説明

有機EL表示装置

【課題】オフ特性、スウィング特性、飽和特性に優れた薄膜トランジスタを備える有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板1上に薄膜トランジスタを備える有機EL表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、ゲート電極2、前記ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3、前記ゲート絶縁膜3上に設けられた第1の半導体膜4、前記第1の半導体膜4上に設けられた第2の半導体膜5、前記第2の半導体膜5上に設けられたバックチャンネル保護絶縁膜7、オーミックコンタクト膜8、ソース・ドレイン電極9とを有し、前記第1の半導体膜4は前記第2の半導体膜5より高い結晶性を有し、前記バックチャンネル保護絶縁膜7は有機絶縁膜もしくは有機・無機ハイブリッド絶縁膜により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、より詳しくは薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に変わる次世代フラットパネルディスプレイの一つとして、有機材料における電界発光(ElectroLuminescence:EL)を利用した有機EL素子を、画素毎に設けた表示装置が注目されている。この表示装置、すなわち有機EL表示装置は、従来の液晶表示装置とは異なり、自発光現象を採用しているために別途の光源を必要としない。そのため、表示装置の体積や重さの低減を可能にする。さらに、液晶表示装置と比較し、有機EL素子には、低消費電力、広視野角、高輝度、高速応答などの長所がある。
【0003】
このような特性を有するために、有機EL表示装置は携帯電話や薄型テレビなど民生用の電子応用製品に使用される強力な次世代ディスプレイと位置づけられ、意欲的な開発が進められている。
【0004】
有機EL表示装置を駆動する方式は、パッシブ(受動)マトリクス型とアクティブ(能動)マトリクス型とに大別される。パッシブマトリクス型の有機EL表示装置は、信号電極と走査電極にバイアス電圧を同時に印加し、電極間にある有機層を発光させるというものである。そのため、構成が単純であり製造コストを抑えることができるが、表示装置の大面積化に際し、比較的高い消費電力、低解像度、応答時間が長い、配線数が増加するほど開口率が低下するなどの短所がある。一方、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置は、パッシブマトリクス型のそれに比べ、低消費電力、高画質、応答時間が短い、高い発光効率などの長所がある。そのため、大面積の有機EL表示装置にはアクティブマトリクス型が好ましい駆動方式と考えられている。
【0005】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置の画素回路は、少なくとも、有機EL素子と複数個の薄膜トランジスタより構成される。上記薄膜トランジスタとしては、少なくとも、画素の明暗を制御するスイッチトランジスタと、有機EL素子の発光を制御する駆動トランジスタが必要である。
【0006】
ここで、アクティブマトリクス型有機EL表示装置の動作特性について図を用いて簡略に説明する。図14は、アクティブマトリクス型有機EL表示装置の基本的な1画素回路の構成例を図示したものである。図14に示されるように、基板上に選択線106と、これとは垂直に交差する方向にデータ線105が構成される。データ線105と選択線106の交差するポイントにはスイッチトランジスタ111が置かれ、スイッチトランジスタ111の配線の一部が駆動トランジスタ112へ接続される。また駆動トランジスタ112には、電源線107、ストレージキャパシタ110、有機EL素子109が接続される。まず、選択線106からスイッチトランジスタ111にゲート信号が印加されると、データ線105を流れる電流信号はスイッチトランジスタ111を通じ電圧信号となって駆動トランジスタ112のゲート電極(図示せず)に印加される。これにより、駆動トランジスタ112が動作し有機EL素子109に電流が流れ発光が起こる。このとき、ストレージキャパシタ110は、ゲート電極の信号を保持する役割をもつ。すなわち、スイッチトランジスタ111がオフになっても次の信号が印加されるまで、有機EL素子109に流れる電流のレベルを一定に調整する。
【0007】
上述のように、有機EL表示装置は電流駆動の表示装置であるため、画素回路を構成する各々の薄膜トランジスタには次の特性が要求される。すなわち、スイッチトランジスタには、輝度バラツキを抑えるためにオフ電流を十分に小さく抑えることが求められる。また、駆動トランジスタには、有機EL素子を発光させるのに十分な電流値と通電した状態を維持するために、高いキャリア移動度と閾値電圧がシフトしないことが求められる。さらに、駆動トランジスタは出力特性の飽和領域を使用するために、飽和領域で電流値が一定となる良好な飽和特性が要求される。
【0008】
