説明

有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】陽極と正孔輸送層との間のエネルギー障壁の差を小さくした有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜を提供すること。
【解決手段】酸化インジウムと酸化亜鉛またはこれらと酸化錫を、それらの金属原子比において、In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00、Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20、Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなり、仕事関数が5.45〜5.55エレクトロンボルトである有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用の透明導電膜の素材として有用性の高い金属酸化物の焼結体と、その焼結体からなる透明導電膜のスパッタリング用ターゲットおよびこのターゲットを用いて成膜してなる透明導電膜を被覆した透明導電ガラスならびに透明導電フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として従来のCRTよりも低消費電力化されかつ薄型で軽量化された液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置、フィールドエミッションディスプレイなどが、事務機器や工場における制御システム用に開発されている。
【0003】
このような平面発光ディスブレイ、例えばエレクトロルミネッセンス表示装置においては有機化合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子の開発が著るしく進展している。この有機エレクトロルミネッセンス素子の構造としては、透明導電膜からなる陽極と陰極の間に、有機化合物層からなる発光層を形成してなる単層構造、あるいは陽極と陰極の間に、正孔輸送層と発光層の2層を形成した2層構造、さらには陽極と陰極の間に、正孔輸送層と発光層および電子輸送層を形成した3層構造などの素子構造を有するものがある。そして、このような有機エレクトロルミネッセンス素子は、いずれの素子構造を有する場合においても、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が、正孔輸送層あるいは電子輸送層を介して発光層に到達し、この発光層においてこれら正孔と電子が再結合することにより発光するのである。
【0004】
このように、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極から正孔輸送層を介して正孔が発光層に注入される際には、この陽極と正孔輸送層の間にエネルギー障壁ができるだけ少ないことが望ましい。このエネルギー障壁を少なくするためには、陽極材料の仕事関数と正孔輸送層に用いられている有機化合物の有するイオン化ポテンシャルの間の差を小さくすることが必要である。この正孔輸送層の形成に用いることの可能な正孔輸送物質としては、様々な有機化合物が提案されているが、それらの中でも芳香族アミン系の化合物、とくにトリフェニルアミン誘導体が優れた機能を有するものとして知られている。そして、このトリフェニルアミン誘導体であるトリフェニルアミンでは、そのイオン化ポテンシャルが5.5〜5.6エレクトロンボルトである。一方、透明導電膜としては、透明性がよくかつ電気抵抗が低いものとして、酸化インジウム−酸化錫(以下、ITOと略記する)がよく知られている。そして、このITOの仕事関数は4.6エレクトロンボルトである。したがって、このような一般的な材料からなる陽極と正孔輸送層との間においては、かなり大きいエネルギー障壁が存在することになる。
【0005】
このようなことから、例えば、特許文献1においては、陽極と陰極との間に有機化合物層を設けた有機薄膜発光素子における陽極として、ITOよりも仕事関数の大きい金属酸化物からなる薄膜を用いることを提案している。しかしながら、この金属酸化物の薄膜からなる陽極は、その光線透過率がたとえば酸化ルテニウムの場合には10%、酸化バナジウムの場合には20%である。また、このような低い光線透過率を改良するため、ITO膜の上に前記金属酸化物の300オングストローム以下の超薄膜を積層して2層構造とすることも提案されているが、この場合においても、光線透過率は40〜60%程度であり、表示装置の透明電極としては、透明性が十分であるとはいえないという難点を有している。
【特許文献1】特開平9−63771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み、有機エレクトロルミネッセンス素子などの表示装置用の透明電極として使用可能な高い透明性と、正孔輸送物質の有するイオン化ポテンシャルとの差の小なる仕事関数の値を有する焼結体と、その焼結体からなるターゲット、および該ターゲットを用いて成膜した透明導電ガラス、透明導電フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、酸化インジウムまたは酸化インジウムと酸化亜鉛および/または酸化錫を特定割合で含有し、かつ正4価以上の金属酸化物を特定割合で含有させた組成物の焼結体からなるターゲットを用いて形成した透明導電膜によれば、上記課題を解決することができることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
〔1〕酸化インジウムまたは酸化インジウムと酸化亜鉛および/または酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体。
〔2〕酸化インジウムと酸化亜鉛またはこれらと酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体。
〔3〕酸化インジウムと酸化亜鉛および酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.02〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の焼結体からなるスパッタリング用ターゲット。
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の焼結体からなるエレクトロンビーム用ターゲット。
〔6〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の焼結体からなるイオンプレーティング用ターゲット。
