説明

改善された性能を有するプレ含浸コンポジット材料

成形することによって、未硬化プリプレグまたが硬化部分の物理的または化学的特性に実質的な悪影響をもたらすことなく、高レベルの強度および損傷許容性の両方を有するコンポジット部品を形成することができるプレ含浸コンポジット材料(プリプレグ)が提供されている。これは、マトリックス樹脂中に十分な量の、メタ置換された少なくとも1つのフェニル基を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂を含めることによって実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般に、高性能コンポジット部品を製造するのに使用されるプレ含浸コンポジット材料(プリプレグ)に関する。より詳細には、本発明は、硬化/成形することによって、改善された強度および損傷許容性の両方を有するコンポジット部品を形成することができるプリプレグを提供することを対象とする。
【0002】
2.関連技術の説明
コンポジット材料は一般に、連続樹脂マトリックス(continuous resin matrix)と強化用繊維を2つの主成分として含む。コンポジット材料は、航空宇宙産業分野などの要求の厳しい環境において機能することを要求されることが多く、したがって、コンポジットの物理的限度および特性は、極めて重要である。とくに、あるコンポジット材料部品をどの程度軽量に製造することができるかを決定する場合、コンポジットの引張強度および弾性率は、重要な要因である。
【0003】
プレ含浸コンポジット材料(プリプレグ)は、コンポジット部品の製造において広く使用されている。プリプレグは、未硬化樹脂マトリックスと繊維強化材の組合せであり、これは、最終のコンポジット部品に成形し、硬化する状態にある形態である。繊維強化材に樹脂をプレ含浸させることによって、製造者は、繊維ネットワーク中に含浸される樹脂の量と位置を慎重に制御し、樹脂が、望まれる通りにネットワーク内に確実に分布するようにすることができる。コンポジット部品中の繊維と樹脂の相対量および繊維ネットワーク内の樹脂の分布は、部品の構造特性に大きく影響することがよく知られている。プリプレグは、耐荷重性構造部品、とくに航空宇宙産業用コンポジット部品の製造において使用するのに好ましい材料である。これらの部品は、十分な強度、損傷許容性、およびそのような部品に対して慣例的に定められる他の要求基準を有することが重要である。
【0004】
航空宇宙産業用プリプレグにおいて一般に使用される繊維強化材は、多方向織物または互いに平行に延在する繊維を含む単方向テープである。この繊維は一般に、多数の個々の繊維またはフィラメントの束の形態であり、これは、「トウ」と呼ばれる。この繊維すなわちトウは、細断し、樹脂中ランダムに配向させることによって不織マットを形成することもできる。これらの様々な繊維強化材構造体は、慎重に制御された量の未硬化樹脂で含浸される。得られたプリプレグは、貯蔵または製造施設に輸送するために、保護層間に一般に配置され、巻かれる。
【0005】
プリプレグは、細断単方向テープの不織マットを形成するためにランダムに配向した、細断単方向テープの短いセグメントの形態とすることもできる。この種類のプリプレグは、「擬似等方性細断」プリプレグと呼ばれる。擬似等方性細断プリプレグは、細断繊維ではなく、短い長さの細断単方向テープ(チップ)がランダムに配向していることを除いて、より従来的な不織繊維マットプリプレグに類似している。
【0006】
硬化したコンポジット材料の引張強度は、強化用繊維とマトリックス樹脂の個々の特性、ならびにこれらの2成分間の相互作用によって大きく影響される。さらに、繊維−樹脂体積比は、重要な要因である。張力下にある硬化したコンポジットは、強化トウ内に位置する個々の繊維フィラメントの複数の引張破損から生じる、蓄積した損傷の機構を通じて破損する傾向がある。破損したフィラメント端に隣接する樹脂内の応力レベルが大きくなりすぎると、コンポジット全体が破損する場合がある。したがって、繊維強度、マトリックスの強度、および破損したフィラメント端近傍における応力散逸の効率は、硬化したコンポジット材料の引張強度に寄与する。
【0007】
多くの用途において、硬化したコンポジット材料の引張強度特性を最大にすることが望ましい。しかし、引張強度を最大にする試みは、コンポジット構造体の圧縮性能および損傷許容性などの他の望ましい特性に負の効果を招くことが多くなる場合がある。さらに、引張強度を最大にする試みは、プリプレグのタックおよびアウトライフ(out−life)に対して予測不可能な効果を有する場合がある。未硬化プリプレグの粘性(stickiness)または粘着性(tackiness)は、一般に「タック」と呼ばれる。未硬化プリプレグのタックは、レイアップおよび成形作業の間の重要な考慮事項である。わずかなタックを有するか、まったくタックを有さないプリプレグは、成形して構造的に強いコンポジット部品を形成することができる積層品に形成することが困難である。反対に、過度のタックを有するプリプレグは、取扱いが困難となり、また型に配置することが困難になる場合がある。プリプレグは、取扱いが確実に容易になるような適量のタックおよび良好な積層/成形特性を有することが望ましい。所与の硬化したコンポジット材料の強度および/または損傷許容性を増大させるためのいずれの試みにおいても、未硬化プリプレグのタックは、プリプレグを適切に取り扱い、成形することを保証するために、許容限界内にとどまることが重要である。
【0008】
プリプレグの「アウトライフ」は、プリプレグが、容認できない程度に硬化される前に、周囲条件に曝すことができる時間の長さである。プリプレグのアウトライフは、様々な要因に広く依存して変動し得るが、使用されている樹脂配合物によって主に制御される。プリプレグのアウトライフは、通常の取扱い、レイアップおよび成形作業を、プリプレグが容認できないレベルに硬化されることなく、達成することを可能にするために、十分長くなければならない。所与の硬化したコンポジット材料の強度および/または損傷許容性を増大させるためのいずれの試みにおいても、未硬化プリプレグのアウトライフは、硬化する前に、プリプレグを処理し、取り扱い、レイアップするのに十分な時間を与えるために、可能な限り長いままであることが重要である。
【0009】
コンポジットの引張性能を増大させるための最も一般的な方法は、繊維の表面を変化させることによって、マトリックスと繊維の間の結合強度を弱めることである。これは、グラファイト化後の繊維の電解酸化表面処理の量を低減することによって実現することができる。マトリックス繊維結合強度の低減により、界面剥離によって、露出したフィラメント端での応力散逸機構が導入される。この界面剥離により、コンポジット部品が、張力下で破損する前に耐えることができる引張損傷の量が増加する。
【0010】
或いは、繊維にコーティングまたは「サイズ」を適用することにより、樹脂−繊維結合強度を低下させることができる。この手法は、ガラス繊維コンポジットにおいて公知であるが、炭素繊維で強化されたコンポジットにも適用することができる。これらの方策を使用して、引張強度の著しい増大を実現することが可能である。しかし、この改善には、樹脂マトリックスと繊維の間に高い結合強度を必要とする、衝撃後圧縮(CAI)強度などの特性の低下が伴う。
【0011】
別の代替手法は、より低い弾性率のマトリックスを使用することである。低弾性率樹脂を有することによって、破損したフィラメントのごく近傍に蓄積する応力のレベルが低減する。これは、本質的により低い弾性率を有する樹脂(例えば、シアン酸エステル)を選択するか、エラストマー(カルボキシ末端ブタジエンアクリロニトリル[CTBN]、アミン末端ブタジエン−アクリロニトリル[ATBN]など)などの成分を導入することによって通常実現される。これらの様々な手法の組合せも知られている。
【0012】
