説明

樹脂成形用型の交換方法と交換機構及び樹脂成形装置

【課題】減圧成形手段を採用した樹脂成形装置に搭載して用いられる樹脂成形用の型を樹脂成形装置に対して簡易に且つ効率良く交換する。
【解決手段】樹脂成形用の型4の外方周囲に、係脱具12を介して外気遮断部材10を係脱可能に装設する。そして、型4の交換時には、まず、各型4・8の型面と各外気遮断部材10・11の接合面とを接合させる型締めを行う。次に、型4の外方周囲に装設した外気遮断部材10を係着する係脱具12を取り外してその両者の係着状態を解除すると共に、係脱具14を介して各外気遮断部材10・11の両者を係着する。次に、各外気遮断部材10・11を係着した状態で、各型4・8の型面を離反させる型開工程を行って各外気遮断部材10・11の両者を同時に移動させることにより、型4の外方周囲に装設した外気遮断部材10を型4の外方周囲から退避させて型4交換用の空間部Sを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、半導体リードフレームや半導体基板上の半導体チップを樹脂封止成形するために用いられる電子部品の樹脂封止成形装置等の樹脂成形装置に搭載する樹脂成形型の交換方法とこの方法を実施するための交換機構、及び、この型交換機構を備えた樹脂成形装置に関する。
より詳細には、例えば、上下位置に樹脂成形用の上型と下型とを対向配置すると共に、樹脂成形時に該上下両型の外方周囲を外気遮断部材にてシールし、且つ、該シール範囲を減圧した状態で樹脂成形を行う、所謂、減圧成形(真空成形)手段を採用した樹脂成形装置において、その上型と下型とを簡易に交換することができる型交換方法と型交換機構、及び、この型交換機構を備えた樹脂成形装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の樹脂封止成形装置に減圧成形手段を採用することは知られており、また、その減圧成形手段の一機構として、上下両型の外方周囲を外気遮断部材にてシールするように構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には次のような構成が開示されている。
即ち、上型の外方周囲をシールする外気遮断部材については、その一端側を上型取付板に枢着し、且つ、その他端側を上下方向へ回動可能となるように構成することにより、上型の交換時には該上型用外気遮断部材を上型交換作業に障害(邪魔)にならない位置にまで回動退避させることができる。
また、下型の外方周囲をシールする下型用外気遮断部材については、該外気遮断部材を固着ボルトを介して従って、型取付板に固着するように構成している。
そして、下型の交換手段としては、まず、固着ボルトを取り外して上下の両型面間に第一の型交換治具を介在させる。
次に、この状態で該下型用外気遮断部材と固定レールとの間に第二の型交換治具を嵌装させて該下型用外気遮断部材を固定する。
次に、固着ボルトによる下型用外気遮断部材との固着状態が解かれた下型取付板を下方の所定位置にまで下動させると共に、これと同時に下型を下動させる。
従って、このとき、下型用外気遮断部材を下型の外方周囲から取り外す(退避させる)ことができるので、この状態において下型の取り付けや取り外しと云った下型の交換作業を行うことが可能となる。
【0004】
しかしながら、このような構成による下型の交換手段においては、固着ボルトの取り外し作業と、第一の型交換治具を上下の両型面間へ介在させる作業と、下型用外気遮断部材と固定レールとの間に第二の型交換治具を嵌装させて該下型用外気遮断部材を固定する作業と、下型を下動する作業とを終えた後に下型交換作業とを行う必要がある。
従って、このような型交換方法では、全体的な作業が複雑且つ面倒であるのみならず、型交換作業に作業上の熟練性と作業時間が長くなる等の問題がある。
【0005】
また、近年、コストダウンを目的として、半導体基板等や成形用型を大形化することにより高能率生産を図る傾向にある。
更に、減圧成形手段を採用する樹脂成形装置においては、型の大形化に伴ってその外気遮断部材も大形化されることになる。
このような型やその外気遮断部材の大形化は、例えば、樹脂成形品の品種切替時や型のメンテナンス時等において樹脂成形装置に対する型交換作業を行う際に、該型とその外気遮断部材の取り扱いが困難となり、従って、型交換作業の操作性や作業効率が悪くなると云った問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−150054号公報(図2、図3、図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、減圧成形手段を採用した電子部品の樹脂封止成形装置等の樹脂成形装置に搭載して用いられる樹脂成形用の型を該樹脂成形装置に対して簡易に且つ効率良く交換(取付・取外)することができる型の交換方法と型の交換機構、及び、この型交換機構を備えた樹脂成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、少なくとも一対の樹脂成形用型4・8を備えると共に、前記各型4・8の外方周囲に外気遮断部材10・11を配置し、更に、前記各型4・8の型締時に前記各外気遮断部材10・11により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置に搭載される前記樹脂成形用型の交換方法であって、
前記各型4・8の外方周囲に、係脱具12・13を介して前記外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する工程と、
前記各型4・8の型面と前記各外気遮断部材10・11の接合面とを接合させる型締工程と、
前記型締工程時に、いずれかの型(4)の外方周囲に装設した外気遮断部材(10)を係着する係脱具(12)を取り外してその両者の係着状態を解除する工程と、
前記型締工程時に、係脱具14(12)を介して前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する工程と、
前記各外気遮断部材10・11を係着した状態で、前記各型4・8の型面を離反させる型開工程と、
