説明

方向呈示装置

【課題】音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる方向呈示装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載され、車両の車内又は車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音手段401と、電気信号に応じて車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段403と、車両を車両の位置情報と所定の目的地の情報とに基づいて目的地まで経路誘導する経路案内装置から受信した、所定の領域に進入した際に車両が進むべき方向を示す進路指示信号に基づいて、音出力手段の左側と右側との間で、車両の長手方向中心軸に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって出力すべき音に時間差をつけるように、音出力手段を制御する時間差発生手段402とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行する車両を安全に誘導させるための方向呈示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行する車両を適切に誘導するための技術(カーナビゲーション技術)が存在している。この技術は、主に車両を案内するために表示手段(液晶画面など)に地図を表示させ、その地図上に自車両を表示させ、自車両が主要なポイント(交差点など)に近づく場合などには音声などで案内をし、自車両を目的地まで誘導するものである。そのような技術を更に発展させたものとして、運転席の左右から経路案内情報を音声で呈示する際に左右の音の大きさを変えることによって、経路案内方向の感覚を補助的に与える技術がある(下記の特許文献1、2を参照)。また、その他に、カーブを始めた際のステアリング角度変化に同期させて音像を左右に移動させる技術もある(下記の特許文献3を参照)。
【0003】
また、車両を駐車する際に周辺物体をセンサで捕らえて自車両の位置と周辺物体との位置関係を鳥瞰画像により呈示する技術がある(下記の非特許文献1を参照)。また、走行する車両が車線を逸脱して走行を始めた場合に音で警告する技術(下記の非特許文献2、3を参照)や自動的に逸脱の防止を支援する技術(下記の非特許文献4を参照)がある。
【特許文献1】特開平10−206180号公報(要約)
【特許文献2】特開2001−289660号公報(要約)
【特許文献3】特開平7−57190号公報(要約)
【非特許文献1】http://www.denso.co.jp/motorshow/2003/ja/presskit/product_topview/
【非特許文献2】http://www.daimlerchrysler.co.jp/innovation/demo/index_j.html
【非特許文献3】http://hotwired.goo.ne.jp/news/20030107307.html
【非特許文献4】http://response.jp/issue/2004/0603/article60910_l.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3の技術では、音声を発する際に交通音と干渉する場合があり、交通音が聞こえずに交通事故の要因となる可能性がある。また、音声情報が同乗者との会話を阻んでしまうことがある。また、運転者(ドライバー)は言語情報の内容把握をする必要があり注意を向けなければならない。また、非特許文献1の技術では、上から見た位置関係を認知的に運転操作と結びつけることが難しく、運転操作を誤る可能性がある。また、非特許文献2〜4の技術では、警告音と交通音が干渉して交通音が聞こえずに交通事故の要因となる可能性がある。また、警告音が運転者の驚愕反応を引き起こし事故につながるおそれがある。また、運転支援技術はそれを過信した運転者を漫然とした運転状態に誘導してしまう危険がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる方向呈示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、前記車両を前記車両の位置情報と所定の目的地の情報とに基づいて前記目的地まで経路誘導する経路案内装置から受信した、所定の領域に進入した際に前記車両が進むべき方向を示す進路指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを備える方向呈示装置が提供される。この構成により、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる。
【0007】
また、本発明の方向呈示装置において、前記音情報提供手段が、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、様々な種類の装置における音情報提供を行うことができる。
【0008】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が前記車両の運転座席の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)を得ることができる。
【0009】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が、前記車両の運転座席に運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)をより明確に得ることができる。
【0010】
また、本発明の方向呈示装置において、前記時間差発生手段が、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、自車両と進むべき方向の分岐位置との相対的な距離変化を運転者に知らせることができる。
【0011】
また、本発明によれば、車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、前記車両の走行路に障害物が存在するか否かを判断し、存在する場合に前記障害物の存在する方向を判断する周辺物体検知装置から受信した、前記障害物が存在する方向を示す障害物方向指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して前記障害物が右側にある場合と左側にある場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを備える方向呈示装置が提供される。この構成により、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる。