より低い弾性率の樹脂を選択することは、コンポジットの引張強度を増大させることにおいて有効となり得る。しかし、これにより、衝撃後圧縮(CAI)強度および有孔圧縮(OHC)強度などの圧縮特性の低下によって一般に測定される、損傷許容性への傾向が生じる場合がある。したがって、引張強度および損傷許容性の両方の増大を同時に実現することは非常に困難である。
【0013】
現存するプリプレグは、強く、損傷許容性であるコンポジット部品を提供することにおいて、その目的の用途によく適しているが、さらにより高いレベルの強度および損傷許容性の両方を有するコンポジット部品を製造するのに使用することができるプリプレグを提供する必要性が依然として続いている。しかし、強度および損傷許容性のこの増大は、プリプレグのタックおよびアウトライフならびに、硬化したコンポジット構造体の他の物理的性質に負に影響することなく実現する必要がある。
【0014】
発明の概要
本発明によれば、成形することによって、高レベルの強度および損傷許容性の両方を有するコンポジット部品を形成することができるプレ含浸コンポジット材料(プリプレグ)が提供される。これは、未硬化プリプレグまたは硬化したコンポジット部品の物理的または化学的特性にいずれの実質的な悪影響も生じさせることなく実現される。
【0015】
本発明のプレ含浸コンポジット材料は、強化用繊維とマトリックスを含む。このマトリックスは、2つを超える官能性を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂と組み合わせた二官能性エポキシ樹脂を含み、この多官能性芳香族エポキシ樹脂は、メタ置換された少なくとも1つのフェニル基を有する。このマトリックスは、熱可塑性粒子、熱可塑性強化剤および硬化剤をさらに含む。
【0016】
本発明は、プリプレグを製造するための方法およびプリプレグを多種多様なコンポジット部品に成形するための方法にも及ぶ。本発明は、改善されたプリプレグを使用して製造されるコンポジット部品にも及ぶ。
【0017】
本発明の成分の選択および組合せにより、成形することによって、従来の系と比較して、引張強度および衝撃後圧縮(CAI)強度の両方が改善されたコンポジット部品を形成することができるプリプレグが形成されることが判明した。
【0018】
さらに、改善された引張強度およびCAI強度の利点は、プリプレグ(例えば、タックおよびアウトライフ)、または得られる硬化したコンポジット材料(例えば、基質−繊維結合、損傷許容性、応力散逸、圧縮性能など)の他の望ましい物理的性質に実質的に影響することなく得ることができることが驚いたことに判明した。
【0019】
本発明の、上述した特徴および多くの他の特徴、ならびに付随する利点は、以下の詳細な説明を参照して、より良好に理解される。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明のプレ含浸コンポジット材料(プリプレグ)は、航空宇宙産業ならびに高構造強度および損傷許容性が要求される、任意の他の用途におけるコンポジット部品を形成するのに使用されている、現存するプリプレグの代替として使用することができる。本発明は、プリプレグを製造するために使用されている現存する樹脂の代わりに、本発明の樹脂配合物を使用することを伴う。したがって、本発明の樹脂配合物は、任意の従来のプリプレグ製造方法および硬化方法において使用するのに適している。
【0021】
本発明のプレ含浸コンポジット材料は、すべての従来のプリプレグと同様に、強化用繊維と未硬化マトリックスを含む。強化用繊維は、プリプレグ産業において使用される任意の従来の繊維構造体とすることができる。しかしマトリックスは、従来のプリプレグ産業で使用されているものから脱却している。具体的には、マトリックスは、2つを超える官能性を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂と組み合わせた二官能性エポキシ樹脂を含み、この多官能性芳香族エポキシ樹脂は、メタ置換された少なくとも1つのフェニル基を有する。このマトリックスは、熱可塑性粒子、熱可塑性強化剤および硬化剤をさらに含む。
【0022】
航空宇宙産業用プリプレグマトリックス中に従来使用されている、パラ置換されたグリシジルアミン樹脂の代わりに、主鎖中に少なくとも1つのメタ置換されたフェニル環を有する、2つを超える官能性を有するエポキシ樹脂を使用することにより、コンポジット材料により大きな靭性が付与され、ならびに基材樹脂の弾性率が増大することが発見された。これにより、衝撃後圧縮(CAI)性能のステップ変化が生じた。驚いたことに、本発明のマトリックス樹脂は、コンポジット材料に非常に高い引張強度(例えば、有孔引張強度−OHT)も付与する。
【0023】
マトリックスを形成するのに使用される二官能性エポキシ樹脂は、任意の適当な二官能性エポキシ樹脂とすることができる。これには、2つのエポキシ官能基を有する任意の適当なエポキシ樹脂が含まれることが理解される。この二官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、環状脂肪族(cylcoaliphatic)、脂環式(alicyclic)または複素環式とすることができる。
【0024】
二官能性エポキシ樹脂には、例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(場合により臭素化されている)、フェノールおよびクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加体のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、Epikote、Epon、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン(imidine)ならびにアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、またはこれらの任意の組合せに基づくものが含まれる。二官能性エポキシ樹脂は、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、またはこれらの任意の組合せから選択されることが好ましい。ビスフェノールFのジグリシジルエーテルが最も好ましい。ビスフェノールFのジグリシジルエーテルは、商標名Araldite GY281およびGY285で、Huntsman Advanced Materials(Brewster、NY)から市販されている。二官能性エポキシ樹脂は、単独または任意の適当な組合せで使用することができる。
【0025】
二官能性エポキシ樹脂は、マトリックス樹脂の10wt%から40wt%の範囲で存在する。二官能性エポキシ樹脂は、15wt%から35wt%の範囲で存在することが好ましい。二官能性エポキシ樹脂は、22wt%から28wt%の範囲で存在することがより好ましい。
【0026】
マトリックスの第2の成分は、主鎖中に少なくとも1つのメタ置換されたフェニル環を有する、2つを超える官能性を有するエポキシ樹脂である。これには、2つを超えるエポキシ基官能性を有するエポキシ樹脂が含まれることが理解される。好ましい多官能性エポキシ樹脂は、三官能性または四官能性であるものである。多官能性エポキシ樹脂は、三官能性であることが最も好ましい。
【0027】
三官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖中のフェニル環上でメタ配向で、直接または間接的に置換された3つのエポキシ基を有すると理解される。四官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖中のフェニル環上でメタ配向で、直接または間接的に置換された4つのエポキシ基を有すると理解される。
【0028】
