説明

抗アポトーシスBcl−2ファミリーメンバーのクロメン−4−オン阻害剤およびその使用

本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質(例えば、Bcl-2およびBcl-xL)の阻害剤として機能する小分子に関する。本発明は同様に、アポトーシス細胞死を誘導するためのおよび細胞をアポトーシス細胞死の誘導に対して感作するためのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は医薬品化学の分野に関する。具体的には、本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質(例えば、Bcl-2およびBcl-xL)の阻害剤として機能する小分子に関する。本発明は同様に、アポトーシス細胞死を誘導するためのおよび細胞をアポトーシス細胞死の誘導に対して感作するためのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
侵襲性の癌細胞表現型は、細胞内シグナル伝達経路の脱制御をもたらす種々の遺伝的および後成的変化の結果である(Ponder, Nature 411:336 (2001))。しかしながら、全ての癌細胞の共通性は、それらがアポトーシスプログラムを実行できないことであり、正常なアポトーシス機構の欠損による適切なアポトーシスの欠如は癌の特質である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000))。化学療法剤、放射線、および免疫療法を含めて、現在の癌治療の大部分は、癌細胞においてアポトーシスを間接的に誘導することにより作用する。すなわち、正常なアポトーシス機構の欠損によって癌細胞がアポトーシスプログラムを実行できないことは、化学療法、放射線、または免疫療法によって誘導されるアポトーシスに対する耐性の増大と関連することが多い。アポトーシスの欠損による現在の治療プロトコルに対する異なる起源のヒト癌の一次または獲得耐性は、現在の癌療法の主要な問題である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000); Nicholson, Nature 407:810 (2000))。したがって、癌患者の生存および生活の質を改善するための新しい分子標的特異的な抗癌療法のデザインおよび開発に向けた現在および将来の努力は、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を特異的に標的とする戦略を含まなければならない。この関連で、癌細胞においてアポトーシスを直接的に阻害する際に中心的な役割を果たす決定的な負の調節因子を標的にすることは、新しい抗癌薬のデザインに極めて有望な治療戦略となる。
【0003】
アポトーシスの2つのクラスの中心的な負の調節因子が同定されている。アポトーシスの第1クラスの負の調節因子は、アポトーシスタンパク質の阻害因子(IAPs)である(Deveraux et al., Genes Dev. 13:239 (1999); Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002))。IAPタンパク質は、癌細胞において化学療法剤、放射線、および免疫治療を含め、多種多様なアポトーシス刺激によって誘導されるアポトーシスを強力に抑制する。
【0004】
アポトーシスの第2クラスの中心的な負の調節因子は、Bcl-2ファミリーのタンパク質である(Adams et al., Science 281:1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996))。Bcl-2はこのファミリーの創始メンバーであり、癌遺伝子の産物として最初に単離された。Bcl-2ファミリーには、現在、Bcl-2、Bcl-xL、およびMcl-1などの抗アポトーシス分子とBax、Bak、Bid、およびBadなどのプロアポトーシス分子の両方が含まれる。Bcl-2、Bcl-xL、およびMcl-1は、非ホジキンリンパ腫を含め、多くのタイプのヒト癌(例えば、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肺癌)で過剰発現されており、これはBcl-2の過剰発現をもたらす染色体転座(t14, 18)によって引き起こされる。このことから、多くの癌細胞種が、同時に、それらを癌細胞または前癌細胞と規定もし、それらにアポトーシス経路の実行を試行もさせるその他の細胞の撹乱を乗り切るためいっそう高いレベルのBcl-2ファミリータンパク質に依存していることが示唆される。また、Bcl-2ファミリータンパク質の発現増大は、腫瘍細胞において細胞死を誘導させるよう様々な方法で作用する癌療法薬および放射線に対する耐性の発現の基礎と認識されている。
【0005】
Bcl-2およびBcl-xLは、腫瘍細胞の移動および浸潤、それ故に、転移において役割を果たすと考えられている。Amberger et al., Cancer Res. 58:149 (1998); Wick et al., FEBS Lett, 440:419 (1998); Mohanam et al., Cancer Res. 53:4143 (1993); Pedersen et al., Cancer Res., 53:5158 (1993)。Bcl-2ファミリータンパク質は、腫瘍細胞に新たなかつ非許容的な環境(例えば、転移部位)で生存するための機構を供与し、臨床的な転移癌の広がりの臓器特異的なパターンに寄与しているように思われる。Rubio, Lab Invest. 81:725 (2001); Fernandez et al., Cell Death Differ. 7:350 (2000))。Bcl-2および/またはBcl-xLなどの抗アポトーシスタンパク質は同様に、例えば細胞表面インテグリンの調節を通じて、細胞間の相互作用を調節すると考えられている。Reed, Nature 387:773 (1997); Frisch et al., Curr. Opin. Cell Biol. 9:701 (1997); Del Bufalo et al., FASEB J. 11:947 (1997)。
【0006】
癌細胞の感受性を回復し、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するため、癌においてBcl-2、Bcl-xL、およびMcl-1を標的とする治療戦略が広く概説されている(Adams et al., Science 281: 1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996))。現在、Bcl-2アンチセンス療法は、固形および非固形腫瘍の治療に向けたいくつかの第III相臨床試験にある。
【0007】
ゴシポールは、未精製の綿実油(ゴシピウム種(Gossypium sp.))に由来する天然の二重ビフェノール化合物である。男性用避妊薬としてのゴシポールの臨床試験によって、これらの化合物の長期投与の安全性が実証されている(Wu, Drugs 38:333 (1989))。ゴシポールはいくらかの抗増殖効果を有することがつい最近になって明らかにされている(Flack et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 76:1019 (1993); Bushunow et al., J. Neuro-Oncol. 43:79, (1999); Van Poznak et al., Breast Cancer Res. Treat. 66:239 (2001))。(-)-ゴシポールおよびその誘導体はBcl-2、Bcl-xLおよびMcl-1の強力な阻害剤であることや、強力な抗癌活性を有することが最近になって明らかにされている(米国特許出願第2003/0008924号; 同第2004/0214902号)。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
癌細胞またはその支持細胞が、遺伝子損傷またはアポトーシスの誘導因子(抗癌剤および放射線などの)への曝露に応答してアポトーシスを起こすことができないことは、癌の発症および進行において大きな要因であると一般的に受け入れられている。癌細胞またはその支持細胞(例えば、腫瘍血管系の血管新生細胞)におけるアポトーシス誘導は、市販されているまたは今日実践されている実質的に全ての効果的な癌療法薬または放射線療法の普遍的な作用機序であると考えられている。細胞がアポトーシスを起こせない理由の1つは、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの発現および蓄積の増大である。
【0009】
本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの機能を阻害する治療的有効量の薬物(例えば、小分子)への癌罹患動物の曝露が、癌細胞または支持細胞(その生存の持続が抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの過活性に依存している細胞)を完全に死滅させ、および/またはそのような細胞を集団として癌療法薬または放射線療法の細胞死誘導活性に対していっそう感受性にさせることを企図する。本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの機能に依存している癌細胞においてアポトーシスを誘導するため単剤療法として投与される場合、または癌療法薬もしくは放射線療法のみでしか処置されていない動物における対応する細胞割合に比べて、いっそう高い割合の癌細胞もしくは支持細胞に、アポトーシスプログラムの実行への感受性を与えるように、その他の細胞死誘導癌療法薬もしくは放射線療法とともに時間的関係で投与される場合のいずれかにおいて、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの阻害剤が、複数の癌種の処置のための未だ満たされていない必要性を満たすことを企図する。
【0010】
本発明のある態様において、治療的有効量の本発明の化合物および一連の抗癌剤または放射線措置による動物の併用処置は、化合物または抗癌薬/放射線のみで処置したものに比べて、そのような動物においていっそう大きな腫瘍応答および臨床的有益性をもたらす。言い換えれば、本発明の化合物は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーを発現する全ての細胞のアポトーシス閾値を低下させるので、抗癌薬/放射線のアポトーシス誘導活性に応答してアポトーシスプログラムを成功裏に実行する細胞の割合が増える。または、本発明の化合物は、抗癌剤/放射線のみの従来の用量/線量と同じ腫瘍応答/臨床的有益性をもたらすのに、いっそう低い、それ故に毒性がいっそう少なく、許容性のいっそう高い、用量/線量の抗癌剤および/または放射線の投与を可能にするよう使用することができる。承認されている全ての抗癌薬の用量および放射線処置の線量は公知であるため、本発明は、本発明の化合物とのそれらの種々の組合せを企図する。本発明の化合物はまた、少なくともある程度は抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーを阻害することにより作用しうるので、治療的有効量の化合物への癌細胞および支持細胞の曝露は、抗癌剤または放射線療法に応答してアポトーシスプログラムを実行する細胞の試行と同時に起こるよう時間的に関連させるべきである。すなわち、いくつかの態様において、本発明の組成物をある種の時間的関係に関連して投与することで、特に有効な治療的実践が得られる。
【0011】
本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの活性を阻害するのに有用なおよびアポトーシスの誘導因子に対する細胞の感受性を増大させるのに有用な化合物に関する。1つの特定の態様において、化合物は式I:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し、式中:
R1はH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり;
R2、R3、R4、R5、およびR6は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、もしくはNR'R''であり;
R'およびR''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、あるいはR'およびR''はそれらが結合しているNと一緒に複素環またはヘテロアリール環を形成する。
【0012】
1つの態様において、式Iの化合物は式II:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し、式中:
Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールである。
【0013】
別の態様において、式Iの化合物は式III:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し、式中:
Ar1およびAr2は独立して、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
XはO、NR'、SO2、S、C(O)N(R')、SO2NR'、R'NCO、R'NSO2、N(R')R''、N(R')-R''-N(R''')、R'、OR'、OR'O、またはC(O)N(R')R''であり; ならびに
R'、R''、およびR'''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、
あるいはR'、R''、およびR'''のうち2つが複素環またはヘテロアリール環を形成する。
【0014】
別の態様において、式Iの化合物は式IV:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する。
【0015】
別の態様において、式Iの化合物は式V:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する。
【0016】
別の態様において、式Iの化合物は式VI:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し: 式中において
Lは置換されてもよいアリール、ビアリール、ヘテロアリール、複素環、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、エーテル、エステル、アミン、アミド、スルホニル、スルホンアミド、またはチオエーテルであり;
R1およびR1'は独立してH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり; ならびに
R2、R2'、R3、R3'、R4、R4'、R6、およびR6'は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、またはNR'R''である。
【0017】
本発明は、式Iによって表される、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの阻害剤である化合物に関する。本発明は、細胞においてアポトーシスを誘導するための本発明の化合物の使用に関する。本発明は同様に、アポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作するための本発明の化合物の使用に関する。これらの化合物は、アポトーシス細胞死の誘導に応答性の障害、例えば、癌などの過剰増殖性疾患を含め、アポトーシスの調節不全によって特徴付けられる障害の処置、改善、または予防に有用である。ある種の態様において、これらの化合物は、癌療法に対する耐性により特徴付けられる癌(例えば、化学療法耐性、放射線耐性、ホルモン耐性などであるもの)を処置する、改善するまたは予防するのに使用することができる。他の態様において、これらの化合物は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの過剰増殖により特徴付けられる過剰増殖性疾患を処置するのに使用することができる。
【0018】
本発明は、細胞においてアポトーシスを誘導するのに、またはアポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作するのに治療的に有効な量の式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0019】
本発明はさらに、式Iの化合物および動物にこの化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。このキットは、任意でその他の治療剤、例えば、抗癌剤、アポトーシス調節剤を含んでもよい。