【0012】
また、本発明の方向呈示装置において、前記音情報提供手段が、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、様々な種類の装置における音情報提供を行うことができる。
【0013】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が前記車両の運転座席の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)を得ることができる。
【0014】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が、前記車両の運転座席に運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)をより明確に得ることができる。
【0015】
また、本発明の方向呈示装置において、前記時間差発生手段が、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、自車両と障害物が存在する位置との相対的な距離変化を運転者に知らせることができる。
【0016】
また、本発明によれば、車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、前記車両が予定された走行路から逸脱しているか否かを判断し、逸脱している場合に逸脱している方向を判断する逸脱検知装置から受信した、前記車両が逸脱している方向を示す逸脱方向指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して右側に逸脱している場合と左側に逸脱している場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを備える方向呈示装置が提供される。この構成により、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる。
【0017】
また、本発明の方向呈示装置において、前記音情報提供手段が、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、様々な種類の装置における音情報提供を行うことができる。
【0018】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が前記車両の運転座席の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)を得ることができる。
【0019】
また、本発明の方向呈示装置において、対になった前記音出力手段が、前記車両の運転座席に運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右から伝わる音の時間差によって運転者が方向感覚(障害物感覚)をより明確に得ることができる。
【0020】
また、本発明の方向呈示装置において、前記時間差発生手段が、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、自車両と車線の位置との相対的な距離変化を運転者に知らせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方向呈示装置は、上記構成を有し、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置について図1から図9を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と経路案内装置の関係を示す図である。図2は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と周辺物体検知装置の関係を示す図である。図3は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と車線逸脱検知装置の関係を示す図である。図4は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例を示す構成図である。図5は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示す図である。図6は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。図7は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。図8は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。図9は本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について説明するための図である。
【0023】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と経路案内装置の関係について図1を用いて説明する。図1に示すように、経路案内システムとして方向呈示装置100と経路案内装置101は接続され、不図示の車両に搭載されており、経路案内装置101からの制御信号に基づいて方向呈示装置100は作動する。ここでの車両とは、四輪の車両に限られるものではなく、二輪や三輪の車両などであってもよい。以下では四輪車両(単に、車両と言う)について説明するが、二輪や三輪の車両であっても同様に考えられる。経路案内装置101は、自車位置取得装置102から自車(以下、自車両とも言う)の位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて自車を誘導するための処理を行う。ここで、経路案内装置101は、例えばカーナビゲーション装置に相当し、自車位置取得装置102は、例えばGPS(Global Positioning System)信号受信装置に相当する。
【0024】
また、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と周辺物体検知装置の関係について図2を用いて説明する。図2に示すように、周辺物体検知システムとして方向呈示装置100と周辺物体検知装置200は接続され、不図示の車両に搭載されており、周辺物体検知装置200からの制御信号に基づいて方向呈示装置100は作動する。ここでの車両とは、四輪の車両に限られるものではなく、二輪や三輪の車両などであってもよい。以下では四輪車両(単に、車両と言う)について説明するが、二輪や三輪の車両であっても同様に考えられる。周辺物体検知装置200は、自車(以下、自車両とも言う)が走行する走行路及びその周辺に物体(障害物)が存在するか否かを判断し、障害物が存在すると判断した場合にはその障害物が存在する方向を伝えるための処理を行う。
