説明

改善されたナビゲーション装置及び方法

比較的弱いGPS信号のみが利用可能な場合の、ナビゲーション装置(500)の位置を決定する方法と、このような状況で自身の位置を決定できるナビゲーション装置とが説明される。この方法は、複数のGPS衛星(51−54)から複数のGPS信号(502)を受信する工程と、衛星のそれぞれに特有の識別情報とともに信号の一部を構成するタイミング情報から、距離情報を決定する工程と、信号のそれぞれの一部をさらに構成する、衛星のそれぞれに特有の軌道歴データペイロードの全体を受信及び格納することを試みる工程とを含む。この方法はさらに、無線通信プロトコルを用いて、近傍の装置(508)との通信(510)を確立する工程と、近傍の装置が、特定された衛星についての衛星位置に関する軌道歴データ又は軌道歴データの特定の部分を、既に格納していることを判定する工程と、特定された衛星についての軌道歴データ又は軌道歴データの特定の部分を、要求及び受信する工程と、ナビゲーション装置が続けて、距離情報と、距離情報が決定された衛星に特有の無線で受信された軌道歴データと、を用いてナビゲーション装置の位置を決定する工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたナビゲーション装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)信号の受信処理手段を含む可搬ナビゲーション装置(PND)は周知であり、車載ナビゲーションシステムとして広く採用されている。本質的には現代のPNDは、
−プロセッサと
−(揮発性及び不揮発性の少なくとも一方であって、通常は双方の)メモリと
−メモリに格納された地図データと
−装置の機能を制御し様々な特徴を提供するための、ソフトウェア・オペレーティング・システムと、任意的ではあるが、ソフトウェア・オペレーティング・システム上で動作する1以上の追加のプログラムと
−これによって、位置データを含む衛星報知信号が、受信されかつ続けて装置の現在位置を決定するために処理されうる、GPSアンテナと
−任意的にではあるが、現在の角加速度及び線形加速度を決定するために、続けてGPS信号から導かれる位置情報と組み合わせて装置の、従って装置が設置されている車両の、速度及び相対変位を決定するために、処理されうる信号を生成する電子ジャイロスコープ及び加速度計と、
−例として(ユーザ入力を可能とするために接触感度を有してもよい)視覚的表示装置と、装置のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するための1以上の物理的ボタンと、聞き取り可能な出力のためのスピーカと、を含む入力及び出力手段と
−任意的にではあるが、電力及び任意的には1以上のデータ信号が装置へと送信されることができかつ装置から受信されることができる1以上の物理コネクタと
−任意的にではあるが、モバイル遠距離電気通信、並びに例えばWi−Fi、Wi−Max、GSMなどの他の信号及びデータネットワークを介する通信を可能とする1以上の無線送信機/受信機と、
を備える。
【0003】
PNDの有効性は主に、幅広い様々な方法のうち任意のものによって、例えば郵便番号、通りの名前及び番号、並びによく知られているか、お気に入りか、又は最近訪れている、以前に格納されている目的地によって、コンピューティング装置のユーザによって入力されうる、開始位置又は現在位置と、目的地との間の経路を決定するその能力によって明らかにされる。典型的には、PNDは、開始アドレス位置と目的地アドレス位置との間の「最良の」又は「最適の」経路を地図データから計算するためのソフトウェアによって実現される。「最良の」又は「最適の」経路は所定の基準に基づいて決定され、必ずしも最も速い又は最も短い経路である必要はない。運転者をこれに沿って誘導するための経路の選択は非常に複雑なものであることができ、選択された経路は現にある、予想される、並びに、動的に若しくは無線で又はこの双方により受信される、交通情報及び道路情報、道路の速度についての歴史的な情報、及び道路選択を決定する要素についての運転者自身の好みを考慮することができる。さらに、この装置は継続的に道路状況及び交通状況を監視することができ、変化した状況のために、残りの移動がなされるであろう経路の変更を勧め、又は変更を選択してもよい。様々な技術(例えばモバイル電話コール、固定カメラ、GPS車両トラッキング)に基づいたリアルタイム交通監視システムが、交通の遅延を特定し、情報を通知システムへと送るために用いられている。
【0004】
ナビゲーション装置は、典型的には乗物のダッシュボードに据え付けられてもよいが、乗物又は車の無線のオンボードコンピュータの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA(個人ナビゲーション装置)メディアプレイヤ、モバイル電話などの手持ちシステム(又はその一部)であってもよく、これらの場合、手持ちシステムの通常の機能は、経路計算と計算された経路に沿ったナビゲーションとの双方を実行するために装置上にソフトウェアをインストールすることによって拡張される。どのような場合でも一度経路が計算されると、任意的には提案された経路のリストから、望ましい計算された経路を選択するために、ユーザはナビゲーション装置と対話する。任意的には、例えば特定の経路、道路、位置又は基準が避けられるべきであるか又は必須であることを特定の移動について特定することによって、ユーザは経路選択プロセスに介入し、又は経路選択プロセスを管理してもよい。PNDの経路計算という観点は提供される1つの主要な機能を形成し、このような経路に沿ったナビゲーションはもう1つの主要な機能である。計算された経路に沿ったナビゲーションの間、経路の終点、すなわち望まれる到着地への選択された経路に沿ってユーザを導くために、PNDは視覚的指示と聞き取り可能な指示との少なくとも一方を提供する。ナビゲーションの間に画面上に地図情報を表示することは、PNDにとって普通であり、表示される地図情報が装置の現在位置を表すように、したがって装置が車内でのナビゲーションのために用いられているのならばユーザ又はユーザの車両の現在位置と関連するように、このような情報は画面上で定期的に更新される。