説明

新規二環式化合物および組成物

本発明は二環式誘導体、その製造法、その使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。本発明は、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害、特にEDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達が関連する疾患の処置または予防に有用な化合物の新規クラスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、米国仮出願第60/446,648号(2003年2月11日出願)、第60/464,809号(2003年4月21日出願)および第60/472,012号(2003年5月19日出願)の優先権を主張している。これらの出願の完全な記載を、その全体を引用し、かつ、すべての目的で包含させる。
【0002】
背景技術
技術分野
本発明は、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害、特にEDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達が関連する疾患の処置または予防に有用な、二環式化合物の新規クラスを提供する。
【0003】
背景
EDGレセプターは、密接に関連する、脂質活性化G−タンパク質結合レセプターのファミリーに属する。EDG−1、EDG−3、EDG−5、EDG−6、およびEDG−8(各々S1P1、S1P3、S1P2、S1P4、およびS1P5とも呼ばれる)は、スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)に特異的なレセプターとして同定されている。EDG2、EDG4、およびEDG7(各々LPA1、LPA2、およびLPA3とも呼ばれる)は、リソホスファチジン酸(LPA)に特異的なレセプターである。本S1Pレセプターアイソタイプの中で、EDG−1、EDG−3およびEDG−5は種々の組織で広範囲に発現され、一方、EDG−6の発現は主にリンパ系組織および血小板限定されており、EDG−8は中枢神経系に限定されている。EDGレセプターはシグナル伝達を担い、細胞発育、増殖、維持、移動、分化、可塑性およびアポトーシスが含まれる細胞プロセスに重要な役割を演じると考えられている。あるEDGレセプターは、リンパ球相互作用により介在される疾患、例えば、移植拒絶反応、自己免疫疾患、炎症性疾患、感染症および癌と関連している。EDGレセプター活性の変化は、これらの疾患の病状および/または総体的症状に関与する。したがって、それ自体EDGレセプターの活性を変える分子は、このような疾患の処置における治療剤として有用である。
【0004】
発明の開示
本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
Yは−CHCH−、−CHCH(OH)−、−CH(OH)CH−、−C(O)CH−、−CHC(O)−、−CH=CH−または1,2−シクロプロピレンであり;
Xは所望により、ハロ、C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−6アルキルからなる群から選択される1個から3個の置換基で置換されているアリーレンまたはC5−6ヘテロアリーレンであり;
は、式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化2】

(式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;
mは0、1または2であり;
はC1−10アルキル、シクロアルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルキルチオ、C1−10アルキルスルホニル、C1−10アルキルスルフィニルまたはハロ−置換−C1−10アルキルであり;これらのいずれの場合も該基の任意の脂肪族部分は直鎖または分枝鎖であってよく、かつ、所望により3個までのヒドロキシ、シクロアルキルまたはC1−4アルコキシ基で置換されてよく、かつ、所望により2重もしくは3重結合または1個以上のC(O)、NR12、S、S(O)、S(O)もしくはO基により中断されており、
、所望により、アリール、C5−6ヘテロアリールまたはC3−8ヘテロシクロアルキルで置換されているアリールまたはC5−6ヘテロアリールであり、ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は、所望により、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個までの置換基で置換されていてよい)
の基であり;
【0005】
は水素;所望により1個以上のハロゲンで置換されているC1−4アルキル;所望によりハロゲンで置換されているC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはシクロアルキル;または所望により末端C原子上をOHで置換されているC1−4アルキルまたは式(g):
【化3】

(式中、
ZはO、S、(CH)1−2、CFまたはNR11であり、R11はH、(C1−4)アルキルまたはハロ置換(C1−4)アルキルであり;そしてRおよびR10、独立して、H、OH、(C1−4)アルキル(所望により1個から3個のハロ基で置換されている)、または(C1−4)アルコキシである。
ただし、RおよびR10は両方とも水素ではない)
の基であり;
およびRは、独立して、HまたはC1−4アルキル(所望によりハロゲンまたはアシルで置換されている);そして
は−OH、−Oアシル、−NHアシル、または上記で定義の式(g)の基である。〕
の化合物、およびそれらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護されている誘導体、個々の異性体および異性体混合物;およびこのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)に関する。
【0006】
本発明の第2の局面は、式Iの化合物またはそれらのN−オキシド誘導体、個々の異性体または異性体の混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を、1種またはそれ以上の適当な賦形剤と共に含む、医薬組成物である。
【0007】
本発明の第3の局面は、式Iの化合物またはそれらのN−オキシド誘導体、個々の異性体または異性体の混合物;またはそれらの薬学的に許容される塩の治療的有効量を動物に投与することを含む、動物における、EDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達の改変により、該疾患の病状および/または総体的症状を予防、阻害または軽減できるものである疾患の処置法である。
【0008】
本発明の第4の局面は、必要とする対象における制御されていない血管形成、例えばEDG−1/S1P−1介在血管形成を阻害または調節する方法であり、治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む、方法である。
【0009】
本発明の第5の局面は、必要とする対象における新血管形成工程により介在されるまたは制御されていない血管形成が関連する疾患を予防または処置する方法であり、治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む、方法である。
【0010】
本発明の第6の局面は、動物におけるEDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達が該疾患の病状および/または総体的症状に関連しているものである疾患の処置用薬剤の製造における、式Iの化合物の使用である。
【0011】
本発明の第7の局面は、式Iの化合物およびそれらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護されている誘導体、個々の異性体および異性体混合物;およびそれらの薬学的に許容される塩の製造法である。
【0012】
好ましい態様の記載
本発明は、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害の処置および/または予防に有用な化合物を提供する。また提供されるのは、このような疾患または障害の処置法である。
【0013】
定義
本明細書においては、別に定義されていない限り:
“アシル”は、基R−CO−(ここで、RはCアルキル、C3−6シクロプロピル、フェニルまたはフェニルC1−4アルキルである)を意味する。
【0014】
基としてのまたは他の基、例えばハロ−置換−アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルチオ、アルキルスルホニルおよびアルキルスルフィニルの構造要素としての“アルキル”は、直鎖または分枝鎖であり得る。基または他の基の構成要素としての“アルケニル”は、1個またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有し、直鎖または分枝鎖のいずれかであってよい。すべての二重結合はcis−またはtrans−立体配置であり得る。好ましいアルケニル基はビニルである。基または他の基もしくは化合物の構成要素としての“アルキニル”は、少なくとも1個のC≡C三重結合を有し、1個またはそれ以上のC=C二重結合を含んでよく、可能である限り、直鎖または分枝鎖のいずれかであってよい。好ましいアルキニル基はプロパルギルである。また、単独のまたは他の基の構成要素としてのシクロアルキル基は、3から8個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子を含み得る。
【0015】
“アリール”は、6から10個の環炭素原子を含む、単環式または縮合二環式芳香環集合体を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルである。“アリーレン”は、アリール基由来の2価ラジカルを意味する。例えば、本明細書で使用するアリーレンは、フェニレンまたはナフチレン、好ましくはフェニレン、より好ましくは1,4−フェニレンであり得る。
【0016】
“ハロ”または“ハロゲン”は、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClを意味する。ハロ−置換アルキル基および化合物は、部分的にハロゲン化されているか、または過ハロゲン化されており、複数ハロゲン化の場合、ハロゲン置換基は同一または異なってよい。好ましい過ハロゲン化アルキル基は例えばトリフルオロメチルである。
【0017】
“ヘテロアリール”は、特記しない限り、示される環炭素原子の1個またはそれ以上が、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子部分で置換され、かつ、各々の環が5から6個の環原子を含む、本明細書で定義した通りのアリールを意味する。例えば、本明細書で使用するヘテロアリールは、チオフェニル、ピリジニル、フラニル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリル、好ましくはチオフェニル、フラニルまたはピリジニルを含む。“ヘテロアリーレン”は、環集合体が2価ラジカルを含む、本明細書で定義した通りのヘテロアリールを意味する。
【0018】
本明細書で使用する範囲で、EDG−1選択的化合物(試薬またはモジュレーター)は、(i)EDG−1に、EDG−3によりもかつEDG−5、EDG−6、およびEDG−8の1個またはそれ以上によりも選択的であるか;または(ii)EDG−1およびEDG−3に、EDG−5、EDG−6、およびEDG−8の1個またはそれ以上によりも選択的である。本明細書で使用する範囲で、1種のEDGレセプター(“選択的レセプター”)への他のEDGレセプター(“非選択的レセプター”)を超える選択性は、該化合物が、選択的EDGレセプター(例えば、EDG−1)が介在する活性の誘導において、非選択的S1P−特異的EDGレセプターに対するよりも、より高い効果を有することを意味する。GTP−γS結合アッセイ(下記実施例に記載の通り)で測定したとき、EDG−1選択的化合物は典型的に、選択的レセプター(EDG−1、またはある態様においてEDG−1およびEDG−3の両方)に対して、非選択的レセプター(例えば、EDG−5、EDG−6、およびEDG−8の1個またはそれ以上)に対するEC50(最大応答の50%をもたらす有効濃度)よりも、少なくとも5、10、25、50、100、500、または1000低いEC50を有する。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害の処置または予防に有用な化合物を提供する。ある態様において、これらの化合物は、式I:
【化4】