〔7〕ガラス表面に、酸化インジウムと酸化亜鉛、酸化錫をそれらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる透明導電膜を被覆してなる透明導電ガラス。
〔8〕光線透過率が75%以上、比抵抗が5mΩ・cm以下であり、かつ透明導電膜の仕事関数が5.45エレクトロンボルト以上である前記〔7〕記載の透明導電ガラス。
〔9〕透明樹脂フィルム表面に、酸化インジウムと酸化亜鉛、酸化錫をそれらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
Zn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる透明導電膜を被覆してなる透明導電フィルム。
〔10〕光線透過率が75%以上、比抵抗が5mΩ・cm以下であり、かつ透明導電膜の仕事関数が5.45エレクトロンボルト以上である前記〔9〕記載の透明導電フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の焼結体によれば、透明性が高く、導電性にも優れるとともに、仕事関数の高い透明導電膜を形成することができる。また、この透明導電膜を有する透明導電ガラスまたは透明導電フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子などの表示装置の電極に用いたとき、正孔の注入効率が高く、長期間安定した発光状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における透明導電膜形成用の焼結体は、酸化インジウムまたは酸化インジウムと酸化亜鉛および/または酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Zn)=0.00〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体である。
【0011】
そして、より好ましい焼結体は、酸化インジウムと酸化亜鉛またはこれらと酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体である。
【0012】
さらに、最も好ましい焼結体としては、酸化インジウムと酸化亜鉛および酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.02〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなる焼結体である。
【0013】
本発明の焼結体において、その基本的な構成成分である酸化インジウムと酸化錫および酸化亜鉛の組成は、上記のとおり、酸化インジウム単独であってもよく、また酸化インジウムと少量の酸化亜鉛の混合物、あるいは酸化インジウムと少量の酸化亜鉛および少量の酸化錫の混合物であってもよい。そして、これら各成分の含有割合については、酸化インジウムは、その原子比が0.80未満であると、得られる透明導電膜の表面抵抗が高くなる場合があり、耐熱性の低下を招くことがある。また、酸化亜鉛については、その原子比が0.05未満であると、得られる透明導電膜のエッチング性が充分でないことがある。この場合には、スパッタリング成膜時に水や水素を少量添加することによりエッチング性の向上を図ることができる。また、酸化亜鉛の含有割合が0.20を超えると、得られる透明導電膜の導電性が低下することがある。さらに、酸化錫については、その原子比が0.02未満であると、ターゲットの導電性が低下する場合があり、この値が0.20を超えると、得られる透明導電膜の表面抵抗が高くなることがあるからである。
【0014】
また、上記の酸化インジウムまたは酸化インジウムと酸化亜鉛錫よび/または酸化錫からなる基本的な成分に、酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を、組成物の全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率となるように含有させてある。これら金属酸化物の含有率が0.5原子%未満であると、得られる透明導電膜の仕事関数を充分に高めることができず、またこの含有率が10原子%を超えると、透明性の低下を招くことになる。これら金属酸化物の含有率のより好ましい範囲は、組成物の全金属原子に対して1〜7原子%、さらに好ましくは1〜5原子%である。
【0015】
このように、酸化インジウムなどの基本的成分に対して、酸化ルテニウムや酸化モリブデン、酸化バナジウムのいずれか1種あるいは2種以上の添加成分を配合した焼結体を用いて成膜された透明導電膜は、その仕事関数の向上効果が得られ、これら添加成分の含有割合を上記範囲としたとき、5.45エレクトロンボルト以上の値を有するようになる。この透明導電膜の仕事関数の値は、有機エレクトロルミネッセンス素子における発光物質や正孔輸送物質として用いる有機化合物のイオン化ポテンシャルの平均的な値である5.5〜5.6エレクトロンボルトとほぼ同じ水準である。したがって、この透明導電膜を有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極として用いた場合、この陽極から正孔輸送層あるいは発光層に正孔を注入する際のエネルギー障壁が小さくなり、高い正孔注入効率が得られ、これに伴って、有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧の低電圧化が可能となるほか、エネルギー障壁の存在に由来する発熱が抑制され、長期間の安定した発光が可能になるのである。
【0016】
つぎに、本発明の焼結体を製造する方法については、上記各金属酸化物の粉末を所定割合で混合し、これを混合粉砕機、例えば湿式ボールミルやビーズミル、超音波などにより、均一に混合・粉砕して、造粒した後、プレス成形により所望の形状に整形し、焼成により焼結すればよい。ここでの原料粉末の混合粉砕は、微細に粉砕するほどよいが、通常、平均粒径1μm以下となるように混合粉砕処理をしたものを使用すればよい。そして、この場合の焼成条件は、通常、1,200〜1,500℃、好ましくは1,250〜1,480℃において、10〜72時間、好ましくは24〜48時間焼成すればよい。また、この場合の昇温速度は、1〜50℃/分間とすればよい。
【0017】
そして、このように整形し焼結して得られたターゲットを用いて成膜する際に用いる透明基材としては、従来から用いられているガラス基板や、高い透明性を有する合成樹脂製のフィルム、シートが用いられる。このような合成樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂などが好適である。
