説明

板状被研削物の研削装置及び研削方法

【課題】簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削する。
【解決手段】研削砥石27がチャックテーブル10の回転中心X上に載るようにチャックテーブル10の回転中心Xと研削ホイール25の回転中心Yとをオフセットして配置する。第1のエアーベアリング13に1対のチャック側圧力ポートを設け、第2のエアーベアリング26に1対の砥石側圧力ポートを設ける。第1のエアーベアリング13のハウジング12は、ウェーハ9の研削砥石27に対する当たり面の傾斜角を調整可能に構成する。1対のチャック側圧力ポートと1対の砥石側圧力ポートとで検出した圧力差PAC、PBWに基づいて、第1のエアーベアリング13のハウジング12を傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハなどの板状被研削物の研削装置及び研削方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェーハをチャックテーブルに吸引保持した状態で回転させ、回転する研削ホイールの下面に配置した砥石で半導体ウェーハを研削する研削装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この研削装置では、2つの研削ホイールを有し、各研削ホイール下面の研削砥石を半導体ウェーハに対してそれぞれ異なる方向に傾斜させて配置し、当たり面を調整した状態で各研削ホイールで研削することで、一定方向にソーマーク(研削条痕)が発生しないようにしている。
【0004】
また、研削ホイールやチャックテーブルをエアーベアリングで支持することで、クッション性をもたせ、脆性材料であるシリコンが破損しないように研削するものが知られている。例えば、特許文献2では、エアーベアリングを備えた半導体ウェーハの研削装置が開示されている。この研削装置では、砥石を取り付けるホイールマウンタと所定の間隔を空けてスラストプレートを配置し、研削ホイールが撓まないようにしている。
【特許文献1】特開2000−288881号公報
【特許文献2】特開平11−138432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の研削装置では、2つの研削ホイールを必要とするので、装置が大がかりとなる。また、各研削ホイール間を移動する工程が必要となり、工数が増えるという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2の研削装置は、垂直荷重に対する剛性を高めることはできるが、研削負荷の変化により砥石の撓み量が変化することは避けられない。また、チャックテーブル側のエアーベアリングの撓みは考慮されていない。したがって、ウェーハ及び研削砥石に研削圧力が負荷されたときに、砥石とチャックテーブルが傾き、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持することができず、仕上面が中凸状や中凹状に形成され、均一な厚さに研削することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、チャックテーブル側のエアーベアリングのハウジングを傾斜可能に構成した。
【0009】
具体的には、第1の発明では、第1のエアーベアリングに回転可能に支持され、板状被研削物を吸引保持するチャックテーブルと、該板状被研削物を研削する円環状の研削砥石を有し、第2のエアーベアリングに回転可能に支持された研削ホイールとを備え、上記研削砥石が上記チャックテーブルの回転中心上に載るように該チャックテーブルの回転中心と上記研削ホイールの回転中心とがオフセットして配置された研削装置を対象とする。
【0010】
そして、上記第1のエアーベアリングは、少なくとも1対のチャック側圧力ポートを備え、
上記第2のエアーベアリングは、少なくとも1対の砥石側圧力ポートを備え、
上記第1のエアーベアリングのハウジングは、上記板状被研削物の研削砥石に対する当たり面の傾斜角を調整可能に構成され、
上記チャック側圧力ポートと上記砥石側圧力ポートとで検出した圧力差に基づいて、上記エアーベアリングのハウジングを傾斜させるように構成されている。
【0011】
すなわち、チャックテーブルと研削ホイールとは、それぞれ第1又は第2のエアーベアリングにそれぞれ回転可能に支持されているので、研削中に研削砥石から板状被研削物に研削圧力が負荷されると、チャックテーブル及び研削ホイールが傾く。板状被研削物は、チャックテーブル上に載置され、円環状の砥石によって研削されることから、チャックテーブルと研削ホイールとが傾斜すると、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行が維持できず、研削後の板厚が均等とはならない。しかし、上記の構成によると、チャック側圧力ポートと砥石側圧力ポートとで検出した圧力差から、チャックテーブルや研削ホイールの傾きを検出し、チャックテーブル上面と研削砥石研削面とが平行になるように、エアーベアリングのハウジングを傾斜させることができるので、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0012】
第2の発明では、上記第1のエアーベアリングのハウジングは、1つのチルト支点と、1対のボールネジとで三点支持されている。