〔式中、
Yは−CHCH−、−CHCH(OH)−、−CH(OH)CH−、−C(O)CH−、−CHC(O)−、−CH=CH−;または1,2−シクロプロピレンであり;
Xは所望により、ハロ、C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−6アルキルからなる群から選択される1個から3個の置換基で置換されているアリーレンまたはC5−6ヘテロアリーレンであり;
は、式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化5】

(式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;mは0、1または2であり;
はC1−10アルキル、シクロアルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルキルチオ、C1−10アルキルスルホニル、C1−10アルキルスルフィニルまたはハロ−置換−C1−10アルキルであり;これらのいずれの場合も該基の任意の脂肪族部分は直鎖または分枝鎖であってよく、かつ、所望により3個までのヒドロキシ、シクロアルキルまたはC1−4アルコキシ基で置換されてよく、かつ、所望により2重もしくは3重結合または1個以上のC(O)、NR12、S、S(O)、S(O)もしくはO基により中断されており;
は、所望により、アリール、C5−6ヘテロアリールまたはC3−8ヘテロシクロアルキルで置換されているアリールまたはC5−6ヘテロアリールであり、ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は、所望により、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個までの置換基で置換されていてよい)
の基であり;
【0020】
は水素;所望により1個以上のハロゲンで置換されているC1−4アルキル;所望によりハロゲンで置換されているC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはシクロアルキル;または所望により末端C原子上をOHで置換されているC1−4アルキルまたは式(g):
【化6】

