説明

排ガス浄化システム

【課題】SCR入口温度センサの失陥時にも健全時と大差なく尿素水供給制御が実行できる排ガス浄化システムを提供する。
【解決手段】SCR装置103の入口に設けられSCR入口温度を検出するSCR入口温度センサ109と、SCR入口温度センサ109が検出したSCR入口温度に基づいてSCR装置103の上流の排気ガス中への尿素水供給を制御する尿素水供給制御部1と、SCR入口温度センサ109の失陥時、DPF入口温度センサ2が検出したDPF入口温度を尿素水供給制御部1に対してSCR入口温度の代用温度として提供する代用温度提供部4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル車両の排気ガスに尿素水を供給すると共に粒子状物質を捕集することで排ガス浄化を行う排ガス浄化システムに係り、SCR入口温度センサの失陥時にも健全時と大差なく尿素水供給制御が実行できる排ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス中のNOxを浄化するための排ガス浄化システムのひとつとして、SCR(Selective Catalytic Reduction;選択還元触媒)装置を用いたSCRシステムが開発されている。
【0003】
このSCRシステムは、尿素水をSCR装置の排気ガス上流に供給し、排気ガスの熱でアンモニアを生成し、このアンモニアによって、SCR触媒上でNOxを還元して浄化するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、排ガス浄化システムでは、排気ガスに含まれるSOF、SOOTなどの粒子状物質(Particurate Matter)を捕集するために、DPF(Diesel Particulate Filter;ディーゼルパティキュレートフィルタ)が設けられる。DPFは、例えば、SCR装置の上流に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−303826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SCR触媒には活性化する温度範囲があり、尿素にはアンモニアが生成されやすい温度範囲があるため、SCRシステムでは、尿素水を供給してNOx除去を積極的に行う温度範囲とそれを行わない温度範囲とがある。また、尿素には、結晶化や固化が起きやすい温度範囲があるため、NOx除去の目的ではなく、尿素水を噴射するドージングバルブの噴口に付着している尿素水を吹き飛ばして結晶化を防ぐ目的で尿素水を噴射させることがある。あるいはNOx除去を行わない温度範囲では、ドージングバルブのソレノイド動作不良を防ぐ目的で尿素水を噴射させてドージングバルブを冷却することもある。さらに、SCR装置に蓄積できるアンモニアの量が温度に依存して異なるので、温度に応じて尿素水の供給量を調節する。
【0007】
したがって、SCR装置上流の排気管に尿素水を供給する時期や量を制御するには、SCR装置の温度を知ることが重要である。このために、SCR装置の入口にSCR入口温度センサが設けられる。SCR入口温度センサによりSCR装置の入口における排気ガス温度であるSCR入口温度を検出し、これをSCR装置の温度として尿素水供給制御を行うことになる。
【0008】
しかし、SCR入口温度センサが失陥すると、SCR装置の温度が不明になるため尿素水の供給の時期や量が正確に決められない。尿素水の供給の時期や量を誤ると、外気に排出されるNOxが増えたり、過剰となったアンモニアが外気に排出されたりして好ましくない。
【0009】
この対策として、例えば、SCR入口温度センサの失陥時には、尿素水の供給を停止するという方法がある。しかし、尿素水の供給停止は、SCRシステムの制御停止を意味し、これによって当該車両の基本性能通りに排ガス浄化が実施できない状況となる。このような車両を走行させることは環境対策上好ましくなく、国によっては法的に禁止されている。したがって、路上でSCR入口温度センサの失陥が生じると、修理工場まで自走にて行くことができなくなる。
【0010】
