説明

樹脂封止装置

【課題】成形品を十分に冷却した上でゲートブレーク工程に入ることを可能とすることで樹脂封止装置のサイクルタイムを短縮しつつ、正確なゲートブレークが可能な樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】半導体チップ等の被成形品を樹脂にて封止するための封止手段300と、封止手段300により樹脂封止された成形品の不要樹脂を取り除くゲートブレーク手段400と、を備え、且つ、成形品がゲートブレークされる前に当該成形品を冷却するための冷却手段100と、冷却後の成形品を、冷却手段100からゲートブレーク手段400へと搬送する搬送手段600と、を備えて樹脂封止装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製品を樹脂にて封止する樹脂封止装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9記載の半導体モールド装置(樹脂封止装置)1が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
半導体モールド装置1は、半導体チップを樹脂モールドする成形装置11と、この成形装置11により樹脂モールドされたワーク19を成形装置11から取り出す取出し手段25と、この取出し手段25により取り出されたワーク(成形品)19を受ける支持体27と、この支持体27に受けられたワーク19を冷却する冷却手段31と、前記支持体27との間にワーク19を押え込んで支持体27と協働してワーク19からゲートを折り取る押え手段(ゲートブレーク手段)30と、前記冷却手段31によりワーク19を冷却する際にワーク19を撮影する赤外線カメラ32と、この赤外線カメラ32により撮影された画像に基づきワーク19の良否を判定する判定手段33と、を備えた構成とされている。
【0004】
樹脂封止装置では、金型内で樹脂封止された成形品は、完全に冷却される前(型から取り出すことが可能な程度にまで冷えると直ぐ)に取り出され、次の封止に備えて準備がなされる。これは装置のサイクルタイム向上等のために行なわれている。又、封止直後の成形品には、半導体チップ等の周囲に形成された本来の成形品(パーケージ部)の他に、封止工程での樹脂の通路等となるカル部やランナ部等に存在していた樹脂が冷えて固まったゲート部樹脂(不要樹脂)が一体となっている。そのため、このゲート部樹脂を取り除くための工程(ゲートブレーク工程)が設けられている。
【0005】
一方、樹脂封止直後の成形品(型から取り出されたばかりの成形品)は、前述した通り未だ相当程度に高温であり、不用意にゲートブレーク工程に入ると本来取り除かれるべきゲート部の一部が残存したり、本来残るべき部分がゲート部と一緒に取り除かれてしまう等の不都合が生じる。これは、樹脂が未だ十分に冷却されていないことに起因するものであり、十分な冷却を行なうことにより回避することが可能である。
【0006】
この点、半導体モールド装置1においても、押さえ手段(ゲートブレーク工程を行なう部分)30と一体的に構成された冷却手段31によってゲートブレーク工程前に事前の冷却が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−58137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構成ではゲートブレーク工程に入る直前になって初めて成形品を冷却することが出来るのであり、成形品がゲートブレーク出来る位置に配置されているにも関わらず、十分に冷却されるまで相応の時間待機している必要がある。この冷却時間(ゲートブレーク手段の待機時間)は、装置のサイクルタイムに直接影響するため、サイクルタイム短縮に対する阻害要因となってしまう。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するべくなされたものであって、成形品を十分に冷却した上でゲートブレーク工程に入ることでゲートブレーク手段の待機時間を排除し樹脂封止装置のサイクルタイムを短縮しつつ、正確なゲートブレークを可能とする樹脂封止装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、半導体チップ等の被成形品を樹脂にて封止するための封止手段と、前記封止手段により樹脂封止された成形品の不要樹脂を取り除くゲートブレーク手段と、を備え、且つ、前記成形品がゲートブレークされる前に当該成形品を冷却するための冷却手段と、冷却後の前記成形品を、前記冷却手段から前記ゲートブレーク手段へと搬送する搬送手段と、を備えるように樹脂封止装置を構成することで、上記課題を解決するものである。