前記型開工程時に、前記各外気遮断部材10・11の両者を係着した状態で同時に移動させることにより、前記いずれかの型(4)の外方周囲に装設した外気遮断部材(10)を前記いずれかの型(4)の外方周囲から取り外す(退避させる)工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を上下位置に対向配置した上型であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を上下位置に対向配置した下型であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した左型であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した右型であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記各型4・8の外方周囲に装設した各外気遮断部材10・11を係着する前記各係脱具12・13と、前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する前記係脱具14とを相互に兼用することが可能に設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、少なくとも一対の樹脂成形用型4・8を備えると共に、前記各型4・8の外方周囲に外気遮断部材10・11を配置し且つ前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する係脱機構を備え、更に、前記各型4・8の型締時に前記各外気遮断部材10・11により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置であって、
前記外気遮断部材10・11を係脱可能に装設する係脱機構が、
前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する各係脱具12・13と、
前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する係脱具14とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明における前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する前記各係脱具12・13と、
前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する係脱具14とを相互に兼用することが可能となるように構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、少なくとも一対の樹脂成形用型4・8を備えると共に、前記各型4・8の外方周囲に外気遮断部材10・11を各々配置し且つ前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する係脱機構を備え、更に、前記各型4・8の型締時に前記各外気遮断部材10・11により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置に搭載される前記各型4・8の交換機構であって、
前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する各係脱具12・13と、
前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する係脱具14とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明における前記各型4・8の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設する前記各係脱具12・13と、
前記各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する前記係脱具14とを相互に兼用することが可能となるように構成したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の発明における前記各係脱具12・13を、型の取付部3・7と外気遮断部材10・11との両者に設けた各凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して嵌合係脱させるように構成し、
また、前記各係脱具12・13を、前記各外気遮断部材10・11に設けた各凹凸係合部10b・11bに対して嵌合係脱させるように構成したことを特徴とする。
【0019】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明における前記各凹凸係合部3a・7a・10b・11bを、前記各型4・8の取付・取外方向に沿って直線状に形成したことを特徴とする。
【0020】
また、請求項13に記載の発明は、請求項11、又は、請求項12に記載の発明における前記各型4・8の取付部3・7と前記各外気遮断部材10・11との両者に設けた各凹凸係合部3a・7a・10b・11bと、前記各外気遮断部材10・11に設けた各凹凸係合部10b・11bとを前記各型4・8の取付・取外方向に沿って直線状に形成すると共に、前記各々の凹凸係合部3a・7a・10b・11bを、対向する両外側面における同じ位置に配設して構成したことを特徴とする。
【0021】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明における前記各々の凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して前記各係脱具12・13・14を各々嵌合係脱させるように構成したことを特徴とする。
【0022】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の発明における前記各々の凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して各々嵌合係脱させる前記各係脱具12・13・14を連結部材15を介して一体に連結して固着したことを特徴とする。
【0023】
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明における前記連結部材15に把持部16を固着したことを特徴とする。
【0024】
また、請求項17に記載の発明は、請求項9、又は、請求項10、又は、請求項11に記載の発明における前記各係脱具12・13と前記各外気遮断部材10・11との両者間に、前記各係脱具に対する抜止機構17を配設して構成したことを特徴とする。
【0025】
また、請求項18に記載の発明は、請求項9、又は、請求項10、又は、請求項11に記載の発明における前記各係脱具12・13と前記各型取付部3・7との両者間に、前記各係脱具12・13に対する抜止機構(17)を配設して構成したことを特徴とする。
【0026】
