説明

携帯電話抑止方法及び携帯電話抑止装置

【課題】ATM1の設置場所における携帯電話抑止装置の故障を速やかに発見しATM管理者に知らせることにより振り込め詐欺等の犯罪の予防効果を高める。
【解決手段】本発明は、利用者の操作により取引を行うATM1の設置場所に設けられた携帯電話抑止装置であって、通常、妨害装置50により妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する。監視装置30により、一定の周期で、監視用携帯電話機40に通信の開始を促し、通信が可能であったか否かを検知する。通信が可能であったときは、監視装置30は、前記妨害装置50が故障であると判断して、LEDランプの点灯/点滅、ブザー鳴動、音声案内等によりATM管理者に故障の旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預け払い機(以下「ATM」という。)等の自動取引装置の設置場所において、妨害装置が発信する妨害電波により携帯電話機の通信を抑止する携帯電話抑止方法及び携帯電話抑止装置に関し、特に、妨害装置の故障を検出する携帯電話抑止方法及び携帯電話抑止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の使用時の通話音声が周囲に迷惑を及ぼすことを防止するため、一定の範囲に妨害電波を発信し、携帯電話機の通信を抑止することが行われている。特に、ATMの設置場所においては、携帯電話機を利用し被害者をATMに誘導して不正の振込をさせる振込詐欺が増加しているため、このような技術によりATM設置場所周辺での携帯電話機の通信を抑止している。
【0003】
妨害電波による携帯電話機の通信の抑止方法及び装置等については、例えば、次のような文献に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−20110号公報
【特許文献2】特開2005−45839号公報
【0005】
特許文献1には、携帯電話機の受信電波が、妨害電波によって妨害を受けたときは、携帯電話機が電波の届かない所にいるケースと区別して、例えば、「圏外2」のように表示する。このとき、使用者が、妨害電波の届かない所に移動することによって通信が可能な状態となり、不用意なトラブルを避けることができ、使い勝手が向上する事例が記載されている。
【0006】
特許文献2には、妨害電波により携帯電話機の通信が制限されているエリアにおいて、音声通話のみを制限し、非音声通信(データ通信)を制限しないようにする技術が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、妨害装置が故障等の理由で正常に動作していない場合であっても、そのことをATM管理者が直ちに検知することができないため、携帯電話機による通話ができることになり、携帯電話機を利用した振り込め詐欺等の犯罪を予防できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯電話抑止方法は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所において、妨害装置により妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する抑止処理と、監視装置により、監視用携帯電話機に対して通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知処理と、前記通信が可能であったときは、前記監視装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示処理とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の携帯電話抑止方法は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所において、妨害装置により妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する抑止処理と、前記自動取引装置により、監視用携帯電話機に対して通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知処理と、前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示処理とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の携帯電話抑止装置は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所に設けられた携帯電話抑止装置であって、妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する妨害装置と、監視装置により、通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知手段と、前記検知手段からの信号により、前記通信を試み、前記通信が可能であったか否かを前記検知手段に通知する監視用携帯電話機と、前記通信が可能であったときは、前記監視装置において前記妨害装置が故障である旨を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の携帯電話抑止装置は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所に設けられた携帯電話抑止装置であって、妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する妨害装置と、前記自動取引装置により、通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知手段と、前記検知手段からの信号により、前記通信を試み、前記通信が可能であったか否かを前記検知手段に通知する監視用携帯電話機と、前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯電話抑止方法及び携帯電話抑止装置によれば、監視用携帯電話機により通信を試み、通信ができたときは、妨害装置が正常に機能していないことを携帯電話抑止装置で検知して表示を行うので、自動取引装置の管理者は、妨害装置の故障を直ちに知ることができる。