説明

汚泥の固形燃料化プラント

【課題】有害物質の発生を低減しながら、最終処分に付する量を少なくでき、しかも、低コストで廃棄物と汚泥とを複合的に処理して固形燃料を製造できるプラントを提供すること。
【解決手段】汚泥の固形燃料化プラント1は、廃棄物から廃プラスチックを含む可燃物を抽出する混合廃棄物処理ライン2と、汚泥を発酵及び乾燥して発酵乾燥汚泥とする汚泥処理ライン3と、木質廃棄物から木屑及び木質チップを生成する木質廃棄物処理ライン4と、混合廃棄物処理ライン2からの可燃物と汚泥処理ライン3からの発酵乾燥汚泥とを用いてRPFを製造する固形燃料製造ライン5と、汚泥処理ライン3に蒸気を供給するボイラ6を備える。混合廃棄物処理ライン2は、廃棄物から選別した軽量物を、洗浄脱水機30で洗浄及び脱水した後、光学式選別装置35で塩化ビニルの廃プラスチックを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理施設等から排出される汚泥と、一般廃棄物や事業廃棄物や産業廃棄物に含まれる廃プラスチック、紙屑及び木屑等の可燃物とを利用して固形燃料を製造するためのプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理施設で発生する下水汚泥は、脱水処理が行われた後に排出されているが、脱水処理の後においても、水分含有量が75〜85質量%程度のウェット状態である。このウェット状態の汚泥は、下水処理施設から排出された後、多くの場合、次の3つの方法のいずれかで処理される。第1の方法は最終処分場への埋め立て処理であり、第2の方法は焼却処理であり、第3の方法は発酵によりメタンガスを生成する資源化処理である。
【0003】
第1の方法では、周辺環境への影響を防止するため、管理型の最終処分場にウェット状態の下水汚泥を埋め立てる。第2の方法では、ウェット状態の下水汚泥を焼却炉に投入して焼却し、残留した灰を最終処分場に埋め立てる。下水汚泥の灰は、ウェット状態の下水汚泥と同様に、管理型の最終処分場に埋め立てる。第3の方法では、ウェット状態の下水汚泥を発酵させてメタンガスを生成させる所謂メタン発酵を行い、回収したメタンガスを燃料として再利用する。
【0004】
一方、家庭や事務所等から排出される都市型の廃棄物には、古紙や廃プラスチック等の可燃物と、ガラスビンや金属缶等の不燃物とが混在している。従来より、このような廃棄物の処理方法としては、可燃物と不燃物とが混在した状態で収集し、焼却炉で一括して焼却した後、残留した灰や不燃物を最終処分場に埋め立てることが行われている。このような処理方法では、次のような問題が生じる。
【0005】
すなわち、塩化ビニル等の塩素含有物が所定条件下で燃焼することにより、ダイオキシンが発生する恐れがある。また、焼却により、燃料コストが嵩むと共に、温室効果を有する二酸化炭素が発生する。また、最終処分場は、管理型が採用される場合、建設と運用のコストが嵩む。
【0006】
そこで、廃棄物から可燃物を抽出して再生処理を施し、燃料を製造する試みが提案されている。有価物である燃料を廃棄物から製造することにより、廃棄処理のみを行う場合と比較して、収支を大幅に改善しようとするものである。また、焼却処分のための化石燃料の使用量を削減し、二酸化炭素の発生量を削減する効果が期待されている。
【0007】
廃棄物から燃料を製造する場合、燃料の燃焼によるダイオキシンの発生を防止するため、可燃物に含まれる塩素成分を除去する必要がある。そこで、従来、廃棄物を用いた固形燃料の製造方法として、廃プラスチックを加熱して脱塩すると共に、紙類を水洗して脱塩することが提案されている(特許文献1参照)。この方法では、一般廃棄物の廃プラスチックを20mm以下の大きさに粉砕した後、窒素雰囲気下で200〜400℃に加熱して塩化ビニル等から塩素分を解離させている。これと共に、廃プラスチック以外の可燃物を20mm程度の大きさに粉砕した後、水のシャワー散布や水中への分散によって水洗いをして、塩化ナトリウム等の水溶性塩化物を除去している。水洗いを行った可燃物に、乾燥処理を行った後、廃プラスチックを混合して成形し、固形燃料を製造している。可燃物の乾燥処理としては、生石灰を添加して得られる反応熱を利用することや、ボイラ等の外熱を利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−008057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の廃棄物を用いた固形燃料の製造方法は、廃プラスチックを窒素雰囲気下で脱塩するための装置構成が複雑となり、設備コストが増大する問題がある。また、水洗により脱塩した紙類を乾燥させるために生石灰を添加すると、製造された固形燃料を燃焼した際に生じる灰が多くなるという問題がある。また、外熱を利用する場合は、ボイラやバーナ等の機器が必要となって設備コストが増大する問題や、化石燃料の使用により二酸化炭素の排出量が増える問題が生じる。
【0010】
さらに、廃プラスチックと紙類は、脱塩方法が異なるので精度良く分別する必要があるが、分別の精度を上げるためには人手に頼る必要があり、製造コストの上昇と効率の低下を招く問題がある。
【0011】
また、従来の下水汚泥の処理に関する第1の方法は、最終処分場が容量の限界に達すると、新たに最終処分場を設置する必要がある。しかしながら、最終処分場は、周辺環境に対する影響が懸念されるため、周辺住民の同意が得られ難く、新たな設置が困難であるという問題がある。
【0012】
また、下水汚泥を埋め立てる最終処分場は、浸出成分の地盤への浸透を防止すると共に浸出成分の無害化を行う必要があるため、管理型とする必要があり、設備コストと運用コストが嵩む問題がある。
【0013】
一方、従来の下水汚泥の処理に関する第2の方法では、水分量が80質量%前後のウェット状態の下水汚泥を燃焼させるために、灯油や重油等の化石燃料を多く用いる必要がある。したがって、温室効果ガスを排出する問題と、燃料コストが嵩む問題がある。
【0014】
また、上記第2の方法は、水分量が多い下水汚泥を高温で加熱するので、燃焼設備の炉の劣化が進みやすいという問題がある。また、キルンのように熱媒体の直接接触によって下水汚泥を焼却する場合、排気が多くの煤塵や臭気を含むので、煤塵の除去と脱臭のために装置構成が複雑化し、処理施設の設備コストが増大する問題がある。
【0015】
また、下水汚泥が塩分等の塩素成分を含む場合、焼却処理によってダイオキシンが発生する恐れがある。ここで、ダイオキシンの発生を防止するために高温で加熱すると、燃料の消費量が嵩み、燃料コストの上昇と、化石燃料を用いる場合は温室効果ガスの排出量の増大を招いてしまう。さらに、下水汚泥の灰を処理する最終処分場は、上述の第1の方法と同様の問題がある。
【0016】
一方、従来の下水汚泥の処理に関する第3の方法では、下水汚泥からメタンガスを生成した後に発酵残渣が生じるが、この発酵残渣は強い悪臭を有するため、脱臭処理に手間とコストがかかるという問題がある。脱臭処理を施した後の発酵残渣は焼却し、焼却後の灰は埋め立てによる最終処分を行うので、第1の方法と同様の問題がある。
【0017】
そこで、本発明の課題は、上記従来の問題を包括的に解決するものであり、有害物質の発生を低減しながら、最終処分に付する量を少なくでき、しかも、低コストで廃棄物と汚泥とを複合的に処理して固形燃料を製造できる固形燃料化プラントを提供することにある。また、燃焼時の灰の生成量が少なく、材料を乾燥するための化石燃料の使用量が少なく、さらに、材料の分別の手間とコストを抑えながら固形燃料を製造できる汚泥の固形燃料化プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の汚泥の固形燃料化プラントは、少なくとも可燃物を含む廃棄物と、汚泥とを用いて固形燃料を製造するプラントであって、
上記廃棄物の粗破砕を行う粗破砕機と、
粗破砕された上記廃棄物を、旋回力を作用させて洗浄及び脱水をする洗浄脱水機と、
上記洗浄脱水機で洗浄及び脱水された廃棄物のうち、塩素を含有する樹脂を電磁波の反射率に基づいて判別して除去する塩素含有樹脂除去装置と、
上記塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された廃棄物を破砕する破砕機と、
汚泥を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記破砕機で破砕された廃棄物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とを成形して固形燃料を製造する成形機と
を備えることを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、少なくとも可燃物を含む廃棄物が、粗破砕機によって粗破砕され、この粗破砕機で粗破砕された廃棄物が、洗浄脱水機で洗浄及び脱水される。洗浄脱水機で洗浄及び脱水された廃棄物のうち、塩素を含有する樹脂が、塩素含有樹脂除去装置で除去される。塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された廃棄物が、破砕機で破砕される。一方、汚泥が、減圧発酵乾燥装置によって減圧環境下で発酵及び乾燥される。上記破砕機で破砕された廃棄物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とが、成形機で成形されて固形燃料が製造される。
【0020】
本発明の汚泥の固形燃料化プラントは、少なくとも可燃物を含む廃棄物から、粗破砕機と、洗浄脱水機と、塩素含有樹脂除去装置とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、例えば古紙や廃プラスチック等を含む可燃性の材料を効率よく回収できる。また、汚泥を、減圧発酵乾燥装置により、効果的に発酵及び乾燥させて発酵乾燥汚泥を生成できる。これらの可燃性材料と発酵乾燥汚泥を用いて固形燃料を製造することにより、廃棄物や汚泥から高い再生率で固形燃料を製造することができる。したがって、従来は最終処分場に埋め立てていた廃棄物や、汚泥や、焼却灰の量を削減でき、延いては最終処分の需要を削減して、最終処分場の建設を抑制できる。
【0021】
また、可燃物を含む廃棄物を洗浄脱水機で洗浄及び脱水を行った後、塩素を含有する樹脂を塩素含有樹脂除去装置で判別して除去するので、従来のように、廃プラスチックを窒素雰囲気下で加熱を行なって塩素分を離脱させると共に紙類を水洗いして脱塩を行うよりも、簡易な装置で少ない工程により、低コストで塩素含有物を除去することができる。
【0022】
また、上記減圧発酵乾燥装置に、公知の塩素分解酵素を添加することにより、汚泥の塩素含有物をも除去して、ダイオキシンの発生をさらに高度に防止することができる。
【0023】
また、上記洗浄脱水機は、被処理物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、従来のように紙類を乾燥させるために生石灰を添加する必要が無い。したがって、本発明の固形燃料化プラントで製造された固形燃料は、燃焼する際に生成される灰を従来よりも少なくできる。
【0024】
また、上記洗浄脱水機は、被処理物である廃棄物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、被処理物の加熱を行う必要が無い。したがって、この洗浄脱水機には、ボイラやバーナ等の熱源装置が不要であるから、従来よりも設備コストを低減できると共に、化石燃料の使用による二酸化炭素の排出を防止できる。
【0025】
また、上記洗浄脱水機は、被処理物の加熱を行なわないので、加熱により被処理物に含まれる塩化ビニル等の塩素含有樹脂が溶融して他の古紙や廃プラスチック等に付着することが無い。したがって、塩素含有樹脂の付着により、他の可燃物が固形燃料の材料に使用できなくなって、廃棄物の固形燃料への再生率が低下する不都合を防止できる。
【0026】
本発明の他の側面による汚泥の固形燃料化プラントは、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物と、汚泥とを用いて固形燃料を製造するプラントであって、
上記廃棄物の粗破砕を行う粗破砕機と、
上記粗破砕機で粗破砕された廃棄物を、傾斜状態で揺動する揺動板により、寸法と比重の違いに応じて重量物と軽量物と小径物とに分別する揺動型分別機と、
上記揺動型分別機で分別された軽量物を、旋回力を作用させて洗浄及び脱水をする洗浄脱水機と、
上記洗浄脱水機で洗浄及び脱水された軽量物のうち、塩素を含有する樹脂を電磁波の反射率に基づいて判別して除去する塩素含有樹脂除去装置と、
上記塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された軽量物を破砕する破砕機と、
汚泥を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記破砕機で破砕された軽量物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とを成形して固形燃料を製造する成形機と