画面上に表示されるアイコンは、典型的には現在の装置の位置を表し、現在の及び周りの道路、並びに表示されている他の地図要素の地図情報の中心に置かれる。さらに、ナビゲーション情報が、任意的には表示されている地図情報の上、下、又は一方の側の、状態バーに表示されてもよく、ナビゲーション情報の例は、現在の道路からのユーザが通る必要がある次の進路変更までの距離を含み、このような進路変更の特徴は、特定の進路変更の種類、例えば左折又は右折、を示唆するさらなるアイコンによって示されうる。ナビゲーション機能はまた、聞き取り可能な指示の内容、間隔及びタイミングを決定し、これらによってユーザは経路にそって誘導されうる。理解されうるように、「100mで左折」のような単純な指示でさえ、かなりの処理及び解析を必要とする。前に述べたように、装置とのユーザの対話はタッチスクリーンによるものであってよく、追加的に又は代わりに、遠隔制御装置に据え付けられた柱状体を操ること、声で作動させること、又は他の任意の適切な方法によるものであってもよい。
【0005】
装置によって提供されるさらなる重要な機能が、
−以前に計算された経路に沿ったナビゲーションの間に、ユーザが以前に計算された経路から逸脱する場合、
−他の経路がより好都合であることをリアルタイムの交通状況が示し、装置がこのような状況を自動的に認識するように適切に対応している場合、又は
−何らかの理由のために、ユーザが能動的に装置に経路再計算を行わせる場合、
の自動経路再計算である。
【0006】
ユーザが定義した基準と一致するように経路が計算されることを可能とすることもまた知られている。例えば、ユーザは眺めのよい経路が装置によって計算されることを好むかもしれないし、交通渋滞がありそうな、又は交通渋滞が広がっていると予想されるか若しくは現在広がっているあらゆる道路を避けることを望むかもしれない。装置ソフトウェアはすると様々な経路を計算し、経路に沿って、例えば風景が美しいとタグ付けされた、最も多い数の興味のある点(POIとして知られる)を含む経路をより好ましく重み付けするか、又は、特定の道路において広がっている交通状況を示す格納された情報を用いて、ありそうな渋滞のレベルの観点から、又はこのための遅延という観点から、計算された経路を配列するだろう。他のPOIに基づく、及び交通情報に基づく、経路計算及びナビゲーションの基準もまた、可能である。
【0007】
経路計算及びナビゲーションの機能はPNDの総合的な有用性の基礎をなすにもかかわらず、現在の装置の位置に関連する地図情報のみが表示され、経路は計算されておらず、装置によって現在ナビゲーションが行われていないように、装置を純粋に情報表示のために用いる、すなわち「自由運転」のために用いることが可能である。このような動作モードは、ユーザが沿って移動することを望む経路をすでに知っており、ナビゲーションの補助を必要としない時に、しばしば適用可能である。
【0008】
もちろん、どんなPND又はナビゲーションシステムの利用も、GPS信号を、最も好ましくは4つ以上の衛星から、取得することに依存する。通常の動作において、衛星から送信される信号は、人間が作った物体には遮られず、比較的強い。また、それぞれの衛星からの信号の一部を形成するクロックパルスから、PNDは、衛星のそれぞれからの信号の送信と受信との間にかかる時間の計算により、これらの衛星のそれぞれの距離を導き出すことができる。衛星報知信号にさらに抱き合わせられている、又は衛星報知信号の一部として送信されるのが、特定の座標系(例えば球状)における衛星のグローバル座標、軌道情報、並びに他の天文学的データ及び天体データのような、衛星に特有の幅広い範囲のデータを含む、いわゆる衛星歴データ又は軌道歴データである。PNDの現在位置についての信頼性のあるどのような決定もが行われうる前に、それぞれの衛星について、PNDによって受信されかつ復号されなければならないのが、この情報である。
【0009】
一般的には4つの未知量が存在するために、4つの衛星からの信号が必要とされる。PNDの位置を決定するための既知の三角測量技術は、3つの未知量を含む一連の3つの式であり、これらの未知量は、それぞれの衛星の具体的な位置から決定される、地球表面上の予め決定された3つの参照点に関する現在位置の座標である。4番目の未知量は、(相対論的な、ドリフト及び他の効果のために)衛星内の原子時計がGPS時刻系から量Δtだけずれるために、クロック信号が、したがって衛星からの信号のそれぞれの送信時間が、補正を必要とするという事実から生じ、このことはGPSシステムの一部を形成する全ての衛星にとって同じであるが、PNDにおいては未知である。したがって、衛星の距離が計算され、時刻のずれについて補正されると、PNDの現在位置を決定するために三角測量技術が用いられうる。
【0010】
しかしながら、軌道歴データの受信及び復号は、PNDが良好であり妨害を受けていない衛星信号を受信している時にのみ起こりうる。さらに、軌道歴データはそれぞれの衛星に特有でありかつ30秒ごとにのみ送信され、したがってGPS信号が不十分な場合には、それぞれの衛星についての軌道歴データペイロードの全体をそれぞれの報知信号からPNDが成功裏に受信及び復号し、及びこうして三角測量計算によって用いられる地球表面上の特定の参照点を決定するためには、とても長い時間がかかるだろう。
【0011】
このように、比較的不十分なGPS信号が広がっている場所においては、追加の軌道歴データなしにはほとんど役に立たずPNDの現在位置についてどのような決定を行うにも不十分な衛星距離情報を決定することのみが、PNDには可能である。比較的弱いGPS信号のみが受信されうる区域であっても、PNDは受信した信号からクロックパルス及びタイミング情報を決定すること、したがってPNDからの衛星の距離を決定することが依然として可能であることが、この段階で言及されるべきである。クロック及びタイミング情報は軌道歴データ規格の一部を構成するが、これは残りの軌道歴データから実質的に隔離されており、データペイロードの大部分が解読不能な場合であっても、解読可能である。
【0012】