フェニル環は、他の適当な非エポキシ置換基でさらに置換されていることができることも想定される。適当な置換基には、例として、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルオキシル、アラルキル、ハロ、ニトロ、またはシアノ基が含まれる。適当な非エポキシ置換基は、パラまたはオルト位でフェニル環に結合し、またはエポキシ基によって占有されていないメタ位で結合することができる。適当な四官能性エポキシ樹脂には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(Tetrad−Xの名称で、Mitsubishi Gas Chemical Company(New York、New York)から市販されている)、およびErisys GA−240(CVC Chemicals、Moorestown、New Jerseyから)が含まれる。適当な三官能性エポキシ樹脂には、例として、ビスフェノールF、ビスフェノールA(場合により臭素化されている)、フェノールおよびクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加体のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、ジ脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジンならびにアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、またはこれらの任意の組合せに基づくものが含まれる。
【0029】
好ましい三官能性エポキシ樹脂は、トリグリシジルメタ−アミノフェノールである。トリグリシジルメタ−アミノフェノールは、商標名Araldite MY0600で、Huntsman Advanced Materialsから、および商標名ELM−120で、住友化学株式会社(大阪、日本)から市販されている。
【0030】
主鎖中に少なくとも1つのメタ置換されたフェニル環を有する、2つを超える官能性を有するエポキシ樹脂は、樹脂マトリックスの15wt%から45wt%の範囲で存在する。メタ置換されたエポキシ樹脂は、20wt%から40wt%の範囲で存在することが好ましい。多官能性のメタ置換されたエポキシが、25wt%から30wt%の範囲で存在するマトリックス樹脂が最も好ましい。
【0031】
マトリックス樹脂は、必要とされるメタ置換された多官能性エポキシ樹脂に加えて、1つまたは複数の多官能性エポキシ樹脂を含むことができる。この追加の多官能性エポキシ樹脂は、エポキシ基でメタ置換された、主鎖中にフェニル環を有さない、少なくとも3つのエポキシ官能性を有するものである。追加の任意選択の多官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、環状脂肪族、脂環式または複素環式とすることができる。
【0032】
適当な追加の多官能性エポキシ樹脂には、例として、フェノール−アルデヒド付加体のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、ジ脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジンおよびアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、またはこれらの任意の組合せに基づくものが含まれる。
【0033】
追加の多官能性エポキシ樹脂の具体例には、例として、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(Huntsman Advanced MaterialsからAraldite MY720およびMY721、またはSumitomoからELM434として市販されているTGDDM)、パラアミノフェノールのトリグリシジルエーテル(Huntsman Advanced MaterialsからAraldite MY0500またはMY0510として市販されている)、Tactix 556(Huntsman Advanced Materialsから市販されている)などのジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、トリス−(ヒドロキシルフェニル)、およびTactix742(Huntsman Advanced Materialsから市販されている)などのメタン系エポキシ樹脂が含まれる。他の適当な多官能性エポキシ樹脂として、DEN438(Dow Chemicals、Midland、MIから)、DEN439(Dow Chemicalsから)、Araldite ECN1273(Huntsman Advanced Materialsから)、およびAraldite ECN1299(Huntsman Advanced Materialsから)が挙げられる。
【0034】
この追加の多官能性エポキシ樹脂は、単独または任意の適当な組合せで使用することができる。存在する場合、追加の多官能性エポキシ樹脂(複数可)は、マトリックス樹脂の0.1wt%から20wt%の範囲であるべきである。多官能性エポキシ樹脂(複数可)は、1wt%から15wt%の範囲で存在することが好ましい。多官能性エポキシ樹脂(複数可)は、5wt%から10wt%の範囲で存在することがより好ましい。
【0035】
本発明によるプリプレグマトリックスは、不溶性熱可塑性粒子も含む。本明細書で使用される場合、用語「不溶性熱可塑性粒子」は、熱可塑性であり、粉末形態、微粒化形態、または粒子形態であり、硬化する前に、プリプレグ樹脂マトリックス中で実質的に粒子形態で残存する、任意の適当な材料を意味する。この不溶性熱可塑性粒子は、硬化中にマトリックスの温度が上昇するとき、多少融解する場合がある。しかし、この粒子は、実質的に再形成し、最終の硬化したマトリックス中で粒子形態で残存する。
【0036】
不溶性熱可塑性粒子はポリマーであり、これは、ホモポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、またはターポリマーの形態とすることができる。不溶性熱可塑性粒子は、炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、ケイ素−酸素結合、および炭素−硫黄結合から選択される単結合または多重結合を有する熱可塑性樹脂とすることができる。ポリマー中に、1つまたは複数の繰り返し単位が存在してもよく、これは、幹ポリマー主鎖または幹ポリマー主鎖に懸垂する側鎖に以下の部分を組み込んでいる:アミド部分、イミド部分、エステル部分、エーテル部分、炭酸塩部分、ウレタン部分、チオエーテル部分およびカルボニル部分。この熱可塑性物質は、部分的に架橋された構造を有することもできる。これは、結晶性または非晶質または部分的に結晶性となることができる。
【0037】
不溶性熱可塑性粒子の適当な例には、例として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリエーテルケトンが含まれる。
【0038】
不溶性熱可塑性粒子は、例として、ポリアミド6(カプロラクタム−PA6)、ポリアミド12(ラウロラクタム−PA12)、ポリアミド11またはそれらの任意の組合せから選択することができる。好ましい不溶性熱可塑性粒子は、約150℃と250℃の間の融点を有するポリアミド粒子である。この粒子は、粒径が100ミクロン未満であるべきである。平均粒径は約20ミクロンであることが好ましい。適当なポリアミド粒子は、商標名OrgasolでArkema of Franceから市販されている。
【0039】
不溶性熱可塑性粒子は、マトリックスの35wt%から1wt%の範囲で存在する。不溶性熱可塑性粒子は、20wt%から5wt%の範囲で存在することが好ましい。不溶性熱可塑性粒子は、20wt%から10wt%の範囲で存在することがより好ましい。不溶性熱可塑性粒子は、マトリックスの10wt%から15wt%の範囲で存在することが最も好ましい。
【0040】
