説明

搬送装置及び真空装置

【課題】高温環境下において搬送物を確実に保持して高速搬送を図るとともに、搬送物の搬送時におけるダストをできるだけ少なくする技術を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置50は、駆動源からの動力が伝達される複数のアームを有する伸縮自在なリンク機構20と、リンク機構20の動作先端部において隣接する第3の左アーム3L、第3の右アーム3Rによって連結され基板10を載置するための載置部5とを備える。載置部5には、基板10の側部と当接して係止するための係止部5a、5bが設けられる。リンク機構20の隣接する第3の左アーム3L、第3の右アーム3Rには、基板10の側部と当接し基板10を載置部5の係止部5a、5bに対して付勢する付勢部6aを有する弾性の付勢部材6が固定される。付勢部材6は、第3の左アーム3L、第3の右アーム3Rの相対的な角度関係に応じて載置部5の係止部5a、5bに対する付勢部6aの距離が変化するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板等の搬送物を搬送する搬送装置に関し、特に、半導体製造装置等の複数のプロセスチャンバを備えた真空装置に好適な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造等の分野においては、従来から図6及び図7に示すような基板搬送装置101が用いられている。
この基板搬送装置101は、駆動部102と、この駆動部102に連結され複数のアームからなるアーム部103と、このアーム部103の先端に連結されたエンドエフェクタ104とを有しており、エンドエフェクタ104の上面で基板Wの裏面を支持し、複数のプロセスチャンバ(図示せず)間で基板Wの受け渡しを行なうように構成されている。
【0003】
エンドエフェクタ104は、一般には、セラミックスやステンレス鋼などで製作されている。従って、アーム部103を高速で伸縮動作や旋回動作させるとエンドエフェクタ104も高速で動作するので、基板Wに加わる加速度の影響で基板Wがエンドエフェクタ104上で滑ってしまい、基板Wを正しい位置に搬送できない問題がある。
加えて、従来技術では、基板Wがエンドエフェクタ104上を滑る際に発生するダストが、基板Wの表面を汚染してしまう問題がある。
【0004】
そこで、図7に示すように、エンドエフェクタ104の上面に複数の保持部105を設け、基板W裏面の所定箇所で接触することも提案されている。
この保持部105は一般にゴムやエラストマー等の樹脂系弾注材料で形成されているので、基板Wの裏面の滑りを抑制し、滑り止めパッドとして機能している。これにより、エンドエフェクタ104の上面において基板Wは滑ることなく安定した搬送姿勢で保持される(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、エラストマー等の樹脂系弾性材料で形成された保持部105は、基板Wや周囲の雰囲気温度が比較的低い(例えば200℃以下)場合には、効率よく基板Wの滑りは抑制されるが、当該温度が高い(例えば300〜500℃)場合には、保持部105が熱による変質や変形で、基板Wの滑りを抑制できなくなる問題がある。
【0006】
一方、当該温度が比較的低い(例えば200℃以下)場合でも、基板Wが保持部105の粘着力で貼り付き、エンドエフェクタ104から基板Wが適正に離れなくなることがある。例えば、プロセスチャンバ内のステージに基板Wを受け渡す際、保持部105から基板Wが離れず割れてしまう問題や、正しい位置に基板Wが搬送できない問題がある。
【0007】
さらに、原理的に保持部105と基板Wとの間の摩擦力により基板Wの滑りを抑制しているので、双方の物質で決まる最大静止摩擦力を超えるような加速度が基板Wに加わると、基板Wはエンドエフェクタ104上で滑ってしまう。従って、基板搬送装置101の動作速度は保持部105と基板Wとの間の最大静止摩擦力を超えて大きくすることができないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−353291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、搬送物や周囲の雰囲気温度が比較的低い環境下においても当該温度が高い環境下においても搬送物を確実に保持して高速搬送を図ることにある。
また、本発明の他の目的は、搬送物の搬送時におけるダストをできるだけ少なくする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、駆動源からの動力が伝達される複数のアームを有する伸縮自在なリンク機構と、前記リンク機構の動作先端部において隣接する複数の隣接リンク部によって連結され、搬送物を載置するための載置部とを備え、前記載置部には、当該搬送物の側部と当接して係止するための係止部が設けられるとともに、前記リンク機構の前記複数の隣接リンク部材には、当該搬送物の側部と当接し当該搬送物を前記載置部の係止部に対して付勢する付勢部を有する付勢手段が設けられ、前記付勢手段は、前記複数の隣接リンク部の相対的な位置関係に応じて前記載置部の係止部に対する前記付勢部の距離が変化するように構成されている搬送装置である。