を備えることを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物が、粗破砕機によって粗破砕され、この粗破砕機で粗破砕された廃棄物が、揺動型分別機で重量物と軽量物と小径物とに分別される。揺動型分別機で分別された軽量物が、洗浄脱水機で洗浄及び脱水される。洗浄脱水機で洗浄及び脱水された軽量物のうち、塩素を含有する樹脂が、塩素含有樹脂除去装置で除去される。塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された軽量物が、破砕機で破砕される。一方、汚泥が、減圧発酵乾燥装置によって減圧環境下で発酵及び乾燥される。上記破砕機で破砕された軽量物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とが、成形機で成形されて固形燃料が製造される。
【0028】
本発明の汚泥の固形燃料化プラントは、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物から、粗破砕機と、揺動型分別機と、洗浄脱水機と、塩素含有樹脂除去装置とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、例えば古紙や廃プラスチック等を含む可燃性の軽量物を効率よく回収できる。また、汚泥を、減圧発酵乾燥装置により、効果的に発酵及び乾燥させて発酵乾燥汚泥を生成できる。これらの可燃性の軽量物と発酵乾燥汚泥を用いて固形燃料を製造することにより、廃棄物や汚泥から高い再生率で固形燃料を製造することができる。したがって、従来は最終処分場に埋め立てていた廃棄物の最終残留物や、汚泥や、焼却灰の量を削減でき、延いては最終処分の需要を削減して、最終処分場の建設を抑制できる。
【0029】
また、軽量物を洗浄脱水機で洗浄及び脱水を行った後、塩素を含有する樹脂を塩素含有樹脂除去装置で判別して除去するので、従来のように、廃プラスチックを窒素雰囲気下で加熱を行なって塩素分を離脱させると共に紙類を水洗いして脱塩を行うよりも、簡易な装置で少ない工程により、低コストで塩素含有物を除去することができる。
【0030】
また、上記減圧発酵乾燥装置に、公知の塩素分解酵素を添加することにより、汚泥の塩素含有物をも除去して、ダイオキシンの発生をさらに高度に防止することができる。
【0031】
また、上記洗浄脱水機は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、従来のように紙類を乾燥させるために生石灰を添加する必要が無い。したがって、本発明の固形燃料化プラントで製造された固形燃料は、燃焼する際に生成される灰を従来よりも少なくできる。
【0032】
また、上記洗浄脱水機は、被処理物である軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、被処理物の加熱を行う必要が無い。したがって、この洗浄脱水機には、ボイラやバーナ等の熱源装置が不要であるから、従来よりも設備コストを低減できると共に、化石燃料の使用による二酸化炭素の排出を防止できる。
【0033】
また、上記洗浄脱水機は、被処理物の加熱を行なわないので、加熱により被処理物に含まれる塩化ビニル等の塩素含有樹脂が溶融して他の古紙や廃プラスチック等の軽量物に付着することが無い。したがって、塩素含有樹脂の付着により、他の軽量物が固形燃料の材料に使用できなくなって、廃棄物の固形燃料への再生率が低下する不都合を防止できる。
【0034】
また、軽量物は、洗浄脱水機で洗浄されて付着物が除去され、乾燥された状態で、塩素含有樹脂除去装置に送られる。したがって、塩素含有樹脂除去装置において、軽量物に照射された電磁波が付着物で干渉されることなく反射されるので、軽量物の材料を精度良く判別することができる。その結果、塩化ビニル等の塩素含有樹脂を軽量物から精度良く除去することができるので、高い再生率のもと、燃焼する際にダイオキシンを発生しない固形燃料を製造することができる。
【0035】
また、上記減圧発酵乾燥装置は、減圧環境下で汚泥の発酵及び乾燥を行うので、減圧に伴う沸点の降下により、少ない熱量で汚泥を乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置で汚泥を発酵させるので、汚泥を効果的に脱臭できて、周辺環境への影響を少なくできる。また、減圧発酵乾燥装置は、キルンのように排気に多くの煤塵や臭気を含まないので、煤塵の除去と脱臭のための装置構成を簡易にでき、設備コストを削減できる。また、上記減圧発酵乾燥装置に、公知の塩素分解酵素を添加することにより、汚泥の塩素含有物をも除去して、ダイオキシンの発生をさらに高度に防止することができる。
【0036】
このように、本発明の汚泥の固形燃料化プラントによれば、ダイオキシン等の有害物質の発生を防止しながら、最終処分に付する量を少なくでき、しかも、低コストで廃棄物と汚泥とを複合的に処理できる。
【0037】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと
を備える。
【0038】
上記実施形態によれば、酵素が添加された状態で処理室内に収容された被処理物が、回転する加熱攪拌部に接触しながら、この加熱攪拌部のコイル状管体とブレードとで攪拌される。被処理物は、接触する加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体から、回転軸とコイル状管体の内部に供給される熱媒体の熱を受けて加熱される。加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体は、被処理物の接触面積が大きいので、内部に供給される熱媒体の熱を効率的に被処理物に伝えて、被処理物を迅速に乾燥することができる。また、処理室の壁面に形成されたジャケットに供給される熱媒体の熱により、被処理物を効率的に乾燥することができる。
【0039】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記減圧発酵乾燥装置は、
上記処理室内に設けられ、被処理物からの蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記処理室内の空気を、上記凝縮部で凝縮されてなる凝縮水と共に吸引する吸引ポンプと、
酵素が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水を冷却すると共に、上記吸引ポンプで吸引した処理室内の空気と凝縮水を上記冷却水に接触させる冷却脱臭装置と
を備える。
【0040】
上記実施形態によれば、吸引ポンプで処理室内の空気と凝縮水とを吸引することにより、処理室の減圧と凝縮水の回収とを効率的に行うことができる。したがって、処理室内の被処理物の乾燥を促進することができる。また、冷却脱臭装置で、処理室内の空気と凝縮水を、酵素が添加された冷却水に接触させることにより、処理室内の空気と凝縮水の脱臭を行うと共に、冷却水の冷却を行うことができる。したがって、固形燃料化プラントの設置位置や周辺の環境を良好にできると共に、減圧発酵乾燥装置の乾燥効率を向上することができる。
【0041】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記固形燃料の燃焼熱を用いて、上記減圧発酵乾燥装置の加熱攪拌部及びジャケットへ供給する蒸気を生成するボイラと、
上記減圧発酵乾燥装置の処理室内の空気を吸引し、吸引した空気を上記ボイラに燃焼空気として供給する送風機と
を備える。
【0042】
上記実施形態によれば、本発明の固形燃料化プラントにより製造された固形燃料を、減圧発酵乾燥装置の加熱攪拌部及びジャケットへ供給する蒸気を生成するボイラの熱源に用いることにより、化石燃料を用いることなく減圧発酵乾燥装置を動作させて汚泥を乾燥させることができる。さらに、減圧発酵乾燥装置の処理室内の臭気を有する空気を、ボイラへ燃焼空気として供給することにより、この空気で固形燃料を燃焼させて臭気を除去することができる。したがって、臭気により周辺環境に影響を与えることなく、処理室の減圧を行うことができる。
【0043】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記減圧発酵乾燥装置は、
上記処理室を複数個備え、第1処理室で処理された被処理物を、第2処理室以降の処理室に順次送って処理するように形成され、
第2処理室以降の処理室の加熱攪拌部の回転速度が、第1処理室の加熱攪拌部の回転速度よりも大きい。
【0044】
上記実施形態によれば、第1処理室に投入された被処理物は、減圧された状態で、加熱攪拌部によって加熱及び攪拌され、水分量が減少する。ここで、第1処理室で処理される被処理物である汚泥は、水分量が多いので、加熱攪拌部を比較的低い回転速度で回転させることにより、加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体の被処理物への接触時間を確保して、被処理物を効果的に乾燥させることができる。
【0045】
続いて、第1処理室で処理されて水分が低減した被処理物は、第2処理室に投入される。第2処理室に投入された被処理物は、減圧された状態で、加熱攪拌部によって加熱及び攪拌され、水分量が更に減少する。更なる処理室が設けられている場合、被処理物は、後続の処理室に順次送られて処理され、水分量が順次減少する。ここで、第2処理室以降の処理室で処理される被処理物は、第1処理室で乾燥されて水分量が比較的少ないので、固形成分が凝集して所謂ダマになりやすく、ダマの発生によって被処理物全体の乾燥効率が低下しやすい。なお、ダマとは、処理室の中で回転力を受けることによって被処理物が球状に凝集し、表面部は乾燥が進行する一方、内部は水分を含んだまま残留するものをいう。ここで、第2処理室以降の処理室の加熱攪拌部を、第1処理室の加熱攪拌部の回転速度よりも大きい回転速度で回転させるので、ダマの形成を防止でき、被処理物を良好な効率で乾燥させることができる。
【0046】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記洗浄脱水機によって被処理物から分離された成分を、上記減圧発酵乾燥装置に投入するように形成されている。
【0047】
上記実施形態によれば、洗浄脱水機によって被処理物から分離されて水を含む物質を、減圧発酵乾燥装置に投入して発酵及び乾燥することにより、上記物質の脱臭と乾燥を行うことができる。
【0048】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記揺動型分別機は、透過孔を有して傾斜して配置された複数の揺動体と、隣り合う揺動体の間で異なる位相で揺動駆動する駆動機構とを有し、
揺動する上記揺動体の作用により、投入された廃棄物を重量物と軽量物と小径物とに分別する。
【0049】
上記実施形態によれば、傾斜して配置され、隣り合う揺動体の間で異なる位相で揺動駆動される複数の揺動体により、廃棄物を効率的に重量物と軽量物と小径物とに分別することができる。また、この揺動型分別機で廃棄物を分別して得た軽量物は、比較的高い割合で、シート状の廃プラスチック及び紙類等の可燃物を含むので、揺動型分別機による工程の後、少ない工程により、固形燃料の材料を抽出することができる。
【0050】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記洗浄脱水機は、回転軸の周方向及び延在方向に設けられた複数の回転羽根と、これら複数の回転羽根の外径側に配置され、複数の透過孔が形成された透過体とを有し、
回転する上記回転羽根の作用により、投入された被処理物に含まれる水及び付着物を分離し、透過体の外側に排出して、上記被処理物の洗浄と脱水を行う。
【0051】
上記実施形態によれば、回転する回転羽根の作用により、被処理物の水及び付着物が分離されて透過体の外側に排出されるので、被処理物を加熱することなく、効果的に洗浄と脱水を行うことができる。
【0052】
また、上記洗浄脱水機は、回転する回転羽根の作用により、互いに付着した被処理物を分離させることができる。したがって、廃棄物の廃プラスチックとして、塩素含有樹脂と、塩素を含有しない樹脂とが互いに付着した状態で固形燃料化プラントに投入されても、洗浄脱水機で塩素含有樹脂と塩素を含有しない樹脂とに分離でき、その結果、塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂を除去することができる。したがって、固形燃料の材料に、塩素を含有しない樹脂のみを用いることができ、その結果、固形燃料に伴うダイオキシンの発生を効果的に防止できる。
【0053】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、
