説明

水処理装置および水処理方法

【課題】有機フッ素化合物等の難分解性の化合物を経済的かつ高効率で無害化できる水処理装置および水処理方法を提供する。
【解決手段】この水処理装置では、ナノバブルの酸化力を利用して、前段分解部水槽42での第1ナノバブル発生機2によるナノバブル処理と後段分解部水槽43での第2ナノバブル発生機86によるナノバブル処理との2段階のナノバブル処理でもって、流入水中の有機フッ素化合物を分解し分解物をガス化でき、活性炭76〜78で吸着,除去できる。また、上記有機フッ素化合物をナノバブルの酸化力を利用して分解した分解物としてのガスをファン17による送風でもって水面25から常時除去することにより上記分解をより効率的にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、難分解性の有機あるいは無機化合物を含有した水(一例としてPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)等の難分解性有機フッ素化合物を含有した水)を処理する水処理装置および水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、PFOS、PFOA等の難分解性有機フッ素化合物含有水の処理方法としては、(1)燃料を消費し地球温暖化を助長することとなる燃焼方式、(2)高圧の超臨界方式が存在していた。この従来技術は、有機フッ素化合物濃度が高濃度で排水量が少ない場合が適合する。具体的排水量は、多くて1日数トンの場合が適合する。
【0003】
これに対して、半導体工場から排出される有機フッ素化合物含有排水中の有機フッ素化合物濃度はppbレベルで濃度が低く、かつ排水量が1日あたり数十トンから数百トンであり排水量が多い。
【0004】
また、用水処理においても、河川水や湖水の有機フッ素化合物濃度は、排水の場合よりもさらに低く、かつ水量もさらに多いのが現実である。
【0005】
そして、ダイオキシン同様、国際的に有機フッ素化合物としてのパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)の環境汚染が問題化しつつある。
【0006】
有機フッ素化合物は化学的に安定な水溶性の物質である。特に、上記有機フッ素化合物は、耐熱性および耐薬品性の観点から優れた性質を有することから、各種界面活性剤、半導体製造における反射防止膜等産業用材料として広く用いられている。
【0007】
しかしながら、上記有機フッ素化合物は、化学的に安定な物質であるが故に微生物分解が困難である。よって、微生物分解がしにくい故、環境中に放出されると環境中に長く存在するため、環境汚染の問題となっている。例えば、上記有機フッ素化合物としてのパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、生態系での分解が進まないことから生態系への影響が懸念されている。すなわち、上記パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、化学的に安定なため、確実に熱分解させるためには、約1000℃以上の高温を必要とする。
【0008】
一方、このPFOSやPFOAは、従来の微生物や従来の光触媒等による処理では分解が極めて困難なのである。
【0009】
ところで、従来技術としてのナノバブルの利用方法および装置が、特許文献1(特開2004−121962号公報)に記載されている。この従来技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることを開示している。
【0010】
また、別の従来技術として、ナノ気泡の生成方法が、特許文献2(特開2003−334548号公報)に記載されている。この従来技術は、液体中において、(1)液体の一部を分解ガス化する工程、(2)液体中で超音波を印加する工程、または(3)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程から構成されていることを開示している。
【0011】
また、もう1つの従来技術として、オゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置が、特許文献3(特開2004−321959号公報)に記載されている。この従来技術は、マイクロバブル発生装置にオゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液を加圧ポンプを介して供給している。また、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することを開示している。
【0012】
ところで、各工場から排出される有機フッ素化合物含有排水や河川水、湖水中の有機フッ素化合物濃度は、低く、多量に存在している。
【0013】
上述の如く、従来技術として、(1)燃料を消費し地球温暖化を助長する燃焼処理方式、(2)高圧の超臨界方式の処理技術が存在しているが、それらは、有機フッ素化合物濃度が、高濃度で水量が少ない事例に対応する方式で、これらの従来技術で処理した場合、ランニングコストを低く抑えることができず、経済的に処理できない課題がある。また、これらの従来技術としての(1)燃料を消費し地球温暖化を助長する燃焼方式、(2)高圧の超臨界方式では、建設費が高い課題がある。
【0014】
また、排水処理や用水処理において、上記(1)、(2)と異なる活性炭吸着方式も存在するが、活性炭は、被処理水に有機物が存在すれば、全ての有機物を吸着して、破過し、活性炭を頻繁に取り替える必要がある課題もあった。すなわち、活性炭の交換に関係するランニングコストが高い課題がある。
【0015】
また、一般的知見であるが、有機フッ素化合物における化学構造式である炭素とフッ素の結合は、安定しているが故に強酸の中でも分解しないため、環境中に放出されて、世界中を巡り果てには、世界中のあらゆる生物に濃縮してきた。例えば、北極熊、アザラシ、鯨からも有機フッ素化合物が検出されて、国際的環境汚染として、問題となっている。
【0016】
このように、国際的な環境問題である有機フッ素化合物の人間を含めた生物濃縮を回避すべく、有機フッ素化合物等の難分解性の化合物を経済的、高効率で無害化できる処理技術が存在しない課題がある。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2003−334548号公報
【特許文献3】特開2004−321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、この発明の課題は、有機フッ素化合物等の難分解性の化合物を経済的かつ高効率で無害化できる水処理装置および水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、この発明の水処理装置は、難分解性化合物含有水が導入される水槽と、
上記水槽内の難分解性化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式のナノバブル発生機と、
上記水槽において上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力でもって分解されてガス化された上記難分解性化合物の分解物を除去するガス除去部とを備えることを特徴としている。
【0019】
この発明の水処理装置によれば、水槽に導入された難分解性化合物含有水に、気液混合気体せん断方式のナノバブル発生機からナノバブルを吐出させることで、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、難分解性化合物の強固な結合を分解し、低分子した分解物をガス化して除去できる。
【0020】
また、一実施形態の水処理装置は、上記難分解性化合物が有機化合物である。
【0021】
この実施形態の水処理装置によれば、ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、難分解性有機化合物の強固な結合を分解し、低分子した分解物をガス化して除去することができる。