本発明において、前記隣接リンク部は、回転方向が反対方向である一対の隣接するリンク部材を有し、前記付勢手段は、当該一対の隣接リンク部材に架け渡されて設けられている場合にも効果がある。
本発明において、前記付勢手段は、帯状の一体的な弾性部材からなる場合にも効果がある。
本発明において、前記帯状の一体的な弾性部材は、その両端部が、前記一対の隣接リンク部材の回転中心軸に対して前記載置部の係止部側に取り付けられている場合にも効果がある。
また、本発明は、真空槽と、前記搬送装置とを有し、前記搬送装置の載置部が前記真空槽内に対して搬入及び搬出するように構成されている真空装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、複数の隣接リンク部の相対的な位置関係に応じて載置部の係止部に対する付勢部の距離が変化させる付勢手段を設け、付勢手段と係止部によって搬送物を機械的に把持して保持するようにしたので、載置部上面での搬送物の滑りを抑制して(原理的には滑り無しで)、搬送物の高速搬送を実現することができる。
【0011】
また、付勢手段を含めて全ての部材を金属で作製することにより、搬送物や周囲の雰囲気温度が比較的低い環境下のみならず、搬送時の温度が高い(例えば300〜500℃)場合であっても熱変質や変形無しに搬送物の滑りを抑制することができる。
さらに、付勢部材を帯状の部材とすることによって搬送物を把持する近傍には摺動部が無くなるので、搬送物を汚染するダストの発生を極限まで低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る搬送装置の実施の形態の構成を示す平面図、図2(a)(b)は、本発明の動作原理を詳細に示す説明図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の搬送装置50は、例えば真空処理槽内において搬送物である基板10の搬送を行う所謂フロッグレック方式のもので、以下に説明するリンク機構20を駆動するための鉛直方向に同心状に配設した第1及び第2の駆動軸11、12を有している。
【0014】
これら各駆動軸11、12は、独立した第1及び第2の駆動源M1、M2からそれぞれ時計回り方向又は反時計回り方向の回転動力が伝達されるように構成されている。
第1の駆動軸11には第1の左アーム1Lの一方の端部(基端部)が固定され、第2の駆動軸12の一方の端部(基端部)には、第1の右アーム1Rが固定されている。
【0015】
第1の左アーム1Lの他方の端部(先端部)には、第2の左アーム2Lの一方の端部(基端部)が、支軸21Lを中心として水平方向に回転自在に取り付けられている。
第1の右アーム1Rの他方の端部(先端部)には、第2の右アーム2Rの一方の端部(基端部)が、支軸21Rを中心として水平方向に回転自在に取り付けられている。
【0016】
本実施の形態では、これら第1の左アーム1L及び第1の右アーム1Rは、直線状に形成され、同一の支点間距離を有するように構成されている。
第2の左アーム2Lの他方の端部(先端部)には、第3の左アーム3Lの一方の端部(基端部)が、固定ねじ22Lで固定されている。
第2の右アーム2Rの他方の端部(先端部)には、第3の右アーム3Rの一方の端部(基端部)が、固定ねじ22Rで固定されている。
【0017】
ここで、第3の左アーム3L、第3の右アーム3Rは、隣接リンク部を構成するもので、ほぼ「く」字状に形成されており、それぞれの屈曲部分の凸部がリンク外方側に向けられて配置されている。
【0018】
また、第3の左アーム3Lの他方の端部(先端部)は、後述する動力伝達機構4の表面に設けられた支軸23Lを中心として水平方向に回転自在に取り付けられている。
また、第3の右アーム3Rの他方の端部(先端部)は、後述する動力伝達機構4の例えば表面側に設けられた支軸23Rを中心として水平方向に回転自在に取り付けられている。
【0019】
本実施の形態においては、第2の左アーム2Lの支軸21Lから第3の左アーム3Lの支軸23Lの支点間距離と第2の右アーム2Rの支軸21Rから第3の右アーム3Rの支軸23Rの支点間距離は、同一の距離を有するように構成されている。
また、動力伝達機構4は、例えば矩形薄型箱形状のハウジング内に互いに噛み合う一対の歯車を有している(図示せず)。
【0020】
これらの歯車は同一の歯数を有し、それぞれの回転軸が、上述した支軸23L、23Rに固定され、これにより、姿勢制御機構として作用すべく逆方向に同一速度で回転するように構成されている。
