携帯情報送受信装置
【課題】災害発生後、被災者の安否情報を簡単、迅速、確実に目的の送信先に発信する。
【解決手段】受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部103と、抽出された緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部105aと、安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部106と、安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部104と、緊急災害情報及び安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部108とを備える。
【解決手段】受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部103と、抽出された緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部105aと、安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部106と、安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部104と、緊急災害情報及び安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部108とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に携帯情報送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模災害時には、被災者の安否情報の収集方法や第三者への伝達方法が重要な問題となる。近年、携帯電話、PHS等の移動体無線通信システムの急速な普及により、災害等の緊急時の通信に移動体無線通信を利用する機会が増加している(例えば、特許文献1参照)。公共の災害緊急通信システムにも、地域防災無線等の無線通信が利用されている。しかし、災害時における急激な通信トラヒックの増加により、輻輳が起き、通信障害発生の問題が頻発している。有線通信である固定電話においては、輻輳はもちろん、通信網を構成する電話線が災害によって物理的に切断されることで、通信障害が生じる。災害時等の緊急時においては、通信障害を回避する通信手段によって被災者の情報を簡単、迅速、確実に発信することが重要となる。
【特許文献1】特開2002−164840公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、被災者の安否情報を簡単、迅速、確実に目的の送信先に発信する携帯情報送受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の様態によれば、受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部と、抽出された緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部と、安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部と、安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部と、緊急災害情報及び安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部とを備えることを特徴とする携帯情報送受信装置が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、被災者の安否情報を簡単、迅速、確実に目的の送信先に発信する携帯情報送受信装置を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0007】
(第1の実施の形態)
図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、情報通信エリア602に第1通信エリア603を備えるエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。災害情報発信局604は災害発生後、災害発生地域、災害発生時間、災害内容、災害規模及び被災現況等が含まれる「緊急災害情報」を発信する発信基地局である。情報発信エリア602は災害情報発信局604から発信される災害情報を受信可能なエリアである。情報通信エリア602に属する携帯情報送受信装置が災害情報発信局604から発信される緊急災害情報を受信可能である。第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30が安否情報応答メッセージを無線通信により予め記録された送信先アドレスへ送信する。第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30は例示であり、更に他の携帯情報送受信装置が配置されても構わないことはもちろんである。第1通信エリア603に配置された第1通信基地局605は第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1〜3携帯情報送受信装置10〜30を無線で接続するための中継設備である。第1通信エリア603内に属する第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のみ第1通信基地局605と接続可能である。図2に示すように、第1携帯情報送受信装置10は情報発信エリア602内に属することで、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、更に第1通信エリア603内に属することで、第1通信基地局605と接続可能である。第2携帯情報送受信装置20は第1携帯情報送受信装置10同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信基地局605と接続可能である。第3携帯情報送受信装置30は第1携帯情報送受信装置10及び第2携帯情報送受信装置20同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信基地局605と接続可能である。
【0008】
図1に示すように、第1携帯情報送受信装置10は、図2の災害情報発信局604から発信される緊急災害情報の電波を受信する第1携帯情報送受信装置受信アンテナ部11及び受信した緊急災害情報に含まれる音声信号及び音声データを変換して出力する第1携帯情報送受信装置音声出力部12を備える。更に、受信した緊急災害情報に含まれる映像信号及び映像データを変換して出力する第1携帯情報送受信装置映像出力部13及び第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10の使用者の操作により安否情報応答メッセージの送信を促す第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を備える。
【0009】
第1携帯情報送受信装置受信アンテナ部11は災害情報発信局604から発信される緊急災害情報の受信用と第1通信基地局605への安否情報応答メッセージのための送受信用とで異なる2種類のアンテナで構成される場合もある。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0010】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図3に示すように、災害情報受信部101、映像音声複合部102、緊急災害付加情報抽出部103、送信アドレス記憶部104、メッセージ作成部105a、メッセージ記憶部106、映像音声出力部107、制御部108、及び通信部109を備える。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0011】
図3の災害情報受信部101は図2に示す災害情報発信局604からエンコードされて発信された緊急災害情報を受信し、携帯情報送受信装置を起動するとともに、映像及び音声信号と緊急災害付加情報とを分離する。
【0012】
映像音声複合部102は、災害情報受信部101から受信情報の映像及び音声データを受け取りデコーディングして、人間が認識できる映像及び音声の形式に変換処理を行う。尚、エンコーディング、デコーディングの際に使用されるコーデックの種類についても、映像の場合は、H.263、H.264(MPEG(Moving Picture Experts Group)-4 Part 10 AVC(Advanced Video Coding))、Motion JPEG(Joint Photographic Experts Group)、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、XviD及びWMV9(Windows(登録商標)Media Video 9)等、音声の場合は、WMA(Windows(登録商標)Media Audio)、MP3(MPEG Audio Layer-3)、Mp3PRO、MPEG-4及びALS(MPEG-4 Audio Lossless)等が使用可能である。
【0013】
映像音声出力部107は、映像音声複合部102から受け取った映像及び音声をそれぞれ図1に示す携帯情報送受信装置音声出力部12及び携帯情報送受信装置映像出力部13を通して出力する。緊急災害付加情報抽出部103は、災害情報受信部101が受信した受信情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を抽出する。「緊急災害付加情報」は災害が発生した場所、時間、災害の内容、現在の被災状況、今後の災害の拡大予測、避難勧告の有無、国、地方自治体による今後の災害対策及び個人による今後の災害対策等が含まれる。
【0014】
送信アドレス記憶部104は、メッセージ作成部105aによって作成された安否情報応答メッセージを送信する送信先アドレスが記憶される。尚、送信アドレス記憶部104はハードディスクドライブのような磁気ディスク装置、不揮発性半導体メモリ及びメモリーカード等が使用可能である。又、安否情報応答メッセージの送信先のハードウエアについては、携帯電話、パソコン、携帯情報端末(PDA)、電子掲示板(BBS)及び電光掲示板等が使用可能である。
【0015】
メッセージ作成部105aは、予め第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報及び安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文を保持しており、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容を加えて、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。すなわち、第1の実施の形態に係る「安否情報応答メッセージ」は、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、緊急災害付加情報の内容及び安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文により構成される。
【0016】
メッセージ記憶部106は、メッセージ作成部105aによって作成された、第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを送信するまで一旦記録する。尚、メッセージ記憶部106はハードディスクドライブのような磁気ディスク装置、不揮発性半導体メモリ及びメモリーカード等が使用可能である。
【0017】
制御部108は、第1携帯情報送受信装置10の中央処理装置(CPU)として第1携帯情報送受信装置10全体を制御する機能を持つ。まず、本発明の第1の実施の形態に係る機能では、第1携帯情報送受信装置10の使用者の、図1に示される第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14に対する操作処理を検出する。次に、予め送信アドレス記憶部104に記録されている送信先アドレスに対して、メッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージの送信を促す。