【0020】
本発明はまた、式Iの化合物を作出する方法を提供する。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、式Iによって表される、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの阻害剤として機能する化合物に関する。これらの化合物は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーを阻害することにより、細胞をアポトーシスの誘導因子に対して感作し、場合によっては、それら自体がアポトーシスを誘導する。それ故に、本発明は、細胞を式Iの化合物と単独で、またはアポトーシスの誘導因子と併用して接触させる段階を含む、細胞をアポトーシスの誘導因子に対して感作する方法および細胞においてアポトーシスを誘導する方法に関する。本発明はさらに、式Iの化合物およびアポトーシスの誘導因子を動物に投与する段階を含む、アポトーシスの誘導に応答性である動物において障害を処置する、改善する、または予防する方法に関する。そのような障害には、アポトーシスの調節不全によって特徴付けられるものおよび抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの過剰発現によって特徴付けられるものが含まれる。
【0022】
本明細書において用いられる「抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバー」という用語は、Bcl-2、Bcl-xL、Mcl-1、A1/BFL-1、BOO-DIVA、Bcl-w、Bcl-6、Bcl-8およびBcl-yを含むが、これらに限定されない、抗アポトーシス活性を有するBcl-2タンパク質ファミリーの任意の公知のメンバーを指す。
【0023】
本明細書において用いられる「抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの過剰発現」という用語は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAの基礎レベルを発現するか、または抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の基礎レベルを有する類似の非病的な対応細胞に比べて、細胞での抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAのいっそう高いレベル(例えば、異常なレベル)を指し、および/または抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質のいっそう高いレベルを指す。細胞での抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質をコードするmRNAのレベルまたは抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質のレベルを検出する方法には、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の抗体を用いるウエスタンブロッティング法、免疫組織学的方法、および核酸増幅または直接的RNA検出の方法が含まれるが、これらに限定されることはない。細胞での抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の絶対レベルは、細胞が抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質を過剰発現することを判定するのに重要であり、そのような細胞内でのその他のプロアポトーシスシグナル伝達分子(例えば、プロアポトーシスBcl-2ファミリータンパク質)に対する抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の相対レベルも同じくらい重要である。これらの2つのバランスが、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質のレベルになく、プロアポトーシスシグナル伝達分子が細胞にアポトーシスプログラムを実行させ、死滅させるのに十分なほどである場合、該細胞はその生存に関して抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質に依存性を示すであろう。そのような細胞では、阻害的に有効な量の抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質阻害剤への曝露は、細胞にアポトーシスプログラムを実行させ、死滅させるのに十分であろう。すなわち、「抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの過剰発現」という用語は同様に、プロアポトーシスシグナルおよび抗アポトーシスシグナルの相対レベルにより、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の機能を阻害する化合物の阻害的に有効な量に応答してアポトーシスを起こす細胞をいう。
【0024】
本明細書において用いられる「抗癌剤」および「抗癌薬」という用語は、癌などの過剰増殖性疾患の処置において(例えば、哺乳動物において)使用される任意の治療剤(例えば、化学療法化合物および/または分子治療化合物)、放射線療法、または外科的介入をいう。
【0025】
本明細書において用いられる「プロドラッグ」という用語は、標的の生理系内でプロドラッグを放出させるのに、またはプロドラッグを活性な薬物に変換するのに(例えば、酵素的に、機械的に、電磁的に)、生体内変換(例えば、自発的または酵素的のいずれか)を必要とする親「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体をいう。プロドラッグは、安定性、毒性、特異性の欠如、または限られた生体利用性に関連する問題を克服するようにデザインされる。例示的なプロドラッグは、それ自体活性な薬物分子および化学的マスキング基(例えば、薬物の活性を可逆的に抑制する基)を含む。いくつかの好ましいプロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する化合物の変形体または誘導体である。例示的なプロドラッグは、それらが生理学的な条件下で加溶媒分解を受けるか、または酵素的分解もしくはその他の生化学的変換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を受けると、インビボでまたはインビトロで薬学的に活性になる。プロドラッグは、哺乳類生物において溶解性、組織適合性または徐放性という利点を提供することが多い。(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam (1985); およびSilverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, CA (1992)を参照されたい)。一般的なプロドラッグには、適当なアルコール(例えば、低級アルカノール)との親の酸の反応により調製されるエステルなどの酸誘導体、アミンとの親の酸化合物の反応により調製されるアミド、またはアシル化塩基誘導体(例えば、低級アルキルアミド)を形成するように反応された塩基性基が含まれる。
【0026】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、標的の動物(例えば、哺乳動物)において生理学的に許容される本発明の化合物の任意の塩をいう。本発明の化合物の塩(例えば、酸または塩基との反応により得られる)は、無機または有機の酸および塩基に由来しうる。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されることはない。それ自体では薬学的に許容されない、シュウ酸などのその他の酸を本発明の化合物および薬学的に許容されるその酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において利用することができる。
【0027】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、およびWがC1-4アルキルである式NW4+の化合物などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0028】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、ウンデカン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されることはない。塩のその他の例としては、Na+、NH4+、およびNW4+(式中WはC1-4アルキル基である)などのような適当な陽イオンと化合物を形成した本発明の化合物の陰イオンが挙げられる。治療的用途の場合、本発明の化合物の塩は薬学的に許容されると考えられる。しかしながら、薬学的に許容されない酸および塩基の塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製における用途が見つかるかもしれない。
【0029】
本明細書において用いられる「治療的有効量」という用語は、障害の1つもしくは複数の症状の改善をもたらすのに、または障害の進行を予防するのに、または障害の退行を引き起こすのに十分な治療剤の量をいう。例えば、癌の処置に関して、治療的有効量は好ましくは、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、腫瘍増殖の速度を低下し、腫瘍塊を減少させ、転移の数を減少させ、腫瘍進行までの時間を増加し、または生存時間を増加する治療剤の量をいう。
【0030】
本明細書において用いられる「感作する(sensitize)」および「感作する(sensitizing)」という用語は、第1の薬剤(例えば、式Iの化合物)の投与を通じて、動物または動物内の細胞を第2の薬剤の生物学的効果(例えば、細胞成長、増殖、浸潤、血管形成、またはアポトーシスを含むが、これらに限定されない、細胞機能のある局面の促進または遅延)に対し、いっそう感受性にさせる、またはいっそう応答性にさせることをいう。標的細胞に及ぼす第1の薬剤の感作効果は、第1の薬剤の投与有りおよび無しで、第2の薬剤の投与によって認められた目的の生物学的効果(例えば、細胞成長、増殖、浸潤、血管形成、またはアポトーシスを含むが、これらに限定されない、細胞機能のある局面の促進または遅延)の相違として測定することができる。感作細胞の応答は、第1の薬剤の非存在下での応答より少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%増加することができる。
【0031】
本明細書において用いられる「アポトーシスの調節不全」という用語は、アポトーシスを介して細胞死を起こす細胞の能力(例えば、素因)の任意の異常をいう。アポトーシスの調節不全は、例えば、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、移植片対宿主病、重症筋無力症、またはシェーグレン症候群)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息またはクローン病)、過剰増殖性障害(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫、またはT細胞リンパ腫)、ウイルス感染(例えば、ヘルペス、パピローマ、またはHIV)、ならびに変形性関節症およびアテローム性動脈硬化症のようなその他の状態を含む、種々の状態に関連するか、またはそれらによって誘導される。調節不全がウイルス感染によって誘導されるかまたはそれに関連する場合、ウイルス感染は、調節不全が起こるかまたは観察される時点で検出可能であっても検出可能でなくてもよいことに留意すべきである。すなわち、ウイルス誘導性の調節不全は、ウイルス感染の症状の消失後でさえも起こることがある。
【0032】
本明細書において用いられる「過剰増殖性疾患」という用語は、動物の増殖細胞の局在的集団が正常増殖の通常の制限によって支配されない任意の状態をいう。過剰増殖性障害の例としては、腫瘍、新生物、リンパ腫などが挙げられる。新生物は、浸潤または転移を起こさないなら良性であると言われ、これらのいずれかを起こすなら悪性であると言われる。「転移」細胞とは、細胞が隣接の身体構造に浸潤し、それを破壊しうることを意味する。過形成は、構造または機能の有意な変化なしに組織または臓器中の細胞数の増大を伴う細胞増殖の形態である。異形成は、あるタイプの完全に分化した細胞が別のタイプの分化細胞と置き換わる、制御された細胞増殖の形態である。
【0033】
活性化されたリンパ球の病的な増殖は自己免疫障害または慢性炎症状態を生じることが多い。本明細書において用いられる「自己免疫障害」という用語は、生物が、生物自体の分子、細胞または組織を認識する抗体または免疫細胞を産生する任意の状態をいう。自己免疫障害の非限定的な例としては、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、バージャー病またはIgA腎症、セリアック病、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、移植片対宿主病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑などが挙げられる。
【0034】
本明細書において用いられる「新生物疾患」という用語は、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかである細胞の任意の異常増殖をいう。
【0035】
本明細書において用いられる「抗新生物剤」という用語は、標的とされた(例えば、悪性の)新生物の増殖、成長または伝播を遅延させる任意の化合物をいう。
【0036】
本明細書において用いられる「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」および「予防」という用語は、動物における病的な細胞(例えば、過剰増殖性細胞または新生物細胞)の発生の減少をいう。予防は被験体において完全であっても、例えば、病的細胞の完全欠損であってもよい。予防は同様に、被験体での病的細胞の発生が、本発明なしに発生したものよりも少ないように、部分的であってもよい。
【0037】
本明細書において用いられる「アポトーシス調節剤」という用語は、アポトーシスの調節(例えば、阻害、減少、増加、促進)に関与する薬剤をいう。アポトーシス調節剤の例としては、以下に限定されないが、Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、およびRIPなどのデスドメインを含むタンパク質が挙げられる。アポトーシス調節剤のその他の例としては、以下に限定されないが、TNFα、Fasリガンド、Fas/CD95およびその他のTNFファミリー受容体に対する抗体、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PP1、ならびにカスパーゼタンパク質が挙げられる。調節剤はTNFファミリー受容体およびTNFファミリーリガンドのアゴニストおよびアンタゴニストを広く含む。アポトーシス調節剤は可溶性または膜結合性(例えば、リガンドまたは受容体)であってもよい。好ましいアポトーシス調節剤は、TNFまたはTNF関連リガンド、詳しくはTRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILなどの、アポトーシスの誘導因子である。
【0038】
二重ビフェノール化合物のゴシポール(化合物1)は、Bcl-2およびBcl-xLの強力な阻害剤であり、かつ強力な抗癌活性を有することが実証されている(Flack et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 76:1019 (1993); Bushunow et al., J. Neuro-Oncol. 43:79, (1999); Van Poznak et al., Breast Cancer Res. Treat. 66:239 (2001); 米国特許出願第2003/0008924号; 同第2004/0214902号)。ゴシポール/Bcl-xL相互作用のNMR研究と、その後の、コンピュータによる構造に基づくモデル化に基づき、化合物2によって例示される一連のイソフラボン類似体がデザインされ、合成され、抗癌活性を有することが明らかにされた。これらの研究に基づいて、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーを阻害する化合物の類が同定された。