【0013】
上記の構成によると、1対のボールネジを上下に推進させると、エアーベアリングのハウジングがチルト支点を中心に傾斜し、板状被研削物と研削砥石との当たり面が調整されるので、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0014】
第3の発明では、上記1対のボールネジは、上記研削砥石及び上記板状被研削物の外周端の交点と、上記チャックテーブルの回転中心とを結んだ基準直線に対して略平行になるように配置されている。
【0015】
すなわち、砥石が板状被研削物に対して当接する基準直線は、板状被研削物全体を効率よく研削するために、チャックテーブルの回転中心を通っている。上記の構成によると、1対のボールネジが基準直線に対して略平行に配置されているので、このボールネジを上下させることで、チャックテーブルを支持する第1のエアーベアリングのハウジングを傾斜させて、均等な力で砥石と板状被研削物とが当たるように調整される。
【0016】
第4の発明では、1対のチャック側圧力ポートは、平面視でチャックテーブルの中心を通り、上記基準直線に対して略平行な直線上に該中心から等しい距離を空けてそれぞれ配置され、
1対の砥石側圧力ポートは、平面視で研削ホイールの中心を通り、上記基準直線に対して略垂直な直線上に該中心から等しい距離を空けてそれぞれ配置されている。
【0017】
上記の構成によると、基準直線に対して圧力ポートが適切に配置されているので、基準直線に対するチャックテーブル及び研削ホイールの傾きが圧力差から容易に検出される。このことで、必要なエアーベアリングのハウジングの傾斜量を推定できるので、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0018】
第5の発明では、上記ボールネジは、上記検出した圧力差に合わせてボールネジ駆動手段により進退可能に構成されている。
【0019】
上記の構成によると、検出した圧力差を元にボールネジが駆動されて第1のエアーベアリングのハウジングが傾斜され、チャックテーブルの傾きが調整される。このため、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0020】
第6の発明では、上記ボールネジ駆動手段は、サーボモータ又はステッピングモータと減速機とからなるものとする。
【0021】
上記の構成によると、ボールネジは、減速機を介してサーボモータ又はステッピングモータの駆動力を伝達できるので、極めて微少量でも瞬時に進退可能となる。このため、高い精度でチャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0022】
第7の発明では、上記板状被研削物は、半導体ウェーハとする。
【0023】
上記の構成によると、脆性材料であり、極めて高精度な仕上げを要求される半導体ウェーハが均一な厚さで研削される。
【0024】
第8の発明では、板状被研削物の研削方法を対象とし、
第1のエアーベアリングに回転可能に支持されたチャックテーブルに板状被研削物を吸引保持する工程と、
上記板状被研削物を研削する円環状の研削砥石を有し、第2のエアーベアリングに回転可能に支持された研削ホイールを、上記研削砥石が上記チャックテーブルの回転中心上に載るように配置する工程と、
上記第1のエアーベアリングに設けた1対のチャック側圧力ポートの圧力差の許容範囲と、上記第2のエアーベアリングに設けた1対の砥石側圧力ポートの圧力差の許容範囲とを予め設定する工程と、
上記チャックテーブルを回転させると共に、上記研削ホイールを回転させ、上記研削砥石を上記板状被研削物に近付けて当接させ、押し付けながら研削する工程と、
上記研削中の上記1対のチャック側圧力ポートの圧力差と、上記1対の砥石側圧力ポートの圧力差とを計測する工程と、
上記1対のチャック側圧力ポートの圧力差又は1対の砥石側圧力ポートの圧力差が設定された圧力差の許容範囲を外れたときに、ボールネジを進退させ、チャックテーブルの傾きを調整する工程とを含んでいる。
【0025】
すなわち、チャックテーブルと研削ホイールとは、それぞれ第1又は第2のエアーベアリングにそれぞれ回転可能に支持されているので、研削中に研削砥石から板状被研削物に研削圧力が負荷されると、チャックテーブル及び研削ホイールが傾く。板状被研削物は、チャックテーブル上に載置され、円環状の砥石によって研削されることから、チャックテーブルと研削ホイールとが傾斜すると、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持できず、研削後の板厚が均等とはならない。しかし、上記の構成によると、チャック側圧力ポートと砥石側圧力ポートとで検出した圧力差から、チャックテーブルや研削ホイールの傾きを検出し、チャックテーブル上面と研削砥石研削面とが平行になるように、エアーベアリングのハウジングを傾斜させることができるので、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0026】
第9の発明では、上記ボールネジを進退させ、チャックテーブルの傾きを調整する工程は、上記研削工程中で形状変化速度が最少となる最終仕上げ工程において行われる。
【0027】
上記の構成によると、研削工程の中で、最終形状を決める段階の最も仕上げ精度が要求される最終仕上げ工程において、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われる。
