説明

抗IGFR1抗体治療用組み合わせ

本発明は、化学療法剤と結びつけた結合組成物、例えば、抗IGFR1抗体を含む組み合わせを提供する。医学的病態、例えば、癌を治療するための同組み合わせの使用法も提供される。本発明は、(a)1種以上の結合組成物、例えば、任意の抗IGFR1抗体、好ましくは単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体、好ましくは、(i)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、(ii)配列番号8によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される抗体を、(b)1種以上の化学療法剤、および、要すれば随意に薬学的に受容可能なキャリアを結びつけて含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/524,732号(2003年11月21日出願)の利益を主張する。この米国仮特許出願は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、1種以上の抗IGFR1抗体と1種以上の化学療法剤とを含む治療用組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
インスリン様増殖因子、別名ソマトメジンとも呼ばれるこの因子は、インスリン様増殖因子−I(IGF−I)およびインスリン様増殖因子−II(IGF−II)を含む(非特許文献1;非特許文献2)。これらの増殖因子は、腫瘍細胞(Macaulay,(1992))を含む各種細胞タイプに対して、インスリン様増殖因子レセプター−1(IGFR1)と呼ばれる共通のレセプターに結合することによって細胞分裂誘発作用を及ぼす(非特許文献3)。IGFとIGFR1との相互作用は、チロシン残基においてレセプターを自動的にリン酸化することによってこのレセプターを活性化する(非特許文献4)。一旦活性化されると、IGFR1は、今度は自らが、細胞内標的をリン酸化して、細胞内シグナル経路を活性化する。このレセプター活性化は、腫瘍細胞の増殖刺激とその生存にとって決定的重要性を持つ。従って、IGFR1活性の抑制は、ヒトの癌の増殖およびその他の増殖性疾患を治療または予防するための有用な方法となる可能性がある。
【0004】
いくつかの系統の証拠から、IGF−I、IGF−II、およびそれらのレセプターIGFR1は、悪性表現型の重要な介在因子であることが示されている。IGF−1の血漿レベルが、前立腺癌危険度に関するもっとも強力な予測因子であることが示されており(非特許文献5)、同様の疫学的研究は、血漿IGF−Iレベルと、乳癌、結腸癌、および肺癌の危険度とが強く結びついていることを示している。
【0005】
さらに、いくつかの癌細胞系統および腫瘍組織において、インスリン様増殖因子レセプター−Iの過剰発現が証明されている。IGFR1は、全ての乳癌細胞系統の40%において(非特許文献6)、また肺癌細胞系統の15%において過剰に発現されている。乳癌腫瘍組織では、正常組織に比べ、IGFR1が6−14倍過剰に発現し、かつ、IGFR1は2−4倍高いキナーゼ活性を示す(非特許文献7;非特許文献8)。さらに、結腸直腸癌組織は、極めて高いIGFR1レベルを示すことが報告されている(非特許文献9)。子宮頸癌の一次細胞培養および子宮頸癌細胞系統を分析したところ、正常の子宮頸内部の細胞と比べ、それぞれ、3倍および5倍のIGFR1の過剰発現が明らかになった(非特許文献10)。滑膜肉腫細胞におけるIGFR1の発現も、侵襲的表現型(すなわち、転移および高い増殖率、非特許文献11)と相関を示した。
【0006】
末端巨人症はゆっくりと進行する疾患であるが、成長ホルモンとIGF−Iの過剰な分泌によって引き起こされる(非特許文献12)。IGFR1機能に対する拮抗作用はこの疾患の治療に役立つ。
【0007】
IGFR1の活性を抑制するいくつかの抗体が従来技術で知られる。しかしながら、これらの抗体の治療価値は比較的低い。例えば、α−IR3(非特許文献13)、1H7(非特許文献14;非特許文献15;Santa Cruz biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)、および、MAB391(R&D Systems;Minneapolis,MN)は、IGFR1と相互作用を持ち、その活性を抑制するマウスモノクロナール抗体である。これらはマウスの抗体であるので、ヒトにおける治療的有効性は限定される。免疫応答性を持つヒト被験者に、ある用量のマウス抗体を投与すると、その被験者は、そのマウス免疫グロブリン配列に対して抗体を生産する。これらヒト抗マウス抗体(HAMA)は、治療抗体を中和し、そのために急性毒性(すなわち、HAMA反応)を誘発することがある。
【0008】
HAMA反応を回避する一つの方法は、外来の(例えば、マウスの)アミノ酸配列を全く持たない、完全ヒト抗体を使用することである。完全ヒト抗体の使用は、治療抗体に対するヒト宿主の免疫拒絶反応を下げるか、または阻止するための効果的方法ではあるが、完全ヒト抗体に対する拒絶反応が起こる可能性がある。ヒトの抗体に対するヒトの拒絶反応は、ヒトの、抗ヒト抗体反応(HAHA反応)と呼んでもよいかも知れない。HAHA反応は、いくつかの要因、例えば、完全ヒト抗体における稀な低頻度アミノ酸配列の出現によって仲介される。このため、治療抗体についても、非免疫原性またはごく僅かに免疫原性のヒト抗体フレーム配列を含めることによって最適化することが可能である。できれば、この配列は、他のヒト抗体にも高頻度に出現するものであることが好ましい。
【0009】
抗IGFR1抗体は、このレセプターの仲介する医学的病態(例えば、癌または末端巨人症)を治療するための効果的手段ではあるが、その治療の効力は、さらに1種以上の化学療法剤を用いることによって強化されると考えられる。例えば、抗IGFR1抗体を、第2の抗IGFR1抗体、または低分子量のIGFR1拮抗剤と結びつけて被験体に投与することも可能である。本発明は、何よりも先ず、そのような治療法、および、その治療法に使用される組成物を提供する。
【非特許文献1】Klapperら,「Endocrinol.」,1983年,第112巻,p.2215
【非特許文献2】Rinderknechtら,「Febs.Lett.」1978年,第89巻,p.283
【非特許文献3】Sepp−Lorenzino,「Breast Cancer Research and Treatment」1998年,第47巻,p.235
【非特許文献4】Butlerら,「Comparative Biochemistry and Physiology」1998年,第121巻,p.19
【非特許文献5】Chanら,「Science」1998年,第279巻,p.563
【非特許文献6】Pandiniら,「Cancer Res.」1999年,第5巻,p.1935
【非特許文献7】Websterら,「Cancer Res.」1996年,第56巻,p.2781
【非特許文献8】Pekonenら,「Cancer Res.」1998年,第48巻,p.1343
【非特許文献9】Weberら,「Cancer」2002年,第95巻,第10号,p.2086−95
【非特許文献10】Stellerら,「Cancer Res.」1996年,第56巻,p.1762
【非特許文献11】Xieら,「Cancer Res.」1999年,第59巻,p.3588
【非特許文献12】Ben−Schlomoら,「Endocrin.Metab.Clin.North.Am.」2001年,第30巻,p.565−583
【非特許文献13】Kullら,「J.Biol.Chem.」1983年,第258巻,p.6561
【非特許文献14】Liら,「Biochem.Biophys.Res.Comm.」1993年,第196巻,p.92−98
【非特許文献15】Xiongら,「Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.」1992年,第89巻,p.5356−5360
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、(a)1種以上の結合組成物、例えば、任意の抗IGFR1抗体、好ましくは単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体、好ましくは、(i)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、(ii)配列番号8によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される抗体を、(b)1種以上の化学療法剤、および、要すれば随意に薬学的に受容可能なキャリアを結びつけて含む組成物を提供する。
【0011】
一つの実施態様では、結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的モノクロナール抗体)は、配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、配列番号8によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列を含む。ある実施態様では、結合組成物は、成熟LCF(配列番号2のアミノ酸20〜128)を含む軽鎖免疫グロブリン、および成熟HCA(配列番号4のアミノ酸20〜137)を含む重鎖免疫グロブリンを含む。
【0012】
結合組成物は、2003年5月22日登録の米国特許出願第10/443,466号記載の、任意の結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的モノクロナール抗体)であってもよい。
【0013】
化学療法剤は、タキサン、トポイソメラーゼインヒビター、シグナル変換インヒビター、細胞周期インヒビター、IGF/IGFR1系モジュレーター、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビター、上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビター、HER2インヒビター、血管上皮増殖因子(VEGF)レセプターインヒビター、マイトゲン活性化タンパク(MAP)キナーゼインヒビター、MEKインヒビター、AKTインヒビター、mTORインヒビター、pI3キナーゼインヒビター、Rafインヒビター、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビター、微小管安定化因子、微小管インヒビター、SERM/抗エストロゲン、アロマターゼインヒビター、アントラサイクリン、プロテアソームインヒビター、インスリン様増殖因子(IGF)生産を抑制する因子、および/または、IGFR1、IGF−1,またはIGF2のアンチセンスインヒビター、から成る群から選択される1種以上のものであってよい。
【0014】
タキサンは、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルであってもよい。微小管インヒビターは、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ポドフィロトキシン、エポチロンB、BMS−247550、またはBMS−310705であってもよい。上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビターは、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、ABX−EGF、ラパタニブ、カネルチニブ、EKB−569、またはPKI−166であってもよい。ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターは、例えば、ロナファルニブ、またはチピファルニブ(R155777)であってもよい。選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)/抗エストロゲンは、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ピペンドキシフェン、アルゾキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン(TSE−424)、イドキシフェン、HMR−3339、およびZK−186619であってもよい。アントラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、またはエピルビシンであってもよい。HER2インヒビターは、例えば、トラスツズマブ、HKI−272,CP−724714、またはTAK−165であってもよい。トポイソメラーゼインヒビターは、例えば、エトポシド、トポテカン、カンプトテシン、またはイリノテカンであってもよい。
【0015】
一つの実施態様では、本発明は、(a)1種以上の結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体)であって、(i)配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖免疫グロブリン、および、配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖免疫グロブリンを含む結合組成物を、
【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

から選択される(b)1種以上の化学療法剤と結びつけて含む組み合わせを提供する。
【0018】
さらに本発明によって提供されるのは、被験体における医学的病態であって、インスリン様増殖因子レセプター−Iの発現または活性上昇によって仲介される病態を治療または予防する方法であって、(a)1種以上の結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体)、例えば、任意の抗IGFR1抗体、好ましくは、(i)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、(ii)配列番号8によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される抗体の治療有効量を、要すれば随意に(b)1種以上の化学療法剤の治療有効量と薬学的に受容可能なキャリアとを結びつけて含む組成物をその被験体に投与する(例えば、経口または非経口経路を通じて)工程を包含する方法である。本発明のある実施態様では、医学的病態は、治療有効量の、単離された任意の抗IGFR抗体、またはその抗原結合性断片のみによって治療される。
【0019】
一つの実施態様では、結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的モノクロナール抗体)は、配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖免疫グロブリン、および、配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖免疫グロブリンを含む。一つの実施態様では、化学療法剤は、
【0020】
【化9】

【0021】
【化10】

から成る群から選択される1種以上の薬剤である。
【0022】
一つの実施態様では、本発明の方法によって治療される医学的病態は、慢性関節リウマチ、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、末端巨人症、膀胱癌、ウィルムス腫、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドに関連する下痢、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍、巨人症、乾癬、アテローム硬化症、血管平滑筋再狭窄、および不適切な微小血管増殖から成る群から選択される。
【0023】
本発明のある実施態様は、被験体における医学的病態(例えば、慢性関節リウマチ、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、末端巨人症、膀胱癌、ウィルムス腫、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドに関連する下痢、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍、巨人症、乾癬、アテローム硬化症、血管平滑筋再狭窄、または不適切な微小血管増殖)を治療または予防する方法であって、(a)1種以上の結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体)であって、(i)配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖アミノ酸配列、および、配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖アミノ酸配列を含む組成物の治療有効量を、要すれば随意に(b)1種以上の化学療法剤であって、
【0024】
【化11】

から選択される薬剤の治療有効量とを結びつけて含む組み合わせをその被験体に投与する工程を包含する方法である。
【0025】
さらに本発明によって提供されるのは、任意の細胞(例えば、インビトロ細胞、またはインビボ細胞(例えば、被験体の体内の))、例えば、悪性細胞であって、NCI−H322細胞、A2780細胞、MCF7細胞、非小細胞上皮癌肺癌細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、前立腺癌細胞、小児癌または膵臓癌細胞を含む(ただし、これらに限定されない)悪性細胞の成長または増殖を抑制する方法であって、前記細胞を、(a)1種以上の結合組成物、例えば、任意の抗IGFR1単離抗体、好ましくは単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体、好ましくは、(i)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、(ii)配列番号8によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される抗体を含む組成物を、(b)1種以上の化学療法剤、および、要すれば随意に薬学的に受容可能なキャリアを結びつけて含む組み合わせに接触させる工程を包含する方法である。一つの実施態様では、結合組成物は、配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖免疫グロブリン、および、配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖免疫グロブリンを含む。一つの実施態様では、化学療法剤は、
【0026】
【化12】

【0027】
【化13】

から成る群から選択される1種以上の薬剤である。
【0028】
本発明はまた、(a)1種以上の結合組成物(例えば、単離された完全にヒト的モノクロナール抗体)であって、配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、および、配列番号8または12によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される配列を含む組成物を、(b)1種以上の化学療法剤と結びつけて含むキットを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、高レベルのIGFR1発現、リ癌ド結合、または活性、または、高レベルのIGF−1またはIGF−2によって特徴づけられる医学的病態、例えば、癌を治療するための組み合わせおよび方法を提供する。前記医学的病態を治療するために使用することが可能な、本発明の組み合わせは、1種以上の化学療法剤と連結した、1種以上の抗IGFR1抗体(例えば、単離された完全にヒト的なモノクロナール抗体)を含む。
【0030】
本発明の組み合わせは、結合組成物成分と、化学療法剤成分とを互いに連結させたものを含む。「連結」という用語は、本発明の組み合わせの成分同士は、同時送達のために単一組成物として処方されてもよいし、または、別々に2種以上の組成物(例えば、キット)として処方されてもよいことを示す。さらに、本発明の組み合わせの各成分は、他の成分が投与されたのとは別の時間に被験体に投与されてもよい。例えば、各投与は、ある一定期間において、いくつかの間隔を置いて非同時的に投与されてもよい。さらに、別々の成分同士は、同一経路、または別経路(例えば、経口的、静脈内、腫瘍内)を通じて被験体に投与されてもよい。
【0031】
本発明の組成物は、IGFR1、IGF−1、および/またはIGF−2によって仲介される疾患を治療するのに特に有効な手段を提供する。本発明の結合組成物と化学療法剤(単数または複数)両方の治療効力は、両者を連結させて投与した場合、いずれか単独の場合よりもはるかに優れる。
【0032】
本発明は、下記の表1に記載される、核酸またはポリペプチド(その成熟断片を含む)から選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8種)の任意のものを含む、任意の単離核酸または単離ポリペプチド(例えば、単離された完全にヒト的モノクロナール抗体)を含む。
【0033】
(表1.本発明のアミノ酸およびヌクレオチド配列の要約)
【0034】
【化14】

