説明

放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システム

【課題】従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】画素20は、センサ部103Aとセンサ部103Bとを備えている。画像取得用画素20Aでは、センサ部103Aとセンサ部103Bとが接続配線32により接続されており、センサ部103Aで発生した電荷及びセンサ部103Bで発生した電荷がTFTスイッチ4により読み出されて信号配線3に出力される。放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Aで発生した電荷がTFTスイッチ4により読み出されて信号配線3に出力される。また、放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Bと信号配線3とが直接、接続配線34により接続されており、センサ部103Bで発生した電荷はそのまま信号配線3に出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに係り、特に、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積し、蓄積した電荷に応じた電気信号を画像を示す情報として検出する放射線検出器、当該放射線検出器を用いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線画像の撮影を行うための放射線画像撮影装置として、放射線照射装置から照射され、被写体を透過した放射線を放射線検出器により検出する放射線画像撮影装置が知られている。このような放射線画像撮影装置の放射線検出器では、放射線または放射線から変換された光が照射されることにより電荷を発生する光電変換素子等からなるセンサ部と、当該センサ部で発生した電荷を読み出すスイッチング素子と、を備えた複数の画素がマトリックス状に配置されている。当該放射線画像撮影装置は、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積し、蓄積した電荷に応じた電気信号を放射線画像を示す情報として検出する(読み出す)ことにより放射線画像の撮影を行う。
【0003】
このような放射線画像撮影装置として、放射線照射装置から放射線が照射されるタイミングと放射線検出器による電荷蓄積の開始タイミングや終了タイミング等を同期させる技術を備えたものが知られている。当該技術では、放射線の照射に応じてセンサ部で発生した電荷(電気信号)に基づいて放射線を検知して、放射線検出器による電荷の蓄積の開始または停止等を行わせる。
【0004】
このような技術として、照射された放射線を検出し、適正な照射量に達した場合に、放射線の照射を停止させる制御等である自動露出制御(以下、AECという)技術が知られている。例えば、特許文献1には、一部の画素が、ゲート配線の上方にAECで用いられるモニタ用光電変換素子と撮像用光電変換素子とを備えており、当該モニタ用光電変換素子を用いたAECを行う放射線検出装置が記載されている。
【0005】
ところで、放射線画像撮影装置として、1画素内に複数のセンサ部(光電変換素子)を備える技術が知られている。例えば、特許文献2には、異なるエネルギーのX線による放射線画像を得るために、X線が照射された側に設けられた第1のシンチレータにより低エネルギーのX線が変換された光を検出する第1のセンサ部と、X線が照射された側と反対側に設けられた第2のシンチレータにより高エネルギーのX線が変換された光を検出する第2のセンサ部と、を1画素内に備えたX線検出器が記載されている。この特許文献2に記載の技術では、第1のシンチレータを通過する際に減衰され、さらにガラス基板を通過する際に減衰されたX線が第2のシンチレータに照射され、当該第2のシンチレータでX線から変換された光を第2のセンサ部で検出することによりエネルギーサブトラクション画像が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−147958号公報
【特許文献2】特開2010−56396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、放射線検出装置は、モニタ用光電変換素子と撮像用光電変換素子とを備えた画素と、撮像用光電変換素子のみを備えた画素との2種類の構成(パターン)の異なる画素を備えている。
【0008】
このように放射線検出器が構成(パターン)が大きく異なる画素を有する場合、製造上の制約等により、問題が生じる場合がある。また、放射線検出器の検査装置の仕様等の制約により、異なる構成の画素を備える場合、検査上の問題が生じる場合がある。例えば、構成が大きく異なる画素を不良(エラー)として検出してしまう場合等があり、適正に検査を行えない場合がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、X線検出器内の画素の構成は同一であるが、1画素内に備えられた2つのセンサ部の各々に対応するシンチレータが異なるため放射線の照射を検知しようとする場合、問題が生じる場合がある。特許文献2に記載の技術では、第1のセンサ部は、第1のシンチレータにより放射線から変換された光に基づいて電荷(画像情報)を出力するものである。一方、エネルギーサブトラクション画像を得るための第2のセンサ部は、上述のように、第1のシンチレータ及びガラス基板を通過することにより減衰されたX線を第2のシンチレータで変換した光に基づいて電荷(エネサブ情報)を出力するものである。このように、第1のセンサ部と第2のセンサ部とでは、対応するX線が異なり、第1のセンサ部から出力される情報と第2のセンサ部から出力される情報は、互いに性質が異なる情報である。従って、これを用いて放射線の照射を検知しようとすると、検知精度が低下するという問題が生じる場合があり、特許文献2に記載の技術を放射線の検知に適用することは好ましくない場合がある。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の放射線検出器は、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び第1センサ部で発生した電荷と第2センサ部で発生した電荷とを出力するスイッチング素子を有する画像取得用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び第1センサ部で発生した電荷を出力するスイッチング素子を有する放射線検知用画素と、を備える。
【0012】
本発明の放射線検出器は、画像取得用画素と、放射線検知用画素と、を備えている。放射線検知用画素は、第2センサ部が外部に接続されている。一方、画像取得用画素は、スイッチング素子が第2センサ部で発生した電荷を出力する。
【0013】
本発明では、放射線検知用画素の第2センサ部が電荷を外部に出力する。このように、第2スイッチング素子を介さずに電荷を外部に出力するため、放射線の検知を行う場合は、放射線検知用画素の第2センサ部で発生して出力された電荷により、放射線の検知を行うことができる。このように放射線を検知することにより、放射線の照射開始タイミングや終了タイミング等、所定のタイミングを検出することができる。
【0014】
本発明では、放射線検知用画素は、画像取得用画素と略同様の構成(パターン)を有している。放射線検知用画素と画像取得用画素との構成(パターン)が大きく異なる場合、放射線検出器の検査を行う際に、構成が大きく異なる画素(例えば放射線検知用画素)を不良(エラー)として検出してしまう場合がある。これに対して、本発明は、放射線検知用画素と、画像取得用画素とでは、略同様の構成(パターン)を有しているため、このような検査上の不具合が生じることがない。従って、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる。
【0015】
なお、本発明の画像取得用画素は、第2センサ部とスイッチング素子とを接続する第1接続配線を備え、放射線検知用画素は、第2センサ部を外部に接続する第2接続配線を備えるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明の画像取得用画素は、断線された第2接続配線を備え、放射線検知用画素は、断線された第1接続配線を備えることが好ましい。このように構成することにより、放射線検知用画素と画像取得用画素とでは、断線の有無のみが異なった構成(パターン)とすることができるため、より、放射線検知用画素と、画像取得用画素との構成(パターン)を類似させることができる。
【0017】
また、本発明は、照射された放射線量と前記第1センサ部で発生する電荷量との対応関係と、照射された放射線量と第2センサ部で発生する電荷量との対応関係と、が一致していることが好ましい。このように第1センサ部と第2センサ部とで、照射された放射線量と発生する電荷量との対応関係を一致させるようにすることにより、第2センサ部では、放射線画像の取得時と同一(または同一とみなせる程度に近い)感度で放射線の検知が行えるため、精度よく放射線を検知することができる。
【0018】
また、本発明は、放射線を光に変換して照射する波長変換素子を備え、第1センサ部及び第2センサ部の各々が、波長変換素子で変換された光の照射に応じて電荷を発生する光電変換素子を備えることが好ましい。このように同一の波長変換素子から第1センサ部及び第2センサ部の各々に光が照射されるようにすることにより、第1センサ部及び第2センサ部の各々の感度に差が生じるのを抑制することができる。
【0019】
また、本発明は、第1センサ部及び第2センサ部の各々が、光電変換素子に波長変換素子で変換された光と異なる光が照射されるのを遮光する遮光手段を備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、第1センサ部と第2センサ部との間が、直線状とされていることが好ましい。第1センサ部と第2センサ部との間の形状が屈曲部を有する場合、例えば、L字型形状の場合等では、第1センサ部と第2センサ部とを合わせた全体の有効面積が低下してしまい、感度の低下を招くことになる。これに対して本発明では、直線状とすることにより、有効面積の低下を抑制し、感度の低下を抑制することができる。