【0039】
本発明の抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの阻害剤は、式Iを有する化合物:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグであり、式中:
R1はH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり;
R2、R3、R4、R5、およびR6は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、もしくはNR'R''であり;
R'およびR''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、あるいはR'およびR''はそれらが結合しているNと一緒に複素環またはヘテロアリール環を形成する。
【0040】
1つの態様において、式Iの化合物は式II:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し、式中:
Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールである。
【0041】
別の態様において、式Iの化合物は式III:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し、式中:
Ar1およびAr2は独立して、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
XはO、NR'、SO2、S、C(O)N(R')、SO2NR'、R'NCO、R'NSO2、N(R')R''、N(R')-R''-N(R''')、R'、OR'、OR'O、またはC(O)N(R')R''であり; ならびに
R'、R''、およびR'''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、
あるいはR'、R''、およびR'''のうち2つが複素環またはヘテロアリール環を形成する。
【0042】
別の態様において、式Iの化合物は式IV:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する。
【0043】
別の態様において、式Iの化合物は式V:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する。
【0044】
別の態様において、式Iの化合物は式VI:

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有し: 式中において
Lは置換されてもよいアリール、ビアリール、ヘテロアリール、複素環、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、エーテル、エステル、アミン、アミド、スルホニル、スルホンアミド、またはチオエーテルであり;
R1およびR1'は独立してH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり; ならびに
R2、R2'、R3、R3'、R4、R4'、R6、およびR6'は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、またはNR'R''である。
【0045】
有用なアルキル基は直鎖または分枝C1-18アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、sec-ブチル、3-ペンチル、アダマンチル、ノルボルニル、および3-ヘキシル基を含む。
【0046】
有用なアルケニル基は直鎖または分枝C2-18アルキル基、特にエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、およびヘキセニルを含む。
【0047】
有用なアルキニル基はC2-18アルキニル基、特にエチニル、プロピニル、ブチニル、および2-ブチニル基である。
【0048】
有用なシクロアルキル基はC3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含む。
【0049】
有用なシクロアルケニル基はC3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルケニル基はシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルを含む。
【0050】
有用なアリール基はC6-14アリール、特にフェニル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニル、およびフルオレニル基を含む。
【0051】
有用なヘテロアリール基はチエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フラニル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、クロメノニル、キサンテニル、フェノキサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル、ナフチリジニル、キノザリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンゾイソキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシンドリル、および2-オキソベンズイミダゾリルを含む。ヘテロアリール基が環中に窒素原子を含む場合、このような窒素原子は、N-オキシド、例えば、ピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシドなどの形態であってもよい。
【0052】
有用な複素環基はテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトロノイル、テトラモイル、またはテトラヒドロイソキノリニル基を含む。
【0053】
任意の置換基は1つもしくは複数のアルキル; ハロ; ハロアルキル; シクロアルキル; ヒドロキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアリール; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアリールオキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアミド; アラルキル; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいヘテロアリール; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいヘテロアリールオキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアルコキシ; アルキルチオ; アリールチオ; アミド; アミノ; アシルオキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアリールアシルオキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいジフェニルホスフィニルオキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、ヘテロアリール、アミノ酸置換スルホニル、もしくはアミノ酸誘導体置換スルホニル基で置換されてもよいヘテロシクロ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいヘテロシクロアルコキシ; 1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキル; または1つもしくは複数の低級アルキル、低級アルコキシ、メチレンジオキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アシル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、アリール、アリールオキシ、アシルオキシ、アミド、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルオキシを含む。さらに、2つ以上の任意の置換基が一緒に連結されてもよい。例えば、アリールに連結されたヘテロシクロに連結されたアミドなど。
【0054】
特定の任意の置換基は、非限定的に、イソプロピル、ヒドロキシル、メチル、エトキシ、エチル、イソブチル、2-メチル-5,6,7-メトキシ-8-イソブチル-クロメン-4-オン-3-イル、4-(2-メチル-5,6,7-ヒドロキシ-8-イソブチル-クロメン-4-オン-3-イル)フェニル、N-ベンズアミド、2-メチル-5,6,7-ヒドロキシ-8-イソブチルクロメン-4-オン-3-イル、カルボキシメチル、N-(3-イソプロピルフェニル)アミド、カルボキシル、N-(2-イソプロピルフェニル)アミド、N-フェニルアミド、N-(1(S)-カルボキシメチル(carboxynethyl)イソペンチル)アミド、N-(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミド、N-[1(S)-カルボキシメチル-2-インドール-2-イル)-エチル]アミド、N-(1-カルボキシメチルベンジル)アミド、N-[(2-インドール-3-イル)-エチル]アミド、N-(ジフェニル)アミド、N-(1(S)-カルボキシメチル-2-フェニルエチル)アミド、フェニル、N-(アダマンタン-1-イル)アミド、クロロ、N-(ナフト-2-イル)アミド、N-[(1(S), 2-ジカルボキシメチル)エチル]アミド、[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]カルボニル、N-(2,2-ジフェニルエチル)アミド、[(4-ベンジル)[1,4]ジアゼパン-1-イル]カルボニル、N-[1-ベンジル-2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル-2-オキソ)エチル]アミド、N-[(1-ベンジル-2-オキソ-2-{4-[5-(2-オキソ-ヘキサヒドロ-チエノ[3,4-d]イミダゾール-6-イル)-ペンタノイル]-ピペラジン-1-イル}-エチル]アミド、N-[(1(S)-カルボキシメチル-2-フェニル)エチル]アミド、(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル、および(4-ベンジルピペリジン-1-イル)カルボニルを含む。
【0055】
本発明のある種の化合物は、光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明は、全ての立体異性体、およびこのような立体異性体のラセミ混合物と当業者に周知の方法によって分離できる個々の鏡像異性体の両方を含む。
【0056】
本発明の化合物および工程は、本発明の化合物を調製できる方法を例証している以下の合成スキームに関連していっそうよく理解されよう。出発材料は商業的供給源から得ることができ、または当業者に公知の十分に確立された文献法によって調製することができる。上記に定義される化合物は、以下に示される合成での適切な試薬および作用物質の代用によって合成できることが当業者には容易に明らかであろう。
【0057】
式Iを有する化合物の合成は、化合物2の合成に向けてスキームIで例示されているように行うことができる。
スキーム1

試薬および条件: (a) BF3-Et2O、塩化イソブチリル、1,2-ジクロロエタン、還流; (b) Et3SiH、CF3CO2H; (c) BF3-Et2O、塩化アセチル、1,2-ジクロロエタン、還流; (d) AcONa、(AcO)2O; (e) Na2CO3、H2O、1,4-ジオキサン; (f) I2、CF3CO2Ag; (g) BF3-Me2S、(AcO)2O、ジクロロメタン; (h) MDF、MeI、K2CO3; (i) THF、MeMgBr; (j) トルエン、PTSA、還流; (k) t-BuLi、B(OMe)3、THF; (l) H2、Pd-C; (m) Pd(dpf)2Cl2-CH2Cl2、Na2CO3、DMF、H2O、EtOH; (n) CH2Cl2、BBr3、0℃〜1 R.T。
【0058】
その他の化合物は、化合物9を異なるボロン酸で処理し、同じ手順に従うことによりスキーム2で示されるように得ることができる。
スキーム2