【0018】
つぎに、上記ターゲットを用いて、透明導電膜を透明基材上にスパッタリング法により成膜するにあたっては、マグネトロンスパッタリング装置が好適に用いられる。そして、この装置を用いてスパッタリングにより成膜する際の条件としては、ターゲットの表面積や透明導電膜の膜厚によりプラズマの出力は変動するが、通常、このプラズマ出力を、ターゲットの表面積1cm2 あたり0.3〜4Wの範囲とし、成膜時間を5〜120分間とすることにより、所望の膜厚を有する透明導電膜が得られる。この透明導電膜の膜厚は、表示装置の種類によって異なるが、通常、200〜6,000オングストローム、好ましくは600〜2,000オングストロームである。
【0019】
また、前記焼結体からなるターゲットを用いて、エレクトロンビーム装置やイオンプレーティング装置により成膜する場合においても、上記と同様な成膜条件下において、透明導電膜の成膜を行うことができる。このようにして得られる本発明の透明導電ガラスや透明導電フィルムは、成膜に用いた焼結体と同一組成からなる金属酸化物の組成物からなる透明導電膜を有し、その透明導電膜の透明性については、波長500nmの光の光線透過率が75%を上回るものとなる。また、この透明導電膜の導電性についても、比抵抗において5mΩ・cm以下のものとなる。そして、上述のとおり、この透明導電膜の仕事関数は、従来から用いられてきたITO膜よりも高い5.45エレクトロンボルト以上の値を有している。
【0020】
したがって、本発明の透明導電ガラスや透明導電フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子をはじめとする各種の表示装置の透明電極として好適に用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
〔実施例1〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末に、酸化ルテニウムの粉末をその金属原子比が、
Ru/(In+Ru)=0.03
となるように混合して、湿式ボールミルに供給し、72時間にわたり混合粉砕した。ついで、得られた粉砕物を造粒してから、直径4インチ、厚さ5mmの寸法にプレス整形し、これを焼成炉に装入し1400℃において、36時間加圧焼成した。このようにして得られた焼結体は、その密度が6.8g/cm3 であり、またバルク電気抵抗は0.80mΩ・cmであった。これら測定結果を第1表に示す。
【0022】
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体より、直径4インチ、厚さ5mmのスパッタリング用ターゲットを作製し、これをDCマグネトロンスパッタリング装置に装着して、室温においてガラス基板上に製膜した。ここでのスパッタ条件としては、雰囲気はアルゴンガスに適量の酸素ガスを混入して用い、スパッタ圧力3×10-1Pa、到達圧力5×10-4Pa、基板温度25℃、投入電力100W、成膜時間14分間として行った。
【0023】
このようにして得られた透明導電ガラス上の透明導電膜は、その厚みが1,200オングストロームであり、非晶質であった。そして、この透明導電膜の光線透過率を分光光度計により波長500nmの光線について測定した結果、79%であった。また、4探針法により測定した透明導電膜の比抵抗は、0.84mΩ・cmであり、導電性の高いものであった。さらに、仕事関数を紫外光電子分光法により測定した結果、5.51エレクトロンボルトであった。これら透明導電膜の評価結果を第2表に示す。
【0024】
〔実施例2〕
(1)焼結体の製造
実施例1の(1)において原料として用いた酸化ルテニウムに代えて、酸化モリブデンをその原子比において、
Mo/(In+Mo)=0.07
となるように混合して用いた他は、実施例1の(1)と同様の操作をして焼結体を得た。ここで得られた焼結体の物性を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)で得られた焼結体を用いた他は、実施例1の(2)と同様にして、透明導電ガラスの製造をした。得られた透明導電ガラス上の透明導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0025】
〔実施例3〕
(1)焼結体の製造
実施例1の(1)において原料として用いた酸化ルテニウムに代えて、酸化バナジウムをその原子比において、
V/(In+V)=0.05
となるように混合して用いた他は、実施例1の(1)と同様の操作をして焼結体を得た。ここで得られた焼結体の物性を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)で得られた焼結体を用いた他は、実施例1の(2)と同様にして、透明導電ガラスの製造をした。得られた透明導電ガラス上の透明導電膜の物性の評価結果を第2表に示す。
【0026】
〔実施例4〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.83
Zn/(In+Zn)=0.17
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Zn+Ru)=0.020
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0027】
〔実施例5〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.85
Zn/(In+Zn)=0.15
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Zn+Mo)=0.020
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0028】
〔実施例6〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.85
Zn/(In+Zn)=0.15
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Zn+V)=0.020
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0029】
〔実施例7〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.93
