説明

治癒組成物

本発明は、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなることを特徴とする三成分組成物に関する。また本発明は、前記三成分組成物を含む治癒組成物に関する。前記組成物において、炭水化物源はハチミツから選択され、脂肪酸源はリノール酸およびリノレン酸リッチな油から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライおよび/またはウェットな上皮組織の治癒の分野に関し、より詳細には、創傷、および外傷を負った皮膚および/または粘膜の領域、たとえば熱傷、褥瘡性潰瘍、および壊死した創傷および重傷に使用することができる、創傷治癒組成物および手当用品(dressing)に関する。
【0002】
多くの手当用品、とりわけ親水コロイド、ヒドロゲル、アルギン酸カルシウムベースの手当用品、炭の手当用品、多糖ベースの手当用品、ハイドロファイバー手当用品、ハイドロセルラー(hydrocellular)手当用品、パラフィンガーゼ手当用品または半透性フィルムが、現在、市販されているか、あるいは試験中である。
【0003】
主な研究調査、とりわけ親水コロイドの手当用品の開発にもかかわらず、創傷治癒には大きな問題が残り、とりわけ褥瘡性潰瘍、および重傷の壊死した滲出性創傷の治癒には問題が残る。
【0004】
実際、洗浄フェーズを経由して炎症フェーズから増殖フェーズまで、創傷の状態の進行の種々のフェーズは、吸収特性から洗浄特性にわたる、ときどき矛盾した特性を必要とする。
【0005】
更に、全てのフェーズが満足な様式で起こるように、外来性細菌による創傷のコンタミネーションを回避するために、創傷のカバーには、酸素および水蒸気を透過可能であるが、好ましくは細菌を透過しないことが必要である。
【0006】
コスメティック治療のための天然組成物は、RO 11905から公知である。とりわけ植物抽出物、ミツバチのハチミツおよびクレーを含有するゴム形態の組成物が当該文献に記載される。この生成物が、創傷治癒効果をもち得ることが記載される。ゴムは、パウダー形態に組み込まれた植物抽出物からなる研磨粒子の存在により特徴づけられ、研磨粒子は、表皮から死細胞を除去するために表皮剥脱を引き起こす役割をもつ。この文書は、クレー、ハチミツおよび植物油を含み、研磨粒子を含有せず、外傷を負った皮膚に優しい、スムース組成物を開示も示唆もせず、また、材料の損失を伴う外傷の治癒であって、従来の創傷治癒の間に使用されるプロセスとは大きく異なるプロセスを使用する創傷治癒のためのかかる組成物の使用を開示も示唆もしない。
【0007】
本発明は、創傷の進行段階に関係なく、あらゆるニーズに対して満足な応答を可能にし、創傷治癒の顕著な促進を可能にする。
【0008】
本発明は、炭水化物源、クレーから選択される分割された(divided)ミネラル源、および脂肪酸源からなること、並びに研磨粒子を含有しないことを特徴とする三成分組成物からなる。
【0009】
研磨粒子を含有しないという表現は、植物またはミネラルをパウダー形態で含有しない組成物を意味すると理解される。
【0010】
源という表現は、医薬源という用語、たとえば栄養エレメント源という表現の使用から類推して、源から広がるある種のエレメントを提供することを可能にする複合物質を意味すると理解される。
【0011】
炭水化物源は、ハチミツから選択される。
【0012】
分割されたミネラル源は、クレーから選択される。
【0013】
脂肪酸源は、リノール酸およびリノレン酸リッチな油から選択される。
【0014】
脂肪酸源は、ツバキ油、マスクローズ油、マツヨイグサ油、サフラワー油、クロフサスグリ種油、ヒマワリ油、コムギ胚種油、ルリジサ油、および魚油から選択される。
【0015】
本発明は、研磨粒子を含有しない、クレー、ハチミツおよび油の三成分組成物に関する。
【0016】
本発明の三成分組成物は、すべての上皮組織に対して、上皮組織がウェットであるかそれ以外(皮膚、粘膜、膣および/または泌尿器の粘膜)であるかにかかわらず、そして、外傷の起源、たとえば湿疹、乾癬または膿痂疹による外傷性および/または病理性起源にかかわらず、創傷治癒特性を有する。
【0017】
また本発明は、創傷治癒組成物の調製のための前記組成物の使用に関する。
【0018】
また本発明は、上述の三成分組成物を有効成分として含む創傷治癒組成物に関する。
【0019】
創傷治癒組成物という表現は、適切なガレン(galenic)形態で、すなわちスプレー、パッチ、クリーム、液体、ペーストまたはマイクロカプセルで、ウェットまたは非ウェット上皮組織、粘膜または皮膚に適用されるように意図された任意の組成物を意味すると理解される。
【0020】
炭水化物源は、ハチミツであり得る。
【0021】
ハチミツの化学組成は、花の起源または地理的起源によって変化する。ハチミツは、炭水化物75〜80%(主にグルコースおよびレブロース)、必須アミノ酸、微量元素、ミネラル塩:カルシウム、塩素、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、銅、シリコーン、硫黄、ビタミンB1、B2、B5、B6、B8およびPP、“抗生物質”ファクターおよび水から主に構成される。
【0022】
他の物質、たとえばタンパク質および酵素も存在する。
【0023】
ハチミツのフルクトース含量が高いほど、結晶化せず;液体、透明および流体のハチミツである(たとえば:アカシアのハチミツ)。
【0024】
グルコース含量が高いほど、結晶化し、その粘稠度が高い。
【0025】
炭水化物がリッチで(重量の3/4)、スクロースが低いと、その同化は、体内に毒素を発生しない。水は、平均含量(変動し得る)が17.2%(21%以下)であるため、無視できない量で存在する。
【0026】
炭水化物は、ハチミツの最大部分を構成する。単糖(グルコースおよびレブロース)は、ハチミツの糖の85〜95%に相当する量で存在するが、ほとんどの場合優勢なのはレブロースであり、ハチミツの重量の38%の含量であるのに対し、グルコース含量は31%である。
【0027】