(分子生物学)
本発明によれば、従来技術に熟練範囲内における、通例の分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術を用いてもよい。このような技術は、参考文献において十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York (本書における「Sambrookら,1989」を参照);DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover et.1985);Olygonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985));Transcription And Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984));Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)。
【0035】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「核酸分子」は、単一鎖形、二重鎖形、またはその他の形態における、リボヌクレオシド(アデニン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン、「RNA分子」)、または、デオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン、「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形、または、その任意のリン酸エステル類縁体、例えば、フォスフォロチオエートおよびチオエステルを指す。
【0036】
「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」、または「ヌクレオチド配列」とは、核酸、例えば、DNAまたはRNAにおける、一連のヌクレオチド塩基(また「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、2個以上のヌクレオチドから成る任意の鎖を意味する。
【0037】
「コード配列」または、発現産物、例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク、または酵素を「コード」する配列は、発現した場合、その産物の生産をもたらすヌクレオチド配列である。
【0038】
「遺伝子」という用語は、1種以上のRNA分子、タンパク、または酵素の全てまたは一部を含む、リボヌクレオチドまたはアミノ酸の特定配列をコードする、またはその特定配列に一致するDNA配列を意味し、調節DNA配列、例えば、遺伝子の発現される条件を決めるプロモータ配列を含んでもよいし、含まなくともよい。遺伝子はDNAからRNAに転写されるが、RNAは、アミノ酸配列に翻訳されてもよいし、されなくともよい。
【0039】
本明細書に使用されるDNAの「増幅」とは、複数のDNA配列の混合物の中である特定のDNA配列の濃度を増すために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることを指す。PCRの説明については、Saikiら,Science(1988)を参照されたい。ある特定の実施態様では、本発明は、PCRによって増幅することが可能な、抗IGFR1抗体、抗IGFR1抗体の重鎖または軽鎖、抗IGFR1抗体の重鎖または軽鎖可変領域、抗IGFR1抗体の重鎖または軽鎖定常領域、抗IGFR1抗体のCDR(例えば、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、またはCDR−H3)をコードする核酸を含む。
【0040】
本明細書で用いる用語「オリゴヌクレオチド」は、ゲノムDNA分子、cDNA分子、遺伝子をコードするmRNA分子、mRNA、cDNA,または、その他の興味の核酸にハイブリダイズすることが可能な、一般に、少なくとも10個の(例えば、10、11、12、13、または14)、好ましくは少なくとも15個の(例えば、15、16、17、18、または19)、さらに好ましくは少なくとも20ヌクレオチド(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)、好ましくは100ヌクレオチド未満(例えば、40、50、60、70、80、または90)の核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、例えば、32P−ヌクレオチド、H−ヌクレオチド、14C−ヌクレオチド、35S−ヌクレオチド、または、ビオチンのような標識を共有的に接合させたヌクレオチドを取り込ませることによって標識することが可能である。一つの実施態様では、ある核酸の存在を検出するために、標識オリゴヌクレオチドをプローブとして使用することが可能である。別の実施態様では、複数のオリゴヌクレオチド(一方、または両方が標識される)をPCRプライマーとして用い、遺伝子の全長またはその断片をクローニングするのに、あるいは、核酸の存在を検出するのに用いることが可能である。一般に、オリゴヌクレオチドは、合成的に、好ましくは、核酸合成器において調製される。
【0041】
任意の核酸(例えば、IGFR1遺伝子、あるいは、抗IGFR1抗体、またはその断片またはその一部をコードする核酸)の配列は、従来技術で既知の任意の技術(例えば、化学的配列決定法または酵素的配列決定法)によって決定することが可能である。DNAの「化学的配列決定法」とは、例えば、Maxam and Gilbert(1977)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:560)の方法であって、個別の塩基特異的反応を用いてDNAをランダムに分断する方法を指す。DNAの「酵素的配列決定法」とは、例えば、Sanger(Sangerら,(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:5463)の方法を指す。
【0042】
本明細書で用いる核酸は、天然の調節(発現調節)配列によって挟まれてもよいし、異種配列、例えば、プロモータ、内部的リボソーム開始部位(IRES)およびその他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、反応要素、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’−、および3’−非コード領域等を含む異種配列と連結してもよい。
【0043】
「プロモータ」または「プロモータ配列」とは、細胞中のRNAポリメラーゼと結合し(例えば、直接に、あるいは、他のプロモータ結合タンパクまたは物質を介して)、コード配列(例えば、LCFまたはHCA)の転写を誘発することが可能なDNA調節領域である。プロモータ配列は、一般に、その3’末端において転写開始部位によって境界を定められ、上流(5’方向)に延び、任意のレベルで転写を開始するのに必要な最小限の塩基または要素を含む。プロモータ配列の中に、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1でマップすることによって好適に定義される)と共に、RNAポリメラーゼの結合に与るタンパク結合ドメイン(共通配列)が認められることがある。プロモータは、エンハンサーおよびリプレッサー配列を含む他の発現調節配列、または本発明の核酸と動作的に連結してもよい。遺伝子発現を調節するのに使用が可能なプロモータとしては、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータ(米国特許第5,385,839および5,168,062号)、SV40早期プロモータ領域(Benoistら,(1981)Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウィルスの3’末端の長い反復配列に含まれるプロモータ(Yamamotoら,(1980)Cell 22:787−797)、ヘルペスのチミジンキナーゼプロモータ(Wagnerら,(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,(1982)Nature 296:39−42)、前核細胞発現ベクター、例えば、β−ラクタマーゼプロモータ(Villa−Komaroff,etal.,(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727−3731)、またはtacプロモータ(DeBoerら,(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25)が挙げられる。さらに、「組み換え細菌から得られる有用タンパク」Scientific American(1980)242:74−94を参照されたい。さらに、酵母またはその他の菌類由来のプロモータ要素、例えば、Gal 4プロモータ、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモータ、PGK(フォスフォグリセロールキナーゼ)プロモータ、またはアルカリフォスファターゼプロモータが挙げられる。
【0044】
コード配列が、細胞中の転写および翻訳調節配列の「調節下にある」、「機能的に連結する」、または、「動作的に転結する」場合、それらの調節配列は、RNAポリメラーゼ介在性転写を指示して、コード配列をRNAに、好ましくはmRNAに変換し、次にこれがトランスRNAスプライシングを受け(イントロンを含む場合)、要すれば随意に、そのコード配列によってコードされるタンパクに翻訳される。
【0045】
「発現する」および「発現」という用語は、遺伝子、RNAまたはDNA配列における情報を顕在化させておくか、または顕在化させること、例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に与る細胞機能を活性化することによってタンパクを生産することを意味する。DNA配列は、細胞において、または、細胞によって発現されると、「発現産物」、例えば、RNA(例えば、mRNA)、またはタンパクを形成する。この発現産物そのものが、細胞によって「発現される」と言ってもよい。
【0046】
「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」という用語は、DNAまたはRNA配列を宿主細胞に導入し、そうすることによって宿主を形質転換し、要すれば随意に、その導入された配列の発現および/または複製を促進することを可能とするキャリアを意味する。
【0047】
「トランスフェクション」または「形質転換」という用語は、核酸の細胞への導入を意味する。これらの用語は、抗IGFR1抗体またはその断片をコードする核酸の細胞への導入を指してもよい。導入された遺伝子または配列は「クローン」と呼んでもよい。導入されたDNAまたはRNAを受容した宿主細胞は、「形質転換されて」おり、「形質転換体」または「クローン」となる。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、任意の起源、例えば、宿主と同じ属または種の細胞、あるいは異なる属または種の細胞を含む起源由来のものであってもよい。
【0048】
「宿主細胞」という用語は、その細胞によって物質が生産されるように、例えば、細胞によって遺伝子、DNAまたはRNA配列、タンパク、あるいは酵素が発現または複製されるように、何らかのやり方で、選択されるか、修飾されるか、トランスフェクトされるか、形質転換されるか、増殖されるか、または使用される、任意の生物の任意の細胞を意味する。
【0049】
「発現システム」という用語は、宿主細胞と適合的ベクターであって、適当な条件下で、ベクターによって搬送され、宿主細胞に導入された、タンパクまたは核酸を発現することが可能な細胞とベクターを意味する。一般的な発現システムは、大腸菌(E.coli)宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウィルスベクター、および哺乳類宿主細胞とベクターを含む。ある特定の実施態様では、IGFR1、または、本発明の抗体および抗原結合性断片が、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293)において発現される。その他の好適な細胞としては、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HeLa細胞とNIH 3T3細胞、およびNSO細胞(Ig非生産性マウス骨髄細胞系統)が挙げられる。本発明の抗体または抗原結合性断片、sIGFR1(下記参照)、またはIGFR1をコードする核酸は、米国特許第4,952,496、5,693,489、および5,869,320号、および、Davanloo,P.ら,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,2035−2039;Studier,F.W.ら,(1986)J.Mol.Biol.189:113−130;Rosenberg,A.H.ら,(1987)Gene 56:125−135;Dunn,J.J.ら,(1988)Gene 68:259に開示されるE.coli/T7発現システムにおいて高レベルで発現される。なお、上記文献を参照することにより本明細書に含める。
【0050】
本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合性断片に相当する、アミノ酸または核酸配列に対し、表面修飾したものも、または僅かな修飾を施したものも、全て含む。特に、本発明は、本発明の抗体または抗原結合性断片をコードする核酸の配列保存性変異種を含む。ポリヌクレオチド配列の「配列保存性変異種」とは、任意のコドンにおける1個以上のヌクレオチドが変化しているが、その位置においてコードされるアミノ酸には変化をもたらさないものである。本発明の抗体の、機能保存性変異種も、本発明に含まれる。「機能保存性変異種」とは、タンパクまたは酵素において、1個以上のアミノ酸残基が、そのポリペプチドの全体的立体配座および機能を変えることなく変化しているもので、例えば、あるアミノ酸が類似の性質を持つ別物によって置換された変異種であるが、ただし、それらに限定されるものではない。類似の性質を持つ複数のアミノ酸は従来技術でよく知られている。例えば、互いに交換が可能な極性/親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、トレオニン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸が挙げられ、互いに交換が可能な非極性/疎水性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられ、互いに交換が可能な酸性アミノ酸としてはアスパラギン酸とグルタミン酸が、互いに交換が可能な塩基性アミノ酸としてはヒスチジン、リシン、およびアルギニンが挙げられる。
【0051】
本発明は、表1に記載される核酸のほか、それに対してハイブリダイズする核酸によってコードされる抗IGFR1抗体、およびその断片を含む。核酸は、低ストリンジェンシー条件下にハイブリダイズすることが好ましく、より好ましくは中程度のストリンジェンシー条件下、もっとも好ましくは高ストリンジェンシー条件下にハイブリダイズし、IGFR1結合活性を表すことが好ましい。核酸分子は、別の核酸分子、例えば、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAに対し、その核酸分子の1本鎖形が、他方の核酸分子に対し、適当な温度および溶液イオン強度条件下でアニールすることが可能な場合(Sambrook等、上記参照)、「ハイブリダイズ可能」である。温度および溶液イオン強度条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決める。典型的な低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件としては、55℃、5× SSC、0.1%SDSおよびフォルムアミド無し、または、30%フォルムアミド、5× SSC、0.5% SDS、42℃が挙げられる。典型的な、中等ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが、40%フォルムアミド中で、42℃において5×または6× SSCを用いて行われることを除いては、低ストリンジェンシー条件と近似する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが、50%フォルムアミド中で、42℃、または要すれば随意により高温(例えば、57℃、59℃、60℃、62℃、63℃、65℃、または68℃)において5Xまたは6× SSCを用いて行われることを除いては、低ストリンジェンシー条件と近似する。一般に、SSCは、0.15M NaClおよび0.015M クエン酸ナトリウムである。ハイブリダイゼーションは、二つの核酸が相補的配列を含むことを要求するが、ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては、塩基間のミスマッチも可能である。核酸同士をハイブリダイズさせるための適切なストリンジェンシーは、従来技術でよく知られた変数である、核酸の長さと相補性の程度に依存する。二つの核酸配列間の、近似性または相同性の程度が大きければ大きいほど、核酸同士がハイブリダイズする可能性のあるストリンジェンシーは高くなる。長さが100ヌクレオチド長を超えるハイブリッドに関しては、融解温度を計算するための方程式が誘導されている(Sambrook等、上記、9.50−9.51を参照)。それよりも短い核酸、すなわち、オリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションの場合、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さはその特異性を決める(Sambrook等、上記、11.7−11.8を参照)。
【0052】
本発明にさらに含められるのは、ヌクレオチド配列を含む核酸、およびアミノ酸配列を含むポリペプチドである。いずれも、表1の参照ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の各参照配列の全長に対し、BLASTアルゴリスムを用いて比較し、各配列間におけるマッチが最大となるようにアルゴリスムのパラメータを選択した場合、少なくとも約70%が相同、好ましくは少なくとも約80%が相同、さらに好ましくは少なくとも約90%が相同、もっとも好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)相同である。本発明にさらに含められるのは表1の参照アミノ酸配列に近似するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。表1の参照アミノ酸配列の任意の配列について、参照配列の全長に対し、各配列間におけるマッチが最大となるように、BLASTアルゴリスムを用いて比較し、アルゴリスムのパラメータを選択して行った場合、少なくとも約70%の近似、好ましくは少なくとも約80%の近似、さらに好ましくは少なくとも約90%の近似、もっとも好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)の近似である。
【0053】
配列同一性とは、比較される二つの配列のヌクレオチドまたはアミノ酸の間に見られる厳密なマッチを指す。配列近似性とは、比較される二つのポリペプチドのアミノ酸同士の間に見られる厳密なマッチの他に、同一ではないが、生化学的に関連するアミノ酸同士の間のマッチを指す。近似の性質を分かち持つ生化学的に関連するアミノ酸は、前述のように互いに交換することが可能である。
【0054】
BLASTアルゴリスムに関する下記の参考文献を引用することにより本明細書に含める。BLASTアルゴリスム:Altschul,S.F.ら,(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;Gish,W.ら,(1993)Nature Genet.3:266−274;Madden,T.L.ら,(1996)Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul,S.F.ら,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Zhang,J.ら,(1997)Genome Res.7:649−656;Wootton,J.C.ら,(1993)Comput.Chem.17:149−163;Hancock,J.M.ら,(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67−70;アラインメント評点システム:Dayhoff,M.O.ら,「A model of evolutionary change in proteins.」 in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345−352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washinton,DC;Schwartz,R.M.ら,「Matrices for detecting distant relationships.」in Atlas of Protein Science and Structure,(1978)vol5,suppl.3.「M.O.Dayhoff(ed.),pp.353−358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,(1991)J.Mol.Biol.219:555−565;States,D.J.ら,(1991)Methods 3:66−70;Henikoff,S.ら,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915−10919;Altschul,S.F.ら,(1993)J.Mol.Evol.36:290−300;アラインメント統計学:Karlin,S.ら,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:2264−2268;Karlin,S.ら,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873−5877;Dembo,A.ら,(1994)Ann.Prob.22:2022−2039;Altschul,S.F.,「Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments,」 in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),(1997)pp.1−14,Plenum,New York.
(抗体構造)
一般に、抗体の基本的構造単位はテトラマーを含むことが知られている。各テトラマーは、ポリペプチド鎖から成る2個の同一ペアであって、各ペアは、1本の「軽」鎖(約25kDa)と1本の「重」鎖(約50−70kDa)を有するペアを含む。各鎖のアミノ末端部は、主に抗原認識に与る、約100から110、またはそれ以上のアミノ酸から成る可変領域を含む。各鎖のカルボキシル末端部は、主にエフェクター機能に与る定常領域を定める。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖と分類される。さらに、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、癌マ、アルファ、またはイプシロンと分類され、それぞれ、抗体異性体IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEを定める。軽鎖と重鎖の内部では、可変および定常領域が、約12個以上のアミノ酸から成る「J」領域によって接合され、重鎖はさらに、約10個以上のアミノ酸から成る「D」領域を含む。概説については、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい(参照することによりその全体を全ての目的のために本明細書に含める)。
【0055】
各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体の結合部位を定める。従って、一般に、天然そのままのIgG抗体は、二つの結合部位を持つ。二重機能性、または二重特異的抗体を除いては、この二つの結合部位は一般に同じである。
【0056】
通常、これらの鎖は全て、比較的保存された枠組み構造領域(FR)が、3個の超可変領域、あるいはまた相補性決定領域とも呼ばれる領域によって接合される、同じ一般的構造を示す。各ペアの2本鎖によるCDRは、通常枠組み構造領域と整列し、これによって、ある特異的エピトープに結合することが可能となる。一般に、N末端からC末端へ、軽鎖と重鎖は、共に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4のドメインを含む。各ドメインに対するアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabatら,National Institutes of Health,Bestheda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91−3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1−75;Kabatら,(1977)J.Biol.Chem.252:6609−6616;Chothiaら,(1987)J.Mol.Biol.196:901−917or Chothiaら,(1989)Nature342:878−883の定義に従う。
【0057】
(結合組成物)
本発明の組み合わせの結合組成物は、IGFR1に対して特異的に結合する任意の組成物を含む。結合組成物または薬剤とは、IGFR1に対して特異性をもって、例えば、リ癌ドレセプター型のやり方で、または抗体抗原相互作用によって、例えば、IGFR1に特異的に連結するタンパク、例えば、天然の生理的に関連するタンパク・タンパクによる、共有的か、非共有的かいずれかの相互作用によって結合する分子を指す。「結合組成物」という用語は、小型の有機分子、核酸およびポリペプチド、例えば、完全な抗体(好ましくは、単離されたヒトモノクロナール抗体)、または、本発明の抗原結合性断片(例えば、上記表1に記載される、抗体19D12/15H12、抗体19D12/15H12LCF/HCA、または任意のペプチド)を含む。
【0058】
抗体およびその抗原結合性断片としては、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、二重特異的抗体、Fab抗体断片、F(ab)抗体断片、Fv抗体断片(例えば、VまたはV)、単一鎖Fv抗体断片、およびdsFv抗体断片を含むが、ただしそれらに限定されない。さらに、本発明の抗体は、完全にヒトの抗体であってもよく、あるいは、キメラ抗体であってもよい。
【0059】
本発明の組み合わせは、2003年5月22日登録の米国特許出願第10/443,466号およびWO03/100008に記載される、任意の抗体または、その抗体結合性断片、あるいは、その抗体、またはその抗原結合性断片をコードする任意のポリヌクレオチドを含む。抗体分子は、単離された、完全なヒトのモノクロナール抗体であることが好ましい。本発明の抗体は、配列番号5−10のいずれかに記載されるアミノ酸配列の1種以上を含むことが好ましく、6種のCDR全てを含むことがさらに好ましい。本発明の抗体は、成熟19D12/15H12重鎖A(HCA)(配列番号4を参照)とペアを形成する成熟19D12/15H12軽鎖F(LCF)(配列番号2を参照)を含むことが好ましい(例えば、完全にヒトのモノクロナール抗体19D12/15H12LCF/HCA)。
【0060】
好ましい抗体鎖のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を下記に示す。点線下線部はシグナルペプチドを示す。実線下線部はCDRを示す。線で装飾されていない部分は枠組み構造領域を示す。一つの実施態様では、抗体鎖は、シグナルペプチドを欠く成熟断片である。
【0061】
19D12/15H12軽鎖−F(LCF;配列番号1)
【0062】
【化15】