【0018】
通信部109は、制御部108により指示を受け、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して送信されるメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、所定の通信手段を利用して災害情報発信局が使用した無線伝送路とは異なる無線伝送路を通して送信する。尚、メッセージ記憶部106によって送信される安否情報応答メッセージは電子メールを送信するプロトコルであるSMTP及びインスタントメッセンジャー等が使用可能である。又、通信部109が利用する無線通信方式については、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、PDC(Personal Digital Cellular)、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11j、IEEE802.11n、近接無線通信機能、FWA(Fixed Wireless Access)、UWB(Ultra Wide Band)、PHS(Personal Handyphone System)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、EDGE(Enhanced Data GSM Environment)及びHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)等が使用可能である。
【0019】
次に、図4に示すフローチャートを用いて、図2の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。
【0020】
(a)ステップS101において、災害が発生すると、衛星放送、地上波放送等を利用し、各テレビ局、国/地方自治体の公共機関等の情報発信機関から緊急災害情報が発信される。ここで、ステップS102において、図2に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を情報発信エリア内に存在する第1携帯情報送受信装置10の災害情報受信部101が無線伝送路を介して受信するとして、以下の説明をする。
【0021】
(b)映像及び音声データは映像音声複合部102に送られる。ステップS103において、災害情報受信部101より送られた映像及び音声データは映像音声複合部102によってデコードされた後、映像音声出力部107に送られる。ステップS104において、映像音声複合部102によってデコードされた映像及び音声データは映像音声出力部107を通して映像及び音声としてそれぞれが出力される。
【0022】
(c)ステップS105において、緊急災害付加情報抽出部103は、図2に示す災害情報発信局604より受信した緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を取り出し、メッセージ作成部105aに送る。「緊急災害付加情報」は前述したように、災害が発生した場所、時間、災害の内容、現在の被災状況、今後の災害の拡大予測、避難勧告の有無、国、地方自治体による今後の災害対策及び個人による今後の災害対策等を含む。ステップS106において、メッセージ作成部105aは、緊急災害付加情報抽出部103によって取り出された緊急災害付加情報を基に、緊急災害情報に応答した安否情報応答メッセージを作成する。ステップS107において、メッセージ作成部105aによって作成された安否情報応答メッセージは一旦、メッセージ記憶部106に記録される。
【0023】
(d)ステップS108において、制御部108は、第1携帯情報送受信装置10の使用者の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14の操作処理を検出し、予め送信アドレス記憶部104に記録されている送信先アドレスに対して、メッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージの送信を促す。安否情報応答メッセージは緊急災害情報を受信した際に自動的に作成されるが、第1形態情報送受信装置10の使用者が図1の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を操作しなければ、安否情報応答メッセージは送信されない。制御部108に指示を受けたメッセージ記憶部106は通信部109を通して、所定の無線通信方式によりメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して送信する。
【0024】
(e)ステップS109において、メッセージ記憶部106が記録されている安否情報応答メッセージの送信が完了し、メッセージ記憶部106から出された完了通知を制御部108が受け取り、制御部108が安否情報応答メッセージの送信完了を認識すると、第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10の処理動作は完了する。尚、第1携帯情報送受信装置10の処理動作については、安否情報応答メッセージの送信先アドレスへの送信処理のみをもって完了としてもよいし、送信先アドレスへの着信が失敗した場合は送信を繰り返し、着信の成功をもって完了としてもよい。図4では、安否情報応答メッセージの送信先アドレスへの着信失敗による繰り返し送信処理は含まず、安否情報応答メッセージの送信処理のみが第1携帯情報送受信装置10の処理動作完了となる方法を示している。
【0025】
このように、第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10は緊急災害情報を受信することによって、第1携帯情報送受信装置10の使用者を特定する個人情報、緊急災害付加情報の内容及び発生した災害に対する第1携帯情報送受信装置10の使用者の安否に関する情報を記載したメッセージを作成し、予め登録している送信先にメッセージを送信することができる。ここで、作成したメッセージとは例えば、「東京都渋谷区を震源としてマグニチュード3の地震が発生しました。山田太郎は地震による怪我等しておらず、災害の影響はありません。」のような記載内容となる。予め登録するべき送信先には両親、兄弟、親類、友人及び恋人等、人間関係が懇意な状態にある者が考えられる。また、送信先には携帯キャリアや地方自治体が提供する災害に関するホームページの掲示板を送信先に設定することも可能である。作成メッセージを閲覧した者は、内容を確認することで第1携帯情報送受信装置10の使用者の安否を把握することができる。
【0026】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0027】
(第2の実施の形態)
図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。図5は、情報発信エリア602内に配置され、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、受信した情報に対する安否情報応答メッセージを予め設定した送信先に送信する第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30の問合せに対して応答し、位置情報を検出及び提供する全地球測位システム(GPS)600を図2に追加して構成される。
【0028】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図6に示すように、図3の第1携帯情報送受信装置10に位置情報検出部201を追加した装置である。位置情報検出部201はGPS機能を用いて、衛星から発信される電波を利用することで位置(緯度,経度,標高)を計算し、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を検出する。
【0029】
更に、図6におけるメッセージ作成部105bは、予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より検出した位置情報により、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。また、メッセージ作成部105aは予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文及び緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容により自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。従って、第2の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10を構成するメッセージ作成部105bと第1の実施の形態に係るメッセージ作成部105aとでは安否情報応答メッセージを構成する要素の種類において異なる。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0030】
次に、図7に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。
【0031】
(a)図7に示すように、図4の第1携帯情報送受信装置10が図5に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、図7に示すように、ステップS210が加えられ、ステップS206の処理内容が変更される。すなわち、図4に示すステップS101〜105及びステップS107〜109と図7に示すステップS201〜205及びステップS207〜209は同様の処理を行う。しかし、ステップS106が第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文及び緊急災害付加情報の内容で構成した安否情報応答メッセージを作成するのに対して、ステップS206はステップS106で作成される安否情報応答メッセージに、位置情報検出部201により検出された位置情報を加えた構成で安否情報応答メッセージを作成する点でステップS206はステップS106から処理内容が変更される。
【0032】
(b)ステップS210において、図6の第1携帯情報送受信装置10が複数の衛星から出力される電波を受信し、それぞれの衛星の軌道情報とからGPS機能により算出した結果、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を検出する。検出した第1携帯情報送受信装置10の位置情報はメッセージ作成部105bに第1携帯情報送受信装置10の位置情報として位置情報検出部201から送られる。ステップS206において、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を受け取ったメッセージ作成部105bは、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より受け取った位置情報とから、安否情報応答メッセージを作成し、メッセージ記憶部106に記録する。
【0033】
このように、第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージの作成過程において、第1携帯情報送受信装置10すなわち第1携帯情報送受信装置10の使用者である被災者の位置情報を検出し、安否情報応答メッセージの中に追加する。そのため、被災者より安否情報応答メッセージを受信し、閲覧することが可能な安否情報応答メッセージ受信者は、被災地情報と被災者の位置情報を比較して、被災者の安否をより具体的に把握することができる。
【0034】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0035】
(第3の実施の形態)
図5に示す本発明の第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。
【0036】
