説明

標本作製装置

【課題】 検査業務の効率化を図ることができる塗抹標本作製装置を提供する。
【解決手段】 複数の動作モードで動作可能な標本作製装置であって、スライドガラスに検体を塗抹するための塗抹部と、前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記塗抹部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含む標本作製装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本作製装置に関し、特にスライドガラスへの検体の識別情報の印字を行うことができる標本作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から血液等を顕微鏡等で観察するために、スライドガラスへ血液等を滴下して引きガラスにより塗抹を行い、観察用の標本を作製する塗抹標本作製装置が用いられている。
さらに、検査業務の効率化を図るために血液分析装置からの測定結果に基づき検体ごとに塗抹条件が設定されるようにした総合血液検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,209,903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血液の塗抹が施されたスライドガラスには、その血液を特定するために、検体番号、日付、受付番号および氏名などの識別情報が記入される。
例えば、上記の特許文献1の装置では、自動的にID番号がスライドガラスに印字されるようになっている。
しかし、血液は、粒子密度や粘度などの特性が多種多様であり、従来の塗抹標本作製装置では観察に適した塗抹標本を作製することが困難なものも存在する。
このような血液に対しては、臨床検査技師が手作業で塗抹標本を作製し、さらにその血液を特定するための識別情報を臨床検査技師が記入していたため、検査業務の効率化が十分に図られていなかった。

本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、検査業務の効率化を図ることができる塗抹標本作製装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における標本作製装置は、複数の動作モードで動作可能な標本作製装置であって、スライドガラスに検体を塗抹するための塗抹部と、前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記塗抹部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含む。
【0006】
この第1の局面による標本作製装置は、上記のように、スライドガラスに検体を塗抹するための塗抹部と、前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記塗抹部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含むので、検体の塗抹はされていないが識別情報は印字されているスライドガラスが作製できる。従って、検査業務の効率化を図ることができる。
【0007】
この発明の第2の局面における標本作製装置は、複数のモードで動作可能な標本作製装置であって、スライドガラスに塗抹された検体を染色するための染色部と、前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記染色部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記複数の動作モードは、前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含む。
【0008】
この第2の局面による標本作製装置は、上記のように、スライドガラスに塗抹された検体を染色するための染色部と、前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記染色部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、前記複数の動作モードは、前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含むので、検体の染色はされていないが識別情報は印字されているスライドガラスが作製できる。従って、検査業務の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に示す実施態様に基づいてこの発明を詳述する。
図5に示すようにシステム1000は、ローダー102、搬送装置200およびアンローダー111を備え、搬送装置200に沿って血液分析装置106と塗抹標本作製装置100が配列されている。
【0010】
さらに、ローダー102、搬送装置200およびアンローダー111を駆動制御する搬送コントローラ109が設けられると共に、血液分析装置106、塗抹標本作製装置100および搬送コントローラ109に対して情報の交換や指令を行うホストコンピュータ107が設けられている。ホストコンピュータ107は、血液検査に関する分析装置および塗抹標本作製装置を統括するためのホストコンピュータである。ホストコンピュータ107は、検体番号と、その検体番号に対応する識別情報(検体を採取した日付、受付番号、検体提供者の氏名など)とが対応付けられて記憶されている。
【0011】
ローダー102には複数のサンプルラック150が載せられる。サンプルラック150は、ローダー102に隣接する搬送装置200の搬入端まで矢印A方向に搬送されてローダー102から降ろされる。各サンプルラック150は、図1に示すように、それぞれ血液検体を収容した複数のサンプル容器151を搭載している。
