説明

抗ストレス剤

本発明は、コーヒーまたは茶類の香気成分を有効成分として含むことを特徴とする、ストレスに伴う諸症状を有効に予防または軽減でき、さらに安全でかつ服用や摂取が容易な抗ストレス剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーまたは茶類、例えばウーロン茶に含まれる香気成分を用いた抗ストレス剤に関する。また、本発明は、コーヒーまたは茶類、例えばウーロン茶に含まれる香気成分を含み、ストレスによって生じる精神的及び身体的疾患を予防または軽減する医薬品または機能性食品に関する。さらに本発明は、コーヒーまたは茶類、例えばウーロン茶に含まれる香気成分を用いた化粧品または芳香剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高度でしかも複雑に入り組み、24時間休むことなく活動する現代社会では、人は様々なタイプの物理・化学的、心理的、社会的ストレスに曝されている。特に、複雑な人間関係の中で生きている現代人にとって、ストレスを構成するものとして心理的な要因が大きい。
心理的ストレスとそれが引き起こす様々な症状については、種々の研究が行われている。例えば、心理的ストレスが大脳で感知されると、広範な脳部位でノルアドレナリンの放出が亢進し、それが引き金となって不安や緊張といった精神症状を引き起こすと報告されている(非特許文献1)。ストレスが長時間持続すると、全身の諸臓器に影響を及ぼし、その結果、重篤な心身症、うつ病、胃潰瘍、高血圧症などを引き起こすこともある。
【0003】
現在、ストレスの軽減、またはストレスに起因する疾患の予防もしくは治療の目的に使用されている薬は、主にベンゾジアゼピン系の抗不安薬と睡眠薬である。脳内GABA神経系はベンゾジアゼピン系の抗不安薬と睡眠薬の作用点と考えられている。GABA神経系に存在するGABA受容体は、Clチャンネルを中心としてベンゾジアゼピン受容体およびバルビタール結合部位と複合体を形成している。ベンゾジアゼピン受容体およびバルビタール結合部位が刺激を受けると、GABA受容体のGABAに対する親和性が上昇することが報告されている(非特許文献2)。
【0004】
また、脳内GABA神経系を賦活するとストレス緩和作用が発現することも報告されている。ラットを寒冷拘束ストレス(4℃,2時間)に暴露すると胃潰瘍が発生する。この胃潰瘍の発生は、GABA(5,10,20,50μg)およびGABA受容体の作動薬(agonist)のムシモール(Muscimol)(5,10μg)の脳室内投与により用量依存的に抑制されること、GABA受容体の拮抗薬(antagonist)のビククリン(bicuculine)(40μg)はGABAによるストレス潰瘍の抑制を消失させることが報告されている(非特許文献3)。また、GABA受容体の作動薬のムシモールや脳内GABA濃度を上昇させるアミノオキシ酢酸(aminooxy−acetic acid)(GABAデアミナーゼ(GABA deaminase)阻害薬)によりラットにおけるストレスによる運動量の増加や胃潰瘍の発生が抑制されることも報告されている(非特許文献4)。このように脳内GABA神経系は、ストレスの緩和に重要な役割をはたしている。
【0005】
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬と睡眠薬は比較的安全性の高い薬であるが、習慣性や副作用を併せ持つことから、日常生活における一時的なストレスに対して、頻繁に服用するのは好ましくない。また、服用後その使用を中断するとリバウンドが起こり、かえって症状が悪化する場合さえあり、理想的な抗ストレス剤とは言い難い。
【0006】
このように、現代社会におけるストレス負荷の増大とストレスの与える精神衛生上のみならず、生体に及ぼす深刻な影響を考慮すると、真に有効で安全な抗ストレス剤の開発が望まれている。特に予防的見地からは、食品や嗜好品に活用できる抗ストレス剤の開発が望まれている。
【0007】
なお、コーヒー等の嗜好品の香りが、ヒトにおいてα波を増加させ、リラックス感をもたらすことが報告されている(非特許文献5)が、その活性成分については特定されていない。
【非特許文献1】田中正敏、代謝、vol.26,p122−131,1989
【非特許文献2】D.G Nicholls,Amino Acids as Neurotransmitter,in“Proteins,Tensmitters and Synapses.”Blackwell Scientific Publication,Oxford,p.155−185(1994)
【非特許文献3】KP Bhargava,GP Gupta and MB Gupta,“Central GABA−ergic mechanism in stress−induced gastric ulceration”,British Jounal of Pharmacology,vol.84,p.619−623(1985)