第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置である図5の第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10の詳細は、図8に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に災害影響度評価判定部301を追加した装置である。災害影響度評価判定部301は緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害の種類や規模、被災地に関する地域情報と位置情報検出部201によって検出された第1携帯情報送受信装置10の位置情報とを災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標に基づいて比較、評価及び判定し、ステップS312以降の処理を限定する。予め規定された指標は災害影響度評価判定部301が比較、評価及び判定する際の評価基準となる指標値として設定される。
【0037】
ここで、評価基準となる指標値は災害の規模による影響の大きさを考慮して第1携帯情報送受信装置10の使用者が柔軟に設定を変更することも可能である。例えば「災害情報受信地域範囲」及び「災害規模」の2つの要素により構成される数値の平均値として指標地を規定することができる。又、評価条件は「災害発生時の評価対象値≧指標値」と規定することができる。この場合、例えば指標値の構成要素[災害情報受信地域範囲,災害規模]を[5,3]と設定すれば、指標値は4となる。このとき災害発生時の値[災害情報受信地域範囲,災害規模]が[4,5]であれば、災害発生時の評価対象値は4.5となり、評価条件を満たすため、評価結果は「はい」となり、安否情報応答メッセージは送信対象者に送信される。又、災害発生時の値[災害情報受信地域規模,災害規模]が[3,2]であれば、災害発生時の評価対象値は2.5となり、評価条件を満たさないため、評価結果は「いいえ」となり、安否情報応答メッセージは破棄される。ここで、例えば「災害情報受信地域範囲」は「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が800〜1000km」を「1」、「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が600〜800km」を「2」、・・・、「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が0〜200km」を「5」と設定することができる。又、「災害規模」は「マグニチュード1」を「1」、「マグニチュード2」を「2」、・・・、「マグニチュード5」を「5」と設定することができる。以上の規定、設定値及び評価条件等となる指標を構成する要素の種類や各要素に対する重み付け、要素の数あるいは指標値の算出方法等は第1携帯情報送受信装置10の使用者の災害評価ポリシーにより決められる。災害評価ポリシーとして評価基準となる指標値及び評価条件を安全サイドで設定すれば、直接災害の影響が発生しない場合でも安否情報応答メッセージを送信し、メッセージの送信トラヒックが増加する。それに従い、第1携帯情報送受信装置10の使用者の金銭コストも、同ネットワークを使用する他の第1携帯情報送受信装置10の使用者のネットワークコストも負担が増加する。逆に、災害評価ポリシーとして、評価基準となる指標値及び評価条件を危険サイドで設定すれば、金銭コスト及び無駄なトラヒック等によるネットワークコストの削減にはなるが、第1携帯情報送受信装置10の使用者に災害の影響が及んでもメッセージは送信されない場合が生じる可能性もあり、第1携帯情報送受信装置10の本来の有用な効果を得られない結果となる可能性も考えられる。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0038】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図6における第1携帯情報送受信装置10が災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS311及びステップS312が加えらる。なお、図7のステップS201〜210と図9のステップS301〜310は同様の処理を行う。
【0039】
(a)ステップS311において、図8の災害影響度評価判定部301は図5の災害情報発信局604より発信された緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害の種類や規模、被災地に関する地域情報と位置情報検出部201によって検出された第1携帯情報送受信装置10の位置情報とを災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標に基づいて比較及び評価する。ここで、災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標とは、災害の発生によって、比較評価対象すなわち第1携帯情報送受信装置10の使用者に災害の影響を及ぼすであろうと考えられる要素と算出方法により定められる評価基準である。
【0040】
(b)その評価基準である指標による評価結果が評価条件を満たした場合、ステップS312で評価結果は「はい」と判定され、処理はステップS306に移行し、メッセージ作成部105bは第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、緊急災害付加情報の内容、位置情報及び応答メッセージ定型文によって構成される安否情報応答メッセージを作成する。又、評価結果が評価条件を満たさない場合、ステップS312で評価結果は「いいえ」と判定され、処理はステップS309に移行し、安否情報応答メッセージは作成されず処理を終了する。
【0041】
このように、第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が災害情報と第1携帯情報送受信装置10の使用者の位置情報とにより、安否情報応答メッセージの送信処理を制限する設定が可能なことで、金銭コスト及びネットワークコストの無駄を省き、且つ安否情報応答メッセージ受信者に対しても第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する適切な安否情報応答メッセージを送信することが可能である。
【0042】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0043】
(第4の実施の形態)
図10に示す本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、情報通信エリア602に第1通信エリア603及び第2通信エリア606を備えるエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603及び第2通信エリア606のそれぞれに配置された携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605及び第2通信基地局607へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。災害情報発信局604は災害発生後、災害発生地域、災害発生時間、災害内容、災害規模及び被災現況等が含まれる「緊急災害情報」を発信する発信基地局である。情報発信エリア602は災害情報発信局604から発信される災害情報を受信可能なエリアである。情報通信エリア602に属する携帯情報送受信装置が災害情報発信局604から発信される緊急災害情報を受信可能である。第2通信エリア606に配置された第1携帯情報送受信装置10、及び第1通信エリア606に配置された第1〜4携帯情報送受信装置10〜40が安否情報応答メッセージを無線通信により予め記録された送信先アドレスへ送信する。第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30及び第4携帯情報送受信装置40は例示であり、更に他の携帯情報送受信装置が配置されても構わないことはもちろんである。第2通信エリア606に配置された第2通信基地局607は携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1携帯情報送受信装置10を接続するための中継設備である。第1通信エリア603に配置された第1通信基地局605及び第2通信基地局607は携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1〜4携帯情報送受信装置10〜40を接続するための中継設備である。第2通信エリア606内に配置された携帯情報送受信装置のみ第2通信基地局607と接続可能である。図10に示すように、第1携帯情報送受信装置10は情報発信エリア602内に属することで、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、更に第1通信エリア603内及び第2通信エリア606内に属することで、第1通信基地局605及び第2通信基地局607とそれぞれ接続可能である。第2〜4携帯情報送受信装置20〜40は第1携帯情報送受信装置10同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信エリア603内に属しているため第1通信基地局605と接続可能であるが、第2通信エリア606内には属していないため第2通信基地局607とは接続不可能である。
【0044】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図11に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に通信モジュール優先順位決定部401及び通信部109を構成する第1通信モジュール402、第2通信モジュール403、第3通信モジュール404、第4通信モジュール405、第5通信モジュール406を追加した装置である。図11の通信モジュール優先順位決定部401は、通信部109を構成する複数の通信モジュールすなわち第1通信モジュール402、第2通信モジュール403、第3通信モジュール404、第4通信モジュール405、第5通信モジュール406のように複数の通信モジュールの中から、安否情報応答メッセージを送信するための通信を行うに当たって、最適な通信を実現するための通信方式を持つ通信モジュールを選択し、通信実行の優先順位を決定する。通信モジュールの優先順位決定方法は、予め通信モジュール優先順位決定部401に設定された通信モジュール選択の優先順位を決定するルールに則り、被災状況あるいは通信状況等の実際の通信に影響を及ぼす要因をパラメータとして決定される。複数の通信モジュールはそれぞれ、第1の実施の形態における通信部109が取り得る無線通信方式のいずれかの方式をとる。又、通信モジュール優先順位決定部401が複数の通信モジュールの中から、最適な通信を可能にする通信方式を持つ通信モジュールを選択する際の優先順位を決定するためのルールは、例えば通信エリアの大きさ、第1携帯情報送受信装置10から通信基地局までの距離及び通信基地局の被災状況等を要素として定義される。通信エリアに関しては、エリアが大きい方が同一エリアに存在する他の第1携帯情報送受信装置10の使用者数も増加するため、発生するトラヒックも増加し、通信が規制される可能性も高くなる。その場合は通信エリアの小さい通信方式が優先順位として高く設定される。又、第1携帯情報送受信装置10から通信基地局までの距離に関しては、電波の反射、回折の可能性及び距離減衰による通信品質の低下の要因の観点より第1携帯情報送受信装置10からの距離がより短い通信基地局に対応する通信方式が優先順位として高く設定される。更に、通信基地局が災害によって本来の通信基地局としての機能を果たさない場合は、対象の通信モジュールは通信手段として設定されない。安否情報応答メッセージ送信時、最適な通信を行う通信モジュールを選択する際の優先順位を決定するために、どのようなルールにするか、複数のルールの中からどのルールを適用するか、あるいは複数のルールの組合わせによる新たなルールとして適用するか、その場合どのルールの組合わせにするか等は、過去の災害と災害時の通信結果を基に検討、作成し、予め通信モジュール優先順位決定部401に設定しておくものとする。
【0045】