【0012】
搬送装置200によって、サンプルラック150は矢印B方向に搬送され、血液分析装置106の前、塗抹標本作製装置100の前を通って搬送装置200の搬出端110に達する。ここで、搬送装置200の搬出端110に隣接するアンローダー111がサンプルラック101を矢印C方向に搬送して収容する。
【0013】
なお、検体を収容する各サンプル容器151には、検体の識別情報(ID)を示すバーコードラベル(図示せず)が貼付けられている。
【0014】
システム1000の稼動時、サンプル容器151を載せたサンプルラック150がローダー102に配置されると、システム1000が始動される。最初のサンプルラック150が搬送装置200に載って矢印B方向に移動し、血液分析装置106の前で止まる。
ここで1番目のサンプル容器151のバーコードがバーコードリーダ113によって読み取られる。血液分析装置106は、サンプル容器104内の検体を採取して分析を行い、バーコードと共にその分析結果をホストコンピュータ107に報告(送信)する。血液分析装置106は、サンプルラック150のすべてのサンプル容器151の検体の分析が完了するまでこの処理を繰り返す。ホストコンピュータ107は、分析結果に基づいて、塗抹標本の作製が必要な検体であるか否かを判断する。
【0015】
次に、塗抹標本の作製が必要のない検体のみが搭載されたサンプルラック150は、ホストコンピュータ107の指令に基づいて搬送コントローラ109が搬送装置200をコントロールすることにより、塗抹標本作製装置100の前を通過し、アンローダー111へ移動する。塗抹標本の作製の必要な検体が搭載されたサンプルラック150は、ホストコンピュータ107の指令に基づいて搬送コントローラ109が搬送装置200をコントロールすることにより、塗抹標本作製装置100の前で停止する。各サンプル容器151のバーコードは、塗抹標本作製装置100のバーコードリーダ113によって読み取られ、ホストコンピュータ107に報告(送信)される。ホストコンピュータ107が、塗抹標本の作製が必要と判断した場合、塗抹標本作製装置100は、塗抹標本の作製が必要なサンプル容器151から検体を採取して血液塗抹標本を作製する。一方、塗抹標本の作製が不要なサンプル容器151はさらに矢印B方向に進み、次のサンプル容器151が塗抹標本作製装置100の前で停止する。
次いで、搬送装置200に載って塗抹標本作製装置100の前を通過したサンプルラック150は、アンローダー111へ移動する。
【0016】
図1に示すように、搬送装置200は、塗抹標本作製装置100の前面に設置されている。塗抹標本作製装置100は、タッチパネルからなる表示操作部101と、電源スイッチ103と、カバー104と、バーコードリーダ113と、制御部120と、入出力インターフェイス121とを含んでいる。また、塗抹標本作製装置100には、血液が収容されたサンプル容器151を搬送装置200側から塗抹標本作製装置100側に搬送するためのハンド部材160が設けられている。血液が収容されたサンプル容器151には、ゴム栓151aが装着されている。入出力インターフェイス121は、ホストコンピュータ107に情報を送受信する機能を有する。
【0017】
また、塗抹標本作製装置100は、図2に示すように、吸引分注機構部1と、塗抹部2と、印字部2gと、スライドガラス搬送部2hと、カセット収容部4と、カセット搬送部5と、スライドガラス挿入部6と、染色部7と、保管部8とを備えている。この吸引分注機構部1は、ハンド部材160(図1参照)によって塗抹標本作製装置100側に搬送されたサンプル容器151から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部1は、図2に示すように、サンプル容器151から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)1aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するためのピペット1bと、ピアサ1aおよびピペット1bに接続されるシリンジポンプ1cと、ピアサ1aとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1dと、ピペット1bとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1eとを含んでいる。吸引分注機構部1と、塗抹部2と、印字部2gと、スライドガラス搬送部2hと、カセット収容部4と、カセット搬送部5と、スライドガラス挿入部6と、染色部7と、保管部8とは、制御部120によって制御される。
【0018】
塗抹部2は、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥するために設けられている。この塗抹部2には、スライドガラス供給部2aと、スライドガラス収納部2bと、引きガラス2cと、送りベルト2dおよび2eと、ファン2fとが設けられている。
印字部2gは、熱転写プリンタを備え、スライドガラス10のフロスト部10aに、検体番号、日付、受付番号、氏名などの検体識別情報を印字するために設けられている。印字部2gは、検体番号、日付、受付番号、氏名などの検体識別情報に基づいて2次元バーコードを作成する機能を有する。
図6は、印字部2gによって検体識別情報が印字されたスライドガラスのフロスト部の拡大図である。図6に示すように、スライドガラス10のフロスト部10aには、その検体を特定するための検体番号、検体を採取した日付、検査の受付を特定するための受付番号、検体の提供者(患者)の氏名などの識別情報を含む2次元バーコード10bと、日付や氏名の漢字などからなる3行のテキスト10cとが印字される。
