検出装置、画像形成装置及びプログラム
【課題】保持部材の第1の方向のたわみを検出する。
【解決手段】第1のイメージセンサは、中間転写ベルトの裏面に形成されたラダーパターンチャートの濃度を測定する。記憶部は、第1のイメージセンサと中間転写ベルトの裏面との間の距離と、この第1のイメージセンサの測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す第1の関数を記憶する。制御部は、第1のイメージセンサにより測定されたラダーパターンチャートの濃度を用いて、ラダーパターンチャートにおいて隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。制御部は、記憶部に記憶された第1の関数を用いて、算出されたコントラストに対応する距離を特定し、特定した距離を上述した白領域及び黒領域と中間転写ベルトの裏面との間の距離として用いて、中間転写ベルトの幅方向のたわみを検出する。
【解決手段】第1のイメージセンサは、中間転写ベルトの裏面に形成されたラダーパターンチャートの濃度を測定する。記憶部は、第1のイメージセンサと中間転写ベルトの裏面との間の距離と、この第1のイメージセンサの測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す第1の関数を記憶する。制御部は、第1のイメージセンサにより測定されたラダーパターンチャートの濃度を用いて、ラダーパターンチャートにおいて隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。制御部は、記憶部に記憶された第1の関数を用いて、算出されたコントラストに対応する距離を特定し、特定した距離を上述した白領域及び黒領域と中間転写ベルトの裏面との間の距離として用いて、中間転写ベルトの幅方向のたわみを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
良好な画像形成を行うために、画像形成装置の構成又は画像形成に用いられる媒体の状態を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、イメージセンサを用いて、感光ドラムの回転振れの判定を行う技術が記載されている。特許文献2及び特許文献3には、光学センサを用いて転写ベルトの寄りを検知し、転写ベルトの寄り方向を変化させる技術が記載されている。特許文献4には、LED(light-emitting diodes)とフォトダイオードを用いて転写材の表面の粗さを検知し、トナー量の制御を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−009451号公報
【特許文献2】特開2006−259637号公報
【特許文献3】特開2007−192999号公報
【特許文献4】特開2005−257847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保持部材の第1の方向のたわみを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る検出装置は、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る検出装置は、請求項1に記載の検出装置において、前記第1の測定部は、当該第1の測定部と前記第2の面との間の距離が焦点距離より大きい距離になるような位置に配置され、前記検出部は、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る検出装置は、請求項1又は2に記載の検出装置において、前記保持部材の前記第1の面には、決められた濃度分布を有するテストチャートが保持され、前記テストチャートの濃度を測定する第2の測定部と、前記検出部により検出された前記たわみの状態に応じて、前記第2の測定部により測定された前記テストチャートの濃度に含まれる前記距離の変動により生じる誤差を補正する第1の補正部と、前記第1の補正部で補正した後の前記テストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部により形成される画像の濃度を補正する第2の補正部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る検出装置は、請求項1に記載の検出装置において、前記第1の測定部は、前記第2の面に光を照射する発光素子と、当該第2の面からの反射光を受光する受光素子とを有し、当該受光素子の受光光量を用いて前記濃度の測定を行い、前記記憶部は、前記保持部材における前記第1の方向のたわみ量が閾値以下である場合の前記第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラスト及び前記受光素子の受光光量を、それぞれ基準コントラスト及び基準光量として記憶し、前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記第1の測定部の焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る検出装置は、請求項4に記載の検出装置において、前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有し、前記第2の面には、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像が形成された保持部材と、前記第1の面に画像を形成する画像形成部と、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記保持部材を支持する支持部と、前記検出部により検出されたたわみが減るように前記支持部の位置又は角度を制御する支持制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部とを備えるコンピュータに、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出するステップと、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項3に係る発明によれば、誤差が補正されていないテストチャートの濃度分布に応じて画像の濃度を補正する場合に比べて、その補正精度を向上させることができる。
請求項4に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項6に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
請求項7に係る発明によれば、支持部の位置又は角度を制御しない場合に比べて、保持部材のたわみを減らすことがでできる。
請求項8に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図
【図2】画像形成部の構成を示す図
【図3】中間転写ベルトの裏面を示す図
【図4】第1のイメージセンサの構成を示す図
【図5】第1の関数のグラフを示す図
【図6】制御部の機能構成を示す図
【図7】実施形態に係る動作を示すフローチャート
【図8】測定された距離の一例を示す図
【図9】第2のイメージセンサから出力される信号の一例を示す図
【図10】変形例に係る受光光量と距離との対応関係を示す図
【図11】変形例に係る第1のイメージセンサの構成を示す図
【図12】変形例に係る第2の関数のグラフを示す図
【図13】変形例に係る動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、UI(User Interface)部14と、画像形成部15とを備えている。制御部11は、画像形成装置1の各部を制御する。制御部11は、例えばCPUとメモリとを備えている。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、制御部11の機能を実現する。通信部12は、通信回線に接続される通信インターフェースである。画像形成装置1は、通信部12を用いて、図示せぬクライアント装置と通信を行う。記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶装置である。UI部14は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部14は、画像形成装置1を操作するのに用いられる。画像形成部15は、電子写真方式で画像データに応じた画像を用紙等の媒体に形成する。
【0016】
図2は、画像形成部15の構成を示す図である。画像形成部15は、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kと、中間転写ベルト22と、二次転写ローラ23と、定着器24とを備えている。画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、感光体、帯電器、露光装置、現像器及び一次転写ローラを備えている。なお、図2では、感光体以外の構成の図示を省略している。感光体は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材であり、軸を中心に回転する。帯電器は、感光体の表面を均一に帯電させる。露光装置は、制御部11から供給された画像信号に応じて、帯電した感光体にレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。現像器は、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。なお、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kの現像器は、それぞれイエロー,マゼンタ,シアン及びブラックのトナー像を形成する。一次転写ローラは、感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト22に転写する。なお、ここでは、中間転写ベルト22において画像が転写される面を表面(第1の面の一例)といい、表面の裏側の面を裏面(第2の面の一例)という。
【0017】
中間転写ベルト22(保持部材の一例)は、一次転写ローラにより転写されたトナー像を二次転写ローラ23へと搬送する。中間転写ベルト22は、テンションローラ25と駆動ローラ26を含む複数のローラにより支持されている。駆動ローラ26は、中間転写ベルト22を駆動して、図中の矢印X方向に回転させる。テンションローラ25(支持部の一例)は、中間転写ベルト22の張力を調整する。二次転写ローラ23は、中間転写ベルト22によって搬送された画像を媒体に転写する。定着器24は、画像が転写された媒体を加熱及び加圧して、画像を媒体に定着させる。定着器24を通過した用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0018】
図3は、中間転写ベルト22の裏面を示す図である。中間転写ベルト22の裏面には、ラダーパターンチャート(2値画像の一例)がプリントされた媒体が貼り付けられている。ラダーパターンチャートとは、白と黒の平行な細線が交互に並べて配置された画像をいう。この白の細線の領域(以下、「白領域」という)は、第1の階調値を有する第1の領域の一例である。また、黒の細線の領域(以下、「黒領域」という)は、第2の階調値を有する第2の領域の一例である。ラダーパターンチャートがプリントされた媒体は、この線が中間転写ベルト22の幅方向(図3のY方向)と交差するような向きで貼り付けられる。これにより、中間転写ベルト22の裏面にラダーパターンチャートが形成される。
【0019】