上記塩素含有樹脂除去装置は、
被処理物を載置面に載置して移送する移送装置と、
上記移送装置の載置面上の被処理物に、電磁波としての赤外線を照射する赤外線照射部と、
赤外線が照射された被処理物からの反射波を検出する反射波検出部と、
上記反射波検出部で反射波が検出された被処理物の位置を検出する位置検出部と、
上記反射波検出部が検出した反射波のスペクトル分布に基づいて被処理物の材料を判別する材料判別部と、
上記材料判別部で判別された被処理物の材料が塩素含有樹脂である場合、上記位置検出部で検出された被処理物の位置の情報に基づいて、材料が塩素含有樹脂である被処理物に圧縮空気を噴射して載置面上から除去する噴射部とを有する。
【0054】
上記実施形態によれば、塩素含有樹脂除去装置に導かれた被処理物は、移送装置の載置面に載置されて移送され、載置面上の被処理物に赤外線照射部で赤外線が照射され、被処理物からの反射波が反射波検出部で検出される。上記反射波検出部で反射波が検出された被処理物の位置が位置検出部で検出され、また、上記反射波検出部が検出した反射波のスペクトル分布に基づいて材料判別部で被処理物の材料が判別される。ここで、材料判別部で判別された被処理物の材料が塩素含有樹脂である場合、位置検出部で検出された被処理物の位置の情報に基づいて、材料が塩素含有樹脂である被処理物に噴射部で圧縮空気が噴射されて載置面上から除去される。こうして、被処理物から塩素含有樹脂を除去することができる。
【0055】
このように、塩素含有樹脂除去装置は赤外線の反射波のスペクトル分布に基づいて被処理物の材料を判別するところ、塩素含有樹脂除去装置に導かれる被処理物は、洗浄脱水機で洗浄されているので、付着物等によって被処理物の材料の判別精度が低下することが無い。したがって、本実施形態の固形燃料化プラントは、塩素含有樹脂除去装置により、精度良く効率的に塩素含有樹脂を除去することができる。
【0056】
一実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、上記成形機は、スクリュー式成形機、又は、リングダイ式成形機、若しくは、フラットダイ式成形機である。
【0057】
上記実施形態によれば、スクリュー式成形機、又は、リングダイ式成形機、若しくは、フラットダイ式成形機を用いることにより、廃プラスチック及び植物由来廃棄物を含む可燃性の軽量物と、発酵乾燥汚泥とを材料として、固形燃料を効率的に製造することができる。
【0058】
ここで、本発明の汚泥の固形燃料化プラントによって製造される固形化燃料としては、減圧発酵乾燥装置によって処理された発酵乾燥汚泥が30〜60質量%であり、軽量物のうちの廃プラスチックが30〜50質量%であり、軽量物のうちの紙屑及び木屑等の植物由来の廃棄物とが10〜20質量%であって、各成分の合計が100%以下となる割合で含まれるのが好ましい。特に、発酵乾燥汚泥が概ね40質量%であり、廃プラスチックが概ね40質量%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20質量%の割合で固形化して製造された固形化燃料は、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。また、発酵乾燥汚泥が概ね60質量%であり、廃プラスチックが概ね30質量%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね10質量%の割合で固形化して製造された固形化燃料は、約5500kcal/kgの熱量を生成することができ、石炭と同等の熱量の燃料として実用性を有する。ここで、発酵乾燥汚泥に含まれる窒素成分が多い場合、植物由来廃棄物のうち、廃木材等を粉砕してなる木屑の含有割合を多くするのが好ましい。なお、発酵乾燥汚泥のみを用いて製造した固形化燃料は、約4800kcal/kgの熱量を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態の汚泥の固形燃料化プラントの構成を示すブロック図である。
【図2】混合廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図3】揺動型分別機の主要部を示す模式図である。
【図4】風力選別機の主要部を示す模式図である。
【図5】洗浄脱水機を示す模式図である。
【図6】光学式選別装置を示す模式図である。
【図7】汚泥処理ラインの構成を示す模式図である。
【図8】減圧発酵乾燥装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図9】減圧発酵乾燥装置の第1乾燥機の縦断面図である。
【図10】木質廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図11】固形燃料製造ラインの構成を示す模式図である。
【図12】スクリュー式成形機を示す模式図である。
【図13】リングダイ式成形機を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の汚泥の固形燃料化プラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0061】
本実施形態の汚泥の固形燃料化プラントは、可燃物と不燃物が混合して存在する廃棄物と、汚泥とを処理して、固形燃料を製造するものであり、図1は、固形燃料化プラントの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、固形燃料化プラント1は、廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と、汚泥を処理する汚泥処理ライン3と、木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、汚泥処理ライン3に蒸気を供給するボイラ6を備える。
【0062】
混合廃棄物処理ライン2は、家庭や事務所等から排出された主に一般廃棄物を処理するものであり、可燃物と不燃物とが混在した状態で投入される。ここで、可燃物とは、例えば古紙や天然繊維や廃木材等の植物由来の廃棄物と、例えば化繊布や食品トレイやビニル袋や玩具や文具等の廃プラスチックとを含む。また、不燃物とは、例えば金属製品や陶器やガラス瓶等である。なお、可燃物と不燃物は、互いに分別収集された状態で投入されてもよく、或いは、混合されて収集された状態で投入されてもよい。廃棄物が分別されている場合、可燃物のうちの植物由来廃棄物と廃プラスチックとが、さらに分別されていてもよく、又は、混在していてもよい。この混合廃棄物処理ライン2は、投入された可燃物と不燃物を分別し、可燃物を清浄及び乾燥して抽出する。混合廃棄物処理ライン2で抽出された植物由来廃棄物と廃プラスチックを含む可燃物は、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられる。
【0063】
汚泥処理ライン3は、水分量が概ね80質量%を越える汚泥を処理するものであり、例えば水分量が98質量%程度の活性汚泥や、例えば水分量が85質量%程度の建設汚泥や、例えば食品工場から排出されて水分量が95質量%程度の食品残渣等を処理することができる。なお、汚泥処理ライン3には、汚泥と共に生ごみが投入されてもよい。この汚泥処理ライン3は、汚泥や生ごみを減圧環境下で発酵及び乾燥させて、水分量が重量比で概ね50質量%以下の発酵乾燥汚泥を生成する。汚泥処理ライン3で生成された発酵乾燥汚泥は、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられる。
【0064】
木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を処理するものであり、木質廃棄物として、建築物の解体によって生じた廃木材や、間伐材や、材木端材等が投入される。この木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を破砕して、木質屑としての木質チップ及び木屑を形成する。木質廃棄物処理ライン4で形成された木屑は、高水分廃棄物処理ライン3で処理される有機汚泥に混合される。木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップは、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料として用いられ、また、ボイラ6の燃料として用いられる。ここで、有機汚泥に混合される木屑は直径が概ね5mm以下であり、固形燃料の材料及びボイラ6の燃料として用いられる木質チップは直径が概ね5〜20mmである。
【0065】
固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された植物由来の廃棄物及び廃プラスチックを含む可燃物と、汚泥処理ライン3で生成された発酵乾燥汚泥を材料に用いて固形燃料を製造するものであり、固形燃料としてのRPF(廃紙廃プラスチック燃料)を製造する。固形燃料製造ライン5で製造されたRPFは、一部がボイラ6の燃料として用いられる。
【0066】
ここで、固形燃料製造ライン5は、汚泥処理ライン3で生成された発酵乾燥汚泥と、混合廃棄物処理ライン2で抽出する廃プラスチックと植物由来廃棄物とを、次のような割合で配合してRPFを製造する。すなわち、発酵乾燥汚泥が概ね40質量%であり、廃プラスチックが概ね40質量%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20質量%の割合で固形化したRPFを製造する。このRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。なお、石炭と同等の熱量で足りる場合は、発酵乾燥汚泥が概ね60質量%であり、廃プラスチックが概ね30質量%であり、かつ、木屑及び/又は紙屑が概ね10質量%の割合で固形化してRPFを製造すればよく、この場合、約5500kcal/kgの熱量のRPFが得られる。また、発酵乾燥汚泥のみを固形化してなる固形化燃料は、約4800kcal/kgの熱量を生成することができる。
【0067】
ボイラ6は、汚泥処理ライン3で汚泥を乾燥させるための加熱媒体としての蒸気を生成するものであり、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFを燃料として用いる。
【0068】
以下、各ラインの構成と、各ラインで行われる処理の詳細を、ライン毎に説明する。
【0069】
図2は、混合廃棄物処理ライン2の構成を示す模式図である。混合廃棄物処理ライン2には、家庭や事務所等から排出された廃棄物が、まず、粗破砕機21に受け入れられる。粗破砕機21は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、廃棄物が袋や容器等に包まれている場合、破袋機能を発揮する。粗破砕機21は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容している。ロータは、長手方向に複数組配列されたなぎなた状の破袋刃を有し、破袋刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗破砕機21として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
【0070】
粗破砕機21によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤで搬送される途中で、磁選機22によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物が除去された廃棄物は、1軸型の破砕機23に供給され、約150mm程度の大きさに破砕される。破砕機23で破砕された廃棄物は、揺動型分別機24に供給される。
【0071】
揺動型分別機24では、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。軽量物は、かさ比重が比較的小さいものであり、可燃物のうち、シート状又は板状の紙や布、及び、繊維屑等が含まれる。また、廃プラスチックのうち、シート状又は薄板状の樹脂が含まれる。重量物は、かさ比重が比較的大きいものであり、可燃物のうち、木片が含まれる。また、廃プラスチックのうち、樹脂製の容器やボトルが含まれる。また、不燃物のうち、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等が含まれる。小径物は、真比重が比較的大きくて小径のものであり、金属の粒や、陶器の粒や、土砂等が含まれる。
【0072】
