説明

日本語入力装置

【課題】表示を参照することなく直感的で高速な日本語入力が容易な車載用のナビゲーション装置の日本語入力装置を提供する。
【解決手段】ステアリングホイール40は、子音入力部21および母音入力部22を有している。子音入力部21から入力する子音と母音入力部22から入力する母音とを組み合わせることによって、日本語が入力される。ステアリングホイール40には、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25が設けられている。子音入力部21および母音入力部22で入力した生成文字は、確定入力部23で確定、小文字変換入力部24で拗音または促音に用いる小文字に変換され、消去入力部25で消去される。入力された子音若しくは母音、またはこれらの入力によって生成した生成文字の音は、車載スピーカから発せられる。そのため、子音入力部21および母音入力部22からの入力によって生成した生成文字の認識が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本語入力装置に関し、特に車載用のナビゲーション装置に日本語を入力するための日本語入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されているナビゲーション装置は、リモートコントローラ(リモコン)や表示パネルのタッチスイッチなどから例えば目的地や目的施設などが入力される。この場合、入力される目的地や目的施設は、日本語で入力される。そこで、特許文献1では、表示パネルなどの表示を参照することなく日本語の入力を可能としている。特許文献1では、日本語の五十音表をユーザにイメージさせ、イメージした五十音表においてカーソルを移動させることにより文字の選択を可能としている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の場合、ユーザは頭の中で五十音表の仮名配置をイメージする必要がある。また、特許文献1の場合、一つの文字を入力するためのスイッチ操作が複雑であり、一つの文字の入力に多回数のスイッチ操作を必要とする。さらに、特許文献1の場合、表示パネルを参照することなくカーソルを移動させるため、カーソルの現在位置を把握しにくい。これらの結果、直感的で高速な日本語入力が困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2002−48580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示を参照することなく直感的で高速な日本語入力が容易な車載用のナビゲーション装置の日本語入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、ステアリングホイールに子音入力手段および母音入力手段が設けられている。そのため、子音と母音との組み合わせによって日本語が入力される。また、ステアリングホイールには、確定入力手段、小文字変換入力手段および消去入力手段があわせて設けられている。そのため、子音入力手段および母音入力手段で入力した生成文字は、確定入力手段で確定、小文字変換入力手段で「ゃ」や「っ」などの小文字に変換され、消去入力手段で消去される。さらに、子音入力手段および母音入力手段からの入力によって生成した生成文字は、音声発生手段から発音される。そのため、生成した生成文字は、容易に確認される。したがって、表示を参照することなく直感的で高速に日本語を入力することができる。
【0006】
請求項2記載の発明では、子音入力手段および母音入力手段と、確定入力手段、小文字入力手段および消去入力手段とは、互いにステアリングホイールの反対側、すなわち運転者の右手側と左手側とに設けられている。したがって、ステアリングホイールから手を離すことなく日本語を入力することができる。
請求項3記載の発明では、子音入力手段および母音入力手段はダイアルスイッチである。そのため、ダイアルスイッチの回転によって複数の子音または複数の母音から所望の子音または母音が選択される。したがって、入力を所望する生成文字を直感的に入力することができる。
【0007】
請求項4記載の発明では、確定入力手段はダイアルスイッチである子音入力手段および母音入力手段と一体である。そのため、子音入力手段または母音入力手段を回転軸と平行または垂直な方向へ押し込むことにより、選択された子音または母音が確定される。したがって、所望の子音または母音を高速かつ直感的に入力することができる。
請求項5記載の発明では、子音入力手段および母音入力手段はステアリングホイールの内周壁に沿って設けられた複数のプッシュスイッチで構成されている。例えば母音に対応する五つのプッシュスイッチを設ける場合、この五つのプッシュスイッチの押し方の組み合わせによって各子音の入力も可能となる。したがって、入力を所望する生成文字を直感的に入力することができる。
【0008】
請求項6記載の発明では、音声発生手段から選択された子音または母音が音声として発せられる。例えば子音入力手段で「カ行」を選択したとき「か」や「クッ」、「サ行」を選択したとき「さ」や「スッ」などの子音に対応する行の音や子音の音が発せられる。したがって、入力を所望する生成文字を直感的に入力することができる。