その結果、妨害装置の修繕、自動取引装置設置場所での注意喚起メッセージの掲示等の対策を立てることができるので振り込め詐欺等の犯罪の予防効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における携帯電話抑止装置の全体を示す構成図である。
【0015】
この携帯電話抑止装置は、自動取引装置(例えば、ATM)1の設置場所に設けられる装置であって、そのATM1に接続される監視装置30と、この監視装置30に対して信号線(例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル)18により接続された監視用携帯電話機40と、そのATM1の近傍に設けられた妨害装置50等により構成されている。
【0016】
ATM1は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者自身の操作により、現金の預け入れ、現金の引き出し、振り込み、残高照会、通帳記入等の取引を行うためのものである。ATM1は、熱や衝撃に対し一定の強度を有する鉄材で作られたキャビネット2で覆われている。ATM1の前面は、利用者が操作するための操作面2aが略水平に利用者の方向に突き出している。操作面2aの奥方向には、操作面2aから連続して投入面2bが設置されている。更に、投入面2bに連続して挿入面2cが略垂直に立ち上がっている。
【0017】
前記操作面2aには、操作のためのガイダンスを表示し、各種取引のための入力を行う入力操作部3が設けられている。投入面2bには、入出金取引等、現金を扱う取引での現金の受付取出口である紙幣投入取出口4と硬貨投入取出口5が設けられている。挿入面2cには、通帳の受付取出口である通帳挿入取出口6、カードの受付取出口であるカード挿入取出口7及びスピーカ8a、8bが設けられている。
【0018】
監視装置30は、ATM管理者の居室、例えば、銀行の営業店内のATM管理担当者の近傍に設置されている。この監視装置30は、中央処理装置(以下「CPU」という。)等により構成されており、監視用携帯電話機40に通信の開始を促し、その結果、通信が可能であったか否かを検知し、通信が可能であった場合は、LED等の表示器を点灯又は点滅によりその旨を表示する等の機能を有している。
【0019】
監視用携帯電話機40は、監視装置30に信号線38により接続され、ATM1の近傍に設置されている。この監視用携帯電話機40は、例えば、通常の電話機の機能と、監視用の機能を有している。監視用機能は、例えば、監視装置30からの通信開始指示を受信し、通信を試みた結果、妨害電波が有効に作用して通信不能の状態にあるときは、通信不能の旨を監視装置30に返送し、通信を試みた結果、通話が可能であったときは、通信可能の旨を監視装置30に返送する働きがある。
【0020】
妨害装置50は、ATM1の設置場所の近傍(例えば、天井等)に設置され、通常の携帯電話機の通信を抑制するための妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑制する機能を有している。この抑制機能には、種々の方式があるが、例えば、制御チャネルの通信には妨害電波を発信せず、基地局60から指定された通話チャネルに対して妨害電波を発信するようになっている。
【0021】
図2は、図1のATM1を示す機能ブロック図である。
ATM1は、CPU及び主記憶装置等を有する制御部11と、ハードディスク21等の不揮発性の補助記憶装置を備えている。制御部11は、プログラム制御によりATM1全体を制御するものである。
【0022】
制御部11により制御される入力操作部3は、文字や図形等で構成される操作画面を表示するLCD画面表示部12と、表示部12上に設けられた情報入力のためのタッチパネル入力部13とからなる。通帳記帳部14は、通帳挿入取出口6に挿入された通帳の記帳処理を行い通帳挿入取出口6に排出する機能を有している。カードリーダ・ライタ部15は、カード挿入取出口7から挿入されたキャッシュカードの内容を読み取り/書き込みしてカード挿入取出口7に排出する機能を有している。
【0023】
紙幣入出金部16は、入金処理においては、紙幣入出金取出口4にセットされた紙幣を取り込み、紙幣の真贋を鑑別し、計数してATM1内の収納庫に取り込み、出金処理においては、収納庫から紙幣を取出し、紙幣の真贋を鑑別し、計数して紙幣入出金取出口4に排出する機能を有している。硬貨入出金部17は、硬貨投入取出口5に接続されており、紙幣の場合とほぼ同様の処理を行う。
【0024】
顧客検知センサ18は、ATM1への人の接近を検知するセンサである。通信制御部19は、ホストコンピュータ40、ATM監視センタ及び監視装置30との通信を制御する機能を有している。音声案内部20は、利用者に対する各種案内及び連絡をスピーカ8a、8bを通じて音声で出力するものである。
【0025】
図3は、図1の監視装置30を示す機能ブロック図である。
