説明

波形改善回路

【課題】コンデンサに充電された電荷の放電タイミングを最適にし、高速信号に対応できるようにした波形改善回路を提供する。
【解決手段】信号線4に伝送されるデジタルの信号Stの波形を改善する波形改善回路1は、信号Stのレベルが所定値を超えたことをレベル検出回路11Aが検出すると、その出力電圧Vdに基づいてスイッチ回路12Aが導通状態になり、電源電圧Vを充電回路13Aのコンデンサ131に印加してコンデンサ131を充電する。信号Stの電圧レベルが、コンデンサ131の充電電圧Vcよりも低くなったタイミングでコンデンサ131から信号線4へ、放電回路14Aのダイオード141を介して放電が行われ、アンダーシュートが改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線にコンデンサの充電電荷を放電して信号波形に生じたアンダーシュートを低減する波形改善回路に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路技術の発達に伴い、デジタル信号が高速化しており、信号を高速に伝送する方法として、出力ドライバのインピーダンスを小さくする方法がある。
【0003】
しかし、この方法は、電流変化の割合が大きくなり、伝送路に生じる寄生インダクタンスにより信号の歪みが発生しやすくなる。また、伝送路に生ずる寄生容量、寄生インダクタンスによるLC回路が構成され、信号の振動(リンギング)が発生する。
【0004】
上記の対策として、信号の入出力をおよび伝送路のインピーダンスをマッチングさせる方法が広く知られているが、実際に伝送路のインピーダンスを完全にマッチングさせるためには、結果的に無駄な消費電力を要したり、高度なプリントパターンの設計/管理が必要であり、高価なものとなってしまうという欠点があった。
【0005】
これら欠点を改善するために、例えば、特許文献1に記載されているアンダーシュート防止回路が提案されている。
【0006】
このアンダーシュート防止回路は、第1のダイオードのカソードが接地され、第2のダイオードのカソードが信号線に接続され、第1および第2のダイオードのアノードを相互に接続し、第1および第2のダイオードのアノードが抵抗Rを介して電源Vに接続され、第1のダイオードにコンデンサCが並列に接続した構成を有し、信号線が負電圧になると、コンデンサCへの充電を開始し、信号線が正電圧になると、コンデンサCに充電された電荷が信号線に注入されるので、アンダーシュートを防止することができる。
【特許文献1】特開平1−112811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のアンダーシュート防止回路において、信号が高速化すると、当然ながらコンデンサCへの充電時間も短くなり、短い時間で所定の充電を完了する必要がある。短時間で充電を完了するためには抵抗Rを小さな値にする必要がある。
【0008】
しかし、従来のアンダーシュート防止回路では、単純に抵抗Rを小さくすると、信号レベルがLowの時、コンデンサCからの放電電流とともに、電源Vから抵抗Rを通して、信号線にV/R(A)の電流が流れ込むことになり、信号線をドライブするドライバの能力に制限されることになり、高速化に対応できないという問題がある。
【0009】
また、単にドライブ能力を大きなものにすると、信号切替時の電流変化の割合が大きくなり、信号の歪みが発生しやすくなり、逆効果になりかねない。
【0010】
従って、本発明の目的は、コンデンサに充電された電荷の放電タイミングを最適にし、高速信号に対応できるようにした波形改善回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の波形改善回路を提供する。
【0012】
[1]信号線に伝送されるデジタル信号の波形を改善する波形改善回路において、前記デジタル信号のレベルが所定値を超えている期間、充電されるコンデンサを有する充電手段と、前記デジタル信号のレベルが、前記コンデンサの充電電圧よりも低くなったタイミングで前記充電手段から前記コンデンサの充電電荷を前記信号線へ放電する放電回路とを備えることを特徴とする波形改善回路。
【0013】
上記構成の波形改善回路によれば、信号線上のデジタル信号が所定レベルになると、充電手段によりコンデンサへの充電が開始され、その充電電圧よりもデジタル信号のレベルが低下した時点で信号線への充電電荷の放電が開始されることにより、デジタル信号に生じているアンダーシュートが補正されるとともに、高速信号への対応が図られる。
【0014】