PND又はナビゲーションシステムが、比較的弱いGPS信号のみが受信されているにもかかわらず現在の位置を正確に決定することを可能とする、PND又はナビゲーションシステムを提供すること、これらを動作させる方法を提供すること、及びこれらが制御されるためのコンピュータプログラムを提供すること、が本発明の目的である。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、
ナビゲーション装置の位置を決定する方法であって、
複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信する工程と、
前記衛星のそれぞれに特有の識別情報とともに前記信号の一部を構成するタイミング情報から、距離情報を決定する工程と、
前記信号のそれぞれの一部をさらに構成する、前記衛星のそれぞれに特有の軌道歴データペイロードの全体を受信及び格納することを試みる工程と、
無線通信プロトコルを用いて、近傍の装置との通信を確立する工程と、
前記近傍の装置が、特定された衛星についての衛星位置に関する前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、既に格納していることを判定する工程と、
前記特定された衛星についての前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、要求及び受信する工程と、
前記ナビゲーション装置が続けて、距離情報と、前記距離情報が決定された前記衛星に特有の無線で受信された軌道歴データと、を用いて前記ナビゲーション装置の位置を決定する工程と、
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0014】
一実施形態においては、近傍の装置との前記通信の確立と、続く軌道歴データの前記要求と、軌道歴データの前記受信とは、前記特定された衛星のそれぞれについての前記軌道歴データペイロードの全体を前記ナビゲーション装置が完全に受信及び格納できないことを条件とする。
【0015】
他の実施形態においては、近傍の装置との前記通信の確立を試みることと、続く軌道歴データの前記要求と、前記近傍の装置からの軌道歴データの前記受信とは、前記ナビゲーション装置が前記特定された衛星のそれぞれについての前記軌道歴データペイロードの全体を完全に受信及び格納することを試みることと、同時に行われるか無関係に行われるかの少なくとも一方である。
【0016】
前記ナビゲーション装置が4つ以上の衛星からの衛星信号を受信する場合、前記ナビゲーション装置は4つの最も強い前記信号を決定し、前記4つの衛星についてのみの距離情報及び識別情報を決定及び格納することが、特に好ましい。
【0017】
前記ナビゲーション装置と近傍の装置との間での通信を確立した後で、前記ナビゲーション装置に前記距離情報が格納されている前記4つの特定された衛星について軌道歴データが利用可能であるか否かを判断するために、前記ナビゲーション装置は前記近傍の装置に問い合わせを行い、
肯定的な判断の場合、前記4つの衛星に特有の前記軌道歴データについての要求がなされることが、さらに好ましい。
【0018】
特に好ましくは、前記ナビゲーション装置は、1つの形式の信号伝送プロトコル又は通信プロトコルを用いて衛星信号を受信し、異なるプロトコルを用いて前記近傍の装置と通信し、
前記異なるプロトコルは、広く利用可能なモバイル遠距離電気通信プロトコル又は短距離無線通信のうち任意のもの、例えばGPRS、GSM、CDMA、Bluetooth、Wi−Fi、Wi−Max、UMTS、HSCSD、EDGE、及びW−CDMA等であることが特に好ましい。
【0019】
好ましい実施形態においては、前記ナビゲーション装置は、前記特定された衛星に関する前記軌道歴データの特定の部分のみを、要求及び受信し、
前記データの特定の部分は、前記特定された衛星の位置を表す情報を含む。
【0020】
本発明のさらなる態様において、要求に応じてコンピュータが読み取り可能な媒体に実装されるコンピュータプログラムが、上述の方法を実現するために提供され、同様に上述の方法を実行するように構成されたPNDとナビゲーションシステムとの少なくとも一方が提供される。
【0021】
例としての実施形態を用いて、以下で本願がより詳細に説明される。実施形態は、図面の助けによって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】全地球測位システム(GPS)の一例としての図を示す。
【図2】ナビゲーション装置の電子構成要素の一例としてのブロック図を示す。
【図3】ナビゲーション装置が無線通信チャネルを介して情報を受信するだろう方法の一例としてのブロック図を示す。
【図4A】、
【図4B】ナビゲーション装置の一実施形態の実施例の、斜視図である。
【図5】衛星信号から装置の位置を確認するための、従来技術である三角測量技術を説明する概略図である。
【図6】PNDが衛星信号と無線遠距離電気通信信号との双方を受信することができる本発明を概略的に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、ナビゲーション装置により使用可能な全地球測位システム(GPS)の一例を示す図である。そのようなシステムは周知であり、種々の目的に使用される。一般に、GPSは、連続的な位置、速度、時間及びいくつかの例においては方向情報を無数のユーザに対して判定できる衛星無線ナビゲーションシステムである。以前はNAVSTARとして周知であったが、GPSは極めて正確な軌道で地球と共に動作する複数の衛星を使用する。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は、それらの場所を任意の数の受信装置に中継できる。
【0024】
GPSデータを受信する能力を特別に備える装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0025】
