCの双方に、tert-ブチル基を有するピラゾリン化合物がより好ましく、その中でも1−フェニル−3−(4−tert-ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリンが特に好ましい。特にマスクレス露光で好適に使用される波長が400nm以上の露光光源に対しては、ベンズオキサゾール基を有するピラゾリン化合物が好ましく、特に1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
【0029】
前述の一般式(I)で示される化合物は、本発明の感光性樹脂組成物中に1種以上含まれていれば良く、その総量は、0.001〜10質量%であり、より好ましい範囲は、0.005〜5質量%であり、最も好ましい範囲は、0.05〜2質量%である。この量は、感度及び解像性が向上するという観点から0.001質量%以上であり、また、熱可塑性重合体及び末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマーへの相溶性及び分散性を向上させ、ドライフィルムフォトレジストとしての効果を発揮させるという観点から10質量%以下である。
【0030】
なお、本発明の感光性樹脂組成物においては、前記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物に加えて、それ以外のピラゾリン化合物を併用してもよい。そのような化合物の例としては、例えば、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−カルボキシ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−メルカプト−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−エチルチオ−フェニル)−ピラゾリン、及び1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−エトキシカルボニル−フェニル)−ピラゾリンが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(e)ピラゾリン化合物は、前述した(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤と併用することによって、増感剤としての効果を発揮する。
【0031】
(f)その他の成分
本発明の感光性樹脂組成物においては、前述した成分に加えて、染料、顔料等の着色物質を採用することができる。このような着色物質としては、例えば、フタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、及びダイアモンドグリーン等が挙げられる。
また、露光により可視像を与えることができるように、本発明の感光性樹脂組成物中に発色剤を添加してもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料又は、フルオラン染料とハロゲン化合物との組み合わせが挙げられる。該ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、及びクロル化トリアジン化合物等が挙げられる。
着色物質及び発色剤の量は、感光性樹脂組成物中において、夫々0.01〜10質量%が好ましい。充分な着色性(発色性)が認識できる点から0.01質量%以上、露光部と未露光部のコントラストを有する点と、保存安定性維持の観点から10質量%以下が好ましい。
【0032】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有させることは好ましいことである。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0033】
また、ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、及びビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
また、カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0034】
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計添加量は、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。この量は、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から0.01質量%以上が好ましく、また、感度を維持するという観点から3質量%以下がより好ましい。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤等の添加剤を含有させても良い。このような添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルフォン酸アミド、p−トルエンスルフォン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチルが挙げられる。
可塑剤等の添加剤の量としては、感光性樹脂組成物中に、3〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは、5〜20質量%である。現像時間の遅延を抑えたり、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から3質量%以上が好ましく、また、硬化不足やコールドフローを抑えるという観点から30質量%以下が好ましい。
【0036】
<感光性樹脂組成物調合液>
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を添加した感光性樹脂組成物調合液としてもよい。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0037】
<感光性樹脂積層体>
本発明の感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層とその層を支持する支持体からなるが、必要により、感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していても良い。
ここで用いられる支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要等から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。
【0038】
また、感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について、支持体よりも保護層の方が充分小さく容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。また、特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは、5〜100μm、より好ましくは、10〜60μmである。厚みが薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
支持体、感光性樹脂層、及び必要により、保護層を順次積層して、本発明の感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、前述の感光性樹脂組成物調合液にしておき、まず支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に該感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。
次いで、必要により、該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作成することができる。
【0039】
<レジストパターン形成方法>
本発明の感光性樹脂積層体を用いたレジストパターンは、ラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む工程によって形成することができる。具体的な方法の一例を示す。
まず、ラミネーターを用いてラミネート工程を行う。感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。この場合、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートしても良いし、必要に応じて両面にラミネートしても良い。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、該加熱圧着を二回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性が向上する。この時、圧着は二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用しても良いし、何回か繰り返してロールに通し圧着しても良い。
次に、露光機を用いて露光工程を行う。必要ならば支持体を剥離しフォトマスクを通して活性光により露光する。露光量は、光源照度及び露光時間より決定される。光量計を用いて測定しても良い。
【0040】
露光工程においては、マスクレス露光方法を用いてもよい。マスクレス露光はフォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350〜410nmの半導体レーザーや超高圧水銀灯などが用いられる。描画パターンはコンピューターによって制御され、この場合の露光量は、露光光源の照度および基板の移動速度によって決定される。
次に、現像装置を用いて現像工程を行う。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合にはこれを除く。続いてアルカリ水溶液からなる現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、NaCO、またはKCO等の水溶液が好ましい。これらは感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2〜2質量%の濃度のNaCO水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。なお、現像工程における該現像液の温度は、20〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なるサンドブラスト耐性向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、または遠赤外線等の方式の加熱炉を用いることができる。