[2]前記充電手段は、前記デジタル信号のレベルが所定値を超えたときに駆動電圧を出力するレベル検出回路と、前記レベル検出回路からの前記駆動電圧に基づいて前記コンデンサに充電用の電圧を印加するスイッチ回路とを備えることを特徴とする前記[1]に記載の波形改善回路。この構成によれば、簡単な構成により充電手段を構成することができる。
【0015】
[3]前記レベル検出回路は、前記信号線とアースとの間に直列接続された複数の抵抗からなり、前記抵抗の分圧点から前記出力電圧を出力することを特徴とする前記[2]に記載の波形改善回路。この構成によれば、抵抗のみでレベル検出回路を構成することができる。
【0016】
[4]前記レベル検出回路は、バッファからなり、その出力電圧を前記スイッチ回路へ出力することを特徴とする前記[2]に記載の波形改善回路。この構成によれば、簡単な構成によりレベル検出回路を構成することができる。
【0017】
[5]前記スイッチ回路は、トランジスタまたはMOSFETからなることを特徴とする前記[2]に記載の波形改善回路。この構成によれば、1つのトランジスタまたはMOSFETによりスイッチ回路を構成することができる。
【0018】
[6]前記放電回路は、前記コンデンサから前記信号線に向かう一方向の通電経路を成立させる回路素子からなることを特徴とする前記[1]に記載の波形改善回路。この構成によれば、回路素子のみで放電のタイミングを決定することができる。
【0019】
[7]前記回路素子は、ダイオードで構成されていることを特徴とする[6]に記載の波形改善回路。この構成によれば、回路素子に容易に入手が可能なダイオードを用いることができる。
【0020】
[8]前記ダイオードは、ショットキーダイオードであることを特徴とする前記[7]に記載の波形改善回路。この構成によれば、ダイオードにショットキーダイオードを用いたことにより順方向電圧Vfdを低くでき、信号線の電位が低下した際の電位是正効果を高めることができる。
【0021】
[9]前記コンデンサは、前記スイッチ回路に流れる電流を制限する抵抗が直列に接続されていることを特徴とする前記[2]に記載の波形改善回路。この構成によれば、抵抗によってコンデンサに流れるラッシュ電流を低減できるため、スイッチ回路の素子の保護を図ることができる。
【0022】
[10]前記放電回路は、前記コンデンサに並列に接続され、前記充電電圧を規定する電圧制限素子を備えたことを特徴とする前記[2]に記載の波形改善回路。この構成によれば、電圧制限素子がコンデンサの端子電圧の上限を制限することができる。
【0023】
[11]前記電圧制限素子は、ツェナーダイオードであることを特徴とする前記[10]に記載の波形改善回路。この構成によれば、電圧制限素子にツェナーダイオードを用いたことで、優れた電圧制限特性を得ることができる。
【0024】
[12]前記電圧制限素子は、1つまたは通電方向を合わせて直列接続した複数のダイオードからなることを特徴とする前記[10]に記載の波形改善回路。この構成によれば、安価なダイオードを電圧制限素子に用いることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンデンサに充電された電荷の放電タイミングを最適にし、高速信号に対応できるようにした波形改善回路を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1の実施の形態]
(波形改善回路の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る波形改善回路の原理的構成を示す。この波形改善回路1は、信号線4に接続されており、この信号線4には、デジタルの信号を送信する送信回路2と、送信回路2からの信号を受信する受信回路3とを接続している。
【0027】
波形改善回路1は、信号線4に接続されたレベル検出回路11Aと、レベル検出回路11Aに制御端子が接続されたスイッチ回路12Aと、スイッチ回路12Aを介して電源V、およびアース間に接続された充電回路13Aと、充電回路13Aの出力端と信号線4との間に接続された放電回路14Aとを備えて構成されている。ここで、レベル検出回路11A及びスイッチ回路12は、充電手段を構成している。
【0028】
(波形改善回路の詳細構成)
図2は、波形改善回路の詳細構成を示す。
【0029】
送信回路2は、送信側ドライバ20を備え、デジタル信号を信号線4に出力する。受信回路3は、受信側ドライバ30を備え、送信回路2からの信号を信号線4を介して受信する。
【0030】