第1のイメージセンサ31(第1の測定部の一例)と第2のイメージセンサ32(第2の測定部の一例)とは、中間転写ベルト22を介して対向して設けられている。図4は、第1のイメージセンサ31の構成を示す図である。第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成されたベルト搬送方向(図3中のX方向)に一致するラダーパターンチャートを読み取る密着型イメージセンサである。また、第1のイメージセンサ31は、ラインセンサであり、中間転写ベルト22の幅に対応する検出幅を有する。第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離以外の距離になるような位置に配置されている。この実施形態では、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離より大きい距離になるような位置に配置されている。第1のイメージセンサ31は、発光素子33と受光素子34とを備えている。発光素子33は、中間転写ベルト22の裏面に光を照射する。受光素子34は、中間転写ベルト22の裏面からの拡散反射光を受光する。この受光素子34の受光光量は、ラダーパターンチャートの濃度に応じて変化する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量を用いてラダーパターンチャートの濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0020】
第2のイメージセンサ32は、中間転写ベルト22の表面に形成される画像を読み取る密着型イメージセンサである。また、第2のイメージセンサ32は、ラインセンサであり、中間転写ベルト22の幅に対応する検出幅を有する。第2のイメージセンサ32は、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離が焦点距離となるような位置に配置されている。第2のイメージセンサ32の構成は、上述した第1のイメージセンサ31の構成と同じである。第2のイメージセンサ32は、受光素子の受光光量を用いて画像の濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0021】
記憶部13には、予め第1の関数f1が記憶されている。この第1の関数f1は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、第1のイメージセンサ31の測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す。このコントラストは、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が距離dとなるような位置に配置されたときに、第1のイメージセンサ31により測定される濃度に応じて算出される。図5は、第1の関数f1のグラフを示す図である。図中の距離d1は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の下限の距離である。この距離d1は、例えば第1のイメージセンサ31の制御系や受光光量の限界を考慮して設定される。図中の距離d6は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の上限の距離である。この距離d6は、例えば第1のイメージセンサ31の限界解像力を考慮して設定される。距離d3は、第1のイメージセンサ31の焦点距離である。第1の関数f1では、焦点距離d3において最もコントラストが高くなり、焦点距離d3から離れるほど、コントラストが低くなる。
【0022】
また、記憶部13には、基準距離が記憶されている。この基準距離とは、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合における第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離をいう。ここでは、基準距離が図5に示す距離d5である場合を想定する。なお、「たわみが発生していない」状態とは、完全にたわみが発生していない状態である必要はなく、たわみ量が閾値以下となる状態であればよい。
【0023】
図6は、制御部11の機能構成を示す図である。この実施形態では、算出部111、検出部112、第1の補正部113、第2の補正部114及び支持制御部115は、制御部11において例えばCPUがプログラムを実行することにより実現される。算出部111は、第1のイメージセンサ31により、白と黒の細線が中間転写ベルト22の幅方向に交互に並べて配置されたラダーパターンチャートから白領域の濃度と黒領域の濃度とが測定されると、第1のイメージセンサ31により測定された白領域の濃度と黒領域の濃度とを用いて、隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。検出部112は、記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、算出部111により算出されたコントラストに対応する距離を特定し、特定した距離を隣り合う白領域及び黒領域と中間転写ベルト22の裏面との間の距離として用いて中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する。第1の補正部113は、検出部112により検出されたたわみの状態に応じて、第2のイメージセンサ32により測定されたテストチャートの濃度に含まれる距離の変動により生じる誤差を補正する。第2の補正部114は、第1の補正部113で補正した後のテストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部15により形成される画像の濃度を補正する。支持制御部115は、検出部112により検出されたたわみが減るようにテンションローラ25の位置又は角度を制御する。
【0024】
2.動作
画像形成装置1では、テストチャートを用いて濃度補正処理が行われる。テストチャートとは、各色の濃度を補正するために用いられる画像をいう。テストチャートは、決められた濃度分布を有する。このテストチャートには、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃度パッチが含まれる。図7は、テストチャートを形成するときに行われる動作を示すフローチャートである。
【0025】
制御部11は、駆動ローラ26により、中間転写ベルト22を駆動して回転させる(ステップS11)。第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成されたラダーパターンチャートを読み取る(ステップS12)。具体的には、第1のイメージセンサ31は、発光素子33により中間転写ベルト22の裏面にレーザ光を照射し、ラダーパターンチャートからの反射光を受光素子34で受光する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量を用いてラダーパターンチャートに含まれる線毎に濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。図3に示すように、ラダーパターンチャートには、白と黒の細線が中間転写ベルト22の幅方向(Y方向)に交互に並べて配置されている。従って、第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の幅方向に沿って白領域の濃度と黒領域の濃度とを測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0026】
制御部11は、第1のイメージセンサ31から出力された信号に基づいて、ラダーパターンチャートのコントラストを算出する(ステップS13)。具体的には、制御部11は、ラダーパターンチャートに含まれる一組の白と黒の細線毎に、隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。このコントラストとは、白領域と黒領域との濃度差をいう。例えば、第1のイメージセンサ31の出力が10ビット(1024階調)である場合、第1のイメージセンサ31により測定された黒領域の階調値が900であり、白領域の階調値が50であるとすると、そのコントラストは(900−50)/1024×100=約83%となる。
【0027】
制御部11は、記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、ステップS13で算出されたコントラストに対応する距離dを測定し、測定した距離dから中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する(ステップS14)。例えば、ステップS13でコントラスト83%が算出された場合、図5に示す第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離dは、距離d2と距離d4になる。ここで、記憶部13に記憶された基準距離d5は、焦点距離d3よりも大きい。この場合、制御部11は、第1の関数fのうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いる。従って、制御部11は、第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4のうち、範囲R2に含まれる距離d4を特定する。制御部11は、ステップS13で算出された各々のコントラストについて、距離dを測定する処理を行う。そして、制御部11は、測定した距離dを、そのコントラストを有する隣り合う白領域及び黒領域と中間転写ベルト22の裏面との間の距離として用いて、記憶部13に記憶された基準距離d5を基に、中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する。なお、この幅方向のたわみとは、図3に示すように、中間転写ベルト22を幅方向に切断したときに、その断面が上下に波打つ状態をいう。
【0028】
例えば、ステップS14で測定された距離dが全て基準距離d5である場合には、中間転写ベルト22にたわみは発生していない。一方、ステップS14で測定された距離dの中に基準距離d5とは異なる距離dが含まれている場合には、その部分にたわみが発生している。図8は、ステップS14で測定された距離dを示す図である。図8に示す横軸は、中間転写ベルト22の幅方向の位置である。図中の領域A1及び領域A3では、ステップS14で測定された距離dが基準距離d5より小さい。これは、中間転写ベルト22の領域A1及び領域A3が、第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんでいることを示す。一方、領域A2では、ステップS14で測定された距離dが基準距離d5より大きい。これは、中間転写ベルト22の領域A2が、第1のイメージセンサ31から離れる方向にたわんでいることを示す。
【0029】
上述したステップS11の後、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kは、中間転写ベルト22の表面にテストチャートを形成する。第2のイメージセンサ32は、中間転写ベルト22の表面に形成されたテストチャートを読み取る(ステップS15)。具体的には、第2のイメージセンサ32は、発光素子により中間転写ベルト22の表面にレーザ光を照射し、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kにより中間転写ベルト22の表面に形成されたテストチャートからの反射光を受光素子で受光する。第2のイメージセンサ32は、受光素子の受光光量を用いてテストチャートの濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。ただし、第2のイメージセンサ32は密着型イメージセンサであるため、焦点深度が浅い。従って、中間転写ベルト22がたわんで、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22との間の距離がずれると、焦点が合わなくなり、濃度測定に誤差が生じる。
