説明

携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム

【課題】携帯電話網にIP網を介して収容された基地局を用いて携帯電話ネットワーク及びIP網の効率的な利用を図る。
【解決手段】携帯電話網にIP網を介して収容された基地局を含むネットワークシステムにおいて、発信端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話網へ送信し、この発信要求が携帯電話網から着信側基地局を通じて着信先端末に着信される場合に、発信側基地局と着信側基地局との双方が同一のIP網を介して携帯電話網に接続されているかを判定し、発信側基地局と着信側基地局との双方が同一のIP網を介して携帯電話ネットワークに接続されている場合に、携帯電話網を経由することなく発信側基地局と着信側基地局とが同一のIP網を介して直接接続された発信端末と着信先端末との間のデータ伝送路を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話ネットワークおよびIP(Internet Protocol)ネットワークを使用
した通信方式に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話ネットワーク、例えば第3世代携帯電話ネットワーク(Third Generation mobile phone network)において、地図的に見てサービスエリア(基地局からの電波が届く範囲)ではあるが、電波が届きにくい地域(「不感地帯」と呼ぶ)が存在する。電波は基本的に
直進するため、建物の影、屋内、地下などでは、基地局からの無線電波が十分に届かない場合があるからである。
【0003】
不感地帯の一つとして、例えば屋内があり、特に戸建て、或いは集合住宅における個人宅内がある。この個人宅内に小型基地局を配置し、個人宅内で携帯電話ネットワークからの電波を円滑に受信できることが望まれている。
【0004】
本発明に関連する先行技術としては、例えば、以下の特許文献1及び2に記載された技術がある。
【特許文献1】特表2004−507946号公報
【特許文献2】特表2002−535888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して設置される基地局を用いて、効率的な携帯電話ネットワーク及びIPネットワークの利用を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した目的を達成するために以下の構成を採用する。
【0007】
即ち、本発明は、携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して収容された基地局を含むネットワークシステムにおける携帯電話端末間のデータ伝送路確立システムであって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話ネットワークへ送信し、この発信要求を携帯電話ネットワークから着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信させる場合に、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されているかを判定する判定手段と、
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されている場合に、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する確立手段とを含む。
【0008】
本発明によれば、発信側基地局と着信側基地局との間が直接接続された端末間のデータ伝送路が確立される。これによって、携帯電話ネットワーク及びIPネットワークのトラフィックを減少させることができる。従って、ネットワーク負荷の軽減や、設備設置の負担の軽減を図ることができる。
【0009】
本発明における「データ」は、テキスト、画像データの他、音声及び音声データを含むことができる。
【0010】
好ましくは、本発明は、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する。
【0011】
また、好ましくは、本発明は、発信端末と着信先端末との一方がIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない基地局の配下に属する場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する。
【0012】
これらのように、IPネットワークが同一でない場合、及び発信端末と着信端末との少なくとも一方がIPネットワークを介して携帯電話ネットワークに接続されていない基地局の配下に存在する場合には、携帯電話ネットワークを経由するデータ伝送路が確立される。このように、基地局間が直接接続されたデータ伝送路を確立できない場合には、携帯電話ネットワークを経由したデータ伝送路を確立することで、端末間でのデータ通信を補償することができる。
【0013】
本発明は、発信側基地局制御装置となる第1基地局制御装置と、着信側基地局制御装置となる第2基地局制御装置と、前記第1基地局制御装置と前記第2基地局制御装置とを接続する少なくとも1つの交換機とを有する携帯電話ネットワークを含むネットワークシステムであって、
前記第1基地局制御装置は、IPネットワークを介して接続された発信側基地局から、発信端末としての携帯電話端末の発信要求を受信した場合に、この発信要求に前記発信側基地局が接続されるIPネットワークの識別情報と前記発信側基地局のIPアドレスとを付加し、
前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機を介して前記発信要求を受け取り、この発信要求を自装置にIPネットワークを介して接続された着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に送信する場合に、前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致するかを判断し、
IPネットワークの識別情報が一致する場合には、前記第2基地局制御装置が前記発信要求に含まれた前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知するとともに、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局に通知し、
前記第1及び第2基地局制御装置は、前記発信側基地局及び前記着信側基地局に指示を与えて、前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記携帯電話ネットワークを経由することなく同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立させる。
【0014】
好ましくは、本発明における第1基地局制御装置は、発信要求に、前記識別情報と、前記IPアドレスと、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間で確立すべきデータ伝送路の識別情報とを付加する。
【0015】
このようにすれば、発信側基地局と着信側基地局との間に複数の端末の組に対する複数のデータ伝送路が同時に確立される場合に、データ伝送路を識別してデータ伝送路の確立及びデータ伝送を行うことができる。
【0016】
好ましくは、本発明における前記第1基地局制御装置,前記少なくとも1つの交換機は、前記発信要求の受信を契機に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間にデータ通信路を確立し、
前記少なくとも1つの交換機は、前記着信先端末の呼び出し中に、前記データ通信路を用いて呼び出し音を前記発信側基地局に送信し、
前記発信側基地局は、前記データ通信路を介して前記受信される前記呼び出し音を前記発信端末に送信する。
【0017】
このようにすれば、携帯電話ネットワークからの呼び出し音を発信端末に接続することができる。
【0018】
好ましくは、本発明における前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置は、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間に前記データ伝送路が確立され、且つ前記着信先端末が呼び出しに応答した場合に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間に確立されたデータ通信路を削除する。
【0019】
このようにすれば、不要となったデータ通信路が削除(解放)されることで、IPネットワーク及び携帯電話ネットワークのリソースの浪費を抑えることができる。
【0020】
本発明は、携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して接続される基地局であって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を受信する受信部と、
前記発信要求を前記IPネットワークを介して携帯電話ネットワークへ送信する送信部と、
前記発信要求が前記IPネットワークと同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続された異なる基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信する場合に、前記異なる基地局のIPアドレスを前記携帯電話ネットワーク又は前記異なる基地局から受け取り、このIPアドレスを用いて、前記異なる基地局との間で、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記基地局自身と前記異なる基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立するデータ伝送路確立/切断部とを含む。
【0021】
好ましくは、本発明の基地局と前記発信端末との間には、前記発信端末との間で通信されるデータを伝送するためのデータ通信路が確立され、
前記データ通信路を伝送されるデータは、前記発信端末と前記携帯電話ネットワークとの間で決定された暗号で暗号化され、
前記基地局は、
前記データ通信路からの暗号化されたデータを復号し、且つ前記データ通信路へ送信すべきデータを前記暗号で暗号化する暗号化処理部と、
データが前記暗号処理部を通過する第1ルートと、
データが前記暗号処理部を通過しない第2ルートと、
前記発信端末と前記着信先端末との間を前記携帯電話ネットワークを介して伝送されるデータを前記第2のルートに接続し、前記発信端末と前記着信先端末との間を前記データ伝送路を介して伝送されるデータを前記第1のルートに接続する接続部と、
前記データ伝送路の確立/切断に応じて、前記接続部の接続先のルートを制御する接続制御部とをさらに含む。
【0022】
基地局及び端末は、相手側の基地局及び端末について適用される暗号を知らない。このため、暗号化されたデータをデータ伝送路を通じて相手方に送信しても、相手方でデータ
を復号することができない。上記した構成によれば、相手方に送信すべきデータは復号されて相手方に送られる。これによって、相手方が受信したデータを復号できないという問題を回避することができる。
【0023】
また、本発明は、上記したシステムや基地局と同様の特徴を持つ方法の発明を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して設置される小型基地局を用いて、効率的な携帯電話ネットワーク及びIPネットワークの利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を説明する。以下に説明する構成は例示であり、本発明はその構成に限定されない。
【0026】
〔本発明の経緯〕
最初に、本発明の経緯について説明する。携帯電話ネットワークのサービスエリア内に存在する不感地帯として、例えば戸建てや集合住宅における個人宅(user home)内がある
。このような個人宅内に小型の無線基地局を設置し、携帯電話のユーザが個人宅内で携帯電話を使用できることが望まれている。このような宅内用の小型基地局装置は、一般に設置されている基地局と比較して以下の特徴を有することが好ましい。
【0027】
(1) 宅内への設置を可能とすべく、小型で安価、かつサービスエリア(小型基地局からの電波の届く範囲)が狭小で、電波が低出力である(他の同様な基地局に対しできるだけ電波干渉を小さくする)。
【0028】
(2) ネットワークを形成するために、基地局装置と基地局制御装置間に物理回線を敷設しなければならない。この物理回線において、現在個人宅に普及が進んでいるインターネット接続用のブロードバンド回線(例:xDSL(x Digital Subscriber Line)回線サー
ビス、或いはCATV(Cable TV)のインターネット接続サービス等)が持つIPパケット伝送路に相乗りする形式で、データを送受信する。
【0029】
(3) 宅内用の小型基地局は個人宅のユーザが費用を払って設置することが想定される。
【0030】
これらの点に鑑み、小型基地局の設置ユーザ(およびその関係者)のみに小型基地局に対する接続を許可するための認証機能(端末-小型基地局認証機能)が、基地局制御装置(RNS:Radio Network Sub-system)と小型基地局との間に設けられる。
【0031】
図1は、携帯電話ネットワークと小型基地局との接続構成例を示す図である。図1において、MSC(Mobile services Switching Center:交換移動局)は、携帯電話ネットワー
クの交換処理装置(交換機)である。MSCは、相互に接続されるとともに、少なくとも1つのRNSを収容する。RNSは、配下の基地局を制御する基地局制御装置である。RNSは、少なくとも1つのBTS(Base Transceiver station)を収容する。BTSは、端末(mobile station又はUE(user equipment))と無線通信を行うための基地局である。以上が、携帯電話ネットワークに含まれる構成要素である。
【0032】