【0028】
第10の発明では、上記板状被研削物は、半導体ウェーハとする。
【0029】
上記の構成によると、脆性材料であり、極めて高精度な仕上げを要求される半導体ウェーハが均一な厚さで研削される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、上記第1及び第8の発明によれば、第1のエアーベアリングのハウジングを、板状被研削物の研削砥石に対する当たり面の傾斜角が調整できるように構成し、チャック側圧力ポートと砥石側圧力ポートとで検出した圧力差に基づいて、第1のエアーベアリングのハウジングを傾斜させるようにしている。このため、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら板状被研削物の研削が行われるので、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0031】
上記第2の発明によれば、1対のボールネジを上下に推進させると、第1のエアーベアリングのハウジングがチルト支点を中心に傾斜するようにしている。このため、簡単にチャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、極めて簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0032】
上記第3の発明によれば、1対のボールネジをチャックテーブルの中心を通り、平面視で基準直線に対して略平行な直線上に配置し、ボールネジを上下させることで、第1のエアーベアリングのハウジングを傾斜させるようにしている。このため、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0033】
上記第4の発明によれば、1対のチャック側圧力ポート及び1対の砥石側圧力ポートを基準直線に対して適切に配置し、基準直線に対するチャックテーブル及び研削ホイールの傾きを圧力差から検出している。このため、検出した圧力差から、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0034】
上記第5の発明によれば、検出した圧力差に合わせてボールネジをボールネジ駆動手段により進退させてチャックテーブルの傾きを調整するようにしている。このため、簡単な構成で容易にチャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0035】
上記第6の発明によれば、ボールネジ駆動手段をサーボモータ又はステッピングモータと減速機で構成し、極めて微少量でも瞬時にチャックテーブルの傾きを調整するようにしている。このため、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【0036】
上記第7及び第10の発明によれば、研削対象である板状被研削物を脆性材料であり、極めて高精度な仕上げを要求される半導体ウェーハとしている。このため、本発明の作用効果が顕著に発揮される。
【0037】
上記第9の発明では、最も仕上げ精度が要求される最終仕上げ工程においてボールネジを進退させている。このため、ボールネジの進退を必要最小限の最終仕上げ工程でのみ行うことで、新たな工程を増やすことなく、簡単な構成で容易に板状被研削物を均一な厚さに研削することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1に本発明の実施形態にかかる研削装置1を示し、この研削装置1は、基台2と、この基台2から略垂直に立設された縦壁部3とを備えている。この縦壁部3の正面側には、1対のレール4が基台2に対して略垂直に配設されている。このレール4には、スライド板5が上下方向にスライド移動可能に取り付けられている。このスライド板5から略垂直に縦壁部3に向かって推進部6が設けられている。この推進部6には、雌ネジが設けられている。
【0040】
すなわち、上記縦壁部3の上端には、推進モータ7が設けられ、その駆動軸である推進軸8には、推進ネジ(ボールネジ)が設けられている。この推進ネジに上記推進部6の雌ネジが嵌合し、推進モータ7を駆動することで、上記スライド板5が上下にスライド移動可能となっている。
【0041】
上記基台2には、板状被研削物としての半導体ウェーハ9を吸引保持するチャックテーブル10が設けられている。すなわち、基台2の上面には、中央に貫通孔11aが設けられたベース11が配置されている。このベース11の貫通孔11aにベアリングハウジング12が配置されている。ベアリングハウジング12内には、第1のエアーベアリング13が配置され、この第1のエアーベアリング13にチャックテーブル10が回転可能に支持されている。
【0042】
図2に示すように、上記チャックテーブル10は、回転中心Xを頂点とする極めて小さい勾配の傾斜面からなる多孔質材料で形成された円錐面10aを有している。チャックテーブル10は、下方に向かって伸びる中心軸10bを有し、その中心には、空気孔10cが設けられている。この空気孔10cから空気を吸引することで、円錐面10aの多数の孔から空気を吸引して半導体ウェーハ9が吸引保持されるようになっている。円錐面10aの反対側には、平坦な表面を有する円板状の底部10dが形成されている。
【0043】