【0021】
また、本発明は、第1センサ部の放射線が照射される領域の面積と、第2センサ部の放射線が照射される領域の面積とが異なることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、放射線検知用画素の前記第2センサ部で発生した電荷が出力される放射線検知用信号配線を備えることが好ましい。このように放射線の検知に用いられる放射線検知用画素の第2センサ部から電荷が流れ出す信号線を、放射線の画像の取得に用いられるその他の第1センサ部及び第2センサ部から電荷が出力される信号線と異ならせることにより、両電荷が混ざり合うのを防止することができる。
【0023】
また、本発明の放射線検出器は、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子、及び第2センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する画像取得用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子、及び短絡された第2スイッチング素子を有する放射線検知用画素と、を備える。
【0024】
本発明の放射線検出器は、第1センサ部、第2センサ部、第1スイッチング素子、及び第2スイッチング素子を有する画像取得用画素と、放射線検知用画素と、を備えている。画像取得用画素の第2スイッチング素子は、第2センサ部で発生した電荷を出力し、放射線検知用画素の第2スイッチング素子は、短絡されている。
【0025】
本発明では、放射線検知用画素の第2スイッチング素子が短絡されているため、放射線の検知を行う場合は、放射線検知用画素の第2センサ部で発生され、当該第2センサ部から出力された電荷により、放射線の検知を行うことができる。このように放射線を検知することにより、放射線の照射開始タイミングや終了タイミング等、所定のタイミングを検出することができる。
【0026】
本発明では、放射線検知用画素と、画像取得用画素とでは、第2スイッチング素子が短絡されているか否かのみが異なっている。従って、放射線検知用画素と、画像取得用画素との構成(パターン)を略同一とすることができるため、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる。
【0027】
また、本発明の放射線検出器は、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び第1センサ部で発生した電荷を出力するスイッチング素子を有する放射線検知用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第3センサ部、及び第3センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する画像取得用画素と、を含み、かつ繰り返し配置された画素集団を備える。
【0028】
本発明の放射線検出器は、放射線検知用画素及び画像取得用画素から成る画素集団が繰り返し配置されている。このように、画素集団が繰り返し配置されることにより、放射線検知用画素と画像取得用画素との構成(パターン)が異なる場合であっても、画素集団単位でみると同一の構成(パターン)の繰り返しとなるため、上述のような検査上の不具合が生じることがない。従って、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる。
【0029】
また、本発明の放射線検出器は、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子を有する放射線検知用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び第1センサ部で発生した電荷と第2センサ部で発生した電荷とを出力する第1スイッチング素子を有する画像取得用画素と、を含む複数の第1画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第3センサ部、及び第3センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する複数の第2画素と、を備え、かつ繰り返し配置された画素集団を備える。
【0030】
本発明の放射線検出器は、第1画素及び第2画素から成る画素集団が繰り返し配置されている。このように、画素集団が繰り返し配置されることにより、第1画素と第2画素との構成(パターン)が異なる場合であっても、画素集団単位でみると同一の構成(パターン)の繰り返しとなるため、上述のような検査上の不具合が生じることがない。従って、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる。
【0031】
本発明の放射線画像撮影装置は、本発明の放射線検出器と、前記放射線検出素子の放射線検知用画素の第2センサ部から出力された電荷に基づいて放射線量を検出する検出手段と、放射線検出器の画像取得用画素の第1センサ部から出力された電荷の電荷量、画像取得用画素の第2センサ部から出力された電荷の電荷量、及び放射線検知用画素の第1センサ部から出力された電荷の電荷量に基づいて放射線画像を取得する画像取得手段と、を備えた。
【0032】
また、本発明は、前記放射線検知用画素の第1センサ部から出力された電荷の電荷量を、第1センサ部で発生する電荷の電荷量と第2センサ部で発生する電荷の電荷量とに応じて予め定められた補正値により補正する補正手段を備えることが好ましい。放射線検知用画素では、画像取得用画素に比べて、第2センサ部で発生する電荷量に応じた分、放射線画像を取得する際に、1画素あたりから出力される電荷量が少ない。そのため、本発明では、補正手段により、前記第1センサ部で発生する電荷の量及び前記第2センサ部で発生する電荷の量に応じて予め定められた補正値により第1センサ部から出力された電荷の電荷量を補正することにより、放射線画像に生じる欠陥を抑制することができる。
【0033】
本発明の放射線画像撮影システムは、放射線照射手段と、前記放射照射手段から照射された放射線により放射線画像を撮影する本発明の放射線画像撮影装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明によれば、従来に比べて、検査が行い易く、かつ精度よく放射線を検知することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像取得用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示した画像取得用画素の一例のA−A線断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検知用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図6】図5に示した放射線検知用画素の一例のB−B線断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の信号検出回路の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図8】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の動作の流れの一例を示したタイムチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る放射線検出器の画素のセンサ部の感度特性(照射された放射線量と発生する電荷量との関係)を説明するための説明図である。
【図10】第2の実施の形態に係る画像取得用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る放射線検知用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図12】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図13】第4の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図14】第4の実施の形態に係る画像取得用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図15】図14に示した画像取得用画素の一例のC−C線断面図である。
【図16】図14に示した画像取得用画素の一例のD−D線断面図である。
【図17】第4の実施の形態に係る放射線検知用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図18】図17に示した放射線検知用画素の一例のE−E線断面図である。
【図19】第5の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図20】第5の実施の形態に係る放射線検知用画素の構成の一例を示す平面図である。
【図21】第6の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図22】第6の実施の形態に係る放射線検知用画素の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1の実施の形態]
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0037】
まず、本実施の形態の放射線検出器を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0038】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線画像撮影装置100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像撮影装置100に照射される。