(配列番号2)
【0063】
【化16】

19D12/15H12重鎖−A(HCA;配列番号3)
【0064】
【化17】

(配列番号4)
【0065】
【化18】

15H12/19D12LCF(κ)(配列番号1と2に記載される可変流域配列)、15H12/19D12HCA(γ4)(配列番号3と4に記載される可変領域配列)、15H12/19D12HCA(γ1)配列番号3と4に記載される可変領域配列)に動作的に連結するCMVプロモータを含む3種類のプラスミドが、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC);10801 University Boulevard;Manassas,Virginia20110−2209に2003年5月21日寄託された。これらのプラスミドに関する寄託名およびATCCアクセス番号は下記に記載される。
CMVプロモータ15H12/19D12 HCA(γ4)−
寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ4)」
ATCCアクセス番号:PTA−5214
CMVプロモータ−15H12/19D12 HCA(γ1)−
寄託名:「15H12/19D12 HCA(γ4)」
ATCCアクセス番号:PTA−5216
CMVプロモータ−15H12/19D12 LCF(κ)−
寄託名:「15H12/19D12 LCF(κ)」
ATCCアクセス番号:PTA−5220。
【0066】
ATCCに寄託されたプラスミドのアクセスに対する制限は全て、特許承認時に取り下げられる。
【0067】
上に挙げたプラスミドはそれぞれ、本発明の一部を構成する。さらに、各発現カセットの内部に配される核酸は、その中の免疫グロブリン可変領域と共に、その成熟した、処理バージョン(すなわち、シグナル配列を欠如するもの)と共に、特に、配列番号3の成熟HCA(配列番号3のヌクレオチド58−411)、配列番号1、すなわち成熟LCF(配列番号1のヌクレオチド58−384)と共に、要すれば任意に、免疫グロブリン定常領域を含めて、本発明の一部である。さらに、これらのコードされたポリペプチドの内の一つを含む任意の抗体、またはその一部も本発明の一部である。
【0068】
本発明の範囲は、任意の免疫グロブリン定常領域に連結された、本発明の抗体可変領域(例えば、表1に示される成熟または処理の各可変領域)を含む。軽鎖可変領域が定常領域に連結される場合、それはκ鎖であることが好ましい。重鎖可変領域が定常領域に連結される場合、それは、γ1、γ2、γ3、またはγ4定常領域であることが好ましく、γ1、γ2、またはγ4であることがより好ましく、γ1またはγ4であることがさらに好ましい。
【0069】
本発明の抗IGFR1抗体分子は、できればヒトのIGFR1、できればヒトIGFR1の可溶性断片(すなわち、sIGFR1)、例えば、アミノ酸30−902すなわち配列番号11を認識することが好ましい。一方、本発明は、様々な生物種、好ましくは哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、またはイヌ)由来のIGFR1を認識する抗体分子を含む。
【0070】
本発明はまた、IGFR1またはその任意の断片(例えば、sIGFR1、例えば、配列番号11のアミノ酸30−902)と複合体を形成するか、あるいはIGFR1またはその任意の一部または断片を細胞表面に発現する任意の細胞(例えば、ヒトIGFR1によって安定的に形質転換されるHEK293細胞、あるいは、MCF7によって形質転換される細胞(例えば、ATCC細胞系統番号HTB−22)と複合体を形成する抗IGFR1抗体(例えば、LCF/HCA)またはその抗原結合性断片を含む。このような複合体は、抗体または抗体断片を、IGFR1またはIGFR1断片と接触させることによって作製される。
【0071】
ある好ましい実施態様では、IGFR1に向けられた完全にヒト的モノクロナール抗体は、マウス免疫系ではなく、ヒト免疫系の一部を担うトランスジェニックマウスを用いて生成される。このようなトランスジェニックマウスは、本明細書では「HuMAb」マウスと呼ぶことにするが、μおよびκ鎖座位を非活性化する標的突然変異をもち、再編成されていないヒトの重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒトの免疫グロブリン遺伝子ミニ座位を含む(Longberg,N.ら,(1994)Nature 368(6474):856−859)。従って、このマウスにおいて、マウスIgMまたはκの発現が抑えられるが、免疫化に対する反応において、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランス遺伝子はクラススイッチと体細胞突然変異を受け、高親和度を持つヒトIgGκモノクロナール抗体を生成する(Lonberg,N.ら,(1994)上記;総覧としてLonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101;Lonberg,N.ら,(1995)Intern.Rev.Immunol.13:65−93;Harding,F.ら,(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546)。HuMabマウスの調製法は従来技術で普通に知られており、例えば、Taylor,L.ら,(1992)Nucleic Acids Research 20:6287−6295;Chen,J.ら,(1993)International Immunology5:647−656;Tuaillonら,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3720−3724;Choiら,(1993)Nature Genetics4:117−123;Chen,J.et al.,(1993)EMBO J.12:821−830;Tuaillonら,(1994)J.Immunol.152:2912−2920;Lonbergら,(1994)Nature368(6474):856−859;Lonberg,N.(1994)Handbook of Experimental Pharmacology113:49−101;Taylor,L.ら,(1994)Inernational Immunology6:579−591;Lonberg,N.ら,(1995)Intern.Rev.Immunol.Vol.13:65−93;Harding,F.ら,(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546;Fishwild,D.ら,(1996)Nature Biotechnology14:845−851;Hardingら,(1995)Annals NY Acad.Sci.764:536−546に記載されている。これらの文献全ての内容をここに引用することによりその全体を本明細書に含める。さらに、米国特許第5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,789,650;5,877,397;5,661,016;5,814,318;5,874,299;5,770,429;および5,545,807号、および国際特許出願公報WO98/24884;WO94/25585;WO93/12227;WO92/22645、およびWO92/03918を参照されたい。これらの文献全ての開示をここに引用することによりその全体を本明細書に含める。
【0072】
IGFR1に対する、完全にヒト的モノクロナール抗体を生産するために、HuMabマウスを、Lonberg,N.ら,(1994)Nature368(6474):856−859;Fishwild,D.ら,(1996)Nature Biotechnology14:845−851、およびWO98/24884に記載するやり方に従って、抗原となるIGFR1ポリペプチド、好ましくは、配列番号11のアミノ酸によって免疫化される。最初の免疫化時点で、マウスは6−16週齢であることが好ましい。例えば、IGFR1またはsIGFR1の精製標本を腹腔内に注入してHuMabマウスを免疫化する。また、マウスは、IGFR1遺伝子によって安定にトランスフェクトされたHEK293細胞によって免疫化することも可能である。「抗原性IGFR1ポリペプチド」とは、好ましくはHuMabマウスにおいて抗IGFR1免疫反応を惹起するIGFR1ポリペプチドまたはその任意の断片、好ましくは配列番号11のアミノ酸30−902を指す。
【0073】
一般に、HuMabトランスジェニックマウスは、最初、フロインドの完全アジュバントに溶解した抗原を腹腔注入(IP)して免疫化し、その後1週間おきに、フロインドの不完全アジュバントに溶解した抗原でIP免疫化(通常、最大合計6回まで)した場合に、よく反応する。マウスは、先ず、IGFR1を発現する細胞(例えば、安定にトランスフェクトされたHEK293細胞)で免疫化し、次にIGFR1の可溶性断片(例えば、配列番号11のアミノ酸30−902)で免疫化し、続けて、この二つの抗原による免疫化を交互に受容させて免疫化することが可能である。免疫反応は、免疫化プロトコールの過程において、眼球後部出血によって得られる血漿サンプルを用いて監視することが可能である。血漿は、例えば、ELISAによって、抗IGFR1抗体の有無についてスクリーニングを行い、十分な免疫グロブリン抗体価を持つマウスを融合反応に使用する。マウスは、屠殺・脾臓除去の3日前に抗原を静注することによって追加免疫することが可能である。各抗原について2−3回の融合の実施が必要とされることが予想される。各抗原について数匹のマウスが免疫化される。例えば、HC07およびHC012株の合計12匹のHuMabマウスが免疫化される。
【0074】
完全ヒト抗IGFR1モノクロナール抗体を生産するハイブリドーマ細胞は、従来技術において一般的に既知の方法によって生産される。このような方法としては、最初にKohler等(1975)(Nature256:495−497)によって開発されたハイブリドーマ技術を始め、トリオーマ技術(Heringら,(1988)Biomed.Biochem.Acta.47:211−216;Hagiwaraら,(1993)Hum.Antibod.Hybridomas4:15)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,(1983)Immunology Today4:72;Coteら,(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2026−2030)、および、EBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96,1985)が挙げられる。標準プロトコールに基づいて、マウス脾臓細胞を単離し、PEGによってマウス骨髄細胞系統に融合するのが好ましい。次に、得られたハイブリドーマは、抗原特異的抗体の生産性についてスクリーニングされる。例えば、免疫化マウスから得られた脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%PEGによって、1倍から6分の1倍数のP3X63−Ag8.653非分泌性マウス骨髄細胞(ATCC、CRL1580)に融合させる。細胞は、平底マイクロタイタープレートにおいて約2x10細胞/mLとなるようにプレートし、次に、20%胎児クローン血清、18%「653」条件培養液、5%オリゲン(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50単位/mlのペニシリン、50mg/mlのストレプトマイシン、50mg/mlのゲンタマイシン、および1× HAT(Sigma、HATは融合の24時間後に添加)において2週間インキュベートする。2週間後、細胞を、HATをHTと置換した培養液中で培養する。次に、個々の細胞を、ELISAによって、ヒトの抗IGFR1モノクロナールIgG抗体の有無についてスクリーニングする。一旦広範なハイブリドーマ増殖が得られたならば、通常、培養液は10−14日後に観察される。この抗体分泌ハイブリドーマを再度プレートし、またスクリーニングを行い、依然としてヒトのIgGについて陽性であるならば、この抗IGFR1モノクロナール抗体を、少なくとも2回限定希釈によってサブクローンする。次に、安定なサブクローンをインビトロで培養し、組織培養液において少量の抗体を生成し、その特徴を解明する。
【0075】
本発明の抗IGFR1抗体、およびその抗原結合性断片はまた、組み換え法(例えば、前述のE.coli/T7発現システム)によって生産することも可能である。この実施態様では、本発明の抗体分子(例えば、VまたはV)をコードする核酸を、pET系プラスミドに導入し、E.coli/T7システムにおいて発現させる。組み換え抗体を生産するための方法は従来技術でいくつかが知られる。抗体の組み換え生産法の一つの例が、米国特許第4,816,567号に開示される。なお、この文献を引用によって本明細書に含める。形質転換は、宿主にポリヌクレオチドを導入するための任意の既知の方法によって実行することが可能である。異種ポリヌクレオチドを哺乳類細胞に導入するための方法は従来技術でよく知られており、例えば、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソームによるポリヌクレオチド(単複)の封入、パーティクル癌注入、および核に対するDNAの直接のマイクロインジェクションが挙げられる。さらに、核酸分子は、ウィルスベクターによって哺乳類細胞に導入されてもよい。細胞を形質転換する方法は従来技術でよく知られる。例えば、米国特許第4,399,216、4,912,040、4,740,461、および4,959,455号を参照されたい。
【0076】
抗IGFR1抗体はまた、米国特許第6,331,415号に記載される方法の内のいずれかを用いて合成することが可能である。
【0077】
発現用の宿主として利用が可能な哺乳類細胞系統は、従来技術でよく知られており、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手される多くの恒久的細胞系統を含む。そのような細胞系統としては、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、乳児ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、3T3細胞、HEK−293細胞、および他のいくつかの細胞系統が挙げられる。哺乳類宿主細胞としては、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ウシ、ウマ、およびハムスター細胞が挙げられる。特に好ましい細胞系統は、どの細胞系統が高い発現レベルを持つかを決めることを通じて選択される。使用が可能と思われるその他の細胞系統としては、Sf9細胞のような昆虫細胞系統、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞、および真菌細胞が挙げられる。重鎖、またはその抗原結合部、軽鎖および/またはその抗原結合部をコードする組み換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞に導入されると、その宿主細胞において抗体の発現が可能となるほどに、あるいは、さらに好ましくは、抗体が、宿主細胞の培養される培養液中に分泌されるのに十分な時間をかけて宿主細胞を培養することによって抗体が生産される。
【0078】
抗体は、標準のタンパク精製法を用いて培養液から回収することが可能である。さらに、生産細胞系統による本発明の抗体(または、抗体由来のその他の機能成分)の発現は、いくつかの既知の技術を用いて強調することが可能である。例えば、グルタミンシンターゼ遺伝子発現システム(GSシステム)は、ある条件下における発現を強調するための一般的方法である。GSシステムについては、その全体または一部が、欧州特許第0216846、0256055、および03233997号、および欧州特許出願第89303964.4号に関連して議論されている。
【0079】
様々な細胞系統、またはトランスジェニック動物において発現される抗体は、互いに異なるグリコシル化を受ける可能性が高い。しかしながら、本明細書に提供される核酸分子によってコードされる抗体、あるいは、本明細書において提供されるアミノ酸配列を含む抗体は全て、その抗体のグリコシル化の如何に関わらず、本発明の一部である。
【0080】
本明細書で用いる「モノクロナール抗体」という用語は、実質的に均等な抗体集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団を為す個別の抗体は、ごく少量存在する可能性のある、天然に発生する可能性のある突然変異を除いては同一である。モノクロナール抗体はきわめて特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。モノクロナール抗体は、事実上他の免疫グロブリンによって汚染されることなく、ハイブリドーマ培養体によって合成される点で有利である。形容詞「モノクロナール」という言葉は、抗体が、実質的に均一な抗体集団の中に存在するという特徴を示しているだけであって、何かの特定の方法によって抗体が生産されることを要求するものと考えてはならない。前述のように、本発明に従って使用されるモノクロナール抗体は、最初にKohler等(1975)Nature256:495によって記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよい。
【0081】
ポリクロナール抗体は、1種以上の、他の、同一ではない抗体の中に、または、その存在下に生産された抗体である。一般に、ポリクロナール抗体は、同一ではない抗体を生産する他のいくつかのBリンパ球の存在下に、Bリンパ球によって生産される。通常、ポリクロナール抗体は、直接免疫化された動物から得られる。
【0082】
二重特異性または二重機能性抗体は、二つの異なる重鎖/軽鎖ペア、および二つの異なる結合部位を持つ人工的ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、様々の方法、例えば、ハイブリドーマの融合、または、Fab’断片の融合を含む方法によって生産することが可能である。例えば、Songsivilaiら,(1990)Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelnyら,(1992)J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。さらに、二重特異性抗体は、「ダイアボディー」(Holligerら,(1993)PNAS USA90:6444−6448)、または、「ヤヌシン」(Trauneckerら,(1991)EMBO J.10:3655−3659;Trauneckerら,(1992)Int.J.Cancer Suppl.7:51−52)として形成されてもよい。
【0083】
「完全なヒト抗体」という用語は、ヒトの免疫グロブリンタンパク配列のみを含む抗体を指す。完全なヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、またはマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて生産された場合、マウスの炭水化物鎖含んでもよい。同様に、「マウス抗体」とは、マウスの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0084】
本発明は、「キメラ抗体」、すなわち、本発明の可変領域が、他の、非ヒト生物種(例えば、マウス、ウマ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリ)由来の抗体領域(例えば、定常領域)と融合、またはキメラ形成する抗体を含む。これらの抗体を用いて、非ヒト生物種におけるIGFR1の発現または活性を修飾することが可能である。
【0085】
「単一鎖Fv」または「sFv」抗体断片は、抗体のVおよびVドメインを持ち、これらのドメインが単一ポリペプチド鎖として存在する。一般に、sFvポリペプチドはさらにVHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含む。これによって、sFvは、抗原結合のために所望の構造を形成することが可能になる。単一鎖抗体生産のための技法(米国特許第5,476,786;5,132,405;4,946,778号)は、抗IGFR1特異的単一鎖抗体を生産するために適応させることが可能である。sFvの総説については、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113;Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,N.Y.,pp.269−315(1994)を参照されたい。
【0086】
「ジスルフィド安定化Fv断片」および「dsFv」は、ジスルフィド架橋によって結合される、可変重鎖(V)と可変軽鎖(V)を含む抗体分子を指す。
【0087】
本発明の範囲に含まれる抗体断片は、さらに、IgGを、例えば、ペプシンによって酵素的に分断することによって生産されるF(ab)断片を含む。Fab断片は、F(ab)を、例えば、ジチオスレイトールまたはメルカプトエチルアミンで還元することによって生産されてもよい。Fab断片は、ジスルフィド架橋によってV−CH1鎖に繋がれたV−C鎖である。F(ab)は、2本のジスルフィド架橋によって繋がれた二つのFab断片である。F(ab)分子のFab部分は、その間にジスルフィド架橋が配されるFc領域の一部を含む。
【0088】
Fv断片は、VまたはV領域である。
【0089】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンはいくつかの異なるクラスに分類される。免疫グロブリンには少なくとも五つの大きなクラスがある。すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMであり、これらの内いくつかはさらにいくつかのサブクラス(異性体)に分けられる。例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、およびIgG−4;IgA−1、およびIgA−2である。
【0090】
本発明の抗IGFR1抗体分子はさらに、化学的機能成分に接合されてもよい。化学的機能成分とは、特に、ポリマー、核種、または細胞毒性因子である。化学的機能因子は、被験体の体内において抗体分子の半減期を延長するポリマーであることが好ましい。適当なポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、分子量2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、または40kDaのPEG)、デキストラン、およびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。Lee等(1999)(Bioconj.Chem.10:973−981)は、PEG接合単一鎖抗体を開示する。Wen等(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、放射性金属キレート剤に付着するPEG付き接合抗体を開示する。Wenら,(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))に付着する、PEG接合抗体を開示する。
【0091】
本発明の抗体および抗体断片は、99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se,152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Th、および40K、157Gd、55Mn、52Tr、および56Feのような標識に接合されてもよい。
【0092】
本発明の抗体および抗体断片は、蛍光性または化学発光性標識、例として、蛍光発色団、例えば、希土類キレート剤、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、イソチオシアネート、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタールアルデヒド、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジミウム塩標識、シュウ酸塩標識、エクォーリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識、および安定なフリーラジカルを含む標識に接合されてもよい。
【0093】
抗体分子はまた、細胞傷害性因子、例えば、ジフテリア毒素、Pseudomonas aeruginosaエキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites fordiiタンパクおよび化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンチンタンパク、Phytoiacca americanaタンパクPAPI、PAPII、およびPAP−S、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、saponaria officialisインヒビター、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、およびエノマイシンのような因子に接合されてもよい。
【0094】
本発明の抗体分子を、各種機能成分に接合するために、従来技術において既知の任意の接合方法、例えば、Hunterら,(1962)Nature144:945;Davidら,(1974)Biochemistry13:1014;Painら,(1981)J.Immunol.Meth.40:219;Nygren,J.,(1982)Histochem.and Cytochem.30:407に記載される方法を含めた任意の接合方法の使用が可能である。抗体同士を接合するための方法はありふれたもので、従来技術においてきわめてよく知られる。
【0095】
(化学療法剤)
本発明は、1種以上の化学療法剤と連結される、1種以上の結合組成物、例えば、抗IGFR1抗体またはその抗原結合性断片を含む組み合わせ、および方法を含む。化学療法剤は、本発明の結合組成物(例えば、LCF/HCA)の投与によって治療される任意の医学的病態の治療に役立つ治療効果を実現する。例えば、結合組成物が被験体(例えば、ヒト)の癌を治療するために投与される場合、化学療法剤(単複)は、被験体の治療結果を改善する、追加的な抗癌治療効果、またはその他の若干の治療効果をもたらす。本発明の組み合わせの化学療法剤成分は、任意の機構で作用してよい(すなわち、結合組成物が作用するのと同じ機構で作用してもよいし、または別の機構で作用してもよい)。本発明の組み合わせおよび方法における化学療法剤としては、シグナル変換インヒビター、細胞周期インヒビター、IGF/IGFR1系モジュレーター(例えば、インヒビターまたは活性化剤)、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビター、上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビター、HER2インヒビター、血管上皮増殖因子(VEGF)レセプターインヒビター、マイトゲン活性化タンパク(MAP)キナーゼインヒビター、MEKインヒビター、AKTインヒビター、mTORインヒビター、pl3キナーゼインヒビター、Rafインヒビター、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビター、微小管安定化因子、微小管インヒビター、SERM/抗エストロゲン、アロマターゼインヒビター、アントラサイクリン、プロテアソームインヒビター、インスリン様増殖因子(IGF)生産を抑制する因子、および/または、IGFR1、IGF−1,またはIGF2のアンチセンスインヒビターが挙げられるが、これらに決して限定されるものではない。
【0096】
3環アミド化合物を含むFPTインヒビター、例えば、米国特許第5,719,148号、または米国特許第5,874,442号に開示される化合物を、抗IGFR抗体に結合することが可能である。例えば、下記の式Iによって表される任意の化合物
【0097】
【化19】

または、その薬学的に受容可能な塩または溶媒化合物を本発明の組み合わせの中に含めてもよい。上式において、
a、b、c、およびdの一つはNまたはNRを表し、ここにRはO、−CH、または−(CHCOHであり、ここにnは1から3であり、残りのa、b,c、およびd基は、CR、またはCRを表し、あるいは、
a、b、c、およびdは、それぞれ独立にCR、またはCRから選ばれ、
各Rおよび各Rは、それぞれ独立に、H、ハロ、−CF、−OR10(例えば、−OCH)、−COR10、−SR10(例えば、−SCHおよび−SCH)、−S(O)11(ここにtは、0、1、または2、例えば、−SOCHおよび−SOCH)、−SCN、−N(R10、−NR1011、−NO、−OC(O)R10、−CO10、−OCO11、−CN、−NHC(O)R10、−NHSO10、−CONHR10、−CONHCHCHOH、−NR10COOR11
【0098】
【化20】