特許文献1には、半導体層が、コンタクト層側から順に、非晶質相及び結晶質相が混在する低結晶性半導体層と、低結晶性半導体層よりも大きな結晶化率を有する高結晶性半導体層とが積層された構造である半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−124392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来例の、高結晶性の半導体層と低結晶性の半導体層を積層させた活性半導体層を有する薄膜トランジスタでは、活性半導体層上に存在するオーミックコンタクト膜をドライエッチング法で除去する際、活性半導体層の一部もオーバーエッチングする。そのため、オーバーエッチングにより活性半導体層がダメージを受けることでバックチャンネル効果が起こり、オフ特性、スウィング特性、飽和特性の劣化、閾値電圧のシフトなどトランジスタ特性に悪影響を及ぼすことがある。また、オーバーエッチングにより、積層の低結晶性半導体層が全てエッチングされた場合、後の工程で高結晶性半導体層と保護膜が接触することになる。高結晶性半導体膜は低結晶性半導体膜よりも保護膜の固定電荷の影響を受けやすい。そのため、保護膜の固定電荷によりバックチャンネル効果が生じ、同様にトランジスタ特性に悪影響を及ぼすことがある。このような現象が生じると、そのトランジスタを電流駆動型の表示装置、特に有機EL表示装置の画素回路に使用されるスイッチトランジスタおよび駆動トランジスタに採用することが困難になる。なお、上述のように、チャンネル上部のオーミックコンタクト膜を除去する際、活性半導体層の一部もオーバーエッチングするものをチャンネルエッチ型の薄膜トランジスタと呼ぶ。
【0011】
高結晶性半導体層と低結晶性半導体層から成る積層膜へのオーバーエッチングを防ぐ従来の製造方法として、積層膜の上部にシリコン窒化膜(SiNx膜)などから成るエッチストッパ層を設けたエッチストッパ型の薄膜トランジスタがある。このドライエッチングの際に起こる積層膜のオーバーエッチングをエッチストッパ層が防ぐため、オーミックコンタクト膜のみを選択的に除去することができる。それにより、積層膜へのダメージを防ぐことが可能になる。しかしながら、積層膜を形成した後にエッチストッパ層を成膜するため、良質な絶縁膜形成が困難になり、エッチストッパ層に多量の固定電荷が形成される。そのため、エッチストッパ層の固定電荷がバックチャンネル効果を引き起こし、オフ特性、スウィング特性、飽和特性の劣化、閾値電圧の負シフトなどトランジスタ特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0012】
本発明は上述の事情を鑑みてされたものであり、バックチャンネル効果を抑制できる有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の有機EL表示装置は、薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられた第1の半導体膜と、前記第1の半導体膜上に設けられた第2の半導体膜と、前記第2の半導体膜上に設けられたバックチャンネル保護絶縁膜と、を備え、前記第1の半導体膜は、前記第2の半導体膜より高い結晶性を有し、前記バックチャンネル保護絶縁膜は、感光性のある有機絶縁膜、又は感光性のある有機・無機ハイブリッド絶縁膜である、ことを特徴とする有機EL表示装置である。
【0014】
本発明の有機EL表示装置は、薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、基板と、前記基板の上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられた第1の半導体膜と、前記第1の半導体膜上に設けられた第2の半導体膜と、前記第2の半導体膜上に設けられたオーミックコンタクト膜及びバックチャンネル保護絶縁膜と、を備え、前記第1の半導体膜は、前記第2の半導体膜より高い結晶性を有し、前記バックチャンネル保護絶縁膜は、前記オーミックコンタクト膜と連続した膜で形成されている、ことを特徴とする有機EL表示装置である。更に、前記バックチャンネル保護絶縁膜は、前記オーミックコンタクト膜の一部を酸化、窒化、もしくは酸窒化することにより形成されている、とすることができる。
【0015】
また、本発明の有機EL表示装置は、前記バックチャンネル保護絶縁膜の固定電荷量は、単位面積あたり3.5×1011/cm以下である、とすることができる。
【0016】
また、本発明の有機EL表示装置は、前記第1の半導体膜の厚さは、20nm以上60nm以下である、とすることができる。
【0017】
また、本発明の有機EL表示装置は、前記第2の半導体膜の厚さは、10nm以上50nm以下である、とすることができる。
【0018】
また、本発明の有機EL表示装置は、前記第2の半導体膜内に含まれるリンもしくはボロンの濃度が3×1016/cm以下である、とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタよれば、オフ特性、スウィング特性、飽和特性に優れた薄膜トランジスタを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
【図2】S値とバックチャンネル保護絶縁膜中の固定電荷の関係を示すグラフである。
【図3】オン抵抗と第2の半導体膜の厚さの関係を示すグラフである。
【図4】S値と第2の半導体膜中のリン濃度の関係を示すグラフである。
【図5】実施例1の有機EL表示装置について示す図である。
【図6】図5の有機EL表示装置の薄膜トランジスタ基板の回路構成を示す図である。