揺動型分別機24は、図3に主要部を示すように、長手方向に傾斜して設置され、下から上に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板241と、モータ242の回転力がチェーン243を介して入力されて、短冊状篩板241を揺動駆動するクランク機構244を備える。短冊状篩板241上には、被処理物(廃棄物)に送りを掛ける突起245が複数設けられている。揺動型分別機24の主要部が収容されたケーシング内に、矢印W1で示すように上方から投入された廃棄物は、短冊状篩板241の揺動によって、軽量物が矢印W2で示すように上方に送られる一方、重量物は自重によって矢印W3で示すように短冊状篩板241の下方端に移動し、小径物は短冊状篩板241の篩目から矢印W4で示すように下方に落下する。こうして、廃棄物が、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。小径物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0073】
揺動型分別機24で分別された重量物は、1軸型破砕機25で破砕された後、スクリューコンベヤ26で搬送される。スクリューコンベヤ26の終端には、風力選別機27が設けられており、破砕物が、樹脂製容器やボトル等の破砕であるプラスチック片や木屑等の軽量物と、陶器片やガラス片や金属片等の重量物とに分別される。風力選別機27は、図4に主要部を示すように、竪形のジグザグ管路271の下部の供給口271aから矢印W5で示すように破砕物が連続的に供給され、ブロワ272によって下から上に流れる空気により、プラスチック片等の軽量の可燃物と、陶器片等の重量の不燃物とに選別する。空気流は、ジグザグ管路271の下端部の給気口271bに供給されてジグザグ管路271中を流れ、上端部からサイクロンセパレータ273まで軽量可燃物を搬送する。軽量可燃物を搬送した空気は、サイクロンセパレータ273で軽量可燃物が分離された後に、ブロワ272に吸引される。軽量可燃物は、矢印W6で示すように、ロータリーシール弁を介して、サイクロンセパレータ273の下端から排出され、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。重量不燃物は、矢印W7で示すようにベルトコンベヤ28上に排出される。
【0074】
重量不燃物は、ベルトコンベヤ28で搬送される途中で、磁選機29によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物は、図示しないホッパに貯留されて再生資源として利用される一方、磁性物が除去された重量不燃物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0075】
一方、揺動型分別機24で分別された軽量物は、洗浄脱水機30に送られる。洗浄脱水機30は、図5に模式図を示すように、ケーシング301の一端に形成された投入口301aに、矢印W8で示すように、軽量物が、水及び空気と共に投入される。水には、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。ケーシング301内には、回転軸302に取り付けられて、軽量物に送りをかけるように回転駆動される複数のパドル303が配置されている。また、ケーシング301内には、パドル303を取り囲むように多孔筒304が配置されている。軽量物は、パドル303によって多孔筒304内を他端側に送られるに伴い、汚れが水分と共に除去されて洗浄され、乾燥する。軽量物から水と共に除去された汚れは、汚水となって多孔筒304の外側に排出され、ケーシング301の下部に集められる。この汚水は、ケーシング301の下部に配置された排出コンベヤ305により、矢印W9で示すようにケーシング301外に排出される。ケーシング301外に排出された汚水は、汚泥処理ライン3に投入される。
【0076】
洗浄されて乾燥した軽量物は、ケーシング301の他端に形成された排出口301bから、この排出口301bに接続された取り出しコンベヤ306によって排出される。取り出しコンベヤ306の終端には、上下に延びる縦管307が取り付けられており、縦管307の取り出しコンベヤ306の接続位置よりも下方から上に向かって、ブロワ308による空気流が形成される。縦管307内を下から上に流れる空気により、取り出しコンベヤ306から排出された軽量物が、紙やプラスチックや布や繊維屑等の可燃物と、軽量物に混入していた金属粒等の不燃物とに選別される。空気流は、矢印W10で示すように、可燃物を縦管307からサイクロンセパレータ31まで搬送し、サイクロンセパレータ31で可燃物が分離された後にブロワ308によって吸引される。一方、不燃物は、矢印W11で示すように、縦管307の下端から自重によって排出される。
【0077】
このように、洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、被処理物である軽量物を加熱する必要が無い。したがって、洗浄脱水機30にはボイラやバーナ等の熱源装置が不要であるから、従来よりも設備コストを低減できると共に、化石燃料の使用による二酸化炭素の排出を防止できる。
【0078】
サイクロンセパレータ31で分離された紙やプラスチック等の可燃物は、定量供給機32に送られて一時貯留される。可燃物は、定量供給機32から振動スクリーン33に供給される。振動スクリーン33は、傾斜して配置されたスクリーンと、スクリーンを振動させる振動機構を有し、後続する塩素含有樹脂除去装置としての光学式選別装置35の移送装置の上方にスクリーンの下端が位置するように配置されている。振動スクリーン33は、定量供給機32からスクリーンの上端部に投入された軽量物を、スクリーンの振動作用によって下端から幅方向に満遍なく排出する。これにより、光学式選別装置35の移送装置の上面に、軽量物を均一に配置するようになっている。
【0079】
図6は、光学式選別装置35を示す模式図である。光学式選別装置35は、被処理物を移送する移送装置としてのベルトコンベヤ351と、ベルトコンベヤ351の終端部の近傍に配置され、被処理物に電磁波としての近赤外線を照射し、その反射波を受ける光学ユニット352と、被処理物に圧縮空気を噴射する噴射部としてのエアガン353と、光学ユニット352及びエアガン353に接続された制御部354を備える。エアガン353は、圧縮空気を供給するコンプレッサユニット355に接続されている。光学ユニット352は、ベルトコンベヤ351上の軽量物に近赤外線を照射する電磁波照射部としての照射部356と、軽量物で反射された近赤外線の反射波を受ける反射波検出部としての受光部357を有する。照射部356は、ベルトコンベヤ351のベルトの進行方向の前後から近赤外線を照射する一対のランプが、ベルトコンベヤ351のベルトの幅方向に複数個配列されて形成されている。照射部356の各対のランプの間に、直下からの近赤外線を受光するように、受光部としての近赤外線カメラ357のレンズが配置されている。
【0080】
ベルトコンベヤ351は、振動スクリーン33から、被処理物としての軽量物がベルトの上面に供給され、この軽量物を終端側に移送する。軽量物が光学ユニット352の下方に達すると、光学ユニット352の照射部356が近赤外線を軽量物に照射し、照射された近赤外線が軽量物で反射してなる反射波を、近赤外線カメラ357のレンズが受ける。近赤外線カメラ357は、近赤外線の反射波を受け、近赤外線の反射波の波長及び強度を表す情報を制御部354に出力する。制御部354は、近赤外線カメラ357から入力された情報に基づき、個々の軽量物からの反射波(近赤外線)の波長及び強度を解析し、スペクトル分布のパターンに基づいて軽量物の材料を判別する。判別された材料が、塩素含有樹脂としての塩化ビニルであると、制御部354は、この塩化ビニル製の軽量物である廃プラスチックを、ベルトコンベヤ351から除去する。すなわち、塩化ビニル製の廃プラスチックがベルトコンベヤ351の終端に達するタイミングで、エアガン353を作動させて圧縮空気を塩化ビニル製の廃プラスチックに向けて噴射する。塩化ビニル製の廃プラスチックは、圧縮空気を受けて吹き飛ばされて、ベルトコンベヤ351の終端から遠い側に設けられた回収室358に回収される。塩化ビニル製の廃プラスチック以外の軽量物は、ベルトコンベヤ351の終端から下方に落下して、ベルトコンベヤ351の終端に近い側に設けられた回収室359に回収される。
【0081】
このようにして、軽量物を洗浄脱水機30で洗浄及び脱水を行った後、塩素を含有する樹脂を光学式選別装置35で判別して除去するので、従来のように、廃プラスチックを窒素雰囲気下で加熱を行なって塩素分を離脱させると共に紙類を水洗いして脱塩を行うよりも、簡易な装置で少ない工程により、低コストで塩素含有物を除去することができる。
【0082】
また、軽量物は、洗浄脱水機30で洗浄されて付着物が除去され、乾燥された状態で、光学式選別装置35に送られる。したがって、光学式選別装置35において、軽量物に照射された電磁波が付着物で干渉されることなく反射されるので、軽量物の材料を精度良く判別することができる。その結果、塩化ビニル等の塩素含有樹脂を軽量物から精度良く除去することができるので、燃焼する際にダイオキシンを発生しない固形燃料を、材料となる廃棄物に対して高い再生率で製造することができる。
【0083】
なお、光学式選別装置35は、近赤外線の反射波のスペクトル分布に基づいて、塩化ビニル以外の種々の材料を判別できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンを判別でき、また、紙と木を判別することができる。したがって、光学式選別装置35により、塩化ビニル以外の材料を軽量物から判別して回収してもよい。
【0084】
ここまで、揺動型分別機24で分別された軽量物に施す処理を説明したが、揺動型分別機24で分別された重量物もまた、同様の処理を施すことができる。すなわち、重量物に対して、風力選別機27で分別された軽量可燃物に対して、洗浄脱水機30と同様の構成を有する洗浄脱水機で洗浄と脱水と分別を行った後、サイクロンセパレータと、定量供給機と、振動スクリーンとを経て、光学式選別装置35と同様の構成を有する光学式選別装置によって塩素含有樹脂を除去する。これにより、揺動型分別機24で重量物として分別された寸法の比較的大きいポリエチレンテレフタレート容器等の廃プラスチックや、寸法の比較的大きい木片等の可燃物を、塩化ビニルを排除した状態で抽出することができる。
【0085】
上記光学式選別装置35で塩化ビニルが除去されて回収室359に回収された軽量物は、回収室359の下端に接続されたスクリューコンベヤ36で搬送され、風力選別機37に送られて、異物が回収される。異物が回収された可燃物は、プッシャ付破砕機38に送られる。
【0086】
プッシャ付き破砕機38は、ケーシング内に、回転刃が周面に固定された1軸の回転軸を有し、油圧シリンダで駆動されるプッシャにより、可燃物が回転軸に向かって押圧される。プッシャで押圧された可燃物は、回転軸の回転刃と、回転軸の下部に回転刃と相対して配置された固定刃とのせん断作用で破砕され、25〜100mmの寸法の破砕片となって排出される。なお、プッシャ付き破砕機38は、2軸型の破砕機であってもよい。プッシャ付き破砕機38で破砕された破砕片は、スクリューコンベヤ39で搬送され、スクリューコンベヤ39の終端に設置された風力選別機40で異物が除去される。風力選別機40は、竪形のジグザグ管路401内をブロワ402によって下から上に流れる空気により、可燃物と異物に選別し、空気流によって可燃物をサイクロンセパレータ403まで搬送する。サイクロンセパレータ403で分離された可燃物は、ロータリーシール弁を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。
【0087】
このようにして、本実施形態の汚泥の固形燃料化プラント1は、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物から、粗破砕機21と、揺動型分別機24と、洗浄脱水機30と、光学式選別装置35とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、古紙や廃プラスチック等を含む可燃性の軽量物を効率よく回収できる。
【0088】
図7は、汚泥処理ライン3の構成を示す模式図である。汚泥処理ライン3は、下水処理施設で生成された活性汚泥やし尿等の有機汚泥や、各種の工場や建設現場で生成された無機汚泥に対して、発酵及び乾燥処理を行う。
【0089】
汚泥が有機汚泥である場合、水分量が98質量%を超える汚泥が、受入ホッパ41に受け入れられ、受入ホッパ41の下部の切り出し装置から搬送コンベヤ42で搬送される。また、揺動型分別機24で軽量物を洗浄して生成された汚水が、受入ホッパ41へ投入され、汚泥に混合されて搬送コンベヤ42で搬送される。搬送コンベヤ42で搬送される汚泥には、搬送コンベヤ42の途中に設置された木屑供給装置43によって木屑が添加される。木屑供給装置43には、後述する木質廃棄物処理ライン4で生成された木屑が供給される。汚泥に対する木屑の添加は、汚泥の窒素成分の含有量が高いときに、窒素成分の割合を低減させるために行うのが好ましい。なお、汚泥への木屑の添加は、行わなくてもよい。木屑が添加された汚泥は、減圧発酵乾燥装置44に送られる。