【0022】
また、一実施形態の水処理装置は、上記難分解性化合物が有機フッ素化合物であり、
上記有機フッ素化合物含有水が導入される前段部水槽と、
上記前段部水槽内の有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式の第1のナノバブル発生機と、
上記前段部水槽からの処理水が導入される後段部水槽と、
上記後段部水槽内の有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式の第2のナノバブル発生機と、
上記後段部水槽において上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力でもって分解された上記有機フッ素化合物のガス化した分解物を吸着,除去するガス除去部とを備える。
【0023】
この実施形態の水処理装置によれば、上記前段部水槽と後段部水槽の2段階のナノバブル処理でもって、炭素とフッ素が強固に結合している有機フッ素化合物含有水中の有機フッ素化合物を確実に分解して吸着,除去できる。
【0024】
また、一実施形態の水処理装置は、上記有機フッ素化合物含有水は、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)またはPFOA(パーフルオロオクタン酸)の少なくとも一方を含有している。
【0025】
この実施形態の水処理装置によれば、炭素とフッ素が強固に結合しているPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)等の難分解性有機フッ素化合物を分解して無害化できる。
【0026】
また、一実施形態の水処理装置では、上記ナノバブル発生機は、3段階の気液混合気体せん断部を有する。
【0027】
この実施形態の水処理装置によれば、上記ナノバブル発生機が3段階の気液混合気体せん断部から構成されているので、マイクロバブルをさらにせん断して、多量のナノバブルを製造できる。
【0028】
また、一実施形態の水処理装置では、上記前段部水槽の上に配置されていると共に上記前段部水槽からのナノバブルが導入されてカルシウムイオンを上記前段部水槽に滴下させるカルシウムイオン溶出部と、
上記前段部水槽から処理水が導入されると共に上記処理水を上記後段部水槽に導入する沈澱槽と、
上記後段部水槽の上に配置されていると共に上記ナノバブルにより有機フッ素化合物を分解することによって発生するガスを吸着剤により吸着処理するガス吸着部とを備えた。
【0029】
この実施形態の水処理装置によれば、上記前段部水槽にてナノバブルにより分解した分解物に含まれるフッ素イオンや硫酸イオンに、上記カルシウムイオン溶出部から滴下させたカルシウムイオンを反応させてフッ化カルシウム,硫酸カルシウムとして次の沈澱槽に沈澱させて除去できる。また、上記後段部水槽でナノバブルにより分解しガス化した低分子の分解物をガス吸着部で吸着,除去できる。
【0030】
また、一実施形態の水処理装置では、上記前段部水槽と上記カルシウムイオン溶出部との間に空気を供給する空気供給部を備えた。
【0031】
この実施形態の水処理装置によれば、上記空気供給部から上記前段部水槽と上記カルシウムイオン溶出部との間に空気を供給することで、上記前段部水槽の液面付近に発生した飽和蒸気(分解により発生するガスによる飽和蒸気)に常時新鮮な空気を供給して飽和状態をなくすることができる。これによって、上記ナノバブルによる分解を促進できる。
【0032】
また、一実施形態の水処理装置では、上記ガス吸着部の吸着剤が活性炭である。
【0033】
この実施形態の水処理装置によれば、上記後段部水槽でナノバブルによる分解で発生したガスを上記吸着剤としての活性炭で効率よく吸着処理できる。
【0034】
また、一実施形態の水処理装置では、上記ナノバブル発生機は、
電動ニードルバルブにより気体を導入可能な第1気体せん断部を有する気液混合循環ポンプと、
上記第1気体せん断部からマイクロバブルが導入される第2気体せん断部と、
上記第2気体せん断部からナノバブルが導入される第3気体せん断部とを有する。
【0035】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部で製造したマイクロバブルの一部を上記第2気体せん断部でナノバブルにでき、最終的に第3気体せん断部でナノバブルを多量に製造できる。
【0036】
また、一実施形態の水処理装置では、上記電動ニードルバルブから上記第1気体せん断部に1.2リットル/分以下で空気を導入する。
【0037】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部に導入する空気量を1.2リットル/分以下とすることで、結果的に第3気体せん断部から多量のナノバブルを製造できる。なお、上記第1気体せん断部に導入する空気量が1.2リットル/分を超えると、結果的に第3気体せん断部から吐出するマイクロバブルの割合が増加する。
【0038】
また、一実施形態の水処理装置では、上記第1気体せん断部は、形状が楕円形もしくは真円形で、かつ内部に2本以上の溝が形成されている。
【0039】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部による空気のせん断を合理的にしかも安定的に行えて、マイクロバブルを多量に製造できる。
【0040】
また、一実施形態の水処理装置では、上記溝の深さが、0.3mm〜0.6mm、溝幅が0.8mm以内である。
【0041】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部による空気のせん断を合理的にしかも安定的に行えて、マイクロバブルを多量に製造できる。
【0042】
また、一実施形態の水処理装置では、上記気液混合循環ポンプは、吐出配管の内径が吸い込み配管の内径よりも小さい。
【0043】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部による空気のせん断を合理的にしかも安定的に行えて、マイクロバブルを多量に製造できる。
【0044】
また、一実施形態の水処理装置では、上記気液混合循環ポンプは、上記気液混合循環ポンプのポンプ出力が最大値に達した時点以降に、気体取り込みを開始する。
【0045】
この実施形態の水処理装置によれば、上記気液混合循環ポンプのキャビテーションによる損傷を防ぐことができる。すなわち、気体(空気)が液体中に存在する状態でポンプを運転するとキャビテーションを起こし、ポンプの損傷が発生することがある。
【0046】
また、一実施形態の水処理装置では、上記気液混合循環ポンプは、運転開始から60秒以上経過してから気体取り込みを開始する。
【0047】
この実施形態の水処理装置によれば、運転開始から60秒以上経過してから気体取り込みを開始することで、上記気液混合循環ポンプのキャビテーションによる損傷を防ぐことができる。
【0048】
また、一実施形態の水処理装置では、上記電動ニードルバルブから上記第1気体せん断部へ気体を流入させる気体流入管は、上記第1気体せん断部のマイクロバブル発生部側面に対する入射角が18°となるように配置されている。
【0049】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部による空気のせん断を合理的にしかも安定的に行えて、マイクロバブルを多量に製造できる。
【0050】
また、一実施形態の水処理装置では、上記第1気体せん断部を構成する材料の厚さを6mmから12mmとした。
【0051】
この実施形態の水処理装置によれば、上記第1気体せん断部の材料厚さを6mmから12mmとすることで、運動エネルギーを外部に逃がさないようにし、その結果として、空気のせん断を合理的にしかも安定的に行えてマイクロバブルを多量に製造できる。
【0052】
また、一実施形態の水処理装置では、上記ナノバブル発生機に供給する気体をオゾンとした。