なお、図1には、携帯電話ネットワークの例として、3G(IMT-2000)のUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)の一部が示されている。UMTSは、大略して
、コアネットワークと、コアネットワークへのアクセスネットワーク(UTRAN(Universal T
errestrial Radio Access Network))とからなる。UTRANは無線部分を含む。図1に
示すMSCは、コアネットワークに含まれる要素であり、RNS及びBTSはUTRANに含まれる要素である。
【0033】
図1に示すCABS(Cubicle Area BTS)が宅内用の小型基地局に相当する。CABSは、通常、ユーザの住宅内に設置され、携帯電話ネットワークのRNSとISP(Internet Service Provider)ネットワーク(IPネットワーク)経由で接続される。
【0034】
図1に示す例では、ユーザの宅内には、ISPによって提供されるインターネット接続用のブロードバンド回線(例えばxDSL)が導入されていることが想定されている。CABSは、ブロードバンド回線として利用される固定電話回線を収容するxDSLモデムのIPインタフェースに接続される。xDSLモデムは、固定電話回線から分配されるxDSL回線を介してISPネットワークに設けられたDSLAM(Digital Subscriber Line Access Multiplexer)に接続される。
【0035】
一方、RNSは、IWU(Inter-Working Unit)を介してISPネットワークの入口に設けられたエッジルータ(ER)に接続される。これによって、携帯電話ネットワークとISPネットワークとが接続されている。
【0036】
IWUは、IPレイヤと現在の携帯電話ネットワークの下位レイヤであるATM(Asynchronous Transfer Mode)との変換装置である。RNSとERとの間は、携帯電話ネットワークからの呼量に応じた数の回線で接続される。
【0037】
このようにして、CABSは、物理的には固定電話回線で接続される。また、CABSはRNSとIPインタフェースで接続される。このようにして、或るISP網に接続されているCABSの全ては、ISP(IP)ネットワークを介して携帯電話ネットワークに収容される。
【0038】
このように、CABSを宅内に既に敷設されているブロードバンド回線(ISPへの接
続環境)を用いて携帯電話ネットワークに接続すれば、携帯電話ネットワーク(RNS)へ
の特別な回線を各住宅に敷設する必要がない。従って、CABSの導入に係るコストを削減することができる。
【0039】
また、CABSは、特定の端末のみにCABS自身に対する接続を許可する機能を有している。具体的には、CABSが端末からの接続要求を受け取った場合に、RNS/MSCでCABSとの対認証処理が行われる。CABSは、認証処理の結果を元に、接続要求元の端末が接続可能端末であれば、端末からの接続要求を許可する。
【0040】
図2は、図1に示したようなCABSを収容する方式において、二つのCABSが同じISPネットワークに収容されており、この二つのCABSを通じて端末間で通信が行われる場合が示されている。
【0041】
図2で明らかなように、端末間で受け渡しされるデータ(例えば音声呼であれば音声データ)は、CABS1a−RNS1−MSC−RNS2−CABS2aの経路(図2の矢
印参照)を通過する。この場合、端末間で送受信されるデータは、ISPネットワーク(
IPネットワーク)を2度通過する。
【0042】
もし、図3に示すように、端末間で受け渡しされるデータがCABS間の直接的な接続により、携帯電話ネットワークを経由することなく受け渡しできれば、図2に示す場合に比べてISPネットワーク内を通過するトラフィックは半分になる。また、CABS間の
トラフィックは、ISPネットワークの上位に位置する携帯電話ネットワークを通らないので、設備的に有利であることは明らかである。
【0043】
各CABSは、ISP内でユニークに割り当てられるIPアドレスを有している。CABS間でお互いのIPアドレスを知ることができれば、IPパケット(例えば、音声デー
タが含まれたIPパケット)を直接的に(携帯電話ネットワークを経由することなく)やり
とりすることが可能である。
【0044】
しかしながら、図3に示したようなCABS間を直接的に接続するサービスを実際に実現するには大きな問題がある。図4は課題を説明するためのネットワーク構成図である。図4において、端末UE−a(CABS1と無線接続可能)が、端末UE−b(CABS2と無線接続可能)に対し発信する場合を考える。発呼の一連の手続きにより、制御信号は端末UE−aからCABS1−RNS−MSCへ伝達され、MSCで端末UE−bへの着信が決定される。
【0045】
しかし、現在の携帯電話ネットワークでは、各端末の現在位置をLA(Location Area)
と呼ばれる単位でしか把握していない。LAは、複数のRNS/BTS(CABS含む)が所属する比較的広範囲なエリアで構成されている。MSCは、H/VLR(Home/Visitor Location Register)と呼ばれる端末位置登録情報記録装置に接続されており、H/VLRには、各LA内に存在する端末の識別情報が登録されるように構成されている。
【0046】
MSCは、端末UE−aからの制御信号に応じて、H/VLRを参照し、着信端末が存在しているLAを読み出し、着信エリアLAを決定する。ここでは、端末UE−bはLA1に存在しているので、MSCはLA1に所属する全てのRNS(この場合RNS1及び2)に着信要求メッセージを送る。
【0047】
各RNS1及び2は、着信要求メッセージをRNS自身の配下の全てのBTS(CAB
Sも含まれる)に送信する。これにより、端末UE−bは、端末自身が接続しているCA
BS2を介して着信要求メッセージを受け取ることができる。
【0048】
端末UE−bは、CABS2からの着信要求メッセージを受信し、着信要求メッセージに応答する(応答信号を送信する)ことで自分の存在位置を示す。この応答信号は、CABS2→RNS2→MSCと伝わり、さらにRNS1→CABS1→端末UE−aと送られ、端末UE−bからの応答があったことが示される。これによって通信経路が決定され、RNC/MSCが端末間で音声データを伝送するための通信路(ベアラ)を確保する。
【0049】
このとき、MSCはRNS1及びRNS2とのベアラを確保するだけで、どのBTS又はCABSの配下に端末が存在しているかは知らない(知らなくても良い)ように構成されている。
【0050】
したがって、MSCがベアラを確保する場合に、CABS1及びCABS2との間に直接的な(携帯電話ネットワークを経由しない)ベアラを確保できるか(CABS1及びCA
BS2が同一のISPネットワークに所属しているか)を判断することはできなかった。また、MSCは、CABS1及びCABS2の夫々に相手先のCABSがどれであるかを指示することはできなかった。
【0051】
まあ、各RNS1及びRNS2は、現状では、RNS自身の配下のCABSの状態を知ることができるだけであり、相手先のCABSを知る構成を持たない。このため、CABS間を直接的に接続するベアラを確保するかどうかの判断を行うことはできなかった。
【0052】
〔本発明の概要〕
本発明は、RNS/MSCによって確保される端末間の音声データ用のベアラの代わりに、CABS間をIPネットワークを介して直接的に結ぶベアラを確保する。
【0053】
この確保は、CABS1及び2の夫々が端末からの応答を受け取った時点で、相手のCABSのISP内でのIPアドレス(ISPネットワークはIPネットワークである)を知ることで、実現することができる。
【0054】
しかし、現状の構成では、CABSのIPアドレスを知っているのは、その上位に位置するRNSのみである。即ち、CABS1のIPアドレスを知っているのはRNS1のみであり、CABS2のIPアドレスを知っているのはRNS2のみである。このため、CABSの夫々が相手のCABSのIPアドレスを知る手段が必要である。
【0055】
また、各CABS1及び2は、同じISPに接続されていることで直接的に両者間でデータ伝送を行うためのベアラを確保することができる。このため、CABS1及びCABS2が同じISPに接続されているかどうかを判断する構成が必要である(言い換えると、RNS1及び2、CABS1及び2が同じIPネットワークに接続されているかの判断が必要である)。
【0056】
さらに、上記した判断に基づいてMSC−RNS−CABS間のベアラを確保するかどうかの判断も必要である。以下に、本発明の目的を達成するための構成について説明する。
【0057】
図5は、本発明を説明するためのネットワーク構成例を示す図であり、説明に必要な装置以外は省略している。ネットワークの構成例として、UMTSが想定されている。
【0058】
H/VLRは、端末の位置(端末が存在するLA)が登録される端末位置登録記憶装置である。各MSC1及び2は携帯電話ネットワークの交換処理装置(交換機)である。各RNS1及び2は基地局制御装置である。各CABS1,2及び3は宅内用の小型の無線基地
局装置(本発明の基地局)である。BTS2は一般の基地局である。
【0059】
図5において、携帯電話端末(以下、単に「端末」と表記する)UE−aが発呼し、端末UE−bに着呼させる場合を考える。この場合における動作概要のシーケンスを図6に示す。図7は、図6のシーケンスに応じた状態遷移図である。
【0060】
図6に示すシーケンスにおいては、端末UE−aは、発信端末(calling terminal)に相当する。CABS1は、発信側基地局(source base station)に相当する。RNS1は、
第1基地局制御装置に相当する。MSC1及びMSC2は、少なくとも一つの交換機に相当する。RNS2は、第2基地局制御装置に相当する。CABS2は、着信側基地局(destination base station)に相当する。端末UE−bは、着信先端末(called terminal)に
相当する。
【0061】
図6において、端末UE−aが発呼すると、まず呼の前処理(CALL PREPROCESS)が起動
する(S01)。この前処理には、無線制御リンクの確立,端末UE−aのネットワーク認証(端末UE−aがこの携帯電話ネットワークのサービスを受けられるかを認証する),無線部分の暗号化のための暗号化キーのやりとりなどが含まれる。前処理は現状の処理となんら変わらない。
【0062】
その後、端末UE−aは、呼設定信号(発信要求)である“SETUP”をネットワークに送
る(S02)。“SETUP”中には、着信を希望する相手先端末(端末UE−b)の電話番号が
含まれている。“SETUP”を受信したCABS1は、“SETUP”を発信側RNS(source-RNS:S-RNS)であるRNS1に送り、RNS1は“SETUP”をMSC1に送る。
【0063】
このとき、RNS1は、例えば、“SETUP”がIPインタフェース(IPネットワーク)
から受信されたことを認識することによって、“SETUP”がCABSから送信されたこと
を認識(判断)することができる。さらに、RNS1は、“SETUP”の送信元IPアドレス
を検出することによって、“SETUP”の送信元のCABSがCABS1であることを知る
ことができる。この場合、RNS1は、MSCへ送信すべき“SETUP”に対し、CABS
1のIPアドレスと、RNS1とCABS1との間を中継しているISP1の識別子(I
SP−ID:IPネットワークの識別情報に相当)を付加する(S02A)。これは、本発
明の第1の特徴である。
【0064】
これに対し、“SETUP”がIPネットワークを介して送信されたものでない場合(通常のBTSから送信されたものである場合)には、上述したようなIPアドレス及びISP−
IDの付与は行われない。
【0065】
最終的に“SETUP”を受信したMSC1は、相手先端末(着信先端末)の電話番号を元に
、H/VLRに相手先端末の所在を問い合わせる。MSC1は、H/VLRからの応答結果より、MSC2配下の位置登録エリア(LA)に相手先端末としての端末UE−bが存在すると分かった場合には、MSC2に対してSETUPメッセージを送信する(S03)。
【0066】
MSC2は、MSC1からの“SETUP”を元に、まず着信要求メッセージ(PAGE REQUEST)を作成し、位置登録エリア内すべてのRNSに送る(S04)。これと同時に、MSC2
は、MSC1に“SETUP”に対する応答を返し(S05)、着信動作に入ったことを通知す
る。
【0067】
MSC1は、応答をもらった時点で、端末UE−aに対して音声データ伝送のためのベアラ(データ通信路)を構築するベアラ設定手順(BEARER SET)を行い(S06)、通話に備える。
【0068】
ここまでの手順(図6の〈1〉の破線より上の手順:S01〜S06)によるベアラ確立イメージは、図7(A)に示すベアラ確立状態の遷移図のステップ〈1〉に示されている。即ち、ここまでに説明した手順S01〜S06で、端末UE−aとCABS1との間,CABS1とRNS1との間,及びRNS1とMSC1との間に、端末UE−aと端末UE−bとの間の音声データ通信に使用されるベアラB1(第1のデータ通信路),ベアラB2(第2のデータ通信路),及びベアラB3が確立された状態となる。
【0069】
図6に戻って、着信要求メッセージを受け取ったRNS(着信側RNS(destination-RNS:D-RNS))は、RNS自身の配下の全ての基地局に着信要求メッセージを送信する(S07)。着信要求メッセージを受け取った基地局は、着信要求メッセージを無線信号に変換し
て送信する。したがって、図5に示す場合では、MSC2から送信される着信要求メッセージは、RNS1を介してCABS2,CABS3及びBTS2から送信される。
【0070】
着信要求メッセージには端末UE−bの端末番号が含まれており、この着信要求メッセージに応答できるのは着信先端末である端末UE−bのみである。ここでは、端末UE−bは、CABS2の無線信号から着信要求メッセージを受け取る。
【0071】
端末UE−bは、着信要求メッセージに対する応答メッセージを返した後(図示せず)、発信端末(端末UE−a)と同様の呼の前処理(CALL PREPROCESS)を行う(S08)。
【0072】
前処理が終了した後、ようやく、発信側のSETUPメッセージがMSC2から端末UE−
bに向けて送信される(S09)。このとき、SETUPメッセージは、RNS2及びCABS
