説明

搬送装置の油圧制御装置

【課題】車両の車輪を持ち上げて搬送する搬送装置を作動させ、かつ左右のアクチュエータ(昇降用、前方旋回用、及び後方旋回用)の速度と位置を正確に同期させることができる搬送装置の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】各アクチュエータ27,28a,28bが、それぞれの作動位置を検出する変位計29a,29b,29cを有する。油圧制御装置30は、上位制御装置32と左右の油圧制御ユニット34A,34Bとからなる。各油圧制御ユニット34A,34Bは、上位制御装置32に接続された下位制御装置35を有する。上位制御装置32は、下位制御装置35に各アクチュエータ27,28a,28bに対する同一の変位指令値A,B,Cを逐次出力し、各下位制御装置35は、各アクチュエータ27,28a,28bの変位計の検出値a,b,cをフィードバック制御し、各アクチュエータの作動位置を変位指令値A,B,Cに一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車輪を持ち上げて搬送する搬送装置の油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナを搭載した車両をX線検査する場合には、車両を搬送するための搬送装置が用いられる。
かかる搬送装置は、車両の車輪(前輪又は後輪)を持ち上げて自走可能に構成されるものであり、車両及びコンテナをX線が照射される遮蔽室内を通過させて、車両及びコンテナのX線検査を行う。この搬送装置は、例えば、以下の特許文献1,2が開示されている。
【0003】
特許文献1の「X線検査方法」は、X線を照射する遮蔽室の下方に、台車用通路を形成し、その通路を自走する搬送台車で、車両の前輪を持ち上げて、遮蔽室を通過させるものである。
【0004】
特許文献2の「搬送装置」は、X線を照射する遮蔽室の下方には台車用通路を形成せず、車両の前方から車両の前輪を持ち上げて自走する地上牽引式搬送台車である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−287507号公報、「X線検査方法」
【特許文献2】特開2007−331852号公報、「搬送装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1は、従来の搬送装置の平面図である。
この図において、1は車両、1aは車両1の車輪(タイヤ)、2はレールである。
搬送装置3は、2本のレール2上を走行しかつ車両1と干渉しない門型フレーム4と、門型フレーム4に連結されかつ車両1の両側で上下に昇降可能な左右の昇降フレーム5と、左右の昇降フレーム5にそれぞれ取り付けられ水平に旋回して車輪1aの前後を支持するそれぞれ1対の前方把持フォーク6aと後方把持フォーク6bとを有する。
左右の昇降フレーム5は、昇降シリンダ7により上下に昇降駆動され、1対の前方把持フォーク6aと後方把持フォーク6bは、それぞれ前方旋回シリンダ8aと後方旋回シリンダ8bにより水平に旋回駆動される。
【0007】
上述した構成により、前方把持フォーク6aと後方把持フォーク6bが車両1の両側に退避した状態で、定位置に車両1が停止した後、1対の前方把持フォーク6aと後方把持フォーク6bを車輪1aの前後に水平に旋回させ、次いで左右の昇降フレーム5を上昇させることで、車両1の車輪1aを走行面から持ち上げて搬送するようになっている。
【0008】
図2は、従来の油圧制御装置の模式図である。
油圧制御装置10は、左右に1対(2台)設けられ、この図は、そのうちの一方(左用又は右用)を示している。なお左右の油圧制御装置10は、同一である。
この図において、油圧制御装置10は、電動機付き可変容量ポンプ11、4方電磁弁12、流量調節弁13(絞り弁)、チェック弁14、等を備え、昇降シリンダ7、前方旋回シリンダ8a、及び後方旋回シリンダ8bに供給する作動油の流量と圧力を制御するようになっている。
なお、可変容量ポンプ11の流量変化のみでは速度制御が困難なため、各アクチュエータ(昇降シリンダ7、前方旋回シリンダ8a、及び後方旋回シリンダ8b)に対し、4方電磁弁12、流量調節弁13(絞り弁)、チェック弁14を並列に設け、4方電磁弁12を切り換えて速度制御を行う場合もある。
【0009】
図2の油圧制御装置10において、左右のアクチュエータ(昇降シリンダ7、前方旋回シリンダ8a、及び後方旋回シリンダ8b)の同期は、流量調節弁13(絞り弁)で行い、左右のアクチュエータ7,8a,8bの停止は、それぞれリミットスイッチで行っていた。
しかし、この場合、最終位置に向かう左右のアクチュエータ7,8a,8bが、最終位置のリミットスイッチをオンするまでの移動時間を一致させるのが困難である問題点があった。
