説明

有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタの製造方法および表示装置

【課題】ソースおよびドレインと半導体層との間において良好なコンタクトを確保することが可能な有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】有機薄膜トランジスタは、有機材料よりなる半導体層上のソース電極およびドレイン電極に対向する第1および第2の領域のそれぞれに導電層を有し、この導電層が、還元反応によって導電性が変化する酸化物を含むものである。導電層が、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能すると共に、トップコンタクト構造では、製造プロセスにおいて半導体層上に、上記導電層を含むエッチングストッパ層を形成可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば有機半導体を用いた有機薄膜トラジスタ(TFT:Thin Film Transistor)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、TFTには、活性層としての半導体層に無機材料を用いたもの(無機TFT)、あるいは半導体層に有機材料を用いた有機TFTなど、様々な種類のものがあるが、これらのうち有機TFTは、フレキシブルな表示装置向けの駆動素子として開発が進められている。この有機TFTには、いわゆるボトムコンタクト構造のもの(例えば、非特許文献1参照)と、トップコンタクト構造のもの(例えば、非特許文献2参照)とがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】C.-C. Kuo,T.N Jackson,「Direct lithographic top contacts for pentacene organic thin-film transistors」,[online],APPLIED PHYSICS LETTERS 94,053304(2009)
【非特許文献2】Chen-Guan Lee,他3名,「Integration of reduced graphene oxide into organic field-effect transistors as conducting electrodes and as a metal modification layer」,[online],APPLIED PHYSICS LETTERS 95,023304(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような有機TFTでは、特にトップコンタクト構造の場合、ソース電極およびドレイン電極を形成する際に、半導体層上において導電膜をエッチングする必要があることから、半導体層がダメージを受け易い。このため、トランジスタ性能に悪影響が生じる、という問題がある。また、有機材料からなる半導体層とソース電極およびドレイン電極との間において、良好なコンタクト(電気的接続)を確保しにくい(良好なコンタクトを得るためには電極材料が限定され、その選択性が乏しい)、という問題がある。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、ソースおよびドレインと半導体層との間において良好なコンタクトを確保することが可能な有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタの製造方法および表示装置を提供することにある。また、本開示の第2の目的は、特にトップコンタクト構造の場合、製造プロセスにおける半導体層の損傷を軽減することが可能な有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタの製造方法および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の有機薄膜トランジスタは、有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極と、半導体層上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、半導体層上のソース電極およびドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域に、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層とを備えたものである。
【0007】
本開示の第1の有機薄膜トランジスタでは、半導体層上のソース電極およびドレイン電極に対向する第1および第2の領域のそれぞれに導電層を有し、この導電層が、還元反応によって導電性が変化する酸化物を含む。これにより、導電層が、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能する。また、特にトップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおいて半導体層上にエッチングストッパ層を形成可能となる。
【0008】
本開示の第2の有機薄膜トランジスタは、有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、半導体層とソース電極およびドレイン電極との間に設けられると共に、ソース電極およびドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域において導電性を示し、第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層とを備えたものである。
【0009】
本開示の第2の有機薄膜トランジスタでは、ソース電極およびドレイン電極に対向する第1および第2の領域において導電性を示し、それらの間の第3の領域では絶縁性を示す酸化物層が設けられている。これにより、酸化物層の第1および第2の領域に対応する部分が、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能する。また、特にトップコンタクト構造の場合に、製造プロセスにおいて、酸化物層を半導体層上におけるエッチングストッパ層として機能させることが可能となる。
【0010】
本開示の有機薄膜トランジスタの製造方法は、有機材料よりなる半導体層を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程と、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを少なくとも含み、ソース電極およびドレイン電極を形成予定の選択的な第1および第2の領域において導電性を示し、第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層を形成する工程を更に含むものである。
【0011】