上記第1のエアーベアリング13は、表面がカーボンなどの多孔質材料で構成され、図示しない圧力源から供給される加圧気体を小さな孔からチャックテーブル10の中心軸10b及び底部10dに吹き付けて発生した静圧によって、チャックテーブル10を回転可能に支持するようになっている。
【0044】
図1に示すように、チャックテーブル10の中心軸10bの下端部は、カップリング14でチャック回転軸15に傾斜可能に連結されている。このチャック回転軸15は、その下端側にチャック側プーリー16が設けられている。このチャック側プーリー16に嵌められたベルト17がチャック回転用モータ18に駆動されるようになっている。
【0045】
一方、上記スライド板5には、砥石回転用モータ20が設けられている。この砥石回転用モータ20のホイール回転軸21は、ステータ22に対して傾斜可能な状態で回転可能となっている。図2に示すように、このホイール回転軸21には、研削ホイール25の中心軸25aが連結されている。この研削ホイール25の中心軸25aは下端部に円板状に広がった表面が平坦な円板部25bを有し、その下側に砥石取付部25cが設けられている。この砥石取付部25cの下端にウェーハ9を研削する円環状の研削砥石27が着脱可能に取り付けられている。例えば、この研削砥石27は、円環状のアルミフレームにダイヤモンド砥石が取り付けられた構造となっている。
【0046】
上記砥石回転用モータ20の下端側内面には、第2のエアーベアリング26が設けられている。この第2のエアーベアリング26も、上記第1のエアーベアリング13と同様に構成され、加圧気体を小さな孔から研削ホイール25の中心軸25a及び円板部25bに吹き付けて発生した静圧によって、研削ホイール25を回転可能に支持するようになっている。
【0047】
そして、上記研削砥石27が上記チャックテーブル10の回転中心X上に載るように該チャックテーブル10の回転中心Xと上記研削ホイール25の回転中心Yとがオフセットして配置されている。
【0048】
本発明の特徴として、図1に示すように、上記第1のエアーベアリング13のベアリングハウジング12は、上記ウェーハ9の研削砥石27に対する当たり面の傾斜角を調整可能に構成されている。すなわち、基台2上のベース11には、1つのボール形状のチルト支点30と1対のボールネジ31,32とが設けられている。
【0049】
ボールネジ31はベアリングハウジング12に固定され内面に雌ネジを有するボールネジナット31aに嵌合し、減速機31bを介してボールネジ駆動モータ31cを駆動することによりボールネジナット31aが上下する構造となっている。ボールネジ駆動モータ31cはサーボモータ又はステッピングモータよりなる。ボールネジ32も同様の構造となっている。
【0050】
上記チルト支点30と1対のボールネジ31,32との位置関係について、図3を用いて具体的に説明する。平面視で研削砥石27とウェーハ9の外周との交点C1とチャックテーブル10の中心点C2とを結んで基準直線Zを引く。この基準直線Zに対して略平行となる位置に第1のボールネジ31と第2のボールネジ32とを配置する。この1対のボールネジ31,32に対して正三角形をつくるように上記チルト支点30を配置する。この正三角形の中心は、チャックテーブル10の中心と一致している。このように配置することで、ベアリングハウジング12が3点で支持され、チャックテーブル10が研削砥石27のウェーハ9に対する当たり面に対して傾斜可能に構成されている。
【0051】
そして、上記基準直線Zに略平行となる第1のエアーベアリング13の中心に対して対向する位置に1対のチャック側圧力ポート41,42が設けられている。この1対のチャック側圧力ポート41,42は、第1圧力ポート41及び第2圧力ポート42からなる。図4に示すように、第1圧力ポート41で第1のエアーベアリング13表面とチャックテーブル10の底部10dとの間における第1のボールネジ31側の圧力P1 が検出され、第2圧力ポート42で第2のボールネジ32側の圧力P2 が検出されるようになっている。すなわち、図5に示すように、研削加工中は研削負荷によりチャックテーブル10が第2のボールネジ32側へ傾くので、第1のエアーベアリング13表面とチャックテーブル10の底部10dとの間の隙間が狭くなって、P2 が大きくなり(P2 >P1 )、その圧力差PAC(PAC=P2 −P1 )が生じる。
【0052】
同様に上記基準直線Zに略垂直となる第2のエアーベアリング26における中心に対して対向する位置に1対の砥石側圧力ポート43,44を設ける。この1対の砥石側圧力ポート43,44は、第3圧力ポート43及び第4圧力ポート44からなる。図2に示すように、第3圧力ポート43で第2のエアーベアリング26の表面と円板部25bとの間におけるチャックテーブル10と反対側の圧力P3 が検出され、第4圧力ポート44でチャックテーブル10側の圧力P4 が検出されるようになっている。すなわち、研削加工中は研削負荷により研削砥石27がチャックテーブル10側へ傾くので、第2のエアーベアリング26の表面と円板部25bとの間の隙間が狭くなって、P4 が大きくなり(P4 >P3 )、その圧力差PBW(PBW=P4 −P3 )が生じる。
【0053】
