説明

比例圧力制御弁

弁ハウジング10を有する比例圧力制御弁であって、弁ハウジングが、特にポンプ接続端P、利用接続端A及びタンク接続端Tの形式の少なくとも3つの流体を案内する接続端を有し、ポンプ接続端Pを利用接続端Aに、及び利用接続端Aをタンク接続端Tに選択的に接続するために、制御ピストン18が弁ハウジング10の内部で長手方向に移動可能に案内されており、ポンプ接続端Pとパイロット弁22のパイロット制御室20との間に流体を案内する接続が存在しており、かつパイロット弁22が、磁気装置、特に比例磁気装置28によって駆動可能な比例圧力制御弁において、パイロット制御室20へ流体を案内する接続が、弁ハウジング10の壁の内部に軸方向に延びる孔27を有しており、その孔27がハウジング10の、ポンプ接続端Pを形成する半径方向孔9から出発していることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁ハウジングを有する比例圧力制御弁であって、前記弁ハウジングが、特にポンプ接続端、利用接続端及びタンク接続端の形式の、少なくとも3つの流体を案内する接続端を有し、ポンプ接続端を利用接続端に、及び利用接続端をタンク接続端に選択的に接続するために、制御ピストンが弁ハウジングの内部で長手方向に移動可能に案内されており、ポンプ接続端とパイロット弁のパイロット制御室との間に流体を案内する接続が存在しており、かつパイロット弁が、磁気装置、特に比例磁気装置によって駆動可能な比例圧力制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
大きい体積流量が制御される用途の場合において、直接制御される弁の代わりに、パイロット制御される圧力制御弁が好適に使用される。体積流量が多いということは、行程が大きい場合の弁の大きい開口横断面、及び作動される磁気装置の磁力に外乱量として対抗作用する大きな流れ力の両方を意味する。この問題に対処するために、直接制御される弁における磁気装置は、それに応じて大きく寸法設定されなければならない。
【0003】
従って従来技術においては、この種の用途の場合のために、油圧パイロット制御を有する弁が知られている(独国特許出願公開第10325178号明細書を参照)。この既知の解決法は、米国特許第6286535号明細書によって知られている従来技術に属する他の解決提案に比較して、磁気装置が作動されていないときに、利用接続端における0バールの圧力値を弁が設定できることを特徴としている。上記米国特許第6286535号明細書に開示された弁において、これは不可能である。というのも、その構造に従って制御ピストンは、磁気装置が作動されていないときには、弾装されている圧縮ばねによってその終端位置へ戻されているからである。従って、この構造的形態に基づいて、この弁は、磁気装置の電気的な制御信号が存在しない場合に、常に、弾装されたばねの力に相当する圧力水準を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術に関して、本発明の課題は、独国特許出願公開第10325178号明細書による解決法に従って利用接続端における0バールの残留圧力の設定が可能な比例圧力制御弁を、それに対してより単純かつよりコンパクトな構造を特徴とするように創り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、その全体において特許請求項1の特徴を有する比例圧力制御弁によって解決される。
【0006】
それによれば、本発明の本質的な特殊性は、弁ハウジングの壁内に軸方向に延びる孔が形成されており、前記孔が弁ハウジングのポンプ接続端を形成する半径方向孔から出発していることによって、パイロット制御室へ流体を案内する接続が、実用的に完全に弁ハウジング内に統合されていることにある。最後に挙げた既知の解決法においては、流体を案内する接続を形成するために、制御ピストンに内側の接続通路が設けられており、前記接続通路が、パイロット制御室内へ連通する前に絞り部を有しており、前記絞り部の後段に流れディフューザが接続され、かつ前段には保護フィルタが接続されている。それによって、制御ピストンのために、比較的複雑な構造だけでなく、かなりの構造長も生じ、それによっても弁ハウジングの然るべき構造長が必要である。それに対して本発明に基づく弁は、努力して得られたコンパクトで簡略化された構造を特徴としている。
【0007】