請求項7記載の発明では、ナビゲーション装置で地点名を検索するとき、生成文字の組み合わせに基づく検索地点名が記憶手段に記憶された地図データに含まれていないとき、エラー音が発生する。これにより、入力した生成文字の組み合わせが妥当であるか否かが直感的に判断される。したがって、正確な生成文字の組み合わせを容易かつ直感的に入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の日本語入力装置の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による日本語入力装置を適用した車載ナビゲーション装置(以下、車載ナビゲーション装置を「車載装置」と称する。)を図2に示す。車載装置10は、図2に示すように制御部11、位置検出部12、地図データ入力部13、操作スイッチ部14、外部メモリ15、表示部16、音声コントローラ17、リモコンセンサ18、子音入力部21、母音入力部22、確定入力部23、小文字変換入力部24、消去入力部25、文字生成部26、検索部27および検索エラー警告部28を備えている。制御部11は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを主体して構成されている。車載装置10は、一体の日本語入力装置から日本語が入力される。すなわち、車載装置10は、日本語入力装置であり、ナビゲーション装置である。
【0010】
位置検出部12は、車載装置10を搭載した車両の現在位置を検出する。位置検出部12は、方位センサ31、ジャイロスコープ32、距離センサ33およびGPS受信器34を有している。方位センサ31は、車両の方位を検出する。ジャイロスコープ32は、車両の回転角度を検出する。距離センサ33は、車両の走行距離を検出する。GPS受信器34は、GPS(Global Positioning System)により車両の現在位置を測位するために、GPS衛星から送信される電波を受信する。
【0011】
地図データ入力部13は、地図データ記憶部35から地図データを取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、複数のノードおよびノード同士をつなぐリンクにより形成された道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種のデータを記憶している。この地図データには、地名や施設名などが地点名として含まれている。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、図示しないドライブ装置によって地図データ入力部13に読み取られる。地図データ記憶部35としては、例えばDVDやCDなどの大容量記憶媒体、メモリカードあるいはハードディスクドライブなどの記憶媒体が用いられる。地図データ記憶部35は、特許請求の範囲の記憶手段を構成している。
【0012】
操作スイッチ部14は、表示部16の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチ、および表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチなどから構成されている。ユーザは、操作スイッチ部14の各スイッチを用いて、車両の目的地、表示部16の画面や表示態様の切り替え(例えば、地図縮尺の変更、メニュー画面の選択、経路の探索、経路案内の開始、現在位置の修正および音量の調整など)を行う各種のコマンドの入力を行う。これにより、車載装置10は、ユーザの指示にしたがって作動する。リモコンセンサ18は、リモコン36との間でコマンドなどの送受信を行う。リモコン36には、複数の操作スイッチが設けられている。リモコン36の操作スイッチを操作することにより、リモコン36からリモコンセンサ18を経由して各種の指令信号が制御部11へ送信される。操作スイッチ部14およびリモコン36は、いずれの操作によっても制御部11へ同一の機能を実行させることができる。
【0013】
外部メモリ15は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードやハードディスクドライブなどによって構成されている。なお、外部メモリ15は、例えば車載装置10の制御部11に設けられているRAMやEEPROM、あるいは地図データ記憶部35などと共用してもよい。表示部16は、例えばカラー液晶ディスプレイを有している。表示部16の画面は、車両の現在位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、この地図表示に重ねて車両の現在位置および進行方向を示す現在地マークが表示される。また、目的地までの経路案内を実行するとき、表示部16の画面には経路案内用の画面が表示される。
【0014】