【0030】
制御部11は、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、このたわみが矯正されるようにテンションローラ25の位置又は角度を制御する(ステップS16)。なお、「矯正」とは、完全にたわみをなくすことだけではなく、たわみを減らすことも含む。例えば、制御部11は、中間転写ベルト22の張力が増す方向にテンションローラ25の位置を移動させる。あるいは、制御部11は、中間転写ベルト22のたわみが矯正される方向にテンションローラ25を傾けさせる。これにより、中間転写ベルト22のたわみが矯正され、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが基準距離d5に戻る。
【0031】
また、制御部11は、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、ステップS14で検出された中間転写ベルト22のたわみ状態に応じて、第2のイメージセンサ32から出力された信号を補正する(ステップS17)。例えば、ステップS14で図8に示す距離dが測定された場合、制御部11は、ステップS14で測定された距離dの分布を示す信号S1を生成する。ステップS14で測定される距離dは、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離である。そのため、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は、測定された距離dと逆の関係になる。例えば、ステップS14で測定された距離dが減少した場合には、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は増加し、この距離dが増加した場合には、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は減少する。したがって、第2のイメージセンサ32から出力される信号S2は、例えば図9に示すように、距離dと逆の影響を受ける。制御部11は、この影響を打ち消すために、生成した信号S1を第2のイメージセンサ32から出力された信号S2に掛け合わせる。これにより、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離の変動により生じた誤差が補正される。
【0032】
この後、利用者により指定された画像の形成を行う場合、制御部11は、ステップS17で補正された信号に応じた濃度補正処理を行う(ステップS18)。具体的には、制御部11は、ステップS17で補正された信号を用いてテストチャートの濃度分布を作成する。制御部11は、作成した濃度分布に含まれる濃度ムラや筋が低減するように、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kにより形成される画像の濃度を補正する。例えば、制御部11は、ルックアップテーブルを用いて、露光装置に供給する画像信号の階調値を補正する。
【0033】
この実施形態によれば、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが一意的に特定される。これにより、中間転写ベルト22の幅方向のたわみが検出される。また、濃度補正処理で用いられる信号は、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離の変動により生じた誤差が補正されたものであるため、濃度補正処理の精度が向上する。さらに、テンションローラ25の位置又は角度が制御されることにより、中間転写ベルト22のたわみが減る。
【0034】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の実施例の一例である。本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0035】
(1)変形例1
第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離より小さい距離になるような位置に配置されていてもよい。この場合、制御部11は、第1の関数fのうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用いる。従って、例えばステップS13でコントラスト83%が算出された場合、制御部11は、第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4のうち、範囲R1に含まれる距離d2を特定する。つまり、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離より大きくなるような位置に配置されている場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離より大きくなる範囲の値が用いられる。一方、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離より小さくなるような位置に配置されている場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離より小さくなる範囲の値が用いられる。
【0036】
(2)変形例2
上述した実施形態では、ステップS14において、基準距離に基づき関数f1のうちいずれの範囲の値を用いるかを判断し、これにより、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dを一意的に特定していた。しかし、基準距離を用いずに距離dを測定してもよい。
【0037】
この変形例では、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離よりも大きい距離となるような位置に配置されていてもよいし、焦点距離よりも小さい距離となるような位置に配置されていてもよい。また、記憶部13には、予め基準コントラストと基準光量とが記憶される。基準コントラストは、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合に、第1のイメージセンサ31で測定された濃度を用いて算出されたコントラストである。ここでは、基準コントラストが70%である場合を想定する。基準光量は、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合に、第1のイメージセンサ31で受光される光量である。なお、「たわみが発生していない」状態とは、完全にたわみが発生していない状態である必要はなく、たわみ量が閾値以下となる状態であればよい。
【0038】
制御部11は、上述したステップS14において、まず記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、ステップS13で算出されたコントラストに対応する距離dを特定する。例えば、ステップS13でコントラスト83%が算出された場合には、図5に示す第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4が特定される。次に、制御部11は、記憶部13に記憶された基準コントラスト70%に対応する距離dを特定する。図5に示す第1の関数f1では、この基準コントラスト70%に対応する距離d5及び距離d7が特定される。仮に、第1のイメージセンサ31の基準距離が距離d7であるとすると、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d7から距離d2に増加したことになる。一方、第1のイメージセンサ31の基準距離が距離d5であるとすると、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d5から距離d4に減少したことになる。
【0039】
次に、制御部11は、ステップS12における第1のイメージセンサ31の受光光量と記憶部13に記憶された基準光量とを比較し、距離dが増加したか否かを判断する。図10に示すように、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが増加するほど、第1のイメージセンサ31の受光光量は減少する。従って、例えば第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合、制御部11は、距離dが減少したと判断する。この場合、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d5から距離d4に変化したと考えられる。従って、制御部11は、距離d4を特定する。一方、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合、制御部11は、距離dが増加したと判断する。この場合、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d7から距離d2に変化したと考えられる。従って、制御部11は、距離d2を特定する。
【0040】
このように、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより高く、且つ、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いて、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22との間の距離dを特定する。一方、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより高く、且つ、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用いて、この距離dの特定を行う。
【0041】
また、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより低い場合には、上述とは反対に、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用い、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いる。
【0042】
(3)変形例3
第1のイメージセンサ31は、ラダーパターンチャートに含まれる各線について、複数の濃度を測定してもよい。この場合、制御部11は、ステップS13において、ステップS12で測定されたこの複数の濃度に応じた値を用いてコントラストを算出する。この複数の濃度に応じた値とは、例えば複数の濃度の平均値であってもよいし、中央値や最頻値であってもよい。また、平均値を用いる場合、制御部11は、複数の濃度からピーク値を抽出し、決められた数のピーク値を大きいものから順に選択し、選択したピーク値の平均を取ってもよい。
【0043】
(4)変形例4
第1のイメージセンサ31は、ラインセンサに限定されない。第1のイメージセンサ31は、スポット光を用いて画像を読み取るスポットレーザセンサであってもよい。図11は、この変形例に係る第1のイメージセンサ31Aの構成を示す図である。第1のイメージセンサ31Aは、移動機構35により中間転写ベルト22の幅方向に沿って移動されることにより、中間転写ベルト22の幅方向にわたって、ラダーパターンチャートの濃度を測定する。