【非特許文献4】Psychopharmacology 89:472−476(1986)
【非特許文献5】暮らしと健康 8月号 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ストレスに伴う諸症状を有効に予防または軽減でき、さらに安全でかつ服用や摂取が容易な抗ストレス剤を提供することを目的とする。また、本発明に係るコーヒーまたは茶類、例えばウーロン茶に含まれる香気成分は、揮発成分であり、しかも抗ストレス作用を有するので化粧品、芳香剤としても有用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、有効で安全な抗ストレス剤を開発すべく、種々の化合物について試行錯誤の検討を行っていたところ、コーヒーおよび茶類の香気成分が、抗ストレス作用を示すという思いがけない知見を得た。
【0010】
より詳しくは、本発明者らは、GABA受容体を発現させたアフリカツメガエルの卵母細胞のGABA応答に対する増強作用を指標に、抗ストレス作用を有する物質のスクリーニングを行った。その結果、本発明者らは、コーヒーおよび茶類の香気成分がGABA受容体のGABA応答を増強する作用があることを見出した。さらに、本発明者らは、マウスにGABA受容体活性化薬であるペントバルビタールを投与した時の睡眠時間に対する延長作用を指標に、in vivoでの薬理学的検討を行い、コーヒーまたは茶類の香気成分であるペントバルビタールによって誘発される睡眠時間を著しく延長させることを見出した。上述したように、脳内GABA神経系はストレスの緩和に重要な役割をはたしていることから、コーヒーまたは茶類の香気成分、とくに、脳内GABA受容体の活性化を通じてストレスを緩和する作用を有する。
そのうえ、コーヒーや茶類の香気成分を含む抗ストレス剤は、コーヒーや茶類が長年の間、人々に愛飲されていることから、安全性上の問題はない。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)コーヒーまたは茶類の香気成分を有効成分として含むことを特徴とする抗ストレス剤、
(2)香気成分が、2−メチル−3−ブテン−2−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、ソトロン、2,4−ジメチルスチレン、ベンゾチアゾール、2,3,5−トリメチルフェノール、cis−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトンおよびリナロールオキサイドからなる群から選択される1種以上の成分であることを特徴とする前記(1)に記載の抗ストレス剤、
(3)茶類がウーロン茶であることを特徴とする前記(1)に記載の抗ストレス剤、
(4)香気成分が、1−オクテン−3−オール、cis−ジャスモンおよびジャスモン酸メチルからなる群から選択される1種以上の成分であるであることを特徴とする前記(1)に記載の抗ストレス剤、
(5)香気成分の1回投与量もしくは1回摂取量が5〜50mgであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(6)医薬品であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(7)機能性食品であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(8)化粧品であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(9)芳香剤であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(10)GABA受容体活性化剤であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の抗ストレス剤、
(11)コーヒーまたは茶類の香気成分を哺乳動物に投与することを特徴とするストレスの予防または軽減する方法、
(12)ストレスの予防または軽減する医薬の製造のためのコーヒーまたは茶類の香気成分の使用、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る抗ストレス剤は、GABA受容体の活性化、特に脳内GABA神経系の活性化を介して、ストレスを有効に予防・軽減することができる。その結果、本発明の抗ストレス剤は、ストレスに伴う諸症状を抑制または予防することができる。
また、本発明に係る抗ストレス剤は、コーヒーおよび茶類、例えばウーロン茶の香気成分を有効成分として含有しているので、安全性に優れ、使用に際して特別な制限がないという利点を有する。