レベル検出回路11Aは、直列接続して信号線4とアースとの間に接続された抵抗111,112からなり、抵抗111,112の接続点が出力電圧(駆動電圧)Vdを出力する出力端子になっている。信号線4上の信号Stの電圧が所定の閾値電圧以上のときにスイッチ回路12Aを駆動する“H”レベルの出力電圧Vdが出力されるように抵抗比(={R2/(R1+R2)})が設定されている。
【0031】
スイッチ回路12Aは、スイッチング動作をするトランジスタ121からなり、制御端子となるベースはレベル検出回路11の接続点に接続され、コレクタは電源電圧Vの電源に接続され、エミッタは充電回路13Aに接続されている。
【0032】
充電回路13Aは、所定の静電容量を有するコンデンサ131からなり、その一端はトランジスタ121のエミッタに接続され、他端はアースに接続されている。
【0033】
放電回路14Aは、回路素子としてのダイオード141からなり、そのアノードはコンデンサ131の高電位側に接続され、カソードは信号線4に接続されている。
【0034】
(波形改善回路の動作)
図3は、波形改善回路の各部の動作波形を示す。以下に、この図3及び図2を参照して、波形改善回路1の動作について説明する。
【0035】
送信回路2の送信側ドライバ20は、図2に示すように、デジタルの信号Stを信号線4を介して受信回路3に送信する。この信号Stは、図3(a)に示すように、例えば、“0”レベル(例えば、0V)と“1”レベル(例えば、+5V)の組み合わせによる、オーバーシュートOS及びアンダーシュートUSを発生している波形とする。
【0036】
信号線4に伝送されている信号Stは、レベル検出回路11Aに印加され、抵抗111(R1),112(R2)により抵抗分圧され、レベル検出回路11Aから図3の(b)に示すような出力電圧Vdが出力される。この出力電圧Vdは、信号線4上の信号Stの電圧Vsが閾値電圧(例えば、2V)Vt以上のときにスイッチ回路12Aのトランジスタ121がオンになる“H”レベルとなる。
【0037】
従って、信号Stの電圧Vsが2V以上のとき、図3の(c)に示すように、トランジスタ121がオンになり、例えば、+5Vの電源電圧Vがトランジスタ121を通してコンデンサ131に印加され、充電が開始される。なお、電源電圧Vは、充電回路13Aの充電電圧を最適にするための電圧に設定されているが、他の電子回路を動作させる電源と共用するものであってもよい。
【0038】
充電回路13Aは、トランジスタ121がオンの期間、電源電圧Vによって図3の(d)に示すように充電され、コンデンサ131の端子電圧は、トランジスタ121がオフになるまでに、ほぼ電源電圧Vに等しい直流電圧の充電電圧Vcになる。
【0039】
信号線4上の信号Stが“L”レベルになると、レベル検出回路11Aの出力電圧Vdが“L”レベルとなり、これによりトランジスタ121がオフになり、コンデンサ131への電源電圧Vの印加が終了する。
【0040】
コンデンサ131の充電電圧Vcは、放電回路14Aに印加され、放電回路14Aのダイオード141は、所定の順方向電圧Vfdを有しているため、(充電電圧Vc−順方向電圧Vfd≧信号Stの電圧Vs)が成立するとき、コンデンサ131の電荷を信号線4へ放電させる。すなわち、コンデンサ131の充電電圧Vcが図3(d)に示すような波形となり、放電回路14Aの放電電圧Voが図3の(e)に示すように出力されて信号線4に印加される。信号線4の信号Stの電圧Vsが、(充電電圧Vc−順方向電圧Vfd)で補正されることにより、アンダーシュートUSが改善される。
【0041】
ダイオード141は、順方向電圧Vfdが低いほど、信号線4の電位が低下した際の波形改善効果が高くなる。従って、ダイオード141としては、順方向電圧Vfdの低い(例えば、0.55V)ダイオード、いわゆるショットキーダイオードを使用するのが望ましい。
【0042】
なお、信号Stの電圧レベルが、例えば、2V未満の“L”レベル、つまり信号線4の電位が“L”レベルのとき、トランジスタ121はオフになり、充電回路13Aの充電が行われないため、信号線4に電源電圧Vによる電圧が印加されることはない。このため、過大な吸いこみ電流が、送信側ドライバ20に流れる事態は生じない。
【0043】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(イ)信号線4の信号Stの電圧レベルが“H”レベルのタイミングで充電回路13Aのコンデンサ131を充電することにより、高速信号に対応させることができる。