【0044】
(5)変形例5
上述した実施形態では、ラダーパターンチャートのコントラストを用いて、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dを測定していた。しかし、ラダーパターンチャートのコントラストを用いずに、この距離dを測定してもよい。
【0045】
この変形例では、中間転写ベルト22の裏面には、上述したラダーパターンチャートに代えて、白色板が形成される。具体的には、中間転写ベルト22の裏面の色を白色にしてもよいし、中間転写ベルト22の裏面に白色の媒体を貼り付けてもよい。また、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離となるような位置に配置されていてもよいし、焦点距離より大きい又は小さい距離となるような位置に配置されていてもよい。
【0046】
記憶部13には、予め第2の関数f2が記憶される。この第2の関数f2は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、中間転写ベルト22の裏面に形成された白色板の反射率の変動との対応関係を示す。図12は、第2の関数f2のグラフを示す図である。中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合、第1のイメージセンサ31が白色板を読み取ったときに、白色板の反射率の変動は目標範囲T内に収まる。しかし、中間転写ベルト22が第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんだ場合には、この反射率の変動は、目標範囲Tの上限値より大きくなる。一方、中間転写ベルト22が第1のイメージセンサ31から離れる方向にたわんだ場合には、この反射率の変動は、目標範囲Tの下限値より小さくなる。
【0047】
図13は、この変形例に係る動作を示すフローチャートである。ステップS21では、上述したステップS11と同様に、中間転写ベルト22が駆動され回転される。次に、第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成された白色板を読み取る(ステップS22)。具体的には、第1のイメージセンサ31は、発光素子33により中間転写ベルト22の裏面にレーザ光を照射し、白色板からの反射光を受光素子34で受光する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量に応じた信号を出力する。
【0048】
制御部11は、第1のイメージセンサ31から出力された信号に基づいて、中間転写ベルト22の幅方向における白色板の複数の領域の反射率を算出する(ステップS23)。この反射率は、発光素子33から照射された光量と、受光素子34の受光光量とを用いて算出される。制御部11は、記憶部13に記憶された第2の関数f2を用いて、ステップS23で算出された反射率の変動に対応する距離dを測定し、測定した距離dから中間転写ベルト22のたわみを検出する(ステップS24)。例えば、図12に示す第2の関数f2では、第ステップS23で算出された反射率の変動が0.6%である場合には、第1のイメージセンサ31の基準距離から−0.1mmの距離dが測定される。これは、この反射率の変動を有する領域は、第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんでいることを示す。制御部11は、ステップS22で算出された各々の反射率について、距離dを測定する処理を行う。これにより、中間転写ベルト22の幅方向のたわみが検出される。ステップS25以降の処理は、上述したステップS15以降の処理と同様である。
【0049】
(6)変形例6
上述した実施形態では、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、中間転写ベルト22のたわみを矯正する処理(ステップS16)と、第1のイメージセンサ31の出力信号を補正する処理(ステップS17)とを両方とも行っていた。しかし、必ずしも両方の処理を行う必要はない。例えば、中間転写ベルト22のたわみを矯正する処理だけが行われてもよい、この場合、中間転写ベルト22のたわみを矯正した後に、テストチャートを形成し、読み取るのが好ましい。あるいは、第1のイメージセンサ31の出力信号を補正する処理だけが行われてもよい。また、ステップS11〜S14及びS16の処理だけを定期的に行い、テストチャートの形成を指示されたときだけ、ステップS11〜S18の処理を全て行ってもよい。
【0050】
(7)変形例7
図2では、第1のイメージセンサ31及び第2のイメージセンサ32は、テンションローラ25と二次転写ローラ23との間に設けられている。しかし、第2のイメージセンサ32及び第1のイメージセンサ31が設けられる位置は、これに限定されない。例えば、画像形成エンジン21Kとテンションローラ25との間に設けられてもよい。第2のイメージセンサ32及び第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22においてたわみが発生しやすい場所に設けられるのが好ましい。
【0051】
(8)変形例8
図3では、ラダーパターンチャートが中間転写ベルト22の裏面の全面に形成されている。しかし、ラダーパターンチャートは、必ずしも中間転写ベルト22の裏面の全面に形成されていなくてもよい。例えば、ラダーパターンチャートは、中間転写ベルト22において、あまりたわまないような領域には形成されていなくてもよい。あるいは、ラダーパターンチャートは、中間転写ベルト22において、たわみを検出したい領域だけに形成されてもよい。
【0052】
(9)変形例9
上述した実施形態では、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、第1のイメージセンサ31の測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す情報として第1の関数f1を用いていた。しかし、この対応関係を示す情報は、関数に限定されない。例えば、これらの対応関係を示すテーブル形式の情報であってもよい。
【0053】
(10)変形例10
ラダーパターンチャートは、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、線の色が白と黒以外の色であってもよい。線の色としては、階調値の異なる2色のグレーが用いられてもよい。また、線の間隔や太さが異なるものであってもよいし、2色の線が平行でなくてもよい。また、ラダーパターンチャートには、必ずしも線が含まれていなくてもよい。例えば、白と黒の格子模様であってもよい。つまり、ラダーパターンチャートは、コントラストが測定できるような画像、すなわち第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが交互に並べて配置された2値画像であればよい。
また、テストチャートは、色の濃度を補正するものに限定されない。例えば、テストチャートには、色ずれを補正するために用いられる画像が含まれていてもよい。
【0054】
(11)変形例11
第1のイメージセンサ31又は第2のイメージセンサ32は、密着型イメージセンサに限定されない。被照射物との間の距離に応じて、測定されるコントラストや受光光量が変化するような特性を有するものであれば、密着型イメージセンサ以外のセンサであってもよい。
【0055】
(12)変形例12
上述した制御部11、記憶部13及び第1のイメージセンサ31は、ユニット化されて、中間転写ベルト22のたわみを検出する検出装置として提供されてもよい。また、この検出装置は、スキャナなどの画像形成装置1以外の装置で用いられてもよい。
【0056】
(13)変形例13
制御部11のCPUにおいて実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、画像形成装置1にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して画像形成装置1にダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…UI部、15…画像形成部、31…第1のイメージセンサ、32…第2のイメージセンサ、111…算出部、112…検出部、113…第1の補正部、114…第2の補正部、115…支持制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
良好な画像形成を行うために、画像形成装置の構成又は画像形成に用いられる媒体の状態を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、イメージセンサを用いて、感光ドラムの回転振れの判定を行う技術が記載されている。特許文献2及び特許文献3には、光学センサを用いて転写ベルトの寄りを検知し、転写ベルトの寄り方向を変化させる技術が記載されている。特許文献4には、LED(light-emitting diodes)とフォトダイオードを用いて転写材の表面の粗さを検知し、トナー量の制御を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−009451号公報
【特許文献2】特開2006−259637号公報
【特許文献3】特開2007−192999号公報
【特許文献4】特開2005−257847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保持部材の第1の方向のたわみを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る検出装置は、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る検出装置は、請求項1に記載の検出装置において、前記第1の測定部は、当該第1の測定部と前記第2の面との間の距離が焦点距離より大きい距離になるような位置に配置され、前記検出部は、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る検出装置は、請求項1又は2に記載の検出装置において、前記保持部材の前記第1の面には、決められた濃度分布を有するテストチャートが保持され、前記テストチャートの濃度を測定する第2の測定部と、前記検出部により検出された前記たわみの状態に応じて、前記第2の測定部により測定された前記テストチャートの濃度に含まれる前記距離の変動により生じる誤差を補正する第1の補正部と、前記第1の補正部で補正した後の前記テストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部により形成される画像の濃度を補正する第2の補正部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る検出装置は、請求項1に記載の検出装置において、前記第1の測定部は、前記第2の面に光を照射する発光素子と、当該第2の面からの反射光を受光する受光素子とを有し、当該受光素子の受光光量を用いて前記濃度の測定を行い、前記記憶部は、前記保持部材における前記第1の方向のたわみ量が閾値以下である場合の前記第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラスト及び前記受光素子の受光光量を、それぞれ基準コントラスト及び基準光量として記憶し、前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記第1の測定部の焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る検出装置は、請求項4に記載の検出装置において、前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有し、前記第2の面には、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像が形成された保持部材と、前記第1の面に画像を形成する画像形成部と、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記保持部材を支持する支持部と、前記検出部により検出されたたわみが減るように前記支持部の位置又は角度を制御する支持制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部とを備えるコンピュータに、前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出するステップと、前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項3に係る発明によれば、誤差が補正されていないテストチャートの濃度分布に応じて画像の濃度を補正する場合に比べて、その補正精度を向上させることができる。