【0053】
この実施形態の水処理装置によれば、上記ナノバブル発生機に供給する気体がオゾンであるからオゾンナノバブルを製造できて、難分解性有機フッ素化合物を強力な酸化作用で酸化分解できる。
【0054】
また、一実施形態の水処理装置では、上記ナノバブル発生機に供給する気体を酸素ガスとした。
【0055】
この実施形態の水処理装置によれば、上記ナノバブル発生機が、空気よりも酸化力がある酸素ガスによるナノバブルを発生させ、酸素ガスナノバブルでもって難分解性有機フッ素化合物を酸化作用で酸化分解できる。
【0056】
また、一実施形態の水処理方法では、難分解性化合物含有水にナノバブルを吐出させて混合し、
上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記難分解性化合物の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去する。
【0057】
この実施形態の水処理方法によれば、ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、難分解性化合物の強固な結合を分解し、低分子した分解物をガス化して除去できる。
【0058】
また、一実施形態の水処理方法では、上記難分解性化合物が有機化合物である。
【0059】
この実施形態の水処理方法によれば、ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、難分解性有機化合物の強固な結合を分解し、低分子した分解物をガス化して除去できる。
【0060】
また、一実施形態の水処理方法では、上記難分解性化合物が有機フッ素化合物であり、
上記有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出させて混合し、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記有機フッ素化合物の炭素とフッ素の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去する第1の処理と、
上記第1の処理後の処理水にナノバブルを吐出させて混合し、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記有機フッ素化合物の炭素とフッ素の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去する第2の処理とを行う。
【0061】
この実施形態の水処理方法によれば、上記第1,第2の2段階のナノバブルによる分解処理でもって、炭素とフッ素が強固に結合している有機フッ素化合物含有水中の有機フッ素化合物を分解して無害化できる。
【0062】
また、一実施形態の水処理方法では、上記第1の処理において、上記分解物の硫酸イオンをカルシウムイオンと反応させて除去する。
【0063】
この実施形態の水処理方法によれば、上記分解物の硫酸イオンをカルシウムイオンと反応させて、硫酸カルシウムとして除去できる。
【0064】
また、一実施形態の水処理方法では、炭酸カルシウム鉱物にナノバブルを含む水滴を滴下させて、上記カルシウムイオンを溶出させる。
【0065】
この実施形態の水処理方法によれば、ナノバブルの酸化力で炭酸カルシウム鉱物からカルシウムイオンを微量溶出させて利用できる。
【0066】
また、一実施形態の水処理方法では、上記炭酸カルシウム鉱物にナノバブルを含む水滴を滴下させて、この炭酸カルシウム鉱物の表面上で、ガス化した低分子有機フッ素化合物をさらに低分子に分解する。
【0067】
この実施形態の水処理方法によれば、PFC(パーフルオロカーボン)等の低分子有機フッ素化合物をさらに上記炭酸カルシウム鉱物表面上で低分子に分解し無害化できる。
【0068】
また、一実施形態の水処理方法では、上記炭酸カルシウム鉱物から溶出したカルシウムイオンと、上記低分子有機フッ素化合物が分解して生成したフッ素イオンとを反応させて、フッ化カルシウムの沈澱物とする。
【0069】
この実施形態の水処理方法によれば、上記低分子有機フッ素化合物が分解して生成されるフッ素イオンを上記炭酸カルシウム鉱物から溶出したカルシウムイオンと反応させて、フッ化カルシウムの沈澱物として無害化できる。
【0070】
また、一実施形態の水処理方法では、上記炭酸カルシウム鉱物から溶出したカルシウムイオンと、上記低分子有機フッ素化合物がナノバブルの存在下で分解して生成したフッ素イオンとを反応させて、フッ化カルシウムのフロックを作り、このフッ化カルシウムのフロックを沈澱槽に沈澱させる。
【0071】
この実施形態の水処理方法によれば、上記低分子有機フッ素化合物をナノバブルの存在下で分解することによって生成されるフッ素イオンを上記カルシウムイオンと反応させて、フッ化カルシウムのフロックを作り、沈殿槽にて沈澱物として、無害化処理できる。
【発明の効果】
【0072】
この発明の水処理装置によれば、水槽に導入された難分解性化合物含有水に、気液混合気体せん断方式のナノバブル発生機からナノバブルを吐出させることで、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、難分解性化合物の強固な結合を分解し、低分子した分解物をガス化して除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0074】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の水処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【0075】
図1において、符号1は、流入配管であり、有機フッ素化合物含有水が流入配管1を通って前段分解部水槽42に流入する。この有機フッ素化合物含有水としては、各工場より排水される有機フッ素化合物含有排水と、有機フッ素化合物を微量含有している一般河川水や一般湖水の水等が該当する。
【0076】
この第1実施形態の水処理装置が備えるナノバブル処理装置3は、大略、ナノバブル処理装置3の上部をなすカルシウムイオン溶出部21、分解物ガス吸着部66と下部の前段分解部水槽42、後段分解部水槽43から構成されている。
【0077】
そして、流入水がポンプ等で圧送されてくる場合、前段分解部水槽42内において水流15を発生し、この水流15は、第1ナノバブル発生機2から吐出するナノバブル流13と合流し、前段分解部水槽42の下部に傾斜壁40が設置されていることより、前段分解部水槽42内を撹拌する水の流れとなる。
【0078】
上記ナノバブル処理装置3の下部をなす前段分解部水槽42と後段分解部水槽43の外部には、第1ナノバブル発生機2と第2ナノバブル発生機86が設置されている。また、ナノバブル処理装置3の上部をなすカルシウムイオン溶出部21の下部には、新鮮空気を常時取り入れるためのファン17が設置されている。
【0079】
そして、カルシウムイオン溶出部21には、カルシウムイオンの供給源としての炭酸カルシウム鉱物が、下部炭酸カルシウム鉱物32、中間部炭酸カルシウム鉱物33、上部炭酸カルシウム鉱物34として、3段に充填されている。また、それら炭酸カルシウム鉱物32、33、34を取り出したり、入れたりする上部取出口24、中間部取出口23、下部取出口22が、上部カルシウムイオン溶出部21に設置されている。また、下部炭酸カルシウム鉱物32、中間部炭酸カルシウム鉱物33、上部炭酸カルシウム鉱物34は、それぞれの収容容器である下部収容容器29、中間部収容容器30、上部収容容器31に収容される。また、それら収容容器29、30、31は、下部固定穴あき台26、中間部穴あき台27、上部穴あき台28の上にそれぞれ設置されている。
【0080】
各収容容器29〜31と穴あき台26〜28には、無数の穴が開いているので、1次分解物ガス38と新鮮空気流39との混合ガスは、スムーズにカルシウムイオン溶出部21内を上昇して、ダクト47内に導入されることになる。そして、1次分解物ガス38となって、分解ガス吸着部66に導入される。