また、スクロース(1.5%)およびマルトース(7.5%)も存在し、他の糖も微量に存在する:イソマルトース、ニゲロース、ツラノース、マルツロース(maltulose)、イソマルツロース(isomaltulose)、ロイクロース(leucrose)、コージビオース(kojibiose)、ネオトレハロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース(laminaribiose)、メレジトース、エリオース(eriose)、1-ケルトース(1-kertose)、デキストラントリオース、ラフィノース、イソパノース(isopanose)、イソマルトテトラオース(isomaltotetraose)、6-a-グルコシルサッカロース、アラボガラクトマンナン(arabogalactomannan)、マルトトリオース、イソマルトペンタオース(isomaltopentaose)、パノース(panose)、イソマルトトリオース、3-a-イソマルトシルグルコース(isomaltosylglucose)、セントース(centose)。
【0028】
レブロースおよびグルコースの存在は、主に、スクロースに対するインベルターゼの作用による。
【0029】
実際、スクロースは右旋性である。これが加水分解されると、等モル量のD(+)-グルコースおよびD(-)-フルクトースの混合物が得られる:したがって、フルクトースの左旋性は、グルコースの右旋性より大きく、その結果、得られた混合物は左旋性であり、これは、転化糖の名前を得た。スクロース+水=グルコース+フルクトース。
【0030】
また、ハチミツは酸も含有する。
【0031】
グルコン酸が最も多く、これは、ハチミツの成熟の間にグルコースをグルコン酸に変換すると考えられるグルコノバクターと称される細菌に由来すると考えられる。
【0032】
また、約20の有機酸も存在し、たとえば酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、酪酸、ピログルタミン酸およびコハク酸である。
【0033】
微量のギ酸(毒の構成成分の一つ)、塩酸およびリン酸が存在する。
【0034】
また、他の化合物ラクトン(その存在は一定である)も、酸性官能基を有する。pHは、3.2〜4.5で変動し得るが、平均3.9に等しい。
【0035】
無機物または灰の含量は、1%未満である(一般的に0.1%のオーダーである)。
【0036】
重要な順に、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、銅、マンガン、塩素、リンおよびシリコーン、並びに30以上の微量元素が存在する。
【0037】
これらの含量は、ミツバチが訪れた植物および植物が生育する土のタイプに依存する。
【0038】
タンパク質は、少量(ハチミツ1キログラムにつき1.7グラム、すなわち0.26%の含量)存在し、窒素含量はごく僅かである(0.041%のオーダー)。
【0039】
これは、ペプトン、アルブミン、グロブリンおよび核タンパク質を本質的に含み、これらは、植物またはミツバチの何れかから得られる。
【0040】
ミツバチの唾液分泌物に由来するプロリンを含む遊離のアミノ酸も存在する。
【0041】
ハチミツには多くの酵素が存在する:インベルターゼ、α-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ、およびグルコースをグルコン酸に変換することができるグルコースオキシダーゼ。
【0042】
またハチミツは、カタラーゼおよびホスファターゼを含有する。
【0043】
更に、ごく僅かなビタミン、主に、花粉により提供されるビタミンB(B1、B2、B3、B5、B6、B8、B9)を含有する。
【0044】
また、濾過を免れるおそらくワックスにより供給される微量の脂質、および芳香物質を含む。
【0045】
その重量は、デンシメーターを用いて評価され、20℃で平均1.4225を受け入れることができる。
【0046】
すべてのハチミツを使用することができるが、ラベンダーのハチミツが好ましくは使用される。
【0047】
分割されたミネラルという表現は、金属酸化物または水酸化物、好ましくはアルカリ土類金属、たとえばMgおよびCa、また、カーボネート、ホスフェートおよびシリケートから選択される、サイズがミクロンのオーダーであるミネラルを意味すると理解される。
【0048】
よって、分割されたミネラル源は、クレーまたは粘土質の岩から構成されてもよい。
【0049】
幾つかの形態のクレーが存在する:イライト、緑泥石、海緑石、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよび海泡石。
【0050】
粘土質の状態は、平坦な形状を有し、これにより可塑性および吸収性を有する、極度に分割されたミネラルの存在により特徴づけられる。
【0051】
これらミネラルは、千枚岩組織または繊維状組織を有する水和シリケートであり、これらは、天然の状態で十分に安定であり、目立った変化もなく分割の状態を保持する。
【0052】
粘土質の岩は、ミネラルの混合物であり、ここで主要なフラクションは、粘土質の状態に相当するサイズ、すなわち実質的に2ミクロンを有し、特徴を付与する特定のミネラルに加えて、粘土質の状態の特性の何れかをもち得る種々のミネラルを含有する。
【0053】
最も普通の非特異的ミネラルは、多くの元素の酸化物または水酸化物、シリカ、長石、カーボネートおよびホスフェートである。
【0054】
クレーは、適度に多量の有機物、とりわけ地表近くに位置する堆積物を含有する。
【0055】
したがって、クレーは、おおまかに二つのグループに分けることができるミネラルの混合物である:
− クレーにその可塑性を付与する粘土質ミネラル(主に、シート形態のシリケート)
− 副成分ミネラル、とりわけ鉄、アルミニウム、およびマグネシウムの酸化物および水酸化物。
【0056】
化学レベルにおいて、クレーは、水和したアルミノシリケートであり、これには、クレーに種々の着色を与える外来のミネラル元素が組み込まれている。
【0057】
種々のミネラル元素のサイズは、約2ミクロンである。これらの水和シリケートは、千枚岩組織(シート形態)または繊維状組織を有し、適度に高い可塑性をクレーに付与する。
【0058】
これは、2〜3層で存在する。クレーは、ミネラル元素およびその結晶構造に従ってファミリー別に分類される。
【0059】
クレーは、ミネラルおよび微量元素がリッチな軟岩である。その色は、含有している鉄酸化物によって変化する。
【0060】
これは、高い吸収力を有する。
【0061】
すべてのクレーを使用することができるが、モンモリロナイトが、天然にマグネシウムリッチであるため(10%)、好ましく使用される。
【0062】
脂肪酸源は、リノール酸およびリノレン酸リッチな油から選択される。
【0063】