2(着信側基地局に相当)を経て端末UE−bに届く。
【0073】
このとき、RNS2は、RNS1で付加されたISP−IDをSETUPメッセージから取
得し、RNS2とCABS2との間を中継しているISPの識別子(予めRNS2に登録
されている)と同じかどうかをチェックする(S09A)。これが、本発明の第2の特徴で
ある。
【0074】
もし、ISP−ID同士が同じでない場合(例えば、図5において端末UE−bがCABS3の配下に存在する場合には、RNSに予め登録されるISP−IDは“ISP2”であるので、“SETUP”中のISP−ID(“ISP1”)と一致しない)には、RNS2
にて、CABS間の直接的な通信はできないと判断される。この場合、以降の手順において、従来と同様のシーケンスによる発着信処理が行われる。
【0075】
また、SETUPメッセージにISP−IDのパラメータが含まれていない場合(例えば、図5において端末UE−aがBTS2の配下にある場合には、端末UE−aからのSETUPメ
ッセージにはRNS2にてISP−IDが付加されない)にも、RNSにて、CABS間
の直接的な通信はできないと判断される。
【0076】
図6のシーケンスでは、RNS2とCABS2との間は、RNS1とCABS1との間と同様に、ISP1で中継されている(図5)。このため、RNS2において、ISP−IDが同じであると判断され、CABS間で直接的な通信が可能と判断される。
【0077】
この場合、RNS2は、“SETUP”に対する端末UE−bからの応答メッセージ“CALL CONFIRM”(S10)を受信すると、本発明の第3の特徴である新しいベアラ確立手順(NEW BEARER SET)に入る(S11)。
【0078】
現状では、従来のベアラ確立手順として、RNS2が“CALL CONFIRM”を受信することを契機に、MSC2と端末UE−b間のベアラが確立される。また、MSC1−MSC2間のベアラも別途確保される。
【0079】
これに対し、新しいベアラ確立手順(S11)では、MSC2と端末UE−b間のベアラ,及びMSC1−MSC2間のベアラの確立手順は行われない。その代わりに、CABS1とCABS2との間にISP1のIPネットワークを使用したCABS1とCABS2とを直接的に接続するデータ伝送路(CABS間直接コネクション)の確立手順と、端末UE−bとCABS2との間に無線リンクによるベアラを確立する手順とが行われる。
【0080】
具体的には、新しいベアラ確立手順(S11)において、RNS2は、CABS2のIPアドレスをRNS1に通知する。CABS2のIPアドレスはMSC2及びMSC1を経てRNS1に到達する。また、RNS2は、CABS2に対し、“SETUP”メッセージか
ら予め取得しておいたCABS1のIPアドレスを通知する。このようにして、各CABS1及び2は、相手先のCABSのIPアドレスを知ることができる。
【0081】
CABS1及びCABS2は、通知された相手先のCABSのIPアドレスを用いて、直接やりとりを行い、両者間にCABS間直接コネクション(CABS間直接ベアラ)としてのVoIP(Voice over IP)パスセッションを確立する。
【0082】
新しいベアラ確立手順における1つの重要な点は、無線区間に確立されたセキュリティを確保するための暗号化処理である。呼の前処理において暗号化のためのキー受け渡しが
RNS(MSC)と端末との間で行われており、RNS−端末間での通信は暗号化キーにより暗号化されている。このままではCABSでこの暗号化を解くことができない。
【0083】
このため、CABS間通信が確定したこの時点で、IPアドレスとともに暗号化キーをCABSに渡し、CABSで暗号が解けるようにしておく。或いは、暗号化キーを相手側に送る代わりに、送信側のCABSで暗号化データを復号し、復号されたデータを送信するように構成する。そして、CABS2と端末UE−bとの間の無線リンクのベアラのみが、従来と同様の手順で確立される。なお、IPネットワークのデータ伝送路上を伝送されるデータについては、IPsec等の既存のIPネットワークにおけるセキュリティ確保の技術を適用することができる。
【0084】
ここまで(図6の〈2〉の破線より上:S08〜S11)のベアラ確立状態のイメージは、図7(B)におけるステップ〈2〉にて示されている。図7(B)では、図7(A)で示すベアラB1,B2,B3に加えて、CABS1CABS2との間にデータ伝送路VSが確立され、且つCABS2と端末UE−bとの間にベアラB4が夫々確立されている。
【0085】
ここで注意すべき点は、CABS1から2つのベアラB2,VSが同時に確立されていることであり、この時点では、端末UE−aとCABS1との間のベアラB1はCABS1でMSC1側のベアラB2に接続されている。
【0086】
端末UE−bは無線ベアラB4を確立した後、端末自身の着信音を鳴らし始めるとともに、ALERT信号により呼び出し中であることを発信側に伝える(S12)。ALERT信号は、MSC2及びMSC1を経由し(S13)、そのまま端末UE−aに通知される(S14)。
【0087】
これと同時にMSC1から呼び出し音(通常RBT[Ring Back Tone])がベアラB3,B2及びB1を通じて端末UE−aに送られる。これによって、端末UE−aのスピーカ(図示せず)からは、RBTによる呼び出し音が出力される。このように、MSC1からの
RBTを端末UE−aに伝達するために、CABS1はMSC1側のベアラB2を選択している。
【0088】
端末UE−bがユーザのオフフックにより呼び出しに応答すると、CONNECT信号が送信
される(S15,S16)。CONNECT信号がMSC1側に伝わった時点で、本発明の4つ目
の特徴であるベアラの切替/削除処理(BEARER CHANGE/DELETE)が行われる(S18)。
【0089】
ベアラの切替処理では、CABS1のベアラ選択がMSC1側(ベアラB2)からCABS2側(データ伝送路VS)に切り替えられる。これと同時に、CABS1とRNS1との間,及びRNS1とMSC1との間の各ベアラB2及びB3が削除される。
【0090】
このような切替/削除処理(S18)によって、ベアラは図7(C)に示すステップ〈3〉のイメージとなる。このようにして、CABS間が直接接続された端末間のデータ伝送用のベアラ(端末UE−a−CABS1−CABS2−端末UE−bのベアラ)が完成する。
【0091】
その後、端末UE−bからのCONNECT信号がMSC1から端末UE−aに送られる(S19)。そして、CONNECT信号に対する応答(CONNECT ACKの送信)を待って(S17,S20)
、通話が開始される(S21)。
【0092】
通信中状態(During Communication)からの切断処理は、現状とあまり変わらない形式で実現可能である。いずれか一方の端末のオンフックにより呼の切断要求があると、まず、切断メッセージのやりとり(DISCONNECT PROCESS)が行われる(S22)。ここでのやりとりは現状と同様である。
【0093】
続いて、MSC1及びMSC2の夫々から配下の装置(RNS)に対してベアラの解放指示(REL REQ(release request))が与えられる(S23,S24)。
【0094】
このような解放指示に対し、現状(従来)では、端末UE−aとCABS1との間,CA
BS1とRNS1との間,RNS1とMSC1との間のベアラ解放処理が行われる。端末UE−b側も同様に、端末UE−bとCABS2との間,CABS2とRNS2との間,RNS2とMSC2との間のベアラ解放処理が行われる。
【0095】
これに対し、本発明では(ここが第5の特徴である)、従来のベアラ解放処理の代わりに、端末UE−aとCABS1との間(従来と同じ)、CABS1とCABS2との間,CABS2と端末UE−bとの間の各ベアラの解放処理(BEARER DELETE)が行われる(S25,S26,S27)。これらのベアラ解放処理により端末間におけるすべてのベアラが解
放される。
【0096】
その後は、不要となった制御信号用のリンクが解放される(S28,S29)。この解放処理は従来と同様である。制御信号用のリンクの解放終了後、それがMSC1及びMSC2に夫々通知される(S30,S31)。これで、端末間の通信開始から終了までのすべてのシーケンスが終了する。
【0097】
ところで、基地局(CABS)の配下には複数の端末が存在することが可能である。このため、図5〜図7に示した手順が複数の端末間で同時に行われることが想定される。CABSに割り当てられたIPアドレスだけでは、複数の端末に対する複数の通信ベアラを区別することはできない。
【0098】
この問題については、上記に述べたCABSのIPアドレスに加えて、セッションを区別するセッション番号を通知対象に導入することで、解決を図ることができる。この場合では、上記に述べた動作内容において、“IPアドレス”の代わりに“IPアドレス+セッション番号”にすればよいだけである。
【0099】
このようにすれば、複数の端末が1つのCABS配下に存在し、それぞれが異なる端末と通信する場合でも、上記と同様な方式により、CABS間が直接接続されたベアラを用いて通信を行うことができる。
【0100】
以上述べたように、本発明に係る5つの特徴を持つ、各装置、および方式を使用すれば、現状の端末を変更することなく、CABS間に直接ベアラを確保することができる。
【0101】
これによって、ISPネットワーク内のトラフィック、携帯電話ネットワーク内のトラフィックが軽減されて、より多くの呼を接続することができるようになる。
【0102】
また、ISP主体のトラフィックはISPへの受益の可能性を増やし、それによる設備の縮小がもたらすコストダウンは、携帯電話キャリヤの利益を押し上げ、ユーザにその利益が還元され易くなって、キャリヤ、ISP、ユーザ三者に利益をもたらすことになる。
【0103】
〔本発明の実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
【0104】
〈実施例におけるシーケンス〉
本発明の実施例として、第3世代の携帯電話ネットワーク(以下「3GNW」と表記する)における、具体的なシーケンスを例示する。図8は、現状の3GNWにおける発着信
から通話中までのシーケンス図であり、図9は、本発明による発着信から通話中までのシーケンスを示す。
【0105】
図8及び図9のシーケンスにおけるネットワーク形態は、概要説明と一致させるべく、図5に示したネットワーク形態(トポロジ)となっている。
【0106】
3GNWにおける発呼動作は、図8の最初の部分(前処理:PREPROCESS)に示したとおりで、図9では1つの処理イメージになっている(S101参照)。本発明の概要で説明したとおり、前処理の内容は現状と変わらない。
【0107】
その後、発信端末たる端末UE−aからCC(呼制御)プロトコル(3G(IMT-2000)標準のプ
ロトコル)によるCC:SETUP信号が携帯電話ネットワーク(MSC1)へ向けて送信される(S102)。このとき、RNS1において、CABS1のIPアドレス及びISP1のIS
P−IDがSETUP信号に付加される(図9;[A])。
【0108】
MSC1は、“SETUP”に含まれる端末UE−bの電話番号に基づいて、H/VLRか
ら端末UE−bの存在するLAを割り出し、このLAを管理するMSC(ここではMSC
2)に“SETUP”を渡す。
【0109】
ここでは、RNSに“SETUP”は、MSC1からMSC2へ、ISUP(ISDN (Integrated Service Digital Network) User Part)のメッセージ(IAM:アドレス(Initial Address))を用いて送信される(S103)。また、MSC1は、“SETUP”に対する“CALL PROCEEDING”を端末UE−aに返す(S104)。
【0110】
なお、MSC2は、IAMメッセージを受信すると、その確認メッセージたるIAA(
アドレス確認(IAM acknowledgement))メッセージをMSC1へ送信する(S105)。
【0111】
MSC2は、“SETUP”を受信すると、これを元に着信要求たるPAGINGメッセージを作
成し、配下のRNS(ここではRNS2)に送る(S106)。また、MSC2は、MSC1に対し、ACM(アドレス完了(Address complete))メッセージを送信する(S107)。
【0112】
RNS2は、MSC2からのPAGINGメッセージを元に、着信要求たるPAGING TYPE1メッセージを作成し、配下の全ての基地局に送信する(S108)。これによって、PAGING TYPE1メッセージは、CABS2を通じて着信端末たる端末UE−bに到着する。
【0113】
端末UE−bがPAGING TYPE1メッセージに応答すると、図8に示した手順と同様の前処理が行われ、無線リンクが確立される(S109)。MSC2は、前処理の終了後、“SETUP”を端末UE−bに向けて送信する(S110)。
【0114】
この“SETUP”メッセージは、RNS2を通過する。このとき、RNS2は、CABS
1のIPアドレスとISP−IDとを“SETUP”から取得し、ISP−IDを用いてCA
BS間ベアラを確立可能かどうかを判断する(図9;[B])。 ここでは、RNS2に予め登録されているISP−IDと、“SETUP”から取得されるISP−IDが一致するので
、RNS2は、CABS間直接ベアラが確立可能(双方のCABSがISPネットワーク(IPネットワーク)に接続されている)と判断し、CABS間ベアラの確立を決定する。
【0115】
端末が“SETUP”に対する“CALL CONFIRM”を応答すると、この“CALL CONFIRM”は、
MSC2まで伝達される(S111)。すると、MSC2は、MSC2と端末UE−bとの間にベアラを確立するため、RAB ASSIGNMENT REQUEST(RANAP(Radio Access Network Application Protocol)プロトコル)をRNS2に送信する(S112)。
【0116】
ここで、RNS2が、CABS間ベアラの確立を決定している場合には、RNS2は、ベアラ確立手続きを行うことなく、CABS2に対し、RADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージ(S113)で、CABS1のIPアドレスを送るとともに、CABS1からの直接的なVoIPセッション確立を待つことを指示する(図9;[C])。