−SR11C(O)OR11(例えば、−SCHCOCH)、−SR11N(R75で、ここに各R75は、それぞれ独立に、Hと−C(O)OR11(例えば、−S(CHNHC(O)O−t−ブチル、および、−S(CHNH、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ、テトラゾル−5−イルチオ、テトラゾル−5−イルチオ置換体(例えば、1−メチルーテトラゾル−5−イルチオのようなアルキル置換テトラゾル5−イルチオ)、アルキニル、アルケニル、またはアルキルで、前記アルキルまたはアルケニル基は、要すれば任意に、ハロ、−OR10、または−CO10によって置換されてもよい、から選ばれ、
およびRは、同じであるか異なり、それぞれ独立にHを表し、RとR、またはRとRそれぞれ合わせたいずれかの置換基は、ベンゼン環(環III)に融合した飽和または不飽和のC−C環を表し、
、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、−CF、−COR10、アルキルまたはアリールを表し、前記アルキルまたはアリールは、要すれば任意に、−OR10、−SR10、−S(O)11、−NR10COOR11、−N(R10、−NO、−COR10、−OCO11、−CO10、OPO10によって置換され、あるいは、R、R、R、およびRの内の一つは、下記に定義されるR40と結合して−(CH−を表し、ここにrは1から4であり、低級アルキル、低級アルコキシ、−CF、またはアリールによって置換することが可能であり、あるいは、RはRと結合して=Oまたは=Sを、および/または、RはRと結合して=Oまたは=Sを表し、
10は、H、アルキル、アリール、またはアラルキル(例えば、ベンジル)を表し、
11は、アルキルまたはアリールを表し、
Xは、N、CH、またはCを表し、ここにCは任意に、炭素原子11に対して二重結合(点線で表される)を含んでよく、
炭素原子5と6の間の点線は、任意に取ることが可能な二重結合を表し、二重結合がある場合、AおよびBは、独立に、−R10、ハロ、−OR11、−OCO11、または−OC(O)R10を表し、炭素原子5と6の間に二重結合が無い場合、AおよびBは各々独立にH、−(OR11、Hおよびハロ、ジハロ、アルキルおよびH、(アルキル)、−Hおよび−OC(O)R10、Hおよび−OR10、=O、アリールおよびH、=NOR10、または−O−(CH−O−を表し、ここにpは2、3、または4であり、
Rは、下記に定義されるR40、R42、R44、またはR54を表し、
40は、H、アリール、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、または−Dを表し、ここに−Dは
【0099】
【化21】

を表し、式中RとRは上に定義した通りであり、WはO、S、またはNR10であり、ここにR10は上に定義した通りであり、前記R40のシクロアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、ハロ、−CON(R10、アリール、−CO10、−OR12、−SR12、−N(R10、−N(R10)CO11、−COR12、−NO、またはDから選択される1−3個の基によって任意に置換され、ここに−D、R10、およびR11は上に定義した通りであり、R12は、R10、−(CHOR10、または−(CHCO10を表し、ここにR10は上に定義した通りであり、mは1から4であり、qは1から4であり、前記アルケニルおよびアルキニルR40基は、それぞれ、二重または三重結合を含む炭素において−OH、−SH、または−(NR10を含まず、あるいは、
40は、−SONH、−NHSOCH、−SONHCH、−SOCH、−SOCH、−SCH、または−NHSOCFから選択される基によって置換されるフェニルを表し、前記基は、好ましくはフェニル環のパラ(p−)位置に配され、あるいは、
40は、
【0100】
【化22】

から選択される基を表し、
42は、
【0101】
【化23】

を表し、式中R20、R21、およびR46は、それぞれ独立に、下記の群から選ばれ、すなわち、
(1)H;
(2)−(CHSC(O)CHで、qは1から3(例えば、−CHSC(O)CH);
(3)−(CHSOCHで、qは1から3(例えば、−CHOSOCH);
(4)−OH;
(5)−CS(CH(フェニル置換体)、ここに、wは1から3であり、前記置換されたフェニル基における置換基は、前記フェニル置換体(例えば、−C−S−CH−4−メトキシフェニル)について後述したものと同様の置換基であり;
(6)−NH
(7)−NHCBZ(ここにCBZは、カルボニルベンジルオキシを表す、すなわちCBZは−C(O)OCHを表す);
(8)−NHC(O)OR22で、ここに、R22は1から5個の炭素原子を持つアルキル基であり(例えば、R22はt−ブチルであって、−NHBOCを形成し、BOCはtert−ブチルオキシカルボニルを表し、すなわちBOCは−C(O)OC(CHを表し、あるいは、R22は、1から3個のアルキル基によって置換されるフェニルを表し(例えば、4−メチルフェニル);
(9)アルキル(例えば、エチル);
(10)−(CHフェニルで、ここにkは1から6、通常1から4、好ましくは1であり(例えば、ベンジル);
(11)フェニル;
(12)フェニル置換体(すなわち、1から3個の置換基、好ましくは1個の置換基によって置換されるフェニル)で、前記置換基は、ハロ(例えば、Br、Cl、またはIであるが、Brが好ましい);NO;−OH;−OCH;−NH;−NHR22;−N(R22;アルキル(例えば、1から3個の炭素を持つアルキルで、メチルが好ましい);および、−O(CHフェニル(tは1から3で、1が好ましい)から成る群から選ばれ、フェニル置換体の例としては、p−ブロモフェニル、m−ニトロフェニル、o−ニトロフェニル、m−ヒドロキシ−フェニル、o−ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、p−メチルフェニル、m−メチル−フェニル、および−OCHが挙げられるが、ただしこれらに限定されない;
(13)ナフチル;
(14)ナフチル置換体で、ここに置換基は、上のフェニル置換体について定義したものと同じであり;
(15)5から10個の炭素原子を有する架橋結合された多環炭水化物(例えば、アダマンチルおよびノルボニル);
(16)5から7個の炭素原子を持つシクロアルキル(例えば、シクロペンチル、およびシクロヘキシル);
(17)ヘテロアリール(例えば、ピリジル、およびピリジルN−オキシド);
(18)ヒドロキシアルキル(例えば、−(CHOHで、ここにvは1から3で、例えば、CHOH);
(19)ピリジル置換体またはピリジルN−オキシド置換体で、ここに置換基は、メチルピリジル、モルフォリニル、イミダゾリル、1−ピペリジニル、1−(4−メチルピペラジニル)、−S(O)11、または、前記フェニル置換体に関して上に挙げた置換基の内の任意のものから選ばれ、かつ、前記置換基は、環状炭素に対し、その炭素に結合する水素を置換することによって結合し;
【0102】
【化24】

(23)−NHC(O)−(CH)k−フェニル、または−NH(O)−(CH−置換フェニルで、ここにkは上に定義した通り(すなわち、1−6、通常1−4、好ましくは1)であり;
(24)ピペリジン環V
【0103】
【化25】

であり、式中R50は、H、アルキル(例えば、メチル)、アルキルカルボニル(例えば、CHC(O)−)、アルキルオキシカルボニル(例えば、−C(O)O−t−C、−C(O)OC、および−C(O)OCH)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、または−C(O)NH(R10)を表し、ここにR10はHまたはアルキルであり、環Vは、
【0104】
【化26】

を含み、環Vの例としては、
【0105】
【化27】

が挙げられ;
(25)−NHC(O)CHまたは−NHC(O)CH−置換−C、例えば、−NHC(O)CH−p−ヒドロキシフェニル、−NHC(O)CH−m−ヒドロキシフェニル、および、−NHC(O)CH−o−ヒドロキシフェニル;
(26)−NHC(O)OC
【0106】
【化28】

(30)−OC(O)−ヘテロアリール、例えば、
【0107】
【化29】

(31)−O−アルキル(例えば、−OCH);
(32)−CF
(33)−CN;
(34)下式の複素環アルキル基
【0108】
【化30】

および、
(35)下式のピペリジニル基であって、
【0109】
【化31】

式中R85は、H、アルキル、または、−OH、または−SCHによって置換されるアルキルであり;あるいは、
20とR21は共に=O基を形成し、残りのR46は上に定義した通りであり、あるいは
20、R21、およびR46の内の二つは共に、ピペリジン環V
【0110】
【化32】

を形成し、式中、R50は、H、アルキル(例えば、メチル)、アルキルカルボニル(例えば、CHC(O)−)、アルキルオキシカルボニル(例えば、−C(O)O−t−C、−C(O)OC、および−C(O)OCH)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロ−メチル)、または−C(O)NH(R10)を表し、ここにR10はHまたはアルキルであり、環Vは、
【0111】
【化33】

を含み、環Vの例としては、
【0112】
【化34】

が挙げられ、ただし、R46、R20、およびR21は、それらの結合する炭素原子が1個を超えるヘテロ原子を含まないように選択され(すなわち、R46、R20、およびR21は、それらの結合する炭素原子が、0または1個のヘテロ原子を含むように選ばれ)、
44は、
【0113】
【化35】

を表し、式中、R25は、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、またはピリジルN−オキシド)、N−メチリピペリジニル、またはアリール(例えば、フェニル、およびフェニル置換体)を表し、R48は、Hまたはアルキル(例えば、メチル)を表し、
54は、式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のN−オキシド複素環基を表し、
【0114】
【化36】

式中、R56、R58、およびR60は、同じであるか異なっており、それぞれ独立に、H、ハロ、−CF、−OR10、−C(O)R10、−SR10、−S(O)eR11(eは1か2)、−N(R10、−NO、−CO10、−OCO11、−OCOR10、アルキル、アリール、アルケニル、またはアルキニルから選ばれ、そのアルキルは、−OR10、−SR10、または−N(R10によって置換されてもよく、そのアルケニルはOR11またはSR11によって置換されてもよく、あるいは、
54は、式(ia)、(iia)、(iiia)、または(iva)のN−オキシドの複素環を表し、
【0115】
【化37】

式中、YはN−Oを表し、EはNを表し、あるいは、
54は、前記N−オキシド複素環基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(ia)、(iia)、(iiia)、または(iva)の内の一つによって置換されたアルキル基を表し、
ZはOまたはSを表し、その際、Rは、上に定義されたR、R、R、またはRと組み合わされ、あるいは、Rは、R40、R42、R44、またはR54を表し、
前述の式のR20、R21、およびR46の例としては、
【0116】
【化38】

【0117】
【化39】

が挙げられ、
25基の例としては、
【0118】
【化40】

が挙げられ、式中、Yは、NまたはNOを表し、R28は、CからCアルキル、ハロ、ヒドロキシ、NO、アミノ(−NH)、−NHR30、および、−N(R30から成る群から選ばれ、ここにR30は、CからCアルキルを表す。
【0119】
一つの実施態様では、下記の3環アミドが、抗IGFR抗体とともに含められる:
【0120】
【化41】

(ロナファルニブ;SarasarTM;Schering−Plough、Kenilworth、ニュージャージー州)。別の実施態様では、下記のFPTインヒビターの内の一つが、抗IGFR抗体とともに含められる:
【0121】
【化42】

抗IGFR抗体に含めることが可能なFPTインヒビターとしては、BMS−214662
【0122】
【化43】

(Huntら,J.Med.Chem.43(20):3587−95(2000);Danceyら,Curr.Pharm.Des.8:2259−2267(2002);(R)−7−シアノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−3−(フェニルメチル)−4−(2−チエニルスルフォニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン))、および、R155777(チピファルニブ;Garnerら,Drug Metab.Dispos.30(7):823−30(2002);Danceyら,Curr.Pharm.Des.8:2259−2267(2002);(B)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン):
【0123】
【化44】

ZarnestraTMの名で市販、Johonson & Johnson、New Brunswick、ニュージャージー州)が挙げられる。
【0124】
EGFレセプターまたはHER2の作用に拮抗するインヒビターであって、抗IGFR抗体と共に含めることが可能な薬剤としては、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)の名で市販、Genentech、サンフランシスコ、カリフォルニア州);
【0125】
【化45】

ゲフィティニブ(Baselgaら,Drugs60 Suppl.1:33−40(2000);ZD−1893;4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルフォリノプロポキシ)キナゾリン;
【0126】
【化46】

IressaTMの名で市販、AstraZeneca、Wilmington、デラウェア州);OSI−774
【0127】
【化47】

エルロティニブ、Hidalgoら,J.Clin.Oncol.19(13):3267−3279(2001))、ラパタニブ
【0128】
【化48】

GW2016;Rusnakら,Rusnakら,Molecular Cancer Therapeutics1:85−94(2001);N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メチルスルフォニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キノゾリナミン;PCT出願WO99/35146)、カネルティニブ(CI−1033;
【0129】
【化49】

Erlichmanら,Cancer Res.61(2):739−48(2001);Smaillら,J.Med.Chem.43(7):1380−97(2000))、ABX−EGF抗体(Abgenix社、Freemont、カリフォルニア州、Yangら,Cancer Res.59(6):1236−43(1999);Yangら,Crit Rev Oncol Hemato.38(1):17−23(2001))、エルビタックス(米国特許第6,217,866号、IMC−C225、セツキシマブ、Imclone、ニューヨーク、ニューヨーク州)、EKB−569
【0130】
【化50】