図1に示すように、GPSシステム全体を参照番号100で示す。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期せず、実際には非同期であることが多い。GPS受信機140は、種々の衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0026】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信機140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。図2は、ナビゲーション装置200の電子構成要素の一例を、ブロック構成要素の形式で示すブロック図である。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0027】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル及び/又は情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置を含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化され、その場合、ユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために、表示画面240の一部分に接触するだけでよい。
【0028】
更に、他の種類の出力装置250は可聴出力装置を含むことができるが、これに限定されない。出力装置241がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、同様に、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解される。ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置240に動作可能に接続され且つ入力装置240から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置241のうちの少なくとも一方に出力接続245を介して動作可能に接続される。更に、プロセッサ210は、接続235を介してメモリ230に動作可能に接続され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置280に接続可能である。外部I/O装置270は、例えばイヤホン等の外部聴音装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー動作及び/又は音声起動動作のため、イヤホン又はヘッドフォンへの接続のため、並びに/あるいは例えば移動電話への接続のためのカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線接続又は無線接続であってもよい。この場合、移動電話接続は、例えばナビゲーション装置200とインターネット又は他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するため及び/又はインターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するために使用されてもよい。
【0029】
ナビゲーション装置200は、デジタル接続(例えば、周知のBluetooth技術を介するデジタル接続)を確立する移動装置400(移動電話、PDA及び/又は移動電話技術を用いる任意の装置等)を介して、サーバ302との「モバイル」ネットワーク接続又は遠距離電気通信ネットワークを確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、移動装置400は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、情報に対する「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイを提供するために、ナビゲーション装置200(単体で及び/又は車載走行時に移動可能であり且つ多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立される。
【0030】
例えばインターネット410を使用して、移動装置400と(サービスプロバイダを介して)サーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、周知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置400は、CDMA、GSM、WAN等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0031】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介するデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続の場合、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置及びGPRS(汎用パケット無線サービス)接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行われうる。
【0032】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置400とのデータ接続を完成し、例えば既存のBluetooth技術を介して周知の方法でインターネット410及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等の任意の数の規格を利用できる。