【0117】
また、RNS2は、MSC2に対し、RAB INTER-CAB MODEメッセージ(RANAPプロトコ
ルにない新しいメッセージである。既存のメッセージのパラメータを変更して使用することも可能である)により、CABS2のIPアドレス(RNS2が予め知っている)を送るとともに、MSC1側にCABS1とCABS2との間のセッション確立起動を促す(S
114)。MSC2は、CABS2のIPアドレス及びセッション確立起動指示は、CPG(Call Progress:呼経過)メッセージ(新規)により、MSC1へ伝達される(S115)。
【0118】
CABS2のIPアドレス及びセッション確立起動指示は、MSC1からのRAB ASSIGNMENT REQUESTメッセージによってRNS1に伝えられ(S116)、さらにRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージによってCABS1に伝えられる(S117)。
【0119】
すると、CABS1は、CABS2のIPアドレスを使用してVoIPセッション(具体的にはUDP(User Datagram Protocol)でRTP(Real-time Transport Protocol)セッション)の確立を行う。即ち、CABS1とCABS2との間で直接VoIPセッションの確立手順が行われる。
【0120】
図9には、VoIPセッション確立手順として、CABS1からCABS2へのLINK ESTABLISH REQUEST(セッション確立要求)の送信(S118)と、CABS2からCABS1へのLINK ESTABLISH ACK(セッション確立確認)の送信(S119)とが示されている。これでCABS1とCABS2との間のベアラが確保される。
【0121】
CABS間のベアラが確保されると、各CABS1及び2は、RADIO LINK RECONFIGURATION READYメッセージでベアラ確保を上位のRNS1又は2に通知する(S120,S1
21)。
【0122】
RNS1は、RADIO LINK RECONFIGURATION READYメッセージを受け取ると、RAB ASSIGNMENT REQUESTメッセージに対するRAB ASSIGNMENT RESPONSEメッセージをMSC1に返し
て準備完了を告げる(S122)。
【0123】
一方、RNS2は、残った(もともと実施すべきである)端末UE−bとの無線ベアラ確立のためのRADIO BEARER SETUPメッセージを端末UE−bに送る(S123)。
【0124】
端末UE−bは、RADIO BEARER SETUPメッセージに応じて無線ベアラを確立し、RADIO BEARER SETUP COMPLETEメッセージで無線ベアラ確立完了を通知する(S124)。
【0125】
RNS2は、RADIO BEARER SETUP COMPLETEメッセージを受け取ると、RAB ASSIGNMENT RESPONSEメッセージをMSC2に応答して準備完了を告げる(S125)。
【0126】
端末UE−bは、無線ベアラが確立すると、CC:ALERTINGメッセージを送る(S126)
。これと同時に、端末UE−bは、端末UE−b自身の着信音を起動させ、ユーザに着信を告げる。
【0127】
ALERTINGメッセージは、MSC2,MSC1を通じて(S127:CPGメッセージ(既存)により伝達される)、端末UE−aまで届けられる(S128)。また、MSC1は、ALERT
INGメッセージの送信を契機にRBTを端末UE−aに送る(図示せず)。端末UE−aの
ユーザは、RBTを聞くことができる。
【0128】
その後、端末UE−bのユーザがオフフック(つまり応答)を行うと、CC:CONNECTメッセージが送られる(S129)。CONNECTメッセージは、MSC2を介してMSC1に伝達
される(S130;ANM(Answer:応答)で伝達される)。すると、ベアラの切替/削除処理が起動される(図9;[D])。
【0129】
即ち、MSC1は、RNS1に対し、IU RELEASE COMMANDで、RNS1−MSC1間のベアラの削除を指示するとともに、RNS1-CABS1間のベアラの削除及びCABS
1−2間ベアラへの切り替え指示を行う(S131)。
【0130】
RNS1は、ベアラの削除及び切替指示をRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージでCABS1に通知する(S132)。CABS1は、RADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージに従って、MSC1側のベアラをCABS1−2間ベアラへ切り替える処理を実施する。その後、RNS1との間のベアラを切断する(図9;[E])。
【0131】
その後、CABS1は、RADIO LINK RECONFIGURATION READYメッセージでベアラの切替及び削除が完了したことをRNS1に通知する(S133)。すると、RNS1は、RNS1−MSC1間のベアラを切断し、MSC1にIU RELEASE COMPLETEメッセージでベアラ
の切り替えと切断の完了を通知する(S134)。
【0132】
以降は、CC:CONNECTメッセージがMSC1から端末UE−aに向けて送信され(S13
5)、呼接続が完了する。なお、“CONNECT”に対する“CONNECT ACK”がMSC1及び端
末UE−bに夫々返信される(S136,S137)。
【0133】
図9に示したシーケンスにおいて、S112〜S125の処理が、図6の概要に示した新たなベアラ設定(S11)に相当する。また、S131〜S134の処理が、図6に示したベアラ変更/削除処理(S18)に相当する。
【0134】
図9に示したメッセージは一例であり、特に新しいシーケンス部分に関してはパラメータ等により取り決めを行うことでどのメッセージでも使用可能である。この実施例はシーケンスの実行に使用されるメッセージのタイプを限定するものではない。また、CABS1とCABS2との間のセッションの確立も一例を示したものであり、本発明におけるCABS間のベアラの確立は実施例に限定されない。
【0135】
なお、図9に示すシーケンスにおいて、RNS2がCABS1のIPアドレスを用い、CABS2のIPアドレスをIPネットワークを介して直接CABS1に通知するように構成することができる。また、CABS2がRNS2からCABS1のIPアドレスを受けとった場合に、これを用いてCABS2のIPアドレスを直接CABS1に通知するように構成することもできる。
【0136】
図10は、現状における3GNWの切断シーケンスを示す図であり、図11は、本発明の実施例における3GNWの切断シーケンスを示す図である。
【0137】
図11に示すように、例えば端末UE−aのオンフックが行われると、端末UE−aからCC:DISCONNECTメッセージがMSC1に送信される(S141)。MSC1は、CC:RELEASEメッセージを端末UE−aに送信する(S142)。端末UE−aはCC:RELEASEメッセー
ジに対し、CC:RELEASE COMPLETEメッセージで応答する(S143)。
【0138】
また、MSC1は、REL(Release:解放)メッセージをMSC2に送信する(S144)。MSC2は、RLC(Release Complete)をMSC1に返す(S145)。 また、MSC2は
、CC:DISCONNECTメッセージを端末UE−bに送信する(S146)。端末UE−bは、M
SC2にCC:RELEASEメッセージを返す(S147)。MSC2は、CC:RELEASEメッセージに対し、CC:RELEASE COMPLETEメッセージで応答する(S148)。
【0139】
その後、MSC1は、RNS1に対し、IU RELEASE COMMANDメッセージでベアラの切断を指示する(S149)。これに応じて、RNS1は、RRC Connectionの解放処理を行い、端末UE−aとCABS1との間の無線リンクの切断を行う(S150)。
【0140】
同様に、MSC2は、RNS2に対し、IU RELEASE COMMANDメッセージでベアラの切断を指示する(S151)。これに応じて、RNS2は、RRC Connectionの解放処理を行い、端末UE−bとCABS2との間の無線リンクの切断を行う(S152)。
【0141】
以上のようなS141〜S152の処理は、現状と同様の処理である(図10参照)。しかし、図11に示す実施例に係るシーケンスでは、RRC Connection Releaseの指示をCABS1及び2の夫々で確認し、CABS1とCABS2との間のVoIPセッションを解放する(S153,S154)。ここが本発明の特徴に係る部分である。
【0142】
CABS1−2間のベアラが解放されることによって、ベアラの解放は完了する。このため、各RNS1及び2は、IU RELEASE COMPLETEメッセージで、ベアラの解放完了をM
SC1又はMSC2に夫々通知する(S155,S156)。
【0143】
その後、現行では(図10)、CABS−RNS間,及びRNS−MSC間の各ベアラ及び各制御リンクの切断処理が行われる。これに対し、本発明の実施例では、CABS−RNS間及びRNS−MSC間の各ベアラは存在しない。このため、RNS−MSC間,RNS−CABS間の各制御リンクの切断処理のみが実行される(S157,S158,S
159,S160)。
【0144】
従って、図10に示すように、現状では、CABS−RNS間についてAAL2 LINK ReleaseとSCCP Connection Releaseによる二つのリンクの解放処理が必要であり、CABS−RNS間について二つのIP LINK Releaseが必要である。これに対し、図11に示す実施
例では、SCCP Connection Releaseによる解放処理と、一つのIP LINK Releaseで済む。
【0145】
なお、図11に示したS150,S153及びS154の処理が、図6の概要に示したベアラ削除処理(S25)に相当する。
【0146】
〈CABSの構成〉
図12は、本発明を実施する場合のCABS10(CABSの実施例)の機能ブロック図である。図12において、CABS10は、無線インタフェース部(RF)11と、RF11に接続される多重/分離部(Cch/Uch-Mux/Dmux)12と、多重/分離部12と制御チャネル(Cch)を介して接続される取り込み/挿入部(Drop/Insert)13と、多重/分離部12とユーザチャネル(Uch)を介して接続されるベアラセレクタ(Bsel)14とを備えている。
【0147】
さらに、CABS10は、ベアラセレクタ14とユーザチャネルを介して接続されるとともに、取り込み/挿入部13と制御チャネルを介して接続されるIP多重/分離部(IP Mux/Dmux)15と、IP多重/分離部15とベアラセレクタとの間のユーザチャネル上に
配置される暗号処理部(Cipher Decipher)16と、取り込み/挿入部13と接続されると
ともに、ベアラセレクタ14及びIP多重/分離部15を制御する制御部(CNT部(セッション確立/切断部(Session est./disc.)を含む))17とを備えている。
【0148】
RF11は、送信アンテナが接続された送信部(Tx)と受信アンテナが接続された受信部(Rx)とを有している。端末との通信はRF11によって行われる。端末からのデータはRF11の受信部で受信され、多重/分離部12に入力される。
【0149】
多重/分離部12は、入力された制御用のデータを制御チャネルに振り分け、ユーザデータをユーザチャネルに振り分ける。制御用のデータは取り込み/挿入部13に入力され、ユーザデータはベアラセレクタ14に入力される。
【0150】
多重/分離部12からの制御用データは、取り込み/挿入部13を通過してIP多重/分離部15でIPパケット化される。そして、通常は、CABS10の上位装置であるRNSに送信される。
【0151】
逆に、RNSからの制御データパケット(端末へ送るべき制御データ)はIP多重/分離部15で分離され、取り込み/挿入部13を通過する。そして、多重/分離部12からRF11の送信部に与えられ、端末側へ無線で送信される。
【0152】
これに対し、RNS−CABS間でやりとりされる制御データは、IP多重/分離部12から取り込み/挿入部13に与えられると、CNT部17に取り込み(ドロップ)され、CNT部17で終端処理される。
【0153】
CNT部17は、RNSへ送信すべき制御データを作成し、取り込み/挿入部13に挿入される。この制御データは、IP多重/分離部12から制御チャネルを通じてRNSへ送信される。
【0154】
一方、端末からのユーザデータは、多重/分離部12でユーザチャネルに振り分けられ、ベアラセレクタ14に与えられる。
【0155】
ベアラセレクタ14とIP多重分離部との間には、ユーザデータが暗号処理部16を通過しない第1ルートXと、暗号処理部16を通過する第2ルートYとが設けられている。
【0156】
ユーザ用ベアラが携帯電話ネットワーク内を通る場合(RNS−MSC経由)では、ユーザデータはベアラセレクタ14から第1ルートXへ出力され、暗号化されることなくIP多重/分離部15に入力され、IPパケット化されて、RNSへのユーザチャネルへ送出される。
【0157】
一方、RNSからのユーザデータは、IP多重/分離部15で第1ルートXに振り分けられる。そして、ベアラセレクタ14,多重/分離部12を経て、RF11の送信部から無線で端末に送られる。
【0158】
これに対し、CABS間通信が実施される場合には、端末からのユーザデータはユーザチャネル側に振り分けられた後、ベアラセレクタ14に入力される。このとき、ベアラセレクタ14は、ユーザデータを第2ルートYへ出力する。
【0159】
これにより、ユーザデータは暗号処理部16を通過する。このとき暗号化処理部16において、端末において施されたユーザデータの暗号化が復号される。これは、相手CABS(correspondence CABS)ではユーザデータに施された暗号化を解除できないからである
。その後、復号されたユーザデータは、IP多重/分離部15でIPパケット化され、CABS間に確立されたセッションで相手先のCABSに送られる。
【0160】
一方、相手CABSからのデータは、IP多重/分離部15から第2ルートYに振り分けられ、暗号処理部16で暗号化された後、ベアラセレクタ14,多重/分離部12を経てRF部11から端末に送られる。