Wissnerら,J.Med.Chem.46(1):49−63(2003))、PKI−166
【0131】
【化51】

CGP−75166)、GW−572016、任意の抗EGFR抗体および任意の抗HER2抗体が挙げられる。
【0132】
他にも、EGFRを抑制するのに有効であると上に記載した数多くの小型分子を、抗IGFR抗体と結合させることが可能である。例えば、米国特許第5,656,655号は、EGFRを抑制する、スチリル置換ヘテロアリール化合物を開示する。米国特許第5,646,153号は、EGFRおよび/またはPDGFRを抑制する、ビス単環および/または双環アリールヘテロアリール炭素環および複素炭素環化合物を開示する。米国特許第5,679,683号は、EGFRを抑制する3環ピリミジン化合物を開示する。米国特許第5,616,582号は、レセプターのチロシンキナーゼ抑制作用を持つキナゾリン誘導体を開示する。Fryら,Science265:1093−1095(1994)は、EGFRを抑制する構造を持つ化合物を開示する(Fry等の図1参照)。米国特許第5,196,446号は、EGFRを抑制するヘテロアリールエテンジイルまたはヘテロアリールエテンジアリール化合物を開示する。Panekら,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics283,1433−1444(1997)は、EGFR、PDGFR、FGFRというレセプターファミリーを抑制する、PD166285と特定された化合物を開示する。PD166285は、6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−オンと特定される。
【0133】
抗IGFR抗体と結合することが可能なVEGFレセプターインヒビターとしては、PTK787/ZK222584(Thomasら,Semin Oncol.30(3 Suppl.6):32−8(2003))、およびヒト化抗VEGF抗体ベバシズマブ(AvastinTMという商品名で市販、Genentech、南サンフランシスコ、カリフォルニア州)が挙げられる。
【0134】
抗IGFR抗体と結合することが可能なMAPキナーゼインヒビターとしては、VX−475(Haddad、Curr.Opin.Investig.Drugs2(8):1070−6(2001))が挙げられる。
【0135】
抗IGFR抗体と結合することが可能なMAPキナーゼキナーゼ(MEK)インヒビターとしては、PD184352(Sebolt−Leopoldら,Nature Med.5:810−816(1999))が挙げられる。
【0136】
抗IGFR抗体と結合することが可能なmTORインヒビターとしては、ラパマイシンおよびCCI−779(Sehgaら,Med.Res.Rev.,14:1−22(1994);Elit.Curr.Opin.Investig.Drugs3(8):1249−53(2002))が挙げられる。
【0137】
抗IGFR抗体と結合することが可能なpI3キナーゼインヒビターとしては、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646(Vlahosら,J.Biol.Chem.269(7):5241−5248(1994))、およびウォルトマニンが挙げられる。
【0138】
抗IGFR抗体と結合することが可能なRafインヒビターとしては、BAY−43−9006(Wilhelmら,Curr.Pharm.Des.8:2255−2257(2002))、ZM336372、L−779,450、または、Lowingerら,Curr.Pharm.Des.8:2269−2278(2002)に開示される、他の任意のRafインヒビターが挙げられる。
【0139】
抗IGFR抗体と結合することが可能なサイクリン依存性キナーゼインヒビターとしては、フラボピリドール(L86−8275/HMR1275;Senderowicz,Oncogene19(56):66000−6606(2000))およびUCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン;Senderowicz,Oncogene19(56):6600−6606(2000))が挙げられる。
【0140】
抗IGFR抗体と結合することが可能なIGF/IGFRインヒビターとしては、IGF抑制性ペプチド(米国特許出願公報第20030092631号、PCT出願公報WO03/27246A2、WO02/72780)、4−アミノ−5−フェニル−7−シクロブチル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体、例えば、PCT出願公報WO02/92599に開示されるもの(例えば、
【0141】
【化52】

)、フラボノイドグリコン、例えば、ケルセチン(PCT出願公報WO03/39538)、および、本発明のもの以外の抗IGFR1抗体が挙げられる。
【0142】
抗IGFR抗体と結合することが可能な、その他の抗IGFR1抗体は、例えば、Burtrumら,Cancer Research63:8912−8921(2003);仏国特許出願FR2834990、FR2834991、およびFR2834900、および、PCT出願WO03/59951、WO04/71529、WO03/106621、WO04/83248、WO04/87756,およびWO02/53596に開示されている。
【0143】
IGF生産を抑制し、抗IGFR抗体と結合することが可能な薬剤としては、オクトレオチド(L−システインアミド,D−フェニルアラニル−L−システイニル−L−フェニルアラニル−D−トリプトフィル−L−リシル−L−スレオニル−N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)プロピル]−,環状(2_7)−ジスルフィド;[R
【0144】
【化53】

,R)];Katzら,Clin.Pharm.8(4):255−73(1989)、サンドスタチンLAR(登録商標)Depotの名で市販、Novatis Pharm.E.Hanover、ニュージャージー州)が挙げられる。
【0145】
抗IGFR抗体と結合することが可能なプロテアソームインヒビターとしては、ボルテゾミブ
【0146】
【化54】

[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸、VelcadeTMの名で市販、Millennium Pharm.ケンブリッジ、マサチューセッツ州)が挙げられる。
【0147】
抗IGFR抗体と結合することが可能な、微小管安定化剤および微小管脱重合剤/インヒビターとしては、パクリタキセル
【0148】
【化55】

タキソール(Taxol(登録商標))の名で市販、Bristol−Myers Squibb、ニューヨーク、ニューヨーク州)、および、ドセタキセル
【0149】
【化56】

Taxotere(登録商標)の名で市販、Aventis Pharma、Bridgewater、ニュージャージー州)、ビンクリスチン
【0150】
【化57】

ビンブラスチン
【0151】
【化58】

エポチロンBとBMS−247550
【0152】
【化59】

Leeら,Clin.Cancer Res.7(5):1429−37(2001)、ポドフィロトキシンおよびその誘導体で、エトポシド(VP−16
【0153】
【化60】

および、BMS−310705
【0154】
【化61】

を含むものが挙げられる。
【0155】
テモゾロミド
【0156】
【化62】

Schering社、Kenilworth、ニュージャージー州によってTemodar(登録商標)の名で市販)も本発明の抗IGFR抗体と結合することが可能である。
【0157】
抗IGFR抗体と結合することが可能なアントラサイクリンとしては、ドキソルビシン
【0158】
【化63】

Doxil(登録商標)の名で市販、Ortho Biotech Products、Raritan、ニュージャージー州)、ダウノルビシン
【0159】
【化64】

Cerubidine(登録商標)の名で市販、Ben Venue Laboratories、Bedford、オハイオ州)、エピルビシン
【0160】
【化65】

Ellence(登録商標)の名で市販、Pharmacia & Upjohn、Kalamazoo、ミシ癌州)が挙げられる。
【0161】
本発明の抗IGFR抗体と結合することが可能な抗エストロゲン剤および選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)としては、ドロロキシフェン(3−ヒドロキシタモキシフェン)、4−ヒドロキシタモキシフェン
【0162】
【化66】

タモキシフェン
【0163】
【化67a】

Nolvadex(登録商標)の名で市販、Astra Zeneca Wilmington、デラウェア州)、ピペンドキシフェン
【0164】
【化67b】

ERA−923、Greenbergerら,Clin.Cancer Res.7(10):3166−77(2001))、アルゾキシフェン
【0165】
【化68】

LY353381、Satoら,J.Pharmacol.Exp.Ther.287(1):1−7(1998))、ラロキシフェン
【0166】
【化69】

Evista(登録商標)の名で市販、Eli Lilly、インディアナポリス、インディアナ州)、フルベストラント
【0167】
【化70】

ICI−182780、ファスロデックスの名で市販、Astra Zeneca Willington、デラウェア州)、アコルビフェン(EM−652
【0168】
【化71】

トレミフィン
【0169】
【化72】

ラソフォキシフェン(CP−336,156
【0170】
【化73】

Keら,Endocrinology139(4):2068−76(1998))、イドキシフェン(ピロリジノ−4−イオドタモキシフェン
【0171】
【化74】

Nuttallら,Endocrinology139(12):5224−34(1998))、TSE−424
【0172】
【化75】

バゼドキシフェン、WAY−140424)、HMR−3339、およびZK−186619が挙げられる。
【0173】
抗IGFR抗体と結合することが可能なアロマターゼインヒビターとしては、アナストラゾール
【0174】
【化76】

Dukesら,J.Steroid.Biochem.Mol.Biol.58(4):439−45(1996))、レトロゾール
【0175】
【化77】

Femara(登録商標)の名で市販、Novatis Pharmaceuticals、E.Hanover、ニュージャージー州)、およびエキセメスタン
【0176】
【化78】

Aromasin(登録商標)の名で市販、Pharmacia、Kalamazoo、ミシ癌州)が挙げられる。
【0177】
オキサリプラチン
【0178】
【化79】

EloxatinTMの名で市販、Sanofi−Synthelabo、ニューヨーク、ニューヨーク州)も、本発明の抗IGFR抗体と結合させることが可能である。
【0179】
抗IGFR抗体は、ゲミシタビンHCl
【0180】
【化80】

で、Mitsiadesら,Cancer Cell5:221−230(2004);Garcia−Echeverriaら,Cancer Cell5:231−239,2004;WO2004/030627またはWO2004/030625の内のいずれかに記載されるレチノイン酸、または任意のIGFRインヒビターを伴うものと結合させることが可能である。
【0181】
抗IGFR抗体と結合することが可能なトポイソメラーゼインヒビターとしては、カンプトテシン
【0182】
【化81】

Storkら,J.Am.Chem.Soc.93(16):4074−4075(1971);Beislerら,J.Med.Chem.14(11):1116−1117(1962))、トポテカン
【0183】
【化82】

Hycamtin(登録商標)の名で市販、GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、ノースカロライナ州、Rowinskiら,J.Clin.Oncol.10(4):647−656(1992))、エトポシド
【0184】
【化83a】