【0090】
図8は、減圧発酵乾燥装置44を示す図である。減圧発酵乾燥装置44は、第1処理室を有する第1乾燥機401と、第2処理室を有する第2乾燥機402と、冷却脱臭装置としてのクーリングタワー403とで大略構成されている。
【0091】
第1乾燥機401は、内部に第1処理室411を有する大略円筒形状のケーシング412と、第1処理室411の下部の壁面に形成されたジャケット413と、第1処理室411内に配置された加熱攪拌部414と、第1処理室411内の上部に設けられた凝縮部415を有する。
【0092】
ケーシング412の一端の上部には、被処理物が投入される投入口412aが形成され、ケーシング412の他端の下部には、被処理物が排出される排出口412bが形成されている。ケーシング412の投入口412aには、被処理物を投入する投入装置451が設けられている。投入装置451は、被処理物の入口と出口に密閉バルブが設けられたエアロック機構が内蔵されている。
【0093】
図9は、第1乾燥機401の内部の詳細を示した断面図である。図9に示すように、加熱攪拌部414は、ケーシング412の両端面に設けられた軸受121,122に両端が支持された回転軸141と、回転軸141に固定されたコイル状管体142と、コイル状管体142の外周側に配置されて一辺が5〜10cmの矩形の複数のブレード143を有する。回転軸141とコイル状管体142は内部が互いに連通しており、熱媒体としての蒸気が、軸受を介して回転軸141とコイル状管体142内に供給される。加熱攪拌部414は、モータMで回転駆動され、回転軸141とコイル状管体142で被処理物を加熱すると共に、ケーシング412内の被処理物を投入口412aから排出口412bに向かって送りをかけながら攪拌するように形成されている。ブレード143は、表面が、加熱攪拌部414の径方向の先端縁が回転方向に傾斜すると共に、軸方向の排出口412b側の側縁が反回転方向に傾斜している。これにより、加熱攪拌部414が回転するに伴い、ブレード143が、ケーシング412の内側面近傍の被処理物をすき取るようになっている。
【0094】
ケーシング412の軸受121,122は、加熱攪拌部414の回転軸141を支持すると共に、熱媒体としての蒸気の供給と排出を行っている。供給側軸受121は、蒸気供給管123に接続された回転継手124と、回転継手124を介して接続された蒸気管141aを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受125を有する。排出側軸受122は、蒸気排出管126に接続された回転継手127と、回転継手127を介して接続された蒸気管141bを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受128を有する。図示しないボイラから蒸気供給管123を通して供給側軸受121の側に供給された蒸気が、回転継手124を介して回転軸141に供給される。回転軸141に供給された蒸気は、一部がコイル状管体142に供給される。回転軸141とコイル状管体142に供給された蒸気は、回転軸141とコイル状管体142が接触する被処理物と熱交換を行った後、蒸気管141bと回転継手127を通して排出側軸受122の側に戻る。排出側軸受122の側に戻った蒸気は、蒸気排出管126を通してボイラに戻される。一方、加熱攪拌部414へ供給される蒸気よりも圧力及び温度の低い蒸気が、供給口143aを通してジャケット413に供給され、排出口143bを通してボイラに戻される。すなわち、ジャケット413よりも接触面積の大きい加熱攪拌部414に、ジャケット413に供給する蒸気と比較して圧力及び温度の高い蒸気を供給することにより、水分量の多い汚泥等の被処理物を、効率的に乾燥させるようにしている。
【0095】
加熱攪拌部414のコイル状管体142は、上流側コイル144と下流側コイル145で形成されている。回転軸141の内部は、上流側コイル144の上流端144a及び渦流端144bと、下流側コイル145の上流端145a及び渦流端145bとに、順次連通している。これにより、供給側軸受121の側に供給された蒸気が、矢印G1で示すように上流側コイル144に流入し、この後、矢印G2で示すように回転軸141の内部に戻り、さらに、矢印G3で示すように下流側コイル145に流入し、この後、矢印G4で示すように回転軸141の内部に戻る。回転軸141内の蒸気は、矢印G5で示すように、蒸気管141bを通って回転軸141から排出されるようになっている。
【0096】
ケーシング412内の上部に設けられた凝縮部415は、ケーシング412の他端面に形成された冷却水供給室151と、ケーシング412の一端面に形成された冷却水排出室152を有する。冷却水供給室151には、クーリングタワー403から冷却水が供給される冷却水供給管153が接続されている。冷却水排出室152には、冷却水を排出してクーリングタワー40に戻す冷却水排出管154が接続されている。冷却水供給室151と、冷却水排出室152との間には、ケーシング412の軸方向に延在して供給室151と排出室152とに両端が連通する複数の冷却水管155,155,・・・が設けられている。複数の冷却水管155,155,・・・は、ケーシング412内の上部の幅方向の両側に振り分けて配置されている。複数の冷却水管155,155,・・・の側方と下方には、凝縮水を収集する集水樋156が設けられている。集水樋156の内側に、凝縮水と共に処理室411内の空気を吸引する吸引管157が連通している。
【0097】
第2乾燥機402は、第1乾燥機401と同様の構成を有する。すなわち、内部に処理室421を有するケーシング422と、ジャケット423と、加熱攪拌部424を有する。加熱攪拌部424は、内部に蒸気が供給される回転軸241及びコイル状管体242と、コイル状管体242の外周側に設けられて一辺が5〜10cmの矩形の複数のブレード243を有する。ケーシング422内の上部には、被処理物から蒸発した蒸気を凝縮し、外部に排出するための凝縮部425が設けられている。第2乾燥機402の加熱攪拌部424のブレード243も、第1乾燥機1の加熱攪拌部414のブレード143と同様に、表面が、加熱攪拌部424の径方向の先端縁が回転方向に傾斜すると共に、軸方向の排出口422b側の側縁が反回転方向に傾斜している。
【0098】
第2乾燥機402のケーシング422には、一端側の上部に投入口422aが形成され、他端側の下部に排出口422bが形成されている。第1乾燥機401のケーシング412の排出口412bと、第2乾燥機402のケーシング422の投入口422aとの間は、スクリューコンベヤで形成された搬送コンベヤ452によって接続されている。第2乾燥機402の排出口422bには、スクリューコンベヤで形成された排出コンベヤ453が接続されている。排出コンベヤ453の終端は、エアロック機構を有する排出装置45に接続されている。
【0099】
第1及び第2乾燥機401,402のいずれも、処理室411,421内に、酵素が添加されている。酵素は、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等の微生物を採取、培養したものを処理室411,421内に投入して添加する。特に、余剰汚泥等の有機汚泥を発酵させて脱臭を行うには、各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であることが見出されている。菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する菌を、米ぬか又はオガ屑で培養して用いるのが好ましい。本実施形態では、減圧値0.03〜0.07MPaの減圧下、熱媒体温度60〜80℃で30分から2〜3時間にわたり、被処理物を攪拌しながら発酵菌を混合して脱臭を行うので、かかる条件下で発酵生育する微生物が好ましい。処理室411,421内に添加する酵素として、次の酵素のうちの少なくとも1つを採用することができる。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を含む微生物を、被処理物に含ませることにより、多種類の有機物成分からなる被処理物に対して効果的に分解処理を行うことができる。
【0100】
クーリングタワー403は、第1及び第2乾燥機401,402の凝縮部415,425から真空ポンプVP1,VP2で吸引された凝縮水と、処理室411,421内の空気が供給される。クーリングタワー403は、第1乾燥機401の冷却水排出室152と第2乾燥機402の冷却水排出室から回収した冷却水を風で冷却し、冷却した冷却水を冷却水ポンプP1,P2で、第1乾燥機1の冷却水供給室151と第2乾燥機402の冷却水供給室に戻す。また、クーリングタワー403は、凝縮水の脱臭処理を行うスクラバとして機能し、冷却水がスクラバの脱臭流体として機能する。
【0101】
上記クーリングタワー403は、冷却水を噴射するノズル431と、このノズル431から噴射された冷却水が流下する流下部432と、この流下部432を流れる冷却水に風を送るファン433と、上記流下部432を流れた冷却水を受ける水槽434を有する。水槽434には、凝縮部415から冷却水が導かれる冷却水管と、真空ポンプVP1,VP2から凝縮水が導かれる凝縮水管が接続されている。この凝縮水管には、ダストセパレータが介設されている。水槽434内には、散水ポンプSPが介設された散水管の一端が開口しており、この散水管の他端はノズル431に接続されている。上記流下部432には、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置されている。クーリングタワー403において、水槽434に導かれた凝縮水が冷却水に混ざり、この凝縮水が混ざった冷却水がノズル431に導かれる。ノズル431から噴射された冷却水は、流下部432を流れる際にファン433からの風で温度が降下して、水槽434内に流入する。クーリングタワー403で冷却された冷却水は、冷却水ポンプP1,P2によって第1及び第2乾燥機401,402の凝縮部415,425に戻される。
【0102】
上記クーリングタワー403と凝縮部415,425との間を循環する冷却水には、酵素が添加されている。この酵素は、処理室411,421内に微生物を投入して添加されたのと同様に、土着菌や発酵菌等の微生物が冷却水に投入されることによって添加されている。冷却水に添加される酵素は、上述の処理室411,421に添加できる複数の酵素のうち、少なくとも1つであればよい。冷却水中に酵素を添加することにより、凝縮水中に含まれる臭気成分や水溶性有害物質等を分解除去する。酵素による臭気成分等の分解は、クーリングタワー403及び凝縮部415,425の間に形成される冷却水の循環路において行われる。特に、クーリングタワー403の流下部432の充填材が微生物の担体として機能し、この流下部432で臭気の分解を促進するのが好ましい。
【0103】
この減圧発酵乾燥装置44は、凝縮水を冷却水に混ぜることにより、臭気成分等の濃度を全体として低減させるので、凝縮水の臭気成分等が増大しても微生物の処理能力を越える虞が少なくて、安定した微生物処理を行うことができる。また、処理室411,421内が減圧されていることから、凝縮部415,425で冷却水が室内空気と熱交換する際の冷却水の温度上昇が比較的小さくて、冷却水の温度は概ね40〜45℃になる。これにより、冷却水中の微生物が高温によって死滅する不都合が防止され、微生物が安定して活性化され、凝縮水を安定して微生物で脱臭することができる。
【0104】
また、クーリングタワー403では、冷却水の蒸発が促進されるのでオーバーフローが殆ど生じない。しかも、凝縮水中の臭気成分等は冷却水で薄められるので、高度に分解除去できる。したがって、減圧発酵乾燥装置44の外部に臭気成分や有害成分が排出される不都合を効果的に防止できる。また、水槽434には、真空ポンプVP1,VP2によって凝縮水と共に処理室411,421内の空気が導かれる。この水槽434に導かれた空気に含まれる臭気成分等は、水槽434内の冷却水や、流下部432から滴下する冷却水に接触して溶解し、この冷却水の微生物によって分解除去される。このように、クーリングタワー403は、処理室411,421から導かれる空気のスクラバとしても機能し、冷却水が脱臭流体として機能する。
【0105】
この減圧発酵乾燥装置44で被処理物を乾燥する場合、第1処理室411の内部の空気を真空ポンプVP1で吸引すると共に、第2処理室421の内部の空気を真空ポンプVP2で吸引して、いずれも大気圧よりも低い圧力に減圧する。ここで、第1処理室411の減圧値を0.03〜0.07MPaとし、水の沸点を約90〜68℃に低下させることができる。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の差分をいう。一方、第2処理室421の減圧値を0.05〜0.09MPaとし、水の沸点を約80〜46℃に低下させることができる。