音声コントローラ17は、車載スピーカ37に接続している。音声コントローラ17は、制御部11からの音声出力信号に基づいて、音声出力信号を車載スピーカ37へ出力する。車載スピーカ37から出力される音声は、案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、音声認識結果に応じたトークバック音声、ならびに子音入力部21または母音入力部22から入力された子音または母音を示す音声などである。音声コントローラ17および車載スピーカ37は、特許請求の範囲の音声発生手段を構成している。
【0015】
制御部11は、車両が走行経路に沿って移動可能とするために、表示部16の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の位置および進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ねて表示する。この場合、車両の走行にともなって現在地の表示は、表示部16に表示された地図上を移動する。表示部16に表示された地図は、車両の位置に応じてスクロールされる。このとき、制御部11は、車両の現在位置を道路上にあわせるマップマッチングを実施する。
【0016】
子音入力部21および母音入力部22は、図1に示すようにいずれも車両のステアリングホイール40に設けられている。子音入力部21および母音入力部22は、ステアリングホイール40の接線と平行に設けられた回転軸41、42を中心にそれぞれ回転可能である。すなわち、子音入力部21および母音入力部22は、それぞれ回転軸41、42を中心に回転するダイアルスイッチである。また、子音入力部21および母音入力部22は、ステアリングホイール40の中心軸方向において図1の紙面後方へ押し込むことにより、回転軸41、42とともに移動可能である。子音入力部21および母音入力部は、車両の運転者がステアリングホイール40をつかむとき、運転者の左手に対応する位置に設けられている。すなわち、ステアリングホイール40を時計の文字盤に例えると、子音入力部21および母音入力部22は、九時から十一時までの範囲に設けられている。
【0017】
子音入力部21は、回転軸41を中心に回転させることにより、制御部11へ入力する子音が選択される。具体的には、子音入力部21を回転させることにより、入力される子音に対応するローマ字として「k(カ行)、s(サ行)、t(タ行)、n(ナ行)、h(ハ行)、m(マ行)、y(ヤ行)、r(ラ行)、w(ワ行)、g(ガ行)、z(ザ行)、d(ダ行)、b(バ行)、p(パ行)、無(子音なし:ア行)」が選択される。子音入力部21を一方に回転させると「k→s→t→n→・・・」と選択される子音が順に変更され、子音入力部21を他方に回転させると「無→p→b→d→・・・」と選択される子音が逆方向へ順に変更される。
【0018】
母音入力部22は、回転軸42を中心に回転させることにより、制御部11へ入力する母音が選択される。具体的には、母音入力部22を回転させることにより、入力される母音に対応するローマ字として「a(ア)、i(イ)、u(ウ)、e(エ)、o(オ)」が選択される。母音入力部22を一方に回転させると「a→i→u→e→o→a→・・・」と選択される母音が順に変更され、母音入力部22を他方に回転させると「o→e→u→i→a→o→・・・」と選択される母音が逆方向へ順に変更される。子音入力部21および母音入力部22は、例えば回転させることにより軽いクリック音を生じる。これにより、子音入力部21および母音入力部22を操作する車両の運転者は、選択された子音または母音が切り替えられたことを認識する。
【0019】
確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25は、子音入力部21および母音入力部22と同様に車両のステアリングホイール40に設けられている。確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25は、いずれもステアリングホイール40の中心軸に沿った方向すなわち図1の紙面の前後方向へ移動するプッシュスイッチである。確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25は、車両の運転者がステアリングホイール40をつかむとき、運転者の右手に対応する位置に設けられている。すなわち、ステアリングホイール40を時計の文字盤に例えると、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25は、いずれも一時から三時までの範囲に設けられている。
【0020】