およびイリノテカン
【0185】
【化83b】

Camptosar(登録商標)の名で市販、Pharmacia & Upjohn、Kalamazoo、ミシ癌州)が挙げられる。
【0186】
IGFR1、IGF−1、またはIGF−2遺伝子のmRNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを生産し、その遺伝子の転写または翻訳を抑制することが可能である。治療用途に効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの生産は従来技術でよく知られる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、半減期またはバイオアベイラビリティーを増すために、しばしば、誘導体形成した、または修飾したヌクレオチドが用いられる。IGFR1、IGF−1、またはIGF−2遺伝子の一次配列を用いてリボザイムを設計することも可能である。合成リボザイムの多くのものは、一般に、ハンマーヘッド型、テトラヒメナ型、およびヘアピン型リボザイムである。特定のRNA分子種を分断するためのリボザイムの設計および使用法は従来技術でよく知られる。
【0187】
多くの、前述の薬剤に関する、化学的構造およびその他の有用な情報は、Physicians’ Desk Reference、57th ed.2003、Thompson PDR、Montvale、ニュージャージー州に見出すことができる。
【0188】
ある特定の薬剤をある特定のクラス(例えば、FPTインヒビターまたは微小管安定化剤)に分類するのは、単に記述目的にために為されることであって、いかなる意味でも本発明を限定することを意図するものではない。
【0189】
本発明の範囲は、前述の化学療法剤、または、その任意の塩、水和物、異性体、処方、溶媒化合物、または薬剤前駆体と共に、抗IGFR抗体を含む組成物および方法を含む。
【0190】
(薬学的組成物)
本発明の組み合わせ、またはその任意の組成物は、被験体に対してインビボで投与するのに好適な、薬学的に受容可能なキャリアと共に、薬学的組成物の中に取り込むことが可能である。本発明の範囲は、被験体に対し、任意の経路、例えば、経口的経路(例えば、経口、眼内、局所、または肺内(吸引))、または、非経口経路(例えば、腫瘍内注入、静注、動脈内注入、皮下注入、または筋肉内注入)を通じて投与してよい薬学的組成物を含む。一つの実施態様では、本発明の薬学的組成物は、1種以上の化学療法剤および薬学的に受容可能なキャリアと連結した、15H12/19D12LCF、および15H12/19D12HCAを含む抗体を含む。
【0191】
上述のように、本発明の組み合わせは、互いに「連結した」結合組成物と化学療法剤成分とを含む。「連結した」という用語は、本発明の組み合わせの各成分が、同時に搬送されるように単一組成物として処方することも、あるいは、別々に2種以上の組成物として(例えば、キット)処方することも可能であることを示す。例えば、本発明の範囲は、被験体に対し非経口的投与(例えば、静注)用に処方された抗IGFR1抗体と、経口搬送用に処方された化学療法剤(例えば、丸剤、錠剤、カプセル)とを含む組み合わせを含む。別態様として、組み合わせの両成分は、非経口的搬送のために、あるいは、経口的搬送のために(例えば、経口的)、別々にまたは一緒に処方してもよい。
【0192】
処方に関する一般的情報については、Gilmanら,(eds.)(1990)The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press;A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania;Avisら,(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York;Liebermanら,(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York;Liebermanら,(eds.)(1990),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York,Kenneth A.Wallers(ed.)(2002)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sicences),Vol119,Marcel Dekkerを参照されたい。
【0193】
薬学的に受容可能なキャリアは通例のものであり、従来技術においてきわめてよく知られる。例としては、水性および非水性キャリア、安定化剤、抗酸化剤、溶媒、分散溶媒、コーティング、抗菌剤、バッファー、血清タンパク、等張剤および吸収遅延剤、および、生理学的に適合的な同種のものが挙げられる。キャリアは、被験体の体内に注入するのに好適なものであることが好ましい。
【0194】
本発明の薬学的組成物に用いることが可能な、好適な水性および非水性キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注入可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。好適な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンを使用することによって、分散剤の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、また、界面活性剤を用いることによって維持することが可能である。
【0195】
本発明の抗体分子が、乾燥または凍結乾燥による変成作用から保護して安定化させるために、安定化剤、例えば、α,α−トレハロース二水和物を含めることも可能である。
【0196】
薬学的に受容可能な抗酸化剤の例としては、水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリム等、および油性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等、金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。
【0197】
微生物存在の阻止は、滅菌過程によって、および、各種抗菌剤、例えば、EDTA、EGTA、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって確保してもよい。
【0198】
本発明の薬学的組成物に含めてもよい好適なバッファーとしては、L−ヒスチジン系バッファー、リン酸系バッファー(例えば、リン酸バッファー生食液、pH〜7)、ソルビン酸系バッファー、グリシン系バッファーが挙げられる。
【0199】
本発明の薬学的組成物に含めてもよい血清タンパクとしては、ヒト血清アルブミンが挙げられる。
【0200】
等張剤、例えば、蔗糖、エタノール、ポリアルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール、マンニトール、またはソルビトール)、クエン酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム(例えば、バッファー生食液)も、本発明の薬学的組成物に含めてもよい。
【0201】
注入性製薬形態の延引吸収を、モノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンのような吸収を延引する薬剤を含めることによってもたらしてもよい。
【0202】
グリセロール、液状ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物、および油性物において、分散剤を調製することも可能である。
【0203】
薬学的に受容可能なキャリアは、滅菌注入液または分散剤を即席に調製するための、滅菌水溶液または分散剤および滅菌粉末を含んでもよい。薬学的に活性な物質に対してこのような媒体および薬剤を用いることは従来技術でよく知られる。
【0204】
滅菌注射液は、必要量の本発明の組み合わせ、またはその任意の成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)を、任意に必要に応じて、上に列挙した一つの、またはいくつかの成分の組み合わせと共に、適当な溶媒に含めることによって調製することが可能である。一般に、分散液は、活性成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)を、基礎となる分散溶媒と、上に列挙したものの中から選択される他の必要成分とを含む滅菌キャリアの中に含めることによって調製される。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、活性成分と、以前に滅菌ろ過した溶液から選択される、任意の所望の付加的成分とを含む粉末を生成する、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0205】
本発明の組み合わせ、またはその任意の成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)はまた経口的に投与されてもよい。経口投与用薬学的組成物は、添加物およびキャリア、例えば、でん粉(例えば、ジャガイモ、トウモロコシ、または小麦でん粉またはセルロース)、でん粉誘導体(例えば、微細結晶セルロールまたはシリカ)、糖類(例えば、ラクトース)、タルク、ラクトース、ステアリン酸塩、炭酸マグネシウム、またはリン酸カルシウムを含んでもよい。経口組成物が患者の消化器系によって十分に受容されるように、粘液形成物またはレジンを含めてもよい。胃液に不溶のカプセルに収容するよう処方することによって受容性を改善することが望ましい場合もあろう。カプセルの形を取る本発明の例示の薬学的組成物は、標準的2層硬質ゼラチンカプセルを、本発明の組み合わせ、または、粉末形の、その任意の成分、ラクトース、タルク、およびステアリン酸マグネシウムで満たすことによって調製される。免疫グロブリンの経口投与は既に記載されている(Fosterら,(2001)Cochrane Database System rev.3:CD001816)。
【0206】
本発明の組み合わせ、またはその任意の成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)はまた、局所投与用薬学的組成物の中に含められてもよい。局所投与用に好適な処方としては、治療が必要な部位の皮膚に対して浸透するのに好適な液状、または半液状製剤、例えば、リニメント、ローション、クリーム、軟膏またはペースト、および、眼球、耳、または鼻に投与するのに好適な点滴剤が挙げられる。
【0207】
本発明による点滴剤は、滅菌された、水性または油性の溶液または懸濁液を含み、これは、本発明の組み合わせ、またはその任意の成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)を、殺菌剤および/または殺かび剤および/または他の、任意の適当な防腐剤、および好ましくは界面活性剤を含む適当な水溶液に溶解することによって調製される。次に、得られた溶液をろ過して澄明にしてもよい。
【0208】
本発明によるローションは、皮膚または眼球に塗布するのに好適なものを含む。眼球ローションは、任意に殺菌剤を含む滅菌された水溶液を含み、点滴剤調製の場合と類似の方法によって調製されてよい。皮膚塗布用のローションまたはリニメントはまた、乾燥を早め、皮膚を冷却する薬剤、例えば、アルコールまたはアセトン、および/または、保湿剤、例えば、グリセロール、あるいは、ひまし油または落花生油のような油を含んでもよい。
【0209】
本発明によるクリーム、軟膏、またはペーストは、活性成分の外部塗布用の半固形処方である。これらは、微細に分割された、または粉末形の本発明の組み合わせまたはその任意の成分を、単独で、または、水性流体または非水性流体における溶液または懸濁液として、油脂基材、または非油脂基材の存在下に適当な装置の助けを借りて混合することによって作製される。この基材は、炭水化物、例えば、硬質、軟質、または流動のパラフィン、グリセロール、蜜ロウ、金属石鹸;粘滑剤;天然油、例えば、アーモンド油、コーン油、落花生油、ひまし油、またはオリーブ油;羊毛油脂またはその誘導体、または脂肪酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸をアルコール、例えば、プロピレングリコールまたはマクロゲルと混合したものが挙げられる。処方は、任意の好適な界面活性剤、例えば、陰イオン性、陽イオン性、または非電離性界面活性剤、例えば、ソルビタンエステル、または、そのポリオキシエチレン誘導体を含んでもよい。懸濁剤、例えば、天然ゴム、セルロース誘導体、または無機物質、例えば、シリカ二酸化ケイ素、および、その他の成分、例えば、ラノリンを含めてもよい。
【0210】
本発明の組み合わせ、またはその任意の成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)はまた、吸引によって投与されてもよい。吸引用の好適な薬学的組成物はエロゾルであってもよい。本発明の組み合わせ、またはその任意の成分の、例示の吸引用薬学的組成物は、15−20ml容量のエロゾル容器であって、推進剤、例えば、フレオン、好ましくは、1,2−ジクロテトラフルオロエタンとジフルオロクロメタンの混合物に分散させた活性成分(例えば、結合組成物および/または化学療法剤)、潤滑剤、例えば、ポリソルベート85またはオレイン酸を含む容器であってもよい。この組成物は、鼻腔内または口内吸引投与用に適応した、適当なエロゾル容器に収められるのが好ましい。
【0211】
(用量)
好ましくは、本発明の組み合わせは、被験体に対し、「治療的有効用量」または「治療的有効量」において投与され、未治療の被験体に対し、疾患または病態(例えば、腫瘍の成長)を任意の程度抑制する、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約60%、さらに好ましくは少なくとも約80−100%抑制する。本発明の組み合わせ、またはその任意の成分が癌を抑制する能力は、ヒト腫瘍における効力の予測を可能とする動物モデルシステムにおいて評価される。別法として、この性質は、熟練した実験家にはよく知られるアッセイによってインビトロで腫瘍細胞増殖を抑制する能力を調べることによって評価することも可能である。当業者であれば、被験体の大きさ、被験体の症状の重度、および、特定の組成物と選択された投与経路等の因子に基づいてそのような量を決めることが可能であろう。