【0161】
CABS間のセッション処理(セッションの確立及び切断処理)を行うのはCNT部17であり、セッションを確立するための制御データはすべてCNT部17で終端され、IP多重/分離部を通して相手CABSの制御部(CNT部)と通信することになる。
【0162】
CNT部17は、ベアラセレクタ14によるルート選択を制御する。即ち、CABS間にセッションが確立されている場合には、CNT部17はベアラセレクタ14に第2ルートYを選択するための制御信号を与える。一方、CABS間にセッションが確立されていない場合には、CNT部17はベアラセレクタ14に第1ルートXを選択するための制御信号を与える。
【0163】
ここでの注意点は、図12の右側に示した4つの制御チャネル及びユーザチャネルは論理リンクであり、物理的には1本のIPインタフェース(IP−IF)上で多重されていることである。そしてこれらの論理リンクは同時に保持が可能であることも重要な機能である。
【0164】
以上示したように、CABS10は、通常の基地局機能に加えて、ユーザチャネルにおけるデータルートを第1ルートXと第2ルートYとに分離し、必要に応じて暗号化/復号
化を行う機能を持つ。さらに、CABS10は、データルートを制御チャネルからの信号に基づいて切り替える機能を持つ。さらに、CABS10は、CABS間でセッションを確立/切断する機能を持つ。このようなCABS10を適用することによって、図9や図
11で示したシーケンスを実施することができる。
【0165】
なお、図12に示すCABS10において、RF11が本発明の受信部に相当し、IP多重/分離部が本発明の送信部に相当し、CNT部17が本発明のデータ伝送路確立/切断部に相当する。また、CNT部17は、本発明のデータ通信路確立/切断部,切替制御部,接続制御部としても機能する。ベアラセレクタ14は、本発明の切替部,接続部として機能する。
【0166】
〈RNSによる処理〉
図13は、本発明による着信側の基地局制御装置(RNS)の処理について、現状のRNS装置からの変更部分に関連する処理を示すフローチャートである。図13に示す処理は、発信側からのSETUP信号が、着信側RNS(destination RNS:D-RNS)で受信された場合に開始される。図9のシーケンスでは、RNS2が着信側RNSに該当する。
【0167】
RNS2は、SETUP信号を受信すると(S201:CC SETUP)、SETUP信号の中にISP−IDが存在するかをチェックする(S202:Is there ISP-ID in STUP)。
【0168】
ISP−IDが存在する場合(S202;Y)には、RNS2は、RNS2内の記憶装置上に予め記憶されているISP−IDとCABS2のIPアドレスとを取り出し(S20
3:Get ISP-ID and IP address of CABS2 in source RNS)、ISP−IDが一致するか
どうかをチェックする(S204:Is ISP-ID corresponding?)。
【0169】
このとき、ISP−IDが一致する場合(S205)には、RNS2は、CABS間の直接通信が可能であるとして、直接通信可能フラグ(D.C.Pフラグ)をセット(オン)する(S206:Set the Direct Connection Possible flag between CABS)。
【0170】
ISP−IDが存在しない場合(S202;N)、或いはISP−IDが一致しない場合(S204;N)には、RNS2は、D.C.Pフラグをクリア(オフ)する(S206:Clear the Direct Connection Possible flag between CABS)。
【0171】
S205又はS206の処理が終了した後、RNS2は、受信した“SETUP”をCAB
S2に送る(S207)。ここまで説明したS201〜S207の処理が、図9の[B]で示す内部処理である。
【0172】
その後、CABS2側から“CALL CONFIRM”を受信すると(S208)、“CALL CONFIRM”をMSC2側へ送る(S209)。
【0173】
次に、RNS2は、MSC2から“RAB ASSIGNMENT REQUEST”によるベアラ確保指示を受け取る(S210)。すると、RNS2は、S203又はS206にて設定したD.C.Pフ
ラグの値を“RADIO LINK RECONFIGURATION PREPARE”にセットし(S211)、CABS2に送信する(S212)。S210〜S212の処理が、図9の[C]で示す内部処理である。
【0174】
さらに、RNS2は、D.C.P.フラグがセットされているかをチェックする(S213)。D.C.P.フラグがセット(オン)されていれば(S213;Y)、着信側CABS(CABS2
のIPアドレス)を載せたRAB INTER-CAB MODE(新メッセージ)を送信し(S214)、発
信側にCABS間でのリンクの直接確立処理を促す。このような処理で、図9のS110〜S114のシーケンスが実現できる。
【0175】
〈MSCによる処理〉
図14は、本発明に係る交換機(MSC)の、CPGメッセージを受信した際における処理
を示すフローチャートであり、現状の処理からの変更部分に関連した部分が示されている。
【0176】
図9に示すように、本発明の実施例では、図9に示すS115にて送信される新規のCPGメッセージと、S127にて送信される既存のCPGメッセージとの二種類のメッセージが存在する。既存のCPGメッセージは、ALERTINGメッセージを意味する。これに対し、新規
のCPGメッセージは、“RAB INTER-CAB MODE”を指示するためのメッセージである。
【0177】
CPGメッセージが既存のメッセージであるか新規のメッセージであるか(CPGメッセージ
のタイプ)は、MSCがCPGメッセージ内に設定されたパラメータを参照することによって区別(識別)することができる。
【0178】
図14において、MSC(図9ではMSC1)は、CPGメッセージを受信すると(S301)、CPGメッセージ内の所定のパラメータを参照することによって、CPGメッセージが新規
のメッセージであるかを判定する(S302)。
【0179】
CPGメッセージが既存のCBGメッセージである場合(S302;N)には、MSCは、従来と同様に、ALERTINGメッセージをRNS(RNS1)に送信し(S308)、次の処理へ進む。
【0180】
これに対し、CPGメッセージが新規のCPGメッセージである場合(S302;Y)には、このCPGメッセージから着信側CABS(CABS2)のIPアドレスを取得する(S303:Get IP address of CABS2 from CPG (NEW))。
【0181】
ここに、新規のCPGメッセージは、着信側CABSのIPアドレスを含むRAB INTER-CAB
MODEを送信するためのメッセージであり、新規のCPGメッセージは着信側CABSのIPアドレスを含んでいる。S303では、このIPアドレスが取得される。
【0182】
次に、MSCは、CABS間リンクを確立する指示を出すためのRAB ASSIGNMENT REQUESTメッセージに、取得された着信側CABSのIPアドレスを含め(S304:Set IP address of CABS2 in RAB ASSIGNMENT REQUEST)、RNSに送信する(S305:図9のS116参照)。これによって、図9に示すようなCABS間リンクの確立処理(S118,S119)が行われる。
【0183】
MSCの下位の装置は、CABS間リンクの確立処理が終了するとRAB ASSIGNMENT RESPONSEメッセージをMSCに送信する(図9のS122参照)。MSCは、RAB ASSIGNMENT RESPONSEメッセージを受信する(S306)。すると、MSCは、この呼についてCABS間直接通信モードになったことの内部フラグをセットする(S307:Set INTER-CAB MODE about this call)。そして、次の処理へ進む。
【0184】
図15は、実施例におけるMSCの処理を示すフローチャートで、ANMメッセージ(図9のS130参照)を受信した場合の処理を示す。ANMメッセージがMSCで受信されると(
S401)、MSCは、この呼についての内部フラグの値をチェックし、内部フラグ(図14のS307で説明した)の値がINTER-CAB MODE、つまりCABS間直接通信モードにな
っているかをチェックする(S402)。
【0185】
内部フラグがINTER-CAB MODEを示す場合(S307で内部フラグがセットされている場
合:S402;Y)には、MSCは、先にRNSとMSCとの間に確立されていたベアラ
を削除するため、RNSに向けてIU RELEASE COMMANDメッセージを送信する(S403;
図9のS131参照)。
【0186】
IU RELEASE COMMANDの送信を契機に、RNS及びCABSによって、CABS(CAB
S1)−RNS(RNS1)間及びRNS(RNS1)−MSC(MSC1)間のベアラが削除
される(図9のS132,S133参照)。
【0187】
その後、MSCは、ベアラの削除が終了を契機にRNSから送信されるIU RELEASE COMPLETEメッセージを受信する(S404)。以後は、現状のANMメッセージを受信した場合と同様に、CC:CONNECTメッセージをRNS(RNS1)に送信する(S405)。
【0188】
なお、S402において、INTER-CAB MODEがセットされていないと判定される場合(S
402;N)には、処理がS405に進む。即ち、現状と同様の処理が行われる。
【0189】
図16は、実施例におけるMSCの処理を示すフローチャートであり、新メッセージであるRAB INTER-CAB MODEメッセージ(図9のS114)をRNSから受信した場合におけるMSC(図9ではMSC2)の内部処理を示す。
【0190】
図16において、MSC2は、RAB INTER-CAB MODEメッセージを受信すると(S501)、MSC2は、RAB INTER-CAB MODEメッセージ中からCABS2のIPアドレスを取得する(S502;Get IP address of CABS2 from RAB INTER-CAB MODE)。
【0191】
次に、MSC2は、取得したIPアドレスを、新規のCPGメッセージのパラメータの一
つとして、新規のCPGメッセージに設定する(S503:Set IP address of CABS2 in CPG
(NEW))。そして、MSC2は、新規のCPGメッセージを発信側MSC(MSC1)に送信する(S504)。新規のCPGメッセージが発信側MSC(MSC1)で受信されると、図14
のフローチャートに示す処理が実行される。
【0192】
〈CABSによる処理〉
図17は、本発明の実施例に係る無線基地局装置(CABS)の処理を示すフローチャートであり、ベアラに関する処理の現状からの変更部分に係る処理を示している。図17に示す処理は、図9に示す発信側CABS(S−CABS:図9ではCABS1)及び着信側CABS(D−CABS:図9ではCABS2)の双方に適用される。
【0193】
CABS1は、RNS1からRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージを受信すると(S601)、このメッセージがCABS間直接接続を指示するメッセージか否かをチェックする(S602:Is the instruction which connects between CABS)。
【0194】
ここに、RNS1は、MSC1からRAB ASSIGINMENT REQUESTメッセージを受信する(図9;S116)。このメッセージ中には、MSC1で設定されたCABS2のIPアドレ
スを含んでいる(図14;S304,S305)。RNS1は、このCABS2のIPアドレスを含むRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージを生成し、CABS1に送る(図9のS117)。
【0195】
このRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージを、CABS1はS601で受信する。CABS1は、当該メッセージを参照し、当該メッセージ中からCABS間直接接続を指示するパラメータ(例えばフラグ:RNS1で設定される)を検出することで、当該メッセージがCABS間直接接続を指示するメッセージであると判断(認識)することができる。
【0196】
CABS1は、RADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージがCABS間直接接続を指示するメッセージであると判断すると、当該メッセージに含まれているCABS2のIPアドレスを取得する(S603:Get IP address of CABS2 from RADIO LINK RECONFIGRATION PREPARE)。
【0197】
次に、CABS1は、取得されたCABS2のIPアドレス宛に、CABS2へIPネットワークを通してCABS間直接接続(直接リンク確立)を要求するメッセージとしてのLINK ESTABLISH REQUESTメッセージを送信する(S604)。
【0198】
その後、CABS1は、CABS2から直接リンク確立のOK(了承)を示すLINK ESTABLISH ACKメッセージを受信すると(S605)、RADIO LINK RECONFIGRATION PREPAREメッ
セージに対して本来行うべき処理(フローチャートで“Other Processing(他の処理)”で示されている)を行う(S609)。
【0199】
即ち、CABS1は、S605でLINK ESTABLISH ACKメッセージを受信すると、次のS606の判断でNOを選択し、S610に処理を進める。そして、RADIO LINK RECONFIGURATION READYをRNSに返送して処理完了を通知する(S610)。
【0200】
一方、CABS2も、RNS2からのRADIO LINK RECONFIGRATION PREPAREメッセージ(図9のS113参照)を受信する(S601)。このRADIO LINK RECONFIGRATION PREPAREメッセージには、図13のS211でセットされたD.C.P.フラグの値(オン又はオフ)がセットされている。但し、当該メッセージには、S602で検出されるようなCABS間直接接続指示は含まれていない。