本開示の有機薄膜トランジスタの製造方法では、ソース電極およびドレイン電極の形成予定領域である第1および第2の領域において導電性を示し、第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層を形成する工程を含む。酸化物層の第1および第2の領域に対応する部分を、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能させることができる。また、特にトップコンタクト構造を形成する場合に、酸化物層を半導体層上におけるエッチングストッパ層として機能させることが可能となる。
【0012】
本開示の第1の表示装置は、複数の画素を含む表示部と、前記表示部の駆動素子としての上記本開示の第1の有機薄膜トランジスタとを備えたものである。
【0013】
本開示の第2の表示装置は、複数の画素を含む表示部と、前記表示部の駆動素子としての上記本開示の第2の有機薄膜トランジスタとを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示の第1の有機薄膜トランジスタによれば、半導体層上のソース電極およびドレイン電極に対向する第1および第2の領域に、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層が設けられている。これにより、導電層を、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能させることができ、またトップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおいて半導体層上にエッチングストッパ層を形成可能となる。よって、ソースおよびドレインと半導体層との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。また、トップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおける半導体層の損傷を軽減することが可能となる。
【0015】
本開示の第2の有機薄膜トランジスタによれば、ソース電極およびドレイン電極に対向する第1および第2の領域において導電性を示し、それらの間の第3の領域では絶縁性を示す酸化物層が設けられている。これにより、酸化物層の一部を、半導体層とソース電極およびドレイン電極とのコンタクト層として機能させることができ、またトップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおいて、酸化物層を半導体層上におけるエッチングストッパ層として機能させることができる。よって、ソースおよびドレインと半導体層との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。また、トップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおける半導体層の損傷を軽減することが可能となる。
【0016】
本開示の有機薄膜トランジスタの製造方法によれば、ソース電極およびドレイン電極の形成予定領域である第1および第2の領域において導電性を示し、第1および第2の領域間の第3の領域では絶縁性を示す酸化物層を形成する工程を含む。これにより、酸化物層の一部をコンタクト層として機能させることができ、またトップコンタクト構造を形成する場合には、酸化物層を半導体層上におけるエッチングストッパ層として機能させることができる。よって、ソースおよびドレインと半導体層との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。また、特にトップコンタクト構造を形成する場合には、製造プロセスにおける半導体層の損傷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の一実施の形態に係る有機TFT(ボトムゲート/トップコンタクト)の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した有機TFTの製造方法を工程順に表す断面図である。
【図3】図2に続く工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】図4に続く工程を表す断面図である。
【図6】変形例1に係る有機TFTの概略構成を表す断面図である。
【図7】図6に示した有機TFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】変形例2に係る有機TFT(トップゲート/トップコンタクト)の概略構成を表す断面図である。
【図9】変形例3に係る有機TFT(ボトムゲート/ボトムコンタクト)の概略構成を表す断面図である。
【図10】変形例4に係る有機TFT(トップゲート/ボトムコンタクト)の概略構成を表す断面図である。
【図11】上記実施の形態等の有機TFTの適用例に係る表示装置の駆動回路構成を表す模式図である。
【図12】上記実施の形態等の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図13】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図14】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図15】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図16】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図17】適用例6の外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示における実施形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(半導体層上の一部で導電性、他の領域で絶縁性を示すグラファイト酸化物層を備えた有機TFT(ボトムゲート/トップコンタクト)の例)
2.変形例1(絶縁層を除去した場合の例)
3.変形例2(他の有機TFT(トップゲート/トップコンタクト)の例)
4.変形例3(他の有機TFT(ボトムゲート/ボトムコンタクト)の例)
5.変形例4(他の有機TFT(トップゲート/ボトムコンタクト)の例)
6.適用例(有機TFTを備えた表示装置および電子機器の例)
【0019】
<実施の形態>
[有機TFT1の構成]
図1は、本開示の一の実施の形態に係る有機TFT(有機TFT1)の概略構成を表したものである。有機TFT1は、例えばいわゆるボトムゲート,トップコンタクト構造を有する有機TFTである。この有機TFT1は、基板10上の選択的な領域にゲート電極11を有しており、このゲート電極11上には、ゲート絶縁膜12を挟んで有機半導体層13が設けられている。有機半導体層13は、ゲート絶縁膜12上において、ゲート電極11と対向する選択的な領域にパターン形成されている。この有機半導体層13に電気的に接続されるように、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bが配設されている。
【0020】