【図7】図6の薄膜トランジスタ基板の表示部の断面を示す図である。
【図8】実施例1の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図9】実施例2の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図10】実施例3の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図11】実施例4の薄膜トランジスタの構成および構造を示す断面図である。
【図12】実施例5の薄膜トランジスタの構成および構造を示す断面図である。
【図13】実施例6の薄膜トランジスタの構成および構造を示す断面図である。
【図14】有機EL表示装置の1画素回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる薄膜トランジスタの構成と製造方法およびそれを有機EL表示装置に適用する場合の方法について、図面を用いて説明する。
【0022】
詳細な実施例の説明に先立ち、本発明が用いられる薄膜トランジスタの構成について説明する。
【0023】
図1は、後述する実施例1に係る有機EL表示装置向け薄膜トランジスタの構成を示す図である。なお、この断面は、ゲート電圧印加により形成される導電層のキャリアが走行する方向に対して平行である。図1に示すように、本発明の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタ基板は、絶縁性の基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、第1の半導体膜4、第2の半導体膜5、第1の半導体膜4と第2の半導体膜5との積層部分である活性半導体層6上のバックチャンネル保護絶縁膜7、オーミックコンタクト膜8、ソース・ドレイン電極9、薄膜トランジスタを保護するための保護膜10、発光を担う有機EL素子の下部電極11を具備する。ここで、薄膜トランジスタとは、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、第1の半導体膜4、第2の半導体膜5、第1の半導体膜4と第2の半導体膜5を積層した活性半導体層6上にあるバックチャンネル保護絶縁膜7、オーミックコンタクト膜8、ソース・ドレイン電極9より構成される部位を指すものとする。
【0024】
このように、バックチャンネル保護絶縁膜7を形成することで、活性半導体層6の上に存在する固定電荷の影響が緩和され、バックチャンネル効果を抑制することができる。それにより、オフ特性、スウィング特性、飽和特性、閾値電圧のシフトなどのトランジスタ特性を改善することができる。
【0025】
バックチャンネル保護絶縁膜7は、有機絶縁膜あるいは有機・無機ハイブリッド絶縁膜より形成、もしくは、活性半導体層6上にあるオーミックコンタクト膜8の一部を酸化、窒化、もしくは酸窒化で改変し形成される。有機絶縁膜あるいは有機・無機ハイブリッド絶縁膜は、活性半導体層6上に低温で良質な絶縁膜を形成することが可能であるため、固定電荷の発生を抑えることができる。また、オーミックコンタクト膜8の一部を酸化、窒化、もしくは酸窒化で改変しバックチャンネル保護絶縁膜7を形成する場合も同様に低温で良質な絶縁膜の形成が可能であるため、固定電荷の発生を抑えることができる。
【0026】
図2に、バックチャンネル保護絶縁膜7の固定電荷量とスウィング特性の良し悪しを決めるサブスレショルド係数(S値)の関係を示したシミュレーション結果と実験結果を示す。シミュレーションに用いたデバイス構造は、後述する実施例1に示す構造で、第1の半導体膜4として真性移動度10cm/Vsのn型微結晶シリコンを想定し厚さを50nm、第2の半導体膜5としてアモルファスシリコンを想定し厚さを25nmに設定し、バックチャンネル保護絶縁膜7の固定電荷量を変化させS値の振る舞いを観測した。実験結果に示すS値は薄膜トランジスタの伝達特性を評価したもので、固定電荷量は薄膜トランジスタ作製に用いたバックチャンネル保護絶縁膜7の容量−電圧特性(C−V特性)を測定することにより取得した。S値は小さいほど、スウィング特性が良好である。シミュレーション結果を見ると、固定電荷密度が小さくなるほどS値は小さくなり特性が改善されることが分かる。また、固定電荷密度をさらに十分小さくすると、S値は固定電荷の影響がない場合に到達可能な一定の値に収束することが分かる。よって、同様の傾向が実験結果でも起こり、図2の実線で示すように、固定電荷密度が小さくなるほどS値は改善され、固定電荷密度が十分小さくなるとS値は一定の値に収束する。有機ELディスプレイ向け薄膜トランジスタのS値は、1V/dec以下が望まれる。よって、S値が1V/dec以下となるには、バックチャンネル保護絶縁膜7の固定電荷量は単位面積あたり3.5×1011/cm 以下であることが好ましく、この値以上の固定電荷がバックチャンネル保護絶縁膜7に存在する場合は、バックチャンネル効果の抑制が得られなくなり、トランジスタ特性の低下が起こることが考えられる。
【0027】
活性半導体層6は、第1の半導体膜4と、第1の半導体膜4に比べ結晶性の低い第2の半導体膜5より構成される。微結晶シリコンやポリシリコンなどの高結晶性の半導体膜はアモルファスシリコンなどの低結晶性の半導体膜よりも固定電荷の影響を受けやすい。そのため、高結晶性の第1の半導体膜4上にそれよりも低結晶性の第2の半導体膜5を設けることにより、活性半導体層6上に存在する固定電荷が第1の半導体膜4に及ぼす影響を緩和させ、トランジスタ特性を改善することができる。