このように研削砥石27とウェーハ9とは、互いに第1のエアーベアリング13又は第2のエアーベアリング26上に静圧によって隙間を空けて支持されているため、研削中に研削砥石27がウェーハ9に当接すると、チャックテーブル10や研削ホイール25が傾斜する。このため、研削後のウェーハ9の厚さが均一となるようにチャックテーブル10の傾斜を調整する。具体的には、加工したウェーハ9の形状を測定し、その測定データを基に第1及び第2のボールネジ31,32を駆動してチャックテーブル10の傾斜を調整する。しかし、ウェーハ9の研削を繰り返すと砥石の切れ味の変化により研削負荷が変わるため、チャックテーブル10の傾斜を調整した後も研削中のチャックテーブル9及び研削砥石27の傾斜量が変化し、この傾斜量の変化によりウェーハ9の表面形状も変化する。前述の要領でチャックテーブル10の傾斜調整を終えウェーハ9を理想的な形状に研削できる状態にあるときの加工中のチャックテーブル側圧力ポート41,42の圧力差をP0AC、砥石側圧力ポート43,44の圧力差をP0BWとすると、実研削時のチャックテーブル側圧力ポート41,42の圧力差PACとP0AC、砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWとP0BWとの関係により、ウェーハ9の表面は、図6に示す以下の4つのパターンに分類される。
【0054】
すなわち、図5に示すように、1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACがP0ACよりも大きいときは、チャックテーブル10は第2のボールネジ32側へ傾き、中央がよく削れて、全体として中央が低い中凹傾向となる。一方、圧力差PACがP0ACよりも小さいときは、チャックテーブル10が第1のボールネジ31側へ傾き、外側がよく削れて、全体として、中央が高い中凸傾向となる。
【0055】
また、1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWがP0BWよりも大きいときは、研削砥石27はウェーハ9に押し戻されがちになるので、チャックテーブル10側へ傾き、当たり面の中央が膨らみ、全体としてM傾向となる。一方、圧力差PBWがP0BWよりも小さいときは、研削砥石27はウェーハ9に食い込みがちになり、研削砥石27がチャックテーブル10側に傾き、中央が強く当たるので、当たり面の中央が凹み、全体としてW傾向となる。
【0056】
これらの組み合わせにより、圧力差PACがP0ACよりも小さくかつ圧力差PBWがP0BWよりも大きいときは、図6(a)に示すように中凸M形状となり、圧力差PACがP0ACよりも小さくかつ圧力差PBWがP0BWよりも小さいときは、図6(b)に示すように中凸W形状となる。
【0057】
また、圧力差PACがP0ACよりも大きくかつ圧力差PBWがP0BWよりも大きいときは、図6(c)に示すように中凹M形状となり、圧力差PACがP0ACよりも大きくかつ圧力差PBWがP0BWよりも小さいときは、図6(d)に示すように中凹W形状となる。
【0058】
−運転動作−
次に、本実施形態にかかる研削装置1の運転動作について説明する。
【0059】
(ティーチング作業)
予め、上記ウェーハ9の形状が目標とする形状に研削できるようにチャックテーブル10の傾きを調整し、上記ウェーハ9の形状が目標とする形状であるときの研削中の1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差P0AC(P0AC=P2 −P1 )と、1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差P0BW(P0BW=P4 −P3 )とを計測する。目標とする形状とは、研削後の要求される製品の板厚に仕上がった形状をいう。
【0060】
また、上記1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差の許容範囲ΔPACと、上記1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差の許容範囲ΔPBWとを設定しておく(図9及び図10のステップS1)。圧力差の許容範囲は上記計測値P0AC及びP0BWを基準としてその上下に所定の幅をもたせた範囲とする。すなわち、研削時の圧力差が圧力差の許容範囲から外れると、厚さのばらつきが、製品として要求される厚さの製造誤差範囲を超えるような値とする。
【0061】
さらに、図8に示すように、上記1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACとチャックテーブル10の傾きとの関係を求めておく。すなわち、いくらチャックテーブル10の底部10dが傾くと、圧力差PACがいくらになるかを求めておく。同様に、いくら研削ホイール25の砥石取付部25cが傾くと、圧力差PBWがいくらになるかを求めておく。本実施形態では、この両者は同じ傾きを有しているが、両者が異なる場合であってもよい。このグラフより、研削中に実際に計測した圧力差PAC、PBWから、チャックテーブル10の底部10dや研削ホイール25の砥石取付部25cの傾きが推定される。
【0062】
図3及び図5に示すように、上記推定されたチャックテーブル10の傾きから第1及び第2のボールネジ31,32の移動量が計算される。すなわち、その移動量は、チャックテーブル10の底部10dの外周端の上下方向の変位(h1)に第1及び第2のボールネジ31,32間のスパンSBを掛けたものをチャックテーブル10の外径LCで割った値(h1×SB/LC)となる。
【0063】