基板10は、例えばポリイミド(PI),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエーテルサルフォン(PES),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリカーボネート(PC)などのプラスチック基板からなる。但し、基板10は、少なくとも表面が絶縁性を有していればよく、ステンレス(SUS),アルミニウム(Al),銅(Cu)等の金属基板の表面に絶縁処理を施したものであってもよい。また、基板10としては、上記プラスチック基板や金属基板のようにフレキシブル性を発揮し得るものの他にも、ガラス基板等のリジット性を有するものが用いられていてもよい。
【0021】
ゲート電極11は、有機TFT1に印加されるゲート電圧(Vg)によって有機半導体層13中のキャリア密度を制御すると共に、電位を供給する配線としての機能を有するものである。ゲート電極11は、例えば金(Au),アルミニウム(Al),銀(Ag),銅,白金(Pt)およびニッケル(Ni)のうちの1種からなる単層膜、もしくはこれらのうちの2種以上からなる積層膜から構成されている。ゲート電極11として金を用いる場合には、クロム(Cr)よりなる下地層を形成することにより、基板10とゲート電極11との密着性を高めることができる。
【0022】
ゲート絶縁膜12は、例えばポリビニルフェノール(PVP),ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリビニルアルコール(PVA)などのうちの1種よりなる単層膜、またはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。ゲート絶縁膜12は、スピンコート法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の印刷法を用いて形成することができる。但し、ゲート絶縁膜12としては、このような有機絶縁膜の他にも、酸化シリコン(SiO2),窒素化シリコン(SiNx),酸化アルミニウム(Al23),酸化タンタル(Ta25)などの無機絶縁膜が用いられていてもよい。
【0023】
有機半導体層13は、ゲート電圧の印加によりチャネルを形成するものであり、例えばペンタセン,アントラセン,フタロシアニン,ポルフィリン,チオフェン系ポリマーおよびそれらのうちのいずれか1種の誘導体、2種以上の混合物が挙げられる。この他にも、n型の有機半導体材料として、フラーレン、パーフルオロペンタセン、ポリ(ベンゾビスイミダゾベンゾフェナントロリン)などが挙げられる。有機半導体層13は、例えば上記材料をスピンコート法、スリットコート法などの塗布法を用いて成膜した後、これをパターニングすることにより形成される。
【0024】
ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bは、それぞれが有機半導体層13に電気的に接続されると共に、互いに電気的に分離されて配設されている。これらのソース電極15Aおよびドレイン電極15Bはそれぞれ、金,銅,銀,およびアルミニウムよりなる単層膜かそれらのうちの1種以上を含む積層膜よりなる。あるいは、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとしては、導電性微粒子を含む導電性インクが用いられていてもよい。
【0025】
(グラフェン酸化物層14)
本実施の形態では、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとの間に、グラフェン酸化物(Graphene Oxide)層14(以下、GO層14とする)が設けられている。GO層14は、その選択的な一部(後述の領域D1,D2)を除いて、グラフェン酸化物単体から構成されるか、もしくはグラフェン酸化物と、他の有機分子、有機ポリマーまたは無機粒子等との混合物から構成されている。グラフェン酸化物は、グラフェン(Graphene)を酸化させることにより生成される物質であり、水溶性および電気絶縁性を有している。このGO層14は、例えば厚みが1原子層〜50nm程度である。また、GO層14においてグラフェン酸化物に必要とされる絶縁性は、例えばオフ電流を10-12 A以下にまで抑えられる程度の絶縁性である。GO層14は、後述の領域D3に対応する部分において、そのような絶縁性を有している。このグラフェン酸化物は、還元反応によって(還元処理が施されることにより)特性が変化する性質を有している。具体的には、還元されたグラフェン酸化物(還元型グラフェン酸化物:reduced Graphene Oxide)では導電性を示すようになる。これを利用して、本実施の形態では、GO層14の一部が選択的に還元されており、この還元された部分が導電性を示すようになっている。
【0026】
具体的には、GO層14は、選択的な領域D1,D2において導電性を示す一方、領域D1と領域D2との間の領域D3では絶縁性を示すものである。換言すると、GO層14のうちの領域D1,領域D2に対応する部分は、還元型グラフェン酸化物層14a,14b(以下、r−GO層14a,14bとする)となっている。このようなr−GO層14a,14bを有するGO層14は、上記のようにグラフェン酸化物を領域D1,D2においてのみ選択的に還元することにより形成されるものである。
【0027】
r−GO層14a,14bは、還元型グラフェン酸化物の単体から構成されるか、もしくは、この他に有機分子、有機ポリマーまたは無機粒子等を含んで構成されている。還元型グラフェン酸化物は、上記のようにグラフェン酸化物を還元することによって生成され、導電性を示すと共に、水に不溶な性質を有している。但し、還元型グラフェン酸化物では、グラフェン酸化物が完全に還元される(グラフェンに戻る)まで行ってもよいが、所望の導電性を得られる程度の還元率で還元されている。具体的には、有機半導体層13、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bに使用される各材料の仕事関数やGO層14の厚み等に応じて、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとオーミック接触が生じるように、還元されていればよい。還元処理としては、詳細は後述するが、光還元処理、熱還元処理または薬剤を用いた還元処理等が挙げられ、それらの還元処理を併用してもよい。尚、これらのr−GO層14a,14bが本開示における「導電層」の一具体例に相当する。
【0028】
尚、領域D1はソース電極15A、領域D2はドレイン電極15Bのそれぞれに対向する領域であり、領域D3は、例えばゲート電極11と、有機半導体層13に形成されるチャネル13aに対向する領域である。但し、ここでは、領域D1,D2,D3以外の領域では、領域D3と同様、グラフェン酸化物よりなる絶縁層となっている。
【0029】
[有機TFT1の製造方法]
図2〜図5は、有機TFT1の製造方法を説明するための図である。有機TFT1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0030】
