説明

欠陥検出方法及び欠陥検査装置

【課題】 検査対象物の表面状態の欠陥を極めて高精度に検出することが可能な欠陥検出方法及び欠陥検出装置を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る欠陥検出方法は、複数の表面高さデータを抽出する工程(ステップ1)と、第1基準線を算出する工程(ステップ5)と、第1区間及び第2区間の各区間において、各測定点毎に算出された第1の差が最大となる表面高さデータを示す点である第1のピーク点をそれぞれ算出し、各第1のピーク点を通る第2基準線を算出する工程(ステップ6)と、各区間において、各測定点毎に算出された第2の差が最大となる表面高さデータを示す点である第2のピーク点をそれぞれ算出し、各第2のピーク点を通る第3基準線を算出する工程(ステップ7)と、各測定点毎に算出された第3の差に基づいて評価値を算出する工程(ステップ8)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面状態の欠陥を検出するための欠陥検出方法及び欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板表面にレーザ変位計等によりレーザ光を照射して、基板上に存在する突起物の高さを測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−283206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されたような方法を用いて検査対象物の表面状態の欠陥を検出しようとする場合、レーザ変位計等によって測定された検査対象物の表面高さを単純に比較しただけでは、研磨不良等により生じた欠陥の凹凸であるのか、それとも検査対象物の表面自体の曲面による凹凸であるのかが判別できず、欠陥であるか否かを評価することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、検査対象物の表面状態の欠陥を極めて高精度に検出することが可能な欠陥検出方法及び欠陥検出装置を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る欠陥検出方法は、検査対象物の表面状態の欠陥を検出するための欠陥検出方法であって、検査対象物の表面高さを測定する測定手段によって検査対象物を一定方向に走査することで、検査対象物の表面高さを所定の区間において所定の測定点毎に測定して、複数の表面高さデータを抽出する工程と、所定の区間の両端における表面高さデータを示す2点を通る直線を求めることにより第1基準線を算出する工程と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点において第1基準線が示す値との差である第1の差を各測定点毎に算出する工程と、所定の区間の中央から一端までの第1区間及び所定の区間の中央から他端までの第2区間の各区間において、第1の差が最大となる表面高さデータを示す点である第1のピーク点をそれぞれ算出する工程と、各第1のピーク点を通る直線を求めることにより第2基準線を算出する工程と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点において第2基準線が示す値との差である第2の差を各測定点毎に算出する工程と、各区間において、第2の差が最大となる表面高さデータを示す点である第2のピーク点をそれぞれ算出する工程と、各第2のピーク点を通る直線を求めることにより第3基準線を算出する工程と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点において第3基準線が示す値とその測定点における表面高さデータの値との差である第3の差を各測定点毎に算出する工程と、各第3の差に基づいて欠陥評価のための評価値を算出する工程とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る欠陥検出方法では、所定の区間において、第1基準線、第2基準線及び第3基準線を算出している。このように、第1基準線及び第2基準線から第3基準線を算出しているのは、所定の区間において検査対象物を平面に接地させたときの検査対象物と平面との接線を算出するためである。すなわち、第1〜第3基準線を算出する過程において、所定の区間における検査対象物と平面との接点を示す2点がそれぞれ算出され、この2つの接点を通る直線が第3基準線となっている。その結果、任意の測定点において第3基準線が示す値とその測定点における表面高さデータとの第3の差に基づいて算出された評価値が、第3基準線と表面高さデータとに囲まれた領域の面積の大きさを表すこととなるから、評価値を比較することで検査対象物に生じている欠陥の大きさを比較することができ、検査対象物の表面状態の欠陥を極めて高精度に検出することが可能となる。
【0007】
また、評価値を算出する工程では、各第3の差のうち予め設定された評価値算出用閾値以上となる値のみに基づいて欠陥評価のための評価値を算出することが好ましい。このようにすると、研磨不良等による欠陥は生じていないが、検査対象物の表面自体が波打っていて、小さな凹凸を複数有しているような検査対象物を検査する場合には、第3の差が評価値算出用閾値によって評価値として加算されないので、誤検出が行われることなくより高精度に欠陥を検出することができる。
【0008】