すなわち、左右のアクチュエータ7,8a,8bの速度は、それぞれの絞り弁13で調節されるが、実際には温度差などで左右で異なった動きをする。そのため車両1の車輪1a(タイヤ)に到達する時間が一致しないため、タイヤ1aが把持フォーク6a,6bで押されて破損する可能性があった。
また、左右の昇降シリンダ7が同期しない場合には、車両1が大きく揺れ、搭載物が破損する可能性があった。
【0010】
また、従来の油圧制御装置10は、4方電磁弁12に漏れがあるため、チェック弁14の設置が不可欠であり、4方電磁弁12、流量調節弁13(絞り弁)、チェック弁14を並列に設けて速度制御する場合に、構成機器が多数となり、大型の油圧ユニットを搭載せざるを得ない問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、車両の車輪を持ち上げて搬送する搬送装置を作動させ、左右のアクチュエータ(昇降用、前方旋回用、及び後方旋回用)の速度と位置を正確に同期させることができ、かつ小型化が可能である搬送装置の油圧制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、レール上を走行しかつ車両と干渉しない門型フレームと、
門型フレームに連結されかつ車両の両側で上下に昇降可能な左右の昇降フレームと、
左右の昇降フレームにそれぞれ取り付けられ水平に旋回して車輪の前後を支持するそれぞれ1対の前方把持フォーク及び後方把持フォークと、
左右の昇降フレームを上下に昇降駆動する昇降用のアクチュエータと、
1対の前方把持フォークと後方把持フォークをそれぞれ水平に旋回駆動する前方旋回用のアクチュエータ及び後方旋回用のアクチュエータとを備えた搬送装置の油圧制御装置であって、
前記各アクチュエータは、それぞれの作動位置を検出する変位計を有しており、
前記油圧制御装置は、上位制御装置と左右の油圧制御ユニットとからなり、
各油圧制御ユニットは、上位制御装置に接続された下位制御装置を有し、
上位制御装置は、下位制御装置に各アクチュエータに対する同一の変位指令値を逐次出力し、
各下位制御装置は、各アクチュエータの変位計の検出値をフィードバック制御し、各アクチュエータの作動位置を前記変位指令値に一致させる、ことを特徴とする搬送装置の油圧制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の構成によれば、上位制御装置が、左右の下位制御装置に各アクチュエータに対する同一の変位指令値を逐次出力し、各下位制御装置が、各アクチュエータの変位計の検出値をフィードバック制御して、各アクチュエータの作動位置を前記変位指令値に一致させるので、左右の各アクチュエータ(昇降用、前方旋回用、後方旋回用)の位置は同一の変位指令値にリアルタイムで一致する。
また、各アクチュエータの速度は、同一の変位指令値の変化にそれぞれ同期するので、左右のアクチュエータの速度を正確に同期させることができる。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の搬送装置の平面図である。
【図2】従来の油圧制御装置の模式図である。
【図3】本発明を適用する搬送装置の側面図である。
【図4】図3の装置の平面図である。
【図5】本発明の油圧制御装置の全体図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】別の搬送装置の図4と同様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
図3は、本発明を適用する搬送装置の側面図であり、図4は、図3の装置の平面図である。
図3、図4において、1は車両、1aは車両1の車輪(タイヤ)、2はレールである。
【0017】
本発明を適用する搬送装置20は、門型フレーム24、左右の昇降フレーム25、1対の前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26b、昇降用のアクチュエータ27、1対の前方旋回用のアクチュエータ28a及び後方旋回用のアクチュエータ28bを備える。
【0018】
門型フレーム24は、駆動車輪24aと従動車輪24bを有し、レール2上を走行する。また、門型フレーム24は、車両1と干渉しないように門型になっている。
【0019】
左右の昇降フレーム25は、門型フレーム24の後方(図で右側)に連結され、かつ車両1の両側で上下に昇降可能にガイドロッド25aにより案内されている。
【0020】
1対の前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bは、左右の昇降フレーム25にそれぞれ取り付けられ、水平に旋回して車輪1aの前後を支持するようになっている。