まず、図2(A)に示したように、基板10上の選択的な領域にゲート電極11を形成する。具体的には、まず、基板10上の全面に、上述した導電膜材料を、例えば蒸着法,スパッタ法等により堆積させる。成膜した導電膜上に、例えばフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストをパターン形成した後、このフォトレジストをマスクとしたエッチングを施すことにより、上記導電膜を所定の形状にパターニングする。これにより、ゲート電極11を形成する。但し、ゲート電極11の形成手法としては、上述したものの他にも、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などの印刷法も挙げられる。
【0031】
続いて、図2(B)に示したように、基板10上の全面に渡って、ゲート絶縁膜12を成膜する。具体的には、基板10上の全面にわたって、上述した材料よりなる有機絶縁膜材料を、例えばスピンコート法、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷のような印刷法を含む塗布法を用いて成膜する。一方、ゲート絶縁膜12として無機絶縁性材料を用いる場合には、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜を行えばよい。
【0032】
次いで、図2(C)に示したように、ゲート絶縁膜12上に有機半導体層13を形成する。この際、まず、基板10の全面にわたって、上述のような有機半導体材料を、例えばマスクを用いた蒸着法,印刷法等により、ゲート電極11に重畳するように、例えば島状にパターン形成する。尚、素子分離する必要のない場合であれば、上述した手法によらずに、ゲート絶縁膜12および有機半導体層13を順次塗布成膜してもよい。
【0033】
(グラフェン酸化物層14の形成)
続いて、GO層14を形成する。具体的には、まず、図3(A)に示したように、上述したグラフェン酸化物を溶媒に溶かした溶液を、例えばスピンコート法、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット法、ラングミュア-ブロジェット法により、少なくとも有機半導体層13上を覆うように成膜する。
【0034】
この後、成膜したグラフェン酸化物の一部に還元処理を施す。具体的には、本実施の形態では、図3(B)に示したように、領域D1,D2にそれぞれ開口110aを有するフォトマスク110を用いて、グラフェン酸化物の一部を選択的に露光する(光還元処理を行う)。この際の還元条件は、上述したように、所定の導電性が得られる程度に適宜設定されればよい。例えば、300nm〜1100nmの波長分布を持つ一般的なキセノン(Xenon)ランプでは、2(J/cm2)の照射量により、所望の導電性(ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとのオーミック接触)が得られた。但し、有機半導体層13としてはperi-xanthenoxanthene誘導体、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとしてはアルミニウム(Al)を用いた。)
【0035】
これにより、図4に示したように、領域D1,D2においてのみ、グラフェン酸化物が還元され、r−GO層14a,14bが形成される。即ち、領域D1,D2において導電性を示す一方、領域D3(および領域D1〜D3以外の領域)では絶縁性を示すGO層14が形成される。
【0036】
次いで、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを形成する。具体的には、まず、図5(A)に示したように、上述した電極材料よりなる導電膜15をGO層14上に成膜する。この後、図5(B)に示したように、リソグラフィ法を用いたエッチングにより、領域D1にソース電極15A、領域D2にドレイン電極15Bをそれぞれパターン形成する。この際、エッチングとしては、ドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれかを適用可能である。以上により、図1に示した有機TFT1を完成する。
【0037】
本実施の形態では、上記のように、選択的な領域D1,D2にr−GO層14a,14bを有するGO層14を設けることにより、有機半導体層13とソース電極15Aとの間にr−GO層14a、有機半導体層13とドレイン電極15Bとの間にr−GO層14bをそれぞれ介在させることができる。r−GO層14a,14bは、上述のように導電性を示すことから、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとの間において、それぞれオーミック接触を得ることができる。即ち、r−GO層14a,14bを、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとの電気的なコンタクト層として機能させることが可能となる。他方、GO層14は、領域D1,D2間の領域D3では絶縁性を示すため、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bは電気的に分離される。
【0038】
従って、特にトップコンタクト構造の場合には、還元反応によってグラフェン酸化物の導電性が変化することを利用し、エッチングストッパ層として機能するGO層14の一部を、コンタクト層としても機能させることができる。
【0039】
[作用・効果]
本実施の形態の有機TFT1では、ゲート電極11に所定の電位が供給されると、有機半導体層13のチャネル13aに電界が生じ、ソース電極15Aおよびドレイン電極15B間に電流が流れ、いわゆる電界効果トランジスタとして機能する。
【0040】
ここで、上記のような電界効果型のTFTとしては、本実施の形態のような有機半導体を用いたものの他にも、無機半導体を用いたもの(無機TFT)がある。一般に、無機TFTでは、ドライエッチングなどのエッチング技術が成熟しており、生産性および加工精度などの観点において信頼できる。また、無機半導体はエッチング耐性に優れていることから、ソース・ドレイン形成時においてオーバーエッチングされたとしても、TFT自体の特性にほとんど影響を及ぼさない。
【0041】
一方、有機半導体を用いたTFTでは、一般に、上記のような無機TFTに比べて加工精度が低く、ソース・ドレイン形成時において、有機半導体の特にチャネル部分へダメージが生じ易い。このため、電界効果移動度が低下したり、寄生トランジスタが発生し易くなる。尚、これを回避するために、上記特許文献1では、有機半導体を浸食しない水溶性のポリマー(ポリビニルアルコール)を用いたリフトオフ法により、ソース電極およびドレイン電極をパターニングしている。ところが、この手法ではポリビニルアルコールの残渣が有機半導体層上に付着し、これにより、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との間のコンタクト抵抗が増大して、電界効果移動度が低減してしまう。
【0042】