【0028】
第1の半導体膜4の厚さは、20nm以上60nm以下が好ましい。第1の半導体膜4が20nm以下である場合、良質な結晶性の膜を得ることが困難になり、良好なトランジスタ特性を得ることができない。また、第1の半導体膜が60nm以上である場合、オフ電流の増加が起こりスイッチトランジスタに使用することが困難となる。
【0029】
第1の半導体膜4に比べ低結晶性の第2の半導体膜5の厚さは、10nm以上50nm以下が好ましい。第2の半導体膜5が10nm以下である場合、基板面内で膜厚の不均一性が起こり、トランジスタ特性にバラツキが生じてしまう。また、第2の半導体膜5が50nm以上である場合、低結晶性の第2の半導体膜5の厚さに起因した寄生抵抗が増大し、オン電流が低下し、オン抵抗が増大する。図3に、オン抵抗と第2の半導体膜5の膜厚との関係を示したシミュレーション結果と実験結果を示す。オン抵抗(Ron)は、ソース・ドレイン電圧が0.1V、ゲート電圧が20Vのオン電流から計算し得た。また、チャンネル幅(W)を掛けて、規格化している。シミュレーションに用いたデバイス構造は、後述する実施例1に示す構造で、実験結果から得た伝達特性を基にフィッティングを行い、各膜厚でのオン抵抗を算出した。図3に示すように、第2の半導体膜5が50nm以上でオン抵抗が大きく増加することが分かる。よって、第2の半導体膜5の膜厚は50nm以下が好ましい。
【0030】
また、第2の半導体膜5内に含まれるリンもしくはボロンの濃度は3×1016/cm以下であることが好ましい。これは、低結晶性の第2の半導体膜5が上記不純物に汚染されている場合に、高結晶性の第1の半導体膜4との界面でバンドの曲がりが生じ、閾値電圧のシフトやS値の増加を引き起こすためである。例として、図4にリン濃度とS値の関係を示した。有機ELディスプレイ向け薄膜トランジスタのS値は、1V/dec以下が望まれる。よって、S値が1V/dec以下となるには、リン濃度は3×1016/cm以下であることが好ましい。
【0031】
以下、本発明の実施例1乃至6について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0032】
図5は、本発明の実施例1に係る有機EL表示装置200について示す図である。この図に示されるように、有機EL表示装置200は、薄膜トランジスタ基板100及び不図示の封止基板から構成される有機ELパネルを挟むように固定する上フレーム210及び下フレーム220と、表示する情報を生成する回路素子を備える回路基板240と、その回路基板240において生成されたRGBの表示情報を薄膜トランジスタ基板100に伝えるフレキシブル基板230と、により構成されている。
【0033】
図6には、図5の有機EL表示装置200の薄膜トランジスタ基板100の回路構成が示されている。図示のように、薄膜トランジスタ基板100は基本構成として基板1上に、データドライバ101、選択走査ドライバ102、電源走査ドライバ103、表示部104を有している。表示部104には、データ線105と選択線106の交差領域により区画化された画素108がマトリクス状に設けられている。画素108は、例えば、有機EL素子109、ストレージキャパシタ110、薄膜トランジスタであるスイッチトランジスタ111および駆動トランジスタ112を有し、画素回路を構成する。駆動トランジスタ112は、電源走査ドライバ103から延設された電源線107に接続される。画素回路は、データドライバ101、選択走査ドライバ102、電源走査ドライバ103から出力された信号に基づき、有機EL素子109に流れる電流量を調整および保持することで発光を制御する。なお、図6で示した画素回路は例であり、この薄膜トランジスタは、さらに複数のトランジスタを設けた画素回路に対しても有効である。
【0034】
図7は、薄膜トランジスタ基板100の発光原理を示すために表示部104の断面を図示したものである。なお、図示の薄膜トランジスタ15は図6の駆動トランジスタ112であり、スイッチトランジスタ111およびストレージキャパシタ110の図示は省略する。図7に示すように、本発明の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタ基板100は、基板1上に、薄膜トランジスタ15、第1の絶縁性膜16、下部電極11、第2の絶縁性膜17、有機EL層18、上部電極19より構成される。有機EL層18は、下部電極11および第2の絶縁性膜17をパターニングし区画を設けた後に、マスク蒸着方式もしくはインクジェット方式などにより形成される。また、有機EL層18は例えば、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層より構成される。上部電極19と下部電極11は、有機EL層18に注入するキャリアの種類に応じて陰極、陽極として用いられる。すなわち、電子を注入する側の電極は陰極、正孔を注入する側の電極は陽極となる。
【0035】
薄膜トランジスタ15が駆動すると、上部電極19と下部電極11から電子注入層と正孔注入層を介して電子と正孔が注入される。電子は電子輸送層を、正孔は正孔輸送層を流れ、発光層で結合し、発光が生じる。