さらに、本発明に係る抗ストレス剤は、コーヒーおよび茶類という嗜好品の香気成分が含まれているので、服用または摂取しやすい。特に、本発明に係る抗ストレス剤をドリンク剤などの機能性食品の形態にした場合は、ストレスを予防および/または軽減するために、日常的に用いることが可能である。さらに、コーヒーおよび茶類、例えばウーロン茶の香気成分は、揮発性であり、快適な芳香を与えるのみならず、抗ストレス作用を有するので化粧品あるいは芳香剤としても使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、コーヒーおよび茶類の香気成分を含む抗ストレス剤を提供する。本発明で使用し得る茶類としては、例えば煎茶、焙じ茶、玉露、かぶせ茶もしくはてん茶等の蒸し製茶、または嬉野茶、青柳茶もしくは各種中国茶等の釜炒り茶などの不発酵茶;包種茶、鉄観音茶もしくはウーロン茶等の半発酵茶;紅茶、阿波番茶、碁石茶もしくはプアール茶などの発酵茶;その他、玄米茶、ハーブ茶、ウコン茶、麦茶、ハト麦茶もしくはマテ茶などを挙げることができる。上記した茶類のなかでも、ウーロン茶は本発明で使用する有効な香気成分を多く含んでいるので好ましい。
【0014】
本発明に係る抗ストレス剤に含まれる香気成分は、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法を用いて、コーヒーおよび茶類から精製されたものであってもよいし、精製されていない濃縮物であってもよい。前記香気成分としては、既に精製されている市販品を用いてもよい。さらに、当該香気成分を化学合成して用いてもよい。本発明に係る抗ストレス剤には、コーヒーおよび茶類に含まれる複数の香気成分が混合している状態で含まれていてもよいし、単一の香気成分のみが含まれていてもよい。
【0015】
上記コーヒーおよび茶類の香気成分としては、特に限定されず、公知の成分であってよい。具体的に、前記香気成分として、2−メチル−3−ブテン−2−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、ソトロン、2,4−ジメチルスチレン、ベンゾチアゾール、2,3,5−トリメチルフェノール、cis−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトンおよびリナロールオキサイドなどが好適な例としてあげられる。これらの成分は、コーヒーや紅茶に香気成分として含まれていることが知られている(Food Rev Int.,1989,5,317−414)。これらの香気成分のうち、好ましいのは1−オクテン−3−オール、cis−ジャスモンおよびジャスモン酸メチルである。これらの香気成分は市販品、合成品、抽出品のいずれをも用いることができ、合成方法、抽出方法は公知の方法を採用することができる。
【0016】
茶類のなかでも、ウーロン茶には上記香気成分が多く含まれていることが知られている。例えば、ジャスミンラクトンは、緑茶の龍井茶には0.33ppmしか含まれないが、ウーロン茶の黄金桂では26.43ppmも含まれている。また、ジャスモン酸メチルは、緑茶の龍井茶では検出されないが、ウーロン茶の黄金桂では3.33ppmも含まれている(村松敬一朗著 茶の機能 学会出版センター 2002年)。ジャスミンラクトンは、ウーロン茶の発酵過程で生成されることが報告されており、ウーロン茶の発酵でジャスミンラクトンは50倍程度に増加する(J.Agric.Food Chem.2001,49,5391−5396)。しかし、さらに発酵のすすんだ紅茶では、ジャスミンラクトンは、ダージリンで0.74ppmしか含まれていない。また、ジャスモン酸メチルの類縁体のエピジャスモン酸メチルも紅茶中には、多いもので1ppm程度しか含まれていない(川上美智子茶の香り研究ノート 光生館 2000年)。本発明においては、エピジャスモン酸メチルもジャスモン酸メチルに包含されると解釈されるべきである。
【0017】
本発明に係る抗ストレス剤に含まれるコーヒーおよび茶類の香気成分が遊離の酸または塩基である場合、該香気成分は薬学的に許容されうる塩の形で含有されていてもよい。前記薬学的に許容されうる塩としては、薬学的に許容される酸(例えば、無機酸または有機酸)や塩基(例えば、無機塩基または有機塩基)などとの塩が挙げられる。より具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸;シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸;ナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属、マグネシウムもしくはカルシウム等のアルカリ土類金属などの無機塩基;例えば、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類などの有機塩基との塩を挙げることができる。