同様に、上記推定された研削ホイール25の傾きから第1及び第2のボールネジ31,32の移動量が計算される。すなわち、その移動量は、研削ホイール25の砥石取付部25c外周端の上下方向の変位(h2)に第1及び第2のボールネジ31,32を結ぶ直線とチルト支点30との間のスパンSPを掛けたものを砥石取付部直径LWで割った値(h2×SP/LW)となる。
【0064】
(研削作業)
次いで、図7を用いて研削作業について説明する。図7には、砥石回転用モータ20の消費電力、ウェーハに設けたゲージ(図示せず)から送られてくるゲージ信号及び切り込み座標が示されている。
【0065】
研削時には、まず、チャックテーブル10にウェーハ9を吸引保持し、チャック回転用モータ18を駆動してチャックテーブル10を回転させる。
【0066】
次いで、移動工程において、砥石回転用モータ20を駆動して研削ホイール25を回転させると共に、研削砥石27がチャックテーブル10の回転中心X上に載るまで、推進モータ7を駆動して研削ホイール25を下降させる。すると、チャックテーブル10は、第1のエアーベアリング13に、研削ホイール25は、第2のエアーベアリング26に、それぞれ隙間を空けて載置されているので、チャックテーブル10又は研削ホイール25は、傾斜するのみで、すぐに研削は始まらない。
【0067】
そして、P1において、ある程度ウェーハ9に荷重が負荷された段階で研削が開始され、さらに、研削ホイール25を下降させて荷重を加え、ウェーハ9を研削する。
【0068】
次いで、P2以降では、一定のスピードで安定して研削ホイール25を下降させて荒削りする(荒削り工程)。
【0069】
次いで、P3において、研削ホイール25の下降スピードを緩めて仕上げ工程を行う。
【0070】
次いで、P4以降の最終仕上げ工程(スパークアウト工程)において、切り込みを停止させ、研削砥石27とウェーハ9との間に溜まった撓みを開放する。この最終仕上げ工程では、形状変化速度が最少となり、最終形状が決まる。なお、最終仕上げ工程において、ゲージ信号が平坦なのは、測定子を上昇させているためである。
【0071】
この研削中の上記1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACと、上記1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWとを計測する(図9及び図10のステップS2)。
【0072】
図9に示すように、上記1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACが上記圧力差の許容範囲ΔPACの範囲内(ステップS3でNO)のときには、研削加工を継続する(S4)。
【0073】
一方、1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACが圧力差の許容範囲ΔPACよりも大きくなったとき(S5でYES)には、中凹傾向であると判断する。このときは、圧力差傾きグラフ(図8)から上述した方法で計算した量だけ第2のボールネジナット32aを上げ、第1のボールネジナット31aを下げる(S6)。例えば、PAC=0.1MPaのとき、グラフより傾きは0.05となる。そこで、0.05×SB/LCだけ第2のボールネジナット32aを上げ、第1のボールネジナット31aを下げる。
【0074】
反対に1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差PACが圧力差の許容範囲ΔPACよりも小さくなったとき(S5でNO)は、中凸傾向であると判断する。このときは、圧力差傾きグラフから計算した量だけ第2のボールネジナット32aを下げ、第1のボールネジナット31aを上げる(S7)。
【0075】
上記方法によりチャックテーブル10の傾きを調整した後の1対のチャック側圧力ポート41,42の圧力差を測定し(S8)、今度はこの測定値を基準として、その上下に所定の幅をもたせたものを新しい圧力差の許容範囲△PACとして設定する(S9)。そしてステップS2に戻る。
【0076】
また、図10に示すように、上記1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWが上記圧力差の許容範囲ΔPBWの範囲内(ステップS3でNO)のときには、研削加工を継続する(S4)。
【0077】
一方、1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWが圧力差の許容範囲ΔPBWよりも大きくなったとき(S5でYES)には、M傾向であると判断する。このときは、圧力差傾きグラフから計算した量だけ第1及び第2のボールネジナット31a,32aを同時に下げる(S6)。例えば、PBW=0.1MPaのとき、グラフより傾きは0.05となる。そこで、0.05×SP/LWだけ第1及び第2のボールネジナット31a,32aを同時に下げる。
【0078】
反対に1対の砥石側圧力ポート43,44の圧力差PBWが許容圧力差の許容範囲ΔPBWよりも小さくなったとき(S5でNO)は、W傾向であると判断する。このときは、圧力差傾きグラフから計算した量だけ第1及び第2のボールネジナット31a,32aを同時に上げる(S7)。
【0079】
上記方法によりチャックテーブル10の傾きを調整した後の1対の砥石側圧力ポート43,43の圧力差を測定し(S8)、今度はこの測定値を基準として、その上下に所定の幅をもたせたものを新しい圧力差の許容範囲ΔPBWとして設定する(S9)。そしてステップS2に戻る。
【0080】