【0036】
図8には、薄膜トランジスタ15の製造における各工程時の断面図が示されている。薄膜トランジスタ15の製造工程では、まず、図8の工程1aに示すように、ガラスなどの絶縁性材料からなる基板1上に、モリブデンタングステン(MoW)膜をスパッタリング法により50nm成膜する。これにフォトリソグラフィ工程を行った後、ウェットエッチング法を用いてパターニングし、ゲート電極2を作製する。後の工程で高温を伴う処理、例えば400℃以上を要する処理が控えている場合には、ゲート電極2には所望の高い温度でも抵抗値が変化しない高い耐熱性が求められる。次に、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜(SiOx)からなるゲート絶縁膜3を例えば170nm成膜する。ゲート絶縁膜3としては、シリコン窒化膜(SiNx)やシリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層を用いても良いが、ゲート絶縁膜3の質が悪い場合は膜中に固定電荷が形成され、トランジスタ特性の劣化が生じる。そのため、ゲート絶縁膜3は良質な絶縁膜が形成される条件、例えば300℃以上で成膜するのが良い。
【0037】
次に、工程1bに示すように、ゲート絶縁膜3上に、高結晶性の第1の半導体膜4と低結晶性の第2の半導体膜5の積層からなる活性半導体層6を形成する。ここで述べている高結晶性の第1の半導体膜4とは、微結晶シリコンやポリシリコンを指す。微結晶シリコンの形成方法としては、PE(Plasma Enhancement)−CVD、Cat(Catalytic)−CVD、反応熱CVDなどの各種CVD法などがある。また、非晶質シリコンを成膜した後、レーザーや炉などを用いてアニール処理を加え、微結晶シリコンまたはポリシリコンを形成する方法もある。本実施例では、非晶質シリコン膜を成膜後に、熱処理により微結晶シリコンを形成するRTA(Rapid Thermal Annealing)法を用いて、第1の半導体膜4を形成した。得られた微結晶シリコンの粒径は30nmほどで、薄膜トランジスタのチャンネル領域よりも十分小さい。そのため、基板全面にわたってトランジスタ特性の均一性を強く要求される有機EL表示装置に適している。なお、第1の半導体膜4の厚さは、20nm以上60nm以下であることが好ましい。これは、第1の半導体膜4の厚さが20nm以下であると、良好な結晶性の半導体膜を得ることが難しくなり、60nm以上であると十分に低いオフ電流の確保が困難になるためである。次に、第1の半導体膜4に比べ低い結晶性を有する第2の半導体膜5を、第1の半導体膜4の上に形成する。ここで述べている第1の半導体膜4に比べ結晶性の低い第2の半導体膜5とは、非晶質シリコン、第1の半導体膜4より結晶性が低くCVD法により形成される微結晶シリコン、またはこれらの積層より形成される。なお、必要であるならば、フッ酸系の薬液で洗浄後、第2の半導体膜5を成膜する前に水素プラズマ処理を追加してもよい。これにより、高い結晶性を有する第1の半導体膜4に残ったダングリングボンドが水素で終端され、トランジスタ特性を改善することができる。本実施例では、第2の半導体膜5として、PE−CVD法により非晶質シリコンを30nm成膜した。第2の半導体膜5の厚さは、10nm以上50nm以下であることが好ましい。これは、低い結晶性を有する第2の半導体膜5の厚さが10nm以下であると、基板面内で特性のバラツキが大きくなり、50nm以上であると第2の半導体膜5の厚さに起因した寄生抵抗が大きくなりオン電流が劣化するためである。また、第2の半導体膜5内に含まれるリンもしくはボロンの濃度は3×1016/cm以下であることが好ましい。これは、第2の半導体膜5が上記不純物で汚染されていると、第1の半導体膜4との界面でバンドの曲がりを起こし、スウィング特性の劣化や閾値電圧のシフトを起こすためである。
【0038】
次に、工程1cに示すように、感光性のある有機絶縁膜あるいは有機・無機ハイブリッド絶縁膜12を塗布する。上記材料としては、例えば、感光性BCB(Benzo-Cyclo-Butene)やSOG(Spin On Glass)などが挙げられる。その後、露光・現像によりパターニングを行い、200〜300℃程度のアニール処理を施すことで活性半導体層6上にバックチャンネル保護絶縁膜7を形成する(工程1d)。このような材料を用いることで、固定電荷の少ない良好な絶縁膜を低温で形成することができる。バックチャンネル保護絶縁膜7は、固定電荷が活性半導体層6に与える影響を緩和させるために設けられた層である。そのため、膜中の固定電荷量は単位面積あたり3.5×1011/cm以下であることが好ましい。これは、上記値以上の固定電荷量が活性半導体層6上に存在すると、スウィング特性、オフ特性、飽和特性の劣化、閾値電圧のシフトが起こるためである。
【0039】
次に、工程1eに示すように、PE−CVD法により、リンを含むn型の非晶質シリコン膜をオーミックコンタクト膜8として25nm成膜する。フォトリソグラフィ工程後、ドライエッチング法を用いてパターニングする。この際、下地にある活性半導体層6も同時にパターニングする。
【0040】