監視装置30は、プログラム制御によりこの装置全体を制御する制御部31を有している。制御部31は、CPU等から構成され、検知手段31a及び表示手段31b等を有している。検知手段31aは、監視用携帯電話機40に対し、通信の開始を促し、通信が可能であったか否かを検知する機能を有している。表示手段31bは、通信が可能であったときに妨害装置50が故障である旨を表示するものである。
【0026】
この制御部31には、監視用携帯電話機インタフェース部32、ATMインタフェース部33、発光素子(以下「LED」)表示部34及び音声案内部35が接続されている。
【0027】
監視用携帯電話機インタフェース部32は、信号線38を介して、監視用携帯電話機40との信号の送受信を行う回路であり、ATMインタフェース部33は、ATM1との信号の送受信を行う回路である。LED表示部34は、LED37の点灯、消灯、点滅等を制御する回路であり、更に、音声案内部35は、スピーカ36に音声を出力する回路である。
【0028】
図4は、図1の監視用携帯電話機40を示す機能ブロック図である。
監視用携帯電話機40は、プログラム制御により装置全体を制御する制御部41を有している。この制御部41は、CPU、主記憶装置及びプログラム等を格納したリードオンリーメモリ(以下、「ROM」という。)等により構成されている。この制御部41には、音声処理部42、送信部43、受信部44、通信制御部47、操作部48及び表示部49が接続され、更に、その音声処理部42には、送受話部46が接続されている。
【0029】
音声処理部42は、送信部43と、受信部44と、送受話部46とに接続され、送受話部46から送出される音声信号を送信部43へ送出し、受信部44で復調されたデータから音声信号を取り出す機能を有している。
【0030】
送信部43は、制御部41と音声処理部42に接続され、制御部41及び音声処理部42からの信号の変調を行ってアンテナ45を介して送信処理を行う回路である。受信部44は、制御部41と音声処理部42に接続され、アンテナ45を介して受信した信号を復調して復調信号を制御部41及び音声処理部42へ与える回路である。
【0031】
46は、音声処理部42に接続され、送話器46aから送出される音声信号を所定のレベルに増幅して音声処理部42に送出すると共に、音声処理部42から音声信号を受信して受話器46bを駆動する回路であり、各種の増幅器等で構成されている。
【0032】
操作部48は、制御部41に接続され、例えば、送信キー、数字/英字/ひらがな/カタカナ/漢字/記号等を入力するためのキー、電源オン/オフキー、カーソル制御キー等で構成されている。表示部49は、制御部41に接続され、各種データを表示するものであり、例えば液晶パネル等で構成されている。通信制御部47は、制御部41に接続され、監視装置30と接続するための通信制御を行う回路である。
【0033】
図5は、図1の妨害装置50を示す機能ブロック図である。
妨害装置50は、制御部51を有している。この制御部51は、CPU、主記憶装置及びプログラム等を格納したROM等を有しており、プログラム制御により妨害装置50全体を制御するものである。制御部51には、制御チャネルの上り信号を受信する受信機52と、制御チャネルの下り信号を受信する受信機53と、妨害電波を発信する妨害電波送信機54とが接続されている。受信機52、53の先には、受信用アンテナ55aが、妨害電波送信機54の先には送信用アンテナ55bがそれぞれ接続されている。
【0034】
(実施例1の動作)
図6は、図1の監視装置30、監視用携帯電話機40、妨害装置50及び基地局60間における動作を示す説明図である。
【0035】
監視装置30は、一定時間の時間監視を行い監視用携帯電話機40に対し通信の開始を促す。監視用携帯電話機40は、これを受け、呼設定信号m1を上りの制御チャネルにより基地局60へ送信する。このとき、呼設定信号m1には、携帯電話機を識別するための機器番号が含まれている。基地局60は、呼設定信号m1を受信すると、ユーザの認証要求m2を下りの制御チャネルによって監視用携帯電話機40対して行い、監視用携帯電話機40は、これに対しユーザの認証応答m3を返送する。
【0036】
基地局60は、これを受け、下りの制御チャネルにより、発呼を行った監視用携帯電話機40に対して通話用に割り当てる通話チャネルを指定する(m4)。基地局60及び監視用携帯電話機40は、通話チャネルの指定を受けて、制御チャネルから通話チャネルに移行する。
【0037】
次に図5を用いて妨害装置50の動作を説明する。
妨害装置50は、常時、受信機52、53で上り、下りの制御チャネルを監視し、監視用携帯電話機40からの呼設定信号m1を受信すると、その受信信号レベルが一定以上か判定し、一定レベルに達していないときは、上り、下りの制御チャネルの監視を継続し、一定値以上のときは、受信した呼設定信号に含まれている機器番号を記憶する。
【0038】
その後、下り制御チャネルの中からこの記憶した機器番号宛の通話チャネルを指定する信号を受信し、その通話チャネル情報を記憶する。記憶した通話チャネル情報を妨害電波送信機54に入力し、妨害電波送信機54は、当該の通話チャネルに対して妨害電波を発信する。このとき、監視用携帯電話機40は、指定された通話チャネルで通信を開始しようとするが、妨害電波送信機54からの妨害電波により通信信号を受信できなくなり通話に移行することができない。
【0039】
このときは、監視用携帯電話機40は、監視装置30に対し、通信不可能の旨を通知する。監視装置30は、通信不可能の通知を受けたときは、妨害装置50は正常に機能していると判断して一定時間の時間監視後、監視用携帯電話機40に対し通信の開始を促す処理を繰り返す。
【0040】