そこで、本実施の形態の有機TFT1では、有機半導体層13上にGO層14が形成され、このGO層14のうち、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bに対向する領域D1,D2には、導電性を示すr−GO層14a,14bが形成されている。これにより、r−GO層14a,14bが、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとのコンタクト層として機能する。また、特にトップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおいて、GO層14が、有機半導体層13上のエッチングストッパ層として機能する。
【0043】
また、本実施の形態では、還元処理によりGO層14の一部の構造および特性を変化させ、これによって、上記コンタクト層としてのr−GO層14a,14bを形成しつつ、ソース電極15Aおよびドレイン電極15B間を電気的に分離することができる。このため、上記特許文献1のような残渣が有機半導体層13上に付着することがなく、これに起因するコンタクト抵抗の増大を回避することができる。
【0044】
更に、本実施の形態では、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bと有機半導体層13との間において良好なコンタクトが得られることにより、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bに使用される電極材料選択の自由度が向上する。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態では、有機半導体層13上のソース電極15Aおよびドレイン電極15Bに対向する領域D1,D2,D3にわたって、グラフェン酸化物よりなるGO層14が設けられている。GO層14は、その一部(領域D1,D2)が選択的に還元されることにより、領域D1,D2において導電性を示すR−GO層14a,14bを有し、領域D1,D3間の領域D3では、絶縁性を示すようになっている。これにより、R−GO層14a,14bを、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとのコンタクト層として機能させ、またトップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおいて、GO層14をエッチングストッパ層として機能させることが可能となる。よって、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bと有機半導体層13との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。また、トップコンタクト構造の場合には、製造プロセスにおける有機半導体層13の損傷を軽減することが可能となる。
【0046】
次に、上記実施の形態の変形例(変形例1〜4)に係る有機TFTについて説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0047】
<変形例1>
上記実施の形態の有機TFT1では、製造プロセスにおいてエッチングストッパ層として機能するGO層14をTFT完成後もそのまま残存させているが、GO層14のうち、領域D1,D2以外の部分(領域D3を含む)を、ソース・ドレイン形成後に除去してもよい。図6に、その一例(有機TFT2)を示す。有機TFT2は、上記実施の形態の有機TFT1と同様、基板10上にゲート電極11、ゲート絶縁膜12および有機半導体層13を有すると共に、有機半導体層13上の領域D1,D2にr−GO層14a,14bを介してソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを有している。但し、本変形例では、有機半導体層13上のチャネル13aに対向する領域D3では、有機半導体層13の表面が露出している。換言すると、酸化物層が、導電層としてのr−GO層14a,14bのみにより形成されており、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bが、そのr−GO層14a,14bと同一形状にパターニングされている。
【0048】
図7(A),(B)に、ソース電極15Aおよびドレイン電極15B形成後のGO層14の絶縁層除去工程について示す。具体的には、まず、図7(A)に示したように、上記実施の形態と同様にして、GO層14上にソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを形成する。この後、図7(B)に示したように、例えばpH10程度のアルカリ性水溶液等に浸すと、GO層14のうち、還元されなかった部分(水溶性および絶縁性を有する層部分)のみが選択的に除去される。このようにして、図6に示した有機TFT2を形成する。
【0049】
<変形例2>
図8(A)は、変形例2に係る有機TFT(有機TFT3a)の概略構成を表したものである。有機TFT3aは、上記実施の形態の有機TFT1と同様、有機半導体を用いた電界効果型トランジスタであり、トップコンタクト構造を有している。但し、この有機TFT3aでは、上記実施の形態と異なり、ゲート電極11が有機半導体層13よりも上層に設けられた、いわゆるトップゲート構造を有している。
【0050】
具体的には、有機TFT3aは、基板10上に有機半導体層13が形成され、この有機半導体層13上には、上記実施の形態の有機TFT1と同様、GO層14が設けられている。また、GO層14の領域D1,D2上にはソース電極15Aおよびドレイン電極15Bが設けられている。これらのソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを覆うように、ゲート絶縁膜12が設けられ、このゲート絶縁膜12上にゲート電極11が配設されている。
【0051】
また、このようなトップゲート構造においても、上記変形例1のように、GO層14のうちのr−GO層14a,14b以外の部分が選択的に除去されていてもよい。この場合、例えば図8(B)に示した有機TFT3bのように、領域D3では、有機半導体層13の表面をゲート絶縁膜12が覆った構造となる。
【0052】
上記のように、トップゲート,トップコンタクト構造の有機TFT3a,3bであっても、有機半導体層13上にGO層14を介してソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを設けることにより、GO層14をエッチングストッパ層として機能させ、r−GO層14a,14bをコンタクト層として機能させることができる。よって、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
<変形例3>
図9は、変形例3に係る有機TFT(有機TFT4)の概略構成を表したものである。有機TFT4は、上記実施の形態の有機TFT1と同様、有機半導体を用いた電界効果型トランジスタであるが、ボトムゲート,ボトムコンタクト構造を有している。
【0054】