請求項4に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1の測定部と保持部材の第2の面との間の距離を一意的に特定することができる。
請求項6に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
請求項7に係る発明によれば、支持部の位置又は角度を制御しない場合に比べて、保持部材のたわみを減らすことがでできる。
請求項8に係る発明によれば、保持部材の第1の方向のたわみを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図
【図2】画像形成部の構成を示す図
【図3】中間転写ベルトの裏面を示す図
【図4】第1のイメージセンサの構成を示す図
【図5】第1の関数のグラフを示す図
【図6】制御部の機能構成を示す図
【図7】実施形態に係る動作を示すフローチャート
【図8】測定された距離の一例を示す図
【図9】第2のイメージセンサから出力される信号の一例を示す図
【図10】変形例に係る受光光量と距離との対応関係を示す図
【図11】変形例に係る第1のイメージセンサの構成を示す図
【図12】変形例に係る第2の関数のグラフを示す図
【図13】変形例に係る動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、UI(User Interface)部14と、画像形成部15とを備えている。制御部11は、画像形成装置1の各部を制御する。制御部11は、例えばCPUとメモリとを備えている。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、制御部11の機能を実現する。通信部12は、通信回線に接続される通信インターフェースである。画像形成装置1は、通信部12を用いて、図示せぬクライアント装置と通信を行う。記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶装置である。UI部14は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部14は、画像形成装置1を操作するのに用いられる。画像形成部15は、電子写真方式で画像データに応じた画像を用紙等の媒体に形成する。
【0016】
図2は、画像形成部15の構成を示す図である。画像形成部15は、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kと、中間転写ベルト22と、二次転写ローラ23と、定着器24とを備えている。画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、感光体、帯電器、露光装置、現像器及び一次転写ローラを備えている。なお、図2では、感光体以外の構成の図示を省略している。感光体は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材であり、軸を中心に回転する。帯電器は、感光体の表面を均一に帯電させる。露光装置は、制御部11から供給された画像信号に応じて、帯電した感光体にレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。現像器は、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。なお、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kの現像器は、それぞれイエロー,マゼンタ,シアン及びブラックのトナー像を形成する。一次転写ローラは、感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト22に転写する。なお、ここでは、中間転写ベルト22において画像が転写される面を表面(第1の面の一例)といい、表面の裏側の面を裏面(第2の面の一例)という。
【0017】
中間転写ベルト22(保持部材の一例)は、一次転写ローラにより転写されたトナー像を二次転写ローラ23へと搬送する。中間転写ベルト22は、テンションローラ25と駆動ローラ26を含む複数のローラにより支持されている。駆動ローラ26は、中間転写ベルト22を駆動して、図中の矢印X方向に回転させる。テンションローラ25(支持部の一例)は、中間転写ベルト22の張力を調整する。二次転写ローラ23は、中間転写ベルト22によって搬送された画像を媒体に転写する。定着器24は、画像が転写された媒体を加熱及び加圧して、画像を媒体に定着させる。定着器24を通過した用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0018】
図3は、中間転写ベルト22の裏面を示す図である。中間転写ベルト22の裏面には、ラダーパターンチャート(2値画像の一例)がプリントされた媒体が貼り付けられている。ラダーパターンチャートとは、白と黒の平行な細線が交互に並べて配置された画像をいう。この白の細線の領域(以下、「白領域」という)は、第1の階調値を有する第1の領域の一例である。また、黒の細線の領域(以下、「黒領域」という)は、第2の階調値を有する第2の領域の一例である。ラダーパターンチャートがプリントされた媒体は、この線が中間転写ベルト22の幅方向(図3のY方向)と交差するような向きで貼り付けられる。これにより、中間転写ベルト22の裏面にラダーパターンチャートが形成される。
【0019】
第1のイメージセンサ31(第1の測定部の一例)と第2のイメージセンサ32(第2の測定部の一例)とは、中間転写ベルト22を介して対向して設けられている。図4は、第1のイメージセンサ31の構成を示す図である。第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成されたベルト搬送方向(図3中のX方向)に一致するラダーパターンチャートを読み取る密着型イメージセンサである。また、第1のイメージセンサ31は、ラインセンサであり、中間転写ベルト22の幅に対応する検出幅を有する。第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離以外の距離になるような位置に配置されている。この実施形態では、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離より大きい距離になるような位置に配置されている。第1のイメージセンサ31は、発光素子33と受光素子34とを備えている。発光素子33は、中間転写ベルト22の裏面に光を照射する。受光素子34は、中間転写ベルト22の裏面からの拡散反射光を受光する。この受光素子34の受光光量は、ラダーパターンチャートの濃度に応じて変化する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量を用いてラダーパターンチャートの濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0020】
第2のイメージセンサ32は、中間転写ベルト22の表面に形成される画像を読み取る密着型イメージセンサである。また、第2のイメージセンサ32は、ラインセンサであり、中間転写ベルト22の幅に対応する検出幅を有する。第2のイメージセンサ32は、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離が焦点距離となるような位置に配置されている。第2のイメージセンサ32の構成は、上述した第1のイメージセンサ31の構成と同じである。第2のイメージセンサ32は、受光素子の受光光量を用いて画像の濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0021】
記憶部13には、予め第1の関数f1が記憶されている。この第1の関数f1は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、第1のイメージセンサ31の測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す。このコントラストは、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が距離dとなるような位置に配置されたときに、第1のイメージセンサ31により測定される濃度に応じて算出される。図5は、第1の関数f1のグラフを示す図である。図中の距離d1は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の下限の距離である。この距離d1は、例えば第1のイメージセンサ31の制御系や受光光量の限界を考慮して設定される。図中の距離d6は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の上限の距離である。この距離d6は、例えば第1のイメージセンサ31の限界解像力を考慮して設定される。距離d3は、第1のイメージセンサ31の焦点距離である。第1の関数f1では、焦点距離d3において最もコントラストが高くなり、焦点距離d3から離れるほど、コントラストが低くなる。
【0022】
また、記憶部13には、基準距離が記憶されている。この基準距離とは、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合における第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離をいう。ここでは、基準距離が図5に示す距離d5である場合を想定する。なお、「たわみが発生していない」状態とは、完全にたわみが発生していない状態である必要はなく、たわみ量が閾値以下となる状態であればよい。
【0023】