【0039】
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の概略構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の全体構成の一例を示す構成図である。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像撮影装置100は、間接変換方式の放射線検出器10を備えている。
【0040】
放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。なお、本実施の形態の画素20は、2つのセンサ部103(103A、103B)を備えている(詳細後述)。本実施の形態では、波長変換素子であるシンチレータ(図4、図6参照)によって放射線から変換された光が照射されることにより、センサ部103では、電荷が発生する。
【0041】
画素20は、一方向(図2の走査配線方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の信号配線方向、以下「列方向」ともいう)にマトリックス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
【0042】
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線画像取得用の画素(画像取得用画素)20Aと放射線検知用の画素(放射線検知用画素)20Bとが予め定められている。図2では、放射線検知用の画素20Bを破線で囲んで示している。画像取得用画素20Aは、検出した放射線に応じた画像(放射線画像)を取得するために用いられる画素である。画像取得用画素20Aのセンサ部103A及びセンサ部103Bは、並列に接続され、一端がTFTスイッチ4を介して信号配線3に接続されている。一方、放射線検知用画素20Bは、放射線を検知するために用いられる画素であり、本実施の形態では、放射線の照射開始を検出するために用いられる。放射線検知用画素20Bの一方のセンサ部103Aは、TFTスイッチ4を介して信号配線3に接続されており、他方のセンサ部103Bは、TFTスイッチ4を介さずに信号配線3に直接接続されている。また、センサ部103Bが直接、信号配線3に接続されていることから、放射線検知用画素20Bは、電荷の蓄積期間であっても、電荷を出力する画素である(詳細後述)。
【0043】
また、放射線検出器10には、基板1(図4、図6参照)上に、TFTスイッチ4をオン/オフするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、各画素列に対応させて信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に対応させて走査配線101が1本ずつ設けられている。例えば、画素20が行方向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は各々行数及び列数と同じ本数である1024本ずつ設けられている。
【0044】
さらに、放射線検出器10には、各信号配線3と並列に共通電極配線25が設けられている。共通電極配線25は、並列に接続されて並列配線を構成しており、並列配線の一端が所定のバイアス電圧を供給する電源110に接続されている。センサ部103(103A、103B)は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介して電源110からバイアス電圧が印加されている。
【0045】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするためのスキャン信号が通電される。このようにスキャン信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
【0046】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がオンされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0047】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。なお、ここで電気信号の「検出」とは、電気信号をサンプリングすることを表している。
【0048】
また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をオン/オフするためのスキャン信号を出力するスキャン信号制御回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続してもよい。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続してもよい。
【0049】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路50(図7参照)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路50により増幅し、ADC(アナログ・デジタル変換器)54によりアナログ信号をデジタル信号へ変換する(詳細後述)。
【0050】
この信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104には、信号検出回路105において変換されたデジタル信号の画像データに対してノイズ除去やゲイン補正等の所定の処理を施して照射された放射線が示す放射線画像を生成する制御部106が接続されている。また制御部106は、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する。
【0051】
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROM及びRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、記録媒体であるROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
【0052】
図3〜図6を参照して、画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20Bについてさらに詳細に説明する。図3には、本実施形態に係る画像取得用画素20Aの構造を示す平面図が示されており、図4には、図3の画像取得用画素20AのA−A線断面図が示されている。また、図5には、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図が示されており、図6には、図5の放射線検知用画素20BのB−B線断面図が示されている。
【0053】
本実施の形態の画素20は、1画素内にセンサ部103A及びセンサ部103Bを備えている。本実施の形態のセンサ部103A及びセンサ部103Bでは、それぞれ下部電極11(11A、11B)、半導体層21(21A、21B)、及び上部電極22(22A、22B)を含んで構成されている。
【0054】
図3に示すように、本実施の形態の画像取得用画素20Aは、矩形状のセンサ部103B(図3:半導体層21B参照)と、矩形からセンサ部103Bを除いた形状のセンサ部103A(図3:半導体層21A参照)とにより構成されている。センサ部103Aとセンサ部103Bとは、接続配線32により接続されており、TFTスイッチ4のオン/オフによりセンサ部103Aの半導体層21Aにおいて発生し蓄積された電荷と、センサ部103Bの半導体層21Bで発生し蓄積された電荷とが信号配線3に読み出される。なお、本実施の形態の画像取得用画素20Aにおける接続配線32が本発明の第1接続配線に対応している。
【0055】
図4に示すように、放射線検出器10の画像取得用画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図3参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0056】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0057】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0058】
これらの上層には、ソース電極9及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9及びドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図3参照)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。また、絶縁膜15上には、ドレイン電極13と接続するように接続配線32が形成されている。
【0059】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3及び接続配線32を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0060】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料等)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0061】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10のセンサ部103Aでは、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17Aが形成されている。また、センサ部103Bでは、層間絶縁間12及びTFT保護層30の接続配線32と対向する位置にコンタクトホール17Bが形成されている。