【0011】
このように、冷却専用の(冷却効果の高い)冷却手段を、封止手段とゲートブレーク手段との間に介在させ、搬送手段を介してゲートブレーク手段に搬送することにより、成形品がゲートブレーク手段に搬送された時点でゲートブレークするのに十分な程度にまで成形品を冷却しておくことが可能となる。その結果成形品がゲートブレーク手段に供給されると直ぐにゲートブレーク工程に入ることができ、ゲートブレーク手段における成形品の「冷却時間」を装置のサイクルタイム支配要因から排除することができる。又、十分に冷却された上でゲートブレークされるため、ゲート残り、ゲート折れ等を防止できる。
【0012】
なお、特に、特定のゲートブレーク手段に対して封止手段が並列的に複数設けられている封止装置(所謂マルチプレスタイプ)の場合には、その構成上、1のゲートブレーク手段に対して次々と成形品が運ばれてくる。その結果、冷却時間に加えて「冷却のための待ち時間」が存在する。本発明をこのようなマルチプレスタイプの樹脂封止装置で実現すれば、この「冷却のための待ち時間」を利用して冷却でき、独立した(即ち搬送手段を介在させて)冷却手段を設けても、そのことによって装置のサイクルタイムを伸長する方向に影響することはない。更に、冷却手段を、複数の成形品を同時に冷却可能(複数の封止手段から搬送されてきた成形品を同時に冷却可能)なように構成すれば、より迅速に十分に冷却された成形品をゲートブレーク手段へと供給することが可能となる。
【0013】
又、上記冷却手段としては種々の構成を採用することができ、例えば以下のような構成とすることが考えられる。
【0014】
例えば、前記成形品がセットされるセット部と、該セット部にセットされた前記成形品に隣接するように設けられた冷却媒体通路と、前記冷却媒体通路に供給される冷却媒体と、を備えた構成とすれば、簡易な構成で冷却手段を実現できる。
【0015】
又、前記冷却媒体をエアとして、前記セット部に、前記冷却媒体通路からセットされた前記成形品へと当該エアを導くエア噴出孔が備えられている構成とすれば、冷却媒体であるエアを直接成形品に噴射することができ、成形品を効率的に冷却できる。更に、希望するタイミングで希望する温度のエア(冷気)を簡易且つ自由に調整することができ、成形品の大きさや樹脂の種類に応じた最適な条件へと機動的に対応することが可能となる。
【0016】
更に、前記エア噴出時において、前記セット部にセットされた前記成形品を前記セット部に保持可能なクランプ構造を備えておけば、より強いエアの噴射が可能となり、冷却時間の短縮や更なる低温度までの冷却が可能となる。
【0017】
又、前記セット部に、前記成形品をセットした状態で前記成形品を被覆可能なカバーを備えた構成とすれば、冷却媒体による冷却効率をより向上させることが可能となる。例えばエアを噴出させて冷却する場合には、噴出したエア(冷気)が周囲に飛散することなく成形品を効果的に冷却することができる。
【0018】
又、更に、前記セット部に前記成形品をセットした状態で、該セット部を前記カバーに対して当接・離間可能なセット部移動機構を備えた構成とすれば、冷却時に成形品に発生し得る反りを最小限に抑えることが出来る。
【0019】
加えて、前記カバー内にも、冷却媒体通路を設ければ成形品の両面側から同時に冷却することが可能となり、より一層の冷却効率の向上が図れる。
【0020】
又、前記カバーを2分割構造とし、所定のタイミングで開閉可能に構成すれば、搬送機構による成形品の受渡しが容易となるように構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明を適用することにより、成形品を短時間で十分に冷却でき、冷却不足によるゲートブレーク不良(ゲート残り、ゲート折れ、密着残り等)を防止できると共に、冷却専用の構成を採り易いことから、必要に応じて成形品の反りを最小限とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の一例である樹脂封止装置の概略構成図
【図2】冷却手段100の上面図
【図3】同、右側面図(図2における矢示III方向から見た図)
【図4】同、正面図(図2における矢示IV方向から見た図)
【図5】冷却手段の他の構成例(冷却手段200)の上面図
【図6】同、右側面図(図5における矢示VI方向)
【図7】同、右側面図であって、セット部カバーが閉じた状態図