脂肪酸は、酵素による消化の間に脂質の分解から得られ、これらを血液およびリンパ系により同化可能にする。これら脂肪酸は、3つのファミリー、酪酸(飽和)、オレイン酸(モノ不飽和)およびリノール酸(ポリ不飽和)に分類され得る有機分子の形態で存在する。これら脂肪酸の幾つかは、体内で産生できないか、またはごく少量産生されるため、必須であると考えられる。
【0064】
これらのなかで、二つのポリ不飽和脂肪酸、リノール酸およびリノレン酸は、二つの非連絡性代謝鎖(noncommunicating metabolic chain)、オメガ-3およびオメガ-6に寄与する。
【0065】
これら二つの脂肪酸は、プロスタグランジンの産生プロセスに関与し、これにより、生殖および増殖プロセス、細胞の形成、皮膚の完全な状態、腎臓の機能、炎症反応、アレルギー反応、免疫反応および血小板凝集に関与する。
【0066】
油は、リノール酸およびリノレン酸リッチな油、たとえば植物油、ツバキ油、マスクローズ油、マツヨイグサ油、サフラワー油、クロフサスグリ種油、ヒマワリ油、コムギ胚種油、シアバターノキ油またはルリジサ油、および魚油から選択される。
【0067】
20℃で液体の油が好ましいが、所望の最終組織(texture)に依存して、たとえばパーム油およびシアバターなどの固体油を使用することが可能である。
【0068】
リノール酸およびリノレン酸リッチな多くの植物油は、以下のとおり一般化され得る組成を有する:
マスクローズ油は、約1%の不鹸化物:リノール酸(40%)、リノレン酸(40%)、オレイン酸(15%)、パルミチン酸(3%)を含有する。
【0069】
その主要な構成成分は、以下のとおりである:
脂肪酸トリグリセリド(主にポリ不飽和)
脂肪酸の比率:
飽和脂肪酸
パルミチン酸(C16:0):3.4〜8%
ステアリン酸(C18:0):1.6〜3.0%
アラキジン酸(C20:0):0.2〜1.0%
モノ不飽和脂肪酸
オレイン酸(C18:1):13〜18%
パルミトレイン酸(C16:1):微量
ポリ不飽和酸
リノール酸(C18:2):41〜51%
リノレン酸(C18:3):24〜39%
他の構成成分:
不鹸化物:0.8〜1.6%。
【0070】
一つの態様において、三成分組成物は、組成物の総重量に対する質量比で、4〜40%のクレー、8〜35%のハチミツ、および8〜40%の油を含むことを特徴とする。
【0071】
本発明の三成分組成物は、創傷治癒組成物の調製のための有効成分として使用されることが可能である。
【0072】
したがって、本発明は、上記で規定される三成分組成物を含有する創傷治癒組成物に関する。
【0073】
また本発明は、外因性の(exogenous)水を更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0074】
また本発明は、金属酸化物を更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0075】
また本発明は、乳化剤を更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0076】
また本発明は、ワックスを更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0077】
また本発明は、抗酸化剤を更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0078】
また本発明は、保存剤を更に含有することを特徴とする創傷治癒組成物に関する。
【0079】
金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化セリウムおよび酸化チタンからなる群より選択される。
【0080】
乳化剤は、ソルビタンオレアート、ポリソルベート、シクロペンタシロキサン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、コポリオールジメチコン、ラウリルメチコンコポリオール、または、これにより全てが網羅されているわけではないが、アルキルメチコンからなる群より選択される。
【0081】
抗酸化剤は、ブチルヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0082】
保存剤は、フェノキシエタノール、パラベン、金属イオン封鎖剤、たとえばEDTA、ソルビン酸、安息香酸、ラウロイル乳酸(lactylate)ナトリウム、カプリル酸グリセリル、ペンチレングリコール、または精油ベースの天然の保存剤からなる群より選択される。
【0083】
ワックスは、熱可塑性材料であり、合成のもの(セテアレスアルキルメチコン、PEGステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、PEG、ステアレートナトリウム、ポリオキシエチレン、ステアリン酸ナトリウム)、ミネラル起源の物質の混合物(パラフィン、セレシン)、植物起源のもの(カルナウバワックス、硬化ココナッツ油)、および動物起源のもの(蜜蝋)であり、これは、プロポリス、花粉粒およびクリシン(chrysin)を含有し、90〜95%の純粋なワックスである。組成は、起源の領域によって変化するが、12〜12.5%の炭化水素、13〜13.5%の遊離の脂肪酸、72%の脂肪族アルコールのエステル、0.8%のコレステロールエステル、0.6%のラクトン、および2%の水に相当する化学組成を有する。
【0084】
当該処方に存在する水の総量は、選択されるガレン(galenic)形態、目的部位、および治癒される病理または外傷に依存する。何れの場合にも、水は、組成物の総重量に対する質量比で0〜95%を含むことが可能である。
【0085】
当該組成物の処方に存在する金属酸化物の総量は、組成物の総重量に対する質量比で3〜10%である。
【0086】
当該処方に存在する乳化剤の総量は、選択されるガレン(galenic)形態、目的部位、および治癒される病理または外傷に依存し、組成物の総重量に対する質量比で5〜50%を含む。
【0087】
当該処方に存在する保存剤の総量は、組成物の総重量に対する質量比で0.05〜2%である。
【0088】
当該処方に存在するワックスの総量は、組成物の総重量に対する質量比で0〜30%である。
【0089】
本発明の創傷治癒組成物は、手当用品(dressing)タイプの支持体に結合されるように、ペースト、パッチ、液体、寒天、適度に粘性のあるエマルジョンまたはマイクロカプセル化の形態でパッケージングされるように調製される。