【0025】
また、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と車線逸脱検知装置の関係について図3を用いて説明する。図3に示すように、車線逸脱検知システムとして方向呈示装置100と車線逸脱検知装置300は接続され、不図示の車両に搭載されており、車線逸脱検知装置300からの制御信号に基づいて方向呈示装置100は作動する。ここでの車両とは、四輪の車両に限られるものではなく、二輪や三輪の車両などであってもよい。以下では四輪車両(単に、車両と言う)について説明するが、二輪や三輪の車両であっても同様に考えられる。車線逸脱検知装置300は、自車が走行する走行路(車線)から自車両が逸脱しているか否かを判断し、逸脱していると判断した場合には自車両が逸脱している方向を伝えるための処理を行う。
【0026】
なお、本発明の実施の形態について説明する前に本発明の前提について説明する。盲人が障害物を認知するために聴覚的特性の変化を使っていることが原理的に分かっている(「感性の科学」辻三郎 サイエンス社p88−93、「音の福祉工学」伊福部達 コロナ社p212−222を参照)。左右からの音に時間差をつけると左右からの音の時間差を直接音と反射音の位相干渉をとらえて障害物感覚が生じる(カラーレーションと呼ばれているディップ状のスペクトル)。このことから、左右の耳に位相差をつけた音を呈示することによって、擬似的に障害物感覚を左右どちらかに体感させることが可能になる。位相のずれ方向(左右どちらの音が早いか)により障害物感覚の左右方向を、位相差の大きさにより障害物までの距離を操作して呈示することができる。このような特性を利用することを前提として以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例について図4を用いて説明する。図4に示すように、方向呈示装置100は、集音部401、時間差発生部402、出力部403から構成されている。集音部401は周囲の音を集音し、電気信号に変換するものであり、例えば後述する図5の集音マイク505である。なお、時間差発生部402及び第2の実施の形態で後述する時間差発生部1002に提供される音の情報は、集音部401及び第2の実施の形態で後述する環境雑音生成部1001からのものに限られるものではなく、別の場所などであらかじめ録音した音を再生する音再生装置などからのものであってもよい。時間差発生部402は、例えば方向呈示装置100と上述した経路案内装置101とが接続されている場合、車両を車両の位置情報と所定の目的地の情報とに基づいて目的地まで経路誘導する経路案内装置101から受信した、所定の領域に進入した際に車両が進むべき方向を示す進路指示信号に基づいて、出力部403の左側と右側との間で、車両の長手方向中心軸に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって出力すべき音に時間差をつけるように、出力部403を制御するものである。ここで、所定の領域とは、例えば経路の変更を伴う(例えば、直進する自車両が右折する)交差点の中心位置から半径700メートルの円内の領域を言う。これにより、運転者は左右の音の時間差によって物体感覚(圧迫感)を受け、圧迫感を受ける方向によって左右のどちらを伝達したいのかを判断することができる。
【0028】
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示したものを図5に示す。図5には、自車両を運転する運転者のシート(座席)500、車内の音を集める集音マイク505(上述した集音部401に相当)、経路案内装置101から受信した進路指示信号に基づいて、自車両に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって出力すべき音に時間差をつけるように、出力部403を制御する時間差発生器506(上述した時間差発生部402に相当)、左音伝達ケーブル503及び右音伝達ケーブル504を介して、時間差発生器506から出力されたそれぞれの音を示す電気信号に基づいて音を出力する左スピーカ501及び右スピーカ502(上述した出力部403に相当)が示されている。運転者はシート500に着席して運転する際に、左スピーカ501と右スピーカ502から出力される音の時間差によって左右のどちらを伝達したいのか判断することができる。なお、ここでは、集音マイク505が1つの場合を示しているが、集音マイク505が2つあり、ステレオとして2つの音を集音するようにしてもよい。この場合、集音され、電気信号に変換された音に応じてそれぞれを時間差をつけて出力されることになる。
【0029】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フローについて図6を用いて説明する。図6に示すように、まず、経路案内装置101による経路誘導案内を開始する(ステップS601)。経路案内装置101は、自車位置取得装置102から自車両の位置情報を取得する(ステップS602)。ここで、方向呈示装置100は、既に時間差がつけられた時間差音が発生されているか否かを判断する(ステップS603)。方向呈示装置100によって時間差音が発生されていないと判断された場合には、経路案内装置101は、右左折地点からの判定距離を自車両の位置情報などにより設定する(ステップS604)。例えば、判定距離は右左折地点から自車両まで距離が700メートルという距離である。ただし、距離はこれに限られるものではなく、自車両の速度や自車両が居る場所などによって変えることも可能である。
【0030】
経路案内装置101は、右左折すべき地点からの自車両の位置が判定距離以内か否かを判断する(ステップS605)。判定距離以内であると判断された場合、経路案内装置101は右折か否かを判断する(ステップS606)。右折であると経路案内装置101によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の右側に障害物感覚が生じるように、左右の音に時間差をつける(ステップS607)。一方、ステップS606において、左折であると経路案内装置101によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の左側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS608)。なお、ここでは誘導すべき方向に障害物感覚を生じさせているが、誘導すべき方向とは逆側に障害物感覚を生じさせるようにしてもよい。また、ステップS605において、判定距離内に自車両がない場合には、経路案内装置101は経路案内が終了したか否かを判断し(ステップS614)、終了した場合には時間差音の出力を止め(ステップS615)、終了していない場合にはステップS602に戻る。