【0081】
また、カルシウムイオン溶出部21の上部には、散水ノズル45が取り付けられた散水水配管46が設置され、後段分解部水槽43のナノバブルを含む洗浄水を散水ポンプ80を運転することによって、カルシウムイオン溶出部21内にナノバブル含有水滴82として散水している。なお、散水水配管46の端部はフランジ44で溶出部21内に固定されている。
【0082】
ナノバブルは、特徴として酸化力と洗浄力を有しているので、カルシウムイオン溶出部21内に3段に設置充填された炭酸カルシウム鉱物32,33,34からカルシウムイオンを溶出させて、前段分解部水槽42内に滴下させる。このカルシウムイオンは、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)が分解することによって発生する硫酸イオンと反応して硫酸カルシウムフロック53を形成する。この前段分解部水槽42内で形成された硫酸カルシウムフロック53は、水流65と共に仕切板50から沈澱槽51に流入し、上澄液と沈澱物とが固液分離され、上澄液は、後段分解部水槽43に流入する。
【0083】
一方、硫酸カルシウムフロック53は、その比重により、また沈澱槽傾斜壁64の傾斜により、沈澱槽51の下部に沈澱して、一定時間後、排水バルブ52を開けることにより、系外に排水される。
【0084】
一方、ナノバブルは、特徴として酸化力と洗浄力を有しているので、低分子の有機フッ素化合物としてのPFC(パーフルオロカーボン)をさらに分解して、一部フッ素イオンまで分解する。このフッ素イオンは、溶出したカルシウムイオンと反応して、フッ化カルシウムの沈澱物を形成することになる。これにより、PFCの処理も可能となる。
【0085】
上記形成されたフッ化カルシウムの沈澱物は、沈澱槽51で沈澱し、上記硫酸カルシウムの沈殿物と同様、排水バルブ52より排水される。沈澱槽51では、固液分離がなされ、硫酸カルシウムやフッ化カルシウムが除去された上澄液としての被処理水は、後段分解部水槽43に流入する。この後段分解部水槽43には、第2ナノバブル発生機86が設置されている。この第2ナノバブル発生機86は、被処理水にナノバブルを吐出してナノバブル含有水としている。
【0086】
次に、さらに前段分解部水槽42と後段分解部水槽43での処理状況を詳細に説明する。前段分解部水槽42に導入された有機フッ素化合物含有水中のPFOS、PFOA等は、第1ナノバブル発生機2から吐出するナノバブルによって、酸化分解される。このPFOS、PFOA等は化学的に安定な物質であり、その構造からして炭素とフッ素の構造は、従来の方法では、分解できない化合物と考えられていた。
【0087】
しかし、ナノバブルが生成するラジカルによる酸化作用により、時間をかければ、ナノバブルで分解することが判明した。ラジカルは、通常、反応性が高いために、生成するとすぐに他の原子や分子との間で酸化反応を起こし、安定な分子やイオンになる。
【0088】
次に、第1ナノバブル発生機2のメカニズムを詳細に説明する。
【0089】
第1ナノバブル発生機2は、気液混合循環ポンプ5、第1気体せん断部6、第2気体せん断部8、第3気体せん断部12、電動ニードルバルブ11とそれらを連結する配管7,9,10および吸込配管4から構成されている。ナノバブルは、大きくは、第1段階と第2段階を経て、第3段階で製造される。
【0090】
この第1段階について、簡単に説明する。第1気体せん断部6において、流体力学的に圧力を制御し、負圧形成部分から気体を吸入し、高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させる。より解り易く簡単に説明すると、水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水を製造することが、第1段階である。
【0091】
続いて、第2段階について、簡単に説明する。第2気体せん断部8と第3気体せん断部12において、高速流体運動させて負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させる。また、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12に、第1気体せん断部6から水配管7を通じてマイクロバブル白濁水導入し、流体運動としてせん断することによって、マイクロバブルからナノバブルを発生させることになる。
【0092】
さらに、上記第1段階と第2段階をより詳細に説明する。
【0093】
(第1段階)
第1ナノバブル発生機2に使用している気液混合循環ポンプ5は、揚程40m以上(すなわち4kg/cmの高圧)の高揚程のポンプである。ここでは、第1気体せん断部6を有する気液混合循環ポンプ5は高揚程のポンプであり、かつトルクが安定している2ポールのものを選定することが必要である。ポンプには、2ポールのものと4ポールのものがあり、2ポールのポンプの方がトルクは安定している。
【0094】
また、気液混合循環ポンプ5は圧力の制御が必要で、この高揚程のポンプの回転数を回転数制御器(一般的にはインバーターと呼ばれている)で目的にあった圧力としている。この目的にあった圧力とすることで、バブルサイズが纏まったマイクロバブルを製造できる。
【0095】
ここで、第1気体せん断部6を有する気液混合循環ポンプ5のマイクロバブル発生のメカニズムを説明する。この第1気体せん断部6においてマイクロバブルを発生させるために、液体および気体の混相旋回流を発生させ、第1気体せん断部6の中心部に高速旋回させる気体空洞部を形成させる。次に、この空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この空洞部に気体としての空気を、マイナス圧(負圧)を利用して自動的に供給させ、さらに、切断,粉砕しながら混相流を回転させる。なお、上記気体に替えて、オゾン、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガスとする場合もあるが、本発明では、単に空気とした。なお、目的によって、他の気体を選定する場合がある。
【0096】
上記空気の切断,粉砕は、装置出口付近における内,外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。その時の回転速度は、500〜600回転/秒である。すなわち、第1気体せん断部6において、流体力学的に圧力を制御することで、負圧形成部分から気体を吸入し、高揚程ポンプで高速流体運動させて、負圧部を形成し、有用物質含有マイクロバブルを発生させる。より解り易く簡単に説明すると、高揚程ポンプで水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水を製造することが、第1段階である。
【0097】
なお、気液混合循環ポンプ5の運転はシーケンサー(図示せず)からの信号により設定,制御している。また、第1気体せん断部6の内部形状は、一例として楕円形であるが、最大の効果が出る形状は真円形であり、更に内部摩擦を小さくするためにここでは鏡面仕上げとしている。また、第1気体せん断部6の内部に流体の旋回乱流を制御するために溝深さ0.3mm〜0.6mm、溝幅0.8mm以内の溝を設けている。
【0098】
(第2段階)
次に、第1ナノバブル発生機2での第2段階を説明する。この第2段階では、第1気体せん断部6を有する気液混合循環ポンプ5で発生させたマイクロバブルを、第2気体せん断部8に水配管を通じて圧送する。この際、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12においては、前述の第1段階の後、さらに配管サイズを細くし、高速流体運動させて、気体空洞部を竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。これにより、マイクロバブルからナノバブルが発生すると同時に、超高温の極限反応場が形成される。ここで、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12を構成している理由は、ナノバブル量をより多く発生させるためには1段階の気体せん断部を構成するよりも、3段階の気体せん断部を構成する方がナノバブル発生量を多量にすることができるからである。