確定入力部23は、押し込むことにより、子音入力部21または母音入力部22で選択された子音または母音が制御部11へ入力される。例えば子音入力部で「k」が選択され、母音入力部で「e」が選択されているとき確定入力部23を押し込むと、制御部11は子音として「k」が入力され母音として「e」が入力されたと判断する。文字生成部26は、子音入力部21から入力された子音、および母音入力部22から入力された母音に基づいて対応する文字、すなわち生成文字を生成する。上記の例のように子音として「k」および母音として「e」が確定したとき、文字生成部26は「け」を生成文字として生成する。これにより、制御部11は、文字生成部26から生成文字「け」が入力される。小文字変換入力部24は、押し込むことにより文字生成部26で生成された生成文字を小文字に変換する。小文字とは、例えば「ゃ、ゅ、ょ、っ」などのように拗音または促音に用いる文字である。そのため、子音として「y」および母音として「a」を選択して確定入力部23を押した後、小文字変換入力部24を押すと、文字生成部26は「ゃ」を生成文字として生成する。これにより、制御部11は、文字生成部26から生成文字「ゃ」が入力される。消去入力部25は、押し込むことにより文字生成部26で生成された生成文字を消去する。例えば誤って文字を入力した場合、消去入力部25を押すことにより、直前に確定して制御部11へ入力された文字が消去される。
【0021】
音声コントローラ17は、子音入力部21または母音入力部22で選択された子音または母音の音を発する。子音入力部21の回転にともない子音が選択されているとき、子音入力部21を押し込むと、音声コントローラ17は選択されている子音を示す音を車載スピーカ37から発する。具体的には、子音入力部21で子音として「k」が選択されたとき子音入力部21を押し込むと「クッ」、子音として「s」が選択されたとき子音入力部21を押し込むと「スッ」、子音として「t」が選択されたとき子音入力部21を押し込むと「トゥッ」などのように、音声コントローラ17は子音を示す音を車載スピーカ37から発する。また、音声コントローラ17は、同様に母音入力部22の回転にともない母音が選択されているとき、母音入力部22を押し込むと、選択されている母音を示す音を車載スピーカ37から発する。具体的には、母音入力部22で母音として「a」が選択されたとき母音入力部22を押し込むと「ア」、母音として「i」が選択されたとき母音入力部22を押し込むと「イ」などのように、音声コントローラ17は母音を示す音を車載スピーカ37から発する。さらに、音声コントローラ17は、選択された子音および母音について確定入力部23から確定が入力されたとき、確定した文字を示す音を車載スピーカ37から発する。例えば子音として「p」および母音として「u」が確定したとき、音声コントローラ17は車載スピーカ37ら「プ」の音を発する。これにより、車両の運転者は、選択した子音および母音、ならびに確定した文字を聴覚から認識することができる。
【0022】
検索部27は、操作スイッチ部14、リモコン36または子音入力部21および母音入力部22から入力された文字すなわち検索地点名に基づいて、地図データ記憶部35に記憶されている地点名を検索する。地図データ記憶部35は、上述のように地名や施設名などを地点名とするデータベースを含んでいる。検索部27は、入力された検索地点名に基づいて、データベースに含まれる地点名を検索する。検索エラー警告部28は、操作スイッチ部14、リモコン36または子音入力部21および母音入力部22から入力された検索地点名が地図データのデータベースに含まれていないとき、音声コントローラ17からエラー音を発生させる。これにより、検索エラー警告部28は、運転者に入力された検索地点名に誤りがあることを認識させる。
【0023】
次に、上記の構成による車載装置10による日本語の入力手順を図3に基づいて説明する。
運転者は、子音入力部21を回転させる(S101)。そして、運転者は、子音入力部21の回転により選択された子音を確認するか否かを判断する(S102)。すなわち、運転者は、子音入力部21で選択されている子音を確認するか否かを判断する。運転者は、子音の確認が不要であると判断すると、母音入力部22を回転させる(S103)。そして、運転者は、母音入力部22の回転により選択された母音を確認するか否かを判断する(S104)。運転者は、母音の確認が不要であると判断すると、確定入力部23を押す(S105)。音声コントローラ17は、確定入力部23から入力があると、確定した子音および母音から生成する生成文字の音を発する(S106)。すなわち、確定入力部23から入力があると、文字生成部26はステップS101で選択されている子音およびステップS103で選択されている母音から生成文字を生成する。そして、音声コントローラ17は、文字生成部26で生成された生成文字の音を車載スピーカ37から発する。運転者は、車載スピーカ37から発せられた生成文字の音が正しいか否かを判断する(S107)。すなわち、運転者は、車載スピーカ37から発せられた生成文字の音に基づいて、ステップS105で確定した生成文字が所望の文字であるか否かを判断する。そして、運転者は、車載スピーカ37から発せられた生成文字の音が正しいと判断したとき、確定入力部23を再度押し込む(S108)。これにより、ステップS105で確定した生成文字が制御部11へ入力される。
【0024】
運転者は、ステップS102において子音入力部21の回転により選択された子音を確認すると判断したとき、子音入力部21を押し込む(S109)。音声コントローラ17は、子音入力部21が押し込まれると、現在選択されている子音の音を車載スピーカ37から発する(S110)。運転者は、車載スピーカ37から発せられた子音の音が正しいか否かを判断する(S111)。運転者は、車載スピーカ37ら発せられた子音の音が正しいと判断すると、ステップS103に進み、母音入力部22の操作に移る。一方、運転者は、車載スピーカ37から発られた子音の音が正しくないと判断すると、ステップS101に戻り、再び子音入力部21を操作する。