【0033】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自体の内部にそれ自体の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含み、その場合、ナビゲーション装置200の内部アンテナが更に代わりに使用可能である)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上述のような内部構成要素を含むことができ且つ/又は例えば必要な移動電話技術及び/又はアンテナを備える挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュール(SIM)カード)を含むことができる。そのため、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、任意の移動装置400の方法と同様の方法で、例えばインターネット410を介して、ナビゲーション装置200とサーバ302との間にネットワーク接続を同様に確立できる。
【0034】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応の装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新されうる。
【0035】
図2は、接続255を介するプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続を更に示す。この場合、アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよい。参照番号250で示されるアンテナ及び受信機は、図示のために概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は、別個に位置する構成要素であってもよく、アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるだろう。
【0036】
更に、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源(不図示)により電力を供給されることが当業者には理解されるだろう。当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成が本願の範囲内であると考えられる。例えば、図2に示す構成要素は、有線接続及び/又は無線接続等を介して互いに通信状態にあってもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200を含む。
【0037】
更に、図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自動車又は船舶等の電動車両に周知の方法で接続されるか又は「ドッキング」される。その場合、そのようなナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションとして使用するために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0038】
図3は、汎用通信チャネル318を介して通信することができる、サーバ302及びナビゲーション装置200の一例を示すブロック図である。通信チャネル318を介する接続がサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、本願のサーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。更に、プロセッサ304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0039】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号及び/又はデータを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用されうる。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0040】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0041】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信及び/又は電磁通信等のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(rf)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、中継器、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0042】
例えば通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できてもよい。更に、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0043】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号及び/又は圧縮信号であってもよい。
【0044】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置するネットワークサーバを含んでもよい。
【0045】
本願の少なくとも1つの実施形態に従うと、サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0046】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、ユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に周期的に更新されてもよく且つ/又は例えば無線移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより継続して又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0047】