【0019】
スライドガラス供給部2aは、2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10を、図示しない取出機構および送りベルト2dを用いて、送りベルト2e上に供給する機能を有する。送りベルト2eは、スライドガラス10を分注・塗抹位置90および乾燥位置91aおよび91bに搬送するように構成されている。引きガラス2cは、分注・塗抹位置90でスライドガラス10に分注された血液を塗抹することができるように、スライドガラス10に当接する位置に移動可能で、かつ、スライドガラス10の長手方向に移動可能に構成されている。ファン2fは、乾燥位置91aおよび91bに搬送されたスライドガラス10の塗抹された血液を乾燥するために設けられている。
【0020】
スライドガラス搬送部2hは、スライドガラス10を送りベルト2eの端部から印字部2gの下へ移動させるとともに、印字後のスライドガラス10をカセット3の収納位置へ移動させるために設けられている。このスライドガラス搬送部2hは、スライドガラス10を送りベルト2eの端部から印字のための横方向位置91cへ横方向に移動させるための横方向移動片2iと、スライドガラス10を印字のための縦方向位置91dおよびカセット3の収納位置91eへ縦方向に移動させるための縦方向移動片2jとを含んでいる。
【0021】
樹脂製のカセット3は、図3に示すように、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。具体的には、カセット3は、図3および図4に示すように、スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bと、仕切部3cおよび3dと、スライドガラス支持部3eと、磁石に吸着可能な金属からなる2つの磁石吸着部材3fと、搬送ベルト係合部3gと、側面部3hおよび3iとを含んでいる。スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bとは、内部で繋がっている。
【0022】
また、図2に示すように、カセット収容部4は、カセット3を搬入するために設けられており、送り込みベルト4aを含んでいる。また、カセット収容部4には、カセット収容部4の待機位置92のカセット3の数量が所定の数量(たとえば、10個)以下になることを検知するためのカセット残量検知センサ4bと、カセット収容部4の待機位置92の搬送路5cにカセット3が存在するか否かを検知するためのカセット有無検知センサ4cとが設けられている。
【0023】
カセット搬送部5は、カセット収容部4から搬入されたカセット3をスライドガラス挿入部6および染色部7に搬送するために設けられている。このカセット搬送部5は、水平方向に移動可能なカセット搬送部材5aと、カセット搬送部材5aを水平方向に移動させるための駆動ベルト5bと、カセット収容部4から供給されたカセット3を搬送するための搬送路5cとを含んでいる。
【0024】
スライドガラス挿入部6は、スライドガラス10をカセット3のスライドガラス収納孔3aに収納するために設けられている。このスライドガラス挿入部6は、カセット3を水平方向に配置してスライドガラス10を挿入可能な状態にするためのカセット回動機構部6aと、カセット回動機構部6aにより水平方向に配置されたカセット3の高さ方向の位置決めを行う位置決め部6bと、水平方向に配置されたカセット3の横方向の位置決めを行う2つの位置決め部6cと、スライドガラス挿入部6に位置するカセット3にスライドガラス10が収納されているか否かを検知するためのセンサ6dとを含んでいる。また、位置決め部6bは、カセット回動機構部6aにより水平方向位置に回動されたカセット3の裏面に当接することにより、カセット3の高さ方向の位置決めを行うために設けられている。また、2つの位置決め部6cは、カセット回動機構部6aにより水平方向位置に回動されたカセット3が横方向にずれていた場合に、カセット3の横方向の位置のずれを矯正することにより、カセット3の横方向の位置決めを行うために設けられている。
【0025】
染色部7は、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3の染色液吸引分注孔3bに染色液を供給することにより、スライドガラス10に塗抹された血液に染色を施すために設けられている。この染色部7は、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3を染色部7の第2吸引排出部7dに送り込むための送り込み部材7aと、送り込み部材7aから送り込まれたカセット3を搬送するための搬送ベルト7bと、カセット3に対して染色液の供給および排出を行うための第1〜第5吸引排出部7c〜7gと、染色済のスライドガラス10を乾燥するためのファン7hと、カセット3を搬送ベルト7bから保管部8の搬送ベルト8b側へ送り出すための送り出し機構部7iと、第2吸引排出部7dにおいてスライドガラス10を乾燥するためのファン7jとを含んでいる。
【0026】
保管部8は、染色部7により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット3を保管するために設けられている。この保管部8には、送り出し機構部7iにより染色部7の搬送ベルト7bから送り出されたカセット3を保管部8の搬送ベルト8bに送り込むための送り込み部材8aと、送り込み部材8aから送り込まれたカセット3を搬送するための搬送ベルト8bとが設けられている。なお、保管部8の送り込み部材8aは、上記した染色部7の送り込み部材7aと同様の構造を有している。
【0027】