図6は、制御部11の機能構成を示す図である。この実施形態では、算出部111、検出部112、第1の補正部113、第2の補正部114及び支持制御部115は、制御部11において例えばCPUがプログラムを実行することにより実現される。算出部111は、第1のイメージセンサ31により、白と黒の細線が中間転写ベルト22の幅方向に交互に並べて配置されたラダーパターンチャートから白領域の濃度と黒領域の濃度とが測定されると、第1のイメージセンサ31により測定された白領域の濃度と黒領域の濃度とを用いて、隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。検出部112は、記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、算出部111により算出されたコントラストに対応する距離を特定し、特定した距離を隣り合う白領域及び黒領域と中間転写ベルト22の裏面との間の距離として用いて中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する。第1の補正部113は、検出部112により検出されたたわみの状態に応じて、第2のイメージセンサ32により測定されたテストチャートの濃度に含まれる距離の変動により生じる誤差を補正する。第2の補正部114は、第1の補正部113で補正した後のテストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部15により形成される画像の濃度を補正する。支持制御部115は、検出部112により検出されたたわみが減るようにテンションローラ25の位置又は角度を制御する。
【0024】
2.動作
画像形成装置1では、テストチャートを用いて濃度補正処理が行われる。テストチャートとは、各色の濃度を補正するために用いられる画像をいう。テストチャートは、決められた濃度分布を有する。このテストチャートには、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃度パッチが含まれる。図7は、テストチャートを形成するときに行われる動作を示すフローチャートである。
【0025】
制御部11は、駆動ローラ26により、中間転写ベルト22を駆動して回転させる(ステップS11)。第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成されたラダーパターンチャートを読み取る(ステップS12)。具体的には、第1のイメージセンサ31は、発光素子33により中間転写ベルト22の裏面にレーザ光を照射し、ラダーパターンチャートからの反射光を受光素子34で受光する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量を用いてラダーパターンチャートに含まれる線毎に濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。図3に示すように、ラダーパターンチャートには、白と黒の細線が中間転写ベルト22の幅方向(Y方向)に交互に並べて配置されている。従って、第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の幅方向に沿って白領域の濃度と黒領域の濃度とを測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。
【0026】
制御部11は、第1のイメージセンサ31から出力された信号に基づいて、ラダーパターンチャートのコントラストを算出する(ステップS13)。具体的には、制御部11は、ラダーパターンチャートに含まれる一組の白と黒の細線毎に、隣り合う白領域と黒領域とのコントラストを算出する。このコントラストとは、白領域と黒領域との濃度差をいう。例えば、第1のイメージセンサ31の出力が10ビット(1024階調)である場合、第1のイメージセンサ31により測定された黒領域の階調値が900であり、白領域の階調値が50であるとすると、そのコントラストは(900−50)/1024×100=約83%となる。
【0027】
制御部11は、記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、ステップS13で算出されたコントラストに対応する距離dを測定し、測定した距離dから中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する(ステップS14)。例えば、ステップS13でコントラスト83%が算出された場合、図5に示す第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離dは、距離d2と距離d4になる。ここで、記憶部13に記憶された基準距離d5は、焦点距離d3よりも大きい。この場合、制御部11は、第1の関数fのうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いる。従って、制御部11は、第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4のうち、範囲R2に含まれる距離d4を特定する。制御部11は、ステップS13で算出された各々のコントラストについて、距離dを測定する処理を行う。そして、制御部11は、測定した距離dを、そのコントラストを有する隣り合う白領域及び黒領域と中間転写ベルト22の裏面との間の距離として用いて、記憶部13に記憶された基準距離d5を基に、中間転写ベルト22の幅方向のたわみを検出する。なお、この幅方向のたわみとは、図3に示すように、中間転写ベルト22を幅方向に切断したときに、その断面が上下に波打つ状態をいう。
【0028】
例えば、ステップS14で測定された距離dが全て基準距離d5である場合には、中間転写ベルト22にたわみは発生していない。一方、ステップS14で測定された距離dの中に基準距離d5とは異なる距離dが含まれている場合には、その部分にたわみが発生している。図8は、ステップS14で測定された距離dを示す図である。図8に示す横軸は、中間転写ベルト22の幅方向の位置である。図中の領域A1及び領域A3では、ステップS14で測定された距離dが基準距離d5より小さい。これは、中間転写ベルト22の領域A1及び領域A3が、第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんでいることを示す。一方、領域A2では、ステップS14で測定された距離dが基準距離d5より大きい。これは、中間転写ベルト22の領域A2が、第1のイメージセンサ31から離れる方向にたわんでいることを示す。
【0029】
上述したステップS11の後、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kは、中間転写ベルト22の表面にテストチャートを形成する。第2のイメージセンサ32は、中間転写ベルト22の表面に形成されたテストチャートを読み取る(ステップS15)。具体的には、第2のイメージセンサ32は、発光素子により中間転写ベルト22の表面にレーザ光を照射し、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kにより中間転写ベルト22の表面に形成されたテストチャートからの反射光を受光素子で受光する。第2のイメージセンサ32は、受光素子の受光光量を用いてテストチャートの濃度を測定し、測定した濃度に応じた信号を出力する。ただし、第2のイメージセンサ32は密着型イメージセンサであるため、焦点深度が浅い。従って、中間転写ベルト22がたわんで、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22との間の距離がずれると、焦点が合わなくなり、濃度測定に誤差が生じる。
【0030】
制御部11は、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、このたわみが矯正されるようにテンションローラ25の位置又は角度を制御する(ステップS16)。なお、「矯正」とは、完全にたわみをなくすことだけではなく、たわみを減らすことも含む。例えば、制御部11は、中間転写ベルト22の張力が増す方向にテンションローラ25の位置を移動させる。あるいは、制御部11は、中間転写ベルト22のたわみが矯正される方向にテンションローラ25を傾けさせる。これにより、中間転写ベルト22のたわみが矯正され、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが基準距離d5に戻る。
【0031】
また、制御部11は、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、ステップS14で検出された中間転写ベルト22のたわみ状態に応じて、第2のイメージセンサ32から出力された信号を補正する(ステップS17)。例えば、ステップS14で図8に示す距離dが測定された場合、制御部11は、ステップS14で測定された距離dの分布を示す信号S1を生成する。ステップS14で測定される距離dは、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離である。そのため、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は、測定された距離dと逆の関係になる。例えば、ステップS14で測定された距離dが減少した場合には、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は増加し、この距離dが増加した場合には、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離は減少する。したがって、第2のイメージセンサ32から出力される信号S2は、例えば図9に示すように、距離dと逆の影響を受ける。制御部11は、この影響を打ち消すために、生成した信号S1を第2のイメージセンサ32から出力された信号S2に掛け合わせる。これにより、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離の変動により生じた誤差が補正される。
【0032】
この後、利用者により指定された画像の形成を行う場合、制御部11は、ステップS17で補正された信号に応じた濃度補正処理を行う(ステップS18)。具体的には、制御部11は、ステップS17で補正された信号を用いてテストチャートの濃度分布を作成する。制御部11は、作成した濃度分布に含まれる濃度ムラや筋が低減するように、画像形成エンジン21Y,21M,21C,21Kにより形成される画像の濃度を補正する。例えば、制御部11は、ルックアップテーブルを用いて、露光装置に供給する画像信号の階調値を補正する。
【0033】
この実施形態によれば、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが一意的に特定される。これにより、中間転写ベルト22の幅方向のたわみが検出される。また、濃度補正処理で用いられる信号は、第2のイメージセンサ32と中間転写ベルト22の表面との間の距離の変動により生じた誤差が補正されたものであるため、濃度補正処理の精度が向上する。さらに、テンションローラ25の位置又は角度が制御されることにより、中間転写ベルト22のたわみが減る。
【0034】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の実施例の一例である。本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0035】
(1)変形例1
第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが焦点距離より小さい距離になるような位置に配置されていてもよい。この場合、制御部11は、第1の関数fのうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用いる。従って、例えばステップS13でコントラスト83%が算出された場合、制御部11は、第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4のうち、範囲R1に含まれる距離d2を特定する。つまり、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離より大きくなるような位置に配置されている場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離より大きくなる範囲の値が用いられる。一方、第1のイメージセンサ31が、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離より小さくなるような位置に配置されている場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離より小さくなる範囲の値が用いられる。