(ロ)コンデンサ131の充電は、従来、回路が必要とした電流制限用の直列抵抗を介さずに行えるため、コンデンサ131の充電が短時間に行えるようになり、これにより、高速な信号を扱うことができる。
(ハ)ダイオード141は、順方向電圧Vfdの低いショットキーダイオード等を使用することにより、順方向電圧Vfdの高いダイオードを使用した場合に比べ、信号線4の信号Stの電圧レベルが低下した際の波形改善効果を高めることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る波形改善回路を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の図2の構成において、トランジスタ121とコンデンサ131との間に電流制限用の抵抗132を追加して充電回路13Bを構成したものであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0045】
(波形改善回路の動作)
次に、第2の実施の形態の波形改善回路1の動作について説明する。送信回路2は、デジタルの信号Stを信号線4を介して受信回路3に送信する。信号Stがレベル検出回路11Aに印加され、抵抗111(R1),112(R2)により抵抗分圧され、レベル検出回路11Aから出力電圧Vdが出力される。この出力電圧Vdは、信号線4上を伝送する信号Stの電圧Vsが閾値電圧Vt以上のときに“H”レベルとなり、これによりスイッチ回路12Aのトランジスタ121がオンになり、充電回路13Bのコンデンサ131への充電が開始される。
【0046】
このとき、図3の(d)に示すように、電荷が殆ど無い状態のコンデンサ131に電圧が印加されるため、トランジスタ121にとっては、一時的に負荷側で短絡が生じた状態になり、トランジスタ121に過大な電流が流れるおそれがあるが、本実施の形態では、トランジスタ121のエミッタに接続された抵抗132が通電電流を制限するため、トランジスタ121のコレクタ〜エミッタ間を流れる電流が制限され、トランジスタ121に過大な電流が流れるのを防止する。
【0047】
充電回路13Bは、トランジスタ121がオンの期間充電される。信号線4上の信号Stが“L”レベルになると、レベル検出回路11Aの出力電圧Vdが“L”レベルとなり、これによりランジスタ121がオフになり、コンデンサ131への電源電圧Vの印加が終了する。
【0048】
コンデンサ131の充電電圧Vcは、放電回路14Aに印加され、放電回路14Aのダイオード141は、(充電電圧Vc−順方向電圧Vfd≧信号Stの電圧Vs)が成立するとき、コンデンサ131の充電電圧Vcを信号線4に印加し、信号線4の信号StのアンダーシュートUSを改善する。
【0049】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、抵抗132によってトランジスタ121のコレクタ〜エミッタ間を流れる電流が制限されるため、トランジスタ121を過大電流から保護することができる。
【0050】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る波形改善回路を示す。本実施の形態は、第2の実施の形態において、上記ダイオード141と、ダイオード141のアノードとアースとの間に接続された電圧制限素子としてのツェナーダイオード142とから放電回路14Bを構成したものであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0051】
(波形改善回路の動作)
次に、第3の実施の形態の波形改善回路1の動作について説明する。送信回路2は、デジタルの信号Stを信号線4を介して受信回路3に送信する。信号Stがレベル検出回路11Aに印加され、抵抗111(R1),112(R2)により抵抗分圧され、レベル検出回路11Aから出力電圧Vdが出力される。この出力電圧Vdは、信号線4上を伝送する信号Stの電圧Vsが閾値電圧Vt以上のときに“H”レベルとなり、これによりスイッチ回路12Aのトランジスタ121がオンになり、充電回路13Bのコンデンサ131への充電が開始される。
【0052】
コンデンサ131の充電電圧Vcが上昇する過程で、放電回路14Bのツェナーダイオード142は、コンデンサ131の充電電圧Vcがツェナー電圧を超えないように制限する。この際、抵抗132は、トランジスタ121に流れるコレクタ電流の制限を行うとともに、ツェナーダイオード142を流れる電流の制限も行う。
【0053】
ダイオード141は、(充電電圧Vc−順方向電圧Vfd≧信号Stの電圧Vs)が成立するとき、コンデンサ131の充電電圧Vcを信号線4に印加し、信号線4の信号StのアンダーシュートUSを改善する。