他の好ましい形態において、本発明によれば、利用接続端は、弁ハウジングの同軸の端部側の開口部によって形成されている。それによって構造長をさらに減少させる、特に好ましい可能性がひらける。というのも、弁ハウジングの長手方向にずらして、弁ハウジングに単に2つの半径方向に貫流される接続端、すなわちポンプ接続端及びタンク接続端を半径方向孔によって形成すれば済むからであり、それによって制御ピストンはそれに応じた少ない数の周側の制御エッジを持てばすみ、そのことも結果として、簡略化と必要な構造長の縮小とをもたらす。
【0008】
好ましくは、制御ピストンは、パイロット制御室の移動可能な境界として、一つの半径方向平面内に位置する、閉じた平坦なピストン面を有することができる。
【0009】
その場合に、配置は、好ましくは次のように、すなわち弁ハウジング内に固定的に配置されたパイロット弁の弁体が、パイロット制御室の他の固定の境界と、パイロット制御室へ流体を案内する接続のポンプ接続端から離れた終端部分とを形成するように行うことができる。
【0010】
この種の実施例において、配置は次のように、すなわち流体を案内する接続の終端部分が半径方向の通路を有し、前記半径方向の通路が弁体の内側の同軸の孔と環状間隙との間に延びており、前記環状間隙が弁体の周面と弁ハウジングとの間の濾過間隙を形成し、前記濾過間隙の中へ弁ハウジングの半径方向孔の端部が連通するように、行うことができる。この構造は、同様に、コンパクトな組立て形状に寄与する。というのも、パイロット制御流体のための保護フィルタの組込みが、付加的な軸方向の組立て長さを必要としないからである。
【0011】
本発明に基づく比例圧力制御弁の他の好ましい形態が、残りの下位請求項6から11の対象である。
【0012】
説明したように、磁気装置が作動されない場合に、利用接続端に0バールの圧力値が生じることが保証される弁装置が提供されるので、本発明は特に、油圧作動されるクラッチにおいて使用するのに適しており、前記クラッチの機能安全性のために重要なことは、クラッチをゆるめた場合に、係合しているクラッチパケットまたはディスク群が互いに確実に離れることである。従って特許請求項12に示すように、本発明に基づく弁を、油圧作動されるクラッチのために使用することも本発明の対象である。
【0013】
以下、図面に示す実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術に基づく比例圧力制御弁を部分的に正面図で及び部分的に縦断面図で示している。
【図2】本発明に基づく比例圧力制御弁の第1の実施例を切替え位置または作動位置において、同様に部分的に正面図で及び部分的に縦断面図で示している。
【図3】本発明に基づく比例圧力制御弁の第1の実施例を切替え位置または作動位置において、同様に部分的に正面図で及び部分的に縦断面図で示している。
【図4】本発明に基づく比例圧力制御弁の第1の実施例を切替え位置または作動位置において、同様に部分的に正面図で及び部分的に縦断面図で示している。
【図5】本発明に基づく比例圧力制御弁の第2の実施例を、図2から4に比較して少し小さい縮尺寸法で示す縦断面図である。
【図6】図5に一点鎖線の丸で示す領域のみを、図5に比較して拡大して示す部分縦断面図である。
【図7】多板クラッチにおいて使用するための本発明に基づく比例圧力制御弁を、簡略化した回路図の形式で示している。
【図8】図7の油圧装置に基づくクラッチ弁装置のためのカップリング例のシーケンスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、独国特許出願公開第10325178号明細書に相当する従来技術の比例圧力制御弁を示している。弁は、ねじ込み式カートリッジの形式で形成された弁ハウジング10を有しており、前記弁ハウジング10は、ねじ込み区間12を介して、詳しく図示されない例えば弁ブロック3の形式の機械部分内へねじ込まれる。弁ブロック3との密閉結合のために、それに応じて弁ハウジング10は外周側にシールリング14を有しており、前記シールリングは付属の収容部内に取付けられている。弁ハウジング10は、図1を見る視線方向に上から下へ、タンク接続端Tのための半径方向孔5、利用接続端Aのための半径方向接続孔7及び油圧ポンプ16(図7を参照)用のポンプ接続端Pのための半径方向孔9を有している。さらに、ポンプ接続端Pを利用接続端Aに、及び利用接続端Aをタンク接続端Tに選択的に接続するために、制御ピストン18が弁ハウジング10の内部で長手方向に移動可能に案内される。
【0016】