最後に研削ホイール25をウェーハ9から離して研削を終了する。
【0081】
上記制御を同時に行うことで、上述した図6(a)乃至(d)に示す表面の凹凸の発生が防止される。
【0082】
なお、図9及び図10のステップS1は1個目のウェーハ9を研削するときのみ行い、2個目以降のウェーハ9を研削するときは前回に設定した許容圧力差範囲をそのまま使用できるので、ステップS2から開始すればよい。
【0083】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる研削装置1によると、第1のエアーベアリング13のベアリングハウジング12をウェーハ9の研削砥石27に対する当たり面の傾斜角を調整可能に構成し、1対のチャック側圧力ポート41,42と1対の砥石側圧力ポート43,44とで検出した圧力差PAC、PBWに基づいて、ベアリングハウジング12を傾斜させるようにしている。このため、チャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持しながら研削が行われるので、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0084】
また、1対のボールネジナット31a,32aを上下に推進させると、ベアリングハウジング12がチルト支点30を中心に傾斜するようにしている。このため、簡単にチャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、極めて簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0085】
また、1対のボールネジ31,32をチャックテーブル10の中心を通り、平面視で基準直線Zに対して略平行な直線上に配置し、1対のボールネジナット31a,32aを上下させることで、第1のエアーベアリング13のベアリングハウジング12を傾斜させるようにしている。このため、簡単にチャックテーブル上面と研削砥石研削面との平行を維持するように調整することができるので、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0086】
また、1対のチャック側圧力ポート41,42及び1対の砥石側圧力ポート43,44を基準直線Zに対して適切に配置し、基準直線Zに対するチャックテーブル10及び研削ホイール25の傾きを圧力差PAC、PBWから検出している。このため、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0087】
また、検出した圧力差PAC、PBWに合わせて1対のボールネジナット31a,32aをボールネジ駆動手段により進退させてチャックテーブルの傾きを調整するようにしている。このため、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0088】
また、1対のボールネジ31,32を駆動する手段をサーボモータ又はステッピングモータと減速機で構成し、極めて微少量でも瞬時にチャックテーブル10の傾きを調整するようにしている。このため、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0089】
また、極めて高精度な仕上げを要求される半導体ウェーハ9を研削対象としている。このため、本発明の作用効果が顕著に発揮される。
【0090】
さらに、最も仕上げ精度が要求される最終仕上げ工程において1対のボールネジナット31a,32aを進退させている。このため、1対のボールネジナット31a,32aの進退を必要最小限の工程で行うことで、新たな工程を増やすことなく、簡単な構成で容易にウェーハ9を均一な厚さに研削することができる。
【0091】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0092】
すなわち、上記実施形態では、第1のエアーベアリング13及び第2のエアーベアリング26にそれぞれ1対の圧力ポート41〜44を設けたが、それぞれ2対の圧力ポートを90度の間隔を空けて設けてもよい。
【0093】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本発明は、エアーベアリングを使用した導体ウェーハなどの板状被研削物の研削装置及び研削方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態にかかる研削装置を一部破断して示す側面図である。
【図2】チャックテーブル、研削ホイール及びその周辺を拡大して示す側方断面図である。
【図3】チャックテーブル、研削ホイール及びその周辺の位置関係の概略を示す平面図である。
【図4】研削砥石が当たる前のチャックテーブルの傾きを示す側方断面図である。
【図5】研削砥石が当たっているときのチャックテーブルの傾きを示す側方断面図である。
【図6】傾き制御を行わないときのウェーハの表面の形状パターンを示す説明図であり、(a)が中凸M形状を、(b)が中凸W形状を、(c)が中凹M形状を、(d)が中凹W形状をそれぞれ示す。
【図7】研削工程を示すグラフである。
【図8】圧力差と傾きとの関係を示すグラフである。
【図9】チャックテーブルの傾きを緩和する制御を示すフローチャートである。
【図10】砥石ホイールの傾きを緩和する制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 研削装置