次に、図12に示すフローチャートを用いて、図10の第1通信エリア603及び第2通信エリア606の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図11に示す第1携帯情報送受信装置図10は、図7の第1携帯情報送受信装置10が図10に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS411及びステップS412が加えらる。なお、ステップS201〜207及びステップS209〜210とステップS401〜407及びステップS409〜410は同様の処理を行う。しかし、図7のステップS208と図12のステップS408は、ステップS208が固定されたただ1つの通信モジュールを持ち、よっていかなる災害状況、通信環境、通信状況においてもただ1つの通信手段によって通信を試みるのに対し、ステップS408は複数の通信モジュールを持ち、災害状況、通信環境、通信状況によって決定された優先順位に応じた通信手段を用いて通信を試みることを可能とする点において異なる。
【0046】
(a)ステップS411において、図11の通信モジュール優先順位決定部401は、通信部109を構成する複数の通信モジュールの中から、安否情報応答メッセージを送信するための通信を行うに当たって、最適な通信を実現するための通信方式を持つ通信モジュール選択の優先順位を、予め設定されたルールに則って決定する。通信モジュール優先順位決定部401が通信を行う通信モジュールの優先順位を決定すると、通信部109は優先順位の高い通信モジュールを使用して通信を行う。まず、優先順位が第1番目に設定された通信モジュールを使用して通信を試みる。
【0047】
(b)ステップS408において安否情報応答メッセージの送信が成功すれば、ステップS412において、その結果を基にステップS409の処理に移行する。ステップS408において安否情報応答メッセージの送信が失敗すれば、ステップS412において、その結果を基にステップS411の処理に移行する。このとき、ステップS411においては、通信部109は通信モジュール優先順位決定部401によって優先順位を2番目に設定された通信モジュールを使用して通信を試みる。このように、安否情報応答メッセージの送信が失敗した場合には、通信部109は、通信モジュール優先順位決定部401によって優先順位を設定された通信部109を構成する通信モジュールを優先順位の高い通信モジュールから順番に使用して安否情報応答メッセージの送信が成功するまで繰り返し通信を試みる。
【0048】
このように、第4の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10が、安否情報応答メッセージを送信する際、災害状況、通信環境、通信状況に応じて使用する通信モジュールの最適な優先順位を決定する。決定された通信モジュールの順位に従って、対応する通信方式の通信を行うことで、現状における最適な通信を実現でき、固定された通信方式あるいは複数の中から任意の通信方式を選択した場合よりも、迅速、確実に安否情報応答メッセージを送信することが可能になる。
【0049】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30及び第4携帯情報送受信装置40等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0050】
(第5の実施の形態)
図5に示す本発明の第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。
【0051】
第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置である図5の第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10の詳細は図13に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に生体情報検出部501を追加した装置である。生体情報検出部501は、災害発生時に第1携帯情報送受信装置10の使用者が安否情報応答メッセージを送信すべく、第1携帯情報送受信装置10の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を操作した際に、接触した身体から第1携帯情報送受信装置10の使用者の心拍数、体温、血圧等の生体情報を検出し、メッセージ作成部105cへ送る。メッセージ作成部105cは、予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した災害情報発信局604より発信された緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害に関する情報及び位置情報検出部201より検出した位置情報に、生体情報検出部501から受け取った生体情報を併せて、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。なお、図13のメッセージ作成部105cは、図6のメッセージ作成部105bと、作成するメッセージの内容において異なる。メッセージ作成部105cで作成するメッセージの内容は、メッセージ作成部105bで作成する内容に、生体情報を付加したものである。
【0052】
次に、図14に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図7に示す第1携帯情報送受信装置10が図5に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS511が加えられ、ステップS506の処理内容が変更される。すなわち、ステップS201〜205及びステップS207〜210とステップS501〜505及びステップS507〜510は同様の処理を行う。しかし、ステップS206が第1携帯情報送受信装置10の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容、位置情報検出部201より検出した位置情報で構成した安否情報応答メッセージを作成するのに対して、ステップS506はステップS206で作成される安否情報応答メッセージに、生体情報検出部501により検出した生体情報を加えた構成で安否情報応答メッセージを作成する点でステップS506はステップS206から処理内容が変更される。
【0053】
ステップS511において、図13の生体情報検出部501が第1携帯情報送受信装置10の使用者の生体情報を検出する。検出した生体情報はメッセージ作成部105cに送られ、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より受け取った位置情報と併せて安否情報応答メッセージがメッセージ作成部105cによって作成される。
【0054】
このように、第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が、安否情報応答メッセージの作成過程において、第1携帯情報送受信装置10の使用者である被災者の生体情報を検出し、安否情報応答メッセージの中に追加することで、被災者より安否情報応答メッセージを受信し、閲覧することが可能な安否情報応答メッセージ受信者は、被災時における被災者の安否の状況をより具体的に把握することができる。
【0055】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0056】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、図2に示す第1携帯情報送受信装置10の通信部109は、制御部108に指示を受けメッセージ記憶部106より、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して、送信されるメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、設定された通信手段を利用して災害情報発信局604が使用した無線伝送路とは異なる無線伝送路を通して送信すると説明した。これに対し、図3に示す第1携帯情報送受信装置10の通信部109は、予め記録されている送信先アドレスに対して、安否情報応答メッセージを送信するが、通信に失敗してその結果、安否情報応答メッセージの送信に失敗した場合は、予め設定した回数だけ繰り返し送信を試みるとしてもよい。また、メッセージ記憶部106に記録された安否情報応答メッセージは、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスを持つ端末の使用者からの要求により、要求対象の安否情報応答メッセージを閲覧あるいは受信することが可能としてもよい。更に、災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信して自動的に作成される安否情報応答メッセージは、装置内に内蔵された記憶域であるメッセージ記憶部106に記録されると説明したが、第1携帯情報送受信装置10の電源がOFFあるいは通信が不可能な場合でも、安否情報応答メッセージの確認ができるよう、外部端末の記憶域に記録されピアツーピアで通信できるとしても、あるいは外部サーバの記憶域に記録されインターネットを通して通信できるとしてもよい。更に、第1携帯情報送受信装置10は図3、6、8、11及び13に示すような全機能を所有する機能一体型の装置でも、特定の機能のみ脱着可能な部品等に分割した装置とすることもできる。例えば、図13において第1携帯情報送受信装置10は通信の機能を持つ通信部のみから構成されるものとし、メッセージ作成部105c、メッセージ記憶部106及び生体情報検出部501等の通信部以外の機能は、内臓可能な部品あるいは脱着可能な部品として分割するものとしてもよいことは勿論である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を表す外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
10…第1携帯情報送受信装置
14…第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部
101…災害情報受信部
103…緊急災害付加情報抽出部
104…送信アドレス記憶部
105a…メッセージ作成部
105b…メッセージ作成部
105c…メッセージ作成部
106…メッセージ記憶部
108…制御部
109…通信部
201…位置情報検出部
301…災害影響度評価判定部
401…通信モジュール優先順位決定部
402…第1通信モジュール
403…第2通信モジュール
404…第3通信モジュール
405…第4通信モジュール
406…第5通信モジュール
501…生体情報検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に携帯情報送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模災害時には、被災者の安否情報の収集方法や第三者への伝達方法が重要な問題となる。近年、携帯電話、PHS等の移動体無線通信システムの急速な普及により、災害等の緊急時の通信に移動体無線通信を利用する機会が増加している(例えば、特許文献1参照)。公共の災害緊急通信システムにも、地域防災無線等の無線通信が利用されている。しかし、災害時における急激な通信トラヒックの増加により、輻輳が起き、通信障害発生の問題が頻発している。有線通信である固定電話においては、輻輳はもちろん、通信網を構成する電話線が災害によって物理的に切断されることで、通信障害が生じる。災害時等の緊急時においては、通信障害を回避する通信手段によって被災者の情報を簡単、迅速、確実に発信することが重要となる。