一方、妨害装置50が故障等で正常に機能しないときは、妨害電波m5は発信されないので監視用携帯電話機40は、正常に通話ができることになる。このときは、監視用携帯電話機40は、監視装置30に対し、通信可能の旨、通知する。
【0041】
監視装置30は、通信可能の通知を受けたときには、妨害装置50が正常に機能していないと判断し、LED表示部34によりLED37を点灯、又は、点滅させる。あるいは、音声案内部35によりスピーカ36から音声案内を行う。このとき、妨害装置50が正常に機能していない旨をATM1に通知してATM1からATM監視センタにその旨を通知するようにしてもよい。
【0042】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、監視用携帯電話機40により通信を試み、通信ができたときは、妨害装置50が正常に機能していないことを監視装置30で検知し表示を行うので、ATM1の管理者は、妨害装置50の故障を直ちに知ることができる。その結果、妨害装置50の修繕、ATM1設置場所での注意喚起メッセージの掲示等の対策を立てることができるので振り込め詐欺等の犯罪の予防効果を高めることができる。
【実施例2】
【0043】
(実施例2の構成)
図7は、本発明の実施例2におけるATM1Aを示す機能ブロック図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0044】
本実施例2におけるATM1Aでは、実施例1のATM1の構成とは異なる構成となっている。すなわち、図2のATM1では、監視装置30が通信制御部19に接続されているが、本実施例2のATM1Aでは、監視装置30に替って監視用携帯電話機40が接続されている。制御部11Aは、監視用携帯電話機40に対し、通信の開始を促し、通信が可能であったか否かを検知する検知手段11Aa及び通信が可能であったときに妨害装置50が故障である旨を表示する表示手段11Abを有している。
【0045】
その他の構成は、実施例1とほぼ同様である。
【0046】
(実施例2の動作)
図8は、図7の入力操作部3上に表示される注意メッセージの例を示す図である。
【0047】
ATM1Aは、一定時間の時間監視を行い監視用携帯電話機40に対し、通信の開始を促す。監視用携帯電話機40は、これを受け基地局60及び妨害装置50と共に実施例1と同様の動作を行う。監視用携帯電話機40は、通信を試行した結果、通信が可能であったか否かをATM1Aに通知する。
【0048】
ATM1Aは、通信不可能の通知を受けたときは、妨害装置50は正常に機能していると判断して一定時間の時間監視後、監視用携帯電話機40に対し通信の開始を促す処理を繰り返す。
【0049】
通信可能の通知を受けたときには、妨害装置50は正常に機能していないと判断し、入力操作部3に例えば、図8に示すメッセージを表示し、利用者の注意を促す。
【0050】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、監視用携帯電話機40により通信を試み、通信ができたときは、妨害装置50が正常に機能していないことをATM1Aで検知し入力操作画3に振り込め詐欺に関する注意メッセージと確認キーを表示するので、振り込め詐欺等の犯罪の予防効果を高めることができる。更に、妨害装置50が正常に機能しているときは、振り込め詐欺に関する注意メッセージを表示しないので振込取引の取引時間を徒に長くすることがなくなる。
【0051】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(h)のようなものがある。
【0052】
(a) 自動取引装置は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置されるATMのみに限定されない。顧客による操作で取引を行う装置で、現金を扱うものであれば、広く適用ができる。例えば、駅などに設置される券売機、空港などに設置される航空券発行機、スーパーマーケットに設置されるセルフレジ等が考えられる。
【0053】
(b) 実施例1では、妨害装置50が故障であったときは、監視装置30のLED37を点灯、又は、点滅させるか、あるいは、音声案内部35によりスピーカ36から音声案内を行うことで説明したが、この他に、ATM1の入力操作部3に注意メッセージを表示する方法、及び、ATM1での振込取引を中止する方法がある。
【0054】
(c) 実施例2では、妨害装置50が故障であったときは、ATM1Aの入力操作部3に注意メッセージを表示することで説明したが、この他に、ATM1Aでの振込取引を中止する方法がある。
【0055】
(d) 実施例2において、監視用携帯電話機40をATM1A内に内蔵してもよい。このことによりATM設置場所での配線を省略することができる。
【0056】
(e) 実施例1において、ATM1と監視装置30を必ずしも接続しなくてもよい。その場合は、既存のATM1の改造が必要ないので実施が容易である。
【0057】
(f) 実施例1及び2において、妨害装置50は、制御チャネルでの通信については、妨害電波を発信せず、基地局60から指定された通話チャネルに対して妨害電波を発信することで説明したが、制御チャネルを使って、携帯電話機と基地局60間でやり取りされている電話番号の確認や位置確認のための信号の周波数に妨害電波を重畳させ発着信信号をかく乱することにより携帯電話機の通信を抑制する携帯電話抑制装置であってもよい。
【0058】
(g) 実施例1及び2では、音声通話の通信の事例で説明したが非音声通話(データ通信)の通信でも同様に実施できる。
【0059】