上記のように図2に示す様に、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、及び表示画面240を含む。入力装置220及び表示画面240は、例えばタッチパネルスクリーンを介して情報(直接入力、メニュー選択など)を入力すること及び情報を表示することとの両方を可能にするために、一体型入力表示装置に統合される。このようなスクリーンは、当業者には周知のものであるように、例えばタッチ入力LCDスクリーンであってもよい。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる任意の入力装置220及び/又は更なる任意の出力装置241を有しても良い。
【0048】
図4A及び図4Bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図4Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム220などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0049】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、大きな吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0050】
図4Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる(これは単なる一例で、他に考え得るドッキングステーションへの接続の代替案は、本願の範疇内である)。図4Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能であってもよい。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい(これは単なる一例で、他に考え得るドッキングステーションからの分離の代替案は、本願の範疇内である)。
【0051】
ここで図5を参照すると、三次元三角測量問題の解決策についての数学的導出が、3つの球についての式を導入し、これらを互いに等しく設定することにより、見いだされる。これを行うためには、これらの球の中心に対して、3つの恣意的な制約が適用される。3つ全てがz=0平面上になければならず、1つは原点になければならず、他の1つはx軸上になければならない。しかしながら、3つの点のどんな組をもこれらの制約に従うように平行移動し、解決点を発見し、そして元の座標系における解決点を発見するために平行移動を逆に向けることが、可能である。
【0052】
【数1】

及び、
【数2】

である、3つの球から始め、1つ目から2つ目を引き、xについて解く。
【数3】

これを1つ目の球についての式に代入して戻すことにより、最初の2つの球の交差部分の解である、円についての式が生成される。
【数4】

この式を3番目の球についての式にと等しくすることにより、
【数5】

が得られる。ここで、解決点のx座標及びy座標が既知であるから、この式は、z座標を得るために、1つ目の球について単純に再整理されることができる。
【数6】

これは、全ての3つの点x,y,及びzについての解を与える。zは平方根として表されるために、この課題については0、1、又は2つの解が存在しうる。
【0053】
この最後の部分は、1つ目の球と2つ目の球との交差部分から得られる円、及びこの円と3つ目の球との交点の形で、視覚化されうる。もしこの円が完全にこの球の外側にあるのなら、zは負の数の平方根に相当し、実数解は存在しない。もしこの円が正確に1つの点でこの球と接するのなら、zは0に等しい。もしこの円が2つの点でこの球と接するのなら、zは正の数の平方根の、プラスの数又はマイナスの数に相当する。
【0054】
解が存在しない場合、これはノイズが多いデータを用いる場合にはまれであるが、最も近い解は0である。しかしながら、「健康チェック(sanity check)」を行い、誤りが適当に小さい時にのみ0と仮定することが普通である。
【0055】
2つの解がある場合、2つの間で明確にするために、いくつかの技術が用いられなければならない。このことは、他の3つの中心と同じ平面上に中心が位置しない4つ目の球(すなわち第4の衛星P4からの位置データ)を用い、どちらの点がこの球の表面に最も近いかを判断することにより、数学的になされうる。又はこのことは、論理的に行われることもできる。例えばGPS受信機は、この不明確さに直面した時には、衛星の軌道の外にある宇宙空間にユーザはいるはずがないと仮定することが一般的には安全であるため、衛星の軌道の内部に位置する点が正しいものであると仮定する。
【0056】
図6を参照すると、どのようにPND(又は他のナビゲーション装置)500が、無線通信信号アンテナ(例えばBluetooth、GPRS)「A」、及び異なる衛星S1,S2,S3,S4からのGPS信号を受信するためのGPSアンテナ「B」を備えるかを説明する概略図が示されており、GPS信号は点線502で示され、原子時計データと、幅広い種類の衛星特有の情報を、他の一般的な情報、天体情報、機械情報、及び天文学的情報とともに含む軌道歴データペイロードと、の双方を含む。分かるように、衛星S2,S3,S4からの信号は、例えば建物、木、又は他の構造でありうる何らかの形の障害物504によって妨害されているように示されている。506として示されているように、衛星信号がこのような何らかの障害物をいくらか透過することは可能であるが、衛星信号が実際に障害物を少しでも透過したとしても、このような障害物を通過する時にはGPS信号は明らかに劣化する。このようなGPS信号がPNDによって検知されうる場合であっても、これらの信号によって伝えられる軌道歴データペイロードの全体を復号又は導出することは一般的には不可能であるが、このペイロードに含まれるクロックパルスから距離情報を導出することは可能であるかもしれず、これらは、衛星によって通常30秒ごとにしか報知されないペイロードと比べ、より頻繁に繰り返される。
【0057】
したがってこのような場合には、信号によって伝えられる原子時計データと、軌道歴データの少なくともいくらかを必要とする続く計算の結果として誤差係数(通常はΔt)が決定された際に原子時計データが変換又は転換されるGPS時刻系と、の間の誤差によるいくらかのシステム的な誤差を含むものの、PNDが衛星S1−S4を特定することとこれらの距離を確認することとは可能であるが、PNDがその現在位置についての信頼できる座標を取得することは不可能である。