また、請求項19に記載の発明は、請求項9に記載の発明における前記各外気遮断部材10・11と前記型の取付部3・7との接合面に、また、前記各外気遮断部材10・11の両者の接合面に、弾性シール部材10a・11aを各々配設して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、各型4・8の型締時において係脱具12・13を取り外すと共に、係脱具14(12・13)にて各外気遮断部材10・11を係着し、更に、この状態で各型4・8の型開きを行うことにより、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させて(取り外して)、各型4・8交換用の空間部Sを構成することができる。
従って、係脱具12・13による係脱操作と型4・8の開閉操作とを協働させることにより、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させることができる。
このため、各外気遮断部材10・11が各型4・8の交換作業に障害(邪魔)とはならず、更に、各型4・8の交換作業を簡易に且つ効率良く行うことができると云った実用的な効果を奏する。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、外気遮断部材10を型4の外方周囲から退避させて上型4交換用の空間部Sを構成することができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、外気遮断部材11を型8の外方周囲から退避させて型8交換用の空間部Sを構成することができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した横型の樹脂成形装置であっても、その左型の外方周囲に装設した外気遮断部材を該左型の外方周囲から退避させて左型交換用の空間部を構成することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した横型の樹脂成形装置であっても、その右型の外方周囲に装設した外気遮断部材を該右型の外方周囲から退避させて右型交換用の空間部を構成することができる。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、各型4・8の型締時において係脱具12・13を取り外すと共に、これを各外気遮断部材10・11の係脱具14として用いることができるので、各外気遮断部材10・11に対する専用の係脱具を別途に用意しておく必要がない。
【0033】
請求項7に記載の発明によれば、係脱具12・13を用いて各型4・8の外方周囲の部位に対して各外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設することができる。
そして、係脱具14を用いて各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着することができる。
従って、このような外気遮断部材10・11を係脱可能に装設する係脱機構を備えた樹脂成形装置においては、係脱具12・13による係脱操作と樹脂成形装置における型開閉操作とを協働させることによって、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させることができる。このため、各外気遮断部材10・11が各型4・8の交換作業に障害とはならず、更に、各型4・8の交換作業を簡易に且つ効率良く行うことができると云った実用的な効果を奏する。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、各型4・8の型締時において係脱具12・13を取り外すと共に、これを各外気遮断部材10・11の係脱具14として用いることができるので、各外気遮断部材10・11に対する専用の係脱具を別途に用意しておく必要がない。
【0035】
請求項9に記載の発明によれば、係脱具12・13を用いて各型4・8の外方周囲の部位に対して各外気遮断部材10・11を各々係脱可能に装設することができる。
そして、係脱具14を用いて各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着することができる。
従って、このような外気遮断部材10・11を係脱可能に装設する係脱機構を備えた型4・8の交換機構においては、係脱具12・13による係脱操作と樹脂成形装置における型開閉操作とを協働させることによって、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させることができる。このため、各外気遮断部材10・11が各型4・8の交換作業に障害とはならず、更に、各型4・8の交換作業を簡易に且つ効率良く行うことができると云った実用的な効果を奏する。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、各型4・8の型締時において係脱具12・13を取り外すと共に、これを各外気遮断部材10・11の係脱具14として用いることができるので、各外気遮断部材10・11に対する専用の係脱具(14)を別途に用意しておく必要がない。
【0037】
請求項11に記載の発明によれば、各係脱具12・13・14を、各凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して嵌合係脱させるように構成することによって、各係脱具を相互に兼用することが可能となる。
【0038】
請求項12に記載の発明によれば、各凹凸係合部3a・7a・10b・11bを、各型4・8の取付・取外方向に沿って直線状に形成することによって、各凹凸係合部に対する各係脱具12・13・14の係脱操作を効率良く且つ確実に行うことができる。
【0039】
請求項13に記載の発明によれば、各凹凸係合部3a・7a・10b・11bを各型4・8の取付・取外方向に沿って直線状に形成すると共に、各々の凹凸係合部を、対向する両外側面における同じ位置に配設して構成することによって、各凹凸係合部に対する各係脱具12・13・14の係脱操作を、より簡単に且つ確実に行うことができる。
例えば、各係脱具12・13・14を両外側面の凹凸係合部に対して同時に嵌合させることによってその確実な係着状態を保持することができる。
【0040】
請求項14に記載の発明によれば、各々の凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して各係脱具12・13・14を各々嵌合係脱させることができる。
従って、例えば、各係脱具12・13・14をいずれか一方側の凹凸係合部に対して嵌合させることによってその確実な係着状態を保持できるような場合に適している。
【0041】