次に、工程1fに示すように、モリブデンタングステン(MoW)/アルミニウム(Al)/モリブデンタングステン(MoW)の3層からなる積層膜を、この順に、それぞれ38nm/500nm/75nm成膜し、フォトリソグラフィ工程を経て、ウェットエッチング法を用いてパターニングし、ソース・ドレイン電極9を形成する。その後、ソース・ドレイン電極9形成に使用したレジストをそのまま利用し、ドライエッチング法によりn型非晶質シリコンからなるオーミックコンタクト膜8を除去する。その際、バックチャンネル保護絶縁膜7はドライエッチングから活性半導体層6を守るエッチストッパとしての役割も担う。
【0041】
次に、工程1gに示すように、PE−CVD法によりシリコン窒化膜からなる保護膜10を400nmほど成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、コンタクトホールを開口する。その後、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの下部電極11をスパッタリング法により150nmほど成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、パターニングする。このようにして、実施例1の有機EL表示装置200向け薄膜トランジスタ15を作製することができる。
【0042】
したがって、実施例1の有機EL表示装置200に係る薄膜トランジスタ15によれば、固定電荷の少ないバックチャンネル保護絶縁膜7を活性半導体層6上に設けることにより、バックチャンネル効果を抑制することができる。それにより、オフ特性、スウィング特性、飽和特性を良好にし、閾値電圧のシフトを改善することが可能になる。また、バックチャンネル保護絶縁膜7をエッチストッパとしても利用することにより、オーミックコンタクト膜8除去の際に起こる活性半導体層6へのオーバーエッチングを防ぐことができる。それにより、高結晶性の半導体膜4と低結晶性の半導体膜5を所望の厚さに設定することができ、良好なオン特性とオフ特性を実現することができる。
【実施例2】
【0043】
図9には、本発明の実施例2に係る有機EL表示装置における、薄膜トランジスタ25の製造における各工程時の断面図が示されている。なお、この薄膜トランジスタが使用される有機EL表示装置の構成は、実施例1における図5の有機EL表示装置200の構成並びに図6及び図7の薄膜トランジスタ基板100の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
本実施例に係る薄膜トランジスタ25の製造方法の特徴は、ソース・ドレイン電極9をパターニング後、活性半導体層6上のオーミックコンタクト膜8の一部を、プラズマ酸化させることでバックチャンネル保護絶縁膜7を形成する点にある。なお、本実施例と実施例1とで重複する説明は省略する。
【0045】
まず、図9の工程2aに示すように、実施例1と同様に、ガラスなどの絶縁性材料からなる基板1上に、ゲート電極2を形成し、次いで、ゲート絶縁膜3を成膜する。続いて、第1の半導体膜4、第2の半導体膜5からなる活性半導体層6をゲート絶縁膜3上に形成する。その後、活性半導体層6上に、PE−CVD法により、リンを含むn型の非晶質シリコン膜をオーミックコンタクト膜8として10nm成膜する。
【0046】
次に、工程2bに示すように、フォトリソグラフィ工程後、ドライエッチング法を用いて活性半導体層6とオーミックコンタクト膜8とからなる膜をパターニングする。
【0047】
次に、工程2cに示すように、実施例1と同様に、活性半導体層6とオーミックコンタクト膜8とからなる膜上にソース・ドレイン電極9を形成する。その後、工程2dに示すように、ソース・ドレイン電極9の形成に使用したレジスト13をそのままマスクとして利用し、ソース・ドレイン電極9に挟まれたチャンネル領域のオーミックコンタクト膜8に酸素プラズマ処理を施し絶縁膜へと改質させる。これにより、低温で固定電荷量の少ないバックチャンネル保護絶縁膜7を形成することができる。
【0048】
次に、工程2eに示すように、PE−CVD法によりシリコン窒化膜からなる保護膜10を400nmほど成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、コンタクトホールを開口する。その後、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの下部電極11をスパッタリング法により150nmほど成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、パターニングする。このようにして、実施例2の有機EL表示装置向け薄膜トランジスタ25を作製する。
【0049】
実施例2の薄膜トランジスタ25によれば、オーミックコンタクト膜8を酸化しバックチャンネル保護絶縁膜7を形成するため、バックチャンネル保護絶縁膜7内の固定電荷の発生を抑えることができる。それにより、バックチャンネル効果が抑制され、オフ特性、スウィング特性、飽和特性に優れ、閾値電圧のシフトが小さい薄膜トランジスタ25を作製できる。また、ソース・ドレイン電極9のレジスト13を利用しバックチャンネル保護絶縁膜7を形成するため、フォトリソグラフィ工程を1回削減することができ、製造コストを削減することができる。
【実施例3】
【0050】