【0018】
本発明に係る抗ストレス剤とは、ストレスを緩和または鎮静し、生体内の恒常性を維持させる抗ストレス作用を有する物質、または該物質を含む組成物をいう。言い換えれば、本発明における抗ストレス剤とは、ストレスに対し生体が防御または適応しようとする反応を引き起こす物質、または該物質を含む組成物をいう。ここで、ストレスとは、通常ストレスの原因となる刺激(ストレッサー)が生体に加わった際に、精神や身体に生ずるひずみをいう。ストレッサーとしては、寒冷、気象変化、放射線、騒音などの物理的刺激;薬物、ビタミン不足、酸素欠乏などの化学的刺激;細菌感染など生物的刺激;痛みや発熱などの疾病、障害からくる身体的な刺激;社会や家庭における人間関係から生ずる緊張、不安、恐怖などの精神的刺激などが挙げられる。
従って、本発明に係る抗ストレス剤は、ストレスを予防し、またはストレスからの回復を促進させること等に有用であり、ストレスに起因する医学的症状を予防または改善もしくは治癒することができる。
【0019】
上記ストレスに起因する医学的症状としては、(a)動脈硬化症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、本態性高血圧、心臓神経症、不整脈などの循環器系疾患や、(b)気管支喘息、過呼吸症候群、神経性咳嗽などの呼吸器系疾患や、(c)消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性食欲不振症、神経性嘔吐症、腹部膨満症、空気嚥下などの消化器系疾患や、(d)肥満症、糖尿病、心因性多飲症、バセドウ病などの内分泌代謝系疾患や、(e)偏頭痛、筋緊張性頭痛、自律神経失調症などの神経系疾患や、(f)夜尿症、インポテンツ、過敏性膀胱などの泌尿器系疾患や、(g)慢性関節リウマチ、全身性筋痛症、脊椎過敏症などの骨筋肉系疾患などが挙げられる。
【0020】
また、さらに前記ストレスに起因する医学的症状としては、(h)神経性皮膚炎、円形脱毛症、多汗症、湿疹などの皮膚系疾患や、(i)メニエール症候群、咽喉頭部異物感症、難聴、耳鳴り、乗物酔い、失声吃音などの耳鼻咽喉科領域の疾患や、(j)原発性緑内症、眼精疲労、眼瞼けいれん、眼ヒステリーなどの眼科領域の疾患や、(k)月経困難症、無月経、月経異常、機能性子宮出血、更年期障害、不感症、不妊症などの産婦人科領域の疾患や、(l)起立性調節障害、再発性臍疝痛、心因性の発熱、夜驚症などの小児科領域の疾患や、(m)腸管癒着症、ダンピング症候群、頻回手術症(ポリサージャリー)、形成手術後神経症などの手術前後の状態や、(n)特発生舌痛症、ある種の口内炎、口臭症、唾液分泌異常、咬筋チェック、義歯神経症などの口腔領域の疾患や、(o)神経症、(p)うつ病なども挙げることができる。
【0021】
本発明に係るストレス剤は、医薬品または機能性食品として用いることができる。本発明の抗ストレス剤を医薬品として用いる場合、かかる医薬品は経口投与または非経口投与が都合よく行われるものであればどのような剤形のものであってもよい。本発明に係る医薬品の剤形としては、例えば注射液、輸液、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、外用液剤、湿布剤、点鼻剤、点耳剤、点眼剤、吸入剤、軟膏剤、ローション剤、坐剤等が挙げられる。また、本発明においては、症状に応じて、上記剤形の本発明に係る医薬品をそれぞれ単独で、または組合わせて使用することができる。
【0022】
本発明に係る医薬品においては、目的に応じて主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、安定化剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の添加剤を添加することができる。
より具体的には、本発明に係る医薬品がカプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤などの固形製剤の場合には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤などの添加剤を製剤中に含有させることができる。また、本発明にかかる医薬品が液体製剤の場合には、例えば、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの添加剤を製剤中に含有させることができる。また、液体製剤の場合、本発明に係る医薬品は有効成分である香気成分を用時溶解させる形態の製剤であってもよい。
上述したような本発明に係る医薬品は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従って容易に製造することができる。
【0023】