試薬および条件: (m) Pd(dpf)2Cl2-CH2Cl2、Na2CO3、DMF、H2O、EtOH; (n) CH2Cl2、BBr3、0℃〜1 R.T。
【0059】
スキーム3はクロメン-4-オン環形成の改良環化法と化合物20の合成を示す。手短に言えば、α-アセトフェノール6をピリジン中、室温でのアシル化によりプロピオン酸エステル16に変換する。化合物16を0℃にて無水DMF中、水素化ナトリウムで処理して、1,3-ジケトン中間体を得る。反応を慎重な酢酸添加によってクエンチし、酢酸エチルおよび水で完成する。未精製の中間体をさらに精製することなく酸触媒分子内環化で使用する。化合物クロメン-4-オン17は、アセトフェノール6から86%の全収率で得ることができる。前述された類似の手順に従うことにより、クロメン-4-オン17はヨード化およびパラジウム触媒によるスズキカップリングによって対称化合物19に変換される。ポリヒドロキシルクロメン-4-オン20はヘキサメチルエーテル19を還流中の酢酸および臭化水素酸で処理することにより得られる。
スキーム3

【0060】
本発明の重要な局面は、式Iの化合物がアポトーシスを誘導し、同様にアポトーシス誘導シグナルに応答してアポトーシスの誘導を増強するということである。それ故に、これらの化合物がアポトーシスの誘導因子に対し、このような誘導因子に耐性の細胞を含め、細胞を感作することが企図される。本発明の抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーの阻害剤は、アポトーシスの誘導により処置できる、改善できる、または予防できる任意の障害においてアポトーシスを誘導するのに使用することができる。すなわち、本発明は、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質を過剰発現すると特徴付けられた動物を標的とするための組成物および方法を提供する。態様のいくつかにおいて、細胞(例えば、癌細胞)は、非病的なサンプル(例えば、非癌細胞)に比べて、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質のいっそう高い発現レベルを示す。他の態様において、阻害的に有効な量の式Iの化合物に応答してアポトーシスプログラムを実行し、死滅するという理由で、細胞は抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質のいっそう高い発現レベルを操作上示しており、該応答は、少なくとも一つには、その生存のための、抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバータンパク質の機能に対するこのような細胞の依存性によって生ずる。
【0061】
別の態様において、本発明は、1つまたは複数のアポトーシス調節剤と関連するアポトーシス関連状態の調節に関する。アポトーシス調節剤の例としては、Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、RIP、TNFα、Fasリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PP1、およびカスパーゼタンパク質が挙げられるが、これらに限定されることはない。アポトーシスの開始期、決定期および分解期に関与するその他の薬剤も含まれる。アポトーシス調節剤の例には、被験体においてアポトーシスを調節できる薬剤、その活性、存在、または濃度の変化が含まれる。好ましいアポトーシス調節剤は、TNFまたはTNF関連リガンド、詳しくはTRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILなどの、アポトーシスの誘導因子である。
【0062】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば、ヒトおよび獣医学的動物を含むが、これらに限定されない哺乳類被験体)の異常細胞、組織、臓器、または病的状態および/もしくは疾患状態を処置するために使われる。この点に関して、様々な疾患および病態が、本発明の方法および組成物を用いた処置または予防を素直に受け入れる。これらの疾患および状態の非限定的な例示的リストは、乳癌(breast cancer)、前立腺癌(prostate cancer)、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌(pancreatic cancer)、結腸癌(colon cancer)、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣癌(ovarian cancer)、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頸部癌(head-neck cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌(bladder cancer)、非小細胞肺癌、頭頸部癌(head or neck carcinoma)、乳癌(breast carcinoma)、卵巣癌(ovarian carcinoma)、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、膀胱癌(bladder carcinoma)、膵臓癌(pancreatic carcinoma)、胃癌、結腸癌(colon carcinoma)、前立腺癌(prostatic carcinoma)、尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵臓膵島細胞腫、悪性カルチノイド癌、絨毛癌、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、毛様細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽細胞腫など、T細胞およびB細胞媒介性自己免疫疾患; 炎症性疾患; 感染症; 過剰増殖性疾患; AIDS; 変性状態、血管疾患などを含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、処置される癌細胞は転移性である。他の態様において、処置される癌細胞は抗癌剤に耐性である。
【0063】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法を用いる処置に適した感染症は、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、プリオンなどによって引き起こされる感染症を含むが、これらに限定されることはない。
【0064】
本発明のいくつかの態様では、有効な量の式Iの化合物および少なくとも1つのさらなる治療剤(化学療法用の抗新生物剤、アポトーシス調節剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤を含むが、これらに限定されない)ならびに/または治療技術(例えば、外科的介入および/または放射線療法)を施す方法を提供する。
【0065】
多くの適当な抗癌剤が本発明の方法で用いるのに企図される。実際に、本発明は、アポトーシスを誘導する薬剤; ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA); ポリペプチド(例えば、酵素および抗体); 生物学的模倣体(例えば、ゴシポールまたはBH3模倣体); BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、オリゴマー形成するまたは複合体形成する)薬剤; アルカロイド; アルキル化剤; 抗腫瘍抗生物質; 代謝拮抗剤; ホルモン; 白金化合物; モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗癌薬、毒素、ディフェンシンと結合した抗体)、毒素; 放射性核種; 生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2)); 養子免疫療法剤; 造血成長因子; 腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランスレチノイン酸); 遺伝子治療薬(例えば、アンチセンス治療薬およびヌクレオチド); 腫瘍ワクチン; 血管形成阻害剤; プロテオソーム阻害剤; NK-κB調節因子; 抗CDK化合物; HDAC阻害剤などのような数多くの抗癌剤の投与を企図するが、これに限定されることはない。開示されている化合物との同時投与に適した化学療法化合物および抗癌療法のその他多数の例は当業者に公知である。
【0066】
好ましい態様において、抗癌剤は、アポトーシスを誘導するまたは刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤は、放射線(例えば、X線、γ線、UV); 腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体); キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(グリーベック(GLEEVEC)などの)); アンチセンス分子; 抗体(例えば、ハーセプチン(HERCEPTIN)、リツキサン(RITUXAN)、ゼバリン(ZEVALIN)、およびアバスチン(AVASTIN)); 抗エストロゲン剤(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン); 抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド); シクロオキシゲナーゼ2 (COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)); 抗炎症薬(例えば、ブタゾリジン、デカドロン(DECADRON)、デルタゾン(DELTASONE)、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール(dexamethasone intensol)、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン(METICORTEN)、オラデキソン(ORADEXON)、オラゾン(ORASONE)、オキシフェンブタゾン、ペディアプレッド(PEDIAPRED)、フェニルブタゾン、プラケニル(PLAQUENIL)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)およびタンデアリル(TANDEARIL); および癌化学療法薬(例えば、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR))、CPT-11、フルダラビン(フルダラ(FLUDARA))、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、ミロターグ(MYLOTARG)、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテレ(TAXOTERE)またはタキソール(TAXOL)); 細胞シグナル伝達分子; セラミドおよびサイトカイン; スタウロスポリンなどを含むが、これらに限定されることはない。
【0067】
さらに他の態様において、本発明の組成物および方法は、式Iの化合物ならびにアルキル化剤、代謝拮抗剤、および天然産物(例えば、ハーブならびにその他の植物および/または動物由来の化合物)から選択される少なくとも1つの抗過剰増殖剤または抗新生物剤を提供する。
【0068】
本発明の組成物および方法で用いるのに適したアルキル化剤は、以下を含むが、それらに限定されることはない: 1) ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン); およびクロラムブシル); 2) エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ); 3) アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン); 4) ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU); ロムスチン(CCNU); セムスチン(メチル-CCNU); およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)); ならびに5) トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC; ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド))。
【0069】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法で用いるのに適した代謝拮抗剤は、以下を含むが、それらに限定されることはない: 1) 葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン)); 2) ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル; 5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン; FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド)); ならびに3) プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン; 6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン; TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))。
【0070】
さらなる態様において、本発明の組成物および方法で用いるのに適した化学療法剤は、以下を含むが、それらに限定されることはない: 1) ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン); 2) エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド); 3) 抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン; ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC)); 4) 酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ); 5) 生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン-α); 6) 白金配位錯体(例えば、シスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン); 7) アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン); 8) 置換尿素(例えば、ヒドロキシウレア); 9) メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン; MIH)); 10) 副腎皮質抑制物質(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド); 11) 副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン); 12) プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール); 13) エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール); 14) 抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン); 15) アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン); 16) 抗アンドロゲン(例えば、フルタミド); ならびに17) ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)。
【0071】
癌療法の状況で日常的に使われる任意の腫瘍溶解剤は、本発明の組成物および方法における用途が見つかる。例えば、米食品医薬品局は、米国での使用が承認された腫瘍溶解剤の処方を管理している。U.S.F.D.A.に対応する国際的な機関は類似の処方を管理している。表1は米国において使用が承認された例示的な抗新生物剤のリストを示す。米国で承認された全ての化学療法剤に必要とされる「製品ラベル」は、例示的な薬剤に対する、承認済みの適応症、用法用量情報、毒性データなどを記述していることを当業者は理解するであろう。
【0072】
【表1】