【0062】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17Aを埋めつつ、センサ部103Bの領域を除いた画素領域を覆うようにセンサ部103Aの下部電極11Aが形成されており、この下部電極11Aは、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。また、層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17Bを埋めつつ、画素領域の一部を覆うようにセンサ部103Bの下部電極11Bが形成されており、この下部電極11Bは、接続配線32と接続されている。従って、下部電極11Bは、接続配線32を介してドレイン電極13に接続されている。
【0063】
この下部電極11A、11Bは、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。なお、シンチレータ40から照射された光以外の光が半導体層21A、21Bに入射されるのを抑制するために、下部電極11は遮光性を有することが好ましい。そのため、本実施の形態では、下部電極11を遮光性を有する電極としている。なお、本実施の形態の下部電極11が本発明の遮光手段に対応している。
【0064】
下部電極11A、11B上には、それぞれフォトダイオード(光電変換素子)として機能する半導体層21A、21Bが形成されている。本実施の形態では、半導体層21A、21Bとして、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21C、i層21D、p+層21Eを順に積層して形成する。i層21Dは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21C及びp+層21Eは、コンタクト層として機能し、下部電極11A、11B及び後述する上部電極22A、22Bとi層21Dとを電気的に接続する。
【0065】
半導体層21A、21B上には、それぞれ上部電極22A、22Bが形成されている。この上部電極22A、22Bには、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)等の光透過性の高い材料を用いている。
【0066】
層間絶縁膜12、半導体層21A、21B及び上部電極22A、22B上には、上部電極22A、22Bに対応する一部で開口27Cを持ち、各半導体層21A、21Bを覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0067】
この層間絶縁膜23上には、共通電極配線25がAl若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。共通電極配線25は、開口27C付近にコンタクトパッド27A、27Bが形成され、層間絶縁膜23の開口27Cを介して上部電極22A、22Bと電気的に接続される。
【0068】
一方、図5に示すように、本実施の形態の放射線検知用画素20Bは、画像取得用画素20Aと同様に、矩形状のセンサ部103Bと、矩形からセンサ部103Bを除いた形状のセンサ部103Aとにより構成されている。センサ部103Aの半導体層21Aにおいて発生し蓄積された電荷は、TFTスイッチ4のオン/オフにより信号配線3に読み出される。また、センサ部103Bと信号配線3とは、接続配線34により接続されており、半導体層21Bにおいて発生し蓄積された電荷は信号配線3に出力される。なお、本実施の形態の放射線検知用画素20Bにおける接続配線34が本発明の第2接続配線に対応している。
【0069】
また、図6に示すように、本実施の形態の放射線検知用画素20Bは、上述した画像取得用画素20Aの構成(図4参照)と略同様の構成としているが、センサ部103Bで発生した電荷を信号配線3に出力するための配線が異なっている。
【0070】
放射線検知用画素20Bでは、絶縁膜15上に接続配線34が形成されており、接続配線34には、センサ部103Bの下部電極11Bが接続されている。接続配線34は、ドレイン電極13と接続されておらず、従って、放射線検知用画素20Bの下部電極11Bとドレイン電極13とは非接続とされている。一方、接続配線34は、信号配線3に接続されている(図5参照)。このように、放射線検知用画素20Bでは、TFTスイッチ4を介さずに下部電極11Bと信号配線3とが接続されているため、下部電極11Bに収集された電荷がTFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらず信号配線3に流れ出す。すなわち、TFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらずセンサ部103Bから信号配線3に電荷が出力される。なお、センサ部103Aでは、画像取得用画素20Aと同様に、TFTスイッチ4のオン/オフにより半導体層21Aにおいて発生し蓄積された電荷が信号配線3に読み出される。
【0071】
このように形成された放射線検出器10には、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、その表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータ40が貼り付けられる。
【0072】
次に、本実施の形態の信号検出回路105の概略構成について説明する。図7は、本実施の形態の信号検出回路105の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50、及びADC(アナログ・デジタル変換器)54を備えている。なお、図7では、図示を省略したが増幅回路50は、信号配線3毎に設けられている。すなわち、信号検出回路105は、放射線検出器10の信号配線3の数と同じ数の、複数の増幅回路50を備えている。
【0073】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えている。
【0074】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20から電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCに読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0075】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0076】
ADC54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。ADC54は、デジタル信号に変換した電気信号(画像データ)を制御部106に順次出力する。
【0077】
なお、本実施の形態のADC54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのADC54を備えている。
【0078】
制御部106では、信号検出回路105から出力されたデジタル信号の電気信号(画像データ)に対してノイズ除去やゲイン補正等の所定の処理を施して照射された放射線が示す放射線画像を生成する。本実施の形態では、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bから出力された電荷は、放射線の検知に用いられ、放射線画像の生成には寄与しない。放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Aから出力された電荷のみが、放射線画像の生成に用いられる。すなわち、放射線検知用画素20Bは、画像取得用画素20Aに比べて、同量の放射線が照射された場合、センサ部103Bの(センサ部103Bの放射線が照射される領域に対応した)分、電荷量が少ないことになる。そのため、本実施の形態では、予め、画像取得用画素20Aに対する放射線検知用画素20Bでの電荷量の減少分や、放射線が照射されるセンサ部103A、103Bの面積等に応じて、同量の照射線が照射された場合に画像取得用画素20A全体から出力される電荷量と放射線検知用画素20B全体から出力される電荷量とが略同量となるようにゲイン補正値を得ておき、当該補正値に基づいて制御部106では、放射線検知用画素20Bに対応する画像データに対して、ゲイン補正を行う。
【0079】
次に、図8を参照して、本実施の形態の放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れについて説明する。図8には、放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れを示すタイミングチャートを示す。
【0080】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、待機状態の後、放射線画像を撮影する撮影モードになると、放射線検知期間に移行し、放射線検知待ち状態となる。本実施の形態では、放射線検知期間では、制御部106がスキャン信号制御回路104を制御して、スキャン信号制御回路104から1ラインずつ順に、所定周期Hで各走査配線101にスキャン信号を出力させ、各走査配線101に接続された各TFTスイッチ4を1ラインずつ順にオン状態にさせて放射線検出器10の各画素20の各々に蓄積された電荷を取り出すリセット動作を行う。
【0081】
また、放射線検知期間では、所定周期Tsで信号検出回路105により放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3(図2の場合、例えば、D6)及び放射線検知用画素20Bが接続されていない信号配線3(図2の場合、例えば、D7)にそれぞれ流れる電気信号をデジタル信号に変換させて放射線の検出を行うサンプリング期間Tcaのサンプリングを繰り返す。信号検出回路105は、D6の信号配線3及びD7の信号配線3を流れる電気信号をそれぞれ増幅回路50により増幅してそれぞれデジタル信号へ変換し、制御部106へ出力する。
【0082】
なお、本実施の形態では、1フレーム=所定周期H×n(n:1フレームあたりの走査配線101の本数、図2ではn=8)であり、サンプリング期間Tca≦所定周期H=1フレーム/n、としている。
【0083】