【0090】
本発明の創傷治癒組成物は、皮膚および/または粘膜の外傷を負った領域をカバーするように使用され、この点において、本発明は、本発明の三成分組成物を含むことを特徴とする手当用品から構成される。
【0091】
また本発明は、クレー、ハチミツおよび油を含む三成分組成物を含む手当用品に関する。
【0092】
本発明は、4〜40%のクレー、8〜35%のハチミツ、および8〜40%の油からなる三成分組成物を含む手当用品に関する。
【0093】
また本発明は、本発明の三成分組成物を含むことを特徴とするコスメティック組成物に関する。
【0094】
また本発明は、材料の損失を示し得る皮膚外傷の創傷治癒処置のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬に関する。
【0095】
また本発明は、遠心性皮膚新生(neo-dermogenesis)による、すなわち創傷のベースから創傷の上面または表面への皮膚新生による、皮膚材料の損失を示す皮膚外傷の創傷治癒充填のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬に関する。
【0096】
また本発明は、表面細胞刺激または酵素の活性化、たとえばコラーゲン分解活性またはエラスターゼ活性の阻害または誘導以外の薬理作用形態による、皮膚材料の損失を示す皮膚外傷の創傷治癒充填のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬に関する。
【0097】
最後に本発明は、本発明の医薬を含むことを特徴とする手当用品(dressing)に関する。
【0098】
本発明の組成物は、タンクの底に置いた、ミキサーの能力に対してオーバーサイズの乳化剤を用いて、激しく撹拌しながらホット状態で混合して溶解する工程を含む方法により調製される。
【0099】
ミキサーは、生成物の粘性および真空下での混合の可能性のため、スクレーピング羽根を更に備えているべきである。
【0100】
クレー中に脂肪酸フラクションをトラップするためにクレーに脂肪酸フラクションを添加し、確実に調製物が均一になった後、その全体をハチミツと一緒にすることが望ましい。
【0101】
三成分組成物を、創傷治癒組成物の有効成分として使用する場合、他の成分は、その後、引き続き三成分組成物に添加される。
【0102】
本発明の組成物、三成分組成物および/または創傷治癒組成物は、20℃で390000 cpsニードル7、スピード6から21℃で1300 cpsニードル3、スピード60の間の粘性を有する。
【0103】
材料の損失(皮膚の損失)を伴う創傷または潰瘍が存在する場合の生理的創傷治癒プロセスは、通例、求心性プロセスとして記載され、創傷のエッジからその中心へと幾つかのフェーズで行われる。
【0104】
細胞の同化作用のアクチベーターなどの薬剤を用いると(コラーゲンおよび他のプロテオグリカンの合成の活性化、および/または真皮の細胞外マトリクスのグルコサミノグリカンの合成の活性化)、この求心性創傷治癒プロセスは、しばしば増大する。
【0105】
この生理的創傷治癒プロセスは、大変しばしばボリュームの損失と関連する。このボリュームの損失は、
− 創傷治癒に必要な時間を与えられた創傷のエッジのたるみ(sagging)、
− とりわけ同化作用の薬剤刺激(細胞刺激)が存在する場合、皮膚新生(neo-dermogenesis)にしばしば追いつく再上皮形成の速度(損失したボリュームの完全な回復前の創傷の閉鎖)、
− 求心性皮膚新規合成の生理プロセス(肉芽のベースに向かうエッジからの真皮の産生)
から起こる。
【0106】
本発明の組成物は、求心的な手法ではなく遠心的皮膚形成により、すなわち創傷のベースから創傷の上面へ、ボリュームの損失を伴うことなく、創傷のベースから上面へ新規真皮の質および成熟の違いを伴って、創傷治癒が起こることを可能にする。この創傷治癒の様式は、創傷治癒の間の組成の物理的変化と関連があり、通常の生理プロセスまたは薬剤により加速された生理プロセスに反している。
【0107】
本発明の組成物で処置された領域において、創傷のエッジのたるみ(sagging)に関連したボリュームの損失は観察されなかった。
【0108】
更に、本発明の組成物で処置された外傷の表面変化の経時的分析により、(再上皮形成が起こり、その結果外傷の上面の低下が起こる)とりわけ表皮に関する表面の細胞刺激効果は観察されないことが示された。また、この分析により、生理的なコラーゲン分解活性またはエラスターゼ活性の阻害または誘導効果が観察されないことが示された。
【0109】
本発明の組成物は、創傷の管理に対する新規な応答および異なった応答を提供する目的で開発された。
【0110】
前記組成物の構造は、外傷性の皮膚のたるみ、たとえば潰瘍形成または材料の損失(皮膚の損失)を伴う創傷を充填により維持し、その後、創傷治癒プロセスの間に、潰瘍または損傷のある皮膚により産生される瘢痕性滲出物を、生物学的海綿のように付着させ隔離し、第三ステージで前記生成物を放出することを可能にする。
【0111】
適用時に、その構造およびペースト状の組織(texture)が、皮膚の外傷を充填し、創傷のエッジ間の距離を有効に維持することを可能にする。
【0112】
その吸収および吸着特性は、本発明の組成物に発展的可塑性を付与する。時間を経ると、本発明の組成物は、創傷の底部に沈下して集まり、同時に、先に隔離された滲出物に含有される生理的物質を集中させる。ゆっくり均一に吸収されることにより、新規真皮(neodermis)の形成を妨害することなく、これら生理的化合物を創傷のベースに徐々に放出することが可能である。
【0113】
本発明の組成物または本発明の手当用品は、ゆっくり均一に吸収され、組織の維持または再生を可能にする。
【0114】
栄養エレメントの段階的な放出は、早い段階でプロセスに関与することにより、創傷治癒ステージの全てをサポートし、効果を高める。
【0115】
炭水化物源またはハチミツは、炎症フェーズ、洗浄(detersive)フェーズおよび増殖フェーズにおいて、創傷治癒の全てのステージに関与する。
【0116】
これは、皮膚の生態系を平衡化することにより、微生物の増殖をコントロールし、多糖類によって炎症フェーズを活性化し、それが含有している糖によって細胞に栄養を供給する。
【0117】
クレーは、その非常に高い吸着力によって、毒素および細菌、とりわけ腐敗に由来する毒素の誘導体(体のヌクレオアルブミンの加水分解に由来するプリン)、感染の間の細菌の毒性残留物、および生きている細菌によりもたらされる毒性産物を結合して中和する能力を有する。