【0031】
また、ステップS603において、時間差音が発生していると判断された場合、経路案内装置101は、右左折の案内が完了したか否かを判断する(ステップS609)。右左折の案内が完了したと経路案内装置101によって判断された場合、方向呈示装置100は、時間差音の出力を止める(ステップS613)。一方、ステップS609において、右左折の案内が完了していないと経路案内装置101によって判断された場合、経路案内装置101が、右左折地点までの距離が変化したか否かを判断する(ステップS610)。変化した場合、方向呈示装置100は、時間差(遅延時間)が限界値か否かを判断する(ステップS611)。方向呈示装置100は、限界値でないと判断した場合、音の時間差(遅延時間)を更新する(ステップS612)。この更新には、遅延時間を増大させる場合も減少させる場合も考えられる。そして、ステップS614において、経路案内が終了したか否かを経路案内装置101は判断する。また、ステップS610において変化しないと判断された場合及びステップS611において方向呈示装置100が限界値であると判断した場合、ステップS614に進む。
【0032】
なお、ステップS609において、右左折が完了したか否かを判断するようにしており、右左折が完了するまで継続的に時間差音を発生させているが、右左折が完了するまで断続的に時間差音を発生させるようにしてもよい。例えば自車両から右左折地点までの距離が所定の距離(700メートル、300メートル、100メートル)を切ったときに時間差音を発生させる。すなわち、まず、700メートルを切った時点で時間差音を発生させ、ループされた後のステップS609の処理において、300メートルを切っていなかったら時間差音の発生を停止させ、次に、300メートルを切った時点で再度時間差音を発生させるといったように断続的に行うことも可能である。これにより、運転者に右左折時点が近づいていることをより的確に伝えることができる。
【0033】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フローについて図7を用いて説明する。図7に示すように、まず、周辺物体検知装置200による周辺状況の探索を開始する(ステップS701)。周辺物体検知装置200は、周辺物体(障害物)を検知する(ステップS702)。周辺物体検知装置200は、走行路に障害物が存在するか否かを判断する(ステップS703)。障害物が存在すると判断された場合、周辺物体検知装置200は新たな障害物が検知されたのか否かを判断する(ステップS704)。周辺物体検知装置200は、新たな障害物が検知されたと判断された場合、その新たな物体は複数あるのか否かを判断する(ステップS705)。複数あると判断された場合、周辺物体検知装置200は、それらの障害物が同じ方向に存在するか否かを判断する(ステップS706)。
【0034】
同じ方向に存在しないと判断された場合、周辺物体検知装置200は、危険度の高い障害物を判定する(ステップS707)。ここでの危険度の判定は、例えば自車両から障害物までの距離が近ければ近いほど危険度が高く、遠ければ遠いほど危険度は低くなるという判定である。判定の結果、周辺物体検知装置200は障害物が右側にあるか否かを判断する(ステップS708)。右側にあると周辺物体検知装置200によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の右側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS709)。一方、ステップS708において、左側にあると周辺物体検知装置200によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の左側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS710)。なお、ここでは障害物が存在する方向に障害物感覚を生じさせているが、障害物が存在する方向とは逆側に障害物感覚を生じさせるようにしてもよい。そして、周辺物体検知装置200は周辺物体の検知を終了するか否かを判断し(ステップS723)、終了している場合には時間差音の出力を止め(ステップS724)、終了しない場合にはステップS702に戻る。
【0035】
一方、ステップS705において障害物が複数ない、若しくはステップS706において障害物が同じ方向にあると判断された場合、ステップS708に進む。
【0036】
一方、ステップS704において、周辺物体検知装置200によって新たな障害物が検知されたと判断されない場合、周辺物体検知装置200は障害物が現在複数あるか否かを判断する(ステップS711)。障害物が複数あると判断された場合、周辺物体検知装置200はステップS707のような危険度の判定を行う(ステップS712)。周辺物体検知装置200は危険度の高い障害物が入れ替わっているか否かを判断する(ステップS713)。これは、時間の経過に伴い、以前の時間における危険度の高かった障害物と危険度のない若しくは低かった障害物とが入れ替わって危険度が変わっている場合を想定している。
【0037】
危険度の高い障害物が入れ替わっている場合、周辺物体検知装置200は危険度の高い障害物を判定する(ステップS715)。判定の結果、周辺物体検知装置200は障害物が右側にあるか否かを判断する(ステップS716)。右側にあると判断した場合には、方向呈示装置100は、運転者の右側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS717)。一方、ステップS716において、左側にあると周辺物体検知装置200によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の左側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS718)。なお、ここでは障害物が存在する方向に障害物感覚を生じさせているが、障害物が存在する方向とは逆側に障害物感覚を生じさせるようにしてもよい。
【0038】