【0025】
また、運転者は、ステップS104において母音入力部22の回転により選択された母音を確認すると判断したとき、母音入力部22を押し込む(S112)。音声コントローラ17は、母音入力部22が押し込まれると、現在選択されている母音の音を車載スピーカ37から発する(S113)。運転者は、車載スピーカ37から発せられた母音の音が正しいか否かを判断する(S114)。運転者は、車載スピーカ37から発せられた母音の音が正しいと判断すると、ステップS105へ進み、確定入力部23の操作に移る。一方、運転者は、車載スピーカ37から発せられた母音の音が正しくないと判断すると、ステップS103に戻り、再び母音入力部22を操作する。
【0026】
さらに、運転者は、ステップS107において車載スピーカ37から発せられた生成文字の音が正しくない、すなわち入力した文字が正しくないと判断したとき、消去入力部25から消去を入力する(S115)。これにより、ステップS103で入力された子音およびステップS104で入力された母音から生成された生成文字は消去される。そして、運転者は、再びステップS101から子音の入力を繰り返す。
【0027】
以上の手順により、制御部11には、日本語の文字が入力される。制御部11は、入力された作成文字の組み合わせを検索地点名として検索部27によって地点名を検索する。検索エラー警告部28は、検索地点名が地図データ記憶部35に記憶されている地図データに含まれていないとき、その旨を示すエラー音を車載スピーカ37から発生させる。また、制御部11は、入力された作成文字の組み合わせが完成する前であっても、その組み合わせから想起される検索地点名が地図データに含まれていないとき、検索エラー警告部28へエラー音を発すべく指示を行ってもよい。例えば、地図データに地点名として「アイウ○○」が含まれていないと仮定したとき、子音入力部21および母音入力部22の操作により生成文字として「ア」、「イ」が入力された後、「ウ」が入力されるとき、「アイウ」を含む生成文字の組み合わせからなる地点名が地図データに含まれていないとして、検索エラー警告部28は「ウ」が入力されたときにエラー音を発する。これにより、入力を行う運転者は、検索地点名として「アイウ」を確定させる前に「アイウ」が不適当であることを認識する。その結果、検索地点名の誤りを早期に認識することができ、不要な文字の入力を減少させることができる。
【0028】
以上説明したように、第1実施形態では、ステアリングホイール40に子音入力部21および母音入力部22が設けられている。そのため、子音と母音との組み合わせによって日本語が入力される。また、ステアリングホイール40には、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25があわせて設けられている。そのため、子音入力部21および母音入力部22で入力した生成文字は、確定入力部23で確定、小文字変換入力部24で小文字に変換され、消去入力部25で消去される。さらに、子音入力部21および母音入力部22からの入力によって生成した生成文字の音は、車載スピーカ37から発せられる。そのため、運転者は、子音入力部21および母音入力部22からの入力によって生成した生成文字の認識が容易である。したがって、表示部16における文字の表示を参照することなく直感的で高速に日本語を入力することができる。
【0029】
第1実施形態では、子音入力部21および母音入力部22と、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25とは、互いにステアリングホイール40の反対側、すなわち運転者の右手側と左手側とに設けられている。したがって、ステアリングホイール40から手を離すことなく安全に日本語を入力することができる。
【0030】
第1実施形態では、子音入力部21および母音入力部22はダイアルスイッチである。そのため、ダイアルスイッチの回転によって複数の子音または複数の母音から所望の子音または母音が選択される。したがって、入力を所望する生成文字を直感的に入力することができる。
第1実施形態では、地点名を検索するとき、生成文字の組み合わせに基づく検索地点名が地図データ記憶部35の地図データに含まれていないとき、検索エラー警告部28はエラー音を発する。これにより、入力した生成文字の組み合わせが妥当であるか否かが直感的に判断される。したがって、正確な生成文字の組み合わせを容易かつ直感的に入力することができる。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による車載装置のステアリングホイールを図4に示す。