損傷許容性(CAI)および有孔引張強度において、さらなる改善を実現するために、好ましくはポリアミド粒子である不溶性熱可塑性粒子の少なくとも一部は、プリプレグ硬化温度(一般に180℃)未満である融点を有し、そのような低融点粒子は、単独または高融点ポリアミド粒子との組合せで使用されることが好ましい。
【0041】
ポリアミド粒子は、特定のポリアミド、共重合の程度、および結晶化度の程度に応じて異なる融解温度を有する、様々なグレードがある。ポリアミド6(PA6)を含有する粒子は、一般的なエポキシプリプレグの硬化温度より高い融点を一般に有する。したがって、硬化中にPA6粒子の融解が起こるとしてもわずかである。217℃の融点(DSC)および20ミクロンの粒径を有するOrgasol 1002 D NAT1(100%PA6)は、そのような高融点ポリアミド粒子の例である。一方、ポリアミド12(PA12)粒子、およびPA6とPA12のコポリマーは、エポキシプリプレグについての一般的な硬化温度より一般に低い融解温度を有する。これらの種類の低融点粒子は、硬化温度で実質的に融解し、硬化したコンポジットが冷却される際に再形成されて粒子になる。
【0042】
好ましいポリアミド粒子は、PA6粒子、およびPA6とPA12のコポリマーである粒子である。例えば、Orgasol 3502 D NAT 1は、50%のPA12と50%のPA6のコポリマーであり、これは142℃の融点を有し、粒径は平均約20ミクロンである。さらなる例として、開発グレードのOrgasol CG199は、80%のPA12と20%のPA6のコポリマーであり、これは160℃の融点を有し、平均粒径はやはり約20ミクロンである。別の例として、Orgasol 3801 DNAT1は、PA12とPA6のコポリマーであり、これは、160℃の融点、粒径20ミクロン、およびCG199より高い分子量を有する。Orgasol 3801 DNAT1の分子量は、Orgasol 1002 DNAT1に匹敵する。Orgasol CG213は、80%のPA12と20%のPA6を含み、160℃の融点、約20ミクロンの粒径、およびOrgasol CG199より高い分子量を有する別の好ましいコポリマー粒子である。OHTは増大するが、CAIが低下するため、Orgasol CG 199またはCG213をそれ自体で使用することは好ましくない。したがって、Orgasol CG199またはCG213は、高融点ポリアミド粒子と組み合わされることが好ましい。
【0043】
上記に特定したポリアミドホモポリマーおよびコポリマー粒子は、単独または組合せでマトリックス中に含めることができる。しかし、高融点ポリアミド成分(すなわち、プリプレグの硬化温度を超える融解温度)および低融点ポリアミド成分(すなわち、プリプレグの硬化温度未満の融解温度)を含むポリアミド粒子の混合物が使用されることが好ましい。しかし、高融点粒子と低融点粒子の相対量は、必要に応じて変更することができる。少なくともいくらかの低融点ポリアミド粒子(PA6とPA12のコポリマー)を使用することによって、基材樹脂の弾性率に影響することなく、さらに、湿潤条件下でのコンポジットの全体的な耐水性を、湿度の効果に対して損なうことなく、低弾性率インターリーブ(interleave)を得ることが可能であることが判明した。
【0044】
プリプレグマトリックス樹脂は、少なくとも1つの硬化剤を含む。適当な硬化剤は、本発明のエポキシ官能性化合物の硬化を促進し、とくにそのようなエポキシ化合物の開環重合を促進するものである。とくに好ましい態様では、そのような硬化剤には、1つまたは複数のエポキシ官能性化合物と、その開環重合で重合する化合物が含まれる。2つ以上のそのような硬化剤を組み合わせて使用することができる。
【0045】
適当な硬化剤には、無水物、とくにポリカルボン酸無水物、例えば、ナド酸無水物(NA)、メチルナド酸無水物(MNA−Aldrichから入手可能)、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.、Newark、N.J.から入手可能)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能)、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物(クロレンティックアンヒドリド(Chlorentic Anhydride)−Velsicol Chemical Corporation、Rosemont、Illから入手可能)、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、無水マレイン酸(MA−Aldrichから入手可能)、無水コハク酸(SA)、ノネニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物(DDSA−Anhydrides and Chemicals Inc.から入手可能)、ポリセバシン酸ポリ無水物、およびポリアゼライン酸ポリ無水物が含まれる。
【0046】
さらなる適当な硬化剤は、芳香族アミン、例えば、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを含めたアミン、ならびにポリアミノスルホン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS−Huntsmanから入手可能)、4−アミノフェニルスルホン、および3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)などである。
【0047】
また、適当な硬化剤として、ポリオール、例えばエチレングリコール(EG −Aldrichから入手可能)、ポリ(プロピレングリコール)、およびポリ(ビニルアルコール)など;ならびにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、例えば、約550〜650の平均分子量を有するフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、約600〜700の平均分子量を有するp−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、約1200〜1400の平均分子量を有するp−n−オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(これらは、それぞれ、Schenectady Chemicals,Inc.、Schenectady、N.Y.からHRJ 2210、HRJ−2255、およびSP−1068として入手可能である)を挙げることができる。さらに、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂に関して、CTUグアナミンと、398の分子量を有するフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(Ajinomoto USA Inc.(Teaneck、N.J.)からCG−125として市販されている)の組合せも適している。
【0048】
様々な市販の組成物を、本発明における硬化剤として使用することができる。1つのそのような組成物は、Ajinomoto USA Inc.から入手可能なAH−154、ジシアンジアミドタイプ配合物である。適当な他のものには、ポリアミド、ジエチルトリアミン、およびトリエチレンテトラミンの混合物である、Ancamide 400、アミドアミン、イミダゾリン、およびテトラエチレンペンタミンの混合物である、Ancamide 506、ならびに4,4’−メチレンジアニリンおよび1,3−ベンゼンジアミンの混合物である、Ancamide 1284が含まれ、これらの配合物は、Pacific Anchor Chemical、Performance Chemical Division、Air Products and Chemicals,Inc.、Allentown、Pa.から入手可能である。
【0049】