【0099】
上述した超高温の極限反応場が形成されると、局部的に高温高圧状態となり、不安定なフリーラジカル(別名ラジカル)ができ、酸化作用を示すと同時に熱を発生する。なお、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12はステンレス鋼製のものが一般であり、その形状は、楕円形、好ましくは真円形である。また、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12には小孔が開いているがその吐出口径は、4mm〜9mmが最適である。
【0100】
次に、上記した第1段階での高速流体運動について説明する。すなわち、第1気体せん断部6において、マイクロバブルを発生させるために、まず「高速流体運動」として、ポンプのインペラと呼ばれている羽を超高速で回転させて、液体および気体の混相旋回流を発生させ、第1気体せん断部6の中心部に高速旋回させる気体空洞部を形成させる。次に、この空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この空洞部に気体としての空気(オゾン、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガスの場合もある。)を自給させる。さらに、切断,粉砕しながら混相流を回転する。この切断,粉砕は、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。上記回転速度は、500〜600回転/秒であることが判明している。
【0101】
また、第1気体せん断部6を構成する金属の厚みが薄いと、気液混合循環ポンプ5が運転されることにより、振動が発生し、流体運動エネルギーが振動として外部に伝播して逃げ、そのことが、必要な高速流動運動すなわち、高速旋回とせん断エネルギーを低下させる。このため、第1気体せん断部6を構成する金属の厚みは、6mm〜12mmの範囲が好ましい。
【0102】
次に、「流体運動としてせん断すること」について、説明する。すなわち、第1気体せん断部6を有する気液混合循環ポンプ5で発生させたマイクロバブルを、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12に水配管を通じて圧送する際、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12においては、第1段階後さらに、配管サイズを細くし、かつ高速流体運動させて、上記気体空洞部を竜巻状に細くしてより高速で旋回する回転せん断流を発生させる。
【0103】
次に、「負圧形成部分」について、説明する。この負圧形成部分とは、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により発生する。上記したように、回転速度は、500〜600回転/秒である。また、次に「負圧部」について説明する。「負圧部」とは、気体と液体の混合物中で、周りと比較して圧力が小さな領域を意味する。
【0104】
以上が、第1ナノバブル発生機2における動作のメカニズムである。なお、第2ナノバブル発生機86の動作メカニズムも第1ナノバブル発生機2の動作メカニズムと全く同様である。
【0105】
なお、上記第1ナノバブル発生機2を基本的に構成している気液混合循環ポンプ5、第1気体せん断部6、第2気体せん断部8と第3気体せん断部12のセットは、市販されているものを採用できるが、メーカーを限定するものではない。ここでは、具体的一例として、株式会社 協和機設の商品(具体的商品名 バビダスHYK型)を採用した。
【0106】
ここで、4種類のバブルについて説明する。
【0107】
(1) 通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。
【0108】
(2) マイクロバブルは、発生時において10〜数10ミクロン(μm)の気泡径を有し、発生後に収縮運動によりマイクロナノバブルになる。
【0109】
(3) マイクロナノバブルは、10μm〜数100nm前後の直径を有する気泡である。
【0110】
(4) ナノバブルは、数100nm以下の直径を有する気泡である。
【0111】
そして、次に、第1ナノバブル発生機2は、上記したように、前段分解部水槽42内にナノバブルを吐出させて、ナノバブル流13を形成する。形成されたナノバブル流13とポンプ等からの吐出水である水流15が合流して、大きな水流となって、前段分解部水槽42内を撹拌することになる。
【0112】
そして、前段分解部水槽42内が撹拌されることにより、被処理水中の有機フッ素化合物(PFOS、PFOA等)がナノバブルの酸化作用により、分解されて低分子の有機フッ素化合物(CF(CF)H等多数)になる。この低分子の有機フッ素化合物(CF(CF)H等多数)は、結果として、ガス化して分解部水槽42の水面25近くまで上昇する。
【0113】
また、前段分解部水槽42の水面25近くの気相の状態が飽和蒸気状態(気液両相が共存する状態や飽和蒸気が存在する状態)であれば、被処理水中の有機フッ素化合物(PFOS,PFOA等)はナノバブルが存在していても分解されにくくて低分子の有機フッ素化合物(CF(CF)H等多数)に変化しにくくなる現象が起る。この現象は、数度行なった実験により判明した。すなわち、分解物ガス38が発生しにくい状態となる。このことは、稀な現象であるが、実験で確認することができた。
【0114】
逆に、ファン17の稼動により、吸込み口16から吐出ダクト18とフランジ部19を経由して絶えず新鮮空気が導入されて、前段分解部水槽42の水面25近くの気相の状態が、前段分解部水槽42の水面25近くで飽和蒸気状態(気液両相が共存する状態)ではない状態(すなわち、新鮮空気で換気されている状態)であれば、分解物ガス38はよく発生する。つまり、被処理水中の有機フッ素化合物(PFOS、PFOA等)は、上記ナノバブルが存在する状態で酸化分解されて低分子の有機フッ素化合物(CF(CF)H等多数)に変化する。そして、このCF(CF)H等多数の低分子有機フッ素化合物は連続的にガス化して1次分解物ガス38となる。
【0115】
そして、また、炭酸カルシウム鉱物である上部炭酸カルシウム鉱物34、中間部炭酸カルシウム鉱物33、下部炭酸カルシウム鉱物32上においては、ナノバブルの存在下、低分子の有機フッ素化合物(CF(CF)H等多数)はナノバブルのラジカルによる酸化作用で酸化分解されて、一部フッ素イオンとなる。そして、このフッ素イオンは、炭酸カルシウム鉱物32,33,34から溶出するカルシウムイオンと反応して、フッ化カルシウムとなる。このフッ化カルシウムとなる現象は、前段分解部水槽42の水槽内でも起きる反応である。
【0116】
また、後段分解部水槽43には、第2ナノバブル発生機86が設置され、被処理水にナノバブルを吐出してナノバブル流63を形成すると共に、ナノバブル含有水を作製している。この第2ナノバブル発生機86は、前述の第1ナノバブル発生機2と同様の構造であり、気液混合循環ポンプ55、第1気体せん断部56、第2気体せん断部58、第3気体せん断部62、電動ニードルバルブ61とそれらを連結する配管57,59,60および吸込配管54から構成されている。
【0117】
次に、さらに後段分解部水槽43の状況を詳細に説明する。前段分解部水槽42から沈澱槽51を経て、後段分解部水槽43に導入された処理水に残存している有機フッ素化合物含有水中の微量PFOS、PFOA等は、第2ナノバブル発生機86から吐出するナノバブルによって、酸化分解される。このPFOS、PFOA等は化学的に安定な物質であり、その構造からして炭素とフッ素の構造は、従来の方法では、分解できない化合物と考えられていた。