また、第1基準線を算出する工程の前に、各表面高さデータについての移動平均値である第1移動平均値を各測定点毎に算出する工程と、各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点における第1移動平均値との差の絶対値である第1の絶対値を各測定点毎に算出する工程と、第1の絶対値が予め設定された第1補正閾値よりも小さな値を示す測定点における表面高さデータの値を保持し、第1の絶対値が第1補正閾値以上の値を示す測定点における表面高さデータの値をその測定点における第1移動平均値に置換した第1補正データを各測定点毎に算出する工程と、各第1補正データについての移動平均値である第2移動平均値を各測定点毎に算出する工程と、各測定点のうち任意の測定点における第1補正データの値とその測定点における第2移動平均値との差の絶対値である第2の絶対値を各測定点毎に算出する工程と、第2の絶対値が第1補正閾値より小さい値で予め設定された第2補正閾値よりも小さな値を示す測定点における第1補正データの値を保持し、第2の絶対値が第2補正閾値以上の値を示す測定点における第1補正データの値をその測定点における第2移動平均値に置換した第2補正データを各測定点毎に算出する工程とを更に備え、各第2補正データを新たな表面高さデータとして用いることが好ましい。ところで、検査対象物の表面に研磨による研磨筋が形成されているような検査対象物を高速移動させて、検査対象物の表面高さを測定したような場合、研磨筋の影響によって測定された表面高さデータの値にパルス状のノイズが発生することがある。しかしながら、第1及び第2補正閾値によって表面高さデータの値からノイズを除去することができるので、測定された表面高さのばらつきを抑制することができる。その結果、研磨不良等による欠陥を更に高精度に検出することができると共に、短時間で多数の検査対象物の欠陥検出が可能となる。
【0009】
また、複数の表面高さデータを抽出する工程では、所定の区間として、検査対象物において欠陥検査の対象として予め指定した領域である検査対象領域に対応し且つ各表面高さデータのうち検査対象物に欠陥が生じているか否かの欠陥評価が行われる表面高さデータを含む区間を算出することが好ましい。このようにすると、検査対象物において欠陥を検査したい区間に対応した表面高さデータを用いて欠陥検査を行うことができるため、欠陥を更により高精度に検出することができる。
【0010】
一方、本発明に係る欠陥検査装置は、検査対象物の表面状態の欠陥を検出するための欠陥検出装置であって、検査対象物を一定方向に走査することで、検査対象物の表面高さを所定の区間において所定の測定点毎に測定する測定手段と、測定手段によって各測定点毎に測定された検査対象物の表面高さについて複数の表面高さデータを抽出する手段と、所定の区間の両端における表面高さデータを示す2点を通る直線を求めることにより第1基準線を算出する手段と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点において第1基準線が示す値との差である第1の差を各測定点毎に算出する手段と、所定の区間の中央から一端までの第1区間及び所定の区間の中央から他端までの第2区間の各区間において、第1の差が最大となる表面高さデータを示す点である第1のピーク点をそれぞれ算出する手段と、各第1のピーク点を通る直線を求めることにより第2基準線を算出する手段と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点において第2基準線が示す値との差である第2の差を各測定点毎に算出する手段と、各区間において、第2の差が最大となる表面高さデータを示す点である第2のピーク点をそれぞれ算出する手段と、各第2のピーク点を通る直線を求めることにより第3基準線を算出する手段と、所定の区間内の各測定点のうち任意の測定点において第3基準線が示す値とその測定点における表面高さデータの値との差である第3の差を各測定点毎に算出する手段と、各第3の差に基づいて欠陥評価のための評価値を算出する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る欠陥検査装置では、算出された所定の区間において、第1基準線、第2基準線及び第3基準線を算出している。このように、第1基準線及び第2基準線から第3基準線を算出しているのは、所定の区間において検査対象物を平面に接地させたときの検査対象物と平面との接線を算出するためである。すなわち、第1〜第3基準線を算出する過程において、所定の区間における検査対象物と平面との接点を示す2点がそれぞれ算出され、この2つの接点を通る直線が第3基準線となっている。その結果、任意の測定点において第3基準線が示す値とその測定点における表面高さデータとの第3の差に基づいて算出された評価値が、第3基準線と表面高さデータとに囲まれた領域の面積の大きさを表すこととなるから、評価値を比較することで検査対象物に生じている欠陥の大きさを比較することができ、検査対象物の表面状態の欠陥を極めて高精度に検出することが可能となる。
【0012】
また、評価値を算出する手段は、各第3の差のうち予め設定された評価値算出用閾値以上となる値のみに基づいて欠陥評価のための評価値を算出することが好ましい。このようにすると、研磨不良等による欠陥は生じていないが、検査対象物の表面自体が波打っていて、小さな凹凸を複数有しているような検査対象物を検査する場合には、第3の差が評価値算出用閾値によって評価値として加算されないので、誤検出が行われることなくより高精度に欠陥を検出することができる。
【0013】
また、第1基準線を算出する手段により第1基準線が算出される前に、各表面高さデータについての移動平均値である第1移動平均値を各測定点毎に算出する手段と、各測定点のうち任意の測定点における表面高さデータの値とその測定点における第1移動平均値との差の絶対値である第1の絶対値を各測定点毎に算出する手段と、第1の絶対値が予め設定された第1補正閾値よりも小さな値を示す測定点における表面高さデータの値を保持し、第1の絶対値が第1補正閾値以上の値を示す測定点における表面高さデータの値をその測定点における第1移動平均値に置換した第1補正データを各測定点毎に算出する手段と、各第1補正データについての移動平均値である第2移動平均値を各測定点毎に算出する手段と、各測定点のうち任意の測定点における第1補正データの値とその測定点における第2移動平均値との差の絶対値である第2の絶対値を各測定点毎に算出する手段と、第2の絶対値が第1補正閾値より小さい値で予め設定された第2補正閾値よりも小さな値を示す測定点における第1補正データの値を保持し、第2の絶対値が第2補正閾値以上の値を示す測定点における第1補正データの値をその測定点における第2移動平均値に置換した第2補正データを各測定点毎に算出する手段とを更に備え、各第2補正データを新たな表面高さデータとして用いることが好ましい。ところで、検査対象物の表面に研磨による研磨筋が形成されているような検査対象物を高速移動させて、検査対象物の表面高さを測定したような場合、研磨筋の影響によって測定された表面高さデータの値にパルス状のノイズが発生することがある。しかしながら、第1及び第2補正閾値によって表面高さデータの値からノイズを除去することができるので、測定された表面高さのばらつきを抑制することができる。その結果、研磨不良等による欠陥を更に高精度に検出することができると共に、短時間で多数の検査対象物の欠陥検出が可能となる。