【特許文献1】特開2002−164840公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、被災者の安否情報を簡単、迅速、確実に目的の送信先に発信する携帯情報送受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の様態によれば、受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部と、抽出された緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部と、安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部と、安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部と、緊急災害情報及び安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部とを備えることを特徴とする携帯情報送受信装置が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、被災者の安否情報を簡単、迅速、確実に目的の送信先に発信する携帯情報送受信装置を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0007】
(第1の実施の形態)
図2に示す本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、情報通信エリア602に第1通信エリア603を備えるエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。災害情報発信局604は災害発生後、災害発生地域、災害発生時間、災害内容、災害規模及び被災現況等が含まれる「緊急災害情報」を発信する発信基地局である。情報発信エリア602は災害情報発信局604から発信される災害情報を受信可能なエリアである。情報通信エリア602に属する携帯情報送受信装置が災害情報発信局604から発信される緊急災害情報を受信可能である。第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30が安否情報応答メッセージを無線通信により予め記録された送信先アドレスへ送信する。第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30は例示であり、更に他の携帯情報送受信装置が配置されても構わないことはもちろんである。第1通信エリア603に配置された第1通信基地局605は第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1〜3携帯情報送受信装置10〜30を無線で接続するための中継設備である。第1通信エリア603内に属する第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のみ第1通信基地局605と接続可能である。図2に示すように、第1携帯情報送受信装置10は情報発信エリア602内に属することで、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、更に第1通信エリア603内に属することで、第1通信基地局605と接続可能である。第2携帯情報送受信装置20は第1携帯情報送受信装置10同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信基地局605と接続可能である。第3携帯情報送受信装置30は第1携帯情報送受信装置10及び第2携帯情報送受信装置20同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信基地局605と接続可能である。
【0008】
図1に示すように、第1携帯情報送受信装置10は、図2の災害情報発信局604から発信される緊急災害情報の電波を受信する第1携帯情報送受信装置受信アンテナ部11及び受信した緊急災害情報に含まれる音声信号及び音声データを変換して出力する第1携帯情報送受信装置音声出力部12を備える。更に、受信した緊急災害情報に含まれる映像信号及び映像データを変換して出力する第1携帯情報送受信装置映像出力部13及び第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10の使用者の操作により安否情報応答メッセージの送信を促す第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を備える。
【0009】
第1携帯情報送受信装置受信アンテナ部11は災害情報発信局604から発信される緊急災害情報の受信用と第1通信基地局605への安否情報応答メッセージのための送受信用とで異なる2種類のアンテナで構成される場合もある。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0010】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図3に示すように、災害情報受信部101、映像音声複合部102、緊急災害付加情報抽出部103、送信アドレス記憶部104、メッセージ作成部105a、メッセージ記憶部106、映像音声出力部107、制御部108、及び通信部109を備える。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0011】
図3の災害情報受信部101は図2に示す災害情報発信局604からエンコードされて発信された緊急災害情報を受信し、携帯情報送受信装置を起動するとともに、映像及び音声信号と緊急災害付加情報とを分離する。
【0012】
映像音声複合部102は、災害情報受信部101から受信情報の映像及び音声データを受け取りデコーディングして、人間が認識できる映像及び音声の形式に変換処理を行う。尚、エンコーディング、デコーディングの際に使用されるコーデックの種類についても、映像の場合は、H.263、H.264(MPEG(Moving Picture Experts Group)-4 Part 10 AVC(Advanced Video Coding))、Motion JPEG(Joint Photographic Experts Group)、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、XviD及びWMV9(Windows(登録商標)Media Video 9)等、音声の場合は、WMA(Windows(登録商標)Media Audio)、MP3(MPEG Audio Layer-3)、Mp3PRO、MPEG-4及びALS(MPEG-4 Audio Lossless)等が使用可能である。
【0013】
映像音声出力部107は、映像音声複合部102から受け取った映像及び音声をそれぞれ図1に示す携帯情報送受信装置音声出力部12及び携帯情報送受信装置映像出力部13を通して出力する。緊急災害付加情報抽出部103は、災害情報受信部101が受信した受信情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を抽出する。「緊急災害付加情報」は災害が発生した場所、時間、災害の内容、現在の被災状況、今後の災害の拡大予測、避難勧告の有無、国、地方自治体による今後の災害対策及び個人による今後の災害対策等が含まれる。
【0014】
送信アドレス記憶部104は、メッセージ作成部105aによって作成された安否情報応答メッセージを送信する送信先アドレスが記憶される。尚、送信アドレス記憶部104はハードディスクドライブのような磁気ディスク装置、不揮発性半導体メモリ及びメモリーカード等が使用可能である。又、安否情報応答メッセージの送信先のハードウエアについては、携帯電話、パソコン、携帯情報端末(PDA)、電子掲示板(BBS)及び電光掲示板等が使用可能である。
【0015】
メッセージ作成部105aは、予め第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報及び安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文を保持しており、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容を加えて、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。すなわち、第1の実施の形態に係る「安否情報応答メッセージ」は、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、緊急災害付加情報の内容及び安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文により構成される。
【0016】
メッセージ記憶部106は、メッセージ作成部105aによって作成された、第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを送信するまで一旦記録する。尚、メッセージ記憶部106はハードディスクドライブのような磁気ディスク装置、不揮発性半導体メモリ及びメモリーカード等が使用可能である。
【0017】
制御部108は、第1携帯情報送受信装置10の中央処理装置(CPU)として第1携帯情報送受信装置10全体を制御する機能を持つ。まず、本発明の第1の実施の形態に係る機能では、第1携帯情報送受信装置10の使用者の、図1に示される第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14に対する操作処理を検出する。次に、予め送信アドレス記憶部104に記録されている送信先アドレスに対して、メッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージの送信を促す。
【0018】
通信部109は、制御部108により指示を受け、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して送信されるメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、所定の通信手段を利用して災害情報発信局が使用した無線伝送路とは異なる無線伝送路を通して送信する。尚、メッセージ記憶部106によって送信される安否情報応答メッセージは電子メールを送信するプロトコルであるSMTP及びインスタントメッセンジャー等が使用可能である。又、通信部109が利用する無線通信方式については、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、PDC(Personal Digital Cellular)、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11j、IEEE802.11n、近接無線通信機能、FWA(Fixed Wireless Access)、UWB(Ultra Wide Band)、PHS(Personal Handyphone System)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、EDGE(Enhanced Data GSM Environment)及びHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)等が使用可能である。
【0019】
次に、図4に示すフローチャートを用いて、図2の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。
【0020】
(a)ステップS101において、災害が発生すると、衛星放送、地上波放送等を利用し、各テレビ局、国/地方自治体の公共機関等の情報発信機関から緊急災害情報が発信される。ここで、ステップS102において、図2に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を情報発信エリア内に存在する第1携帯情報送受信装置10の災害情報受信部101が無線伝送路を介して受信するとして、以下の説明をする。
【0021】
(b)映像及び音声データは映像音声複合部102に送られる。ステップS103において、災害情報受信部101より送られた映像及び音声データは映像音声複合部102によってデコードされた後、映像音声出力部107に送られる。ステップS104において、映像音声複合部102によってデコードされた映像及び音声データは映像音声出力部107を通して映像及び音声としてそれぞれが出力される。
【0022】