【0058】
現在のPNDに関連する問題の例が、このような装置が最も普通に用いられる車にとっては、GPSデータがつぎだらけとなるような車庫に駐車されることが最もよいことが普通であることである。装置が最初に電源を入れられると、GPSアンテナは受信したあらゆる信号を、装置のメモリにロードされたソフトウェアの制御下で動作する関連する処理電子機器に送り、衛星S1−S4から受信したGPS信号のそれぞれについて1つの軌道歴データペイロードの全体を格納することを試みる。GPS信号伝達が不十分な場所においてはこのことは不可能であり、現在の位置に関連する地図情報を装置の表示画面に表示する前に、装置はそれぞれの衛星にロックオンすることの試行を続ける。特に市街の中心のような非常に建て込んだ区域においては、このことにはいくらかの、少なくとも30秒を越える、多くの場合には著しく長い、時間がかかるだろう。
【0059】
しかしながら本発明に従って装置には、第2の無線信号送受信アンテナがまた備えられ、この第2の無線信号送受信アンテナを用いて、装置500の場所の近くにある同様の装備を有する他の任意の装置との通信要求を含む信号510が報知される。図において、近接する装置PND2(508)は報知信号510を受信し、この要求を検知し、確立された通信チャネルを介した通信を開始するために続けて適切に応答する。
【0060】
図から分かるように、装置508は全ての衛星S1−S4から障害のないGPS信号502を受信することが可能であり、したがって既に関連する軌道歴データペイロードを受信しかつこのデータ又は関連するこのデータのサブセットをメモリに格納している。装置500によって既に特定されている衛星S1−S4に関するこのデータ、又は装置500によって衛星の位置決定のために必要とされるこのデータの一部、についての装置500からの要求を受信すると、このデータは適切なプロトコルを用いて通信チャネルを介して装置500へと送信される。近接する装置から軌道歴データを要求する処理は、GPSデータの受信若しくは受信試行と同時に若しくは一致して起きることができ、又は軌道歴データを現在取得することができない若しくは取得するのに30秒より長くかかるであろうと装置500において判断された結果として開始されてもよいことが、言及されるべきである。
【0061】
関連する軌道歴データが装置500によって取得されると、現在位置計算が始まることができ、この現在位置計算には、任意的には装置508においてデータが受信及び格納された時からの衛星の変位を考慮した、衛星の位置に特有の軌道歴データの何らかの補正を含む。
【0062】
さらに説明すると、装置500,508において行われる現在位置計算は、特定の時刻における衛星の位置の正確な決定に根本的に依存する。これは、衛星から送られる、衛星の軌道、衛星の速度、又はドリフト、デクライン、インクライン、若しくは進行方向における軌道からの他の逸脱、のパラメータを規定する衛星から送信された軌道歴データと、PNDによって決定された衛星距離測定と、からのみ決定されうる。GPS衛星は一般的には静止軌道上になく、様々な異なる軌道で、及び異なる速度で、地球を回っていることには、言及する価値がある。したがって、どんな時であれ送信された軌道歴データは、送信時の衛星の位置に特有のものであり、衛星の軌道が非常になめらかであり、したがって何らかの以前の座標に関する情報が与えられれば衛星の位置は数学的に予測されうるにもかかわらず、近接する装置から最も最近の軌道歴データを取得することは望ましく、これはこのことがより正確な位置の特定につながるからである。
【0063】
したがって、不十分なGPS信号しか受信できないにもかかわらず、装置500が迅速にその現在位置を決定することが可能である。
【0064】
最後に図8を参照すると、データ信号が受信及び送信されうる、無線(又は他の遠距離電気通信)アンテナ/受信機280の追加によって向上された図2のPNDが示されており、このような信号は続けて装置内の接続285を介してプロセッサ210に送られる(又はそこから発せられる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置の位置を決定する方法であって、
複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信する工程と、
前記衛星のそれぞれに特有の識別情報とともに前記信号の一部を構成するタイミング情報から、距離情報を決定する工程と、
前記信号のそれぞれの一部をさらに構成する、前記衛星のそれぞれに特有の軌道歴データペイロードの全体を受信及び格納することを試みる工程と、
無線通信プロトコルを用いて、近傍の装置との通信を確立する工程と、
前記近傍の装置が、特定された衛星についての衛星位置に関する前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、既に格納していることを判定する工程と、
前記特定された衛星についての前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、要求及び受信する工程と、
前記ナビゲーション装置が続けて、距離情報と、前記距離情報が決定された前記衛星に特有の無線で受信された軌道歴データと、を用いて前記ナビゲーション装置の位置を決定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
近傍の装置との前記通信の確立と、続く軌道歴データの前記要求と、軌道歴データの前記受信とは、前記特定された衛星のそれぞれについての前記軌道歴データペイロードの全体を前記ナビゲーション装置が完全に受信及び格納できないことを条件とすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