【0118】
しかし、このような難分解性の化合物であってもナノバブルが生成するラジカルによる酸化作用により、時間をかければ、ナノバブルで分解することが可能であることが判明した。ラジカルは、通常反応性が高いために、生成するとすぐに他の原子や分子との間で酸化反応を起こし、安定な分子やイオンになる。よって、後段分解部水槽43で微量PFOS、PFOA等についても、第2ナノバブル発生機86より吐出するナノバブルによって、酸化分解され、2次分解物ガス85が発生する。この発生した2次分解物ガス85は、ダクト47より導入される1次分解物ガス38と合流して、下部固定穴あき台70、中間部固定穴あき台71、上部固定穴あき台72の上にそれぞれ設置されている下部活性炭収容容器73内の下部活性炭76、中間部活性炭収容容器74内の下部活性炭76、上部活性炭収容容器75内の上部活性炭78に3段階で吸着処理されることになる。そして、発生した2次分解物ガス85は確実に分解処理されて、排気煙突35から処理ガス84として排出される。
【0119】
このように、この実施形態によれば、有機フッ素化合物をナノバブルの酸化力を利用して、液中にて前段分解部水槽42と後段分解部水槽43の2段階で分解することで、有機フッ素化合物をより確実に分解できて、炭素数が少なくなった分解物をガス化できる。また、上記有機フッ素化合物をナノバブルの酸化力を利用して分解した分解物としてのガスをファン17による送風でもって液相(水面)表面から常時除去することにより上記分解をより効率的にすることができた。また、液相中の分解物としての硫酸イオンは、カルシウムイオンと反応させて硫酸カルシウムフロック53として沈澱,除去できると同時に、分解物としての各種ガスは活性炭76〜78に効率よく吸着して除去できる。また、この実施形態では、微量硫酸イオンの処理に際し、炭酸カルシウム鉱物32〜34にナノバブル含有水を散水ノズル45から散水して、炭酸カルシウム鉱物からカルシウムイオンを効率的に溶出させて、硫酸イオンとの反応に有効利用している。
【0120】
なお、上記したように下部活性炭76、中間部活性炭77、上部活性炭78は、それぞれの収容容器である下部活性炭収容容器73、中間部活性炭収容容器74、上部活性炭収容容器75に収容され設置されている。ここでは、下部活性炭76、中間部活性炭77、上部活性炭78の具体的一例として、クラレケミカル株式会社の球状活性炭クラレコール(商品名)を採用した。
【0121】
そして、それぞれの収容容器である下部活性炭収容容器73、中間部活性炭収容容器74、上部活性炭収容容器75は、それぞれの固定穴あき台である下部固定穴あき台70、中間部固定穴あき台71、上部固定穴あき台72に設置されている。各固定穴あき台70〜72は、各固定穴あき台70〜72の下部で発生したガスが、各固定穴あき台70〜72を通過して上部の多数の活性炭76〜78に吸着され易い構造である。すなわち、各活性炭収容容器73〜75と各固定穴あき台70〜72は、発生したガスが各活性炭76〜78と効率よく接触するように多数の小さな穴があいている。
【0122】
そして、破過状態すなわち寿命が来た活性炭76、77、78は、各収容容器73、74、75と共にそれぞれの取出口である下部取出口67、中間部取出口68、上部取出口69から容易に取り出されて、新品の活性炭と取り替えられることになる。この下部取出口67、中間部取出口68、上部取出口69は、フランジ蓋をボルトで締結した構造であり、このボルトを緩めてフランジ蓋を取り外すことで、活性炭収容容器73〜75を容易に取り出すことができる。そして、使用済の活性炭は、セメント工場に持ち込まれて、燃料汚泥として、有効利用されることとなる。
【0123】
尚、上記実施形態では、被処理水となる難分解性化合物含有水をPFOS、PFOA等を含有する有機フッ素化合物含有水としたが、他の有機化合物含有水もしくは無機化合物含有水としてもよい。
【0124】
(第2の実施の形態)
次に、図2に本発明の水処理装置の第2実施形態を示す。この図2に示す第2実施形態の水処理装置は、前述の第1実施形態と比較して、第1ナノバブル発生機2に自動的に吸い込まれる気体を空気に替えて、オゾンガスとしている点だけが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0125】
この第2実施形態では、第1ナノバブル発生機2に自動的に吸い込まれる気体がオゾンガスである空気よりもオゾンガスの方が酸化力はあるので、第1ナノバブル発生機2からオゾンナノバブルを吐出させて、被処理水中の処理対象物を酸化分解できる。このオゾンナノバブルは、水中で1ヶ月以上と長く酸化力を維持できる。これに対して、他のオゾンバブルでは、水中に滞留する持続時間がより短時間である。この第2実施形態によれば、酸化力があるオゾンを、さらにラジカルによる酸化力があるナノバブルとしたオゾンナノバブルによって、相乗的に酸化力が増強されて、被処理水中の処理対象物を酸化分解することができる。
【0126】
(第3の実施の形態)
次に、図3に本発明の水処理装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、第1ナノバブル発生機2に自動的に吸い込む気体を空気に替えて酸素ガスとしている点のみが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0127】
この第3実施形態では、第1ナノバブル発生機2が自動的に吸い込む気体を酸素ガスとしている。空気よりも酸素ガスの方が、酸化力があるので、第1ナノバブル発生機2から酸素ナノバブルを吐出させることにより、被処理水中の処理対象物をより効果的に酸化分解することができる。また、生物としての微生物培養や魚介類等を飼育する場合には、空気よりも酸素ガス単独の方が有効となる。
【0128】
また、酸素は、オゾンと異なって生物に対する有害性が少ないので、微生物培養や魚介類等を飼育する場合は酸素ナノバブルが有効となる。結論として、生物に対しては、空気ナノバブルやオゾンナノバブルに比べて酸素ナノバブルの方が有効である。
【0129】
(第4の実施の形態)
次に、図4に本発明の水処理装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、第1ナノバブル発生機2と第2ナノバブル発生機86が自動的に吸い込む気体が、空気に替えてオゾンガスとした点のみが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0130】
この第4実施形態では、第1ナノバブル発生機2と第2ナノバブル発生機86に自動的に吸い込まれる気体を、両方ともオゾンガスとしている。空気よりもオゾンガスの方が酸化力があるので、第1ナノバブル発生機2と第2ナノバブル発生機86の両方からオゾンナノバブルを吐出させることによって、被処理水中の処理対象物をより効果的に酸化分解できる。このオゾンナノバブルは、水中で、1ヶ月以上と長く酸化力を維持できる。これに対して、他のオゾンバブルでは、水中に滞留する持続時間がより短時間である。この第4実施形態によれば、酸化力があるオゾンを、さらにラジカルによる酸化力があるナノバブルとしたオゾンナノバブルによって、相乗的に酸化力が増強されて、被処理水中の処理対象物を酸化分解することができる。
【0131】
(実験例)
図1の第1実施形態の水処理装置に対応した、有機フッ素化合物PFOSのナノバブル処理装置3としての回分式実験装置を製作した。この実験装置では、ナノバブル処理装置3における前段分解部水槽42の容量を約1mとし、沈澱槽51を含む後段分解部水槽43の容量を約1mとし、カルシウム溶出部21の容量を約1.5mとし、分解ガス吸着部66の容量を約1.5mとした。
【0132】
この実験装置の回分式とは、水処理を連続式で行うのではなく、単位水量ごとに回分式で処理する方式である。具体的には、前段分解部水槽42と後段分解部水槽43の合計容量が約2mであるから、PFOS含有被処理水を2mごとに処理する内容である。
【0133】