追加の適当な硬化剤には、Sigma Aldrich(St.Louis、Missouri)から入手可能な、イミダゾール(1,3−ジアザ−2,4−シクロペンタジエン)、Sigma Aldrichから入手可能な、2−エチル−4−メチルイミダゾール、およびAir Products & Chemicals,Inc.から入手可能な、Anchor 1170などの三フッ化ホウ素アミン錯体が含まれる。
【0050】
さらに追加の適当な硬化剤には、Ajinomoto USA Inc.からATUとして市販されている、3,9−ビス(3−アミノプロピル−2,4,8,10−テトロキサスピロ(tetroxaspiro)[5.5]ウンデカン、ならびにやはりAjinomoto USA Inc.からAjicure UDHとして市販されている、脂肪族ジヒドラジド、およびMorton International,Inc.、Chicago、IllからLP540として市販されている、メルカプト末端ポリスルフィドが含まれる。
【0051】
硬化剤(複数可)は、適当な温度でこれと混合したとき、コンポジット材料の樹脂成分が硬化されるように選択される。樹脂成分が十分に硬化するのに必要な硬化剤の量は、硬化される樹脂の種類、望まれる硬化温度および硬化時間を含めたいくつかの要因に応じて変動する。硬化剤として、一般に、シアノグアニジン、芳香族アミンおよび脂肪族アミン、酸無水物、ルイス酸、置換尿素、イミダゾールならびにヒドラジンが挙げられる。それぞれの特定の状況について必要な硬化剤の特定の量は、確立した慣例的な実験によって求めることができる。
【0052】
例示的な好ましい硬化剤には、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)および3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)が含まれ、ともにHuntsmanから市販されている。硬化剤は、未硬化マトリックスの45wt%から5wt%の範囲の量で存在する。硬化剤は、30wt%から10wt%の範囲の量で存在することが好ましい。硬化剤は、未硬化マトリックスの25wt%から15wt%の範囲で存在することがより好ましい。16wt%から22wt%の硬化剤を含むマトリックス樹脂が最も好ましい。
【0053】
4,4’−DDSは、好ましい硬化剤である。これは、16wt%から33wt%の範囲の量で、唯一の硬化剤として使用されることが好ましい。より反応性の3,3’−DDSは、適切に硬化した樹脂中の強度を増大させるが、得られるプリプレグのタック特性は、反応性の低い4,4’−DDSを使用したものよりまったく良好でないことが発見された。したがって、プリプレグのアウトライフ、硬化したコンポジット部品のタックおよび機械的性能の至適バランスを実現するために、4,4’−DDSなどの反応性の低い硬化剤は、約70から80パーセントのアミンとエポキシの化学量論比で使用されることが好ましい。
【0054】
本発明のマトリックスは、熱可塑性強化剤も含むことが好ましい。任意の適当な熱可塑性ポリマーを強化剤として使用することができる。一般に、熱可塑性ポリマーは、硬化剤を添加する前に、加熱によって樹脂混合物中に溶解した粒子として樹脂混合物中に添加される。熱可塑剤(thermoplastic agent)が、高温のマトリックス樹脂前駆体(すなわち、エポキシ樹脂のブレンド)中に実質的に溶解すると、この前駆体は、冷却され、残りの成分(硬化剤および不溶性熱可塑性粒子)が添加される。
【0055】
例示的な熱可塑性強化剤/粒子として、単独または組合せでの、任意の以下の熱可塑性物質が挙げられる:ポリイミド、アラミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、高性能炭化水素ポリマー、液体結晶ポリマー、PTFE、エラストマー、セグメント化エラストマー。
【0056】
強化剤は、未硬化樹脂マトリックスの45wt%から5wt%の範囲で存在する。強化剤は、25wt%から5wt%の範囲で存在することが好ましい。強化剤は、20wt%から10wt%の範囲で存在することがより好ましい。強化剤は、マトリックス樹脂の13wt%から17wt%の範囲で存在することが最も好ましい。適当な強化剤は、例として、商標名Sumikaexcel 5003Pで販売されているPES粒子であり、これは、Sumitomo Chemicalsから市販されている。5003Pの代替は、Solvayのポリエーテルスルホン105PS、またはSolvay 104Pなどの非ヒドロキシル末端グレードである。
【0057】
マトリックス樹脂は、追加の成分、例えば、性能増強剤(performance enhancing agent)または性能改変剤(performance modifying agent)および追加の熱可塑性ポリマーなども含むことができるが、ただし、これらは、プリプレグのタックおよびアウトライフまたは硬化したコンポジット部品の強度および損傷許容性に悪影響を与えない。性能増強剤または性能改変剤は、例えば、軟化剤、強化剤/粒子、促進剤、コアシェルゴム、難燃剤、湿潤剤、顔料/染料、UV吸収剤、抗真菌化合物、充填剤、導電性粒子、および粘度調整剤から選択することができる。追加の強化剤として使用するための適当な追加の熱可塑性ポリマーには、単独または組合せでの任意の以下のものが含まれる:ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アラミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド(PPO)および変性PPO。
【0058】
適当な促進剤は、一般に使用されているウロン(urone)化合物である。単独または組合せで使用することができる促進剤の具体例として、N,N−ジメチル、N’−3,4−ジクロルフェニル(dichlorphenyl)尿素(Diuron)、N’−3−クロロフェニル尿素(Monuron)、および好ましくは、N,N−(4−メチル−m−フェニレンビス[N’,N’−ジメチル尿素](DegussaからのDyhard UR500、またはCVC ChemicalsからのUR2T)が挙げられる。
【0059】
適当な充填剤には、例として、単独または組合せでの任意の以下のものが含まれる:シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウム。
【0060】
適当な導電性粒子には、例として、単独または組合せでの任意の以下のものが含まれる:銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、導電性グレードの炭素、バックミンスターフラーレン、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバー。金属被覆充填剤、例えば、ニッケル被覆炭素粒子および銀または銅被覆シリカ粒子も使用することができる。
【0061】
マトリックス樹脂は、少なくとも1つの熱硬化性樹脂である、追加のポリマー樹脂を含むことができる。用語「熱硬化性樹脂」は、硬化する前にプラスチックおよび通常液体、粉末または可鍛性であり、最終形態に成形されるように設計された任意の適当な材料を含む。硬化すると、熱硬化性樹脂は、融解および再成形に適さない。本発明に適した熱硬化性樹脂材料として、それだけに限らないが、フェノールホルムアルデヒドの樹脂、尿素−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミド、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シアン酸エステル樹脂、エポキシドポリマー、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。熱硬化性樹脂は、エポキシド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミド、ビニルエステル、ベンゾオキサジンおよびフェノール樹脂から選択されることが好ましい。必要に応じて、マトリックスは、フェノール基を含む適当な樹脂、例えば、レソルシノール系樹脂、およびDCPD−フェノールコポリマーなどのカチオン重合によって生成される樹脂などをさらに含むことができる。さらに追加の適当な樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、および尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0062】