【図8】同、正面図(図7における矢示VIII方向から見た図)
【図9】特許文献1記載の半導体モールド装置(樹脂封止装置)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0024】
本発明にかかる樹脂封止装置JSは、図1にその概略構成を示す通り、半導体チップ等の被成形品を樹脂にて封止するための封止手段300と、封止手段300により樹脂封止された成形品を冷却するための冷却手段100と、冷却手段100により冷却された成形品の不要樹脂を取り除くゲートブレーク手段400と、冷却後の成形品を、冷却手段100からゲートブレーク手段400へと搬送する搬送手段600と、を備えた構成とされている。又、樹脂封止装置JSは、1つのゲートブレーク手段400に対して封止手段300が並列的に複数設けられており、所謂マルチプレスタイプの樹脂封止装置である。又、樹脂封止装置JSでは、各封止手段300から冷却手段100までの成形品の搬送は第1搬送手段500によって行なわれ、冷却手段100からゲートブレーク手段400までの搬送は第2搬送手段600によって行われている。なお、本実施形態においては、第1搬送手段500と第2搬送手段600とが独立した手段として構成されているが、同一の搬送手段を用いて、封止手段300から冷却手段100までの搬送及び冷却手段100からゲートブレーク手段400までの搬送を行うような構成を採用してもよい。
【0025】
次に、図2乃至図4を用いて、冷却手段100について説明する。図2は、冷却手段100の上面図であり、図3は同右側面図、図4は同正面図である。
【0026】
冷却手段100は、樹脂封止後の成形品を載置するためのセット部102と、当該セット部102を支持する4本の脚部130とから構成される。セット部102は、セット部固定ボルト120によって脚部130と一体的に連結固定されている。
【0027】
セット部102は、治具部102Aとベース部102Bとから構成されており、扁平な板状のベース部102Bの上に、当該ベース部102Bと略同じ大きさの治具部102Aが階層的に配置された構成とされている。この治具部102Aは、位置決めピン103によってベース部102Bに対して位置決めされた上で固定されている。ベース部102Bの右側面には調整弁110が備わっており、当該調整弁110から冷却媒体パイプ111が延びている。この調整弁110により、当該調整弁110を通過する冷却媒体の量を調整することが可能とされている。冷却媒体パイプ111は、図示せぬ冷却媒体供給装置に繋がっている。又、ベース部102Bの内部にはエア通路112が形成されており、当該エア通路112と調整弁110とが連通している。
【0028】
一方、治具部102Aの表面(図3における上面)は、成形品180の形状に対応した形状(例えば成形品180の形状に沿って模られた形状)とされており、成形品180がセットされる。成形品180には、半導体チップ等が樹脂にて封止されたパッケージ部180Aと、封止工程において樹脂の通路となるランナ部分やカル部分に相当する部分の不要樹脂(以下、この不要樹脂のことを単にランナ部180Bやカル部180Cとする。)とが複数備わっている。又、治具部102Aには、前述した成形品180がセットされた際のちょうどカル部180Cの位置及びランナ部180Bの位置に、エア噴出孔114が設けられている。このエア噴出孔114は、前述したエア通路112と連通しており、冷却媒体パイプ111及び調整弁110を介してエア通路112に供給された冷却媒体(エア)を成形品180に対して噴出可能とされている。このエアは、予め冷却されたエアであってもよいし、室温程度のエアであってもよい。又、空気だけでなく、例えば窒素等の不活性ガスを利用してもよい。
【0029】
又、治具部102Aの略四隅には、当該冷却手段100に搬送されてきた成形品180を把持可能なクランプ爪160が設けられている。このクランプ爪160は、治具部102Aに対して回転可能に支持されており、ばね162によって、セット部102へと搬送されてきた成形品180をセット部102の表面に保持可能とされている。なお、図面に示した符号170は、樹脂封止装置JSにおける第1搬送手段500の一部(搬送手段の爪部先端)が現れているのであり、当該冷却手段100を構成する部品ではない。
【0030】
又、セット部102には、4本のガイドピン116が設けられており、成形品180のリードフレームに備わるガイド穴(図示しない)に当該ガイドピン116が貫通することで、セット部102に対する成形品180の位置決めが可能とされている。