【0036】
(2)変形例2
上述した実施形態では、ステップS14において、基準距離に基づき関数f1のうちいずれの範囲の値を用いるかを判断し、これにより、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dを一意的に特定していた。しかし、基準距離を用いずに距離dを測定してもよい。
【0037】
この変形例では、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離よりも大きい距離となるような位置に配置されていてもよいし、焦点距離よりも小さい距離となるような位置に配置されていてもよい。また、記憶部13には、予め基準コントラストと基準光量とが記憶される。基準コントラストは、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合に、第1のイメージセンサ31で測定された濃度を用いて算出されたコントラストである。ここでは、基準コントラストが70%である場合を想定する。基準光量は、中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合に、第1のイメージセンサ31で受光される光量である。なお、「たわみが発生していない」状態とは、完全にたわみが発生していない状態である必要はなく、たわみ量が閾値以下となる状態であればよい。
【0038】
制御部11は、上述したステップS14において、まず記憶部13に記憶された第1の関数f1を用いて、ステップS13で算出されたコントラストに対応する距離dを特定する。例えば、ステップS13でコントラスト83%が算出された場合には、図5に示す第1の関数f1においてコントラスト83%に対応する距離d2と距離d4が特定される。次に、制御部11は、記憶部13に記憶された基準コントラスト70%に対応する距離dを特定する。図5に示す第1の関数f1では、この基準コントラスト70%に対応する距離d5及び距離d7が特定される。仮に、第1のイメージセンサ31の基準距離が距離d7であるとすると、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d7から距離d2に増加したことになる。一方、第1のイメージセンサ31の基準距離が距離d5であるとすると、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d5から距離d4に減少したことになる。
【0039】
次に、制御部11は、ステップS12における第1のイメージセンサ31の受光光量と記憶部13に記憶された基準光量とを比較し、距離dが増加したか否かを判断する。図10に示すように、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dが増加するほど、第1のイメージセンサ31の受光光量は減少する。従って、例えば第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合、制御部11は、距離dが減少したと判断する。この場合、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d5から距離d4に変化したと考えられる。従って、制御部11は、距離d4を特定する。一方、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合、制御部11は、距離dが増加したと判断する。この場合、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dは、距離d7から距離d2に変化したと考えられる。従って、制御部11は、距離d2を特定する。
【0040】
このように、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより高く、且つ、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いて、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22との間の距離dを特定する。一方、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより高く、且つ、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用いて、この距離dの特定を行う。
【0041】
また、制御部11は、ステップS13で算出されたコントラストが基準コントラストより低い場合には、上述とは反対に、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より大きい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より小さくなる範囲R1の値を用い、第1のイメージセンサ31の受光光量が基準光量より小さい場合には、第1の関数f1のうち距離dが焦点距離d3より大きくなる範囲R2の値を用いる。
【0042】
(3)変形例3
第1のイメージセンサ31は、ラダーパターンチャートに含まれる各線について、複数の濃度を測定してもよい。この場合、制御部11は、ステップS13において、ステップS12で測定されたこの複数の濃度に応じた値を用いてコントラストを算出する。この複数の濃度に応じた値とは、例えば複数の濃度の平均値であってもよいし、中央値や最頻値であってもよい。また、平均値を用いる場合、制御部11は、複数の濃度からピーク値を抽出し、決められた数のピーク値を大きいものから順に選択し、選択したピーク値の平均を取ってもよい。
【0043】
(4)変形例4
第1のイメージセンサ31は、ラインセンサに限定されない。第1のイメージセンサ31は、スポット光を用いて画像を読み取るスポットレーザセンサであってもよい。図11は、この変形例に係る第1のイメージセンサ31Aの構成を示す図である。第1のイメージセンサ31Aは、移動機構35により中間転写ベルト22の幅方向に沿って移動されることにより、中間転写ベルト22の幅方向にわたって、ラダーパターンチャートの濃度を測定する。
【0044】
(5)変形例5
上述した実施形態では、ラダーパターンチャートのコントラストを用いて、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dを測定していた。しかし、ラダーパターンチャートのコントラストを用いずに、この距離dを測定してもよい。
【0045】
この変形例では、中間転写ベルト22の裏面には、上述したラダーパターンチャートに代えて、白色板が形成される。具体的には、中間転写ベルト22の裏面の色を白色にしてもよいし、中間転写ベルト22の裏面に白色の媒体を貼り付けてもよい。また、第1のイメージセンサ31は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離が焦点距離となるような位置に配置されていてもよいし、焦点距離より大きい又は小さい距離となるような位置に配置されていてもよい。
【0046】
記憶部13には、予め第2の関数f2が記憶される。この第2の関数f2は、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、中間転写ベルト22の裏面に形成された白色板の反射率の変動との対応関係を示す。図12は、第2の関数f2のグラフを示す図である。中間転写ベルト22にたわみが発生していない場合、第1のイメージセンサ31が白色板を読み取ったときに、白色板の反射率の変動は目標範囲T内に収まる。しかし、中間転写ベルト22が第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんだ場合には、この反射率の変動は、目標範囲Tの上限値より大きくなる。一方、中間転写ベルト22が第1のイメージセンサ31から離れる方向にたわんだ場合には、この反射率の変動は、目標範囲Tの下限値より小さくなる。
【0047】
図13は、この変形例に係る動作を示すフローチャートである。ステップS21では、上述したステップS11と同様に、中間転写ベルト22が駆動され回転される。次に、第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22の裏面に形成された白色板を読み取る(ステップS22)。具体的には、第1のイメージセンサ31は、発光素子33により中間転写ベルト22の裏面にレーザ光を照射し、白色板からの反射光を受光素子34で受光する。第1のイメージセンサ31は、受光素子34の受光光量に応じた信号を出力する。
【0048】
制御部11は、第1のイメージセンサ31から出力された信号に基づいて、中間転写ベルト22の幅方向における白色板の複数の領域の反射率を算出する(ステップS23)。この反射率は、発光素子33から照射された光量と、受光素子34の受光光量とを用いて算出される。制御部11は、記憶部13に記憶された第2の関数f2を用いて、ステップS23で算出された反射率の変動に対応する距離dを測定し、測定した距離dから中間転写ベルト22のたわみを検出する(ステップS24)。例えば、図12に示す第2の関数f2では、第ステップS23で算出された反射率の変動が0.6%である場合には、第1のイメージセンサ31の基準距離から−0.1mmの距離dが測定される。これは、この反射率の変動を有する領域は、第1のイメージセンサ31に近づく方向にたわんでいることを示す。制御部11は、ステップS22で算出された各々の反射率について、距離dを測定する処理を行う。これにより、中間転写ベルト22の幅方向のたわみが検出される。ステップS25以降の処理は、上述したステップS15以降の処理と同様である。
【0049】
(6)変形例6
上述した実施形態では、中間転写ベルト22にたわみが発生している場合、中間転写ベルト22のたわみを矯正する処理(ステップS16)と、第1のイメージセンサ31の出力信号を補正する処理(ステップS17)とを両方とも行っていた。しかし、必ずしも両方の処理を行う必要はない。例えば、中間転写ベルト22のたわみを矯正する処理だけが行われてもよい、この場合、中間転写ベルト22のたわみを矯正した後に、テストチャートを形成し、読み取るのが好ましい。あるいは、第1のイメージセンサ31の出力信号を補正する処理だけが行われてもよい。また、ステップS11〜S14及びS16の処理だけを定期的に行い、テストチャートの形成を指示されたときだけ、ステップS11〜S18の処理を全て行ってもよい。
【0050】
(7)変形例7
図2では、第1のイメージセンサ31及び第2のイメージセンサ32は、テンションローラ25と二次転写ローラ23との間に設けられている。しかし、第2のイメージセンサ32及び第1のイメージセンサ31が設けられる位置は、これに限定されない。例えば、画像形成エンジン21Kとテンションローラ25との間に設けられてもよい。第2のイメージセンサ32及び第1のイメージセンサ31は、中間転写ベルト22においてたわみが発生しやすい場所に設けられるのが好ましい。
【0051】
(8)変形例8