【0073】
抗癌剤はさらに、米食品医薬品局もしくはその他の対応機関によって現在のところ承認されていないが、しかし抗癌活性を有することが確認されているか、または新たな用途について評価が行われている化合物を含む。例としては3-AP、12-0-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、抗新生物薬、AP23573、アパジクオン(apaziquone)、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンタン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド(cilengitide)、クロファラビン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクチナサイジン743、エファプロキシラル、エフロールニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エキシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、ホテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルフォスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリングトニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドマイド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9イムノトキシン、ロナファルニブ(lonafarnib)、ルニリキシマブ(luniliximab)、マフォスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピクサントロン(pixantrone)、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシン類似体、組換えヒトアンギオスタチン(rhuAngiostatin)タンパク質、rhu(組換えヒト)Mab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-, 15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイラニリドハイドロザミック酸(suberoylanilide hydroxamic acid)、スラミン、タラボスタト、タラムパネル(talampanel)、タリキダール(tariquidar)、テムシロリムス、TGFa-PE38イムノトキシン、サリドマイド、サイマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトトレキサート(trimetrexate glucuronate)、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキマブ(volociximab)、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロートン、およびゾスキダール三塩酸塩(zosuquidar trihydrochloride)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0074】
本発明の化合物との投与で用いるのに好ましい従来の抗癌剤は、アドリアマイシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、シスプラチン、ドセタキセル、ゲムシタビン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、およびベバシズマブを含むが、これらに限定されることはない。これらの薬剤は、単独で、組合せ治療用組成物で、キットで、または免疫療法剤との併用などで調製され使用されてもよい。
【0075】
抗癌剤およびその他の治療薬のさらに詳細な記述については、Physician's Desk ReferenceおよびGoodman and Gilman's「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」tenth edition, Eds. Hardman et al., 2002を含むが、これらに限定されない任意の数の指導的マニュアルを当業者は参照する。
【0076】
本発明は放射線療法とともに式Iの化合物を投与するための方法を提供する。本発明は、動物に放射線の治療的線量を送達するために使用されるタイプ、量、または送達および投与の系によって制限されない。例えば、動物は光子照射療法、粒子ビーム放射線療法、その他のタイプの放射療法、およびそれらの組合せを受けることができる。いくつかの態様において、放射線は線形加速器によって動物に送達される。他の態様において、放射線はγナイフによって送達される。
【0077】
放射線源は動物の外部であってもまたは内部であってもよい。外部放射線療法は最も一般的であり、例えば、線形加速器を用い皮膚を通じて腫瘍部位に高エネルギー放射線のビームを方向付けることを伴う。放射線のビームは腫瘍部位に限局化されるが、正常な健常組織の曝露を回避するのは殆ど不可能である。しかしながら、外部放射線は、通常、動物によって良好な耐容性が示される。内部放射線療法は、癌細胞を特異的に標的とする送達系の使用(例えば、癌細胞結合リガンドに付着された粒子の使用)を含めて、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子などのような放射線放出源を腫瘍部位の位置でまたはその近傍で身体内に移植することを伴う。そのようなインプラントは処置後に除去されてもよく、または不活性のまま身体内に放置されてもよい。内部放射線療法のタイプは、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法などを含むが、これらに限定されることはない。
【0078】
動物は、任意で放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的細胞毒素、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジンインターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、水酸化テキサフリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(温熱療法)など)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミフォスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6など)を受けてもよい。放射線増感剤は腫瘍細胞の殺傷を増強する。放射線防護剤は、放射線の有害な効果から健常組織を保護する。
【0079】
放射線の線量が、許容されない負の副作用なく患者によって許容される限り、任意のタイプの放射線を動物に投与することができる。適当なタイプの放射線療法は、例えば、電離(電磁)放射線療法(例えば、X線もしくはγ線)または粒子ビーム放射線療法(例えば、直線高エネルギー放射線(high linear energy radiation))を含む。電離放射線は、電離、すなわち、電子の獲得または喪失(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,581号において記述されるように)をもたらすのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と定義される。放射線の影響は、臨床医が少なくとも部分的に制御することができる。放射線の線量は、最大の標的細胞曝露と毒性減少のため分割されることが好ましい。
【0080】
動物に投与される放射線の総線量は、好ましくは、約0.01グレイ(Gy)から約100 Gyである。より好ましくは、約10 Gyから約65 Gy (例えば、約15 Gy、20 Gy、25 Gy、30 Gy、35 Gy、40 Gy、45 Gy、50 Gy、55 Gy、または60 Gy)が治療の過程にわたって投与される。いくつかの態様では放射線の全線量が1日のうちに投与されうるが、総線量は理想的には分割され、数日間にわたって投与される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日(約1〜8週)にわたって投与される。したがって、放射線の1日線量はおよそ1〜5 Gy (例えば、約1 Gy、1.5 Gy、1.8 Gy、2 Gy、2.5 Gy、2.8 Gy、3 Gy、3.2 Gy、3.5 Gy、3.8 Gy、4 Gy、4.2 Gy、または4.5 Gy)、好ましくは1〜2 Gy (例えば、1.5〜2 Gy)を含むであろう。放射線の1日線量は標的細胞の破壊を誘導するのに十分でなければならない。一定の期間にわたって引き延ばされた場合、放射線は毎日投与されず、それによって動物を休息させ、治療の影響を実感させることが好ましい。例えば、放射線は、各処置の週に対し、5日間連続で投与され、2日間投与されず、それによって1週あたり2日間の休息を可能にすることが望ましい。しかしながら、放射線は動物の応答性および任意の潜在的な副作用に応じて、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または7日全て/週で投与することができる。放射線療法は治療の期間における任意の時点で開始することができる。好ましくは、放射線は1週目または2週目に開始され、治療期間の残りの存続時間に投与される。例えば、放射線は、例えば、固形腫瘍を処置するために6週間を含む治療期間の1〜6週目にまたは2〜6週目に投与される。または、放射線は、5週間を含む治療期間の1〜5週目または2〜5週目に投与される。しかしながら、これらの例示的な放射線療法の投与計画は、本発明を制限することを意図しているものではない。
【0081】
抗菌治療剤を本発明における治療剤として使用することもできる。微生物の機能を殺傷できる、阻害できる、または別の方法で減弱できる任意の薬剤が、このような活性を有すると考えられる任意の薬剤と同様に使用されてもよい。抗菌剤は、単独でまたは併用で用いられる、天然および合成抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えば、ディフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤などを含むが、これらに限定されることはない。実際に、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などを含むが、これらに限定されない任意のタイプの抗生物質が使われてもよい。
【0082】
本発明のいくつかの態様において、式Iの化合物および1つまたは複数の治療剤または抗癌剤を以下の条件の1つまたは複数の下で動物に投与する: 異なる周期で、異なる期間で、異なる濃度で、異なる投与経路によってなど。いくつかの態様において、化合物は治療剤または抗癌剤の前に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間前に、1、2、3、4、5、または6日前に、1、2、3、または4週間前に投与される。いくつかの態様において、化合物は治療剤または抗癌剤の後に、例えば、抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間後に、1、2、3、4、5、または6日後に、1、2、3、または4週間後に投与される。いくつかの態様において、化合物および治療剤または抗癌剤は同時にしかし異なるスケジュールで投与され、例えば、化合物が毎日投与される一方で、治療剤または抗癌剤は1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。他の態様において、化合物が1週間に1回投与される一方で、治療剤または抗癌剤は毎日、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。
【0083】
本発明の範囲内の組成物は、その意図した目的を達成するのに有効な量で本発明の化合物を含有する全ての組成物を含む。個々の要件は変わるが、各成分の有効量の最適範囲の判定は当業者の範囲内である。典型的には、化合物は哺乳動物、例えば、ヒトに、1日あたり、アポトーシスの誘導に応答性の障害を処置されている哺乳動物の体重1 kgにつき0.0025〜50 mgの用量で、または薬学的に許容されるその塩の等価な量で経口投与することができる。そのような障害を処置する、改善する、または予防するのに約0.01〜約10 mg/kgが経口投与されることが好ましい。筋肉内注射の場合、用量は一般に経口用量の約半分である。例えば、適当な筋肉内用量は約0.0025〜約25 mg/kg、最も好ましくは、約0.01〜約5 mg/kgであろう。
【0084】
単位経口用量は約0.01〜約1000 mg、好ましくは約0.1〜約100 mgの化合物を含むことができる。単位用量は、約0.1〜約100 mg、好都合には約0.25〜50 mgの化合物またはその溶媒和物をそれぞれが含有する1つまたは複数の錠剤またはカプセルとして毎日1回または複数回投与されてもよい。
【0085】
局所用処方物では、化合物は、担体1グラムあたり約0.01〜100 mgの濃度で存在することができる。好ましい態様において、化合物は約0.07〜1.0 mg/ml、より好ましくは、約0.1〜0.5 mg/ml、最も好ましくは、約0.4 mg/mlの濃度で存在する。
【0086】
化合物を未処理の化学物質として投与することに加えて、本発明の化合物は、薬学的に使用できる調製物中での化合物の加工を容易にする、賦形剤および補助剤を含む薬学的に許容される適当な担体を含有する薬学的調製物の一部として投与されてもよい。この調製物、詳しくは経口的にまたは局所的に投与できる調製物であって、錠剤、糖衣錠、徐放性のトローチおよびカプセル、口内洗浄剤およびうがい薬、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアジェル、シャンプーなどの、好ましいタイプの投与に使用できる調製物、ならびに同様に坐剤などの、直腸に投与できる調製物、かつ注射により、局所的にまたは経口的に投与するのに適した溶液は、約0.01〜99パーセント、好ましくは約0.25〜75パーセントの活性化合物を、賦形剤とともに含有することが好ましい。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有益な効果を経験する可能性のある任意の動物に投与することができる。このような動物の中で最も重要なのは哺乳動物、例えば、ヒトであるが、本発明はそのように制限されることを意図していない。その他の動物には、獣医学的動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が含まれる。
【0088】
本発明の化合物およびその薬学的組成物は、その意図した目的を達成する任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は非経口の、皮下の、静脈内の、筋肉内の、腹腔内の、経皮の、口腔内の、くも膜下腔内の、頭蓋内の、鼻腔内のまたは局所の経路によるものとすることができる。あるいは、または同時に、投与は経口の経路によるものとすることができる。投与量はレシピエントの年齢、健康状態、および体重、もしあれば、同時処置の種類、処置の頻度、および望まれる効果の性質に依存するであろう。
【0089】
本発明の薬学的調製物は、それ自体が知られている様式で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、または凍結乾燥の工程によって製造される。すなわち、経口用の薬学的調製物は、錠剤または糖衣錠のコアを得るため、活性化合物を固形賦形剤と混合し、望まれるならまたは必要なら、任意で、適当な補助剤の添加後に、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工することにより得ることができる。
【0090】
適当な賦形剤は、具体的には、サッカライド、例えばラクトースもしくはスクロース、マンニトールもしくはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウムなどの増量剤、ならびに例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンを用いた、デンプンペーストなどの結合剤である。望ましいなら、上記のデンプンおよび同様にカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどの、その塩のような崩壊剤が加えられてもよい。補助剤は、特に、流動調節剤および潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムなどの、その塩および/あるいはポリエチレングリコールである。糖衣錠のコアには、望まれるなら、胃酸に耐性である適当なコーティングが供与される。この目的のため、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー液ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を任意で含んでもよい濃縮サッカライド溶液が使われてもよい。胃液に耐性であるコーティングを生成するため、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適当なセルロース調製物の溶液が使われる。例えば、活性化合物の用量の識別のためまたはその用量の組合せを特徴付けるため、染料または色素を錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0091】
経口的に使用できるその他の薬学的調製物は、ゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチン製の軟密封カプセルおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤を含む。押し込み式カプセルは、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤や、任意で、安定化剤と混合できる顆粒形態の活性化合物を含有することができる。軟質カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、または流動パラフィンなどの、適当な液体に溶解されるかまたは懸濁されることが好ましい。さらに、安定化剤が加えられてもよい。
【0092】
直腸に使用できる可能性のある薬学的調製物は、例えば、坐剤基剤との活性化合物の1つまたは複数の組合せからなる坐剤を含む。適当な坐薬基剤は、例えば、天然または合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、基剤との活性化合物の組合せからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能な基剤材料としては、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が挙げられる。
【0093】
非経口投与に適した処方物は、水溶性形態の活性化合物の溶液、例えば、水溶性の塩とアルカリ溶液を含む。さらに、適切な油性の注射用懸濁液として活性化合物の懸濁液を投与することができる。適当な親油性溶媒または媒体は、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドまたはポリエチレングリコール-400を含む。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよく、これには、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる。任意で、懸濁液は安定化剤を含有してもよい。
【0094】
本発明の局所用組成物は適切な担体の選択により、好ましくは、オイル、クリーム、ローション、軟膏などとして処方される。適当な担体は、植物油または鉱物油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分枝鎖脂肪またはオイル、動物脂肪および高分子量(C12を超える)アルコールを含む。好ましい担体は、活性成分が可溶性であるものである。乳化剤、安定化剤、保湿剤および抗酸化剤、ならびに望まれるなら、色または香りを与える薬剤が含まれてもよい。さらに、経皮浸透増強剤をこれらの局所用処方物で利用することができる。このような増強剤の例は、米国特許第3,989,816号および同第4,444,762号の中で見出すことができる。
【0095】
クリームは鉱物油、自己乳化性蜜ろうおよび水の混合物から処方され、この混合物の中に、アーモンド油などの少量のオイルに溶解された活性成分を混合することが好ましい。このようなクリームの典型的な例は、約40部の水、約20部の蜜ろう、約40部の鉱物油および約1部のアーモンド油を含むものである。
【0096】
軟膏は、活性成分の、アーモンド油などの植物油溶液を温かい軟パラフィンと混合し、この混合物を冷却させることにより処方することができる。このような軟膏の典型的な例は、重量で約30%のアーモンド油および約70%の白色軟パラフィンを含むものである。
【0097】
ローションは活性成分を、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの適当な高分子量アルコールに溶解することで好都合に調製することができる。
【0098】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物を例証するが、それを限定するものではない。臨床的治療において通常直面し、かつ当業者に明白である種々の条件およびパラメータのその他適当な改変および適合は、本発明の趣旨および範囲の中である。
【0099】
実施例1
1-(6-ヒドロキシ-2,3,4-トリメトキシ-フェニル)-2-メチル-プロパン-1-オン