【0118】
本発明の組成物または本発明の手当用品は、創傷治癒の3つのステージ、炎症、洗浄(detersion)、および増殖で作用する。
【0119】
止血の間、本発明の組成物または手当用品は、充填の役割を有する。
【0120】
これは、漿液と接触すると、血管収縮および凝固に必要な圧力を提供する安定な機械的マトリクスを形成する。
【0121】
血小板の凝集およびフィブリンの形成が起こる(この白っぽくて弾性のある不溶性繊維状グロブリンは、ネットワークを形成し、その節は血小板凝集物からなる)。
【0122】
創傷治癒組成物または手当用品は、底部とエッジから同時に組織の再構築を促進するために、創縁(lip)を引き離す。
【0123】
ハチミツに含有される多糖類の存在は、その後、炎症反応を増強する。
【0124】
多糖類は、マクロファージ(皮膚のラングハンス細胞)の活性化により、防御システム、免疫系を刺激する特性を有する。
【0125】
ラングハンス細胞の膜は、その表面に、多糖分子が完全にフィットする受容部位を保持する。
【0126】
これにより、マクロファージの活性化、その結果、免疫カスケードの開始という結果に至る。
【0127】
これにより、高い炎症反応につながる。
【0128】
この炎症応答は、4つのエレメント(Celsus quadrilateral)に基く:痛み、熱、赤み、および腫れ:
− 血管運動神経の現象(赤みおよび水腫)、
− 細胞の現象(血管外遊出、すなわち管壁を通る白血球細胞の移動)、これにより、リンパ球、免疫の作用物質、および単球、マクロファージの前駆体は、処置される部位へ移動し結合する、
− 組織の現象、
− 免疫学的現象。
【0129】
他の創傷治癒フェーズの正常コースを決定するのは、このステージの質である。
【0130】
このフェーズは、優れた血液を供給し、これにより、洗浄時間を短くし、良い瘢痕を残すことにより治癒を促進する。
【0131】
洗浄フェーズにおいて、毛細血管の透過性の増大は、傷ついた領域への抗体、白血球およびマクロファージを伴った血漿の通過を促進する。
【0132】
このようにして、壊死した組織、外来性の物質および微生物は、食作用およびタンパク分解により除去され破壊される。
【0133】
洗浄フェーズの短縮は、治癒を促進し、優れた創傷治癒を提供するため、極めて重要である。
【0134】
したがって、この段階で、良質の炎症フェーズの利益を確立する目的で、洗浄時における有効な作用を提供することは不可欠である。
【0135】
創傷治癒組成物または手当用品の効能は、この段階ではクレーに依存する。クレーが水に不溶である場合、全体的に、非常に高い吸収力を有する。
【0136】
また、滲出物と接触すると、それらを吸収し、媒体(medium)を精製し、細菌の増殖を制限する。
【0137】
更に、創傷治癒および自己分解洗浄を促進するウェット媒体を維持する。
【0138】
本発明の組成物または手当用品は、高い洗浄特性を有し、酸素および水蒸気を透過できるが細菌を透過できないという優れた利点を提供し、このことにより、微生物の発達に特徴的な嘔吐を催させる臭気が主な欠点であるヒドロゲルとは特に区別される。
【0139】
このバリア機能は、クレー、ハチミツおよび脂肪酸が同時に存在することによるものである。
【0140】
クレーの力は、その吸着力のために、ウイルスおよび細菌に対して疑いの余地がない。
【0141】
微生物はトラップされ、酵素および毒素も同じ運命になる。
【0142】
これらは、一旦、固定されると、その作用を失い、排出される。
【0143】
この活性な作用物質の共同作用は、洗浄段階において、滲出物のコントロールによるウェット媒体の維持により構成される洗浄力に勝る主要な利点を提供する。
【0144】
クレーは、その水の重量の8倍を吸収する。
【0145】
これは、全ての粘土質ミネラルのなかで、最大のCEC(化学交換能力;Chemical Exchange Capacity)を保持する。
【0146】
よって、本発明の組成物または手当用品は、漿液の吸収によって変化する。
【0147】
この可塑性は、粘土質ミネラル、とりわけシリケートの結晶構造に関連している。
【0148】
最初の吸収は、創傷治癒組成物または手当用品の周辺および外側部分のみが含浸されるため、相当の圧力を保持しながら、壁と接触して水分を維持する。
【0149】
次に、吸収が進行すると、創傷治癒組成物または手当用品は、血流を促進して増殖フェーズに入るために、可鍛性が高まり、徐々に壁に及ぼす圧力を低下させる。
【0150】
増殖フェーズの間、体は、物質の損失を、新たな組織で埋め合わせはじめる。
【0151】
この目的のため、繊維芽細胞は、最初に、結合組織のコラーゲン繊維の産生のためのマトリクスとして機能するムコ多糖を産生する。
【0152】
クレーのミネラルエレメントは、光エネルギーを吸収する。
【0153】
このエネルギーは、貯蔵された後、その表面に再度送られ、第一のプロト有機体(protoorganism)を形成する。
【0154】
その効力は、エネルギーを負荷されたミネラルエレメントの供給による(各クレーに特有の)イオン交換係数に依存する。
【0155】
クレーは、電気的に電荷を帯びた物質である。これは、その表面に、反対の陽イオンの存在により中和されるイオン(負の電荷)を保持する。
【0156】
その置換は、より低い電荷の陽イオンによる金属イオンの置換を引き起こす。
【0157】
この段階で、本発明の組成物または手当用品は、滲出物および漿液で満たされている。
【0158】
しかし、クレーなどの岩石は、水分子の作用の下で分断される。
【0159】
シリカイオンの離脱および水の結合が起こり、これは、岩石の平衡状態を改変する。
【0160】
水が加水分解を引き起こし、クレーのケイ酸含有ネットワークは、小さな窪みが多くなり破壊される。
【0161】
水酸化アルミニウムなどの加水分解産物が形成される。
【0162】
イオン交換反応が続き、ミネラルの構造を徐々に破壊する。
【0163】
本発明の調合物または手当用品においてクレーは、シート形態のオープン構造であり、これは、ハチミツの有機化合物と複合体を形成する。
【0164】
その構造が破壊されると、ハチミツの有機化合物は放出される。
【0165】
この物理的変化は、マトリクスの生体再吸収能力(bioresorbability)の現象および栄養摂取に貢献する様々な化学的現象を引き起こす。
【0166】
− 糖の放出。