【0201】
従って、CABS2は、受信されたメッセージについて、S602でNOの判断を行い、処理をS606に進める。S606では、CABS2は、D.C.P.フラグの値の値がオンであるかオフであるかを判断する。これによって、CABS2は、CABS間接続(CA
BS1からのLINK ESTABLISH REQUESTメッセージ)を待つ指示があるか否かを判定する(S606:Is the instruction which waits for the connection between CABS?)。
【0202】
ここでは、CABS2は、D.C.P.フラグの値の値がオンであれば、待機指示があると判断し、D.C.P.フラグの値がオフであれば、待機指示がないと判断する。待機指示がない場合(S606;N)には、CABS2は、処理をS609に進める。
【0203】
これに対し、待機指示がある場合(S606;Y)には、CABS2は、CABS1からのLINK ESTABLISH REQUESTメッセージを待ち、当該メッセージを受信すると(S607)、CABS1−2間にリンク(セッション)の確立処理を行った後、LINK ESTABLISH ACKメッセージをCABS1に送信する(S608)。その後、CABS2は、処理をS609に進め、他の処理を行った後、RADIO LINK RECONFIGURATION READYをRNS2に返送して処理完了を通知する(S10)。
【0204】
なお、各CABS1及び2の夫々は、リンクの確立指示も待機指示も含まないRADIO LINK RECONFIGURATION PREPAREメッセージを受信した場合には、S603〜S605,S607,S608の処理をスキップしてS609及びS610の処理のみを行う。
【0205】
図17に示した処理は、図12に示したCABS10のCNT部17において行われる。図17に示す処理は、CABS内において、メモリに格納された所定の制御プログラムをプロセッサが実行することによるソフトウェア処理によって実現されるようにしても良く、ハードウェアチップを用いたハードウェア処理によって実現されるようにしても良い。
【0206】
〈RNSの構成〉
図18は、本発明の実施例における基地局制御装置(RNS)の構成例を示す図である。図18において、RNS30は、スイッチ(SW)31と、スイッチ31に接続されたMSC−IF32,RNS−IF33,CABS−IF34,PAGE35,DHT36,MMUX37,ISU38,RSU39,BSU40,OPS−IF41,及びCNT42と、CNT42に接続されたFM43とを備えている。
【0207】
スイッチ31は、CNT42(CNT搭載のソフトウェア)からの指示に従って、各ブロック間の接続切り替えを行う。
【0208】
MSC−IF32は、MSCとのインタフェース接続部であり、ATMインタフェースでMSCと接続される。RNS−IF33は、異なるRNSとのインタフェース接続部でありIP/ATMインタフェースで異なるRNSと接続される。CABS−IF34は、CABSとのインタフェース接続部であり、IPインタフェースでCABSと接続される。二重枠線で示されたRNS−IF33及びCABS−IF34は、一つのRNSに対して複数個搭載されることともある。
【0209】
スイッチ31の右側に並んでいるブロック35〜40は、チャネルやプロトコルの終端部である。PAGE35は、PAGINGチャネルの処理を行う。DHT36は、ハンドオーバに係る処理を行う。MMUX37は、各種共通チャネルの制御(多重/分離)を行う。ISU38は、対MSC局間信号を終端制御する。RSU39は、対RNS局間信号を終端する。BSU40は、対基地局(CABS,BTS)局間信号を終端する。
【0210】
CNT42は、高速CPU(Central Processing Unit)を具備するRNS装置全体を制
御するソフトウェアが搭載された制御部である。CNT42に接続されるFM43は、RNS30の各ブロックを制御するためのソフトウェアが世代管理されて格納されているフ
ァイルメモリである。
【0211】
図13に示したRNSのフローチャートによる制御は、このCNT42に収容されるソフトウェアにより実行される。図13に示す処理は、CNT42のソフトウェアに改良を加えることで実現される。但し、ハードウェアによって実現されるように構成することもできる。
【0212】
OPS−IF41は、保守用端末や制御装置(OPS:operation system)へのインタフェ
ースの接続部である。OPS−IF41は、IPインタフェースで保守用端末やOPSと接続される。
【0213】
〈MSCの構成〉
図19は、本発明の実施例における交換機(MSC)の構成例を示すブロック図である。図19において、MSC50は、スイッチ(SW)51と、スイッチ51に接続されたMSC−IF52,STM−IF53,RNS−IF54,NSU55,TNS57,PB/MF58,C/FPT59,PKT60,IPU61,BCI62,及びOPS−IF41と、CNT56に接続されたFM64とを備えている。
【0214】
スイッチ51は、CNT56(CNT搭載のソフトウェア)からの指示に従って、各ブロック間の接続切り替えを行う。MSC−IF52は、異なるMSCとのインタフェース接続部であり、ATMインタフェースで異なるMSCと接続される。STM(Synchronous Transfer Mode)−IF53は、他の網とのインタフェース接続部であり、STMインタフ
ェースで他の網に接続される。RNS−IF54は、RNSとのインタフェース接続部であり、ATMインタフェースでRNSと接続される。各インタフェース52〜54は、複数個搭載されることもある。
【0215】
スイッチ51の右側に示されている各ブロック57〜62は、MSCの主たる機能を実現するブロックである。
【0216】
TNS57は可聴音(RBT等)を端末に配信するトーンセンダ部である。PB/MF58は、受信信号をPB(Push Button)音などに分析するPB/MF信号送受信部で、外部
からの音声信号も配信する。C/FPT59は、警察/消防関連のトランク機能を持つ機
能ブロックである。
【0217】
PKTはIPパケットのインタフェース部で、IPネットワークに接続されている。IPU61は、IPパケットの終端制御部である。BCI62は料金明細センタへの接続インタフェースであり、他のシステムへのインタフェースの一種である。
【0218】
NSU55は、ATM信号で来る共通線インタフェースの処理を行う部分である。CNT56は、高速CPUを具備するMSC装置全体を制御するソフトウェアが搭載される制御機能ブロックである。FMはCNT56に搭載されるソフトウェアが世代管理されて格納されているファイルメモリである。
【0219】
図14〜16に示したMSCのフローチャートによる制御は、CNT部56に収容されるソフトウェアによって実行される。当該制御は、現状のソフトウェアに改良を加えることで実現可能である。OPS−IF63は、保守用端末や制御装置(OPS)へのインタフェースを司る機能ブロックである。
【0220】
〈実施例の効果〉
本発明の実施例によれば、図9に示したシーケンスにおいて、RNS2でISP−ID
が一致するかが判定されることによって、CABS間直接接続ベアラを確立できるか否かが判断される。そして、確立可能と判断される場合には、CABS1とCABS2との間で、端末UE−aと端末UE−bとのデータ通信に利用されるデータ伝送路(VoIPパ
スセッション)が確立される。このように、実施例に示したネットワークシステムは、本
発明による判定手段及び確立手段を備える。
【0221】
CABS間直接ベアラ(データ伝送路)が確立される場合には、端末UE−aと端末UE−bとの間のトラフィックは、携帯電話ネットワークを通過しない。また、当該トラフィックがIPネットワークを通過する回数は1回となる。従って、トラフィックの減少により、携帯電話ネットワーク及びIPネットワークの負荷を軽減することができる。
【0222】
また、RNS2において、ISP−IDが一致しないと判定される場合、及び、“SETUP”にISP−IDが含まれていない場合には、CABS間直接ベアラができないと判断
される。この場合、着信側のシーケンスは、図8の右側に示すものとなり、携帯電話ネットワークを経由する(RNS1−MSC1−MSC2−RNS2を通過する)端末UE−aと端末UE−bとの間のデータ伝送路が確立される。このように、CABS間直接ベアラが確立できない場合には、現行と同様の手順で端末間のデータ伝送路が確立される。これによって、発信端末からの発信要求に対する呼接続を補償することができる。
【0223】
また、実施例において、RNS1がIPアドレスとISP−IDに加えて、セッション番号を“SETUP”に付加するように構成することができる。この場合、セッション番号は
、発信側CABS(CABS1)及び着信側CABS(CABS2)に通知され、発信側CABS及び着信側CABSはそのセッション番号でCABS間直接ベアラ(VoIPパスセ
ッション)を確立する。
【0224】
これによって、例えば、CABS1−CABS2間で端末UE−aと端末UE−bとの通信のためのCABS間直接ベアラ(「第1のCABS間ベアラ」と称する)が確立されている場合に、さらに、CABS1の配下の端末UE−c(図示せず)とCABS2の配下の端末UE−d(図示せず)との間で呼接続が行われる場合には、第1のCABS間ベアラのセッション番号と異なるセッション番号で端末UE−cと端末UE−dとの通信のためのCABS間直接ベアラ(「第2のCABS間ベアラ」と称する)が確立される。このように、CABS間直接ベアラをセッション番号で区別することにより、CABS間で同時に複数のCABS間直接ベアラを確立することができる。
【0225】
また、図9に示す実施例においては、CABS1−RNS1間のベアラ(第2のデータ
通信路)B2及びRNS1−MSC1間のベアラB3が確立され、これらのベアラB2及
びB3を用いてMSC1から呼び出し音がCABS1に送信され、CABS1が呼び出し音をCABS1と端末UE−aとの間のベアラB1(第1のデータ通信路)を通じて端末UE−aに送信する。これによって、携帯電話ネットワークからの呼び出し音を端末UE−aに与え、ユーザに聞かせることができる。
【0226】
その後、CABS間直接ベアラ(データ伝送路VS)が確立され、端末UE−bが呼び出しに応じた場合には、ベアラB1の接続先がベアラB2からデータ伝送路VSに切り替えられるとともに、ベアラB2及びB3が解放される。これによって、IPネットワーク及び携帯電話ネットワークのリソースの浪費を抑えることができる。
【0227】
〔その他〕
上述した「発明を実施するための最良の形態」の項は、以下の発明を開示する。以下に開示される発明は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【0228】
(付記1) 携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して収容された基地局を含むネットワークシステムにおける携帯電話端末間のデータ伝送路確立システムであって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話ネットワークへ送信し、この発信要求を携帯電話ネットワークから着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信させる場合に、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されているかを判定する判定手段と、
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されている場合に、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する確立手段とを含む携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。(1)
【0229】
(付記2) 前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
付記1記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。(2)
【0230】
(付記3) 発信端末と着信先端末との少なくとも一方がIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない基地局の配下に属する場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
付記1又は2記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。(3)
【0231】
(付記4) 発信側基地局制御装置となる第1基地局制御装置と、着信側基地局制御装置となる第2基地局制御装置と、前記第1基地局制御装置と前記第2基地局制御装置とを接続する少なくとも1つの交換機とを有する携帯電話ネットワークを含むネットワークシステムであって、
前記第1基地局制御装置は、IPネットワークを介して接続された発信側基地局から、発信端末としての携帯電話端末の発信要求を受信した場合に、この発信要求に前記発信側基地局が接続されるIPネットワークの識別情報と前記発信側基地局のIPアドレスとを付加し、
前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機を介して前記発信要求を受け取り、この発信要求を自装置にIPネットワークを介して接続された着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に送信する場合に、前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致するかを判断し、
IPネットワークの識別情報が一致する場合には、前記第2基地局制御装置が前記発信要求に含まれた前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知するとともに、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局に通知し、