ポンプ接続端Pと全体を符号22で示すパイロット弁のパイロット制御室20との間に流体を案内する接続を形成するために、制御ピストン18には、縦軸線26に対して同軸の接続通路24が設けられており、前記接続通路24は、その図1における下方の終端部分が、屈曲されてポンプ接続端Pの半径方向孔9へ通じており、その上方の終端部分は、流出システム15を介してパイロット制御室20と接続されている。流出システム15は絞り部を有しており、前記絞り部には、流体流れ方向においてその前段に保護フィルタが接続されており、後段にはいわゆるディフューザが接続されており、前記ディフューザは、主として絞り部から流出する方向付けされたオイルジェットを方向変換させるために用いられ、それによってオイルジェットが直接パイロット弁22の移動可能な閉鎖部分40へぶつかることはない。
【0017】
パイロット弁22は固定の弁体42を有しており、前記弁体42の中で内側の同軸の孔11が、一方ではパイロット制御室20へ向かって開放し、他方では開口端縁において、パイロット弁22の移動可能な閉鎖部分40のための弁座13を形成している。この閉鎖部分は、全体を符号28で示す、特に比例磁気装置の形式の磁気装置を介して駆動可能である。この磁気装置が通電されると、その作動プランジャ32が、図の下方へ移動され、その結果閉鎖部分40がばね装置17を介して、磁気装置28の通電の強さに依存する閉鎖力で弁座13に押し付けられ、それによってパイロット弁22が閉鎖される。
【0018】
比例磁気装置28が通電されないままだと、利用接続端Aから油圧媒体(オイル)が、タンク接続端Tへ流れることができる。従ってこの弁状態において、パイロット弁22は開放されており、制御ピストン18は、弁体42の下側に対するその上方の行程ストッパへ移動されている。この切替え位置において、オイルは、ポンプ接続端Pから制御ピストン18を通ってパイロット制御室20へ、そしてそこから開放されたパイロット弁22を介して分配室19へ流れ、前記分配室19から通路58を経由してタンク接続端Tへ流出する。この体積流量は、パイロット制御オイル流量または漏れと定義することができる。
【0019】
磁気装置28が通電された場合に、閉鎖部分40が弁座13を押圧し、そうすると体積流を遮断する。従ってパイロット制御室20は、油圧媒体で満たされ、それによってこの制御室内の圧力が上昇する。この上昇する圧力が、制御ピストン18の上の端面へ作用して、それを下方の行程ストッパ70の方向へ、特に圧縮する圧縮ばね64に抗して、移動させる。その場合にパイロット制御室20内の圧力は、調節された圧力に相当する。
【0020】
磁気装置28の通電によって、弁体42の弁座13における閉鎖部分40の閉鎖圧力がパイロット弁22を閉鎖した場合に、パイロット制御室20内の圧力は、次のような圧力値に、すなわち制御ピストン18が主ピストンばね64に抗して図中下方へ移動されて、負荷接続端Aがポンプ接続端Pと接続される位置が達成される圧力値に、上昇する。制御された圧力が達成されたときに、制御ピストン18は、ポンプ接続端Pと利用接続端Aとの間の接続が絞られるように摺動される。制御ピストン18は、2つの力水準が互いに均衡する位置へ移動し、このようにしてそれはポンプ接続端Pと利用接続端Aとの間に開放窓を形成する。従って、磁気装置28の電気的制御信号に直接関連する圧力が利用接続端Aに生じる。
【0021】
図2から4は、本発明に基づく比例圧力制御弁の第1の実施例を示している。図1の弁の部分に相当する部分は、図1におけるのと同一の参照番号で示されている。磁気装置28の図示されないプランジャが、パイロット制御ばね21を介してパイロット弁22の、球によって形成される閉鎖部分40へ作用する。図1に示す既知の解決法におけるように、閉鎖部分40は、固定の弁体42の内側の同軸の孔11の開口端縁に設けられた弁座13と協働する。弁体42の、弁座13とは逆の下側は、パイロット制御室20の固定の境界と制御ピストン18の上方の行程ストッパとを形成しており、前記制御ピストン18の上方の平坦なピストン面が、パイロット制御室20の移動可能な境界を形成する。弁体42の同軸の内側の孔11の内部空間は、減衰絞り部23を介してパイロット制御室20と流体接続されている。この絞り部23が、ポンプ接続端Pとパイロット制御室20との間の流体を案内する接続の終端部分を形成している。流体を案内する接続の主要部分は、弁ハウジング10の壁内に形成された軸方向孔27によって形成されており、前記軸方向孔27は、ポンプ接続端Pの半径方向孔9にその始端を有している。軸方向孔27は、ここから固定の弁体42の外周面へ通じており、そこで軸方向孔27は環状間隙29へ移行している。前記環状間隙29は、軸方向孔27の端部と半径方向の通路31との間の濾過間隙を形成し、前記半径方向の通路31は、弁体42内で制御オイル絞り部33を介して内側の軸方向孔11へ通じており、そこから流体接続は、減衰絞り部23を介してパイロット制御室20へ向かって完成される。