【0054】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られるほか、放電回路14Bにツェナーダイオード142を設けたことにより、コンデンサ131の充電電圧Vcが所定値を超えないようにし、充電電圧Vcの最大値が変動しないようにすることができこれにより、波形改善動作を安定にすることができる。
【0055】
[第4の実施の形態]
(波形改善回路の構成)
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る波形改善回路を示す。本実施の形態は、第2の実施の形態において、レベル検出回路11Aの抵抗111,112に代えてIC等で構成されたバッファ113からレベル検出回路11Bを構成し、スイッチ回路12Aのトランジスタ121に代えてMOS(Metal-Oxide-Silicon)FET(Field Effect Transistor)122からスイッチ回路12Bを構成し、更に、放電回路14Bのツェナーダイオード142に代えて直列接続したダイオード143A,143Bを電圧制限素子として用いて放電回路14Cを構成したものであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0056】
スイッチ回路12BのMOSFET122は、ゲートがバッファ113の出力端に接続され、ドレインは電源に接続され、ソースは抵抗132に接続されている。
【0057】
放電回路14Cのダイオード143A,143Bは、アースに対して順方向になるように、直列接続されている。ダイオード143A,143Bの2つの順方向電圧Vfdを加算した値がコンデンサ131の充電電圧Vcになる。従って、ここでは、ダイオード143A,143Bの2つとしているが、電源電圧Vの電圧に応じて、(電源電圧V≒充電電圧Vc=Vfd×2)になるように、3つ以上または1つに個数を設定してもよい。
【0058】
(波形改善回路の動作)
次に、第4の実施の形態の波形改善回路1の動作について説明する。送信回路2は、デジタルの信号Stを信号線4を介して受信回路3に送信する。、信号線4に伝送されている信号Stが、レベル検出回路11Bのバッファ113が動作可能なレベル(例えば、2V以上)になると、バッファ113から“H”レベルの出力電圧Vdが出力される。
【0059】
レベル検出回路11Bの出力電圧Vdが“H”レベルになると、スイッチ回路12BのMOSFET122がオンになり、電源電圧VがMOSFET122及び抵抗132を通して放電回路13Bのコンデンサ131に印加され、充電が行われる。
【0060】
コンデンサ131の充電は、MOSFET122のオンの期間において、図3の(d)に示すように行われ、コンデンサ131の端子電圧は、ほぼ電源電圧Vに等しい直流電圧の充電電圧Vcになる。
【0061】
コンデンサ131の充電電圧Vcは、放電回路14Cのダイオード141及びダイオード143Aの各アノードに印加される。直列接続されたダイオード143A,143Bは、1種のツェナーダイオードとして機能し、コンデンサ131の充電電圧VcをVfd×2(V)に規制する。この際、抵抗132は、MOSFET122に流れるドレイン〜ソース間電流の制限を行うとともに、ダイオード143A,143Bを流れる電流の制限も行っている。
【0062】
ダイオード141は、(充電電圧Vc−順方向電圧Vfd≧信号Stの電圧Vs)が成立するとき、コンデンサ131の充電電圧Vcを信号線4に印加し、信号線4の信号StのアンダーシュートUSを改善する。
【0063】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られるほか、スイッチ回路12Bは、高速動作をするMOSFET122を用いているため、信号伝送の高速化を図ることができる。また、放電回路14Cにおいて、ダイオード141とアースの間にダイオード143A,143Bを設けたことにより、コンデンサ131の充電電圧Vcの最大値が変動しないようにすることができ、波形改善動作を安定にすることができる。
【0064】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、各実施の形態間の構成要素の組合せは任意に行うことができる。
【0065】
例えば、第2乃至第4の実施の形態において、充電回路13Bに設けた抵抗132はスイッチ回路12A側に設けられていてもよい。
【0066】