(式中、
ZはO、S、(CH)1−2、CFまたはNR11であり、R11はH、(C1−4)アルキルまたはハロ置換(C1−4)アルキルであり;そしてRおよびR10、独立して、H、OH、(C1−4)アルキル(所望により1個から3個のハロ基で置換されている)、または(C1−4)アルコキシである。
ただし、RおよびR10は両方とも水素ではない)
の基であり;
およびRは、独立して、HまたはC1−4アルキル(所望によりハロゲンまたはアシルで置換されている);そしてRは−OH、−Oアシル、−NHアシル、または上記で定義の式(g)の基である。〕
の化合物、それらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護されている誘導体、個々の異性体および異性体混合物;そしてこのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)である。
【0021】
一つの態様において、式Iの化合物に関して、Yは好ましくは−CH−CH−または−CH(OH)−CH−、より好ましくは−CH−CH−である。
【0022】
他の態様において、Xは好ましくは1,4−フェニレンまたはチオフェニレンである。
【0023】
さらに別の態様において、Rは好ましくはR2'(ここで、R2'は所望により末端C原子上をOHで置換されているC1−4アルキルまたは式(g)の基である)である。より好ましくはRはメチルまたはヒドロキシメチル、もっとも好ましくはヒドロキシメチルである。
【0024】
好ましくは、少なくとも1個のRおよびRは水素である。より好ましくは、両方が水素である。
【0025】
は好ましくはR'(ここで、R'はH、−OH、−NHC(O)C1−4アルキルまたは式(g)の残基である)である。
【0026】
好ましくは、式(g)の基において、RおよびR10の各々が−OHである。
さらなる態様において、Rは式(a)、(b)または(d)の基である。より好ましくは、Rは式(a)の基である。
【0027】
好ましくは、RはC1−6アルキルであり、Rは、所望によりチオフェニル、フラニル、ピリジニル、フェニルまたはシクロヘキシルで置換されているチオフェニル、フラニル、ピリジニルまたはフェニル(ここで、任意のチオフェニル、フラニル、ピリジル、フェニルまたはシクロヘキシルは、ハロゲン、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個までの置換基で置換されていてよい)である。
【0028】
他の態様において、Rは、パラ位をチオフェニル、フラニル、ピリジル、フェニルまたはシクロヘキシルでモノ置換されているフェニルである。
【0029】
他の態様において、nは3、4または5であり、そしてRはフェニルである。特に好ましい式Iの化合物は、化合物表Iから選択される化合物である。
【0030】
本発明は、保護された形で存在するヒドロキシルまたはアミン基を有する、化合物の形を提供する;これらはプロドラッグとして機能する。プロドラッグは、投与後に、1個またはそれ以上の化学的または生化学的変換を介して、活性薬剤形に変換する化合物である。生理学的条件下で容易に本発明の化合物に変換する本発明の化合物形は、本発明の化合物のプロドラッグであり、本発明の範囲内である。プロドラッグの例は、総体的に不安定な酢酸エステルのようなエステルを形成するためにヒドロキシル基がアシル化されている形、およびアミン基がグリシンのカルボン酸基またはセリンのようなL−アミノ酸でアシル化され、一般的な代謝酵素による加水分解に特に感受性のアミド結合を形成している形を含む。本発明のある分子は、式(g)の、ヒドロキシ基に酵素的に脱リン酸化され得るホスフェート残基を含むもののように、それ自体プロドラッグであってよい。あるいは、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、式(g)のホスフェート残基を含む化合物に酵素的にリン酸化され得る。本発明はまた、所望により平衡である酵素的にリン酸化されたまたは脱リン酸化された式Iの化合物の両方を含む。
【0031】
式Iの化合物は遊離形または塩形、例えば無機もしくは有機酸の付加塩で存在できる;基(g)が存在し、かつRまたはR10が−OHであるとき、基(g)はまた塩形、例えばアンモニウム塩またはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛またはマグネシウムのような金属との塩、またはこれらの混合物で存在できる。水和物または溶媒和物形の式Iの化合物およびそれらの塩も本発明の一部である。
【0032】
式Iの化合物が分子中に不斉中心を有するとき、種々の光学異性体が得られる。本発明はまたエナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオ異性体およびこれらの混合物を含む。例えば、R、CH−RおよびNRを担持する中心炭素原子はRまたはS立体配置を有する。この中心炭素原子がR立体配置を有する化合物が好ましい。さらに、式Iの化合物が幾何異性体を有するとき、本発明はcis−化合物、trans−化合物およびこれらの混合物を包含する。上記のように不斉炭素原子または不飽和結合を有する出発物質に関しても同様の考察が当てはまる。
【0033】
免疫調節的状態(Immunomodulatory Condition)を処置するための方法および医薬組成物
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は価値のある薬理学的特性、例えばリンパ球再循環調節特性を、例えば、実施例3のインビトロおよびインビボ試験で示すように有し、したがって、治療に適応される。式Iの化合物は、好ましくは1×10−10から1×10−5Mの範囲、好ましくは50nM未満のEC50を有する。本化合物は、EDG/S1Pレセプターの1個またはそれ以上、好ましくはEDG−1/S1P−1に選択性を有する。本発明のEDG−1/S1P−1選択的モジュレーターは、化合物のEDG−1/S1P−1および他のEDG/S1Pレセプターの1個またはそれ以上(例えば、EDG−3/S1P−3、EDG−5/S1P−2、EDG−6/S1P−4、およびEDG−8/S1P−5)への化合物の結合をアッセイすることにより同定できる。EDG−1/S1P−1選択的モジュレーターは、通常、EDG−1/S1P−1レセプターに対して、1×10−10から1×10−5M、好ましくは50nM未満、より好ましくは5nM未満のEC50を有する。それはまた他のEDG/S1Pレセプターの1個またはそれ以上に対して、EDG−1/S1P−1に対するそのEC50よりも少なくとも5、10、25、50、100、500、または1000倍高いEC50を有する。故に、EDG−1/S1P−1調節性化合物のいくつかは、5nM未満のEDG−1/S1P−1に対するEC50を有し、一方、他のEDG/S1Pレセプターの1個またはそれ以上に対するEC50は少なくとも100nMまたはそれより高い。EDG/S1Pレセプターへの結合活性をアッセイする以外に、EDG−1/S1P−1選択的試薬はまた、EDG/S1Pレセプターにより介在される細胞性プロセスまたは活性を調節する試験試薬の能力を試験することにより同定できる。
【0034】
式Iの化合物は、したがってリンパ球相互作用により介在される疾患または障害、例えば細胞、組織または臓器同種または異種移植の急性または慢性拒絶反応または遅延移植片機能、移植片対宿主病のような移植において、自己免疫疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病およびその合併症、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症など、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により基礎となる異常反応を伴う炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体損傷、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫介在疾患の皮膚症状、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、T細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば毒素ショック(例えば超抗原誘発)、敗血症ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性真菌感染、または老年痴呆の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器移植の例は、例えば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、複合心臓−肺、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道を含む。上記使用に関して、必要な投与量は、投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存してもちろん変化する。
【0035】
さらに、式Iの化合物は癌化学療法、特に固形腫瘍、例えば乳癌の癌化学療法、または抗血管形成剤として有用である。
【0036】
必要な投与量は、投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存してもちろん変化する。一般に、満足な結果が、約0.03から2.5mg/体重kgの一日投与量で、全身的に得られることが指示される。大型哺乳類、例えばヒトにおける指示される一日投与量は、約0.5mgから約100mgであり、簡便には、例えば、1日4回までの分割でまたは遅延形で投与する。経口投与のための適当な単位は、約1から50mg活性成分を含む。
【0037】
式Iの化合物は慣用の経路のいずれかで、特に、経腸的に、例えば、経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えばローション、ジェル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻的にまたは坐薬形で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用の方法で、薬学的に許容される担体または希釈剤との混合により製造できる。
【0038】
式Iの化合物は、遊離形または薬学的に許容される塩形で、例えば、上記のように投与できる。このような塩は慣用の方法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0039】
前記によって、本発明はさらに下記を提供する:
1.1 処置を必要とする対象における、例えば、上記のようなリンパ球により介在される障害または疾患の予防または処置法であり、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法;
【0040】
1.2 処置を必要とする対象における、例えば、急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫疾患の予防または処置法であり、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法;
【0041】
1.3 必要とする対象における制御されていない血管形成、例えばスフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)介在血管形成を阻害または調節する方法であり、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【0042】
1.4 必要とする対象における新血管形成工程により介在されるまたは制御されていない血管形成が関連する疾患の予防または処置法であり、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【0043】
2. 医薬として、例えば、上記1.1から1.4の下に示す方法のいずれかにおいて使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物。
【0044】
3. 遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、例えば上記1.1から1.4のような任意の方法において使用するための医薬組成物。
【0045】
4. 上記1.1から1.4のような任意の方法において使用するための医薬組成物の製造において使用するための、式Iの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩。
【0046】
式Iの化合物は、単独の活性成分として、または、例えば同種−または異種移植片急性または慢性拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫疾患の処置または予防に、例えば他の薬剤、例えば免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症性試薬と組み合わせて、または化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖性剤と組み合わせて、アジュバントとして投与できる。例えば式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578またはAP23573;免疫抑制性特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性相同体、類似体または誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球レセプター、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40。CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えば少なくともCTLA4またはその変異体の細胞外ドメインの一部を有する組み換え結合分子、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合した、少なくともCTLA4またはその変異体の細胞外部分、例えばCTLA4Ig(例えば、ATCC68629と命名)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤と組み合わせて使用し得る。
【0047】
“化学療法剤”なる用語はすべての化学療法剤を含み、それは、以下のものを含むが、これらに限定されない;
i. アロマターゼ阻害剤、
ii. 抗エストロゲン、抗アンドロゲン(とりわけ前立腺癌の場合)またはゴナドレリンアゴニスト、
iii. トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤、
iv. 微小管活性剤、アルキル化剤、抗新生物代謝拮抗剤またはプラチン化合物、
v. タンパク質または脂質キナーゼ活性またはタンパク質または脂質ホスファターゼ活性を標的とする/減少する化合物、さらなる抗血管形成化合物または細胞分化プロセスを誘発する化合物、
vi. ブラジキニン1レセプターまたはアンギオテンシンIIアンタゴニスト、
vii. シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ビスホスホネート、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤(ヘパランスルフェート分解を阻止する)、例えばPI−88、生物学的応答モディファイアー、好ましくリンフォカインまたはインターフェロン、例えばインターフェロン□、ユビキチン化阻害剤、または抗アポトーシス経路を遮断する阻害剤、
viii. Ras発癌性アイソフォーム、例えばH−Ras、K−RasまたはN−Rasの阻害剤、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばL−744,832またはDK8G557、
ix. テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン、
x. プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、例えばベンガミドまたはその誘導体、またはプロテオソーム阻害剤、例えばPS−341、および/または
xi. mTOR阻害剤。
【0048】
本明細書で使用する“アロマターゼ阻害剤”なる用語は、エストロゲン生成、すなわち基質アンドロステンジオンおよびテストステロンから各々エストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。本用語は、ステロイド、とりわけアタメスタン、エクセメスタンおよびホルメスタンおよび、特に、非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含むが、これらに限定されない。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、特にホルモンレセプター陽性腫瘍、例えば乳房腫瘍の処置に有用である。
【0049】