前記第1及び第2基地局制御装置は、前記発信側基地局及び前記着信側基地局に指示を与えて、前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記携帯電話ネットワークを経由することなく同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立させる
ネットワークシステム。(4)
【0232】
(付記5) 前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致しない場合には、前記第1基地局制御装置,前記第2基地局制御装置,及び前記少なくとも1つの交換機は、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立するため
の処理を行う
付記4記載のネットワークシステム。
【0233】
(付記6) 前記第2基地局制御装置で受信される発信要求にIPネットワークの識別子が含まれていない場合には、前記第1基地局制御装置,前記第2基地局制御装置及び前記少なくとも1つの交換機は、前記携帯電話ネットワークを経由する発信端末と着信先端末との間のデータ伝送路を確立するための処理を行う
付記4又は5記載のネットワークシステム。
【0234】
(付記7) 前記第1基地局制御装置は、発信要求に、前記識別情報と、前記IPアドレスと、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間で確立すべきデータ伝送路の識別情報とを付加する
付記4〜6のいずれかに記載のネットワークシステム。(5)
【0235】
(付記8) 前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置を通じて、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局装置に通知する
付記4〜7のいずれかに記載のネットワークシステム。
【0236】
(付記9) 前記第2基地局制御装置は、前記発信要求から取得される前記発信側基地局のIPアドレスを用い、IPネットワーク経由で前記発信側基地局に前記着信側基地局のIPアドレスを通知する
付記4〜7のいずれかに記載のネットワークシステム。
【0237】
(付記10) 前記第2基地局制御装置は、前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知し、
前記着信側基地局は、前記発信側基地局のIPアドレスを用いてIPネットワーク経由で前記着信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知する付記4〜7のいずれかに記載のネットワークシステム。
【0238】
(付記11) 前記第1基地局制御装置,前記少なくとも1つの交換機は、前記発信要求の受信を契機に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間にデータ通信路を確立し、
前記少なくとも1つの交換機は、前記着信先端末の呼び出し中に、前記データ通信路を用いて呼び出し音を前記発信側基地局に送信し、
前記発信側基地局は、前記データ通信路を介して前記受信される前記呼び出し音を前記発信端末に送信する
付記4〜10のいずれかに記載のネットワークシステム。(6)
【0239】
(付記12) 前記発信側基地局は、前記着信先端末が呼び出しに応答したときに前記着信先端末から前記発信端末へ送信される接続メッセージの受信を契機として、前記発信端末に接続すべきデータ通信路を、前記第1基地局制御装置との間に確立された前記データ通信路から前記発信側基地局と前記着信側基地局との間に確立されたデータ伝送路に切り替える
付記11記載のネットワークシステム。
【0240】
(付記13) 前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置は、前記着信先端末が呼び出しに応答したときに前記着信先端末から前記発信端末へ送信される接続メッセージの受信を契機として、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間に確立されたデータ通信路を削除する
付記11又は12記載のネットワークシステム。(7)
【0241】
(付記14) 前記発信端末と前記着信先端末とが前記発信側基地局と前記着信側基地局との間に確立されたデータ伝送路を用いて通信を行っている場合に、前記発信端末と前記着信先端末との一方から切断要求が送信されたときには、前記発信側基地局及び前記着信側基地局は、前記発信端末と前記発信側基地局との間のリンク及び前記着信端末と前記着信側基地局との間のリンクを切断した後に、前記データ伝送路を切断する
付記4〜13のいずれかに記載のネットワークシステム。
【0242】
(付記15) 携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して接続される基地局であって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を受信する受信部と、
前記発信要求を前記IPネットワークを介して携帯電話ネットワークへ送信する送信部と、
前記発信要求が前記IPネットワークと同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続された異なる基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信する場合に、前記異なる基地局のIPアドレスを前記携帯電話ネットワーク又は前記異なる基地局から受け取り、このIPアドレスを用いて、前記異なる基地局との間で、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記基地局自身と前記異なる基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立するデータ伝送路確立/切断部と
を含む基地局。(8)
【0243】
(付記16) 前記発信要求を前記携帯電話ネットワークへ送信した後に、前記基地局自身と前記発信端末との間に第1のデータ通信路を確立し、前記基地局自身と前記携帯電話ネットワークとの間に第2のデータ通信路を確立するデータ通信路確立/切断部と、
前記第1のデータ通信路の接続先を前記第2のデータ通信路と前記データ伝送路との間で切り替える切替部と、
前記着信先端末の呼び出し中では、前記切替部に前記第2のデータ通信路を選択させて前記携帯電話ネットワークから送信される呼び出し音を前記第1のデータ伝送路に送出させ、前記着信先端末が呼び出しに応答した場合には、前記切替部に前記データ伝送路を選択させる切替制御部とをさらに含む付記15記載の基地局。
【0244】
(付記17) 前記データ通信路確立/切断部は、前記着信先端末が呼び出しに応答した場合に、前記第2のデータ伝送路を切断する付記16記載の基地局。
【0245】
(付記18) 前記データ伝送路確立/切断部は、前記データ通信路確立/切断部によって前記第1のデータ通信路が切断された後に、前記データ伝送路を切断する
付記16又は17記載の基地局。
【0246】
(付記19) 前記第1のデータ通信路を伝送されるデータは、前記発信端末と前記携帯電話ネットワークとの間で決定された暗号で暗号化され、
前記第1のデータ通信路からの暗号化されたデータを復号し、且つ前記第1のデータ通信路へ送信すべきデータを前記暗号で暗号化する暗号化処理部と、
前記暗号処理部を通過する第1ルートと、
前記暗号処理部を通過しない第2ルートと、
前記発信端末と前記着信先端末との間を前記携帯電話ネットワークを介して伝送されるデータを前記第2のルートに接続し、前記発信端末と前記着信先端末との間を前記データ伝送路を介して伝送されるデータを前記第1のルートに接続する接続部と、
前記データ伝送路の確立/切断に応じて、前記接続部の接続先のルートを制御する接続
制御部とをさらに含む付記16〜18のいずれかに記載の基地局。(9)
【0247】
(付記20) 携帯電話ネットワークにIPネットワークを介して収容された基地局を含むネットワークシステムにおける携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法であって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話ネットワークへ送信し、
この発信要求を携帯電話ネットワークから着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信される場合に、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されているかを判定し、
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されている場合に、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
ことを含む携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。(10)
【0248】
(付記21) 前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
付記20記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0249】
(付記22) 前記着信先端末がIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない基地局の配下に属する場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
付記20又は21記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0250】
(付記23) 発信側基地局制御装置となる第1基地局制御装置と、着信側基地局制御装置となる第2基地局制御装置と、前記第1基地局制御装置と前記第2基地局制御装置とを接続する少なくとも1つの交換機とを有する携帯電話ネットワークを含むネットワークシステムにおいて、
前記第1基地局制御装置は、IPネットワークを介して接続された発信側基地局から、発信端末としての携帯電話端末の発信要求を受信した場合に、この発信要求に前記発信側基地局が接続されるIPネットワークの識別情報と前記発信側基地局のIPアドレスとを付加し、
前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機を介して前記発信要求を受け取り、この発信要求を自装置にIPネットワークを介して接続された着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に送信する場合に、前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致するかを判断し、
IPネットワークの識別情報が一致する場合には、前記第2基地局制御装置が前記発信要求に含まれた前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知するとともに、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局に通知し、
前記第1及び第2基地局制御装置は、前記発信側基地局及び前記着信側基地局に指示を与えて、前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記携帯電話ネットワークを経由することなく同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立させることを含む携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0251】
(付記24) 前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致しない場合には、前記第1基地局制御装置,前記第2基地局制御装置,及び前記少なくとも1つの交換機は、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立するた
めの処理を行う付記23記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0252】
(付記25) 前記第2基地局制御装置で受信される発信要求にIPネットワークの識別子が含まれていない場合には、前記第1基地局制御装置,前記第2基地局制御装置及び前記少なくとも1つの交換機は、前記携帯電話ネットワークを経由する発信端末と着信先端末との間のデータ伝送路を確立するための処理を行う
付記23又は24記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0253】
(付記26) 前記第1基地局制御装置は、発信要求に、前記識別情報と、前記IPアドレスと、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間で確立すべきデータ伝送路の識別情報とを付加する
付記23〜25のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0254】
(付記27) 前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置を通じて、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局装置に通知する付記23〜26のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0255】
(付記28) 前記第2基地局制御装置は、前記発信要求から取得される前記発信側基地局のIPアドレスを用い、IPネットワーク経由で前記発信側基地局に前記着信側基地局のIPアドレスを通知する
付記23〜26のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0256】
(付記29) 前記第2基地局制御装置は、前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知し、