樹脂マトリックスは、標準的なプリプレグマトリックス処理によって製造される。一般に、様々なエポキシ樹脂が室温で一緒に混合されることによって、樹脂混合物が生成され、これに熱可塑性強化剤が添加される。次いでこの混合物は、熱可塑性強化剤の融点を超える温度に十分な時間加熱されることによって、強化剤を実質的に融解させる。次いでこの混合物を室温以下に冷却し、成分の残り(不溶性熱可塑性粒子、硬化剤および、もしあれば他の添加剤)が樹脂中に混合されることによって、最終のマトリックス樹脂が生成され、これは繊維強化材中に含浸される。
【0063】
マトリックス樹脂は、任意の既知のプリプレグ製造技法によって繊維強化材に施される。この繊維強化材にマトリックス樹脂を完全または部分的に含浸させることができる。代替の態様では、マトリックス樹脂は、別個の層として繊維(fiber fibrous)強化材に施すことができ、この層は、繊維強化材の近くにあり、接触しているが、繊維強化材に実質的に含浸しない。プリプレグは、一般に両側が保護フィルムで覆われ、巻かれており、尚早に硬化するのを回避するために一般に室温より十分低く維持された温度で貯蔵および出荷される。必要に応じて、任意の他のプリプレグ製造方法および貯蔵/出荷システムを使用することができる。
【0064】
プリプレグの繊維強化材は、合成若しくは天然繊維、またはこれらの組合せを含む、ハイブリッドまたは混合繊維系から選択することができる。繊維強化材は、任意の適当な材料、例えば繊維ガラス、炭素またはアラミド(芳香族ポリアミド)繊維から選択することができることが好ましい。繊維強化材は、炭素繊維であることが好ましい。
【0065】
繊維強化材は、分解された(すなわち、牽切された(stretch−broken))、若しくは選択的に不連続な繊維、または連続繊維を含むことができる。分解された、または選択的に不連続な繊維を使用することにより、完全に硬化される前にコンポジット材料のレイアップを促進し、その成形される能力を改善することができることが想定される。繊維強化材は、織物型、非けん縮型、不織型、単方向型、または擬似等方性細断プリプレグなどの多軸織物構造型とすることができる。織物型は、平織、繻子織、または綾織スタイルから選択することができる。非けん縮型および多軸型は、いくつかの層方向および繊維方向を有することができる。そのようなスタイルおよび型は、コンポジット強化材の分野で公知であり、Hexcel Reinforcements of Villeurbanne、Franceを含めたいくつかの会社から市販されている。
【0066】
プリプレグは、連続テープ、トウプレグ、ウェブ、または細断長(細断および切断作業は、含浸後の任意の時点で実施することができる)の形態とすることができる。プリプレグは、接着フィルムまたは表面仕上げフィルムとすることができ、ともに織物、編物および不織の様々な形態中に、埋め込みキャリヤー(embedded carrier)をさらに有することができる。プリプレグは、例えば、硬化中に空気除去を促進するために、完全に、または部分的にのみ含浸させることができる。
【0067】
例示的な好ましいマトリックス樹脂は、約22wt%と25wt%の間のビスフェノール−Fジグリシジルエーテル;約25wt%と30wt%の間のトリグリシジル−m−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);約17wt%と21wt%の間のジアミノジフェニルスルホン(硬化剤として主に4,4−DDS);約10wt%と15wt%の間の不溶性熱可塑性粒子、および強化剤として約13wt%と17wt%の間のポリ(エーテルスルホン)を含む。
【0068】
プリプレグは、コンポジット部品を形成するのに使用される、任意の標準的な技法を使用して成形することができる。一般に、プリプレグの1つまたは複数の層が適当な型の中に配置され、硬化されて、最終のコンポジット部品が形成される。本発明のプリプレグは、当技術分野で既知の任意の適当な温度、圧力、および時間条件を使用して、完全または部分的に硬化させることができる。一般に、プリプレグは、約180℃の温度で、オートクレーブ内で硬化される。コンポジット材料は、UV−可視照射、マイクロ波照射、電子ビーム、γ照射、または他の適当な熱的、若しくは非熱的照射から選択される方法を使用して硬化することができることがより好ましい。
【0069】
本発明の改善されたプリプレグから製造されるコンポジット部品は、多数の一次および二次航空宇宙構造物(翼、胴体、隔壁など)などの物品を製造することにおいて用途があるが、高い引張強度、圧縮強度、および衝撃損傷に対する耐性を必要とする、自動車、鉄道および船舶の用途を含めた多くの他の高性能コンポジット用途においても有用となる。
【0070】
本発明をさらに容易に理解することができるように、これから以下の基礎的な情報および本発明の例を参照する。
【0071】
例1
本発明による好ましい例示的な樹脂の配合を、表1に示す。マトリックス樹脂は、エポキシ成分を室温でポリエーテルスルホンと混合して樹脂ブレンドを生成し、これを120℃で120分間加熱して、ポリエーテルスルホンを完全に溶解させることによって調製した。この混合物を80℃に冷却し、成分の残りを添加し、完全に混合した。
【表1】

【0072】
例示的なプリプレグは、1つまたは複数の層の単方向炭素繊維に表1の樹脂配合物を含浸させることによって調製した。この単方向炭素繊維は、268gsmの面重量(areal weight)を有し、すべての場合においてマトリックス樹脂は、総未硬化プリプレグ重量の35重量パーセントに達した。標準的なプリプレグ製造手順を使用して、様々なプリプレグレイアップを調製した。プリプレグは、オートクレーブ内で、180℃で約2時間硬化させた。次いで硬化したプリプレグは、以下に説明するように、標準的な試験に付すことによって、その引張強度および損傷に対する許容性を求めた。
【0073】
面内せん断強度(IPS)および弾性率(IPM)は、8層(+45/−45)積層品を使用して、室温で求めた。この積層品は、オートクレーブ内で、180℃で2時間硬化させ、2mmの呼び厚さを得た。硬化は、Cスキャンによって確認した。試料を切断し、Airbusの試験方法AITM 1.0002に従って試験した。引用した結果は規格化されていない。
【0074】
衝撃後圧縮(CAI)は、単方向繊維の層が擬似等方的に配向している16層積層品を使用して、25ジュールで求めた。この積層品は、オートクレーブ内で、180℃で2時間硬化させた。最終の積層品の厚さは、約4mmであった。硬化は、Cスキャンによって確認した。試料を切断し、Airbusの試験方法AITM 1.0010第2版、1994年6月に従って試験した。
【0075】
有孔圧縮(OHC)は、レイアップの間、単方向の層が40/40/20に配向している20層積層品を使用して、室温で求めた。この積層品は、オートクレーブ内で、180℃で2時間硬化させ、5mmの呼び厚さを得た。硬化は、Cスキャンによって確認した。試料を切り分け、Airbusの試験方法AITM 1.0008に従って試験した。結果は、EN3784方法Bに従って実施される計算を用いて、呼び硬化層厚さに基づいて60%の体積率に規格化した値である。
【0076】