また、SCR入口温度センサの失陥時用に、SCR装置温度の固定値をあらかじめ設定しておき、SCR入口温度センサの失陥が生じたときは、この固定値をSCR装置の温度として制御を行うという方法もある。しかし、固定値は、真のSCR装置の温度からの乖離が大きいことが多く、これに基づいて制御を行うと、NOxの排出増加やアンモニアの排出といった不具合が避けられない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、SCR入口温度センサの失陥時にも健全時と大差なく尿素水供給制御が実行できる排ガス浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、エンジンの排気管に設けられた選択還元触媒装置と、前記選択還元触媒装置の入口に設けられ、前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度を検出するSCR入口温度センサと、前記SCR入口温度センサが検出した前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度に基づいて前記選択還元触媒装置の上流の排気ガス中への尿素水供給を制御する尿素水供給制御部と、前記排気管の前記選択還元触媒装置より上流に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口に設けられ、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口における排気ガスの温度を検出するDPF入口温度センサと、前記SCR入口温度センサの失陥時、前記DPF入口温度センサが検出した前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口における排気ガスの温度を前記尿素水供給制御部に対して前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度の代用温度として提供する代用温度提供部とを備えたものである。
【0013】
前記SCR入口温度センサの出力電圧が電源電圧に対して所定電圧差範囲内であるか、またはグランド電圧に対して所定電圧差範囲内であるとき、前記SCR入口温度センサが失陥であると判定する失陥判定部を備えてもよい。
【0014】
車両のキーオン時に、冷却水温が所定値以下であるとき、前記SCR入口温度センサが検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲外であれば、前記SCR入口温度センサが失陥であると判定する失陥判定部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0016】
(1)SCR入口温度センサの失陥時にも健全時と大差なく尿素水供給制御が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す排ガス浄化システムの要部構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す排ガス浄化システムを詳しく示した構成図である。
【図3】図1の排ガス浄化システムの入出力構成図である。
【図4】SCR入口温度センサの出力電圧に基づいて失陥判定を行うイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0019】
図1及び図2に示されるように、本発明に係る排ガス浄化システム100は、エンジンEの排気管102に設けられたSCR装置103と、SCR装置103の入口に設けられ、SCR装置103の入口における排気ガスの温度(SCR入口温度)を検出するSCR入口温度センサ109と、SCR入口温度センサ109が検出したSCR入口温度に基づいてSCR装置103の上流の排気ガス中への尿素水供給を制御する尿素水供給制御部1と、排気管102のSCR装置103より上流に設けられたDPF108と、DPF108の入口に設けられ、DPF108の入口における排気ガスの温度(DPF入口温度)を検出するDPF入口温度センサ2と、SCR入口温度センサ109の失陥を判定する失陥判定部3と、SCR入口温度センサ109の失陥時、DPF入口温度センサ2が検出したDPF入口温度を尿素水供給制御部1に対してSCR入口温度の代用温度として提供する代用温度提供部4とを備える。
【0020】
SCR入口温度センサ109は、例えば、白金抵抗センサからなる。
【0021】
DPF入口温度センサ2は、例えば、サーミスタからなる。
【0022】
失陥判定部3は、SCR入口温度センサ109の出力電圧が電源電圧に対して所定電圧差範囲内であるか、またはグランド電圧に対して所定電圧差範囲内であるとき、SCR入口温度センサ109が失陥であると判定するようになっている。さらに、失陥判定部3は、車両のキーオン時に、冷却水温が所定値以下であるとき、SCR入口温度センサ109が検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲外であれば、SCR入口温度センサ109が失陥であると判定するようになっている。
【0023】