3,4,5-トリメトキシフェノール(9.21 g, 50 mmol)の2,2-ジクロロエタン150 mL溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(28.5 mL, 220 mmol)および塩化イソブチリル(5.9 mL, 55 mmol)を加えた。得られた混合物を12時間還流し、溶媒を真空で除去した。得られた残留物に、3 M HCl 80 mLを氷浴下で加え、混合物を室温で1時間撹拌し、次に酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 6:1)により精製し、生成物を得た。収率: 80%。

【0100】
実施例2
2-イソブチル-3,4,5-トリメトキシ-フェノール

1-(6-ヒドロキシ-2,3,4-トリメトキシ-フェニル)-2-メチル-プロパン-1-オン(5.1 g, 20 mmol)を三フッ化酢酸30 mLに溶解し、トリエチルシラン3 mLを室温で加えた。得られた溶液を終夜撹拌し、溶媒を真空で除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)により精製し、生成物を得た。収率: > 95%。

【0101】
実施例3
1-(2-ヒドロキシ-3-イソブチル-4,5,6-トリメトキシ-フェニル)-エタノン

実施例2の化合物(4.86 g, 20 mmol)の2,2-ジクロロエタン80 mL溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(14.3 mL, 110 mmol)および塩化アセチル(1.75 mL, 22 mmol)を加えた。得られた混合物を12時間還流し、溶媒を真空で除去した。得られた残留物に、3 M HCl 50 mLを氷浴下で加え、混合物を室温で1時間撹拌し、次に酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)により精製し、化合物を得た。収率: 65%。

【0102】
実施例4
3-アセチル-8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン

実施例3の化合物(5.65 g, 20 mmol)の無水酢酸60 mL溶液に、酢酸ナトリウム(4.1 g, 50 mmol)を加えた。得られた混合物を12時間還流し、溶媒を真空で除去した。残留物を水100 mLに溶解し、酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)により精製し、化合物を得た。収率: 87%。

【0103】
実施例5
8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン

実施例4の化合物(3.50 g, 10.1 mmol)の1,4-ジオキサン30 mL溶液に、水30 mLおよび炭酸ナトリウム(2.12 g, 20 mmol)を加えた。得られた混合物を1.5時間還流し、酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)により精製し、化合物を得た。収率: 60%。

【0104】
実施例6
3-ヨード-8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン

実施例5の化合物(4.58 g, 15.0 mmol)のジクロロメタン80 mL溶液に、ヨウ素(5.08 g, 20 mmol)およびトリフルオロ酢酸銀(4.42 g, 20 mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を終夜撹拌した。固形物をろ過により除去し、溶媒を真空で除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)により精製し、化合物を得た。収率: 96%。

【0105】
実施例7
6-ブロモ-1-アセチル-2-メトキシ-ナフタレン

10 mmolの無水酢酸のCH2Cl2 2 mL溶液を注射器により、アルゴン下-78℃で激しく撹拌された10 mmolのMe2S:BF3錯体のCH2Cl2 10 mL溶液に加えた。混合物を10分間撹拌し、次いで5 mmolの6-ブロモ-2-メトキシ-ナフタレンのCH2Cl2 3 mL溶液を加え、得られた溶液を-78℃でさらに15分間撹拌した。溶液を室温に加温させて、24時間撹拌し、次いでNaHCO3飽和混合液に注ぎ入れ、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を真空で除去し、残留物をDMF 5 mLに溶解した。得られた溶液に、10 mmolのNa2CO3およびMeI 2 mLを加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。固形物をろ過により除去し、溶媒を真空で除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)により精製し、化合物を得た。収率: 85%。

【0106】
実施例8
6-ブロモ-1-イソプロペニル-2-メトキシ-ナフタレン

実施例7の化合物(2.78 g, 10 mmol)のTHF 50 mL溶液に、MeMgCl 11 mL (1.0 M, 11 mmol)を-78℃で加えた。溶液を2時間撹拌し、反応液を飽和NH4Cl 10 mLによってクエンチし、酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を真空で除去し、残留物をトルエン25 mLに溶解した。溶液にPTSA 100 mgを加え、これを2.0時間還流した。溶媒を真空で除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 7:1)により精製し、化合物を得た。収率: 60%。

【0107】
実施例9
1-イソプロペニル-2-メトキシ-ナフチル-6-ボロン酸

ボロン酸を標準的な手順の下で合成した後に、水素化を行った。
【0108】
イソフラボン類似体への一般的合成経路
乾燥フラスコに、実施例6の化合物(1.0 mmol)、芳香族ボロン酸(1.1 mmol)、Na2CO3 (1.2 mmol)およびジクロロメタンとの[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体(1:1) (30 mg)を加えた。DMF 5 mL、EtOH 2 mLおよびH2O 2 mLを注射器により加えた。得られた混合物をアルゴン下60℃で4〜8時間撹拌した。固形物をろ過により除去し、溶媒を真空で除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1〜4:1)により精製し、カップリング生成物を得た(70%〜90%)。
【0109】
カップリング生成物(1.0 mmol)をCH2Cl2 25 mLに溶解し、BBr3 (CH2Cl2中1.0 M) 3.3 mLを-78℃で加えた。混合物を3.0時間かけて室温に加温させた。MeOH (1.0 mL)を加えて反応をクエンチし、溶媒を真空で除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりまたはアセトン-H2Oからの結晶化により精製し、イソフラボンを得た(60%〜75%)。
【0110】
実施例10
5,6,7-トリヒドロキシ-3-(6-ヒドロキシ-5-イソプロピル-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 449.1964。実測値: 449.1973; C27H28O6-0.2H2Oの分析計算値: C, 71.73; H, 6.33。実測値: C, 71.70; H, 6.32。
【0111】
実施例11
5,6,7-トリヒドロキシ-3-(6-ヒドロキシ-5-メチル-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 421.1651。実測値: 421.1644; C25H24O6の分析計算値: C, 71.41; H, 5.75。実測値: C, 71.14; H, 6.03。
【0112】
実施例12
5,6,7-トリヒドロキシ-3-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 407.1495。実測値: 407.1497; C24H22O6の分析計算値: C, 70.92; H, 5.46。実測値: C, 70.96; H, 5.61。
【0113】
実施例13
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-ナフタレン-2-イル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 391.1545。実測値: 391.1537; C23H20O5の分析計算値: C, 73.39; H, 5.36。実測値: C, 73.53; H, 5.64。
【0114】
実施例14
3-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 449.1964。実測値: 449.1965; C27H28O6の分析計算値: C, 72.30; H, 6.29。実測値: C, 72.12; H, 6.11。
【0115】
実施例15
3-(6-エトキシ-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 477.2277。実測値: 477.2273; C29H32O6の分析計算値: C, 73.09; H, 6.77。実測値: C, 73.26; H, 7.13。
【0116】
実施例16
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-フェニル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 341.1389。実測値: 341.1384; C20H20O5の分析計算値: C, 70.57; H, 5.92。実測値: C, 70.37; H, 6.16。
【0117】
実施例17
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