図3では、ラダーパターンチャートが中間転写ベルト22の裏面の全面に形成されている。しかし、ラダーパターンチャートは、必ずしも中間転写ベルト22の裏面の全面に形成されていなくてもよい。例えば、ラダーパターンチャートは、中間転写ベルト22において、あまりたわまないような領域には形成されていなくてもよい。あるいは、ラダーパターンチャートは、中間転写ベルト22において、たわみを検出したい領域だけに形成されてもよい。
【0052】
(9)変形例9
上述した実施形態では、第1のイメージセンサ31と中間転写ベルト22の裏面との間の距離dと、第1のイメージセンサ31の測定に係るラダーパターンチャートのコントラストとの対応関係を示す情報として第1の関数f1を用いていた。しかし、この対応関係を示す情報は、関数に限定されない。例えば、これらの対応関係を示すテーブル形式の情報であってもよい。
【0053】
(10)変形例10
ラダーパターンチャートは、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、線の色が白と黒以外の色であってもよい。線の色としては、階調値の異なる2色のグレーが用いられてもよい。また、線の間隔や太さが異なるものであってもよいし、2色の線が平行でなくてもよい。また、ラダーパターンチャートには、必ずしも線が含まれていなくてもよい。例えば、白と黒の格子模様であってもよい。つまり、ラダーパターンチャートは、コントラストが測定できるような画像、すなわち第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが交互に並べて配置された2値画像であればよい。
また、テストチャートは、色の濃度を補正するものに限定されない。例えば、テストチャートには、色ずれを補正するために用いられる画像が含まれていてもよい。
【0054】
(11)変形例11
第1のイメージセンサ31又は第2のイメージセンサ32は、密着型イメージセンサに限定されない。被照射物との間の距離に応じて、測定されるコントラストや受光光量が変化するような特性を有するものであれば、密着型イメージセンサ以外のセンサであってもよい。
【0055】
(12)変形例12
上述した制御部11、記憶部13及び第1のイメージセンサ31は、ユニット化されて、中間転写ベルト22のたわみを検出する検出装置として提供されてもよい。また、この検出装置は、スキャナなどの画像形成装置1以外の装置で用いられてもよい。
【0056】
(13)変形例13
制御部11のCPUにおいて実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、画像形成装置1にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して画像形成装置1にダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…UI部、15…画像形成部、31…第1のイメージセンサ、32…第2のイメージセンサ、111…算出部、112…検出部、113…第1の補正部、114…第2の補正部、115…支持制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、
前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部と
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第1の測定部は、当該第1の測定部と前記第2の面との間の距離が焦点距離より大きい距離になるような位置に配置され、
前記検出部は、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記保持部材の前記第1の面には、決められた濃度分布を有するテストチャートが保持され、
前記テストチャートの濃度を測定する第2の測定部と、
前記検出部により検出された前記たわみの状態に応じて、前記第2の測定部により測定された前記テストチャートの濃度に含まれる前記距離の変動により生じる誤差を補正する第1の補正部と、
前記第1の補正部で補正した後の前記テストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部により形成される画像の濃度を補正する第2の補正部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1の測定部は、前記第2の面に光を照射する発光素子と、当該第2の面からの反射光を受光する受光素子とを有し、当該受光素子の受光光量を用いて前記濃度の測定を行い、
前記記憶部は、前記保持部材における前記第1の方向のたわみ量が閾値以下である場合の前記第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラスト及び前記受光素子の受光光量を、それぞれ基準コントラスト及び基準光量として記憶し、
前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記第1の測定部の焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有し、前記第2の面には、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像が形成された保持部材と、
前記第1の面に画像を形成する画像形成部と、
前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、
前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記保持部材を支持する支持部と、
前記検出部により検出されたたわみが減るように前記支持部の位置又は角度を制御する支持制御部と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部とを備えるコンピュータに、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出するステップと、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、
前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部と
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第1の測定部は、当該第1の測定部と前記第2の面との間の距離が焦点距離より大きい距離になるような位置に配置され、
前記検出部は、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記保持部材の前記第1の面には、決められた濃度分布を有するテストチャートが保持され、
前記テストチャートの濃度を測定する第2の測定部と、
前記検出部により検出された前記たわみの状態に応じて、前記第2の測定部により測定された前記テストチャートの濃度に含まれる前記距離の変動により生じる誤差を補正する第1の補正部と、
前記第1の補正部で補正した後の前記テストチャートの濃度分布に応じて、画像形成部により形成される画像の濃度を補正する第2の補正部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1の測定部は、前記第2の面に光を照射する発光素子と、当該第2の面からの反射光を受光する受光素子とを有し、当該受光素子の受光光量を用いて前記濃度の測定を行い、
前記記憶部は、前記保持部材における前記第1の方向のたわみ量が閾値以下である場合の前記第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラスト及び前記受光素子の受光光量を、それぞれ基準コントラスト及び基準光量として記憶し、
前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記第1の測定部の焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも高く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より大きい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より小さくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行い、前記算出されたコントラストが前記基準コントラストよりも低く、且つ、前記受光素子の受光光量が前記基準光量より小さい場合には、前記記憶部に記憶された前記情報のうち、前記距離が前記焦点距離より大きくなる範囲の対応関係を示す情報を用いて前記距離の特定を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有し、前記第2の面には、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像が形成された保持部材と、
前記第1の面に画像を形成する画像形成部と、
前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、
前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出する算出部と、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出部により算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出する検出部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記保持部材を支持する支持部と、
前記検出部により検出されたたわみが減るように前記支持部の位置又は角度を制御する支持制御部と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1の面と当該第1の面の裏側にある第2の面とを有する保持部材の前記第2の面に形成され、第1の階調値を有する第1の領域と第2の階調値を有する第2の領域とが第1の方向に交互に並べて配置された2値画像から、前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを測定する第1の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の面との間の距離と、当該第1の測定部の測定に係る、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストとの対応関係を示す情報を記憶する記憶部とを備えるコンピュータに、
前記第1の測定部により測定された前記第1の領域の濃度と前記第2の領域の濃度とを用いて、隣り合う前記第1の領域と前記第2の領域とのコントラストを算出するステップと、
前記記憶部に記憶された前記情報を用いて、前記算出されたコントラストに対応する前記距離を特定し、当該特定した距離を前記隣り合う第1の領域及び第2の領域と前記第2の面との間の距離として用いて前記保持部材の前記第1の方向のたわみを検出するステップと
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−104681(P2013−104681A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246540(P2011−246540)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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