(c)ステップS105において、緊急災害付加情報抽出部103は、図2に示す災害情報発信局604より受信した緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を取り出し、メッセージ作成部105aに送る。「緊急災害付加情報」は前述したように、災害が発生した場所、時間、災害の内容、現在の被災状況、今後の災害の拡大予測、避難勧告の有無、国、地方自治体による今後の災害対策及び個人による今後の災害対策等を含む。ステップS106において、メッセージ作成部105aは、緊急災害付加情報抽出部103によって取り出された緊急災害付加情報を基に、緊急災害情報に応答した安否情報応答メッセージを作成する。ステップS107において、メッセージ作成部105aによって作成された安否情報応答メッセージは一旦、メッセージ記憶部106に記録される。
【0023】
(d)ステップS108において、制御部108は、第1携帯情報送受信装置10の使用者の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14の操作処理を検出し、予め送信アドレス記憶部104に記録されている送信先アドレスに対して、メッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージの送信を促す。安否情報応答メッセージは緊急災害情報を受信した際に自動的に作成されるが、第1形態情報送受信装置10の使用者が図1の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を操作しなければ、安否情報応答メッセージは送信されない。制御部108に指示を受けたメッセージ記憶部106は通信部109を通して、所定の無線通信方式によりメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して送信する。
【0024】
(e)ステップS109において、メッセージ記憶部106が記録されている安否情報応答メッセージの送信が完了し、メッセージ記憶部106から出された完了通知を制御部108が受け取り、制御部108が安否情報応答メッセージの送信完了を認識すると、第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10の処理動作は完了する。尚、第1携帯情報送受信装置10の処理動作については、安否情報応答メッセージの送信先アドレスへの送信処理のみをもって完了としてもよいし、送信先アドレスへの着信が失敗した場合は送信を繰り返し、着信の成功をもって完了としてもよい。図4では、安否情報応答メッセージの送信先アドレスへの着信失敗による繰り返し送信処理は含まず、安否情報応答メッセージの送信処理のみが第1携帯情報送受信装置10の処理動作完了となる方法を示している。
【0025】
このように、第1の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10は緊急災害情報を受信することによって、第1携帯情報送受信装置10の使用者を特定する個人情報、緊急災害付加情報の内容及び発生した災害に対する第1携帯情報送受信装置10の使用者の安否に関する情報を記載したメッセージを作成し、予め登録している送信先にメッセージを送信することができる。ここで、作成したメッセージとは例えば、「東京都渋谷区を震源としてマグニチュード3の地震が発生しました。山田太郎は地震による怪我等しておらず、災害の影響はありません。」のような記載内容となる。予め登録するべき送信先には両親、兄弟、親類、友人及び恋人等、人間関係が懇意な状態にある者が考えられる。また、送信先には携帯キャリアや地方自治体が提供する災害に関するホームページの掲示板を送信先に設定することも可能である。作成メッセージを閲覧した者は、内容を確認することで第1携帯情報送受信装置10の使用者の安否を把握することができる。
【0026】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0027】
(第2の実施の形態)
図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。図5は、情報発信エリア602内に配置され、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、受信した情報に対する安否情報応答メッセージを予め設定した送信先に送信する第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30の問合せに対して応答し、位置情報を検出及び提供する全地球測位システム(GPS)600を図2に追加して構成される。
【0028】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図6に示すように、図3の第1携帯情報送受信装置10に位置情報検出部201を追加した装置である。位置情報検出部201はGPS機能を用いて、衛星から発信される電波を利用することで位置(緯度,経度,標高)を計算し、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を検出する。
【0029】
更に、図6におけるメッセージ作成部105bは、予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より検出した位置情報により、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。また、メッセージ作成部105aは予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文及び緊急災害付加情報抽出部103が抽出した付加情報に含まれる災害に関する情報すなわち緊急災害付加情報の内容により自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。従って、第2の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10を構成するメッセージ作成部105bと第1の実施の形態に係るメッセージ作成部105aとでは安否情報応答メッセージを構成する要素の種類において異なる。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0030】
次に、図7に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。
【0031】
(a)図7に示すように、図4の第1携帯情報送受信装置10が図5に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、図7に示すように、ステップS210が加えられ、ステップS206の処理内容が変更される。すなわち、図4に示すステップS101〜105及びステップS107〜109と図7に示すステップS201〜205及びステップS207〜209は同様の処理を行う。しかし、ステップS106が第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文及び緊急災害付加情報の内容で構成した安否情報応答メッセージを作成するのに対して、ステップS206はステップS106で作成される安否情報応答メッセージに、位置情報検出部201により検出された位置情報を加えた構成で安否情報応答メッセージを作成する点でステップS206はステップS106から処理内容が変更される。
【0032】
(b)ステップS210において、図6の第1携帯情報送受信装置10が複数の衛星から出力される電波を受信し、それぞれの衛星の軌道情報とからGPS機能により算出した結果、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を検出する。検出した第1携帯情報送受信装置10の位置情報はメッセージ作成部105bに第1携帯情報送受信装置10の位置情報として位置情報検出部201から送られる。ステップS206において、第1携帯情報送受信装置10の位置情報を受け取ったメッセージ作成部105bは、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より受け取った位置情報とから、安否情報応答メッセージを作成し、メッセージ記憶部106に記録する。
【0033】
このように、第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージの作成過程において、第1携帯情報送受信装置10すなわち第1携帯情報送受信装置10の使用者である被災者の位置情報を検出し、安否情報応答メッセージの中に追加する。そのため、被災者より安否情報応答メッセージを受信し、閲覧することが可能な安否情報応答メッセージ受信者は、被災地情報と被災者の位置情報を比較して、被災者の安否をより具体的に把握することができる。
【0034】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0035】
(第3の実施の形態)
図5に示す本発明の第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。
【0036】
第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置である図5の第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10の詳細は、図8に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に災害影響度評価判定部301を追加した装置である。災害影響度評価判定部301は緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害の種類や規模、被災地に関する地域情報と位置情報検出部201によって検出された第1携帯情報送受信装置10の位置情報とを災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標に基づいて比較、評価及び判定し、ステップS312以降の処理を限定する。予め規定された指標は災害影響度評価判定部301が比較、評価及び判定する際の評価基準となる指標値として設定される。
【0037】
ここで、評価基準となる指標値は災害の規模による影響の大きさを考慮して第1携帯情報送受信装置10の使用者が柔軟に設定を変更することも可能である。例えば「災害情報受信地域範囲」及び「災害規模」の2つの要素により構成される数値の平均値として指標地を規定することができる。又、評価条件は「災害発生時の評価対象値≧指標値」と規定することができる。この場合、例えば指標値の構成要素[災害情報受信地域範囲,災害規模]を[5,3]と設定すれば、指標値は4となる。このとき災害発生時の値[災害情報受信地域範囲,災害規模]が[4,5]であれば、災害発生時の評価対象値は4.5となり、評価条件を満たすため、評価結果は「はい」となり、安否情報応答メッセージは送信対象者に送信される。又、災害発生時の値[災害情報受信地域規模,災害規模]が[3,2]であれば、災害発生時の評価対象値は2.5となり、評価条件を満たさないため、評価結果は「いいえ」となり、安否情報応答メッセージは破棄される。ここで、例えば「災害情報受信地域範囲」は「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が800〜1000km」を「1」、「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が600〜800km」を「2」、・・・、「災害発生地から第1携帯情報送受信装置10までの距離が0〜200km」を「5」と設定することができる。又、「災害規模」は「マグニチュード1」を「1」、「マグニチュード2」を「2」、・・・、「マグニチュード5」を「5」と設定することができる。以上の規定、設定値及び評価条件等となる指標を構成する要素の種類や各要素に対する重み付け、要素の数あるいは指標値の算出方法等は第1携帯情報送受信装置10の使用者の災害評価ポリシーにより決められる。災害評価ポリシーとして評価基準となる指標値及び評価条件を安全サイドで設定すれば、直接災害の影響が発生しない場合でも安否情報応答メッセージを送信し、メッセージの送信トラヒックが増加する。それに従い、第1携帯情報送受信装置10の使用者の金銭コストも、同ネットワークを使用する他の第1携帯情報送受信装置10の使用者のネットワークコストも負担が増加する。逆に、災害評価ポリシーとして、評価基準となる指標値及び評価条件を危険サイドで設定すれば、金銭コスト及び無駄なトラヒック等によるネットワークコストの削減にはなるが、第1携帯情報送受信装置10の使用者に災害の影響が及んでもメッセージは送信されない場合が生じる可能性もあり、第1携帯情報送受信装置10の本来の有用な効果を得られない結果となる可能性も考えられる。図示を省略しているが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30も第1携帯情報送受信装置10と同様な構成である。