【0212】
投与スケジュールは、所望の最適反応(例えば、治療反応)が実現されるように調整される。例えば、単一用量が投与されてもよいし、いくつかに分割された用量がある時間に渡って投与されてもよいし、あるいは、治療状況の困難の程度と比例的に減少させたり、増大させてもよい。投与が容易になり、用量が均一となる点で、経口組成物を単位剤形として処方することは特に有利である。
【0213】
従来技術で通常の錬度を持つ内科医または獣医であれば、必要な薬学的組成物の有効量を簡単に決定し、処方することが可能である。例えば、内科医または獣医であれば、薬学的組成物に用いられる本発明の抗体または抗原結合性断片の用量を、所望の治療効果を実現するのに必要なレベルよりは低いレベルでスタートし、所望の効果が実現されるまで徐々に用量を増していくことであろう。本発明の抗体または組み合わせのある用量の効果、または治療スケジュールの効果は、例えば、被験体の治療される腫瘍が縮小するか、または成長を停止するかどうかを定めることいよって決定することが可能である。腫瘍のサイズは、例えば、X線、核磁気共鳴(MRI)、または、外科処置中に目視によって簡単に定めることが可能である。
【0214】
一般に、本発明の組み合わせ、またはその任意の成分の、好適な1日当たりの用量は、治療効果を生成するのに効果的な最低の量であってもよい。この有効量は、一般に前述の因子に依存する。投与は、好ましくは、標的(例えば、腫瘍)部位よりも近位における注入によって為される。要すれば、本発明の抗体、または抗体/化学療法剤組み合わせ、またはその薬学的組成物の、1日当たりの治療的有効量は、1日を通じて、適当な間隔をおいて別々に、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上のサブ用量として投与されてもよい。ある実施態様では、本発明の、任意の抗IGFR抗体の「治療的有効」用量は、1日当たり約3mg/kg(体重)から、約10mg/kg(例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10mg/kg)までの範囲にある。ある実施態様では、化学療法剤の「治療的有効用量」は、Physicians’Desk Referece2003(Thomson Healthcare:57th edition(2002年11月1日)に記載されている通りである。なお、この文献を参照することにより本明細書に含める。例えば、ある実施態様では、ゲフィティニブの1日当たり用量は250mg/日、あるいは、パクリタキセルの1日当たりの用量は約135mg/mから約175mg/mである。
【0215】
(治療法および投与)
本発明の組み合わせ、あるいは、本発明の抗IGFR抗体、またはその抗原結合性断片は、単独で用いても、任意の細胞の、例えば、悪性細胞の成長または増殖を、インビトロにおいて(例えば、培養細胞において)、またはインビボにおいて(例えば、IGFR1の発現または活性上昇によって、あるいは、そのリ癌ド(例えば、IGF−IまたはIGF−II)の発現の上昇によって仲介される病気に苦しむ被験体の体内において)抑制または低減させることが可能である。細胞の成長または増殖に対するこのような抑制または低下は、その細胞を、組み合わせに接触させることによって実現される。
【0216】
本発明の組み合わせ、あるいは、本発明の抗IGFR抗体、またはその抗原結合性断片を用いて、IGFR1の発現または活性上昇によって、あるいは、そのリ癌ド(例えば、IGF−IまたはIGF−II)の発現の上昇によって仲介され、かつ、IGFR1リ癌ド結合、活性、または発現の修飾によって治療または阻止することが可能な疾患または病態を、そのような治療または予防を要する被験体において治療または予防することが可能である。疾患または病態は、IGFR1、IGF−I、またはIGF−IIのレベル上昇によって仲介され、IGFR1リ癌ドの結合、活性(例えば、自動リン酸化活性)、または発現を下げることによって治療または予防されるのが好ましい。疾患または病態は悪性であることが好ましく、より好ましくは、悪性は、IGFR1を発現する腫瘍、例えば、膀胱癌、ウィルムス腫、骨癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、滑膜癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺の良性過形成(BPH)、転移性カルチノイドに関連する下痢、および、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍(例えば、ビポーマ、あるいはウェルナーモリソン症候群)によって特徴付けられる悪性腫瘍であるが、ただしこれらに限定されない。末端巨人症も、本発明の組み合わせで治療することが可能である。IGF−1の拮抗作用が、末端巨人症の治療として報告されている(Drakeら,(2001)Trends Endocrin.Metab.12:408−413)。被験体において、本発明の組み合わせを投与することによって治療が可能な、その他の非悪性医学的病態としては、巨人症、乾癬、アテローム硬化症、血管の平滑筋再狭窄、または不適切な微小血管増殖、例えば、糖尿病の合併症として、特に眼球に認められる微小血管増殖、慢性関節リウマチ、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、およびベーチェット病が挙げられる。
【0217】
「被験体」という用語は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)、もっとも好ましくはヒトを指す。
【0218】
本発明のある実施態様では、できれば、本発明の組成物は、被験体に対し、Physicians’Desk Reference2003(Thomson Healthcare;57th edition(2002年11月1日))に従って投与される。
【0219】
本発明の組み合わせまたは任意のその成分は、侵襲的経路、例えば、静注(上記参照)によって投与することが可能である。非侵襲的経路(例えば、経口的に、例えば、丸剤、カプセル、または錠剤によって)による投与も本発明の範囲内にある。本発明のある実施態様では、本発明の抗IGFR抗体、または、その薬学的組成物は静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、または腫瘍内に投与され、一方、本発明の化学療法剤(例えば、ゲフィチニブ(例えばイレッサ))は、錠剤として経口的に投与される。別の実施態様では、化学療法剤は、静脈内投与されるパクリタキセル(例えば、タキソール)である。
【0220】
組成物は、従来技術で既知の医学的装置によって投与することが可能である。例えば、本発明の薬学的組成物は、皮下針による注入によって投与することが可能である。
【0221】
本発明の薬学的組成物はまた、針の無い皮下注入装置、例えば、米国特許第6,620,135;6,096,002;5,399,163;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824、または4,596,556号に開示される装置を用いて投与してもよい。
【0222】
薬学的組成物を投与する、既知のインプラントおよびモジュール形態の例としては、米国特許第4,487,603号であって、調節速度で医薬を投与するための埋め込み可能な微細注入ポンプを開示する特許、米国特許第4,447,233号であって、正確な注入速度において医薬を搬送する医薬注入ポンプを開示する特許、米国特許第4,447,224号であって、連続的薬剤搬送のための流動可変な埋め込み注入装置を開示する特許、米国特許第4,439,196号であって、複数チェンバーコンパートメントを有する浸透圧型薬剤搬送システムを開示する特許が挙げられる。他にも、多数のこのようなインプラント、搬送システム、およびモジュールが当業者にはよく知られている。
【0223】
(キット)
本発明はさらに、本発明の組み合わせの成分を含むキットを、キット形式として提供する。本発明のキットは、本明細書に論じた化学療法剤(ただしこれに限定されない)を含む、1種以上の付加成分と連結させた、IGFR1に特異的に結合する、本明細書に論じた結合組成物(例えば、19D12/15H12 LCF/HCA)(ただしこれに限定されない)を含む1種以上の成分を含む。結合組成物および/または化学療法剤は、薬学的組成物において、純粋組成物として処方することも可能であるし、あるいは、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて処方することも可能である。
【0224】
一つの実施態様では、キットは、一つの容器(例えば、滅菌したガラスまたはプラスチック瓶)の中に、本発明の結合組成物(例えば、19D12/15H12 LCF/HCA)、またはその薬学的組成物、別の容器(例えば、滅菌したガラスまたはプラスチック瓶)に化学療法剤、またはその薬学的組成物を含む。
【0225】
本発明の別の実施態様では、キットは、単一の共通の容器において、薬学的組成物の中に、結合組成物成分(例えば、19D12/15H12 LCF/HCA)を、化学療法剤成分と一緒に処方して、要すれば任意にさらに薬学的に受容可能なキャリアと共に含む本発明の組み合わせを含む。
【0226】
キットが、被験体に対する非経口的投与用の薬学的組成物を含む場合、キットは、そのような投与を実行するための装置を含んでもよい。例えば、キットは、1本以上の皮下針、または、前述のようなその他の注入装置を含んでもよい。
【0227】
キットは、キットの中の薬学的組成物および用量に関する情報を含むパッケージ挿入物を含んでもよい。一般に、このような情報は、患者および医師が、封入された薬学的組成物および剤形を効果的に安全に使用することを助ける。例えば、本発明の組み合わせに関する下記の情報が挿入物の中に提供されてもよい。すなわち、薬物速度論、薬物動態論、臨床実験、効力パラメータ、適応症および使用法、禁忌、警告、注意、副作用、過剰投与、適正用量と投与、供給法、適正保存条件、参考書、メーカー/配送業者情報、および特許情報である。
【実施例】
【0228】
本発明をさらに説明するために下記の実施例を提供するが、これらを、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものと考えてはならない。
【0229】
(実施例1:抗IGFR1抗体および化学療法剤による増殖アッセイ)
本実施例では、様々の濃度の19D12/15H12野生型または19D12/15H12 LCF/HCA抗IGFR1抗体、および、パクリタキセル、ゲフィチニブ、ロナファルニブ、4−ヒドロキシタモキシフェン、またはドキソルビシンの内のいずれかにさらしたときの、培養細胞の増殖能力を評価した。
【0230】
細胞調製。 H322NSCLCまたはMCF7細胞を、T−T75 TC処理ろ過フラスコにおいて、数代継代して80%以下の集密度に培養した。細胞をトリプシン処理し、カウントし、NEAA(非必須アミノ酸)、L−Glu、MEMビタミン、およびPSを含む、10%HI−FBS(熱不活性化仔牛血清)RPMI培養液において25000細胞/mlの濃度に再懸濁した。細胞懸濁液100ul(2500個細胞)を、BF Falconの96ウェル黒、クリアボトムTC処理プレートの各ウェルに添加した。細胞を37℃で一晩付着・展開させた。NEAA、L−Glu、MEMビタミン、およびPSを含み2%HI−FBSを含む100μlのRPMIで10%RPMI溶液を置換した。
【0231】
溶液調製。 アッセイ試薬は全て2%HI−FBSを含むRPMIにて20×濃度で調製し、処理当たり合計10種の試験濃度が得られるように連続希釈した。各試験点は、別々のアッセイプレートにおいて3重に準備した。各プレートには、(i)抗体19D12/15H12とパクリタキセル、(ii)抗体19D12/15H12とゲフィチニブ、(iii)抗体19D12/12 LCF/HCAとロナファルニブ、(iv)抗体19D12/15H12と4−ヒドロキシタモキシフェン、または(v)抗体19D12/15H12とドキソルビシンのいずれかを含ませさらに、(a)投薬無し、(b)試薬1(パクリタキセル、ゲフィチニブ、ロナファルニブ、4−ヒドロキシタモキシフェン、またはドキソルビシン)のみ、および(c)抗体19D12/15H12または19D12/15H12 LCA/HCAのみのいずれかを含む内部コントロールを含ませた。
【0232】
試薬1と19D12/15H12または19D12/15H12 LCF/HCAとを、用量反応に応じ、互いに組み合わせてそれぞれ設定した。細胞増殖を4日目に測定した。
【0233】
アッセイ。 細胞増殖は、Promegaの細胞力価発光依存性細胞生存アッセイを用いて測定した(Promega、Madison、ウィスコンシン州)。このアッセイにより、培養体におけるATPの定量に基づいて培養体中の生存細胞の数を定量する方法が得られる。この数は、代謝的に活性を持つ細胞の存在を示す。
【0234】
アッセイプレートへの添加直前に、アッセイ試薬およびアッセイプレートを室温で平衡させて準備した。アッセイ試薬の1容量を、アッセイプレートの各ウェルに加え、軌道台の上で少なくとも10分攪拌し、ATP反応を平衡させ、アッセイプレートにおける全ての細胞の全体的溶解を確保した。反応は5時間の半減期を持つが、いずれの場合も、読み取りが試薬添加後30分よりも遅れることは無かった。発光を、スタッカーを備えたWallace420プレートリーダーにて検出した。
【0235】
この実験の結果を、下記の表2−6に示す。表の単位(増殖指数)は任意であり、それぞれの各条件下において培養体に観察される生存細胞数に比例する。「投薬無し」実験のデータは、薬剤(すなわち、抗体、または化学療法組成物)不在下において観察された増殖指数を示す。
【0236】
表2−6において、「ug」はマイクログラムを示し、「uM」はマイクロモルを示す。
【0237】
(表2. 抗IGFR1抗体19D12/15H12およびパクリタキセル(「タキソール」)の存在下におけるH322 NSCLC細胞の増殖)
【0238】
【化84】