【0031】
次に、冷却手段100の作用について説明する。
【0032】
樹脂封止装置JSでは、並列的に複数設けられた封止手段300によって順次成形品180が作られている。この成形品180は、第1搬送手段(例えばアンローダ)500によって封止手段300から取り出されると同時に冷却手段100に向って搬送される。冷却手段100の上部にまで成形品180が搬送されると、続いてセット部102にセットされることになる。このとき、所定のタイミングでセット部102に備わるクランプ爪160が開放されて、成形品180のセット部102へのセット(載置)を許容する。更に、成形品180が当該セット部102にセットされると、クランプ爪160がばね162の働きによって閉じられることにより、成形品180をクランプ(把持)することとなる。
【0033】
一方、冷却媒体パイプ111からは、所定のタイミングでエア(冷却媒体)が供給されている。エアの温度は成形品180の種類や樹脂の種類等によって適宜最適に調整される。又、エア通路112に供給されるエアの量においても、調整弁110によって適宜最適に調整可能である。エア通路112に供給されたエアは、エア噴出孔114から成形品180のカル部180Cや、ランナ部180Bに対して噴出される。これにより、成形品180の特にカル部180Cやランナ部180Bの温度は急速に冷却されることになる。このとき、セット部102にセットされた成形品180は、クランプ爪によって確実に把持固定されており、エアの噴射によって成形品180が飛散したり、位置がずれてしまうことはない。又、勢いよくエアを噴射することも可能となるため、冷却時間の短縮や更なる低温度までの冷却が可能となる。ゲートブレーク手段400におけるゲートブレーク工程の際、樹脂の冷却不足により生じるゲート残り、ゲート折れ、密着残り等は、まさにこのカル部180C、ランナ部180Bの部分で起こるため、当該部分を直接冷却することは非常に効果が高い。
【0034】
成形品180が十分に冷却されると、成形品180は、第2搬送手段600によってゲートブレーク手段400へと搬送される。ここで成形品180の不要樹脂部分(カル部180C、ランナ部180B)が取り除かれることになる。
【0035】
このように、冷却手段100を、封止手段300とゲートブレーク手段400との間に第2搬送手段600を介して配置することにより、成形品180がゲートブレーク手段400に搬送された時点でゲートブレークするのに十分な程度にまで冷却しておくことが可能となる。その結果成形品180がゲートブレーク手段400に供給されると直ぐにゲートブレーク工程に入ることができ、成形品冷却のための「冷却時間」を装置のサイクルタイム支配要因から排除することができる。又、十分に冷却された上でゲートブレークされるため、ゲート残り、ゲート折れ等を防止できる。
【0036】
なお、特に、特定のゲートブレーク手段に対して封止手段300が並列的に複数設けられている封止装置(所謂マルチプレスタイプ)の場合には、その構成上、1のゲートブレーク手段に対して次々と成形品180が運ばれてくる。その結果、冷却時間に加えて「冷却のための待ち時間」が存在する。この「冷却のための待ち時間」を利用して冷却でき、独立した(即ち搬送手段を介在させて)冷却手段を設けても、そのことによって装置のサイクルタイムを伸長する方向に影響することはない。更に、図示はしていないが、冷却手段100を、複数の成形品180を同時に冷却可能(複数の封止手段300から搬送されてきた成形品180を同時に冷却可能)なように構成すれば、より迅速に十分に冷却された成形品180をゲートブレーク手段400へと供給することが可能となる。
【0037】
なお、例えばエア噴出孔114を設けずに、閉じられたエア通路によってエアをセット部内に循環させることによって、セット部102の表面を冷却し、更に成形品180を冷却するような、所謂「間接冷却」として構成することも可能である。このように構成すれば、成形品に対して直接冷却媒体を噴射するのに比べてゆっくりと冷却することが可能となるため、樹脂の種類によって生じ得る「急冷による反りや割れ」を防止することができると共に、樹脂バリ等の飛散を防止することが出来る。なお、このような間接冷却の場合は、冷却媒体は必ずしもエアである必要はなく、直接成形品に対して噴射することができない水等の液体を用いることも可能となる。又、間接冷却の場合は、成形品の一部分のみを極端に冷却するのではなく成形品全体をセット部表面を介して徐々に冷却することになり、この点においても成形品に部分的に生じる温度差によって反りや割れが生じることを防止可能である。