本実施形態による塗抹標本作製装置100の動作について説明する。塗抹標本作製装置100は、ローダ102から搬送されたサンプル容器151について、塗抹標本作製の要否をホストコンピュータ107に問合せ、必要であれば検体を吸引し、染色済みの塗抹標本を作製するサンプラモードと、使用者が表示操作部101を操作することによって、塗抹と印字と染色とを行う塗抹染色モード、塗抹と印字は行うが染色は行わない塗抹モード、染色は行うが塗抹と印字は行わない染色モード、および印字は行うが塗抹と染色は行わない印字モードとから選択されたいずれかの動作モードで動作可能なマニュアルモードとで動作する。
【0028】
以下、サンプラモードにおける塗抹標本作製装置の動作について説明する。
図5に示したローダ102にサンプルラック150が配置され、システム1000が稼動すると、まず、図2に示したカセット収容部4によるカセット3の搬入動作が行われる。具体的には、まず、カセット収容部4にカセット3をセットする。これにより、カセット3の搬送ベルト係合部3g(図3参照)がカセット収容部4の送り込みベルト4aに係合された状態でカセット3が搬送されて、カセット待機位置92に送り込まれる。なお、カセット収容部4のカセット待機位置92のカセット3の数量が所定の数量(たとえば、10個)以下になった場合には、カセット残量検知センサ4bにより検知されて表示操作部101(図1参照)に、「カセットを補充してください」などの表示が行われる。カセット待機位置92のカセット3のうちの先頭のカセット3は、搬送路5cに配置される。この搬送路5cに配置されたカセット3は、カセット有無検知センサ4cにより検知されて1つずつカセット搬送部5によりスライドガラス挿入部6に搬送される。すなわち、カセット搬送部5を構成するカセット搬送部材5aが、搬送開始位置93からカセット3の側面部3h(図3参照)を押しながら移動することによって、カセット3はスライドガラス挿入部6に搬送される。
【0029】
一方、サンプル容器151が塗抹標本作製装置100のバーコードリーダ113の前まで到達すると、サンプル容器151のバーコードが読み取られ、制御部120によって、ホストコンピュータ107に対してそのサンプル容器151について塗抹標本の作製が必要か否かの問合せが行われる。ホストコンピュータ107から、塗抹標本の作製が必要との返答があると、吸引分注動作が行われる。
【0030】
吸引分注動作としては、まず、塗抹標本作製装置100のハンド部材160が、検体ラック150の血液が収容されたサンプル容器151を把持する。そして、ハンド部材160を上昇させることによりサンプル容器151を持ち上げるとともに、ハンド部材160を回動させることによりサンプル容器151を撹拌した後、図2に示す吸引分注機構部1にサンプル容器151を配置する。そして、ピアサ1aをサンプル容器151のゴム栓151aに突き刺して血液を吸引する。この吸引動作の際には、バルブ1dを開放状態(オン状態)にするとともに、バルブ1eを遮断状態(オフ状態)にする。血液の吸引動作を終了した後、バルブ1dを遮断状態(オフ状態)にするとともに、バルブ1eを開放状態(オン状態)にする。この後、ピペット1bを図2に示した分注・塗抹位置90に移動させた後、スライドガラス10に血液をピペット1bから滴下(分注)する。
【0031】
上記した吸引分注機構部1による吸引分注動作と並行して、塗抹部2による塗抹動作が行われる。この塗抹部2では、スライドガラス10を分注・塗抹位置90(図2参照)に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥する。具体的には、スライドガラス供給部2aの2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10が、図示しない取り出し機構および送りベルト2dにより、送りベルト2e上に供給される。そして、送りベルト2eにより、スライドガラス10が分注・塗抹位置90に搬送される。この状態で、スライドガラス10にピペット1bを用いて血液の滴下(分注)が行われる。
【0032】
その後、引きガラス2cが、スライドガラス10に当接するように移動されるとともに、スライドガラス10の長手方向に往復移動されることにより、分注・塗抹位置90でスライドガラス10に滴下された血液が塗抹される。この後、塗抹されたスライドガラス10は、送りベルト2eにより乾燥位置91aに搬送される。そして、乾燥位置91aにおいて、ファン2fにより、スライドガラス10の塗抹された血液が冷風乾燥される。このスライドガラス10の冷風乾燥は、隣接する2つの乾燥位置91aおよび91bで2回行われる。
【0033】
その後、スライドガラス搬送部2hにより、塗抹済みのスライドガラス10が印字部2gの下に移動される。上記の動作と並行して、印字部2gは、ホストコンピュータ107から制御部120を介して検体識別情報を受信し、その検体識別情報から2次元バーコードを作成する。そして、印字部2gによって、スライドガラス10のフロスト部10aに、2次元バーコードとテキストとが印字される(図6参照)。その後、スライドガラス搬送部2hにより、印字後のスライドガラス10がスライドガラス挿入部6側に移動される。
上記のように本実施形態の標本作製装置100は、2次元バーコードを印字可能であるので、検査技師などが識別情報を記入する場合と比較して多くの情報をスライドガラス10に記載することが可能である。
【0034】
次に、スライドガラス挿入部6において、スライドガラス10がカセット3に挿入される。
次に、染色部7(図2参照)では、まず、第1吸引排出部7cにより、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメタノールを分注する。そして、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3に戻した後、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3が1つずつ、送り込み部材7aにより搬送ベルト7bに載せられる。そして、搬送ベルト7bにより、カセット3が第2吸引排出部7dに搬送される。