これら支軸23L、23Rは、基板10の搬送方向に対して直交する方向に近接して配置されている。
【0021】
本発明の場合、特に限定されることはないが、バランスよく搬送物を保持する観点からは、第1及び第2の駆動軸11、12の回転中心軸線を通り基板搬送方向(矢印P方向)に対して直交する位置に支軸23L、23Rを配置するように構成することが好ましい。
【0022】
動力伝達機構4の基板搬送方向下流側には、所謂エンドエフェクタである載置部5が設けられている。
この載置部5は、所定の間隔をおいて設けた支持部材5L、5Rが設けられている。ここで、支持部材5L、5Rの基板搬送方向下流側の端部には、基板10の側部と当接可能な凸部形状の係止部5a、5bがそれぞれ設けられている。
【0023】
一方、本実施の形態においては、図2(a)(b)に示すように、第3の左アーム3Lの載置部5側の側面30Lと、第3の右アーム3Rの載置部5側の側面30Rとに、一連の弾性体からなる付勢部材(付勢手段)6が架け渡すように取り付けられている。
【0024】
この付勢部材6は、好ましくは例えばステンレス等の金属材料から構成され、それぞれの端部が、例えばねじ等によって第3の左アーム3L及び第3の右アーム3Rに固定されている。そして、これにより、第3の左アーム3Lの載置部5側の側面30Lと、第3の右アーム3Rの載置部5側の側面30Rから基板搬送方向下流側に凸部形状となるようにその長さが設定されている。
【0025】
さらに、本発明の場合、真空中におけるダストの発生を防止する観点から、付勢部材6が動力伝達機構4の表面及び載置部5の表面に接触しないように、付勢部材6の材料を選択し、また付勢部材6の形状及び配置を定めることが好ましい。
このような観点からは、付勢部材6の形状として、所定幅の帯状(ベルト状)に形成することがより好ましい。
【0026】
また、付勢部材6の取付位置は、載置部5の表面から上方に離間した位置で、付勢部材6の基板搬送方向下流側の部分が基板10の側面に確実に接触するように、付勢部材6の取付位置を定めることが好ましい。
【0027】
図2(a)(b)を用いて、本発明の動作原理及び構成を詳細に説明する。
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態では、リンク機構20が伸びた状態及び縮んだ状態においては、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rは、それぞれ基板搬送方向に対して傾斜した状態となるように構成する。
【0028】
ここで、リンク機構20が伸びた状態においては、図2(a)に示すように、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rのなす角度が例えば180度より大きくなるように設定する。
【0029】
また、本発明の場合、特に限定されるものではないが、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rにおける付勢部材6の固定部31L、31R間の距離を、例えば、第3の左アーム3L及び第3の右アーム3Rの先端部側の支軸23L、23R間の距離より大きい距離Dとする。
【0030】
一方、リンク機構20が縮んだ状態においては、図2(b)に示すように、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rのなす角度が例えば180度より小さくなるように設定する。
【0031】
このような構成において、リンク機構20が伸びた状態では、図2(a)に示すように、第3の左アーム3L及び第3の右アーム3R間に架け渡された付勢部材6の両端部近傍に対し、それぞれ内側方向へ巻き込む力(モーメント)Tが作用する。その結果、付勢部材6は、真円と比較して基板搬送方向につぶれた形状で静止した状態となる。
【0032】
そして、この状態において、付勢部材6の基板搬送方向下流側の部分(付勢部6a)が、搬送すべき基板10の側部と接触しないように、付勢部材6の形状、大きさ、材質を設定するとともに、第3の左アーム3L及び第3の右アーム3Rの取付面30L、30Rの角度、付勢部材6の固定位置(固定部31L、31R間距離)を設定する。
【0033】
一方、リンク機構6が縮んだ状態では、図2(b)に示すように、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rにおける付勢部材6の固定部31L、31R間の距離dは、リンク機構20が伸びた状態と比較して小さく(D>d)、しかも、第3の左アーム3Lの取付面30Lと第3の右アーム3Rの取付面30Rのなす角度は180度より小さくなるため、第3の左アーム3L及び第3の右アーム3R間に架け渡された付勢部材6の両端部近傍に対し、それぞれ基板搬送方向下流側へ押し出す力(モーメント)tが作用する。