9 ウェーハ(板状被研削物)
10 チャックテーブル
10a 円錐面
10b 中心軸(回転中心)
12 ベアリングハウジング
13 第1のエアーベアリング
18 チャック回転用モータ
25 研削ホイール
25a 中心軸(回転中心)
26 第2のエアーベアリング
27 研削砥石
30 チルト支点
31 第1のボールネジ
32 第2のボールネジ
41 第1圧力ポート(チャック側圧力ポート)
42 第2圧力ポート(チャック側圧力ポート)
43 第3圧力ポート(砥石側圧力ポート)
44 第4圧力ポート(砥石側圧力ポート)
Z 基準直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエアーベアリングに回転可能に支持され、板状被研削物を吸引保持するチャックテーブルと、
該板状被研削物を研削する円環状の研削砥石を有し、第2のエアーベアリングに回転可能に支持された研削ホイールとを備え、
上記研削砥石が上記チャックテーブルの回転中心上に載るように該チャックテーブルの回転中心と上記研削ホイールの回転中心とがオフセットして配置された研削装置であって、
上記第1のエアーベアリングは、少なくとも1対のチャック側圧力ポートを備え、
上記第2のエアーベアリングは、少なくとも1対の砥石側圧力ポートを備え、
上記第1のエアーベアリングのハウジングは、上記板状被研削物の研削砥石に対する当たり面の傾斜角を調整可能に構成され、
上記チャック側圧力ポートと上記砥石側圧力ポートとで検出した圧力差に基づいて、上記エアーベアリングのハウジングを傾斜させるように構成されていることを特徴とする研削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の研削装置において、
上記第1のエアーベアリングのハウジングは、1つのチルト支点と、1対のボールネジとで三点支持されていることを特徴とする研削装置。
【請求項3】
請求項2に記載の研削装置において、
上記1対のボールネジは、上記研削砥石及び上記板状被研削物の外周端の交点と、上記チャックテーブルの回転中心とを結んだ基準直線に対して略平行になるように配置されていることを特徴とする研削装置。
【請求項4】
請求項3に記載の研削装置において、
1対のチャック側圧力ポートは、平面視でチャックテーブルの中心を通り、上記基準直線に対して略平行な直線上に該中心から等しい距離を空けてそれぞれ配置され、
1対の砥石側圧力ポートは、平面視で研削ホイールの中心を通り、上記基準直線に対して略垂直な直線上に該中心から等しい距離を空けてそれぞれ配置されていることを特徴とする研削装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の研削装置において、
上記ボールネジは、上記検出した圧力差に合わせてボールネジ駆動手段により進退可能に構成されていることを特徴とする研削装置。
【請求項6】
請求項5に記載の研削装置において、
上記ボールネジ駆動手段は、サーボモータ又はステッピングモータと減速機とからなることを特徴とする研削装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の研削装置において、
上記板状被研削物は、半導体ウェーハであることを特徴とする研削装置。
【請求項8】
板状被研削物の研削方法であって、
第1のエアーベアリングに回転可能に支持されたチャックテーブルに板状被研削物を吸引保持する工程と、
上記板状被研削物を研削する円環状の研削砥石を有し、第2のエアーベアリングに回転可能に支持された研削ホイールを、上記研削砥石が上記チャックテーブルの回転中心上に載るように配置する工程と、
上記第1のエアーベアリングに設けた1対のチャック側圧力ポートの圧力差の許容範囲と、上記第2のエアーベアリングに設けた1対の砥石側圧力ポートの圧力差の許容範囲とを予め設定する工程と、
上記チャックテーブルを回転させると共に、上記研削ホイールを回転させ、上記研削砥石を上記板状被研削物に近付けて当接させ、押し付けながら研削する工程と、
上記研削中の上記1対のチャック側圧力ポートの圧力差と、上記1対の砥石側圧力ポートの圧力差とを計測する工程と、
上記1対のチャック側圧力ポートの圧力差又は1対の砥石側圧力ポートの圧力差が設定された圧力差の許容範囲よりも大きいときに、ボールネジを進退させ、チャックテーブルの傾きを調整する工程とを含んでいることを特徴とする板状被研削物の研削方法。
【請求項9】
請求項8に記載の板状被研削物の研削方法において、
上記ボールネジを進退させ、チャックテーブルの傾きを調整する工程は、上記研削工程中で形状変化速度が最少となる最終仕上げ工程において行われることを特徴とする板状被研削物の研削方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の板状被研削物の研削方法において、
上記板状被研削物は、半導体ウェーハであることを特徴とする板状被研削物の研削方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−54922(P2007−54922A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244837(P2005−244837)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】