【0022】
図2は、磁気装置28が通電されず、それに対するパイロット弁22が閉鎖されていない、従ってパイロット制御室20内に流体圧力が構築されない切替え状態を示しており、というのも、流体を案内する接続27、29、31、33を介して供給される流体が、分配室19を介してタンク側へ流出可能だからである。それに対して、制御ピストン18は、ばね64の影響を受けて上方の終端位置にあり、そこで制御ピストン18は、上方の行程ストッパ、すなわち弁体42の下側に当接している。本発明に基づく弁において、タンク接続端Tとポンプ接続端Pのみは、半径方向孔5又は9によって形成されているが、利用接続端Aは、ハウジング10の同軸の終端側の開口部35によって形成されているので、図2に示す切替え位置において、利用接続端Aとタンク接続端Tは互いに、すなわち制御ピストン18が弁ハウジング10の開口部35の方向へ開放した内部空間を有するように、接続されており、その内部空間から流体がピストン18の壁内の通路37を介してタンク接続端Tへ流出することができる。
【0023】
図3と4は、磁気装置28の通電に依存する切替え状態を示している。その場合に、図3は、磁気装置28の通電によってばね21を介して閉鎖部分40が弁座13へ押し付けられているので、パイロット制御室20内に圧力が構築されて、それが制御ピストン18をその下方の行程ストッパ70へ移動させた切替え状態を示している。見てわかるように、このピストン位置においてポンプ接続端Pと利用接続端Aは互いに接続されており、その場合に、同様に図3から明らかなように、制御ピストン18の内部空間と半径方向孔9との間に大きい開放横断面が形成されているので、クラッチシリンダを作動させるために使用する場合に迅速な充填が達成される。
【0024】
利用接続端Aにおいて負荷、例えばクラッチシリンダの充填圧が達成され、それによってピストン18に力が作用した場合に、ピストンは図の上方へ移動されて(図4を参照)、ポンプ接続端Pから利用接続端Aへの接続が絞られるか、もしくは完全に遮断され、あるいは同様に図4に示すように、利用接続端Aとタンク接続端Tが互いに接続され、その場合にピストンが力均衡するピストン位置が生じる。図示の弁構造は、高い推進力と低い圧力損失を特徴としており、その結果としてクラッチを作動するために使用した場合に、クラッチのオイルによる迅速な充填と迅速な排出が保証される。従って本発明は、磁気装置28が通電されない状態において利用接続端Aが完全に除荷されるので、この種の用途に特によく適している。
【0025】
本発明に基づく弁の第2の異なる実施例が図5と6に示されている。最初に説明した図2から4の例においては、弁はある程度の漏れを有している。というのも、ほぼ各駆動状態において、制御オイル流が絶えずタンクへ流出するからである。制御オイル絞り部33がこの漏れを小さい値に抑えるが、それでも漏れ損失を減少させることは有意義である。図5と6の実施例においては、この目的のために、パイロット制御は、ばねで付勢された閉鎖部分を有するシート弁の代わりに、直接制御される圧力制御器がパイロット制御へ統合されるように構成されている。その場合に流体を案内する接続は、上述した実施例におけるのと同様に、始端部分において、弁ハウジング10の壁内に形成された軸方向孔27によって構成され、前記軸方向孔27が固定の弁体42の周方向の環状間隙29を経由し、かつその中にある半径方向通路31を経由して、弁体42内の内側の同軸の孔11へ通じる。内側の孔11の内部で、弁ピストン38が長手方向に摺動可能に案内されており、前記弁ピストン38は、復帰ばね39を介して力結合で磁気装置28のプランジャ32に保持されており、磁気装置28が通電されたときに、図中下方へ摺動することができる。弁ピストン38は、パイロット制御室20へ向かって開放した孔41及びそれと接続された周側の制御エッジ43、44を有しているので、それぞれ弁ピストン38の軸方向位置に応じて、半径方向の通路31及びそれに伴ってポンプ接続端Pへ流体を案内する接続が、パイロット制御室20と接続されるか、あるいは遮断される。半径方向の通路31が遮断される位置において、パイロット制御室20は、軸方向のピストン孔41と制御エッジ44とを介して分配室19及びそれに伴ってタンクへ向かって開放される。ポンプ接続端Pからタンク接続端Tへの直接的な接続は、どの駆動状態においても存在せず、従って弁は、流出するパイロット制御オイルに起因する付加的な損失なしで作動する。従って漏れは、2つのピストンの周面の環状間隙に生じるスライダー漏れに低減される。