【0014】
また、複数の表面高さデータを抽出する手段は、所定の区間として、検査対象物において欠陥検査の対象として予め指定した領域である検査対象領域に対応し且つ各表面高さデータのうち検査対象物に欠陥が生じているか否かの欠陥評価が行われる表面高さデータを含む区間を算出することが好ましい。このようにすると、検査対象物において欠陥を検査したい区間に対応した表面高さデータを用いて欠陥検査を行うことができるため、欠陥を更により高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査対象物の表面状態の欠陥を極めて高精度に検出することが可能な欠陥検出方法及び欠陥検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
(欠陥検出装置の構成)
図1を参照して、本実施形態に係る欠陥検出装置10の構成について説明する。図1は、(a)が欠陥検出装置の構成を概略的に示す斜視図であり、(b)がレーザ変位計によって検査対象物を走査する様子を示す図であり、(c)が検査対象物の斜視図である。
【0018】
欠陥検出装置10は、後述する検査対象物18に生じた研磨不良等による欠陥を検出するための装置である。そのために、欠陥検出装置10は、レーザ変位計12と、データ処理部14とを有している。
【0019】
レーザ変位計12は、図示しない半導体レーザと受光素子とを有している。レーザ変位計12では、半導体レーザから発せられるレーザ光Bの反射光を受光素子によって受光することで、レーザ変位計12と測定対象物との距離を測定する。本実施形態では、このレーザ変位計12を3つ用いており、検査対象物18が載置された載置板16を図1(a)の矢印A方向に一定の速度で移動させることで、図1(b)に示されるように検査対象物18の中央部分及び両端部分の表面高さを測定している。なお、検査対象物18の表面高さを測定できるものであれば、レーザ変位計12に限らず用いることができる。
【0020】
データ処理部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random AccessMemory)等を含む図示しないECU(Electronic Control Unit)等を有し、各レーザ変位計12から出力された検査対象物18の表面高さデータの処理を行うものである。
【0021】
ここで、検査対象物18は、図1(c)に示されるように、本実施形態において、曲面を呈する中央部18aと、傾斜面となっている周縁部18bと、円弧状の側面18cとを有している。検査対象物18における中央部18aの外周面18d及び内周面18eは、検査対象物18を製造する工程において研磨されており、各検査対象物18毎に異なると共に図1(c)の手前から奥方向に向かって形成された研磨筋を有している。また、検査対象物18の中央部18aには、研磨不良等による欠陥を検出するための領域として、検査対象領域Wが予め設定されている。検査対象物22は、例えば、クーラー等のモータ用のマグネットとして用いられる。
【0022】
(欠陥検出装置による欠陥検出方法)
次に、図2〜図9を参照して、上記の構成を有する欠陥検出装置10を用いた検査対象物18の欠陥検出方法について説明する。なお、ここでは特に、検査対象物18のうち曲面状となっている外周面18a又は内周面18bにおける欠陥を検出する場合について説明する。
【0023】
図2は、欠陥検出処理の開始から終了までの手順を示すフローチャートである。図3は、測定開始から経過した時間とそのときの検査対象物の表面高さとの関係を示すグラフである。図4は、測定開始から経過した時間とそのときの第1移動平均値との関係を示すグラフである。図5は、測定開始から経過した時間とそのときの第1の絶対値との関係を示すグラフである。図6は、測定開始から経過した時間とそのときの第1補正データとの関係を示すグラフである。図7は、第1及び第2基準線の算出方法を説明するための図である。図8は、第3基準線の算出方法を説明するための図である。図9は、評価値の算出方法を説明するための図である。なお、図2に示されるフローチャートでは、ステップをSと略記している。
【0024】
欠陥検出装置10によって欠陥検出処理が開始されると、図2に示されるステップ1に進んで、検査対象物18が各レーザ変位計12の下を通過するように、検査対象物18が載置された載置板16を一定の速度v(本実施形態では、1.0m/sec)で移動させ、各レーザ変位計12によって検査対象物18の中央部分及び両端部分についての表面高さを一定周期(サンプリング周期ΔT)毎(例えば、2msec毎)に測定し、データ処理部14によって複数の表面高さデータV(t)を抽出する(図3参照)。ここで、図3において、N(自然数)番目に表面高さが測定された時間tはNとサンプリング周期ΔTとの積で表され(t=NΔT)、そのときの表面高さデータV(t)はV(NΔT)となる。また、図3に示されるように、抽出された表面高さデータV(t)には、検査対象物18の表面に形成された研磨筋の影響により、パルス状のノイズが発生している。なお、以下に述べる各処理は、抽出された表面高さデータV(t)に基づいて、データ処理部14により行われる。また、本実施形態では、検査対象物18の表面高さを各レーザ変位計12によって3箇所測定しているが、各箇所における表面高さデータV(t)について同じ処理が行われるため、以降の説明ではある1箇所で測定された表面高さデータV(t)について行われる処理について述べ、それ以外の箇所については省略する。
【0025】
続いて、ステップ2に進むと、N番目の測定点と、この測定点を中心とする前後2つの測定点であるN−2番目の測定点、N−1番目の測定点、N+1番目の測定点及びN+2番目の測定点とにおける各表面高さデータVについて、下記の式(1)から、第1移動平均値Vma1(NΔT)を各測定点毎に算出する(図4参照)。
【数1】