本明細書で使用する“抗エストロゲン”は、エストロゲンの作用にエストロゲンレセプターレベルで拮抗する化合物を意味する。本用語は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩を含むが、これらに限定されない。抗エストロゲンである化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、特にエストロゲンレセプター陽性腫瘍、例えば乳房腫瘍の処置に有用である。
【0050】
本明細書で使用する“抗アンドロゲン”なる用語は、男性ホルモンの生物学的効果を阻害できるすべての物質に関し、ビカルタミドを含むが、これに限定されない。
【0051】
本明細書で使用する“ゴナドレリンアゴニスト”なる用語は、アバレリクス、ゴレレリンおよびゴセレリン・アセテートを含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用する“トポイソメラーゼI阻害剤”なる用語は、トポテカン、イリノテカン、9−ニトロカンプトセシンおよび巨大分子カンプトセシン・コンジュゲートPNU−166148(WO99/17804の化合物A1)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用する“トポイソメラーゼII阻害剤”なる用語は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノンであるミトトレキサートおよびロソキサントロン、およびポドフィロトキシンであるエトポシドおよびテニポシドを含むが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用する“微小管活性化剤”なる用語は、微小管安定化および微小管脱安定化剤に関し、タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカ・アルカロイド、例えば、ビンブラスチン、とりわけビンブラスチン・スルフェート、ビンクリスチン、とりわけビンクリスチン・スルフェート、およびビノレルビン、ジスコデルモライドおよびエポシロンおよびその誘導体、例えばエポシロンBまたはその誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用する“アルキル化剤”なる用語は、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファランまたはニトロソウレア(BCNUまたはGliadelTM)を含むが、これらに限定されない。
【0056】
“抗新生物代謝拮抗剤”なる用語は、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、チオグアニン、メトトレキサートおよびエダトレキサートを含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用する“プラチン化合物”は、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンを含むが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用する“タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的とする/減少する化合物、またはさらなる抗血管形成化合物”は、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはスレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤、例えば、レセプターチロシンキナーゼの上皮細胞増殖因子ファミリー(モノ−またはヘテロダイマーとしてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)、レセプターチロシンキナーゼの血管内皮細胞増殖因子ファミリー(VEGFR)、血小板由来増殖因子レセプター(PDGFR)、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)、インシュリン様増殖因子レセプター1(IGF−1R)、Trkレセプターチロシンキナーゼファミリー、Axlレセプターチロシンキナーゼファミリー、Retレセプターチロシンキナーゼ、Kit/SCFRレセプターチロシンキナーゼ、c−Ablファミリーのメンバーおよびその遺伝子融合産物(例えばBCR−Abl)、タンパク質キナーゼC(PKC)およびセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDKまたはPI(3)キナーゼファミリーのメンバー、PI(3)−キナーゼ関連キナーゼファミリーのメンバーおよび/またはサイクリン−依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物、およびその活性に関して他の、例えば、タンパク質または脂質キナーゼ阻害と関係ない機構を有する、抗血管形成化合物を含むが、これらに限定されない。
【0059】
VEGFRの活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、とりわけVEGFレセプターチロシンキナーゼを阻害する、VEGFレセプターまたはVEGFへの結合を阻害する化合物、タンパク質または抗体、および特に一般的におよび特異的にWO98/35958に記載されている、例えば1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンまたはそれらの薬学的に許容される塩、例えばコハク酸塩、WO00/27820、例えばN−アリール(チオ)アントラニル酸アミド誘導体、例えば2−[(4−ピリジル)メチル]アミノ−N−[3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミドまたは2−[(1−オキシド−4−ピリジル)メチル]アミノ−N−[3−トリフルオロメチルフェニル]ベンズアミド、またはWO00/09495、WO00/59509、WO98/11223、WO00/27819およびEP0769947に記載されているような;M. Prewett et al in Cancer Research 59(1999) 5209-5218、F. Yuan et al in Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 93, pp. 14765-14770, Dec. 1996、Z. Zhu et al in Cancer Res. 58, 1998, 3209-3214、およびJ. Mordenti et al in Toxicologic Pathology, Vol. 27, no. 1, pp 14-21, 1999に記載されているような;WO00/37502およびWO94/10202;M. S. O'Reilly et al, Cell 79, 1994, 315-328により記載されているようなAngiostatinTM;M. S. O'Reilly et al, Cell 88, 1997, 277-285に記載されているようなEndostatinTM;アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;または抗VEGF抗体または抗VEGFレセプター抗体、例えばRhuMabのような化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体である。
【0060】
抗体は完全な(intact)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2個の完全な抗体から形成された多特異的抗体および、所望の生理学的活性を示す限り、抗体フラグメントを意味する。
【0061】
上皮細胞増殖因子レセプターファミリーの活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、とりわけEGFレセプターチロシンキナーゼファミリーのメンバー、例えばEGFレセプター、ErbB2、ErbB3およびErbB4を阻害する、またはEGFまたはEGF関連リガンドに結合する、またはErbBおよびVEGFレセプターキナーゼに2重阻害効果を有する、化合物、タンパク質または抗体であり、特にWO97/02266に記載の、例えば実施例39の化合物、またはEP0564409、WO99/03854、EP0520722、EP0566226、EP0787722、EP0837063、US5,747,498、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983および、とりわけ、WO96/30347(例えばCP358774として既知の化合物)、WO96/33980(例えば化合物ZD1839)およびWO95/03283(例えば化合物ZM105180)またはPCT/EP02/08780に一般的にまたは特異的に記載のもの;例えばトラスツズマブ(Herpetin)、セツキシマブ、イレッサ、OSI−774、CI−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3のような、化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体である。
【0062】
PDGFRの活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、とりわけPDGFレセプターを阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブである。
【0063】
c−AbIファミリーメンバーの活性およびその遺伝子融合産物を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ;PD180970;AG957;またはNSC680410である。
【0064】
タンパク質キナーゼC、Raf、MEK、SRC、JAK、FAKおよびPDKファミリーメンバー、またはPI(3)キナーゼまたはPI(3)キナーゼ−関連ファミリーメンバー、および/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)の活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、とりわけEP0296110に記載のスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリンである;さらなる化合物の例は、例えばUCN−01、サフィンゴル、BAY43−9006、ブリオオスタチン1、ペリフォシン;イルモフォシン;RO318220およびRO320432;GO6976;Isis3521;またはLY333531/LY379196を含む。
【0065】
さらなる抗血管新生化合物は、例えばサリドマイド(THALOMID)およびTNP−470である。
【0066】
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とし、減少し、または阻害する化合物は、例えばホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTENまたはCDC25の阻害剤、例えば岡田酸またはその誘導体である。
【0067】
細胞分化プロセスを誘導する化合物は、例えばレチノイン酸、α−、γ−またはδ−トコフェロールまたはα−、γ−またはδ−トコトリエノールである。
【0068】
本明細書で使用するシクロオキシゲナーゼ阻害剤なる用語は、例えばセレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ(Vioxx)、エトリコキシブ、バルデコキシブまたは5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸を含むが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書で使用する“ヒストンデアセチラーゼ阻害剤”は、MS−27−275、SAHA、ピロキサミド、FR−901228またはバルプロ酸を含むが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用する“ビスホスホネート”なる用語は、エトリドン(etridonic)酸、クロドロン(clodronic)酸、チルドロン(tiludronic)酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含むが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書で使用する“マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤”なる用語は、コラーゲンペプチド模倣および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤バチマスタットおよびその経口で生体内利用可能なアナログマリマスタット、プリノマスタット、BMS−279251、BAY12−9566、TAA211またはAAJ996を含むが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用する“mTOR阻害剤”は、ラパマイシン(シロリムス)またはその誘導体、例えば32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンおよび、より好ましくは、40−0−(2−ヒドロキシエチル)ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。ラパマイシン誘導体のさらなる例は、例えばCCI779またはUSP5,362,718に記載のような40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシンまたはそれらの薬学的に許容される塩、ABT578または40−(テトラゾリル)−ラパマイシン、特に4例えばWO99/15530に記載のような0−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、または例えばWO98/02441およびWO01/14387に記載のようなラパログ(rapalog)、例えばAP23573を含む。
【0073】
式Iの化合物を他の免疫抑制性/免疫調節性、抗炎症性または化学療法的治療と組み合わせて投与するとき、併用する免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性または化学療法化合物の投与量は、もちろん、用いる併用剤のタイプ、例えばそれがステロイドであるかまたはカルシニューリン阻害剤であるか、用いる特異的薬剤、処置する状態などに依存して変化する。
【0074】
前記によって、本発明はさらに下記の局面を提供する:
5. 治療的有効非毒性量の式Iの化合物および少なくとも1個の第2薬剤物質、例えば、上記のような、例えば、免疫抑制剤、免疫調節性、抗炎症性または化学療法剤を、例えば、同時にまたは連続して併用投与することを含む、上記の方法。
【0075】
6. a)本明細書に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形式Iの化合物である第1薬剤、およびb)少なくとも1個の併用剤、例えば、上記のような、例えば抗炎症剤、免疫調節性、抗炎症性または化学療法剤を含む、薬学的組み合わせ、例えば、キット。該キットは投与のための指示書を含んでいてよい。
【0076】
本明細書で使用する“併用投与”または“組み合わせ投与”などの用語は、選択した治療剤の一人の患者への投与を包含し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同じ時間に投与するものではない処置レジメンも含むことを意図する。
【0077】
本明細書で使用する“薬学的組み合わせ”なる用語は、1個以上の活性剤の混合または組み合わせに由来する製品を意味し、活性剤の固定されたおよび固定されていない組み合わせの両方を意味する。“固定された組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を両方とも患者に同時に、単一の物体または用量の形で投与することを意味する。“固定されていない組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を両方とも、別々の物体として患者に同時に、一緒に、または具体的制限時間なしに連続して投与することを含み、このような投与が患者の体内で2成分の治療的有効量を提供するものである。後者はまたカクテル療法、例えば、3剤またはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0078】
本発明の化合物の製造法
本発明はまた本発明の免疫調節性化合物の製造法も含む。記載の反応において、官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終産物において望まれるとき、望ましくない反応への関与を避けるために、保護する必要がある。慣用の保護基は標準慣習にしたがい使用することができ、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0079】
が式(a)の基である式Iの化合物は、下記反応スキーム1のような進行により製造できる:
【化7】