【0035】
第2吸引排出部7dでは、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、スライドガラス10の塗抹面にファン7jによる送風を約1秒〜約60秒間当てて塗抹面上の液体成分を蒸発させることによって乾燥させる。なお、第1吸引排出部7cにより塗抹済みのスライドガラス10がメタノールに浸漬されてから第2吸引排出部7dによりスライドガラス10が持ち上げられるまでの時間(浸漬時間)は、約20秒〜約120秒である。
【0036】
次に、染色処理(メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理)が施される。まず、第2吸引排出部7dにおいて、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメタノールが吸引されて排出された後、カセット3のスライドガラス収納孔3aにスライドガラス10を戻す。次にカセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液(主成分はメタノールで99%)が分注され、塗抹済みのスライドガラス10をメイグリュンワルド液に浸漬する。これにより、メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理が開始される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、染色処理として、メイグリュンワルド液に浸漬される。そして、第3吸引排出部7eにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメイグリュンワルド希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、メイグリュンワルド希釈液に浸漬される。そして、第4吸引排出部7fにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにギムザ希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約20分間、ギムザ希釈液に浸漬される。
【0037】
次に、第5吸引排出部7gにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからギムザ希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bに対して洗浄液が分注および吸引されて染色済みのスライドガラス10が水洗される。その後、染色済みのスライドガラス10は、ファン7hにより乾燥される。
【0038】
そして、ファン7hによる乾燥が行われた染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3は、図2に示した送り出し機構部7iにより、搬送ベルト7bから保管部8の搬送ベルト8b側へ順次送り出される。そして、保管部8の送り込み部材8aにより、カセット3を保管部8の搬送ベルト8bに送り込む。これにより、送り込み部材8aから送り込まれたカセット3は、搬送ベルト8bにより保管部8に搬送されて保管される。
【0039】
一方、カセット搬送部材5aは、図2に示した染色部7の搬送終了位置94までカセット3を搬送した後、搬送開始位置93に戻る。これにより、カセット搬送部材5aは、次のカセット3を搬送可能な状態になる。そして、カセット搬送部材5aは、次のカセット3の側面部3hを押すことによって、次のカセット3をスライドガラス挿入部6まで搬送する。
【0040】
以下、マニュアルモードにおける塗抹標本作製装置100の動作について説明する。マニュアルモードは、操作表示部101に表示されるトップ画面においてマニュアルアイコン(図示せず)を選択することによって始動する。
図7に示すように、ステップS1では、制御部120は、マニュアルアイコンが入力されたか否かを判断する。マニュアルアイコンが入力されると、マニュアルモードが開始する。
【0041】
ステップS2では、制御部120は、表示操作部101にマニュアル画面を表示する処理を実行する。
図8にマニュアル画面の一例を示す。図8に示すように、マニュアル画面300は、検体番号入力部301と、動作モード選択部302と、採血管選択部303と、塗抹レベル選択部304と、スライド選択部305と、問合選択部306と、枚数選択部307と、スタートアイコン308と、終了キー309とを含む。
検体番号入力部301は、スライドガラスに印字する検体番号を入力するための領域である。
動作モード選択部302は、動作モードを選択するための領域である。動作モード選択部302では、塗抹と印字と染色とを行う塗抹染色モードと、塗抹と印字は行うが染色は行わない塗抹モードと、染色は行うが塗抹と印字は行わない染色モードと、印字は行うが塗抹と染色は行わない印字モードのいずれかを選択することができる。この領域に使用者が触れると、モードが切り替わるようになっている。図8に示したマニュアル画面300では、印字モードが選択されている。
【0042】
採血管選択部303は、塗抹染色モードと塗抹モードにおいて使用するサンプル容器151の種類を選択するための領域である。採血管選択部303では、サンプル容器として、ゴム栓151aが付けられたクローズド容器とゴム栓151aが付けられておらず微量の血液を収容する微量採血管のどちらかを選択することができる。図8に示したマニュアル画面300では、動作モードが印字モードであり、サンプル容器は使用しないので、この領域は空欄となっている。