そして、表面高さデータV(NΔT)と第1移動平均値Vma1(NΔT)との差の絶対値である第1の絶対値を算出する(図5参照)。さらに、図5に示されるように、第1の絶対値が第1補正閾値TH(本実施形態では、TH=0.10)以上である場合、すなわち第1の絶対値が下記の式(2)を満たすような場合に、表面高さデータV(NΔT)の値をその測定点における第1移動平均値Vma1(NΔT)に置換する処理を各測定点毎に行って、第1補正データV(NΔT)を算出する(図6参照)。
【数2】


なお、第1補正閾値TH及び後述する各閾値は、事前に実験を行うことによって得られた値となっている。ここで、第1補正閾値THは、検査対象物18の検査対象領域Wにおける全ての測定点について、下記の式(3)を満たすように予め設定されていることが好ましい。下記の式(3)の右辺は、N番目の測定点における表面高さデータが、N番目の測定点を中心とする前後2つの測定点における表面高さデータに対して与えうる変動量の平均値を表している。そのため、第1補正閾値THを全ての測定点における変動量の平均値よりも大きく設定することで、パルス状のノイズとなっている表面高さデータのみを除去することができることとなる。
【数3】

【0026】
続いて、ステップ3では、第1補正データV(NΔT)を用いて、ステップ2と同様に、第2移動平均値Vma2(NΔT)及び第2補正データV(NΔT)を算出する。具体的には、N番目の測定点と、この測定点を中心とする前後2つの測定点であるN−2番目の測定点、N−1番目の測定点、N+1番目の測定点及びN+2番目の測定点とにおける各第1補正データVについて、下記の式(4)から、第2移動平均値Vma2(NΔT)を各測定点毎に算出する。
【数4】


そして、第1補正データV(NΔT)と第2移動平均値Vma2(NΔT)との差の絶対値である第2の絶対値を算出する。さらに、第2の絶対値が予め設定された第2補正閾値TH(本実施形態では、TH=0.03)以上である場合、すなわち第2の絶対値が下記の式(5)を満たすような場合に、第1補正データV(NΔT)の値をその測定点における第2移動平均値Vma2(NΔT)に置換する処理を各測定点毎に行って、第2補正データV(NΔT)を算出する。
【数5】