前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bは、それぞれ一端部が昇降フレーム25の下部に鉛直な回転軸を中心に旋回可能に取り付けられ、水平に延び、他端部が車両1と干渉しない退避位置(昇降フレーム25の近傍)から、車輪1aの前後に位置する支持位置まで水平に旋回できるようになっている。
【0021】
昇降用のアクチュエータ27は、左右の昇降フレーム25を上下に昇降駆動する。
この例において、左右の昇降用アクチュエータ27は、それぞれ2本の油圧シリンダであり、昇降フレーム25より下方に位置する門型フレーム24の支持部材24cと昇降フレーム25との間に鉛直に挿入されている。
【0022】
1対の前方旋回用のアクチュエータ28a及び後方旋回用のアクチュエータ28bは、1対の前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bをそれぞれ水平に旋回駆動する。
この例において、前方旋回用のアクチュエータ28a及び後方旋回用のアクチュエータ28bは、それぞれ油圧シリンダであり、その一端部が昇降フレーム25の下部に鉛直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、他端部が前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bに鉛直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられている。
【0023】
上述した構成により、前方把持フォーク26aと後方把持フォーク26bが車両1の両側に退避した状態で、定位置に車両1が停止した後、1対の前方把持フォーク26aと後方把持フォーク26bを車輪1aの前後に水平に旋回させ、次いで左右の昇降フレーム25を上昇させることで、車両1の車輪1aを走行面から持ち上げて搬送することができる。
【0024】
図5は、本発明の油圧制御装置の全体図である。
この図に示すように本発明の油圧制御装置30は、上位制御装置32と、左右の油圧制御ユニット34A,34Bとからなる。また、左右の油圧制御ユニット34A,34Bは、それぞれ上位制御装置32に接続された下位制御装置35を有する。下位制御装置35は、例えばコンピュータである。
【0025】
上位制御装置32は、例えばコンピュータであり、下位制御装置35に各アクチュエータ27,28a,28bに対し、それぞれ同一の変位指令値A,B,Cを逐次出力する。
昇降用アクチュエータ27に対する変位指令値Aは、例えば下限からの高さであり、前方旋回用アクチュエータ28aに対する変位指令値Bは、例えば退避位置からの前方旋回角度であり、後方旋回用アクチュエータ28bに対する変位指令値Cは、例えば退避位置からの後方旋回角度である。
【0026】
各アクチュエータ27,28a,28bは、それぞれの作動位置を検出する変位計29a,29b,29cを有している。変位計29a,29b,29cは、この例では、磁歪式リニア変位センサである。
各下位制御装置35は、各アクチュエータ27,28a,28bの変位計29a,29b,29cの検出値a,b,cをフィードバック制御し、各アクチュエータ27,28a,28bの作動位置をそれぞれ変位指令値A,B,Cに一致させるようになっている。
【0027】
図6は、図5の部分拡大図である。この図は、左右の油圧制御ユニット34A,34Bの一方のみを示している。
各油圧制御ユニット34A,34Bは、サーボモータポンプ36、仕切り弁37、カウンターバランス弁38、及び圧力センサ39を有する。
【0028】
サーボモータポンプ36は、サーボモータ36a、エンコーダ36b、及びタンク36cを内蔵しており、エンコーダ36bの出力に基づき下位制御装置35によりサーボモータ36aをサーボ制御し、作動油の吐出方向と吐出流量を正確に制御できる。
なお、この例で、サーボモータポンプ36は、経済性を考慮し、アクチュエータ27,28a,28bのうちいずれか1つのみを作動させる吐出流量を有し、サーボモータポンプ36の小型化を図っている。
【0029】
仕切り弁37は、この例では電磁式の2方シート弁であり、各アクチュエータ27,28a,28b(油圧シリンダ)のシリンダ側とロッド側にそれぞれ設けられ、シリンダ側とロッド側の仕切り弁37を同時に切り換えることで、各アクチュエータ27,28a,28bを所望の方向に駆動する。
また、仕切り弁37(電磁式の2方シート弁)は、漏れの非常に少ないチェック弁を内蔵しており、非作動時における作動油の漏れを実質的に皆無にしている。
【0030】
カウンターバランス弁38は、昇降フレーム25の重量が作用する側のアクチュエータ27の配管ラインに設けられ、昇降フレーム25の重量による落下を防止している。