【0034】
その結果、付勢部材6の基板搬送方向下流側の部分(付勢部6a)が、搬送すべき基板10の側部と接触し、基板10の側部に対し、載置部5の係止部5a、5bに向かう方向の力Fが作用し、これにより、当該基板10に対して基板搬送方向に関して上流及び下流側から押圧力が働き、載置部5上において基板10が保持(把持)される。
【0035】
この状態においては、第1の左アーム1L及び第1の右アーム1Rを同一の方向へ回転させることにより、基板10を保持した状態で旋回動作を行うことができる。
図3(a)〜(c)は、本実施の形態における搬送装置の動作を示す説明図である。
【0036】
ここでは、搬送室7から処理室8内に基板10を搬入する場合を例にとって説明する。なお、搬送室7及び処理室8は、図示しない真空排気系に接続されている。また、搬送室7と処理室8間には図示しないゲートバルブが接続されており、そのゲートバルブが開いた後、搬入、搬出動作を行う。
【0037】
まず、図3(a)に示すように、上述した如くリンク機構20を縮ませて基板10を保持した状態で載置部5の係止部5a、5bを処理室8側に向ける。
この状態から第1の左アーム1Lを時計回り方向へ回転させるとともに、第1の右アーム1Rを反時計回り方向へ回転させることにより、リンク機構20の伸び動作が開始され、図3(b)に示すように、基板10は処理室8に向って直進する。
【0038】
さらに、リンク機構20の伸び動作を継続することにより、図3(c)に示すように、基板10を処理室8内に搬入する。
この状態では、上述したように、付勢部材6の付勢部6aと基板10の側部とが接触しない状態となるため、処理室8に設置されている図示しない昇降機構によって基板10を支持して上昇させることにより、基板10を搬送装置50の載置部5から離脱させることができる。
【0039】
なお、付勢部材6の付勢部6aと基板10の側部との接触を解除するタイミングは、リンク機構20が伸び切った状態と同時でもよいし、リンク機構20が伸び切る前(直前)であってもよく、本発明が適用される搬送装置及び真空装置の大きさや配置構成に応じて適宜変更することができる。
【0040】
その後、第1の左アーム1Lを反時計回り方向へ回転させるとともに、第1の右アーム1Rを時計回り方向へ回転させてリンク機構20の縮み動作を行うことにより、載置部5を搬送室7内に戻すことができる。
【0041】
以上述べたように本実施の形態にあっては、複数の隣接リンク部を構成する第3の左アーム3Lと第3の右アーム3Rの相対的な位置関係(角度変化)に応じて載置部5の係止部5a、5bに対する付勢部6aの距離を変化させる付勢部材6を設け、付勢部材6と係止部5a、5bによって基板10を機械的に把持して保持するようにしたので、載置部5上面での基板10の滑りを抑制して(原理的には滑り無しで)、基板10の高速搬送を実現することができる。
【0042】
また、付勢部材6を含めて全ての部材を金属で作製することにより、搬送物や周囲の雰囲気温度が比較的低い環境下のみならず、搬送時の温度が高い(例えば300〜500℃)場合であっても熱変質や変形無しに基板10の滑りを抑制することができる。
【0043】
さらに、付勢部材6を帯状の部材とすることによって基板10を把持する近傍には摺動部が無くなるので、基板10を汚染するダストの発生を極限まで低減することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
【0044】
図4(a)(b)は、本発明の他の実施の形態の要部構成を詳細に示す動作説明図、図5は、同実施の形態の要部を示す概略側面図である。
例えば、上述した図2(a)(b)では、動力伝達機構4の上方に第3の左アーム3Lと第3の右アーム3Rが位置する構成となっているが、図4(a)(b)に示すように、動力伝達機構4の下方に第3の左アーム3Lと第3の右アーム3Rが位置する構成としても良い。
【0045】
本実施の形態では、付勢部材6の取付位置は、載置部5の下部表面から下方に離間した位置で、付勢部材6の基板搬送方向下流部側の部分(付勢部6a)が基板10の側面に確実に接触するように、付勢部材6の取付位置を定めることが好ましい。
【0046】
ここで、本実施の形態では、付勢部材6の取付位置が載置部5の下部表面から下方に離間した位置にあるので、付勢部材6の形状としては、例えば図5に示すように、所定幅の帯状で中腹部分を階段形状に形成し、付勢部6aを含む先端部分60が載置部5表面に対し上方に離間して位置するように構成することが好ましい。
【0047】
このような構成を有する本実施の形態によれば、例えば、米国特許6,364,599B1の図22や図23に示されている上側のエンドエフェクタと下側のエンドエフェクタの上下間隔を小さくしたアーム機構の下側アームのウエハ把持機構として使用できる。
尚、このアーム機構の上側アームのウエハ把持機構として前述した図2(a)(b)の構成を使用できる。