詳しくは、図2に示すように、排ガス浄化システム100は、エンジンEの排気管102に設けられたSCR装置103と、SCR装置103の上流側(排気ガスの上流側)で尿素水を噴射するドージングバルブ(尿素噴射装置、ドージングモジュール)104と、尿素水を貯留する尿素タンク105と、尿素タンク105に貯留された尿素水をドージングバルブ104に供給するサプライモジュール106と、ドージングバルブ104やサプライモジュール106等を制御するDCU(Dosing Control Unit)126とを主に備える。
【0024】
尿素水供給制御部1、失陥判定部3、代用温度提供部4は、DCU126内に設けるとよい。
【0025】
エンジンEの排気管102には、排気ガスの上流側から下流側にかけて、DOC(Diesel Oxidation Catalyst;酸化触媒)107、DPF(Diesel Particulate Filter)108、SCR装置103が順次配置される。DOC107は、エンジンEから排気される排気ガス中のNOを酸化してNO2とし、排気ガス中のNOとNO2の比率を制御してSCR装置103における脱硝効率を高めるためのものである。また、DPF108は、排気ガス中のPM(Particulate Matter)を捕集するためのものである。
【0026】
SCR装置103の上流側の排気管102には、ドージングバルブ104が設けられる。ドージングバルブ104は、高圧の尿素水が満たされたシリンダに噴口が設けられ、その噴口を塞ぐ弁体がプランジャに取り付けられた構造となっており、コイルに通電することによりプランジャを引き上げることで弁体を噴口から離間させて尿素水を噴射するようになっている。コイルへの通電を止めると、内部のバネ力によりプランジャが引き下げられて弁体が噴口を塞ぐので尿素水の噴射が停止される。
【0027】
ドージングバルブ104の上流側の排気管102には、SCR装置103の入口における排気ガスの温度(SCR入口温度)を測定するSCR入口温度センサ109が設けられる。また、SCR装置103の上流側(ここではSCR入口温度センサ109の上流側)には、SCR装置103の上流側でのNOx濃度を検出する上流側NOxセンサ110が設けられ、SCR装置103の下流側には、SCR装置103の下流側でのNOx濃度を検出する下流側NOxセンサ111が設けられる。
【0028】
サプライモジュール106は、尿素水を圧送するSMポンプ112と、サプライモジュール106の温度(サプライモジュール106を流れる尿素水の温度)を測定するSM温度センサ113と、サプライモジュール106内における尿素水の圧力(SMポンプ112の吐出側の圧力)を測定する尿素水圧力センサ114と、尿素水の流路を切り替えることにより、尿素タンク105からの尿素水をドージングバルブ104に供給するか、あるいはドージングバルブ104内の尿素水を尿素タンク105に戻すかを切り替えるリバーティングバルブ115とを備えている。ここでは、リバーティングバルブ115がONのとき、尿素タンク105からの尿素水をドージングバルブ104に供給するようにし、リバーティングバルブ115がOFFのとき、ドージングバルブ104内の尿素水を尿素タンク105に戻すようにした。
【0029】
リバーティングバルブ115が尿素水をドージングバルブ104に供給するように切り替えられている場合、サプライモジュール106は、そのSMポンプ112にて、尿素タンク105内の尿素水を送液ライン(サクションライン)116を通して吸い上げ、圧送ライン(プレッシャーライン)117を通してドージングバルブ104に供給するようにされ、余剰の尿素水を、回収ライン(バックライン)118を通して尿素タンク105に戻すようにされる。
【0030】
尿素タンク105には、SCRセンサ119が設けられる。SCRセンサ119は、尿素タンク105内の尿素水の液面高さ(レベル)を測定するレベルセンサ120と、尿素タンク105内の尿素水の温度を測定する温度センサ121と、尿素タンク105内の尿素水の品質を測定する品質センサ122とを備えている。品質センサ122は、例えば、超音波の伝播速度や電気伝導度から、尿素水の濃度や尿素水に異種混合物が混合されているか否かを検出し、尿素タンク105内の尿素水の品質を検出するものである。
【0031】
尿素タンク105とサプライモジュール106には、エンジンEを冷却するための冷却水を循環する冷却ライン123が接続される。冷却ライン123は、尿素タンク105内を通り、冷却ライン123を流れる冷却水と尿素タンク105内の尿素水との間で熱交換するようにされる。同様に、冷却ライン123は、サプライモジュール106内を通り、冷却ライン123を流れる冷却水とサプライモジュール106内の尿素水との間で熱交換するようにされる。
【0032】