近傍の装置との前記通信の確立を試みることと、続く軌道歴データの前記要求と、前記近傍の装置からの軌道歴データの前記受信とは、前記ナビゲーション装置が前記特定された衛星のそれぞれについての前記軌道歴データペイロードの全体を完全に受信及び格納することを試みることと、同時に行われるか無関係に行われるかの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置が4つ以上の衛星からの衛星信号を受信する場合、前記ナビゲーション装置は4つの最も強い前記信号を決定し、前記4つの衛星についてのみの距離情報及び識別情報を決定及び格納することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション装置と近傍の装置との間での通信を確立した後で、前記ナビゲーション装置に前記距離情報が格納されている前記4つの特定された衛星について軌道歴データが利用可能であるか否かを判断するために、前記ナビゲーション装置は前記近傍の装置に問い合わせを行い、
肯定的な判断の場合、前記4つの衛星に特有の前記軌道歴データについての要求がなされることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ナビゲーション装置は、1つの形式の信号伝送プロトコル又は通信プロトコルを用いて衛星信号を受信し、異なるプロトコルを用いて前記近傍の装置と通信し、
前記異なるプロトコルは、GPRSと、GSMと、CDMAと、Bluetoothと、Wi−Fiと、Wi−Maxと、UMTSと、HSCSDと、EDGEと、W−CDMAと、から構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、前記特定された衛星に関する前記軌道歴データの特定の部分のみを、要求及び受信し、
前記データの特定の部分は、前記特定された衛星の位置を表す情報を含むことを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータにおいて実行された時に、請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法における全ての工程を実行するように構成されたコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータが読み取り可能な媒体に実装された、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
少なくともプロセッサと、メモリと、視覚的出力装置と、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信可能なGPS信号アンテナと、を備えるナビゲーションシステムであって、
前記プロセッサは、前記衛星のそれぞれに特有の識別情報とともに前記信号の一部を構成するタイミング情報から距離情報を決定し、当該情報を前記メモリに格納し、
前記アンテナ及び前記プロセッサはともに、前記信号のそれぞれの一部をさらに構成する、前記衛星のそれぞれに特有の軌道歴データペイロードの全体を受信及び格納することを試み、
前記システムは、無線通信プロトコルを用いて近傍の装置との通信を確立しうる第2の無線信号送受信手段を備え、
前記プロセッサは、前記メモリに以前に格納された識別情報を有する衛星についての衛星位置に関する、前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、前記近傍の装置が既に格納しているか否かを判定するために前記近傍の装置に問い合わせ、
前記プロセッサはさらに、要求信号を発行させ、以前に格納された前記距離情報と組み合わせて前記システムが自身の現在位置を特定しうる、特定された衛星についての前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、続けて受信する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項11】
請求項2乃至7の何れか1項に記載の方法を実行するようにさらに構成された、請求項10に記載のナビゲーションシステム。
【請求項12】
少なくともプロセッサと、メモリと、視覚的出力装置と、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信可能なGPS信号アンテナと、を備える可搬ナビゲーション装置(PND)であって、
前記プロセッサは、前記衛星のそれぞれに特有の識別情報とともに前記信号の一部を構成するタイミング情報から距離情報を決定し、当該情報を前記メモリに格納し、
前記アンテナ及び前記プロセッサはともに、前記信号のそれぞれの一部をさらに構成する、前記衛星のそれぞれに特有の軌道歴データペイロードの全体を受信及び格納することを試み、
前記PNDは、無線通信プロトコルを用いて近傍の装置との通信を確立しうる第2の無線信号送受信手段を備え、
前記プロセッサは、前記メモリに以前に格納された識別情報を有する衛星についての衛星位置に関する、前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、前記近傍の装置が既に格納しているか否かを判定するために前記近傍の装置に問い合わせ、
前記プロセッサはさらに、要求信号を発行させ、以前に格納された前記距離情報と組み合わせて前記PNDが自身の現在位置を特定しうる、特定された衛星についての前記軌道歴データ又は前記軌道歴データの特定の部分を、続けて受信する
ことを特徴とする可搬ナビゲーションシステム(PND)。
【請求項13】
請求項2乃至7の何れか1項に記載の方法を実行するようにさらに構成された、請求項12に記載のPND。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508192(P2011−508192A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538350(P2010−538350)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011240
【国際公開番号】WO2009/080064
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.GSM
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】