有孔引張(OHT)は、レイアップの間、単方向の層が40/40/20に配向している20層積層品を使用して、室温で求めた。この積層品は、オートクレーブ内で、180℃で2時間硬化させ、5mmの呼び厚さを得た。硬化は、Cスキャンによって確認した。試料を切り分け、Airbusの試験方法AITM 1.0008に従って試験した。結果は、EN3784方法Bに従って実施される計算を用いて、呼び硬化層厚さに基づいて60%の体積率に規格化した値である。
【0077】
硬化したプリプレグは、約101MPaのIPSおよび約5.5GPaのIPMを有していた。OHTは、約780MPaであり、OHCおよびCAIは、それぞれ、約370MPaおよび292MPaであった。
【0078】
比較プリプレグ(C1)を、上述した好ましい例示的なプリプレグと同じ様式で作製し、試験した。C1は、三官能性パラ−グリシジルアミン(MY0510)を、三官能性メタ−グリシジルアミン(MY0600)の代わりに使用したことを除いて、例示的なプリプレグと同一であった。得られた硬化したプリプレグは、約72MPaのIPSおよび約5.1GPaのIPMを有していた。OHTは、約752MPaであり、OHCおよびCAIは、それぞれ、約361MPaおよび227MPaであった。
【0079】
上記比較例C1は、三官能性メタ−グリシジルアミンエポキシ樹脂を、三官能性パラグリシジルアミンエポキシ樹脂の代わりに使用すると、引張強度および損傷許容性の両方の予想外の実質的な増大が起こることを示す。さらに、引張強度および損傷許容性の両方のこの増大は、プリプレグのアウトライフおよびタックまたは硬化部分の他の物理的/化学的性質に悪影響を与えることなく実現された。
【0080】
マトリックス樹脂が、三官能性パラ−グリシジルアミンエポキシ樹脂と四官能性パラ−グリシジルアミンエポキシ樹脂の組合せを含む、第2の比較プリプレグ(C2)を調製した。具体的には、この樹脂は、22.2wt%のGY281(二官能性エポキシ);10.1wt%のMY0510(三官能性パラ−グリシジルアミンエポキシ樹脂);21.1wt%のMY721(四官能性パラ−グリシジルエポキシ樹脂);13.5wt%のOrgasol 1002粒子;14.0のSumikaexcel 5003P PES;および19.2wt%の4,4’−DDSを含んでいた。C2プリプレグは、その他の点では好ましい例示的なプリプレグと同じであり、同じ様式で硬化させ、試験した。硬化したC2プリプレグは、約92MPaのIPSおよび約5.2GPaのIPMを有していた。OHTは、約735MPaであり、OHCおよびCAIは、それぞれ約376MPaおよび257MPaであった。
【0081】
比較例C2は、C1中の三官能性パラ置換エポキシ樹脂(MY0510)の相当な部分を、四官能性パラ置換エポキシ樹脂(MY721)で置換することにより、測定されるほとんどの特性が確かにいくらか増大することを示す。しかし、増大の程度は、本発明によるメタ置換された三官能性エポキシ樹脂を使用する場合よりまったく大きくない。
【0082】
例2
追加の例示的なプリプレグ(A−D)も、例1と同じ様式で調製し、硬化させ、試験した。このプリプレグは、マトリックス樹脂の配合を変更したことを除いて例1と同じであった。この配合を表2に示す。
【表2】

【0083】
表2から分かるように、例示的なマトリックス樹脂Aは、硬化剤を4,4’−DDSと3,3’−DDSの組合せに変更したことを除いて、例1と同じである。マトリックス樹脂Bについては、硬化剤の量を、例1の量より増加させ、エポキシ樹脂成分を対応して減少させた。マトリックス樹脂CおよびDについては、硬化剤の量を増加させ、4,4’−DDSと3,3’−DDSの組合せを使用した。
【0084】
樹脂マトリックスA−Dを使用した、硬化したプリプレグに対する試験結果を表3に示す。
【表3】

【0085】
表3から分かるように、硬化したプリプレグの強度および損傷許容性は、異なる量および種類の硬化剤を使用すると変動する。すべての硬化したプリプレグは、例1のC1プリプレグと比較した場合、引張強度および損傷許容性の両方の実質的な増大を示した。この例によって作製したプリプレグのタックおよびアウトライフ特性は実際に変動するが、一般的な取扱い、レイアップおよび硬化方法に対して一般に許容可能であったことに注目すべきである。しかし、例1のプリプレグのタックおよびアウトライフ特性は、さらに許容可能であった。したがって、例1で使用した硬化剤の量および組合せ(すなわち、実質的にすべて4,4’−DDSなど)が好ましい。
【0086】
例3
追加の例(3E)のプリプレグを本発明に従って作製した。このプリプレグは、炭素繊維強化材(268gsmの面重量)を含み、これは、異なる繊維表面処理を使用したことを除いて、前述の例で使用した炭素繊維に類似していた。マトリックス樹脂の配合を表4に示す。比較のプリプレグ(C3)も調製した。C3についてのマトリックスの配合も表4に示す。
【表4】

【0087】
プリプレグ積層品を、前述の例と同じ様式で調製し、硬化させることによって、OHTおよびCAIについて、上記に示した標準的な機械的試験を行った。試験結果を表5に示す。
【表5】

【0088】
これらの例の結果は、異なる繊維サイジングまたは繊維コーティング処理を使用することにより、硬化したプリプレグの強度および損傷許容性が変動し得ることを示す。例えば、プリプレグC3は、炭素繊維に異なるコーティングを使用したことを除いて、プリプレグC2と同じであった。C3のCAIは、C2より56MPa高かったが、C3のOHTは、141MPa低かった。他の表面コーティングを使用しても、同一のマトリックス樹脂が使用される場合、硬化したプリプレグの強度および損傷許容性において類似の差異をおそらく生じることが予期される。
【0089】
しかし、例によっても示したように、本発明により、使用されている特定のコーティングまたはサイジングに関わらず、硬化したプリプレグの強度および損傷許容性が相対的に増大する。例えば、例1の硬化したプリプレグは、炭素繊維に異なるコーティングを使用したことを除いて、例3Eの硬化したプリプレグと同じである。例1の硬化したプリプレグは、C2より35MPa高いCAIおよび45MPa高いOHTを有していた。同様に、例3Eの硬化したプリプレグは、C3より45MPa高いCAI、および83MPa高いOHTを有していた。
【0090】
例4
3つの追加のプリプレグの例(F〜H)を本発明に従って作製した。このプリプレグは、例3で使用した繊維と同じである、炭素繊維強化材(268gsmの面重量)を含んでいた。3つのマトリックス樹脂の配合を表6に示す。
【表6】

【0091】
例示的なプリプレグF〜Hは、中等度の粘度のビスフェノール−Fエポキシ樹脂であるGY281の代わりに、低粘度ビスフェノール−Fエポキシ樹脂であるGY285を利用する。さらに、プリプレグF〜Hは、メタ置換された三官能性エポキシ樹脂(MY0600)とパラ置換された多官能性エポキシ樹脂(MY0510およびMY721)の混合物を含む。これらのプリプレグを使用することによって、積層品を作製し、これらを、BMS 8−276におけるBoeingの試験方法に従って試験し、メタ−三官能性エポキシ樹脂を含まないプリプレグから作製した類似の積層品と比較して、引張強度および損傷許容性の増大を示した。
【0092】
例5
追加の例示的なプリプレグ(I〜M)を、例1と同じ様式で調製し、硬化させ、試験した。このプリプレグは、マトリックス樹脂の配合を変更したことを除いて、例1と同じであった。この配合を表6に示す。
【表7】

【0093】
硬化したプリプレグを例1と同じ試験手順に付した。結果を表7に示す。
【表8】

【0094】
上記例示的なプリプレグ(I〜M)は、様々な種類および組合せの熱可塑性粒子を本発明に従って使用することにより、引張強度および損傷許容性の両方をさらに増大させることができることを示す。Orgasol 1002と組み合わせてOrgasol 3502を使用することにより(プリプレグJおよびM)、Orgasol 1002を単独で使用する、例1のプリプレグと比較した場合、硬化したプリプレグのCAIおよびOHTの両方が増大することが明らかである。さらに、Orgasol 3502とOrgasol 1002の組合せにより、プリプレグKのようにOrgasol 3502を単独で使用する場合よりも、高いCAI値およびOHT値が生じる。