【0167】
これは、体内で水素トランスポーターの役割を果たすグルタチオンのレベルの急激な増大を引き起こす。
【0168】
これは、体内で酸化還元プロセスに重要な役割を果たし、細胞の分裂および増殖を刺激する。
【0169】
ビタミンPは、血管の透過性を促進する。
【0170】
ハチミツおよびクレーの両方に含まれるカルシウム、リンおよび鉄は、ヘモグロビンレベルを増大させることにより血液の流動性に作用する(B12 − 細胞分裂、核酸の合成および多数の酵素プロセスに関して必須 − および葉酸 − ビタミンB9(ホウレンソウ葉抽出物)の作用に加わる貴重な因子、通常の増殖および造血(血球の形成)に必要な因子として認識される − これにより、細胞への酸素の優れた輸送につながる。
【0171】
上皮組織および皮下神経の分枝は、栄養を供給され、損傷を受けた細胞が再生され、創傷治癒が促進される。
【0172】
この段階で、ポリ不飽和脂肪酸も関与するようになる。
【0173】
不飽和脂肪酸は、3分の1の比率で、神経細胞の膜の組成に入る。
【0174】
これら膜を通って、すべてのメッセージが細胞から細胞へ伝わる。
【0175】
脂肪酸の比率が不十分であると、膜は脆くなり、徐々に破壊される。
【0176】
これらは、更に、細胞膜の構成、酵素に関与し、管に対して保護の役割を果たす。
【0177】
止血および洗浄フェーズにおいて、脂質の形態にあるこれらの活性な作用物質は、クレーがこのシートの間にそれを保持するため、放出されない。
【0178】
したがって、ケイ酸含有フレームワークが破壊され、放出が水と接触して起こるように、クレーが、その吸収力によって滲出物を捕捉することが必要である。
【0179】
図1は、各動物に対して行われるバイオプシーの部位についてのスキームを示す。Gの文字は、動物の左の側腹部を示し、Dの文字は、右の側腹部を示し、Tの文字は頭部を示す。S1の部位は、プラセボ(ワセリン)で処置された部位に相当し、S2の部位は、ベパンテン(Bepanthen)で処置された部位に相当し、S3およびS4の部位は、本発明の組成物で処置された部位に相当する。
【0180】
例1:本発明の創傷治癒組成物の調製および使用
35%のクレー、30%のハチミツおよび35%の油を含む本発明の三成分組成物は、ホット状態で種々の成分を連続的に導入した後、混合することにより得られる。
【0181】
スクレーピング羽根ミキサーで混合した後、20℃で約400 000 cpsニードル7、スピード6の粘性を有する組成物が得られる。
【0182】
創傷治癒組成物を得るため:
別のタンクで、酸化亜鉛の溶解物を調製する。
【0183】
タンク1:水をタンク内に55℃で置き、酸化亜鉛を溶解させる。
【0184】
タンク2:三成分混合物を55℃に置く。55℃の容器に、13%のソルビタンオレアートを置き、4%のポリソルベート20を添加し、混合物を保存するために選択されたBHTおよびパラベンとフェノキシエタノールの混合物を導入する。
【0185】
1 − 容器の中味を真空下でタンク1に統合し、4000回転/分で5分間回転させる。
【0186】
2 − その後、タンク1の中味を、真空下で激しく撹拌しながらタンク2に徐々に添加し、4000回転/分で20分間回転させる。
【0187】
21℃で1000 cps、ニードル3、スピード60の粘性を有する創傷治癒組成物が得られ、その後、これは、コーティングとカッティングの後、パッチ形態でパッケージングされる。
【0188】
例2:本発明の創傷治癒組成物の作用形態の評価
インビボでの薬理学:皮膚の潰瘍モデル
研究の初日の少なくとも5日前からの順応期間を経た後、4つの皮膚の潰瘍(パンチバイオプシー 6 mm)を、12週齢のラット(オスSprague-Dawleyラット, Rj: SD TOPS Han)に対し、Dorsett-Martin W.A. (2004)に従って下記のとおり調製した。
【0189】
実験の1日前、動物の背中の毛を、皮膚を傷つけないように注意して、電気カミソリで剃った。実験の初日、局所麻酔(lidocaine EMLA cream(登録商標))および全身麻酔(Pentobarbital(登録商標)30 mg/kg i.p.)の下で、予め毛を剃った皮膚を、液体石鹸できれいにし、精製水ですすぎ、Betadine(登録商標)を浸み込ませた圧迫ガーゼを用いて乾燥させた。
【0190】
指間をつまむか、または尾部の領域をつまむことによる応答がないことを確認した後、図1に模式的に示される4つの6 mmの皮膚切除(側腹部につき2つ)を、パンチバイオプシー(穴パンチ)のスタイレットを使用して、各動物に対して行った。
【0191】
パンチバイオプシーは、無菌の解剖用メスを使用して、皮下組織から分離した。潰瘍の領域は、消毒液(Mercryl(登録商標))できれいにし、通気性のある低アレルギー性絆創膏で保持して無菌の圧迫ガーゼで覆った。
【0192】
3日目から22日目まで、潰瘍を生理食塩水で毎日きれいにして、一日に一回、テストエレメントまたはレファレンスエレメントで処置した。
【0193】
テストエレメント(プロダクトA)は、請求項5に記載の三成分組成物を含み、これに、水、保存剤、酸化チタン、酸化亜鉛および香料が添加されている。
【表1】

【0194】
組織学的分析
組織学的切片を、皮膚サンプルを含有するパラフィンブロックから、ミクロトームを用いて、4〜6μmの厚みの切片として調製した。これら切片を、下記の技術に従って、マッソン三色染色法(真皮および新規真皮の同定)を用いて染色した。染色後、熟練の病理学者により、直接もしくは偏光の領域で、顕微鏡分析を行った(成熟したコラーゲンおよび未成熟の新規コラーゲン)。
【0195】
セレスチンブルー溶液
25gの硫酸鉄アンモニウムを、500 mlの蒸留水にコールド状態で溶解する。2.5gのセレスチンブルーを添加し、その混合物を沸騰させ、濾過する。70 mlのグリセリンを添加する。
【0196】
コールのヘマトキシリン溶液
15gのヘマトキシリンを、250 mlの熱水に溶解する。50 mlのヨードチンキを添加し(95%アルコール中1%)、その後、750 mlの飽和カリミョウバン(K Al (S04)2: merck 1.01047.1000)を添加する。その混合物を急速に濾過する。
【0197】
フーシン(Fushin)溶液
3gの酸性フーシン(acid Fushin)を、3mlの氷酢酸を含有する597 mlの蒸留水とコールド状態で混合する。
【0198】
リンモリブデート溶液
6gのリンモリブデン酸を600 mlの水に溶解する。