〔式中、n、R、R、R、R、R、R、XおよびYは上記式Iで定義の通りである〕。
【0080】
式Iの化合物は、式2の化合物と式3の化合物を反応させることにより製造できる。本反応は、適当な酸(例えば、酢酸など)中で行い、完了まで1から20時間かかり得る。
【0081】
式Iの化合物は、式4:
【化8】

〔式中、X、Y、RおよびRは上記で定義の通りであり、R'はアミノ保護基であり、R'は、上記Rの定義であるが下記の例外を有する。末端OHがOH−置換C1−4アルキルに存在するときその保護されている形であり、式(g)の基が式(g')の基に置き換えられ、かつ、R'は、R”であり、ここで、R”はH、保護されている形の−OHまたは式(g')の基である。
ただし、R'およびR'の少なくとも1個は保護された形の−OHであるかまたは式(g')の基であり、式(g')は:
【化9】

(式中、R'およびR10'の各々は加水分解性基である)
である。〕
の化合物に存在する加水分解性基を除去し、そして、必要であるとき、遊離形で得られた式Iの化合物を塩形に変換し、またはその逆を行うことにより製造できる。
【0082】
本方法は当分野で既知の方法にしたがい行うことができる。加水分解性基は、例えば、式Iの化合物が式(g)の基および/またはR'およびR10'のような基で遊離であるときヒドロキシおよびアミノ保護基である。ヒドロキシおよびアミノ基の保護基の例は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis” T.W. Greene, J. Wiley & Sons NY, 2nd ed., chapter 7, 1991、およびその中の引用文献に記載の通りであり、例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、トリアルキルシリル、アシル、tert−ブトキシ−カルボニル、ベンジルオキシ−カルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トリメチルシリル−エタンスルホニルなどである。
【0083】
好ましくはR'およびR10'は同一であり、例えば、フェノキシまたはベンズオキシの意味を有するか、一緒になって1,5−ジヒドロ−2,4,3−ベンゾジオキサホスフェピンのような環系を形成する。
【0084】
式4の化合物におけるヒドロキシおよびアミノ保護基および/またはR'またはR'基の除去は、当分野で既知の方法にしたがい、例えば、塩基性媒体中の、例えば水酸化バリウムのような水酸化物を使用した、例えば、加水分解により簡便に行うことができる。また、例えばPearlman触媒の存在下、例えば、J. Org. Chem., 1998, 63, 2375-2377に記載のような水素化分解により行うことができる。式4の化合物が式(g')の残基で遊離であるとき、ヒドロキシおよびアミノ保護基の除去はまた酸性媒体中で行うことができる。
【0085】
本発明の化合物の製造のさらなる工程:
本発明の化合物は、薬学的に許容される酸付加塩として、該化合物の遊離塩基を、薬学的に許容される無機または有機酸と反応させることにより製造できる。別法として、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、本発明の遊離酸と薬学的に許容される無機または有機塩基を反応させることにより製造できる。あるいは、本発明の化合物の塩形は、出発物質または中間体の塩の使用により製造できる。
【0086】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形は、各々対応する塩基付加塩または酸付加塩形から製造できる。例えば酸付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離塩基に、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより変換できる。塩基付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離酸に適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより変換できる。
【0087】
非酸化形の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0から80℃で処理することにより製造できる。
【0088】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細はSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグは、本発明の非誘導体化化合物を、適当なカルバミル化(carbamylating)試薬(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより、製造できる。
【0089】
本発明の化合物の保護誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の製造およびそれらの除去に適用可能な技術の詳細な記載は、T W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0090】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として簡便には製造し、または、本発明の工程中に形成させてよい。本発明の化合物の水和物は、簡便にはジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により製造できる。
【0091】
本発明の化合物は、その個々の立体異性体として、本発明のラセミ混合物を光学活性分離剤と反応させ、ジアステレオ異性体混合物のペアを形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより製造できる。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の電子対を共有するジアステレオマー誘導体を使用して行うことができるが、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)を有し、これらの相違点を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーはクロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の差異に基づく分離/分解技術により分離できる。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、分離剤と共に、ラセミ体化をもたらさない実際的な手段のいずれかにより回収する。化合物の立体異性体の、そのラセミ混合物からの分離に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0092】
要約すると、式Iの化合物は、下記を含む方法により製造できる:
(a)式(2)の化合物と式(3)の化合物を反応させ:
【化10】

(式中、n、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記式Iに関して定義の通りである);または
(b)式4の化合物に存在する加水分解性基を除去し:
【化11】