また、第2乃至第4の実施の形態において、放電回路14B,14Cに設けたツェナーダイオード142及びダイオード143A,143Bは、充電回路13B側に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る波形改善回路の原理的構成を示すブロック図である。
【図2】波形改善回路の詳細構成を示す回路図である。
【図3】波形改善回路の各部の動作波形を示す波形図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る波形改善回路を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る波形改善回路を示す回路図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る波形改善回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0068】
1 波形改善回路
2 送信回路
3 受信回路
4 信号線
11A,11B レベル検出回路
12A,12B スイッチ回路
13A,13B 充電回路
14A,14B 放電回路
20 送信側ドライバ
30 受信側ドライバ
111,112 抵抗
113 バッファ
121 トランジスタ
122 MOSFET
131 コンデンサ
132 抵抗
141 ダイオード
142 ツェナーダイオード
143A,143B ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線に伝送されるデジタル信号の波形を改善する波形改善回路において、
前記デジタル信号のレベルが所定値を超えている期間、充電されるコンデンサを有する充電手段と、
前記デジタル信号のレベルが、前記コンデンサの充電電圧よりも低くなったタイミングで前記充電手段から前記コンデンサの充電電荷を前記信号線へ放電する放電回路とを備えることを特徴とする波形改善回路。
【請求項2】
前記充電手段は、前記デジタル信号のレベルが所定値を超えたときに駆動電圧を出力するレベル検出回路と、
前記レベル検出回路からの前記駆動電圧に基づいて前記コンデンサに充電用の電圧を印加するスイッチ回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載の波形改善回路。
【請求項3】
前記レベル検出回路は、前記信号線とアースとの間に直列接続された複数の抵抗からなり、前記抵抗の分圧点から前記出力電圧を出力することを特徴とする請求項2に記載の波形改善回路。
【請求項4】
前記レベル検出回路は、バッファからなり、その出力電圧を前記スイッチ回路へ出力することを特徴とする請求項2に記載の波形改善回路。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、トランジスタまたはMOSFETからなることを特徴とする請求項2に記載の波形改善回路。
【請求項6】
前記放電回路は、前記コンデンサから前記信号線に向かう一方向の通電経路を成立させる回路素子からなることを特徴とする請求項1に記載の波形改善回路。
【請求項7】
前記回路素子は、ダイオードで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の波形改善回路。
【請求項8】
前記ダイオードは、ショットキーダイオードであることを特徴とする請求項7に記載の波形改善回路。
【請求項9】
前記コンデンサは、前記スイッチ回路に流れる電流を制限する抵抗が直列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の波形改善回路。
【請求項10】
前記放電回路は、前記コンデンサに並列に接続され、前記充電電圧を規定する電圧制限素子を備えたことを特徴とする請求項2に記載の波形改善回路。
【請求項11】
前記電圧制限素子は、ツェナーダイオードであることを特徴とする請求項10に記載の波形改善回路。
【請求項12】
前記電圧制限素子は、1つまたは通電方向を合わせて直列接続した複数のダイオードからなることを特徴とする請求項10に記載の波形改善回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−235405(P2007−235405A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53119(P2006−53119)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】