請求項15に記載の発明によれば、各係脱具12・13・14を連結部材15を介して一体に連結して固着することによって、各係脱具を両外側面の凹凸係合部に対して同時に嵌合させる作業を効率良く且つ確実に行うことができる。
【0042】
請求項16に記載の発明によれば、各係脱具12・13・14を一体に連結して固着する連結部材15に把持部16を設けることによって、各係脱具を使用する作業者の操作性・作業性をより向上させることができる。
【0043】
請求項17に記載の発明によれば、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11との両者間に、各係脱具12・13・14に対する抜止機構17を配設して構成することによって、各係脱具の嵌合操作を確実に行うことができると共に、樹脂成形作業時において各係脱具が外れて各外気遮断部材10・11が脱落する等の弊害を未然に防止することができる。
【0044】
請求項18に記載の発明によれば、各係脱具12・13と各型取付部3・7との両者間に、各係脱具12・13に対する抜止機構17を配設して構成することによって、各係脱具の嵌合操作を確実に行うことができると共に、樹脂成形作業時において各係脱具が外れて各外気遮断部材10・11が脱落する等の弊害を未然に防止することができる。
【0045】
請求項19に記載の発明によれば、各係脱具12・13・14によって各外気遮断部材10・11と型の取付部3・7とを係着したとき、また、各外気遮断部材10・11の両者を係着したときに、その両者間における外気遮断効果(シール効果)を確実に得ることができる。
また、上記両者間は弾性シール部材10a・11aの弾性によって両者を離反させる方向への弾性押圧力が加えられているため、各係脱具12・13・14による係着作用とも相俟って、上記両者間に間隙等が発生するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明に係る型の交換機構を備えた樹脂成形装置で、図1(1) は上型と下型との型締状態を示す概略縦断面図、図1(2) は下型部分と下型用外気遮断部材及び下型用係脱具との関係を示す概略平面図である。
【図2】図2は図1(2) に対応する概略平面図である。
【図3】図3は図1(1) に対応する樹脂成形装置で、上型と下型との型開状態を示す概略縦断面図である。
【図4】図4は図1(1) に対応する樹脂成形装置で、図4(1) 及び図4(2) は上型交換作用の説明図である。
【図5】図5は図4に対応する樹脂成形装置で、図5(1) 及び図5(2) は下型交換作用の説明図である。
【図6】図6は図2に対応する要部の拡大平面図で、図6(1) 乃至図6(3) は下型用係脱具の係脱作用の説明図である。
【図7】図7は図6に対応する要部の拡大平面図で、図7(1) 乃至図7(3) はいずれも下型用係脱具に対する他の抜止機構の構成例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図1乃至図7に示す本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0048】
図1は、例えば、電子部品を樹脂封止成形する際に用いられる樹脂成形装置の要部を概略的に示している。
この樹脂成形装置の基本的な構造は、機台上に立設したガイド用のポスト1と、ポスト1の上端部に固着した固定盤2と、固定盤2の下面に配置した上型取付部3と、上型取付部3に対して係脱可能(取付及び取外可能)に装設した樹脂成形用上型4と、樹脂成形用上型4の上面に配置した上型成形品突出機構5と、ポスト1に嵌装し且つ機台上に配置した上下駆動機構(図示なし)により上下動可能に設けた可動盤6と、可動盤6の上面に配置した下型取付部7と、下型取付部7に対して係脱可能に装設した樹脂成形用下型8と、樹脂成形用下型8の下面に配置した下型成形品突出機構9とを備えている。
また、樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを上下位置に対向配置させると共に、図1(1) に示す型締時に両者の型面をパーティングライン(P.L)面 にて接合させるように構成している。
なお、図には、上型成形品突出機構5及び下型成形品突出機構9を配置した構成を示しているが、これらの成形品突出機構は必要に応じて用いられる。
そして、これらの成形品突出機構を用いる場合は、樹脂成形用上型4と上型成形品突出機構5及び樹脂成形用下型8と下型成形品突出機構9とを一体構造体として構成する。
従って、この一体構造体を型取付部(3・7)に対して同時に嵌合係脱することができるように設けている。
【0049】
また、樹脂成形用上型4の外方周囲に上型用外気遮断部材10を配置すると共に、樹脂成形用下型8の外方周囲に下型用外気遮断部材11を配置している。
更に、樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8及び上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを接合させる型締時に上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とにより設定されるシール範囲(少なくとも、型面の樹脂成形部を含む型内空間部)内を減圧した状態で樹脂成形を行う減圧成形手段(図示なし)を採用している。
なお、上型用外気遮断部材10と上型取付部3との接合面、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11との接合面に所要の弾性を有するシール部材10aを各々配設して構成している。
また、下型用外気遮断部材11と下型取付部7との接合面に所要の弾性を有するシール部材11aを配設して構成している。
従って、図1(1) に示す型締時において、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とにより設定されるシール範囲は外気を遮断した状態となる。このため、減圧成形手段(図示なし)を作動させてシール範囲内の空気を排除することによって、型面の樹脂成形部を含む型内空間部を所要の減圧状態に設定することができる。
【0050】
また、上型用外気遮断部材10は、上型取付部3に対して係脱可能に装設している。
図例においては、上型取付部3に設けた凹凸係合部3aと上型用外気遮断部材10に設けた凹凸係合部10bとに上型用係脱具12を同時に係合させることによって両者を係着(固定)することができるように構成した場合を示している。
また、逆に、上型用係脱具12を両凹凸係合部(3a・10b)から取り外すことにより、両者の係着状態を解いて離反させることが可能となるように設けている。
【0051】