圧力センサ39は、各アクチュエータ27,28a,28bの作動時における圧力を検出し、異常圧(例えば過大な圧力)が各アクチュエータ27,28a,28bに作用しないようになっている。
【0031】
図7は、別の搬送装置の図4と同様の平面図である。
この例において、左右の前方旋回用のアクチュエータ28aと、左右の後方旋回用のアクチュエータ28bはそれぞれ配置、作動方向、ストロークが相違している。従って、左右の把持フォーク26a,26bをそれぞれ同期させるには、左右のアクチュエータ28a,28bの作動方向、ストロークをそれぞれ独立して制御する必要がある。
その他の構成は、図3,4と同様である。
【0032】
図7に示したように、左右のアクチュエータ28a,28bは、昇降フレーム25の内側でも外側でもよく、左右の把持フォーク26a,26bが異なった形状であってもよい。
【0033】
上述した構成により、上位制御装置32が、左右の下位制御装置35に各アクチュエータ27,28a,28bに対する同一の変位指令値A,B,Cを逐次出力し、各下位制御装置35が、各アクチュエータ27,28a,28bの変位計29a,29b,29cの検出値a,b,cをフィードバック制御して、各アクチュエータ27,28a,28bの作動位置を変位指令値A,B,Cに一致させるので、左右の各アクチュエータ27,28a,28b(昇降用、前方旋回用、後方旋回用)の位置は同一の変位指令値A,B,Cにリアルタイムで一致する。
また、各アクチュエータ27,28a,28bの速度は、同一の変位指令値A,B,Cの変化にそれぞれ同期するので、左右のアクチュエータ27,28a,28bの速度を正確に同期させることができる。
【0034】
さらに1対の前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bの左右の動作を確認し、左右に差があるときは、先行している前方旋回用のアクチュエータ28a及び後方旋回用のアクチュエータ28bを一時遅らせ、許容範囲の差になるように変位指令値B,Cに差を与えて指令し、把持フォーク26a,26bが車輪1a(タイヤ)に対し同時に接触するように制御する。
また、前輪1aが2輪の車両1に対しては、搬送台車1の前後動作と把持フォーク26a,26bの同期移動を組み合わせて、前輪2輪の中間に把持フォーク26a(又は26b)を同時に差し込んで、把持動作をさせることも上位制御装置32の指令で動作させるようにソフトウェアを構成する。
【0035】
上述したように、サーボモータポンプ36は小型であり、アクチュエータ27,28a,28bのうちいずれか1つのみを作動させるだけの流量しか吐出できない。これに対し、各油圧制御ユニット34A,34Bには、3台のアクチュエータ27,28a,28bに対し、サーボモータポンプ36は1台のみである。
そのため、3台のアクチュエータ27,28a,28bを同時に動作させると制御不能となる。そこで、本発明では、サーボモータポンプ36は、複数のアクチュエータ27,28a,28bのうちいずれか1つと1対1で作動し、作動させるアクチュエータ27,28a,28bに対応する仕切り弁37のみを開放して、サーボモータポンプ36の吐出流量によりアクチュエータ27,28a,28bの速度を制御する。
【0036】
この構成により、従来のように、速度制御のために複数の機器(4方電磁弁12、流量調節弁13(絞り弁)、チェック弁14、等)を並列に設ける必要がなく、油圧ユニットを小型化できる。
【0037】
例えば、左右の前方旋回用のアクチュエータ28aを動作させるときは、作動させるアクチュエータ28aに対応する仕切り弁37を開放して、サーボモータポンプ36で制御し位置が決まったら仕切り弁37を閉じる。その他のアクチュエータ27,28bを作動させる場合も同様である。
【0038】
また、2台のアクチュエータ28a,28bを同期動作させる場合には、サーボモータポンプ36により各アクチュエータ28a,28bに対して1対1で交互に動作させて、実質的に同時に動作させる。
この構成により、複数のアクチュエータを同時に動作させる場合でも、サーボモータポンプ36を小型のままにできる。
【0039】
従来の装置(図1,2参照)では、各アクチュエータ7,8a,8bが変位計を備えないので、仮にサーボモータポンプ36で一定の送り速度で油圧を送っても、左右のアクチュエータ7,8a,8bの摩擦抵抗や温度が異なる場合、移動速度が一致せず、到達点に達する時間がことなる。従って、左右のアクチュエータ8a,8bで左右の把持フォーク6a,6bを旋回させるとき、車両1の車輪1a(タイヤ)が把持フォーク6a,6bに接触するタイミングが合わずに車両1に無理な力がかかり損傷を与える可能性があった。
【0040】