なお、以降の処理では、算出された第2補正データV(NΔT)を新たな表面高さデータとして取り扱っている。また、第2補正閾値THは、第1補正閾値THよりも小さな値に設定されている。ここで、第2補正閾値THについても第1補正閾値THと同じく、検査対象物18の検査対象領域Wにおいて、下記の式(6)を満たすように予め設定されていることが好ましい。
【数6】

【0027】
続いて、ステップ4に進むと、検査対象物18の検査対象領域Wに基づいて、第2補正データV(NΔT)において欠陥を検査するための区間である検査区間Sを算出する。具体的には、まず、第2補正データV(NΔT)が立ち上がる(検査対象物18の測定が開始される)点であるN番目の測定点と、第2補正データV(NΔT)が立ち下がる(検査対象物18の測定が終了する)点であるN番目の測定点との中央に位置する測定点である中央点Nを、下記の式(7)から算出する。そして、算出された中央点Nと検査対象領域Wとに基づいて、下記の式(8)及び(9)から、検査区間Sの開始を示す測定点である開始点Nstart及び検査区間Sの終了を示す測定点である終了点Nstopを算出する(図7参照)。
【数7】


【数8】


【数9】


ここで、検査対象領域Wを載置板16が移動する速度vとサンプリング周期ΔTとの積によって除することで、長さの次元を示す検査対象領域Wを測定点の数に換算している。
【0028】
続いて、ステップ5に進むと、検査区間Sの開始点Nstartにおける第2補正データV(NstartΔT)と、検査区間Sの終了点Nstopにおける第2補正データV(NstopΔT)とを通る直線を求めることで、下記の式(10)で表される第1基準線Lを算出する(図7参照)。
【数10】

【0029】
続いて、ステップ6に進むと、任意の測定点であるN番目の測定点における第2補正データV(NΔT)からそのN番目の測定点において第1基準線Lが示す値Y(N)との差である第1の差を、検査区間Sにおける各測定点について算出する。そして、検査区間Sの中央点Nから開始点Nstartまでの第1区間S及び検査区間Sの中央点Nから終了点Nstopまでの第2区間Sの各区間において、第1の差が最大となる測定点である第1ピーク点Npeak1a,Npeak1bをそれぞれ算出する。さらに、これらの各第1ピーク点Npeak1a,Npeak1bにおける第2補正データV(Npeak1aΔT),V(Npeak1bΔT)を通る直線を求めることで、下記の式(11)で表される第2基準線Lを算出する(図7参照)。
【数11】

【0030】
続いて、ステップ7に進むと、任意の測定点であるN番目の測定点における第2補正データV(NΔT)からそのN番目の測定点において第2基準線Lが示す値Y(N)との差である第2の差を、検査区間Sにおける各測定点について算出する。そして、第1区間S及び第2区間Sの各区間において、第2の差が最大となる測定点である第2ピーク点Npeak2a,Npeak2bをそれぞれ算出する。さらに、これらの各第2ピーク点Npeak2a,Npeak2bにおける第2補正データV(Npeak2aΔT),V(Npeak2bΔT)を通る直線を求めることで、下記の式(12)で表される第3基準線Lを算出する(図8参照)。
【数12】

【0031】
続いて、ステップ8に進むと、任意の測定点であるN番目の測定点において第3基準線Lが示す値Y(N)とそのN番目の測定点における第2補正データV(NΔT)との差である第3の差を、検査区間Sにおける各測定点について算出する。そして、算出された第3の差が予め設定された評価値算出用閾値TH以上(本実施形態では、30μm以上)となる第3の差の値に基づいて、下記の式(13)から欠陥評価のための評価値Eを算出する。従って、この評価値Evは、第3基準線Lと第2補正データV(NΔT)とに囲まれた領域のうち、図9において斜線で示される領域Aの面積を近似的に表すこととなる、
【数13】