また、下型用外気遮断部材11は、下型取付部7に対して係脱可能に装設している。
図例においては、下型取付部7に設けた凹凸係合部7aと下型用外気遮断部材11に設けた凹凸係合部11bとに下型用係脱具13を同時に係合させることによって両者を係着することができるように構成した場合を示している。
また、逆に、下型用係脱具13を両凹凸係合部(7a・11b)から取り外すことにより、両者の係着状態を解いて離反させることが可能となるように設けている。
【0052】
また、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを、相互に係脱可能な状態に装設している。
図例においては、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11との両者に設けた凹凸係合部(10b・11b)に対して外気遮断部材用係脱具14(図4参照)を同時に係合させることによって両者を係着することができるように構成した場合を示している。
また、逆に、外気遮断部材用係脱具14を両凹凸係合部(10b・11b)から取り外すことにより、両者の係着状態を解いて離反させることが可能となるように設けている。
【0053】
また、各係脱具12・13を、型の取付部3・7と外気遮断部材10・11との両者に設けた各凹凸係合部3a・7a・10b・11bに対して嵌合係脱させるように構成し、更に、各係脱具12・13を、各外気遮断部材10・11との両者に設けた各凹凸係合部10b・11bに対して嵌合係脱させるように構成している。
このように構成することによって、各係脱具12・13と、各外気遮断部材10・11の両者を係脱可能に係着する係脱具14とを相互に兼用することが可能となる。
即ち、外気遮断部材用係脱具14を、上型用係脱具12或は下型用係脱具13のいずれかにて兼用することができる。
この場合は、後述する型の交換作業時において、凹凸係合部(3a・10b)から取り外した上型用係脱具12を凹凸係合部(10b・11b)に係合させて上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着することができる。
また、同様に、凹凸係合部(7a・11b)から取り外した下型用係脱具13を凹凸係合部(10b・11b)に係合させて上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着することができる。
従って、この構成によれば、専用の外気遮断部材用係脱具(14)を備える必要がない点において有利である。
【0054】
また、各凹凸係合部(3a・7a・10b・11b)は、樹脂成形用上型4又は樹脂成形用下型8の取付・取外方向に沿って直線状に形成している。
また、図例において、各々の凹凸係合部(3a・7a・10b・11b)は、左右両側面における同じ高さ位置に設けている。
【0055】
また、各係脱具12・13は各々を単体として形成してもよいが、図1(2) 等に示すように、左右の係脱具を連結部材15を介して一体に連結して固着した構成としてもよい。
この場合は、左右の凹凸係合部に対して同時に係脱操作することが可能となるため操作性や作業効率に優れている等の利点がある。
【0056】
また、各係脱具の連結部材15に把持部16を固着してもよい。
この場合は、作業者における操作性・作業効率を更に向上することができる等の利点がある。
【0057】
また、上型用係脱具12と上型用外気遮断部材10との間に、また、下型用係脱具13と下型用外気遮断部材11と間に、及び、外気遮断部材用係脱具14と上型用外気遮断部材10若しくは下型用外気遮断部材11との間に、各々の係脱具に対する抜止機構17を配設するようにしてもよい。
即ち、図6に示すように、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11との間に、係脱爪17aと該係脱爪との係合溝17bとから成る抜止機構17を配設するようにしてもよい。
図例においては、各係脱具12・13・14の先端部に係合溝17bを設けると共に、各外気遮断部材10・11の所定位置に係脱爪17aを枢着した構成を示している。
そして、図6(1) 及び図6(2) に示すように、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11とを所定の嵌合位置に装着させたときに、各外気遮断部材の係脱爪17aをその枢着点を中心として回動させ且つ該係脱爪17aを各係脱具の係合溝17bに係合させることにより、該各係脱具と該各外気遮断部材とを確実に固定することができる。
逆に、図6(3) に示すように、該係脱爪と該係合溝との係合を解くことによって、各係脱具12・13・14を各外気遮断部材10・11から取り外すことができる。
【0058】
なお、上記した抜止機構17を、上型用係脱具12と上型取付部3との間に、また、下型用係脱具13と下型取付部7との間に配設するようにしてもよい。
この場合においても、上記したと同様の各係脱具12・13に対する抜止作用・効果を得ることができる。
【0059】
更に、上記抜止機構としては、例えば、図7に示すような構造を採用してもよい。
即ち、図7に示すように、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11との間に、バネ等の弾性によって突出するように設けた係合球17cと、該係合球と係合することにより各係脱具を固定するように設けた係合凹所17dとから成る抜止機構17を配設するようにしてもよい。
図7(1) に示す抜止機構17の構成は、各係脱具12・13・14の先端部に設けた係合球17cと、各外気遮断部材10・11の所定位置に係合球17cと係合させる係合凹所17dを設けた構成を示している。
そして、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11とを所定の嵌合位置に装着させたときに、各係脱具の係合球17cをその弾性によって各外気遮断部材の係合凹所17dに係合させることにより、該各係脱具と該各外気遮断部材とを確実に固定することができる。
逆に、該係合球17cと該係合凹所17dとの係合を解くことによって、各係脱具12・13・14を各外気遮断部材10・11から取り外すことができる。
なお、係合凹所17dに対する係合球17cの係脱作用は係合球17cに加えたバネ等の弾性にて自動的に行うことができる。
【0060】
図7(2) に示す抜止機構17の構成は、各係脱具12・13・14の基端部に設けた係合球17cと、各外気遮断部材10・11の所定位置に係合球17cと係合させる係合凹所17dを設けた構成を示している。