【0038】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図6における第1携帯情報送受信装置10が災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS311及びステップS312が加えらる。なお、図7のステップS201〜210と図9のステップS301〜310は同様の処理を行う。
【0039】
(a)ステップS311において、図8の災害影響度評価判定部301は図5の災害情報発信局604より発信された緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害の種類や規模、被災地に関する地域情報と位置情報検出部201によって検出された第1携帯情報送受信装置10の位置情報とを災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標に基づいて比較及び評価する。ここで、災害影響度評価判定部301に記録されている予め規定された指標とは、災害の発生によって、比較評価対象すなわち第1携帯情報送受信装置10の使用者に災害の影響を及ぼすであろうと考えられる要素と算出方法により定められる評価基準である。
【0040】
(b)その評価基準である指標による評価結果が評価条件を満たした場合、ステップS312で評価結果は「はい」と判定され、処理はステップS306に移行し、メッセージ作成部105bは第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、緊急災害付加情報の内容、位置情報及び応答メッセージ定型文によって構成される安否情報応答メッセージを作成する。又、評価結果が評価条件を満たさない場合、ステップS312で評価結果は「いいえ」と判定され、処理はステップS309に移行し、安否情報応答メッセージは作成されず処理を終了する。
【0041】
このように、第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が災害情報と第1携帯情報送受信装置10の使用者の位置情報とにより、安否情報応答メッセージの送信処理を制限する設定が可能なことで、金銭コスト及びネットワークコストの無駄を省き、且つ安否情報応答メッセージ受信者に対しても第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する適切な安否情報応答メッセージを送信することが可能である。
【0042】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0043】
(第4の実施の形態)
図10に示す本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、情報通信エリア602に第1通信エリア603及び第2通信エリア606を備えるエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603及び第2通信エリア606のそれぞれに配置された携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605及び第2通信基地局607へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。災害情報発信局604は災害発生後、災害発生地域、災害発生時間、災害内容、災害規模及び被災現況等が含まれる「緊急災害情報」を発信する発信基地局である。情報発信エリア602は災害情報発信局604から発信される災害情報を受信可能なエリアである。情報通信エリア602に属する携帯情報送受信装置が災害情報発信局604から発信される緊急災害情報を受信可能である。第2通信エリア606に配置された第1携帯情報送受信装置10、及び第1通信エリア606に配置された第1〜4携帯情報送受信装置10〜40が安否情報応答メッセージを無線通信により予め記録された送信先アドレスへ送信する。第1携帯情報送受信装置10、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30及び第4携帯情報送受信装置40は例示であり、更に他の携帯情報送受信装置が配置されても構わないことはもちろんである。第2通信エリア606に配置された第2通信基地局607は携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1携帯情報送受信装置10を接続するための中継設備である。第1通信エリア603に配置された第1通信基地局605及び第2通信基地局607は携帯情報送受信装置が安否情報応答メッセージを送信する際に、通信ネットワーク601と第1〜4携帯情報送受信装置10〜40を接続するための中継設備である。第2通信エリア606内に配置された携帯情報送受信装置のみ第2通信基地局607と接続可能である。図10に示すように、第1携帯情報送受信装置10は情報発信エリア602内に属することで、災害情報発信局604から緊急災害情報を受信可能であり、更に第1通信エリア603内及び第2通信エリア606内に属することで、第1通信基地局605及び第2通信基地局607とそれぞれ接続可能である。第2〜4携帯情報送受信装置20〜40は第1携帯情報送受信装置10同様、緊急災害情報を受信可能であり、第1通信エリア603内に属しているため第1通信基地局605と接続可能であるが、第2通信エリア606内には属していないため第2通信基地局607とは接続不可能である。
【0044】
第1携帯情報送受信装置10の詳細は図11に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に通信モジュール優先順位決定部401及び通信部109を構成する第1通信モジュール402、第2通信モジュール403、第3通信モジュール404、第4通信モジュール405、第5通信モジュール406を追加した装置である。図11の通信モジュール優先順位決定部401は、通信部109を構成する複数の通信モジュールすなわち第1通信モジュール402、第2通信モジュール403、第3通信モジュール404、第4通信モジュール405、第5通信モジュール406のように複数の通信モジュールの中から、安否情報応答メッセージを送信するための通信を行うに当たって、最適な通信を実現するための通信方式を持つ通信モジュールを選択し、通信実行の優先順位を決定する。通信モジュールの優先順位決定方法は、予め通信モジュール優先順位決定部401に設定された通信モジュール選択の優先順位を決定するルールに則り、被災状況あるいは通信状況等の実際の通信に影響を及ぼす要因をパラメータとして決定される。複数の通信モジュールはそれぞれ、第1の実施の形態における通信部109が取り得る無線通信方式のいずれかの方式をとる。又、通信モジュール優先順位決定部401が複数の通信モジュールの中から、最適な通信を可能にする通信方式を持つ通信モジュールを選択する際の優先順位を決定するためのルールは、例えば通信エリアの大きさ、第1携帯情報送受信装置10から通信基地局までの距離及び通信基地局の被災状況等を要素として定義される。通信エリアに関しては、エリアが大きい方が同一エリアに存在する他の第1携帯情報送受信装置10の使用者数も増加するため、発生するトラヒックも増加し、通信が規制される可能性も高くなる。その場合は通信エリアの小さい通信方式が優先順位として高く設定される。又、第1携帯情報送受信装置10から通信基地局までの距離に関しては、電波の反射、回折の可能性及び距離減衰による通信品質の低下の要因の観点より第1携帯情報送受信装置10からの距離がより短い通信基地局に対応する通信方式が優先順位として高く設定される。更に、通信基地局が災害によって本来の通信基地局としての機能を果たさない場合は、対象の通信モジュールは通信手段として設定されない。安否情報応答メッセージ送信時、最適な通信を行う通信モジュールを選択する際の優先順位を決定するために、どのようなルールにするか、複数のルールの中からどのルールを適用するか、あるいは複数のルールの組合わせによる新たなルールとして適用するか、その場合どのルールの組合わせにするか等は、過去の災害と災害時の通信結果を基に検討、作成し、予め通信モジュール優先順位決定部401に設定しておくものとする。
【0045】
次に、図12に示すフローチャートを用いて、図10の第1通信エリア603及び第2通信エリア606の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図11に示す第1携帯情報送受信装置図10は、図7の第1携帯情報送受信装置10が図10に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS411及びステップS412が加えらる。なお、ステップS201〜207及びステップS209〜210とステップS401〜407及びステップS409〜410は同様の処理を行う。しかし、図7のステップS208と図12のステップS408は、ステップS208が固定されたただ1つの通信モジュールを持ち、よっていかなる災害状況、通信環境、通信状況においてもただ1つの通信手段によって通信を試みるのに対し、ステップS408は複数の通信モジュールを持ち、災害状況、通信環境、通信状況によって決定された優先順位に応じた通信手段を用いて通信を試みることを可能とする点において異なる。
【0046】
(a)ステップS411において、図11の通信モジュール優先順位決定部401は、通信部109を構成する複数の通信モジュールの中から、安否情報応答メッセージを送信するための通信を行うに当たって、最適な通信を実現するための通信方式を持つ通信モジュール選択の優先順位を、予め設定されたルールに則って決定する。通信モジュール優先順位決定部401が通信を行う通信モジュールの優先順位を決定すると、通信部109は優先順位の高い通信モジュールを使用して通信を行う。まず、優先順位が第1番目に設定された通信モジュールを使用して通信を試みる。
【0047】
(b)ステップS408において安否情報応答メッセージの送信が成功すれば、ステップS412において、その結果を基にステップS409の処理に移行する。ステップS408において安否情報応答メッセージの送信が失敗すれば、ステップS412において、その結果を基にステップS411の処理に移行する。このとき、ステップS411においては、通信部109は通信モジュール優先順位決定部401によって優先順位を2番目に設定された通信モジュールを使用して通信を試みる。このように、安否情報応答メッセージの送信が失敗した場合には、通信部109は、通信モジュール優先順位決定部401によって優先順位を設定された通信部109を構成する通信モジュールを優先順位の高い通信モジュールから順番に使用して安否情報応答メッセージの送信が成功するまで繰り返し通信を試みる。
【0048】
このように、第4の実施の形態に係る第1携帯情報送受信装置10が、安否情報応答メッセージを送信する際、災害状況、通信環境、通信状況に応じて使用する通信モジュールの最適な優先順位を決定する。決定された通信モジュールの順位に従って、対応する通信方式の通信を行うことで、現状における最適な通信を実現でき、固定された通信方式あるいは複数の中から任意の通信方式を選択した場合よりも、迅速、確実に安否情報応答メッセージを送信することが可能になる。
【0049】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20、第3携帯情報送受信装置30及び第4携帯情報送受信装置40等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0050】
(第5の実施の形態)
図5に示す本発明の第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムは、図2と同様のエリア構成である。このエリア構成において、第1通信エリア603の携帯情報送受信装置から安否情報応答メッセージは、無線伝送路を介して第1通信基地局605へ中継され、通信ネットワーク601へ送信される。