制御部106は、信号検出回路105により変換された、放射線検知用画素20Bが接続されたD6の信号配線3のデジタル信号の値から放射線検知用画素20Bが接続されていないD7の信号配線3のデジタル信号の値を減算し、減算されたデジタル信号の値を予め定めた放射線の照射開始検知用の閾値と比較し、閾値以上となった否かにより放射線が照射されたか否かの検出を行う。
【0084】
各信号配線3に外乱要因に起因してノイズが発生した場合、D6及びD7の信号配線3には、隣り合っているため略同一のノイズが発生する。また、放射線が照射された場合、D6の信号配線3には、放射線検知用画素20Bからの電気信号も流れる。
【0085】
このため、D6及びD7の信号配線3を流れる電気信号をデジタル信号に変換し、変換されたD6の信号配線3のデジタル信号の値からD7の信号配線3のデジタル信号の値を減算することにより、ノイズ分の値をキャンセルすることができる。
【0086】
なお、制御部106による放射線が照射されたか否かの検知は、放射線の照射開始検知用の閾値と比較することに限らず、例えば、検知回数等、予め設定した条件に基づいて検知するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ノイズ分の値をキャンセルするために上述のように、放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタル信号から、当該信号配線3に隣接する放射線検知用画素20Bが接続されていない信号配線3のデジタル信号が減算されたデジタル信号を用いているがこれに限らず、例えば、単に放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタル信号を用いるようにしてもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出器10では、画素20は、センサ部103Aとセンサ部103Bとを備えている。画像取得用画素20Aでは、センサ部103Aとセンサ部103Bとが接続配線32により接続されており、センサ部103Aで発生した電荷及びセンサ部103Bで発生した電荷がTFTスイッチ4により読み出されて信号配線3に出力される。一方、放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Aで発生した電荷がTFTスイッチ4により読み出されて信号配線3に出力される。また、放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Bと信号配線3とが直接、接続配線34により接続されており、センサ部103Bで発生した電荷はそのまま信号配線3に出力される。
【0088】
このように、本実施の形態では、画像取得用画素20Aの構成(形状・パターン)と放射線検知用画素20Bの構成(形状・パターン)とを類似させることができる。これにより、検査装置(例えば、光学的検査装置)の制約を回避することができる。例えば、検査装置により放射線検出器10の検査を行う場合、画像取得用画素20Aとの形状(パターン)の相違から放射線検知用画素20Bを不良(エラー)と検出してしまうのを防止することができる。従って、従来に比べて、放射線検出器10の検査を行い易くすることができる。また、放射線検出器10の製造上の制約を回避することができる。例えば、画像取得用画素20Aの形状(パターン)と放射線検知用画素20Bの形状(パターン)とが大きく異なると、放射線検出器10の製造に用いるマスクの繰り返しパターンが使用できなくなるため、製造しづらくなる場合があるが、本実施の形態では、マスクの繰り返しパターンを使用して製造を行うことができるため、製造し易くすることができる。
【0089】
また、本実施の形態では、シンチレータ40で放射線から変換された光がセンサ部103Aの半導体層21A及びセンサ部103Bの半導体層21Bの両方に入射されるように構成している。例えば、センサ部103A(半導体層21A)とセンサ部103B(半導体層21B)とで、異なるシンチレータから光が入射された場合(例えば、従来技術の特許文献2参照)、照射された放射線に対するセンサ部103A(半導体層21A)の感度と、センサ部103B(半導体層21B)の感度とが異なることになる。従来技術の特許文献2のような場合、照射された放射線が高エネルギーである場合は、2つのセンサ部(103A、103B)の感度の差が小さくなるが、照射された放射線が低エネルギーである場合は、2つのセンサ部(103A、103B)の感度の差が大きくなる。これに対して、本実施の形態の放射線検出器10では、同一のシンチレータ40から光が入射されることにより、照射された放射線に対するセンサ部103A(半導体層21A)の感度と、センサ部103B(半導体層21B)の感度とのずれ(差)を抑制することができる。
【0090】
本実施の形態のセンサ部103Aとセンサ部103Bとの感度特性(照射された放射線量と発生する電荷量との関係)を図9に示す。ここで、発生する電荷量をQ(Q1、Q2)、照射された放射線量をR、係数をK(K1、K2)とすると、センサ部103Aの感度特性は、Q1=K1×Rで表され、センサ部103Bの感度特性は、Q2=K2×Rで表される。なお、本実施の形態では、センサ部103A及びセンサ部103Bは、構成が同一であり、放射線が照射される領域の面積が異なるため、そのぞれの放射線が照射される領域の面積をS1、S2とすると、センサ部103Aの感度特性Q1:センサ部103Bの感度特性Q2=S1:S2となる。
【0091】
図9に示すように、センサ部103Bの感度特性は、放射線が照射される領域の面積がセンサ部103Aよりも小さいため、センサ部103Aの感度特性よりも低い(同一の放射線量に対して発生する電荷量が少ない)ものの、本実施の形態では、センサ部103Aとセンサ部103Bとの感度特性が、相似形を示している(略一致している)ため、照射された放射線のエネルギーが変化しても、センサ部103Aで発生する電荷量とセンサ部103Bで発生する電荷量との比を変化させないようにすることができる。従って、センサ部103Bにより、精度よく放射線を検知することができ、放射線の照射開始を検出することができる。なお、センサ部103Aとセンサ部103Bの位置等により、感度特性の差が若干存在する場合であっても、相似しているとみなせる程度の差であり、少なくとも上述の従来の技術において生じる感度特性の差よりも小さいため、問題は生じない。
【0092】
さらに、下部電極11を遮光性を有する電極としているため、シンチレータ40からの光を効率的にセンサ部103A(半導体層21A)及びセンサ部103B(半導体層21B)に入射させることができるため、センサ部103Bにより、より精度よく放射線を検知することができ、放射線の照射開始を検出することができる。
【0093】
また、本実施の形態では、放射線検知用画素20Bをセンサ部103Bのみで構成するのではなく、センサ部103A及びセンサ部103Bを備えるように構成している。放射線検知用画素(20B)を1つのセンサ部(103Aまたは103B)で構成した場合、放射線画像を取得する際に、照射された放射線量に応じて発生した電荷を蓄積することができないため、放射線検知用画素(20B)は、欠陥画素となり、点欠陥が生じることになる。このような場合、周辺の画像取得用画素(20A)の情報(画像データ)により補正を行っていた。このような点欠陥が多い場合、放射線画像の品質の低下を招く恐れがあるため、点欠陥の原因となる放射線検知用画素(20B)を配置する数や位置等に制限があった。
【0094】
一方、本実施の形態の放射線検知用画素20Bでは、放射線画像を取得する際に、センサ部103Aでは、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積することができるため、画像取得用画素20Aに比べて感度が低下するものの、画像データを取得することができ、欠陥画素となるのを防止することができる。さらに、上述のように放射線検知用画素20Bから出力された画像データを制御部106でゲイン補正することにより、より点欠陥となるのを防止することができる。これにより、より多くの放射線検知用画素20Bを放射線検出器10内に配置することができるようになるため、精度よく放射線の照射を検知することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、放射線検知用画素20Bをセンサ部103Bのみで構成する場合に比べて、1放射線検知用画素20Bあたりのセンサ部103Bの容量を小さくすることができる。放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3では、配線容量が増加することにより、オフセットの変化を引き起こして、放射線画像にライン欠陥が生じる要因となる場合がある。これに対して、本実施の形態では、1放射線検知用画素20Bあたりのセンサ部103Bの容量が小さいため、信号配線3の容量変動を抑制することができる。これにより、1本の信号配線3に多くの放射線検知用画素20Bを設けることができるため、精度よく放射線の照射を検知することができる。
【0096】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0097】
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の画素20(画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20B)の構成が、第1の実施の形態の画素20(画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20B)の構成と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
【0098】
図10には、本実施形態に係る画像取得用画素20Aの構造を示す平面図が示されている。また、図11には、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図が示されている。
【0099】