本発明に係る医薬品の投与経路は、特に限定されず、経口投与または非経口投与のいずれでもよい。中でも、本発明に係る医薬品は経口投与が可能であることが、服用の容易性の観点から好ましい。
また、本発明に係る医薬品の投与量は、投与経路、剤形、患者の症状の重篤度、年齢もしくは体重などによって異なるので、一概には言えない。具体的には、成人に対する1回の投与量が、本発明の上記香気成分の総量として1固形製剤当たり1回の摂取量が約5〜50mgであり、例えば1カプセル剤当たり約5〜500mg程度、好ましくは約5〜50mg程度である。
【0024】
本発明の抗ストレス剤を機能性食品として用いる場合には、形態としては前述の医薬製剤の形態と同様でよい。また、前記食品は、自然流動食、半消化態栄養食もしくは成分栄養食、またはドリンク剤等の加工形態とすることもできる。さらに、本発明に係る機能性食品は、アルコール飲料やミネラルウォーターに用時添加する易溶製剤としてもよい。より具体的には、本発明に係る機能性食品としては、例えばビスケット、クッキー、ケーキ、キャンデー、チョコレート、チューインガム、和菓子などの菓子類;パン、麺類、ごはん、豆腐もしくはその加工品、;清酒、薬用酒などの発酵食品;みりん、食酢、醤油、味噌、ドレッシングなどの調味料;ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ、マヨネーズなどの畜農食品;かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品;果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶、コーヒー、ココアなどの飲料等の形態が挙げられる。本発明の香気成分を飲料に添加して使用する場合には、飲料1L当たり0.0005〜1.0重量%の割合が好ましく、1回当たりの摂取量は約5〜500mg程度、好ましくは約5〜50mg程度である。
【0025】
また、本発明に係る機能性食品は、例えば、医師の食事箋に基づく栄養士の管理の下に、病院給食の調理の際に任意の食品に本発明の抗ストレス剤を加え、その場で調製した機能性食品の形態で患者に与えることもできる。本発明の抗ストレス剤は、液状であっても、粉末や顆粒などの固形状であってもよい。
【0026】
本発明に係る機能性食品は、食品分野で慣用の補助成分を含んでいてもよい。前記補助成分としては、たとえば乳糖、ショ糖、液糖、蜂蜜、ステアリン酸マグネシウム、オキシプロピルセルロース、各種ビタミン類、微量元素、クエン酸、リンゴ酸、香料、無機塩などが挙げられる。
【0027】
本発明に係る機能性食品は、ストレス負荷が予想される時、または例えば肉体労働時、精神作業時もしくはスポーツをしている時などストレス負荷時に摂取してもよい。また、ストレスの予防または軽減を計るため常用してもよい。
本発明に係る機能性食品の摂取量は、摂取する人のストレスの状態、年齢、性別などによって異なるので、一概には言えない。具体的には、成人に対する1回の摂取量が、本発明の香気成分の総量として約5〜500mg程度、好ましくは約5〜50mg程度である。
【0028】
本発明に係る医薬品または機能性食品は、他の抗ストレス剤、ビタミン剤もしくはホルモン剤その他の栄養剤、または微量元素もしくは鉄化合物と併用することができる。例えば、本発明に係る機能性食品がドリンク剤の場合、所望により、他の生理活性成分、ミネラル、ホルモン、栄養成分、香味剤等を混合することにより、嗜好飲料的性格を持たせることができ、好適である。
ストレスが人間に及ぼす影響として、うつ傾向が挙げられる。このうつ傾向は、病的な状態までには至らずに、通常の日常生活を送る中でも多く認められ、このようなうつ傾向を軽減する手段を提供することが、重要なテーマの一つとなっている。うつ傾向の軽減手段として、近年、特に、アロマセラピーが注目されている。本発明に係る香気成分は、快適な芳香性を有し、揮発性であるから化粧品あるいは芳香剤として使用することができる。
本発明に係わるコーヒーおよび茶類の香気成分は化粧品、芳香剤として用いることができる。例えば香水、オウドドワレ、コロン、制汗剤、デオドラント剤、シャンプー、リンス、ヘアコンデショナー、ヘアトリートメント、ヘアグルーミング、石鹸、ボディソープ、基礎化粧品等の人体用製品、衣料用洗剤、住居用洗浄剤、医療用柔軟剤、衣料用漂白剤、等の衣料用成否印、台所用食器洗浄剤、トイレ用洗浄剤、住居用漂白剤、芳香剤、床磨き剤、等の住居用成否印、歯磨き、洗口剤、口中消臭剤、口中清涼剤等の口中製品、貼付剤等の雑貨製品が挙げられる。