第2実施形態では、図4に示すように子音入力部21および母音入力部22が五つの入力ボタン51、52、53、54、55によって構成されている。入力ボタン51、52、53、54、55は、いずれもステアリングホイール40の内周壁に沿って周方向へ複数配置されている。この場合、入力ボタン51、52、53、54、55は、ステアリングホイール40の左手下方、すなわち時計の文字盤に例えると六時から九時の間に設けられている。入力ボタン51、52、53、54、55は、ステアリングホイール40の軸方向へ押し込むことにより指示が入力されるプッシュスイッチである。
【0032】
第2実施形態の場合、五つの入力ボタン51、52、53、54、55は、それぞれ母音の「a、i、u、e、o」に対応している。そして、五つの入力ボタン51、52、53、54、55は、その入力の組み合わせによって子音「k、s、t、n、h、m、y、r、w、g、z、d、b、p」が入力可能である。例えば入力ボタン51と入力ボタン52とを同時に押すと「k」が入力され、入力ボタン51と入力ボタン53とを同時に押すと「s」が入力され、入力ボタン51と入力ボタン54とを同時に押すと「t」が入力されるように、複数の入力ボタン51、52、53、54、55を同時に操作することにより、いずれかの子音が入力される。
【0033】
このように、第2実施形態では、子音入力部21および母音入力部22を入力ボタン51、52、53、54、55によって構成してもよい。第2実施形態のように母音に対応する五つの入力ボタン51、52、53、54、55を設ける場合、この五つの入力ボタン51、52、53、54、55の押し方の組み合わせによって子音の入力も可能となる。したがって、入力を所望する生成文字を直感的に入力することができる。
なお、図4に示した入力ボタン51、52、53、54、55の配置は、説明の簡単のため簡略化している。しかし、入力ボタン51、52、53、54、55は、運転者の五本の指による操作が容易となるように人間工学的な観点に基づいて配置することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
以上説明した第1実施形態では、子音入力部21または母音入力部22を回転軸41または回転軸42を中心に回転可能な構成とするとともに、回転軸41および回転軸42ごとステアリングホイール40の軸方向へ移動可能な構成について説明した。第1実施形態では、子音入力部21または母音入力部22を回転軸41または回転軸42ごとにステアリングホイール40の軸方向へ押し込むことにより、選択されている子音または母音の音を車載スピーカ37から発している。しかし、子音入力部21または母音入力部22を回転軸41または回転軸42ごとに径方向内側へ移動させることにより子音または母音の音を発生したり、子音入力部21または母音入力部22をステアリングホイール40の軸方向または径方向へ押し込むことにより選択されている子音または母音を確定する構成としてもよい。例えば子音として「k」が選択されているとき、子音入力部21を回転軸41とともに径方向内側へ移動させることにより子音として「k」が確定し、母音として「e」が選択されているとき、母音入力部22を回転軸42とともに径方向内側へ移動させることにより母音として「e」が確定し、同時に生成文字として「ケ」が確定する構成としてもよい。この場合、確定入力部23が不要となり、より直感的な日本語の入力が可能となる。
【0035】
また、子音入力部21または母音入力部22は、回転軸41または回転軸42の軸方向へ移動可能な構成としてもよい。このように、子音入力部21または母音入力部22は、ステアリングホイール40の接線方向に設けられた回転軸41または回転軸42に対し、垂直または平行な方向へ移動することにより、確定や確認などの各種の機能を入力する構成としてもよい。例えば、子音入力部21または母音入力部22の回転は子音または母音の選択、子音入力部21または母音入力部22のステアリングホイール40の軸方向へへの移動は選択されている子音または母音の音の発生、子音入力部21または母音入力部22のステアリングホイール40の径方向内側への移動は選択された子音または母音の確定、子音入力部21または母音入力部22の時計回転方向(回転軸41、42の軸方向)への移動は選択された子音または母音の消去、子音入力部21または母音入力部22のステアリングホイール40の反時計回転方向(回転軸41、42の軸方向)への移動は生成した生成文字の小文字化などのように、二つの子音入力部21および母音入力部22への操作により、子音および母音の選択、確認、確定、消去および小文字化などの各操作が可能となる。したがって、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25などが不要となり、直感的かつ簡単な操作で日本語を入力することができる。
【0036】
第1実施形態では、子音入力部21、母音入力部22、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25をいずれもステアリングホイール40のホイール部分に設ける例について説明した。しかし、子音入力部21、母音入力部22、確定入力部23、小文字変換入力部24および消去入力部25は、一部または全部をホイール部分に限らず、ホイールの内周側のスポーク部分に設けてもよい。
【0037】