本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、画素20は、1画素内にセンサ部103A及びセンサ部103Bを備えているが、センサ部103A及びセンサ部103Bの形状(より具体的には、放射線が照射される照射面の形状)が第1の実施の形態のセンサ部103A及びセンサ部103Bの形状と異なっている。
【0100】
本実施の形態では、図10、図11に示すように、センサ部103A(半導体層21A)の放射線が照射される照射面の形状が矩形状になっており、センサ部103Aとセンサ部103Bとの間の領域は直線状となっている。一方、第1の実施の形態では、センサ部103Aは、二つの矩形を組み合わせた形状をしており、センサ部103Aとセンサ部103Bとの間の領域は、屈曲部を有するL字型形状となっている(図3、図5参照)。このようにセンサ部103Aとセンサ部103Bとの間の領域が屈曲部を有している場合、センサ部103Aの半導体層21Aとセンサ部103Bの半導体層21Bとを合わせた半導体層21全体の有効面積が低下してしまう。従って、画像取得用画素20A全体における半導体層21の有効面積が低下することになる。
【0101】
そこで本実施の形態は、センサ部103Aとセンサ部103Bとの間の領域を直線状とすることにより、屈曲部を有さないようにしている。具体的に本実施の形態では、センサ部103A及びセンサ部103B共に、矩形状としている。このようにすることにより、画像取得用画素20A全体における半導体層21の有効面積を向上させることができる。従って、画像取得用画素20Aの感度を向上させることができる。
【0102】
また、本実施の形態の画像取得用画素20Aでは、センサ部103Bと信号配線3とを接続する接続配線34の一部が断線した状態の接続配線34Aが設けられている。図10では、接続配線34Aと信号配線3とが非接続になるように、信号配線3との接続箇所が所定間隔、断線されている状態を示している。なお、断線箇所はこれに限らず、接続配線34Aの中間であってもよいし、半導体層21Bのコンタクトホール17B付近であってもよいし、放射線検出器10の製造や検査の制約・仕様等により定めればよく、特に限定されない。このように、本実施の形態の画像取得用画素20Aは、放射線検知用画素20Bの接続配線34と類似する接続配線34Aを備えているが、一部が断線しているため、センサ部103Bと信号配線3とは非接続の状態となっている。なお、本実施の形態の画像取得用画素20Aにおける接続配線34Aが本発明の第4接続配線に対応している。
【0103】
さらに、本実施の形態の放射線検知用画素20Bでは、センサ部103Aとセンサ部103Bとを接続する接続配線32の一部が断線した状態の接続配線32Bが設けられている。図11では、接続配線32Bとドレイン電極13とが非接続になるように、ドレイン電極13との接続箇所が所定間隔、断線されている状態を示している。なお、断線箇所はこれに限らず、接続配線32Bの中間であってもよいし、半導体層21Bのコンタクトホール17B付近であってもよいし、放射線検出器10の製造や検査の制約・仕様等により定めればよく、特に限定されない。このように、本実施の形態の放射線検知用画素20Bは、画像取得用画素20Aの接続配線32と類似する接続配線32Bを備えているが、一部が断線しているため、センサ部103Aとセンサ部103Bとは非接続の状態となっている。なお、本実施の形態の放射線検知用画素20Bにおける接続配線32Bが本発明の第3接続配線に対応している。
【0104】
なお、接続配線32B及び接続配線34Aの断線間隔は、画素20、センサ部103A、及びセンサ部103Bの大きさや、放射線検出器10の検査装置の仕様等により定めればよい。例えば、画像取得用画素20Aとの形状(パターン)の相違から放射線検知用画素20Bを不良(エラー)と検出するのを防止するためには、放射線検出器10の検査装置(例えば、光学的検査装置)の分解能以下の間隔とすればよい。具体的一例として、画素20のサイズが100μm〜200μm角であり、検査装置の分解能が20μmである場合は、断線間隔を10μm程度にすればよい。
【0105】
このように本実施の形態によれば、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとの構成(形状・パターン)を、より、類似させることができる。
【0106】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0107】
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の放射線検出器10の放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bで発生した電荷の出力先が、第1の実施の形態の射線検出器10の放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bで発生した電荷の出力先と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
【0108】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出器10)の全体構成の一例の構成図を図12に示す。図12に示すように、本実施の形態の放射線検出器10では、走査配線101とは別に、走査配線101と並列に放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bに接続され、センサ部103Bで発生した電荷が出力される放射線検知用信号配線122が設けられている。また、本実施の形態では、放射線検知用信号配線122には、放射線の照射量を検出する放射線量検出回路120が接続されている。放射線量検出回路120は、例えば、放射線の照射量を積算することにより放射線の総照射量を検出する。制御部106は、放射線量検出回路120で検出された放射線量に基づいて、放射線の照射開始を検出する。
【0109】
このように本実施の形態では、画像取得用の電荷が流れる信号配線3と別途に、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bから出力された放射線の照射開始の検出用の電荷が流れる放射線検知用信号配線122を設けたため、電荷が混ざりあってしまうのを防止することができる。これにより、より精度よく、放射線を検知することができると共に、放射線画像の品質を向上させることができる。
【0110】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0111】
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の画素20(画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20B)の構成が、第1の実施の形態の画素20(画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20B)の構成と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
【0112】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出器10)の全体構成の一例の構成図を図13に示す。本実施の形態の放射線検出器10の画素20では、センサ部103Aに蓄積された電荷を読み出して信号配線3に出力するためのTFTスイッチ4Aと、ンサ部103Bに蓄積された電荷を読み出して信号配線3に出力するためのTFTスイッチ4Bとを備えている。また、放射線検知用画素20Bでは、TFTスイッチ4Bが短絡されている。
【0113】
図14には、本実施形態に係る画像取得用画素20Aの構造を示す平面図が示されており、図15には、図14の画像取得用画素20AのC−C線断面図が示されており、図16には、放射線検知用画素20BのD−D線断面図が示されている。また、図17には、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図が示されており、図18には、図17の放射線検知用画素20BのE−E線断面図が示されている。
【0114】
図14に示すように、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bは、走査配線101に接続されている。また、本実施の形態の画像取得用画素20Aでは、第1の実施の形態の画像取得用画素20A(図3参照)と異なり、センサ部103Bが接続配線32によりセンサ部103Aに接続されておらず、TFTスイッチ4Bを介して信号配線3に接続されている。
【0115】
本実施の形態の画像取得用画素20Aでは、センサ部103Aとセンサ部103Bとは、放射線が照射される領域(半導体層21A、21B)の面積が異なっているが、走査配線101を軸とした略線対称の構成となっている。そのため、図15、図16に示すように、本実施の形態のセンサ部103A及びセンサ部103Bは、第1の実施の形態の画素20のセンサ部103Aと略同様の構成をしている。
【0116】
一方、図17に示すように、本実施の形態の放射線検知用画素20Bでは、第1の実施の形態の放射線検知用画素20B(図5参照)と異なり、センサ部103Bが信号配線3に直接接続されておらず、短絡されたTFTスイッチ4Bを介して信号配線3に接続されている。
【0117】
本実施の形態の放射線検知用画素20Bのセンサ部103Aは、画像取得用画素20Aのセンサ部103Aと同一構成となっている。また、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bは、画像取得用画素20Aのセンサ部103Bと、TFTスイッチ4Bが短絡されている以外は同一構成となっている。放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bでは、図18に示すように、ソース電極9Bと、ドレイン電極13Bとを接続配線36により接続さることにより、TFTスイッチ4Bを短絡させている。なお、TFTスイッチ4Bを短絡させる方法はこれに限らず、接続配線36を設けずに、ソース電極9Bとドレイン電極13Bとを一体的に接続された状態に形成するようにしてもよい。