【0032】
続いて、ステップ9に進むと、ステップ8で算出された評価値と予め設定された欠陥評価閾値とを比較して、評価値(図9における領域Aの面積)が欠陥評価閾値よりも小さいか否かを判定する。その結果、評価値が欠陥評価閾値よりも小さいと判定された場合には、ステップ10に進んで、現在欠陥検出が行われている検査対象物18に欠陥がないと判定して、欠陥検出処理が終了する。一方、評価値が欠陥評価閾値以上であると判定された場合には、ステップ11に進んで、現在欠陥検出が行われている検査対象物18に欠陥があると判定して、外観検査処理が終了する。
【0033】
ところで、検査対象物18の欠陥検出を行う際、多数の検査対象物18を処理しようとして検査対象物18が載置された載置板16の移動速度を速めると、検査対象物18の中央部18aの外周面18d及び内周面18eに形成された研磨筋の凹凸によって、表面高さデータV(NΔT)にパルス状のノイズが発生してしまうという問題があった。また、検査対象物18の中央部18aが曲面状となっているため、レーザ変位計12によって測定された表面高さデータV(NΔT)を単純に比較しただけでは、その表面高さデータV(NΔT)の大小が研磨不良等により生じた欠陥の凹凸であるのか、それとも検査対象物18の表面自体の曲面による凹凸であるのかが判別できず、欠陥であるか否かの評価をすることができなかった。
【0034】
しかしながら、本実施形態においては、検査区間Sにおいて、第1基準線L、第2基準線L及び第3基準線Lを算出している。このように、第1基準線L及び第2基準線Lから第3基準線Lを算出しているのは、検査区間Sにおいて検査対象物18を平面に接地させたときの検査対象物18とその平面との接線を算出するためである。すなわち、第1〜第3基準線L〜Lを算出する過程において、検査区間Sにおける検査対象物18と平面との接点を示す第2ピーク点Npeak2b,Npeak2aがそれぞれ算出され、これらの第2ピーク点Npeak2a,Npeak2bを通る直線が第3基準線Lとなっている。その結果、任意の測定点であるN番目の測定点において第3基準線Lが示す値Y(N)とそのN番目の測定点における表面高さデータとしての第2補正データV(NΔT)との差である第3の差に基づいて算出された評価値Eが、第3基準線Lと第2補正データV(NΔT)とに囲まれた領域Aの面積の大きさを表すこととなるから、評価値Eを比較することで検査対象物18に生じている研磨不良等により生じた欠陥の凹部の大きさを比較することができ、欠陥を極めて高精度に検出することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態においては、第3の差が予め設定された評価値算出用閾値TH以上となる第3の差の値に基づいて、評価値Eを算出している。そのため、研磨不良等による欠陥は生じていないが、検査対象物18の表面自体が波打っていて、小さな凹凸を複数有しているような検査対象物18を検査する場合には、評価値算出用閾値THによって第3の差が評価値Eとして加算されないので、誤検出が行われることなくより高精度に欠陥を検出することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、第1及び第2移動平均値Vma1,Vma2を算出することで第1及び第2補正データV(NΔT),V(NΔT)を算出し、第2補正データV(NΔT)を新たな表面高さデータとしている。そのため、検査対象物18が載置された載置板16を高速移動させても、検査対象物18における中央部18aの外周面18d及び内周面18eに形成されている研磨筋の影響によって表面高さデータV(NΔT)に発生するパルス状のノイズが、第1及び第2補正閾値TH,THによって除去されることとなる。その結果、測定された表面高さデータV(NΔT)のばらつきを抑制することができるため、研磨不良等による欠陥を更に高精度に検出することができると共に、短時間で多数の検査対象物18の欠陥検出が可能となる。
【0037】
また、本実施形態においては、研磨不良等による欠陥を検出するための領域として予め設定された検査対象物18の検査対象領域Wに基づいて、検査区間Sを算出している。ところで、検査対象物18の周縁部18bが傾斜面となっているので、周縁部18bを含めた表面高さデータV(NΔT)に基づいて欠陥検査を行った場合には、周縁部18bを欠陥として誤検出してしまうことがある。しかしながら、算出された検査区間Sを用いることで、周縁部18bの表面高さデータV(NΔT)を除いて検査対象物18の欠陥検査を行うことができるため、欠陥を更により高精度に検出することができる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では予め設定された評価値算出用閾値TH以上となる第3の差の値に基づいて評価値Eを算出したが、この評価値算出用THを用いずに、全ての第3の差に基づいて上記の式(13)により評価値Eを算出してもよい。なお、このときの評価値Eは、第3基準線Lと第2補正データV(NΔT)とに囲まれた全領域の面積の近似値を表すこととなる。
【0039】
また、本実施形態ではより欠陥を検出しやすくするため、上記の式(13)に示されるように、第3の差を二乗した値を累積的に加算して評価値Eを算出しているが、第3の差を二乗せずに、第3の差を累積的に加算して評価値Eを算出してもよい。
【0040】
また、本実施形態では第1移動平均値Vma1(NΔT)を算出し、その後第2移動平均値Vma2(NΔT)を算出して、移動平均値の算出を2回行っているが、移動平均値の算出は1回のみでもよいし、3回以上行ってもよい。移動平均値の算出を2回以上行う場合には、移動平均値の算出回数を重ねる毎に段階的に閾値を小さくすることで、ノイズである表面高さデータあるいは補正データを含んで移動平均値が算出されたために、ノイズでない表面高さデータあるいは補正データの移動平均値が大きく変動してノイズと判定されてしまうことが防止されるようになる。
【0041】