前記着信側基地局は、前記発信側基地局のIPアドレスを用いてIPネットワーク経由で前記着信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知する付記23〜26のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0257】
(付記30) 前記第1基地局制御装置,前記少なくとも1つの交換機は、前記発信要求の受信を契機に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間にデータ通信路を確立し、
前記少なくとも1つの交換機は、前記着信先端末の呼び出し中に、前記データ通信路を用いて呼び出し音を前記発信側基地局に送信し、
前記発信側基地局は、前記データ通信路を介して前記受信される前記呼び出し音を前記発信端末に送信する
付記23〜29のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0258】
(付記31) 前記発信側基地局は、前記着信先端末が呼び出しに応答したときに前記着信先端末から前記発信端末へ送信される接続メッセージの受信を契機として、前記発信端末に接続すべきデータ通信路を、前記第1基地局制御装置との間に確立された前記データ通信路から前記発信側基地局と前記着信側基地局との間に確立されたデータ伝送路に切り替える付記30記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0259】
(付記32) 前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置は、前記着信先端末が呼び出しに応答したときに前記着信先端末から前記発信端末へ送信される接続メッセージの受信を契機として、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間に確立されたデータ通信路を削除する
付記30又は31記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【0260】
(付記33) 前記発信端末と前記着信先端末とが前記発信側基地局と前記着信側基地
局との間に確立されたデータ伝送路を用いて通信を行っている場合に、前記発信端末と前記着信先端末との一方から切断要求が送信されたときには、前記発信側基地局及び前記着信側基地局は、前記発信端末と前記発信側基地局との間のリンク及び前記着信端末と前記着信側基地局との間のリンクを切断した後に、前記データ伝送路を切断する
付記23〜32のいずれかに記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】図1は、本発明を適用可能な携帯電話ネットワークの構成例を示す図である。
【図2】図2は、現行の音声データが通るベアラルートを示した図である。
【図3】図3は、本発明により実現される音声データが通るベアラルートを示した図である。
【図4】図4は、本発明が解決する課題を説明するためのネットワーク構成例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の概要及び実施例を説明するためのネットワーク構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の概要を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、本発明に係る呼接続処理におけるベアラ状態の遷移を示す図である。
【図8】図8は、現行の3GNWの発着信シーケンスを示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施例における3GNWの発着信シーケンスを示す図である。
【図10】図10は、現行の3GNWの切断シーケンスを示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施例における3GNWの切断シーケンスを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施例におけるCABSの構成例を示すブロック図である。
【図13】図13は、本発明の実施例における着信側RNS(D−RNS)による処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施例における発信側MSC(S−MSC)による処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施例における発信側MSC(S−MSC)による処理を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施例における着信側MSC(D−MSC)による処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施例における発信側CABS(S−CABS)及び着信側(D−CABS)による処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の実施例におけるRNSの構成例を示すブロック図である。
【図19】図19は、本発明の実施例におけるMSCの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0262】
10・・・CABS
11・・・無線処理部
12・・・多重/分離部
13・・・取り込み/挿入部
14・・・ベアラセレクタ
15・・・IP多重/分離部
16・・・暗号処理部
17・・・制御部(CNT部;セッション確立/切断部含む)
30・・・RNS
42,56・・・CNT部
50・・・MSC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話ネットワークにIP(Internet Protocol)ネットワークを介して収容された基
地局を含むネットワークシステムにおける携帯電話端末間のデータ伝送路確立システムであって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話ネットワークへ送信し、この発信要求を携帯電話ネットワークから着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信させる場合に、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されているかを判定する判定手段と、
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されている場合に、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する確立手段とを含む携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。
【請求項2】
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
請求項1記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。
【請求項3】
発信端末と着信先端末との少なくとも一方がIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されていない基地局の配下に属する場合には、前記携帯電話ネットワークを経由する前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
請求項1又は2記載の携帯電話端末間のデータ伝送路確立システム。
【請求項4】
発信側基地局制御装置となる第1基地局制御装置と、着信側基地局制御装置となる第2基地局制御装置と、前記第1基地局制御装置と前記第2基地局制御装置とを接続する少なくとも1つの交換機とを有する携帯電話ネットワークを含むネットワークシステムであって、
前記第1基地局制御装置は、IP(Internet Protocol)ネットワークを介して接続され
た発信側基地局から、発信端末としての携帯電話端末の発信要求を受信した場合に、この発信要求に前記発信側基地局が接続されるIPネットワークの識別情報と前記発信側基地局のIPアドレスとを付加し、
前記第2基地局制御装置は、前記少なくとも1つの交換機を介して前記発信要求を受け取り、この発信要求を自装置にIPネットワークを介して接続された着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に送信する場合に、前記発信要求に含まれたIPネットワークの識別情報と前記着信側基地局が接続されたIPネットワークの識別情報とが一致するかを判断し、
IPネットワークの識別情報が一致する場合には、前記第2基地局制御装置が前記発信要求に含まれた前記発信側基地局のIPアドレスを前記着信側基地局に通知するとともに、前記着信側基地局のIPアドレスを前記発信側基地局に通知し、
前記第1及び第2基地局制御装置は、前記発信側基地局及び前記着信側基地局に指示を与えて、前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記携帯電話ネットワークを経由することなく同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立させる
ネットワークシステム。
【請求項5】
前記第1基地局制御装置は、発信要求に、前記識別情報と、前記IPアドレスと、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間で確立すべきデータ伝送路の識別情報とを付加す

請求項4記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記第1基地局制御装置,前記少なくとも1つの交換機は、前記発信要求の受信を契機に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間にデータ通信路を確立し、
前記少なくとも1つの交換機は、前記着信先端末の呼び出し中に、前記データ通信路を用いて呼び出し音を前記発信側基地局に送信し、
前記発信側基地局は、前記データ通信路を介して前記受信される前記呼び出し音を前記発信端末に送信する
請求項4又は5記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの交換機及び前記第1基地局制御装置は、前記発信側基地局と前記着信側基地局との間に前記データ伝送路が確立され、且つ前記着信先端末が呼び出しに応答した場合に、前記第1基地局制御装置と前記発信側基地局との間、及び前記第1基地局制御装置と前記交換機との間に確立されたデータ通信路を削除する
請求項6記載のネットワークシステム。
【請求項8】
携帯電話ネットワークにIP(Internet Protocol)ネットワークを介して接続される基
地局であって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を受信する受信部と、
前記発信要求を前記IPネットワークを介して携帯電話ネットワークへ送信する送信部と、
前記発信要求が前記IPネットワークと同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続された異なる基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信する場合に、前記異なる基地局のIPアドレスを前記携帯電話ネットワーク又は前記異なる基地局から受け取り、このIPアドレスを用いて、前記異なる基地局との間で、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記基地局自身と前記異なる基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立するデータ伝送路確立/切断部と
を含む基地局。
【請求項9】
前記基地局と前記発信端末との間には、前記発信端末との間で通信されるデータを伝送するためのデータ通信路が確立され、
前記データ通信路を伝送されるデータは、前記発信端末と前記携帯電話ネットワークとの間で決定された暗号で暗号化され、
前記データ通信路からの暗号化されたデータを復号し、且つ前記データ通信路へ送信すべきデータを前記暗号で暗号化する暗号化処理部と、
データが前記暗号処理部を通過する第1ルートと、
データが前記暗号処理部を通過しない第2ルートと、
前記発信端末と前記着信先端末との間を前記携帯電話ネットワークを介して伝送されるデータを前記第2のルートに接続し、前記発信端末と前記着信先端末との間を前記データ伝送路を介して伝送されるデータを前記第1のルートに接続する接続部と、
前記データ伝送路の確立/切断に応じて、前記接続部の接続先のルートを制御する接続制御部と
をさらに含む請求項8記載の基地局。
【請求項10】
携帯電話ネットワークにIP(Internet Protocol)ネットワークを介して収容された基
地局を含むネットワークシステムにおける携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法であって、
発信端末としての携帯電話端末からの発信要求を発信側基地局から携帯電話ネットワークへ送信し、
この発信要求を携帯電話ネットワークから着信側基地局を通じて着信先端末としての携帯電話端末に着信される場合に、前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されているかを判定し、
前記発信側基地局と前記着信側基地局との双方が同一のIPネットワークを介して前記携帯電話ネットワークに接続されている場合に、前記携帯電話ネットワークを経由することなく前記発信側基地局と前記着信側基地局とが前記同一のIPネットワークを介して直接接続された前記発信端末と前記着信先端末との間のデータ伝送路を確立する
ことを含む携帯電話端末間のデータ伝送路確立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−121180(P2006−121180A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304279(P2004−304279)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】