【0118】
本実施の形態では、放射線を検知して放射線の照射開始を検出する際は、放射線検知用画素20Bの短絡されているTFTスイッチ4Bから信号配線3に出力される電荷(電荷量)に基づいて、制御部106により放射線の照射開始を検出する。
【0119】
また、放射線画像を取得する際は、スキャン信号制御回路104から走査配線101にスキャン信号が順次出力され、画像取得用画素20Aでは、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bがオン状態になり、センサ部103A及びセンサ部103Bから電荷が信号配線3に出力される。一方、放射線検知用画素20Bでは、TFTスイッチ4Aがオン状態になり、センサ部103Aから電荷が信号配線3に出力される。
【0120】
このように本実施の形態によれば、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとの構成(形状・パターン)をほぼ同様の構成(形状・パターン)とさせることができる。従って、より、放射線検出器10の製造及び検査を容易に行うことができる。また、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとの容量の差を小さくすることができる。
【0121】
なお、本実施の形態の放射線検出器10では、放射線検知用画素20BのTFTスイッチ4Bを短絡させているがこれに限らず、TFTスイッチ4Bを短絡させずに、センサ部103B(例えば、下部電極11B)と信号配線3とを接続配線等により接続させるようにしてもよい。この場合も同様に、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bと信号配線3とが直接接続された状態になるため、適切に放射線の照射を検知することができる。なお、放射線検知用画素20BのTFTスイッチ4Bを短絡させる構造とするほうが、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとがより類似した形状(パターン)となるため、好ましい。
【0122】
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の構成を、上述の第3の実施の形態と同様に、放射線量検出回路120及び放射線検知用信号配線122を設け、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bを信号配線3ではなく、放射線検知用信号配線122に接続させるように構成してもよい。また、本実施の形態では、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bを同一の走査配線101に接続させているがこれに限らず、放射線検知用の特定走査配線を走査配線101とは別途に設け、当該特定走査配線とTFTスイッチ4Bとを接続し、当該特定走査配線を用いてTFTスイッチ4Bのオン/オフを制御するように構成してもよい。
【0123】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0124】
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態では、画像取得用画素の構成が、第1の実施の形態の画像取得用画素20Aと異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
【0125】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出器10)の全体構成の一例の構成図を図19に示す。また、本実施形態に係る画素集団70の構造を示す平面図を図20に示す。図19及び図20に示すように本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の放射線検知用画素20Bと、センサ部103A及びセンサ部103Bに変わり、センサ部103が1つ(センサ部103C)設けられた画像取得用画素20Cを備えている。また、1つの放射線検知用画素20Bと、3つの画像取得用画素20Cからなる画素集団70がマトリックス状に配置されている。
【0126】
画像取得用画素20Cは、図20に示すように、第1の実施の形態の画像取得用画素20Aのように2つのセンサ部103(センサ部103A及びセンサ部103B)により構成されるのではなく、画素領域全面を放射線が照射される領域としたセンサ部103C(半導体層21C)により構成されている。
【0127】
このように、画像取得用画素20Cと放射線検知用画素20Bとの構成(パターン)が異なる場合であっても、画素集団70の繰り返しにより放射線検出器10が構成されているため、画素集団70単位でみると、同一の構成(パターン)の繰り返しとなる。上述の実施の形態と同様に、放射線検出器10の検査を行い易くすることができると共に、放射線検出器10の製造上の制約を回避することができる。
【0128】
具体的には、上述の実施の形態では、画素20のサイズが150μm×150μmである場合、検査装置は、150μm角単位の画素比較によりパターン検査を行う。一方、本実施の形態の画素20(画像取得用画素20C、放射線検知用画素20B)のサイズが75μm×75μmである場合、画素集団70のサイズが、150μm×150μm×となるため、上述の検査装置で150μm角単位の画素比較によりパターン検査を行う場合は、検査装置は、同一の構成(パターン)の繰り返しとみなすため、適切に検査を行うことができる。
【0129】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。
【0130】
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。また、本実施の形態では、画素集団の構成がが、第5の実施の形態の画素集団70と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
【0131】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出器10)の全体構成の一例の構成図を図21に示す。また、本実施形態に係る画素集団70の構造を示す平面図を図22に示す。図21及び図22に示すように本実施の形態では、第5の実施の形態の画素集団70と、画素集団71とを備えている。画素集団71は、1つの第1の実施の形態の画像取得用画素20Aと、3つの画像取得用画素20Cとから構成されている。画素集団71は、画像取得用画素(20A、20C)により構成されているため、放射線画像の取得のみに機能する。なお、画素集団71において、画像取得用画素20Cから出力される電荷量(センサ部103Cから出力される電荷量)は、放射線画像の取得時に画像取得用画素20Aから出力される電荷量(センサ部103Aから出力される電荷量+センサ部103Bから出力される電荷量)よりも多くなる。
【0132】
画素集団70と画素集団71とでは、画像取得用画素20Aを備えているか放射線検知用画素20Bを備えているかのみが異なっているため、類似した構成(パターン)となっている。本実施の形態の放射線検出器10は、画素集団70と、画素集団71とがマトリックス状に配置されている。
【0133】
画像取得用画素20Cは、図22に示すように、第1の実施の形態の画像取得用画素20Aのように2つのセンサ部103(センサ部103A及びセンサ部103B)により構成されるのではなく、画素領域全面を放射線が照射される領域としたセンサ部103C(半導体層21C)により構成されている。
【0134】
このように、本実施の形態では、放射線検出器10が画素集団70と、画素集団71とで構成されているため、放射線検出器10全体では、類似した構成(パターン)の繰り返しとなる。従って、第5の実施の形態と同様に、放射線検出器10の検査を行い易くすることができると共に、放射線検出器10の製造上の制約を回避することができる。
【0135】
なお第5の実施の形態及び第6の実施の形態では、画素集団(70、71)がマトリックス状に配置されている場合について説明したがこれに限らず、例えば、千鳥状等であってもよい。また、画素集団(70、71)を4つの画素20で構成したがこれに限らず、例えば、検査装置の画素比較サイズ等により定めるようにしてもよい。
【0136】
また、第5の実施の形態及び第6の実施の形態では、画素集団(70、71)を1つの画像取得用画素20Aまたは放射線検知用画素20Bと、3つの画像取得用画素20Cと、で構成したが画素集団(70、71)を構成する各画素20(20A、20B、20C)の数はこれに限定されない。また、第5の実施の形態及び第6の実施の形態において、画像取得用画素20Cのみで構成される画素集団を含むように構成してもよい。
【0137】
また、第5の実施の形態及び第6の実施の形態の放射線画像撮影装置100の構成を、上述の第3の実施の形態と同様に、放射線量検出回路120及び放射線検知用信号配線122を設け、放射線検知用画素20Bのセンサ部103Bを信号配線3ではなく、放射線検知用信号配線122に接続させるように構成してもよい。
【0138】
なお、上記各実施の形態では、画素20のセンサ部103Aよりもセンサ部103Bが小さい(放射線が照射される領域の面積が小さい)場合について示したが、これに限らない。センサ部103Bの大きさがセンサ部103Aと同じ場合であっても、また、大きい場合であってもよい。いずれの場合もセンサ部103Aが設けられていることにより、放射線画像を取得する際に、放射線検知用画素20Bからもセンサ部103Aに蓄積された電荷が信号配線3に出力されるため、取得された放射線画像に点欠陥やライン欠陥が生じるのを抑制することができる。なお、このような欠陥を抑制すると共に、配線容量の増加を抑制する観点からは、センサ部103Bの大きさをセンサ部103Aよりも小さくすることが好ましい。また、放射線の検知を優先させる場合は、センサ部103Bの大きさをセンサ部103Aよりも大きくすることが好ましい。