【0051】
第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置である図5の第1通信エリア603に配置された第1携帯情報送受信装置10の詳細は図13に示すように、図6の第1携帯情報送受信装置10に生体情報検出部501を追加した装置である。生体情報検出部501は、災害発生時に第1携帯情報送受信装置10の使用者が安否情報応答メッセージを送信すべく、第1携帯情報送受信装置10の第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部14を操作した際に、接触した身体から第1携帯情報送受信装置10の使用者の心拍数、体温、血圧等の生体情報を検出し、メッセージ作成部105cへ送る。メッセージ作成部105cは、予め保持している第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、安否情報応答メッセージの骨子を構成する応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報抽出部103が抽出した災害情報発信局604より発信された緊急災害情報に含まれる付加情報である緊急災害付加情報を構成する災害に関する情報及び位置情報検出部201より検出した位置情報に、生体情報検出部501から受け取った生体情報を併せて、自動的に第1携帯情報送受信装置10の使用者に関する安否情報応答メッセージを作成する。なお、図13のメッセージ作成部105cは、図6のメッセージ作成部105bと、作成するメッセージの内容において異なる。メッセージ作成部105cで作成するメッセージの内容は、メッセージ作成部105bで作成する内容に、生体情報を付加したものである。
【0052】
次に、図14に示すフローチャートを用いて、図5の第1通信エリア603の第1携帯情報送受信装置10に着目し、この第1携帯情報送受信装置10の動作について説明する。図7に示す第1携帯情報送受信装置10が図5に示す災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信し、安否情報応答メッセージを作成し、記録された所定の送信先に送信するまでのステップにおいて、ステップS511が加えられ、ステップS506の処理内容が変更される。すなわち、ステップS201〜205及びステップS207〜210とステップS501〜505及びステップS507〜510は同様の処理を行う。しかし、ステップS206が第1携帯情報送受信装置10の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容、位置情報検出部201より検出した位置情報で構成した安否情報応答メッセージを作成するのに対して、ステップS506はステップS206で作成される安否情報応答メッセージに、生体情報検出部501により検出した生体情報を加えた構成で安否情報応答メッセージを作成する点でステップS506はステップS206から処理内容が変更される。
【0053】
ステップS511において、図13の生体情報検出部501が第1携帯情報送受信装置10の使用者の生体情報を検出する。検出した生体情報はメッセージ作成部105cに送られ、第1携帯情報送受信装置10の使用者の個人情報、応答メッセージ定型文、緊急災害付加情報の内容及び位置情報検出部201より受け取った位置情報と併せて安否情報応答メッセージがメッセージ作成部105cによって作成される。
【0054】
このように、第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置が、安否情報応答メッセージの作成過程において、第1携帯情報送受信装置10の使用者である被災者の生体情報を検出し、安否情報応答メッセージの中に追加することで、被災者より安否情報応答メッセージを受信し、閲覧することが可能な安否情報応答メッセージ受信者は、被災時における被災者の安否の状況をより具体的に把握することができる。
【0055】
以上、第1携帯情報送受信装置10に着目して説明したが、第2携帯情報送受信装置20及び第3携帯情報送受信装置30等、他の携帯情報送受信装置でも同様である。
【0056】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、図2に示す第1携帯情報送受信装置10の通信部109は、制御部108に指示を受けメッセージ記憶部106より、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスに対して、送信されるメッセージ記憶部106に記録されている安否情報応答メッセージを、設定された通信手段を利用して災害情報発信局604が使用した無線伝送路とは異なる無線伝送路を通して送信すると説明した。これに対し、図3に示す第1携帯情報送受信装置10の通信部109は、予め記録されている送信先アドレスに対して、安否情報応答メッセージを送信するが、通信に失敗してその結果、安否情報応答メッセージの送信に失敗した場合は、予め設定した回数だけ繰り返し送信を試みるとしてもよい。また、メッセージ記憶部106に記録された安否情報応答メッセージは、送信アドレス記憶部104に予め記録されている送信先アドレスを持つ端末の使用者からの要求により、要求対象の安否情報応答メッセージを閲覧あるいは受信することが可能としてもよい。更に、災害情報発信局604より発信された緊急災害情報を受信して自動的に作成される安否情報応答メッセージは、装置内に内蔵された記憶域であるメッセージ記憶部106に記録されると説明したが、第1携帯情報送受信装置10の電源がOFFあるいは通信が不可能な場合でも、安否情報応答メッセージの確認ができるよう、外部端末の記憶域に記録されピアツーピアで通信できるとしても、あるいは外部サーバの記憶域に記録されインターネットを通して通信できるとしてもよい。更に、第1携帯情報送受信装置10は図3、6、8、11及び13に示すような全機能を所有する機能一体型の装置でも、特定の機能のみ脱着可能な部品等に分割した装置とすることもできる。例えば、図13において第1携帯情報送受信装置10は通信の機能を持つ通信部のみから構成されるものとし、メッセージ作成部105c、メッセージ記憶部106及び生体情報検出部501等の通信部以外の機能は、内臓可能な部品あるいは脱着可能な部品として分割するものとしてもよいことは勿論である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を表す外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置を用いた無線通信システムのシステム構成図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る携帯情報送受信装置のシステム構成図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る安否情報応答メッセージの送信方法を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
10…第1携帯情報送受信装置
14…第1携帯情報送受信装置メッセージ送信起動部
101…災害情報受信部
103…緊急災害付加情報抽出部
104…送信アドレス記憶部
105a…メッセージ作成部
105b…メッセージ作成部
105c…メッセージ作成部
106…メッセージ記憶部
108…制御部
109…通信部
201…位置情報検出部
301…災害影響度評価判定部
401…通信モジュール優先順位決定部
402…第1通信モジュール
403…第2通信モジュール
404…第3通信モジュール
405…第4通信モジュール
406…第5通信モジュール
501…生体情報検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部と、
抽出された前記緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部と、
前記安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部と、
前記安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部と、
前記緊急災害情報及び前記安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部
とを備えることを特徴とする携帯情報送受信装置。
【請求項2】
全地球測位システムが提供する前記携帯情報送受信装置の位置情報を検出する位置情報検出部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項3】
前記災害が前記携帯情報送受信装置に及ぼす影響の有無を、前記緊急災害付加情報を基に判定し、影響がある場合に、安否情報応答メッセージの送信処理を施すよう指示する災害影響度評価判定部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項4】
複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信モジュールを有する通信部と、
予め設定された条件により、前記複数の通信モジュールに対して、無線通信を実現するため、前記通信部による前記通信モジュールの使用に関する優先順位を決定する通信モジュール優先順位決定部
とを更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項5】
前記携帯情報送受信装置の使用者の生体情報を検出し、前記生体情報を前記メッセージ作成部へ送る生体情報検出部を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項1】
受信した緊急災害情報に付加されている、災害の発生時間、発生場所、規模及び種類を含んだ緊急災害付加情報を抽出する緊急災害付加情報抽出部と、
抽出された前記緊急災害付加情報に対して安否に関する安否情報応答メッセージを作成するメッセージ作成部と、
前記安否情報応答メッセージを記録するメッセージ記憶部と、
前記安否情報応答メッセージを送信するための送信先アドレスが記録された送信アドレス記憶部と、
前記緊急災害情報及び前記安否情報応答メッセージの送受信を制御する制御部
とを備えることを特徴とする携帯情報送受信装置。
【請求項2】
全地球測位システムが提供する前記携帯情報送受信装置の位置情報を検出する位置情報検出部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項3】
前記災害が前記携帯情報送受信装置に及ぼす影響の有無を、前記緊急災害付加情報を基に判定し、影響がある場合に、安否情報応答メッセージの送信処理を施すよう指示する災害影響度評価判定部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項4】
複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信モジュールを有する通信部と、
予め設定された条件により、前記複数の通信モジュールに対して、無線通信を実現するため、前記通信部による前記通信モジュールの使用に関する優先順位を決定する通信モジュール優先順位決定部
とを更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯情報送受信装置。
【請求項5】
前記携帯情報送受信装置の使用者の生体情報を検出し、前記生体情報を前記メッセージ作成部へ送る生体情報検出部を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯情報送受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−11256(P2008−11256A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180299(P2006−180299)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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