そして、周辺物体検知装置200は、ステップS711において障害物が複数ない場合、ステップS713で危険度の高い障害物が入れ替わっていない場合、及びステップS717又はステップS718の後、障害物までの距離が変化したか否かを判断する(ステップS714)。変化した場合、周辺物体検知装置200は障害物が所定の安全な距離まで離れたか否かを判断する(ステップS719)。離れていないと周辺物体検知装置200によって判断された場合、方向呈示装置100は、時間差(遅延時間)が限界値か否かを判断する(ステップS720)。方向呈示装置100は、限界値でないと判断した場合、音の時間差(遅延時間)を更新する(ステップS722)。この更新には、遅延時間を増大させる場合も減少させる場合も考えられる。そして、ステップS723において、周辺物体の検知が終了したか否かを周辺物体検知装置200は判断する。
【0039】
一方、ステップS719において、所定の安全な距離まで離れたと判断された場合、方向呈示装置100は時間差音の出力を止める(ステップS721)。また、ステップS720において、遅延時間の値が限界値であると判断された場合、ステップS723に進む。
【0040】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローについて図8を用いて説明する。図8に示すように、まず、車線逸脱検知装置300による車線逸脱検知を開始する(ステップS801)。方向呈示装置100は、既に時間差がつけられた時間差音が発生されているか否かを判断する(ステップS802)。方向呈示装置100によって発生されていないと判断された場合には、車線逸脱検知装置300は、車線を逸脱しているか否かを判断する(ステップS803)。
【0041】
車線を逸脱していると判断された場合、車線逸脱検知装置300は右(右側)に逸脱しているかを判断する(ステップS804)。右に逸脱していると車線逸脱検知装置300によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の右側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS805)。一方、ステップS804において、左(左側)に逸脱していると車線逸脱検知装置300によって判断された場合には、方向呈示装置100は、運転者の左側に障害物感覚が生じるように左右の音に時間差をつける(ステップS806)。なお、ここでは逸脱している方向に障害物感覚を生じさせているが、逸脱している方向とは逆側に障害物感覚を生じさせるようにしてもよい。また、ステップS803において、車線を逸脱していないと判断された場合には、車線逸脱検知装置300は経路案内が終了したか否かを判断し(ステップS813)、終了した場合には時間差音の出力を止め(ステップS814)、終了していない場合にはステップS802に戻る。
【0042】
また、ステップS802において、時間差音が発生されていると判断された場合、車線逸脱検知装置300は、車線からの逸脱が修正されたか否かを判断する(ステップS807)。逸脱が修正されたと車線逸脱検知装置300によって判断された場合、方向呈示装置100は、時間差音の出力を止める(ステップS812)。一方、ステップS807において、逸脱が修正されていないと車線逸脱検知装置300によって判断された場合、車線逸脱検知装置300は、車線と自車両の距離が変化したか否かを判断する(ステップS808)。変化したと判断された場合、方向呈示装置100は、時間差(遅延時間)が限界値か否かを判断する(ステップS809)。方向呈示装置100が限界値でないと判断した場合、車線逸脱検知装置300は以前より大きく逸脱しているか否かを判断する(ステップS810)。大きく逸脱していると判断された場合、方向呈示装置100は音の時間差(遅延時間)を更新する(ステップS811)。この更新には、遅延時間を増大させる場合も減少させる場合も考えられる。一方、ステップS808において車線と自車両の距離が変化していないと判断された場合、ステップS809において時間差(遅延時間)が限界値であると判断された場合及びステップS810において以前より大きく逸脱していないと判断された場合には、ステップS813において、経路案内が終了したか否かを車線逸脱検知装置300は判断する。
【0043】
なお、ステップS807において、逸脱が修正されたか否かを判断するようにしており、逸脱が修正されるまで継続的に時間差音を発生させているが、逸脱が修正されるまで断続的に時間差音を発生させるようにしてもよい。例えば所定の距離(50メートルなど)を経過ごとに時間差音を発生させる。これにより、運転者に車線を逸脱していることをより的確に伝えることができる。
【0044】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について図9を用いて説明する。図9に示す例は、出力部403である左スピーカ501と右スピーカ502をドライバーの前面に配置した例である。ダッシュボードの上に配置された集音マイク505は車両の室内音を集め、電気信号に変換された音を時間差発生器506に送る。時間差発生器506は、例えば経路案内装置101から受信した進路指示信号に基づいて、上述したように、受けた音に時間差をつける。時間差をつけられたそれぞれの音は、左音伝達ケーブル503と右音伝達ケーブル504をそれぞれ通って左スピーカ501と右スピーカ502から出力される。出力された左右音の時間差によって運転者は左右のどちらかに障害物感覚を受ける。なお、この例では左右のスピーカ501、502から運転者の頭部までの距離が左右で異なるため、時間差発生器506ではその距離分を考慮(補正)して時間差を与えることになる。
【0045】
また、図9に示す例の方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フロー、図9に示す例の方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フロー、図9に示す例の方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローのぞれぞれは、時間差発生器506が左右で異なる距離分を補正して時間差をつけること以外は、上述した図6〜図8と基本的な動作フローは変わらないため動作フローについては説明を省略する。
【0046】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置について図10から図12を用いて説明する。図10は本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例を示す構成図である。図11は本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示す図である。図12は本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について説明するための図である。
【0047】