(式中、R、R2'、R、R4'、R5'、XおよびYは、上記式Iに関して定義の通りである);または
(c)所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換し;
(d)所望により本発明の塩形を非塩形に変換し;
(e)所望により本発明の化合物の非酸化形を薬学的に許容されるN−オキシドに変換し;
(f)所望により本発明の化合物のN−オキシド形をその非酸化形に変換し;
(g)所望により本発明の化合物の個々の異性体を、異性体の混合物から分離し;
(h)所望により本発明の化合物の非誘導体化形を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換し;そして
(i)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を非誘導体化形に変換する。
【0093】
出発物質の製造を具体的に記載していない限り、該化合物は既知であるか、当分野で既知の方法に準じてまたは後記実施例に記載のように製造できる。
【0094】
当業者は、上記の変換が本発明の化合物の製造の例示的な方法であるのみであり、他の既知の方法を同様に使用できることは認識されよう。
【0095】
実施例
下記記実施例は本発明の化合物の製造の詳細を提供するが、説明のために提供し、本発明を限定するために提供するものではない。
【0096】
実施例1
1−[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブチル)−フェニル]−エタノン−O−ビフェニル−4−イルメチル−オキシム
【化12】

ステップA:2−アセチルアミノ−2−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−マロン酸ジエチルエステル
水素化ナトリウム(15mmol)を無水エタノール(50mL)に添加し、得られたナトリウムエトキシド溶液に2−アセチルアミノマロン酸ジエチルエステル(15mmol)を一度に添加する。得られた混合物を室温で30分攪拌する。2−ブロモアセトフェノン(10mmol)のエタノール(10mL)溶液を次いで添加し、得られた混合物を室温で12時間攪拌する。減圧下で濃縮した後、残渣をEtOAcおよび水に溶解する。有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒の除去後、粗物質をEtOAc/ヘキサン(1/3)を使用したカラムクロマトグラフィーで精製して、2−アセチルアミノ−2−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−マロン酸ジエチルエステルを白色固体として得る;MS:(ES):336.1(M+1)
【0097】
ステップB:酢酸4−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−フェニル−ブチルエステル
2−アセチルアミノ−2−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−マロン酸ジエチルエステル(5mmol)の95%EtOH(50mL)溶液に、NaBH(25mmol)を少しずつ添加する。室温で3時間攪拌後、反応を飽和NHClでクエンチする。減圧下でEtOHを除去した後、水性溶液をEtOAcで抽出する。有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣を無水CHCl(25mL)に溶解する。AcO(30mmol)およびピリジン(60mmol)を次いで添加する。室温で12時間攪拌後、それを連続して1N HCl、飽和NaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒の除去後、粗物質をEtOAc/ヘキサン(1/1)を使用したカラムクロマトグラフィーで精製して、酢酸4−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−フェニル−ブチルエステルを白色固体として得る;MS:(ES):380.2(M+1)
【0098】
ステップC:酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−フェニル−ブチルエステル
酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−フェニル−ブチルエステル(5mmol)をEtOH(50mL)に溶解し、大気圧で10%Pd−C(10%)を使用し、室温で12時間水素化する。濾過および濃縮後、粗生成物を白色固体として得、次ステップにさらに精製せずに使用する;MS:(ES):322.2(M+1)
【0099】
ステップD:酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−(4−アセチル−フェニル)−ブチルエステル
AlCl(16mmol)のDCE(20mL)懸濁液に、AcCl(8mmol)を一度に添加する。室温で30分攪拌後、その溶液に酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−フェニル−ブチルエステル(2mmol)のDCE(5mL)溶液を添加する。さらに30分後、該混合物を氷冷1N NaOHに注ぎ、DCMで抽出する。有機相を1N HCl、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、粗物質をEtOAc/ヘキサン(2/1)を使用したカラムクロマトグラフィーで精製して、酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−(4−アセチル−フェニル)−ブチルエステルを白色固体として得る。MS:(ES):364.2(M+1)
【0100】
ステップE:1−[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブチル)−フェニル]−エタノンO−ビフェニル−4−イルメチル−オキシム
酢酸2−アセトキシメチル−2−アセチルアミノ−4−(4−アセチル−フェニル)−ブチルエステル(0.2mmol)のMeOH(1mL)溶液に、O−(4−フェニル)ベンジルオキシルアミン塩酸塩(0.24mmol)およびEtN(0.23mmol)を添加する。室温で12時間攪拌後、それを濃縮し、残渣をDCMに溶解し、それを塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、粗生成物をTHF(1mL)に溶解し、2N LiOH水性溶液(0.5mL)で処理する。得られた混合物を1時間還流温度で攪拌し、HO(10mL)で希釈する。それを次いでEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、粗生成物をLC−MSで精製して、1−[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブチル)−フェニル]−エタノンO−ビフェニル−4−イルメチル−オキシムを白色固体として得る;MS:(ES):419.2(M+1)
【0101】
実施例2
リン酸モノ−(2−アミノ−4−{4−[1−(4'−フルオロ−ビフェニル−4−イルメトキシイミノ)−エチル]−フェニル}−2−ヒドロキシメチル−ブチル)エステル
【化13】

ステップA:1−{4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−エタノン
1−[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブチル)−フェニル]−エタノン(1mmol)の無水ジクロロエタン(2mL)懸濁液に、オルト酢酸トリエチル(1.1mmol)および酢酸(0.05mmol)を添加する。得られた混合物を80℃で12時間加熱する。濃縮後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、1−{4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−エタノンを油状物として得る;MS:(ES):262.1(M+1)
【0102】
ステップB:リン酸4−[2−(4−アセチル−フェニル)−エチル]−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルジ−tert−ブチルエステル
1−{4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェニル}−エタノン(1mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(5mL)溶液に、1H−テトラゾール(6mmol)およびジ−tert−ブチルジイソプロピルホスホロイミデート(3mmol)を添加する。得られた混合物を室温で4時間攪拌する。mCPBA(3mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液を次いで添加する。さらに1時間後、反応混合物を水(20mL)およびジクロロメタン(10mL)で希釈する。水性層をジクロロメタン(10mL)で抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、リン酸4−[2−(4−アセチル−フェニル)−エチル]−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルジ−tert−ブチルエステルを油状物として得る;MS:(ES):454.2(M+1)
【0103】
ステップC:リン酸モノ−(2−アミノ−4−{4−[1−(ビフェニル−4−イルメトキシイミノ)−エチル]−フェニル}−2−ヒドロキシメチル−ブチル)エステル
リン酸4−[2−(4−アセチル−フェニル)−エチル]−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルジ−tert−ブチルエステル(0.2mmol)の5%水性HCl(1mL)およびTHF(2mL)溶液を、還流温度で2時間加熱する。濃縮後、メタノール(2mL)を該残渣に添加し、続いて、O−(4−フェニル)ベンジルオキシルアミン(0.3mmol)を添加する。次いで、該溶液をNaCOによりpH6まで中和する。得られた混合物を次いで室温で12時間攪拌する。濃縮後、残渣を分取LCMSにより精製して、リン酸モノ−(2−アミノ−4−{4−[1−(ビフェニル−4−イルメトキシイミノ)−エチル]−フェニル}−2−ヒドロキシメチル−ブチル)エステルを白色固体として得る;MS:(ES):499.2(M+1)
【0104】
上記実施例に記載の方法を繰り返して、適当な出発物質を使用し、下記の式Iの化合物が、表1に同定されるように得られる。
【0105】
【表1】