【0038】
次に冷却手段の他の実施形態について図5乃至図8を用いて説明する。
【0039】
図5は冷却手段200の上面図であり、図6は同右側面図、図7は同右側面図であってセット部カバーが閉じた状態を示す図、図8は正面図(図7矢示VIII方向)である。
【0040】
冷却手段200では、セット部202の表面側(即ち成形品)がセット部カバー240によって所定のタイミングで被覆される点が前述の冷却手段100と比べて特徴的な部分である。なお、当該冷却手段200におけるセット部202の構成は、前述した冷却手段100におけるセット部102の構成と略同一であるため、同一又は類似する部分については数字下2桁が同一の符号を付するに止め、重複した構成及び作用の説明については省略する。
【0041】
図6に示すように、冷却手段200におけるセット部202は、脚部230を介して第1シリンダ(セット部移動機構)250によって上下方向(図6における上下方向)に所定のタイミングで上下動することが可能とされている。又、脚部230の左右側(図6における左右側)には、セット部カバー240が設けられている。
【0042】
セット部カバー240は、継手256を介して旋回シャフト244と連結されている。旋回シャフト244は、軸受245を備えたシャフト固定ブロック254にて基台290に支持されている。即ち、セット部カバー240は、旋回シャフト244の軸心を中心として回動可能に支持されている。又、旋回シャフト244には開閉センサ258(図8参照)が設けられており、セット部カバー240の開閉状態を検知可能とされている。セット部カバー240は、側面から見ると略「コの字」の形状(図6、図7参照)として構成されており、「コの字」の底面部分で旋回シャフト244と連結している。セット部カバー240における、旋回シャフト244との連結部分の内側(第1シリンダ250側)には緩衝材249が取り付けられている。当該緩衝材249がストッパ246と当接することによって、セット部カバー240の閉じ位置が定められている。一方、セット部カバー240における、旋回シャフト244との連結部分の外側(反第1シリンダ250側)は、第2シリンダ252と連結されている(シリンダ連結部248)。このシリンダ連結部248が第2シリンダ252によって上下に駆動されることによって、セット部カバー240が開閉することになる。又、「コの字」の上面に相当する部分は、セット部202を被覆するカバー部241であり、このカバー部241はアーム部242を介して「コの字」底面側と一体化されている。又、カバー部241は、セット部202と似通った構成とされており、略板状の治具部241Aの上にベース部241Bが重ねて配置構成されている。更に、ベース部241Bにはエア通路247が設けられ、治具部241Aにはエア噴出孔243が設けられている。即ち、カバー部241は、セット部202の上下方向を逆に構成したものに近似している。又、カバー部241に備わるエア通路247にも調整弁260を介して冷却媒体パイプ(図示しない)が連結され、図示せぬ冷却媒体供給機構からエアが供給可能とされている。
【0043】
当該冷却手段200への成形品280の受渡しは、図6に示した状態、即ち、セット部カバー240が開き且つ第1シリンダ(セット部移動機構)250によってセット部202が上昇した状態で行なわれる。この状態で成形品280をセット部202に受け入れる。本実施形態では、セット部カバー240が2分割構造で所定のタイミングで開閉可能とされており、成形品280の受け渡しが容易である。
【0044】
続いてセット部202が第1シリンダ250の作用により下降(図6における下側)すると共に、セット部カバー240が閉じられて、図7に示した状態となる。その後セット部202が再度上昇し、セット部202にセットされた成形品280がカバー部241(の治具部241A)の方向に上昇する。このとき、成形品280をカバー部241(の治具部241A)に対して直接的に当接させて挟むか否かは、成形品280の形状、反りの許容量、材料等に応じて適宜変更する。その結果、セット部202及び成形品280が、セット部カバー240(のカバー部241)によって被覆される。この状態で、成形品に対してエアを噴出することで成形品280の両面側から積極的に冷却可能となり、又、冷却媒体による冷却効率をより向上させることが可能となる。即ち、噴出したエア(冷気)が周囲に飛散することなく成形品のみを確実に冷却することができる。
【0045】