Zn/(In+Zn)=0.07
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Zn+Ru)=0.015
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0030】
〔実施例8〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.90
Zn/(In+Zn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Zn+Mo)=0.050
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0031】
〔実施例9〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.90
Zn/(In+Zn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Zn+V)=0.070
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0032】
〔実施例10〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.80
Sn/(In+Sn)=0.20
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Sn+Ru)=0.030
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0033】
〔実施例11〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.80
Sn/(In+Sn)=0.20
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Sn+Mo)=0.070
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0034】
〔実施例12〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.80
Sn/(In+Sn)=0.20
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Sn+V)=0.050
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0035】
〔実施例13〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.90
Sn/(In+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Sn+Ru)=0.021
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0036】
〔実施例14〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.90
Sn/(In+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Sn+Mo)=0.020
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0037】
〔実施例15〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.90
Sn/(In+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Sn+V)=0.020
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0038】
〔実施例16〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80
Zn/(In+Zn+Sn)=0.10
Sn/(In+Zn+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Zn+Sn+Ru)=0.022
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0039】
〔実施例17〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80
Zn/(In+Zn+Sn)=0.10
Sn/(In+Zn+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Zn+Sn+Mo)=0.050
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0040】
〔実施例18〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80
Zn/(In+Zn+Sn)=0.10
Sn/(In+Zn+Sn)=0.10
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Zn+Sn+V)=0.050
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0041】
〔実施例19〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.90
Zn/(In+Zn+Sn)=0.07
Sn/(In+Zn+Sn)=0.03
となるように混合し、さらに、これに酸化ルテニウムを、それらの原子比で、
Ru/(In+Zn+Sn+Ru)=0.025
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0042】
〔実施例20〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.90
Zn/(In+Zn+Sn)=0.07
Sn/(In+Zn+Sn)=0.03
となるように混合し、さらに、これに酸化モリブデンを、それらの原子比で、
Mo/(In+Zn+Sn+Mo)=0.035
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0043】
〔実施例21〕
(1)焼結体の製造
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化亜鉛の粉末および酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.90