本発明のコーヒーまたは茶類の香気成分を含む化粧品は、油脂、保湿剤、天然色素、界面活性剤、、酸化防止剤、防腐剤等の化粧品分野で配合されている任意の化粧品成分を使用することができ、それ自体公知の方法で製造することができる。本発明の化粧品を使用することにより、ヒトが日常生活で経験する眠気、疲労感、惰気等の生理的心理状態から開放し、気分を爽快にすると共に、精神活動を活発化する効果をもたらすものである。化粧品に占める香気成分の配合量は、化粧品の形態、使用目的によって適宜決定されるが、一般的には化粧品全体に対して0.005〜10重量%である。
さらに、本発明の芳香剤はそれ自体公知の芳香剤容器に収納して使用することができる。芳香剤の形状としては、スプレー、固形状(粒状)が挙げられ、香りの良い空間を作り出すことができる。芳香剤に占める香気成分の使用量は、適宜、使用する場所、要求される芳香の強さによって適宜、決定されるが、一般的には芳香剤全体に対して0.005〜10重量%である。
【実施例】
【0029】
次に実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
【0030】
香気成分(9種類)のin vitroでのGABA受容体活性化作用
実験材料には、アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた。卵母細胞の核にラット由来のGABA受容体mRNAを注入して、卵表面にGABA受容体を発現させた。卵母細胞は、通常のカエルのリンゲル液(115mM NaCl,1mM KCl,1.8mM CaCl,5mM Tris,pH7.2)中で培養した。得られた卵母細胞を用いて、GABA(10μM)およびGABA(10μM)と下記サンプルの混合溶液による抑制性電位を測定した。抑制性電位の発生は、voltage clamping amplifier(CEZ−1100;日本光電工業製)を用いたvoltage clamp法で測定した。
サンプルには、以下の9種類のコーヒーまたは茶類に含まれる香気成分を用い、添加濃度は2μl/mlとした。使用したサンプルは、以下の通りである。2−メチル−3−ブテン−2−オール(2−methyl−3−buten−2−ol)(図1中、2−M3BOLで示す)、3−メチル−2−ブテン−1−オール(3−methyl−2−buten−1−ol)(図1中、3−M2BOLで示す)、1−ペンテン−3−オール(1−penten−3−ol)(図1中、1−POLで示す)、(E)−2−ヘキセン−1−オール((E)−hexen−1−ol)(図1中、HXOLで示す)、1−オクテン−3−オール(1−octen−3−ol)(図1中、1−OCOLで示す)、ソトロン(sotolone)(図1中、STOLで示す)、2,4−ジメチルスチレン(2,4−dimethylstyrene)(図1中、2,4−DMSで示す)、ベンゾチアゾール(benzothiazole)(図1中、BZTで示す)および2,3,5−トリメチルフェノール(2,3,5−trimethylphenol)(図1中、2,3,5−TEPで示す)。上記サンプルとしては市販品を用いた。すなわち、ソトロンは小川香料株式会社製のものを、他の化合物は東京化成株式会社製のものを用いた。
【0031】
結果を図1に示す。指標には、サンプルのGABAによる抑制性電位に対する増強作用を用いた。結果は、GABA(0.25μM)単独添加の場合に発生する抑制性電位を100としてGABAとサンプルを併用した時に抑制電位が何%増えるかで表わした。図1で明らかなように、評価したサンプル全てがGABA受容体のGABA応答を増強し、特に1−オクテン−3−オールに前記応答を強く増強する作用があることがわかった。
実施例1において、ポジティブコントロールとして、ヘキサノールを用いた。ヘキサノールはフィトンチッドの成分としてGABA受容体活性化作用があり(Biosci.Biotechnol.Biochem.,63,743−748,1999)、ストレス緩和作用がある(平成10年度〜平成11年度科学研究補助金 基盤研究(C)(2)研究成果報告書 研究課題 10670070)ことも知られている。
[実施例2]
【0032】
1−オクテン−3−オールの用量依存性の検討
実施例1で強い活性が認められた1−オクテン−3−オールの用量依存性について検討した。試験方法は、実施例1と全く同様である。GABA濃度は5μM、1−オクテン−3−オールの濃度は0.3〜1mMとした。その結果を図2に示す。図2からも明かなように1−オクテン−3−オールは最大400%、GABA受容体のGABA応答を示した。なお、図2に示した結果は、GABA(5μM)単独添加した場合に発生する抑制電位を100としたとき、これに対して、GABAと1−オクテン−3−オールを併用した時の抑制電位が何%であるかで表した。
[実施例3]
【0033】
1−オクテン−3−オールのペントバルビタール誘発睡眠に対する増強作用