【0026】
本発明に基づく比例圧力制御弁は、クラッチ用途のために特に好ましいものである。そのような用途では、主な要求は、クラッチのオイルによる迅速な充填プロセスと迅速な排出を保証することができるようにするために、高い推進力と低い圧力損失を求めることである。これは、本発明に基づく弁構造によって容易に達成され、その場合にさらに、本発明に基づく弁は、完全に除荷されることができ、すなわち磁気装置28における電気的な制御信号が取り去られた場合に、利用接続端Aにおける制御された圧力は、0バールの圧力値にされる。そうでない従来型のパイロット制御される圧力弁においては、そのような主段階(制御ピストン)は、弾装された圧縮ばねによってその終端位置へ復帰移動されるので、磁気装置に電気的な制御信号が存在しない場合の圧力水準を既知の弁は常に有し、前記圧力水準は弾装されたばねの力に相当する。その場合に後者は、油圧で作動するクラッチを切り離す際に問題をもたらす。
【0027】
このことを明らかにするために、図7と8を参照しながら、本発明に基づく比例圧力制御弁の利用を油圧で作動するクラッチにおいて詳細に説明し、その場合に図7の表示に示すように、比例圧力制御弁は、クラッチ部分72、74、76と油圧ポンプ16との間に接続されている。
【0028】
クラッチは、特に2本の軸、例えば作業機械の軸とトランスミッション軸とを結合するために用いられる。このような油圧クラッチにおいて、本発明に基づく比例圧力制御弁の作動によって、シリンダ室72が、圧力導管ないし油圧ポンプ16の圧力接続端Pに接続される。その場合にばねで付勢されたピストン74が、詳しく図示されないクラッチのディスク群を圧縮する。その後、比例圧力弁の切替えによってシリンダ室72が空になって、圧縮ばね装置76が、図7の表示に従ってピストン74をその初期位置へ押し戻す。その場合に残っている油圧媒体が利用接続端Aを介してタンクTの方向へ押し出される。
【0029】
図8に基づく表示は、クラッチの作用のシーケンスを示している。まず、クラッチは、オイル(油圧媒体)によって迅速に満たされなければならない。これは、t1からt2までの時間間隔で行われ、その場合にピストン74は、まさにそれによってクラッチのディスク群の圧縮を開始する。このプロセスは、短時間の極めて大きな体積流量を伴う。その後、この状態がt2からt3までの時間間隔で維持されて、t3からt4までの時間間隔において、本発明に基づく比例圧力制御弁によって圧力がゆっくりと線形に増大されることにより、徐々に「立ち上げられる」ので、そのようにして作業機械からの力が均一にトランスミッションラインへ伝達される。時点t5において、磁気装置28に電気的な制御信号を戻すことによってクラッチ内の圧力が取り除かれるので、圧縮されていたディスク群が、圧縮ばね装置76の付加的な作用を受けてピストン74を再びその初期位置へ押し戻すことができ、それは、このような切替え位置においてすでに説明したように、接続端Aにおける圧力値が値0を有するので、容易に可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ハウジング(10)を有する比例圧力制御弁であって、前記弁ハウジングが、特にポンプ接続端(P)、利用接続端(A)及びタンク接続端(T)の形式の、少なくとも3つの流体を案内する接続端を有し、ポンプ接続端(P)を利用接続端(A)に、及び利用接続端(A)をタンク接続端(T)に選択的に接続するために、制御ピストン(18)が弁ハウジング(10)の内部で長手方向に移動可能に案内され、ポンプ接続端(P)とパイロット弁(22)のパイロット制御室(20)との間に流体を案内する接続が存在しており、かつパイロット弁(22)が、磁気装置、特に比例磁気装置(28)によって駆動可能である、比例圧力制御弁において、
前記パイロット制御室(20)へ流体を案内する前記接続が、弁ハウジング(10)の壁の内部で軸方向に延びる孔(27)を有しており、前記孔(27)がハウジング(10)のポンプ接続端(P)を形成する半径方向孔(9)から出発していることを特徴とする比例圧力制御弁。