これに対し、本発明(図3〜図7)では、各アクチュエータ27,28a,28bに変位計29a,29b,29cを備え、変位計29a,29b,29cの検出値a,b,cが左右一致するように、サーボモータポンプ36の回転速度を左右の下位制御装置35で調整することで、昇降フレーム25及び前方把持フォーク26a及び後方把持フォーク26bの移動速度が一致し、互いに同期した動きをさせることができる。
【0041】
また、従来の装置では、大型の油圧ユニットを搭載せざるを得ず、経済的に不利な構成となるが、本発明では搭載機器及びサーボモータポンプ36を小型化でき、動作するときのみ動作するアクチュエータ27,28a,28bにつながる仕切り弁37を1対1で開放し動作させるので、車両1の運搬中にサーボモータポンプ36は停止しており、非常に省エネルギーとなる。
さらに、仕切り弁37(電磁式の2方シート弁)が、非作動時における作動油の漏れが実質的に皆無であるので、チェック弁を別に設ける必要がなく、サーボモータポンプ36の停止中における各アクチュエータ27,28a,28bの位置変動を防止することができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0043】
1 車両、1a 車輪(タイヤ)、2 レール、
20 搬送装置、24 門型フレーム、
24a 駆動車輪、24b 従動車輪、24c 支持部材、
25 昇降フレーム、25a ガイドロッド、
26a 前方把持フォーク、26b 後方把持フォーク、
27 昇降用アクチュエータ(油圧シリンダ)、
28a 前方旋回用アクチュエータ(油圧シリンダ)、
28b 後方旋回用アクチュエータ(油圧シリンダ)、
29a,29b,29c 変位計(磁歪式リニア変位センサ)、
30 油圧制御装置、32 上位制御装置(コンピュータ)、
34A,34B 油圧制御ユニット、35 下位制御装置(コンピュータ)、
36 サーボモータポンプ、36a サーボモータ、
36b エンコーダ、36c タンク、37 仕切り弁(電磁式2方シート弁)、
38 カウンターバランス弁、39 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行しかつ車両と干渉しない門型フレームと、
門型フレームに連結されかつ車両の両側で上下に昇降可能な左右の昇降フレームと、
左右の昇降フレームにそれぞれ取り付けられ水平に旋回して車輪の前後を支持するそれぞれ1対の前方把持フォーク及び後方把持フォークと、
左右の昇降フレームを上下に昇降駆動する昇降用のアクチュエータと、
1対の前方把持フォークと後方把持フォークをそれぞれ水平に旋回駆動する前方旋回用のアクチュエータ及び後方旋回用のアクチュエータとを備えた搬送装置の油圧制御装置であって、
前記各アクチュエータは、それぞれの作動位置を検出する変位計を有しており、
前記油圧制御装置は、上位制御装置と左右の油圧制御ユニットとからなり、
各油圧制御ユニットは、上位制御装置に接続された下位制御装置を有し、
上位制御装置は、下位制御装置に各アクチュエータに対しそれぞれ同一の変位指令値を逐次出力し、
各下位制御装置は、各アクチュエータの変位計の検出値をフィードバック制御し、各アクチュエータの作動位置を前記変位指令値に一致させる、ことを特徴とする搬送装置の油圧制御装置。
【請求項2】
各油圧制御ユニットは、サーボモータ及びエンコーダを内蔵し、エンコーダの出力に基づき下位制御装置によりサーボモータを制御し、作動油の吐出方向と吐出流量をサーボ制御するサーボモータポンプと、
各アクチュエータにそれぞれ設けられ、各アクチュエータを所望の方向に切り換える仕切り弁とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記サーボモータポンプは、複数のアクチュエータのうちいずれか1つと1対1で作動し、
作動させるアクチュエータに対応する仕切り弁のみを開放して、サーボモータポンプの吐出流量によりアクチュエータの速度を制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
複数のアクチュエータを同期動作させる場合には、サーボモータポンプにより各アクチュエータに対して1対1で交互に動作させる、ことを特徴とする請求項2に記載の油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103815(P2013−103815A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249603(P2011−249603)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000198318)株式会社IHI検査計測 (132)
【Fターム(参考)】