投薬無し:71974;81788;75410;75124;75558;79618;77860;83468;78992;79840;85414;87962;84304;88926;77074;86696;74354;77454。
【0239】
(表3. 抗IGFR1抗体19D12/15H12およびゲフィチニブ(「イレッサ」)の存在下におけるH322 NSCLC細胞の増殖)
【0240】
【化85】

投薬無し:107584;107042;73770;80360;80730;83682;82196;81768;76594;74958;78190;83348;81032;78026;81010;81632;72058;74778。
【0241】
(表4. 抗IGFR1抗体19D12/15H12およびイオナファルニブの存在下におけるH322 NSCLC細胞の増殖)
【0242】
【化86】

投薬無し:114280;118325;135058;129246;125513;119709;134363;129286;138048;132272;138562;134026;135510;138660;132918;131451;140071;135689。
【0243】
(表5. 抗IGFR1抗体19D12/15H12および4−ヒドロキシタモキシフェンの存在下におけるMCF7細胞の増殖)
【0244】
【化87】

投薬無し:38094;32799;43225;30131;35545;28400;35256;18441;34641;24138;28849;21562;36446;25365;34561;21852;40120;23587。
【0245】
(表6. 抗IGFR1抗体19D12/15H12およびドキソルビシンの存在下におけるMCF7細胞の増殖)
【0246】
【化88】

投薬無し:126997;128567;116244;117342;112806;114636;122023;117403;
121666;112160;123333;118499;117737;120728;115823;128693;124935;126222。
【0247】
(実施例2:NSCLC異種移植片モデルH322による、抗IGFRおよびパクリタキセルの、インビボ腫瘍抑制アッセイ)
本実施例では、腫瘍成長抑制に対する、本発明の抗IGFR/パクリタキセル組み合わせの効果をインビボにおいて明らかにした。
【0248】
マトリゲルに溶解した5百万個のH322ヒトNSCLC細胞を、ヌードマウスの皮下に接種した。0日目、腫瘍サイズが105−115mm3に達した時点で、抗IGFR抗体19D12および/またはパクリタキセルの投与を開始した。19D12とパクリタキセルの両方を週に2度投与した。抗IGFR抗体19D12は、マウス1匹当たり0.5mg投与した。パクリタキセルは15mpkを投与した。1群当たり10匹の動物を用いた。腫瘍容量はLabcatで測定した。
【0249】
(表7. マウスにおける腫瘍成長抑制)
【0250】
【化89】

本発明の範囲は、本明細書に記載した特定の実施態様によって限定されるものではない。実際、当業者には、本明細書に記載したものに加えて、本発明について様々な改変が前述の説明および付属の図面から明らかとなろう。そのような改変は当然付属の特許請求の範囲内に含まれると考えられる。
【0251】
特許、特許出願、遺伝子バンク・アクセス番号、および出版物が、本出願全体に渡って引用されているが、これらの開示は、特に、その中に化学構造および抗体のアミノ酸配列を含む開示は、参照することにより本明細書に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む軽鎖アミノ酸配列、ならびに配列番号8または12によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む重鎖アミノ酸配列から成る群から選択されるメンバーを含む1種以上の結合組成物と、
(b)1種以上の化学療法剤と
を関連させて含む、組み合わせ。
【請求項2】
前記結合組成物は、配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む、単離された軽鎖アミノ酸配列、ならびに配列番号8または12によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む単離された重鎖アミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
結合組成物は、配列番号2のアミノ酸20〜128を含む単離された軽鎖免疫グロブリン、および配列番号4のアミノ酸20〜137を含む単離された重鎖免疫グロブリンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
化学療法剤は、タキサン、トポイソメラーゼインヒビター、シグナル変換インヒビター、細胞周期インヒビター、IGF/IGFR1系モジュレーター、ファルネシルプロテイントランスフェラーゼ(FPT)インヒビター、上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビター、HER2インヒビター、血管上皮増殖因子(VEGF)レセプターインヒビター、マイトゲン活性化プロテイン(MAP)キナーゼインヒビター、MEKインヒビター、AKTインヒビター、mTORインヒビター、pI3キナーゼインヒビター、Rafインヒビター、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビター、微小管安定化因子、微小管インヒビター、SERM/抗エストロゲン、アロマターゼインヒビター、アントラサイクリン、プロテアソームインヒビター、インスリン様増殖因子(IGF)生産を抑制する因子、およびIGFR1、IGF−1、またはIGF2のアンチセンスインヒビターから成る群から選択される1種以上の薬剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項5】
化学療法剤は、パクリタキセルおよびドセタキセルから選択されるタキサンであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項6】
化学療法剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ポドフィロトキシン、エポチロンB、BMS−247550、およびBMS−310705から選択される微小管インヒビターであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項7】
化学療法剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、ABX−EGF、ラパタニブ、カネルチニブ、EKB−569、およびPKI−166から選択される上皮増殖因子レセプター(EGFR)インヒビターであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項8】
化学療法剤は、ロナファルニブ、およびチピファルニブ(R155777)から選択されるファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項9】
化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ピペンドキシフェン、アルゾキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン(TSE−424)、イドキシフェン、HMR−3339、およびZK−186619から選択される選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)/抗エストロゲンであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項10】
化学療法剤は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、およびエピルビシンから選択されるアントラサイクリンであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項11】
化学療法剤は、トラスツズマブ、HKI−272,CP−724714、およびTAK−165から選択されるHER2インヒビターであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項12】
化学療法剤は、エトポシド、トポテカン、カンプトテシン、およびイリノテカンから選択されるトポイソメラーゼインヒビターであることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項13】
請求項1に記載の組み合わせを、薬学的に受容可能なキャリアと共に含む薬学的組成物。
【請求項14】
(a)配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖免疫グロブリン、および配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖免疫グロブリンを含む、1種以上の完全ヒトモノクロナール抗体と、
(b)
【化1】

から選択される1種以上の化学療法剤と
を連結させたものを含む、組み合わせ。
【請求項15】
インスリン様増殖因子レセプター−I(IGFR1)の発現または活性の上昇によって媒介される病態の治療または予防を必要とする被験体における該病態を治療または予防する方法であって、請求項1に記載の組み合わせの治療的有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
結合組成物は、配列番号2のアミノ酸20〜128を含む単離された軽鎖免疫グロブリン、および配列番号4のアミノ酸20〜137を含む単離された重鎖免疫グロブリンを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化学療法剤は、
【化2】

【化3】

から成る群から選択される1種以上のメンバーであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記医学的病態は、末端巨人症、膀胱癌、ウィルムス腫、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドに関連する下痢、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍、巨人症、乾癬、アテローム硬化症、血管平滑筋再狭窄、不適切な微小血管増殖、慢性関節リウマチ、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組み合わせは、非経口経路を通じて前記被験体に投与されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
医学的病態の治療または予防を必要とする被験体における該病態を治療または予防する方法であって、
(a)配列番号2のアミノ酸20〜128を含む軽鎖免疫グロブリン、および配列番号4のアミノ酸20〜137を含む重鎖免疫グロブリンを含む、治療有効量の1種以上の完全ヒトモノクロナール抗体と、
(b)
【化4】

【化5】

から選択される治療有効量の1種以上の化学療法剤と
を連結させたものを含む組み合わせを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記医学的病態は、末端巨人症、膀胱癌、ウィルムス腫、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、転移性カルチノイドに関連する下痢、血管作用性腸管ペプチド分泌性腫瘍、巨人症、乾癬、アテローム硬化症、血管平滑筋再狭窄、不適切な微小血管増殖、慢性関節リウマチ、グレーヴズ病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
悪性細胞の成長または増殖を抑制する方法であって、該細胞を請求項1に記載の組み合わせと接触させる工程を包含する、方法。
【請求項23】
前記細胞はインビトロであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
結合組成物は、配列番号2のアミノ酸20〜128を含む単離された軽鎖免疫グロブリン、および配列番号4のアミノ酸20〜137を含む単離された重鎖免疫グロブリンを含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
化学療法剤は、
【化6】

からなる群から選択される1種以上のメンバーであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
細胞は、非小細胞肺上皮癌、乳癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、前立腺癌細胞、小児癌、および膵臓癌細胞から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
細胞は、NCI−H322細胞、A2780細胞、またはMCF7細胞であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)配列番号5によって定義されるCDR−L1、配列番号6によって定義されるCDR−L2、および配列番号7によって定義されるCDR−L3を含む単離された軽鎖アミノ酸配列、ならびに配列番号8または12によって定義されるCDR−H1、配列番号9によって定義されるCDR−H2、および、配列番号10によって定義されるCDR−H3を含む単離された重鎖アミノ酸配列から成る群から選択される配列を含む1種以上の結合組成物と、
(b)1種以上の化学療法剤と
を連結させたものを含むキット。
【請求項29】
前記結合組成物と前記化学療法剤とは別々の容器に収められることを特徴とする、請求項28に記載のキット。

【公表番号】特表2007−532478(P2007−532478A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541410(P2006−541410)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038842
【国際公開番号】WO2005/052005
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】