また、本実施形態では第1及び第2移動平均値Vma1,Vma2を算出し、第1及び第2補正閾値TH,THに基づいてパルス状のノイズを除去していたが、これに限られない。例えば、N番目の測定点及びこの測定点を中心とする前後2つの測定点における各表面高さデータあるいは補正データの中央値(メジアン)を算出し、この中央値とN番目の測定点における表面高さデータあるいは補正データとの差の絶対値が予め設定された閾値を超えたときにその表面高さデータあるいは補正データを中央値に置換することによって、パルス状のノイズを除去してもよい。このようにすると、移動平均値を利用したノイズ除去の場合と比較して、1度目の処理から閾値を小さく設定してノイズ除去を行うことができる。また、移動平均値を利用したノイズ除去の場合と比較して、検査対象物18の外周面18dの部分をより正確に再現できるから、補正データが立ち上がる(検査対象物18の測定が開始される)測定点と、補正データが立ち下がる(検査対象物18の測定が終了する)測定点とがより明確に検出される。
【0042】
また、レーザ変位計12によって測定された表面高さデータV(NΔT)にパルス状のノイズが発生しないように、検査対象物18が載置された載置板16をゆっくりと等速移動させれば、移動平均値等を算出することによりノイズを除去する処理を行わなくてもよい。
【0043】
また、検査対象物18の検査対象領域Wのみについて検査対象物18の表面高さを測定すれば、検査区間Sを算出する処理を行わなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は欠陥検出装置の構成を概略的に示す斜視図であり、(b)はレーザ変位計によって検査対象物を走査する様子を示す図であり、(c)は検査対象物の斜視図である。
【図2】欠陥検出処理の開始から終了までの手順を示すフローチャートである。
【図3】測定開始から経過した時間とそのときの検査対象物の表面高さとの関係を示すグラフである。
【図4】測定開始から経過した時間とそのときの第1移動平均値との関係を示すグラフである。
【図5】測定開始から経過した時間とそのときの第1の絶対値との関係を示すグラフである。
【図6】測定開始から経過した時間とそのときの第1補正データとの関係を示すグラフである。
【図7】第1及び第2基準線の算出方法を説明するための図である。
【図8】第3基準線の算出方法を説明するための図である。
【図9】評価値の算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
10…欠陥検出装置、12…レーザ変位計、14…データ処理部、18…検査対象物、L…第1基準線、L…第2基準線、L…第3基準線、Npeak1a,Npeak1b…第1ピーク点、Npeak2a,Npeak2b…第2ピーク点、Nstart…開始点、Nstop…終了点、S…検査区間、S…第1区間、S…第2区間、TH…第1補正閾値、TH…第2補正閾値、TH…評価値算出用閾値、V…表面高さデータ、V…第1補正データ、V…第2補正データ、Vma1…第1移動平均値、Vma2…第2移動平均値、W…検査対象領域、ΔT…サンプリング周期。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面状態の欠陥を検出するための欠陥検出方法であって、
前記検査対象物の表面高さを測定する測定手段によって前記検査対象物を一定方向に走査することで、前記検査対象物の表面高さを所定の区間において所定の測定点毎に測定して、複数の表面高さデータを抽出する工程と、
前記所定の区間の両端における前記表面高さデータを示す2点を通る直線を求めることにより第1基準線を算出する工程と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点において前記第1基準線が示す値との差である第1の差を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記所定の区間の中央から一端までの第1区間及び前記所定の区間の中央から他端までの第2区間の各区間において、前記第1の差が最大となる表面高さデータを示す点である第1のピーク点をそれぞれ算出する工程と、
前記各第1のピーク点を通る直線を求めることにより第2基準線を算出する工程と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点において前記第2基準線が示す値との差である第2の差を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記各区間において、前記第2の差が最大となる表面高さデータを示す点である第2のピーク点をそれぞれ算出する工程と、
前記各第2のピーク点を通る直線を求めることにより第3基準線を算出する工程と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点において前記第3基準線が示す値と該測定点における前記表面高さデータの値との差である第3の差を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記各第3の差に基づいて欠陥評価のための評価値を算出する工程とを備えることを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
評価値を算出する前記工程では、前記各第3の差のうち予め設定された評価値算出用閾値以上となる値のみに基づいて欠陥評価のための評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載された欠陥検出方法。
【請求項3】
前記第1基準線を算出する前記工程の前に、
前記各表面高さデータについての移動平均値である第1移動平均値を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点における前記第1移動平均値との差の絶対値である第1の絶対値を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記第1の絶対値が予め設定された第1補正閾値よりも小さな値を示す測定点における表面高さデータの値を保持し、前記第1の絶対値が前記第1補正閾値以上の値を示す測定点における表面高さデータの値を該測定点における第1移動平均値に置換した第1補正データを前記各測定点毎に算出する工程と、