【0199】
メチルブルー溶液
12gのメチルブルーを、15 mlの氷酢酸を含有する600 mlの蒸留水に溶解する。
【0200】
方法
4〜6μmの切片を、トルエンで10分間、その後無水アルコールで1分間、その後蒸留水で1分間(2回)、固定する。これらを、セレスチンブルー溶液で5分間染色し、その後蒸留水で1分間(2回)すすぐ。これらを、コールのヘマトキシリン溶液で5分間染色し、その後蒸留水で1分間(2回)すすぐ。これらを、フーシン溶液で5分間染色し、その後蒸留水で1分間(2回)すすぐ。これらを、リンモリブデート溶液で5分間、その後メチルブルー溶液で5分間染色する。これらを、最後に、蒸留水で1分間(2回)すすぐ。
【0201】
着色は、1%酢酸溶液で2分間の処理、その後無水アルコールのバスで1分間、最後にトルエンで1分間の処理により固定する。
【0202】
結果
組織学的分析は、この方法に記載されるとおり行った。最初の染色(マッソン三色染色法)により、瘢痕後(post-cicatricial)の新規真皮の大きさ、この創傷治癒に関するボリュームの損失、および機械的な創傷治癒プロセスを評価することが可能になった。
【0203】
典型的には、プラセボ(ワセリン)で処理された瘢痕は、創傷のエッジから中心へと始まる求心性創傷治癒プロセス(新規皮膚新生)が起こることが観察された。この創傷治癒プロセスは、創傷のエッジのたるみ(sagging)によりボリュームの損失を引き起こす。
【0204】
細胞の同化アクチベーターのタイプの薬剤を用いると(コラーゲンおよび他のプロテオグリカンの合成の活性化、および/または真皮の細胞外マトリクスのグルコサミノグリカンの合成の活性化)、この求心性創傷治癒プロセスは増大することが観察された。
【0205】
薬理学的作用形態を特徴づけるのは、外傷のエッジからその中心への求心性創傷治癒プロセスの保存である。試験により、薬理学的効果により増大される創傷治癒プロセスは、創傷のエッジから起こること、並びに皮膚の緊張を伴う創傷のエッジのたるみのために相当なボリュームの損失を引き起こすことが示された。
【0206】
このプロセスは、プロダクトAで処置された瘢痕後(post-cicatricial)の領域の組織学的分析の間には観察されなかった。
【0207】
プロダクトAで処置された領域では、創傷のエッジのたるみに関連するボリュームの損失は、同じ動物で観察されなかった。創傷治癒プロセスは、明らかに底部から上面へ向かい、先のケースにように求心性ではない。この創傷治癒の様式は、創傷治癒の間のプロダクトAの物理的変化と関連し、通常の生理プロセスまたは薬剤により促進された生理プロセスに反している。
【0208】
これらの結果を考慮して、偏光下での第二の分析を行った。この分析の目的は、観察された創傷治癒の様式が、実際にベースから上面へ進行し、求心的手法ではないことを確認することである。
【0209】
確認のための仮説は以下のとおり:
創傷治癒プロセスが、実際に底部から上面へ進行する場合、創傷治癒の進行は、瘢痕のベース(深い真皮)が、時間的にずっと先であり(anteriority)、瘢痕の上面(表面の真皮および表皮)より著しく組織化していなければならないことを意味する。
【0210】
このパラメーターが、偏光下で観察された。真皮の細胞外マトリクスで繊維として適切に組織化された成熟コラーゲンは、偏光を反射するが、新規コラーゲン(プロコラーゲン)は、部分的もしくは不完全な組織化のために偏光を吸収する。
【0211】
このタイプの分析において組織学的レファレンスは、瘢痕性領域の周辺領域の組織化された成熟コラーゲンである。
【0212】
偏光は、深い真皮のレベルにおいて瘢痕のベースにより反射されることがサンプルで観察された。この反射は、周辺で観察されるものと実際に同等であり、中間の真皮では部分的でしかない。
【0213】
表面の真皮は、偏光を吸収し、これは、進行していない組織化の程度を反映する。
【0214】
結論
材料の損失(真皮の損失)を伴う創傷のプロダクトAによる治癒の様式は、生理的な創傷治癒の様式または薬理学的プロセスにより引き起こされる創傷治癒の様式とは実際異なると考えられる。
【0215】
生理的に観察されるものまたは薬理学的な細胞刺激後に観察されるものとは異なり、プロダクトAでの処置後に得られる瘢痕分析は、創傷のエッジのたるみがなく、ボリュームの損失がないこと、とりわけ、非常に顕著な再組織化プロセス、および瘢痕領域のベースから同領域の上面へ形成される新規真皮の成熟を示す。
【0216】
創傷のベースから上面への“ステージによる”この成熟プロセスは、プラセボまたは薬剤で観察される、創傷のエッジから中心への生理的な求心性創傷治癒プロセスに反している。
【0217】
この研究の間の瘢痕領域の組織学的分析により、潰瘍化領域がプロダクトAで処置されるか、薬理学的ポジティブレファレンスで処置されるかに依存して、同じ被検体において、瘢痕の質が大きく異なることを示すことが可能になった。
【0218】
この研究の観察に基いて、プロダクトAの作用形態は、創傷の物理的変化と関連し得ると考えられ、これが、創傷治癒プロセスを調整する主な拘束であると考えられる。このプロセスは、生理的プロセスまたは薬剤により引き起こされるプロセスに反しているが、これにより創傷治癒を制限しない。
【0219】
プロダクトAで処置した後に分析され得られた瘢痕をその他のものと区別する他の主な点は、創傷治癒プロセスと関連した皮膚ボリュームの損失がないことである。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】図1は、各動物に対して行われるバイオプシーの部位についてのスキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなること、並びに研磨粒子を含有しないことを特徴とする三成分組成物。
【請求項2】
前記炭水化物源がハチミツから選択されることを特徴とする請求項1に記載の三成分組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸源が、リノール酸およびリノレン酸リッチな油から選択されることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の三成分組成物。
【請求項4】
前記油が、ツバキ油、マスクローズ油、マツヨイグサ油、サフラワー油、クロフサスグリ種油、ヒマワリ油、コムギ胚種油、ルリジサ油、および魚油から選択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の三成分組成物。