塗抹レベル選択部304は、血液をスライドガラスに塗抹する際の引きガラスのスピード、引きガラスのスライドガラスに対する角度などの塗抹のレベル(条件)を選択するための領域である。塗抹レベル選択部304では、1〜16までのいずれかのレベルが選択可能である。図8に示したマニュアル画面300では、動作モードが印字モードであり、塗抹は行わないので、この領域は空欄となっている。
【0043】
スライド選択部305は、2つのスライドガラス収納部2b(図2参照)のうちのどちらに収納されたスライドガラスを使用するかを選択するための領域である。スライド選択部305では、選択なし、ポジション1(右側のスライドガラス収納部2b)およびポジション2(左側のスライドガラス収納部2b)のいずれかを選択することができる。図8に示したマニュアル画面300では、「選択なし」が選択されている。
【0044】
問合選択部306は、ホストコンピュータ107に問合せをするか否かを選択するための領域である。問合選択部306では、「(問合せ)する」または「(問合せ)しない」のどちらかを選択することができる。図8に示したマニュアル画面300では、「する」が選択されている。
枚数選択部307は、標本を作製する枚数を選択するための領域である。枚数選択部307では、1枚または2枚のどちらかを選択することができる。図8に示したマニュアル画面300では、「1枚」が選択されている。
スタートアイコン308は、塗抹や染色などの動作を開始させるためのアイコンである。
終了キー309は、マニュアルモードを終了するためのキーである。
【0045】
ステップS3では、制御部120は、使用者によるマニュアル画面300の各領域への入力および選択を受け付ける処理(設定登録)を実行する。
ステップS4では、制御部120は、スタートアイコン308が入力されたか否かを判断する処理を実行する。
スタートアイコン308が入力されると、ステップS5において、制御部120は、動作モード選択部302に塗抹染色モードが選択されているか否かを判断する。塗抹染色モードが選択されていれば、塗抹標本作製装置100は、塗抹染色モードで動作する。
【0046】
塗抹染色モードが選択されていれば、ステップS6において、制御部120は、問合選択部306に「(問合せ)する」が選択されているか否かを判断する。
「(問合せ)する」が選択されていれば、ステップS7において、制御部120は、ホストコンピュータ107への問合せを行う。具体的には、検体番号入力部301に入力されている検体番号をホストコンピュータ107に送信し、その検体番号に対応する識別情報(検体を採取した日付、受付番号、検体提供者の氏名など)をホストコンピュータ107から受信する。「(問合せ)しない」が選択されていれば、ステップS7の処理は実行しない。
【0047】
ステップS8では、制御部120は、スライドガラス10を搬送するための処理を実行する。この処理によって、スライドガラス10は、サンプラモードでの動作と同様に、スライドガラス収納部2bから分注・塗抹位置90、印字のための横方向位置91c、スライドガラス挿入部6、染色部7、および保管部8の方向に搬送される。
ステップS9では、制御部120は、血液をサンプル容器151から吸引し、スライドガラス10に分注するための処理を実行する。この処理によって、サンプラモードでの動作と同様に、吸引分注機構部1がサンプル容器151から血液を吸引し、分注・塗抹位置90に配置されたスライドガラス10に血液を分注する。
【0048】
ステップS10では、制御部120は、スライドガラス10に分注された血液を塗抹するための処理を実行する。この処理によって、サンプラモードでの動作と同様に、塗抹部2がスライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥する。
ステップS11では、制御部120は、スライドガラス10に検体の識別情報を印字するための処理を実行する。この処理によって、ステップS7の問合せが行われた場合には、サンプラモードでの動作と同様に、印字部2gがスライドガラス10のフロスト部10aに2次元バーコード10bとテキスト10cとを印字する。一方、ステップS7の問合せが行われなかった場合には、検体番号入力部301に入力された検体番号のみが印字される。
【0049】
ステップS12では、制御部120は、塗抹済のスライドガラス10に染色を施すための処理を実行する。この処理によって、サンプラモードでの動作と同様に、染色部7がスライドガラス10に塗抹された血液に染色を施す。
ステップS13では、制御部120は、カセット3を保管部8に保管するための処理を実行する。この処理によって、サンプラモードでの動作と同様に、保管部8がカセット3を保管する。
【0050】
一方、ステップS5において塗抹染色モードが選択されていないと判断されると、ステップS14において、制御部120は、塗抹モードが選択されているか否かを判断する。塗抹モードが選択されていれば、塗抹標本作製装置100は、塗抹モードで動作する。
【0051】
塗抹モードが選択されていると、ステップS15において、制御部120はステップS6と同様の判断をする。
「(問合せ)する」が選択されていれば、ステップS16において、制御部120は、ステップS7と同様にホストコンピュータ107への問合せを行う。「(問合せ)しない」が選択されていれば、ステップS16の処理は実行しない。
ステップS17では、制御部120はステップS8と同様に、スライドガラス10を搬送するための処理を実行する。
【0052】
ステップS18では、制御部120はステップS9と同様に、血液をサンプル容器151から吸引し、スライドガラス10に分注するための処理を実行する。