冷却ライン123には、尿素タンク105とサプライモジュール106に冷却水を供給するか否かを切り替えるタンクヒーターバルブ(クーラントバルブ)124が設けられる。なお、ドージングバルブ104にも冷却ライン123が接続されるが、ドージングバルブ104には、タンクヒーターバルブ124の開閉に拘わらず、冷却水が供給されるように構成されている。なお、図2では図を簡略化しており示されていないが、冷却ライン123は、尿素水が通る送液ライン116、圧送ライン117、回収ライン118に沿って配設される。
【0033】
図3に、DCU126の入出力構成図を示す。
【0034】
図3に示すように、DCU126には、上流側NOxセンサ110、下流側NOxセンサ111、SCRセンサ119(レベルセンサ120、温度センサ121、品質センサ122)、SCR入口温度センサ109、サプライモジュール106のSM温度センサ113と尿素水圧力センサ114、およびエンジンEを制御するECM(Engine Control Module)125からの入力信号線が接続されている。ECM125からDCU126には、DPF入口温度、冷却水温、外気温などのエンジンパラメータの信号が入力される。イグニションスイッチ131からDCU126には、キーオンの信号が入力される。
【0035】
また、DCU126には、タンクヒーターバルブ124、サプライモジュール106のSMポンプ112とリバーティングバルブ115、ドージングバルブ104、上流側NOxセンサ110のヒータ、下流側NOxセンサ111のヒータ、への出力信号線が接続される。なお、DCU126と各部材との信号の入出力に関しては、個別の信号線を介した入出力、CAN(Controller Area Network)を介した入出力のどちらであってもよい。
【0036】
DCU126は、ECM125からのエンジンパラメータの信号と、SCR入口温度センサ109からの排気ガス温度とを基に、排気ガス中のNOxの量を推定すると共に、推定した排気ガス中のNOxの量を基にドージングバルブ104から噴射する尿素水量を決定するようにされ、さらに、ドージングバルブ104にて決定した尿素水量で噴射したとき、上流側NOxセンサ110の検出値に基づいてドージングバルブ104を制御して、ドージングバルブ104から噴射する尿素水量を調整するようにされる。
【0037】
以下、本発明の排ガス浄化システム100の動作を説明する。
【0038】
SCR入口温度センサ109が健全であるとき、尿素水供給制御部1は、SCR入口温度センサ109が検出したSCR入口温度に基づいてSCR装置103の上流の排気ガス中への尿素水供給を制御する。例えば、SCR入口温度がSCR触媒の活性化温度である190℃以上であれば、排気ガス中のNOx量に応じた量の尿素水をドージングバルブ104から噴射する制御行う。SCR入口温度が190℃未満のときは、NOx除去の目的ではなく、ドージングバルブ104の保護の目的で所定の時期に微量の尿素水噴射を行う。
【0039】
SCR入口温度センサ109が失陥になると、代用温度提供部4は、DPF入口温度センサ2が検出したDPF入口温度を尿素水供給制御部1に対してSCR入口温度の代用温度として提供する。
【0040】
SCR入口温度とDPF入口温度は、排気管102の排気流方向における位置が異なるが、同じ排気ガス温度である。したがって、DPF入口温度は、SCR入口温度の代用温度として利用できる。
【0041】
なお、DPF入口温度はDPF入口温度センサ2の出力信号をDCU126に直接入力してもよいが、DPF入口温度は従来よりECM125がエンジン制御のために常時、把握しており、ECM125からDCU126に入力されるエンジンパラメータの信号に含まれるので、これを参照してもよい。
【0042】
また、SCR入口温度センサ109が精度の高い白金抵抗センサであるのに対し、DPF入口温度センサ2はそれより精度が低いサーミスタである。しかし、SCR入口温度センサ109の失陥時に代用するにはDPF入口温度センサ2でも十分であり、例えば、SCR装置温度の固定値を使用するのに比べると、真のSCR装置の温度からの乖離は小さい。
【0043】
次に、SCR入口温度センサ109の失陥判定について説明する。
【0044】
図4に示されるように、SCR入口温度センサ109の電源には、制御回路用の電源、例えば、5V直流が与えられているので、SCR入口温度センサ109の出力電圧は、グランド電圧0Vから電源電圧5Vの範囲内となる。ただし、SCR入口温度センサ109が正しく機能していれば、出力電圧は、0〜5Vの中間の所定範囲内に収まり、0Vや5Vになることはない。一方、断線や短絡が生じると、出力電圧は、0Vあるいは5Vになる。
【0045】
そこで、失陥判定部3は、SCR入口温度センサ109の出力電圧が電源電圧に対して所定電圧差範囲内、具体的には図示した上限値以上であるときSCR入口温度センサ109が失陥であると判定する。また、SCR入口温度センサ109の出力電圧がグランド電圧に対して所定電圧差範囲内、具体的には図示した下限値以下であるときも、SCR入口温度センサ109が失陥であると判定する。