【表2】

【表3】

【0106】
実施例3
式Iの化合物は生理学的活性を示す
A. インビトロ:ヒトEDG/S1Pレセプターを発現するCHO細胞からの膜調節物に対するGTP[γ−35S]結合を測定するためのシンチレーション近接アッセイ(SPA)
EDG−1(S1P1)GTP[γ−35S]結合アッセイ:膜タンパク質懸濁液を、ヒトEDG−1 N−末端c−myc標識を安定に発現するCHO細胞クローンから調製する。10mMから0.01nMの範囲の試験化合物の溶液をDMSO/50mM HCl中に調製し、アッセイ緩衝液(20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、0.1%無脂肪BSA)で希釈する。10mM GDPを含むアッセイ緩衝液を小麦麦芽アグルチニン−被覆SPA−ビーズ(1mg/ウェル)と混合し、続いて、ヒトEDG−1膜タンパク質懸濁液(10μg/ウェル)および試験化合物を添加する。ビーズ/膜/化合物アッセイ成分を次いで10−15分、シェーカーで室温で攪拌する。GTP[γ−35S](200pM)およびビーズ/膜/化合物アッセイ混合物を96ウェルOptiplateTM(最終容量225μl/ウェル)の個々のウェルに添加し、密閉し、室温で110から120分、一定に振盪しながらインキュベートする。遠心分離(2000rpm、10分)後、発光をTopCountTM装置で測定する。
【0107】
EC50値を、GTP[γ−35S]結合曲線(生データ)を、ORIGIN V. 6.1の用量応答曲線適合ツールで適合させることにより得る。基底結合(化合物なし)およびアゴニストにより達成された最高のGTP[γ−35S]結合刺激を、適合範囲として使用する。7つの異なる濃度を使用して用量応答曲線を作成する(1濃度あたり2個または3個のデータ点を使用)。
【0108】
EDG−3、−5、−6および−8 GTP[γ−35S]結合アッセイを、EDG−1 GTP[[γ−35S]結合アッセイと同様の方法で、CHOからの膜、またはEDG−8の場合c−末端c−myc標識または非標識レセプターを安定に発現する細胞由来のRH7777膜を使用して行う。EDGレセプターを発現する膜の濃度範囲は13−19μg/ウェルの範囲である。本発明の化合物を上記アッセイにしたがい試験し、EDG−1レセプターへの選択性が示された(表2)。例えば、リン酸モノ−(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−{4−[1−(4−チオフェン−2−イル−ベンジルオキシ−イミノ)−エチル]−フェニル}−ブチル)エステル(化合物10および表2)は、上記アッセイで1.15nMのEC50を有し、EDG−3、EDG−5、EDG−6およびEDG−8と比較して、EDG−1に少なくとも1000倍選択的である。
【0109】
【表4】

【0110】
B. インビトロ:FLIPRカルシウム流入アッセイ
本発明の化合物を、EDG−1、EDG−3、EDG−5、およびEDG−6におけるアゴニスト活性に関して、FLIPRカルシウム流入アッセイで試験する。簡単には、EDGレセプターを発現するCHO細胞を5%FBS添加F−12K培地(ATCC)に、500μg/mlのG418と共に維持する。アッセイに先立ち、細胞を384黒色透明底プレートに、1%FBS添加F−12K培地中10,000細胞/ウェル/25μlの濃度でまく。2日目に、細胞を3回(各25μl)洗浄緩衝液で洗浄する。約25μlの色素を各ウェルに添加し、1時間、37℃および5%COでインキュベートする。次いで、該細胞を4回洗浄緩衝液(各25μl)で洗浄する。カルシウム流入を、25μlのSEQ2871溶液を細胞の各ウェルに添加後に測定する。同じアッセイを、異なるEDGレセプターを発現する細胞で行う。FLIPRカルシウム流入アッセイにおける力価を3分間隔にわたり記録し、EDG−1活性化に対して最高ピーク高反応の割合として定量する。
【0111】
C. インビボ:血液リンパ球枯渇の測定のためのスクリーニングアッセイおよび心臓への影響の評価
循環リンパ球の測定:化合物をDMSOに溶解し、脱イオン水で希釈する。マウス(C57bl/6雄、6−10週齢)に20μgの化合物(200μl水、4%DMSOに希釈)を、イソフルラン麻酔下腹腔内(IP)注射により投与する。水(200μl)、4%DMSO、およびFTY720(10μg)を各々陽性および陰性コントロールとして包含させる。
【0112】
投与18時間後、イソフルラン麻酔下に血液を眼窩後洞(retro-orbital sinus)から採る。全血液サンプルを血液分析に付す。末梢リンパ球計数を、自動分析器を使用して行う。末梢血リンパ球の下位集団を蛍光色素−結合特異的抗体により染色し、蛍光活性化細胞選別装置(Facscalibur)を使用して分析する。2匹のマウスを、スクリーニングする各化合物のリンパ球枯渇活性の評価に使用する。結果はED50であり、それは、50%の血球リンパ球枯渇に必要な有効量と定義する。本発明の化合物を上記アッセイで試験し、好ましくは1mg/kg未満のED50、より好ましくは0.5mg/kg未満のED50を示すことが判明した。例えば、化合物9は0.08mg/kgのED50を示す。
【0113】
心臓への影響の評価:化合物の心機能への影響を、AnonyMOUSE ECGスクリーニング・システムを使用してモニターする。心電図を有意識マウス(C57bl/6雄、6−10週齢)で、化合物の投与前および後に記録する。次いでECGシグナルをe-MOUSEソフトウエアを使用して加工し、分析する。90μgの化合物をさらに200μl 水、15%DMSOで希釈し、IPで注射する。4匹のマウスを各化合物の心臓に対する影響の評価に使用する。
【0114】
D:インビボ:抗血管形成活性
(i)スフィンゴシン−1−ホスフェート(5μM/チャンバー)または(ii)ヒトVEGF(1μg/チャンバー)の0.5mlの0.8%w/v寒天(ヘパリン、20U/ml含有)溶液を含む多孔性チャンバーを、マウスの脇腹に皮下にインプラントする。S1PまたはVEGFはチャンバーの周辺の血管新生組織の増殖を誘発する。この応答は用量依存的であり、組織の重量および血液含量の測定により定量できる。マウスを、式Iの化合物の経口または静脈内で1日1回処置し、チャンバーのインプラントの4−6時間前に開始し、4日環継続する。動物を最後の投与の24時間後に血管新生組織の測定のために殺す。チャンバーの周りの血管新生組織の重量および血液含量を決定する。式Iの化合物で処置した動物は、媒体単独で処置した動物と比較して、血管新生組織の重量および/または血液含量の減少を示す。式Iの化合物は、約0.3から約3mg/kgの投与量で投与したとき、抗血管形成である。
【0115】
E:インビトロ:抗腫瘍活性
元々乳癌腫から単離したマウス乳癌細胞系、例えばJygMC(A)を使用する。細胞数を、工程の前に新鮮培地にまくために5×10に調節する。細胞を、FCSなしの2.5mMのチミジンを含有する新鮮培地と共に12時間インキュベートし、次いで2回PBSで洗浄し、次いで10%FCSを添加し、さらに12時間インキュベートする。その後、細胞をFCSなしの2.5mMのチミジン含有新鮮培地で12時間インキュベートする。細胞をこのブロックから放出させるために、細胞を2回PBSで洗浄し、新鮮10%FCS含有培地で繰り返す。同期化後、細胞を種々の濃度の式Iの化合物有りまたはなしで3、6、9、12、18または24時間インキュベートする。細胞を0.2%EDTAで処理後回収し、氷冷70%エタノール溶液で固定し、250□g/mlのRNaseA(タイプ1−A:Sigma Chem. Co.)で37℃で30分加水分解し、ヨウ化プロピジウム10mg/mlで20分染色する。インキュベーション期間の後、細胞の数をCoulterカウンターで細胞を計数することによりおよびSRB比色分析アッセイの両方で決定する。これらの条件下で式Iの化合物は腫瘍細胞の増殖を10−12から10−6Mの範囲の濃度で阻害する。
【0116】
本明細書に記載の実施例および態様は、説明の目的のためだけであり、それに照らして種々の修飾が当業者には示唆され、本出願の精神および理解ならびに添付の特許請求の範囲内にあることは理解されるべきである。本明細書に記載のすべての刊行物、特許および特許出願は出典明示によりすべての目的のために本明細書に包含させる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
Yは−CHCH−、−CHCH(OH)−、−CH(OH)CH−、−C(O)CH−、−CHC(O)−、−CH=CH−または1,2−シクロプロピレンであり;
Xは所望により、ハロ、C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−6アルキルからなる群から選択される1個から3個の置換基で置換されているアリーレンまたはC5−6ヘテロアリーレンであり;
は式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化2】