本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の関係については、第1の実施の形態の場合と同様に、経路案内装置101、周辺物体検知装置200、車線逸脱検知装置300と方向呈示装置1000は接続され、不図示の車両に搭載されており、経路案内装置101、周辺物体検知装置200、車線逸脱検知装置300からの制御信号に基づいて方向呈示装置1000は作動する。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例について図10を用いて説明する。図10に示すように、方向呈示装置1000は、環境雑音生成部1001、時間差発生部1002、出力部1003から構成されている。環境雑音生成部1001は、周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成するものであり、環境雑音としては例えばホワイトノイズやピンクノイズなどである。時間差発生部1002は、例えば方向呈示装置1000と上述した経路案内装置101とが接続されている場合、車両を車両の位置情報と所定の目的地の情報とに基づいて目的地まで経路誘導する経路案内装置101から受信した、所定の領域に進入した際に車両が進むべき方向を示す進路指示信号に基づいて、出力部1003の左側と右側との間で、車両の長手方向中心軸に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって出力すべき音に時間差をつけるように、出力部1003を制御するものである。ここで、所定の領域については第1の実施の形態で説明したものと同様であるため説明を省略する。これにより、運転者は左右の音の時間差によって物体感覚(圧迫感)を受け、圧迫感を受ける方向によって左右のどちらを伝達したいのかを判断することができる。
【0049】
ここで、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示したものを図11に示す。図11には、自車両を運転する運転者のシート(座席)1100、環境雑音を生成する模擬環境雑音生成器1105(上述した環境雑音生成部1001に相当)、経路案内装置101から受信した進路指示信号に基づいて、模擬環境雑音生成器1105によって生成された音に時間差をつける時間差発生器1106(上述した時間差発生部1002に相当)、左音伝達ケーブル1103及び右音伝達ケーブル1104を介して、時間差発生器1106から出力されたそれぞれの音を示す信号に基づいて音を出力する左スピーカ1101及び右スピーカ1102(上述した出力部1003に相当)が示されている。運転者はシート1100に着席して運転する際に、左スピーカ1101と右スピーカ1102から出力される音の時間差によって左右のどちらを伝達したいのか判断することができる。
【0050】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フロー、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フロー、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローのぞれぞれは、第1の実施の形態で説明した図6〜図8と基本的な動作フローは変わらず、時間差発生部1002が時間差をつける音が集音部401によって集音された音か環境雑音生成部1001によって生成された音かによる相違のみであるため、動作フローについては説明を省略する。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について図12を用いて説明する。図12に示す例は、出力部1003である左スピーカ1101と右スピーカ1102をドライバーの前面に配置した例である。模擬環境雑音生成器1105は擬似的に環境雑音を生成し、生成された電気信号としての音を時間差発生器1106に送る。時間差発生器1106は、例えば経路案内装置101から受信した進路指示信号に基づいて、上述したように、受けた音に時間差をつける。時間差をつけられたそれぞれの音は、左音伝達ケーブル1103と右音伝達ケーブル1104をそれぞれ通って左スピーカ1101と右スピーカ1102から出力される。出力された左右音の時間差によって運転者は左右のどちらかに障害物感覚を受ける。なお、この例では左右のスピーカから運転者の頭部までの距離が左右で異なるため、時間差発生器1106ではその距離分を考慮(補正)して時間差を与えることになる。
【0052】
また、図12に示す例の方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フロー、図12に示す例の方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フロー、図12に示す例の方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローのぞれぞれは、時間差発生器1106が左右で異なる距離分を補正して時間差をつけること以外は、上述した本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フロー、本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フローと基本的な動作フローは変わらないため動作フローについては説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る方向呈示装置は、音声を発する際に交通音との干渉による事故を防ぎ、会話を阻まず、言語的な注意を向けずに運転者に方向感覚を与えることができるため、走行する車両を安全に誘導するための方向呈示装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と経路案内装置の関係を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と周辺物体検知装置の関係を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置と車線逸脱検知装置の関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例を示す構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて経路案内を行う際の方向呈示装置と経路案内装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて周辺物体検知を行う際の方向呈示装置と周辺物体検知装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置を用いて車線逸脱検知を行う際の方向呈示装置と車線逸脱検知装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の構成の一例を示す構成図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の一部を具体的に示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る方向呈示装置の実装の一例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