具体的には、有機TFT4では、基板10上のゲート電極11を覆ってゲート絶縁膜12が設けられ、このゲート絶縁膜12上に、GO層14が形成されている。GO層14の領域D1,D2上には、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bが設けられている。有機半導体層13は、これらのGO層14、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを覆うように形成されている。
【0055】
上記のように、ボトムゲート,ボトムコンタクト構造の有機TFT4であっても、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとの間にGO層14が設けられていることにより、r−GO層14a,14bをコンタクト層として機能させることができる。よって、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bと有機半導体層13との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。
【0056】
<変形例4>
図10は、変形例4に係る有機TFT(有機TFT5)の概略構成を表したものである。有機TFT5は、上記実施の形態の有機TFT1と同様、有機半導体を用いた電界効果型トランジスタであるが、トップゲート,ボトムコンタクト構造を有している。
【0057】
具体的には、有機TFT5では、基板10上の領域D1,D2に対応する領域に、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bが設けられ、これらのソース電極15Aおよびドレイン電極15Bを覆うようにGO層14が形成されている。GO層14上には、有機半導体層13が設けられ、この有機半導体層13上にゲート絶縁膜12を介してゲート電極11が配設されている。
【0058】
上記のように、トップゲート,ボトムコンタクト構造の有機TFT5であっても、有機半導体層13とソース電極15Aおよびドレイン電極15Bとの間にGO層14が設けられていることにより、r−GO層14a,14bをコンタクト層として機能させることができる。よって、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bと有機半導体層13との間において良好なコンタクトを確保することが可能となる。
【0059】
<適用例>
上記実施の形態および変形例で説明した有機TFT1〜5(以下、有機TFT1を例に挙げて説明する)は、例えば表示装置における駆動用素子として用いられる。表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパーディスプレイ等が挙げられる。図11に、表示装置の機能構成の一例を示す。表示装置では、基板10上に、複数の画素(PXL)を含む表示領域Sと、この表示領域Sを表示駆動する画素駆動回路140が設けられている。表示領域Sの周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0060】
画素駆動回路140は、例えばアクティブマトリクス方式により駆動される駆動回路である。この画素駆動回路140では、列方向に沿って信号線120A、行方向に沿って走査線130Aがそれぞれ複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差部が、各画素PXLに対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して各画素PXLに画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して各画素PXLに走査信号が順次供給されるようになっている。
【0061】
また、このような有機TFT1を含む表示装置は、以下の適用例1〜6に係る電子機器に搭載することができる。具体的には、上記表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機およびスマートフォン(Smartphone)等の携帯端末機器、あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用可能である。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0062】
(適用例1)
図12は、適用例1に係るテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、映像表示画面部510が、上記表示装置に相当する。
【0063】
(適用例2)
図13は、適用例2に係るデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、上記表示装置としての表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有している。
【0064】
(適用例3)
図14は、適用例3に係るノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531,文字等の入力操作のためのキーボード532および上記表示装置としての表示部533を有している。
【0065】
(適用例4)
図15は、適用例4に係るビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541,この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542,撮影時のスタート/ストップスイッチ543および上記表示装置としての表示部544を有している。
【0066】
(適用例5)
図16は、適用例5に係る携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。ディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、上記表示装置に相当する。
【0067】
(適用例6)
図17(A)および図17(B)は、適用例6に係るスマートフォンの外観を表したものである。このスマートフォンは、例えば、表示部810、非表示部820および操作部830を有している。操作部830は、図17(A)に示したように表示部810と同じ面(前面)に形成されていても、図17(B)に示したように表示部810とは異なる面(上面)に形成されていてもよい。
【0068】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、GO層14の一部に形成されたr−GO層14a,14bの幅がソース電極15Aおよびドレイン電極15Bの幅と同一になるように図示しているが、必ずしも同一でなくともよく、例えば、r−GO層14a,14bの各幅が、ソース電極15Aおよびドレイン電極15Bの各幅よりも小さくてもよいし、大きくなっていてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態等では、本開示における酸化物層の一例として、グラフェン酸化物を含む層を例示したが、これに限定されず、他の酸化物を含むものであってもよい。例えば、半導体層とソース電極およびドレイン電極との間に、酸化銀を含む酸化銀層を設けてもよい。酸化銀(Al23)は絶縁性を示すが、還元反応により導電性を示すようになるため、上述したグラフェン酸化物を用いる場合と同様にして形成することができ、ほぼ同様の効果を得ることができる。