そして、各係脱具12・13・14と各外気遮断部材10・11とを所定の嵌合位置に装着させたときに、各係脱具の係合球17cをその弾性によって各外気遮断部材の係合凹所17dに係合させることにより、該各係脱具と該各外気遮断部材とを確実に固定することができる。
逆に、該係合球17cと該係合凹所17dとの係合を解くことによって、各係脱具12・13・14を各外気遮断部材10・11から取り外すことができる。
なお、係合凹所17dに対する係合球17cの係脱作用は係合球17cに加えたバネ等の弾性にて自動的に行うことができる。
【0061】
また、図7(1) に示す抜止機構17の構成は該抜止機構を各係脱具の先端部に設けているのに対して、図7(2) に示す抜止機構17の構成は各係脱具の基端部に設けている点で異なっている。
即ち、両者の係脱作用は実質的に同一であるが、図7(2) に示す抜止機構17の構成においては、例えば、各係脱具と各外気遮断部材との係脱作用時に、該各係脱具と各外気遮断部材との間の摺動距離・摩擦時間を少なく抑えることができる点で有利である。
【0062】
図7(3) に示す抜止機構17の構成は、図7(1) 及び図7(2) に示す抜止機構17の構成とは逆に、係合球17cを外気遮断部材10に設けると共に、係合凹所17dを係脱具12に設けた場合を示しているが、この構成においても図7(1) 及び図7(2) に示す抜止機構17の構成と実質的に同じ作用・効果を得ることができる。
【0063】
また、各外気遮断部材10・11と型の取付部3・7との接合面に、また、各外気遮断部材10・11の両者の接合面に、弾性シール部材10a・11aを各々配設して構成している。
このため、各係脱具12・13・14によって各外気遮断部材10・11と型の取付部3・7とを係着したとき、また、各外気遮断部材10・11の両者を係着したときに、その両者間における外気遮断効果(シール効果)を確実に得ることができる。
また、上記両者間には弾性シール部材10a・11aの弾性が該両者を離反させる方向へ押圧する力として加えられることになるため、各係脱具12・13・14による係着作用とも相俟って、上記両者間に間隙等が発生するのを確実に防止することができる。
更に、該両者に対する上記弾性押圧力は各係脱具12・13・14の抜止力としても作用することになる。
【0064】
次に、上記した型の交換機構を備えた樹脂成形装置の型開閉作用について説明する。
樹脂成形時における該樹脂成形装置の構成は、上型用係脱具12を介して上型用外気遮断部材10を上型取付部3に係着すると共に、下型用係脱具13を介して下型用外気遮断部材11を下型取付部7に係着しており、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とは係着していない(図1(1) 参照)。
そして、樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを接合させる面(パーティングラインP.L 面)、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを接合させる面は同じ高さ位置となるように設定している。
従って、上下駆動機構(図示なし)によって可動盤6を上動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを各々接合させることにより、図1(1) に示すような型締め状態を得ることができる。
また、逆に、上下駆動機構(図示なし)によって可動盤6を下動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを所定の高さ位置にまで離反させることにより、図3に示すように、上下両者間に所定の間隔を得る型開きを行うことができる。
【0065】
なお、電子部品の樹脂封止成形等の樹脂成形は、上記した上下両型4・8の型締め状態において行われる。
即ち、この型締時においては、上下両型4・8の外方周囲を各外気遮断部材10・11にてシールすることができるので、減圧手段を介して該シール範囲内を減圧すると共に、この状態で基板上の半導体チップ等を樹脂封止成形することができる。
また、樹脂封止前基板の供給や、樹脂封止済基板(成形品)の取り出しは、上記した上下両型4・8の型開き状態において行われる。
【0066】
次に、上記樹脂成形装置における上型の交換作用について説明する。
まず、図1(1) に示すように、上下駆動機構(図示なし)によって可動盤6を上動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを各々接合させた状態の型締めを行う。
次に、図4(1) に示すように、上型用係脱具12を凹凸係合部3a・10bから取り外すと共に、この上型用係脱具12を係脱具14として用いて凹凸係合部10b・11bに係合させることにより上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着する。
次に、この状態で、図4(2) に示すように、上下駆動機構によって可動盤6を下動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを所定の高さ位置にまで離反させる。
このとき、係脱具14(12)・13及び下型用外気遮断部材11を介して下型取付部7に連結させた状態にある上型用外気遮断部材10を同時に所定の高さ位置にまで離反させることができる。
従って、この型開きを行うことにより、上型用外気遮断部材10を樹脂成形用上型4の外方周囲から下方へ移動させて該樹脂成形用上型を交換するための作業に必要な空間部Sを構成することができる。
即ち、上型用係脱具12による係脱操作と樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8との開閉操作とを協働させることによって、上型用外気遮断部材10を樹脂成形用上型4の外方周囲から取り外した(退避させた)状態とすることができる。
このため、上型用外気遮断部材10が樹脂成形用上型4の交換作業に障害(邪魔)とはならず、樹脂成形用上型4の交換作業を簡易に且つ効率良く行うことができる。
【0067】
次に、上記樹脂成形装置における下型の交換作用について説明する。
まず、例えば、図5(1) に示すように、上下駆動機構(図示なし)によって可動盤6を上動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを、及び、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを各々接合させて型締めする。
次に、同図に示すように、下型用係脱具13を凹凸係合部7a・11bから取り外すと共に、この下型用係脱具13を係脱具14として用いて凹凸係合部10b・11bに係合させることにより上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着する。