HRMS(EI, [M+H]+) 計算値: 265.1076。実測値: 265.1077; C14H16O5の分析計算値: C, 63.63; H, 6.10。実測値: C, 63.43; H, 6.23。
【0118】
実施例18
3-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0119】
実施例19
3-(5-エチル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0120】
実施例20
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-キノリン-3-イル-クロメン-4-オン


【0121】
実施例21
8-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルメチル-5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン (トランス/シス = 3:1〜2:1)


【0122】
実施例22
8-ビフェニル-4-イル-5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0123】
実施例23
5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3,8-ビス-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0124】
実施例24
5,6,7-トリヒドロキシ-8-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0125】
実施例25
5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-8-フェニル-クロメン-4-オン


【0126】
実施例26
5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0127】
実施例27
8-ブロモ-5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0128】
実施例28
3-(6-ヒドロキシ-5-イソブチル-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-クロメン-4-オン


【0129】
実施例29


【0130】
実施例30


【0131】
実施例31
N-ベンジル-3-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0132】
実施例32


【0133】
実施例33
4-(8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-安息香酸メチルエステル


【0134】
実施例34
4-(8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-N-(3-イソプロピル-フェニル)-ベンズアミド


【0135】
実施例35
4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-安息香酸


【0136】
実施例36
3-(8-イソブチル-5,6,7-トリメトキシ-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-N-(2-イソプロピル-フェニル)-ベンズアミド


【0137】
実施例37
4-(6,7-ビス-エトキシメトキシ-5-ヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-N-フェニル-ベンズアミド


【0138】
実施例38
4-(6,7-ビス-エトキシメトキシ-5-ヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-安息香酸


【0139】
実施例39
(S)4-メチル-2-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-ペンタン酸メチルエステル


【0140】
実施例40
N-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド:塩酸塩


【0141】
実施例41
(S)3-(1H-インドール-2-イル)-2-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-プロピオン酸メチルエステル


【0142】
実施例42
(S)フェニル-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-酢酸メチルエステル


【0143】
実施例43
N-[2-(1H-インドール-3-イル)-エチル]-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0144】
実施例44
N-ベンズヒドリル-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0145】
実施例45
3-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-安息香酸


【0146】
実施例46
N-ベンジル-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0147】
実施例47
(S)3-フェニル-2-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-プロピオン酸メチルエステル


【0148】
実施例48
5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-8-ナフタレン-2-イル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0149】
実施例49
8-シクロブチルメチル-5,6,7-トリヒドロキシ-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0150】
実施例50
2-シクロプロピル-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0151】
実施例51
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-[4-(ナフタレン-2-イルオキシ)-フェニル]-クロメン-4-オン


【0152】
実施例52
3-ビフェニル-4-イル-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0153】
実施例53
3-(4-ベンゼンスルホニル-フェニル)-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0154】
実施例54
N-アダマンタン-1-イル-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0155】
実施例55
3-(4-クロロ-フェニル)-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0156】
実施例56
5,6,7-トリヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-フェニル)-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0157】
実施例57
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-(4-フェノキシ-フェニル)-クロメン-4-オン


【0158】
実施例58
N-ナフタレン-2-イル-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0159】
実施例59
(S)2-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-コハク酸ジメチルエステル


【0160】
実施例60
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-3-{4-[4-(3-メトキシ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボニル]-フェニル}-2-メチル-クロメン-4-オン(HCl)


【0161】
実施例61
N-(2,2-ジフェニル-エチル)-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0162】
実施例62
3-[4-(4-ベンジル-[1,4]ジアゼパン-1-カルボニル)-フェニル]-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン塩酸塩


【0163】
実施例63
N-[1-ベンジル-2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エチル]-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0164】
実施例64
N-(1-ベンジル-2-オキソ-2-{4-[5-(2-オキソ-ヘキサヒドロ-チエノ[3,4-d]イミダゾール-6-イル)-ペンタノイル]-ピペラジン-1-イル}-エチル)-4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンズアミド


【0165】
実施例65
3-フェニル-2-[4-(5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)-ベンゾイルアミノ]-プロピオン酸


【0166】
実施例66
5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-3-[4-(4-フェニル-ピペラジン-1-カルボニル)-フェニル]-クロメン-4-オン


【0167】
実施例67
3-[4-(4-ベンジル-ピペリジン-1-カルボニル)-フェニル]-5,6,7-トリヒドロキシ-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン


【0168】
実施例68


【0169】
実施例69


【0170】
実施例70


【0171】
実施例71


【0172】
実施例72


【0173】
実施例73


【0174】
実施例74


【0175】
実施例75


【0176】
実施例76
Bcl-xLへのゴシポールおよび類似体の結合のモデル化
15N異核単一量子コヒーレンス分光(Heteronuclear Single Quantum Coherence Spectroscopy) (HSQC) NMR法を用いてBcl-xLとのゴシポールの結合を測定した。NMR研究用のタンパク質サンプルをJansson et al, J. Biomol. NMR, 7:131 (1996)、およびCai et al., J. Biomol. NMR, 11:97 (1998)に記述の方法にしたがってスクリーニングの場合には15Nで均一に標識し、構造特徴付けの場合には15Nおよび13Cで均一に二重標識した。NMR実験はパルス磁場勾配(PFG)中にてpH 7.2で行われたので、HSQCを水フリップバック(water flip back)法とともに用いて、シグナル強度を最大限にし(Grzesiek et al., J. Am. Chem. Soc., 115:12593 (1993); およびSheppard et al., Abstracts of Papers of the Amer. Chem. Soc., 213:81 (1997))、水シグナル由来の障害を最小限にした。Bcl-xLのHSQCスペクトルを阻害剤濃縮液の添加の前(遊離Bcl-xL)および後に記録した。2本のスペクトルを比較して、阻害剤の添加により誘導された化学シフトを同定した。nmrPipe、pippおよびnmrDrawソフトウェアを用いてデータ処理を行った(Garrett et al., J. Magn. Reson. Ser. B, 95:214 (1991); およびDelaglio et al., J. Biomol. NMR, 6:277 (1995)を参照されたい)。シフトしたピークを帰属表と相互参照して、ゴシポール化合物の存在により影響を受けた残基を明らかにした。
【0177】
ゴシポール/Bcl-xL複合体の3-D NMRスペクトルによって、プロアポトーシスタンパク質のBH3ドメインが結合するBcl-xLタンパク質の表面ポケットにゴシポールが結合することが明らかになった(図1)。ゴシポール/Bcl-xL複合体構造の詳細な検査によって、これらの2つの分子間のいくつかの重要な相互作用が明らかになった。ゴシポール分子の半分(図1中の右側の方)が、Phe 101、Leu 103、Tyr 105、Gly 142、Arg 143、Ile 145、およびTyr 199によって主に規定される孔を占有する。複数のヒドロキシル基およびアルデヒド基がArg 143およびTyr 199と水素結合ネットワークを形成する一方で、ナフチル環がその疎水性置換基(イソプロピルおよびメチル基)とともにこの孔の疎水性底部にぴったり収まる。ゴシポールの残り半分(図1中の左側の方)では、ナフチル環が大きな疎水基として作用し、Ala 108、Leu 112、Leu 134、およびAla 146によって形成される孔にぴったり収まる。
【0178】
これらの所見に基づいて、5,6,7-トリヒドロキシ-3-(6-ヒドロキシ-5-イソプロピル-ナフタレン-2-イル)-8-イソブチル-2-メチル-クロメン-4-オン(化合物2)をゴシポールとBcl-2とBcl-xLとの間の相互作用を模倣するようにデザインした。化合物2が類似の構造的配置をゴシポールと共有することは明らかである。化合物2の4位のケトン基が、Bcl-xLと相互作用する際に、ゴシポールの1-ヒドロキシル基と同じ役割を果たす。ゴシポールの構造と比較して、その他いくつかの修飾も加えられた。ゴシポールのアルデヒド基(これはインビボでの毒性に関与する可能性がある)は、ヒドロキシル基で置き換えた。分子モデル化によって、このヒドロキシル基がBcl-xLのArg 143と重要な水素結合を形成できる可能性も示された。ゴシポール/Bcl-xL複合体構造の分析から、ゴシポールのイソプロピル基が結合する孔内(図1中の右側の方)に、やや大きめの疎水基では収容されてしまう可能性のあることが明らかになったので、これを比較的大きなイソブチル基で置き換えた。ゴシポールの左半分は、左側の疎水性ポケットに適合する大きな疎水基として作用するので(図1)、望ましくない置換基の全てを除去した。これらの修飾によって、デザイン化合物を合成することがいっそう実行可能にもなる。結合親和性に重要な要因を調べるため、左側のナフチル環および中心構造にいくつかの他の修飾も加えた。
【0179】
構造に基づくモデル化によって、化合物2がゴシポールをそっくりに模倣して、Bcl-xLとの相互作用を達成することが明らかになった。そのカルボニル基はイソフラボン部分のその他3つのヒドロキシル基とともに残基Arg 139およびTyr 195と水素結合ネットワークを形成する一方で、この部分の疎水性側が結合孔の疎水性底部に接する。全体では、化合物2のこの半分がゴシポールの結合様式に酷似している。ナフチル部分に関しては、これはAla 104、Leu 108、Leu 112、Leu 130、およびAla 142によって形成される疎水性の孔にぴったり収まる。ゴシポールと比較して、化合物2はナフチル部分のメチル基1つを欠いており、これによってその2つの主要部分の相対的回転が可能になる。結果として、化合物2はゴシポールよりも可動性であり、そのナフチル部分は、Ala 104、Leu 108、Leu 112、Leu 130、およびAla 142によって形成される疎水性の孔にいっそうよく適合することができ、なおかつエネルギー的に起こりやすい高次構造でとどまる。
【0180】
実施例77
結合および細胞活性
ゴシポールとBcl-xLとの間の結合のNMR研究と、その後の、コンピュータによる構造に基づくモデル化に基づき、イソフラボン類似体(化合物15a〜15eおよび15j)を新規のBcl2/Bcl-xL阻害剤としてデザインし合成した。