前記各第1補正データについての移動平均値である第2移動平均値を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記各測定点のうち任意の測定点における前記第1補正データの値と該測定点における前記第2移動平均値との差の絶対値である第2の絶対値を前記各測定点毎に算出する工程と、
前記第2の絶対値が前記第1補正閾値より小さい値で予め設定された第2補正閾値よりも小さな値を示す測定点における第1補正データの値を保持し、前記第2の絶対値が前記第2補正閾値以上の値を示す測定点における第1補正データの値を該測定点における第2移動平均値に置換した第2補正データを前記各測定点毎に算出する工程とを更に備え、
前記各第2補正データを新たな表面高さデータとして用いることを特徴とする請求項1又は2に記載された欠陥検出方法。
【請求項4】
前記複数の表面高さデータを抽出する前記工程では、前記所定の区間として、前記検査対象物において欠陥検査の対象として予め指定した領域である検査対象領域に対応し且つ前記各表面高さデータのうち前記検査対象物に欠陥が生じているか否かの欠陥評価が行われる表面高さデータを含む区間を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載された欠陥検出方法。
【請求項5】
検査対象物の表面状態の欠陥を検出するための欠陥検出装置であって、
前記検査対象物を一定方向に走査することで、前記検査対象物の表面高さを所定の区間において所定の測定点毎に測定する測定手段と、
前記測定手段によって各測定点毎に測定された前記検査対象物の表面高さについて複数の表面高さデータを抽出する手段と、
前記所定の区間の両端における前記表面高さデータを示す2点を通る直線を求めることにより第1基準線を算出する手段と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点において前記第1基準線が示す値との差である第1の差を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記所定の区間の中央から一端までの第1区間及び前記所定の区間の中央から他端までの第2区間の各区間において、前記第1の差が最大となる表面高さデータを示す点である第1のピーク点をそれぞれ算出する手段と、
前記各第1のピーク点を通る直線を求めることにより第2基準線を算出する手段と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点において前記第2基準線が示す値との差である第2の差を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記各区間において、前記第2の差が最大となる表面高さデータを示す点である第2のピーク点をそれぞれ算出する手段と、
前記各第2のピーク点を通る直線を求めることにより第3基準線を算出する手段と、
前記所定の区間内の前記各測定点のうち任意の測定点において前記第3基準線が示す値と該測定点における前記表面高さデータの値との差である第3の差を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記各第3の差に基づいて欠陥評価のための評価値を算出する手段とを備えることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項6】
評価値を算出する前記手段は、前記各第3の差のうち予め設定された評価値算出用閾値以上となる値のみに基づいて欠陥評価のための評価値を算出することを特徴とする請求項5に記載された欠陥検出装置。
【請求項7】
前記第1基準線を算出する前記手段により前記第1基準線が算出される前に、
前記各表面高さデータについての移動平均値である第1移動平均値を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記各測定点のうち任意の測定点における前記表面高さデータの値と該測定点における前記第1移動平均値との差の絶対値である第1の絶対値を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記第1の絶対値が予め設定された第1補正閾値よりも小さな値を示す測定点における表面高さデータの値を保持し、前記第1の絶対値が前記第1補正閾値以上の値を示す測定点における表面高さデータの値を該測定点における第1移動平均値に置換した第1補正データを前記各測定点毎に算出する手段と、
前記各第1補正データについての移動平均値である第2移動平均値を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記各測定点のうち任意の測定点における前記第1補正データの値と該測定点における前記第2移動平均値との差の絶対値である第2の絶対値を前記各測定点毎に算出する手段と、
前記第2の絶対値が前記第1補正閾値より小さい値で予め設定された第2補正閾値よりも小さな値を示す測定点における第1補正データの値を保持し、前記第2の絶対値が前記第2補正閾値以上となる測定点における第1補正データの値を該測定点における第2移動平均値に置換した第2補正データを前記各測定点毎に算出する手段とを更に備え、
前記各第2補正データを新たな表面高さデータとして用いることを請求項5又は6に記載された欠陥検出装置。
【請求項8】
前記複数の表面高さデータを抽出する前記手段は、前記所定の区間として、前記検査対象物において欠陥検査の対象として予め指定した領域である検査対象領域に対応し且つ前記各表面高さデータのうち前記検査対象物に欠陥が生じているか否かの欠陥評価が行われる表面高さデータを含む区間を算出することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載された欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−155442(P2007−155442A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349584(P2005−349584)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】