【請求項5】
組成物の総重量に対する質量比で、4〜40%のクレー、8〜35%のハチミツ、および8〜40%の油からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の三成分組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の三成分組成物を有効成分として含むことを特徴とする創傷治癒組成物。
【請求項7】
外因性の(exogenous)水を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の創傷治癒組成物。
【請求項8】
酸化亜鉛、酸化セリウム、または酸化チタンから選択される金属酸化物を更に含むことと特徴とする請求項6および7の何れかに記載の創傷治癒組成物。
【請求項9】
ソルビタンオレアート、ポリソルベート、シクロペンタシロキサン、PEGs、PPGs、コポリオールジメチコン、ラウリルメチコンコポリオールまたはアルキルメチコンから選択される乳化剤を含むことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項10】
ワックスを含むことを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項11】
ブチルヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムから選択される抗酸化剤を含むことを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項12】
合成保存剤、たとえばフェノキシエタノール、パラベン、金属イオン封鎖剤、たとえばEDTA、ソルビン酸、安息香酸、ラウロイル乳酸(lactylate)ナトリウム、カプリル酸グリセリル、ペンチレングリコールまたは精油ベースの天然の保存剤を含むことを特徴とする請求項6〜11の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項13】
当該処方に存在する水の総量が、組成物の総重量に対する質量比で0〜95%であることを特徴とする請求項6〜12の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項14】
当該処方に存在する金属酸化物の総量が、組成物の総重量に対する質量比で3〜10%であることを特徴とする請求項6〜13の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項15】
当該処方に存在する乳化剤の総量が、組成物の総重量に対する質量比で5〜50%であることを特徴とする請求項6〜14の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項16】
当該処方に存在する保存剤の総量が、組成物の総重量に対する質量比で0.05〜2%であることを特徴とする請求項6〜15の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項17】
0〜30%のワックスを含有することを特徴とする請求項6〜16の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項18】
35%のクレー、30%のハチミツおよび35%の油を含むことを特徴とする請求項6〜17の何れか1項に記載の創傷治癒組成物。
【請求項19】
脂肪酸フラクションがクレーに捕捉されるように激しく撹拌しながらホット状態で混合して溶解し、その後、得られた混合物をハチミツと一緒にする工程を含む、三成分組成物の調製方法。
【請求項20】
請求項1〜5の何れか1項に記載の三成分組成物を含むことを特徴とするコスメティック組成物。
【請求項21】
創傷治癒組成物の調製のための、クレー、ハチミツおよび油の三成分混合物の使用。
【請求項22】
4〜35%のクレー、8〜30%のハチミツおよび8〜35%の油を含むことを特徴とする手当用品(dressing)。
【請求項23】
8.5%のクレー、18%のハチミツおよび23%の油を含むことを特徴とする請求項21に記載の手当用品(dressing)。
【請求項24】
材料(material)の損失を示し得る皮膚外傷の創傷治癒処置のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬。
【請求項25】
遠心性皮膚新生(neo-dermogenesis)による、すなわち創傷のベースから創傷の上面または表面への皮膚新生による、皮膚材料の損失を示す皮膚外傷の創傷治癒充填のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬。
【請求項26】
表面細胞刺激または酵素の活性化、たとえばコラーゲン分解活性またはエラスターゼ活性の阻害または誘導以外の薬理作用形態による、皮膚材料の損失を示す皮膚外傷の創傷治癒充填のための、炭水化物源、クレーから選択される分割されたミネラル源、および脂肪酸源からなる生体再吸収可能な(bioresorbable)三成分組成物を含む医薬。
【請求項27】
請求項24〜26の何れか1項に記載の医薬を含むことを特徴とする手当用品(dressing)。

【図1】
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【公表番号】特表2009−533399(P2009−533399A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504777(P2009−504777)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000602
【国際公開番号】WO2007/116147
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508221420)
【氏名又は名称原語表記】LABORATOIRE AGUETTANT
【住所又は居所原語表記】1 rue Alexander Fleming,69007 LYON,FRANCE
【出願人】(508306990)
【氏名又は名称原語表記】FREGONESE, Alexandra
【住所又は居所原語表記】Au Bourg, 47310 MONCAUT, FRANCE
【Fターム(参考)】