そして、気液混合循環ポンプ5および気液混合循環ポンプ55の電動機がそれぞれ3.7KWから構成される第1ナノバブル発生機2および第2ナノバブル発生機86としては、株式会社協和機設のHYK型をそれぞれ選定した。
【0134】
また、新鮮空気をカルシウムイオン溶出部21に常時供給するため、ファン17としてテラル株式会社のシロッコファンCLF5−RS型0.75KWを選定した。そして、この実験装置の前段分解部水槽42、続いて後段分解部水槽43に流入水として、工業用水を投入し、その後、PFOSの試薬を添加した。結果として、前段分解部水槽42および後段分解部水槽43のそれぞれの容量1mすなわち合計容量2mに対し、2mの工業用水を導入した後、導入を停止し、前段分解部水槽42および後段分解部水槽43のPFOS濃度が6000ppbとなるように散水ポンプ80を運転して撹拌,調整した。
【0135】
前段分解部水槽42および沈澱槽51を含む後段分解部水槽43の合計容量約2mに対し、PFOS濃度が全体として、平均6000ppbとなるには、2m×6000ppb=12gのPFOSを合計投入し撹拌したことになる。当然のことであるが、投入した工業用水は、2mである。
【0136】
そして、回分式で処理した。すなわち、第1ナノバブル発生機2と第2ナノバブル発生機86を運転して、投入直後と6日後の測定データを比較した。より具体的には、液相としての後段分解部水槽43の各項目濃度と、気相としての分解ガス吸着部66の排気煙突35での各項目濃度とを比較した。
【0137】
尚、分解ガス吸着部66での条件では、活性炭を充填した場合と、活性炭を 全く充填しない場合の測定も実施した。その結果を以下に示す。
【0138】
(1) 液相としての後段分解部水槽43での分析結果
PFOSの投入直後は、PFOS濃度が5700ppb、総フッ素量が4600ppb、遊離硫酸イオンが1ppbであった。これに対して、上記投入の6日後では、PFOS濃度が240ppb、総フッ素量が580ppb、遊離硫酸イオンが22ppbであった。
【0139】
(2) 気相としての分解ガス吸着部66の排気煙突35の分析結果(分解ガス吸着部66に活性炭を充填しない場合)
この場合、PFOSの投入直後は、大気(気相)PFOS濃度が0.02ppbであり、分解物高度分析(GC−MS(ガスクロマトグラフ‐質量分析)測定)の結果、分解物は0であった。これに対して、上記投入の6日後では、大気(気相)PFOS濃度が0.02ppbであり、分解物高度分析(GC−MS測定)の結果、分解物としてCF(CF)H、CF(CF)H等多数確認された。
【0140】
(3) 気相としての分解ガス吸着部66の排気煙突35の分析結果(分解ガス吸着部66に活性炭を充填した場合)
この場合、PFOSの投入直後は、大気(気相)PFOS濃度が0.04ppbであり、分解物定性試験の結果、分解物は0であった。これに対して、上記投入の6日後では、大気(気相)PFOS濃度が0.01ppbであり、分解物定性試験の結果、分解物は確認できなかった。
【0141】
上記(1)の実験データから判断して、次の(a),(b)のことが判明した。
【0142】
(a) 有機フッ素化合物PFOSは、液相のPFOS濃度と総フッ素量から判断して、減少しているので、分解している。
【0143】
(b) 遊離硫酸イオンは、有機フッ素化合物PFOSの分解物で検出できているので、有機フッ素化合物PFOSは分解が証明された。つまり、有機フッ素化合物PFOS(C17SOH)が分解されて遊離硫酸イオン(SOイオン)となった。
【0144】
また、上記(2)の活性炭を充填しない場合の実験データから判断して、次の(c)のことが判明した。
【0145】
(c) 有機フッ素化合物PFOSは、分解されて、気相から分解物CF(CF)H、CF(CF)H等が多数検出された。
【0146】
また、上記(3)の活性炭を充填した場合の実験データから判断して、次の(d),(e)のことが判明した。
【0147】
(d) 有機フッ素化合物PFOSは、気相から高濃度PFOSが検出されていないので、PFOSミストとして飛散していない。
【0148】
(e) 排気煙突35から分解物CF(CF)H、CF(CF)4H等が検出されていないので、分解物は活性炭に吸着された。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】この発明の水処理装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明の水処理装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】この発明の水処理装置の第3実施形態を示す断面図である。
【図4】この発明の水処理装置の第4実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0150】
1 流入配管
2 第1ナノバブル発生機
3 ナノバブル処理装置
4 吸込み配管
5 気液混合循環ポンプ
6 第1気体せん断部
7 水配管
8 第2気体せん断部
9 水配管
10 空気配管
11 電動ニードルバルブ
12 第3気体せん断部
13 ナノバブル流
14 水配管
15 水流
16 吸込み口
17 ファン
18 吐出ダクト
19 ダクトフランジ
20 分解部
21 カルシウムイオン溶出部
22 下部取出口
23 中間部取出口
24 上部取出口
25 水面
26 下部固定穴あき台
27 中間部固定穴あき台
28 上部固定穴あき台
29 下部炭カル収納容器
30 中間部炭カル収納容器
31 上部炭カル収納容器
32 下部炭酸カルシウム鉱物
33 中間部炭酸カルシウム鉱物
34 上部炭酸カルシウム鉱物
35 排気煙突
36 流出水配管
37 処理ガス
38 1次分解物ガス
39 新鮮空気流
40 傾斜壁
41 吸着箱
42 前段分解部水槽
43 後段分解部水槽
44 フランジ
45 散水ノズル
46 散水水配管
47 ダクト
48 傾斜板
49 分解ガス
50 仕切り板
51 沈澱槽
52 排水バルブ
53 硫酸カルシウムフロック
54 吸込み配管
55 気液混合循環ポンプ
56 第1気体せん断部
57 水配管
58 第2気体せん断部
59 水配管
60 空気配管
61 電動ニードルバルブ
62 第3気体せん断部
63 ナノバブル流
64 沈澱槽傾斜壁
65 水流
66 分解ガス吸着部
67 下部取出口
68 中間部取出口
69 上部取出口
70 下部固定穴あき台
71 中間部固定穴あき台
72 上部固定穴あき台
73 下部活性炭収納容器
74 中間部活性炭収納容器
75 上部活性炭収納容器
76 下部活性炭
77 中間部活性炭
78 上部活性炭
79 傾斜壁
80 散水ポンプ
81 吸込み配管
82 ナノバブル含有水滴
83 水流
84 処理ガス
85 2次分解物ガス
86 第2ナノバブル発生機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難分解性化合物含有水が導入される水槽と、
上記水槽内の難分解性化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式のナノバブル発生機と、
上記水槽において上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力でもって分解されてガス化された上記難分解性化合物の分解物を除去するガス除去部とを備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記難分解性化合物が有機化合物であることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水処理装置において、
上記難分解性化合物が有機フッ素化合物であり、
上記有機フッ素化合物含有水が導入される前段部水槽と、
上記前段部水槽内の有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式の第1のナノバブル発生機と、
上記前段部水槽からの処理水が導入される後段部水槽と、