次に、この状態で、図5(2) に示すように、上下駆動機構によって可動盤6を下動させて樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8とを所定の高さ位置にまで離反させる。
このとき、係脱具14(13)・12及び上型用外気遮断部材10を介して上型取付部3に連結させた状態にある下型用外気遮断部材11を同時に所定の高さ位置にまで離反させることができる。
従って、この型開きを行うことにより、下型用外気遮断部材11を樹脂成形用下型8の外方周囲から上方へ移動させて該樹脂成形用下型を交換するための作業に必要な空間部Sを構成することができる。
即ち、下型用係脱具13による係脱操作と樹脂成形用上型4と樹脂成形用下型8との開閉操作とを協働させることによって、下型用外気遮断部材11を樹脂成形用下型8の外方周囲から退避させることができる。このため、下型用外気遮断部材11が樹脂成形用下型8の交換作業に障害とはならず、樹脂成形用下型8の交換作業を簡易に且つ効率良く行うことができる。
【0068】
また、上記した上型交換作用時及び下型交換作用時において、凹凸係合部から取り外した係脱具12・13を上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着するための係脱具14として兼用することにより、次のような利点がある。
例えば、誤って、図1(1) や図5(1) に示す型締時に、係脱具12或は係脱具13を取り外すことなく、上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを他の係脱具14にて係着させると共に、この状態で型開きを行ったと仮定する。
この場合は、上型取付部3と下型取付部7とは、各係脱具12・13・14及び各外気遮断部材10・11を介して、実質的に連結一体化された状態となるため、この状態で型開きを行うと、例えば、この部位における各部材や各型及び各型取付部を破損する等の不具合が発生する。
従って、凹凸係合部から取り外した係脱具12・13を上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着するための係脱具14として兼用することにより、上型取付部3若しくは下型取付部7との連結状態を確実に解くことができるので、上記したような作業上の弊害を未然に防止することが可能となる。
【0069】
なお、上述したように、上型交換作用時及び下型交換作用時において、凹凸係合部からいずれかの係脱具12・13を取り外すことが重要である。
従って、凹凸係合部からいずれかの係脱具12・13を取り外した後であれば、これとは別の他の係脱具14を用いて上型用外気遮断部材10と下型用外気遮断部材11とを係着するようにしても差し支えない。
【0070】
また、上記した実施例図においては、各型4・8を上下位置に対向配置させた縦型の樹脂成形装置の構造を示しているが、該各型を左右位置に対向配置させた横型の樹脂成形装置の構造の場合にも実質的に同様の実施を行うことが可能である。
【0071】
この実施例によれば、各型4・8の型締時に係脱具12・13を取り外すと共に、係脱具14(12・13)にて各外気遮断部材10・11を係着し、更に、この状態で各型4・8の型開きを行うことにより、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させて各型4・8交換用の空間部Sを構成することができる。
従って、係脱具12・13による係脱操作と型4・8の開閉操作とを協働させることによって、各外気遮断部材10・11を型4・8の外方周囲から退避させることができる。
このため、各外気遮断部材10・11が各型4・8の交換作業時において障害となる弊害を確実に回避することができる。
また、各外気遮断部材10・11を樹脂成形装置に係着・保持させた状態で各型4・8の交換作業を行うことが可能となるため、該樹脂成形装置に対する型の交換作業を簡易に且つ効率良く、更に、安全に行うことができると云った実用的な効果を奏する。
【符号の説明】
【0072】
1 ポスト
2 固定盤
3 上型取付部
3a 凹凸係合部
4 樹脂成形用上型
5 上型成形品突出機構
6 可動盤
7 下型取付部
7a 凹凸係合部
8 樹脂成形用下型
9 下型成形品突出機構
10 上型用外気遮断部材
10a シール部材
10b 凹凸係合部
11 下型用外気遮断部材
11a シール部材
11b 凹凸係合部
12 上型用係脱具
13 下型用係脱具
14 外気遮断部材用係脱具
15 連結部材
16 把持部
17 抜止機構
17a 係脱爪
17b 係合溝
17c 係合球
17d 係合凹所
S 型交換用の空間部
P.L パーティングライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の樹脂成形用型を備えると共に、前記各型の外方周囲に外気遮断部材を配置し、更に、前記各型の型締時に前記各外気遮断部材により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置に搭載される前記樹脂成形用型の交換方法であって、
前記各型の外方周囲に、係脱具を介して、前記外気遮断部材を各々係脱可能に装設する工程と、
前記各型の型面と前記各外気遮断部材の接合面とを接合させる型締工程と、
前記型締工程時に、いずれかの型の外方周囲に装設した外気遮断部材を係着する係脱具を取り外してその両者の係着状態を解除する工程と、
前記型締工程時に、係脱具を介して前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する工程と、
前記各外気遮断部材を係着した状態で、前記各型の型面を離反させる型開工程と、
前記型開工程時に、前記各外気遮断部材の両者を係着した状態で同時に移動させることにより、前記いずれかの型の外方周囲に装設した外気遮断部材を前記いずれかの型の外方周囲から取り外す工程とを含む、樹脂成形用型の交換方法。
【請求項2】
前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を上下位置に対向配置した上型であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用型の交換方法。
【請求項3】
前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を上下位置に対向配置した下型であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用型の交換方法。