なお、セット部カバー240の開閉構造は前述した構成に限定されるのではなく、セット部を効果的に被覆可能である限りにおいて、例えばスライド式に開閉してもよい。
【0046】
本発明は、特に所謂マルチプレスタイプの樹脂封止装置に特に有効であるが、シングルプレスタイプの樹脂封止装置への適用を除外するものではない。
【符号の説明】
【0047】
100、200 冷却手段
102、202 セット部
102A、202A 治具部
102B、202B ベース部
103、203 位置決めピン
110、210、260 調整弁
111 冷却媒体パイプ
112、212、247 エア通路
114、214、243 エア噴出孔
116、216 ガイドピン
120、220 セット部固定ボルト
130、230 脚部
160、260 クランプ爪
162、262 バネ
180、280 成形品
240 セット部カバー
241 カバー部
242 アーム部
244 旋回シャフト
245 軸受
246 ストッパ
248 シリンダ係合部
249 緩衝材
250 第1シリンダ
252 第2シリンダ
254 シャフト固定ブロック
256 継手
258 開閉センサ
290 基台



【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ等の被成形品を樹脂にて封止するための封止手段と、
前記封止手段により樹脂封止された成形品の不要樹脂を取り除くゲートブレーク手段と、を備え、且つ、
前記成形品がゲートブレークされる前に当該成形品を冷却するための冷却手段と、
冷却後の前記成形品を、前記冷却手段から前記ゲートブレーク手段へと搬送する搬送手段と、を備える
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記封止手段は、特定の前記ゲートブレーク手段に対して並列的に複数設けられている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記冷却手段は、前記成形品セットされるセット部と、
該セット部にセットされた前記成形品に隣接するように設けられた冷却媒体通路と、
前記冷却媒体通路に供給される冷却媒体と、を備える
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記冷却媒体はエアであり、
前記セット部には、前記冷却媒体通路からセットされた前記成形品へと当該エアを導くエア噴出孔が備えられている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項5】
請求項4において、
更に、エア噴出時において、前記セット部にセットされた前記成形品を前記セット部に保持可能なクランプ構造を備える
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかにおいて、
更に、前記セット部に前記成形品をセットした状態で前記成形品を被覆可能なカバーを備える、
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
請求項6において、
更に、前記セット部に前記成形品をセットした状態で、該セット部を前記カバーに対して当接・離間可能なセット部移動機構を備える
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記カバー内に、冷却媒体通路が設けられている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかにおいて、
前記カバーが2分割構造とされて、所定のタイミングで開閉可能とされている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記冷却手段が、複数の前記成形品を同時に冷却可能である
ことを特徴とする樹脂封止装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−44199(P2012−44199A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220123(P2011−220123)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【分割の表示】特願2006−214326(P2006−214326)の分割
【原出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】