【0139】
センサ部103Bの大きさは、このように特に限定されないが、放射線検知用画素20Bの配置箇所及び個数や、所望の感度、所望の放射線画像の品質、放射線検出器10の製造上の制約等により定めることが好ましい。画素20の全個数をN、放射線検知用画素20Bの全個数をNB、センサ部103Aの放射線が照射される領域の面積をWA、及びセンサ部103Bの放射線が照射される領域の面積をWBとした場合に、以下の(1)式で表される範囲内とすることがより好ましい。
【0140】
N×感度ロスの許容値(例えば、5〜10%)≧NB×WB/(WA+WB) ・・・(1)
また、センサ部103A及びセンサ部103Bの形状は、上記各実施の形態に限らない。例えば、矩形状ではなく、三角形状や、その他の多角形状であってもよい。なお第2の実施の形態で上述したように、センサ部103Aとセンサ部103Bとの間の領域が屈曲部を有してない、直線状となるような形状とすることが好ましい。
【0141】
また、上記各実施の形態の放射線画像撮影装置100の放射線検出器10では、放射線検知用の画素20Bが一部の信号配線3に接続されているがこれに限らず、全ての信号配線3に接続される位置に放射線検知用の画素20Bを設けるようにしてもよい。放射線検知用の画素20Bが設けられている位置及び数は、特に限定されないが、放射線の検知精度や、放射線検出器10の大きさや仕様等により定められればよい。
【0142】
また、上記各実施の形態では、放射線画像撮影装置100が放射線検知用画素20Bで検知した放射線に基づいて放射線の照射開始のタイミングを検出する場合について説明したがこれに限らず、放射線照射装置204からの放射線の照射停止のタイミングの検出や、所定量の放射線が照射されたタイミングの検出に適用してもよい。
【0143】
また、上記各実施の形態では、間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式におけるセンサ部は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
【0144】
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影装置100、放射線検出器10等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0145】
また、上記各実施の形態で説明した放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【0146】
なお、本発明は、単位セル(画素)内にではなく、セルの外部にアンプ(増幅回路)を備えたCMOSセンサにも適用することができる。
【符号の説明】
【0147】
3 信号配線
4、4A、4B TFTスイッチ (4:スイッチング素子・第1スイッチング素子・第2スイッチング素子、4A:第1スイッチング素子、4B:第2スイッチング素子)
10 放射線検出器
11、11A、11B 下部電極 (遮光手段)
20 画素、20A 画像取得用画素20A、20B 放射線検知用画素
32、32B 接続配線 (32:第1接続配線、32B:第3接続配線)
34、34A 接続配線 (34:第2接続配線、34A:第4接続配線)
40 シンチレータ
70 画素集団
71 画素集団
100 放射線画像撮影装置
103 センサ部 (103A:第1センサ部、103B:第2センサ部、103C:第3センサ部)
105 信号検出回路
106 制御部 (補正手段)
122 放射線検知用信号配線
200 放射線画像撮影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷と前記第2センサ部で発生した電荷とを出力するスイッチング素子を有する画像取得用画素と、
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を出力するスイッチング素子を有する放射線検知用画素と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記画像取得用画素は、前記第2センサ部と前記スイッチング素子とを接続する第1接続配線を備え、
前記放射線検知用画素は、前記第2センサ部を外部に接続する第2接続配線を備えた、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記画像取得用画素は、断線された前記第2接続配線を備え、前記放射線検知用画素は、断線された前記第1接続配線を備えた、請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
照射された放射線量と前記第1センサ部で発生する電荷量との対応関係と、照射された放射線量と前記第2センサ部で発生する電荷量との対応関係と、が一致している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
放射線を光に変換する波長変換素子を備え、前記第1センサ部及び前記第2センサ部の各々が、前記波長変換素子で変換された光の照射に応じて電荷を発生する光電変換素子を備えた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第1センサ部及び前記第2センサ部の各々が、前記光電変換素子に前記波長変換素子で変換された光と異なる光が照射されるのを遮光する遮光手段を備えた、請求項5に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1センサ部と前記第2センサ部との間が、直線状とされた、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記第1センサ部の放射線が照射される領域の面積と、前記第2センサ部の放射線が照射される領域の面積とが異なる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記放射線検知用画素の前記第2センサ部で発生した電荷が出力される放射線検知用信号配線を備えた、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項10】
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子、及び前記第2センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する画像取得用画素と、
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、前記第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子、及び短絡された第2スイッチング素子を有する放射線検知用画素と、
を備えた放射線検出器。
【請求項11】
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を出力するスイッチング素子を有する放射線検知用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第3センサ部、及び前記第3センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する画像取得用画素と、を含み、かつ繰り返し配置された画素集団を備えた、放射線検出器。
【請求項12】
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、外部に接続され、かつ照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を出力する第1スイッチング素子を有する放射線検知用画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷と前記第2センサ部で発生した電荷とを出力する第1スイッチング素子を有する画像取得用画素と、を含む複数の第1画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第3センサ部、及び前記第3センサ部で発生した電荷を出力する第2スイッチング素子を有する複数の第2画素と、を備え、かつ繰り返し配置された画素集団を備えた、放射線検出器。
【請求項13】
前記請求項1から前記請求項12のいずれか1項に記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器の放射線検知用画素の第2センサ部から出力された電荷に基づいて放射線量を検出する検出手段と、
前記放射線検出器の画像取得用画素の第1センサ部から出力された電荷の電荷量、前記画像取得用画素の第2センサ部から出力された電荷の電荷量、及び前記放射線検知用画素の第1センサ部から出力された電荷の電荷量に基づいて放射線画像を取得する画像取得手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項14】
前記放射線検知用画素の前記第1センサ部から出力された電荷の電荷量を、前記第1センサ部で発生する電荷の電荷量と前記第2センサ部で発生する電荷の電荷量とに応じて予め定められた補正値により補正する補正手段を備えた、請求項13に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項15】
放射線照射手段と、
前記放射照射手段から照射された放射線により放射線画像を撮影する前記請求項13または前記請求項14に記載の放射線画像撮影装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−33030(P2013−33030A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139152(P2012−139152)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】