図10には、本発明の実施例3に係る有機EL表示装置における、薄膜トランジスタ35の製造における各工程時の断面図が示されている。なお、この薄膜トランジスタ35が使用される有機EL表示装置の構成は、実施例1における図5の有機EL表示装置200の構成、並びに図6及び図7の薄膜トランジスタ基板100の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本発明の実施例3に係る薄膜トランジスタ35の各工程時の断面図である。本実施例に係る薄膜トランジスタ35の製造方法の特徴は、作製に必要なフォトリソグラフィ工程数が削減でき、尚且つ、オン特性に優れる点にある。なお、本実施例と実施例1とで重複する説明は省略する。
【0052】
まず、図10の工程3aに示すように、実施例1と同様に、ガラスなどの絶縁性材料からなる基板1上に、ゲート電極2を形成し、次いで、ゲート絶縁膜3を成膜する。続いて、第1の半導体膜4、第2の半導体膜5からなる活性半導体層6をゲート絶縁膜3上に形成する。次いで、感光性のある有機絶縁膜あるいは有機・無機ハイブリッド絶縁膜を塗布する。その後、露光・現像によりパターニングを行い、アニール処理を施すことで活性半導体層6上にバックチャンネル保護絶縁膜7を形成する。
【0053】
次に、工程3bに示すように、そのままバックチャンネル保護絶縁膜7をマスクに使用し、ドライエッチング法を用いて活性半導体層6を島状パターニングする。このとき、工程3bに示したように、活性半導体層6の幅は、ゲート電極2の幅よりも小さくなるようにパターニングされる。これにより、ゲート電圧印加時に第1の半導体膜4内に形成される導電層と、オーミックコンタクト膜8がダイレクトに接続するため、第2の半導体膜5の厚さに起因した寄生抵抗の影響を受けなくなる。なお、工程3bに示す活性半導体層6の幅がチャンネル長となる。
【0054】
次に、工程3cに示すように、活性半導体層6上にオーミックコンタクト膜8、ソース・ドレイン電極9を形成する。このとき、オーミックコンタクト膜8のパターニングには、ソース・ドレイン電極9形成に使用したレジストをそのままマスクとして利用する。この際、活性半導体層6上にあるバックチャンネル保護絶縁膜7はエッチストッパ層としての役割も担う。
【0055】
次に、工程3dに示すように、PE−CVD法によりシリコン窒化膜からなる保護膜10を成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、コンタクトホールを開口する。その後、下部電極11をスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィ工程の後、パターニングする。このようにして、実施例3の有機EL表示装置向け薄膜トランジスタ35を作製する。
【0056】
実施例3の薄膜トランジスタ35によれば、バックチャンネル保護絶縁膜7を活性半導体層6のパターニングのマスクとして併用することにより、実施例1に比べフォトリソグラフィ工程数を1回削減することができる。また、活性半導体層6の幅をゲート電極2の幅よりも小さくなるようにパターニングすることで、電界効果により形成される導電層とオーミックコンタクト膜8がダイレクトに接続される。そのため、第2の半導体膜5の厚さに起因した寄生抵抗の影響を受けず、優れたオン特性を実現することができる。なお、本実施例のデバイス構造でオフ電流の増加が起こり設計要求値を満足しない場合でも、オーミックコンタクト膜8を活性半導体層6側から順に低不純物濃度層と高不純物濃度層の2層構造にすることでオフ電流を低減することが可能である。本実施例の薄膜トランジスタは、有機EL表示装置の駆動トランジスタに特に有効である。
【実施例4】
【0057】
図11は、本発明の実施例4の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの断面図である。本実施例の特徴は、実施例1に記載の作製プロセスを経て薄膜トランジスタを形成する点は同じであるが、バックチャンネル保護絶縁膜7の幅をゲート電極2の幅よりも大きくすることでオフセット幅14を設け、オフ電流の低減ができる点にある。ここで、オフセット幅とは、ソース電極側(ドレイン電極側)のバックチャンネル保護絶縁膜7の幅とゲート電極2の幅の差を示すものとする。実施例1との作製プロセスの唯一の違いは、バックチャンネル保護絶縁膜7のパターニングに際し、その幅をゲート電極2の幅よりも大きく設ける点にある。
【実施例5】
【0058】
図12は、本発明の実施例5の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの断面図である。本実施例の特徴は、実施例2に記載の作製プロセスを経て薄膜トランジスタを形成する点は同じであるが、バックチャンネル保護絶縁膜7の幅をゲート電極2の幅よりも大きくすることでオフセット幅14を設け、オフ電流の低減ができる点にある。実施例2との作製プロセスの唯一の違いは、ソース・ドレイン電極9の形成に際し、ソース・ドレイン電極9間の距離をゲート電極2の幅よりも大きく設ける点にある。これにより、図示のように、プラズマ酸化によりオーミックコンタクト膜8を改変させ形成されるバックチャンネル保護絶縁膜7とゲート電極2との間にオフセット幅14が設けられる。
【実施例6】
【0059】
図13は、本発明の実施例6の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタの断面図である。本実施例に係る薄膜トランジスタは、実施例3に記載のプロセスを経て作製されるオフセット幅14を持った薄膜トランジスタである。実施例3との作製プロセスの唯一の違いは、バックチャンネル保護絶縁膜7のパターニングに際し、その幅をゲート電極2の幅よりも大きく設ける点にある。