上記後段部水槽内の有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出する気液混合気体せん断方式の第2のナノバブル発生機と、
上記後段部水槽において上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力でもって分解された上記有機フッ素化合物のガス化した分解物を吸着,除去するガス除去部とを備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水処理装置において、
上記有機フッ素化合物含有水は、
PFOSまたはPFOAの少なくとも一方を含有していることを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記ナノバブル発生機は、3段階の気液混合気体せん断部を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記前段部水槽の上に配置されていると共に上記前段部水槽からのナノバブルが導入されてカルシウムイオンを上記前段部水槽に滴下させるカルシウムイオン溶出部と、
上記前段部水槽から処理水が導入されると共に上記処理水を上記後段部水槽に導入する沈澱槽と、
上記後段部水槽の上に配置されていると共に上記ナノバブルにより有機フッ素化合物を分解することによって発生するガスを吸着剤により吸着処理するガス吸着部とを備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の水処理装置において、
上記前段部水槽と上記カルシウムイオン溶出部との間に空気を供給する空気供給部を備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の水処理装置において、
上記ガス吸着部の吸着剤が活性炭であることを特徴とする水処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記ナノバブル発生機は、
電動ニードルバルブにより気体を導入可能な第1気体せん断部を有する気液混合循環ポンプと、
上記第1気体せん断部からマイクロバブルが導入される第2気体せん断部と、
上記第2気体せん断部からナノバブルが導入される第3気体せん断部とを有することを特徴とする水処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の水処理装置において、
上記電動ニードルバルブから上記第1気体せん断部に1.2リットル/分以下で空気を導入することを特徴とする水処理装置。
【請求項11】
請求項9に記載の水処理装置において、
上記第1気体せん断部は、形状が楕円形もしくは真円形で、かつ内部に2本以上の溝が形成されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の水処理装置において、
上記溝の深さが、0.3mm〜0.6mm、溝幅が0.8mm以内であることを特徴とするナノバブル発生機を有する水処理装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記気液混合循環ポンプは、吐出配管の内径が吸い込み配管の内径よりも小さいことを特徴とする水処理装置。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記気液混合循環ポンプは、上記気液混合循環ポンプのポンプ出力が最大値に達した時点以降に、気体取り込みを開始することを特徴とする水処理装置。
【請求項15】
請求項9から13のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記気液混合循環ポンプは、運転開始から60秒以上経過してから気体取り込みを開始することを特徴とする水処理装置。
【請求項16】
請求項9から15のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記電動ニードルバルブから上記第1気体せん断部へ気体を流入させる気体流入管は、上記第1気体せん断部のマイクロバブル発生部側面に対する入射角が18°となるように配置されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項17】
請求項9から15のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記第1気体せん断部を構成する材料の厚さを6mmから12mmとしたことを特徴とする水処理装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記ナノバブル発生機に供給する気体をオゾンとしたことを特徴とする水処理装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1つに記載の水処理装置において、
上記ナノバブル発生機に供給する気体を酸素ガスとしたことを特徴とする水処理装置。
【請求項20】
難分解性化合物含有水にナノバブルを吐出させて混合し、
上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記難分解性化合物の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去することを特徴とする水処理方法。
【請求項21】
請求項20に記載の水処理方法において、
上記難分解性化合物が有機化合物であることを特徴とする水処理方法。
【請求項22】
請求項21に記載の水処理方法において、
上記難分解性化合物が有機フッ素化合物であり、
上記有機フッ素化合物含有水にナノバブルを吐出させて混合し、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記有機フッ素化合物の炭素とフッ素の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去する第1の処理と、
上記第1の処理後の処理水にナノバブルを吐出させて混合し、上記ナノバブルが有するラジカルによる酸化力を利用して、上記有機フッ素化合物の炭素とフッ素の強固な結合を分解し、この分解による分解物をガス化して除去する第2の処理とを行うことを特徴とする水処理方法。
【請求項23】
請求項22に記載の水処理方法において、
上記第1の処理において、上記分解物の硫酸イオンをカルシウムイオンと反応させて除去することを特徴とする水処理方法。
【請求項24】
請求項23に記載の水処理方法において、
炭酸カルシウム鉱物にナノバブルを含む水滴を滴下させて、上記カルシウムイオンを溶出させることを特徴とする水処理方法。
【請求項25】
請求項24に記載の水処理方法において、
上記炭酸カルシウム鉱物にナノバブルを含む水滴を滴下させて、この炭酸カルシウム鉱物の表面上で、ガス化した低分子有機フッ素化合物をさらに低分子に分解することを特徴とする水処理方法。
【請求項26】
請求項25に記載の水処理方法において、
上記炭酸カルシウム鉱物から溶出したカルシウムイオンと、上記低分子有機フッ素化合物が分解して生成したフッ素イオンとを反応させて、フッ化カルシウムの沈澱物とすることを特徴とする水処理方法。
【請求項27】
請求項25に記載の水処理方法において、
上記炭酸カルシウム鉱物から溶出したカルシウムイオンと、上記低分子有機フッ素化合物がナノバブルの存在下で分解して生成したフッ素イオンとを反応させて、フッ化カルシウムのフロックを作り、このフッ化カルシウムのフロックを沈澱槽に沈澱させることを特徴とする水処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−22961(P2010−22961A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188567(P2008−188567)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】