【請求項2】
利用接続端(A)が、弁ハウジング(10)の同軸の終端側の開口部(35)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の比例圧力制御弁。
【請求項3】
制御ピストン(18)が、パイロット制御室(20)の移動可能な境界として、一つの半径方向平面内に位置する、閉じた平坦なピストン面を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の比例圧力制御弁。
【請求項4】
弁ハウジング(10)内に固定的に配置された、パイロット弁(22)の弁体(42)が、パイロット制御室(20)の他の固定の境界と、前記パイロット制御室(20)へ流体を案内する前記接続の、ポンプ接続端(P)から離れた終端部分とを形成していることを特徴とする請求項3に記載の比例圧力制御弁。
【請求項5】
前記流体を案内する接続の前記終端部分が、半径方向の通路(31)を有し、前記半径方向の通路(31)が弁体(42)の内側の同軸の孔(11)と環状間隙(29)との間に延びており、前記環状間隙(29)が、弁体(42)の周面と弁ハウジング(10)との間に濾過間隙を形成し、前記濾過間隙の中へ、弁ハウジング(10)の軸方向の孔(27)の端部が開口していることを特徴とする請求項4に記載の比例圧力制御弁。
【請求項6】
弁ハウジング(10)内に分配室(19)が存在しており、前記分配室(19)は、弁体(42)の、パイロット制御室(20)とは逆の弁体(42)の端部に隣接し、タンク接続端(T)と接続されており、かつパイロット弁(22)を貫流する流体を収容することを特徴とする請求項4または5に記載の比例圧力制御弁。
【請求項7】
前記弁体の内側の孔(11)の、パイロット制御室(20)とは逆の端縁に、移動可能な閉鎖部材(40)のための座(13)が形成されており、前記閉鎖部材(40)がパイロット制御ばね(21)によって座(13)に当接するように付勢されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の比例圧力制御弁。
【請求項8】
前記弁体(42)の半径方向の通路(31)が、絞り部(33)を介して内側の同軸の孔(11)内へ連通していることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の比例圧力制御弁。
【請求項9】
前記弁体(42)の同軸の内側の孔(11)が、減衰絞り部(23)を介してパイロット制御室(20)に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の比例圧力制御弁。
【請求項10】
弁体(42)の内側の軸方向の孔(11)内で、パイロット制御ピストン(38)が、軸方向に摺動可能であって、パイロット制御室(20)のための調節可能な圧力制御器を形成していることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の比例圧力制御弁。
【請求項11】
特にばね(64)の形式のエネルギ蓄積機構が、制御ピストン(18)の、パイロット制御室(20)とは逆の端部に作用し、かつ制御ピストン(18)をパイロット制御室(20)の方向へ摺動させようとすることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の比例圧力制御弁。
【請求項12】
油圧作動可能なクラッチのための、請求項1から11のいずれか一項に記載の比例圧力制御弁の利用方法であって、ディスク群を圧縮するために、前記クラッチのシリンダ室(72)が弁を介して油圧ポンプ(16)と接続される、比例圧力制御弁の利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−516481(P2012−516481A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546602(P2011−546602)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007882
【国際公開番号】WO2010/085991
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500580909)ハイダック フルイドテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】