【0060】
実施例4〜6に示したように、オフセット幅14を設けることで、オーミックコンタクト膜8とゲート電圧印加時に形成される導電層との間に存在する活性半導体層6が電界緩和層としてはたらき、追加のプロセス無しにオフ電流を低減することができる。この構造は特に、低オフ電流値が要求されるスイッチトランジスタに対し有効である。オフセット幅14は要求されるオフ電流値を満足する範囲で、1μm〜5μmがよい。1μm以下である場合、加工寸法の誤差によるトランジスタ特性のバラツキが生じ、5μm以上である場合はオン電流が著しく低下するためである。
【0061】
上述の実施形態の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタによれば、オフ特性、スウィング特性、飽和特性に優れ、閾値電圧のシフトを小さく抑えた薄膜トランジスタを実現することが可能になる。そのため、この薄膜トランジスタを有機EL表示装置に用いることにより、高コントラスト比、低い消費電力、輝度バラツキの抑制を実現することができ、表示装置の高性能化を図ることができる。
【0062】
なお、本発明の有機EL表示装置に係る薄膜トランジスタは、上部電極側から発光を取り出すトップエミッション型有機EL表示装置および下部電極側から発光を取り出すボトムエミッション型有機EL表示装置、どちらに対しても適用可能である。また、カラーフィルタを用いる有機EL表示装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 基板、2 ゲート電極、3 ゲート絶縁膜、4 第1の半導体膜、5 第2の半導体膜、6 活性半導体層、7 バックチャンネル保護絶縁膜、8 オーミックコンタクト膜、9 ソース・ドレイン電極、10 保護膜、11 下部電極、12 有機・無機ハイブリッド絶縁膜、13 レジスト、14 オフセット幅、15 薄膜トランジスタ、16 第1の絶縁性膜、17 第2の絶縁性膜、18 有機EL層、19 上部電極、25 薄膜トランジスタ、35 薄膜トランジスタ、100 薄膜トランジスタ基板、101 データドライバ、102 選択走査ドライバ、103 電源走査ドライバ、104 表示部、105 データ線、106 選択線、107 電源線、108 画素、109 有機EL素子、110 ストレージキャパシタ、111 スイッチトランジスタ、112 駆動トランジスタ、200 有機EL表示装置、210 上フレーム、220 下フレーム、230 フレキシブル基板、240 回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
基板と、
前記基板の上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられた第1の半導体膜と、
前記第1の半導体膜上に設けられた第2の半導体膜と、
前記第2の半導体膜上に設けられたバックチャンネル保護絶縁膜と、を備え、
前記第1の半導体膜は、前記第2の半導体膜より高い結晶性を有し、
前記バックチャンネル保護絶縁膜は、感光性のある有機絶縁膜、又は感光性のある有機・無機ハイブリッド絶縁膜である、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
基板と、
前記基板の上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられた第1の半導体膜と、
前記第1の半導体膜上に設けられた第2の半導体膜と、
前記第2の半導体膜上に設けられたオーミックコンタクト膜及びバックチャンネル保護絶縁膜と、を備え、
前記第1の半導体膜は、前記第2の半導体膜より高い結晶性を有し、
前記バックチャンネル保護絶縁膜は、前記オーミックコンタクト膜と連続した膜で形成されている、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
前記バックチャンネル保護絶縁膜は、前記オーミックコンタクト膜の一部を酸化、窒化、もしくは酸窒化することにより形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記バックチャンネル保護絶縁膜の固定電荷量は、単位面積あたり 3.5×1011/cm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記第1の半導体膜の厚さは、20nm以上60nm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記第2の半導体膜の厚さは、10nm以上50nm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記第2の半導体膜内に含まれるリンもしくはボロンの濃度が3×1016/cm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−71440(P2011−71440A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223265(P2009−223265)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】