試験動物はddy系雄性マウス(8週齢)を清水実験材料(株)より購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。飼育条件が、室温23±2℃、湿度55±5%、換気回数12〜15回/時間(オールフレッシュ方式)、照明時間(12時間/日、午前7時点灯、午後7時消灯)に設定された飼育室でポリイソペンテンケージ(日本クレア(株)製)に5匹ずつ飼育した。飼料は固形飼料CE−2(日本クレア(株))を用い、飲料水は自由に摂取させた。
マウスに対し、オリーブ油に溶解した1−オクテン−3−オールを投与量が20または100mg/kgとなるように経口投与した。なお、それぞれの群には8匹ずつのマウスを用いた。30分後に生理食塩水に溶解したペントバルビタールをその投与量が50mg/kgとなるように腹腔内投与し、睡眠時間を測定した睡眠時間は、正向反射の消失から回復までの時間とした。
その結果を図3に示す。図3に示した実験結果は平均値±標準誤差で表示されており、有意差検定にはStudentのt−検定を用いた。図3から明らかなように、1−オクテン−3−オールは、用量依存的にペントバルビタールによる睡眠時間を延長させた。
[実施例4]
【0034】
嗜好品(ウーロン茶)香気成分のin vitroでのGABA受容体活性化作用
実験材料には、アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた。卵母細胞の核にラット由来のGABA受容体mRNAを注入して、卵表面にGABA受容体を発現させた。卵母細胞は、通常のカエルのリンゲル液(115mM NaCl,1mM KCl,1.8mM CaCl,5mM Tris,pH7.2)中で培養した。GABA(0.25μM)による抑制性電位の発生は、voltage clamping amplifier(CEZ−1100;日本光電工業製)を用いたvoltage clamp法で測定した。
サンプルには、以下の4種類のウーロン茶の香気成分を用い、添加濃度は0.5mMとした。使用したサンプルは、以下の通りである。:cis−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトンおよびリナロールオキサイド。
上記サンプルとしては、小川香料株式会社製のものを用いた。
【0035】
結果を図4に示す。指標には、サンプルのGABAによる抑制性電位に対する増強作用を用いた。結果は、GABA(0.25μM)単独添加の場合に発生する抑制性電位を100としてGABAとサンプルを併用した時に抑制電位が何%増えるかで表わした。図4で明らかなように、評価したサンプル全てがGABA受容体のGABA応答を増強し、特にcis−ジャスモンとジャスモン酸メチルに前記応答を強く増強する作用があることがわかった。
実施例4において、ポジティブコントロールとして、ヘキサノールを用いた。ヘキサノールはフィトンチッドの成分としてGABA受容体活性化作用があり(Biosci.Biotechnol.Biochem.,63,743−748,1999)、ストレス緩和作用がある(平成10年度〜平成11年度科学研究補助金 基盤研究(C)(2)研究成果報告書 研究課題 10670070)ことも知られている。
[実施例5]
【0036】
cis−ジャスモンとジャスモン酸メチルの用量依存性の検討
実施例4で強い活性が認められたcis−ジャスモンとジャスモンメチルの用量依存性について検討した。試験方法、実施例4と全く同様である。GABA濃度は5μM、cis−ジャスモンおよびジャスモン酸メチルの濃度は、0.2〜1mMとした。その結果を図5に示す。図5からも明らかなようにcis−ジャスモンは最大200%、ジャスモン酸メチルは最大300%のGABA受容体のGABA応答を示した。なお、図5に示した結果は、GABA(5μM)単独添加した場合に発生する抑制電位に対して、GABAとcis−ジャスモンとジャスモン酸メチルを併用した時の抑制電位が何%であるかで表した。
[実施例6]
【0037】
cis−ジャスモンとジャスモン酸メチルのペントバルビタール誘発睡眠に対する増強作用
試験動物はddy系雄性マウス(8週齢)を清水実験材料(株)より購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。飼育条件は、室温23±2℃、湿度55±5%、換気回数12〜15回/時間(オールフレッシュ方式)、照明時間(12時間/日、午前7時点灯、午後7時消灯)に設定された飼育室でポリイソペンテンケージ(日本クレア(株)製)に5匹ずつ飼育した。飼料は固形飼料CE−2(日本クレア(株))を用い、飲料水は自由に摂取させた。
0.1%に希釈したcis−ジャスモンとジャスモン酸メチルを暴露箱中で、マウスに実験終了まで吸引させた。なお、それぞれの群には5匹ずつのマウスを用いた。吸引開始30分後に生理食塩水に溶解したペントバルビタールをその投与量が50mg/kgとなるように腹腔内投与し、睡眠時間を測定した。睡眠時間は、正向反射の消失から回復までの時間とした。