【0106】
第1及び第2乾燥機401,402に供給する熱媒体としては、ジャケット413,423には0.2〜0.3MPaかつ130℃の蒸気を用いる一方、加熱攪拌部414,424には0.7〜0.8MPaかつ170℃の蒸気を用いる。このように、回転駆動された状態で加熱を行う加熱攪拌部414,424に、静止した状態で加熱を行うジャケット413,423よりも高い温度の熱媒体を供給することにより、加熱攪拌部414,424とジャケット413,423との夫々が、被処理物が付着して焦げ付かない限度の高い温度で、被処理物を効率的に加熱することができる。また、処理室411,421内が減圧されているので、常圧で乾燥させるよりも熱媒体の温度を低く設定できる。したがって、熱媒体としての蒸気の生成エネルギーを削減できる。また、被処理物の加熱温度が低いので、第1及び第2処理室411,421内に添加されて脱臭を行う微生物の死滅を防止でき、効果的に脱臭を行うことができる。例えば、第1乾燥機401で乾燥脱臭処理がなされた被処理物は、60℃前後の温度で第2処理室421に送られる。このように、被処理物が比較的低温の温度に加熱されることにより、微生物を効果的に活性化させて脱臭を行うことができ、また、減圧環境の下で十分に乾燥させることができる。
【0107】
また、第1処理室411は、水分量が80〜99.5質量%の高水分の被処理物が投入され、減圧発酵乾燥処理により、20〜50質量%に相当する水分を蒸発させる。続いて、第2処理室421は、第1処理室411で乾燥処理された30〜79.5質量%の水分量の被処理物が投入され、この被処理物を乾燥させて、水分量を30質量%よりも低くする。ここで、第2処理室421の減圧値を、第1処理室411の減圧値よりも大きく設定し、第2処理室421の気圧が第1処理室411の気圧よりも低い状態で乾燥させる。これにより、被処理物の水分量が第1処理室411の被処理物の水分量よりも少ない第2処理室421において、乾燥効率を向上させて、第1処理室411の乾燥効率とあわせることができる。したがって、第1処理室411で乾燥させて第2処理室421に搬送する被処理物の量と、第2処理室421で乾燥させて第2処理室421から排出する被処理物の量を、概ね同じに揃えることができる。その結果、第1処理室411と第2処理室421で連続的に乾燥処理を行うことができる。ここで、連続的な乾燥処理とは、投入装置451で第1乾燥機401に連続して被処理物を投入すると共に、第1乾燥機401から第2乾燥機402へ搬送コンベヤ452で連続して被処理物を搬送し、更に、第2乾燥機402の処理室421から排出コンベヤ453で連続して被処理物を排出する場合に限られない。少なくとも第1乾燥機401の加熱攪拌部414と、第2乾燥機402の加熱攪拌部424が連続して動作していれば、投入装置451による被処理物の投入と、搬送コンベヤ452による被処理物の搬送と、排出コンベヤ453による被処理物の排出は、断続的であってもよい。
【0108】
さらに、第2処理室421の加熱攪拌部424の回転速度は、第1処理室411の加熱攪拌部414の回転速度よりも大きく設定するのが好ましい。これにより、第1処理室411の被処理物よりも水分量が少なくて乾燥し難い乾燥第2処理室421の被処理物を、第1処理室411の被処理物と同じ程度に乾燥させることができ、第1処理室411と第2処理室421とで被処理物の連続処理を行うことができる。ここで、第1処理室411の加熱攪拌部414の回転速度を10rpm(回転毎分)と設定する一方、第2処理室421の加熱攪拌部424の回転速度を30rpmと設定することができる。なお、第1処理室411と第2処理室421の被処理物の水分量に応じて、第1処理室411の加熱攪拌部414の回転速度を1rpm〜20rpmの間に設定すると共に、第2処理室421の加熱攪拌部424の回転速度を10rpm〜60rpmの間に設定することができる。
【0109】
また、第1処理室411及び第2処理室421の加熱攪拌部414,424は、コイル状管体142,242の外周側に設けられたブレード143,243により、ケーシング412,422の内側面の近傍の被処理物をすき取ることができる。したがって、ケーシング412,422のジャケット413,423が形成された位置の内側面に、被処理物が固着する不都合を効果的に防止できる。
【0110】
このように、本実施形態の減圧発酵乾燥装置44は、第1乾燥機401と第2乾燥機402により、第1乾燥機401の処理室411よりも第2乾燥機402の処理室421を大きい減圧値で減圧し、第1乾燥機401の加熱攪拌部414よりも第2乾燥機402の加熱攪拌部424を大きい回転速度で回転することにより、高水分の被処理物を、第1乾燥機401と第2乾燥機402乾燥機とで連続的に乾燥処理をして、低水分の被処理物を連続的に得ることができる。また、第1乾燥機1と第2乾燥機2で凝縮された凝縮水を、スクラバとして機能するクーリングタワー403で脱臭を行うことができる。これらにより、例えば下水汚泥やし尿等の臭気が強くて水分量の高い有機汚泥を、高い効率で乾燥及び脱臭処理することができる。
【0111】
また、上記減圧発酵乾燥装置44は、減圧環境下で汚泥の発酵及び乾燥を行うので、減圧に伴う沸点の降下により、少ない熱量で汚泥を乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置44で汚泥を発酵させるので、汚泥を効果的に脱臭できて、周辺環境への影響を少なくできる。また、減圧発酵乾燥装置44は、キルンのように排気に多くの煤塵や臭気を含まないので、煤塵の除去と脱臭のための装置構成を簡易にでき、設備コストを削減できる。また、上記減圧発酵乾燥装置44に、公知の塩素分解酵素を添加することにより、汚泥の塩素含有物をも除去して、ダイオキシンの発生をさらに高度に防止することができる。
【0112】
上記減圧発酵乾燥装置44において、第1乾燥機401と第2乾燥機402で乾燥され、水分量が30質量%よりも低くなり、また、発酵作用によって臭気が減少した低水分低臭気の発酵乾燥汚泥は、ケーシング422の下部の他端側の排出口422bから排出される。排出口422bから排出された発酵乾燥汚泥は、排出コンベヤ453で搬送され、エアロック機構を有する排出装置45を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機46に送られる。
【0113】
なお、上記減圧発酵乾燥装置44は、第1乾燥機401と第2乾燥機402による2段の処理室を含んで構成したが、処理室は1段でもよい。すなわち、第2乾燥機402を削除し、第1乾燥機401のケーシング412の排出口412bから排出された発酵乾燥汚泥を、定量供給機46に送ってもよい。
【0114】
定量供給機46に一旦貯蔵された発酵乾燥汚泥は、固形燃料製造ライン5に送られる。
【0115】
図10は、木質廃棄物処理ライン4の構成を示す模式図である。木質廃棄物処理ライン4には、廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入され、木質屑としての木質チップ及び木屑を形成する。
【0116】
木質廃棄物処理ライン4に投入された木質廃棄物は、破砕機61で破砕される。ここで、廃木材等の乾燥が進んだ木質廃棄物は、ハンマ式の破砕機で破砕する一方、間伐材や材木端材等の乾燥が進んでいない木質廃棄物は、チッパ式の破砕機で破砕する。
【0117】
破砕機61で破砕された木質廃棄物は、コンベヤ62で搬送され、ドラム型磁選機63で釘や金具等の重量物が除去された後、旋回篩機64に送られる。旋回篩機64は、有底の篩枠の内部に2段の篩網を掛け渡してなる篩本体を、傾斜した状態で傾斜面内において旋回駆動するように構成されている。この旋回篩機64は、篩本体に投入された木質廃棄物を、各篩網に応じて小径、中径及び大径の3種類に分級するようになっている。詳しくは、篩本体の2段の篩網は、上段に設けられた網目寸法の大きい大網と、下段に設けられた網目寸法の小さい小網とで構成される。この篩本体に、上段の大網の上方から投入された木質廃棄物の破砕片を大網と小網で順次篩分けて、直径が20mmを越える大径の破砕片と、直径が5〜20mmの中径の破砕片と、直径が5mmを下回る小径の破砕片とに分級する。
【0118】
旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が5〜20mmの中径の破砕片は、スクリューコンベヤ65で搬送され、このスクリューコンベヤ65の終端に連なる風力選別機66で重量物が除去される。風力選別機66は、ジグザグ状に繰り返し屈曲した分離管路661と、サイクロンセパレータ662と、ブロワ663を有し、ブロワ663で生成される風によって被処理物が分離管路661を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機66により、中径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ662で搬送風から分離された上記中径の破砕片が、木質チップとして定量供給機47に貯留される。
【0119】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が5mmを下回る小径の破砕片は、スクリューコンベヤ67で搬送され、このスクリューコンベヤ67の終端に連なる風力選別機68で重量物が除去される。風力選別機68は、分離管路681と、サイクロンセパレータ682と、ブロワ683を有し、ブロワ683で生成される風によって被処理物が分離管路681を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機68により、小径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ682で搬送風から分離された上記小径の破砕片が、木屑として定量供給機69に貯留される。
【0120】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が20mmを越える大径の破砕片は、図示しないリターンコンベヤで破砕機61に戻されて再度破砕される。
【0121】
定量供給機47に貯留された木質チップは、燃料として主にボイラ6に供給される。ボイラ燃料として木質チップを用いることにより、ボイラの化石燃料の使用料を削減でき、温室効果ガスの排出量を低減できる。また、定量供給機47に貯留された木質チップは、必要に応じて、RPFの材料のうちの植物由来廃棄物として、固形燃料製造ライン5に供給される。一方、定量供給機69に貯留された木屑は、汚泥処理ライン3に送られ、木屑供給装置43によって汚泥に添加されて減圧発酵乾燥装置44に投入される。減圧発酵乾燥装置44で乾燥処理を施す汚泥に木屑を添加することにより、汚泥の水分割合の低減と、窒素成分の割合の低減を行うことができる。なお、定量供給機69に貯留された木屑は、木質チップと共に固形燃料製造ライン5に投入されてもよい。
【0122】
図11は、固形燃料製造ライン5の構成を示す模式図である。固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックを含む可燃物と、汚泥処理ライン3で生成された発酵乾燥汚泥とを用いて、固形燃料としてのRPFを製造する。
【0123】
固形燃料製造ライン5では、混合廃棄物処理ライン2で抽出されて定量供給機50に貯蔵された廃プラスチックを含む可燃物が定量供給機50から巻き出され、スクリューコンベヤ70で搬送される。スクリューコンベヤ70で搬送される廃プラスチックを含む可燃物に、汚泥処理ライン3の定量供給機46から発酵乾燥汚泥が供給されて合流する。また、このスクリューコンベヤ70に、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機47から木質チップが添加される。さらに、スクリューコンベヤ70に、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。なお、スクリューコンベヤ70への木質チップの添加は行わなくてもよく、すなわち、木質チップは固形燃料の材料に用いなくてもよい。
【0124】
この固形燃料製造ライン5は、汚泥処理ライン3で生成された発酵乾燥汚泥と、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックと、混合廃棄物処理ライン2で抽出された紙屑及び木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップ又は木屑を含む植物由来廃棄物とを、次のような割合で配合してRPFを製造する。すなわち、発酵乾燥汚泥が概ね40質量%であり、廃プラスチックが概ね40質量%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20質量%の割合で固形化したRPFを製造する。このRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。