【0181】
Bcl-2およびBcl-xLとのこれらの化合物および化合物2の結合親和性を蛍光偏光に基づく結合アッセイにより測定した。
【0182】
Bcl-2結合アッセイ
6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(FAM)を用いてN末端で標識された21残基のBid BH3ペプチド

を蛍光タグ(Flu-Bid-21)として使用した。この蛍光ペプチドは15.74 nMのKdで高い結合親和性を有することが示された。このアッセイで使われたBcl-2は、組換えHis融合可溶性タンパク質である。
【0183】
DMSOに溶解された試験化合物のサンプル5 μlと、アッセイ緩衝液(100 mMリン酸カリウム, pH 7.5; 100 μg/mlのウシγグロブリン; 0.02%アジ化ナトリウム、Invitrogen Corporation, Life Technologiesから購入)中でFlu-Bid-21ペプチド(0.010 μM)と予めインキュベートされたBcl-2タンパク質(0.120 μM)をDynex 96ウェル、丸底黒色プレート(Fisher Scientific)に加えて、125 μlの最終容量を作り出す。各アッセイに対し、Bcl-2とFlu-Bid-21ペプチドを含有する結合ペプチド対照(0%阻害に相当)、および遊離Flu-Bid-21しか含有していない遊離ペプチド対照(100%阻害に相当)をアッセイプレートごとに含める。Ultraプレートリーダー(Tecan U.S. Inc., Research Triangle Park, NC)を用いてミリ偏光単位(mP)の偏光度を、結合が平衡に達した4時間のインキュベーション後に485 nmの励起波長と530 nmの発光波長で測定した。結合ペプチドの50%が置き換わる阻害剤濃度IC50を非線形最小二乗解析によるプロットおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアによる曲線適合から決定する。非標識Bidペプチドを陽性対照として使用する。FPアッセイに対する本発明者ら開発の方程式を用いてKi値を計算した(Nikolovska-Coleska et al., Anal. Biochem. 332:261 (2004))。Ki値を計算するプログラムは、http://sw16.im.med.umich.edu/software/calc_ki/でインターネットを通じて無料で利用できる。
【0184】
Bcl-xL結合アッセイ
Bcl-xLタンパク質との結合親和性の測定の場合、C末端疎水性尾部のないヒトBcl-xL組換えHisタグタンパク質と6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(FAM)を用いて標識されたBak-16mer BH3ペプチドを使用した。このペプチドはKd = 9.79 nMの結合親和性を示した。50 mM Tris-Bis, pH 7.4; 0.01%ウシγグロブリンを含有するアッセイ緩衝液中で60 nM Bcl-xLおよび5 nM Flu-Bakペプチドと予めインキュベートされた複合体を用いて、競合的結合アッセイをBcl-2タンパク質と同じように行った。
【0185】
イソフラボン類似体の結合親和性を表2に示す。
【0186】
【表2】

【0187】
ヒト癌細胞の細胞増殖の阻害に及ぼす本発明の化合物の効果を試験するため、化合物を2種の異なる癌細胞株に投与した。PC-3前立腺癌細胞および2LMP乳癌細胞をそれぞれ、漸増濃度の阻害剤化合物の入った96ウェルプレートに播種した。次いで、細胞を5% CO2にて37℃で5日間インキュベートし、その後MTTによる細胞生存性の検出を行った。未処理細胞を100%増殖として使用した。細胞増殖阻害の結果を表1に示す。
【0188】
ゴシポールとの極めて高い構造的類似性のため、化合物2はゴシポールと非常に似通った、Bcl-xL (Ki値1.49 μM)およびBcl-2 (Ki値0.088 μM)との結合親和性を示した。細胞増殖阻害活性という点で、化合物2は2LMPとPC3のどちらの細胞株においてもゴシポールより3〜4倍強力であった。
【0189】
化合物2のイソプロピル基がメチル基または水素(15aおよび15b)などのいっそう小さな基により交換された場合、Bcl-2およびBcl-xLとの結合親和性の変化は殆どなかった。これらの結果から、化合物2のイソプロピル基がBcl-2/Bcl-xLとの結合親和性に寄与していないことが示された。これらの結果から、左側(図1)のイソプロピル基が結合ポケット外にあることを実証したゴシポールに関する以前のNMR研究が確認された。6'位のヒドロキシル基の除去(15c)により、Bcl-2との化合物の結合親和性が約2倍減少し、このことから、このヒドロキシル基が特定のアミノ酸残基と水素結合相互作用を形成する可能性が示唆されたが、Bcl-xLとの結合親和性の変化は殆どなかった。中心構造中のヒドロキシル基の遮断(15d)によって、両タンパク質との結合親和性が劇的に減少した(化合物15bを15dと比べると、10倍を超える)。このことから、これらのヒドロキシル基とタンパク質(Bcl-xLのArg 143およびTyr 199)との間の水素結合相互作用が結合相互作用に不可欠であることが実証された。同時に、PC3および2LMPの両細胞株に及ぼす細胞増殖阻害活性が大幅に減少し、このことから、化合物の細胞での活性がBcl-2/Bcl-xLタンパク質とのその結合親和性と相関することが示唆された。化合物15dの6'ヒドロキシル基のエチル基での遮断(15e)により、化合物が結合アッセイでも細胞アッセイでもほぼ完全に不活性化された(Ki値またはIC50 > 10 μM)。
【0190】
置換ナフチル環のさらに小さな芳香環(フェニル基; 15f)、または水素結合(15j)との交換によって、結合親和性が大幅に減少した。とりわけ単量体の場合(15j)には、大きな疎水基の除去によって、Bcl-xLおよびBcl-2のそれぞれに対する結合親和性が10倍および50倍を超えて減少し、同時に細胞での活性が減少した。このことから、タンパク質表面の疎水性の孔を占有する大きな疎水基も結合親和性に不可欠であることが示唆された。
【0191】
ここまで本発明を十分に記述してきたが、本発明の範囲またはその任意の態様に影響を与えることなく、広範なおよび等価な範囲の条件、処方、およびその他のパラメータの範囲内で本発明を実施できることが当業者により理解されよう。本明細書において引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】ゴシポールとBcl-xLとの間の相互作用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する化合物:
式中、R1はH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり;
R2、R3、R4、R5、およびR6は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、もしくはNR'R''であり;
R'およびR''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、またはR'およびR''はそれらが結合しているNと一緒に複素環もしくはヘテロアリール環を形成する。
【請求項2】
式II

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する、請求項1記載の化合物:
式中、Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールである。
【請求項3】
式III

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する、請求項1記載の化合物:
式中、Ar1およびAr2は独立して、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
XはO、NR'、SO2、S、C(O)N(R')、SO2NR'、R'NCO、R'NSO2、N(R')R''、N(R')-R''-N(R''')、R'、OR'、OR'O、またはC(O)N(R')R''であり; ならびに
R'、R''、およびR'''は独立してHまたは置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくは複素環であり、
またはR'、R''、およびR'''のうち2つが複素環またはヘテロアリール環を形成する。
【請求項4】
式IV

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
式V

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
式VI

または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを有する、請求項1記載の化合物:
式中、Lは置換されてもよいアリール、ビアリール、ヘテロアリール、複素環、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、エーテル、エステル、アミン、アミド、スルホニル、スルホンアミド、またはチオエーテルであり;
R1およびR1'は独立してH、OH、F、Cl、Br、I、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり; ならびに
R2、R2'、R3、R3'、R4、R4'、R6、およびR6'は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、または置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、CO2R'、C(O)NR'R''、SO2NR'R''、SR'、OR'、NR''C(O)R'、NR'SO2R''、またはNR'R''である。
【請求項7】
請求項1記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項8】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、細胞において抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーを阻害する方法。
【請求項9】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、細胞においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項10】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、アポトーシスの誘導因子に対する感受性を細胞に与える方法。
【請求項11】
細胞をアポトーシスの誘導因子と接触させる段階をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
アポトーシスの誘導因子が放射線である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
治療的有効量の請求項1記載の化合物を動物に投与する段階を含む、動物においてアポトーシスの誘導に応答性の障害を処置する、改善する、または予防する方法。
【請求項15】
アポトーシスの誘導因子を投与する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アポトーシスの誘導因子が放射線である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
アポトーシスの誘導に応答性の障害が過剰増殖性疾患である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子の前に投与される、請求項15記載の方法。
【請求項21】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子の後に投与される、請求項15記載の方法。
【請求項22】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子と同時に投与される、請求項15記載の方法。
【請求項23】
請求項1記載の化合物を含む、キット。
【請求項24】
動物に化合物を投与するための使用説明書をさらに含む、請求項23記載のキット。
【請求項25】
アポトーシスの誘導因子をさらに含む、請求項23記載のキット。
【請求項26】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項25記載のキット。
【請求項27】
使用説明書が過剰増殖性疾患を有する動物に化合物を投与するためである、請求項24記載のキット。
【請求項28】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項27記載のキット。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−533039(P2008−533039A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500984(P2008−500984)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008690
【国際公開番号】WO2006/099193
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(505053844)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (16)
【Fターム(参考)】