Zn/(In+Zn+Sn)=0.07
Sn/(In+Zn+Sn)=0.03
となるように混合し、さらに、これに酸化バナジウムを、それらの原子比で、
V/(In+Zn+Sn+V)=0.035
となるように混合したものを用いた他は、実施例1の(1)と同様にして、焼結体を製造した。ここで得られた焼結体の物性の測定結果を第1表に示す。
(2)透明導電ガラスの製造
上記(1)において得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性の測定結果を第2表に示す。
【0044】
〔実施例22〕
実施例4の(1)と同様にして得た焼結体をターゲットとし、実施例4の(2)におけるスパッタリング時に、ガラス基板の温度を215℃に加熱してスパッタリングした他は、実施例4と同様にして、透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性を、実施例1の(2)と同様にして評価した。これら評価結果を第2表に示す。
【0045】
〔実施例23〕
実施例10の(1)と同様にして得た焼結体をターゲットとし、実施例10の(2)におけるスパッタリング時に、ガラス基板の温度を215℃に加熱してスパッタリングした他は、実施例10と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性を、実施例1の(2)と同様にして評価した。これら評価結果を第2表に示す。
【0046】
〔実施例24〕
実施例10の(1)と同様にして得た焼結体をターゲットとし、実施例10の(2)におけるスパッタリング時に、水を2重量%添加してスパッタリングした他は、実施例10と同様にして透明導電ガラスを製造した。ここで得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜の物性を、実施例1の(2)と同様にして評価した。これら評価結果を第2表に示す。また、このようにして得られた透明導電ガラスを、215℃において、1時間アニールした後の透明導電膜の物性を測定したところ、アニールの前後における物性の変化は見られなかった。
【0047】
〔実施例25〕
実施例4の(1)と同様にして得た焼結体をターゲットとし、実施例4の(2)で透明基材として用いたガラス基板に代えて、厚さ0.1mmのポリカーボネート基板を透明基材として用いた他は、実施例4と同様にして、透明導電フィルムを製造した。ここで得られた透明導電フィルム上に形成された透明導電膜の物性を、実施例1の(2)と同様に測定した。それら結果を第2表に示す。
【0048】
〔比較例1〕
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Zn)=0.85
Zn/(In+Zn)=0.15
となるように混合した混合物を用い、添加成分である酸化ルテニウムなどは加えなかった他は、実施例1の(1)と同様の操作をして得られた焼結体を用いて、実施例1の(2)と同様にスパッタリングによる成膜をした。得られた透明導電ガラス上に形成された透明導電膜について評価した結果を、第2表に示す。
【0049】
〔比較例2〕
原料として、酸化インジウムの粉末と酸化錫の粉末とを、これらの金属原子比において、
In/(In+Sn)=0.90
Sn/(In+Sn)=0.10
となるように混合した混合物を用い、添加成分である酸化ルテニウムなどは加えずに、実施例1の(1)と同様にして焼結体を得た。ついで、スパッタリング時に、ガラス基板の温度を215℃に加熱してスパッタリングした他は、実施例1の(2)と同様の操作をして透明導電ガラスを得た。このようにして得られた透明導電ガラスの上に形成された透明導電膜について評価した結果を第2表に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の焼結体からなる透明導電膜のスパッタリング用ターゲットは、表示装置用の透明導電膜の成膜に用いられ、この透明導電膜を有する透明導電ガラスまたは透明導電フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子などの表示装置の透明電極として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化インジウムと酸化亜鉛またはこれらと酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.00〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなり、仕事関数が5.45〜5.55エレクトロンボルトである有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜。
【請求項2】
酸化インジウムと酸化亜鉛および酸化錫を、それらの金属原子比において、
In/(In+Zn+Sn)=0.80〜1.00
Zn/(In+Zn+Sn)=0.05〜0.20
Sn/(In+Zn+Sn)=0.02〜0.20
の割合で含有し、かつ全金属原子に対して0.5〜10原子%の含有率で酸化ルテニウム、酸化モリブデンおよび酸化バナジウムから選択される金属酸化物を含有する組成物からなり、仕事関数が5.45〜5.55エレクトロンボルトである有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜。
【請求項3】
ガラス表面に、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜を被覆してなる光線透過率が75%以上、比抵抗が5mΩ・cm以下である透明導電ガラス。
【請求項4】
透明樹脂フィルム表面に、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極用透明導電膜を被覆してなる光線透過率が75%以上、比抵抗が5mΩ・cm以下である透明導電フィルム。

【公開番号】特開2009−108413(P2009−108413A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293511(P2008−293511)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【分割の表示】特願平10−251200の分割
【原出願日】平成10年9月4日(1998.9.4)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】