【0041】
<凹凸パターンを有する基材の製造方法>
前述のレジストパターン形成方法によって、サンドブラスト工法によりレジストパターンを基材に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。
基材としては、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料などが挙げられる。これらは、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電解ディスプレイ用基材、有機EL用のガラスキャップ用基材である。これらガラス等の基材上に、前述のレジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基材から除去する剥離工程を経て、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材とすることができる。上前記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材は公知のものが用いられ、例えばSiC,SiO2 、Al23 、CaCO3、ZrO、ガラス、ステンレス等の2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
【0042】
上述のサンドブラスト工法による凹凸パターンを有する基材の製造方法は、フラットパネルディスプレイの隔壁の製造、有機ELのガラスキャップ加工、シリコンウエハーの穴開け加工、及びセラミックのピン立て加工等に使用することができる。また、強誘電体膜および貴金属、貴金属合金、高融点金属、および高融点金属化合物からなる群から選ばれる金属材料層の電極の製造に利用することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明の実施形態の例をさらに詳しく説明する。
最初に実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明し、次いで、得られたサンプルについての評価方法およびその評価結果を示す。
【0044】
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す組成の感光性樹脂組成物及び溶媒をよく攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは40μmであった。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
表1における略号で表わした感光性樹脂組成物調合液中の材料成分の名称を表2に示す。なお、比較例1〜4は、本発明に用いられる(e)ピラゾリン成分を含まない組成物である。また、比較例5〜7は、本発明に用いられるヘキサアリールビスイミダゾールを含まない組成物である。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

<サンドブラスト用被加工基材の準備>
被加工基材は3mm厚みのソーダガラス及び以下の方法で作製したガラスペースト塗工済みソーダガラスの2種類を用いた。3mm厚みのソーダガラス上に、プラズマディスプレイ用ガラスペーストをスクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥しガラスペースト塗工済みソーダガラスを作製した。
【0047】
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した被加工基材にホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
<露光>
直接描画式露光装置(日立ビアメカニクス(株)製、DI露光機DE−1AH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長407±3nm)により下記の感度評価によってステップタブレット段数が7となる露光量で露光した。
【0048】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の0.4質量%NaCO水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
<サンドブラスト>
被加工基材上に形成されたレジストパターンに対し、Xハイパーブラスト装置HCH−3X7BBART−411M(不二製作所(株)製)を用いて、サンドブラスト加工を施した。研磨剤にS9#1200(不二製作所(株)製)を使用し、ホース内圧0.08MPa、ガン移動速度20m/min.、コンベア移動速度100mm/min.、研磨剤噴射量500g/min.とした。
【0049】
2.評価方法
(1)感度評価
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、透明から黒色に21段階に明度が変化しているストーファー製21段ステップタブレットを用いて露光した。露光後、最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、レジスト膜が完全に残存しているステップタブレット段数が7である露光量により、次の様にランク分けした。
○:露光量が150mJ/cm以下。
△:露光量が150mJ/cmを超え、200mJ/cm以下。
×:露光量が200mJ/cmを超える。
【0050】
(2)解像度評価
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を解像度の値とした。
○:解像度の値が70μm以下。
△:解像度の値が70μmを超え、90μm以下。
×:解像度の値が90μmを超える。
【0051】
(3)密着性評価
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:5の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を密着性の値とした。
○:密着性の値が50μm以下。
△:密着性の値が50μmを超え、70μm以下。
×:密着性の値が70μmを超える。
【0052】
(4)サンドブラスト耐性
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:5の比率のラインパターンマスクを通して露光し、最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像した。次いで、サンドブラスト加工を行い、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたりせずに正常に形成されている最小マスクライン幅をサンドブラスト耐性の値とした。
○:サンドブラスト耐性の値が60μm以下。
△:サンドブラスト耐性の値が60μmを超え、80μm以下。
×:サンドブラスト耐性の値が80μmを超える。
【0053】
(5)現像液中でのスカム発生量
感光性樹脂層を0.02m2取り出し、0.4質量%炭酸ナトリウム水溶液200mlに加え、撹拌機にて常温で2時間撹拌し、一昼夜放置した。得られた現像液をろ紙で濾過し、十分に乾燥した後、ろ紙上に残留したスカムの質量を秤量し、スカム発生量の値とした。
◎:スカム発生量の値が50mg以下。
○:スカム発生量の値が50mgを超え、100mg以下。
△:スカム発生量の値が100mgを超え、200mg以下。
×:スカム発生量の値が200mgを超える。
【0054】
(6)保存安定性評価
感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がし、UV−visスペクトロメーター(島津製作所(株)製、UV−240)を用いて、波長600nmの光の透過率を測定した。この際、スペクトロメーターのリファレンス側に該感光性樹脂積層体に用いたのと同じポリエチレンテレフタレートフィルムを入れて、ポリエチレンテレフタレートフィルム由来の透過率をキャンセルした。温度50℃、湿度60%で3日間保存した感光性樹脂積層体の透過率と、温度23℃、湿度50%で3日間保存した同じ感光性樹脂積層体の透過率を比較し、その差により下記の様にランク分けした。
○:600nmにおける透過率の差が±10%未満
×:600nmにおける透過率の差が±10%以上
【0055】
3.評価結果
実施例及び比較例の評価結果は表1に示した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、プラズマディスプレイパネルや表面電界ディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイの製造、有機ELのガラスキャップの製造、及びサンドブラスト工法によって凹凸パターンを有する基材を製造する方法に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】

(式中A、B及びCは、それぞれ独立に、アリール基、複素環基、炭素数3以上の直鎖または分枝鎖のアルキル基、及びNR(Rは水素原子、またはアルキル基)からなる群から選ばれる置換基を表す。a, b及びcの夫々は0〜2の整数であるが、a+b+cの値は1以上15以下である。)
【請求項2】
前記(a)熱可塑性共重合体の共重合成分として、メタクリル酸、メチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートを含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を支持体上に積層してなる感光性樹脂積層体。
【請求項4】
基材上に、請求項3記載の感光性樹脂積層体を用いて感光性樹脂層を形成するラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項5】
前記露光工程において、直接描画して露光する事を特徴とする請求項4に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法によってレジストパターンを形成した基材を、サンドブラストによって加工する工程を含む凹凸パターンを有する基材の製造方法。
【請求項7】
前記基材が、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電界ディスプレイパネル用基材、または有機ELのガラスキャップ用基材である請求項6に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−116751(P2008−116751A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300666(P2006−300666)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】