(h) 実施例1において、監視用携帯電話機40と監視装置30を接続する通信制御部47は、通常の携帯電話機の入出力端子を利用してもよい。この場合は、専用の入出力端子を監視用携帯電話機40に設けなくてもよい。実施例2において、ATM1Aと監視用携帯電話機40とを接続する場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1における携帯電話抑止装置の全体を示す構成図である。
【図2】図1のATM1を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の監視装置30を示す機能ブロック図である。
【図4】図1の監視用携帯電話機40を示す機能ブロック図である。
【図5】図1の妨害装置50を示す機能ブロック図である。
【図6】図1の監視装置30、監視用携帯電話機40、妨害装置50及び基地局60間における動作を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例2のATM1Aを示す機能ブロック図である。
【図8】図7の入力操作部3上に表示される注意メッセージの例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1、1A ATM
3 入力操作部
11Aa 検知手段
11Ab 表示手段
30 監視装置
31a 検知手段
31b 表示手段
40 監視用携帯電話機
50 妨害装置
60 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所において、
妨害装置により妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する抑止処理と、
監視装置により、監視用携帯電話機に対して通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知処理と、
前記通信が可能であったときは、前記監視装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示処理と、
を有することを特徴とする携帯電話抑止方法。
【請求項2】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所において、
妨害装置により妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する抑止処理と、
前記自動取引装置により、監視用携帯電話機に対して通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知処理と、
前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示処理と、
を有することを特徴とする携帯電話抑止方法。
【請求項3】
前記検知処理は、前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置における振込取引を取引不能にすることを特徴とする請求項2記載の携帯電話抑止方法。
【請求項4】
前記表示処理は、前記自動取引装置の入力操作部に振り込め詐欺に関するメッセージを表示することを特徴とする請求項2記載の携帯電話抑止方法。
【請求項5】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所に設けられた携帯電話抑止装置であって、
妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する妨害装置と、
監視装置により、通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段からの信号により、前記通信を試み、前記通信が可能であったか否かを前記検知手段に通知する監視用携帯電話機と、
前記通信が可能であったときは、前記監視装置において前記妨害装置が故障である旨を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする携帯電話抑止装置。
【請求項6】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置の設置場所に設けられた携帯電話抑止装置であって、
妨害電波を発信して携帯電話機の通信を抑止する妨害装置と、
前記自動取引装置により、通信の開始を促し、前記通信が可能であったか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段からの信号により、前記通信を試み、前記通信が可能であったか否かを前記検知手段に通知する監視用携帯電話機と、
前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置により前記妨害装置が故障である旨を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする携帯電話抑止装置。
【請求項7】
前記検知手段は、前記通信が可能であったときは、前記自動取引装置における振込取引を取引不能にすることを特徴とする請求項6記載の携帯電話抑止装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記自動取引装置の入力操作部に振り込め詐欺に関するメッセージを表示することを特徴とする請求項6記載の携帯電話抑止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−124167(P2010−124167A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295127(P2008−295127)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】