【0125】
図11に示すように、固形燃料製造ライン5では、スクリューコンベヤ70により、発酵乾燥汚泥と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料がRPF成形機71に供給される。RPF成形機71は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、廃プラスチックの溶融成分をバインダとして、可燃物である紙、繊維及び木質成分を固形化してRPFを製造する。RPF成形機71には、スクリュー式成形機やリングダイ式成形機を用いることができる。
【0126】
図12は、成形機の一例としての2軸型のスクリュー式成形機を示す断面図である。このスクリュー式成形機72は、2軸のスクリューによって材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行うものであり、材料の圧縮により発生する摩擦熱を利用して高効率に加熱圧縮成形を行う。
【0127】
このスクリュー式成形機72は、被処理物の混練、圧縮及び成形を行う処理部721と、この処理部721を駆動するギヤボックスG、減速機V、伝動装置T及びモータとで大略構成されている。
【0128】
上記処理部721は、被処理物の投入口722aが上側面に形成されたケーシング722内に、被処理物を混練及び圧縮する1対の螺旋軸723,723を収容している。上記ケーシング722の端面に端面板724を備え、この端面板724に、圧縮された被処理物を断面円形に成形して排出する複数の成形ノズル725が取り付けられている。
【0129】
ケーシング722のギヤボックスG側の面には、ギヤボックスG内から延在する一対の回転軸726の先端が臨んでおり、この回転軸726,726の先端に、断面六角形の駆動軸727が連なっている。一対の駆動軸727は、端面板724の内側面の近傍まで互いに平行に延びている。この一対の駆動軸727に、上記螺旋軸723,723が取り付けられている。
【0130】
ギヤボックスG内には、上記一対の回転軸726,726と、この一対の回転軸726,726に各々設けられて互いに噛み合う平歯車728が収容されており、一対の回転軸726,726のうちの一方は、減速機Vに接続されたカップリング729に接続されている。図示しないモータから伝動機Tを介して伝達された回転力が、減速機Vで減速され、カップリング729を介して一方の回転軸726に伝達される。この一方の回転軸726から平歯車728を介して他方の回転軸726に回転力が伝達されて、上記一対の回転軸726,726が互いに反対方向に等速で回転するように形成されている。
【0131】
螺旋軸723は、上記駆動軸727に取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の駆動軸727,727に取り付けられた一対の螺旋軸723,723は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、軸部の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸726,726は、互いに逆向きに回転駆動され、これにより、ケーシング722内に投入された被処理物を一対の螺旋軸723,723が挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板724側に移送するように形成されている。
【0132】
ケーシングの端面には、端面板724の成形ノズル725から排出された棒状の被処理物を切断する図示しない切断機が取り付けられている。この切断機は、成形ノズル725の出口に回転可能に配置された回転刃と、この回転刃を駆動するモータを備える。
【0133】
処理部721内に収容された一対の螺旋軸723,723は、ケーシング722内の投入口722a側から端面板724側に向かって、順に、第1螺旋軸731と、第2螺旋軸732と、第3螺旋軸733とで形成されている。各螺旋軸731,732,733は、駆動軸727に連結された軸部と、軸部の外周面に固定された螺旋羽根部とで形成されている。上記第1螺旋軸731と、第2螺旋軸732と、第3螺旋軸733は、この順に、軸部の径が大きく形成されていると共に、螺旋羽根部のピッチが、この順に小さく形成されている。更に、螺旋羽根部の厚みが、この順に大きく形成されている。これにより、各螺旋軸の表面と、ケーシング722の内側面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸731と、第2螺旋軸732と、第3螺旋軸733との順に小さくしている。その結果、第1螺旋軸731、第2螺旋軸732及び第3螺旋軸733は、被処理物を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に後段に移送すると共に、順次大きい圧縮力を被処理物に与えることができる。この螺旋軸723により、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、端面板の成形ノズル725からの排出時に、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮することができる。また、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、成形ノズル725からの排出時に、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮することができる。
【0134】
第3螺旋軸733は、螺旋羽根部の先端に平面部を有し、平面部が端面板724の内側面に近接配置されて第3螺旋軸733が回転駆動されることにより、高密度に圧縮された被処理物を端面板724の成形ノズル725から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸733は、被処理物に各螺旋軸731,732,733が与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成された肉盛部とで構成している。
【0135】
ケーシング722内には、第2及び第3螺旋軸732,733を取り囲む複数のライニングブロック730,730,・・・が配置されている。この複数のライニングブロック730と、第2及び第3螺旋軸732,733の外側面との間に、被処理物の処理室を形成している。
【0136】
端面板724は、第3螺旋軸の先端の平面部が近接して通過する領域に、複数の貫通孔が設けられており、この貫通孔に成形ノズル725が挿入されている。端面板724には、抵抗加熱式の電機ヒータが内蔵されており、成形ノズル725を通して排出する被処理物を加熱して、柔軟性を保持するようになっている。
【0137】
このスクリュー式成形機72は、次のようにしてRPFを製造する。
【0138】
まず、端面板のヒータに電力を供給し、端面板724の予備加熱を行った後、モータを起動し、回転力を伝動機T、減速機V及びカップリング729を介して回転軸726に伝達する。これにより、一対の螺旋軸723,723がケーシング722内で互いに逆向きに回転する。螺旋軸723の回転速度は、例えば30rpm以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。続いて、ケーシング722の投入口722aに、スクリューコンベヤ70により、発酵乾燥汚泥と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料が搬送されて投入される。
【0139】
ケーシング722内では、投入された被処理物を、一対の第1螺旋軸731で挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸732側に確実に移送する。第2螺旋軸732は、この第2螺旋軸732とライニングブロック730との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、被処理物の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた被処理物を、上記第2螺旋軸732の回転動作によって端面板724側に送りながら混練及び圧縮するので、被処理物の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸733が、この第3螺旋軸733とライニングブロック730との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸731,732,733は、この順に、軸部の径が大きく形成され、螺旋羽根部のピッチが大きく形成され、かつ、螺旋羽根部の厚みが大きく形成されているので、被処理物の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、被処理物を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0140】
また、第1、第2及び第3螺旋軸731,732,733は、順次大きい圧縮力を被処理物に与えて混練を行うことにより、被処理物に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせて、被処理物に含まれる廃プラスチックを効果的に溶融させることができる。このように、被処理物の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板724のヒータによって補助的に加熱するのみにより、廃プラスチックを十分に溶解することができる。
【0141】
第3螺旋軸733に導かれて高圧力で圧縮された被処理物は、溶融物が溶融した状態で、端面板724の成形ノズル725から棒状に押し出される。押し出された棒状の被処理物は、切断機によって所定長さに切断され、温度が降下するに伴ってプラスチック成分が固化してRPFが得られる。
【0142】
図13は、成形機の他の例としてのリングダイ式成形機の主要部を示す図である。このリングダイ式成形機74は、所謂ペレットミルと呼ばれる成形機であり、回転駆動される回転円筒体740の内側から、胴部に設けられたダイ孔740aを通して被処理物を押し出すことにより、ペレット状のRPFを製造するものである。
【0143】
このリングダイ式成形機74は、ダイ孔740aが設けられた回転円筒体740と、この回転円筒体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動輪741,741とを備える。2つの転動輪741は、回転円筒体740の直径上の対向位置に配置され、転動輪741の表面には、被処理物のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転円筒体740と、転動輪741,741とを夫々矢印R1,R2で示す方向に回転駆動した状態で、回転円筒体740内に、スクリューコンベヤ70により、発酵乾燥汚泥と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料を搬送して投入する。投入された材料は、回転円筒体740の内側面と転動輪741の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転円筒体740の胴部のダイ孔740aから外側に押し出される。押し出された材料は、回転円筒体740の胴部に対向して配置された固定刃742,742によって所定長さに切り取られて、ペレット状のRPFが得られる。リングダイ式成形機74は、直径が10mm程度までの比較的小径の固形燃料を製造するのに好適であり、また、成形前の被処理物の水分量が少なくて被処理物の加熱が不要である場合に好適である。
【0144】
なお、RPF成形機71としては、上述のようなスクリュー式成形機やリングダイ式成形機を用いることができるが、例えばフラットダイ式成形機等、他の形式の成形機を用いることもできる。ここで、フラットダイ式成形機としては、複数のダイ孔が環状の領域にわたって形成され、環状のダイ孔が形成された領域の中心に公転軸を有する平面状のフラットダイと、この公転軸周りに周面がフラットダイの表面に対して摺動状態で公転駆動されて、フラットダイの表面との間に供給された材料をダイ孔に押し込むローラとを備えるものを用いることができる。
【0145】
このように、スクリュー式成形機72やリングダイ式成形機74等で構成されるRPF成形機71で製造されたRPFは、冷却機72で冷却されて貯蔵サイロ73に貯蔵される。貯蔵サイロ73に貯蔵されるRPFは、ボイラ用や暖房用等の種々の用途の燃料として販売される。また、貯蔵サイロ73のRPFの一部は、燃料としてボイラ6に供給される。
【0146】