【0095】
プリプレグLは、Orgasol 1002の代わりにOrgasol CG 199を使用することにより、OHTに対して予想外の効果が得られたことを示す。高いOHT値(1070)が、硬化したプリプレグに対して記録された。しかし、CAI値(243)は、粒子の分子量が小さいために比較的低かった。
【0096】
本発明によれば、例1に示した標準的な試験手順に従って測定した場合に、少なくとも70MPaのIPS;および少なくとも4.6GPaのIPM;少なくとも360MPaのOHC;少なくとも790MPaのOHT、および少なくとも260MPaのCAIを有する、硬化したプリプレグを提供するために、メタ置換された多官能性エポキシ樹脂の量は、他の必要とされる成分とともに、十分でなければならない。
【0097】
このように本発明の例示的な態様を説明してきたので、開示範囲は、例示的であるだけであり、様々な他の代替、適応および改変を、本発明の範囲内で行うことができることが、当業者によって認められるべきである。したがって、本発明は、上述した態様によって限定されないが、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むプレ含浸コンポジット材料:
A)強化用繊維、ならびに
B)以下を含むマトリックス:
a)二官能性エポキシ樹脂、
b)2つを超える官能性を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂であって、メタ置換された少なくとも1つのフェニル基を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂、
c)不溶性熱可塑性粒子、
d)熱可塑性強化剤、および
e)硬化剤。
【請求項2】
プレ含浸コンポジット材料中のマトリックスの量が、約25重量パーセントと45重量パーセントの間である、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項3】
強化用繊維が、ガラス、炭素およびアラミドからなる群から選択される、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項4】
強化用繊維が、織物、単方向繊維、ランダム配向繊維、または擬似等方性細断単方向繊維テープの形態である、請求項2に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項5】
二官能性エポキシ樹脂が、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレンおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項6】
多官能性芳香族エポキシ樹脂が、トリグリシジルメタ−アミノフェノールおよびN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンからなる群から選択される、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項7】
熱可塑性粒子がポリアミドから本質的になる、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項8】
強化剤が、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アラミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリカーボネートおよびポリフェニレンオキシドからなる群から選択される、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項9】
硬化剤が芳香族アミンである、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項10】
マトリックスが、
22から28重量パーセントの二官能性エポキシ樹脂と、
25から30重量パーセントの多官能性芳香族エポキシ樹脂と、
10から15重量パーセントの不溶性熱可塑性粒子と、
13から17重量パーセントの熱可塑性強化剤と、
15から17重量パーセントの硬化剤と
を含む、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項11】
多官能性エポキシ樹脂がトリグリシジルメタ−アミノフェノールである、請求項10に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項12】
二官能性エポキシ樹脂が、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルである、請求項11に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項13】
不溶性熱可塑性粒子がポリアミドから本質的になる、請求項12に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項14】
熱可塑性強化剤がポリエーテルスルホンである、請求項13に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項15】
硬化剤が4,4−ジアミノジフェニルスルホンである、請求項14に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項16】
ポリアミド粒子が、低融点ポリアミド粒子および高融点ポリアミド粒子の両方を含む、請求項13に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項17】
マトリックスが、
22から28重量パーセントのビスフェノールFのジグリシジルエーテルと、
25から30重量パーセントのトリグリシジルメタ−アミノフェノールと、
10から15重量パーセントのポリアミド粒子と、
13から17重量パーセントのポリエーテルスルホンと、
15から17重量パーセントの4,4−ジアミノジフェニルスルホンと
を含む、請求項15に記載のプレ含浸コンポジット材料。
【請求項18】
請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料を含むコンポジット部品であって、マトリックスが硬化されているコンポジット部品。
【請求項19】
以下のステップを含むプレ含浸コンポジット材料を製造するための方法:
A)強化用繊維を提供するステップ、ならびに
B)強化用繊維にマトリックスを含浸させるステップであって、該マトリックスが以下を含むステップ:
a)二官能性エポキシ樹脂、
b)2つを超える官能性を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂であって、メタ置換された少なくとも1つのフェニル基を有する多官能性芳香族エポキシ樹脂、
c)不溶性熱可塑性粒子、
d)熱可塑性強化剤、
e)硬化剤。
【請求項20】
コンポジット部品を製造するための方法であって、請求項1に記載のプレ含浸コンポジット材料を硬化させるステップを含む方法。

【公表番号】特表2010−525102(P2010−525102A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504044(P2010−504044)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/004284
【国際公開番号】WO2008/127556
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(503308494)ヘクセル コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】