ステップS19では、制御部120はステップS10と同様に、スライドガラス10に分注された血液を塗抹するための処理を実行する。
ステップS20では、制御部120はステップS11と同様に、スライドガラス10に検体の識別情報を印字するための処理を実行する。
そして、制御部120は、ステップS13の処理を実行する。
【0053】
一方、ステップS14において塗抹モードが選択されていないと判断されると、ステップS21において、制御部120は、染色モードが選択されているか否かを判断する。染色モードが選択されていれば、塗抹標本作製装置100は、染色モードで動作する。
染色モードが選択されていると、ステップS22において、制御部120はステップS6と同様の判断をする。
「(問合せ)する」が選択されていれば、ステップS23において、制御部120は、ステップS7と同様にホストコンピュータ(HC)107への問合せを行う。「(問合せ)しない」が選択されていれば、ステップS23の処理は実行しない。
【0054】
ステップS24では、制御部120は、カセット収納部4からカセット搬送部5、染色部7および保管部8の方向に塗抹済のスライドガラスが挿入されたカセット3を搬送するための処理を実行する。なお、塗抹済のスライドガラスが挿入されたカセットは、使用者によってカセット収納部4にセットされる。
ステップS25では、制御部120はステップS10と同様に、スライドガラス10に塗抹された血液に染色を施すための処理を実行する。
そして、制御部120は、ステップS13の処理を実行する。
【0055】
ステップS21において染色モードが選択されていないと判断されると、ステップS26において、制御部120はステップS6と同様の判断をする。なお、ステップS21において染色モードが選択されていないことは、印字モードが選択されていることを意味し、塗抹標本作製装置100は、印字モードで動作する。
「(問合せ)する」が選択されていれば、ステップS27において、制御部120は、ステップS7と同様にホストコンピュータ107への問合せを行う。「(問合せ)しない」が選択されていれば、ステップS27の処理は実行しない。
ステップS28では、制御部120はステップS8と同様に、スライドガラス10を搬送するための処理を実行する。
ステップS29では、制御部120はステップS11と同様に、スライドガラス10に検体の識別情報を印字するための処理を実行する。
そして、制御部120は、ステップS13の処理を実行する。
【0056】
ステップS30では、制御部120は、終了キー309が入力されたか否かを判断する処理を実行する。終了キー309が入力されるとマニュアルモードを終了する。終了キー309が入力されなければステップS4に戻る。
【0057】
上記実施形態においては、使用者が印字モードを選択して、塗抹標本作製装置100を動作させると、検体は塗抹されていないが識別情報は印字されているスライドガラスが完成する。使用者は、このスライドガラスに手作業で塗抹標本を作製することによって、従来手作業で行っていた識別情報のスライドガラスへの記入を省略することができ、検査業務の効率化が図られる。
【0058】
なお、上記実施形態の塗抹部2は、引きガラス2cによって血液を塗抹しているが、本発明はこれに限らず、スピナー法(遠心法)を使用して血液を塗抹する塗抹部を備える標本作製装置に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態の塗抹標本作製装置100は、2次元バーコード10bに検体番号、日付、受付番号、および氏名などの識別情報が含まれているが、本発明はこれに限らず、血液分析装置106での分析結果を2次元バーコードに含めてもよいし、検体番号のみを印字してもよい。また、フロスト部10aに印字する情報を設定するための設定部を設けてもよい。
また、上記実施形態の塗抹標本作製装置100は、血液を塗抹する血液標本作製装置であるが、本発明はこれに限らず、骨髄液の標本を作製する骨髄液標本作製装置などの血液塗抹標本作製装置以外の標本作製装置に本発明を適用してもよい。
【0059】
また、上記実施形態の塗抹標本作製装置100は、塗抹と染色を行う塗抹染色モードと、塗抹は行うが染色は行わない塗抹モードと、染色は行うが塗抹は行わない染色モードと、および印字のみを行う印字モードとから選択されたいずれかの動作モードで動作可能であるが、本発明はこれに限らず、塗抹染色モードおよび印字モードから選択されたいずれかの動作モードで動作可能な標本作製装置や、塗抹モードおよび印字モードから選択されたいずれかの動作モードで動作可能な標本作製装置などに本発明を適用してもよい。
また、本発明の標本作製装置は、塗抹を行うが染色と印字とを行わないモードおよび印字モードから選択されたいずれかの動作モードで動作可能であってもよい。また、染色を行うが塗抹と印字とを行わないモードと印字モードとから選択されたいずれかの動作モードで動作可能であってもよい。また、塗抹と染色を行うが印字を行わないモードと印字モードとから選択されたいずれかの動作モードで動作可能であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態の塗抹標本作製装置100は、染色部7を備えているが、本発明はこれに限らず、染色部7を備えていない標本作製装置に本発明を適用してもよい。この場合、標本作製装置は、塗抹モードおよび印字モードから選択されたいずれかの動作モードで動作可能としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態の塗抹標本作製装置100は、塗抹部2を備えているが、本発明はこれに限らず、塗抹部2を備えていない標本作製装置に本発明を適用してもよい。この場合、標本作製装置は、染色モードおよび印字モードから選択されたいずれかの動作モードで動作可能としてもよい。また、上記のモードを適当に組み合わせた標本作製装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による塗抹標本作製装置および搬送装置の構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による塗抹標本作成装置の内部構成を示した平面図である。