その結果を図6に示す。図6に示した実験結果は平均値±標準誤差で表示されており、有意差検定にはStudentのt−検定を用いた。図6から明らかなように、cis−ジャスモンとジャスモン酸メチルは、有意にペントバルビタールによる睡眠時間を延長させた。
【0038】
製剤例
製剤例1
【0039】
カプセル剤

製剤例2
【0040】
ドリンク剤


製剤例3
【0041】
カプセル剤

製剤例4
【0042】
ドリンク剤の製造

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の抗ストレス剤は、ストレスに伴う諸症状を抑制または予防することができ、医薬、機能性食品、化粧品あるいは芳香剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
[図1]コーヒーまたは茶類に含まれる各種香気成分のin vitroでのGABA受容体活性化作用を示すグラフである。
[図2]1−オクテン−3−オールのGABA受容体活性化作用の用量依存性を示すグラフである。
[図3]1−オクテン−3−オールをマウスに経口投与した場合のペントバルビタールによる睡眠時間に及ぼす影響を示すグラフである。なお、1−OCOL(20)は1−オクテン−3−オールを20mg/kg投与した群を示し、1−OCOL(100)は1−オクテン−3−オールを100mg/kg投与した群を示し、CONTはコントロール群を示す。
【0045】
[図4]ウーロン茶に含まれる各種香気成分のin vitroでのGABA受容体活性化作用を示すグラフである。なお、cis−ジャスモンは、cis−JSMで、ジャスモン酸メチルは、Me−JSM、ジャスミンラクトンは、JSM−LAC、リナロールオキサイドは、LINL−OXで示す。
[図5]cis−ジャスモンとジャスモン酸メチルのGABA受容体活性化作用の用量依存性を示すグラフである。
[図6]cis−ジャスモンとジャスモン酸メチルをマウスに吸引させた場合のペントバルビタールによる睡眠時間に及ぼす影響を示すグラフである。なお、*はコントロールに対してp<0.05であることを示す。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーまたは茶類の香気成分を有効成分として含むことを特徴とする抗ストレス剤。
【請求項2】
香気成分が、2−メチル−3−ブテン−2−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、ソトロン、2,4−ジメチルスチレン、ベンゾチアゾール、2,3,5−トリメチルフェノール、cis−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトンおよびリナロールオキサイドからなる群から選択される1種以上の成分であることを特徴とする請求項1に記載の抗ストレス剤。
【請求項3】
茶類がウーロン茶であることを特徴とする請求項1に記載の抗ストレス剤。
【請求項4】
香気成分が、1−オクテン−3−オール、cis−ジャスモンおよびジャスモン酸メチルからなる群から選択される1種以上の成分であることを特徴とする請求項1に記載の抗ストレス剤。
【請求項5】
香気成分の1回投与量もしくは1回摂取量が5〜50mgであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項6】
医薬品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項7】
機能性食品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項8】
化粧品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項9】
芳香剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項10】
GABA受容体活性化剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の抗ストレス剤。
【請求項11】
コーヒーまたは茶類の香気成分を哺乳動物に投与することを特徴とするストレスの予防または軽減する方法。
【請求項12】
ストレスの予防または軽減する医薬の製造のためのコーヒーまたは茶類の香気成分の使用。

【国際公開番号】WO2005/011718
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512451(P2005−512451)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007385
【国際出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】