本実施形態のボイラ6は、汚泥処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に加熱媒体としての蒸気を供給する。ボイラ6は、バーナと蒸気ボイラを有し、バーナの燃料として、固形燃料製造ライン5の貯蔵サイロ73から供給されたRPF及び木質廃棄物処理ライン4の定量供給機47から供給された木質チップを用いる。バーナでRPF又は木質チップが燃焼し、この燃焼熱により蒸気ボイラで生成した蒸気を、汚泥処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に供給する。
【0147】
このボイラ6は、減圧発酵乾燥装置44の第1乾燥機401の第1処理室411と、第2乾燥機402の第2処理室421との少なくとも一方から、室内の空気が燃焼空気として供給されるように形成されている。第1処理室411又は第2処理室421内の空気は、図示しない送風機によってボイラ6へ供給される。なお、減圧発酵乾燥装置44の真空ポンプVP1,VP2で吸引された凝縮水と第1処理室411又は第2処理室421内の空気から、第1処理室411又は第2処理室421内の空気のみを分離してボイラ6へ供給してもよい。これにより、第1処理室411又は第2処理室421内の臭気を有する空気を、ボイラ6のバーナで燃焼させて、臭気を除去することができる。したがって、臭気により周辺環境に影響を与えることなく、減圧発酵乾燥装置44の第1処理室411又は第2処理室421の減圧を行うことができる。
【0148】
このように、本実施形態の汚泥の固形燃料化プラント1によれば、混合廃棄物処理ライン2で混合廃棄物から抽出された廃プラスチックを含む可燃物と、汚泥処理ライン3で汚泥が処理されてなる発酵乾燥汚泥とを用いて、固形燃料製造ライン5でRPFを製造する。したがって、従来は最終処分場に処分していた廃棄物の最終残留物や、乾燥汚泥や、焼却灰の量を削減できる。その結果、最終処分にかかる費用を削減できるうえに、有価物であるRPFを販売することにより、固形燃料化プラント1の設備費用や運営費用を補うことができる。延いては最終処分の需要を削減して、最終処分場の建設を抑制できる。
【0149】
また、上記混合廃棄物処理ライン2の洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、従来のように紙類を乾燥させるために生石灰を添加する必要が無い。したがって、本発明の固形燃料化プラントで製造された固形燃料は、燃焼する際に生成される灰を従来よりも少なくできる。
【0150】
また、上記洗浄脱水機30は、被処理物の加熱を行なわないので、加熱により被処理物に含まれる塩化ビニル等の塩素含有樹脂が溶融して他の古紙や廃プラスチック等の軽量物に付着することが無い。したがって、塩素含有樹脂の付着により、他の軽量物が固形燃料の材料に使用できなくなって、廃棄物の固形燃料への再生率が低下する不都合を防止できる。
【0151】
また、上記混合廃棄物処理ライン2は、混合廃棄物を処理して可燃物と廃プラスチックを抽出するので、混合廃棄物処理ライン2に投入される廃棄物は、可燃物と不燃物と廃プラスチックとに分別されていなくてもよい。したがって、廃棄物の排出者及び回収者のいずれにおいても、廃棄物の分別にかかる手間と費用を削減することができる。
【0152】
また、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFの一部や、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップを、汚泥処理ライン3の熱源であるボイラ6の燃料に用いるので、汚泥を発酵乾燥処理する際に必要な燃料費を削減することができる。さらに、固形燃料化プラント1に投入された廃棄物から、固形燃料化プラント1で消費する燃料を製造するので、全体として、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0153】
また、本実施形態の汚泥の固形燃料化プラント1は、家庭や事務所等からの廃棄物を混合廃棄物処理ライン2で処理すると共に、下水処理施設や建築現場や食品工場等で生成された汚泥を汚泥処理ライン3で処理するので、この固形燃料化プラント1が設置された地域で排出される廃棄物を、一括して処理することができる。
【0154】
以上、本発明の汚泥の固形燃料化プラントに関し、可燃物と不燃物が混合して存在する廃棄物と汚泥とを材料として固形燃料を製造する例について説明したが、本発明の固形化燃料プラントは、少なくとも可燃物を含む廃棄物と汚泥とを材料として固形燃料を製造するものであってもよい。例えば、廃プラスチックや古紙等の可燃物のみを含んだ廃棄物を、粗破砕機で粗破砕し、洗浄脱水機で洗浄及び脱水した後、塩素を含有する樹脂を塩素含有樹脂除去装置で除去する。この塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂を除去した廃棄物を破砕機で破砕し、減圧発酵乾燥装置によって発酵及び乾燥された発酵乾燥汚泥と混合し、成形機で成形して固形燃料を製造してもよい。このように、可燃物のみを含む廃棄物から、粗破砕機と、洗浄脱水機と、塩素含有樹脂除去装置とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、古紙や廃プラスチック等の可燃性の材料を効率よく回収できる。これらの可燃性材料と発酵乾燥汚泥を用いて固形燃料を製造することにより、廃棄物や汚泥から高い再生率で固形燃料を製造することができる。したがって、従来は最終処分場に埋め立てていた廃棄物や、汚泥や、焼却灰の量を削減でき、延いては最終処分の需要を削減して、最終処分場の建設を抑制できる。また、固形燃料の材料としての可燃物を含む廃棄物は、廃プラスチックのみの単品か、紙屑のみの単品か、木屑のみの単品であってもよい。この場合、分別機による分別工程を省略できて、少ない工程で固形燃料を製造できる。
【符号の説明】
【0155】
1 汚泥の固形燃料化プラント
2 混合廃棄物処理ライン
3 汚泥処理ライン
4 木質廃棄物処理ライン
5 固形燃料製造ライン
21 粗破砕機
24 揺動型分別機
30 洗浄脱水機
35 光学式選別装置
71 成形機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可燃物を含む廃棄物と、汚泥とを用いて固形燃料を製造するプラントであって、
上記廃棄物の粗破砕を行う粗破砕機と、
粗破砕された上記廃棄物を、旋回力を作用させて洗浄及び脱水をする洗浄脱水機と、
上記洗浄脱水機で洗浄及び脱水された廃棄物のうち、塩素を含有する樹脂を電磁波の反射率に基づいて判別して除去する塩素含有樹脂除去装置と、
上記塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された廃棄物を破砕する破砕機と、
汚泥を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記破砕機で破砕された廃棄物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とを成形して固形燃料を製造する成形機と
を備えることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項2】
可燃物と不燃物とが混在する廃棄物と、汚泥とを用いて固形燃料を製造するプラントであって、
上記廃棄物の粗破砕を行う粗破砕機と、
上記粗破砕機で粗破砕された廃棄物を、傾斜状態で揺動する揺動板により、寸法と比重の違いに応じて重量物と軽量物と小径物とに分別する揺動型分別機と、
上記揺動型分別機で分別された軽量物を、旋回力を作用させて洗浄及び脱水をする洗浄脱水機と、
上記洗浄脱水機で洗浄及び脱水された軽量物のうち、塩素を含有する樹脂を電磁波の反射率に基づいて判別して除去する塩素含有樹脂除去装置と、
上記塩素含有樹脂除去装置で塩素含有樹脂が除去された軽量物を破砕する破砕機と、
汚泥を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記破砕機で破砕された軽量物と、上記減圧発酵乾燥装置で汚泥が発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥汚泥とを成形して固形燃料を製造する成形機と
を備えることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと
を備えることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項4】
請求項3に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記減圧発酵乾燥装置は、
上記処理室内に設けられ、被処理物からの蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記処理室内の空気を、上記凝縮部で凝縮されてなる凝縮水と共に吸引する吸引ポンプと、
酵素が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水を冷却すると共に、上記吸引ポンプで吸引した処理室内の空気と凝縮水を上記冷却水に接触させる冷却脱臭装置と
を備えることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項5】
請求項3に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記固形燃料の燃焼熱を用いて、上記減圧発酵乾燥装置の加熱攪拌部及びジャケットへ供給する蒸気を生成するボイラと、
上記減圧発酵乾燥装置の処理室内の空気を吸引し、吸引した空気を上記ボイラに燃焼空気として供給する送風機と
を備えることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項6】
請求項3に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記減圧発酵乾燥装置は、
上記処理室を複数個備え、第1処理室で処理された被処理物を、第2処理室以降の処理室に順次送って処理するように形成され、
第2処理室以降の処理室の加熱攪拌部の回転速度が、第1処理室の加熱攪拌部の回転速度よりも大きいことを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記洗浄脱水機によって被処理物から分離された成分を、上記減圧発酵乾燥装置に投入するように形成されたことを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項8】
請求項2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記揺動型分別機は、透過孔を有して傾斜して配置された複数の揺動体と、隣り合う揺動体の間で異なる位相で揺動駆動する駆動機構とを有し、
揺動する上記揺動体の作用により、投入された廃棄物を重量物と軽量物と小径物とに分別することを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記洗浄脱水機は、回転軸の周方向及び延在方向に設けられた複数の回転羽根と、これら複数の回転羽根の外径側に配置され、複数の透過孔が形成された透過体とを有し、
回転する上記回転羽根の作用により、投入された被処理物に含まれる水及び付着物を分離し、透過体の外側に排出して、上記被処理物の洗浄と脱水を行うことを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記塩素含有樹脂除去装置は、
被処理物を載置面に載置して移送する移送装置と、
上記移送装置の載置面上の被処理物に、電磁波としての赤外線を照射する赤外線照射部と、
赤外線が照射された被処理物からの反射波を検出する反射波検出部と、
上記反射波検出部で反射波が検出された被処理物の位置を検出する位置検出部と、
上記反射波検出部が検出した反射波のスペクトル分布に基づいて被処理物の材料を判別する材料判別部と、
上記材料判別部で判別された被処理物の材料が塩素含有樹脂である場合、上記位置検出部で検出された被処理物の位置の情報に基づいて、材料が塩素含有樹脂である被処理物に圧縮空気を噴射して載置面上から除去する噴射部とを有することを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の汚泥の固形燃料化プラントにおいて、
上記成形機は、スクリュー式成形機、又は、リングダイ式成形機、若しくは、フラットダイ式成形機であることを特徴とする汚泥の固形燃料化プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−105816(P2011−105816A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260501(P2009−260501)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】