【0070】
尚、本開示は、以下のような構成であってもよい。
(1)有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極と、少なくとも一部が前記半導体層上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層上の前記ソース電極および前記ドレイン電極に対向する第1および第2の領域にそれぞれ、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層と備えた有機薄膜トランジスタ。
(2)前記半導体層上の、前記第1および第2の領域と、前記第1および第2の領域間の第3の領域とにわたって、前記酸化物を含む酸化物層が設けられ、前記導電層は、前記酸化物層のうちの前記第1および第2の領域に対応する選択的な部分が還元されてなり、前記酸化物層の前記第3の領域では絶縁性を示す上記(1)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(3)前記酸化物はグラフェン酸化物(Graphene Oxide)である上記(1)または(2)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(4)前記ソース電極およびドレイン電極はそれぞれ、前記導電層と同一形状にパターニングされている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(5)基板上の選択的な領域に、前記ゲート電極が設けられ、前記半導体層は、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を介して設けられている上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(6)有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記半導体層との間に設けられると共に、前記ソース電極および前記ドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層と備えた有機薄膜トランジスタ。
(7)前記酸化物層は、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む上記(6)に記載の 有機薄膜トランジスタ。
(8)前記酸化物層は、前記第1および第2領域に対応する選択的な部分が還元されてな るものである上記(7)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(9)前記酸化物はグラフェン酸化物(Graphene Oxide)である上記(7)または(8)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(10)前記ソース電極および前記ドレイン電極は、前記半導体層上に前記酸化物層を介して設けられている上記(6)〜(9)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(11)有機材料よりなる半導体層を形成する工程と、ゲート電極を形成する工程と、ソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成予定の選択的な第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層を形成する工程と含む有機薄膜トランジスタの製造方法。
(12)前記酸化物層を形成する工程では、還元反応により導電性が変化する酸化物を用 いる上記(11)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(13)前記酸化物層を形成する工程では、前記酸化物を前記第1ないし第3の領域にわたって成膜した後、前記第1および第2の領域に対して還元処理を施す上記(12)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(14)前記還元処理として、前記酸化物層の前記第1および第2の領域に対応する部分を選択的に露光する上記(13)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(15)前記酸化物層を形成した後、前記酸化物層の前記第3の領域に対応する部分を選択的に除去する工程を更に含む上記(11)〜(14)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(16)前記酸化物層の前記第3の領域に対応する部分を、水または水溶液を用いて除去する上記(15)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(17)前記酸化物として、グラフェン酸化物(Graphene Oxide)を用いる上記(12)〜(16)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(18)前記酸化物層を形成する工程は、前記半導体層を形成する工程の後であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成する工程の前に行う上記(11)〜(17)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(19)複数の画素を含む表示部と、前記画素の駆動素子としての有機薄膜トランジスタとを備え、前記有機薄膜トランジスタは、有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極と、前記半導体層上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、少なくとも一部が前記半導体層上の前記ソース電極および前記ドレイン電極に対向する第1および第2の領域にそれぞれ、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層と備えた表示装置。
(20)複数の画素を含む表示部と、前記画素の駆動素子としての有機薄膜トランジスタとを備え、前記有機薄膜トランジスタは、有機材料よりなる半導体層と、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記半導体層との間に設けられると共に、前記ソース電極および前記ドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層と備えた表示装置。
【符号の説明】
【0071】