【図3】図2に示した一実施形態による塗抹標本作成装置に用いるカセットおよびスライドガラスを示した斜視図である。
【図4】図2に示した一実施形態による塗抹標本作成装置に用いるカセットおよびスライドガラスを示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による塗抹標本作製装置および搬送装置を含むシステムの構成を示した図である。
【図6】図2に示した一実施形態による塗抹標本作成装置に用いるスライドガラスのフロスト部の拡大図である。
【図7】図2に示した一実施形態による塗抹標本作成装置の制御部による処理を説明するフローチャートを示した図である。
【図8】図2に示した一実施形態による塗抹標本作成装置の表示操作部に表示されるマニュアル画面を示した図である。
【符号の説明】
【0063】
100 塗抹標本作製装置
102 ローダー
106 血液分析装置
107 ホストコンピュータ
109 搬送コントローラ
111 アンローダー
200 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作モードで動作可能な標本作製装置であって、
スライドガラスに検体を塗抹するための塗抹部と、
前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、
前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、
前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記塗抹部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、
前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含む標本作製装置。
【請求項2】
前記複数の動作モードは、
前記スライドガラスへの前記検体の塗抹と前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷とを行う第1のモードをさらに含む請求項1記載の標本作製装置。
【請求項3】
前記スライドガラスに塗抹された前記検体を染色するための染色部をさらに備え、
前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹と前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷と前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色とを行う第2のモードをさらに含む請求項1または2記載の標本作製装置。
【請求項4】
前記複数の動作モードは、前記スライドガラスへの前記検体の塗抹および前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行わず、前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色は行う第3のモードをさらに含む請求項3記載の標本作製装置。
【請求項5】
前記標本作製装置は、前記検体の第1の識別情報と、前記第1の識別情報に対応する前記検体の第2の識別情報とを記憶するコンピュータに接続され、
前記検体の第1の識別情報を入力する検体識別情報入力部と、
入力された前記第1の識別情報を前記コンピュータに送信する送信部と、
送信した前記第1の識別情報に対応する前記第2の識別情報を、前記コンピュータから受信する受信部とを備え、
前記印刷部は、前記スライドガラスに前記第2の識別情報を印刷する請求項1〜4のいずれか1項に記載の標本作製装置。
【請求項6】
前記印刷部は、前記検体の識別情報を含むバーコードを前記スライドガラスに印刷する請求項1〜4のいずれか1項に記載の標本作製装置。
【請求項7】
前記バーコードは、2次元バーコードである請求項6記載の標本作製装置。
【請求項8】
前記印刷部は、熱転写プリンタを含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の標本作製装置。
【請求項9】
複数のモードで動作可能な標本作製装置であって、
スライドガラスに塗抹された検体を染色するための染色部と、
前記スライドガラスに前記検体の識別情報を印刷するための印刷部と、
前記複数の動作モードから1の動作モードを設定するための設定手段と、
前記設定手段によって設定された1の動作モードに従って前記染色部と前記印刷部とを制御する制御部と、を備え、
前記複数の動作モードは、前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色は行わず前記スライドガラスへの前記識別情報の印刷は行う印刷モードを含む標本作製装置。
【請求項10】
前記複数の動作モードは、前記スライドガラスに塗抹された前記検体の染色を行う第1のモードをさらに含む請求項9記載の標本作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−78296(P2006−78296A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261707(P2004−261707)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】