第1実施形態では、子音入力部21の回転軸41および母音入力部22の回転軸42をそれぞれステアリングホイール40の接線方向へ配置する例について説明した。しかし、回転軸41および回転軸42は、ステアリングホイール40の中心軸と平行に設けてもよい。また、第1実施形態では、子音入力部21および母音入力部22は、ステアリングホイール40の径方向へ隣り合って配置する例について説明したが、ステアリングホイール40の周方向へ隣り合って配置してもよい。
【0038】
さらに、第2実施形態では、五つの入力ボタン51、52、53、54、55を設ける例について説明したが、入力ボタンの数は上記の例に限らない。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態による日本語入力装置を適用した車載装置のステアリングホイールを示す模式図
【図2】本発明の第1実施形態による日本語入力装置を適用した車載装置を示すブロック図
【図3】本発明の第1実施形態による日本語入力装置による日本語の入力手順を示す概略図
【図4】本発明の第2実施形態による日本語入力装置を適用した車載装置のステアリングホイールを示す模式図
【符号の説明】
【0040】
図面中、10は車載装置(日本語入力装置、ナビゲーション装置)、17は音声コントローラ(音声発生手段)、21は子音入力部、22は母音入力部、23は確定入力部、24は小文字変換入力部、25は消去入力部、27は検索部、28は検索エラー警告部、35は地図データ記憶部(記憶部)、37は車載スピーカ(音声発生手段)、40はステアリングホイール、41、42は回転軸、51〜55は入力ボタン(子音入力手段、母音入力手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用のナビゲーション装置へ日本語を入力する日本語入力装置であって、
ステアリングホイールに設けられ、日本語の子音を入力する子音入力手段と、
前記ステアリングホイールに設けられ、日本語の母音を入力する母音入力手段と、
前記ステアリングホイールに設けられ、前記子音入力手段から入力された子音および前記母音入力手段から入力された母音から生成される生成文字の確定を入力する確定入力手段と、
前記ステアリングホイールに設けられ、前記生成文字を拗音または促音に用いる文字への変換を入力する小文字変換入力手段と、
前記ステアリングホイールに設けられ、前記生成文字の消去を入力する消去入力手段と、
前記生成文字の発音を発する音声発生手段と、
を備えることを特徴とする日本語入力装置。
【請求項2】
前記子音入力手段および前記母音入力手段は運転者の左手が前記ステアリングホイールをつかむ位置に配置され、前記確定入力手段、前記小文字変換入力手段および前記消去手段は前記運転者の右手が前記ステアリングホイールをつかむ位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の日本語入力装置。
【請求項3】
前記子音入力手段および前記母音入力手段は、前記ステアリングホイールの接線方向へ伸びる回転軸を中心に回転可能なダイアルスイッチであることを特徴とする請求項1または2記載の日本語入力装置。
【請求項4】
前記確定入力手段は、前記子音入力手段および前記母音入力手段と一体に設けられ、前記子音入力手段および前記母音入力手段を前記回転軸の軸方向または軸に垂直な方向へ押すことにより前記生成文字の確定が入力されることを特徴とする請求項3記載の日本語入力装置。
【請求項5】
前記子音入力手段および前記母音入力手段は、前記ステアリングホイールの内周壁に沿って周方向へ複数配置されているプッシュスイッチであることを特徴とする請求項1または2記載の日本語入力装置。
【請求項6】
前記音声発生手段は、前記子音入力手段で選択された子音に対応する子音音声、および前記母音入力手段で選択された母音に対応する母音音声を、それぞれ発生することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の日本語入力装置。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置に設けられ、地図データに含まれている地点名を記憶する記憶手段と、
前記ナビゲーション装置に設けられ、前記記憶手段に記憶されている地点名から、前記生成文字の組み合わせに基づく検索地点名を検索する検索手段と、
前記生成文字の組み合わせが前記記憶手段に記憶されている地点名に含まれていないとき、前記音声発生手段からエラー音を発生する検索エラー警告手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の日本語入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−270958(P2009−270958A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122194(P2008−122194)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】