1〜5…有機TFT、10…基板、11…ゲート電極、12…ゲート絶縁膜、13…有機半導体層、13a…チャネル、14…GO層、14a,14b…r−GO層、15A…ソース電極、15B…ドレイン電極、D1〜D3…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料よりなる半導体層と、
ゲート電極と、
少なくとも一部が前記半導体層上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、
前記半導体層上の前記ソース電極および前記ドレイン電極に対向する第1および第2の領域にそれぞれ、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層と
備えた有機薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記半導体層上の、前記第1および第2の領域と、前記第1および第2の領域間の第3の領域とにわたって、前記酸化物を含む酸化物層が設けられ、
前記導電層は、前記酸化物層のうちの前記第1および第2の領域に対応する選択的な部分が還元されてなり、
前記酸化物層の前記第3の領域では絶縁性を示す
請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物はグラフェン酸化物(Graphene Oxide)である
請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記ソース電極およびドレイン電極はそれぞれ、前記導電層と同一形状にパターニングされている
請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項5】
基板上の選択的な領域に、前記ゲート電極が設けられ、
前記半導体層は、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を介して設けられている
請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項6】
有機材料よりなる半導体層と、
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記半導体層との間に設けられると共に、前記ソース電極および前記ドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層と
備えた有機薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記酸化物層は、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む
請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記酸化物層は、前記第1および第2領域に対応する選択的な部分が還元されてなるものである
請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記酸化物はグラフェン酸化物(Graphene Oxide)である
請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記ソース電極および前記ドレイン電極は、前記半導体層上に前記酸化物層を介して設けられている
請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項11】
有機材料よりなる半導体層を形成する工程と、
ゲート電極を形成する工程と、
ソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成予定の選択的な第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層を形成する工程と
含む有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記酸化物層を形成する工程では、還元反応により導電性が変化する酸化物を用いる
請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記酸化物層を形成する工程では、
前記酸化物を前記第1ないし第3の領域にわたって成膜した後、前記第1および第2の領域に対して還元処理を施す
請求項12に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記還元処理として、前記酸化物層の前記第1および第2の領域に対応する部分を選択的に露光する
請求項13に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記酸化物層を形成した後、前記酸化物層の前記第3の領域に対応する部分を選択的に除去する工程を更に含む
請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記酸化物層の前記第3の領域に対応する部分を、水または水溶液を用いて除去する
請求項15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記酸化物として、グラフェン酸化物(Graphene Oxide)を用いる
請求項12に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記酸化物層を形成する工程は、前記半導体層を形成する工程の後であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成する工程の前に行う
請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項19】
複数の画素を含む表示部と、前記画素の駆動素子としての有機薄膜トランジスタとを備え、
前記有機薄膜トランジスタは、
有機材料よりなる半導体層と、
ゲート電極と、
前記半導体層上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、
少なくとも一部が前記半導体層上の前記ソース電極および前記ドレイン電極に対向する第1および第2の領域にそれぞれ、還元反応により導電性が変化する酸化物を含む導電層と
備えた表示装置。
【請求項20】
複数の画素を含む表示部と、前記画素の駆動素子としての有機薄膜トランジスタとを備え、
前記有機薄膜トランジスタは、
有機材料よりなる半導体層と、
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記半導体層との間に設けられると共に、前記ソース電極および前記ドレイン電極のそれぞれに対向する第1および第2の領域において導電性を示し、前記第1および第2の領域間の第3の領域において絶縁性を示す酸化物層と
備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−84845(P2013−84845A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224949(P2011−224949)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】