100、1000 方向呈示装置
101 経路案内装置
102 自車位置取得装置
200 周辺物体検知装置
300 車線逸脱検知装置
401 集音部
402、1002 時間差発生部
403、1003 出力部
500、1100 シート
501、1101 左スピーカ
502、1102 右スピーカ
503、1103 左音伝達ケーブル
504、1104 右音伝達ケーブル
505 集音マイク
506、1106 時間差発生器
1001 環境雑音生成部
1105 模擬環境雑音生成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、
前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、
前記車両を前記車両の位置情報と所定の目的地の情報とに基づいて前記目的地まで経路誘導する経路案内装置から受信した、所定の領域に進入した際に前記車両が進むべき方向を示す進路指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して右側に進む場合と左側に進む場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを、
備える方向呈示装置。
【請求項2】
前記音情報提供手段は、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つである請求項1に記載の方向呈示装置。
【請求項3】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席の左右に設置される請求項1又は2に記載の方向呈示装置。
【請求項4】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席に前記運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置される請求項1から3のいずれか1つに記載の方向呈示装置。
【請求項5】
前記時間差発生手段は、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させる請求項1から4のいずれか1つに記載の方向呈示装置。
【請求項6】
車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、
前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、
前記車両の走行路に障害物が存在するか否かを判断し、存在する場合に前記障害物の存在する方向を判断する周辺物体検知装置から受信した、前記障害物が存在する方向を示す障害物方向指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して前記障害物が右側にある場合と左側にある場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを、
備える方向呈示装置。
【請求項7】
前記音情報提供手段は、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つである請求項6に記載の方向呈示装置。
【請求項8】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席の左右に設置される請求項6又は7に記載の方向呈示装置。
【請求項9】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席に運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置される請求項6から8のいずれか1つに記載の方向呈示装置。
【請求項10】
前記時間差発生手段は、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させる請求項6から9のいずれか1つに記載の方向呈示装置。
【請求項11】
車両に搭載され、電気信号として音を提供する音情報提供手段と、
前記電気信号に応じて前記車両の運転者の左右から音を出力する左側と右側の対になった音出力手段と、
前記車両が予定された走行路から逸脱しているか否かを判断し、逸脱している場合に逸脱している方向を判断する逸脱検知装置から受信した、前記車両が逸脱している方向を示す逸脱方向指示信号に基づいて、前記車両の前後方向中心軸に対して右側に逸脱している場合と左側に逸脱している場合とによって、前記音出力手段の左側と右側との間で出力すべき音に時間差をつけるように、前記音出力手段を制御する時間差発生手段とを、
備える方向呈示装置。
【請求項12】
前記音情報提供手段は、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を集音し、電気信号に変換する集音マイク、あらかじめ所定の記憶領域に格納された音を再生する音再生装置、前記車両の車内又は前記車両の周囲の音を環境雑音として擬似的に電気信号として生成する環境雑音生成装置のいずれか1つである請求項11に記載の方向呈示装置。
【請求項13】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席の左右に設置される請求項11又は12に記載の方向呈示装置。
【請求項14】
対になった前記音出力手段は、前記車両の運転座席に運転者が着席した際に前記運転者の顔横の左右に設置される請求項11から13のいずれか1つに記載の方向呈示装置。
【請求項15】
前記時間差発生手段は、前記車両が前記所定の領域を進むにつれて前記時間差を増大又は減少させる請求項11から14のいずれか1つに記載の方向呈示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−127459(P2007−127459A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318882(P2005−318882)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】