(式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;mは0、1または2であり;
はC1−10アルキル、シクロアルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルキルチオ、C1−10アルキルスルホニル、C1−10アルキルスルフィニルまたはハロ−置換−C1−10アルキルであり;これらのいずれの場合も該基の任意の脂肪族部分は直鎖または分枝鎖であってよく、かつ、所望により3個までのヒドロキシ、シクロアルキルまたはC1−4アルコキシ基で置換されてよく、かつ、所望により2重もしくは3重結合または1個以上のC(O)、NR12、S、S(O)、S(O)もしくはO基により中断されており、
は、所望により、アリール、C5−6ヘテロアリールまたはC3−8ヘテロシクロアルキルで置換されているアリールまたはC5−6ヘテロアリールであり、ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は、所望により、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個までの置換基で置換されていてよい)
の基であり;
は水素;所望により1個以上のハロゲンで置換されているC1−4アルキル;所望によりハロゲンで置換されているC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはシクロアルキル;または所望により末端C原子上をOHで置換されているC1−4アルキルまたは式(g):
【化3】

(式中、
ZはO、S、(CH)1−2、CFまたはNR11であり、R11はH、(C1−4)アルキルまたはハロ置換(C1−4)アルキルであり;そしてRおよびR10は、独立して、H、OH、(C1−4)アルキル(所望により1個から3個のハロ基で置換されている)、または(C1−4)アルコキシである。
ただし、RおよびR10は両方とも水素ではない)
の基であり;
およびRは、独立して、HまたはC1−4アルキル(所望によりハロゲンまたはアシルで置換されている)であり;そしてRは−OH、−Oアシル、−NHアシル、または上記で定義の式(g)の基である。〕
の化合物またはその塩。
【請求項2】
Yが−CH−CH−または−CH(OH)−CH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xがチオフェニレンまたはフェニレンである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が式(a)の基であり;RがC1−6アルキルであり、Rが所望によりチオフェニル、フラニル、ピリジニル、フェニルまたはシクロヘキシルで置換されているチオフェニル、フラニル、ピリジニルまたはフェニルであり、ここで、Rの任意のチオフェニル、フラニル、ピリジニル、フェニルまたはシクロヘキシルは所望によりハロゲン、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個の置換基で置換されていてよい、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
治療的有効量の請求項1記載の化合物を、薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項6】
動物に治療的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、動物における、EDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達の改変により、該疾患の病状および/または総体的症状を予防、阻害または軽減できるものである疾患の処置法。
【請求項7】
対象におけるリンパ球により介在される障害または疾患を予防または処置する、急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫疾患を予防または処置する、制御されていない血管形成を阻害または調節する、または新血管形成工程により介在されるまたは制御されていない血管形成が関連する疾患を予防または処置する方法であり、それらを必要とする対象に、請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項8】
動物におけるEDG/S1Pレセプター介在シグナル伝達が該疾患の病状および/または総体的症状に関連しているものである疾患の処置用薬剤の製造における、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項9】
式I:
【化4】

〔式中、
Yは−CHCH−、−CHCH(OH)−、−CH(OH)CH−、−C(O)CH−、−CHC(O)−、−CH=CH−;または1,2−シクロプロピレンであり;
Xは所望により、ハロ、C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−6アルキルからなる群から選択される1個から3個の置換基で置換されているアリーレンまたはC5−6ヘテロアリーレンであり;
は式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化5】

(式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;mは0、1または2であり;
はC1−10アルキル、シクロアルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルキルチオ、C1−10アルキルスルホニル、C1−10アルキルスルフィニルまたはハロ−置換−C1−10アルキルであり;これらのいずれの場合も該基の任意の脂肪族部分は直鎖または分枝鎖であってよく、かつ、所望により3個までのヒドロキシ、シクロアルキルまたはC1−4アルコキシ基で置換されてよく、かつ、所望により2重もしくは3重結合または1個以上のC(O)、NR12、S、S(O)、S(O)もしくはO基により中断されており、
は、所望により、アリール、C5−6ヘテロアリールまたはC3−8ヘテロシクロアルキルで置換されているアリールまたはC5−6ヘテロアリールであり、ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は、所望により、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシからなる群から選択される1個から3個までの置換基で置換されていてよい)
の基であり;
は水素;所望により1個以上のハロゲンで置換されているC1−4アルキル;所望によりハロゲンで置換されているC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはシクロアルキル;または所望により末端C原子上をOHで置換されているC1−4アルキルまたは式(g):
【化6】

(式中、
ZはO、S、(CH)1−2、CFまたはNR11であり、R11はH、(C1−4)アルキルまたはハロ置換(C1−4)アルキルであり;そしてRおよびR10は、独立して、H、OH、(C1−4)アルキル(所望により1個から3個のハロ基で置換されている)、または(C1−4)アルコキシである。
ただし、RおよびR10は両方とも水素ではない)
の基であり;
およびRは、独立して、HまたはC1−4アルキル(所望によりハロゲンまたはアシルで置換されている);そしてRは−OH、−Oアシル、−NHアシル、または上記で定義の式(g)の基である。〕
の化合物の製造法であり:
(a)式(2)の化合物と式(3)の化合物を反応させ:
【化7】

(式中、n、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記式Iに関して定義の通りである);または
(b)式4の化合物に存在する加水分解性基を除去し:
【化8】

(式中、R、R2'、R、R4'、R5'、XおよびYは、上記式Iに関して定義の通りである);または
(c)所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換し;
(d)所望により本発明の塩形を非塩形に変換し;
(e)所望により本発明の化合物の非酸化形を薬学的に許容されるN−オキシドに変換し;
(f)所望により本発明の化合物のN−オキシド形をその非酸化形に変換し;
(g)所望により本発明の化合物の個々の異性体を、異性体の混合物から分離し;
(h)所望により本発明の化合物の非誘導体化形を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換し;そして
(i)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を非誘導体化形に変換する
ことを含む、方法。

【公表番号】特表2006−517591(P2006−517591A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503494(P2006−503494)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/004006
【国際公開番号】WO2004/071442
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】