【0048】
一方、例えば、上述の実施の形態においては、弾性の付勢部材として、帯状のものを例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、角棒形状や丸棒形状のものを用いることもでき、またコイルばね状のものを用いることもできる。
ただし、搬送物、特に半導体基板を確実に保持し、かつ、付勢部材を載置部に接触させずダストの発生を防止する観点からは、帯状のものを用いることが好ましい。
【0049】
また、付勢部材の材料としては、金属に限られず、樹脂を用いることもできる。
ただし、高温で処理する場合の耐久性及び必要な弾性力を確保する観点からは、ステンレス等の金属材料からなるものを用いることが好ましい。
【0050】
さらに、本発明の変形例として、付勢部材の付勢部にピン状の部材を取り付け、ガイド部材によって案内しつつ当該ピンを搬送物に当接付勢させることも可能である。
ただし、構成の簡素化及び搬送物との接触面積を大きくして確実な搬送物保持を行う観点からは、上述した一連の帯状の付勢部材を用いることが好ましい。
【0051】
さらにまた、本発明は種々のリンク機構を有する搬送装置に適用することができるものである。
例えば、上述した実施の形態では、第3の左アーム3Lと第3の右アーム3Rとを回転することにより付勢部材6を動作させるようにしたが、本発明はこれに限られず、第2の左アーム2Lと第2の右アーム2Rに付勢部材6を固定して上述した動作を行うことも可能である。
【0052】
さらに、平行リンクアーム機構のようなそれぞれ相対的に平行移動する複数の隣接リンク部に付勢手段を固定して動作させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る搬送装置の実施の形態の構成を示す平面図
【図2】(a)(b):本発明の動作原理及び構成を詳細に示す説明図
【図3】(a)〜(c):本発明の実施の形態における搬送装置の動作を示す説明図
【図4】(a)(b):本発明の他の実施の形態の要部構成を詳細に示す動作説明図
【図5】同実施の形態の要部を示す概略側面図
【図6】従来技術に係る搬送装置の概略構成図
【図7】従来技術に係る搬送装置の要部概略構成図
【符号の説明】
【0054】
1L…第1の左アーム、1R…第1の右アーム、2L…第2の左アーム、2R…第2の右アーム、3L…第3の左アーム、3R…第3の右アーム、4…動力伝達機構、5…載置部、5a、5b…係止部、6…付勢部材(付勢手段)、7…搬送室、8…処理室、10…基板(搬送物)、20…リンク機構、50…搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力が伝達される複数のアームを有する伸縮自在なリンク機構と、
前記リンク機構の動作先端部において隣接する複数の隣接リンク部によって連結され、搬送物を載置するための載置部とを備え、
前記載置部には、当該搬送物の側部と当接して係止するための係止部が設けられるとともに、
前記リンク機構の前記複数の隣接リンク部材には、当該搬送物の側部と当接し当該搬送物を前記載置部の係止部に対して付勢する付勢部を有する付勢手段が設けられ、
前記付勢手段は、前記複数の隣接リンク部の相対的な位置関係に応じて前記載置部の係止部に対する前記付勢部の距離が変化するように構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記隣接リンク部は、回転方向が反対方向である一対の隣接するリンク部材を有し、前記付勢手段は、当該一対の隣接リンク部材に架け渡されて設けられている請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、帯状の一体的な弾性部材からなる請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記帯状の一体的な弾性部材は、その両端部が、前記一対の隣接リンク部材の回転中心軸に対して前記載置部の係止部側に取り付けられている請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
真空槽と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の搬送装置とを有し、
前記搬送装置の載置部が前記真空槽内に対して搬入及び搬出するように構成されている真空装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−69559(P2010−69559A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238191(P2008−238191)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】