【0046】
さらに、失陥判定部3は、車両のキーオン時に、冷却水温が所定値以下であるとき、SCR入口温度センサ109が検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲外であれば、SCR入口温度センサ109が失陥であると判定する。冷却水温を比較する所定値は、エンジンが外気温と同じ温度での始動、いわゆるコールドスタートであることを示す値を用いる。すなわち、キーオン時に冷却水温が所定値以下であることは、コールドスタートを意味しており、当然、SCR入口温度センサ109の温度も外気温と同じはずである。このとき、SCR入口温度センサ109が検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲外、すなわち外気温よりも異常に高いかまたは異常に低いときは、失陥と判定する。SCR入口温度センサ109が検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲以内であれば、健全と判定する。これにより、SCR入口温度センサ109の出力電圧が図4の上限値と下限値の間にあったとしても、温度検出が正しくないときは、失陥であることが分かる。
【0047】
以上説明したように、本発明の排ガス浄化システム100によれば、SCR入口温度センサ109の失陥時、DPF入口温度センサ2が検出したDPF入口温度を尿素水供給制御部1に対してSCR入口温度の代用温度として提供する代用温度提供部4を備えたので、真のSCR装置の温度からの乖離が小さい代用温度で尿素水供給制御を健全時と大差なく実施することができる。このため、路上でSCR入口温度センサ109の失陥が生じても、排ガス浄化を実施しつつ修理工場まで自走にて行くことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 尿素水供給制御部
2 DPF入口温度センサ
3 失陥判定部
4 代用温度提供部
100 排ガス浄化システム
102 排気管
103 SCR装置
108 DPF
109 SCR入口温度センサ
131 イグニションスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気管に設けられた選択還元触媒装置と、
前記選択還元触媒装置の入口に設けられ、前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度を検出するSCR入口温度センサと、
前記SCR入口温度センサが検出した前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度に基づいて前記選択還元触媒装置の上流の排気ガス中への尿素水供給を制御する尿素水供給制御部と、
前記排気管の前記選択還元触媒装置より上流に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、
前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口に設けられ、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口における排気ガスの温度を検出するDPF入口温度センサと、
前記SCR入口温度センサの失陥時、前記DPF入口温度センサが検出した前記ディーゼルパティキュレートフィルタの入口における排気ガスの温度を前記尿素水供給制御部に対して前記選択還元触媒装置の入口における排気ガスの温度の代用温度として提供する代用温度提供部とを備えたことを特徴とする排ガス浄化システム。
【請求項2】
前記SCR入口温度センサの出力電圧が電源電圧に対して所定電圧差範囲内であるか、またはグランド電圧に対して所定電圧差範囲内であるとき、前記SCR入口温度センサが失陥であると判定する失陥判定部を備えたことを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化システム。
【請求項3】
車両のキーオン時に、冷却水温が所定値以下であるとき、前記SCR入口温度センサが検出した温度が外気温に対して所定温度差範囲外であれば、前記SCR入口温度センサが失陥であると判定する失陥判定部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−241722(P2011−241722A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113373(P2010−113373)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】