【請求項4】
前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した左型であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用型の交換方法。
【請求項5】
前記いずれかの型が、少なくとも一対の樹脂成形用型を左右位置に対向配置した右型であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用型の交換方法。
【請求項6】
前記各型の外方周囲に装設した各外気遮断部材を係着する前記各係脱具と、前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する前記係脱具とを相互に兼用することが可能に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用型の交換方法。
【請求項7】
少なくとも一対の樹脂成形用型を備えると共に、前記各型の外方周囲に外気遮断部材を配置し且つ前記各型の外方周囲の部位に対して前記外気遮断部材を各々係脱可能に装設する係脱機構を備え、更に、前記各型の型締時に前記各外気遮断部材により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置であって、
前記外気遮断部材を係脱可能に装設する係脱機構が、
前記各型の外方周囲の部位に対して前記外気遮断部材を各々係脱可能に装設する各係脱具と、
前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する係脱具とを含むことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項8】
前記各型の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材を各々係脱可能に装設する各係脱具と、
前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する係脱具とを相互に兼用することが可能となるように構成したことを特徴とする請求項7に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
少なくとも一対の樹脂成形用型を備えると共に、前記各型の外方周囲に外気遮断部材を各々配置し且つ前記各型の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材を各々係脱可能に装設する係脱機構を備え、更に、前記各型の型締時に前記各外気遮断部材により設定される型内空間部を減圧し且つ前記減圧状態で樹脂成形を行う減圧成形手段を採用した樹脂成形装置に搭載される前記各型の交換機構であって、
前記各型の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材を各々係脱可能に装設する各係脱具と、
前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する係脱具とを含む、樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項10】
前記各型の外方周囲の部位に対して前記各外気遮断部材を各々係脱可能に装設する前記各係脱具と、
前記各外気遮断部材の両者を係脱可能に係着する前記係脱具とを相互に兼用することが可能となるように構成したことを特徴とする請求項9に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項11】
前記各係脱具を、型の取付部と外気遮断部材との両者に設けた各凹凸係合部に対して嵌合係脱させるように構成し、
また、前記各係脱具を、前記各外気遮断部材に設けた各凹凸係合部に対して嵌合係脱させるように構成したことを特徴とする請求項9に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項12】
前記凹凸係合部を、前記各型の取付・取外方向に沿って直線状に形成したことを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項13】
前記各型の取付部と前記各外気遮断部材との両者に設けた各凹凸係合部と、前記各外気遮断部材に設けた各凹凸係合部とを前記各型の取付・取外方向に沿って直線状に形成すると共に、前記各々の凹凸係合部を、対向する両外側面における同じ位置に配設して構成したことを特徴とする請求項11、又は、請求項12に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項14】
前記各々の凹凸係合部に対して前記各係脱具を各々嵌合係脱させるように構成したことを特徴とする請求項13に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項15】
前記各々の凹凸係合部に対して各々嵌合係脱させる前記各係脱具を連結部材を介して一体に連結して固着したことを特徴とする請求項14に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項16】
前記連結部材に把持部を固着したことを特徴とする請求項15に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項17】
前記各係脱具と前記各外気遮断部材との両者間に、前記各係脱具に対する抜止機構を配設して構成したことを特徴とする請求項9、又は、請求項10、又は、請求項11に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項18】
前記各係脱具と前記各型取付部との両者間に、前記各係脱具に対する抜止機構を配設して構成したことを特徴とする請求項9、又は、請求項10、又は、請求項11に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。
【請求項19】
前記各外気遮断部材と前記型の取付部との接合面に、また、前記各外気遮断部材の両者の接合面に、弾性シール部材を各々配設して構成したことを特徴とする請求項9に記載の樹脂成形装置に搭載される型の交換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245683(P2012−245683A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118773(P2011−118773)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】